(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】電界効果型トランジスタ、表示素子、画像表示装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20220921BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20220921BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20220921BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220921BHJP
G09F 9/37 20060101ALI20220921BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220921BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220921BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L29/78 616V
H01L29/78 618B
H01L29/78 618G
H01L21/28 301R
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 380
G09F9/37
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/14 Z
(21)【出願番号】P 2018048867
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松本 真二
(72)【発明者】
【氏名】植田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 友一
(72)【発明者】
【氏名】中村 有希
(72)【発明者】
【氏名】安部 由希子
(72)【発明者】
【氏名】曽根 雄司
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 遼一
(72)【発明者】
【氏名】新江 定憲
(72)【発明者】
【氏名】草柳 嶺秀
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-186319(JP,A)
【文献】特開2008-281988(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135029(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/035842(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0097543(US,A1)
【文献】特開2017-195355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/28
H01L 29/417
G09F 9/30
G09F 9/37
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース電極及びドレイン電極と、
酸化物半導体からなる活性層と、
を備える電界効果型トランジスタであって、
前記ソース電極及びドレイン電極が、前記酸化物半導体と接する金合金を含有し、
前記金合金が、第1の元素である金と、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、及びインジウムの少なくともいずれかである第2の元素とを含有
し、
前記金合金における前記第2の元素の含有量が、3重量%以上20重量%以下である、ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項2】
ソース電極及びドレイン電極と、
酸化物半導体からなる活性層と、
を備える電界効果型トランジスタであって、
前記ソース電極及びドレイン電極が、前記酸化物半導体と接する金合金を含有し、
前記金合金が、金及びゲルマニウムを含有する、ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物半導体が、インジウム、亜鉛、スズ、ガリウム、及びチタンの少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項4】
前記酸化物半導体が、アルカリ土類元素を含有する請求項1から3のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項5】
前記酸化物半導体が、希土類元素を含有する請求項1から4のいずれかに記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項6】
駆動信号に応じて光出力が制御される光制御素子と、
請求項1から5のいずれかに記載の電界効果型トランジスタを含み、前記光制御素子を駆動する駆動回路と、
を備えることを特徴とする表示素子。
【請求項7】
前記光制御素子が、エレクトロルミネッセンス素子及びエレクトロクロミック素子のいずれかを含む請求項6に記載の表示素子。
【請求項8】
前記光制御素子が、液晶素子及び電気泳動素子のいずれかを含む請求項6に記載の表示素子。
【請求項9】
画像データに応じた画像を表示する画像表示装置であって、
マトリックス状に配置された複数の請求項6から8のいずれかに記載の表示素子と、
前記複数の表示素子における各電界効果型トランジスタにゲート電圧を個別に印加するための複数の配線と、
前記画像データに応じて、前記各電界効果型トランジスタのゲート電圧を前記複数の配線を介して個別に制御する表示制御装置と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像表示装置と、
表示する画像情報に基づいて画像データを作成し、該画像データを前記画像表示装置に出力する画像データ作成装置と、
を備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果型トランジスタ、表示素子、画像表示装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ(OLED)、電子ペーパー等の平面薄型ディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)は、非晶質シリコンや多結晶シリコンを活性層に用いた薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を含む駆動回路により駆動されている。そして、FPDの開発においては、前記TFTのチャネル形成領域にキャリア移動度が高く素子間のばらつきの小さい酸化物半導体膜を用いて前記TFTを作製し、電子デバイス、光デバイスなどに応用する技術が注目されている。例えば、酸化物半導体膜として酸化亜鉛(ZnO)、In2O3、In-Ga-Zn-Oなどを用いた前記FETが提案されている。
【0003】
酸化物半導体を用いた電界効果型トランジスタとして、具体的には、酸化亜鉛、酸化インジウム及び酸化ガリウムを含む結晶性を有する酸化物半導体を用いた電界効果型トランジスタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、アルミニウム(Al),ホウ素(B),ガリウム(Ga),インジウム(In),チタン(Ti),シリコン(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ(Sn)および鉛(Pb)からなる群のうちの少なくとも一種をドーパントとして含む低抵抗領域を有する酸化物半導体膜を用いた電界効果型トランジスタが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡便に製造でき、ソース電極及びドレイン電極と酸化物半導体との接触が良好で、特性ばらつきの少ない電界効果型トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の電界効果型トランジスタは、
ソース電極及びドレイン電極と、
酸化物半導体からなる活性層と、
を備える電界効果型トランジスタであって、
