(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】感熱記録媒体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20220921BHJP
B41M 5/42 20060101ALI20220921BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20220921BHJP
B41M 5/40 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B41M5/333 220
B41M5/42 220
B41M5/42 221
B41M5/44 220
B41M5/40 220
B41M5/42 210
B41M5/42 211
B41M5/40 210
(21)【出願番号】P 2021533630
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049925
(87)【国際公開番号】W WO2020130099
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-21
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ビエ ポリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】岩田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】コチャック エルカン
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151611(JP,A)
【文献】特開2015-013470(JP,A)
【文献】特開2015-150764(JP,A)
【文献】特開2011-051334(JP,A)
【文献】特開平09-277701(JP,A)
【文献】特開平08-324123(JP,A)
【文献】特開2006-248178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/333
B41M 5/42
B41M 5/44
B41M 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、以下の:
- 支持層;
- 前記支持層の上の感熱着色層であって、前記感熱着色層はロイコ染料を含み;及び
- 前記感熱着色層上の保護層;
を含む感熱記録媒体であって、
ここで、前記感熱着色層は、以下の一般式(I):
【化1】
(式中、R
1~R
3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C1~C6フルオロアルキル基を表す)
を有する顕色剤を含み、
前記保護層は、少なくとも平均粒度が0.05μmであり、最大で2.0μmのワックスの粒子を含む、感熱記録媒体。
【請求項2】
前記ワックスの粒子は、ポリエチレンワックスの粒子である、請求項1に記載の感熱記録媒体。
【請求項3】
前記ワックスの融点は、少なくとも80℃であり、最大で200℃である、請求項1又は2に記載の感熱記録媒体。
【請求項4】
前記ワックスの融点は、少なくとも90℃であり、最大で130℃である、請求項3に記載の感熱記録媒体。
【請求項5】
前記保護層中の前記ワックスの粒子の粒度は、少なくとも0.1μmであり、最大で0.5μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項6】
前記保護層の全構成成分を全体100質量%とした場合、前記ワックスの粒子は、少なくとも2.0質量%であり、最大で20質量%で構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項7】
前記保護層の全構成成分を全体100質量%とした場合、前記ワックスの粒子は、少なくとも5.0質量%
であり、最大で10質量%で構成される、請求項6に記載の感熱記録媒体。
【請求項8】
前記顕色剤は、以下の式(II):
【化2】
を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の感熱記録媒体。
【請求項9】
前記感熱着色層は、以下の:
【化3】
;
【化4】
;及び
【化5】
からなる群から選択される共顕色剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項10】
前記共顕色剤が、以下の式:
【化6】
で表される、尿素ウレタン(UU)化合物である、請求項9に記載の感熱記録媒体。
【請求項11】
前記一般式(I)を有する顕色剤の量に対する、前記感熱着色層中の尿素ウレタン(UU)の質量比は、少なくとも0.02であり、最大で2.0である、請求項10に記載の感熱記録媒体。
【請求項12】
前記一般式(I)を有する顕色剤の量に対する、前記感熱着色層中の尿素ウレタン(UU)の質量比は、少なくとも0.05であり、最大で0.20である、請求項11に記載の感熱記録媒体。
【請求項13】
前記一般式(I)を有する顕色剤の量に対する、前記感熱着色層中の尿素ウレタン(UU)の質量比は、少なくとも0.05であり、最大で0.10である、請求項11に記載の感熱記録媒体。
【請求項14】
前記支持層の下であって、前記感熱着色層に対して前記支持層の反対側に、バッキング層がある、請求項1~13のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項15】
前記支持層と前記感熱着色層との間にアンダーコート層が存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項16】
前記アンダーコート層は、中空粒子を含む、請求項15に記載の感熱記録媒体。
【請求項17】
前記保護層は最上側保護層であり、1又はそれ以上の下側保護層が、前記感熱着色層と最上部保護層との間に存在する、請求項1~16のいずれか一項に記載の感熱記録媒体。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の感熱記録媒体を備える製品に取り付けるためのラベルであって、取り外し可能なライナを備えるか、シリコンライナレスラベルの形態である、ラベル。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の感熱記録媒体又は請求項18に記載のラベルが添付されている、消費者製品のパッケージ。
【請求項20】
前記消費者製品は、可塑剤を含むプラスチックフィルムで覆われる、請求項19に記載の消費者製品のパッケージ。
【請求項21】
前記プラスチックフィルムは、ポリ(塩化ビニル)フィルムである、請求項20に記載の消費者製品のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その1の態様では、感熱記録媒体に関する。さらに他の態様では、本発明は、本発明の感熱記録媒体を含む製品に取り付けるためのラベル、及び本発明の感熱記録媒体又はラベルが取り付けられた消費者製品のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録媒体は、着色剤系を用いることが知られており、この媒体の一の層中のロイコ染料等の染料は、熱を加えると、いわゆる「顕色剤」とよばれる他の成分と反応して着色生成物を生じる。ロイコ染料-顕色剤の組み合わせに関しては、フェノールが、感熱紙の顕色剤として成功裏に用いられうる。しかしながら、特に環境上の理由から、この文脈では、フェノール類の使用を避けるのが好ましい。N-フェニルウレイド-フェニル-ベンゼンスルホンアミド類は、例えば、特許文献1及び非特許文献1において、この文脈において、非フェノール顕色剤として提案されている。特に興味深いのは、以下の構造:
【化1】
【0003】
を有する顕色剤化合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記化合物等のN-フェニルオレイド-フェニル-ベンゼンスルホンアミドを、感熱記録媒体の感熱着色層に用いると、望ましくない顔料転写の問題が生じることが観察されている。例えば、商品に感熱記録媒体を貼り付けて積み重ねて展示する場合、積み重ねた状態で、パッケージを覆っているプラスチックフィルムが、他の(積み重ねた下の)パッケージに貼り付けられた、例えば、商品説明ラベル等の感熱記録材料と接触し、他の(下の)パッケージに貼り付けられた商品説明ラベル等の感熱着色層から、(上の)パッケージを覆っているプラスチックフィルムに黒色が転写される「黒色転写」が起こる場合がある。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、プラスチックフィルムに通常用いられる可塑剤は、N-フェニルオレイド-フェニル-ベンゼンスルホンアミド系材料の移行を促進すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決する観点から、本発明は、一態様では、少なくとも、以下の:
- 支持層;
- 前記支持層の上の感熱着色層であって、前記感熱着色層はロイコ染料を含み;及び
- 前記感熱着色層上の保護層;
を含む感熱記録媒体であって、
ここで、前記感熱着色層は、以下の一般式(I):
【化2】
【0006】
(式中、R1~R3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、C1~C6フルオロアルキル基を表す)
を有する顕色剤を含み、
前記保護層は、少なくとも平均粒度が0.05μm及び最大で2.0μmのワックスの粒子を含む、感熱記録媒体に関する。
【0007】
他の態様では、本発明は、消費者製品等のラベル付けが必要な製品に取り付けるラベルとして構成される、本発明の感熱記録媒体に関する。ラベルとして構成された本発明の感熱記録媒体は、取り外し可能なライナ(剥離紙)があってよく、又はシリコンライナレス(SLL)ラベル等のライナレス系ラベルであってよい。他の態様では、本発明は、本発明の感熱記録媒体が取り付けられた消費者製品のパッケージに関する。消費者製品のパッケージは、部分的又は全面的に透明、柔軟又は硬質であってよく、デリカテッセン製品又は弁当等の1又はそれ以上の腐敗しやすい食品を含んでいてもよい。当該消費者製品のパッケージは、可塑剤を含むプラスチックフィルムで覆われてよく、プラスチックフィルムはポリ塩化ビニルフィルムであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による、感熱記録媒体の例示的な非限定的な例である。この具体的かつ非限定的な実施形態では、感熱記録媒体(1)において、支持層(13)の上に配置された感熱着色層(12)は支持層(13)と接触し、感熱着色層(12)は保護層(11)とも接触する。
【
図2】本発明のさらなる実施形態による感熱記録媒体の他の例示的な非限定的な例の概略図である。ここで、配列は、支持層(13)の下に配置されたバックレイヤー(15)が支持層(13)と接触していることを除いて、
図1に示された実施形態と類似する。
【
図3】本発明のさらなる実施形態による感熱記録媒体の他の例示的な非限定的な例の概略図である。ここでは、配列は、
図1に示す実施形態に類似するが、ここでは、番号(11a)及び(11b)で示された2つの連続する保護層、すなわち、下側保護層(11a)であり、上側保護層(11b)である保護層が、感熱着色層(12)に適用される点が異なる。このような配置では、上側保護層(11b)は、ワックスの粒子を適当に含有するが、その後、ワックスの粒子は、下側保護層(11a)には不要である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態による感熱記録媒体の他の例示的な非限定的な例の概略図である。ここで、配列は、支持層(13)と感熱着色層(12)との間にアンダーコート層(14)が組み込まれていることを除き、
図1に示す実施形態に類似する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔支持層〕
本発明の感熱記録媒体における支持層は、特に制限されることなく、意図された目的に応じて適当に選択される。この支持層は、透明又は不透明であってよい。
【0010】
支持体としては、非木材紙製の支持体、再生パルプ(再生パルプの50%以上を含有するもの)、合成紙、ポリエチレンフィルム、ラミネート紙等が考えられる。紙層の厚さは、その層の組成及び感熱性記録材料の用途によって異なり、一概に規定することはできないが、好ましくは30μm~250μm、より好ましくは50μm~200μmである。
【0011】
透明支持体はまた、薄膜の形態で存在する重合体材料の形態で用いられてよい。透明フィルムの全光透過率は、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%である。好ましいフィルムのヘイズ値は、3未満である。透明フィルムはまた、着色されてよい。透明フィルムの厚さは、20μm~100μmが好ましく、40μm~70μmがより好ましい。
【0012】
透明支持体に用いられるフィルム材料は、アイオノマーフィルム(IO)、ポリエチレンフィルム(PE)、ポリ(塩化ビニル)フィルム(PVC)、ポリ(塩化ビニリデン)フィルム(PVDC)、ポリ(ビニルアルコール)フィルム(PVA)、二軸延伸(両延伸)ポリプロピレン(BOPP)を含むポリプロピレンフィルム(PP)、ポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリスチレンフィルム(PS)、ポリアクリロニトリルフィルム(PAN)、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム(EMAA)、ナイロンフィルム(NY)、ポリアミドフィルム(PA)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)、ノルボルナンフィルム(NB)、及びアートンフィルムからなる群から選択されうる。他の可能性としては、ポリエチレン(PE)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)があげられる。
【0013】
〔アンダーコート層〕
一般に、感熱記録媒体の技術分野では、「アンダーコート」という表現は、支持体と感熱着色層との間の層を指すものとして当業者に理解されるが、「アンダーコート」という表現は、当業者が「アンダーコート層」と同義で用いてよい。
【0014】
本発明では、アンダーコート層を設けても、設けなくてもよい。すなわち、アンダーコート層は、本発明の単なるオプションであり、本発明の感熱記録媒体は、当該アンダーコート層を含んでも、含まなくてもよい。
【0015】
本発明の感熱記録媒体に存在する場合、アンダーコート層はバインダー樹脂を含有し、アンダーコート層は、フィラー及び他の添加剤等の他の成分をさらに含有することができる。
【0016】
アンダーコート層に用いられるバインダー樹脂としては、水分散性樹脂又は水溶性樹脂のいずれも用いることができる。それらの特定の例としては、従来公知の水溶性重合体、及び水性重合体エマルジョンがあがられる。
【0017】
