(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/36 20060101AFI20220928BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G03G15/36
G03G15/01 J
G03G15/01 S
(21)【出願番号】P 2018047360
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 洋一
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078981(JP,A)
【文献】特開2009-086334(JP,A)
【文献】特開2007-312093(JP,A)
【文献】特開2013-148701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0154830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/36
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断部と、
前記不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、前記不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成し、前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成する、印刷データ形成部と
を備え、
前記印刷データ形成部は、
前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて、コピー時
に消えてしまう程度に小さい文字を前記原本性を保証する地紋
として前記画像形成装置に
印刷させるための印刷データを形成する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記判断部は、
前記画像形成装置において、Cトナー、Mトナー、Yトナー、またはKトナーのいずれかに代替して、前記不可視トナーが装着されている場合、前記不可視トナーによる印刷が可能であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記判断部は、
前記画像形成装置において、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーに加えて、前記不可視トナーが装着されている場合、前記不可視トナーによる印刷が可能であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像形成装置に装着されているトナーの種類を検知する検知部をさらに備え、
前記判断部は、
前記検知部によって検知された前記トナーの種類に、前記不可視トナーが含まれている場合、前記画像形成装置において前記不可視トナーによる印刷が可能であると判断する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
ユーザに対し、前記原本性を保証する印刷に関する印刷設定を行うことが可能なユーザインタフェースを提供するUI部をさらに備え、
前記判断部は、
前記印刷設定において、前記不可視トナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせる設定がなされている場合、前記画像形成装置において前記不可視トナーによる印刷が可能であると判断する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
画像形成装置による印刷を制御する印刷制御装置であって、
前記画像形成装置において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断部と、
前記不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、前記不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成し、前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成する、印刷データ形成部と
を有し、
前記印刷データ形成部は、
前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて、コピー時
に消えてしまう程度に小さい文字を前記原本性を保証する地紋
として前記画像形成装置に
印刷させるための印刷データを形成する
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項7】
印刷機構を備えた画像形成装置であって、
前記印刷機構において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断部と、
前記不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、前記不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を前記印刷機構に行わせるための印刷データを形成し、前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記印刷機構に行わせるための印刷データを形成する、
印刷データ形成部と
を有し、
前記印刷データ形成部は、
前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて、コピー時
に消えてしまう程度に小さい文字を前記原本性を保証する地紋
として前記画像形成装置に
印刷させるための印刷データを形成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断工程と、
前記不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、前記不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成し、前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成する、印刷データ形成工程と
を含み、
前記印刷データ形成工程では、
前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて、コピー時
に消えてしまう程度に小さい文字を前記原本性を保証する地紋
として前記画像形成装置に
印刷させるための印刷データを形成する
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
画像形成装置において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断部、および、