前記ソース電極及びドレイン電極が、前記酸化物半導体と接する金合金を含有し、
前記金合金が、第1の元素である金と、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、及びインジウムの少なくともいずれかである第2の元素とを含有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、簡便に製造でき、ソース電極及びドレイン電極と酸化物半導体との接触が良好で、特性ばらつきの少ない電界効果型トランジスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、ボトムゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、トップゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、トップゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタの一例を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明のシステムとしてのテレビジョン装置の一例を示す概略構成図である。
【
図6】
図6は、
図5における画像表示装置を説明するための図(その1)である。
【
図7】
図7は、
図5における画像表示装置を説明するための図(その2)である。
【
図8】
図8は、
図5における画像表示装置を説明するための図(その3)である。
【
図9】
図9は、本発明の表示素子の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、表示素子における有機EL素子と電界効果型トランジスタの位置関係の一例を示す概略構成図である。
【
図11】
図11は、表示素子における有機EL素子と電界効果型トランジスタの位置関係の他の一例を示す概略構成図である。
【
図12】
図12は、有機EL素子の一例を示す概略構成図である。
【
図14】
図14は、液晶ディスプレイを説明するための図である。
【
図16】
図16は、実施例1の電界効果トランジスタの電流-電圧特性曲線である。
【
図17】
図17は、比較例1の電界効果トランジスタの電流-電圧特性曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(電界効果型トランジスタ)
本発明の電界効果型トランジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、活性層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、ゲート電極、ゲート絶縁層などのその他の部材を有する。
【0009】
本発明者らは、酸化物半導体を活性層に用いた電界効果型トランジスタにおいて、金をソース電極、及びドレイン電極に用いた場合に、高い電界効果移動度を有するトランジスタを実現できるものの、スイッチング不良が起こる場合があることを見出した。
そこで、鋭意検討を行った結果、ソース電極及びドレイン電極が、少なくとも酸化物半導体と接する部位に特定の金合金を含有することで、ソース電極及びドレイン電極と酸化物半導体との接触が良好になることを見出した。ここで、前記特定の金合金は、第1の元素である金と、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、及びインジウムの少なくともいずれかである第2の元素とを含有する。
また、前記特定の金合金の場合、酸化物半導体との接触抵抗が、金の場合よりも低くなると考えられ、その結果、ソース電極及びドレイン電極と酸化物半導体との接触抵抗の不良に起因する特性ばらつきが抑えられる。
さらに、前記特定の金合金を用いることで、ソース電極及びドレイン電極と活性層との間に、ソース電極及びドレイン電極と活性層との接触抵抗を良好にするための低抵抗の層を設ける必要がない。その点において、本発明の電界効果型トランジスタは、低抵抗の層を省略でき、簡便な製造プロセスにより製造できる。
以上により、本発明の完成に至った。
【0010】
<ソース電極、及びドレイン電極>
前記ソース電極及びドレイン電極は、前記酸化物半導体と接する金合金を含有する。
前記ソース電極及びドレイン電極は、前記金合金自体であってもよいし、前記金合金と他の組成(例えば、金)との複合体であってもよい。
前記複合体としては、例えば、前記金合金の層と、前記金との層との積層構造などが挙げられる。
【0011】
前記金合金は、第1の元素と、第2の元素とを少なくとも含有する。
【0012】
前記第1の元素は、金である。金は熱的に安定で酸化しにくく、電気抵抗率も低い。金を前記金合金の主成分とすることで、ソース電極及びドレイン電極が製造プロセス上安定で、デバイス特性の安定化に寄与する。また、電気抵抗率が低い金を用いることで、配線遅延の影響を低減することが可能となる。
前記金合金は、前記金を主成分とする。そのため、前記金合金における前記金の含有量は、例えば、50重量%以上であり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上が特に好ましい。前記金合金における前記金の含有量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記金合金における前記金の含有量は、例えば、100重量%未満である。ただし、前記金の含有量と、前記第2の元素の含有量との合計は、当然に、100重量%を超えない。
【0013】
前記第2の元素は、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、及びインジウムの少なくともいずれかである。前記金合金が前記第2の元素を含有することで、ソース電極及びドレイン電極における前記金合金と接する層との密着性の向上が図られ、電極の膜剥がれ防止に寄与する。また、前記第2の元素を含有することにより、後述する酸化物半導体との電気的接触が良好となり、デバイス特性の高性能化や均質化に寄与する。
前記金合金における前記第2の元素の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3重量%以上30重量%以下が好ましく、3重量%以上20重量%以下がより好ましい。前記含有量が、好ましい範囲であれば、ソース電極及びドレイン電極と酸化物半導体との接触がより良好となる。
なお、前記第2の元素がゲルマニウムの場合、前記金合金における前記第2の元素の含有量としては、3重量%以上15重量%以下が好ましい。
前記第2の元素がスズの場合、前記金合金における前記第2の元素の含有量としては、15重量%以上30重量%以下が好ましい。
【0014】
また、前記金合金における金、及び前記第2の元素の含有量は、前記金合金の溶融温度に基づいて適宜選択してもよい。この場合、前記電界効果型トランジスタ作製の際に前記ソース電極及び前記ドレイン電極に付与される加熱温度よりも前記金合金の溶融温度が高いことが好ましい。酸化物半導体を活性層に用いた電界効果型トランジスタでは、トランジスタ製造後、250℃から300℃程度の温度でアニール処理を施すことにより、デバイス特性の安定化が図られる場合がある。その点において、前記金合金の溶融温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、350℃以上が特に好ましい。
前記溶融温度は、例えば、DSC(示差走査熱量)測定や、顕微鏡用DSCホットステージを用いた顕微鏡による構造観察などにより測定できる。
【0015】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm~500nmが好ましく、50nm~300nmがより好ましい。
【0016】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、コーティング法(例えば、スピンコーティング、スリットコーティング等)等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0017】
<ゲート電極>
