(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両制御方法及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/40 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
B60Q1/40 A
(21)【出願番号】P 2021576961
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2020031982
(87)【国際公開番号】W WO2022044112
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長澤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋平
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-76460(JP,A)
【文献】特開2010-184543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のウィンカーの点滅をコントローラによって消灯させる車両制御方法であって、
前記自車両が前記ウィンカーによって指示されている方向に進路を変更する第1進路変更を行っているか否かを検出し、
前記自車両が前記第1進路変更を行っていることが検出された場合に
、前記自車両が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、前記第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出し、
前記第2進路変更を可能とする道路が検出された場合に、前記ウィンカーを消灯する車両制御方法。
【請求項2】
前記自車両が前記第1進路変更を行っていることが検出された場合に
、前記第1進路変更の前後の道路を分ける境界線を検出し、
前記境界線が検出されなかった場合に
、前記第2進路変更を可能とする道路が存在するか否かを検出し、
前記境界線が検出された場合に、前記自車両が前記境界線を通過した否かを判定し、前記自車両が前記境界線を通過したと判定された場合に、前記ウィンカーを消灯する請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項3】
前記第2進路変更を可能とする道路が検出された場合に、前記自車両が前記第2進路変更を可能とする道路に到達するまでの所要走行時間を演算し、
前記所要走行時間が、所定の第1消灯時間を下回っているか否かを判定し、
前記所要走行時間が前記第1消灯時間を下回っていると判定された場合に、前記ウィンカーを消灯する請求項1又は2に記載の車両制御方法。
【請求項4】
前記所要走行時間が前記第1消灯時間を下回る前に、前記ウィンカーの点滅を開始してからの経過時間が所定の第2消灯時間を経過したと判定された場合に、前記ウィンカーを消灯する請求項3に記載の車両制御方法。
【請求項5】
前記第2進路変更を可能とする道路が検出されなかった場合に、前記ウィンカーの点滅を開始してからの経過時間が所定の第3消灯時間を経過したか否かを判定し、
前記ウィンカーの点滅を開始してからの経過時間が前記第3消灯時間を経過したと判定された場合に、前記ウィンカーを消灯する請求項1~4のいずれか1項に記載の車両制御方法。
【請求項6】
自車両の進路変更の方向を点滅によって指示するウィンカーと、
前記自車両の進路変更と、進路変更の方向とを検出する車両センサと
、
前記ウィンカーを消灯する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車両センサの検出結果に基づいて、前記自車両が前記ウィンカーによって指示されている方向に進路を変更する第1進路変更を行っているか否かを検出し、
前記自車両が前記第1進路変更を行っていることが検出された場合に
、前記自車両が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、前記第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出し、
前記第2進路変更を可能とする道路が検出された場合に、前記ウィンカーを消灯する車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の進路変更後にウィンカーを消灯する車両制御方法及び車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライバーがウィンカーレバーを操作して車線変更支援を要求した場合に、ステアリング機構に操舵トルクを付与して、ドライバーの操舵操作を支援する車線変更支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車線変更支援装置では、自車両の前方を撮影するカメラ部によって車線変更前の元車線と車線変更先の目標車線との境界線を撮影し、撮影された画像データを解析して境界線を検出し、自車両が境界線を通過したときにウィンカーの点滅を消灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前方を撮影するカメラ部では、境界線が擦れて薄くなっている道路や、境界線が存在しない道路、あるいは幅が広すぎて境界線がカメラの撮影範囲内に入らない道路等において境界線が検出できないため、車線変更等の進路変更後にウィンカーは消灯されない。そのため、進路変更を終えた後に、別の進路変更可能な道路が存在するような道路では、ウィンカーの点滅が継続される可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、前方を撮影するカメラによって境界線が検出できない道路であっても、進路変更後にウィンカーを消灯することができる車両制御方法及び車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両がウィンカーによって指示されている方向に進路を変更する第1進路変更を行っている場合に、自車両が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出し、第2進路変更を可能とする道路が検出された場合にウィンカーを消灯することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自車両の進路変更後に、さらに進路変更することが可能な道路が存在する場合にウィンカーを消灯するので、前方を撮像する撮像装置により境界線が検出できない道路であってもウィンカーの点滅を消灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両制御装置を含む車両システムの一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、左側車線と第1分岐路との間の第1境界線が存在する道路で進路変更時にウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【
図3】
図3は、左側車線と第1分岐路との間の第1境界線が消えている道路で進路変更時にウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は、左側車線と第1分岐路との間の第1境界線が無く、第2分岐路が存在しない道路で進路変更時にウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、片側3車線の道路で車線変更時にウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るウィンカー消灯制御の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、出口車線と、出口方向への分岐路とを備える道路で進路変更時のウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【
図8】
図8は、分岐路の前方に複数の料金所が存在する道路で進路変更時のウィンカー消灯制御を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る車両制御方法及び車両制御装置を実施した車両システム200の一例を示す構成図である。本実施形態の車両システム200は、車両に搭載されている。車両システム200は、車両をドライバーの運転操作に依らずに自律的に走行させる自律走行制御を行う。車両システム200により実行される自律走行制御は、車両の進路変更を行うことが可能である。なお、本実施形態において進路変更とは、右折又は左折のように車両の進行方向を変更するものではなく、車両が進行する道路(進路)を変更することをいう。また、道路には車線が含まれており、本実施形態の進路変更には車線変更も含まれる。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る車両システム200は、周辺環境センサ群10と、車両センサ群20と、ナビゲーションシステム30と、地図データベース40と、HMI(Human Machine Interface, HMI)50と、アクチュエータ制御装置60と、車両制御アクチュエータ群70と、ウィンカー80と、車両制御装置100とを含む。これらの装置又はシステムは、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0011】
周辺環境センサ群10は、自車両の周辺の状態(外部状態)を検出するセンサ群であって、自車両に設けられている。
図1に示すように、周辺環境センサ群10としては、例えば、レーダー11、撮像装置12が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
レーダー11は、自車両の周辺に存在する物体を検出する。レーダー11としては、例えば、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダー、レーザレンジファインダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。レーダー11は、例えば、電波を自車両の周辺に送信し、物体で反射された電波を受信することで、物体を検出する。具体的には、レーダー11は、物体が存在する方向及び物体までの距離を検出する。また、レーダー11は、物体が存在する方向及び物体までの距離の時間変化に基づいて、自車両に対する物体の相対速度(移動方向を含む)を検出する。レーダー11により検出された検出結果は、車両制御装置100に出力される。
【0013】
本実施形態では、レーダー11は自車両を中心としたときの全方位を検出対象としている。例えば、レーダー11は、自車両の前方、側方、及び後方それぞれに備えられ、自車両の前方に存在する物体を検出する前方レーダー、自車両の側方に存在する物体を検出する側方レーダー、及び自車両の後方に存在する物体を検出する後方レーダーで構成される。なお、自車両が備えるレーダー11の数及び種別は特に限定されない。
【0014】
撮像装置12は、自車両の周辺を撮像する。撮像装置12としては、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を備えるカメラが挙げられるが、これに限定されない。撮像装置12により撮像された撮像画像は、車両制御装置100に出力される。
【0015】
本実施形態では、撮像装置12は自車両を中心としたときの全方位を撮像対象としている。例えば、撮像装置12は、自車両の前方、側方、及び後方それぞれに備えられ、自車両の前方を撮像する前方カメラ121、自車両の側方を撮像する側方カメラ、自車両の後方を撮像する後方カメラで構成される。なお、本実施形態の自車両は、少なくとも前方カメラ121を備えていればよく、その他のカメラの配置位置及び配置数については特に限定されない。
【0016】
周辺環境センサ群10が検出する物体としては、例えば、歩行者、自転車、バイク、自動車(以降、他車両ともいう)、路上障害物、交通信号機等が挙げられる。例えば、自車両の進行方向に沿って走行する他車両が自車両の周辺に存在する場合、レーダー11は、自車両の位置を基準として他車両が存在する方向及び他車両までの距離と、自車両に対する他車両の相対速度を検出する。また、撮像装置12は、他車両の車種、他車両の大きさ、他車両の形状、及び路面標示等が特定可能な画像を撮像する。
【0017】
また、例えば、自車両が複数の車線のうち特定の車線を走行している場合、レーダー11は、自車両が走行している車線と、この車線の側方に位置する車線とを区切っているレーンマークを検出するとともに、自車両からレーンマークまでの距離を検出する。また、撮像装置12の前方カメラ121は、レーンマークの種別が特定可能な画像を撮像する。前方カメラ121の撮像画像は、車両制御装置100において解析され、レーンマークの種類と、自車両からレーンマークまでの距離とが検出される。なお、自車線の両側にレーンマークが存在する場合、レーダー11及び前方カメラ121は、それぞれのレーンマークについて、自車両からレーンマークまでの距離を検出する。前方カメラ121は、本発明の撮像装置の一例に相当する。なお、以降の説明においては、自車両が走行している車線を自車線、自車線の側方に位置する車線を隣接車線ともいう。
【0018】
車両センサ群20は、自車両の状態(内部状態)を検出するセンサ群である。
図1に示すように、車両センサ群20としては、例えば、車速センサ21、加速度センサ22、ジャイロセンサ23、操舵角センサ24、アクセルセンサ25、ブレーキセンサ26が挙げられるが、これらに限定されない。車両センサ群20は、本発明の車両センサの一例に相当する。
【0019】
車速センサ21は、ドライブシャフトなどの駆動系の回転速度を計測し、計測結果に基づいて自車両の走行速度を検出する。車速センサ21は、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトに設けられている。加速度センサ22は、自車両の加速度を検出する。加速度センサ22には、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサが含まれる。ジャイロセンサ23は、自車両が回転する速度、すなわち、単位時間あたりの自車両の角度の移動量(角速度)を検出する。操舵角センサ24は、ステアリングホイールの操舵角を検出する。操舵角センサ24は、例えば、自車両のステアリングシャフトに設けられている。アクセルセンサ25は、アクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダルの位置)を検出する。アクセルセンサ25は、例えば、アクセルペダルのシャフト部分に設けられている。ブレーキセンサ26は、ブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキペダルの位置)を検出する。ブレーキセンサ26は、例えば、ブレーキペダルのシャフト部分に設けられている。
【0020】
車両センサ群20により検出された検出結果は、車両制御装置100に出力される。検出結果には、例えば、自車両の車速、加速度(前後加速度及び横加速度を含む)、角速度、アクセルペダルの踏み込み量、ブレーキペダルの踏み込み量が含まれる。
【0021】
ナビゲーションシステム30は、自車両の現在位置の情報に基づいて、自車両の現在位置から目的地までの走行経路を示して自車両の乗員(ドライバーを含む)を誘導するシステムである。ナビゲーションシステム30には、地図データベース40から地図情報が入力されるとともに、自車両の乗員からHMI50を介して目的地の情報が入力される。ナビゲーションシステム30は、これらの入力情報に基づいて自車両の走行経路を生成する。そして、ナビゲーションシステム30は、自車両の走行経路の情報を車両制御装置100に出力するとともに、HMI50を介して自車両の乗員に自車両の走行経路の情報を提示する。これにより、乗員には現在位置から目的地までの走行経路が提示される。
【0022】
図1に示すように、ナビゲーションシステム30は、GPS装置31と、通信装置32と、ナビコントローラ33とを備える。
【0023】
GPS装置31は、現在の自車両の位置を示す位置情報を取得する(Global Positioning System, GPS)。GPS装置31は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する複数のGPS衛星から送信される電波を受信機で受信することによりで、自車両の位置情報を取得する。また、GPS装置31は、周期的に複数のGPS衛星から送信される電波を受信することで、自車両の位置情報の変化を検出することができる。
【0024】
通信装置32は、外部から自車両の周辺状況を取得する。通信装置32は、例えば、自車両の外部に設けられたサーバ又はシステムと通信可能な装置である。通信装置32は、他車両に搭載された通信装置と通信してもよい。
【0025】
例えば、通信装置32は、道路に設けられた情報発信装置(ビーコン)又はFM多重放送等により、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System, VICS(登録商標)、以下同じ)から道路交通情報を取得する。道路交通情報には、例えば、車線単位の渋滞情報、事故情報、故障車情報、工事情報、速度規制情報、車線規制情報などが含まれる。なお、道路交通情報には、上記の各情報が必ず含まれているわけではなく、少なくとも何れか一つの情報が含まれていればよい。
【0026】
また、例えば、通信装置32は、他車両に搭載された通信装置と通信可能な機能を有している場合には、他車両の車速情報及び他車両の位置情報を取得する。このような自車両と他車両で行われる通信は、車車間通信と称されている。通信装置32は、車車間通信により、他車両の車速等の情報を自車両の周辺情報として取得してもよい。
【0027】
なお、通信装置32は、VICSから、他車両の位置、車速、進行方向を含む情報を自車両の周辺情報として取得してもよい。
【0028】
ナビコントローラ33は、自車両の現在位置から目的地までの走行経路を生成するコンピュータである。例えば、ナビコントローラ33は、走行経路を生成するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。
【0029】
ナビコントローラ33には、GPS装置31から自車両の現在位置の情報が入力され、通信装置32から道路交通情報が入力され、地図データベース40から地図情報が入力され、HMI50から自車両の目的地の情報が入力される。例えば、自車両の乗員がHMI50を介して自車両の目的地を設定したとする。ナビコントローラ33は、自車両の位置情報、自車両の目的地の情報、地図情報、及び道路交通情報に基づいて、現在位置から目的地までの経路であって車線単位の経路を、自車両の走行経路として生成する。ナビコントローラ33は、生成した走行経路の情報を、車両制御装置100に出力するとともに、HMI50を介して自車両の乗員に提示する。
【0030】
なお、本実施形態では、自車両の走行経路は、自車両が現在位置から目的地に到着可能な経路であればよく、その他の条件については限定されない。例えば、ナビコントローラ33は、乗員により設定された条件に従って、自車両の走行経路を生成してもよい。例えば、乗員が有料道路を優先的に使用して目的地まで到着するような設定を行った場合、ナビコントローラ33は、地図情報に基づいて、有料道路を使用した走行経路を生成してもよい。また、例えば、ナビコントローラ33は、道路交通情報に基づいて、自車両の走行経路を生成してもよい。例えば、目的地までの最短経路の途中で渋滞が発生している場合、ナビコントローラ33は、迂回経路を探索し、探索された複数の迂回経路のうち所要時間が最短となる経路を、走行経路として生成してもよい。
【0031】
地図データベース40は、地図情報を格納している。地図情報には、道路情報と交通規則情報が含まれている。道路情報及び交通規則情報は、ノードと、ノード間を接続するリンク(道路リンクともいう)により定義される。リンクは車線レベルで識別される。
【0032】
道路情報は、車両が走行可能な道路に関する情報である。各道路リンクには、例えば、道路の種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接車線への進入の可否)、車線変更の可否その他の道路に関する情報が紐づけられているが、道路リンクに紐づけられる情報はこれらに限定されない。その他にも、各道路リンクには、例えば、信号機の設置位置、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報が紐づけられている。
【0033】
交通規則情報は、車両が走行時に遵守すべき交通に関する規則である。交通規則としては、例えば、経路上における一時停止、駐車/停車禁止、徐行、制限速度、車線変更禁止が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各道路リンクには、道路リンクで定義される区間における交通規則の情報が紐づけられている。例えば、車線変更禁止区間における道路リンクには、車線変更禁止の情報が紐づけられている。なお、交通規則の情報は、道路リンクだけでなく、例えば、ノード又は地図上の特定の地点(緯度、経路)に紐づけられていてもよい。
【0034】
また、交通規則情報には、交通規則に関する情報だけでなく、信号機に関する情報が含まれていてもよい。例えば、信号機が設置されている交差点の道路リンクには、信号機が現在表示している色の情報、及び/又は信号機の表示が切り替わる周期の情報が紐づけられていてもよい。信号機に関する情報は、例えば、通信装置32によって、VICSから取得されたり、あるいは、道路上に設けられた情報発信装置(例えば、光ビーコン)から取得されたりする。信号機の表示情報は、時間の経過とともに変化する。そのため、交通規則情報は所定の周期毎に更新される。
【0035】
なお、地図データベース40に格納される地図情報は、自律走行制御に適した高精度地図情報でもよい。高精度地図情報は、例えば、自車両の外部に設けられたサーバ又はシステムとの通信により取得される。また、高精度地図情報は、周辺環境センサ群10を用いてリアルタイムに取得した情報(例えば、レーダー11により検出された物体の情報、撮像装置12により撮像された自車両の周辺の画像)に基づいて、随時生成されてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、車両システム200が地図データベース40を備える構成を例に挙げて説明するが、車両システム200の外部に設けられていてもよい。例えば、地図情報は、可搬型の記憶装置(例えば、外付けHDD、フラッシュメモリ)に予め記憶されていてもよい。この場合、車両制御装置100と地図情報を記憶する記憶装置とを電気的に接続することで、記憶装置が地図データベース40として機能する。
【0037】
HMI50は、自車両の乗員と車両システム200との間で情報の出力及び入力を行うためのインターフェースである。HMI50としては、例えば、乗員により操作されるボタン、スイッチ及びタッチパネル、文字又は画像情報を表示するディスプレイ、音楽又は音声など音を出力するスピーカ、乗員の音声が入力されるマイク等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
