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特許7143747画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
A61B6/00 350P
A61B6/00 330B
A61B6/00 350D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018229568
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020089612
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南條 高史
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-188164(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026145(WO,A1)
【文献】特開2012-115582(JP,A)
【文献】特開2017-169830(JP,A)
【文献】国際公開第2014/185197(WO,A1)
【文献】特開2018-148965(JP,A)
【文献】特開2007-136209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0236275(US,A1)
【文献】特開2019-063328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0191154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出制御部と、
前記抽出制御部によって抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された前記表示用画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記抽出制御部によって抽出される前記複数の特徴点は横隔膜の位置を示す横隔膜線であり、
前記画像生成部は、呼吸に伴い上下動する前記横隔膜の少なくとも上限位置、下限位置、及び前記選択された1枚の医用画像における現在位置を示す前記横隔膜線を、前記選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成することを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示用画像は、前記特徴点の他、前記特徴点に関する情報を含み、
前記表示部は、前記特徴点に関する情報も含めて前記表示用画像を表示することを特徴とする請求項又は請求項に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部に表示された前記表示用画像に対する入力動作を検出し受け付ける入力部と、
前記入力部により検出され受け付けられた入力動作の位置を特定し、横隔膜の位置を示す横隔膜線のうち前記入力動作の位置に最も近い前記横隔膜線を有する医用画像を決定する判断部と、
を有し、
前記表示部は、前記判断部により決定された前記医用画像を前記表示用画像に代えて表示することを特徴とする請求項又は請求項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記複数枚の医用画像のうち、一連の医用画像のまとまりであるシリーズを一単位として前記表示用画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記対象部位は横隔膜を含む人の肺野であり、
前記画像生成部は、前記複数枚の医用画像のうち、少なくとも吸気期間及び呼気期間か
らなる人の1呼吸分の期間に対応する医用画像を一単位として前記表示用画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像に、周期性を持つ対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影して得られた動態撮影画像が含まれるか否かを判断する動態画像判断部をさらに備え、
前記画像生成部は、前記複数枚の医用画像のうち、前記動態画像判断部によって前記動態撮影画像と判断された画像に基づいて前記表示用画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像生成部は、前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像に加工を施した加工後の医用画像に基づいて前記表示用画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程において取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程において抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程において生成された前記表示用画像を表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項10】
画像表示装置のコンピューターに、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得機能と、
前記画像取得機能によって取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出機能と、
前記抽出機能によって抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成機能と、
前記画像生成機能によって生成された前記表示用画像を表示する表示機能と、
を実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルム/スクリーンや輝尽性蛍光体プレートを用いた放射線(X線)の静止画撮影及び診断に対し、近時、FPD(flat panel detector)等の半導体イメージセンサーを利用して診断対象の部位(以下、対象部位という。)を動態撮影して、診断に応用する試みがなされるようになってきている。
