(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】バイアス電圧変更回路、作像ユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20220928BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G03G15/08 226
G03G21/00 398
(21)【出願番号】P 2018182880
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】岡村 悠
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-142739(JP,A)
【文献】特開2005-338846(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053707(US,A1)
【文献】特開2006-017949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/06-13/08
13/095
13/34-15/00
15/06-15/08
15/095
15/36
21/00-21/02
21/14-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を有する画像形成装置
であって、
前記画像形成装置に着脱可能な作像ユニットを備え、
前記作像ユニットは、
潜像担持体と、
表面に担持したトナーによって前記潜像担持体上の潜像を現像するトナー担持体と、
前記トナー担持体の表面に当接して前記表面上のトナー層厚を規制する規制部材と、
前記電源から前記規制部材に印加される規制バイアス電圧を変更するバイアス電圧変更回路と、を有し、
前記バイアス電圧変更回路は、
前記規制部材に電気的に接続され、前記画像形成装置に前記作像ユニットを装着した場合に、前記電源に含まれる少なくとも1つの本体側ツェナーダイオードに対して並列に接続される少なくとも1つの交換側ツェナーダイオードを有し、
相互に直列に接続された前記交換側ツェナーダイオードの降伏電圧の絶対値の総和は、相互に直列に接続された前記本体側ツェナーダイオードの前記降伏電圧の絶対値の総和より小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制バイアス電圧は、変更前に対し、変更後が低い
ことを特徴とする請求項
1に記載の
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、トナー担持体の表面に当接してトナー層厚を規制する規制部材を備え、規制部材にトナーが堆積することを防止するため、規制部材にトナーと同極性の規制バイアス電圧を印加する装置が知られている。
【0003】
このような装置では、印加した規制バイアス電圧の逆極性の添加剤や微粉トナー等が規制部材に引き寄せられ、規制部材に固着することで、地汚れ等の異常画像が発生する場合がある。これに対し、既に市場で稼働している製品における上記の異常画像を防止するため、画像形成装置に着脱して交換可能なPCU(Process Cartridge Unit)等の作像ユニットの交換時に、作像ユニット内の規制部材に印加される規制バイアス電圧を低く変更する対応がなされている。規制バイアス電圧を低くすることで、引き寄せられる逆極性の添加剤や微粉トナー等を抑制し、異常画像の発生を抑制することができる。
【0004】
作像ユニットの交換時に、作像ユニット内の規制部材等の部材に印加されるバイアス電圧を変更する装置として、作像ユニット内に降伏電圧の異なる複数のツェナーダイオードを設け、切替機構でツェナーダイオードの接続を切り替えることで、部材に所望のバイアス電圧を印加する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、ツェナーダイオードの接続の切替機構を設ける必要があるため、作像ユニット等の交換部のコストが増大する場合があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、交換部の交換時に、交換部内の部材に印加されるバイアス電圧を低コストで変更することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の一態様に係る画像形成装置は、電源を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置に着脱可能な作像ユニットを備え、前記作像ユニットは、潜像担持体と、表面に担持したトナーによって前記潜像担持体上の潜像を現像するトナー担持体と、前記トナー担持体の表面に当接して前記表面上のトナー層厚を規制する規制部材と、前記電源から前記規制部材に印加される規制バイアス電圧を変更するバイアス電圧変更回路と、を有し、前記バイアス電圧変更回路は、前記規制部材に電気的に接続され、前記画像形成装置に前記作像ユニットを装着した場合に、前記電源に含まれる少なくとも1つの本体側ツェナーダイオードに対して並列に接続される少なくとも1つの交換側ツェナーダイオードを有し、相互に直列に接続された前記交換側ツェナーダイオードの降伏電圧の絶対値の総和は、相互に直列に接続された前記本体側ツェナーダイオードの前記降伏電圧の絶対値の総和より小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、交換部の交換時に、交換部内の部材に印加されるバイアス電圧を低コストで変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を説明する図である。