アンダーコート層中のバインダー樹脂に用いられうる水溶性重合体は、何らの制限もなく、意図された用途に応じて適当に選択されうる。その例としては、ポリビニルアルコール、デンプン及びそれらの誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン及びカゼインがあげられる。これらを単独又は併用して用いることができる。本発明のアンダーコート層に特に好ましいバインダー材料は、ポリビニルアルコールである。
【0018】
アンダーコート層中のバインダー樹脂中で用いられうる水性重合体エマルジョンは、何らの制限もなく、意図された目的に応じて適当に選択されうる。その例としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体のラテックス;及び、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂及びポリウレタン樹脂のエマルジョンがあげられる。これらは単独又は併用で用いることができる。
【0019】
本発明の感熱記録媒体にアンダーコート層が用いられる場合、無機充填剤を用いてよく、又はアンダーコート層から省かれてよい。無機充填剤を用いる場合、例示には、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、アルミナ及び粘土があげられる。これらは単独又は併用で用いることができる。中でも、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、粘土は、被覆液中の液体特性、分散粒子の安定性、水溶性の点で好ましい。
【0020】
感熱記録媒体のアンダーコート層に含まれる成分としては、印刷品質を向上させるために、中空比50%以上80%以上90%以上の中空粒子を用いることが公知であるが、ここで、中空比(%)は、(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100である。当該中空粒子には各々、熱可塑性樹脂で作製された殻があり、その中に空気又は他の気体を含み、通常、体積平均粒径が1μm~10μmであり、最も一般的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、及びそれらの共重合体樹脂で作製された熱可塑性樹脂を殻として有する。
【0021】
本発明の感熱記録媒体にアンダーコート層を用いる場合、その堆積量は、適当には、0.4g/m2~10g/m2、より好ましくは0.6g/m2~4g/m2である。
【0022】
本発明におけるアンダーコート層の厚さは、用いられる場合、その層の組成及び感熱性記録材料の使用目的に応じて変わり、一概に規定することはできないが、好ましくは0.5μm~15μm、より好ましくは0.8μm~6μmである。
【0023】
〔感熱着色層〕
本発明の感熱記録媒体では、感熱着色層が透明支持層の上に配置され、感熱着色層はロイコ染料及び顕色剤を含有する。当該感熱着色層は、透明支持層の一面と直接接触してよく、あるいは、上記のように、透明支持層と感熱着色層との間にアンダーコート層(又は複数のアンダーコート層)が存在してよい。
【0024】
当該感熱着色層は、媒質の一方の層中のロイコ染料等の色素が、熱の印加により、いわゆる「顕色剤」という他の成分と反応して着色生成物を生じる、着色剤系を含む。
【0025】
当該ロイコ染料は、電子供与特性を示す化合物であり、単独で、又は2若しくはそれ以上の種を組み合わせて用いることができる。しかしながら、ロイコ染料それ自体は無色又は明色の色素前駆体であり、一般に公知のロイコ化合物を用いることができる。ロイコ化合物の例としては、トリフェニルメタンフタリド化合物、トリアリールメタン化合物、フルオラン化合物、フェノチアジン化合物、チオフルオラン化合物、キサンテン化合物、インドフタリル化合物、スピロピラン化合物、アザフタリド化合物、クロルメノピラゾール化合物、メチニン化合物、ローダミンアニリノラクチウム化合物、ローダミンラクツアム化合物、キナゾリン化合物、ジアザキサンテン化合物、ビスラクトン化合物があげられる。水分、熱、又は光の放射による着色特性、背景の曇り、及び画像の色あせを考慮すると、これらの化合物の具体例は以下に示す:
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン2-アニリノ-3-メチル-6-(ジ-n-ペンチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-プロピル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-イソプロピル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-イソブチル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-アミル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-sec-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-アミル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-イソ-アミル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-(m-トリクロロメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(m-トリフルオロメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(m-トリフルオロメチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フルオラン、2-(2,4-ジメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(N-エチル-p-トルイジノ)-3-メチル-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、2-(N-メチル-p-トルイジノ)-3-メチル-6-(N-プロピル-p-トルイジノ)フルオラン、2-アニリノ-6-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-(o-クロラニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(o-ブロモアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、2-(o-フルオロアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、2-(o-フルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(m-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(p-アセチルアニリノ)-6-(N-n-アミニル-N-ブチルアミノ)フルオラン、2-ベンジルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-ベンジルアミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、2-ベンジルアミノ-6-(N-エチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、2-ジベンジルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-ジベンジルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