具体的には、半導体イメージセンサーの画像データの読取・消去の応答性の早さを利用し、半導体イメージセンサーの読取・消去のタイミングと合わせて放射源からパルス状の放射線を連続的に照射し、1秒間に複数回の撮影を行って、対象部位の動態を撮影する。
【0003】
例えば対象部位が肺や心臓である場合には、胸部の動態を撮影する。撮影により取得された一連の複数枚の画像を順次表示することにより、医師は呼吸運動や心臓の拍動等に伴う胸部の一連の動きを観察することが可能となる。
また、胸部の動態画像から呼吸による換気量等の診断に有用な特徴量情報を抽出する各種技術も提案されている。例えば、胸部正面と胸部側面のそれぞれを動態撮影し、肺低位置と厚みの変化から肺の体積の変化を求め、これを換気量として取得する技術も知られている。
【0004】
ところで、肺の疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)による肺損傷は不可逆であり、肺実質が治癒することはなく、在宅酸素療法や呼吸器リハビリテーションによる呼吸筋運動のトレーニングにより日常生活の質の改善が行われている。そこで、呼吸筋運動のトレーニング等により呼吸機能の回復がみられるかを評価することが必要である。そして、呼吸機能の回復状況を評価するためには主な呼吸筋である横隔膜の動きを観察することが重要となる。
【0005】
この点、横隔膜の動きを観察するために、胸部について動態撮影を行い、得られた動態撮影画像に基づいて横隔膜の位置を算出し、算出結果等を含めた換気機能の診断支援情報を得る技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-115582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
横隔膜等、対象部位の状態を確認するためには、撮影画像からその形状や位置等を目視できることが好ましい。
横隔膜のように経時的に変位する部位は、撮影画像が1枚であれば、形状等を容易に視認することができる。
しかしながら、動態撮影では、通常1回の撮影で、数十枚~数百枚に及ぶ枚数の撮影画像が取得される。そのため、変化位置を確認するだけでも時間がかかる、さらに、変化の位置を一度で確認できればよいが、動画で見るため見逃してしまうなど、対象部位の動きを視認することの困難性により、診断を行うための画像確認に多くの時間を要してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、動態撮影の結果をユーザーが迅速に確認することができ、ユーザーの診断効率を向上させることが可能な画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の問題を解決するために、本発明の画像表示装置は、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出制御部と、
前記抽出制御部によって抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された前記表示用画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の側面である画像表示方法は、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程において取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程において抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程において生成された前記表示用画像を表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の別の側面である画像表示プログラムは、
画像表示装置のコンピューターに、
同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像を取得する画像取得機能と、
前記画像取得機能によって取得された前記複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出機能と、
前記抽出機能によって抽出された前記複数の特徴点を、前記複数枚の医用画像からユーザーにより任意に選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する画像生成機能と、
前記画像生成機能によって生成された前記表示用画像を表示する表示機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、動態撮影の結果をユーザーが迅速に確認することができ、ユーザーの診断効率を向上させることが可能で、効率的な読影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る画像表示装置を含む医用画像システムを表す要部構成図である。
図2】本実施形態に係る画像表示装置の要部ブロック図である。
図3】表示部の表示画面の一例を示す図である。
図4】表示部の表示画面で横隔膜線近傍を選択する場合の一画面例を示す図である。
図5】表示部の表示画面の表示用画像をユーザーによって選択された横隔膜線に対応する医用画像に切り替えて表示させる場合の一画面例を示す図である。