前記不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、前記不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成し、前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて前記原本性を保証する印刷を前記画像形成装置に行わせるための印刷データを形成する、印刷データ形成部
として機能させ、
前記印刷データ形成部は、
前記不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、前記不可視トナー以外の他のトナーを用いて、コピー時
に消えてしまう程度に小さい文字を前記原本性を保証する地紋
として前記画像形成装置に
印刷させるための印刷データを形成する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷制御装置、画像形成装置、印刷制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、文書画像を可視トナーにより形成し、コード画像を不可視トナーにより形成することが可能な画像形成装置において、不可視トナーの供給の不具合を検出し、検出された不可視トナーの供給の不具合に応じて、コード画像の形成方法を、他の方法(例えば、不可視トナーの使用量が削減される方法、不可視トナーを使用しない方法、等)に変更する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、不可視トナーを使用せずにコード画像を形成した場合、例えば、当該コード画像が印刷された印刷媒体をコピーした場合には、コピー先の印刷媒体に対しても、同様のコード画像が印刷されることとなるため、コピー元の印刷媒体の原本性を保証することができない。
【0004】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するため、画像形成装置における不可視トナーの利用可能状態に依らず、原本性を保証するための印刷を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の印刷システムは、画像形成装置において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する判断部と、不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を画像形成装置に行わせるための印刷データを形成し、不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、不可視トナー以外の他のトナーを用いて原本性を保証する印刷を画像形成装置に行わせるための印刷データを形成する、印刷データ形成部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置における不可視トナーの利用可能状態に依らず、原本性を保証するための印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンタの概略構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るPCのハードウェア構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷システムの機能構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るPCにおいて提供されるUIの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るPCによる原本保証機能の判定ロジックを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る印刷システムの機能構成を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る印刷システムによる処理シーケンスを示す図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係るプリンタによる原本保証機能の判定ロジックを示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る印刷システムにおいてプリンタへ送信される印刷設定情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0009】
(印刷システム10の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム10の構成を示す図である。
図1に示す印刷システム10は、PC(Personal Computer)100および複数のプリンタ150を備えて構成されている。PC100は、「印刷制御装置」の一例であり、各プリンタ150による印刷を制御する装置である。各プリンタ150は、「画像形成装置」の一例であり、印刷媒体に対して印刷を行う装置である。各プリンタ150は、PC100と通信可能に接続されている。例えば、
図1に示す例では、1台のプリンタ150が、通信ケーブル14を介して、PC100と直接的に接続されている。通信ケーブル14としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等が挙げられる。また、
図1に示す例では、他の1台のプリンタ150が、ネットワーク12を介して、PC100と接続されている。ネットワーク12としては、例えば、社内LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等が挙げられる。PC100とネットワーク12との接続方式は、無線通信接続であってもよく、有線通信接続であってもよい。なお、「印刷制御装置」は、PCに限らず、例えば、タブレット端末、スマートフォン等、如何なる装置であってもよい。また、「印刷制御装置」は、プリンタ150に内蔵されたものであってもよい。
【0010】
第1実施形態では、各プリンタ150として、Y(Yellow)トナー162Y、C(Cyan)トナー162C、M(Magenta)トナー162M、およびK(Black)トナー162Kを含む、4つのトナーを搭載可能なカラープリンタを用いることとする。そして、第1実施形態では、各プリンタ150に対し、Kトナーの代わりに、不可視トナー(「透明色トナー」の一例)を装着することとする。不可視トナーとは、視認することが困難であり、且つ、専用の装置によって認識可能なトナーのことである。
【0011】
(プリンタ150の構成)
図2は、本発明の一実施形態に係るプリンタ150の概略構成を示す図である。
図2に示すように、プリンタ150は、光学装置151、感光体ドラム152、現像ローラ153、転写ローラ154、転写ベルト155、転写ローラ156、定着装置157、搬送装置158、用紙トレイ159、搬送路160、排紙トレイ161、および記録紙162を備えている。
【0012】
光学装置151は、レーザダイオード等をレーザ光源として用いている。光学装置151は、一様に帯電した状態の感光体ドラム152に対して、外部(例えば、PC100)から入力された印刷データに応じたレーザ光の照射を行う。