-(ジ-p-メチルベンジルアミノ)-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-(α-フェニルエチルアミノ)-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-メチルアミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、2-メチルアミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、2-メチルアミノ-6-(N-プロピルアニリノ)フルオラン、2-エチルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、2-メチルアミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、2-エチルアミノ-6-(N-メチル-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、2-ジメチルアミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、2-ジメチルアミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、2-ジエチルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2-[3,6-ビス(ジエチルアミノ)]-6-(o-クロラニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2-[3,6-ビス(ジエチルアミノ)]-9-(o-クロラニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジエチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-クロルフタリド、3,3-ビス(p-ジブチルアミノフェニル)フタリド、3-(2-メトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-4,5-ジクロロフェニル)フタリド、3-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-クロロフェニル)フタリド、3-(2-ヒドロキシ-4-ジメトキシアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-クロロフェニル)フタリド、3-(2-ヒドロキシ-4-ジメトキシアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)フタリド、3-(2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-メチルフェニル)フタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ジメチルアミノフタリド、6’-クロロ-8’-メトキシ-ベンゾイドリノスピロピラン、及び6’-ブロモ-2’-メトキシベンゾイドスピロピラン。これらは単独又は併用で用いることができる。
【0026】
感熱着色層の総質量を100%とすると、当該感熱着色層に含まれるロイコ染料の量は、3質量%~30質量%である。
【0027】
顕色剤としては、様々な電子受容性材料が、加熱により前記ロイコ染料と反応して、フェノール化合物、有機又は無機酸性化合物、及びそれらのエステル又は塩等の色素を発色させることが知られている。
【0028】
本発明における、感熱着色層には、N-フェニルウレイド-フェニル-ベンゼンスルホンアミド構造があり、より具体的には、以下の一般式(I):
【化3】
(式中、R
1~R
3は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、又はC1~C6フルオロアルキル基を表す)。
を有する顕色剤を含む。
【0029】
当該顕色剤は、例えば、特許文献1に開示されている合成方法に従って調製することができる。
【0030】
特に好ましい実施形態では、本発明の感熱記録媒体の感熱着色層は、以下の式(II):
【化4】
(式中、R1、R2及びR3がすべて水素原子である上記の一般式(I)に対応する)
を有する顕色剤を含む。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、感熱記録媒体の感熱着色層は、少なくとも1つのさらなる顕色剤、特に以下の:
【化5】
【化6】
【化7】
うちの1つ(全て市販製品)も含有する。
【0032】
好ましい実施形態では、共顕色剤は、以下の式:
【化8】
で表される尿素ウレタン(UU)化合物である。
【0033】
有利には、感熱着色層における尿素ウレタン(UU)の質量比は、式(II)の化合物等の一般式(I)を有する顕色剤の量に対して、少なくとも0.02~最大2.0である。より好ましくは、当該感熱着色層中の尿素ウレタン(UU)の質量比は、式(II)の化合物等の一般式(I)を有する顕色剤の量に対して、少なくとも0.05~最大0.20である。最も好ましくは、式(II)の化合物等の一般式(I)を有する顕色剤に関して、感熱着色層中のUUの質量による量は、少なくとも0.05及び多くても0.10である。本発明者らは、尿素ウレタン(UU)を用いると、一般式(I)を有する顕色剤から生じる着色成分の移動を低下することができ、従って、本発明の効果を改良することを実験的に見出した。しかしまた、本発明者らは、尿素ウレタン(UU)のレベルが高すぎると、感熱記録媒体のアルコール耐性が低下することも見出した。
【0034】
当該感熱着色層では、ロイコ染料に対する顕色剤の混合比は、ロイコ染料の1質量部に対して、顕色剤が好ましくは0.5質量部~10質量部、より好ましくは1質量部~5質量部である。従って、式(I)の顕色剤と、上記UU、D90及びPergafast 201製品とを合わせた質量は、好ましくは、感熱着色層中のロイコ染料の質量1部に対して、質量で0.5部~10部、より好ましくは質量で1部~5部である。
【0035】
本発明において、本発明の当該効果が損なわれない限り、場合によっては、様々な他の公知の顕色剤を用いてよい。これらの他の顕色剤は、ロイコ染料を着色することができる様々な電子受容性化合物及び酸化剤を含む着色顕色剤である。その例としては、4,4’-イソプロピリデンビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(o-メチルフェノール)、4,4’-第二ブチリデンビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェノール)、p-ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,2-(3,4’-ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、4’{6-(p-メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチレート、1,7-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)3,5-ジオキサヘプタン、1,5-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-5-オキサペンタン、モノカルシウムモノベンジルフタレート、4,4’-シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2-クロロフェノール)、4,4’-ジフェノールスルホン、4-イソプロポキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジフェノールスルホキシド、イソプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸、ベンジルp-ヒドロキシ安息香酸、ベンジルプロトカテク酸、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-プロパン、N,N’-ジフェニルチオ尿素、N,N’-ジ(m-クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、メチルビス-(4’ヒドロキシフェニル)アセテート、ベンジルビス-(4-ヒドロキシフェニル)アセテート、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’-ジフェノールスルホン、2,2’-ジアリル-4,4’-ジフェノールスルホン、3,4-ジヒドロキシフェニル-4’-メチルジフェニルスルホン、1-アセチルオキシ-2-ナフトエート亜鉛、2-アセチルオキシ-1-ナフトエート亜鉛、2-アセチルオキシ-3-ナフトエート亜鉛、a,a-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-a-メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体があげられる。これらは単独又は併用で用いられる。
【0036】
追加の顕色剤の量は、本発明の当該効果が損なわれない限り、意図された目的に応じて適当に選択される。好ましい実施形態では、式(I)又はUU、D90及びPergafast 201の生成物ではない他の顕色剤を組み合わせた質量は、感熱着色層中のロイコ染料の1質量部に対して2質量部未満、より好ましくは感熱着色層中のロイコ染料の1質量部に対して0.5質量部未満である。本発明の特定の実施形態では、式(I)又はUU、D90及びPergafast 201製品以外の感熱着色層中に実質的に他の顕色剤が存在しなくてよい。
【0037】
本発明の当該効果が損なわれない限り、様々な公知の安定剤(保存性向上剤)を、場合によっては用いることができる。最も一般的には、これらの安定剤は、ヒンダードフェノール化合物又はヒンダードアミン化合物でる。後者の電子受容性化合物の着色能は、比較的低く、場合によっては補助添加剤として感熱記録層に添加されてよい。具体例としては、以下の:
2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、
4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4-チオビス(2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-クロロフェノール)、
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート
テトラキス(1,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、があげられる。
【0038】
上記ロイコ染料、顕色剤及び安定剤の他に、感熱着色層に、バインダー、充填剤、増感剤、架橋剤、顔料、界面活性剤、蛍光白色化剤及び潤滑剤等の感熱性の記録材料に慣例的に用いられる他の材料を適当に添加することができる。
【0039】
当該バインダーは、層の接着性及びコーティング性の改良に必要であれば用いてよい。当該バインダーは、何らの制限もなく、意図された用途に応じて適当に選択される。結合剤樹脂の具体例としては、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体の塩、スチレン-無水マレイン酸共重合体の塩、エチレン-アクリル酸共重合体の塩、スチレン-アクリル共重合体の塩、及びスチレン-ブタジエン共重合体の塩乳剤があげられる。
【0040】
当該充填剤は、意図された用途に応じて、制限なく適当に選択される。その例としては、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、アルミナ及び粘土等の無機顔料、ならびに一般に公知の有機顔料があげられる。中でも、シリカ、アルミナ、カオリン等の(水溶液中で酸性を示す)酸性顔料が好ましく、特にシリカは発色濃度の観点から好ましい。焼成カオリンは、本発明の枠組みにおいて好ましい。
【0041】
当該感熱着色層には、場合によっては、感度向上剤(増感剤)として様々な熱可塑性材料を添加することができる。増感剤は、熱の影響下で融解することで、ロイコ染料と顕色剤との間の反応を容易にする一時的な溶媒を提供することにより、着色効果が改良されうる。なお、調理済み食品のラベリングに用いる場合等、耐熱性が要求される場合、熱可塑性材料を添加しないか、融点が90℃以上の化合物を選択することが好ましい。
【0042】
増感剤の例としては、ステアリン酸及びベヘン酸等の脂肪酸;ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、及びベヘン酸亜鉛等の脂肪酸の金属塩;及びp-ベンジルビフェニル、テルフェニル、トリフェニルメタン、ベンジルp-ベンジルオキシ安息香酸、β-ベンジルオキシナフタレン、フェニルβ-ナフトエート、フェニル1-ヒドロキシ-2-ナフトエート、メチル1-ヒドロキシ-2-ナフトエート、ジフェニルカーボネート、グリコールカーボネート、ジベンジルテレフタレート、ジメチルテレフタレート、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジベンジルオキシナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、1,4-ジフェノキシ-2-ブテン、1,2-ビス(4-メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、
1,4-ジフェニルチオブタン、1,4-ジフェニルチオ-2-ブテン、1,3-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、
1,4-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p-(2-ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p-アリールオキシビフェニル、p-プロパルギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1-ジフェニルエタノール、1,1-ジフェニルプロパノール、p-ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3-フェノキシ-2-プロパノール、N-オクタデシルカルバモイル-p-メトキシカルボニルベンゼン、N-オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)プロパン、
1,5-ビス(4-メトキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、ジベンジルシュウ酸塩、ビス(4-メチルベンジル)シュウ酸塩及びビス(4-クロロベンジル)シュウ酸塩があげられる。これらは単独又は併用で用いられる。
【0043】
当該感熱着色層は、公知の方法によって形成することができる。当該感熱着色層の成分間の反応を避けるために、好ましい実施形態では、分散は別々に行った後に液体を混合する。バインダー及び他の成分による研磨は、通常、ボールミル、アトリター又はサンドミル等の分散剤を用いて、粒子直径が、0.2μm~3μm、好ましくは0.2μm~1μmの粒子直径となるように行われる。得られた分散液を、必要に応じて、所定の処方に従って、充填剤及び熱溶解性材料(増感剤)分散液と共に混合し、これにより、感熱着色層のコーティング液を調製し、続いて、このように調製されたコーティング液を支持体上に塗布する。