【
図2】実施形態に係る作像ユニットの構成の一例を説明する図である。
【
図3】実施形態に係る作像ユニット内の部材にバイアス電圧を印加する構成の一例を説明する図である。
【
図4】実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】規制ブレードに微粉トナーが固着する様子を説明する図である。
【
図6A】初期状態の作像ユニットの装着時に作像ユニット内の部材に印加されるバイアス電圧の一例を説明する図である。
【
図6B】実施形態に係る作像ユニットの装着時に作像ユニット内の部材に印加されるバイアス電圧の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
[第1の実施形態]
実施形態では、電子写真方式のカラーの画像形成装置を一例として説明する。
【0012】
<画像形成装置の構成>
図1は、実施形態に係る画像形成装置200の構成の一例を説明する図である。
図1において画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック(以下、Y、M、C、Kと示す)のトナー像を作像するための4つの作像ユニット1Y、1M、1C及び1Kを有している。これらは、互いに異なる色のY、M、C及びKトナーによりトナー像を作像し、寿命到達時に交換される。
【0013】
作像ユニットの構成の一例を、
図2を参照して説明する。
図2は、Kトナー像を形成する作像ユニット1Kの構成の一例を説明する図である。
図2に示すように、作像ユニット1Kは、感光体ドラム2Kと、クリーニングユニット3Kと、除電ユニットと、帯電ローラ4Kと、現像ユニット5Kとを有する。作像ユニット1Kは、画像形成装置200に対して着脱可能である。作像ユニット1Kを画像形成装置200から着脱して交換することで、作像ユニット1Kに含まれる感光体ドラム2K等の消耗品を一度に交換することが可能となっている。ここで画像形成装置200は、「本体部」の一例であり、作像ユニット1Kは、「交換部」の一例である。
【0014】
潜像担持体の一例である感光体ドラム2Kは、図の時計回り方向に所定の回転速度で回転駆動される。帯電ローラ4Kは、図の時計回り方向に回転し、感光体ドラム2Kの表面を一様に帯電させる。帯電された感光体ドラム2Kの表面は、レーザー光Lを感光体ドラム2Kの軸方向に走査することで露光され、静電潜像を担持する。現像ユニット5Kは、担持された静電潜像を現像し、感光体ドラム2Kの表面にKトナー像を形成する。Kトナー像は、後述する中間転写ベルト16上に一次転写される。
【0015】
クリーニングユニット3Kは、一次転写が行われた後の感光体ドラム2Kの表面に付着する転写残トナーを除去する。また除電ユニットは、クリーニング後の感光体ドラム2Kの残留電荷を除電する。
【0016】
作像ユニット1Y、1M及び1Cでも同様に、感光体ドラム2Y上にYトナー像が、また感光体ドラム2M上にMトナー像が、感光体ドラム2C上にCトナー像がそれぞれ形成され、後述する中間転写ベルト16上に転写される。
【0017】
現像ユニット5Kは、Kトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有する。ホッパ部6Kの内部には、アジテータ8K、撹拌パドル9K及びトナー供給ローラ10K等がそれぞれ回転可能に設けられている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転により撹拌されながら、自重によりトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。
【0018】
現像ユニット5Kの現像部7Kには、感光体ドラム2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら図の反時計回り方向に回転する現像ローラ11Kと、現像ローラ11Kの表面に先端を当接させる規制ブレード12Kとが設けられている。
【0019】
トナー供給ローラ10Kはローラ部を有し、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら図の反時計回り方向に回転し、現像ローラ11Kに当接している。規制ブレード12Kは、金属製プレートからなる部材である。ここで規制ブレード12Kは、「規制部材」の一例であり、現像ローラ11Kは、「トナー担持体」の一例である。
【0020】
ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとが当接する部分で現像ローラ11Kの表面に供給される。現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kは、互いが当接する部分で互いの表面を逆方向に移動させるように回転駆動する。
【0021】
トナー供給ローラ10Kは当接する部分で表面を現像ローラ11Kとは逆方向に移動させることで、現像ローラ11K上のKトナーを回収したり、現像ローラ11Kに対して新たなKトナーを供給したりすることができる。
