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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018005313
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2019025295
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2017147649
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智仁
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-247061(JP,A)
【文献】特開2010-046128(JP,A)
【文献】特開2006-026256(JP,A)
【文献】特開昭60-168440(JP,A)
【文献】特開2012-061239(JP,A)
【文献】特開2013-144050(JP,A)
【文献】特開2010-068987(JP,A)
【文献】特開2001-269343(JP,A)
【文献】特開昭52-121989(JP,A)
【文献】特表2017-520334(JP,A)
【文献】特開2010-22817(JP,A)
【文献】特開2002-345823(JP,A)
【文献】特開2000-300562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得し、
前記画像パラメーターセットは、診断部位の種類に対応付けられている超音波診断装置。
【請求項2】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得し、
前記取得部は、前記操作部により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、前記選択入力前の深度を維持し、当該選択入力前の深度に対応する前記選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する超音波診断装置。
【請求項3】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、台形走査であり、深度が浅い場合に、台形走査を無効にし、又は角度を小さくし、深度が深い場合に、台形走査を有効にし、又は角度を大きくするよう設定値が設定されている超音波診断装置。
【請求項4】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、時間平均であり、深度が浅い場合に、時間平均を強くし、深度が深い場合に、時間平均を弱くするよう設定値が設定されている超音波診断装置。
【請求項5】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットTGCであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットTGCのゲインと通常のTGCのゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える超音波診断装置。
【請求項6】
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の視野深度としての深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットゲインであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットゲインと通常操作によるゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える超音波診断装置。
【請求項7】
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する請求項3から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記記憶部は、複数種類の画像パラメーターセットを記憶し、
前記操作部は、生成する超音波画像データの深度の入力と前記複数種類の画像パラメーターセットからの1つの画像パラメーターセットの選択入力とを受け付け、
前記取得部は、前記選択入力された画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する請求項1、2又は7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記操作部は、複数の画像パラメーターセットが割り当てられたキー又はタッチパネルのボタンを介して、1つの画像パラメーターセットの選択を受け付ける請求項1、2又は7に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記操作部により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、前記選択入力前の深度を維持し、当該選択入力前の深度に対応する前記選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する請求項1又は7に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記操作部は、画像パラメーターセットの深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値の入力を受け付け、
前記入力された深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値に応じた画像パラメーターセットを前記記憶部に記憶する記憶制御部を備える請求項1、2、7から10のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記入力された深度ごとの複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成して表示部に表示させる表示制御部を備える請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記複数の画像パラメーターの1つは、音線密度であり、深度が浅い場合に、音線密度を高くし、深度が深い場合に、音線密度を低くするよう設定値が設定されている請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記複数の画像パラメーターの1つは、ダイナミックレンジであり、深度が浅い場合に、ダイナミックレンジを高くし、深度が深い場合に、ダイナミックレンジを低くするよう設定値が設定されている請求項1から13のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記複数の画像パラメーターの1つは、画面レイアウト設定であり、深度が浅い場合に、画面レイアウト設定を上下にし、深度が深い場合に、画面レイアウトを左右とするよう設定値が設定されている請求項1から14のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記複数の画像パラメーターの1つは、台形走査であり、深度が浅い場合に、台形走査を無効にし、又は角度を小さくし、深度が深い場合に、台形走査を有効にし、又は角度を大きくするよう設定値が設定されている請求項1、4から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記複数の画像パラメーターの1つは、時間平均であり、深度が浅い場合に、時間平均を強くし、深度が深い場合に、時間平均を弱くするよう設定値が設定されている請求項1、5、6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットTGCであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットTGCのゲインと通常のTGCのゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える請求項1又は6に記載の超音波診断装置。
【請求項19】
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットゲインであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットゲインと通常操作によるゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項20】
