(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-26
(45)【発行日】2022-10-04
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20220927BHJP
A01K 23/00 20060101ALI20220927BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20220927BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220927BHJP
【FI】
A01K1/015 B
A01K23/00 Z
B01J20/28 A
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2019008888
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138001(JP,A)
【文献】実開平5-13155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A01K 23/00
B01J 20/28
B01J 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する吸水処理材であって、
吸水性を有する粒状体を備え、
前記粒状体は、側面並びに第1及び第2の底面を有する斜切円柱状をしていることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第1の底面は、前記粒状体の中心軸に対して斜めに交わっている吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
前記第1の底面と前記中心軸とのなす角をα°としたとき、
前記αは、20≦α≦70を満たす吸水処理材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の吸水処理材において、
前記第2の底面は、前記中心軸に対して斜めに交わっている吸水処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の吸水処理材において、
前記第2の底面と前記中心軸とのなす角をβ°としたとき、
前記βは、20≦β≦70を満たす吸水処理材。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の吸水処理材において、
前記第1及び第2の底面は、前記中心軸に垂直な同一方向から同時に視認可能である吸水処理材。
【請求項7】
請求項6に記載の吸水処理材において、
前記第1の底面の中心を通り、かつ前記中心軸に垂直な平面を第1の平面とし、
前記第2の底面の中心を通り、かつ前記中心軸に垂直な平面を第2の平面としたとき、
前記第1の底面における前記第2の平面に最も近い部分と、前記第2の底面における前記第1の平面に最も近い部分とは、前記側面の同一母線上に存在する吸水処理材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の吸水処理材において、
前記粒状体は、粒状の芯部と、前記芯部の表面を覆う被覆部とを有する吸水処理材。
【請求項9】
請求項8に記載の吸水処理材において、
前記被覆部は、前記芯部の表面の一部のみを覆っている吸水処理材。
【請求項10】
請求項9に記載の吸水処理材において、
前記芯部は、前記粒状体の前記第1及び/又は第2の底面に露出している吸水処理材。
【請求項11】
液体を吸収する吸水処理材を製造する方法であって、
吸水性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、側面並びに第1及び第2の底面を有する斜切円柱状の前記粒状体を形成することを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第1の底面が前記粒状体の中心軸に対して斜めに交わるように、前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の底面と前記中心軸とのなす角をα°としたとき、
前記αは、20≦α≦70を満たす吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第2の底面が前記中心軸に対して斜めに交わるように、前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の底面と前記中心軸とのなす角をβ°としたとき、
前記βは、20≦β≦70を満たす吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第1及び第2の底面が前記中心軸に垂直な同一方向から同時に視認可能となるように、前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1の底面の中心を通り、かつ前記中心軸に垂直な平面を第1の平面とし、
前記第2の底面の中心を通り、かつ前記中心軸に垂直な平面を第2の平面としたとき、
