(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】吐水制御装置、吐水制御システム、及び吐水制御方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20220926BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20220926BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E03C1/05
G06T7/70 A
G01B11/00 H
(21)【出願番号】P 2018080956
(22)【出願日】2018-04-19
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】滝 宣広
(72)【発明者】
【氏名】白井 雄喜
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002033(JP,A)
【文献】特開2016-041874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
G06T 7/70
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水管よりも上方側に設けられる撮像装置が前記吐水管を含む複数の検知領域で構成された撮像対象領域
を撮像
することにより取得された領域画像の画像情報に基づいて、
前記領域画像に吐水口が含まれているか否かを検知する吐水口検知部と、
前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、検知対象である対象物体が前記撮像対象領域に含まれる複数の検知領域のうち少なくとも何れか一つである第1検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記対象物体の位置を検知する対象物体検知部と、
前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、前記検知対象を保持する保持物体が前記複数の検知領域のうち前記第1検知領域とは異なる第2検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記保持物体の位置を検知する保持物体検知部と、
前記対象物体検知部により検知された検知結果、及び前記保持物体検知部により検知された検知結果に基づいて、吐水を制御する制御部と、
を備え、
前記複数の検知領域は、
前記吐水管からの吐水を制御する条件である吐水条件が互いに異なる領域である
ことを特徴とする吐水制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記対象物体が前記第1検知領域に存在する時間が第1閾値以上である第1吐水条件
、及び前記保持物体が前記第2検知領域に存在する時間が前記第1閾値より大きい第2閾値以上である第2吐水条件
の各々を充足するか否かを判定し、前記第1吐水条件及び前記第2吐水条件のうち少なくとも1つの条件を充足する場合に
前記第1検知領域に吐水を
行う
請求項1に記載の吐水制御装置。
【請求項3】
前記第2検知領域は、前記第1検知領域の周囲に設けられる領域である
請求項1
又は請求項
2に記載の吐水制御装置。
【請求項4】
前記撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された画像の画像情報を取得する請求項1から請求項
3の何れか一項に記載の吐水制御装置と
を備える吐水制御システム。
【請求項5】
吐水口検知部が、吐水管よりも上方側に設けられる撮像装置が前記吐水管を含む複数の検知領域で構成された撮像対象領域
を撮像
することにより取得された領域画像の画像情報に基づいて、
前記領域画像に吐水口が含まれているか否かを検知し、
対象物体検知部が、前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、検知対象である対象物体が前記撮像対象領域に含まれる複数の検知領域のうち少なくとも何れか一つである第1検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記対象物体の位置を検知し、
保持物体検知部が、
前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、前記検知対象を保持する保持物体が前記複数の検知領域のうち前記第1検知領域とは異なる第2検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記保持物体の位置を検知し、
制御部が、前記対象物体検知部により検知された検知結果、及び前記保持物体検知部により検知された検知結果に基づいて、吐水を制御
し、
前記複数の検知領域は、前記吐水管からの吐水を制御する条件である吐水条件が互いに異なる領域である、
吐水制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水制御装置、吐水制御システム、及び吐水制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の人間の行動からその行動の意図を認識する行動認識技術の発達に伴い、人間が水栓の操作をしなくても、自動的にその人間の意図に基づいて適切に水栓を制御するシステムの開発が期待されている。