【0022】
現像ローラ11Kに供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴って現像ローラ11Kと規制ブレード12Kが当接する部分を通過する際に、規制ブレード12Kとの摺擦によって摩擦帯電が促されるとともに、ローラ表面上でのトナー層厚が均一に規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体ドラム2Kが当接する部分である現像領域において、感光体ドラム2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0023】
次に
図3は、作像ユニット1K内の規制ブレード12K等の部材にバイアス電圧を印加する構成の一例を説明するための図である。高圧電源151は、商用電源等から供給される電圧を所望の電圧に変換してトナー供給ローラ10K、現像ローラ11K及び規制ブレード12Kに出力し、それぞれにバイアス電圧を印加する。
【0024】
現像ローラ11Kには、現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧はKトナーの帯電極性と同極性であり、且つ絶対値が感光体ドラム2Kの地肌部電位の絶対値と静電潜像電位の絶対値との間の値になっている。
【0025】
トナー供給ローラ10Kには、供給バイアス電圧が印加される。供給バイアス電圧は、Kトナーの帯電極性と同極性であり、且つその絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きな値になっている。このため、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kが当接する部分では、トナー供給ローラ10K上のKトナーに対して、トナー供給ローラ10K側から現像ローラ11K側に向かう静電気力が付与される。これにより、トナー供給ローラ10K上のKトナーが効率良く現像ローラ11Kに転位することができる。
【0026】
規制ブレード12Kには、規制バイアス電圧が印加される。規制バイアス電圧は、Kトナーの帯電極性と同極性であり、且つその絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きな値になっている。このため、規制ブレード12Kと現像ローラ11Kが当接する部分に進入したKトナーは、現像ローラ11K表面に向けて押し付けられて摩擦帯電が助長される。
【0027】
図2~3ではK用の作像ユニット1Kを例にして説明したが、作像ユニット1Y、1M及び1Cにおいても同様である。また各バイアス電圧の具体的な電圧値等については、別途、
図6を用いて詳述する。
【0028】
図1に戻り、作像ユニット1Y、1M、1C及び1Kの鉛直方向下方には、転写ユニット15が設けられている。転写ユニット15は、中間転写ベルト16と、従動ローラ17と、駆動ローラ18と、4つの一次転写ローラ19Y、19M、19C及び19Kとを有し、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図の反時計回り方向に回転する。また転写ユニット15は、二次転写ローラ20と、ベルトクリーニング部21と、クリーニングバックアップローラ22とを有する。
【0029】
従動ローラ17と、駆動ローラ18と、クリーニングバックアップローラ22と、4つの一次転写ローラ19Y、19M、19C及び19Kとは、中間転写ベルト16のループの内側に設けられている。従動ローラ17及び駆動ローラ18はそれぞれ中間転写ベルト16を張架する張架ローラとしての機能を有する。駆動ローラ18は、図の反時計回り方向に回転駆動されることで、中間転写ベルト16を同じ方向に回転させる。
【0030】
4つの一次転写ローラ19Y、19M、19C及び19Kは、回転する中間転写ベルト16を感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト16の表面と、感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kとが当接し、Y、M、C及びK用の一次転写ニップが形成されている。
【0031】
一次転写ローラ19Y、19M、19C及び19Kには、一次転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加され、これにより感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kの静電潜像と、一次転写ローラ19Y、19M、19C及び19Kとの間に転写電界が形成されている。
【0032】
Y用の作像ユニット1Yの感光体ドラム2Yの表面に形成されたYトナー像は、感光体ドラム2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体ドラム2Y上から中間転写ベルト16上に一次転写される。
【0033】
Yトナー像が一次転写された中間転写ベルト16は、回転によりM、C及びK用の一次転写ニップを通過する際に、感光体ドラム2M上のMトナー像、感光体ドラム2C上のCトナー像及び感光体ドラム2K上のKトナー像がそれぞれYトナー像上に順次重ね合わされて一次転写される。このようにして中間転写ベルト16上には4色のトナー像が形成される。
【0034】