前記ゲート電極としては、例えば、ゲート電圧を印加するための電極であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ゲート電極の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、パラジウム、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、タンタル、モリブデン、チタン等の金属、これらの合金、これら金属の混合物などが挙げられる。また、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化ニオブ、スズ(Sn)が添加されたIn2O3(ITO)、ガリウム(Ga)が添加されたZnO、アルミニウム(Al)が添加されたZnO、アンチモン(Sb)が添加されたSnO2等の導電性酸化物、これらの複合化合物、これらの混合物、などが挙げられる。
【0018】
前記ゲート電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm~500nmが好ましく、50nm~300nmがより好ましい。
【0019】
前記ゲート電極の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、コーティング法(例えば、スピンコーティング、スリットコーティング等)等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0020】
<ゲート絶縁層>
前記ゲート絶縁層としては、例えば、前記ゲート電極と前記活性層との間に形成された絶縁層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ゲート絶縁層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機絶縁材料、有機絶縁材料などが挙げられる。
前記無機絶縁材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、これらの混合物などが挙げられる。
前記有機絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂などが挙げられる。
【0021】
前記ゲート絶縁層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm~1,000nmが好ましく、100nm~500nmがより好ましい。
【0022】
前記ゲート絶縁層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、コーティング法(例えば、スピンコーティング、スリットコーティング等)等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0023】
<活性層>
前記活性層は、酸化物半導体からなる。
前記活性層は、例えば、前記ソース電極及びドレイン電極に隣接して設けられる。
前記酸化物半導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、n型酸化物半導体が好ましい。
【0024】
前記酸化物半導体は、インジウム、亜鉛、スズ、ガリウム、及びチタンの少なくともいずれかを含有することが好ましい。
前記酸化物半導体は、アルカリ土類元素を含有することが好ましい。
前記酸化物半導体は、希土類元素を含有することが好ましい。
【0025】
前記n型酸化物半導体としては、目的に応じて適宜選択することができるが、インジウム、亜鉛、スズ、ガリウム、及びチタンの少なくともいずれかを含有することが好ましい。前記n型酸化物半導体としては、例えば、ZnO、SnO2、In2O3、TiO2、Ga2O3などが挙げられる。また、In-Zn系酸化物、In-Sn系酸化物、In-Ga系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga系酸化物、Zn-Ga系酸化物、In-Zn-Sn系酸化物、In-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Ga系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物等、複数の金属を含む酸化物を用いることもできる。
前記n型酸化物半導体は、高い電界効果移動度が得られる点、及び電子キャリア濃度を適切に制御しやすい点から、インジウム、亜鉛、錫、ガリウム、及びチタンの少なくともいずれかと、アルカリ土類元素とを含有することが好ましく、インジウムとアルカリ土類金属とを含有することがより好ましい。
前記アルカリ土類元素としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムなどが挙げられる。
酸化インジウムは、酸素欠損量によって電子キャリア濃度が1018cm-3~1020cm-3程度に変化する。ただし、酸化インジウムは酸素欠損ができやすい性質があり、酸化物半導体膜形成後の後工程で、意図しない酸素欠損ができる場合がある。インジウムと、インジウムよりも酸素と結合しやすいアルカリ土類元素との主に二つの金属から酸化物を形成することは、意図しない酸素欠損を防ぐとともに、組成の制御が容易となり電子キャリア濃度を適切に制御しやすい点で特に好ましい。
【0026】
前記活性層は、活性層を構成する元素、製造プロセス条件、製膜後の後処理等により、電子キャリア濃度を適切な範囲に制御することができる。
前記活性層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm~200nmが好ましく、2nm~100nmがより好ましい。
【0027】
前記活性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、コーティング法(例えば、スピンコーティング、スリットコーティング等)等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする工程、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する工程などが挙げられる。
【0028】
<基材>
前記基材の形状、構造、及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基材などが挙げられる。
前記ガラス基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無アルカリガラス、シリカガラスなどが挙げられる。
なお、前記基材としては、表面の清浄化及び密着性向上の点で、酸素プラズマ、UVオゾン、UV照射洗浄などの前処理が行われることが好ましい。
【0029】
前記電界効果型トランジスタの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトムゲート/ボトムコンタクト型(
図1)、ボトムゲート/トップコンタクト型(
図2)、トップゲート/ボトムコンタクト型(
図3)、トップゲート/トップコンタクト型(
図4)などが挙げられる。なお、
図1~
図4中、1は基材、2はゲート電極、3はゲート絶縁層、4はソース電極、5はドレイン電極、6は活性層をそれぞれ表す。
【0030】
(表示素子)
本発明の表示素子は、少なくとも、光制御素子と、前記光制御素子を駆動する駆動回路とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0031】
<光制御素子>
前記光制御素子としては、駆動信号に応じて光出力を制御する素子である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、エレクトロクロミック(EC)素子、液晶素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子などが挙げられる。
【0032】
<駆動回路>
前記駆動回路としては、本発明の前記電界効果型トランジスタを有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
前記表示素子は、本発明の前記電界効果型トランジスタを有しているため、高速駆動が可能、長寿命、かつ素子間のばらつきを小さくすることが可能となる。また、前記表示素子に経時変化が起きても駆動トランジスタを一定のゲート電圧で動作させることができる。
【0035】
(画像表示装置)
本発明の画像表示装置は、少なくとも、複数の表示素子と、複数の配線と、表示制御装置とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0036】