前記粒状体形成工程においては、前記第1の底面における前記第2の平面に最も近い部分と前記第2の底面における前記第1の平面に最も近い部分とが前記側面の同一母線上に存在するように、前記粒状体を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程は、粒状の芯部を形成する芯部形成工程と、前記芯部の表面を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程と、を含む吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部の表面の一部のみを覆うように前記被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記被覆部形成工程においては、前記芯部が前記粒状体の前記第1及び/又は第2の底面に露出するように、前記被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収する吸水処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸水処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された吸水処理材は、吸水性を有する粒状体からなる。粒状体は、側面及び2つの底面を有する円柱状をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の吸水処理材においては、処理対象となる液体が、粒状体の側面及び底面から当該粒状体の内部に吸収される。しかしながら、かかる吸水処理材には、吸水速度の面で向上の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、吸水速度に優れた吸水処理材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、液体を吸収する吸水処理材であって、吸水性を有する粒状体を備え、上記粒状体は、側面並びに第1及び第2の底面を有する斜切円柱状をしていることを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、粒状体が斜切円柱状をしている。ここで、斜切円柱状とは、円柱の一端又は両端を斜交平面(当該円柱の中心軸に対して斜めに交わる平面)で切断して得られる形状をいう。かかる斜切円柱の底面の面積は、元の円柱の底面の面積よりも大きくなる。このように底面の面積を大きくすることにより、粒状体の表面積を増大させ、吸水処理材の吸水速度を向上させることができる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、液体を吸収する吸水処理材を製造する方法であって、吸水性を有する粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程においては、側面並びに第1及び第2の底面を有する斜切円柱状の上記粒状体を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、粒状体が斜切円柱状に形成される。かかる斜切円柱の底面の面積は、元の円柱の底面の面積よりも大きくなる。このように底面の面積を大きくすることにより、粒状体の表面積を増大させ、製造後の吸水処理材の吸水速度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸水速度に優れた吸水処理材及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の粒状体10を左方向から見た側面図である。
【
図5】芯部22を形成する方法の一例を説明するための図である。
【
図6】吸水処理材1の効果を説明するための図である。
【
図7】吸水処理材1の効果を説明するための図である。
【
図8】吸水処理材1の効果を説明するための図である。
【
図9】変形例に係る粒状体10を示す斜視図である。
【
図11】
図9の粒状体10を形成する方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す斜視図である。吸水処理材1は、液体を吸収する吸水処理材であって、粒状体10を備えている。本実施形態において吸水処理材1は、複数の粒状体10を備えている。ただし、
図1においては、1つの粒状体10のみを示している。吸水処理材1は、動物又は人の排泄物を吸収する排泄物処理材である。吸水処理材1は、例えば、箱型のトイレに複数の粒状体10が敷設された状態で使用される。
【0014】
粒状体10は、吸水性を有しており、上記液体を吸収する。各粒状体10の粒径は、例えば、5~15mm程度である。ここで、粒状体10の粒径は、粒状体10を内包しうる最小の球の直径として定義される。
【0015】
粒状体10は、側面12並びに底面14(第1の底面)及び底面16(第2の底面)を有する斜切円柱状をしている。側面12は、円柱の側面の一部に相当する曲面状をしている。底面14及び底面16は、何れも、粒状体10の中心軸L1に対して斜めに交わっている。各底面14,16の形状は、楕円である。中心軸L1は、底面14の中心と底面16の中心とを通る仮想的な直線である。底面14と底面16とは、互いに離間している。
【0016】
底面14と中心軸L1とのなす角をα°としたとき、αは、20≦α≦70を満たすことが好ましい。同様に、底面16と中心軸L1とのなす角をβ°としたとき、βは、20≦β≦70を満たすことが好ましい。αは、底面14を含む平面と中心軸L1(直線)とのなす角に等しく、平面と直線とのなす角に関する数学的定義に従って求められる。βについても同様である。αとβの値は、互いに等しくてもよいし、相異なっていてもよい。
【0017】
底面14及び底面16は、中心軸L1に垂直な同一方向から同時に視認可能である。この場合、中心軸L1に垂直な何れかの方向から見たときに、底面14及び底面16が同時に視認可能であればよい。ただし、各底面14,16の全体が視認可能でなければならない。例えば、
図1の左方向から見たとき、底面14及び底面16は、
図2に示すように同時に視認可能である。
【0018】