例えば、吐水口からの吐水流線の手前が検知領域となるように水栓ユニットに設置されたセンサであって、吐水口から吐水される水の流線方向に対し、斜め方向に照射光を照射するセンサにより検知対象物体からの反射光の有無に応じて吐水を開始する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、センサから照射される光が透明なコップを透過してしまい、透明なコップを検知することができない場合であっても、透明なコップを握っている手からの反射光を検知することにより吐水を正常に制御することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の技術を用いた場合においては、吐水口の手前の領域のみが検知領域となってしまうことから、使用状況によっては検知精度が低くなる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度よく吐水を制御することができる吐水制御装置、吐水制御システム、及び吐水制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一実施形態は、吐水管よりも上方側に設けられる撮像装置が前記吐水管を含む複数の検知領域で構成された撮像対象領域を撮像することにより取得された領域画像の画像情報に基づいて、前記領域画像に吐水口が含まれているか否かを検知する吐水口検知部と、前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、検知対象である対象物体が前記撮像対象領域に含まれる複数の検知領域のうち少なくとも何れか一つである第1検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記対象物体の位置を検知する対象物体検知部と、前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、前記検知対象を保持する保持物体が前記複数の検知領域のうち前記第1検知領域とは異なる第2検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記保持物体の位置を検知する保持物体検知部と、前記対象物体検知部により検知された検知結果、及び前記保持物体検知部により検知された検知結果に基づいて、吐水を制御する制御部と、を備え、前記複数の検知領域は、前記吐水管からの吐水を制御する条件である吐水条件が互いに異なる領域である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、上述の吐水制御装置であって、前記制御部は、前記対象物体が前記第1検知領域に存在する時間が第1閾値以上である第1吐水条件、及び前記保持物体が前記第2検知領域に存在する時間が前記第1閾値より大きい第2閾値以上である第2吐水条件の各々を充足するか否かを判定し、前記第1吐水条件及び前記第2吐水条件のうち少なくとも1つの条件を充足する場合に前記第1検知領域に吐水を行う。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の吐水制御装置であって、前記第2検知領域は、前記第1検知領域の周囲に設けられる領域である。
【0010】
また、本発明の一実施形態は、前記撮像装置と、前記撮像装置により撮像された画像の画像情報を取得する上記に記載の吐水制御装置とを備える吐水制御システムである。
【0011】
また、本発明の一実施形態は、吐水口検知部が、吐水管よりも上方側に設けられる撮像装置が前記吐水管を含む複数の検知領域で構成された撮像対象領域を撮像することにより取得された領域画像の画像情報に基づいて、前記領域画像に吐水口が含まれているか否かを検知し、対象物体検知部が、前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、検知対象である対象物体が前記撮像対象領域に含まれる複数の検知領域のうち少なくとも何れか一つである第1検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記対象物体の位置を検知し、保持物体検知部が、前記吐水口検知部によって前記吐水口が検出された場合、前記画像情報に基づいて、前記領域画像における前記検知対象を保持する保持物体が前記複数の検知領域のうち前記第1検知領域とは異なる第2検知領域に存在するか否かを判定し、存在する場合には前記保持物体の位置を検知し、制御部が、前記対象物体検知部により検知された検知結果、及び前記保持物体検知部により検知された検知結果に基づいて、吐水を制御し、前記複数の検知領域は、前記吐水管からの吐水を制御する条件である吐水条件が互いに異なる領域である、吐水制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明によれば、精度よく吐水を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る吐水制御システム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る制御情報出力部210が行う処理を説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態に係る吐水制御装置20の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る吐水制御装置20の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る吐水制御装置20Aの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態の吐水制御システム及び吐水制御装置を、図面を参照して説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る吐水制御システム1の構成例を示すブロック図である。吐水制御システム1は、撮像対象領域40の画像に基づいて、吐水を制御する。
