(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】列車運行支援システムおよび列車運行支援方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20220920BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
B60L15/40 Z
(21)【出願番号】P 2021534556
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2020019947
(87)【国際公開番号】W WO2021014725
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019136506
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 諒
(72)【発明者】
【氏名】綾部 和則
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132361(JP,A)
【文献】特開2017-118617(JP,A)
【文献】特開2013-230775(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/66096(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
B60L 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の列車群の運行を支援する列車運行支援システムであって、
前記列車群の各列車から、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、前記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて処理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて、前記各列車の機器ごとに、前記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が前記機器の設定の限界値の範囲内で前記機器の消費電力量が削減され、かつ、前記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、前記機器制御パラメータ情報を前記機器が搭載されている列車に送
信し、
前記列車群の各々は、ユーザインターフェース部を備え、
前記制御部により変更された機器制御パラメータ情報を受信した列車は、前記列車が備えるユーザインターフェース部に前記機器制御パラメータ情報を表示し、前記機器制御パラメータ情報に基づく制御を行うか否かの選択を、前記ユーザインターフェース部を介して前記列車の乗務員より受け付け、
前記列車は、前記乗務員による選択の結果を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記乗務員による選択の結果と前記機器制御パラメータ情報とを教師データとして乗務員により採用されるように機械学習を行い、機械学習した結果に基づいて機器制御パラメータ情報を変更する、
列車運行支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が前記機器の設定の限界値の範囲内で前記機器の消費電力量が最小となり、かつ、前記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、前記機器制御パラメータ情報を前記機器が搭載されている列車に送信する、
請求項1に記載の列車運行支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が前記機器の設定の限界値の範囲内で前記機器が搭載されている列車の消費電力量が目標値を満たし、かつ、前記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、前記機器制御パラメータ情報を前記列車に送信する、
請求項1に記載の列車運行支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記機器制御パラメータ情報に従って前記機器を制御した場合の変更後の消費電力量を算出し、算出した変更後の消費電力量に係る情報を前記機器が搭載されている列車に送信し、
前記制御部から変更後の消費電力量に係る情報を受信した列車は、前記情報を出力する、
請求
項1に記載の列車運行支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記機器制御パラメータ情報に従って前記機器を制御した場合の変更後の動作状態情報を算出し、算出した動作状態情報に係る情報を前記機器が搭載されている列車に送信し、
前記制御部により算出された動作状態情報に係る情報を受信した列車は、前記情報を出力する、
請求
項1に記載の列車運行支援システム。
【請求項6】
前記列車群の各々は、車両情報制御装置を備え、
前記取得部は、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、前記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを取得するための取得要求を前記列車群の各々の車両情報制御装置に送信し、
前記列車群の各々の車両情報制御装置は、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、前記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを前記取得部に送信する、
請求項1に記載の列車運行支援システム。
【請求項7】
管理対象の列車群の運行を支援する列車運行支援方法であって、
取得部が、前記列車群の各列車から、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、前記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを取得することと、
制御部が、前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて処理を行うことと、
を含み、
前記制御部は、前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて、前記各列車の機器ごとに、前記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が前記機器の設定の限界値の範囲内で前記機器の消費電力量が削減され、かつ、前記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、前記機器制御パラメータ情報を前記機器が搭載されている列車に送
信し、
前記列車群の各々は、ユーザインターフェース部を備え、
前記制御部により変更された機器制御パラメータ情報を受信した列車は、前記列車が備えるユーザインターフェース部に前記機器制御パラメータ情報を表示し、前記機器制御パラメータ情報に基づく制御を行うか否かの選択を、前記ユーザインターフェース部を介して前記列車の乗務員より受け付け、
前記列車は、前記乗務員による選択の結果を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記乗務員による選択の結果と前記機器制御パラメータ情報とを教師データとして乗務員により採用されるように機械学習を行い、機械学習した結果に基づいて機器制御パラメータ情報を変更する、
列車運行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車運行支援システムおよび列車運行支援方法に関し、例えば、管理対象の列車群の運行を支援する列車運行支援システムおよび列車運行支援方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
計画ダイヤに従って列車を運行した場合の計画電力消費量と、遅延事象が発生したときの予測ダイヤに従って列車を運行した場合の予測電力消費量と、時間ごとに定められた予測電力供給量との時間変化を表示する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、計画ダイヤおよび予め設定された総消費電力量に基づいて、運転ダイヤに従いつつ、複数の列車の運行に伴う実際の総消費電力量が、設定された総消費電力量に収まるように、列車群を構成する複数の列車の運行管理を行う技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-69620号公報
【文献】特開2013-132980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、列車の運行における、消費電力の省力化(削減)に関して、個々の列車単位での省力化を図ることで消費電力量を低減する技術は知られている。
【0006】
この点、特許文献1では、列車の予測ダイヤに従って該列車の駆動に要するトルク特性変更指示を行うという技術が開示されている。しかしながら、かかる技術は、駆動装置の制御に限った省力化を行うであり、空調装置等の該列車に搭載される他の機器を含めた該列車に搭載されている機器全体の省力化については考慮されていない。
【0007】
また、特許文献2では、予め設定された総消費電力量に収まるように、列車群を構成する複数の列車の運行管理を、走行速度または加減速度を制御することで行うという技術が開示されている。しかしながら、現在駅、路線情報等を含む列車の動作状態情報の一部である列車の速度を制御することによる省力化という点に留めており、列車の運用において該列車に搭載されている他の機器の動作状態、設定情報等、電力消費に関わる他の要素までを考慮した省力化のための列車の機器の制御を行うことへの配慮がされていない。
【0008】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、列車群を対象として消費電力量を適切に削減し得る列車運行支援システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、管理対象の列車群の運行を支援する列車運行支援システムであって、前記列車群の各列車から、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、前記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて処理を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記取得部により取得された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて、前記各列車の機器ごとに、前記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が前記機器の設定の限界値の範囲内で前記機器の消費電力量が削減され、かつ、前記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、前記機器制御パラメータ情報を前記機器が搭載されている列車に送信する、ようにした。
【0010】
上記構成では、列車の動作状態に応じて、機器の設定の限界値を超えないように、消費電力量が削減されるように、かつ、ダイヤに支障がないように変更後の機器制御パラメータ情報が決定される。例えば、列車に搭載される様々な機器を対象に、列車間のダイヤを加味して機器の制御を行うことで、列車群の総消費電力量を適切に削減することができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、列車群を対象として消費電力量を適切に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態による列車運行支援システムに構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態によるデータベースの構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態による列車群を対象として消費電力量を適切に削減する処理の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態による制御量および推定消費電力量の算出処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態では、列車の状態情報および列車に搭載された機器の状態情報を用いて省電力で運行を行う技術に関して説明する。例えば、かかる技術を適用した列車運用支援システムでは、線区内を走行する各列車の動作状態情報と列車に搭載されている機器の機器制御パラメータ情報とを取得し、機器の設定の限界を示す値(設定限界値)、制御の優先度等に基づいて、変更する動作状態情報と機器制御パラメータ情報とを評価して変更指令を生成し、生成した変更指令に従って線区内の各列車を制御する。
