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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】評価システム、及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20220921BHJP
   A61B 5/107 20060101ALN20220921BHJP
   A61B 5/00 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/107 400
A61B5/00 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018166351
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020038573
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504426089
【氏名又は名称】水流 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】水流 聡子
(72)【発明者】
【氏名】石川 奈那
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055162(JP,A)
【文献】特開2005-228315(JP,A)
【文献】特開2003-061965(JP,A)
【文献】特開2016-218008(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0045759(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/107
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の状態を評価する評価システムであって、
前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、
前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、
前記評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である前記第2身体情報を複数取得する第2取得手段と、を備え、
前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報とに基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択し、選択した1個の前記第2身体情報に基づいて、前記評価用推定情報を推定する、
評価システム。
【請求項2】
前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報との差分に基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択する、
請求項に記載の評価システム。
【請求項3】
基準身体情報に基づいて、前記第2身体情報を生成する生成手段、を備え、
前記第2取得手段は、前記生成手段が生成した前記第2身体情報を取得する、
請求項1又は2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、
前記推定手段は、前記対象者の成長速度がピークとなる年齢を前記評価用推定情報として推定する、
請求項1からの何れか一項に記載の評価システム。
【請求項5】
前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、
前記推定手段は、前記対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を前記評価用推定情報として推定する、
請求項1からの何れか一項に記載の評価システム。
【請求項6】
前記評価手段は、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記対象者の状態を評価する、
請求項1からの何れか一項に記載の評価システム。
【請求項7】
対象者の状態を評価する評価プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、
前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、
前記評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である前記第2身体情報を複数取得する第2取得手段と、として機能させ、
前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報とに基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択し、選択した1個の前記第2身体情報に基づいて、前記評価用推定情報を推定する、
評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価システム、及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、小児の成長において学童期は変化に富む時期であり、成長障害や肥満といった発育の問題の発見が遅れると、症状の急速な悪化や、他の問題への波及という危険性が考えられていた。特に日々小児を見守っている教育機関の役割は重要であり、例えば、小児の発育を管理するために、小学校では学校健診が行われ、定期的に小児の身体状態が計測されていた。
【0003】
そこで、教育機関にて、小児の発育の状態を管理する装置として、発育についての情報等を記録して利用する学校管理装置(例えば、特許文献1参照)が提案されていた。そして、教育機関では、この学校管理装置の如き装置を用いて、小児の発育についての情報を記録して、記録した情報に基づいて小児の発育状態を評価していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-83843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、教育機関側で行われる小児の発育状態の評価については、専門医(例えば、学校医等)が学校管理装置に記録されている小児の情報を1人分ずつ目視確認して、自己の経験則に基づいて行っていたので、比較的長時間(例えば、1人につき1分半~2分程度等)を要してまっており、また、専門医の主観が評価に入り込む余地があり、評価の客観性を欠いてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、対象者の状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能な評価システム、及び評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の評価システムは、対象者の状態を評価する評価システムであって、前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、前記評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である前記第2身体情報を複数取得する第2取得手段と、を備え、前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報とに基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択し、選択した1個の前記第2身体情報に基づいて、前記評価用推定情報を推定する。
【0009】
また、請求項に記載の評価システムは、請求項に記載の評価システムにおいて、前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報との差分に基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択する。
【0010】
また、請求項に記載の評価システムは、請求項1又は2に記載の評価システムにおいて、基準身体情報に基づいて、前記第2身体情報を生成する生成手段、を備え、前記第2取得手段は、前記生成手段が生成した前記第2身体情報を取得する。
【0011】
また、請求項に記載の評価システムは、請求項1からの何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、前記推定手段は、前記対象者の成長速度がピークとなる年齢を前記評価用推定情報として推定する。
【0012】
また、請求項に記載の評価システムは、請求項1からの何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、前記推定手段は、前記対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を前記評価用推定情報として推定する。
【0013】
また、請求項に記載の評価システムは、請求項1からの何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記評価手段は、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記対象者の状態を評価する。
【0014】
また、請求項に記載の評価プログラムは、対象者の状態を評価する評価プログラムであって、対象者の状態を評価する評価プログラムであって、コンピュータを、前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、前記評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である前記第2身体情報を複数取得する第2取得手段と、として機能させ、前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報とに基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択し、選択した1個の前記第2身体情報に基づいて、前記評価用推定情報を推定する
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の評価システムによれば、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、対象者の状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能となる。