図6】本実施形態に係る画像表示装置による処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る画像表示装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像表示装置(画像表示システム)の一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、後述する画像解析や表示制御、再生範囲の設定を行う制御手段11や記憶手段12、表示手段15(図2参照)等が1つの装置(画像表示装置)内に構成されている場合について説明するが、以下における「画像表示装置」は、「画像表示システム」に置き換えて構成することが可能である。すなわち、図示は省略するが、例えば、画像解析を行う機能部、再生範囲の設定を行う機能部、記憶手段、表示手段の一部又は全部をそれぞれ別体の装置として構成し、それらをネットワークで接続する等によりシステム化して(すなわち画像表示システムとして)構成することも可能である。
また、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0018】
[画像表示装置(画像表示システム)の位置づけ]
本実施形態の画像表示装置は、医用画像システムにおいて放射線動態画像(以下「動態撮影画像」とする。)等の医用画像を取得し、取得した動態撮影画像等の医用画像や各種の情報を表示するものである。
まず、前提として、本実施形態で想定される医用画像システムと画像表示装置との関係につき、図1を参照しつつ説明する。
【0019】
〔医用画像システムの構成〕
図1に、医用画像システム100のシステム構成例を示す。
医用画像システム100は、病院等の医療施設内に設置されるシステムである。
図1に示すように、医用画像システム100は、画像表示装置(医用画像表示装置)1、医用画像撮影装置2、画像管理サーバー3等を備えて構成されている。各装置は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信回線からなる通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されている。医用画像システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOM規格に則って行われる。
なお、各装置の台数は、特に限定されない。例えば、医用画像撮影装置2としてCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CR(Computed Radiography)装置等の各種モダリティが設けられていてもよい。各種モダリティは、いずれか1種類が複数台用意されていてもよいし、複数種類が各1台ずつ用意されていてもよく、台数及び組み合わせ等は施設の必要等に応じて適宜決められる。
【0020】
画像管理サーバー3は、各種モダリティ(医用画像撮影装置2)により生成された医用画像の画像データ、及び医用画像に関する付帯情報を蓄積記憶・管理するコンピューター装置である。医用画像には、例えばCT装置やMRI装置等により生成された断層画像や、CR装置により生成された単純X線画像等が含まれている。また、本実施形態では、医用画像として、医用画像撮影装置2によって動態撮影が行われた場合に取得される動態撮影画像が含まれている。
【0021】
ここで、「動態撮影」とは、対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影するものである。具体的には、図示しない放射源から放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射(連続照射)して、連続して複数回の撮影を行い、対象部位の動態を動画のように撮影する。
「動態撮影画像」とは、このような撮影により得られた、対象部位の動態を示す複数の一連の画像を意味する。
例えば1人の患者の同一部位について行われた1回の検査内で撮影された医用画像等、互いに関連する一連の医用画像のまとまりを「シリーズ」と呼ぶが、「動態撮影」によって得られた「動態撮影画像」の場合には、一連の連続した「動態撮影」により得られた複数の画像のまとまりを「シリーズ」と呼ぶ。
また、「動態撮影画像」を構成する複数の画像のそれぞれを「フレーム画像」と呼び(図3等においてフレーム画像FI)、1つの「シリーズ」を構成する各「フレーム画像」にはそれぞれ撮影順に「フレーム番号」が付与される。
本実施形態において「動態撮影」は、例えば肺野、横隔膜、心臓等、動きに周期性のある対象部位に対して行われる。なお、「動態撮影」の対象となる部位は、これらに限定されない。
【0022】
画像管理サーバー3は、ハードディスク等により構成される医用画像DB(Data Base)31を有する。この医用画像DB31には、医用画像のデータや当該医用画像に関する付帯情報が記憶されている。
医用画像DB31において記憶される医用画像は、DICOM規格に則ったDICOMファイル形式で保存されている。DICOMファイルは、画像部とヘッダ部とから構成される。画像部には医用画像の実データ、ヘッダ部に当該医用画像に関する付帯情報が書き込まれている。
【0023】
付帯情報は、例えば、患者情報、検査情報、シリーズ情報、画像詳細情報を含んで構成されている。
患者情報は、患者を識別するための患者識別情報(例えば、患者ID)、患者の氏名、性別、生年月日等の医用画像の患者に関する各種情報を含んでいる。
検査情報は、検査を識別するための検査識別情報(例えば、検査ID)、検査日付、担当医師等の検査に関する各種情報を含んでいる。
画像詳細情報は、画像生成時刻、医用画像の格納場所を示すファイルパス名、検査コメント、病変の計測位置、計測結果等の画像に関する各種情報が含まれる。
シリーズ情報は、同一検査内においてシリーズを識別するためのシリーズ番号、シリーズに含まれる医用画像を生成したモダリティ(医用画像撮影装置2)の種類、検査部位、当該医用画像が動態撮影画像である場合における総フレーム数、シリーズ内の各画像に付与されたフレーム番号等のシリーズに関する各種情報を含んでいる。
前述のように、フレーム番号は、同一シリーズとして生成した医用画像(動態撮影画像の各フレーム画像FI)の撮影順1~n(nは総フレーム数)を示す番号である。
【0024】
画像管理サーバー3は、通信ネットワークNを介して画像表示装置1からの取得要求があると、これに応じて、医用画像のデータを医用画像DB31から読み出して画像表示装置1に送信する。
【0025】