【0014】
(1)第1の実施の形態
図1において、100は全体として第1の実施の形態による列車運行支援システムを示す。
【0015】
図1は、列車運行支援システム100に構成の一例を示す図である。
【0016】
運行支援システム100は、列車110と、ダイヤに基づいて列車110の運行管理を行う運行管理システム120とを含んで構成される。
【0017】
列車110は、運行管理システム120の管理対象となる区間を走行する1以上の列車(以降、列車群と記すことがある)である。管理対象となる区間は、路線(全線区)、線区等である。以下では、線区を例に挙げて説明する。なお、列車110は、1以上の車両を含んで構成されている。
【0018】
まず、列車110を構成する各部について説明する。
【0019】
列車110は、列車110に搭載されている機器である搭載機器111と、搭載機器111の制御を行う車両情報制御装置112と、運行管理システム120からの情報等を乗務員に提示するユーザインターフェース部113と、列車110内で取り扱う種々の情報を記録する車上サーバ114と、列車110と運行管理システム120と間の通信を行う通信部115と、を備える。
【0020】
搭載機器111は、列車110の走行制御に関わる装置(駆動装置、ブレーキ装置等)、空調装置、照明機器、列車110の保安に関わる保安装置、列車110の速度(走行速度)を算出するための速度発電機、運転士等の乗務員が列車110の速度等を制御するための主幹制御器等を含む。
【0021】
車両情報制御装置112は、搭載機器111(列車110内の各機器)と接続され、指令情報、機器の動作状態情報等を送受信することで、搭載機器111の制御を行う機能を備える。
【0022】
ユーザインターフェース部113は、表示器、スピーカ等の出力装置を備える。ユーザインターフェース部113は、タッチパネル等の入力装置を備えていてもよいし、入出力装置等であってもよい。ユーザインターフェース部113は、列車110の動作状態情報、運行管理システム120から受信する変更指令を含む運行に関わる指令情報等を乗務員に提示する。また、ユーザインターフェース部113は、乗務員による操作を受け付け、搭載機器111向けの情報、運行管理システム120向けの情報等を車両情報制御装置112に出力する。
【0023】
なお、説明の便宜上、搭載機器111とユーザインターフェース部113とを区別して示すが、ユーザインターフェース部113は、搭載機器111に含まれていてもよい。
【0024】
車上サーバ114は、車両情報制御装置112から出力される動作状態情報をはじめとして、列車110内の情報を記憶(記録)する。車上サーバ114は、通信部115とも接続されており、記憶している情報の取得要求または周期タイミングに基づいて、記憶している情報を運行管理システム120に送信する。
【0025】
通信部115は、列車110と運行管理システム120と間の通信を行う。通信部115は、列車110と運行管理システム120との間における種々の情報のやり取りを無線通信によって行うための装置である。
【0026】
次に、運行管理システム120を構成する各部について説明する。運行管理システム120の機能(比較推定部151、指令生成部152、選択指令部153、表示処理部161等)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に格納されたプログラムをRAM(Random Access Memory)に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、運行管理システム120の機能の一部は、運行管理システム120と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0027】
運行管理システム120は、列車110の運行に関わる種々の情報を記憶したデータベースを備える記憶部130と、線区内に存在する列車110に対して、列車の動作状態情報と搭載機器111の機器制御パラメータ情報とについての報告を周期的に要求する取得部140と、変更指令の演算および出力を行う制御部150と、ダイヤ、電力等に関する情報、および変更指令の情報を指令員に提示する表示部160と、列車110と運行管理システム120と間の通信を行う通信部170とを備える。
【0028】
ここで、列車110の動作状態情報は、列車110の回生電力量または消費電力量を算出する際に参照する列車情報を含む情報である。例えば、動作状態情報は、列車110を識別可能な情報と、ノッチ情報、応荷重、乗車率、列車110の在線位置、列車110の速度等の列車情報とを含んで構成される。
【0029】
また、搭載機器111の機器制御パラメータ情報は、搭載機器111を制御するパラメータを示す情報を含む情報である。例えば、機器制御パラメータ情報は、搭載機器111を識別可能な情報と、駆動装置の搭載数、駆動装置の稼働数、空調装置の搭載数、空調装置の稼働数、空調装置の温度設定値、照明機器の搭載数、照明機器の稼働数、照明機器の出力設定値等のパラメータを示す情報とを含んで構成される。
【0030】