HMI50を介した情報の授受について説明する。例えば、目的地を設定するために、乗員がHMI50に対して目的地を入力すると、目的地の情報は、HMI50からナビゲーションシステム30に出力される。これにより、ナビゲーションシステム30は、自車両の目的地の情報を取得することができる。また、例えば、ナビゲーションシステム30が目的地までの走行経路を生成すると、走行経路の情報は、ナビゲーションシステム30からHMI50へ出力される。そして、HMI50は、走行経路の情報をディスプレイ及び/又はスピーカから出力する。これにより、自車両の乗員には、目的地までの走行経路の情報が提示される。目的地までの走行経路の情報としては、例えば、ルートの案内、目的地までの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
また、例えば、自車両を車線変更させるために、乗員がHMI50に対して車線変更の実行指令を入力すると、車線変更の実行指令は、HMI50から車両制御装置100に出力される。これにより、車両制御装置100は、車線変更の制御処理を開始することができる。また、例えば、車両制御装置100が車線変更のための目標軌跡を設定すると、目標軌跡の情報は、車両制御装置100からHMI50へ出力される。そして、HMI50は、目標軌跡の情報をディスプレイ及び/又はスピーカから出力する。これにより、自車両の乗員には、車線変更のための目標軌跡の情報が提示される。車線変更のための目標軌跡の情報としては、例えば、隣接車線上で特定された進入位置、車線変更する際の目標軌跡が挙げられるが、これらに限定されない。なお、目標軌跡及び進入位置については後述する。
【0040】
アクチュエータ制御装置60は、自車両の走行を制御する。アクチュエータ制御装置60は、ステアリング制御機構、アクセル制御機構、ブレーキ制御機構、駆動部制御機構等を備えている。駆動部とは、車両の駆動源となるエンジン及びモータである。アクチュエータ制御装置60には、後述する車両制御装置100から制御信号が入力される。アクチュエータ制御装置60は、車両制御装置100からの制御信号に応じて、車両制御アクチュエータ群70を制御することで、自車両の自律走行制御を実現する。例えば、アクチュエータ制御装置60に自車両を自車線から隣接車線へ移動させるための制御信号が入力されると、アクチュエータ制御装置60は、制御信号に応じて、自車両の移動に必要な操舵角、移動速度に応じたアクセル踏み込み量又はブレーキ踏み込み量を算出する。アクチュエータ制御装置60は、算出した各種パラメータを車両制御アクチュエータ群70に出力する。
【0041】
なお、各機構の制御は、完全に自動で行われてもよいし、運転者の運転操作を支援する態様で行われてもよい。各機構の制御は、運転者の介入操作により中断又は中止させることができる。アクチュエータ制御装置60による走行制御方法は、上記の制御方法に限られず、その他の周知の方法を用いることもできる。
【0042】
車両制御アクチュエータ群70は、自車両を駆動するための各種アクチュエータである。
図1に示すように、車両制御アクチュエータ群70としては、例えば、ステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72、ブレーキ制御アクチュエータ73が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
ステアリングアクチュエータ71は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータ72は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータ73は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0044】
ウィンカー80は、自車両が進行方向の変更と、進路変更とを行う際に、進行方向の変更方向と、進路変更の方向とを自車両の周囲に表示する。なお、進行方向の変更は、右折及び左折等を含む。また、進路変更は、分岐地点や合流地点、料金所等における進路変更と、車線変更等を含む。ウィンカー80は、例えば、自車両の前端及び後端の左右に設けられたウィンカーランプと、各ウィンカーランプを制御するウィンカー制御回路とを備える。ウィンカー制御回路は、方向指示スイッチ(図示せず)が左方向指示位置に操作された場合に、左側のウィンカーランプを点滅する。また、ウィンカー制御回路は、方向指示スイッチが右方向指示位置に操作された場合に、右側のウィンカーランプを点滅する。ウィンカー制御回路は、方向指示スイッチが左方向指示位置と右方向指示位置との中立位置に操作された場合に、ウィンカーランプを消灯する。方向指示スイッチは、上述したHMI50に含まれる。
【0045】
また、本実施形態では、ウィンカー制御回路に車両制御装置100から制御信号が入力される。制御信号は、ウィンカー80を作動するための信号であり、消灯しているウィンカーランプを点滅させる信号(点滅信号ともいう)と、点滅しているウィンカーランプを消灯させる信号(消灯信号ともいう)が挙げられる。例えば、ウィンカー制御回路に左側のウィンカーランプを点滅させる点滅信号が入力されると、ウィンカー制御回路は、左側のウィンカーランプを点滅させる。また、ウィンカー制御回路に左側のウィンカーランプを消灯させる消灯信号が入力されると、ウィンカー制御回路は、左側のウィンカーランプを消灯させる。このように、ウィンカー80は、自車両の運転者による手動操作に加え、車両制御装置100により点滅及び消灯が制御される。
【0046】
次に、車両制御装置100について説明する。本実施形態の車両制御装置100は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
図1に示す制御装置101はCPUに相当し、本発明のコントローラ及び制御部の一例に相当する。記憶装置110は、ROM及びRAMに相当する。
【0047】
なお、本実施形態では、制御装置101により実行されるプログラムが記憶装置110に予め記憶されている構成を例に挙げて説明するが、プログラムが記憶される場所は記憶装置110に限定されない。例えば、プログラムは、コンピュータが読み取ることができ、かつ、可搬型のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、ディスクメディア、フラッシュメモリなど)に記憶されていてもよい。この場合、制御装置101は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からダウンロードしたプログラムを実行する。言い換えると、車両制御装置100が動作回路のみを備え、プログラムを外部からダウンロードする構成であってもよい。
【0048】
制御装置101は、各種情報を取得する情報取得部102と、自車両の自立走行制御を行う自律走行制御部103と、自立走行制御中に進路変更が可能な道路を検出する進路検出部104と、自立走行制御に関する制御シーケンスを管理する制御シーケンス管理部105とを備えている。制御装置101は、記憶装置110に記憶されているプログラムを実行することにより、これらの各機能ブロックとして機能する。
【0049】
なお、本実施形態では、制御装置101が有する機能の一部を、3つの機能ブロックとして分けた上で、各機能ブロックの機能を説明しているが、制御装置101の機能は必ずしも3つのブロックで分ける必要はなく、2つ以下の機能ブロック、あるいは、4つ以上の機能ブロックで分けてもよい。また、自車両の走行経路の生成をナビゲーションシステム30のナビコントローラ33で行うように説明したが、制御装置101に走行経路を生成するための機能ブロックを設けてもよい。さらに、制御装置101が有する機能は、以下で説明する機能ブロックの機能に限らず、例えばナビゲーションシステムの制御機能等も有している。
【0050】
情報取得部102の機能について説明する。情報取得部102は、周辺環境センサ群10、車両センサ群20、ナビゲーションシステム30、地図データベース40、HMI50のそれぞれから、各種情報を取得する。
【0051】
情報取得部102は、周辺環境センサ群10により検出された、自車両の周辺情報(自車両の外部情報ともいう)を取得する。自車両の周辺情報には、レーダー11により検出された検出結果、及び撮像装置12により撮像された撮像画像が含まれる。また、情報取得部102は、車両センサ群20により検出された、自車両の状態を示す情報(自車両の内部情報ともいう)を取得する。自車両の内部情報には、自車両の車速、加速度、角速度、アクセルペダルの踏み込み量、及びブレーキペダルの踏み込み量が含まれる。また、情報取得部102は、ナビゲーションシステム30から、自車両の現在位置、自車両の走行経路、及び道路交通情報を取得する。また、情報取得部102は、地図データベース40から、地図情報(道路情報及び交通規則情報を含む)を取得する。さらに、情報取得部102は、乗員によるHMI50の操作情報を取得する。例えば、HMI50の操作情報として、情報取得部102は、ドライバーによる方向指示スイッチの操作位置(中立位置、左方向指示位置及び右方向指示位置)を示す情報を取得する。
【0052】
自律走行制御部103は、情報取得部102により取得した自車両の現在位置と、目的地までの走行経路と、自車両の周辺情報と、自車両の内部情報と、道路交通情報及び地図情報と、HMI50の操作情報とに基づいて、自車両の自律走行制御を行う。自律走行制御部103により実行される自律走行制御には、例えば、「車速・車間制御」と、「車線維持制御」と、「車線変更支援制御」と、「追い越し支援制御」と、「ルート走行支援制御」等がある。
【0053】
「車速・車間制御」及び「車線維持制御」について説明する。自律走行制御部103は、ドライバーにより自律走行制御を開始するためのHMI50の操作が行われた場合に、「車速・車間制御」及び「車線維持制御」を開始する。「車速・車間制御」には、自車両の走行速度を制御する車速制御と、自車両と先行車との車間距離を制御する車間制御とが含まれる。また、「車線維持制御」は、自車両が車線の中央付近を自律走行するように制御する。
【0054】
自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10により、自車線の前方に先行車が存在しないことが検出された場合に車速制御を実行する。この車速制御では、自律走行制御部103は、ドライバーが設定した車速(以下、設定車速ともいう)を維持するように、自車両の走行速度を制御する。具体的には、自律走行制御部103は、車速センサ21により検出された車速データをフィードバックしながら、設定車速を維持するように、アクチュエータ制御装置60によりアクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0055】
自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10により、自車線の前方に先行車が存在することが検出された場合に車間制御を実行する。この車間制御では、自律走行制御部103は、ドライバーの設定車速を上限にして、車速に応じた車間距離を保つように車速を制御する。具体的には、自律走行制御部103は、レーダー11等によって検出した車間距離データをフィードバックしながら、設定された車間距離を維持するように、アクチュエータ制御装置60によりアクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。なお、自律走行制御部103は、車間制御の実行中に先行車が停止した場合には、先行車に続いて自車両を停止させる。また、自律走行制御部103は、自車両の停止後、所定時間以内に先行車が発進すると、自車両を発進させて再び車間制御を開始する。
【0056】