前記複数の画像パラメーターは、Bモード、Mモード、カラードプラーモード、パワードプラーモード、CWモード及びエラストグラフィモードの少なくとも1つの画像モードに対応する画像パラメーターである請求項1から19のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波探触子を体表から当てるという簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子が超音波画像として得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。超音波診断を行うために用いられ、超音波画像を生成して表示する超音波診断装置が知られている。
【0003】
超音波診断装置には、超音波画像データを生成するための設定情報として多くの画像パラメーターがある。深度や部位、被検体に応じて、画像パラメーターを設定することで良好な超音波画像データを得ることができる。
【0004】
例えば、視野深度に応じて、送信する超音波の駆動周波数を変更し、分解能が優れた診断画像又は見やすい診断画像を得る超音波診断装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、多数の異なる視方向を組み合わせることにより空間的に合成される像を形成し、当該異なる視方向の数が、動作パラメーターとしての像深度の変化に応じて可変である超音波診断イメージングシステムが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3947647号公報
【文献】特許第4694692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の超音波診断装置や超音波診断イメージングシステムでは、深度を変更した場合に、変更可能なパラメーターが限定的であり、深度変更前後において、一部の画像パラメーターが変化したことや、変化しない画像パラメーターとの不整合により、輝度バランスやコントラスト、追従性が意図せず変化、場合によっては劣化してしまうという問題があった。これらを是正するためには、操作者が画像パラメーターを変更する必要があり、煩雑である。
【0008】
本発明の課題は、煩雑な操作なく、複数の画像パラメーターに応じた良好な超音波画像データを容易に得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の超音波診断装置は、
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得し、
前記画像パラメーターセットは、診断部位の種類に対応付けられている。
【0010】
請求項2に記載の発明の超音波診断装置は、
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得し、
前記取得部は、前記操作部により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、前記選択入力前の深度を維持し、当該選択入力前の深度に対応する前記選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する
【0011】
請求項3に記載の発明の超音波診断装置は、
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、台形走査であり、深度が浅い場合に、台形走査を無効にし、又は角度を小さくし、深度が深い場合に、台形走査を有効にし、又は角度を大きくするよう設定値が設定されている
【0012】
請求項4に記載の発明の超音波診断装置は、
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、時間平均であり、深度が浅い場合に、時間平均を強くし、深度が深い場合に、時間平均を弱くするよう設定値が設定されている
【0013】
請求項5に記載の発明の超音波診断装置は、
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットTGCであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットTGCのゲインと通常のTGCのゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える
【0014】
請求項6に記載の発明の超音波診断装置は、
前記取得部は、前記操作部により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、前記選択入力前の深度を維持し、当該選択入力前の深度に対応する前記選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する。
超音波を送受信する超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号を取得する受信部と、
前記受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部と、
前記生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部と、
表示する超音波画像の視野深度としての深度の入力を受け付ける操作部と、
前記入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得する取得部と、
前記取得された複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部と、を備え、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットゲインであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットゲインと通常操作によるゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項3から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記取得部は、記憶部に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1、2又は7に記載の超音波診断装置において、
前記記憶部は、複数種類の画像パラメーターセットを記憶し、
前記操作部は、生成する超音波画像データの深度の入力と前記複数種類の画像パラメーターセットからの1つの画像パラメーターセットの選択入力とを受け付け、
前記取得部は、前記選択入力された画像パラメーターセットから前記入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1、2又は7に記載の超音波診断装置において、
前記操作部は、複数の画像パラメーターセットが割り当てられたキー又はタッチパネルのボタンを介して、1つの画像パラメーターセットの選択を受け付ける
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1又は7に記載の超音波診断装置において、
前記取得部は、前記操作部により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、前記選択入力前の深度を維持し、当該選択入力前の深度に対応する前記選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1、2、7から10のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記操作部は、画像パラメーターセットの深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値の入力を受け付け、
前記入力された深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値に応じた画像パラメーターセットを前記記憶部に記憶する記憶制御部を備える
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の超音波診断装置において、
前記入力された深度ごとの複数の画像パラメーターに応じて、前記送信部、前記受信部、前記画像生成部及び前記画像処理部を制御して、前記入力された深度に対応する超音波画像データを生成して表示部に表示させる表示制御部を備える
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、音線密度であり、深度が浅い場合に、音線密度を高くし、深度が深い場合に、音線密度を低くするよう設定値が設定されている
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、ダイナミックレンジであり、深度が浅い場合に、ダイナミックレンジを高くし、深度が深い場合に、ダイナミックレンジを低くするよう設定値が設定されている