底面14の最近部14aと底面16の最近部16aとは、側面12の同一母線上に存在する。すなわち、最近部14aと最近部16aとを結ぶ線分は、中心軸L1に平行である。底面14の中心を通り、かつ中心軸L1に垂直な平面を第1の平面とし、底面16の中心を通り、かつ中心軸L1に垂直な平面を第2の平面としたとき、底面14における第2の平面に最も近い部分が最近部14aである。また、底面16における第1の平面に最も近い部分が最近部16aである。
【0019】
底面14の最遠部14bと底面16の最遠部16bとも、側面12の同一母線上に存在する。最遠部14bは、底面14における第2の平面から最も遠い部分である。最遠部16bは、底面16における第1の平面から最も遠い部分である。最近部14a,16aが存在する母線(最近部14aと最近部16aとを結ぶ線分)と、最遠部14b,16bが存在する母線(最遠部14bと最遠部16bとを結ぶ線分)とは、中心軸L1を挟んで正反対の位置にある。
【0020】
図3及び
図4は、粒状体10の断面図である。
図3は、最近部14a,16aが存在する母線と中心軸L1とを含む平面で粒状体10を切断したときの断面を示している。
図4は、底面14と底面16との間に存在する、中心軸L1に垂直な平面で粒状体10を切断したときの断面を示している。
【0021】
粒状体10は、芯部22及び被覆部24を有している。芯部22は、粒状をしている。具体的には、芯部22も、粒状体10と同様、斜切円柱状をしている。芯部22は、液体を吸水及び保水する機能を有する。芯部22は、吸水性材料を含有している。芯部22は、吸水性材料を主材料としている。ここで、芯部22の主材料とは、芯部22を構成する材料のうち、当該芯部22に占める重量割合が最大のものをいう。芯部22は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。有機物である吸水性材料としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0022】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0023】
被覆部24は、芯部22を覆っている。被覆部24は、芯部22の表面の全体を覆っている。被覆部24は、使用時(吸水処理材1が処理対象となる液体を吸収したとき)に粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能を有する。
【0024】
被覆部24は、吸水性材料及び接着性材料を含有している。被覆部24に含有される吸水性材料としても、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。被覆部24も、吸水性材料を主材料としている。被覆部24の主材料の定義は、上述した芯部22の主材料の定義と同様である。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)又はデキストリンを用いることができる。
【0025】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0026】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。この工程は、芯部形成工程及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部22を形成する工程である。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて、芯部材料(芯部22を構成する一又は二以上の材料)を造粒することにより、芯部22となる造粒物を形成する。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。例えば、
図5に示すように、円柱状の造粒物22aを形成した後、造粒物22aの両端を(図中の点線に沿って)斜めに切除することにより、上述した斜切円柱状の芯部22が得られる。本実施形態においては、複数の芯部22が形成される。
【0027】
被覆部形成工程は、被覆部24を形成する工程である。この工程においては、コーティング装置等を用いて、芯部22の表面に対して粉状の被覆材料(被覆部24を構成する一又は二以上の材料)を均一に付着させることにより、被覆部24を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、篩分け、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる吸水処理材1が得られる。
【0028】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状体10が斜切円柱状に形成される。かかる斜切円柱の底面の面積は、元の円柱の底面の面積よりも大きくなる。このように底面の面積を大きくすることにより、粒状体10の表面積を増大させ、吸水処理材1の吸水速度を向上させることができる。したがって、吸水速度に優れた吸水処理材1及びその製造方法が実現されている。
【0029】
図6~
図8を参照しつつ、斜切円柱の表面積増大効果について詳述する。ここでは、
図6に示す円柱90を直交平面(円柱90の中心軸に対して垂直に交わる平面)で切断することにより二等分して得られる円柱92と、円柱90を斜交平面で切断することにより二等分して得られる斜切円柱94を考える(
図7参照)。これらの円柱92及び斜切円柱94は、何れも円柱90を二等分したものである。それゆえ、円柱92の側面と斜切円柱94の側面とは、等しい面積(円柱90の側面の面積の2分の1)を有する。また、円柱92と斜切円柱94とは、等しい体積(円柱90の体積の2分の1)を有する。
【0030】
一方、円柱92の切断面である底面93と斜切円柱94の切断面である底面95とを比べると、