【0044】
当該感熱着色層の厚さは、感熱着色層の組成及び感熱性記録材料の使用目的に応じて変化し、一概に特定することはできないが、好ましくは1μm~50μm、より好ましくは2μm~20μmである。
【0045】
〔保護層〕
本発明の感熱層の上に、少なくとも1つの保護層が提供される。互いにいくつかの異なる保護層を重ね合わせて、整合特性又は障壁特性により焦点を合わせることができる。
【0046】
本発明の感熱記録媒体中の少なくとも1つの保護層は、平均粒度が、少なくとも0.05μm及び最大2.0μmであるワックスの粒子を含む。2又はそれ以上の保護層が存在する場合、それは、最上の保護層であり、当該保護層は、感熱着色層から最も遠くに取り除かれ、外側に露出した表面上にあり、ワックスの粒子を含有する必要がある。下層の保護層は、ワックスの粒子を含有してよいが、必ずしも含有する必要はない。
【0047】
本発明におけるワックスの粒子の平均粒度径は、レーザ回折粒度径分布測定装置を用いてレーザ回折により測定した平均粒度径(D50中央値)を測定する方法で得られた値である。当該測定は、例えば、HORIBA LA-950社製のLA-950マシンで行うことができる。
【0048】
好ましくは、保護層/最上部保護層のワックスの粒子のワックスの融点は、少なくとも80℃、最大でも200℃である。より好ましくは、ワックス融点は、少なくとも90℃及び最大130℃、最も好ましくは少なくとも100℃及び最大120℃である。
【0049】
より好ましくは、ワックス粒度径は少なくとも0.1μmであり、多くても0.5μmである。
【0050】
有利な実施形態では、ワックスの粒子は、全体として保護層の全成分で構成される100質量%に対して少なくとも2.0質量%及び最大でも20質量%、より好ましくは、全体として保護層の全成分で構成される100質量%に対して少なくとも5.0質量%及び最大でも10質量%を構成する。
【0051】
本発明におけるワックスの粒子のワックス材料は、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩、モンタン酸ワックス、カルナウバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス及びそれらの金属塩;高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、及び石油ワックスであってよい。
【0052】
本発明の感熱記録媒体の保護層のワックスの粒子に、特に好ましいワックス材料は、ポリエチレンワックスである。低密度又は高密度ポリエチレンワックスの粒子が用いられうる。
【0053】
当該保護層は、通常、少なくともバインダーを含み、保護層は各々、無機充填剤及び界面活性剤を含んでよい。
【0054】
保護層(単数又は複数)のバインダーは、意図された目的に応じて、制限なく適当に選択され、各保護層において同一のバインダー又は別々の保護層において異なるバインダーを用いることができる。保護層に用いることができる結合剤の例としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン及びそれらの誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、アルギン酸ソーダ、ゼラチン及びカゼインがあげられる。アクリルバインダーを用いてよい。保護層においてバインダーとして用いられうる疎水性樹脂には、保護層の調製中に通常水性エマルジョンとして提供されるもの、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル(共)重合体、塩化ビニリデン(共)重合体、塩化ビニル(共)重合体、及びスチレン-ブタジエン共重合体が含まれる。本発明の保護層のための特に好ましいバインダー材料は、ポリビニルアルコールである。
【0055】
保護層の厚さは、好ましくは0.2μm~10μm、より好ましくは0.5μm~5μmである。本発明の非限定的な例示的実施形態では、乾燥時に厚さ2.5μmの保護層を用いることができる。複数の保護層が適用される場合には、各保護層に対するより低い個々の厚さが必要となる。全ての保護層の合計に対する好ましい最大累積厚さは、乾燥最終生成物について10μmである。
【0056】
保護層中の無機充填剤は、用いられる場合、何らの制限もなく、意図された用途に応じて適当に選択される。無機充填剤の例としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、アルミナ及び粘土があげられる。これらは単独又は併用で用いることができる。中でも、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムは、このような無機充填剤を含む保護層が、長時間印刷するとサーマルヘッドに対して優れた耐摩耗性を有するため、特に好ましい。保護層中の無機充填剤の量は、何ら制限を受けることなく、意図された目的に応じて適当に選択される。無機充填剤の量は、充填剤の種類に依存するが、好ましくは、バインダー樹脂の100質量部に対して50質量部ないし500質量部である。
【0057】
本発明の一つの有利な実施形態では、第1の保護層は、感熱着色層上に配置され、ポリビニルアルコール(PVA)等のバインダーを含有するが、ワックスの粒子を含有しない。しかしながら、第2の保護層は、第1の保護層上に配置されてよく、第2の保護層は、感熱着色層と直接接触しておらず、第2の保護層は、ワックスの粒子及び場合によっては無機充填剤等の充填剤を含有する。
【0058】
第1の保護層、第2の保護層、それ以降の保護層の形成方法は、目的に応じて、何らの制限もなく適当に選択される。その例としては、ブレードコーティング、ロールコーティング、ワイヤバーコーティング、ダイコーティング、及びカーテンコーティングがあげられる。このような方法は、本発明の感熱記録媒体の他の層、例えば、アンダーコート層の塗布に用いることができる。カーテンコーティングは、本発明において保護層を適用する好ましい方法であり、感熱着色層の適用にも用いることができる。
【0059】
〔バックレイヤー〕
バックレイヤー(「バッキング層」ともいう)は、本発明の感熱着色層の透明支持層の下に設けられてよい。このような中間層は、しかし、本発明では必須ではなく、単に任意選択的である。一実施形態では、感熱記録媒体は、顔料、バインダー樹脂、好ましくは架橋剤を含有するバックレイヤーを含んでよい。バックレイヤーが存在する場合、その表面と反対側の透明支持体の表面上に、感熱層が配置されるか、又は、アンダーコート層が存在する場合、透明支持体と感熱層との間のアンダーコート層が配置される。
【0060】
バックレイヤーは、フィラー、潤滑剤、及び帯電防止剤等の他の成分をさらに含むことができる。
【0061】
バインダー樹脂としては、水分散性樹脂又は水溶性樹脂のいずれかを用いることができる。それらの特定の例としては、従来公知の水溶性重合体、及び水性重合体エマルジョンがあげられる。
【0062】
当該水溶性重合体は、何らの制限もなく、意図された目的に応じて適当に選択される。その例としては、ポリビニルアルコール、デンプン及びそれらの誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン及びカゼインがあげられる。これらは単独又は併用で用いることができる。
【0063】