[画像表示装置(画像表示システム)の構成]
本実施形態における画像表示装置1(または画像表示システム。以下同じ。)の構成について説明する。
図2は、本実施形態における画像表示装置の構成を表すブロック図である。
本実施形態において、画像表示装置1は、図2に示すように、制御手段11、記憶手段12、入力手段13、入出力インターフェース14、表示手段15等がバスに接続されたコンピューターで構成されている。
画像表示装置1は、入出力インターフェース14を介して通信ネットワークNに接続されている。
本実施形態において入出力インターフェース14は、放射線撮影により得られた医用画像を、通信ネットワークNを介して取得する画像取得部である。
画像取得部である入出力インターフェース14は、対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影して得られた動態撮影画像を、画像管理サーバー3(画像管理サーバー3が有する医用画像DB31)から取得する。
【0026】
なお、画像表示装置1は、汎用コンピューターであってもよいが、医用画像に関する専用の装置として構成することも可能である。
また、図示を省略するが、画像表示装置1が、医用画像撮影装置2による撮影を制御するコンソール等の制御装置や、撮影された複数枚のフレーム画像FI等の医用画像を保存する画像保存用のデータベース等を含む一体型の装置として構成されていてもよい。
画像表示装置1は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータでもよいし、ノートパソコンやタブレット型の端末装置、スマートフォン等の携帯端末装置のいずれであってもよい。
【0027】
制御手段11は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)111、RAM(Random Access Memory)112等を備えている。
ROM111は、CPU110で実行されるシステムプログラムや、画像を表示させるためのプログラムである表示制御処理プログラム(画像表示プログラム)を始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータを記憶する。各種プログラムは、コンピューター読み取り可能なプログラムコードの形態でROM111に格納され、CPU110は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAM112は、CPU110により実行制御される各種処理において、ROM111から読み出された各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメーター等を一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0028】
本実施形態において制御手段11は、医用画像を表示する表示部である後述の表示手段15(モニター150)を制御する表示制御手段として機能する。
また本実施形態の制御手段11は、表示手段15(モニター150)で表示しようとする医用画像に、対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影して得られた動態撮影画像が含まれるか否かを判断する動態画像判断部として機能する。
動態画像判断部としての制御手段11が表示手段15で表示しようとする医用画像に動態撮影画像が含まれるか否かを判断する手法としては、例えば、ユーザーが指定した検査の医用画像の付帯情報を参照することである。医用画像の付帯情報から連続して所定枚数以上の画像が撮影されていると判断される場合、動態画像判断部としての制御手段11は、当該画像群を動態撮影画像であると判断する。この場合の所定枚数は適宜設定されるが、例えば50枚以上等である。
なお、動態画像判断部としての制御手段11が表示手段15で表示しようとする医用画像に動態撮影画像が含まれるか否かを判断する手法はこれに限定されず、どのような手法でもよい。例えば、DICOMファイルにおけるヘッダ部に当該画像が動態撮影画像であることを示す識別情報等の付帯情報が付されているような場合には、動態画像判断部としての制御手段11は、当該付帯情報を有する画像群を動態撮影画像であると判断する。
【0029】
また、制御手段11は、複数枚の医用画像から、それぞれ異なる複数の特徴点を抽出する抽出制御部として機能する。
本実施形態において、抽出制御部としての制御手段11は、特徴点として横隔膜の位置を示す横隔膜線を抽出する。
具体的には、制御手段11は、動態撮影画像を構成する複数枚の各フレーム画像FIに対して画像解析を行うことによって、各フレーム画像FIに含まれる横隔膜の位置を検出する。そして、検出結果を横隔膜の位置を示す横隔膜線の情報として、各フレーム画像FIの付帯情報として記憶手段12等に記憶させる。
【0030】
また、本実施形態の制御手段11は、動態撮影画像を構成する複数枚の各フレーム画像FIに対して画像解析を行い、対象部位の動きの周期を割り出すようになっている。
例えば、動きに周期性のある対象部位が人の肺野であり、肺野における1呼吸分の期間を1周期とする場合、制御手段11は適宜画像解析等を行うことによって、呼吸に伴い上下動する横隔膜の少なくとも上限位置、下限位置を検出し、横隔膜が上限位置にある画像及下限位置にある画像を特定することで、対象部位の動態の周期の開始時点に対応する画像と終了時点に対応する画像とを特定する。
例えば、動態撮影が人の肺野を含む胸部正面について行われたものであり、肺野における1呼吸分の期間を1周期とする場合、制御手段11は適宜画像解析等を行うことによって、呼吸に伴い上下動する横隔膜の少なくとも上限位置、下限位置を検出し、横隔膜が上限位置にある画像及下限位置にある画像を特定することで、対象部位の動態の周期の開始時点に対応する画像と終了時点に対応する画像とを特定する。
【0031】