駆動ローラ18は、中間転写ベルト16における周方向の全領域のうち、二次転写ニップを形成する箇所を周面に掛け回してベルト湾曲箇所を形成する転写裏打ちローラとしての機能を有する。転写ユニット15の二次転写ローラ20は、駆動ローラ18の曲率に沿って湾曲するベルト湾曲箇所にベルト表面側から当接して二次転写ニップを形成している。
【0035】
二次転写ローラ20、及び駆動ローラ18のうちの何れか一方には、転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。また、他方はアース接続されている。これにより、二次転写ローラ20と駆動ローラ18との間に二次転写電界が形成される。
【0036】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、用紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30が、画像形成装置の筐体に対してスライド着脱可能に設けられている。給紙カセット30は、紙束の一番上の用紙Pに給紙ローラ30aを当接させ、所定のタイミングで図の反時計回り方向に回転させることで、給紙ローラ30aに当接する用紙Pを給紙路31に向けて送り出すことができる。
【0037】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が設けられている。レジストローラ対32は、給紙カセット30における紙排出側の端部の斜め上方に設けられている。給紙カセット30内からカセット側方に向けてほぼ水平方向に排出された用紙Pは、排出後方向転換されて、レジストローラ対32のレジストニップに向けて搬送される。
【0038】
レジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された用紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして挟み込んだ用紙Pを二次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開し、用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0039】
二次転写ニップで用紙Pに密着された中間転写ベルト16上の4色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて用紙P上に一括二次転写され、用紙Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された用紙Pは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして転写後搬送路33を経由して、二次転写ニップの上方に設けられた定着装置34に搬送される。
【0040】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。中間転写ベルト16の表面に当接しているベルトクリーニング部21は、このような転写残トナーをベルト表面からクリーニングする。クリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング部21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0041】
定着装置34は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成する。定着装置34内に送り込まれた用紙Pは、未定着トナー像の担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして定着ニップに挟まれる。そして定着ローラ34aと加圧ローラ34bによる加熱や加圧によってトナー像中のトナーが軟化されて、フルカラー画像が用紙Pに定着される。
【0042】
定着装置34内から排出された用紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が設けられている。切替爪42の回動により定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりすることができる。
【0043】
定着装置34から用紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図に実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。これにより用紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0044】
テンキー等からなる操作部に対する入力操作や、パーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた用紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0045】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される用紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜ける。そして切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始し、用紙Pは後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0046】