なお、「車速・車間制御」の設定車速は、ドライバーにより設定してもよいし、自律走行制御部103によって設定してもよい。自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10により道路標識から走行中の道路の制限速度を検出し、あるいは地図データベース40の地図情報から制限速度を取得して、その制限速度を自動的に設定車速に設定してもよい。
【0057】
自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10によりレーンマーク等の路面標示が検出可能であるときに、「車線維持制御」を実行する。自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10により検出されたレーンマーク等の路面標示に基づいて、自車線内における自車両の位置を演算する。また、自律走行制御部103は、演算した自車線内の自車両の位置をフィードバックしながら、自車両が自車線の中央付近を走行するように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71を制御する。
【0058】
次に、「車線変更支援制御」について説明する。「車線変更支援制御」は、自車両が自律走行によって車線変更を行うように制御する。自律走行制御部103は、「車速・車間制御」及び「車線維持制御」の実行中に、ドライバーにより方向指示スイッチが操作され、かつ、所定の車線変更条件を満たしていると判定した場合に、「車線変更支援制御」を開始する。自律走行制御部103は、情報取得部102により取得した自車両の現在位置と、自車両の周辺情報と、自車両の内部情報と、道路交通情報及び地図情報とに基づいて、車線変更条件を満たしているか否かを判定する。車線変更条件として、特に限定されないが、例えば、「車線変更方向に車線がある」、「車線変更先の車線に自車両が車線変更可能なスペースがある」、「レーンマークの種別が車線変更可能である」等が挙げられる。
【0059】
自律走行制御部103は、車線変更条件を満たしていると判定すると、ウィンカー80のウィンカー制御回路に点滅信号を出力する。ウィンカー制御回路は、点滅信号に応じて車線変更方向のウィンカーランプを点滅させる。また、自律走行制御部103は、周辺環境センサ群10により検出されたレーンマーク等の路面標示に基づいて、自車線内における自車両の位置を演算する。自律走行制御部103は、演算した自車両の位置をフィードバックしながら、自車両が自車線から隣接車線へ車線変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0060】
自律走行制御部103は、加速度センサ22により検出された横加速度と、ジャイロセンサ23により検出された角速度等に基づいて、自車両がウィンカー80によって指示されている方向に車線変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両が車線変更を行っていることを検出すると、所定のウィンカー消灯制御を実行する。このウィンカー消灯制御では、自律走行制御部103は、所定のウィンカー消灯条件が満たされているか否かを判定し、ウィンカー消灯条件が満たされていると判定した場合に、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。ウィンカー制御回路は、消灯信号に応じてウィンカーランプを消灯させる。自律走行制御部103は、車線変更の終了後、変更先の車線内で「車速・車間制御」及び「車線維持制御」を実行する。
【0061】
次に、「追い越し支援制御」について説明する。「追い越し支援制御」は、自車両が自律走行によって先行車の追い越しを行うように制御する。自律走行制御部103は、「車速・車間制御」及び「車線維持制御」の実行中に、周辺環境センサ群10によって自車両の設定車速よりも遅い先行車を検出し、かつ、所定の追い越し提案条件を満たしている場合に、ドライバーに追い越し情報を提示する。追い越し情報は、ドライバーに先行車の追い越しを提案するための情報である。追い越し提案条件として、特に限定されないが、例えば、「車線変更方向に車線がある」、「車線変更先の車線に、所定時間後に自車両が車線変更可能なスペースがある」、「レーンマークの種別が車線変更可能である」等が挙げられる。追い越し情報の提示は、ナビゲーションシステム30のディスプレイや、メータパネル内の情報表示用ディスプレイに視認できるように表示してもよいし、自車両内のスピーカを利用して音声により提示してもよい。
【0062】
自律走行制御部103は、ドライバーが追い越し情報に同意して先行車の追い越しを行う意志があるか否かを検出する。具体的には、自律走行制御部103は、ドライバーによるHMI50の操作情報に基づいて、先行車の追い越しを承諾するための所定の承諾操作、又は追い越しを承諾しないための所定のキャンセル操作を検出する。
【0063】
自律走行制御部103は、ドライバーによる承諾操作が検出され、かつ、所定の追い越し条件を満たしていると判定した場合に、先行車を追い越すための自律走行制御を実行する。自律走行制御部103は、情報取得部102により取得した自車両の現在位置と、自車両の周辺情報と、自車両の内部情報と、道路交通情報及び地図情報とに基づいて、追い越し条件を満たしている否かを判定する。追い越し条件として、特に限定されないが、例えば、「追い越しするための車線がある」、「追い越しするための車線に自車両が車線変更可能なスペースがある」、「レーンマークの種別が車線変更可能である」等が挙げられる。
【0064】
自律走行制御部103は、追い越し条件を満たしていると判定すると、「車線変更支援制御」と同様に、ウィンカー80を制御して、追い越しのために車線変更を行う方向のウィンカーランプを点滅させる。また、自律走行制御部103は、「車線変更支援制御」と同様に、自車両が自車線から隣接車線へ車線変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0065】
自律走行制御部103は、「車線変更支援制御」と同様に、自車両がウィンカー80によって指示されている方向に車線変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両が車線変更を行っていることを検出すると、所定のウィンカー消灯制御を実行する。このウィンカー消灯制御では、自律走行制御部103は、所定のウィンカー消灯条件が満たされているか否かを判定し、ウィンカー消灯条件が満たされていると判定した場合に、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。ウィンカー制御回路は、消灯信号に応じてウィンカーランプを消灯させる。自律走行制御部103は、車線変更の終了後、変更先の車線内で「車速・車間制御」及び「車線維持制御」を実行する。
【0066】
自律走行制御部103は、自車両による先行車の追い越し後、所定の車線復帰提案条件を満たしている場合に、ドライバーに車線復帰情報を提示する。車線復帰情報は、ドライバーに先行車を追い越す前の元の車線に戻ることを提案するための情報である。例えば、自車両が左側通行の2車線道路で左側の車線を走行中に、右側の車線に車線変更して先行車を追い越した場合には、車線復帰情報により、元の左側車線に戻ることが提案される。車線復帰提案条件として、特に限定されないが、例えば、追い越し提案条件と同様の条件が挙げられる。車線復帰情報の提示は、ナビゲーションシステム30のディスプレイや、メータパネル内の情報表示用ディスプレイに視認できるように表示してもよいし、自車両内のスピーカを利用して音声により提示してもよい。
【0067】
自律走行制御部103は、ドライバーが車線復帰情報に同意して元の車線に車線変更を行う意志があるか否かを検出する。具体的には、自律走行制御部103は、ドライバーによるHMI50の操作情報に基づいて、車線変更を承諾するための所定の承諾操作、又は車線変更を承諾しないための所定のキャンセル操作を検出する。自律走行制御部103は、ドライバーによる承諾操作が検出され、かつ、所定の車線変更条件を満たしていると判定した場合に、「車線変更支援制御」と同様に、ウィンカー80及びアクチュエータ制御装置60を制御して元の車線への車線変更を行う。車線変更条件は、例えば、「車線変更支援制御」の車線変更条件と同様の条件が挙げられる。また、自律走行制御部103は、車線変更の終了後、変更先の車線内で「車速・車間制御」及び「車線維持制御」を実行する。
【0068】
次に、「ルート走行支援制御」について説明する。「ルート走行支援制御」は、自車両が、目的地まで設定された走行経路に従って自律走行を行うように制御する。自律走行制御部103は、ナビゲーションシステム30により目的地までの走行経路が生成され、「車速・車間制御」及び「車線維持制御」が実行中であり、かつ自車両が高速道路等の自動車専用道路を走行していることが検出された場合に、「ルート走行支援制御」を実行する。
【0069】
自律走行制御部103は、目的地までの走行経路から分岐地点や合流地点、出口や料金所等の進路変更(車線変更を含む)を行う必要がある地点(以下、進路変更地点という)を検出する。また、自律走行制御部103は、所定の進路変更提案条件を満たしている場合に、ドライバーに進路変更を提案するための進路変更情報を提示する。進路変更提案条件として、特に限定されないが、例えば、「自車両の現在位置から進路変更地点までの距離が所定距離以内である」、「進路変更先の道路(車線を含む)に、所定時間後に自車両が進路変更可能なスペースがある」、「レーンマークの種別が進路変更可能である」等が挙げられる。進路変更情報の提示は、ナビゲーションシステム30のディスプレイや、メータパネル内の情報表示用ディスプレイに視認できるように表示してもよいし、自車両内のスピーカを利用して音声により提示してもよい。
【0070】
自律走行制御部103は、ドライバーが進路変更情報に同意して進路変更を行う意志があるか否かを検出する。具体的には、自律走行制御部103は、ドライバーによるHMI50の操作情報に基づいて、進路変更を承諾するための所定の承諾操作、又は進路変更を承諾しないための所定のキャンセル操作を検出する。
【0071】
自律走行制御部103は、ドライバーによる承諾操作が検出され、かつ、所定の進路変更条件を満たしていると判定した場合に、自車両の進路変更を行うための自律走行制御を実行する。自律走行制御部103は、情報取得部102により取得した自車両の現在位置と、自車両の周辺情報と、自車両の内部情報と、道路交通情報及び地図情報とに基づいて、進路変更条件を満たしている否かを判定する。進路変更条件として、特に限定されないが、例えば、「進路変更先の道路に自車両が進路変更可能なスペースがある」、「レーンマークの種別が車線変更可能である」等が挙げられる。
【0072】
自律走行制御部103は、進路変更条件を満たしていると判定すると、「車線変更支援制御」等と同様に、ウィンカー80のウィンカー制御回路に点滅信号を出力して、進路変更を行う方向のウィンカーランプを点滅させる。また、自律走行制御部103は、「車線変更支援制御」等と同様に、自車両が進路変更先の道路へ進路変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0073】
自律走行制御部103は、「車線変更支援制御」等と同様に、自車両がウィンカー80によって指示されている方向に進路変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両が進路変更を行っていることを検出すると、所定のウィンカー消灯制御を実行する。このウィンカー消灯制御では、自律走行制御部103は、所定のウィンカー消灯条件が満たされているか否かを判定し、ウィンカー消灯条件が満たされていると判定した場合に、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。ウィンカー制御回路は、消灯信号に応じてウィンカーランプを消灯させる。