当該水性重合体エマルジョンは、何らの制限もなく、意図された目的に応じて適当に選択される。その例としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体のラテックス;並びに、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体ラテックス)、(メタ)アクリルアミド系樹脂、及びポリウレタン樹脂のエマルジョンがあげられる。これらは単独又は併用で用いることができる。
【0064】
当該架橋剤は、何らの制限もなく、意図された目的に応じて適当に選択される。その例としては、エチレンジアミン等の多価アミン化合物;グリオキサール、グルタルアルデヒド及びジアルデヒド等の多価アルデヒド化合物;アジピン酸ジヒドラジド及びフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物;ポリアミド-エピクロロヒドリン化合物;水溶性メチロール化合物(尿素、メラミン及びフェノール);多官能性エポキシ化合物;多価金属塩(例えば、Al、Ti、Zr及びMg);乳酸チタン;及びホウ酸があげられる。当該架橋剤の量は、架橋剤の官能基の量及び種類に依存して変化するが、好ましくは、バインダー樹脂の100質量部に対して、0.1質量部~100質量部、より好ましくは1質量部~100質量部である。
【0065】
当該充填剤としては、無機充填剤又は有機充填剤のいずれかを用いることができる。無機充填剤の例としては、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物及び硫酸塩化合物があげられる。有機充填剤の例としては、シリコン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びホルムアルデヒド樹脂があげられる。
【0066】
当該帯電防止剤は、例えば、一般に用いられているイオン伝導性帯電防止剤及び電子伝導帯電帯電防止剤から選択することができる。当該イオン伝導性帯電防止剤の具体例としては、塩化ナトリウム等の無機塩;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性重合体;及び電解質カチオンである第四級アンモニウム塩を含有する樹脂があげられる。電子伝導性帯電防止剤の具体例としては、導電性金属化合物、例えば、導電性スズ及び酸化アンチモン、ならびに導電性重合体、例えば、ポリアニリンがあげられる。これらの帯電防止剤のうち、ポリスチレンスルホン酸塩、特に、ポリスチレンスルホン酸塩は、アジリジンと反応することで、架橋によって得られる耐水性が改良される。さらに、マレイン酸と共重合した塩には、帯電防止特性があり、また耐水性が改良される点で有効である。
【0067】
バックレイヤーの形成方法は、目的に応じて、制限を設けることなく適当に選択される。当該バックレイヤーは、好ましくは、バックレイヤーのコーティング液を支持体に塗布することによって形成される。
【0068】
コーティング方法は、目的に応じて、制限なく適当に選択される。その例としては、ブレードコーティング、ロールコーティング、ワイヤバーコーティング、ダイコーティング、及びカーテンコーティングがあげられる。
バックレイヤーの厚さは、意図した用途に応じて、制限なく適当に選択される。好ましくは0.1μm~10μm、より好ましくは0.5μm~5μmである。
【0069】
〔粘性層〕
本発明の感熱記録媒体には、粘着層ともいう粘性層が、提供されてよい。当該粘性層は、しかしながら、本発明では必須ではなく、むしろ、単に任意選択的である。
【0070】
当該粘性層は、保護層が形成される表面と反対側の支持層又は支持層の表面上に設けられてもよい。粘性層は、例えば、本発明の通常の用途において、感熱記録媒体を食品パッケージに取り付けるのに役立つ。従って、本発明の感熱記録媒体は、接着層を有するラベルを提供するのに有用な、支持体又はバックレイヤーに取り付けられた接着面を備えることができる。次いで、剥離可能なライナを接着層に取り付けて、標識される製品への最終的な取り付けの前に除去してよい。粘性層はまた、帯電防止特性を提供し得る。粘性層の形成方法は特に限定されない。この方法の例には、一般的なコーティング方法及びラミネート方法が含まれる。粘性層の平均厚さは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択されてよく、0.1μm以上20μm以下が好ましい。
【0071】
当該粘性層の材料は、特に限定されず、目的に応じて適当に選択することができる。粘性層の材料の例としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル-アクリル系共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、及びシリコン系樹脂があげられる。これらの材料の1つは、単独で用いることができ、又はこれらの材料の2又はそれ以上を組み合わせて用いることができる。これらの物質は、架橋剤によって架橋されうる。粘性層の材料はホットメルトタイプであってもよい。本発明の一態様では、本発明の感熱記録媒体を含むラベルは、シリコンライナレス(SLL)ラベルの形態である。
【0072】
〔画像記録方法〕
画像記録方法は、サーマルヘッドとレーザのいずれかである画像記録手段を用いて、本発明のいずれかの実施形態の感熱記録媒体上に画像を記録するために用いることができる。
当該サーマルヘッドは、その形状、構造、サイズに制限を設けることなく、用途に応じて適宜選択する。
【0073】
当該レーザは、目的に応じて、制限なく選択することができる。好ましい一実施形態では、9.3μm~10.6μmの波長を有する光を放射するCO2レーザを用いることができる。波長9.3μm~10.6μmの光を放射するCO2レーザを用いることにより,フタロシアニン顔料等の光熱変換剤を用いずに、十分なレーザ印刷画像を得ることができる。FLDA(Fiber Laser Diode Array)等の他の種類のレーザを用いてよい。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されないことに留意されたい。なお、以下の例では、特に断らない限り、「部」とは「質量部」を意味し、「%」とは「質量%」を意味する。
[実施例1]
以下の工程により、感熱記録媒体を作製した。
工程1)アンダーコート層の被覆液を基板上に塗布し、それにより当該アンダーコート層(乾燥質量として3g/m2)を作製した。当該実施例では、約60g/m2の基本質量を有する木材フリーペーパーが用いられた。アンダーコート層のコーティング液の処方は以下の通りである。
〔アンダーコート層用塗液の処方〕
下層用コーティング液の調製:
液体A
球形中空プラスチック微粒子1) 44部
スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス2) 25部
10%ポリビニルアルコール水溶液3) 13部
水 18部
1) スチレン/アクリル系共重合樹脂、固形分26.5%、平均粒径1μm、中空率55%
2) 固形分47.5%
3) 完全に加水分解されたPVA
アンダーコート層の被覆液を原紙表面に均一に塗布し、乾燥し、アンダーコート層を形成した。
【0075】
2) 熱記録層の被覆液をアンダーコート層の上に塗布し、熱記録層を作製した。
【0076】
感熱着色層のコーティング液の調製に関しては、以下の組成物を調製した。
[液体B] 色素分散液
2-アニリノ-3-メチル-6-(ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン(色素) 32部
10%イタコン変性ポリビニルアルコール水溶液 32部
水 36部
[液体C]現像液分散液
顕色剤1) 16部
シリカ2) 16部