具体的には、制御手段11は、画像解析を行うことで画像に含まれる横隔膜の位置を検出する。横隔膜が上限位置にある画像は、息を吐き切った呼気期間の終了時点の状態を示し、ここから吸気期間に移行して息を吸うにしたがい徐々に横隔膜が下がっていく。そして、横隔膜が下限位置にある画像は、限界まで息を吸った吸気期間の終了時点の状態を示す。したがって、制御手段11は、横隔膜が上限位置にある画像から横隔膜が下限位置にある画像までが吸気期間に対応する画像であり、逆に横隔膜が下限位置にある画像から横隔膜が上限位置にある画像までが呼気期間に対応する画像と判断する。また、制御手段11は、吸気期間に対応する画像と呼気期間に対応する画像が連続する1セットを1呼吸分の期間に対応する画像と判断する。
この場合の「1呼吸分の期間」は、吸気期間から始まる吸気期間と呼気期間の1セットでもよいし、呼気期間から始まる呼気期間と吸気期間の1セットでもよい。
なお、制御手段11が対象部位の動きの周期を割り出す手法、動態の周期の開始時点に対応する画像と終了時点に対応する画像とを特定する手法は特に限定されない。例えば国際公開第2009/090894号や特開2009-273671号公報、特開2009-153678号公報に記載された手法等、各種の手法を採用することができる。
【0032】
さらに、本実施形態において制御手段11は、画像取得部としての入出力インターフェース14によって取得された複数枚の医用画像に基づいて、表示手段15(モニター150)で表示させるための表示用画像を生成する画像生成部として機能する。
取得された医用画像のうち、制御手段11がどの範囲の画像に基づいて表示用画像を生成するかは特に限定されず、例えば、取得されたすべての画像に基づいてもよいし、一連の医用画像のまとまりであるシリーズを一単位として表示用画像を生成してもよい。また、上記のように、制御手段11が対象部位の動きの周期を割り出す場合には、1周期(例えば吸気期間及び呼気期間からなる人の1呼吸分の期間や吸気期間又は呼気期間からなる人の半呼吸分の期間)に対応する医用画像を一単位として表示用画像を生成してもよい。
以下の本実施形態では、取得された複数枚の医用画像のうち動態撮影画像と判断されたものについて、吸気期間及び呼気期間からなる人の1呼吸分の期間に対応する医用画像を一単位として表示用画像を生成する場合を例に説明する。
【0033】
本実施形態において、画像生成部としての制御手段11は、抽出制御部である制御手段11によって抽出された複数の特徴点(本実施形態では横隔膜線)を、複数枚の医用画像から選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する。
本実施形態では、表示手段15に表示される医用画像の中から、ユーザーが任意の画像を選ぶことによって、1枚の医用画像が選択される。
なお、1枚の医用画像を選択する手法は特に限定されない。例えば、上記のように吸気期間及び呼気期間からなる人の1呼吸分の期間に対応する医用画像を一単位とする場合に、吸気期間から呼気期間又は呼気期間から吸気期間に切り替わるタイミングやその近傍に対応する画像等が自動的に選択されるようにしてもよい。
【0034】
本実施形態では、抽出制御部としての制御手段11が、選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線の他、呼吸に伴い上下動する横隔膜の少なくとも上限位置(すなわち、息を吐き切った呼気期間の終了時点の横隔膜の位置)を示す横隔膜線及び下限位置(すなわち、限界まで息を吸った吸気期間の終了時点の横隔膜の位置)を示す横隔膜線を特定するようになっている。そして、画像生成部としての制御手段11は、図3に示すように、横隔膜の少なくとも上限位置、下限位置、及び選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線を選択された1枚の医用画像に重畳することで表示用画像として重畳医用画像を生成する。
【0035】
図3では、選択された1枚の医用画像が総フレーム数65枚のフレーム画像FIからなる1つのシリーズ内の17番目のフレーム画像が「1枚の医用画像」として選択されており、選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線が実線で、横隔膜の上限位置を示す横隔膜線及び下限位置を示す横隔膜線が一点鎖線で画像上に示されている。
また、各横隔膜線の近傍には、各横隔膜線が何フレーム目のフレーム画像FIのものであるかを示すフレーム番号(すなわち、特徴点に関する情報)が横隔膜線とともに表示されている。
なお、各特徴点(本実施形態では横隔膜線)は、図3等のように線種を変えることで区別されていてもよいし、カラー表示が可能な表示手段15を用いる場合には、線の色を変えて表示させてもよい。また、表示用画像が、フレーム番号等の文字情報等、特徴点に関する情報を含む場合には、特に線種や線の色等を区別せず、文字情報等の表示のみで区別してもよい。
また、フレーム番号等の文字情報(すなわち、特徴点に関する情報)を表示させることは必須ではなく、文字情報を含まない、特徴点(本実施形態では横隔膜線)のみの表示としてもよい。
【0036】
また、画像生成部としての制御手段11において生成される表示用画像は、「1枚の医用画像」に横隔膜の上限位置、下限位置、及び選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線の3つの線等が表示されるものに限定されない。
例えば、表示用画像としての重畳医用画像は、制御手段11によって一単位とされた画像から抽出されたすべての特徴点(本実施形態では横隔膜線)を、複数枚の医用画像から選択された1枚の医用画像に重畳することで生成されてもよい。
また、画像生成部としての制御手段11は、画像取得部としての制御手段11によって取得された複数枚の医用画像に加工を施した加工後の医用画像に基づいて表示用画像を生成してもよい。
加工を施した医用画像とは、例えば、撮影中、時間とともに患者が動いたり体の位置がずれたりてしまった場合に、当該動きを補正した画像(レジストレーション画像)や、
横隔膜の動きを分かりやすくするために強調処理を施した画像(強調画像)等である。
この場合、加工を施すのは制御手段11であってもよいし、他の機能部で加工処理が行われたものであってもよい。