【0074】
自律走行制御部103は、進路変更の終了後、進路変更先の道路の種類に応じて、自律走行制御の内容を切り替える。すなわち、進路変更が自動車専用道路間の分岐や合流、自動車専用道路内での車線変更である場合には、自律走行制御部103は、「ルート走行支援制御」を継続する。また、進路変更が、自動車専用道路の出口や料金所への進路変更である場合には、自律走行制御部103は、「ルート走行支援制御」を中止し、「車速・車間制御」及び「車線維持制御」を実行する。
【0075】
次に、上記のウィンカー消灯制御について説明する。本実施形態は、ウィンカー消灯制御として、「第1ウィンカー消灯制御」、「第2ウィンカー消灯制御」及び「第3ウィンカー消灯制御」を実行する。「第1ウィンカー消灯制御」では、自車両がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っており、かつ、自車両が進路変更前後の道路を分ける境界線を越えたことが検出された場合に、ウィンカー80が消灯される。「第2ウィンカー消灯制御」では、自車両がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っており、かつ、自車両の前方に自車両が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路が存在することが検出された場合に、ウィンカー80が消灯される。「第3ウィンカー消灯制御」では、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の消灯時間を経過した場合に、ウィンカー80が消灯される。
【0076】
図2に示す道路を例にして、本実施形態の「第1ウィンカー消灯制御」、「第2ウィンカー消灯制御」及び「第3ウィンカー消灯制御」について説明する。
図2に示す道路は、左側通行で、かつ、片側2車線の走行車線を有する高速道路等の自動車専用道路のうち、一方の片側車線のみを図示したものである。
図2では、左側から右側に向かって車両が走行する。この道路には、左側車線L1の左端と、右側車線L2の右端に、車線の境界を示す実線状のレーンマークLm1、Lm2が設けられている。左側車線L1と右側車線L2との間には、車線間の境界を示す破線状のレーンマークLm3が設けられている。
【0077】
また、左側車線L1には、左側車線L1とは進路が異なる第1分岐路L3が接続されている。第1分岐路L3の左端には、第1分岐路L3の境界を示す実線状のレーンマークLm4が設けられている。左側車線L1と第1分岐路L3との間には、車両を第1分岐路L3へ誘導するための導流帯Z1が設けられている。左側車線L1のレーンマークLm1は、第1分岐路L3との接続部が、左側車線L1と第1分岐路L3との境界を示す破線状の第1境界線B1となっている。
【0078】
第1分岐路L3の前方(図中右方)には、第1分岐路L3とは進路が異なる第2分岐路L4が接続されている。第2分岐路L4の左端には、第2分岐路L4の境界を示す実線状のレーンマークLm5が設けられている。第1分岐路L3と第2分岐路L4との間には、車両を第2分岐路L4へ誘導するための導流帯Z2が設けられている。第1分岐路L3のレーンマークLm4は、第2分岐路L4との接続部が、第1分岐路L3と第2分岐路L4との境界を示す破線状の第2境界線B2となっている。
【0079】
なお、図中実線で示す車両は、本実施形態の車両システム200を搭載した自車両V1である。また、図中破線で示す自車両V1は、自車両V1の走行後の位置を示している。自車両V1の左側に示す放射状の線は、ウィンカー80が点滅状態であることを示している。また、第1分岐路L3は、本発明の「第1進路変更」を行う道路の一例に相当する。第2分岐路L4は、本発明の「自車両が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路」の一例に相当する。
【0080】
このような道路において、本実施形態の自車両V1は、例えば、「ルート走行支援制御」により、左側車線L1から第1分岐路L3へ進路変更を行い、第2分岐路L4では進路変更を行わずに、第1分岐路L3を進行する。なお、
図2に示す道路のように、複数の分岐路L3、L4が比較的近い位置に存在する道路では、自車両V1が最初の第1分岐路L3へ進路変更を終えた後、適切なタイミングでウィンカー80を消灯する必要がある。ウィンカー80が適切なタイミングで消灯されない場合、自車両V1は、ウィンカー80の点滅を継続した状態で次の第2分岐路L4に到達してしまう可能性がある。このように、ウィンカー80の点滅を継続した状態で次の第2分岐路L4に到達した場合、後続車両に対し、自車両V1が連続して進路変更を行うような誤解を与えてしまう可能性がある。
【0081】
まず始めに、「第1ウィンカー消灯制御」について説明する。
図2に示すように、自車両V1は、本実施形態の自律走行制御部103による「ルート走行支援制御」により、左側車線L1から第1分岐路L3に進路変更し、第1分岐路L3を直進するような走行経路を自律走行している。自律走行制御部103は、第1分岐路L3を上述した進路変更地点として検出している。自律走行制御部103は、所定の進路変更提案条件を満たしている場合に、ドライバーに第1分岐路L3への進路変更を提案するための進路変更情報を提示する。自律走行制御部103は、ドライバーが進路変更情報に同意して進路変更を行う意志があるか否かを検出する。自律走行制御部103は、ドライバーによる承諾操作が検出され、かつ、所定の進路変更条件を満たしていると判定した場合に、自車両V1を第1分岐路L3へ進路変更するための自律走行制御を実行する。
【0082】
自律走行制御部103は、自車両V1の現在位置が、第1分岐路L3の分岐開始点Bs1から所定時間(例えば、3秒)手前の位置P1に到達したときに、ウィンカー80のウィンカー制御回路に左方向のウィンカーランプを点滅させるための点滅信号を出力する。なお、分岐開始点Bsとして、第1分岐路L3と左側車線L1との進行方向手前側の接続点を用いたが、第1分岐路L3と左側車線L1との進行方向奥側の接続点を用いてもよいし、手前側の接続点と奥側の接続点との中間位置を用いてもよい。
【0083】
自律走行制御部103は、自車両V1が第1分岐路L3の分岐開始点Bs1の近傍の位置P2に到達すると、自車両V1が左側車線L1から第1分岐路L3へ進路変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0084】
自律走行制御部103は、加速度センサ22により検出された横加速度と、ジャイロセンサ23により検出された角速度等に基づいて、自車両がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両V1が進路変更を行っていることを検出すると、「第1ウィンカー消灯制御」を開始する。なお、自車両V1が加速度センサ22やジャイロセンサ23等を備えていない場合には、自律走行制御部103により前方カメラ121の撮像画像を解析し、その解析結果に基づいて、自車両V1がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っているか否かを検出してもよい。すなわち、前方カメラ121は、本発明の車両センサの一例に相当する。
【0085】
自律走行制御部103は、撮像装置12の前方カメラ121の撮像画像を解析して、左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1を検出する。また、自律走行制御部103は、撮像画像を解析結果から、自車両V1と第1境界線B1との相対位置を検出し、自車両V1が第1境界線B1を越えたか否かを判定する。自律走行制御部103は、自車両V1が第1境界線B1を越えたと判定した場合に(例えば、図中P3に示す位置)、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。なお、自車両V1が第1境界線B1を越えた位置P3は、自車両V1の重心位置が第1境界線B1を越えた位置としてもよいし、自車両V1の一部又は全部が第1境界線B1を越えた位置としてもよい。
【0086】
このように、「第1ウィンカー消灯制御」によれば、自車両V1の進路変更前後の道路を分ける第1境界線B1を前方カメラ121により検出し、自車両V1が第1境界線B1を越えたことが検出された場合に、ウィンカー80を消灯する。したがって、
図2に示すように、自車両V1が第2分岐路L4の近傍の位置P4に到達したときには、既にウィンカー80は消灯されているので、後続車両に対し、自車両V1が連続して進路変更を行うような誤解を与えてしまうことはない。
【0087】
次に、「第2ウィンカー消灯制御」について説明する。
図3は、
図2に示す道路と同じ道路であるが、左側車線L1と第1分岐路L3との間の第1境界線B1が、多数の車両の走行により擦れて消えている。自車両V1は、本実施形態の自律走行制御部103による「ルート走行支援制御」により、左側車線L1から第1分岐路L3に進路変更し、第1分岐路L3を直進するような走行経路を自律走行している。自律走行制御部103は、上記の「第1ウィンカー消灯制御」で説明した場合と同様に、ドライバーに進路変更情報を提示し、ドライバーによる承諾操作が検出され、かつ、所定の進路変更条件を満たしていると判定した場合に、自車両V1の進路変更を行うための自律走行制御を実行する。
【0088】
自律走行制御部103は、「第1ウィンカー消灯制御」で説明した場合と同様に、自車両V1が位置P1に到達したときに、ウィンカー制御回路に左方向のウィンカーランプを点滅させるための点滅信号を出力する。自律走行制御部103は、自車両V1が位置P2に到達すると、自車両V1が左側車線L1から第1分岐路L3へ進路変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0089】
自律走行制御部103は、「第1ウィンカー消灯制御」で説明した場合と同様に、自車両がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両が進路変更を行っていることを検出すると、撮像装置12の前方カメラ121の撮像画像を解析して、左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1を検出する。しかしながら、
図3に示す道路では、多数の車両の走行により第1境界線B1が擦れて消えているため、撮像画像から第1境界線B1を検出することはできない。このように、出口車線や分岐路に設けられている境界線は、多くの車両が通過する上、通過箇所も限定されるため、擦れて薄くなったり、あるいは消えてしまったりすることがあり、検出しにくい場合が多い。なお、進路変更前後の道路の境界線が検出できなくなる原因には、境界線が擦れて薄くなる以外に、そもそも境界線が存在しない場合、あるいは道路の幅が広すぎて境界線が前方カメラ121の撮影範囲内に入らない場合等がある。
【0090】
自律走行制御部103は、第1境界線B1が検出できない場合には、「第1ウィンカー消灯制御」に代えて、「第2ウィンカー消灯制御」を実行する。自律走行制御部103は、前方カメラ121の撮像画像を、
図1に示す進路検出部104に解析させる。進路検出部104は、自車両V1の前方に、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出する。すなわち、自律走行制御部103は、左側車線L1から第1分岐路L3への進路変更を自車両V1の第1進路変更としたときに、この第1進路変更後の道路である第1分岐路L3から分岐する道路であって、自車両V1の第2進路変更が可能な道路が存在するか否かを進路検出部104に検出させる。
【0091】