【0016】
吐水制御システムが行う吐水の制御には、吐水する水の種別、吐水する水の形態及び吐水する水の水圧や流量、温度等を選択する制御が含まれる。吐水する水の種別には、例えば、原水、浄水、湯水がある。吐水する水の形態には、例えば、ストレート吐水、及びシャワー吐水がある。以下の説明では、吐水制御システム1が吐水及び止水を制御する場合を例示して説明する。
なお、吐水する水の種別には、浄水のお湯、炭酸水、除菌水、アルカリイオン水などの所謂機能水が含まれていてよい。また、吐水状態には、吐水する水の温度や水圧、水量が含まれていてよい。
【0017】
吐水制御システム1は、例えば、撮像装置10及び吐水制御装置20を備える。吐水制御装置20は、吐水管400の吐水を開始又は終了させる電磁弁30と接続する。吐水制御システム1は、電磁弁30を開閉することにより吐水管400の吐水及び止水を制御する。
【0018】
撮像装置10は、例えば、キッチン等、水が使用される場所に設けられ、所定の時間間隔で撮像対象領域40を撮像する。ここで、撮像装置10により撮像された撮像対象領域40の画像は、「領域画像」の一例である。撮像対象領域40は、例えば、ワークトップなど、吐水管400が配置されたシンク401等の水回りの設備が設けられた領域である。撮像装置10は、例えば、シンク401よりも広い領域(例えばシンク401とコンロを含む領域)を撮像する。
【0019】
撮像装置10は、例えば、キッチンの天井、又はウォールキャビネットの底板外側面に設けられる。天井に設けられる場合には、照明配線器具に装着可能な電球型のカメラを用いることができる。この場合、例えば、撮像装置10は、照明配線器具から供給される電力により動作する。また、この場合、撮像装置10は、吐水管400の上側方向に設けられる。撮像装置10は、例えば、吐水管400の上側方向から吐水管400を俯瞰するように吐水管400を含む領域を撮像する。つまり、撮像装置10は吐水管400の上方側から撮像対象領域40を撮像する。
【0020】
また、撮像装置10は、撮像した画像の画像情報を吐水制御装置20に出力する。撮像装置10は、例えば、WiFi(ワイファイ)等の無線通信回線を介して、撮像した画像の画像情報を吐水制御装置20に出力する。なお、撮像装置10は、動画像を撮像してもよいし、静止画像を撮像してもよい。また、撮像装置10は、カラー画像を撮像してもよいし、白黒画像を撮像してもよい。
【0021】
吐水制御装置20は、例えば、対象物体検知部200、吐水口検知部201、座標抽出部202、座標抽出部203、一致検知部204、保持物体検知部205、座標抽出部206、オフセット付加部207、一致検知部208、速度検知部209、及び制御情報出力部210を備える。ここで、対象物体検知部200、及び座標抽出部202は、「対象物体検知部」の一例である。また、吐水口検知部201、座標抽出部203は、「吐水口検知部」の一例である。また、一致検知部204、208、保持物体検知部205、オフセット付加部207、速度検知部209、制御情報出力部210の各々は、「制御部」の一例である。
【0022】
対象物体検知部200は、撮像装置10により撮像された撮像対象領域40の画像に基づいて、画像に対象物体403があるか否かを検知する。対象物体403は、吐水の対象となり得る物体であり、例えば、コップや皿、鍋、人間の手などである。
【0023】
対象物体検知部200は、例えば、エッジ検出を行うことにより画像に撮像された様々な物体を抽出する。吐水口検知部201は、例えば、画像データにおける輝度の差分に基づいてエッジ検出を行う。具体的には、吐水口検知部201は、画像に様々な矩形の枠(セル)をあてはめ、枠の内部と比較して、枠の外周に輝度の差分が少ない場合に、その枠内に物体があると判定し、その枠を抽出することで画像から物体を抽出する。
【0024】
また、対象物体検知部200は、画像から抽出した物体から対象物体403の候補を選択する。対象物体検知部200は、例えば、予めコップや皿などの対象物体403となり得る物体を様々な撮像条件(撮像角度や照明等)により撮像した画像を予め図示しない記憶部に記憶させておく。対象物体検知部200は、例えば、予め記憶させた対象物体403の画像と、撮像装置10により撮像された画像から抽出した物体の画像とを同じ大きさにスケーリングした上で、両画像の画素について比較する。対象物体検知部200は、例えば、画素毎の色の分布の傾向が、所定の閾値以上で一致する場合に画像から抽出した物体が対象物体403の候補であると判定する。
【0025】
また、対象物体検知部200は、画像から抽出した対象物体403の候補となる物体が、吐水口Dを含む領域E1(
図2参照)に物体がある場合に、その物体を対象物体403として検知する。これは、画像にコップ等の物体が存在していたとしても、領域E1とは異なる領域、つまり吐水口Dから離れた位置にある場合にはその物体に吐水を受けさせることが考え難いためである。ここで、吐水口Dを含む領域E1は、「第1検知領域」の一例である。
対象物体検知部200は、検知結果を座標抽出部202に出力する。
【0026】