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、画面レイアウト設定であり、深度が浅い場合に、画面レイアウト設定を上下にし、深度が深い場合に、画面レイアウトを左右とするよう設定値が設定されている
請求項16に記載の発明は、請求項1、4から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、台形走査であり、深度が浅い場合に、台形走査を無効にし、又は角度を小さくし、深度が深い場合に、台形走査を有効にし、又は角度を大きくするよう設定値が設定されている。
請求項17に記載の発明は、請求項1、5、6のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、時間平均であり、深度が浅い場合に、時間平均を強くし、深度が深い場合に、時間平均を弱くするよう設定値が設定されている。
請求項18に記載の発明は、請求項1又は6に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットTGCであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットTGCのゲインと通常のTGCのゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える。
請求項19に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターの1つは、オフセットゲインであり、
前記制御部は、前記画像処理部により、前記入力された深度のオフセットゲインと通常操作によるゲインとの加算値を前記入力された深度に対応する超音波画像データに与える
請求項20に記載の発明は、請求項1から19のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記複数の画像パラメーターは、Bモード、Mモード、カラードプラーモード、パワードプラーモード、CWモード及びエラストグラフィモードの少なくとも1つの画像モードに対応する画像パラメーターである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、煩雑な操作なく、複数の画像パラメーターに応じた良好な超音波画像データを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態の超音波診断装置の外観図である。
図2】超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】画像パラメーターセット群の一例を示す図である。
図4】画像パラメーターセット作成処理を示すフローチャートである。
図5】画像パラメーターセット作成画面を示す図である。
図6】画像パラメーターコピーウィンドウを示す図である。
図7】全浅コピー及び全深コピーをした画像パラメーターセットを示す図である。
図8】一段浅いコピー及び一段深いコピーをした画像パラメーターセットを示す図である。
図9】保存ダイヤログを示す図である。
図10】画像パラメーターセット使用処理を示すフローチャートである。
図11】画像パラメーターセット変更処理を示すフローチャートである。
図12】(a)は、第1の画像パラメーターセットの深度2[cm]のBモード画像を示す図である。(b)は、第1の画像パラメーターセットの深度4[cm]のBモード画像を示す図である。(c)は、第1の画像パラメーターセットの深度7[cm]のBモード画像を示す図である。
図13】(a)は、第1の画像パラメーターセットの深度3[cm]のBモード画像を示す図である。(b)は、第1の画像パラメーターセットの観察部位を変更した深度3[cm]のBモード画像を示す図である。(c)は、第2の画像パラメーターセットの深度3[cm]のBモード画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0027】
図1図13を参照して、本実施の形態を説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置1の外観図である。図2は、超音波診断装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の超音波診断装置1は、超音波診断装置本体1aと、超音波探触子1bと、を備える。超音波探触子1bは、図示しない生体などの被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波)を受信する。超音波診断装置本体1aは、ケーブル1cを介して、超音波探触子1bと接続され、超音波探触子1bに電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子1bに被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子1bにて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子1bで生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
【0029】
超音波探触子1bは、圧電素子からなる振動子を備えており、この振動子は、例えば、方位方向に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子を備えた超音波探触子1bを用いている。なお、振動子は、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子の個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子1bについて、リニア走査方式の電子スキャンプローブを採用したが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクター走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用でき、超音波探触子1bを異なる種類のものに交換することもできる。
【0030】
図2に示すように、超音波診断装置本体1aは、例えば、操作部としての操作入力部101と、送信部102と、受信部103と、画像生成部104と、画像処理部105と、DSC(Digital Scan Converter)106と、表示部107と、制御部108と、記憶部109と、を備える。
【0031】
操作入力部101は、例えば、操作者(医師、技師など)からの診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、ダイヤル、トラックボール、マウス、キーボードなどを備えており、操作信号を制御部108に出力する。さらに、操作入力部101は、表示部107の表示画面上に設けられるタッチパネルを含む構成とする。
【0032】
送信部102は、制御部108の制御に従って、超音波探触子1bにケーブル1cを介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子1bに送信超音波を発生させる回路である。また、送信部102は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部102は、例えば、超音波探触子1bに配列された複数(例えば、192個)の振動子のうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送信部102は、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子を方位方向にずらすことで走査(スキャン)を行う。
【0033】
受信部103は、制御部108の制御に従って、超音波探触子1bからケーブル1cを介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部103は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0034】
画像生成部104は、制御部108の制御に従って、受信部103からの音線データに対して包絡線検波処理やログ圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、Bモード画像データを生成する。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。画像生成部104は、Bモードの他の画像モードの超音波画像データを生成可能な構成とする。画像生成部104は、例えば、Bモード、Aモード、Mモード、カラードプラーモード、パワードプラーモード、CW(Continuous Wave:連続波)モード、エラストグラフィモードの少なくとも1つによる超音波画像データが生成できるものとする。
【0035】