【0013】
感光体ドラム152は、一様に帯電した状態で、印刷データに応じたレーザ光が表面に照射されることにより、レーザ光が照射された部分だけ電荷が消失する。これにより、感光体ドラム152の表面には、印刷データに応じた潜像が形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム152の回転に伴って、対応する現像ローラ153の方向へと移動する。
【0014】
現像ローラ153は、回転しながら、トナーカートリッジから供給されたトナーを、その表面に付着させる。そして、現像ローラ153は、その表面に付着されたトナーを、感光体ドラム152の表面に形成された潜像に付着させる。これにより、現像ローラ153は、感光体ドラム152の表面に形成された潜像を顕像化して、感光体ドラム152の表面にトナー像を形成する。
【0015】
感光体ドラム152の表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム152と転写ローラ154との間において、転写ベルト155上に転写される。これにより、転写ベルト155上に、トナー画像が形成される。
【0016】
なお、本実施形態のプリンタ150は、光学装置151、感光体ドラム152、現像ローラ153、および転写ローラ154が、4つのトナー(Yトナー162Y、Cトナー162C、Mトナー162M、およびMトナー162K)の各々に対して設けられている。これにより、本実施形態のプリンタ150は、転写ベルト155上に、各印刷色(Y、C、M、およびK)のトナー画像が形成することができるようになっている。
【0017】
搬送装置158は、用紙トレイ159から搬送路160へ、記録紙162を送出する。搬送路160に送出された記録紙162は、転写ベルト155と転写ローラ156との間に搬送される。これにより、転写ベルト155と転写ローラ156との間において、転写ベルト155上に形成された各印刷色のトナー画像が、記録紙162に転写される。その後、記録紙162は、定着装置157によって熱および圧力が加えられることにより、トナー画像が定着される。そして、記録紙162は、排紙トレイ161に搬送される。
【0018】
(PC100のハードウェア構成)
図3は、本発明の一実施形態に係るPC100のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、PC100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、表示装置15、入力装置16、および通信I/F17を備えている。各ハードウェアは、バス18を介して相互に接続されている。
【0019】
CPU11は、ROM12またはHDD14に記憶されている各種プログラムを実行する。ROM12は、不揮発性メモリである。例えば、ROM12は、CPU11により実行される各種プログラム、CPU11が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。例えば、RAM13は、CPU11が各種プログラムを実行する際に利用する作業領域として機能する。
【0020】
HDD14は、不揮発性の記憶装置である。例えば、HDD14は、CPU11により実行される各種プログラム、CPU11が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。
【0021】
表示装置15は、各種情報を表示する。表示装置15としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。入力装置16は、各種情報を入力するためにユーザによって操作される。入力装置16としては、例えば、キーボード、マウス等が挙げられる。通信I/F17は、通信ケーブル14、ネットワーク12等を介して、外部の装置(例えば、プリンタ150)との通信を行うためのインタフェースである。
【0022】
(印刷システム10の機能構成)
図4は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム10の機能構成を示す図である。
【0023】
<PC100の機能構成>
図4に示すように、PC100は、アプリケーション110、ドライバ120、および通信部130を備えている。ドライバ120は、UI(User Interface)部121、設定保持部122、および描画部120Aを備えている。描画部120Aは、アプリケーションI/F部123、判断部124、文字列付加部125、地紋生成部126、色変換部127、およびPDL生成部128を有している。
【0024】
UI部121は、ユーザに対して、印刷設定を行うためのUIを提供する。設定保持部122は、UI部121から提供されたUIに対してユーザが行った印刷設定を保持する。アプリケーションI/F部123は、アプリケーション110から文書画像用の印刷データを受け取る。なお、本実施形態におけるアプリケーション110とは、印刷機能を備えた如何なるアプリケーションであってもよい。
【0025】
判断部124は、プリンタ150の検知部253によって検知されたトナーの種類(すなわち、通信部130によって受信された検知結果データ)に基づいて、プリンタ150において不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する。例えば、判断部124は、プリンタ150において、Cトナー、Mトナー、Yトナー、またはKトナーのいずれかに代替して、不可視トナーが装着されていることが、検知部253によって検知された場合、不可視トナーによる印刷が可能であると判断する。反対に、判断部124は、プリンタ150において、Cトナー、Mトナー、Yトナー、またはKトナーのいずれかに代替して、不可視トナーが装着されていないことが、検知部253によって検知された場合、不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断する。
【0026】
なお、判断部124は、上記印刷設定において、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷をプリンタ150に行わせる設定がなされている場合(例えば、
図5に示すUI画面500において、「不可視トナー」が選択された場合)、プリンタ150において不可視トナーによる印刷が可能であると判断することができる。反対に、判断部124は、上記印刷設定において、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷をプリンタ150に行わせる設定がなされていない場合(例えば、
図5に示すUI画面500において、「地紋」が選択された場合)、プリンタ150において不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断することができる。
【0027】
文字列付加部125は、設定保持部122によって保持されている印刷設定から、原本を保証するための付加文字列を取得し、アプリケーションI/F部123がアプリケーション110から受け取った文書画像用の印刷データに対して、当該付加文字列を付加する。