また、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択し、選択した1個の第2身体情報に基づいて、評価用推定情報を推定することにより、例えば、第2身体情報を基準にして評価用推定情報を推定することができるので、評価用推定情報の推定精度を向上させることができ、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項に記載の評価システムによれば、第1身体情報と第2身体情報との差分に基づいて、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択することにより、例えば、差分を求めるという比較的単純な処理を行うことによりに、第2身体情報を選択することができるので、対象者の状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0018】
請求項に記載の評価システムによれば、第2身体情報を生成することにより、例えば、第2身体情報が全て存在している状況以外の状況(つまり、第2身体情報が存在しない状況、あるいは、第2身体情報の個数が比較的少ない状況等)でも第2身体情報を用いることができるので、様々な場面において対象者の身体の状態を評価することができ、汎用性を向上させることが可能となる。
【0019】
請求項に記載の評価システムによれば、成長速度がピークとなる年齢を評価用推定情報として推定することにより、例えば、対象者の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項に記載の評価システムによれば、対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を評価用推定情報として推定することにより、例えば、対象者の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0021】
請求項に記載の評価システムによれば、評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、評価用推定情報と閾値とを比較するという比較的単純な処理を行うことによりに、対象者の状態を評価することができるので、対象者の状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0022】
請求項に記載の評価プログラムによれば、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、対象者の状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能となる。
また、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択し、選択した1個の第2身体情報に基づいて、評価用推定情報を推定することにより、例えば、第2身体情報を基準にして評価用推定情報を推定することができるので、評価用推定情報の推定精度を向上させることができ、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係る評価装置のブロック図である。
図2】身体測定情報を例示した図である。
図3】判断支援画面の表示例である。
図4図3の指標値エリアを示す図である。
図5図3のプロットエリアを示す図である。
図6図3の判断支援エリアを示す図である。
図7】判断支援エリアの情報等を説明するための図である。
図8図3のリスク評価エリアを示す図である。
図9】開始推定年齢関連処理のフローチャートである。
図10】成長速度曲線のグラフを例示した図である。
図11】成長速度曲線のグラフを例示した図である。
図12】成長速度曲線のグラフを例示した図である。
図13】成長速度曲線のグラフを例示した図である。
図14】成長速度曲線のグラフを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る評価システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、評価システムに関するものである。
【0026】
ここで、「評価システム」とは、対象者の状態を評価するシステムであり、例えば、対象者の発育状態を評価するシステムであり、一例としては、第1取得手段、推定手段、評価手段、及び状態出力手段を備え、任意で、第2取得手段、及び生成手段を備えるものである。この評価システムは、例えば、汎用システムに対して前述の各手段を設けて構成したもの、あるいは、各手段を備えており対象者の状態を評価するための専用システムとして構成したもの等を含む概念である。
【0027】
なお、「対象者」とは、評価の対象となる者であり、具体的には、評価システムを用いて評価される者であり、例えば、小児、大人、老人、男性、及び女性等を含む概念である。「対象者の状態」とは、評価の対象となる対象者のありさまであり、具体的には、評価システムを用いて評価される対象者のありさまであり、例えば、発育状態、健康状態、学習能力の状態、老化の状態、及び認知能力の状態等を含む概念である。
【0028】
また、「第1取得手段」とは、対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する手段である。「推定手段」とは、第1取得手段が取得した第1身体情報に基づいて、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する手段であり、例えば、第1取得手段が取得した第1身体情報と、第2取得手段が取得した複数の第2身体情報とに基づいて、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択し、選択した1個の第2身体情報に基づいて、評価用推定情報を推定する手段等を含む概念であり、また、第1取得手段が取得した第1身体情報と、第2取得手段が取得した複数の第2身体情報との差分に基づいて、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択する手段等を含む概念であり、また、対象者の成長速度がピークとなる年齢を評価用推定情報として推定する手段等を含む概念であり、また、対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を評価用推定情報として推定する手段等を含む概念である。
【0029】
また、「評価用推定情報」とは、対象者の状態を評価するために用いられる情報であって、推定される情報であり、具体的には、対象者の状態(例えば、発育状態等)に関連する情報であって、第1身体情報から推定され得る情報であり、例えば、対象者の成長速度がピークとなる年齢、対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢等を含む情報である。「成長速度」とは、対象者が成長する速度であり、例えば、対象者の身長が伸びる速度、あるいは、対象者の体重が増える速度等を含む概念であるが、以下では、「成長速度」が「対象者の身長が伸びる速度」である場合を例示して説明する。
【0030】
また、「成長速度がピークとなる年齢」とは、例えば、成長速度が最大となる対象者の年齢等を含む概念である。「対象者の成長速度が増加し始める現象」とは、成長速度が加速し始める現象であり、例えば、成長速度が比較的強く上がり(又は、比較的強く上がる兆候があり)、いわゆる成長速度曲線(対象者の年齢に対して成長速度をプロットしたグラフの曲線)がスパートする(たちあがる)現象等を含む概念である。「成長速度が加速し始める」とは、例えば、成長速度の加速度が所定値以上増加し始めること、あるいは、成長速度の加速度が所定値以上増加し始める兆候があること(つまり、成長速度の加速度が所定値以上増加し始める直前にさしかかること)等を含む概念である。
【0031】
また、「評価手段」とは、推定手段が推定した評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価する手段であり、例えば、推定手段が推定した評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、対象者の状態を評価する手段等を含む概念である。また、「状態出力手段」とは、評価手段が評価した対象者の状態を出力する手段である。「対象者の状態を出力する」とは、例えば、対象者の状態を表示して出力すること、当該状態を音声にて出力すること、あるいは、印刷して出力すること等を含む概念である。
【0032】
また、「第2取得手段」とは、評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である第2身体情報を複数取得する手段であり、例えば、生成手段が生成した第2身体情報を取得する手段等を含む概念である。
【0033】
また、前述の「第1身体情報」とは、対象者の身体の状態に関する経時的な情報であり、具体的には、対象者の身体の状態に関連する情報であり、具体的には、時間の経過に対して2個以上存在する情報であり、例えば、任意のタイミング(一例としては、数年毎、学期毎、あるいは、週毎等)に対応する情報である。「第1身体情報」は、例えば、身長、体重、視力、聴力、握力、背筋力、血圧、及び血糖値等を特定する情報、あるいは、これらの各情報から演算される任意の情報(一例としては、成長速度等)を含む概念である(後述する「第2身体情報」も同様とする)。
【0034】
また、「第2身体情報」とは、評価用推定情報を推定する基準となる情報であって、身体の状態に関する経時的な情報であり、具体的には、第1身体情報と比較される情報であり、例えば、任意のタイミング(一例としては、数年毎、学期毎、あるいは、週毎等)に対応する情報であり、任意の手法(一例としては、学術論文に基づく情報をそのまま用いる手法、当該情報を一部編集して用いる手法、シミュレーション又は実験等が導出する手法、あるいは、生成手段が生成した情報を用いる手法等)で導出される情報であり、一例としては、成長速度曲線を特定する情報等を含む概念である。
【0035】