また、変更指令とは、列車110に対して送信される指令情報である。例えば、変更指令は、後述する変更後の機器制御パラメータ情報を含んで構成される。列車110は、変更指令を受信した後、乗務員による変更指令の採否の結果に基づいて、変更指令に従って搭載機器111を制御(手動制御)する。なお、列車110は、変更指令を受信した後、自動的に、変更指令に従って搭載機器111を制御(自動制御)するようにしてもよい。
【0031】
記憶部130は、ダイヤ情報131と、消費電力情報132と、予測供給電力情報133と、動作状態実績情報134と、指令選択実績情報135と、変更指令実績情報136とに係るデータベースを備える。ダイヤ情報131は、列車110の運行に係るダイヤを示す情報である。消費電力情報132は、列車110の運行で消費される電力を示す情報である。予測供給電力情報133は、時間ごとに供給される電力を示す情報である。動作状態実績情報134は、列車110から受信する動作状態を示す情報である。指令選択実績情報135は、変更指令の選択の結果を示す情報である。変更指令実績情報136は、制御部150にて出力する変更指令(機器制御パラメータ情報)を示す情報である。
【0032】
制御部150は、比較推定部151と、指令生成部152と、選択指令部153とを備える。
【0033】
比較推定部151は、列車110の動作状態情報に基づいて推定消費電力量(変更後の機器制御パラメータ情報から推定される消費電力量)を算出し、算出した推定消費電力と消費電力情報132から読み出した情報とを比較する。
【0034】
指令生成部152は、変更指令を生成したり、生成した変更指令に対して制約条件による補正を行ったりする。
【0035】
また、指令生成部152は、機械学習部152-1を備える。機械学習部152-1は、比較推定部151での演算に用いた情報(ダイヤ情報131、消費電力情報132、および予測供給電力情報133)と、動作状態実績情報134と、指令選択実績情報135と、変更指令実績情報136とに基づいて機械学習し、機械学習した結果に基づいて変更指令を出力する。
【0036】
機械学習部152-1は、変更指令を選択指令部153に出力するとともに、変更指令実績情報136に記憶するための出力を行う。機械学習部152-1の学習手法については、任意の手法が用いられる。
【0037】
学習内容を例示すると、機械学習部152-1は、推定消費電力量と、制約条件と、推定消費電力量と制約条件とに基づく変更指令を出力する際に用いたダイヤ情報131~予測供給電力情報133と、動作状態実績情報134~変更指令実績情報136との関係を学習し、学習した結果に基づいて変更指令を生成する。
【0038】
これにより、乗務員の判断結果と、判断材料となる環境条件に基づく補正結果とが変更指令に反映され、列車110の運行の効率を向上させることができる。また、かかる学習により、乗務員の経験によらず、列車110の運行に適した省電力制御を実施することができる。
【0039】
選択指令部153は、指令生成部152にて生成された変更指令を列車110に送信し、乗務員による変更指令の採否(選択)の結果を要求(選択結果要求)する。
【0040】
表示部160は、表示処理部161と表示装置162とを備える。
【0041】
表示処理部161は、ダイヤ、電力等に関わる情報、および変更指令の提示を指令員に行うため、表示のための処理を行う。表示処理部161は、ダイヤ情報131と、消費電力情報132と、予測供給電力情報133とから、各列車110に対応する情報と、選択指令部153で送信される変更指令の内容とを受信し、表示装置162に出力できるよう処理を行う。表示装置162は、表示処理部161による処理の結果を表示する。
【0042】
通信部170は、運行管理システム120と列車110との間における種々の情報のやり取りを無線通信によって行うための装置である。通信部170がやりとりする情報としては、取得部140から受信した列車110の動作状態情報および機器制御パラメータ情報の取得要求と、列車110から受信した動作状態情報および機器制御パラメータ情報と、選択指令部153と列車110とでやりとりされる変更指令の選択に関する情報等が挙げられる。付言するならば、運行支援システム100では、列車110にも通信部170と同一の機能または同様の機能を持った通信部115を搭載することで、双方向の通信を実現する。
【0043】
図2は、記憶部130が備えるデータベースの構成の一例(データベース200)を示す図である。データベース200は、ダイヤ情報131、消費電力情報132、予測供給電力情報133、動作状態実績情報134、指令選択実績情報135、変更指令実績情報136等を含んで構成される。
図2では、ダイヤ情報131および消費電力情報132の詳細について説明する。
【0044】
ダイヤ情報131は、計画ダイヤ情報211と乱れダイヤ情報212と実績ダイヤ情報213とを備える。計画ダイヤ情報211は、列車110の運行計画に基づいて作成されたダイヤを示す情報である。乱れダイヤ情報212は、当初の運行計画に対して遅延が発生し、当初の運行計画と異なる列車110の運行を行うダイヤ乱れ時において、計画ダイヤに対して補正が行われたダイヤを示す情報である。実績ダイヤ情報213は、実際の運行実績に基づいて作成されたダイヤを示す情報である。
【0045】
消費電力情報132は、計画消費電力情報221と乱れダイヤ消費電力情報222と実績消費電力情報223と推定消費電力情報224とを備える。
【0046】
計画消費電力情報221は、計画ダイヤ情報211に基づいて算出された運行時の消費電力を示す情報である。乱れダイヤ消費電力情報222は、乱れダイヤ情報212に基づいて算出されたダイヤ乱れ時の消費電力を示す情報である。実績消費電力情報223は、実際の運行実績に基づいて算出された消費電力を示す情報である。推定消費電力情報224は、比較推定部151にて推定された消費電力を示す情報である。
【0047】
図3は、列車運行支援システム100における列車群を対象として消費電力量を適切に削減する処理の一例を示す図である。
図3では、列車運行支援システム100を、運行管理システム120側の処理(運行管理システム側処理300)と、列車110側の処理(列車側処理310)と、に区分して示している。
図3に基づいて、それぞれの処理順序および内容を説明する。
図3に記載した処理は、定められた周期ごと、指令員、乗務員等の操作等により実施される。
【0048】