画像処理部105は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部105aを備えている。画像処理部105は、制御部108の制御に従って、画像生成部104から出力されたBモード画像データに、各種画像処理を施すことが可能であるとともに、当該画像処理を施された又は施されていないBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部105aに記憶する。特に、画像処理部105は、画像生成部104から出力されたBモード画像データに、後述する通常操作のTGC(Time Gain Compensation)、オフセットTGC、通常操作のゲイン、オフセットゲインによるゲイン値を与える画像処理を行う。TGCとは、受信超音波の増幅度(利得、ゲイン)を、ある間隔で距離に相当する時間に対して補正調節する機能である。フレーム単位での画像データを超音波画像データ又はフレーム画像データということがある。また、画像処理部105は、制御部108の制御に従って、画像メモリー部105aに記憶されたフレーム画像データをDSC106に送信する。
【0036】
DSC106は、制御部108の制御に従って、画像処理部105より受信したフレーム画像データを表示部107用の画像信号に変換し、表示部107に出力する。
【0037】
表示部107は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部107は、制御部108の制御に従って、DSC106から出力された画像信号に従って表示画面上に画像の表示を行う。
【0038】
制御部108は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプ
ログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置1の各部の動作を集中制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置1に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。特に、各種プログラムは、例えば、後述する画像パラメーターセット作成処理を実行するための画像パラメーターセット作成プログラム、画像パラメーターセット使用処理を実行するための画像パラメーターセット使用プログラム、画像パラメーターセット変更処理を実行するための画像パラメーターセット変更プログラムなどを含むものとする。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0039】
記憶部109は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記録媒体によって構成されており、患者情報に紐づいて保存される超音波画像データ、後述する画像パラメーターセット群200、各種設定情報などを記憶する。
【0040】
次に、図3を参照して、記憶部109に記憶される画像パラメーターセット群200の構成を説明する。図3は、画像パラメーターセット群200の一例を示す図である。
【0041】
画像パラメーターセット群200は、複数の深度に対応する複数の画像パラメーターの設定値を格納する表(テーブル)としての画像パラメーターセットを複数有する。図3に示すように、画像パラメーターセット群200は、観察部位、超音波診断などの用途別に設けられた画像パラメーターセット210,220…を有する。
【0042】
画像パラメーターセット210は、画像パラメーターセットの名称、タグ1、タグ2,タグ3、維持情報を有する。名称、タグ1、タグ2,タグ3は、画像パラメーターセット210の識別情報として機能する。このため、例えば、複数の画像パラメーターセットに同じ名称を付与し、各画像パラメーターセットで異なるタグを付与する構成も可能である。タグは、ここでは3つまで登録可能であるものとするが、この数に限定されるものではない。また、画像パラメーターセットが、識別番号を有する構成としてもよい。
【0043】
名称は、画像パラメーターセットの名称であり、例えば、観察部位とすることができる。タグは、例えば、画像パラメーターセットを用いる超音波診断における超音波探触子1bの種類、超音波診断の分野など、操作者が自由に設定できる。名称及びタグは、画像パラメーターセットのキーワード検索、タグ検索にも用いられる。
【0044】
維持情報は、画像パラメーターセット非選択中、又は別の画像パラメーターセットが選択中に、変更する画像パラメーターセットが選択された場合に、直前の深度を維持するか否かと、維持しない(変更する)場合の変更後の深度の情報である。維持情報は、例えば、「On(維持する場合)」、「x([cm]、x:任意の深度値(維持しない場合))」とする。
【0045】
画像パラメーターセット210は、複数の深度(例えば、1~7[cm](1[cm]間隔))に対応して、Bモードの画像パラメーターとして、(送信)周波数、台形走査、音線密度、ダイナミックレンジ、時間平均、画面レイアウト、オフセットTGC1~8、オフセットゲインなどの設定値を格納している。画像パラメーターセット210は、図示を省略するが、Mモードなど他のモードについても、複数の深度(例えば、1~7[cm])に対応して、画像パラメーターの設定値を有しているものとする。
【0046】
(送信)周波数は、送信超音波の周波数[MHz]である。台形走査は、リニアの超音波探触子1bを用いて各振動子の音線の角度を変えることで台形のBモード画像データを生成する台形走査を行うか否かを示す情報である。音線密度は、超音波探触子1bから出射する送信超音波の音線の密度を示す情報である。
【0047】
ダイナミックレンジは、100dBを超える音線データの輝度のうち生成する画像データの輝度階調に割り当てるdB量を示す情報である。時間平均は、ライブのBモード画像のうち時間的に連続する何フレームのBモード画像(各画素値)の算術平均又は重みづけ平均をとるかを示す量であり、ここでは強、中、弱で表すものとする。画面レイアウトは、2画面表示にした場合に、上下表示にするか左右表示にするかを示す情報である。
【0048】
オフセットTGC1~8は、Bモード画像を深度方向に8つの領域に分け、各領域の距離に相当する時間に対する補正値であるオフセットとして各領域に加算するゲイン値(輝度値)[dB]を示す情報である。ここでは、例えば、通常操作によるTGCと、オフセットTGCとの領域を同じとする。ただし、オフセットTGC、通常のTGCの領域の数は、8に限定されるものではない。操作者の入力により、表示Bモード画像の各領域の輝度値を増減する通常操作のTGCがなされた場合に、オフセットTGCが有効であるとすると、通常のTGC+オフセットTGCの輝度値が、Bモード画像の各対応領域の各画素値に加算される。
【0049】
オフセットゲインは、Bモード画像の全領域にオフセットとして加算するゲイン値(輝度値)[dB]を示す情報である。操作者による通常のゲインの入力により、表示Bモード画像の各領域の輝度値を増減する通常操作のゲイン調整がなされる場合に、オフセットゲインが有効であるとすると、通常のゲイン調整値+オフセットゲインの輝度値が、Bモード画像の全領域の各画素値に加算される。
【0050】
画像パラメーターセット210において、画像パラメーターの台形走査の設定値は、深度が浅い場合に、無効(Off)にされ、深度が深い場合に、有効(On)にされている。なお、画像パラメーターの台形走査の設定値は、深度が浅い場合に、音線の角度を小さくする設定値とし、深度が深い場合に、音線の角度を大きくする設定値とする構成としてもよい。
【0051】
また、画像パラメーターセット210において、画像パラメーターの音線密度の設定値は、深度が浅い場合に、高くされ、深度が深い場合に、低くされている。また、画像パラメーターセット210において、画像パラメーターの時間平均の設定値は、深度が浅い場合に、強くされ、深度が深い場合に、弱くされている。
【0052】
また、画像パラメーターセット210において、画像パラメーターのダイナミックレンジの設定値は、深度が浅い場合に、高くされ、深度が深い場合に、低くされている。また、画像パラメーターセット210において、画像パラメーターの画面レイアウトの設定値は、深度が浅い場合に、上下にされ、深度が深い場合に、左右にされている。
【0053】
画像パラメーターセット210において、深度を深くした場合に台形走査を有効にしている。台形走査を有効にすると、深部においては音線間隔が広がるため画質が低下する。これを補うために、深部においては音線密度を高くしている。しかし、音線密度を高くするとフレームレートが低下、追従性が低下するので、深部においては時間平均を弱くしている。深度を深くしたこと、時間平均を弱くしたことで、SNR(Signal-Noise Ratio:信号雑音比)が低下するのでダイナミックレンジを下げており、これに合わせてゲイン(オフセットTGC、オフセットゲイン)を変更している。このように、画像パラメーターセット210において、複数の画像パラメーターの設定情報が互いに連携することで、良好な超音波画像データが得られるように設定されている。