また、「生成手段」とは、基準身体情報に基づいて、第2身体情報を生成する手段である。「基準身体情報」とは、第2身体情報の基準となる情報であり、例えば、例えば、任意の手法(例えば、過去に行われた実験、あるいは、シミュレーション等)に基づいて予め定められた情報等を含む概念であり、また、学術論文又は他の媒体にて公知なっている情報等を含む概念である。「基準身体情報」としては任意の情報を用いることができるが、ここでは、例えば、複数の小児の平均の成長速度曲線(以下、「基準成長速度曲線」とも称する)、当該基準成長速度曲線の各成長速度を基準にした±1SD、±2SDの成長速度に対応する成長速度曲線(つまり、4個の成長速度曲線)(以下、「偏差成長速度曲線」とも称する)、及び当該基準成長速度曲線及び偏差成長速度曲線のピーク値(極大値)を基準にした±1SD、±2SDの年齢の成長速度曲線の各ピーク値(年齢と成長速度との座標値)等を特定する情報等を用いる場合を例示して説明する。また、この「基準身体情報」としては、前述の基準成長速度曲線、偏差成長速度曲線、年齢と成長速度との座標値等を特定する情報と共に、あるいは、各情報の代わりに、複数の小児の標準身長を特定する曲線(以下、「基準身長曲線」とも称する)、当該基準身長曲線の各体重を基準にした±1SD、±2SDの体重に対応する曲線(以下、「偏差身長曲線」とも称する)、複数の小児の標準体重を特定する曲線(以下、「基準体重曲線」とも称する)、当該基準体重曲線の各体重を基準にした±1SD、±2SDの体重に対応する曲線(以下、「偏差体重曲線」とも称する)を特定する情報等を用いてもよい。なお、「SD」とは、例えば、標準偏差(Standard Deviation)を特定する概念である。また、これらの各情報は、各性別(つまり、男又は女)において共通であることとしてもよいし、あるいは、性別毎に分けられていることとしてもよい。
【0036】
そして、以下に示す実施の形態では、「対象者」が小児(特に、児童)であり、「対象者の状態」が発育状態である場合について説明する。
【0037】
〔実施の形態の具体的な内容〕
次に、実施の形態の具体的な内容について説明する。
【0038】
(構成)
まず、本実施の形態に係る評価装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る評価装置のブロック図である。
【0039】
図1に示す評価装置100は、評価システムであり、具体的には、小学校の児童の発育状態を評価するものであり、例えば、学校内等に設置されているものであり、一例としては、通信部11、操作部12、表示部13、記録部14、及び制御部15を備えている。
【0040】
(構成-通信部)
通信部11は、他の装置との間でネットワークを介した通信を行う通信手段である。なお、「他の装置」とは、評価装置100以外の任意の装置であり、例えば、学校の内外に設けられている据え置き型のコンピュータ装置、あるいは、携帯可能な携帯端末等を含む概念である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路等を備えて構成することができる。
【0041】
(構成-操作部)
操作部12は、ユーザによる操作により当該ユーザから各種操作入力を受け付ける受付手段である。この操作部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、マウス又はキーボード等の公知の入力装置等を備えて構成することができる。
【0042】
(構成-表示部)
表示部13は、制御部15の制御に基づいて各種情報を表示する表示手段である。この表示部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を備えて構成することができる。
【0043】
(構成-記録部)
記録部14は、評価装置100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash、ROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0044】
また、この記録部14は、例えば、身体測定情報データベース141(以下、データベースを「DB」と称する)、及び基準情報DB142を備えている。
【0045】
(構成-記録部-身体測定情報DB)
身体測定情報DB141は、身体測定情報格納手段である。ここで、「身体測定情報」とは、前述の第1身体情報の基となる情報である。図2は、身体測定情報を例示した図である。なお、この図2の「・・・」については、実際には具体的な情報が格納されているが、説明の便宜上、図示を省略していることを示す(以下に示す各図でも便宜上図示の省略を「・・・」と表示する)。この図2に示すように、身体測定情報は、項目「識別情報」、項目「氏名情報」、項目「生年月日情報」、項目「性別情報」、項目「学期情報」、項目「身長情報」、及び項目「体重情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。
【0046】
ここで、項目「識別情報」に対応する情報は、児童を一意に識別する識別情報である(図2では、「ID1」等)。項目「氏名情報」に対応する情報は、児童の氏名を特定する氏名情報である(図2では、「AA AA」等)。項目「生年月日情報」に対応する情報は、児童の生年月日を特定する生年月日情報である(図2では、2005年4月12日を特定する「20050412」等)。項目「性別情報」に対応する情報は、児童の性別を特定する性別情報である(図2では、男子を特定する「男」、あるいは、不図示であるが女子を特定する「女」)。項目「学期情報」に対応する情報は、児童の学年及び学期を特定する学期情報である(図2では、1年生の1学期を特定する「1年1学期」等)。項目「身長情報」に対応する情報は、児童の身長を特定する身長情報である(図2では、単位はcmであり、104.4cmを特定する「104.4」等)。項目「体重情報」に対応する情報は、児童の体重を特定する体重情報である(図2では、単位はkgであり、18.6kgを特定する「18.6」等)。
【0047】
そして、このような身体測定情報を記録する手法は任意であるが、例えば、学期毎に行われる身体測定の結果を、入力担当者(例えば、担任の教師、保健師、あるいは、データ入力のための補助者等)が、操作部12を介して入力することにより記録されることとする。
【0048】
(構成-記録部-基準情報DB)
基準情報DB142は、基準情報を格納する基準情報格納手段である。ここで、「基準情報」とは、評価装置100で行われる各種処理での基準を特定する情報であり、具体的な内容については、後述する。
【0049】
(構成-制御部)
図1の制御部15は、評価装置100を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して評価装置100にインストールされることで、評価装置100の各部を実質的に構成する。
【0050】
この制御部15は、機能概念的に、第1取得部151、第2取得部152、生成部153、推定部154、評価部155、及び出力部156を備える。第1取得部151は、対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段である。第2取得部152は、評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である第2身体情報を複数取得する第2取得手段である。生成部153は、基準身体情報に基づいて、第2身体情報を生成する生成手段である。推定部154は、第1取得手段が取得した第1身体情報に基づいて、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段である。評価部155は、推定手段が推定した評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価する評価手段である。出力部156は、評価手段が評価した対象者の状態を出力する状態出力手段である。なお、この制御部15の各部により行われる処理については、後述する。
【0051】
(処理)
次に、このように構成される評価装置100によって実行される処理について説明する。具体的には、判断支援画面出力処理について説明する。「判断支援画面出力処理」とは、判断支援画面生成して、生成した判断支援画面を出力する処理である。
【0052】
ここで、「判断支援画面」とは、対象者である児童の発育状態を医師(例えば、校医等)が判断する場合における当該判断を支援するための画面であり、具体的には、当該判断を行うために有用な情報が表示される画面であり、例えば、制御部15が生成して当該制御部15が表示部13に表示する画面である。図3は、判断支援画面の表示例である。この図3に示すように、「判断支援画面」は、例えば、指標値エリア21、プロットエリア22、判断支援エリア23、リスク評価エリア24、及び判断結果入力エリア25を含んでいる。
【0053】
そして、これらの各エリアの情報については、判断支援画面出力処理を実行することにより、生成されて出力されるが、判断支援画面出力処理が、例えば、指標値エリア出力処理、プロットエリア出力処理、判断支援エリア出力処理、リスク評価エリア出力処理、及び判断結果入力エリア出力処理を含んでいることとし、各処理に分けて説明する。
【0054】
(処理-指標値エリア出力処理)
まず、指標値エリア出力処理について説明する。「指標値エリア出力処理」とは、判断支援画面出力処理の一部の処理であり、例えば、図3の指標値エリア21の情報を生成して出力する処理である。この「指標値エリア出力処理」を実行するタイミングは任意であるが、例えば、操作部12を介する所定操作(図2の児童のうちの1人を指定した上で、処理を開始する操作)を受け付けた場合に起動されて実行するものとして、起動されたところから説明する(他の処理も同様とする)。なお、ここでは、例えば、当該処理を実行することにより出力するエリアの各情報について説明した後に、前述の操作部12を介する所定操作にて、図2の「氏名情報」=「AA AA」に対応する児童を指定して起動した場合の処理内容について説明する(他の処理も同様とする)。また、指標値エリア出力処理については、従来の処理を適用することができるので、概要のみ説明する(リスク評価エリア出力処理も同様とする)。
【0055】
(処理-指標値エリア出力処理-指標値エリア)
まず、指標値エリア21について説明する。図4は、図3の指標値エリアを示す図である。この図4に示すように、指標値エリア21は、各種の指標値を表示している領域であり、例えば、時期表示欄211、名称表示欄212、及び情報表示欄213を含んでいる。
【0056】
(処理-指標値エリア出力処理-指標値エリア-時期表示欄)
時期表示欄211は、各指標値の時期が表示されている部分であり、例えば、児童の学年を特定する項目「1年生」等と学期を特定する項目「1学期」等が表示されている部分である。
【0057】
(処理-指標値エリア出力処理-指標値エリア-名称表示欄)