吐水口検知部201は、撮像装置10により撮像された撮像対象領域40の画像に基づいて、画像に吐水管400の吐水口D(
図2参照)があるか否かを検知する。
【0027】
吐水口検知部201は、例えば、エッジ検出を行うことにより画像に撮像された様々な物体を抽出する。そして、吐水口検知部201は、画像から抽出した物体から吐水口Dを選択する。吐水口検知部201は、例えば、様々な撮像条件で撮像した吐水口Dの画像を予め図示しない記憶部に記憶させておく。吐水口検知部201は、記憶されている吐水口Dの画像と、撮像装置10により撮像された画像から抽出した物体の画像とを比較し、両画像が所定の類似条件を充足する場合に画像から抽出した物体が吐水口Dであると判定する。吐水口検知部201は、検知結果を座標抽出部203に出力する。
【0028】
座標抽出部202は、撮像装置10により撮像された画像、及び対象物体検知部200により出力された検知結果に基づいて、画像における対象物体403の位置を示す位置座標を抽出する。ここでの位置座標は、対象物体403における中心付近の位置を示す座標値(代表値)であってもよいし、対象物体403の外周を示す座標群であってもよい。座標抽出部202は、抽出した画像における対象物体403の位置座標を一致検知部204に出力する。
【0029】
座標抽出部203は、撮像装置10により撮像された画像、及び吐水口検知部201により出力された検知結果に基づいて、画像における吐水口Dの位置を示す位置座標を抽出する。ここでの位置座標は、吐水口Dを含む領域を示す座標群である。
座標抽出部203は、抽出した画像における吐水口Dの位置座標を一致検知部204、及びオフセット付加部207に出力する。
【0030】
一致検知部204は、座標抽出部202により抽出された対象物体403の位置と、座標抽出部203により抽出された吐水口Dを含む領域E1の位置とが一致しているか否かを検知する。一致検知部204は、例えば、対象物体403の位置座標が吐水口D含む領域E1に含まれる場合に、双方の位置が一致していると判定する。一致検知部204は、検知結果を制御情報出力部210に出力する。
【0031】
保持物体検知部205は、撮像装置10により撮像された撮像対象領域40の画像に基づいて、画像に保持物体402があるか否かを検知する。保持物体402は、吐水口の下で吐水を受ける対象物体403保持する物体であり、例えば、吐水口に差し出されたコップや皿、野菜などを持つ人間の手や、菜箸、トング等である。
保持物体検知部205は、例えば、画像に人間が存在しており、尚且つ、吐水口Dを含む領域E1の周囲にある領域E2(
図2参照)に対象物体403を保持する物体が存在している場合に、その物体を保持物体402として検知する。これは、画像に人間が存在していない場合に吐水する操作を行うことは想定していないためである。また、領域E2とは異なる領域に存在する物体は、対象物体403を保持していたとしても、吐水を受けさせるために対象物体403を保持しているとは考え難いためである。ここで、領域E2は、「第2検知領域」の一例である。
また、保持物体検知部205は、領域E2に物体が存在している場合でも、人間に用いられておらず、単に領域E2に存在しているのみである場合には、その物体を保持物体402として検知しないことが好ましい。たまたま領域E2に存在する物体が対象物体403を保持している状態にあっても、人間が存在していなければ、対象物体403を、吐水を受けさせるために保持しているとは考え難いためである。
保持物体検知部205は、例えば、人間が菜箸等を用いて野菜などの対象物体403を保持しており、その菜箸等が領域E2に存在する場合に、その菜箸等を保持物体402として検知することが好ましい。また、保持物体検知部205は、菜箸等が対象物体403を保持しているが、菜箸等が人間により用いられておらず、単に対象物体403を保持した状態でたまたま領域E2に存在している場合には、その菜箸等を保持物体402として検知しない。
【0032】
保持物体検知部205は、例えば、エッジ検出を行うことにより画像に撮像された様々な物体を抽出する。そして、保持物体検知部205は、画像から抽出した物体から保持物体402を選択する。保持物体検知部205は、例えば、様々な撮像条件で撮像した、様々な形状の保持物体402の画像を予め図示しない記憶部に記憶させておく。保持物体検知部205は、記憶されている保持物体402の画像と、撮像装置10により撮像された画像から抽出した物体の画像とを比較し、両画像が所定の類似条件を充足する場合に画像から抽出した物体が保持物体402であると判定する。保持物体検知部205は、検知結果を座標抽出部206に出力する。
【0033】
座標抽出部206は、撮像装置10により撮像された画像、及び保持物体検知部205により出力された検知結果に基づいて、画像における保持物体402の位置を示す位置座標を抽出する。ここでの位置座標は、保持物体402における中心付近の位置を示す座標値(代表値)であってもよいし、保持物体402の外周を示す座標群であってもよい。座標抽出部206は、抽出した画像における保持物体402の位置座標を一致検知部208、及び速度検知部209に出力する。
【0034】
オフセット付加部207は、座標抽出部203により出力された吐水口Dの位置を示す位置座標に、所定のオフセットを付加する。ここで、すでに説明したように、吐水口Dの位置を示す位置座標は、吐水口Dを含む領域E1を示す座標群である。また、領域E1は、吐水を受ける対象物体403が存在する領域であることから吐水口Dの下方の領域である。オフセット付加部207は、領域E1の外周を示す座標群の各々の座標に対し、吐水口Dの中心部から吐水口Dの外周に向かう方向に、所定のオフセットを付加する。オフセット付加部207は、領域E1を水平方向に囲むオフセット領域(例えば、領域E2)の外周を示す座標群を生成する。