画像形成装置の右端部は、回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると用紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転されながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、給紙路31内を経て、二次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括二次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0047】
次に
図4は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。メイン制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、不揮発性メモリとを有し、プリンタ全体の各種機器の駆動の制御や演算処理を統括する。
【0048】
メイン制御部100は、I/Oインターフェース101を介してプリントサーバー回路104、画像データ処理部105、LAN(Local Area Network)ポート102等に電気的に接続されている。またメイン制御部100は、I/Oインターフェース101を介して、USBポート103、書込制御部107、ユニット交換検知器109、光書込ユニット70、高圧電源制御部153等に接続されている。
【0049】
高圧電源制御部153は、メイン制御部100から入力される制御信号に基づいて高圧電源151の出力を制御する。具体的には、現像バイアス電圧の出力値を制御したり、供給バイアス電圧の出力値を制御したり、規制バイアス電圧の出力値を制御したりする。
【0050】
LANポート102は、外部のローカルエリアネットワークを介して、パーソナルコンピュータやスキャナとの通信を行って、出力すべき画像の画像データを取得することが可能である。また、USBポート103は、USBケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータと通信を行って、出力すべき画像の画像データを取得することが可能である。
【0051】
パーソナルコンピュータからローカルエリアネットワークを介してLANポート102に入力された画像データは、プリントサーバー回路104を介して画像データ処理部105に入力される。また、パーソナルコンピュータからUSBポート103に入力されたカラー画像データは、そのまま画像データ処理部105に入力される。
【0052】
画像データ処理部105は、受信したカラー画像データを、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の色分解画像データに分離した後、それらをY、M、C及びKの4つの色分解画像データに変換する。そして、得られたY、M、C及びKの色分解画像データを、書込制御部107に送信する。書込制御部107は、画像データ処理部105から受信したY、M、C及びKの色分解画像データに基づいて、光書込ユニット70の駆動を制御して感光体ドラム2Y、2M、2C及び2Kをそれぞれ光走査させる。また、各ページで同期をとるためのページ同期信号を、メイン制御部100や、高圧電源制御部153に送信する。
【0053】
メイン制御部100は、そのページ同期信号に基づいて、給紙カセット30やレジストローラ対32からの用紙Pの送り出しを制御する。また、高圧電源制御部153は、そのページ同期信号に基づいて、各種のバイアスの出力値を制御する。
【0054】
<バイアス電圧変更回路の構成>
次に、実施形態に係るバイアス電圧変更回路の機能及び構成について説明する。
【0055】
上述したように現像ユニット5Kの現像部7Kには、規制ブレード12Kが設けられ、現像ローラ11Kに供給されたKトナーは規制ブレード12Kによりローラ表面上でのトナー層厚が均一に規制される。この際に、規制ブレード12Kに規制バイアス電圧と逆極性の添加剤や微粉トナーが規制ブレード12Kに付着して固着する場合がある。
【0056】
図5は、規制ブレード12Kに微粉トナー14が固着する様子を説明する図である。現像ローラ11Kは、図に破線の矢印で示す方向に回転している。Kトナー13Kは現像ローラ11Kの表面に供給され、現像ローラ11Kの回転に伴って実線の矢印で示す方向に移動する。そして現像ローラ11Kと規制ブレード12Kが当接する部分を通過する際に、ローラ表面上でのトナー層厚が均一に規制される。
【0057】
規制ブレード12Kにはトナーと同極性の規制バイアス電圧が高圧電源151により印加されているため、反発し合ってKトナー13Kは規制ブレード12Kには付着していない。しかし規制バイアス電圧と逆極性の微粉トナー14は、規制ブレード12Kに引き寄せられ、付着している。このような規制バイアス電圧と逆極性の微粉トナー14や添加剤等が規制ブレード12Kに固着することで、画像形成時に地汚れなどの異常画像が発生する場合がある。
【0058】
尚、微粉トナーとは、粉砕加工されるトナーに含まれる、画像形成に寄与しない微小なトナーである。また添加剤はトナー粒子の表面に設けられた、トナー粒子同士が固着するのを防止するための材料である。