<複数の表示素子>
前記複数の表示素子としては、マトリックス状に配置された複数の本発明の前記表示素子である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
<複数の配線>
前記複数の配線は、前記複数の表示素子における各電界効果型トランジスタにゲート電圧と画像データ信号とを個別に印加可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0038】
<表示制御装置>
前記表示制御装置としては、画像データに応じて、各電界効果型トランジスタのゲート電圧と信号電圧とを前記複数の配線を介して個別に制御可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0040】
前記画像表示装置は、本発明の前記表示素子を有しているため、素子間のばらつきも小さくすることが可能になり、大画面で高品質の画像を表示することが可能となる。
【0041】
(システム)
本発明のシステムは、少なくとも、本発明の前記画像表示装置と、画像データ作成装置とを有する。
前記画像データ作成装置は、表示する画像情報に基づいて画像データを作成し、該画像データを前記画像表示装置に出力する。
【0042】
前記システムは、本発明の前記画像表示装置を備えているため、画像情報を高精細に表示することが可能となる。
【0043】
以下、本発明の表示素子、画像表示装置、及びシステムを、図を用いて説明する。
まず、本発明のシステムとしてのテレビジョン装置を、
図5を用いて説明する。
【0044】
図5において、テレビジョン装置100は、主制御装置101、チューナ103、ADコンバータ(ADC)104、復調回路105、TS(Transport Stream)デコーダ106、音声デコーダ111、DAコンバータ(DAC)112、音声出力回路113、スピーカ114、映像デコーダ121、映像・OSD合成回路122、映像出力回路123、画像表示装置124、OSD描画回路125、メモリ131、操作装置132、ドライブインターフェース(ドライブIF)141、ハードディスク装置142、光ディスク装置143、IR受光器151、及び通信制御装置152を備える。
映像デコーダ121と、映像・OSD合成回路122と、映像出力回路123と、OSD描画回路125とが、画像データ作成装置を構成する。
【0045】
主制御装置101は、CPU、フラッシュROM、及びRAMなどから構成され、テレビジョン装置100の全体を制御する。
前記フラッシュROMには、前記CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム、及び前記CPUでの処理に用いられる各種データなどが格納されている。
また、RAMは、作業用のメモリである。
【0046】
チューナ103は、アンテナ210で受信された放送波の中から、予め設定されているチャンネルの放送を選局する。
【0047】
ADC104は、チューナ103の出力信号(アナログ情報)をデジタル情報に変換する。
【0048】
復調回路105は、ADC104からのデジタル情報を復調する。
【0049】
TSデコーダ106は、復調回路105の出力信号をTSデコードし、音声情報及び映像情報を分離する。
【0050】
音声デコーダ111は、TSデコーダ106からの音声情報をデコードする。
【0051】
DAコンバータ(DAC)112は、音声デコーダ111の出力信号をアナログ信号に変換する。
【0052】
音声出力回路113は、DAコンバータ(DAC)112の出力信号をスピーカ114に出力する。
【0053】
映像デコーダ121は、TSデコーダ106からの映像情報をデコードする。
【0054】
映像・OSD合成回路122は、映像デコーダ121の出力信号とOSD描画回路125の出力信号を合成する。
【0055】
映像出力回路123は、映像・OSD合成回路122の出力信号を画像表示装置124に出力する。
【0056】
OSD描画回路125は、画像表示装置124の画面に文字や図形を表示するためのキャラクタ・ジェネレータを備えており、操作装置132、IR受光器151からの指示に応じて表示情報が含まれる信号を生成する。
【0057】
メモリ131には、AV(Audio-Visual)データ等が一時的に蓄積される。
【0058】
操作装置132は、例えば、コントロールパネルなどの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置101に通知する。
【0059】
ドライブIF141は、双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)に準拠している。
【0060】
ハードディスク装置142は、ハードディスクと、該ハードディスクを駆動するための駆動装置などから構成されている。駆動装置は、ハードディスクにデータを記録するとともに、ハードディスクに記録されているデータを再生する。
【0061】
光ディスク装置143は、光ディスク(例えば、DVDなど)にデータを記録するとともに、光ディスクに記録されているデータを再生する。
【0062】
IR受光器151は、リモコン送信機220からの光信号を受信し、主制御装置101に通知する。
【0063】
通信制御装置152は、インターネットとの通信を制御する。インターネットを介して各種情報を取得することができる。
【0064】
図6は、本発明の画像表示装置の一例を示す概略構成図である。
図6において、画像表示装置124は、表示器300と、表示制御装置400とを有する。
表示器300は、
図7に示されるように、複数(ここでは、n×m個)の表示素子302がマトリックス状に配置されたディスプレイ310を有する。
また、ディスプレイ310は、
図8に示されるように、X軸方向に沿って等間隔に配置されているn本の走査線(X0、X1、X2、X3、・・・、Xn-2、Xn-1)と、Y軸方向に沿って等間隔に配置されているm本のデータ線(Y0、Y1、Y2、Y3、・・・、Ym-1)、Y軸方向に沿って等間隔に配置されているm本の電流供給線(Y0i、Y1i、Y2i、Y3i、・・・・・、Ym-1i)とを有する。
よって、走査線とデータ線とによって、表示素子を特定することができる。
【0065】
以下、本発明の表示素子を
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の表示素子の一例を示す概略構成図である。
前記表示素子は、一例として
図9に示されるように、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子350と、該有機EL素子350を発光させるためのドライブ回路320とを有している。即ち、ディスプレイ310は、いわゆるアクティブマトリックス方式の有機ELディスプレイである。また、ディスプレイ310は、カラー対応の32インチ型のディスプレイである。なお、大きさは、これに限定されるものではない。
【0066】
図10には、表示素子302における有機EL素子350とドライブ回路としての電界効果型トランジスタ20との位置関係の一例が示されている。ここでは、電界効果型トランジスタ20の横に有機EL素子350が配置されている。なお、電界効果型トランジスタ10及びキャパシタ(図示せず)も同一基材上に形成されている。
【0067】
図10には図示されていないが、活性層22の上部に保護膜を設けることも好適である。前記保護膜の材料としては、SiO
2、SiN
x、Al
2O
3、フッ素系ポリマー等、適宜利用できる。
【0068】
また、例えば、
図11に示されるように、電界効果型トランジスタ20の上に有機EL素子350が配置されてもよい。この場合には、ゲート電極26に透明性が要求されるので、ゲート電極26には、ITO、In
2O
3、SnO
2、ZnO、Gaが添加されたZnO、Alが添加されたZnO、Sbが添加されたSnO
2などの導電性を有する透明な酸化物が用いられる。なお、符号360は層間絶縁膜(平坦化膜)である。この層間絶縁膜にはポリイミドやアクリル系の樹脂等を利用できる。
【0069】
図12は、有機EL素子の一例を示す概略構成図である。
図12において、有機EL素子350は、陰極312と、陽極314と、有機EL薄膜層340とを有する。
【0070】