【0054】
画像パラメーターセット210のBモードの画像パラメーターは、これらに限定されるものではなく、送信波形、送信開口、送信フォーカス、受信周波数、画像処理、信号処理など、他の画像パラメーターでもよい。送信波形は、例えば、駆動信号波形である。送信開口は、超音波探触子1bの送信開口の振動子のチャンネル数である。送信フォーカスは、超音波探触子1bの焦点距離である。受信周波数は、受信超音波(反射超音波、エコー)の周波数[MHz]である。画像処理は、例えば、エッジ強調、平滑化の強弱の画像処理の情報である。信号処理は、例えば、ダイナミックフィルターの特性係数などの信号処理の情報である。
【0055】
画像パラメーターセット220…は、画像パラメーターセット210と同様に、Bモード、Mモードなどの複数の画像モードごとに、複数の深度に対応する複数の画像パラメーターの設定値を有する。
【0056】
特に、「音線密度」や「時間平均」などは、Bモードのみならず、カラードプラーモード、パワードプラーモード、エラストグラフィモードでも画像パラメーターとして使用される。このため、カラードプラーモード、パワードプラーモード、エラストグラフィモードでは、「音線密度」や「時間平均」などの設定情報が設定され、当該画像モードの画像パラメーターセットに格納される。「音線密度」や「時間平均」などの画像パラメーターは、カラードプラーモード、パワードプラーモード、エラストグラフィモードでもBモードと同様の作用と効果がある。
【0057】
また、Bモード以外の画像モードの画像パラメーターとして、カラードプラーモードでは「繰り返し送信数」が使用される。このため、カラードプラーモードでは「繰り返し送信数」の設定情報が設定され、カラードプラーモードの画像パラメーターセットに格納される。具体的には、深度が浅い場合には「繰り返し送信数」の設定値を増加させることで感度を向上させ、深度が深い場合には「繰り返し送信数」の設定値を減少させることで、フレームレートを確保する。
【0058】
次に、図4図13を参照して、超音波診断装置1の動作を説明する。図4は、画像パラメーターセット作成処理を示すフローチャートである。図5は、画像パラメーターセット作成画面300を示す図である。図6は、画像パラメーターコピーウィンドウ400を示す図である。図7は、全浅コピー及び全深コピーをした画像パラメーターセット210を示す図である。図8は、一段浅いコピー及び一段深いコピーをした画像パラメーターセット210を示す図である。図9は、保存ダイヤログ500を示す図である。図10は、画像パラメーターセット使用処理を示すフローチャートである。図11は、画像パラメーターセット変更処理を示すフローチャートである。図12(a)は、画像パラメーターセット210の深度2[cm]のBモード画像を示す図である。図12(b)は、画像パラメーターセット210の深度4[cm]のBモード画像を示す図である。図12(c)は、画像パラメーターセット210の深度7[cm]のBモード画像を示す図である。図13(a)は、画像パラメーターセット210の深度3[cm]のBモード画像を示す図である。図13(b)は、画像パラメーターセット210の観察部位を変更した深度3[cm]のBモード画像を示す図である。図13(c)は、画像パラメーターセット220の深度3[cm]のBモード画像を示す図である。
【0059】
先ず、図4を参照して、超音波診断装置1で実行される画像パラメーターセット作成処理を説明する。画像パラメーターセット作成処理は、ライブの超音波画像(ライブ画像)で画像パラメーターセットの表示内容を医者などの操作者が確認しながら、画像パラメーターセットを新規作成又は変更して保存する処理である。予め、超音波診断装置1が設けられた診察室に被検体としての技師などがベッドに横にされているものとする。
【0060】
そして、超音波診断装置1において、操作入力部101を介する操作者からの例えば任意の画像モード(例えばBモード)のライブの超音波画像(ライブ画像)を表示させるライブ画像表示指示入力に応じて、制御部108は、送信部102にライブ画像表示用の駆動信号を、被検体に当てられた超音波探触子1bに出力させ送信超音波を出射させ、反射超音波(エコー)に対応する受信信号を受信部103で超音波探触子1bから受信して画像生成部104で超音波画像データを生成させ、画像処理部105で画像処理を施し、DSC106を介して、表示部107に被検体のライブ画像の超音波画像を表示させているものとする。このとき、超音波診断装置1において、後述する画像パラメーターセット使用処理又は画像パラメーターセット変更処理の実行により、操作者から画像パラメーターセット群200のうちの所望の画像モードの画像パラメーターセットが選択入力され、選択された画像パラメーターセットに応じたライブ画像が表示されてもよい。
【0061】
そして、超音波診断装置1において、例えば、操作入力部101を介して操作者から所望の画像モード(例えばBモード)、画像パラメーターセット作成処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部108は、ROMに記憶された画像パラメーターセット作成プログラムに従い、画像パラメーターセット作成処理を実行する。
【0062】
図4に示すように、先ず、制御部108は、指示入力された所望の画像モードの画像パラメーターセット作成画面を表示部107に表示させる(ステップS11)。ステップS11では、例えば、図5に示すBモードの画像パラメーターセット作成画面300が表示される。画像パラメーターセット作成画面300は、ライブ画像表示領域310と、画像パラメーター入力領域320と、を有する。ライブ画像表示領域310は、ライブ画像の表示領域である。画像パラメーター入力領域320は、複数の画像パラメーターの設定値の入力領域である。画像パラメーター入力領域320は、例えば、複数の画像パラメーターのそれぞれにおいて、設定値を表示する画像パラメーター値表示領域321と、設定値の入力を受け付ける値入力ボタン322と、を有する。
【0063】
そして、制御部108は、画像パラメーターセット作成処理前の操作者入力により画像パラメーターセットが選択中であるか否かを判別する(ステップS12)。画像パラメーターセットが選択中でない場合(ステップS12;NO)、制御部108は、新規画像パラメーターセット作成として、操作入力部101を介して、新規の深度と、当該深度に応じた所望の画像モードにおける複数の画像パラメーターの設定値と、の入力を受け付け、入力情報(深度、画像モードの画像パラメーターの設定値)を、表示中のライブ画像に反映する(ステップS13)。例えば、画像パラメーターセット作成画面300において、操作入力部101のダイヤル入力により深度が変更され、値入力ボタン322がタッチ入力されるごとに、制御部108は、入力された深度及び画像パラメーターに応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104、画像処理部105などを適宜制御して、入力された深度及び画像パラメーターに応じたライブ画像をライブ画像表示領域310に表示させる。
【0064】
そして、制御部108は、操作入力部101を介する操作者からの保持入力に応じて、ステップS13で入力された深度及び複数の画像パラメーターを保持する(ステップS14)。そして、操作入力部101を介する操作者からの他の深度の画像パラメーターの入力があるかを判別する(ステップS15)。他の深度の画像パラメーターの入力がある場合(ステップS15;YES)、ステップS13に移行される。
【0065】
画像パラメーターセットが選択中である場合(ステップS12;YES)、制御部108は、画像パラメーターセット変更として、操作入力部101を介して、選択中の所望の画像モードの画像パラメーターセットを記憶部109から読み出し、選択中の画像パラメーターセットにおける変更する深度と、当該深度に応じた所望の画像モードにおける複数の画像パラメーターの設定値と、の入力を受け付け、入力情報(深度、画像モードの画像パラメーターの設定値)を、表示中のライブ画像に反映する(ステップS16)。例えば、画像パラメーターセット作成画面300において、操作入力部101のダイヤル入力により深度が変更され、選択中の画像パラメーターセットの各画像パラメーターの設定値が画像パラメーター値表示領域321に表示され、値入力ボタン322がタッチ入力されるごとに、制御部108は、ステップS13と同様に、入力された深度及び画像パラメーターに応じたライブ画像をライブ画像表示領域310に表示させる。
【0066】
そして、制御部108は、操作入力部101を介する操作者からの保持入力に応じて、ステップS13で入力された深度及び複数の画像パラメーターを保持する(ステップS17)。そして、操作入力部101を介する操作者からの選択中の画像パラメーターセットの他の深度の画像パラメーターの入力があるかを判別する(ステップS18)。他の深度の画像パラメーターの入力がある場合(ステップS18;YES)、ステップS16に移行される。