【0059】
実施形態では、消耗品の寿命等により作像ユニット1Kを交換する際に、規制バイアス電圧を当初より低くするように変更することで、逆極性の添加剤や微粉トナー等が規制ブレード12Kに引き寄せられることを抑制し、異常画像の発生を抑制する。
【0060】
またその際に、バイアス電圧変更回路により規制バイアス電圧を変更することで、作像ユニット1Kに切替機構を設けたり、交換を行うサービスマンに能動的な切替作業を行わせたりすることなく、低コストで規制バイアス電圧を変更可能にしている。
【0061】
実施形態に係るバイアス電圧変更回路の構成について、
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
図6A及び
図6Bは、作像ユニット内の部材に印加されるバイアス電圧を説明する図である。
【0062】
図6Aは、初期状態の作像ユニット1Kaが画像形成装置200に装着される場合に、作像ユニット1Ka内の部材に印加されるバイアス電圧の一例を説明する図である。尚、初期状態の作像ユニットとは、具体的には、例えば工場出荷時の画像形成装置に装着されている作像ユニットであり、換言すると、規制バイアス電圧の「変更前」の作像ユニットである。
【0063】
一方、
図6Bは、実施形態に係る交換時の作像ユニット1Kbが画像形成装置200aに装着される場合に、作像ユニット1Kb内の部材に印加されるバイアス電圧の一例を説明する図である。尚、交換用の作像ユニットとは、具体的には画像形成装置200を出荷後、市場で稼働している製品で初期状態の作像ユニットが寿命に到達したために交換される作像ユニットであり、規制バイアス電圧の「変更後」の作像ユニットである。
【0064】
図6A及び6Bにおいて、作像ユニット1Ka及び1Kbは、それぞれ図に破線の矢印で示される方向にスライドし、作像ユニット1Ka及び1Kbのそれぞれが備える接点N1~N4が高圧電源151の備える接点N5~N8に電気的に接続するようにして装着される。具体的には、接点N1と接点N5、接点N2と接点N6、接点N3と接点N7、接点N4と接点N8が、作像ユニット1Ka、又は1Kbの装着により、それぞれ電気的に接続される。
図6A及び
図6Bは、作像ユニット1Ka及び1Kbが装着される直前であって、接点N1~N4が接点N5~N8に接続する直前の状態を示している。
【0065】
画像形成装置200a及び200bはそれぞれ高圧電源151を備え、高圧電源151は変圧器151aと、変圧器151bとを備えている。
【0066】
変圧器151aは、入力される電圧を昇圧し、帯電ローラ4Kに対して帯電バイアス電圧を印加する。変圧器151bは、入力される電圧を昇圧し、現像ローラ11Kに対して現像バイアス電圧を、また規制ブレード12Kに対して規制バイアス電圧を、トナー供給ローラ10Kに対して供給バイアス電圧を、それぞれ印加する。
【0067】
変圧器151a及び151bの間には、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)Z1及びZ2が相互に直列に接続され、直列回路を構成している。ここで、ツェナーダイオードとは、リファレンスとなる一定の電圧を得るために使用される電気素子である。ツェナーダイオードを接続することで、降伏電圧により規定される一定の電圧を得ることができる。
【0068】
電圧値の具体例を示しながら各部材に印加されるバイアス電圧を説明する。
図6Aにおいて、変圧器151aは-1100Vの電圧(Vc)を出力し、接点N5と接点N1が接続した場合に、帯電バイアス電圧として-1100Vが帯電ローラ4Kに印加される。
【0069】
変圧器151bは-200Vの電圧(Vb)を出力し、接点N8と接点N4が接続した場合に、現像バイアス電圧として-200Vが現像ローラ11Kに印加される。また変圧器151bの出力電圧は、降伏電圧が-200VであるツェナーダイオードZ2を介して-400Vに降下し、接点N8と接点N4が接続した場合に、規制バイアス電圧として-400Vが規制ブレード12Kに印加される。
【0070】
さらに変圧器151bの出力電圧は、降伏電圧が-50VであるツェナーダイオードZ1を介して-450Vに降下し、接点N6と接点N2が接続した場合に、供給バイアス電圧として-450Vがトナー供給ローラ10Kに印加される。
【0071】
一方、
図6Bにおいて、作像ユニット1Kbはバイアス電圧変更回路15Kを備え、バイアス電圧変更回路15Kは相互に直列に接続するツェナーダイオードZ3及びZ4を備えている。ツェナーダイオードZ3の降伏電圧は-100Vであり、ツェナーダイオードZ4の降伏電圧は-100Vである。
【0072】
作像ユニット1Kbが画像形成装置200bに装着されると、相互に直列に接続されたツェナーダイオードZ3及びZ4は、画像形成装置200bの高圧電源151が備える相互に直列に接続されたツェナーダイオードZ1及びZ2に対し、並列回路を構成する。
【0073】
ここで、相互に直列に接続されたツェナーダイオード群が複数接続されて並列回路を構成する場合、各ツェナーダイオードの降伏電圧の絶対値の総和が小さいツェナーダイオード群のみが機能する。上述の例では、ツェナーダイオードZ1及びZ2の降伏電圧の絶対値の総和は250Vであり、ツェナーダイオードZ3及びZ4の降伏電圧の絶対値の総和は200Vである。従ってツェナーダイオードZ3及びZ4の降伏電圧の絶対値の総和の方が小さいため、ツェナーダイオードZ3及びZ4のみが機能する。