ステップS301(情報の読み出し):運行管理システム120は、記憶部130に記録されている情報(ダイヤ情報131~変更指令実績情報136等)を読み出す。読み出した情報は、運行管理システム120内の各処理において参照できるよう保持される。
【0049】
ステップS302:運行管理システム120は、動作状態情報および機器制御パラメータ情報の取得要求を列車110に送信する。
【0050】
ステップS311:列車110は、ステップS302で送信された取得要求に基づいて、列車110で記憶する動作状態情報および機器制御パラメータ情報を運行管理システム120に送信する。なお、取得要求の伝送がタイムアウト等の要因により失敗した場合、一定周期後に再送処理を行う。
【0051】
ステップS303(制御量および推定消費電力量の算出処理):運行管理システム120は、列車110の搭載機器111の制御量および列車110の推定消費電力の算出処理を行う。運行管理システム120は、ステップS301で読み出した情報、およびステップS311で送信された動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて、制御量および推定消費電力量を算出する。なお、制御量および推定消費電力の算出処理については、
図4を用いて後述する。
【0052】
ステップS304(予定消費電力量と推定消費電力量との差分算出):運行管理システム120は、予定消費電力量とステップS303で算出した推定消費電力量とを比較し、予定消費電力と推定消費電力との差分を算出する。ここで、予定消費電力量とは、列車110が運行計画通りに運行しているときは、計画消費電力であり、列車110の運行計画どおりに運行していないときは、乱れダイヤ消費電力である。
【0053】
ステップS305(動作状態情報の変化量の算出、変更指令の生成):運行管理システム120は、ステップS303で算出した制御量(変更した機器制御パラメータ情報)に従って機器を制御した場合の変更後の動作状態情報を算出し、変更前の動作状態情報と変更後の動作状態情報との変化量を算出する。
【0054】
また、運行管理システム120は、ステップS303およびステップS304の算出結果に基づいて変更指令を生成する。例えば、運行管理システム120は、予定消費電力と推定消費電力との差分を示す情報と、搭載機器111の制御量(変更後の機器制御パラメータ情報)と、搭載機器111の制御量の制御を行った場合の動作状態情報の変化量とを含む変更指令を生成する。
【0055】
ステップS306(変更指令は制約条件に抵触する?):運行管理システム120は、ステップS305で生成した変更指令について、後述の第1条件から第3条件によって定義される制約条件に抵触しないかを判定する。運行管理システム120は、抵触すると判定した場合、ステップS307に処理を移し、抵触しないと判定した場合、ステップS308に処理を移す。
【0056】
第1条件は、ステップS304で算出した差分が上限値に抵触しないことである。これは、運行管理システム120が算出した推定消費電力量が、予定消費電力量を大きく上回るまたは下回ることがないよう、線区全体の列車群で管理する、および/または、列車110ごとに管理するために判定する。なお、線区全体の列車群の推定消費電力(総消費電力量)については、各列車110の推定消費電力の総和により算出可能であり、線区全体の列車群の予定消費電力については、各列車110の予定消費電力の総和により算出可能である。
【0057】
第2条件は、列車110自体の動作状態情報の変化量が上限値および下限値に抵触しないことである。ここで、列車110自体の動作状態情報とは、特定の搭載機器111に依らない情報(例えば、列車110の速度等)を指す。これは、変更指令によって、列車110の運行に影響する極端な変化を回避するために判定される。
【0058】
第3条件は、列車110の搭載機器111に関する調整可能な機器制御パラメータ情報の変化量が上限値および下限値に抵触しないことである。これは、例えば、駆動装置の稼働率、駆動装置の稼働装置数、空調装置の設定温度等を、調整可能な余裕度の中で設定するためであり、設定によって各搭載機器111の調整について優先度を設けて判定することができる。また、列車110によって非搭載の機器等がある場合、本条件での判定によって、無効な設定を防止することができる。
【0059】
ここで、上述した上限値および下限値の各々は、運行管理システム120側または列車110側で定義する。
【0060】
ステップS307(変更指令の補正):運行管理システム120は、ステップS306での判定により、変更指令が制約条件に抵触する場合、制約条件を満たすように変更指令の補正を行う。
【0061】
例えば、ブレーキの制御量を設定範囲内で最大にし、駆動装置の制御量を設定範囲内で最小にするように決定されている場合、列車110が急激に減速する事態を回避するために、運行管理システム120は、例えば、列車110の速度の変化量が上限値および下限値に抵触しないように、かつ、列車110の推定消費電力量が削減される(例えば、最小となる)ように、ブレーキの制御量、および/または、駆動装置の制御量を補正する。
【0062】
また、例えば、第1の空調装置の設定温度を制御しない、第2の空調装置の設定温度を制御しないと決定されている場合、列車110の乗車率が高く、外気温が非常に高いとき、列車110内の温度が急激に上昇してしまう事態を回避するために、運行管理システム120は、例えば、列車110内の温度の変化量が上限値および下限値に抵触しないように、かつ、列車110の推定消費電力量が削減される(例えば、最小となる)ように、第1の空調装置の制御量、および/または、第2の空調装置の制御量を補正する。
【0063】
ステップS308:運行管理システム120は、上述したように作成した変更指令を列車110に送信する。
【0064】
ステップS312(情報の出力):列車110は、変更指令を受信した後、変更指令をユーザインターフェース部113に出力する。例えば、列車110は、変更後の機器制御パラメータ情報を出力する。また、例えば、列車110は、変更後の消費電力量に係る情報(例えば、予定消費電力と推定消費電力との差分を示す情報)を出力する。また、例えば、列車110は、変更後の動作状態情報に係る情報(例えば、変更後の動作状態情報、変更前の動作状態情報と変更後の動作状態情報との変化量)を出力する。なお、出力とは、表示器による表示であってもよいし、スピーカによる音声出力であってもよいし、紙等の媒体への印刷であってもよいし、その他の出力であってもよい。