【0067】
ステップS16~S18は、深度ごとに複数の画像パラメーターの設定値を入力するものであるが、異なる深度で複数の画像パラメーターに同じ設定値を設定する場合もある。このため、ステップS16で、図6に示す画像パラメーターコピーウィンドウ400を表示部107に表示して、異なる深度に複数の画像パラメーターの同じ設定値をコピーする構成としてもよい。
【0068】
画像パラメーターコピーウィンドウ400は、全浅コピーボタン410、全深コピーボタン420、一段浅コピーボタン430、一段深コピーボタン440、保存ボタン450、終了ボタン460、設定確認ボタン470を有する。
【0069】
全浅コピーボタン410は、選択中の深度の複数の画像パラメーターの設定値を、当該選択中の深度よりも浅い全ての深度の複数の画像パラメーターの設定値へコピーする実行入力を受け付けるボタンである。例えば、図3の画像パラメーターセット210において、深度3[cm]が選択中に、全浅コピーボタン410がタッチ入力されると、図7に示すように、深度3[cm]の複数の画像パラメーターの設定値が、それよりも浅い深度1,2[cm]の複数の画像パラメーターの設定値にコピーされるよう保持される。
【0070】
全深コピーボタン420は、選択中の深度の複数の画像パラメーターの設定値を、当該選択中の深度よりも深い全ての深度の複数の画像パラメーターの設定値へコピーする実行入力を受け付けるボタンである。例えば、図3の画像パラメーターセット210において、深度4[cm]が選択中に、全浅コピーボタン410がタッチ入力されると、図7に示すように、深度4[cm]の複数の画像パラメーターの設定値が、それよりも深い深度5,6,7[cm]の複数の画像パラメーターの設定値にコピーされるよう保持される。
【0071】
一段浅コピーボタン430は、選択中の深度よりも一段浅い深度の複数の画像パラメーターの設定値を、当該選択中の深度の複数の画像パラメーターの設定値へコピーする実行入力を受け付けるボタンである。例えば、図3の画像パラメーターセット210において、深度3[cm]が選択中に、一段浅コピーボタン430がタッチ入力されると、図8に示すように、深度3[cm]よりも一段浅い深度2[cm]の複数の画像パラメーターの設定値が、深度3[cm]の複数の画像パラメーターの設定値にコピーされるよう保持される。
【0072】
一段深コピーボタン440は、選択中の深度よりも一段深い深度の複数の画像パラメーターの設定値を、当該選択中の深度の複数の画像パラメーターの設定値へコピーする実行入力を受け付けるボタンである。例えば、図3の画像パラメーターセット210において、深度4[cm]が選択中に、一段深コピーボタン440がタッチ入力されると、図8に示すように、深度4[cm]よりも一段深い深度5[cm]の複数の画像パラメーターの設定値が、深度4[cm]の複数の画像パラメーターの設定値にコピーされるよう保持される。
【0073】
保存ボタン450は、入力した画像パラメーターセットの保存の実行入力を受け付けるボタンである。終了ボタン460は、画像パラメーターセット作成処理の終了の実行入力を受け付けるボタンである。設定確認ボタン470は、ステップS17で保持された画像パラメーターを確認のため表示部107への表示の実行入力を受け付けるボタンである。
【0074】
また、ステップS16において、制御部108が、選択中の画像パラメーターセットの表(テーブル)を表示部107に表示し、表示された画像パラメーターセットの表中の画像パラメーターの設定値の変更入力を受け付ける構成としてもよい。また、ステップS13においても同様に、表示部107に表示した画像パラメーターセットの表中に、操作入力部101を介して操作者により画像パラメーターの設定値を入力する構成としてもよい。
【0075】
図4に戻り、他の深度の画像パラメーターの入力がない場合(ステップS15;NO)又は(ステップS18;NO)、制御部108は、操作入力部101を介して操作者から保存実行が入力されたか否かを判別する(ステップS19)。ステップS18の後のステップS19では、例えば、保存ボタン450がタッチ入力されたか否かにより判別される。保存実行が入力されていない場合(ステップS19;NO)、画像パラメーターセット作成処理が終了する。
【0076】
保存実行が入力された場合(ステップS19;YES)、制御部108は、操作入力部101を介して操作者から、新規作成又は変更する画像パラメーターセットの名称、タグ、維持情報の入力を受け付ける(ステップS20)。ステップS20では、例えば、図9に示す保存ダイヤログ500が表示され、保存ダイヤログ500を介して入力される。保存ダイヤログ500は、名称入力欄510、タグ入力欄530,540,550、維持情報入力欄560、OKボタン570、キャンセルボタン580を有する。
【0077】
名称入力欄510は、新規作成又は変更する画像パラメーターセットの名称の入力欄である。タグ入力欄530,540,550は、新規作成又は変更する画像パラメーターセットのタグ1、タグ2、タグ3の入力欄である。維持情報入力欄560は、新規作成又は変更する画像パラメーターセットを新たに選択する時に、直前の深度を維持するか否かと、維持しない(変更する)場合の変更後の深度との入力を受け付けるラジオボタンを含む入力欄である。ステップS16を通った場合には、名称入力欄510、タグ入力欄530,540,550、維持情報入力欄560には、ステップS16で読み出された選択中の画像パラメーターセットの名称、タグ1、タグ2、タグ3、維持情報が変更入力可能にデフォルトで表示されているものとする。
【0078】
OKボタン570は、名称入力欄510、タグ入力欄530,540,550、維持情報入力欄560の入力情報の保存、上書きの実行入力を受け付けるボタンである。キャンセルボタン580は、名称入力欄510、タグ入力欄530,540,550、維持情報入力欄560の入力(保存)のキャンセルの実行入力を受け付けるボタンである。
【0079】
そして、制御部108は、ステップS14又はS17で保持された複数の深度の複数の画像パラメーターである画像パラメーターセットを、ステップS20で入力された名称、タグ1、タグ2、タグ3、維持情報に対応付けて記憶部109に保存し(ステップS21)、画像パラメーターセット作成処理を終了する。ステップS21では、保存する画像パラメーターセットが表示部107に表示される構成としてもよい。
【0080】
また、画像パラメーターセット作成処理のステップS16~18において、選択中の画像パラメーターセットのうち、変更する画像パラメーター、維持する(変更しない)画像パラメーターを、操作者が特定(操作入力部101を介して指定入力)でき、変更する画像パラメーターの設定情報のみを入力して変更する構成としてもよい。
【0081】
次いで、図10を参照して、超音波診断装置1で実行される画像パラメーターセット使用処理を説明する。画像パラメーターセット使用処理は、画像パラメーターセット群200から画像パラメーターセットを選択してライブ画像に反映させる処理である。予め、超音波診断装置1が設けられた診察室に被検体としての患者がベッドに横にされているものとする。
【0082】
そして、画像パラメーターセット作成処理と同様に、超音波診断装置1において、操作入力部101を介する操作者からの入力に応じて、入力された所望の画像モード(例えばBモード)のライブ画像が生成されて表示部107に表示されているものとする。
【0083】
そして、超音波診断装置1において、例えば、操作入力部101を介して操作者から上記所望の画像モード、画像パラメーターセット使用処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部108は、ROMに記憶された画像パラメーターセット使用プログラムに従い、画像パラメーターセット使用処理を実行する。
【0084】
図10に示すように、先ず、制御部108は、操作入力部101を介して操作者から上記指示入力された画像モードの画像パラメーターセットの選択入力を受け付け、画像パラメーターセットが選択入力されたか否かが判別される(ステップS31)。ステップS31では、例えば、制御部108は、画像パラメーターセットの検索画面を表示部107に表示し、操作入力部101を介して操作者から画像モード、画像パラメーターセットの名称のキーワードやタグの入力を受け付け、入力された画像モード、キーワードやタグで記憶部109の画像パラメーターセット群200を検索し、検索結果としての画像パラメーターセットを表示し、操作者からの検索結果のうちの1つの画像パラメーターセットの選択入力を受け付ける。また、ステップS31において、操作入力部101は、複数の画像パラメーターセットが割り当てられた物理的なキー又はタッチパネルのボタン(表示されたボタン)を介して、1つの画像パラメーターセットの選択を受け付ける構成としてもよい。
【0085】