陰極312の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)合金、アルミニウム(Al)-リチウム(Li)合金、ITO(Indium Tin Oxide)などが挙げられる。なお、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)合金は、充分厚ければ高反射率電極となり、極薄膜(20nm程度未満)では半透明電極となる。
図12では陽極側から光を取り出しているが、陰極を透明、又は半透明電極とすることによって陰極側から光を取り出すことができる。
【0071】
陽極314の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、銀(Ag)-ネオジウム(Nd)合金などが挙げられる。なお、銀合金を用いた場合は、高反射率電極となり、陰極側から光を取り出す場合に好適である。
【0072】
有機EL薄膜層340は、電子輸送層342と、発光層344と、正孔輸送層346とを有する。電子輸送層342は、陰極312に接続され、正孔輸送層346は、陽極314に接続されている。陽極314と陰極312との間に所定の電圧を印加すると、発光層344が発光する。
【0073】
ここで、電子輸送層342と発光層344が1つの層を形成してもよく、また、電子輸送層342と陰極312との間に電子注入層が設けられてもよく、更に、正孔輸送層346と陽極314との間に正孔注入層が設けられてもよい。
【0074】
また、基材側から光を取り出すいわゆる「ボトムエミッション」の場合について説明したが、基材と反対側から光を取り出す「トップエミッション」であってもよい。
【0075】
図9におけるドライブ回路320について説明する。
ドライブ回路320は、2つの電界効果型トランジスタ10及び20と、キャパシタ30を有する。
【0076】
電界効果型トランジスタ10は、スイッチ素子として動作する。電界効果型トランジスタ10のゲート電極Gは、所定の走査線に接続され、電界効果型トランジスタ10のソース電極Sは、所定のデータ線に接続されている。また、電界効果型トランジスタ10のドレイン電極Dは、キャパシタ30の一方の端子に接続されている。
【0077】
電界効果型トランジスタ20は、有機EL素子350に電流を供給する。電界効果型トランジスタ20のゲート電極Gは、電界効果型トランジスタ10のドレイン電極Dと接続されている。そして、電界効果型トランジスタ20のドレイン電極Dは、有機EL素子350の陽極314に接続され、電界効果型トランジスタ20のソース電極Sは、所定の電流供給線に接続されている。
【0078】
キャパシタ30は、電界効果型トランジスタ10の状態、即ちデータを記憶する。キャパシタ30の他方の端子は、所定の電流供給線に接続されている。
【0079】
そこで、電界効果型トランジスタ10が「オン」状態になると、信号線Y2を介して画像データがキャパシタ30に記憶され、電界効果型トランジスタ10が「オフ」状態になった後も、電界効果型トランジスタ20を画像データに対応した「オン」状態に保持することによって、有機EL素子350は駆動される。
【0080】
図13は、本発明の画像表示装置の他の一例を示す概略構成図である。
図13において、画像表示装置は、表示素子302と、配線(走査線、データ線、電流供給線)と、表示制御装置400とを有する。
表示制御装置400は、画像データ処理回路402と、走査線駆動回路404と、データ線駆動回路406とを有する。
画像データ処理回路402は、映像出力回路123の出力信号に基づいて、ディスプレイにおける複数の表示素子302の輝度を判断する。
走査線駆動回路404は、画像データ処理回路402の指示に応じてn本の走査線に個別に電圧を印加する。
データ線駆動回路406は、画像データ処理回路402の指示に応じてm本のデータ線に個別に電圧を印加する。
【0081】
また、上記実施形態では、光制御素子が有機EL素子の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光制御素子がエレクトロクロミック素子であってもよい。この場合は、上記ディスプレイは、エレクトロクロミックディスプレイとなる。
【0082】
また、前記光制御素子が液晶素子であってもよく、この場合ディスプレイは、液晶ディスプレイとなり、
図14に示されるように、表示素子302’に対する電流供給線は不要となる。また、
図15に示されるように、ドライブ回路320’は、電界効果型トランジスタ10及び20と同様の1つの電界効果型トランジスタ40により構成することができる。電界効果型トランジスタ40において、ゲート電極Gが所定の走査線に接続され、ソース電極Sが所定のデータ線に接続されている。また、ドレイン電極Dが、キャパシタ361及び液晶素子370の画素電極に接続されている。
【0083】
また、前記光制御素子は、電気泳動素子、無機EL素子、エレクトロウェッティング素子であってもよい。
【0084】
以上、本発明のシステムがテレビジョン装置である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、画像及び情報を表示する装置として画像表示装置124を備えていればよい。例えば、コンピュータ(パソコンを含む)と画像表示装置124とが接続されたコンピュータシステムであってもよい。
【0085】
また、携帯電話、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置、電子BOOK、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯情報機器、スチルカメラやビデオカメラなどの撮像機器における表示手段に画像表示装置124を用いることができる。また、車、航空機、電車、船舶等の移動体システムにおける各種情報の表示手段に画像表示装置124を用いることができる。さらに、計測装置、分析装置、医療機器、広告媒体における各種情報の表示手段に画像表示装置124を用いることができる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0087】
(実施例1)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
-ゲート電極の形成-
ガラス基板上に、スパッタリング法を用いてAl合金膜を形成した。フォトリソグラフィ、エッチングによりゲート電極を所望の形状にパターニングした。
【0088】
-ゲート絶縁層の形成-
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚みになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁層を形成した。
【0089】
-活性層の形成-
形成した前記ゲート絶縁層上に、特開2010-74148号公報の実施例に記載の方法で、Mg-In系酸化物半導体膜(活性層)をスパッタ法により形成した。ターゲットには、In2MgO4の組成を有する多結晶焼成体を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整し、全圧を0.3Paとした。得られた酸化物半導体膜(活性層)の厚みは、50nmであった。
【0090】
-ソース電極及びドレイン電極の形成-
形成した前記活性層上に、真空蒸着法とシャドウマスクを用いてAu-Ge7.4(田中貴金属社製、Au92.6重量%、Ge7.4重量%)を、蒸着しソース電極及びドレイン電極を形成した。
【0091】
以上により、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。
【0092】
<トランジスタ性能評価>
得られた電界効果型トランジスタについて、ソース・ドレイン電極に剥がれ箇所が無いか確認した。剥がれが無い場合を○、一部に剥がれがある場合を△、剥がれ箇所が多数ある場合を×とした。また、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザB1500A)を用いて、トランジスタ性能評価を実施した。ソース/ドレイン電圧Vdsを10Vとし、ゲート電圧をVg=-15Vから+15Vに変化させて、電流-電圧特性(伝達特性)を評価した。測定素子は基板面内18箇所とした。オン電流最大の素子と最小の素子間で値が一桁以上変化する場合を×、それ以外を○とした。また、ゲート電圧を印加しない状態で、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極の間で電流-電圧特性を評価した。電流-電圧特性曲線が線形の場合を○、非線形である場合を×とした。得られた電流-電圧特性曲線を