名称表示欄212は、指標値の名称が表示されている部分であり、具体的には、対応する位置に表示されている指標値の名称が表示されている部分であり、例えば、項目「日付」、項目「年齢」、項目「身長」、項目「体重」、項目「身長SD値」、項目「成長速度(1年間の伸び)」、項目「成長速度SD値」、項目「体重変化」、項目「体重SD値」、項目「肥満度」、項目「肥満度判定」、項目「標準体重」、及び項目「総合判定履歴」が表示されている。
【0058】
項目「日付」は、年月日を特定している。項目「年齢」は、児童の年齢を特定している。項目「身長」は、児童の身長を特定している。項目「体重」は、児童の体重を特定している。
【0059】
項目「身長SD値」は、児童の身長についてのSDスコアを特定している。なお、「身長についてのSDスコア」とは、例えば、母集団である同年齢の児童の身長のばらつきを考慮して、当該母集団における児童である児童の身長の高低を特定する値であり、例えば、(「対象である児童の身長」-「母集団における標準身長」)÷「母集団にける身長の標準偏差」の演算式により求められる値である(後述する「児童の成長速度についてのSDスコア」、及び「児童の体重のSDスコア」も同様である)。
【0060】
項目「成長速度(1年間の伸び)」は、児童の成長速度を特定している。なお、「児童の成長速度」とは、1年の間に伸びた児童の身長を特定する値である。項目「成長速度SD値」は、児童の成長速度についてのSDスコアを特定している。項目「体重変化」は、児童の体重の変化を特定している。なお、「児童の体重の変化」とは、前回の体重を基準にして変化した体重を特定する値である。項目「体重SD値」は、児童の体重のSDスコアを特定している。項目「肥満度」は、児童の肥満度を特定している。なお、「児童の肥満度」とは、肥満の度合いであり、例えば、(「対象である児童の体重」-「母集団における標準体重」)÷「母集団における標準体重」×100の演算式により求められる値である。
【0061】
項目「肥満度判定」は、児童の肥満度についての判定結果を特定している。なお、「児童の肥満度についての判定結果」とは、肥満度についての目安を特定する情報であり、例えば、「標準」、「やせ」、「軽肥満」、「肥満」等を特定するものであり、一例としては、任意の肥満度判定基準(例えば、-10.0未満が「やせ」であり、-10.0以上~10.0未満が「標準」であり、10.0以上~20.0未満が「軽肥満」であり、20.0以上が「肥満」である等)が、図1の基準情報DB142に基準情報の一部の情報として記録されていることとし、この肥満度判定基準と項目「肥満度」に対応する情報とによって判定されるものである。
【0062】
項目「標準体重」は、標準体重を特定している。ここで、「標準体重」については、対象者である児童の年齢毎の母集団(例えば、全国の児童、都道府県別の児童)において、任意の手法で予め演算済である任意のものが、図1の基準情報DB142に基準情報の一部の情報として記録されていることとし、この情報が表示されるものである。項目「総合判定履歴」は、児童の発育についての総合的な判定の結果の履歴を特定している。
【0063】
(処理-指標値エリア出力処理-指標値エリア-情報表示欄)
情報表示欄213は、時期表示欄211及び名称表示欄212に対応する指標値の情報が表示されている部分である。
【0064】
(処理-指標値エリア出力処理-具体的な処理)
次に、指標値エリア出力処理の具体的な処理について説明する。まず、制御部15は、図2の身体測定情報を参照して、起動時に受け付けた所定操作にて指定された児童に対応する情報を取得する。次に、制御部15は、この取得した情報について、前述の時期表示欄211及び名称表示欄212に対応する各種処理を行って、情報表示欄213に表示する情報を生成した上で、生成した情報を表示する。
【0065】
ここでは、例えば、まず、制御部15は、図2に具体的に図示されている身体測定情報(つまり、図2の「氏名情報」=「AA AA」に対応する情報)を取得する。次に、任意の手法(例えば、身体測定が学校行事として学期毎に予め定められており、当該定められている日付が記録部141に記録されていることとし、この日付を参照して特定する手法等)で身体測定が行われた日付を特定し、特定した日付に対応する情報を、図4の項目「日付」に対応する部分に表示する(図4では、「2012/4/10」等)。次に、図2の生年月日情報を参照した上で、前述の表示した日付での年齢を算出し、算出した年齢を、図4の項目「年齢」に対応する部分に表示する(図4では、「6歳11ヶ月」等)。次に、図2の身長情報及び体重情報を取得した、身長情報及び体重情報を図4の項目「身長」及び項目「体重」に対応する部分に表示する(図4では、「104.4cm」及び「18.6kg」等)。次に、図2の身長情報に基づいて、身長についてのSDスコアを算出し、算出した身長についてのSDスコアを、図4の項目「身長SD値」に対応する部分に表示する(図4では、「-2.9」等)。次に、図2の身長情報に基づいて、児童の成長速度を算出し、算出した成長速度を、図4の項目「成長速度(1年間の伸び)」に対応する部分に表示する(図4では、2年生の1学期の身長である「111.2cm」と1年生の1学期の身長である「104.4cm」との差分である「6.8cm」等)。なお、図4の項目「成長速度(1年間の伸び)」の項目「1年生」に対応する部分については、1年前の身長の情報な存在しないので、成長速度を算出できずに非表示となっている。次に、この算出した成長速度に基づいて、成長速度についてのSDスコアを算出し、算出したSDスコアを、図4の項目「成長速度SD値」に対応する部分に表示する(図4では、「1.5」等)。次に、図2の体重情報に基づいて、体重の変化、体重のSDスコア、及び肥満度を算出して、算出結果を、図4の項目「体重変化」、項目「体重SD値」、項目「肥満度」に対応する部分に表示する(図4では、「2.4kg」、「0.7」、「18.1%」等)。次に、図1の基準情報DB142に記録されている肥満度判定基準を参照して、前述の算出した肥満度が該当する条件を特定し、特定した条件に対応する情報を、図4の項目「肥満度判定」に対応する部分に表示する(図4では、「標準」等)。次に、図1の基準情報DB142に記録されている標準体重を取得し、取得した標準体重を図4の項目「標準体重」に対応する部分に表示する(図4では、「15.7kg」等)。なお、図4の項目「総合判定履歴」に対応する情報の処理については、後述する。
【0066】
(処理-プロットエリア出力処理)
次に、プロットエリア出力処理について説明する。「プロットエリア出力処理」とは、判断支援画面出力処理の一部の処理であり、例えば、図3のプロットエリア22の情報を生成して出力する処理である。
【0067】
(処理-プロットエリア出力処理-プロットエリア)
まず、プロットエリア22について説明する。図5は、図3のプロットエリアを示す図である。この図5に示すように、プロットエリア22は、各種のグラフを表示している領域であり、例えば、身長体重グラフ221、成長速度グラフ222、及び肥満度グラフ223を含んでいる。
【0068】
(処理-プロットエリア出力処理-プロットエリア-身長体重グラフ)
身長体重グラフ221は、年齢に対する身長の推移、及び年齢に対する体重の推移を特定するグラフであり、例えば、身長の推移を特定する曲線又はプロット(図面上方)、及び体重の推移を特定する曲線又はプロット(図面下方)が含まれている。
【0069】
身長の推移を特定する曲線又はプロットについては、前述の基準身長曲線に対応する曲線(図面の上方のグループのうちの上から3番目の実線)、及び前述の偏差身長曲線(図面の上方のグループのうちの上から1番目、2番目、4番目、5番目の実線)、判断閾値曲線(図面の2本の一点鎖線)、及び児童の身長を特定するプロット(図面の丸印のプロット)が含まれている。「身長判断閾値曲線」とは、児童の発育状態を判断するために参照される閾値の曲線であり、一例としては、基準身長曲線を基準にした-2.5SD又は-3SDに対応する曲線である。なお、「要医療管理」については、後述する。
【0070】
体重の推移を特定する曲線又はプロットについては、前述の基準体重曲線に対応する曲線(図面の下方のグループのうちの上から3番目の実線)、及び前述の偏差体重曲線(図面の上方のグループのうちの上から1番目、2番目、4番目、5番目の実線)、及び児童の体重を特定するプロット(図面の矩形のプロット)が含まれている。
【0071】
(処理-プロットエリア出力処理-プロットエリア-成長速度グラフ)
成長速度グラフ222は、年齢に対する成長速度の推移を特定するグラフであり、例えば、成長速度の推移を特定する曲線又はプロット等が含まれている。
【0072】
成長速度の推移を特定する曲線又はプロット等については、基準成長速度曲線群31、推定成長速度曲線32、及び児童の成長速度を特定するプロット(図面の矩形のプロット)等が含まれている。なお、「基準成長速度曲線群」31とは、前述の基準成長速度曲線及び偏差成長速度曲線に対応する曲線群であり、また、「推定成長速度曲線」32とは、児童の成長速度曲線であるものと推定された曲線である。また、この成長速度グラフ222には、成長速度が「2」と「6」の間において、「成長速度判断閾値直線」が図面左側から右側に向かって図示されている。この「成長速度判断閾値直線」は、前述の成長速度判断閾値曲線と同様な目的で利用されるものであり、図5にて一点鎖線にて図示されているものである。
【0073】
(処理-プロットエリア出力処理-プロットエリア-肥満度グラフ)
肥満度グラフ223は、年齢に対する肥満度の推移を特定するグラフであり、例えば、肥満度の推移を特定するロット(図面の矩形のプロット)、及び「肥満度判断閾値直線」が含まれている。なお、「肥満度判断閾値直線」は、前述の成長速度判断閾値曲線と同様な目的で利用されるものであり、図5にて一点鎖線にて図示されているものである。
【0074】
(処理-プロットエリア出力処理-具体的な処理)
次に、プロットエリア出力処理の具体的な処理について説明する。まず、制御部15は、図2の身体測定情報を参照して、起動時に受け付けた所定操作にて指定された児童に対応する情報を取得する。次に、制御部15は、この取得した情報において、身長情報及体重情報を取得し、取得した身長情報及体重情報に対応するプロットを、図5の身長体重グラフ221に表示する。また、制御部15は、取得した身長情報及体重情報に基づいて、前述の「指標値エリア出力処理」の場合と同様にして、各年齢での成長速度及び肥満度を算出し、算出した成長速度を、図5の成長速度グラフ222にプロットし、また、算出した肥満度を、図5の肥満度グラフ223にプロットする。
【0075】