画像パラメーターセットが選択入力された場合(ステップS31;YES)、制御部108は、ステップS31で選択入力された画像パラメーターセットを選択(設定)する(ステップS32)。ステップS32の後、又は画像パラメーターセットが選択入力されていない場合(ステップS31;NO)、制御部108は、操作入力部101を介して操作者から深度の入力を受け付け、入力された深度に応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104、画像処理部105などを適宜制御して、上記指示入力された画像モードの入力された深度に応じたライブ画像を表示部107に表示させる(ステップS33)。
【0086】
そして、制御部108は、ステップS32で画像パラメーターセットが選択中(有効)であるか否かを判別する(ステップS34)。画像パラメーターセットが選択中でない場合(ステップS34;NO)、画像パラメーターセット使用処理が終了する。画像パラメーターセットが選択中である場合(ステップS34;YES)、制御部108は、ステップS33で入力された深度とステップS32で選択された画像パラメーターセットとに応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104、画像処理部105などを適宜制御して、上記指示入力された画像モードの入力された深度及び画像パラメーターに応じたライブ画像を表示部107に表示させ(ステップS35)、画像パラメーターセット使用処理を終了する。
【0087】
次いで、図11を参照して、超音波診断装置1で実行される画像パラメーターセット変更処理を説明する。画像パラメーターセット変更処理は、画像パラメーターセット群200から選択された画像パラメーターセットを変更してライブ画像に反映させる処理である。予め、所望の画像モードの画像パラメーターセット使用処理(又は画像パラメーターセット変更処理)が実行されているものとする。
【0088】
そして、超音波診断装置1において、例えば、操作入力部101を介して操作者から上記所望の画像モードの画像パラメーターセット変更処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部108は、ROMに記憶された画像パラメーターセット変更プログラムに従い、画像パラメーターセット変更処理を実行する。
【0089】
図11に示すように、先ず、制御部108は、図10のステップS31と同様に、操作入力部101を介して操作者から上記指示入力された画像モードの画像パラメーターセットの選択入力を受け付け、選択入力された画像パラメーターセットを選択する(ステップS41)。そして、制御部108は、ステップS41の直前に別の画像パラメーターセットが選択中であったか否かを判別する(ステップS42)。別の画像パラメーターセットが選択中であった場合(ステップS42;YES)、制御部108は、選択中であった別の画像パラメーターセットを無効化する(ステップS43)。
【0090】
別の画像パラメーターセットが選択中でない場合(ステップS42;NO)、又はステップS43の実行後、制御部108は、ステップS41で選択中の画像パラメーターセットの維持情報を参照し、深度を維持するか否かを判別する(ステップS44)。深度を維持しない場合(ステップS44;NO)、制御部108は、ステップS44で参照された維持情報の深度と選択中の画像パラメーターセットとに応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104、画像処理部105などを適宜制御して、上記指示入力された画像モードの当該深度及び画像パラメーターに応じたライブ画像を表示部107に表示させ(ステップS45)、画像パラメーターセット変更処理を終了する。
【0091】
深度を維持する場合(ステップS44;YES)、制御部108は、別の画像パラメーターセットで直前に選択されていた深度と選択中の画像パラメーターセットとに応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104、画像処理部105などを適宜制御して、上記指示入力された画像モードの当該深度及び選択中の画像パラメーターに応じたライブ画像を表示部107に表示させ(ステップS46)、画像パラメーターセット変更処理を終了する。
【0092】
ここで、Bモード画像のライブ画像が表示され、画像パラメーターセット210が選択され、画像パラメーターセット210を使用したまま深度を変更するように、画像パラメーターセット使用処理が繰り返し実行される例を説明する。1回目の画像パラメーターセット使用処理において、ステップS32で画像パラメーターセット210が選択され、ステップS33で深度2[cm]が入力されると、例えば、ステップS35で、図12(a)に示す深度2[cm]の矩形のBモード画像が表示される。
【0093】
そして、2回目の画像パラメーターセット使用処理において、ステップS32で選択入力されず(同じ画像パラメーターセット210を使用)、ステップS33で深度4[cm]が入力されると、例えば、ステップS35で、図12(b)に示す深度4[cm]の矩形のBモード画像が表示される。
【0094】
そして、3回目の画像パラメーターセット使用処理において、ステップS32で選択入力されず(同じ画像パラメーターセット210を使用)、ステップS33で深度7[cm]が入力されると、例えば、ステップS35で、図12(c)に示す深度7[cm]の台形のBモード画像が表示される。
【0095】
また、Bモード画像のライブ画像が表示され、画像パラメーターセット210が画像パラメーターセット220に変更され、深度を維持するように、画像パラメーターセット使用処理及び画像パラメーターセット変更処理が実行される例を説明する。画像パラメーターセット使用処理において、ステップS32で画像パラメーターセット210が選択され、ステップS33で深度3[cm]が入力されると、例えば、ステップS35で、図13(a)に示す深度3[cm]の矩形のBモード画像が表示される。
【0096】
そして、例えば観察部位の変更のため、超音波探触子1bが移動された場合に、図13(b)に示す深度3[cm]の矩形のBモード画像が表示される。しかし、図13(b)のBモード画像は、高減衰のため、観察ができないものとする。このため、画像パラメーターセット変更処理が実行され、ステップS41で画像パラメーターセット220が入力され、ステップS44で深度3[cm]が維持されると、例えば、ステップS46で、図13(c)に示す深度3[cm]の矩形のBモード画像が表示され、観察部位に応じた減衰のBモード画像となる。ただし、画像パラメーターセット220は、変更後の観察部位に対応し、維持情報がOnであるものとする。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、超音波診断装置1は、超音波を送受信する超音波探触子1bに駆動信号を出力する送信部102と、超音波探触子1bから受信信号を取得する受信部103と、受信信号から超音波画像データを生成する画像生成部104と、生成された超音波画像データを画像処理する画像処理部105と、表示する超音波画像の深度の入力を受け付ける操作入力部101と、入力された深度に対応する予め設定された複数の画像パラメーターを取得し、取得された複数の画像パラメーターに応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104及び画像処理部105の制御を行い、入力された深度に対応する超音波画像データを生成させる制御部108と、を備える。
【0098】
このため、深度の変更に応じて、複数の画像パラメーターを変更でき、煩雑な操作なく、複数の画像パラメーターに応じた良好な超音波画像データを容易に得ることができる。
【0099】
また、複数の画像パラメーターは、Bモード、Mモード、カラードプラーモード、パワードプラーモード、CWモード及びエラストグラフィモードの少なくとも1つの画像モードに対応する画像パラメーターである。このため、多様な画像モードについて、深度の変更に応じて、複数の画像パラメーターを変更できる。
【0100】
また、制御部108は、記憶部109に記憶された予め設定された複数の深度に対応する複数の画像パラメーターを有する表である画像パラメーターセット210,220…から、入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する。このため、画像パラメーターセットにより、画像パラメーターの制御を容易にでき、深度ごとの各画像パラメーターの設定値確認において一覧性を高くできる。
【0101】
また、記憶部109は、複数種類の画像パラメーターセット210,220…(画像パラメーターセット群200)を記憶する。操作入力部101は、生成する超音波画像データの深度の入力と複数種類の画像パラメーターセットからの1つの画像パラメーターセットの選択入力とを受け付ける。制御部108は、選択入力された画像パラメーターセットから入力された深度に対応する複数の画像パラメーターを取得する。このため、超音波探触子1bの種類、部位、被検体などの条件に応じた最適な画像パラメーターを超音波画像データに適用することができる。