10%ポリビニルアルコール水溶液3) 32部
水 36部
1) N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド:本明細書及び特許請求の範囲に定義されている式(II)
2) ミズサワ工業化学(株)製ミズカシルP-527
3) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
[液体D] 共顕色剤
顕色剤1) 32部
10%ポリビニルアルコール水溶液2 32部
水 36部
1) 表1参照:ここで、共顕色剤は、UU、D-90又はP-201であり得る。
2) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
[液体E] 増感剤分散液
増感剤1) 32部
10%ポリビニルアルコール水溶液2) 32部
水 36部
1) 表1参照:増感剤は、HS3520又はEGMTEであり得る。
2) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
上記組成を有する[液体B]、[液体C]、[液体D]及び[液体E]を各々サンドミルで分散させ、各液体に含まれる粒子の平均粒度径が1μm以下となるように分散させ、色素分散液[液体B]、顕色剤分散液[液体C]、共顕色剤分散液[液体D]及び増感剤分散液[液体E]を調製した。
次に、[液体B]、[液体C]、[液体D]及び[液体E]を下記の比率で混合した:
[液体B]=1.0
[液体C]=3.0
[液体D]=0~2.0(表1参照)
[液体E]=0~1.0(表1参照)
この混合物の乾燥固形分を水を加えて25%に調整した後、攪拌し、感熱着色層のコーティング液[液体F]を調製する。
【0077】
[液体F]をアンダーコート層に均一に塗布して、感熱着色層を形成した。
【0078】
熱層の被覆量は、乾燥ベースで0.6g/m2の色素被覆質量を生成し、次いで乾燥させ、それによって感熱着色層を形成するようであった。
【0079】
3) 二重層保護層用の被覆液(第1の被覆液及び第2の被覆液)をアンダーコート層の上に塗布し、第1の被覆液で形成された上側保護層が第2の被覆液で形成された下側保護層の上に存在するようにし、熱記録層の上に二重層保護層を形成した。上層及び下層の保護層の厚さは、乾燥ベースで各々1g/m2及び1g/m2であった。二重層保護層用のコーティング液の処方は下記とし、乾燥させた。
[液体G] 第1保護層液
10%ポリビニルアルコール水溶液1) 70部
20%ポリアミドエピクロロヒドリン2) 15部
水 15部
1) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
2) Solenis社のKYMENE-920
[液体I] 第2保護層液
液体H1) 18部
Wax2) 2部
20%ポリアミドエピクロロヒドリン3) 4部
10%ポリビニルアルコール水溶液4) 20部
水 56部
1) 液体H:液体分散の下記の処方を参照
2) 表1に示すワックス:
J-206 中京発
ウルトラルベE-842N:Keim Additec GmbH製
Aquacer-1031:BYK製
三井化学のケミパールW-400
中京発ハイドリンEZ-740
3) Solenis社のKYMENE-920
4) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
[液体H]充填剤分散液
Apy-1001) 32部
10%ポリビニルアルコール水溶液1) 32部
水 36部
1) ナバルテック社のApy-100
2) KURARAYによるItaconic変性ポリビニルアルコールの水溶液
コーティング後、サンプルを48時間、50℃でエージングした。このプロセスに加えて、サンプルを20kgFでカレンダー化し、その後、品質評価を進めた。
【0080】
[実施例2~12、比較例1~3]
なお、実施例2~12及び比較例1~3では、変更点を以下の表1に示す場合を除き、いずれも実施例1に従い感熱記録媒体を調製した。つまり、異なるタイプのワックスを実施例1~3で比較した。高レベルのワックスを実施例4で試験する。実施例5~9は、共顕色剤の効果及びその量を試験する。実施例10~12は、感熱着色層における感光剤の影響を試験する。比較例1~3において、保護層に用いられるワックスの粒子の粒度(PS)は、本発明の範囲外である。
【0081】
以下の表1に:
STDとは、上記実施例1の項目1)の[液体A]として記載がある標準的なアンダーコート層をいう。
「顕色剤」とは、本明細書及び特許請求の範囲において定義される式(II)をいう。
HS3520は、シュウ酸ビス(4-メチルベンジル)を意味する
EGMTEとは、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタンをいう。
Ste-Znはステアリン酸亜鉛を意味する
PEとはポリエチレンをいう。
PSは粒度を表す。
WBとは、ワイヤバーのコーティング方法をいう。
【0082】
評価測定方法
本発明に関する感熱記録媒体の使用において通常のバーコード画像を、試料感熱記録媒体上に照射して作成し、印刷した媒体をポリ塩化ビニル(信越重合体(株)製PVC)2シートと50℃で3日間接触させた。印刷された画像中の着色成分のPVCへの移動を示す光学的黒密度の程度を分光光度計(装置名=Exact、X-Rite,Inc.から入手可能)で測定した。密度が0.10の場合、目視検査により、着色成分の移動がないことが示唆される。0.15の濃度では、転写された画像の開始が見えるが、その結果は実用上許容できると考えられる。実用上の最大許容密度は0.20と考えられる。0.35の濃度では、提供されたバーコードはPVCに明瞭に転送され(たとえ原画像のように鋭敏でなくても)、このレベルの画像転送は受け入れられないと考えられる。許容度の降順では、順位I:密度≦0.11、順位II:密度0.12~0.14、順位III:密度0.15~0.19、順位IV:密度≧0.20である。
【0083】
バックグラウンドのアルコール耐性を、100%エタノール(EtOH)を含浸した綿中の感熱記録媒体を拭いて試験した。得られた密度が≦0.09であれば良好、ランクIであれば良好、0.10以上であれば許容度IIとする。
【0084】
画像の可塑剤耐性は、着色成分の可塑剤耐性を試験するために、本発明による感熱記録媒体に通常用いられるバーコード画像を、サンプル感熱記録媒体上に照射によって生成し、印刷媒体を50℃で3日間ポリ塩化ビニルシートに接触させた。印刷された画像中に残存する着色成分を示す光学的黒密度の度合いを測定した。残存率の平均:
残存率(%)= [試験後の光学的黒密度]/[試験前の光学的黒密度]*100
ランクI:残存率85%以上(良好)
ランクII:残存率84%未満(不良)
動的感度は、以下のように評価した:MarkPoint MK2プリンタを用いて、印加エネルギー8.88mJ/mm2を用いて画像を印刷した。黒色の光学的密度は分光光度計(装置名=Exact、X-Rite,Inc.から入手可能)を用いて測定した。値は、1.20以上が好ましい。
ランクI:光学密度1.20以上
ランクII:光学密度1.19未満
【0085】
【表1】
本出願は、2019年12月19日に出願された欧州特許出願第18306747号の優先権に基づき、その全内容は参照により本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0086】
1: 感熱記録媒体
11: 保護層
11a: 保護層
11b: 保護層
12: 感熱着色層
13: 支持層
14: 下塗層
15: バックレイヤー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【非特許文献】
【0088】