オフセット付加部207は、生成した位置座標を一致検知部208に出力する。
【0035】
一致検知部208は、座標抽出部206により抽出された保持物体402の位置座標と、オフセット付加部207により抽出されたオフセット領域である領域E2の位置とが一致しているか否かを検知する。一致検知部204は、例えば、保持物体402の位置座標が、オフセット領域である領域E2に含まれる場合に、双方の位置が一致していると判定する。一致検知部208は、検知結果を制御情報出力部210に出力する。
【0036】
速度検知部209は、座標抽出部206により抽出された保持物体402の位置座標に基づいて、保持物体402が移動する速度を検知する。速度検知部209は、画像における保持物体402の位置座標と、その画像の前に撮像された画像における保持物体402の位置座標とに基づいて、保持物体402の位置における単位時間あたりの移動量(つまり、速度)を算出する。速度検知部209は、算出した速度を、制御情報出力部210に出力する。
【0037】
制御情報出力部210は、一致検知部204の検知結果、一致検知部208の検知結果、及び速度検知部209の検知結果に基づいて、電磁弁30の開閉状態を制御する制御信号を出力する。以下では、
図2を用いて、制御情報出力部210が行う処理を説明する。
【0038】
図2は、第1の実施形態に係る制御情報出力部210が行う処理を説明するための図である。
図2では、吐水管400を上側から撮像した場合の模式図を示し、吐水管400の一端には吐水口Dがあり、吐水口Dを中心とした領域E1、及びE2が示されている。
【0039】
制御情報出力部210は、例えば、吐水口Dの位置に応じた複数の検知領域を設ける。この例では、制御情報出力部210が、領域E1、及びE2を設けた場合を示している。
【0040】
制御情報出力部210は、対象物体403、及び保持物体402の各々の位置に応じて、例えば、以下の吐水条件を充足するか否かを判定する。
吐水条件1:対象物体403の位置が吐水口Dの位置に対応する領域E1に存在する。
吐水条件2:保持物体402の位置がオフセット位置に対応する領域E2に存在する。
【0041】
この場合、制御情報出力部210は、吐水条件1を充足するか否かを判定することにより、吐水口Dにコップや皿などの対象物体403が差し出されているか否かを判定することができる。これにより、制御情報出力部210は、吐水口Dにコップや皿などの対象物体403が差し出されている場合に吐水を行い、吐水口Dに対象物体403が差し出されていない場合に吐水を行わないように制御することができる。
【0042】
また、制御情報出力部210は、吐水条件2を充足するか否かを判定することにより、吐水口Dからやや離れた位置にコップを持つ手などの保持物体402が存在しているか否かを判定することができる。これにより、吐水口Dからやや離れた位置にコップを持つ手があると判定する場合に吐水を行い、保持物体402が吐水口Dからやや離れた位置に存在していない場合に吐水を行わないように制御することができる。
【0043】
制御情報出力部210は、吐水条件1に加えて、吐水条件2を判定することにより、吐水口Dに対象物体403が差し出されていることをより精度よく検知することができる。例えば、吐水口Dに透明なコップが差し出された場合、画像にコップの形状が明確に撮像されない場合が考えられる。この場合、対象物体検知部200は、画像から対象物体403を検知することができない。このような場合でも、制御情報出力部210は、吐水条件2を設けることにより、対象物体403が検知されていないが、保持物体402が検知されたことから、対象物体403(透明なコップ)が吐水口Dに差し出されているであろうと推測して、吐水を制御することができる。
【0044】
また、制御情報出力部210は、対象物体403における領域E1の滞在時間、保持物体402における領域E2の滞在時間に応じて、例えば、以下の吐水条件を充足するか否かを判定するようにしてもよい。
吐水条件3:対象物体403における領域E1の滞在時間が所定閾値以上である。
吐水条件4:保持物体402における領域E2の滞在時間が所定閾値以上である。
【0045】
この場合、制御情報出力部210は、吐水条件3を充足するか否かを判定することにより、たまたま対象物体403が領域E1に入っただけなのか、吐水させようとして対象物体403が領域E1、つまり吐水口Dに差し出されたのかを判定することができる。これにより、制御情報出力部210は、たまたま対象物体403が領域E1に入った場合には吐水を行わず、吐水させようとして対象物体403が領域E1、つまり吐水口Dに差し出された場合に、吐水を行うように制御することができる。
【0046】
また、制御情報出力部210は、吐水条件4を充足するか否かを判定することにより、たまたま保持物体402が領域E2に入っただけなのか、吐水させようとして保持物体402が領域E2に留まっているのかを判定することができる。これにより、制御情報出力部210は、たまたま保持物体402が領域E2に入っただけの場合には吐水を行わず、吐水させようとして保持物体402が領域E2に留まっている場合に、吐水を行うように制御することができる。
【0047】