なお、各グラフにおけるプロット以外の情報の表示手法は任意であるが、例えば、成長速度グラフ222の推定成長速度曲線32以外の情報については、前述の基準身体情報(例えば、基準成長速度曲線、偏差成長速度曲線、年齢と成長速度との座標値、基準身長曲線、偏差身長曲線、基準体重曲線、及び偏差体重曲線を特定する情報)、及び各閾値を特定する情報(例えば、身長判断閾値曲線、成長速度判断閾値直線、及び肥満度判断閾値直線を特定する情報)が、図1の基準情報DB142に基準情報の一部の情報として記録されていることとし、この基準身体情報を参照して、図5の身長体重グラフ221に表示することとする。なお、成長速度グラフ222の推定成長速度曲線32の表示手法については、後述する。
【0076】
(処理-判断支援エリア出力処理)
次に、判断支援エリア出力処理について説明する。「判断支援エリア出力処理」とは、判断支援画面出力処理の一部の処理であり、例えば、図3の判断支援エリア23の情報を生成して出力する処理である。
【0077】
(処理-判断支援エリア出力処理-判断支援エリア)
まず、判断支援エリア23について説明する。図6は、図3の判断支援エリアを示す図である。この図6に示すように、判断支援エリア23は、児童の発育状態に関する判断に必要な情報を表示している領域であり、具体的には、予め定められた各項目と当該各項目に関する情報(一例としては、発育状態の異常の可能性があるか否かの判定結果(評価結果)を特定する情報、あるいは、当該判定(評価)の根拠となる情報等)が表示される領域であり、例えば、身長に関する情報を表示する身長関連領域231、及び体重に関する情報を表示する体重関連領域232を含んでいる。
【0078】
図7は、判断支援エリアの情報等を説明するための図である。この図7は、図6の判断支援エリア23の各項目について、制御部15が処理するパラメータと、当該パラメータについての判定ロジック等が記載されており、これらのパラメータ及び判定ロジックに関する情報については、制御部15の内部メモリに記録されて実装されていることとする。図7について具体的には、項目「判断支援項目」、項目「番号」、項目「パラメータ」、項目「算出式」、及び項目「ロジック」と、各項目に対応する情報とが相互に対応付けられている。項目「判断支援項目」に対応する情報(例えば、「入力ミス」の「直近データ」の「身長」等)は、図6の各項目の名称に対応する情報である(例えば、図6の項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報等)。項目「番号」に対応する情報は、項目「パラメータ」に対応する情報を特定するために、説明の便宜上図示したものである。項目「パラメータ」に対応する情報は、判断支援エリア出力処理で用いられるパラメータを特定する情報である(例えば、「最新の差(身長)」等)。項目「算出式」に対応する情報は、項目「パラメータ」に対応する情報の定義又は当該情報を算出するための式を特定する情報である(最新の計測値(身長)-1回前の計測値(身長))。項目「ロジック」に対応する情報は、項目「パラメータ」に対応する情報について判定するための判定ロジックを特定する情報である(例えば、該当した場合に、異常の可能性を判定する条件であり、「最新の差(身長)≦-1cmまたは5cm≦最新の差(身長)」等)。
【0079】
(処理-判断支援エリア出力処理-具体的な処理)
次に、判断支援エリア出力処理の具体的な処理について説明する。まず、制御部15は、図2の身体測定情報を参照して、起動時に受け付けた所定操作にて指定された児童に対応する情報を取得する。次に、制御部15は、この取得した情報において、自己の内部メモリに記録されている図7のロジック等に基づいて、図6の各項目に対応する処理を行って、処理結果を、当該各項目に対応する部分に表示する。
【0080】
ここでは、例えば、図6の項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報については、図7の項目「番号」=「1」に対応する「最新の差(身長)」を、項目「算出式」の算出式に基づいて算出し、算出した「最新の差(身長)」が項目「ロジック」の条件に該当するか否かを判定し、該当するものと判定した場合に、異常の可能性があるものと判定した上で、図6の項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する部分に丸印を付し、一方、該当するものと判定した場合に、異常の可能性がないものと判定した上で、図6の項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する部分を非表示とする(丸印を付さない)。
【0081】
また、例えば、図6の項目「身長の入力ミス」の項目「過去」に対応する情報については、図7の項目「番号」=「3」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0082】
また、例えば、図6の項目「成長障害」に対応する情報については、図3のリスク評価エリア24の図面上方の項目「成長障害」に対応する情報を取得し、当該情報が「2」以上である場合に、異常の可能性があるものと判定した上で、「疑いあり」と表示し、当該情報が「2」未満である場合に、正常であるものと判定し他上で、「-」を表示する。
【0083】
また、例えば、図6の項目「思春期」の項目「開始推定年齢」、項目「個人差?」、及び項目「早発症?」に対応する情報については、まず、図2の生年月日情報を参照して、児童が5年生又は6年生であるか、2年生~4年生であるか、あるいは、1年生であるかを判定する。次に、5年生又は6年生であるものと判定した場合、開始推定年齢関連処理を起動し、また、2年生~4年生であるものと判定した場合、図7の項目「番号」=「7」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行い(なお、この場合、項目「開始推定年齢」及び項目「個人差?」に対応する情報は非表示とする)、また、1年生であるかものと判定した場合、成長速度を算出できないので、項目「思春期」の各項目に対応する情報を非表示とする。なお、開始推定年齢関連処理については、後述する。
【0084】
また、例えば、図6の項目「身長の伸び」の項目「直近」及び項目「過去」に対応する情報、項目「要受診の低下」及び項目「要受診の低身長」については、図7の項目「番号」=「8」~「11」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0085】
また、例えば、図6の項目「体重の入力ミス」の項目「直近」及び項目「過去」に対応する情報については、図7の項目「番号」=「2」及び「4」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0086】
また、例えば、図6の項目「肥満」に対応する情報については、図3のリスク評価エリア24のの図面上方の項目「肥満傾向」に対応する情報を取得し、項目「成長障害」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0087】
また、例えば、図6の項目「要受診の高度肥満」、項目「症候性肥満」、項目「連続する肥満傾向」、項目「痩身からの回復傾向」、項目「標準付近での増加」に対応する情報については、図7の項目「番号」=「12」~「14」、「15」~「18」、「19」~「20」、「21」~「23」、「24」~「26」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0088】
また、例えば、図6の項目「痩身」に対応する情報については、図3のリスク評価エリア24の図面上方の項目「痩身傾向」に対応する情報を取得し、項目「成長障害」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0089】
また、例えば、図6の項目「要受診の高度やせ」、項目「連続する痩身傾向」、項目「肥満からの回復傾向」、項目「標準付近での減少」に対応する情報については、図7の項目「番号」=「27」~「29」、「30」~「31」、「32」~「34」、「35」~「37」に対応するパラメータを算出し、項目「身長の入力ミス」の項目「直近」に対応する情報の場合と同様な処理を行う。
【0090】
(処理-リスク評価エリア出力処理)
次に、リスク評価エリア出力処理について説明する。「リスク評価エリア出力処理」とは、判断支援画面出力処理の一部の処理であり、例えば、図3のリスク評価エリア24の情報を生成して出力する処理である。
【0091】
(処理-リスク評価エリア出力処理-リスク評価エリア)
まず、リスク評価エリア出力処理について説明する。図8は、図3のリスク評価エリアを示す図である。この図8に示すように、リスク評価エリア24は、児童の発育のリスクに関する情報を表示している領域であり、具体的には、予め定められた各項目と当該各項目に関する情報が表示される領域であり、例えば、リスクの詳細の情報を表示する詳細情報関連領域241、及びリスクに関する総合的な情報を表示する総合情報関連領域242を含んでいる。
【0092】
(処理-リスク評価エリア出力処理-リスク評価エリア-詳細情報関連領域)
詳細情報関連領域241には、項目「身体所見」、項目「リスク項目」、項目「計測項目」、項目「計測値」、及び項目「リクスレベル」と、各項目に対応する情報とが対応付けられて表示されている。項目「身体所見」に対応する情報は、予め定められた情報であり、項目「計測値」に対応する情報の分類を表示する情報である。項目「リスク項目」に対応する情報は、予め定められた情報であり、項目「計測値」に対応する情報から把握可能となる発育のリスクを表示する情報である。項目「計測項目」に対応する情報は、予め定められた情報であり、項目「計測値」に対応する情報を定義する情報である。項目「計測値」に対応する情報は、制御部15によって算出される情報である。項目「リクスレベル」に対応する情報は、発育に関するリスクのレベルを特定する情報であり、制御部15によって決定される情報である。
【0093】
(処理-リスク評価エリア出力処理-リスク評価エリア-詳細情報関連領域)
総合情報関連領域242には、項目「成長障害」、項目「肥満傾向」、項目「痩身傾向」、項目「体型評価値」、及び項目「総合判定」と、各項目に対応する情報とが対応付けられて表示されている。項目「成長障害」に対応する情報は、成長障害のリスクの度合いの高低を特定する情報であり、例えば、「0」~「3」(数値が大きい程当該リスクの度合いが高いこととする)の4段階の数値情報である。項目「肥満傾向」に対応する情報は、肥満傾向のリスクの度合いの高低を特定する情報であり、例えば、項目「成長障害」に対応する情報と同様な4段階の数値情報である。項目「痩身傾向」に対応する情報は、痩身傾向のリスクの度合いの高低を特定する情報であり、例えば、項目「痩身傾向」に対応する情報と同様な4段階の数値情報である。項目「体型評価値」に対応する情報は、体型の評価を特定する情報であり、例えば、項目「成長障害」、項目「肥満傾向」、及び項目「痩身傾向」に対応する情報に関する任意の演算(一例としては、(成長障害+2)×(肥満傾向の又は痩身傾向の大きい数値+1))の結果を特定する情報である。項目「総合判定」に対応する情報は、児童の発育についての総合的な判定の結果を特定する情報であり、例えば、「要医療管理」、「要分析」、「要注意」、又は「問題なし」のうちの何れか1個に対応する情報である。