【0074】
図6Bにおいて、変圧器151bは-200Vの電圧(Vb)を出力し、接点N8と接点N4が接続した場合に、現像バイアス電圧として-200Vが現像ローラ11Kに印加される。また変圧器151bの出力電圧は、降伏電圧が-100VであるツェナーダイオードZ4を介して-300Vに降下し、接点N8と接点N4が接続した場合に、規制バイアス電圧として-300Vが規制ブレード12Kに印加される。さらに変圧器151bの出力電圧は、降伏電圧が-100VであるツェナーダイオードZ3を介して-400Vに降下し、接点N6と接点N2が接続した場合に、供給バイアス電圧として-400Vがトナー供給ローラ10Kに印加される。
【0075】
このようにして作像ユニット1Kbは、初期状態(
図6A)の規制バイアス電圧である-400Vを、その交換時(
図6B)に-300Vに変更することができる。規制バイアス電圧を低くすることで、規制ブレード12Kに引き寄せられる逆極性の添加剤や微粉トナー等を抑制し、異常画像の発生を抑制することができる。
【0076】
また実施形態では、ツェナーダイオードZ3及びZ4の降伏電圧の絶対値の総和をツェナーダイオードZ1及びZ2の降伏電圧の絶対値の総和より小さくすることで、作像ユニット1Kbを画像形成装置200bに装着した際に、ツェナーダイオードZ3及びZ4のみを機能させる。これにより作像ユニット1Kbを画像形成装置200bに装着するだけで、規制バイアス電圧を低く変更することができる。
【0077】
ツェナーダイオードZ3及びZ4を有するバイアス電圧変更回路15Kは簡単な構成で低コストである。そのため作像ユニット等の交換部の交換時に、交換部内の部材に印加されるバイアス電圧を低コストで変更することができる。
【0078】
尚、ツェナーダイオードZ1及びZ2は本体側ツェナーダイオードの一例であり、ツェナーダイオードZ3及びZ4は交換側ツェナーダイオードの一例である。
【0079】
また上述では、作像ユニット1Kが有するバイアス電圧変更回路15Kを例に説明したが、他の作像ユニット1Y、1C及び1Mもそれぞれバイアス電圧変更回路を有し、その機能及び構成はバイアス電圧変更回路15Kと同様である。
【0080】
また
図6A及び6Bでは、高圧電源151が作像ユニット1K内の部材にバイアス電圧を印加する例を示したが、高圧電源151は、他の作像ユニット1Y、1C及び1Mそれぞれの内部の部材にバイアス電圧を印加してもよい。または作像ユニット1Y、1C、1M及び1K毎に高圧電源を備える構成にしてもよい。
【0081】
さらに実施形態では、画像形成装置200がフルカラーの画像形成装置である例を示したが、モノクロの画像形成装置においても同様の効果を得ることができる。
【0082】
[第2の実施形態]
本実施形態では、ツェナーダイオードの降伏電圧の公差、及び温度特性を考慮して決定したツェナーダイオードの組み合わせの一例を説明する。
【0083】
以下の(1)は降伏電圧の公差によるツェナーダイオードの降伏電圧の変化範囲の一例を示し、(2)は温度特性によるツェナーダイオードの降伏電圧の変化範囲の一例を示す。尚、VZ1はツェナーダイオードZ1の降伏電圧、VZ2はツェナーダイオードZ2の降伏電圧、VZ3はツェナーダイオードZ3の降伏電圧、VZ4はツェナーダイオードZ4の降伏電圧をそれぞれ表している。
【0084】
また(1)及び(2)では、+側への変化の上限値と-側への変化の下限値が、「/」を用いて記載されている。例えばVZ1の記載では、51VをTyp値(代表値)とし、これが-2Vから+4Vまで変化することが示されている。
【0085】
(1)公差による変化範囲
VZ1:51V+4V/-2V
VZ2:200V+12V/-12V
VZ3:100V+6V/-6V
VZ4:100V+6V/-6V
(2)温度特性による変化範囲
VZ1:51V+1V/-2V
VZ2:200V+4V/-10V
VZ3:100V+2V/-5V
VZ4:100V+2V/-5V
上記(1)及び(2)によれば、VZ3とVZ4の最大値の和は216Vであり、VZ1とVZ2の最小値の和の225Vより小さい。従ってツェナーダイオードZ3及びZ4で構成されるツェナーダイオード群のみを機能させ、規制バイアス電圧を低く変更することができる。
【0086】
このように、ツェナーダイオードの降伏電圧の公差、及び温度特性を考慮してツェナーダイオードの組み合わせを決定することができる。
【0087】
尚、上記以外の降下は第1の実施形態で示したものと同様である。
【0088】
以上、実施形態に係る画像形成装置、及び画像形成方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1Y、1M、1C、1K 作像ユニット
2Y、2M、2C、2K 感光体ドラム
3Y、3M、3C、3K クリーニングユニット
4Y、4M、4C、4K 帯電ローラ
10Y、10M、10C、10K トナー供給ローラ
11Y、11M、11C、11K 現像ローラ
12Y、12M、12C、12K 規制ブレード
15K バイアス電圧変更回路
16 中間転写ベルト
151 高圧電源
151a、151b 変圧器
153 高圧電源制御部
200、200a、200b 画像形成装置
Z1~Z4 ツェナーダイオード
N1~N14 接点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】