【0037】
さらに、本実施形態では、後述のように、表示部である表示手段15のモニター150には入力手段(入力部)13としてタッチパネルが一体に形成されている。そして、ユーザー(医師等)によって表示部(表示手段15のモニター150)に表示された表示用画像に対する入力動作(すなわち、タッチパネルの構成されているモニター150上の表示用画像をタッチ、タップ等する動作)が行われると入力手段13において入力動作が検出され、受け付けられて、動作に応じた信号が制御手段11に送られる。
制御手段11は、入力手段13からの信号を受けると、入力手段13により検出され受け付けられた入力動作の位置を特定し、入力動作の位置に最も近い横隔膜線を有する医用画像を決定する判断部として機能する。
【0038】
記憶手段12は、例えば不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等で構成され、各種データ等を記憶するものである。
記憶手段12は、例えば画像取得部である入出力インターフェース14によって取得された医用画像を保存する。
入力手段13は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル等で構成されている。タッチパネルは、前述のように表示手段15のモニター150上に一体的に形成されている。
本実施形態において入力手段13は、ユーザーがモニター150上に表示された画像をタッチしたりタップしたりしたときに、その入力動作を検出し、受け付ける入力部である。入力手段13は、入力動作を受け付けると、これに対応する信号を制御手段11に出力する。
なお、入力手段13が受け付ける入力動作は、タッチパネルへのタッチやタップに限定されない。入力動作は、モニター150上でのマウス等によるクリック等の動作であってもよい。例えば、図4ではマウスによる操作位置を表示するポインター554でモニター150上の画像をクリックする入力動作の様子を示している。
この場合、表示画面上のどこをポインター554が示しているのか、入力動作の位置の表示画面における座標が制御手段11によって特定される。
【0039】
表示手段15は、医用画像やこれに関連する各種情報を表示するものである。
本実施形態では、表示手段15は、画像生成部である制御手段11によって生成された表示用画像を表示する表示部である。
本実施形態では、表示手段15は、表示制御部として機能する制御手段11の制御に従い、表示処理を行う。
本実施形態では、表示用画像(重畳医用画像)が、特徴点である横隔膜線の他、特徴点(横隔膜線)に関する情報(すなわち、フレーム番号等の文字情報等)を含んでおり、表示手段15は、特徴点(横隔膜線)及びこれに関する情報も含めて(これらが画像に重畳された状態で)表示用画像を表示するようになっている。
【0040】
表示手段15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成された表示部であるモニター150を備えている。
本実施形態において表示手段15は、複数のモニター150を備えており、このうち、少なくとも1つは、ユーザー(医師等)が読影を行うための高精細なモニターとなっている。
表示手段15の具体的な構成としては、例えば、ユーザー(医師等)が読影対象の医用画像を選択するための患者情報や検査情報等のリスト画面が表示される通常のモニター150と読影を行うための高精細なモニター150とを備えてなる。なお、通常のモニター150、高精細なモニター150はそれぞれ1台ずつであってもよいし、複数台設けられていてもよい。
本実施形態において、少なくとも読影用の高精細なモニター150には、入力手段13としてのタッチパネルが一体的に構成されている。これにより、ユーザーが指やタッチペン等でモニター150の表示画面をタッチ、タップ等する操作を行うと、これにより入力動作(タッチ等の操作)の位置に応じて所定の入力指示信号が発生し、制御手段11に送られるようになっている。
【0041】
図3は、本実施形態におけるモニター150の一例を示す図である。
図3では、医用画像等を表示させてユーザー(医師等)が読影を行う読影用の高精細なモニター150の例を示しており、特に、ユーザーが選択した患者の検査画像の中に動態撮影画像が含まれている場合に表示される表示画面例を示している。
図3に示すように、読影用のモニター150の表示画面のほぼ中央部は、フレーム画像FIが表示される画像表示領域51となっている。
また、画像表示領域51の左右には、患者情報を表示する患者情報表示領域52、画像表示領域51に表示されるフレーム画像FIに関する検査情報を表示する検査情報表示領域53、画像表示領域51に表示されるフレーム画像FIや当該フレーム画像FIを含むシリーズに関する情報を表示する画像情報表示領域54等が設けられている。
【0042】
図3では、表示画面の左上が患者ID、患者氏名、患者の生年月日や性別等の患者情報が表示される患者情報表示領域52となっており、表示画面の右上が検査日時、画像を含むコンテンツが作成された日時等の検査情報が表示される検査情報表示領域53となっている。また、表示画面の左下にフレーム画像FIのフレーム番号や総フレーム数、フレーム画像FIを含むシリーズ固有のIDであるシリーズ番号等が表示される画像情報表示領域54となっている。
なお、モニター150の表示画面に設定される表示領域はここに例示したものに限定されない。また、各表示領域51~54に表示される項目はここに例示したものに限定されない。さらに、各表示領域51~54の配置等も図示例には限定されない。
表示画面における各表示領域51~54の種類や配置、各表示領域51~54に表示される項目等は、ユーザーが適宜設定変更してカスタマイズ可能となっていてもよい。
【0043】
さらに、モニター150の表示画面には、図3等に示すように、その側端部等(本実施形態では右側端部)にスクロールバー55が、モニター150の表示画面の上下方向に沿って延在するように配されている。