【0065】
ステップS313(変更指令を採用?):列車110は、乗務員に採否の選択を依頼し、変更指令を採用したか否かを判定する。列車110は、採用したと判定した場合、ステップS314に処理を移し、採用しなかったと判定した場合、ステップS315に処理を移す。ここで、変更指令の選択は、複数のパターン、モードから選択する方式としてもよい。なお、制御については、上述したように、ユーザインターフェース部113による乗務員への操作指示を行い、乗務員による手動制御にて実現してもよいし、車両情報制御装置112による自動制御にて実現してもよい。
【0066】
ステップS314(変更指令に基づく制御):列車110は、変更指令に基づいて(列車110の搭載機器111の機器制御パラメータ情報に従って)、搭載機器111を制御する。
【0067】
ステップS315:列車110は、ステップS313での変更指令の選択の結果を、運行管理システム120に送信する。
【0068】
図4は、制御量および推定消費電力量の算出処理に係るフローチャートの一例を示す図である。算出処理では、運行管理システム120が管理する線区内の全ての列車110(列車群)に対して、かつ、各列車110の搭載機器111全てに対して、(優先度1)ダイヤに支障のない範囲、かつ、(優先度2)設定限界値を超えない範囲で制御するための制御量が算出される。
【0069】
ステップS401(線区内の列車を網羅したか?):運行管理システム120は、管理する線区内に在線する列車群の全てについて処理したか否か(網羅したか否か)を判定する。運行管理システム120は、網羅したと判定した場合、列車110の搭載機器111毎にステップS403で算出する消費電力量の総和を推定消費電力量として算出して算出処理を終了し、網羅していないと判定した場合、処理していない列車110を処理の対象(対象列車)と設定し、ステップS402に処理を移す。
【0070】
ステップS402(対象列車の搭載機器を網羅したか?):運行管理システム120は、対象列車の搭載機器111の全てについて処理したか否か(網羅した否か)を判定する。運行管理システム120は、網羅したと判定した場合、ステップS408に処理を移し、網羅していないと判定した場合、処理していない搭載機器111を処理の対象(対象機器)と設定し、ステップS403に処理を移す。
【0071】
ステップS403(対象機器の制御量と消費電力量とを算出):運行管理システム120は、対象機器の制御量を算出し、算出した制御量に対応した対象機器の制御を行った場合の対象機器の消費電力量を算出する。より具体的には、運行管理システム120は、予め決められた設定範囲(搭載機器111の制約で決められた範囲、運用者などによって指定された範囲等)内、列車110の動作状態情報(乗車率、列車110の速度、外気温、昼間、夜間等の時間帯)に応じて決められる設定範囲内、または、後述する縮小が行われた設定範囲内で消費電力量を削減する制御量(例えば、設定範囲内で消費電力量の削減が最大となる制御量)を算出する。
【0072】
ステップS404(対象機器を制御することでダイヤに影響はあるか?):運行管理システム120は、算出した制御量で対象機器を制御することでダイヤに影響があるか否かを判定する。運行管理システム120は、ダイヤに影響があると判定した場合、ステップS405に処理を移し、ダイヤに影響がないと判定した場合、ステップS407に処理を移す。
【0073】
例えば、運行管理システム120は、次に到着する駅に予定した時刻よりも所定の時間以上遅れると判断した場合には、ダイヤに影響があると判定する。
【0074】
また、例えば、第1の列車110を減速する制御が決定され、第1の列車110に続く第2の列車110の速度を制御しない決定がされる場合、第1の列車110と第2の列車110との距離が所定の距離未満になってしまうと判断した場合には、ダイヤに影響があると判定する。
【0075】
ステップS405(ダイヤへの影響は計画ダイヤへの復帰方向か?):運行管理システム120は、ダイヤへの影響が計画ダイヤへの復帰方向であるか否かを判定する。運行管理システム120は、復帰方向であると判定した場合、ステップS407に処理を移し、復帰方向でないと判定した場合、ステップS406に処理を移す。
【0076】
例えば、運行管理システム120は、ダイヤに影響がある場合においても、運転整理により、駅間で列車110が停止しないように最寄り駅に停止させる、故意に列車110を遅らせて運転間隔を調整するといったように、遅延等の状態から計画ダイヤ側(正常な運行状態)に復帰する場合であるならば、ダイヤに影響がないものとして判定する。
【0077】
ステップS406:運行管理システム120は、設定範囲を縮小する。このように、運行管理システム120は、対象機器の制御がダイヤに影響し、遅延等の状況を招く場合、設定範囲を縮小して、再度ステップS403ステップS405を実施することで、ダイヤに支障がない範囲で制御量を決定する。
【0078】
ステップS407:運行管理システム120は、対象機器を変更する。
【0079】
ステップS408:運行管理システム120は、対象列車を変更する。
【0080】
上述の処理では、例えば、列車110が勾配を登る際、推定消費電力量を低減しつつ、列車110の速度を維持することが求められた場合、運行管理システム120は、列車110の搭載機器111のうち、列車110の速度、トルク等に関わる駆動装置以外の空調装置、照明機器等に関する機器制御パラメータ情報を優先的に調整するように制御量を算出することができる。
【0081】
別の例としては、運行管理システム120は、気温が著しく高いまたは低い場合に、空調装置の温度設定値等に関する上限値および下限値の調整可能範囲を厳しく設定することで、空調装置以外の駆動装置等の搭載機器111について優先的に調整するように制御量を算出することができる。
【0082】