図8に示すように、底面93は円形であるのに対し底面95は楕円形である。同図は、底面93及び底面95を中心が一致するように同一平面上に重ねて示したものである。また、底面95の短半径は、底面93の半径に等しい。それゆえ、底面95が底面93を内包する関係となり、底面95の面積の方が底面93の面積よりも大きいことがわかる。このように、体積が等しくても、斜切円柱にすることにより、円柱の場合に比して粒状体の表面積を増大させることができる。
【0031】
底面14は、粒状体10の中心軸L1に対して斜めに交わっている。これにより、底面14が中心軸L1に対して垂直に交わる場合に比して、底面14の面積を大きくすることができる。
【0032】
底面14と中心軸L1とのなす角(α°)を小さくする程、底面14の面積を大きくすることができる。かかる観点から、α≦70であることが好ましい。他方、αが小さすぎると、粒状体10の端部(底面14側の端部)が細くなって、粒状体10が脆くなりかねない。かかる観点から、20≦αであることが好ましい。
【0033】
底面16は、粒状体10の中心軸L1に対して斜めに交わっている。これにより、底面16が中心軸L1に対して垂直に交わる場合に比して、底面16の面積を大きくすることができる。
【0034】
底面16と中心軸L1とのなす角(β°)を小さくする程、底面16の面積を大きくすることができる。かかる観点から、β≦70であることが好ましい。他方、βが小さすぎると、粒状体10の端部(底面16側の端部)が細くなって、粒状体10が脆くなりかねない。かかる観点から、20≦βであることが好ましい。
【0035】
底面14及び底面16は、中心軸L1に垂直な同一方向から同時に視認可能である。この場合、粒状体10の体積に偏りが生じる。具体的には、粒状体10における底面14,16を視認できる側(視認可能側)の体積の方が、粒状体10における底面14,16を視認できない側(視認不能側)の体積よりも小さくなる。
図1の場合、左側が視認可能側であり、右側が視認不能側である。そのため、粒状体10の重心は、中心軸L1上から視認不能側にシフトする。それゆえ、中心軸L1が水平になるように粒状体10を床に寝かせた場合、粒状体10は、視認不能側を下にした状態で安定するため、床上を転がりにくい。このため、粒状体10の敷設時や使用時に、トイレの外にこぼれた粒状体10が広範囲に散乱するのを抑制することができる。また、粒状体10の視認可能側が上を向きやすくなるため、上方から落ちてくる液体(排泄物)が底面14及び底面16に到達しやすくなるという利点もある。
【0036】
底面14の最近部14aと底面16の最近部16aとは、側面12の同一母線上に存在する。この場合、粒状体10は、当該母線を真上に向けた状態が最も安定する。かかる状態においては、底面14及び底面16の平面視での面積(真上から見たときの面積)が最大となる。それゆえ、上方から落ちてくる液体が底面14及び底面16に到達しやすくするのに最適である。
【0037】
粒状体10は、芯部22及び被覆部24を有している。このように芯部22上に被覆部24を設けることにより、使用済みの粒状体10からなる固まりを好適に得ることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、被覆部24が芯部22の表面の全体を覆う場合を例示した。しかし、例えば
図9及び
図10に示すように、被覆部24は、芯部22の表面の一部のみを覆っていてもよい。これらの図において被覆部24は、芯部22の側面上にのみ設けられており、芯部22の底面上には設けられていない。それゆえ、芯部22は、粒状体10の底面14及び底面16に露出している。このように被覆部24を芯部22の表面の一部にのみ設けることにより、芯部22の表面の残部(被覆部24が設けられていない部分)を粒状体10の表面に露出させることができる。これにより、当該露出部分を通じて、液体が速やかに芯部22に達することができる。
【0039】
かかる構造の粒状体10は、例えば、斜切円柱状の芯部22を形成した後、芯部22の側面にのみ被覆材料を付着させることにより形成することができる。あるいは、
図11に示すように、円柱状の造粒物22aの表面全体に被覆材料24aを付着させた後、造粒物22aの両端を(図中の点線に沿って)斜めに切除することによっても、上記構造の粒状体10を形成することができる。本例においては、底面14及び底面16の双方に芯部22が露出しているが、底面14又は底面16の何れか一方にのみ芯部22を露出させてもよいことは言うまでもない。
【0040】
上記実施形態においては、底面14及び底面16の双方が粒状体10の中心軸L1に対して斜めに交わる場合を例示した。しかし、底面14又は底面16の何れか一方のみが、中心軸L1に対して斜めに交わっていてもよい。すなわち、一方の底面が中心軸L1に対して斜めに交わるとともに、他方の底面が中心軸L1に対して垂直に交わっていてもよい。
【0041】
上記実施形態においては、粒状体10が芯部22及び被覆部24からなる複層構造(二層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部24を設けることは、必須でない。すなわち、粒状体10は、芯部22のみからなる単層構造を有していてもよい。
【0042】
上記実施形態においては、吸水処理材が排泄物処理材である場合を例示した。しかし、吸水処理材は、嘔吐物を吸収する嘔吐物処理材、又は生ゴミ(生ゴミに含まれる水分)を吸収する生ゴミ処理材であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 吸水処理材
10 粒状体
12 側面
14 底面(第1の底面)
14a 最近部
14b 最遠部
16 底面(第2の底面)
16a 最近部
16b 最遠部
22 芯部
22a 造粒物
24 被覆部
24a 被覆材料
90 円柱
92 円柱
93 底面
94 斜切円柱
95 底面
L1 中心軸