なお、本実施形態において、分岐とは、車両が走行可能な道路が進路の異なる複数の道路に分かれること、あるいは分かれる場所を言う。また、第1進路変更後の道路から分岐する道路とは、第1進路変更後の道路から異なる進路に向かって分かれる道路を言う。このように、自車両V1の第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路を検出するのは、例えば、片側3車線以上の道路において、自車両V1が進路変更として車線変更を行う場合に、車線変更の途中で他の車線が第2進路変更可能な道路として検出され、ウィンカー80が車線変更の途中で消灯されるのを防ぐためである。なお、片側3車線以上の道路における車線変更については、詳しくは後述する。
【0092】
図3に示す道路において、進路検出部104による道路の検出が行われた場合、第2分岐路L4が「第2進路変更を可能とする道路」として検出される。すなわち、第2分岐路L4は、第1分岐路L3から分岐し、かつ、自車両V1が第1分岐路L3から進路を変更することが可能な道路である。したがって、第2分岐路L4は、「第2進路変更を可能とする道路」として検出される。進路検出部104は、前方カメラ121の撮像画像から、第1分岐路L3と第2分岐路L4の間に設けられているV字状の導流帯Z2を検出することにより、第2分岐路L4を検出する。なお、進路検出部104は、導流帯Z2ではなく、第2分岐路L4自体を検出してもよい。
【0093】
なお、進路検出部104は、前方カメラ121の撮影可能距離(あるいは、撮像画像から第2進路変更を可能とする道路が検出可能な解像度が得られる距離)に関わらず、ウィンカー消灯制御に適した距離に存在する道路を「第2進路変更を可能とする道路」として検出する。例えば、前方カメラ121の撮影可能距離が100mである場合、進路検出部104は、撮影可能距離に存在する道路を「第2進路変更を可能とする道路」として検出するのではなく、例えば、自車両V1から10~50m以内の距離に存在する道路を「第2進路変更を可能とする道路」として検出する。なお、進路検出部104により、「第2進路変更を可能とする道路」を検出する距離範囲は、10~50m以内に限定されず、ウィンカー消灯制御に適した距離であれば、他の任意の距離範囲であってもよい。また、ウィンカー消灯制御は、自車両V1の走行速度による影響を受けるため、例えば、自車両V1の走行速度に応じて、「第2進路変更を可能とする道路」を検出する距離範囲を切り替えるようにしてもよい。具体的には、自車両V1の走行速度が速いほど「第2進路変更を可能とする道路」を検出する距離範囲を長くし、自車両V1の走行速度が遅くなるほど「第2進路変更を可能とする道路」を検出する距離範囲を短くしてもよい。
【0094】
また、自車両V1が第1分岐路L3に進路変更を行った場合、第1分岐路L3の右方に存在する左側車線L1も「第2進路変更を可能とする道路」に相当するが、左側車線L1は「第2進路変更を可能とする道路」としては検出されない。
図3の位置P5に示すように、自車両V1は、左側車線L1から第1分岐路3へ進路変更する際に、第1分岐路L3よりも左側を向くため、前方カメラ121により左側車線L1は撮像されない。そのため、左側車線L1は「第2進路変更を可能とする道路」としては検出されない。すなわち、進路検出部104は、前方カメラ121の撮像画像から、進路変更の方向に存在する分岐路を「第2進路変更を可能とする道路」として検出する。
【0095】
自律走行制御部103は、進路検出部104により、「第2進路変更を可能とする道路」として第2分岐路L4が検出された場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。なお、第1境界線B1が検出できない場合に、本実施形態の「第2ウィンカー消灯制御」を利用せずに、ウィンカー80の点灯開始からの経過時間や、予め設定した進路変更完了予定時間等を利用して、ウィンカー80を消灯することもできる。しかしながら、自車両V1が走行している道路の状況、例えば、
図3に示すように、第1分岐路L3と第2分岐路L4とが連続して存在し、しかも第1分岐路L3と第2分岐路L4との距離が比較的近いような道路では、自車両V1が第2分岐路L4に到達する前にウィンカー80を消灯できない事態が生じ得る。これに対し、本実施形態の第2ウィンカー消灯制御では、自車両V1が第1分岐路L3で進路変更をしているときに、第2分岐路L4を検出した場合にウィンカー80を消灯するので、自車両V1が第2分岐路L4に到達する前にウィンカー80を消灯することができる。
【0096】
また、第2ウィンカー消灯制御では、第2分岐路L4の手前でウィンカー80を消灯するために、以下のような制御も実行される。自律走行制御部103は、進路検出部104により第2分岐路L4が検出された場合に、自車両V1が、現在位置から第2分岐路L4(第2進路変更を可能とする道路)に到達するまでの所要走行時間Tを所定の時間間隔で演算する。所要走行時間Tは、前方カメラ121の撮像画像を解析して得た第2分岐路L4までの距離と、自車両V1の走行速度とに基づいて演算される。また、自律走行制御部103は、自車両V1が走行するにしたがって短くなる所要走行時間Tが、所定の第1消灯時間T1(例えば、5秒)を下回ったか否かを判定する。自律走行制御部103は、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回っていると判定した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。
【0097】
これにより、第2分岐路L4から第1消灯時間T1だけ手前の位置(例えば、5秒手前の位置)でウィンカー80を消灯することができる。また、第1分岐路L3から第2分岐路L4までの距離が比較的近く、進路検出部104により第2分岐路L4が検出された時点で、所要走行時間Tが既に第1消灯時間T1を下回っていると判定された場合には、第2分岐路L4の検出時にウィンカー80が消灯されるので、やはり、第2分岐路L4の手前でウィンカー80を消灯することができる。なお、第2分岐路L4までの所要走行時間Tと、第1消灯時間T1とに基づいてウィンカー80の消灯タイミングを制御したが、第2分岐路L4までの距離に基づいてウィンカー80の消灯タイミングを制御してもよい。
【0098】
また、第2ウィンカー消灯制御では、自律走行制御部103は、進路検出部104による第2分岐路L4の検出後、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を経過する前に、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第2消灯時間T2を経過した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー80を消灯する。第2消灯時間T2は、進路変更にかかる一般的な時間を考慮して設定され、例えば、十数秒~数十秒の時間が適用される。これにより、第1分岐路L3から第2分岐路L4までの距離が比較的離れている場合に、ウィンカー80が第2分岐路L4の手前まで点滅されるのを防ぐことができる。
【0099】
このように、「第2ウィンカー消灯制御」によれば、前方カメラ121により左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1が検出できない道路であっても、ウィンカー80を第2分岐路L4の手前の位置で消灯することができる。したがって、自車両V1が第2分岐路L4の近傍の位置P4に到達したときには、既にウィンカー80は消灯されているので、後続車両に対し、自車両V1が連続して進路変更を行うような誤解を与えてしまうことはない。
【0100】
次に、「第3ウィンカー消灯制御」について説明する。
図4に示す道路は、
図2に示す道路に対し、左側車線L1と第1分岐路L3との間の第1境界線B1が多数の車両の走行により擦れて消えている。また、
図4に示す道路は、第1分岐路L3に接続された第2分岐路L4を備えていない。そのため、自律走行制御部103は、「第1ウィンカー消灯制御」及び「第2ウィンカー消灯制御」を行うことができない。
【0101】
本実施形態の自律走行制御部103は、このような道路でウィンカー消灯制御を行う場合に、「第3ウィンカー消灯制御」を実行する。「第3ウィンカー消灯制御」では、自律走行制御部103は、位置P1でウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第3消灯時間T3を経過したか否かを判定する。第3消灯時間T3は、進路変更にかかる一般的な時間を考慮して設定され、例えば、十数秒~数十秒の時間が適用される。なお、第3消灯時間は、上述した第2消灯時間と同じ時間としてもよい。自律走行制御部103は、ウィンカー80が点滅を開始してからの経過時間が、第3消灯時間T3を経過した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。
【0102】
このように、「第3ウィンカー消灯制御」によれば、前方カメラ121により左側車線L1と第1分岐路L3との間の第1境界線B1が検出できず、第2分岐路L4が存在しない道路であっても、ウィンカー80を進路変更後の適切なタイミングで消灯することができる。したがって、自車両V1が第1分岐路L3への進路変更を終えた位置P4に到達したときにウィンカー80は消灯されている。
【0103】
また、本実施形態のウィンカー消灯制御は、
図2~4に示すような分岐路での進路変更だけでなく、複数の走行車線を有する道路での車線変更にも適用することができる。例えば、
図2~4に示す片側2車線の道路において、自車両V1が右側車線L2から左側車線L1に車線変更を行う場合について説明する。このような車線変更では、右側車線L2と左側車線L1との間のレーンマークLm3が、車線変更の前後の道路を分ける境界線となる。
【0104】
自律走行制御部103は、加速度センサ22等の検出結果に基づいて、自車両V1がウィンカー80の指示方向に、進路変更として、車線変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両がウィンカー80の指示方向に車線変更を行っていることを検出すると、前方カメラ121の撮像画像を解析して、右側車線L2と左側車線L1との間のレーンマークLm3を検出する。自律走行制御部103は、撮像画像からレーンマークLm3が検出できた場合に、「第1ウィンカー消灯制御」を実行する。
【0105】
自律走行制御部103は、撮像画像の解析結果から、自車両V1とレーンマークLm3との相対位置を検出し、自車両V1がレーンマークLm3を越えたか否かを判定する。自律走行制御部103は、自車両V1がレーンマークLm3を越えたと判定した場合に、「第1ウィンカー消灯制御」のウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。
【0106】
また、自車両V1が、
図2~4に示す片側2車線の道路において、右側車線L2から左側車線L1に車線変更を行う場合に、右側車線L2と左側車線L1との間のレーンマークLm3が前方カメラ121の撮像画像から検出できない場合には、自律走行制御部103は、「第2ウィンカー消灯制御」を実行する。
【0107】
自律走行制御部103は、前方カメラ121の撮像画像を進路検出部104に解析させ、自車両V1の前方に、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出する。すなわち、自律走行制御部103は、右側車線L2から左側車線L1への車線変更を自車両V1の第1進路変更としたときに、この第1進路変更後の道路である左側車線L1から分岐する道路が存在するか否かを進路検出部104に検出させる。
【0108】