【0028】
地紋生成部126は、判断部124によって不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、文字列付加部125によって付加された付加文字列の地紋を生成する。
【0029】
色変換部127は、文字列付加部125によって原本を保証するための付加文字列が付加された文書画像用の印刷データを、トナー毎の印刷データに変換する。
【0030】
例えば、色変換部127は、判断部124によって不可視トナーによる印刷が可能であると判断された場合、文書画像用の印刷データを、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いた印刷データに変換し、付加文字列用の印刷データを、不可視トナーを用いた印刷データに変換する。
【0031】
また、例えば、色変換部127は、判断部124によって不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、文書画像用の印刷データを、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーを用いた印刷データに変換し、付加文字列用の印刷データを、地紋生成部126によって生成された地紋用の印刷データに置き換えて、当該地紋用の印刷データを、Kトナーを用いた印刷データに変換する。
【0032】
PDL生成部128は、色変換部127による変換後の印刷データ(すなわち、トナー毎の印刷データ)を、PDL(Page Description Language)コマンド形式の印刷データに変換する。
【0033】
通信部130は、プリンタ150との間で、各種データの送受信を行う。例えば、通信部130は、PDL生成部128によって生成されたPDLコマンド形式の印刷データを、プリンタ150へ送信する。また、通信部130は、プリンタ150から送信された、検知部253による検知結果を示す検知結果データを受信する。
【0034】
なお、上記したPC100の各機能は、例えば、PC100において、ROM12またはHDD14に記憶されたプログラムを、CPU11(コンピュータ)が実行することにより実現される。このプログラムは、予めPC100に導入された状態で提供されてもよく、外部から提供されてPC100に導入されるようにしてもよい。後者の場合、このプログラムは、外部記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、CD-ROM等)によって提供されてもよく、ネットワーク(例えば、インターネット等)上のサーバからダウンロードすることによって提供されるようにしてもよい。
【0035】
<プリンタ150の機能構成>
図4に示すように、プリンタ150は、通信部251、印刷部252、および検知部253を備えている。
【0036】
通信部251は、PC100との間で、各種データの送受信を行う。例えば、通信部251は、検知部253による検知結果を示す検知結果データを、PC100へ送信する。また、通信部251は、PC100から送信された印刷データを受信する。
【0037】
印刷部252は、通信部251によって受信された印刷データに基づいて、各種画像を印刷媒体に印刷する。具体的には、印刷部252は、当該印刷部252に不可視トナーが装着されている場合には、アプリケーション110から出力された文書画像を、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷媒体に印刷し、さらに、原本保証のための付加文字列を、不可視トナーを用いて印刷媒体に印刷する。一方、印刷部252は、当該印刷部252に不可視トナーが装着されていない場合には、アプリケーション110から出力された文書画像を、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーを用いて印刷媒体に印刷し、さらに、原本保証のための地紋を、Kトナーを用いて印刷媒体に印刷する。
【0038】
検知部253は、印刷部252に装着されているトナーの種類を検知する。例えば、検知部253は、印刷部252に、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーが装着されていることを検知する。すなわち、この場合、検知部253は、印刷部252に、不可視トナーが装着されていないことを検知する。また、例えば、検知部253は、印刷部252に、Cトナー、Mトナー、Yトナー、および不可視トナーが装着されていることを検知する。すなわち、この場合、検知部253は、印刷部252に、Kトナーの代わりに不可視トナーが装着されていることを検知する。例えば、検知部253は、印刷部252に装着されている各トナーから、トナーの種類を識別可能な識別情報を取得することにより、印刷部252に装着されているトナーの種類を検知する。
【0039】
(UIの一例)
図5は、本発明の第1実施形態に係るPC100において提供されるUIの一例を示す図である。
図5に示すUI画面500は、UI部121の制御により、PC100が備える表示装置15に表示される設定画面であり、ユーザが、原本保証に関する印刷設定を行うことが可能な設定画面である。
図5に示すように、UI画面500は、自動チェックボックス501、不可視トナーチェックボックス502、地紋チェックボックス503、OFFチェックボックス504、入力欄505、選択欄506、OKボタン507、およびキャンセルボタン508を備えている。
【0040】
UI画面500において、自動チェックボックス501が選択された場合、判断部124は、不可視トナーによる印刷が可能か否かの判断を、プリンタ150から取得した検知結果情報に基づいて自動的に判断する。
【0041】
また、UI画面500において、不可視トナーチェックボックス502が選択された場合、判断部124は、不可視トナーによる印刷が可能であると判断する。この場合、ドライバ120(描画部120A)は、アプリケーション110から受け取った印刷データに対して、原本を保証するための不可視トナーによる付加文字列(入力欄505に入力された付加文字列)を付加する。
【0042】
また、UI画面500において、地紋チェックボックス503が選択された場合、判断部124は、不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断する。この場合、ドライバ120(描画部120A)は、アプリケーション110から受け取った印刷データに対して、原本を保証するための地紋による付加文字列(入力欄505に入力された付加文字列)を付加する。
【0043】
また、UI画面500において、OFFチェックボックス504が選択された場合、ドライバ120(描画部120A)は、アプリケーション110から受け取った印刷データに対して、原本を保証するための付加文字列の付加を行わない。
【0044】
入力欄505は、原本を保証するための付加文字列として、任意の付加文字列が入力される。
【0045】
選択欄506は、原本を保証するための付加文字列の印刷位置として、予め定義された複数の印刷位置の中から、任意の印刷位置が選択される。