スクロールバー55には、例えば、画像表示領域51に表示されたフレーム画像FIと対応するカーソル551が配されており、スクロールバー55をスクロール操作することで、スクロールバー55上のカーソル551が移動すると、これに伴って、画像表示領域51に表示される画像がカーソル551の位置に対応する画像に切り換わるようになっている。すなわち、カーソル551は、1つのシリーズの内、画像表示領域51に表示されるフレーム画像FIと対応している。
なお、スクロールバー55を備えることは必須ではなく、その位置や構成等もここに示す例に限定されない。
【0044】
また、表示手段15(表示手段15のモニター150)は、入力手段13により検出され受け付けられた入力動作の位置に最も近い横隔膜線を有する医用画像が判断部である制御手段11により決定されると、当該決定された医用画像を現在表示中の表示用画像に代えて表示させる。
例えば、図4に示すように、ユーザーがマウスのポインター554で横隔膜線近傍をクリックする等により示す入力動作を行った場合、判断部である制御手段11は、当該入力動作の位置に最も近い横隔膜線を有する医用画像を決定する。そして、例えば、決定された医用画像がフレーム番号15のフレーム画像FIである場合には、図4において現在表示中の表示用画像(図4では、フレーム番号15のフレーム画像FI)が、フレーム番号15のフレーム画像FIに切り替えられて、図5に示すように、フレーム番号15のフレーム画像FIがモニター150の画像表示領域51に表示される。
【0045】
[画像表示装置の作用、画像表示方法について]
次に、図6及び図7を参照しつつ、本実施形態における画像表示方法について説明する。
画像表示装置1においてユーザー(医師等)が読影を行いたい場合、まず、画像表示装置1の表示手段15に検査一覧画面等を表示させる。
そして、ユーザー(医師等)が読影を行いたい検査等を表示画面上等において指定することにより、図6に示すように、読影を行いたい所望の検査が選択される(ステップS1)。
検査が選択されると、画像表示装置1から画像管理サーバー3に対して画像取得要求が送信され、画像管理サーバー3は、要求された検査の画像データを医用画像DB31から抽出し、通信ネットワークNを介して画像表示装置1に送信する。
画像表示装置1側では、画像取得部である入出力インターフェース14を介して医用画像のデータ及びこれに付帯する付帯情報を取得する(ステップS2)。
医用画像が取得されると、動態画像判断部としての制御手段11において、当該取得された医用画像の中に動態撮影画像が含まれるか否かを判断する(ステップS3)。そして、医用画像が含まれないと判断された場合(ステップS3;NO)には取得した医用画像をそのまま表示手段15のモニター(読影用の高精細モニター)150に表示させる(ステップS4)。
【0046】
他方、動態画像判断部としての制御手段11において、当該取得した医用画像の中に動態撮影画像が含まれると判断された場合(ステップS3;YES)には、次に、制御手段11が抽出制御部として所定範囲内の医用画像からそれぞれ特徴点としての横隔膜線を抽出する(ステップS5)。
ここで所定範囲内の医用画像とは、前述のように、同一シリーズ内に含まれる医用画像や、1呼吸分の期間に対応する医用画像等である。何をもって所定範囲とするかは、予め設定されていてもよいし、ユーザーにおいて適宜設定してもよい。
さらに、ユーザーによる指定等に基づいて複数枚の医用画像から1枚の医用画像を選択する(ステップS6)。
画像生成部としての制御手段11は、本実施形態の場合、ステップS5において抽出された横隔膜線のうち、ステップS6で選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線、横隔膜の上限位置を示す横隔膜線、横隔膜の下限位置を示す横隔膜線、の3本の横隔膜線を特定し(ステップS7)、特定された3本の横隔膜線を、ステップS6で選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する(ステップS8)。
そして、生成された表示用画像を表示手段15のモニター(読影用の高精細モニター)150に表示させる(ステップS9)。
【0047】
また、図12に示すように、表示手段15のモニター150に表示用画像が表示されている状態において、ユーザーによる表示画像に対す入力動作が入力手段13により検出・受付されると(ステップS11)、制御手段11が当該入力動作が検出された位置(当該位置の座標)を特定する(ステップS12)。
そして、判断部である制御手段11が、当該位置(座標)に最も近い横隔膜線に対応する医用画像を決定し(ステップS13)、決定された医用画像を表示用画像に代えて表示部(表示手段15のモニター150)に表示させる(ステップS14)。
【0048】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る画像表示装置1は、同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行った得られた複数枚の医用画像を取得し、取得した複数枚の医用画像から特徴点を抽出して、当該特徴点を複数枚の医用画像から選択された1枚の医用画像に重畳して表示用画像を生成する。そしてこの表示用画像を表示部(表示手段15のモニター150)に表示させる。
これにより、選択された1枚の医用画像に、読影、診断を行うのに重要な情報を盛り込むことができ、読影、診断すべき検査に関して膨大な枚数の医用画像がある場合にも、選択された1枚の医用画像を見ることで、ユーザー(医師等)が迅速かつ効率的に、適切な読影・診断を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、特徴点として横隔膜の位置を示す横隔膜線を抽出し、呼吸に伴い上下動する横隔膜の少なくとも上限位置、下限位置、及び選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線を、選択された1枚の医用画像に重畳した重畳医用画像を表示用画像とする。
横隔膜の活動状況、疾患の回復状況を知るためには、横隔膜の動く範囲である上限位置と下限位置が特に重要である。