図2~4に示す道路において、進路検出部104による道路の検出が行われた場合、第1分岐路L3が「第2進路変更を可能とする道路」として検出される。すなわち、第1分岐路L3は、左側車線L1から分岐し、かつ、自車両V1が左側車線L1から進路を変更することが可能な道路である。したがって、第1分岐路L3は、「第2進路変更を可能とする道路」として検出される。自律走行制御部103は、撮像画像から第1分岐路L3が「第2進路変更を可能とする道路」として検出された場合に、「第2ウィンカー消灯制御」のウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。
【0109】
なお、詳しくは説明しないが、
図2~4に示す道路において、レーンマークLm3が検出できず、かつ、第1分岐路L3が存在しない位置で、自車両V1が右側車線L2から左側車線L1への車線変更を行った場合には、「第3ウィンカー消灯制御」が実行される。また、
図2~4に示す道路において、左側車線L1から右側車線L2に車線変更を行う場合に、レーンマークLm3が検出可能な場合には、「第1ウィンカー消灯制御」が実行される。さらに、左側車線L1から右側車線L2に車線変更を行う際にレーンマークLm3が検出できない場合には、「第3ウィンカー消灯制御」が実行される。
【0110】
次に、
図5に示すような片側3車線の道路において、自車両V1が車線変更を行う場合のウィンカー消灯制御について説明する。なお、
図5に示す道路は、左側通行で、かつ、片側3車線の走行車線を有する高速道路等の自動車専用道路のうち、一方の片側車線のみを図示したものである。自車両V1は、左側から右側に向かって走行し、右側車線L5から中央車線L6へ車線変更を行う。このような車線変更では、右側車線L5と中央車線L6との間のレーンマークLm6が、車線変更の前後の道路を分ける境界線となる。
【0111】
自律走行制御部103は、加速度センサ22等の検出結果に基づいて、自車両V1がウィンカー80の指示方向に、進路変更として、車線変更を行っているか否かを検出する。自律走行制御部103は、自車両V1が車線変更を行っていることを検出すると、前方カメラ121の撮像画像を解析して、右側車線L5と中央車線L6との間のレーンマークLm6を検出する。自律走行制御部103は、撮像画像からレーンマークLm6が検出できた場合には、上記と同様に、「第1ウィンカー消灯制御」を実行する。また、
図5に示すように、レーンマークLm6の一部が擦れて消えている場合には、自律走行制御部103は、撮像画像からレーンマークLm6が検出できず、かつ、進路変更後の中央車線L6から分岐する道路は存在しないため、「第3ウィンカー消灯制御」を実行する。
【0112】
自律走行制御部103は、前方カメラ121の撮像画像を進路検出部104に解析させ、自車両V1の前方に、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出する。すなわち、自律走行制御部103は、右側車線L5から中央車線L6への車線変更を自車両V1の第1進路変更としたときに、この第1進路変更後の道路である中央車線L6から分岐する道路が存在するか否かを進路検出部104に検出させる。
【0113】
図5に示す道路において、進路検出部104による道路の検出が行われた場合、「第2進路変更を可能とする道路」は検出されない。すなわち、中央車線L6に隣接する左側車線L7は、自車両V1が中央車線L6から進路を変更することが可能な道路ではあるが、中央車線Lから分岐する道路ではない。したがって、左側車線L7は、「第2進路変更を可能とする道路」として検出されない。なお、進路検出部104は、左側車線L7自体を検出してもよいし、中央車線L6と左側車線L7との間のレーンマークLm7に基づいて、左側車線L7を検出してもよい。
【0114】
なお、自車両V1が車線変更後に走行する中央車線L6から見て、右側車線L5も「第2進路変更を可能とする道路」に相当するが、右側車線L5は「第2進路変更を可能とする道路」としては検出されない。
図5の位置P7~P9に示すように、自車両V1は、右側車線L5から中央車線L6へ車線変更する際に、中央車線L6よりも左側を向くため、前方カメラ121により右側車線L5は撮像されない。そのため、右側車線L5は「第2進路変更を可能とする道路」としては検出されない。すなわち、進路検出部104は、前方カメラ121の撮像画像から、進路変更の方向に存在する車線を「第2進路変更を可能とする道路」として検出する。
【0115】
自律走行制御部103は、進路検出部104により、自車両V1が第2進路変更を可能とする道路が検出されなかった場合、「第3ウィンカー消灯制御」を実行する。すなわち、自律走行制御部103は、片側3車線以上の道路で車線変更を行う場合、車線変更後の車線から見て、車線変更の方向に分岐する道路が検出されない場合には、「第3ウィンカー消灯制御」を実行する。「第3ウィンカー消灯制御」では、自律走行制御部103は、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第3消灯時間T3を経過したか否かを判定する。自律走行制御部103は、ウィンカー80が点滅を開始してからの経過時間が、第3消灯時間T3を経過した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する。
【0116】
上記のように、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路を検出するのは、「第2ウィンカー消灯制御」により、車線変更の途中でウィンカー80の点滅が消灯されるのを防ぐためである。すなわち、「第2ウィンカー消灯制御」では、自車両V1が右側車線L5から中央車線L6への車線変更を行っているときに、進路検出部104によって左側車線L7が「第2進路変更を可能とする道路」として検出されると、車線変更の途中でウィンカー80の点滅が消灯される。しかしながら、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路を検出することにより、
図5に示すような複数車線の道路では、「第3ウィンカー消灯制御」が実行されるので、車線変更の途中でウィンカー80が消灯されるのを防ぐことができる。なお、詳しくは説明しないが、左側車線L7から中央車線L6に車線変更を行う場合には、右側車線L5は中央車線L6から分岐する道路として検出されないため、「第2ウィンカー消灯制御」は実行されない。
【0117】
次に、
図6に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態のウィンカー消灯制御の作用について説明する。自律走行制御部103は、
図2~4に示す道路において、ナビゲーションシステム30により生成された走行経路から、進路変更地点(第1進路変更を行う道路、以下第1進路変更道路ともいう)として、第1分岐路L3を検出する(ステップS1)。自律走行制御部103は、自車両V1が第1分岐路L3の分岐開始点Bs1から所定時間(例えば、3秒)手前の位置P1に到達したか否かを判定し(ステップS2)、自車両V1が位置P1に到達したと判定された場合に、ウィンカー80のウィンカー制御回路に左方向のウィンカーランプを点滅させるための点滅信号を出力する(ステップS3)。
【0118】
自律走行制御部103は、自車両V1が第1分岐路L3の分岐開始点Bs1の近傍の位置P2に到達すると、自車両V1が左側車線L1から第1分岐路L3へ進路変更を行うように、アクチュエータ制御装置60によりステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72及びブレーキ制御アクチュエータ73を制御する。
【0119】
自律走行制御部103は、加速度センサ22により検出された横加速度と、ジャイロセンサ23により検出された角速度等に基づいて、自車両がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っているか否かを検出する(ステップS4)。
【0120】
なお、ウィンカー80の点滅開始後、自車両V1の進路変更が検出されなくなる可能性がある。例えば、加速度センサ22やジャイロセンサ23等の故障によって自車両V1の進路変更が検出できない場合、あるいは、アクチュエータ制御装置60、及び各種アクチュエータ71~73等の故障によって、自車両V1が進路変更できずに現在の車線をそのまま直進する場合である。また、ドライバーが手動運転を行っている場合には、ドライバーの運転ミスにより進路変更地点を通過し、ウィンカー80の指示方向への進路変更が実行できない場合もあり得る。このような事態を想定し、ステップS4において、自車両V1がウィンカー80の指示方向に進路変更を行っていることが検出されない場合に、自律走行制御部103は、ウィンカー80の点滅開始からの経過時間が、所定の第4消灯時間T4を経過したか否かを判定する(ステップS5)。
【0121】
自律走行制御部103は、ステップS5において、ウィンカー80の点滅開始からの経過時間が、所定の第4消灯時間T4を経過した場合には、ウィンカー80のウィンカー制御回路に消灯信号を出力する(ステップS6)。なお、第4消灯時間T4は、進路変更にかかる一般的な時間を考慮して設定され、例えば、十数秒~数十秒の時間が適用される。また、自車両V1が進路変更を開始する前にウィンカー80が消灯されないようにするために、第4消灯時間T4は、ステップS2でウィンカー80を点灯開始する所定時間よりも長く設定されている。
【0122】
ステップS4に戻り、自律走行制御部103は、自車両が進路変更を行っていることを検出すると、前方カメラ121の撮像画像を解析して、左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1を検出する(ステップS7)。
【0123】
自律走行制御部103は、撮像画像から第1境界線B1が検出された場合には、撮像画像の解析結果から、自車両V1と第1境界線B1との相対位置を検出し、自車両V1が第1境界線B1を越えたか否かを判定する(ステップS8)。
【0124】
なお、第1境界線B1の検出後、自車両V1が第1境界線B1を越えたか否かを判定できなくなる可能性がある。例えば、撮像画像から第1境界線B1を検出したが、自車両V1がその第1境界線B1を越えたことを判定する前に、ドライバーがウィンカー80の指示方向とは逆の方向へステアリングを操作し、それ以降、第1境界線B1を越えたと判定することができなくなる場合がある。また、自車両V1が、第1境界線B1を越えたことを判定する前に、第1境界線B1を見失い、自車両V1と第1境界線B1との相対位置が検出できなくなることもある。このような事態を想定し、ステップS8において、第1境界線B1を越えたことが検出されない場合には、自律走行制御部103は、ウィンカー80の点滅開始からの経過時間が、所定の第5消灯時間T5を経過したか否かを判定する(ステップS9)。
【0125】
自律走行制御部103は、ステップS9において、ウィンカー80の点滅開始からの経過時間が、所定の第5消灯時間T5を経過した場合には、ウィンカー80のウィンカー制御回路に消灯信号を出力する(ステップS6)。なお、第5消灯時間T5は、進路変更にかかる一般的な時間を考慮して設定され、例えば、十数秒~数十秒の時間が適用される。また、自車両V1が進路変更を開始する前にウィンカー80が消灯されないようにするために、第5消灯時間T5は、ステップS2でウィンカー80を点灯開始する所定時間よりも長く設定されている。なお、第5消灯時間T5は、第3消灯時間T3と同程度の時間としてもよいし、第3消灯時間と同じ時間でもよい。
【0126】
ステップS8に戻り、自律走行制御部103は、自車両V1が第1境界線B1を越えたと判定した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力し、ウィンカー80を消灯する(ステップS6)。以上で説明したウィンカー消灯制御は、上述した第1ウィンカー消灯制御に相当する。