【0046】
OKボタン507が選択されると、当該UI画面500による印刷設定が有効化され、当該印刷設定が、設定保持部122によって保持される。キャンセルボタン508が選択されると、当該UI画面500による印刷設定がキャンセルされる。
【0047】
(印刷システム10による処理シーケンス)
図6~
図8は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム10による処理シーケンスを示す図である。なお、
図7は、
図6に続く処理シーケンスを示す。また、
図8は、
図7に続く処理シーケンスを示す。
【0048】
<シーケンス1>
まず、
図6に示すように、PC100において、アプリケーション110から、UI部121から提供されたUI画面500(
図5参照)に対して、原本保証に関する印刷設定がなされる(1)。この設定は、設定保持部122に保持される(1.1)。なお、ここでは、
図5に示すように、UI画面500おいて、原本保証の印刷方法として、「自動」が選択されたものとする。
【0049】
<シーケンス2.>
次に、
図7に示すように、印刷が開始され、アプリケーション110から、アプリケーションI/F部123に対し、1ページ目の文書画像用の印刷データが送信される(2)。アプリケーションI/F部123は、当該文書画像用の印刷データを受信すると、当該文書画像用の印刷データをトナー毎の印刷データに変換するように、色変換部127に対して指示する(2.1)。
【0050】
色変換部127は、当該指示を受信すると、判断部124に対して、トナーの装着状態の確認要求を行う(2.1.1)。判断部124は、当該確認要求を受信すると、当該確認要求をプリンタ150へ送信するように、通信部130に対して指示する(2.1.1.1)。通信部130は、当該指示を受信すると、トナーの装着状態の確認要求を、プリンタ150へ送信する(2.1.1.1.1)。プリンタ150において、通信部251が、当該確認要求を受信すると、通信部251は、当該確認要求を、検知部253へ転送する(2.1.1.1.1.1)。
【0051】
検知部253は、当該確認要求を受信すると、プリンタ150の印刷部252に装着されているトナーの種類を検知し、当該検知結果を、通信部251へ返す。当該検知結果は、通信部251および通信部130を介して、判断部124へ返される。
【0052】
判断部124は、当該検知結果を受信すると、当該検知結果に基づいて、不可視トナーによる原本保証の印刷を行うか、地紋による原本保証の印刷を行うかを判断する(2.1.1.2)。具体的には、判断部124は、当該検知結果において、プリンタ150の印刷部252に不可視トナーが装着されていることが示されている場合(すなわち、Kトナーの代わりに不可視トナーが装着されていることが示されている場合)、不可視トナーによる原本保証の印刷を行うと判断する。一方、判断部124は、当該検知結果において、プリンタ150の印刷部252に不可視トナーが装着されていないことが示されている場合、地紋による原本保証の印刷を行うと判断する。そして、判断部124は、当該判断結果を、色変換部127へ返す。
【0053】
次に、
図8に示すように、色変換部127は、判断部124から返された、原本保証の印刷方法の判断結果を受信すると、文字列付加部125に対し、原本を保証するための付加文字列を要求する(2.1.2)。文字列付加部125は、当該要求を受信すると、原本を保証するための付加文字列を、設定保持部122に保持されている印刷設定から取得する(2.1.2.1)。そして、文字列付加部125は、設定保持部122から取得した付加文字列を、色変換部127へ返す。
【0054】
色変換部127は、原本を保証するための付加文字列を受信すると、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データを、トナー毎の印刷データへ変換する(2.1.3)。
【0055】
具体的には、色変換部127は、判断部124によって不可視トナーによる原本保証の印刷を行うと判断された場合、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データを、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷するための、印刷データに変換する。また、色変換部127は、原本を保証するための付加文字列用の印刷データを、不可視トナーを用いて印刷するための、印刷データに変換する。ここで、色変換部127は、本来、Kトナーを用いて印刷すべき、黒系の色の印刷データについては、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを均等に混ぜ合わせて、当該黒系の色が表現されるように、印刷データの変換を行う。
【0056】
一方、色変換部127は、判断部124によって地紋による原本保証の印刷を行うと判断された場合、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データを、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーを用いて印刷するための、印刷データに変換する。
【0057】
なお、色変換部127は、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データに対して、カラーマッチングやディザ等の画像処理を行ってもよいが、原本を保証するための付加文字列用の印刷データに対して、カラーマッチングやディザ等の画像処理を行わなくともよい。
【0058】
続いて、色変換部127は、生成されたトナー毎の印刷データを、PDLコマンド形式の印刷データに変換するように、PDL生成部128へ要求する(2.1.4)。PDL生成部128は、当該要求を受信すると、色変換部127によって生成されたトナー毎の印刷データを、PDLコマンド形式の印刷データに変換する。ここで、PDL生成部128は、判断部124によって地紋による原本保証の印刷を行うと判断された場合、地紋生成部126に対し、原本を保証するための地紋を生成するように要求する(2.1.4.1)。地紋生成部126は、この要求に応じて、原本を保証するための地紋を生成すると、当該地紋を、PDL生成部128へ返す。PDL生成部128は、当該地紋を受信すると、当該地紋を、PDLコマンド形式の印刷データに変換する(2.1.4.2)。
【0059】
そして、PDL生成部128は、各PDLコマンド形式の印刷データを、プリンタ150へ送信するように、通信部130に対して指示する(2.1.4.3)。通信部130は、当該指示を受信すると、各PDLコマンド形式の印刷データを、プリンタ150へ送信する(2.1.4.3.1)。プリンタ150において、通信部251が、当該印刷データを受信すると、通信部251が、当該印刷データを、印刷部252へ転送する(2.1.4.3.1.1)。印刷部252は、当該印刷データを受信すると、当該印刷データに基づく印刷を行う。
【0060】
上記シーケンスにより、プリンタ150によって、アプリケーション110から送信された、1ページ目の文書画像が印刷媒体に印刷されることとなる。