【0094】
なお、「要医療管理」とは、例えば、医療機関の受診を行うか否かを医学的に判断する必要性があることを特定する情報である。「要分析」とは、例えば、医療機関の受診を行うか否かを医学的に判断する必要性はないもの、引き続き注意深く経過観察を行う必要があることを特定する情報である。「要注意」とは、例えば、医療機関の受診を行うか否かを医学的に判断する必要性はないもの、引き続き経過観察を行う必要があることを特定する情報である。「要注意」とは、例えば、発育に関する問題は無いので、引き続き経過観察を行えば足りることを特定する情報である。
【0095】
(処理-リスク評価エリア出力処理-具体的な処理)
次に、リスク評価エリア出力処理の具体的な処理について説明する。なお、図8の詳細情報関連領域241の項目「計算値」、項目「リスクレベル」、及び総合情報関連領域242の各項目に対応する情報を、求めるためのロジックが、制御部15の内部メモリに記録されて実装されていることとする。まず、制御部15は、図2の身体測定情報を参照して、起動時に受け付けた所定操作にて指定された児童に対応する情報を取得する。次に、制御部15は、この取得した情報において、自己の内部メモリに記録されているロジックに基づいて、図8の詳細情報関連領域241の項目「計算値」に対応する情報を算出し、算出した情報に基づいて項目「リスクレベル」に対応する情報を決定し、決定した情報に基づいて総合情報関連領域242の各項目に対応する情報(項目「総合判定」に対応する情報以外の情報)を決定し、決定した情報に基づいて項目「総合判定」に対応する情報を決定(判定)する。そして、例えば、図8に示すように各情報を表示する。
【0096】
なお、制御部15は、前述の図4の項目「総合判定履歴」に対応する情報としても、この判定の結果を表示するが、例えば、図4の項目「総合判定履歴」に対応する情報については、学年毎の履歴として表示するために、過去の判定結果を記録して、記録した情報を表示してもよいし、あるいは、各学年単位で上述の図8の項目「総合判定」に対応する情報をを求める処理を繰り返し行って表示してもよい。
【0097】
(処理-判断結果入力エリア出力処理)
次に、判断結果入力エリア出力処理について説明する。「判断結果入力エリア出力処理」とは、判断支援画面出力処理の一部の処理であり、例えば、図3の判断結果入力エリア25の情報を生成して出力する処理である。
【0098】
(処理-判断結果入力エリア出力処理-判断結果入力エリア)
まず、判断結果入力エリア25について説明する。図3に示すように、判断結果入力エリア25は、児童の発育状態についての医師の判断の結果を入力して表示する領域であり、例えば、項目「入力ミス判定」に対応する入力欄、項目「受診判定」に対応する入力欄、項目「コメント欄」に対応する入力欄、項目「完了チェック」に対応する表示欄、送りボタン(「判定結果を入力し、次へ」と表示されているボタン)、及びチェックボタン(「チェックする」と表示されているボタン)を含んでいる。
【0099】
項目「入力ミス判定」に対応する入力欄は、身体測定情報についての測定又は入力ミスがあるか否かを特定する情報を入力する部分であり、例えば、操作部12を介して当該入力欄をクリックした場合に、入力する候補として「ミスあり」及び「ミスなし」が表示され、何れかの情報を選択して入力可能となり、入力された情報が表示される部分である。
【0100】
項目「受診判定」に対応する入力欄は、医療機関の受診を行うか否かの医学的な判断の結果を入力する部分であり、例えば、操作部12を介して当該入力欄をクリックした場合に、入力する候補として「要受診(重複)」、「要受診(成長障害)」、「要受診(肥満)」、「要受診(痩身)」、「経過観察」、及び「問題無し」が表示され、何れかの情報を選択して入力可能となり、入力された情報が表示される部分である。項目「コメント欄」に対応する入力欄は、操作部12を介して任意の情報を自由に入力して、当該入力された情報が表示される部分である。項目「完了チェック」に対応する表示欄は、評価するべき残りの児童の人数を表示する欄である。「送りボタン」については、操作部12を介してクリックされた場合に、各入力欄に入力された情報を記録して、次の児童についての各種処理(上述の説明の各種処理)を行うためのボタンである。「チェックボタン」については、操作部12を介してクリックされた場合に、評価するべき残りの児童の人数を表示するためのボタンである。
【0101】
(処理-判断結果入力エリア出力処理-具体的な処理)
次に、判断結果入力エリア出力処理の具体的な処理について説明する。制御部15は、例えば、項目「入力ミス判定」に対応する入力欄のクリックを受け付けた場合、「ミスあり」及び「ミスなし」を表示し、表示した何れかの情報の選択を受け付けた場合に、受け付けた情報を入力して表示する。なお、制御部15は、例えば、項目「受診判定」に対応する入力欄のクリックを受け付けた場合も同様な処理を行う。また、制御部15は、例えば、送りボタンのクリックを受け付けた場合、前述の各入力欄に入力された情報を取得し、取得した情報を記録部14に記録する。ここでの記録フォーマットは任意であるが、例えば、図2の身体測定情報に関連付けて記録してもよい。また、制御部15は、例えば、チェックボタンのクリックを受け付けた場合、図2の身体測定情報を参照して、未だ評価されていない児童の人数を算出し、算出した人数を、項目「完了チェック」に対応する表示欄に表示する。
【0102】
(処理-開始推定年齢関連処理)
次に、開始推定年齢関連処理について説明する。図9は、開始推定年齢関連処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「開始推定年齢関連処理」とは、開始推定年齢を推定した上で、児童の発育状態を評価する処理である。この「開始推定年齢関連処理」を実行するタイミングは任意であるが、例えば、制御部15が、操作部12を介する所定操作を受け付けた後に、図2の生年月日情報を参照して、受け付けた所定操作にて指定された児童(以下、「対象児童」とも称する)が5年生又は6年生であるものと判定した場合に起動されて実行するものとして、開始推定年齢関連処理が起動されたところから説明する。
【0103】
特に、前述したように、少なくとも、基準成長速度曲線を特定する情報(以下、「基準成長速度曲線特定情報」とも称する)、及び基準成長速度曲線のピーク値(極大値)を基準にした±1SD、±2SDの年齢の成長速度曲線の各ピーク値(年齢と成長速度との座標値)を特定する情報(以下、「ピーク値特定情報」とも称する)が、図1の基準情報DB142の基準情報として記録されていることとして、説明する。また、これらの各情報については、男子用の情報と女子用の情報との2種類が記録されていることとする。
【0104】
また、図10図14は、成長速度曲線のグラフを例示した図である。特に、図10は、基準成長速度曲線とピーク値とを示す図であり、また、図11は、ピーク値相互間を補間した状態を示す図であり、また、図12は、候補成長速度曲線を示す図であり、また、図13は、候補成長速度曲線と対象児童の成長速度とを示す図でありまた、図14は、ピーク推定年齢と開始推定年齢を示す図である。なお、「ピーク推定年齢」とは、例えば、対象児童の成長速度がピークとなるものと推定される年齢であり、また、「開始推定年齢」とは、前述の評価用推定情報であり、例えば、対象児童の成長速度が増加し始める現象が発生するものと推定される年齢である。
【0105】
図9のSA1において第2取得部152は、候補成長速度曲線用情報を取得する。なお、「候補成長速度曲線用情報」とは、候補成長速度曲線を生成するために用いられる情報であり、例えば、前述の基準成長速度曲線特定情報、及びピーク値特定情報に対応する情報である。また、「候補成長速度曲線」とは、前述の推定成長速度曲線の候補となる曲線であり、例えば、複数の曲線である。SA1について具体的には任意であるが、例えば、図2の身体測定情報を参照して、対象児童の性別情報を特定し、図1の基準情報DB142を参照して、特定した性別情報に対応する基準成長速度曲線特定情報及びピーク値特定情報を取得する。
【0106】
ここでは、例えば、図2の「AA AA」の対象児童について、「性別情報」=「男」を特定し、図1の基準情報DB142を参照して、男子用の基準成長速度曲線特定情報(図10の基準成長速度曲線を特定する情報)及びピーク値特定情報(図10のピーク値を特定する情報)を取得する。
【0107】
図9のSA2において生成部153は、候補成長速度曲線(第2身体情報)を生成する。具体的には任意であるが、例えば、SA1で取得した基準成長速度曲線特定情報(基準身体情報)及びピーク値特定情報(基準身体情報)に基づいて、基準成長速度曲線及び当該基準成長速度曲線のピーク値を基準にした±1SD、±2SDの年齢の成長速度曲線の各ピーク値を生成し、生成したピーク値(基準成長速度曲線のピーク値も含む)を相互に任意の補間手法(例えば、直線補間)で補間する。次に、生成したピーク値の年齢に着目して、年齢が最低のピーク値と年齢が最大のピーク値を特定し、特定したピーク値の年齢の相互間において所定年齢間隔(例えば、0.25歳)の年齢を算出し、前述の生成した基準成長速度曲線を当該基準成長速度曲線のピーク値を基準にして、前述の補間したピーク値に沿って当該算出した年齢ごとにずらして、当該ずらした基準成長速度曲線(ずらす前の基準成長速度曲線も含む)を候補成長速度曲線とする。
【0108】
ここでは、例えば、SA1で取得した基準成長速度曲線特定情報及びピーク値特定情報に基づいて、図10の基準成長速度曲線及び各ピーク値を生成し、生成したピーク値(基準成長速度曲線のピーク値も含む)を、図11の破線で示すように、相互に任意の補間手法(例えば、直線補間)で補間する。次に、生成したピーク値の年齢に着目して、年齢が最低のピーク値(例えば、9歳に対応するピーク値)と年齢が最大のピーク値(例えば、14.75歳に対応するピーク値)を特定し、特定したピーク値の年齢の相互間において所定年齢間隔(例えば、0.25歳)の年齢を算出し、前述の生成した基準成長速度曲線を当該基準成長速度曲線のピーク値を基準にして、前述の補間したピーク値に沿って当該算出した年齢ごとにずらして、図12に示すように、当該ずらした基準成長速度曲線(ずらす前の基準成長速度曲線も含む)を候補成長速度曲線とする。なお、実際には、候補成長速度曲線は4個以上生成されるが、図12等では説明の便宜上、一部のみを図示している。