制御情報出力部210は、吐水条件3における滞在時間の閾値と、吐水条件4における滞在時間の閾値とを同じ閾値としてもよいし、異なる閾値としてもよい。制御情報出力部210は、例えば、吐水条件3における滞在時間の閾値を、吐水条件4における滞在時間の閾値より短く設定する。例えば、制御情報出力部210は、対象物体403が領域E1に滞在した場合に比較的短い時間で吐水を開始させ、対象物体403が検知されない場合であっても保持物体402が領域E2に比較的長い滞在した場合に吐水を開始させる。
ここで、吐水条件3における滞在時間の閾値と、吐水条件4における滞在時間の閾値とが異なる場合には、領域E1に対象物体403が滞在する場合と、領域E2に保持物体402が滞在する場合とで、吐水を開始する条件が異なる。つまり、この場合、領域E1及びE2は、「吐水条件が互いに異なる複数の検知領域」の一例である。
また、吐水条件3における滞在時間の閾値より、吐水条件4における滞在時間の閾値のほうが長い場合には、領域E1に対象物体403が滞在する場合より、領域E2に保持物体402が滞在する場合の方が、吐水を開始する条件が厳しい。ここでの吐水を開始する条件が厳しいとは、物体が検知されてから吐水を開始するまでの時間がより長いことを意味する。つまり、この場合、吐水条件3は「第1吐水条件」の一例であり、吐水条件4は「第2吐水条件」の一例である。
【0048】
なお、制御情報出力部210が吐水を開始する条件についての領域E1とE2との吐水条件の相違は、物体が領域に滞在する時間に限定されない。領域E1とE2との吐水条件の相違は、領域E1、E2の面積の相違や、人間が対象物体403に吐水を受けさせる動作等を総合的に考慮して決定されてよい。
例えば、人間が対象物体403を領域E1に進入させる動作について、領域E1、E2の面積や、領域E1、E2の滞在時間等の検知条件を変更させながら、成人男性や成人女性、子供や高齢者等様々な人間に実施させる検知実験を複数回(例えば、100回)行う。そして検知実験の結果に基づいて、領域E1に対象物体403が滞在する場合の吐水条件、及び領域E2に保持物体402が滞在する場合の吐水条件を、それぞれ決定するようにしてよい。この場合、対象物体403が領域E1で検知される可能性がより高い検知条件を、領域E1に対象物体403が滞在する場合の吐水条件とする。また、保持物体402が領域E2で検知される可能性がより低い検知条件を、領域E2に保持物体402が滞在する場合の吐水条件とする。これにより、領域E1に対象物体403が滞在する場合より、領域E2に保持物体402が滞在する場合の方が、吐水を開始する条件を厳しい条件とする。
【0049】
また、制御情報出力部210は、領域E2における保持物体402の速度に応じて、例えば、以下の吐水条件を充足するか否かを判定するようにしてもよい。
吐水条件5:領域E2に存在する場合における保持物体402の移動速度が所定閾値未満である。
【0050】
この場合、制御情報出力部210は、吐水条件5を充足するか否かを判定することにより、単に保持物体402が領域E2を通過しているのか、保持物体402が保持するコップが吐水口Dに差し出され、保持物体402が停止しようとしているのかを判定することができる。これにより、制御情報出力部210は、単に保持物体402が領域E2を通過している場合には吐水を行わず、保持物体402が保持するコップが吐水口Dに差し出され、保持物体402が停止しようとしている場合に、吐水を行うように制御することができる。
【0051】
図3は、第1の実施形態に係る吐水制御装置20の動作例を示すフローチャートである。ここでは、
図3を用いて吐水制御装置20の動作の全体の流れを説明する。
【0052】
まず、吐水制御装置20は、撮像装置10により撮像された撮像対象領域40の画像の画像情報を取得する(ステップS100)。吐水制御装置20は、取得した画像情報を、対象物体検知部200、吐水口検知部201、及び保持物体検知部205に出力する。
【0053】
次に、対象物体検知部200は、画像に対象物体403が含まれているか否かを検知する処理(物体の検知処理)を行う(ステップS200)。対象物体検知部200は、検知結果を座標抽出部202に出力する。座標抽出部202は、対象物体検知部200により出力された検知結果に基づいて、対象物体403の位置座標を抽出し、抽出した位置座標を一致検知部204に出力する。
【0054】
次に、吐水口検知部201は、画像に吐水口Dが含まれているか否かを検知する処理(吐水口の検知処理)を行う(ステップS300)。吐水口検知部201は、検知結果を座標抽出部203に出力する。座標抽出部203は、吐水口検知部201により出力された検知結果に基づいて、吐水口Dの位置座標を抽出し、抽出した位置座標を一致検知部204、及びオフセット付加部207に出力する。
【0055】
次に、保持物体検知部205は、画像に保持物体402が含まれているか否かを検知する処理(保持物体の検知処理)を行う(ステップS400)。保持物体検知部205は、検知結果を座標抽出部206に出力する。座標抽出部206は、保持物体検知部205により出力された検知結果に基づいて、保持物体402の位置座標を抽出し、抽出した位置座標を一致検知部208、及び速度検知部209に出力する。
【0056】
そして、吐水制御装置20は、吐水を行うか否かを判定する処理(判定処理)を行う(ステップS500)。
【0057】
なお、上述したフローチャートでは、物体の検知処理(ステップS200)、吐水口の検知処理(ステップS300)、及び保持物体の検知処理(ステップS400)の順に処理を行う場合を例示して説明したが、ステップS200、S300、及びS400に示す処置は、処理の順序が入れ替わってもよい。