【0061】
特に、プリンタ150の印刷部252に不可視トナーが装着されている場合には、1ページ目の文書画像が、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷媒体に印刷され、さらに、原本保証のための付加文字列が、不可視トナーを用いて印刷媒体に印刷されることとなる。
【0062】
一方、プリンタ150の印刷部252に不可視トナーが装着されていない場合には、1ページ目の文書画像が、Cトナー、Mトナー、Yトナー、およびKトナーを用いて印刷媒体に印刷され、さらに、原本保証のための地紋による付加文字列が、Kトナーを用いて印刷媒体に印刷されることとなる。
【0063】
なお、PC100は、不可視トナーを用いて原本を保証するための付加文字列を印刷する場合、先に、文書画像用の印刷データをプリンタ150へ送信し、その後、付加文字列用の印刷データをプリンタ150へ送信することが好ましい。これにより、文書画像の印刷が行われた後に、その上に重ねて、不可視トナーによる付加文字列の印刷が行われるため、不可視トナーによる付加文字列の印刷の効果を高めることができるからである。
【0064】
一方、PC100は、Kトナーを用いて原本を保証するための地紋を印刷する場合において、地紋を目立たせたい場合には、先に、文書画像用の印刷データをプリンタ150へ送信し、その後、地紋用の印刷データをプリンタ150へ送信するとよい。反対に、地紋を目立たせたくない場合には、先に、地紋用の印刷データをプリンタ150へ送信し、その後、文書画像用の印刷データをプリンタ150へ送信するとよい。
【0065】
(原本保証機能の判定ロジック)
図9は、本発明の第1実施形態に係るPC100による原本保証機能の判定ロジックを示すフローチャートである。
【0066】
まず、PC100は、設定保持部122に保持されている印刷設定において、原本保証機能に「ON」が設定されているか否かを判断する(ステップS901)。ステップS901において、原本保証機能に「ON」が設定されていないと判断された場合(ステップS901:No)、PC100は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS901において、原本保証機能に「ON」が設定されていると判断された場合(ステップS901:Yes)、PC100は、設定保持部122に保持されている印刷設定において、原本保証機能に「自動」が設定されているか否かを判断する(ステップS902)。
【0068】
ステップS902において、原本保証機能に「自動」が設定されていないと判断された場合(ステップS902:No)、PC100は、設定保持部122に保持されている印刷設定においてユーザが任意に指定した方法(不可視トナーを用いた印刷方法、または、Kトナーを用いた地紋による印刷方法)により、付加文字列を印刷媒体に印刷するための、印刷データを生成する(ステップS903)。そして、PC100は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0069】
一方、ステップS902において、原本保証機能に「自動」が設定されていると判断された場合(ステップS902:Yes)、PC100は、プリンタ150の印刷部252に、不可視トナーが装着されているか否かを判断する(ステップS904)。
【0070】
ステップS904において、不可視トナーが装着されていると判断された場合(ステップS904:Yes)、PC100は、不可視トナーを用いて原本保証のための付加文字列を印刷媒体に印刷するための、印刷データを生成する(ステップS906)。そして、PC100は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS904において、不可視トナーが装着されていないと判断された場合(ステップS904:No)、PC100は、Kトナーを用いて地紋による付加文字列を印刷媒体に印刷するための、印刷データを生成する(ステップS905)。そして、PC100は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0072】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態からの変更点について説明する。
【0073】
(印刷システム10Aの機能構成)
図10は、本発明の第2実施形態に係る印刷システム10Aの機能構成を示す図である。
図10に示すように、第2実施形態に係る印刷システム10Aは、PC100およびプリンタ150の代わりに、PC100Aおよびプリンタ150Aを備えている点で、第1実施形態に係る印刷システム10と異なる。
【0074】
PC100Aは、判断部124および地紋生成部126を備えていない点で、PC100と異なる。一方、プリンタ150Aは、判断部254および地紋生成部255を備えている点で、プリンタ150Aと異なる。
【0075】
判断部254は、プリンタ150Aの検知部253によって検知されたトナーの種類に基づいて、プリンタ150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能か否かを判断する。例えば、判断部254は、プリンタ150Aにおいて、Cトナー、Mトナー、Yトナー、またはKトナーのいずれかに代替して、不可視トナーが装着されていることが、検知部253によって検知された場合、不可視トナーによる印刷が可能であると判断する。反対に、判断部254は、プリンタ150Aにおいて、Cトナー、Mトナー、Yトナー、またはKトナーのいずれかに代替して、不可視トナーが装着されていないことが、検知部253によって検知された場合、不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断する。
【0076】
なお、判断部254は、PC100Aの設定保持部122に保持されている印刷設定において、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷をプリンタ150Aに行わせる設定がなされている場合(例えば、
図5に示すUI画面500において、「不可視トナー」が選択された場合)、プリンタ150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能であると判断することができる。反対に、判断部254は、PC100Aの設定保持部122に保持されている印刷設定において、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷をプリンタ150Aに行わせる設定がなされていない場合(例えば、
図5に示すUI画面500において、「地紋」が選択された場合)、プリンタ150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断することができる。
【0077】
地紋生成部255は、判断部254によって不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、PC100Aの文字列付加部125によって付加された付加文字列の地紋を生成する。