この点、本実施形態では、この2つの位置と、特徴点としてとしての横隔膜線を重畳する対象である選択された1枚の医用画像における現在位置を示す横隔膜線とを、ともに表示用画像内に表示する。
これにより、1枚の表示用画像を見ることで、ユーザー(医師等)が容易に横隔膜の状況を確認することができ、迅速かつ効率的に、適切な読影・診断を行うことができる。
【0050】
また、表示用画像に、特徴点の他、特徴点に関する情報を含め、これらの情報も表示用画像内に表示させるとした場合には、ユーザー(医師等)が表示用画像を見た際に、より分かりやすく、効率的に、適切な読影・診断を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、表示部に表示された表示用画像に対する入力動作を検出し受け付けることができ、この入力動作の位置を特定し、入力動作の位置に最も近い横隔膜線を有する医用画像を決定する。そして、表示部(表示手段15のモニター150)には、入力動作の位置に最も近い横隔膜線を有するとされた医用画像を表示用画像に代えて表示させることができる。
これにより、ユーザー(医師等)が確認したい画像を簡易かつ迅速に表示させることができ、操作性に優れる。
【0052】
また、複数枚の医用画像のうち、一連の医用画像のまとまりであるシリーズを一単位として表示用画像を生成した場合には、シリーズ単位で読影し、迅速に診断を行うことができる。
【0053】
また、対象部位が横隔膜を含む人の肺野である場合に、複数枚の医用画像のうち、少なくとも吸気期間及び呼気期間からなる人の1呼吸分の期間に対応する医用画像を一単位として表示用画像を生成した場合には、肺野の動きを1呼吸分単位で観察し、精密な読影を行うことができる。
このため、横隔膜を含む肺野の活動状況を容易かつ迅速に読影し、肺機能の低下の有無や治療後の状態等を正確に診断することが可能となる。
【0054】
また、複数枚の医用画像に、周期性を持つ対象部位の動態を時間軸に沿って連続的に放射線撮影して得られた動態撮影画像が含まれる場合に、当該動態撮影画像に基づいて表示用画像を生成するとした場合には、膨大な枚数の画像で構成されることの多い動態撮影画像について読影をする場合に、容易かつ迅速に読影、診断を行うことができる。
【0055】
また、複数枚の医用画像に各種の画像処理等の加工が施されている場合にも、加工後の医用画像に基づいて表示用画像を生成するとした場合には、より見やすく分かりやすい画像に基づいて、適切な読影、診断を行うことができる。
【0056】
[変形例]
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態では、画像管理サーバー3が、ハードディスク等により構成される医用画像DB31を有し、この医用画像DB31に医用画像のデータや当該医用画像の付帯情報が蓄積されている場合を例示したが、画像管理サーバー及び医用画像DBは医用画像撮影装置2によって取得された医用画像を蓄積・管理できるものであればよく、ここに例示した構成に限定されない。
例えば、近年、クラウドサーバーの普及に伴い、すべてのデータが医療施設外部のデータセンターで蓄積・管理され、医療施設側には直近のデータのみが保存されているという状況もあり得る。この場合には、ユーザーの操作に応じて医用画像の取得要求を行う送信元施設の画像表示装置1が、直接画像を蓄積・管理する図示しない保管サーバー(クラウドサーバー)にアクセスし、医療連携の対象とする医用画像を選択し、画像データを取得してもよい。
【0058】
また、本実施形態では制御手段11が、複数枚の医用画像から選択された1枚の医用画像に、各医用画像から抽出した特徴点を重畳して表示用画像を生成する場合を例示したが、画像生成部としての制御手段11が生成する表示用画像はこれに限定されない。
例えば、複数枚の医用画像を1枚の医用画像に合成することで、合成医用画像を生成し、この合成医用画像を表示用画像としてもよい。このとき必ずしも撮影した複数の医用画像を全て使わなくてもよく、一部の医用画像を1枚に合成してもよい。
さらに、画像生成部としての制御手段11は、複数枚の医用画像を1枚の医用画像に合成した合成医用画像に、各医用画像から抽出した特徴点を重畳した重畳医用画像を、表示用画像として生成してもよい。
【0059】
このように、同一の対象部位に対して時間軸に沿って連続的に放射線撮影を行うことで得られた複数枚の医用画像に基づいて表示用画像を生成し、当該表示用画像を表示手段15のモニター150に表示させる場合に、画像生成部である制御手段11が、複数枚の医用画像を合成した合成医用画像を表示用画像とする場合には、読影、診断すべき検査に関して膨大な枚数の医用画像がある場合にも、合成後の表示用画像を見ることで読影を行うことができる。
このため、ユーザー(医師等)が迅速かつ効率的に、適切な読影・診断を行うことができる。
さらに、複数枚の医用画像のそれぞれから特徴点を抽出し、抽出された特徴点を合成医用画像に重畳した重畳医用画像を表示用画像として生成する場合には、読影・診断を行うのに重要な情報を、表示用画像を見るだけで容易に確認することができ、ユーザー(医師等)が一層、迅速かつ効率的に、適切な読影・診断を行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態では、抽出制御部としての制御手段11が、特徴点として横隔膜の位置を示す横隔膜線を抽出する場合を例示したが、抽出制御部としての制御手段11が抽出する特徴点は横隔膜線に限定されない。
例えば、特徴点は、拡張・収縮を繰り返す心臓(心臓の形状等)であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 画像表示装置
2 医用画像撮影装置
3 画像管理サーバー
11 制御手段
13 入力手段
14 入出力インターフェース(画像取得部)
15 表示手段
31 医用画像DB
100 医用画像システム
150 モニター
FI フレーム画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7