【0109】
図9のSA3において第1取得部151は、対象児童の成長速度(第1身体情報)を取得する。具体的には任意であるが、例えば、図2の身体測定情報を参照して、対象児童の身長情報を特定し、特定した身長情報に基づいて、対象児童の成長速度を算出し、算出した成長速度を取得する。なお、ここでの成長速度の算出手法は任意であるが、例えば、前述の図4の項目「成長速度(1年間の伸び)」に対応する部分を表示する場合と同様にして、前述の特定した身長情報を参照して、1年間における身長の伸びを成長速度として算出する手法を用いることとする。
【0110】
ここでは、例えば、図2の身体測定情報を参照して、対象児童の身長情報として「1年1学期」の「104.4」、「1年2学期」の「108.3」、「1年3学期」の「110.8」、及び「2年1学期」の「111.2」等を特定し、特定した身長情報に基づいて、対象児童の成長速度として「2年1学期」の「6.8」(「111.2」と「104.4」との差分)等を算出し、算出した成長速度を取得する(なお、実際には、「2年2学期」以降の成長速度も算出して取得する)。
【0111】
図9のSA4において制御部15は、候補成長速度曲線を選択する。具体的には任意であるが、例えば、第2取得部152は、SA2で生成した複数の候補成長速度曲線を取得し、推定部154は、この第2取得部152が取得した複数の候補成長速度曲線と、SA3で取得した対象児童の成長速度とを比較して、複数の候補成長速度曲線のうちのSA3で取得した成長速度に最も良く合致している1個の候補成長速度曲線を特定し、特定した1個の候補成長速度曲線を選択する。なお、ここでの最も良く合致している(つまり、最も近い)1個の候補成長速度曲線を特定する手法は任意であるが、例えば、いわゆる最小二乗和に対応する手法を用いることとし、つまり、複数の候補成長速度曲線各々と対象児童の成長速度との差分に基づいて特定する手法を用いることとする。
【0112】
1個の候補成長速度曲線を特定する手法について具体的には、まず、SA2で生成した複数の候補成長速度曲線から1個の候補成長速度曲線を取得する。次に、SA3で取得した対象児童の成長速度から1個の成長速度(以下、「対象児童側成長速度」)を取得し、取得した「対象児童側成長速度」の年齢(月齢)を特定し、前述の取得した1個の候補成長速度曲線において当該特定した年齢に対応する成長速度(以下、「候補側成長速度」)を特定し、当該特定した「候補側成長速度」と「対象児童側成長速度」との差分を算出し、算出した差分を二乗する(以下、「差分の事情を算出する処理」)。なお、「対象児童側成長速度」の年齢(月齢)については、図4の項目「年齢」に対応する部分の処理で説明した手法を用いて特定してもよい。次に、この「差分の事情を算出する処理」を、SA3で取得した対象児童の成長速度全てついて行うことにより、「差分を二乗した値」を、複数個(対象児童の成長速度の個数分)算出し、算出した複数個の「差分を二乗した値」の合計値を算出する(以下、「合計値を算出する処理」)。そして、SA2で生成した複数の候補成長速度曲線の全てについて、「差分の事情を算出する処理」及び「合計値を算出する処理」を行うことにより、複数の候補成長速度曲線各々について合計値を算出し、算出した合計値が最小となる候補成長速度曲線を特定する。なお、ここでは、最小二乗和に対応する手法用いる場合を例示したが、これに限らず、公知の近似手法又はマッチング手法を含む他の手法を用いて、1個の候補成長速度曲線を特定してもよい。
【0113】
ここでは、例えば、SA2で生成した図13の複数の候補成長速度曲線(実線及び破線の曲線)と、SA3で取得した対象児童の成長速度とを比較して、複数の候補成長速度曲線のうちのSA3で取得した成長速度に最も良く合致している1個の候補成長速度曲線として図13の実線で示された候補成長速度曲線を特定し、当該特定した候補成長速度曲線を選択する。
【0114】
図9のSA5において推定部154は、開始推定年齢を推定する。具体的には任意であるが、例えば、SA4で選択した候補成長速度曲線のピーク値の年齢をピーク推定年齢として特定し、特定したピーク推定年齢に基づいて開始推定年齢を推定する。なお、ここでの開始推定年齢を推定する手法は任意であるが、例えば、ピーク推定年齢から所定年齢(例えば、男子の場合「3歳」、女子の場合「2歳」)を差し引いた年齢を開始推定年齢として推定する。
【0115】
ここでは、例えば、SA4で選択した図14の候補成長速度曲線(図13の実線の候補成長速度曲線に対応)のピーク値の年齢である「13.75歳」をピーク推定年齢として特定し、特定したピーク推定年齢に基づいて開始推定年齢を推定する。なお、前述したように、対象児童が男子であるので、「13.75歳」-「3歳」の演算を行って、「10.75歳」を開始推定年齢として推定する。
【0116】
図9のSA6において評価部155は、対象児童の発育状態を評価する。具体的には任意であるが、例えば、学術論文又は医師の経験に基づく判定閾値(閾値)が、図1の基準情報DB142に基準情報の一部の情報として記録されていることし、この判定閾値を取得し、また、SA5で推定した開始推定年齢を取得し、取得した判定閾値と開始推定年齢とを比較して、比較結果に基づいて評価する。なお、「判定閾値」とは、対象児童の発育状態を評価するための基準となる情報であり、例えば、いわゆる思春期早発症(異常)の可能性があるか否かを評価(判定)するための基準であり、一例としては、男子用の判定閾値としての「9歳」、及び女子用の判定閾値として「7.5歳」である。そして、開始推定年齢が判定閾値未満である場合、思春期早発症の可能性があるものと評価し、一方、開始推定年齢が判定閾値以上である場合、思春期早発症の可能性はなく、個人差であるものと評価する。
【0117】
ここでは、例えば、男子用の判定閾値である「9歳」を取得し、また、SA5で推定した開始推定年齢である「10.75歳」を取得し、開始推定年齢である「10.75歳」が判定閾値である「9歳」以上である場合、思春期早発症の可能性はなく、個人差であるものと評価する。
【0118】
図9のSA7において出力部156は、評価結果を出力する。具体的には任意であるが、例えば、SA6での評価結果を取得し、取得した評価結果を、図6の身長関連領域231の項目「思春期」の項目「個人差?」、及び項目「早発症?」に対応する部分に出力する。詳細には、SA6において思春期早発症の可能性があるものと評価した場合、項目「個人差?」に対応する部分を非表示とし、また、項目「早発症?」に対応する部分に丸印を付して、思春期早発症の可能性があることを表示出力し、一方、SA6において思春期早発症の可能性はなく、個人差であるものと評価した場合、項目「個人差?」に対応する部分に丸印を付し、また、項目「早発症?」に対応する部分を非表示とすることにより、思春期早発症の可能性はなく、個人差であることを表示出力する。また、この評価の根拠として、SA5で推定した開始推定年齢を取得し、取得した開始推定年齢を、図6の身長関連領域231の項目「思春期」の項目「開始推定年齢」に対応する部分に表示出力する。なお、この場合、図5の成長速度グラフ222において、SA3で取得した成長速度をプロットし、SA4で選択した候補成長速度曲線を推定成長速度曲線32として表示し、また、図1の基準情報DB142に基準情報として記録されている基準成長速度曲線及び偏差成長速度曲線を、基準成長速度曲線群31として表示する等の処理を行うことにより、成長速度グラフ222を表示する。
【0119】
ここでは、例えば、SA6において、対象児童について思春期早発症の可能性はなく、個人差であるものと評価し、また、開始推定年齢が「10.75」であるので、図6の項目「思春期」に対応する部分に示すように表示出力する。これにて、開始推定年齢関連処理を終了する。
【0120】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、対象児童の発育状態を評価するために用いられる評価用推定情報である開始推定年齢に基づいて、対象児童の発育状態を評価することにより、例えば、対象児童の発育状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能となる。
【0121】
また、複数の候補成長速度曲線のうちの1個の候補成長速度曲線を選択し、選択した1個の候補成長速度曲線に基づいて、開始推定年齢を推定することにより、例えば、候補成長速度曲線を基準にして開始推定年齢を推定することができるので、開始推定年齢の推定精度を向上させることができ、対象児童の発育状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0122】
また、対象児童の成長速度と候補成長速度曲線との差分に基づいて、複数の候補成長速度曲線のうちの1個の候補成長速度曲線を選択することにより、例えば、差分を求めるという比較的単純な処理を行うことによりに、候補成長速度曲線を選択することができるので、対象児童の発育状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0123】
また、候補成長速度曲線を生成することにより、例えば、候補成長速度曲線が全て存在している状況以外の状況でも候補成長速度曲線を用いることができるので、様々な場面において対象者の身体の状態を評価することができ、汎用性を向上させることが可能となる。
【0124】
また、対象児童の成長速度が増加し始める現象が発生する年齢を開始推定年齢として推定することにより、例えば、対象者の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象児童の発育状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0125】
また、開始推定年齢と判定閾値とを比較し、比較結果に基づいて、対象児童の発育状態を評価することにより、例えば、開始推定年齢と判定閾値とを比較するという比較的単純な処理を行うことによりに、対象児童の発育状態を評価することができるので、対象児童の発育状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0126】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0127】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0128】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。また、記録されている情報のデータ構造及び記録先等を任意に変更してもよい。