【0078】
(印刷システム10Aによる処理シーケンス)
図11~
図13は、本発明の第2実施形態に係る印刷システム10Aによる処理シーケンスを示す図である。なお、
図12は、
図11に続く処理シーケンスを示す。また、
図13は、
図12に続く処理シーケンスを示す。
【0079】
<シーケンス1>
まず、
図11に示すように、PC100Aにおいて、アプリケーション110から、UI部121から提供されたUI画面500(
図5参照)に対して、原本保証に関する印刷設定がなされる(1)。この設定は、設定保持部122に保持される(1.1)。なお、ここでは、
図5に示すように、UI画面500おいて、原本保証の印刷方法として、「自動」が選択されたものとする。
【0080】
<シーケンス2>
次に、
図12に示すように、印刷が開始され、アプリケーション110から、アプリケーションI/F部123に対し、1ページ目の文書画像用の印刷データが送信される(2)。アプリケーションI/F部123は、当該文書画像用の印刷データを受信すると、当該文書画像用の印刷データをトナー毎の印刷データに変換するように、色変換部127に対して指示する(2.1)。
【0081】
色変換部127は、当該指示を受信すると、文字列付加部125に対し、原本を保証するための付加文字列を要求する(2.1.1)。文字列付加部125は、当該要求を受信すると、原本を保証するための付加文字列を、設定保持部122に保持されている印刷設定から取得する(2.1.1.1)。そして、文字列付加部125は、設定保持部122から取得した付加文字列を、色変換部127へ返す。
【0082】
色変換部127は、原本を保証するための付加文字列を受信すると、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データを、トナー毎の印刷データへ変換する(2.1.2)。
【0083】
具体的には、色変換部127は、アプリケーションI/F部123から受け取った文書画像用の印刷データを、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷するための、印刷データに変換する。
【0084】
続いて、色変換部127は、生成されたトナー毎の印刷データを、PDLコマンド形式の印刷データに変換するように、PDL生成部128へ要求する(2.1.3)。PDL生成部128は、当該要求を受信すると、色変換部127によって生成されたトナー毎の印刷データを、PDLコマンド形式の印刷データに変換する(2.1.3.1)。
【0085】
次に、
図13に示すように、PDL生成部128は、PDLコマンド形式の印刷データを、文字列付加部125によって得られた付加文字列とともに、プリンタ150Aへ送信するように、通信部130に対して指示する(2.1.3.2)。通信部130は、当該指示を受信すると、PDLコマンド形式の印刷データを、文字列付加部125によって得られた付加文字列とともに、プリンタ150Aへ送信する(2.1.3.2.1)。プリンタ150Aにおいて、通信部251が、当該印刷データを受信すると、通信部251が、当該印刷データを、印刷部252へ転送する(2.1.3.2.1.1)。
【0086】
印刷部252は、印刷データを受信すると、判断部254に対して、トナーの装着状態の確認要求を行う(2.1.3.2.1.1.1)。判断部254は、当該確認要求を受信すると、当該確認要求を、検知部253へ転送する(2.1.3.2.1.1.1.1)。
【0087】
検知部253は、当該確認要求を受信すると、プリンタ150Aの印刷部252に装着されているトナーの種類を検知し、当該検知結果を、判断部254へ返す。
【0088】
判断部254は、当該検知結果を受信すると、当該検知結果に基づいて、不可視トナーによる原本保証の印刷を行うか、地紋による原本保証の印刷を行うかを判断する。具体的には、判断部254は、当該検知結果において、プリンタ150Aの印刷部252に不可視トナーが装着されていることが示されている場合(すなわち、Kトナーの代わりに不可視トナーが装着されていることが示されている場合)、不可視トナーによる原本保証の印刷を行うと判断する。一方、判断部254は、当該検知結果において、プリンタ150Aの印刷部252に不可視トナーが装着されていないことが示されている場合、地紋による原本保証の印刷を行うと判断する。そして、判断部254は、当該判断結果を、印刷部252へ返す。
【0089】
印刷部252は、判断部254によって地紋による原本保証の印刷を行うと判断された場合、地紋生成部255に対し、原本を保証するための地紋を生成するように要求する(2.1.3.2.1.1.2)。
【0090】
地紋生成部255は、この要求に応じて、原本を保証するための地紋を生成すると、当該地紋を、印刷部252へ返す。印刷部252は、当該地紋を受信すると、アプリケーション110から送信された、1ページ目の文書画像を印刷媒体に印刷する(2.1.3.2.1.1.3)。
【0091】
具体的には、印刷部252は、プリンタ150Aの印刷部252に不可視トナーが装着されている場合には、当該1ページ目の文書画像を、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷媒体に印刷し、さらに、原本保証のための付加文字列を、不可視トナーを用いて印刷媒体に印刷する。
【0092】
一方、印刷部252は、プリンタ150Aの印刷部252に不可視トナーが装着されていない場合には、当該1ページ目の文書画像を、Cトナー、Mトナー、およびYトナーを用いて印刷媒体に印刷し、さらに、原本保証のための地紋による付加文字列を、Kトナーを用いて印刷媒体に印刷する。
【0093】
(原本保証機能の判定ロジック)
図14は、本発明の第2実施形態に係るプリンタ150Aによる原本保証機能の判定ロジックを示すフローチャートである。
【0094】
まず、プリンタ150Aは、PC100Aの設定保持部122に保持されている印刷設定において、原本保証機能に「ON」が設定されているか否かを判断する(ステップS1401)。ステップS1401において、原本保証機能に「ON」が設定されていないと判断された場合(ステップS1401:No)、プリンタ150Aは、
図14に示す一連の処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS1401において、原本保証機能に「ON」が設定されていると判断された場合(ステップS1401:Yes)、プリンタ150Aは、設定保持部122に保持されている印刷設定において、原本保証機能に「自動」が設定されているか否かを判断する(ステップS1402)。
【0096】
ステップS1402において、原本保証機能に「自動」が設定されていないと判断された場合(ステップS1402:No)、プリンタ150Aは、設定保持部122に保持されている印刷設定においてユーザが任意に指定した印刷方法(不可視トナーを用いた印刷方法、または、Kトナーを用いた地紋による印刷方法)により、付加文字列を印刷媒体に印刷する(ステップS1403)。そして、プリンタ150Aは、
図14に示す一連の処理を終了する。