本実施の形態によれば、列車運行支援システムによって、線区内の各列車の動作状態情報および搭載機器の機器制御パラメータ情報を収集し、設定限界値および制御の優先度に応じて機器制御パラメータ情報を変更し、線区内の各列車を制御することで、線区内の列車群における総消費電力量を適切に削減することができる。
【0083】
(2)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、本発明を列車運行支援システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0084】
また、上述の実施の形態においては、総消費電力量を最小化する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、各列車の推定消費電力量が目標値を満たすようにしてもよい。この場合、運行管理システム120は、例えば、各列車の推定消費電力が目標値を満たしているか否かを判定(目標値判定)し、
図4に示すステップS402~ステップS407を行い、目標値判定に処理を戻す。つまり、運行管理システム120は、搭載機器111の制御量を順次に決定し、推定消費電力量が目標値を満たすと判断した場合、対象列車を次の列車に設定する。
【0085】
また、上述の実施の形態においては、総消費電力量を最小化する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、列車群の総消費電力量が目標値を満たすようにしてもよい。この場合、運行管理システム120は、例えば、列車群の総消費電力量が目標値を満たしているか否かを判定(目標値判定)し、線区内の先頭の列車110から順に、
図4に示すステップS401~ステップS408を行い、目標値判定に処理を戻す。つまり、運行管理システム120は、線区内の先頭の列車110から順次に搭載機器111の制御量を決定し、総消費電力量が目標値を満たすと判断した場合、制御量および推定消費電力量の算出処理を終了する。
【0086】
また、上述の実施の形態において、「通信部」は、1以上のインターフェースでよい。当該1以上のインターフェースは、1以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば1以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし2以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態において、「記憶部」は、メモリ部とPDEV部の少なくとも一部とのうちの少なくとも1つ(典型的には少なくともメモリ部)である。
【0088】
また、上述の実施の形態において、「メモリ部」は、1以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ部における少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。
【0089】
また、上述の実施の形態において、「PDEV部」は、1以上のPDEVであり、典型的には補助記憶デバイスでよい。「PDEV」は、物理的な記憶デバイス(Physical storage DEVice)を意味し、典型的には、不揮発性の記憶デバイス、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0090】
また、上述の実施の形態において、「制御部」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0091】
また、上述の実施の形態において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、制御部によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部(例えばメモリ)および/または通信部(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主語がプロセッサとされてもよい。プログラムを主語として説明された処理は、制御部あるいはその制御部を備える装置が行う処理としてもよい。また、制御部は、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0092】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0093】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を備える。
【0094】
管理対象の列車(例えば、列車110)群の運行を支援する列車運行支援システム(例えば、列車運行支援システム100)であって、上記列車群の各列車から、自列車の動作状態(例えば、ノッチ情報、応荷重、乗車率、列車110の在線位置、列車110の速度等)を示す動作状態情報と、上記自列車に搭載されている機器(例えば、搭載機器111)を制御するパラメータ(例えば、駆動装置の搭載数、駆動装置の稼働数、空調装置の搭載数、空調装置の稼働数、空調装置の温度設定値等)を示す機器制御パラメータ情報とを受信する取得部(例えば、取得部140)と、上記取得部により受信された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて処理を行う制御部(例えば、制御部150)と、を備え、上記制御部は、上記取得部により受信された各列車の動作状態情報および機器制御パラメータ情報に基づいて、上記各列車の機器ごとに、上記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が上記機器の設定の限界値の範囲内で上記機器の消費電力量が削減され(例えば、ステップS403)、かつ、上記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合(例えば、ステップS404およびステップS405)、上記機器制御パラメータ情報を上記機器が搭載されている列車に送信する(例えば、ステップS308)。
【0095】