【0102】
また、操作入力部101は、複数の画像パラメーターセットが割り当てられた物理的なキー又はタッチパネルのボタン(表示されたボタン)を介して、1つの画像パラメーターセットの選択を受け付ける。このため、画像パラメーターセットの選択、切替を簡便に行うことができる。
【0103】
また、制御部108は、操作入力部101により画像パラメーターセットを変更する選択入力がされた場合に、維持情報に応じて選択入力前の深度を維持し、選択入力前の深度に対応する選択入力された画像パラメーターセットの複数の画像パラメーターを取得する。このため、画像パラメーターのみの変更となり、深度が意図しない値となることによる再設定を不要にできる。
【0104】
また、操作入力部101は、画像パラメーターセットの深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値の入力を受け付ける。制御部108は、入力された深度ごとの複数の画像パラメーターの設定値に応じた画像パラメーターセットを記憶部109に記憶する。このため、操作者が画像パラメーターセットを自在にカスタマイズでき、操作者が好みに応じた超音波画像データを得ることができる。
【0105】
また、制御部108は、入力された深度の複数の画像パラメーターの設定値に応じて、送信部102、受信部103、画像生成部104及び画像処理部105を制御して、入力された深度に対応する超音波画像データを生成して表示部107に表示させる。このため、所望の超音波画像が得られているかを目視で確認しながら、画像パラメーターセットを自在にカスタマイズできる。
【0106】
また、複数の画像パラメーターの1つは、台形走査であり、深度が浅い場合に、台形走査を無効にし、又は角度を小さくし、深度が深い場合に、台形走査を有効にし、又は角度を大きくするよう設定値が画像パラメーターセットに設定されている。深度が浅い場合に台形走査としても表示領域外となってしまい、視野拡大の効果が得られないため、台形走査を無効又は角度を小さくして、走査線間密度を高くし画質を高めることができる。一方、深度が深い場合には、台形走査を有効又は角度を大きくして、台形走査による拡大視野領域を表示領域に収め、視野拡大効果を高めることができる。
【0107】
また、複数の画像パラメーターの1つは、音線密度であり、深度が浅い場合に、音線密度を高くし、深度が深い場合に、音線密度を低くするよう設定値が画像パラメーターセットに設定されている。音線密度を高くすると画質が良いが、フレームレートが低下する。音線密度を低くすると画質が低下するが、フレームレートは向上する。深度が浅いとフレームレートが向上し、深いとフレームレートが低下する。このため、これらのトレードオフ関係の良好な解決点を得られる。
【0108】
また、複数の画像パラメーターの1つは、時間平均であり、深度が浅い場合に、時間平均を強くし、深度が深い場合に、時間平均を弱くするよう設定値が画像パラメーターセットに設定されている。深度が浅いとフレームレートが向上し、追従性が向上する。深度が深いとフレームレートが低下し、追従性が低下する。時間平均を強くすると追従性が低下し、弱くすると追従性が向上する。このため、これらのトレードオフ関係の良好な解決点を得られる。
【0109】
また、複数の画像パラメーターの1つは、ダイナミックレンジであり、深度が浅い場合にダイナミックレンジを高くし、深度が深い場合にダイナミックレンジを低くするよう設定値が画像パラメーターセットに設定されている。超音波画像の浅部は、SNRが高く、超音波画像の深部はSNRが低い。このため、SNRが高い場合には、強い信号から弱い信号まで表示させるためにダイナミックレンジを高くでき、SNRが低い場合には、弱い信号を高輝度で表示させるためにダイナミックレンジを低くできる。
【0110】
また、複数の画像パラメーターの1つは、2画面表示における画面レイアウト設定であり、深度が浅い場合に画面レイアウト設定を上下にし、深度が深い場合に画面レイアウトを左右とするよう設定値が画像パラメーターセットに設定されている。深度が浅い場合には、超音波画像は横長であり、深度が深い場合には超音波画像は縦長である。このため、深度が浅い場合に、横長の超音波画像向きの上下の画面レイアウトにでき、深度が深い場合に、縦長の超音波画像向きの左右の画面レイアウトにできる。
【0111】
また、複数の画像パラメーターの1つは、オフセットTGCである。制御部108は、画像処理部105により、入力された深度のオフセットTGCのゲインと通常のTGCのゲインとの加算値を、入力された深度に対応する超音波画像データに与える。このため、通常操作のTGCは従来の使い方を維持しつつ、オフセットTGCにより深度方向に変化する画像輝度不均一性を補正できる。
【0112】
また、複数の画像パラメーターの1つは、オフセットゲインであり、制御部108は、画像処理部105により、入力された深度のオフセットゲインと通常操作によるゲインとの加算値を、入力された深度に対応する超音波画像データに与える。このため、通常操作時のゲインは従来の使い方を維持しつつ、深度変化及び画像パラメーターセットによる輝度変化を抑制できる。
【0113】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な超音波診断装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0114】
例えば、上記実施の形態では、画像パラメーターセット群200を超音波診断装置1の記憶部109に記憶する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1が、USB(Universal Serial Bus)メモリー、SD(Secure Digital)カードなどの外部メディアの読み書き部を備え、画像パラメーターセット群200を外部メディアに記憶可能な構成としてもよい。画像パラメーターセット群200が記憶された外部メディアは、他の超音波診断装置に接続され、画像パラメーターセット群200が当該他の超音波診断装置の記憶部にコピーされて使用される。
【0115】
また、画像パラメーターセット群200のうちの使用する画像パラメーターセットの非選択時には、複数の画像パラメーターは、プリセット設定値を超音波画像に反映する構成としてもよい。プリセットとは、Bモードなどの画像モード、共用画像モードごとの複数の画像パラメーター(この場合は深度を含む)設定値、ボディマーク情報、テキスト情報を有する情報群である。
【0116】
また、所定のプリセット選択時に同時に、所定の画像パラメーターセットを有効とするか否かを設定可能とする構成としてもよい。
【0117】
また、画像パラメーターセットの表を表示する構成において、ある深度の隣深度(例えば1段階浅い又は深い深度)の画像パラメーターの設定値と、当該ある深度の画像パラメーターの設定値とに所定閾値以上の差がある場合に、色付けなどで差異強調する構成としてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では、画像パラメーターセットを表(テーブル)形式としたが、これに限定されるものではない。画像パラメーターセットは、深度毎に画像パラメーターの設定値を変更できればよく、深度を入力とする画像パラメーターの関数であってもよい。さらに、同一の画像パラメーターに対する関数が複数あってもよい。
【0119】
また、画像パラメーターセットは、複数の画像モードの複数の画像パラメーターの設定値を含むものであるが、ある画像パラメーターセットから別の画像パラメーターセットを一部コピーして作成する場合に、当該ある画像パラメーターセットの一部の画像モードの複数の画像パラメーターの設定値を当該別の画像パラメーターセットにコピーする構成としてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、深度に応じた深度以外の画像パラメーターセットの作成、使用、変更について述べてきたが、画像パラメーターセット変更の契機となるパラメーターを深度以外として上記実施の形態の内容を利用することも可能である。
【0121】
また、以上の実施の形態における超音波診断装置1を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 超音波診断装置
1a 超音波診断装置本体
101 操作入力部
102 送信部
103 受信部
104 画像生成部
105 画像処理部
105a 画像メモリー部
106 DSC
107 表示部
108 制御部
109 記憶部
1b 超音波探触子
1c ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13