図16に示した。なお、
図16において、「E」は、「10のべき乗」を意味する。即ち、「10E-6」は、「10
-6」を意味する。
図17においても同様である。
【0093】
(比較例1)
実施例1において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様にして、トランジスタ性能を評価した。得られた電流-電圧特性曲線を
図17に示した。
【0094】
(実施例2)
<ボトムゲート/ボトムコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
-ゲート電極の形成-
ガラス基板上に、スパッタリング法を用いてAl合金膜を形成した。フォトリソグラフィ、エッチングによりゲート電極を所望の形状にパターニングした。
【0095】
-ゲート絶縁層の形成-
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚みになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁層を形成した。
【0096】
-ソース電極及びドレイン電極(SD電極)の形成-
形成した前記活性層上に、真空蒸着法によりAu-Ge7.4(田中貴金属社製)を蒸着した。次いで、フォトリソグラフィとエッチングにより、所望の形状のソース電極及びドレイン電極を形成した。
【0097】
-活性層の形成-
形成した前記ゲート絶縁層及びソース・ドレイン電極上に、特開2010-74148号公報の実施例に記載の方法で、Mg-In系酸化物半導体膜(活性層)をスパッタ法により形成した。ターゲットには、In2MgO4の組成を有する多結晶焼成体を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整し、全圧を0.3Paとした。得られた酸化物半導体膜(活性層)の厚みは、50nmであった。
【0098】
以上により、ボトムゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。
【0099】
<トランジスタ性能評価>
得られた電界効果型トランジスタについて、ソース・ドレイン電極に剥がれ箇所が無いか確認した。剥がれが無い場合を○、一部に剥がれがある場合を△、剥がれ箇所が多数ある場合を×とした。また、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザB1500A)を用いて、トランジスタ性能評価を実施した。ソース/ドレイン電圧Vdsを10Vとし、ゲート電圧をVg=-15Vから+15Vに変化させて、電流-電圧特性(伝達特性)を評価した。測定素子は基板面内18箇所とした。オン電流最大の素子と最小の素子間で値が一桁以上変化する場合を×、それ以外を○とした。また、ゲート電圧を印加しない状態で、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極の間で電流-電圧特性を評価した。電流-電圧特性曲線が線形の場合を○、非線形である場合を×とした。
【0100】
(比較例2)
実施例2において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製、Au92.6重量%、Ge7.4重量%)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例2と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例2と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0101】
(実施例3)
<トップゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
-活性層の形成-
ガラス基板上に、特開2010-74148号公報の実施例に記載の方法で、Mg-In系酸化物半導体膜(活性層)をスパッタ法により形成した。ターゲットには、In2MgO4の組成を有する多結晶焼成体を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整し、全圧を0.3Paとした。得られた酸化物半導体膜(活性層)の厚みは、50nmであった。
【0102】
-ソース電極及びドレイン電極の形成-
形成した前記活性層上に、真空蒸着法とシャドウマスクを用いてAu-Ge7.4(田中貴金属社製、Au92.6重量%、Ge7.4重量%)を、蒸着しソース電極及びドレイン電極を形成した。
【0103】
-ゲート絶縁層の形成-
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚みになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁層を形成した。
【0104】
-ゲート電極の形成-
前記ゲート絶縁層上に、スパッタリング法を用いてAl合金膜を形成した。フォトリソグラフィ、エッチングによりゲート電極を所望の形状にパターニングした。
【0105】
以上により、トップゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。
【0106】
<トランジスタ性能評価>
得られた電界効果型トランジスタについて、ソース・ドレイン電極に剥がれ箇所が無いか確認した。剥がれが無い場合を○、一部に剥がれがある場合を△、剥がれ箇所が多数ある場合を×とした。また、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザB1500A)を用いて、トランジスタ性能評価を実施した。ソース/ドレイン電圧Vdsを10Vとし、ゲート電圧をVg=-15Vから+15Vに変化させて、電流-電圧特性(伝達特性)を評価した。測定素子は基板面内18箇所とした。オン電流最大の素子と最小の素子間で値が一桁以上変化する場合を×、それ以外を○とした。また、ゲート電圧を印加しない状態で、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極の間で電流-電圧特性を評価した。電流-電圧特性曲線が線形の場合を○、非線形である場合を×とした。
【0107】
(比較例3)
実施例3において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例3と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0108】
(実施例4)
<トップゲート/ボトムコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
-ソース電極及びドレイン電極の形成-
ガラス基板上に、真空蒸着法によりAu-Ge7.4(田中貴金属社製、Au92.6重量%、Ge7.4重量%)を蒸着した。次いで、フォトリソグラフィとエッチングにより、所望の形状のソース電極及びドレイン電極を形成した。
【0109】
-活性層の形成-
形成した前記ソース・ドレイン電極及びガラス基板上に、特開2010-74148号公報の実施例に記載の方法で、Mg-In系酸化物半導体膜(活性層)をスパッタ法により形成した。ターゲットには、In2MgO4の組成を有する多結晶焼成体を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整し、全圧を0.3Paとした。得られた酸化物半導体膜(活性層)の厚みは、50nmであった。
【0110】
-ゲート絶縁層の形成-
次に、プラズマCVDにより、200nmの厚みになるようにSiO2を成膜することによって、ゲート絶縁層を形成した。
【0111】
-ゲート電極の形成-
前記ゲート絶縁層上に、スパッタリング法を用いてAl合金膜を形成した。フォトリソグラフィ、エッチングによりゲート電極を所望の形状にパターニングした。
【0112】
以上により、トップゲート/ボトムコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。
【0113】
<トランジスタ性能評価>