上記構成では、列車の動作状態に応じて、機器の設定の限界値を超えないように、消費電力量が削減されるように、かつ、ダイヤに支障がないように変更後の機器制御パラメータ情報が決定される。例えば、列車に搭載される様々な機器を対象に、列車間のダイヤを加味して機器の制御を行うことで、列車群の総消費電力量を適切に削減することができるようになる。
【0096】
上記制御部は、上記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が上記機器の設定の限界値の範囲内で上記機器の消費電力量が最小となり(例えば、ステップS403)、かつ、上記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、上記機器制御パラメータ情報を上記機器が搭載されている列車に送信する。
【0097】
上記構成によれば、例えば、列車群の総消費電力量を最小化することができる。
【0098】
上記制御部は、上記機器の機器制御パラメータ情報を変更したときに、変更した機器制御パラメータ情報が上記機器の設定の限界値の範囲内で上記機器が搭載されている列車の消費電力量が目標値を満たし、かつ、上記列車群のダイヤに支障がないと判定した場合、上記機器制御パラメータ情報を上記列車に送信する。
【0099】
上記構成によれば、例えば、各列車の推定消費電力量が目標値を満たすようにすることができる。
【0100】
上記制御部は、上記動作状態情報の変化量が所定の範囲となるように上記機器制御パラメータ情報を変更する(例えば、ステップS307)。
【0101】
上記構成によれば、例えば、制御量の変化量を所定の範囲とすることで、列車の乗客に違和感を与えたり、列車の運行に影響したりする極端な変化を回避することができる。
【0102】
上記制御部により変更された機器制御パラメータ情報を受信した列車は、上記機器制御パラメータ情報を出力する(例えば、ステップS312)。
【0103】
上記構成によれば、例えば、変更された機器制御パラメータ情報が出力されるので、乗務員は、変更された機器制御パラメータ情報に従って機器が制御されることを把握することができる。
【0104】
上記制御部は、上記機器制御パラメータ情報に従って上記機器を制御した場合の変更後の消費電力量を算出し(例えば、ステップS403)、算出した変更後の消費電力量に係る情報(例えば、変更前の消費電力量および変更後の消費電力量、列車110の消費電力量の削減量、変更前の総消費電力量、および変更後の総消費電力量、列車群の総消費電力量の削減量等)を上記機器が搭載されている列車に送信し、上記制御部から変更後の消費電力量に係る情報を受信した列車は、上記情報を出力する。
【0105】
上記構成によれば、例えば、変更後の消費電力量に係る情報として、変更前の消費電力量と変更後の消費電力量との差分が出力された場合、乗務員は、変更された機器制御パラメータ情報に従って機器が制御される場合の消費電力量の削減量を把握できるようになる。
【0106】
上記制御部は、上記機器制御パラメータ情報に従って上記機器を制御した場合の変更後の動作状態情報を算出し(例えば、ステップS305)、算出した動作状態情報に係る情報(例えば、変更後の動作状態情報、変更前の動作状態情報と変更後の動作状態情報との変化量等)を上記機器が搭載されている列車に送信し、上記制御部により算出された動作状態情報に係る情報を受信した列車は、上記情報を出力する。
【0107】
上記構成によれば、例えば、乗務員は、変更された機器制御パラメータ情報に従って機器が制御される場合の動作状態情報を把握できるようになる。
【0108】
上記列車群の各々は、ユーザインターフェース部(例えば、ユーザインターフェース部113)を備え、上記制御部により変更された機器制御パラメータ情報を受信した列車は、上記列車が備えるユーザインターフェース部に上記機器制御パラメータ情報を表示し、上記機器制御パラメータ情報に基づく制御を行うか否かの選択を、上記ユーザインターフェース部を介して上記列車の乗務員より受け付ける(ステップS313)。
【0109】
上記構成によれば、例えば、乗務員は、機器制御パラメータ情報を参照し、機器制御パラメータ情報に基づく制御を行うか否かを選択することができる。
【0110】
上記列車は、上記乗務員による選択の結果を上記制御部に送信し(例えば、ステップS315)、上記制御部は、上記乗務員による選択の結果と上記機器制御パラメータ情報とを教師データとして乗務員により採用されるように機械学習を行い、機械学習した結果に基づいて機器制御パラメータ情報を変更する。
【0111】
上記構成によれば、例えば、乗務員により変更指令が選択される機会が増えることになり、消費電力量をより削減することができる。また、例えば、熟練の乗務員による選択結果を学習することにより、乗務員の経験によらずに列車の運行に適した消費電力量の削減を行うことができるようになる。
【0112】
上記列車群の各々は、車両情報制御装置(例えば、車両情報制御装置112)を備え、上記取得部は、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、上記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを取得するための取得要求を上記列車群の各々の車両情報制御装置に送信し(例えば、ステップS301)、上記列車群の各々の車両情報制御装置は、自列車の動作状態を示す動作状態情報と、上記自列車に搭載されている機器を制御するパラメータを示す機器制御パラメータ情報とを上記取得部に送信する(ステップS311)。
【0113】
上記構成によれば、既存の列車に搭載されている車両情報制御装置を活用することができる。
【0114】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0115】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【0116】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部をほかの実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0117】
100……列車運行支援システム、110……列車、120……運行管理システム。