【0058】
図4は、第1の実施形態に係る吐水制御装置20の動作例を示すフローチャートである。ここでは、
図4を用いて、ステップS500により示される「判定処理」の流れを説明する。
【0059】
まず、制御情報出力部210は、座標抽出部203により画像から吐水口Dが検出されたか否かを判定する(ステップS501)。
次に、制御情報出力部210は、画像から吐水口Dが検出された場合、検知領域である領域E1、E2を設定する(ステップS502)。
次に、制御情報出力部210は、座標抽出部202により画像から対象物体403が検出されたか否かを判定する(ステップS503)。
次に、制御情報出力部210は、対象物体403が検出された場合、対象物体403が領域E1に滞在した時間は所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS504)。
そして、制御情報出力部210は、対象物体403が領域E1に滞在した時間が所定時間以上である場合、吐水を開始する(ステップS505)。
【0060】
一方、ステップS503において画像から対象物体403が検出されない場合、及びステップS504において、対象物体403が領域E1に滞在した時間が所定時間未満である場合、制御情報出力部210は、座標抽出部206により画像から保持物体402が検出されたか否かを判定する(ステップS506)。
次に、制御情報出力部210は、保持物体402が検出された場合、保持物体402が領域E2に滞在した時間は所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS507)。
次に、制御情報出力部210は、保持物体402が領域E2に滞在した時間が所定時間以上である場合、領域E2に滞在した時における保持物体402の速度は所定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS508)。
そして、制御情報出力部210は、保持物体402が領域E2に滞在した時間が所定時間以上であり、尚且つその時の保持物体402の速度が所定閾値未満である場合、吐水を開始する(ステップS505)。
【0061】
一方、ステップS501に示す処理において画像から吐水口Dが検出されない場合、ステップS506に示す処理において画像から保持物体402が検出されない場合、ステップS507に示す処理において保持物体402が領域E2に滞在した時間が所定時間未満である場合、ステップS508に示す処理において領域E2に滞在していた時の保持物体402の速度が所定閾値未満でない場合、制御情報出力部210は、吐水を開始することなく、ステップS100に示す処理に戻る。
なお、上記では、ステップS507、及びS508に示す判定処理を共に満たす場合(ステップS507がYES、尚且つステップS508がYES、である場合)にステップS505に示す吐水を制御する処理が行われる場合を例示して説明したが、ステップS507に示す処理を満たす(ステップS507がYESである)場合にステップS505に進み。吐水を開始するようにしてもよい。
【0062】
以上説明したように、第1の実施形態の吐水制御装置20は、撮像対象領域が撮像された領域画像の画像情報に基づいて、画像における検知対象である対象物体403が撮像対象領域に含まれる複数の検知領域(例えば、領域E1及びE2)のうち少なくとも何れか一つの検知領域である領域E1に存在するか否かを判定し、存在する場合には対象物体403の位置を検知する対象物体検知部200及び座標抽出部202と、画像情報に基づいて、画像における対象物体403を保持する保持物体402が撮像対象領域に含まれる複数の検知領域(例えば、領域E1及びE2)のうち領域E1とは異なる検知領域である領域E2に存在するか否かを判定し、存在する場合には保持物体402の位置を検知する保持物体検知部205及び座標抽出部206と、対象物体検知部200及び座標抽出部202により検知された検知結果、及び保持物体検知部205及び座標抽出部206により検知された検知結果に基づいて、吐水を制御する制御情報出力部210を備える。これにより、第1の実施形態の吐水制御装置20は、対象物体403が吐水口Dに差し出されているにもかかわらず検知ができなかった場合でも、保持物体402を検知することで、間接的に対象物体403を検知することができるためより精度よく吐水を制御することができる。また、第1の実施形態の吐水制御装置20は、吐水管400が含まれた画像を取得すればよいため、吐水口にセンサやカメラを設置する必要がない。このため、吐水口からの水滴等に起因して生じ得る誤検知を抑制することが可能である。
【0063】
また、実施形態の吐水制御装置20では、制御情報出力部210は、対象物体403の位置が検知された場合において所定の第1吐水条件を充足する場合に吐水を制御し、保持物体402の位置が検知された場合において第1吐水条件よりも厳しい第2吐水条件を充足する場合に吐水を制御する。ここでの第1吐水条件は、例えば、吐水条件3における滞在時間の閾値より、吐水条件4における滞在時間の閾値のほうが長い場合における吐水条件3である。また、ここでの第2条件は、例えば、吐水条件3における滞在時間の閾値より、吐水条件4における滞在時間の閾値のほうが長い場合における吐水条件4である。これにより、第1の実施形態の吐水制御装置20は、対象物体403が吐水口Dに差し出された場合より、保持物体が吐水口Dからやや離れた位置に滞在している場合のほうが、より厳しい条件で吐水を行うことができ、より精度よく吐水を制御することができる。