得られた電界効果型トランジスタについて、ソース・ドレイン電極に剥がれ箇所が無いか確認した。剥がれが無い場合を○、一部に剥がれがある場合を△、剥がれ箇所が多数ある場合を×とした。また、半導体パラメータ・アナライザ装置(アジレントテクノロジー社製、半導体パラメータ・アナライザB1500A)を用いて、トランジスタ性能評価を実施した。ソース/ドレイン電圧Vdsを10Vとし、ゲート電圧をVg=-15Vから+15Vに変化させて、電流-電圧特性(伝達特性)を評価した。測定素子は基板面内18箇所とした。オン電流最大の素子と最小の素子間で値が一桁以上変化する場合を×、それ以外を○とした。また、ゲート電圧を印加しない状態で、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極の間で電流-電圧特性を評価した。電流-電圧特性曲線が線形の場合を○、非線形である場合を×とした。
【0114】
(比較例4)
実施例4において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例4と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0115】
(実施例5)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
実施例1において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu-Ge12.5(田中貴金属社製、Au87.5重量%、Ge12.5重量%)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0116】
(実施例6~8)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
実施例1において、「活性層の形成」を以下の方法に変えた以外は、実施例1と同様にして、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様の評価を行った。
【0117】
<実施例6>
-活性層の形成-
--n型酸化物半導体膜形成用塗布液1の作製--
ビーカーに、3.55gの硝酸インジウム(In(NO3)3・3H2O)と0.139gの塩化ストロンチウム(SrCl2・6H2O)を秤量し、1,2-プロパンジオール20mLとエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとを加え室温で混合、溶解させ、実施例6で用いるn型酸化物半導体膜形成用塗布液1を作製した。
【0118】
形成した前記ゲート絶縁層上に、前記n型酸化物半導体膜形成用塗布液1をインクジェット装置を用いて所定のパターンで塗布した。その基板を120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥させた後、大気雰囲気中400℃で1時間焼成し、In-Sr系酸化物膜を形成し、活性層とした。
【0119】
<実施例7>
-活性層の形成-
--n型酸化物半導体膜形成用塗布液2の作製)--
同様にして、ビーカーに3.55gの硝酸インジウム(In(NO3)3・3H2O)と0.125gの硝酸カルシウム(Ca(NO3)2・4H2O)を秤量し、1,2-プロパンジオール20mLとエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとを加え室温で混合、溶解させ、実施例7で用いるn型酸化物半導体膜形成用塗布液2を作製した。
【0120】
形成した前記ゲート絶縁層上に、前記n型酸化物半導体膜形成用塗布液2をインクジェット装置を用いて所定のパターンで塗布した。その基板を120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥させた後、大気雰囲気中400℃で1時間焼成し、In-Ca系酸化物膜を形成し、活性層とした。
【0121】
<実施例8>
-活性層の形成-
--n型酸化物半導体膜形成用塗布液3の作製--
同様にして、ビーカーに3.55gの硝酸インジウム(In(NO3)3・3H2O)と0.125gの塩化バリウム(BaCl2・2H2O)を秤量し、1,2-エタンジオール20mLとエチレングリコールモノメチルエーテル20mLとを加え室温で混合、溶解させ、実施例8で用いるn型酸化物半導体膜形成用塗布液3を作製した。
【0122】
形成した前記ゲート絶縁層上に、前記n型酸化物半導体膜形成用塗布液3をインクジェット装置を用いて所定のパターンで塗布した。その基板を120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥させた後、大気雰囲気中400℃で1時間焼成し、In-Ba系酸化物膜を形成し、活性層とした。
【0123】
n型酸化物半導体膜形成用塗布液の配合を表に示す。
【0124】
【0125】
(比較例5~7)
実施例6~8において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例6~8と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例6~8と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0126】
(実施例9)
実施例1において、「活性層の形成」を以下の方法に変えた以外は、実施例1と同様にして、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様の評価を行った。
【0127】
-活性層の形成-
形成した前記ゲート絶縁層上に、Zn-Sn系酸化物薄膜を高周波スパッタを用いて形成した。ここでは、ターゲットとして、Zn2SnO4の組成を有する多結晶焼結体(サイズ:直径4インチ)を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整することで、酸化物半導体膜中の酸素量を制御でき、電子キャリア濃度を制御した。全圧は0.3Paとした。スパッタ中は、基板を保持するホルダを水冷により冷却することで、基板の温度を15℃~35℃の範囲内に制御した。スパッタパワーを150W、スパッタ時間を20分とし、厚み50nmのZn-Sn系酸化物膜を形成した。
【0128】
(比較例8)
実施例9において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例9と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例9と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0129】
(実施例10)
実施例1において、「活性層の形成」を以下の方法に変えた以外は、実施例1と同様にして、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様の評価を行った。
【0130】
-活性層の形成-
形成した前記絶縁層上に、Zn-Ti系酸化物薄膜を高周波スパッタを用いて形成した。ここでは、ターゲットとして、Zn2TiO4の組成を有する多結晶焼結体(サイズ:直径4インチ)を用いた。スパッタチャンバー内の到達真空度は2×10-5Paとした。スパッタ時に流すアルゴンガスと酸素ガスの流量を調整することで、酸化物半導体膜中の酸素量を制御でき、電子キャリア濃度を制御した。全圧は0.3Paとした。スパッタ中は、基板を保持するホルダを水冷により冷却することで、基板の温度を15℃~35℃の範囲内に制御した。スパッタパワーを140W、スパッタ時間を25分とし、厚み50nmのZn-Ti系酸化物膜を形成した。
【0131】
(比較例9)
実施例10において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例10と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例10と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0132】
(実施例11)
実施例1において、「活性層の形成」を以下の方法に変えた以外は、実施例1と同様にして、ボトムゲート/トップコンタクトの電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様の評価を行った。