【0097】
一方、ステップS1402において、原本保証機能に「自動」が設定されていると判断された場合(ステップS1402:Yes)、プリンタ150Aは、印刷部252に、不可視トナーが装着されているか否かを判断する(ステップS1404)。
【0098】
ステップS1404において、不可視トナーが装着されていると判断された場合(ステップS1404:Yes)、プリンタ150Aは、不可視トナーを用いて、原本保証のための付加文字列を、印刷媒体に印刷する(ステップS1406)。そして、プリンタ150Aは、
図14に示す一の処理を終了する。
【0099】
一方、ステップS1404において、不可視トナーが装着されていないと判断された場合(ステップS1404:No)、プリンタ150Aは、Kトナーを用いて、地紋による付加文字列を、印刷媒体に印刷する(ステップS1405)。そして、プリンタ150Aは、
図14に示す一連の処理を終了する。
【0100】
(プリンタ150Aへ送信される印刷設定情報の一例)
図15は、本発明の第2実施形態に係る印刷システム10Aにおいてプリンタ150Aへ送信される印刷設定情報の一例を示す図である。
【0101】
図15に示す印刷設定情報1500は、印刷システム10Aにおいて、PC100Aから、プリンタ150Aへ送信されるものである。この印刷設定情報1500は、印刷システム10Aの設定保持部に保持されている印刷設定を、PJL(Printer Job Language)形式に変換したものである。
【0102】
例えば、印刷設定情報1500において、1行目の「@PJL SET GENPONHOSYO=AUTO」は、上記印刷設定において、原本保証機能に「自動」が設定されていることを表す。
【0103】
また、例えば、印刷設定情報1500において、2行目の「@PJL SET ADDITIONALTEXT="あいうえお"」は、上記印刷設定において、付加文字列として「あいうえお」が設定されていることを表す。
【0104】
また、例えば、印刷設定情報1500において、3行目の「@PJL SET ADDITIONALPOSITION=LEFTTOP」は、上記印刷設定において、付加文字列の印刷位置として「左上」が設定されていることを表す。
【0105】
また、例えば、印刷設定情報1500において、4行目の「@PJL SET ADDITIONALTEXT="あいうえお"」は、PC100Aが使用するプリンタドライバとして、「RPCS(Refined Printing Command Stream)」が用いられていることを表す。
【0106】
この印刷設定情報1500は、例えば、PDL(Page Description Language)コマンド形式の印刷データ(すなわち、文書画像用の印刷データ)に付与されて、PC100Aから、プリンタ150Aへ送信される。これにより、プリンタ150Aは、原本保証に関する印刷設定を取得することができ、当該印刷設定に基づいて、不可視トナーまたは地紋による、現本を保証するための印刷を行うことができる。
【0107】
以上説明したように、上記実施形態の印刷システム10A,10Aによれば、プリンタ150,150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能と判断された場合、不可視トナーを用いて原本性を保証する印刷を、プリンタ150,150Aに行わせ、プリンタ150,150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、不可視トナー以外の他のトナー(例えば、Kトナー)を用いて原本性を保証する印刷をプリンタ150,150Aに行わせることができる。すなわち、上記実施形態の印刷システム10A,10Aによれば、プリンタ150,150Aにおける不可視トナーによる印刷の可否によらず、原本性を保証する印刷をプリンタ150,150Aに行わせることができる。したがって、上記実施形態の印刷システム10A,10Aによれば、画像形成装置における不可視トナーの利用可能状態に依らず、原本性を保証するための印刷を行うことができる。
【0108】
特に、上記実施形態の印刷システム10A,10Aによれば、プリンタ150,150Aにおいて不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断された場合、不可視トナー以外の他のトナーを用いて、原本性を保証する地紋の印刷をプリンタ150,150Aに行わせることができる。これにより、例えば、地紋が印刷された印刷媒体をコピーした場合には、コピー先の印刷媒体において、地紋が浮き上がることとなり、当該コピー先の印刷媒体が、二次的にコピーされたものであることが把握できるようになる。したがって、コピー元の印刷媒体の原本性を保証することができる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0110】
例えば、上記実施形態では、Yトナー162Y、Cトナー162C、Mトナー162M、Kトナー162Kを備えたプリンタ150において、Kトナー162Kの代わりに、不可視トナーを装着した場合を例に説明した。但し、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、Yトナー162Y、Cトナー162C、Mトナー162M、Kトナー162Kを備えたプリンタ150において、これら4つのトナーに加えて、不可視トナーを装着した場合であっても、適用可能である。
【0111】
また、例えば、上記実施形態では、不可視トナーまたは地紋により、原本性を保証するための文字列を印刷するようにしているが、これに限らず、例えば、不可視トナーまたは地紋により、原本性を保証するための図形等を印刷するようにしてもよい。
【0112】
また、例えば、上記実施形態では、プリンタ150,150Aに不可視トナーが装着されている場合には、不可視トナーによる印刷が可能と判断するようにしているが、これに限らず、例えば、プリンタ150,150Aに不可視トナーが装着されている場合であっても、不可視トナーのトナー残量が所定量以下の場合、不可視トナーによる印刷が可能ではないと判断するようにしてもよい。
【0113】
また、例えば、不可視トナー以外の他のトナーを用いて原本性を保証する印刷を行う場合、地紋を印刷する方法に限らず、他の方法(例えば、コピー時に消えてしまうような非常に小さい文字をページの片隅にプリントする方法等)を用いて、原本性を保証する印刷を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0114】
10,10A 印刷システム
12 ネットワーク
100,100A PC(印刷制御装置)
110 アプリケーション
120 ドライバ
121 UI部
122 設定保持部
123 アプリケーションI/F部
124 判断部
125 文字列付加部
126 地紋生成部
127 色変換部
128 PDL生成部
130 通信部
150,150A プリンタ
251 通信部
252 印刷部
253 検知部
254 判断部
255 地紋生成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】