【0127】
次に、ステップS7に戻り、前方カメラ121の撮像画像から、左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1が検出できなかった場合について説明する。自律走行制御部103は、ステップS7において、撮像画像から第1境界線B1が検出されなかった場合、前方カメラ121の撮像画像を進路検出部104に解析させ、自車両V1の前方に、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路(以下第2進路変更道路ともいう)として、第1進路変更後の道路から分岐する道路、すなわち、第2分岐路L4が存在するか否かを検出する(ステップS10)。
【0128】
自律走行制御部103は、進路検出部104により、「第2進路変更を可能とする道路」として第2分岐路L4が検出された場合に、自車両V1の現在位置から第2分岐路L4に到達するまでの所要走行時間Tを所定の時間間隔で演算し、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回ったか否かを判定する(ステップS11)。自律走行制御部103は、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回っていると判定された場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力し、ウィンカー80を消灯する(ステップS6)。
【0129】
また、自律走行制御部103は、ステップS11において、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回る前に、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第2消灯時間T2を経過したか否かを判定する(ステップS12)。自律走行制御部103は、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回る前に、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第2消灯時間T2を経過したと判定した場合には、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー80を消灯する(ステップS6)。以上で説明したウィンカー消灯制御は、上述した第2ウィンカー消灯制御に相当する。
【0130】
次に、ステップS10において、前方カメラ121の撮像画像から「第2進路変更を可能とする道路」が検出できなかった場合について説明する。なお、上述したように、
図5に示す片側3車線の道路において、右側車線L5から中央車線L6に車線変更を行う場合、あるいは、左側車線L7から中央車線L6に車線変更を行う場合についても、第1進路変更後の道路から分岐する道路は検出されないため、「第2進路変更を可能とする道路」が検出できない場合に該当する。自律走行制御部103は、ステップS10において、撮像画像から第2分岐路L4が検出されなかった場合、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第3消灯時間T3を経過したか否かを判定する(ステップS13)。自律走行制御部103は、ウィンカー80が点滅を開始してからの経過時間が、第3消灯時間T3を経過した場合に、ウィンカー消灯条件が成立したと判定して、ウィンカー制御回路に消灯信号を出力する(ステップS6)。以上で説明したウィンカー消灯制御は、上述した第3ウィンカー消灯制御に相当する。
【0131】
以上で説明したように、本実施形態に係る車両システム200によれば、自車両V1がウィンカー80によって指示されている第1分岐路L3に進路を変更する第1進路変更を行っているか否かを検出し、自車両V1が第1進路変更を行っていることが検出された場合に、自車両V1の前方カメラ121の撮像画像から、自車両V1が進路を変更する第2進路変更を可能とする道路として、第1進路変更後の道路から分岐する道路が存在するか否かを検出し、第2進路変更を可能とする道路として、第2分岐路L4が検出された場合にウィンカー80を消灯する。これにより、前方カメラ121により第1進路変更の前後の道路を分ける第1境界線B1が検出できない道路であっても、進路変更後にウィンカー80を消灯することができる。また、第1進路変更が車線変更であって、車線変更後の車線から分岐する道路が検出されない場合には、ウィンカー80を消灯しない。これにより、自車両V1が車線変更を行っている途中でウィンカー80の点滅が消灯されるのを防ぐことができる。
【0132】
なお、本実施形態の車両システム200のように、地図情報を備えている場合には、分岐路が連続して存在するような道路を予め地図情報に記憶しておくことが可能である。しかしながら、本実施形態のように、前方カメラ121の撮像画像を利用して分岐路を検出すれば、地図情報に分岐路の情報を記憶する必要がなくなるので、地図情報の記憶負荷を低減することが可能である。また、地図情報を利用する場合、ウィンカー80の消灯タイミングに、自車両V1の位置精度が大きな影響を及ぼす可能性がある。例えば、GPS衛星からの信号が受信しにくい道路では自車両V1の位置精度が低下するため、地図情報上の自車両V1の位置にずれが生じ、適切なタイミングでウィンカー80を消灯できない可能性がある。これに対し、本実施形態のように、前方カメラ121の撮像画像を利用して第2進路変更を可能とする道路を検出することにより、自車両V1の位置精度の影響を受けずに、様々な道路の状況に応じた適切なタイミングでウィンカー80を消灯することができる。さらに、本実施形態では、前方カメラ121の撮像画像から、特徴的な形態を有する導流帯Z2に基づいて第2分岐路L4を検出するので、第2分岐路L4を誤検出してウィンカー80を消灯する可能性が低くなる。
【0133】
このように、本実施形態の車両システム200は、前方カメラ121によって自車両V1が第2車線変更を可能な道路を検出するので、前方カメラ121しか搭載されていない車両、例えば、前方カメラ121の撮像画像に基づく「車速・車間制御」及び「車線維持制御」の機能しか備えていない車両にも適用することができる。
【0134】
また、本実施形態に係る車両システム200によれば、自車両V1が第1分岐路L3への第1進路変更を行っていることが検出された場合に、撮像画像から、第1進路変更の前後の道路を分ける第1境界線B1を検出し、第1境界線B1が検出されなかった場合に、撮像画像から、第2進路変更を可能とする第2分岐路L4が存在するか否かを検出する。また、第1境界線B1が検出された場合には、自車両が第1境界線B1を通過した否かを判定し、自車両V1が第1境界線B1を通過した場合に、ウィンカー80を消灯する。これにより、第1境界線B1が検出可能な場合には、第1境界線B1を利用してウィンカー80の消灯制御を行い、第1境界線B1が検出できない場合には、第2進路変更を可能とする道路に基づいてウィンカー80の消灯制御を行うことができる。したがって、自車両V1が走行する道路の状況に応じて、ウィンカー消灯制御を適宜切り替えて実行することができる。
【0135】
また、本実施形態に係る車両システム200によれば、第2進路変更を可能とする第2分岐路L4が検出された場合に、自車両V1が現在位置から、第2分岐路L4に到達するまでの所要走行時間Tを演算し、この所要走行時間Tが、所定の第1消灯時間T1を下回っているか否かを判定し、所要走行時間Tが前記第1消灯時間T1を下回っていると判定された場合に、ウィンカー80を消灯する。これにより、第2分岐路L4の手前でウィンカー80を消灯することができる。また、第1分岐路L3から第2分岐路L4までの距離が比較的近く、進路検出部104により第2分岐路L4が検出された時点で、所要走行時間Tが既に第1消灯時間T1を経過している場合には、第2分岐路L4の検出時にウィンカー80が消灯されるので、やはり、第2分岐路L4の手前でウィンカー80を消灯することができる。したがって、自車両V1が第2分岐路L4の近傍の位置P4に到達したときには、既にウィンカー80は消灯されているので、後続車両に対し、自車両V1が連続して進路変更を行うような誤解を与えてしまうことはない。
【0136】
また、本実施形態に係る車両システム200によれば、所要走行時間Tが第1消灯時間T1を下回る前に、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第2消灯時間T2を経過した場合にウィンカー80を消灯する。これにより、第1分岐路L3から第2分岐路L4までの距離が比較的離れている場合に、ウィンカー80が第2分岐路L4の手前まで点滅されるのを防ぐことができる。
【0137】
また、本実施形態に係る車両システム200によれば、前方カメラ121により第2進路変更を可能とする第2分岐路L4が検出できなかった場合に、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が所定の第3消灯時間T3を経過したか否かを判定し、ウィンカー80の点滅を開始してからの経過時間が第3消灯時間T3を経過した場合にウィンカー80を消灯する。これにより、前方カメラ121により左側車線L1と第1分岐路L3との第1境界線B1が検出できず、第2分岐路L4が存在しない道路であっても、ウィンカー80を進路変更後の適切なタイミングで消灯することができる。
【0138】
なお、上記実施形態では、自車両V1が「ルート走行支援制御」によって自律走行する際のウィンカー消灯制御について説明したが、本実施形態のウィンカー消灯制御は、「車線変更支援制御」又は「追い越し支援制御」により自律走行を行う際にも適用することができる。また、自車両V1が、自律走行制御に依らずに、ドライバーの手動運転によって進路変更する際にも、本実施形態のウィンカー消灯制御を利用することができる。
【0139】
また、本実施形態のウィンカー消灯制御は、
図7に示すように、左側車線L8の左側に高速道路の出口に向かうための出口車線L9が存在し、この出口車線L9の前方に高速道路の出口が設けられた分岐路L10が存在するような道路でも適用可能である。このような道路では、右側車線L11から左側車線L8への進路変更が第1進路変更に相当し、出口車線L9は第2進路変更が可能な道路に相当する。そのため、右側車線L11と左側車線L8との間の境界線Lm8が擦れて薄くなっていたり、消えていたりする場合でも、前方カメラ121の撮像画像から出口車線L9を検出してウィンカー80を消灯することができる。
【0140】
また、本実施形態のウィンカー消灯制御は、
図8に示すように、左側車線L12に接続された分岐路L13の前方に、複数の料金所Fsが存在するような道路でも適用可能である。このような道路では、左側車線L12から分岐路L13への進路変更が第1進路変更に相当し、複数の料金所Fsは第2進路変更が可能な道路に相当する。そのため、左側車線L12と分岐路L13との間の境界線B3が擦れて薄くなっていたり、消えていたりする場合でも、前方カメラ121の撮像画像から複数の料金所Fsを検出してウィンカー80を消灯することができる。
【符号の説明】
【0141】
10…周辺環境センサ群
11…レーダー
12…撮像装置
121…前方カメラ
20…車両センサ群
30…ナビゲーションシステム
40…地図データベース
50…HMI
60…アクチュエータ制御装置
70…車両制御アクチュエータ群
80…ウィンカー
100…車両制御装置
101…制御装置
102…情報取得部
103…自律走行制御部
104…進路検出部
105…制御シーケンス管理部
200…車両システム
V1…自車両
L1…左側車線
L3…第1分岐路
L4…第2分岐路
B1…第1境界線