【0129】
(発育状態の評価について)
また、上記実施形態では、図9のSA6において思春期早発症の可能性があるか、あるいは、個人差であるかを評価する場合について説明したが、これに限らない。例えば、これらに加えて、あるいは、これらの代わりに、思春期遅発症の可能性があるか否かを評価してもよい。この場合の具体的な手法は任意であるが、例えば、思春期遅発症を評価する基準となる思春期遅発症用の判定閾値を設けて、この判定閾値と開始推定年齢と判定閾値とを比較して、開始推定年齢が判定閾値未満である場合、思春期遅発症でないものと評価し、一方、開始推定年齢が判定閾値以上である場合、思春期遅発症であるものと評価してもよい。
【0130】
また、例えば、ピーク推定年齢を用いて、発育状態を評価してもよい。この場合、ピーク推定年齢が「評価用推定情報」に相当する。この場合、閾値を任意に設定して、この閾値とピーク推定年齢とを比較して、比較結果に基づいて発育状態を評価してもよい。このように構成した場合、成長速度がピークとなる年齢を評価用推定情報として推定することにより、例えば、対象児童の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象児童の発育状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0131】
(候補成長速度曲線について)
また、上記実施の形態では、図9のSA2において候補成長速度曲線を生成する場合を説明したが、これに限らない。例えば、複数の候補成長速度曲線を予め記録しておき、SA4において、この記録されている候補成長速度曲線を選択するように構成してもよく、つまり、SA2を省略してもよい。
【0132】
(開始推定年齢関連処理の適用について)
また、上記実施の形態では、5年生及び6年生の児童に対してのみに、開始推定年齢関連処理を適用する場合を例示したが、これに限らず、他の学年の児童に対しても開始推定年齢関連処理を適用してもよい。
【0133】
(スクリーニングについて)
また、上記実施の形態の開始推定年齢関連処理を、スクリーニングされた児童のみに適用してもよい。つまり、例えば、図8の項目「総合判定」に対応する情報に着目して、「要医療管理」、「要分析」、「要注意」、又は「問題なし」のうちの「要医療管理」に対応する児童に対してのみ、開始推定年齢関連処理を適用してもよい。
【0134】
(開始推定年齢について)
また、上記実施の形態では、候補成長速度曲線を選択することにより、開始推定年齢を推定する場合を例示したが、これに限らない。例えば、候補成長速度曲線を用いずに、児童の成長速度から任意の手法で開始推定年齢を推定してもよい。この場合、例えば、年齢と共に変化する成長速度について、成長速度が前回の成長速度に比べて増加した年齢を、仮開始推定年齢とし、この直後の成長速度が更に増加した場合、前述の仮開始推定年齢を開始推定年齢と推定してもよい。また、ピーク推定年齢を推定する場合について、この技術を適用してもよい。つまり、例えば、成長速度が増加から減少に変化した年齢を、仮ピーク推定年齢とし、この直後の成長速度が更に減少した場合、前述の仮ピーク推定年齢をピーク推定年齢とし推定してもよい。
【0135】
(特徴について)
また、実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0136】
(付記)
付記1の評価システムは、対象者の状態を評価する評価システムであって、前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、を備える。
【0137】
付記2の評価システムは、付記1に記載の評価システムにおいて、前記評価用推定情報を推定する基準となる第2身体情報であって、身体の状態に関する経時的な情報である前記第2身体情報を複数取得する第2取得手段、を備え、前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報とに基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択し、選択した1個の前記第2身体情報に基づいて、前記評価用推定情報を推定する。
【0138】
付記3の評価システムは、付記2に記載の評価システムにおいて、前記推定手段は、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報と、前記第2取得手段が取得した複数の前記第2身体情報との差分に基づいて、複数の前記第2身体情報のうちの1個の前記第2身体情報を選択する。
【0139】
付記4の評価システムは、付記2又は3に記載の評価システムにおいて、基準身体情報に基づいて、前記第2身体情報を生成する生成手段、を備え、前記第2取得手段は、前記生成手段が生成した前記第2身体情報を取得する。
【0140】
付記5の評価システムは、付記1から4の何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、前記推定手段は、前記対象者の成長速度がピークとなる年齢を前記評価用推定情報として推定する。
【0141】
付記6の評価システムは、付記1から4の何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記第1取得手段は、前記対象者の年齢に対する成長速度を特定する情報を前記第1身体情報として取得し、前記推定手段は、前記対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を前記評価用推定情報として推定する。
【0142】
付記7の評価システムは、付記1から6の何れか一項に記載の評価システムにおいて、前記評価手段は、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記対象者の状態を評価する。
【0143】
付記8の評価プログラムは、対象者の状態を評価する評価プログラムであって、コンピュータを、前記対象者の身体の状態に関する経時的な情報である第1身体情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段が取得した前記第1身体情報に基づいて、前記対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した前記評価用推定情報に基づいて、前記対象者の状態を評価する評価手段と、前記評価手段が評価した前記対象者の状態を出力する状態出力手段と、として機能させる。
【0144】
(付記の効果)
付記1に記載の評価システムによれば、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、対象者の状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能となる。
【0145】
付記2に記載の評価システムによれば、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択し、選択した1個の第2身体情報に基づいて、評価用推定情報を推定することにより、例えば、第2身体情報を基準にして評価用推定情報を推定することができるので、評価用推定情報の推定精度を向上させることができ、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0146】
付記3に記載の評価システムによれば、第1身体情報と第2身体情報との差分に基づいて、複数の第2身体情報のうちの1個の第2身体情報を選択することにより、例えば、差分を求めるという比較的単純な処理を行うことによりに、第2身体情報を選択することができるので、対象者の状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0147】
付記4に記載の評価システムによれば、第2身体情報を生成することにより、例えば、第2身体情報が全て存在している状況以外の状況(つまり、第2身体情報が存在しない状況、あるいは、第2身体情報の個数が比較的少ない状況等)でも第2身体情報を用いることができるので、様々な場面において対象者の身体の状態を評価することができ、汎用性を向上させることが可能となる。
【0148】
付記5に記載の評価システムによれば、成長速度がピークとなる年齢を評価用推定情報として推定することにより、例えば、対象者の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0149】
付記6に記載の評価システムによれば、対象者の成長速度が増加し始める現象、又は当該現象が発生する年齢を評価用推定情報として推定することにより、例えば、対象者の状態(一例としては、発育状態)の評価に有用で特徴的な情報を用いて評価することができるので、対象者の状態の評価精度を向上させることが可能となる。
【0150】
付記7に記載の評価システムによれば、評価用推定情報と閾値とを比較し、比較結果に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、評価用推定情報と閾値とを比較するという比較的単純な処理を行うことによりに、対象者の状態を評価することができるので、対象者の状態の評価を迅速に行うことが可能となる。
【0151】
付記8に記載の評価プログラムによれば、対象者の身体の状態を評価するために用いられる評価用推定情報に基づいて、対象者の状態を評価することにより、例えば、対象者の状態の評価を迅速且つ客観的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0152】
11 通信部
12 操作部
13 表示部
14 記録部
15 制御部
21 指標値エリア
22 プロットエリア
23 判断支援エリア
24 リスク評価エリア
25 判断結果入力エリア
31 基準成長速度曲線群
32 推定成長速度曲線
100 評価装置
141 身体測定情報DB
142 基準情報DB
151 第1取得部
152 第2取得部
153 生成部
154 推定部
155 評価部
156 出力部
211 時期表示欄
212 名称表示欄
213 情報表示欄
221 身長体重グラフ
222 成長速度グラフ
223 肥満度グラフ
231 身長関連領域
232 体重関連領域
241 詳細情報関連領域
242 総合情報関連領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14