【0133】
-活性層の形成-
形成した前記絶縁層上に、InLaWO膜をRFマグネトロンスパッタリング法を用いて形成した。ここでは、ターゲットとして、組成比がIn:La:W=99.5:5:0.5である酸化物焼結体を用いた。スパッタガスとしてアルゴンガス及び酸素ガスを導入した。全圧を1.1Paに固定し、酸素濃度を20体積%とした。得られたInLaWO膜は厚み50nmであった。
【0134】
(比較例10)
実施例11において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu(田中貴金属社製)にしたことを除いて、実施例11と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例11と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0135】
(実施例12)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
実施例1において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu-Ge3.0(田中貴金属社製、Au97.0重量%、Ge3.0重量%)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0136】
(実施例13)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
実施例1において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu-Zn5.0(山本貴金属地金社製、Au95.0重量%、Zn5.0重量%)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0137】
(実施例14)
<ボトムゲート/トップコンタクト型電界効果型トランジスタの作製>
実施例1において、Au-Ge7.4(田中貴金属社製)をAu-Sn(フルウチ化学社製、Au80重量%、Sn20重量%)にしたことを除いて、実施例1と同様にして電界効果型トランジスタを作製した。また、実施例1と同様にして、トランジスタ性能を評価した。
【0138】
実施例1~14の評価結果を表2-1に示した。
比較例1~10の評価結果を表2-2に示した。
【0139】
【0140】
【0141】
<発明の効果>
実施例1~14について、ソース・ドレイン電極に膜剥がれが無いことを確認した。
一方、一方、比較例1~10では、トランジスタ製造過程で、ソース・ドレイン電極の膜剥がれが生じるものがあった。実施例1~14では、ソース・ドレイン電極がGe、Zn又はSnを含有していることで、下層膜との密着性が向上し、膜剥がれが生じなかったものと考えられる。
【0142】
実施例1~14について、トランジスタ動作特性を評価した結果、オン電流のばらつきが小さいこと確認した。また、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極間の電流電圧特性曲線の形状は線形であることを確認した。
一方、比較例1~10では、トランジスタ動作して高いオン電流が得られる素子がある一方でばらつきが大きいことがわかった。また、ソース電極・酸化物半導体・ドレイン電極間の電流電圧特性曲線の形状は非線形であることがわかった。
実施例1~14では、ソース・ドレイン電極がGe、Zn又はSnを含有していることで、電極の仕事関数が浅くなっており、酸化物半導体との電気的接続が良好で、オン電流ばらつきの低減に寄与しているものと考えられる。
【0143】
すなわち、本発明によれば、簡便に製造でき、ソース電極およびドレイン電極と酸化物半導体との接触が良好で、特性ばらつきの少ない電界効果型トランジスタを提供することができる。
【0144】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> ソース電極及びドレイン電極と、
酸化物半導体からなる活性層と、
を備える電界効果型トランジスタであって、
前記ソース電極及びドレイン電極が、前記酸化物半導体と接する金合金を含有し、
前記金合金が、第1の元素である金と、ゲルマニウム、スズ、亜鉛、及びインジウムの少なくともいずれかである第2の元素とを含有する、ことを特徴とする電界効果型トランジスタである。
<2> 前記金合金における前記第2の元素の含有量が、3重量%以上30重量%以下である前記<1>に記載の電界効果型トランジスタである。
<3> 前記酸化物半導体が、インジウム、亜鉛、スズ、ガリウム、及びチタンの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタである。
<4> 前記酸化物半導体が、アルカリ土類元素を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタである。
<5> 前記酸化物半導体が、希土類元素を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタである。
<6> 駆動信号に応じて光出力が制御される光制御素子と、
前記<1>から<5>のいずれかに記載の電界効果型トランジスタを含み、前記光制御素子を駆動する駆動回路と、
を備えることを特徴とする表示素子である。
<7> 前記光制御素子が、エレクトロルミネッセンス素子及びエレクトロクロミック素子のいずれかを含む前記<6>に記載の表示素子である。
<8> 前記光制御素子が、液晶素子及び電気泳動素子のいずれかを含む前記<6>に記載の表示素子である。
<9> 画像データに応じた画像を表示する画像表示装置であって、
マトリックス状に配置された複数の前記<6>から<8>のいずれかに記載の表示素子と、
前記複数の表示素子における各電界効果型トランジスタにゲート電圧を個別に印加するための複数の配線と、
前記画像データに応じて、前記各電界効果型トランジスタのゲート電圧を前記複数の配線を介して個別に制御する表示制御装置と、
を備えることを特徴とする画像表示装置である。
<10> 前記<9>に記載の画像表示装置と、
表示する画像情報に基づいて画像データを作成し、該画像データを前記画像表示装置に出力する画像データ作成装置と、
を備えることを特徴とするシステムである。
【0145】
前記<1>から<5>に記載の電界効果型トランジスタ、前記<6>から<8>に記載の表示素子、前記<9>に記載の画像表示装置、及び前記<10>に記載のシステムは、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 基材
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 活性層
10 電界効果型トランジスタ
20 電界効果型トランジスタ
21 基材
22 活性層
23 ソース電極
24 ドレイン電極
25 ゲート絶縁層
26 ゲート電極
30 キャパシタ
40 電界効果型トランジスタ
100 テレビジョン装置
101 主制御装置
103 チューナ
104 ADコンバータ(ADC)
105 復調回路
106 TS(Transport Stream)デコーダ
111 音声デコーダ
112 DAコンバータ(DAC)
113 音声出力回路
114 スピーカ
121 映像デコーダ
122 映像・OSD合成回路
123 映像出力回路
124 画像表示装置
125 OSD描画回路
131 メモリ
132 操作装置
141 ドライブインターフェース(ドライブIF)
142 ハードディスク装置
143 光ディスク装置
151 IR受光器
152 通信制御装置
210 アンテナ
220 リモコン送信機
300 表示器
302、302’ 表示素子
310 ディスプレイ
312 陰極
314 陽極
320、320’ ドライブ回路(駆動回路)
340 有機EL薄膜層
342 電子輸送層
344 発光層
346 正孔輸送層
350 有機EL素子
360 層間絶縁膜
361 キャパシタ
370 液晶素子
400 表示制御装置
402 画像データ処理回路
404 走査線駆動回路
406 データ線駆動回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【文献】特開2011-129938号公報
【文献】特開2011-228622号公報