【0064】
また、実施形態の吐水制御装置20では、撮像対象領域は、吐水管400を含む領域である。これにより、対象物体403が吐水口Dに差し出されている様子や、保持物体402が吐水口Dからやや離れた位置に滞在する様子を画像に撮像することができる。
【0065】
また、実施形態の吐水制御装置20では、領域E2は、領域E1の周囲に設けられる領域である。これにより、対象物体403が領域E1に存在する様子が画像から認識され難い場合に、保持物体402が吐水口の奥側等、従来の吐水口付近に設けられたセンサでは検知され難い位置に存在していた場合であっても、保持物体402が領域E2に滞在していることを検知することができ、より精度よく吐水を制御することが可能である。
【0066】
また、実施形態の吐水制御装置20では、制御情報出力部210は、対象物体403が吐水口Dの位置を含む領域E1に滞在した時間、又は保持物体402が領域E2に滞在した時間に基づいて、吐水を制御する。これにより、第1の実施形態の吐水制御装置20は、対象物体403が吐水口Dに所定時間差し出されていることが検知できなかった場合でも、保持物体402が吐水口Dからやや離れた位置に滞在していることを検知することで、間接的に対象物体403を検知することができるためより精度よく吐水を制御することができる。また、対象物体403が領域E1に滞在した時間を、保持物体402が領域E2に滞在した時間よりも短くすることで、まず対象物体403を検知し、検知できない場合に保持物体402を検知するという二段階の処理を行うことができ、より精度よく吐水を制御することができる。
【0067】
また、実施形態の吐水制御装置20では、制御情報出力部210は、保持物体402が領域E2において所定の閾値速度未満で移動している、又は保持物体402が領域E2において所定時間停止している場合に、吐水を開始する。これにより、実施形態の吐水制御装置20は、保持物体402が領域E2を通過しただけの場合は吐水を行わず。保持物体402が対象物体403に吐水させる動作を行った場合に吐水を行うことができ、より精度よく吐水を制御することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、第2の実施形態に係る吐水制御システム1Aは、保持物体402を検知する代わりに、骨格を検知する点において、上述した実施形態と相違する。以下では、上述した実施形態と異なる点を説明し、上述した実施形態と同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図5は第2の実施形態に係る吐水制御システム1Aの構成例を示すブロック図である。吐水制御システム1Aの吐水制御装置20Aは、例えば、骨格検知部211、及び保持部位座標抽出部212を備える。ここで、骨格検知部211及び保持部位座標抽出部212は、「保持物体検知部」の一例である。
【0070】
骨格検知部211は、撮像装置10により撮像された画像に基づいて、画像に撮像された人間の動作を検知する。骨格検知部211は、例えば、カメラ(例えば、赤外線カメラ)やセンサ(例えば、モーションセンサ)などを用いて人間の動作に関する情報を取得する。骨格検知部211は、赤外線カメラ等を用いて取得した人間の動作に関する情報に基づいて、人間の関節部分を抽出し、抽出した関節部分を人体の骨格の構造に基づいて接続させることにより、人間の骨格を検知する。骨格検知部211は、検知した人間の動作や骨格に関する情報を保持部位座標抽出部212に出力する。
【0071】
保持部位座標抽出部212は、骨格検知部211により検知された人間の動作や骨格に関する情報に基づいて、その人間が対象物体403を保持する部位(例えば、手の部位)の位置座標を抽出する。ここで、対象物体403を保持する部位は、「保持物体」の一例である。
保持部位座標抽出部212は、抽出した位置座標を、一致検知部208及び速度検知部209に出力する。
【0072】
一致検知部208は、保持部位座標抽出部212により抽出された保持部位の位置座標と、オフセット付加部207により抽出されたオフセット領域である領域E2の位置とが一致しているか否かを検知する。
速度検知部209は、保持部位座標抽出部212により抽出された保持部位の位置座標に基づいて、保持部位が移動する速度を検知する。
【0073】
以上説明したように、第2の実施形態の吐水制御装置20Aでは、骨格検知部211及び保持部位座標抽出部212は、画像における人間の骨格を検知することにより、対象物体403を保持する部位の位置を検知する。これにより、第2の実施形態の吐水制御装置20Aは、骨格を抽出することにより、対象物体403を保持する部位の位置を検出することができ、保持物体を検知することが可能となる。
【0074】
上述した実施形態における吐水制御装置20、及び20Aが行う処理の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0075】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 吐水制御システム
10 撮像装置
20 吐水制御装置
200 対象物体検知部
201 吐水口検知部
202 座標抽出部
203 座標抽出部
204 一致検知部
205 保持物体検知部
206 座標抽出部
207 オフセット付加部
208 一致検知部
209 速度検知部
210 制御情報出力部
211 骨格検知部
212 保持部位座標抽出部
30 電磁弁
40 撮像対象領域
400 吐水管
401 シンク
402 保持物体
403 対象物体