(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-27
(45)【発行日】2022-10-05
(54)【発明の名称】画像表示制御装置、画像表示装置、画像表示システム、画像表示装置制御方法および画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20220928BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220928BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20220928BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220928BHJP
【FI】
G06F3/03 400D
G06F3/041 630
G06F3/042 483
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2018209435
(22)【出願日】2018-11-07
(62)【分割の表示】P 2017043514の分割
【原出願日】2012-08-01
【審査請求日】2018-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2011262619
(32)【優先日】2011-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】大村 克之
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】稲葉 和生
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-91654(JP,A)
【文献】特開2009-251394(JP,A)
【文献】特開2009-3575(JP,A)
【文献】特開2004-94679(JP,A)
【文献】特開2005-100279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/03-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムを含み、情報処理装置の表示画像を画像表示装置又は表示装置の表示面に表示させて当該情報処理装置の操作が可能な前記画像表示装置又は表示装置を制御する画像表示制御装置であって、
第1のインターフェースを介して前記情報処理装置から受信した映像信号に基づき前記情報処理装置の表示画像を生成する映像信号処理部と、
前記画像表示装置又は表示装置の表示面に描画装置が接触又は近接したことを示す座標位置の描画画像を生成し、前記映像信号処理部で生成された前記表示画像に合成する描画部と、
前記描画装置が前記画像表示装置又は表示装置の表示面から離れたことを通知するイベントを受信した場合であって、前記イベントに付加された座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域にある場合に、当該座標位置に基づいて生成された信号を第2のインターフェースを介して前記情報処理装置に送信し、前記イベントに付加された前記座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、画像オブジェクトの領域にある場合は、当該画像オブジェクトに対応した操作の指示を前記オペレーティングシステムに発行する操作部と
を有する、画像表示制御装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記座標位置が、前記表示面のうち、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域である場合には、前記座標位置を前記情報処理装置の表示画像の解像度に応じた座標位置の信号を生成し、当該信号を前記第2のインターフェースを介して前記情報処理装置に送信させる、請求項1に記載の画像表示制御装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記座標位置が、前記表示面のうち、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域でない場合には、前記画像表示制御装置を含む装置に対する指示を受け付ける、
請求項1又は2に記載の画像表示制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像表示制御装置と、
前記情報処理装置から送信される映像信号を受信する前記第1のインターフェースと、
前記画像表示制御装置で生成された信号を前記情報処理装置に送信する前記第2のインターフェースと、を有する画像表示装置。
【請求項5】
前記第1のインターフェースは、VGA、HDMI(登録商標)またはDisplayPort、無線通信プロトコルに準拠した無線通信のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の画像表示制御装置。
【請求項6】
前記第2のインターフェースは、USBであることを特徴とする、請求項1~
3、又は5のいずれか1項の記載の画像表示制御装置。
【請求項7】
請求項4に記載の画像表示装置と、
前記情報処理装置と、を有し、
前記画像表示装置及び前記情報処理装置は、相互接続されている、
画像表示システム。
【請求項8】
情報処理装置の表示画像を画像表示装置又は表示装置の表示面に表示させて当該情報処理装置の操作が可能な前記画像表示装置又は表示装置を制御する画像表示制御方法であって、
第1のインターフェースを介して前記情報処理装置から受信した映像信号に基づき前記情報処理装置の表示画像を生成する映像信号処理ステップと、
動作モードが描画モードである場合、前記画像表示装置又は表示装置の表示面に描画装置が接触又は近接したことを示す座標位置の描画画像を生成し、前記映像信号処理ステップで生成された前記表示画像に合成する描画ステップと、
前記動作モードが選択モードであり、前記描画装置が前記画像表示装置又は表示装置の表示面から離れたことを通知するイベントを受信した場合であって、前記イベントに付加された座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域にある場合に、当該座標位置に基づいて生成された信号を第2のインターフェースを介して前記情報処理装置に送信し、前記イベントを受信し、前記イベントに付加された前記座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、画像オブジェクトの領域にある場合は、当該画像オブジェクトに対応した操作の指示を、前記画像表示装置又は表示装置を制御する画像表示制御装置が備えるオペレーティングシステムに発行する操作ステップと
を含む、方法。
【請求項9】
情報処理装置の表示画像を画像表示装置又は表示装置の表示面に表示させて当該情報処理装置の操作が可能な前記画像表示装置又は表示装置として機能させるための画像表示方法であって、
第1のインターフェースを介して前記情報処理装置から受信した映像信号に基づき前記情報処理装置の表示画像を生成する映像信号処理ステップと、
動作モードが描画モードである場合、前記画像表示装置又は表示装置の表示面に描画装置が接触又は近接したことを示す座標位置の描画画像を生成し、前記映像信号処理ステップで生成された前記表示画像に合成して表示する描画ステップと、
前記動作モードが選択モードであり、前記描画装置が前記画像表示装置又は表示装置の表示面から離れたことを通知するイベントを受信した場合であって、前記イベントに付加された座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域にある場合に、当該座標位置に基づいて生成された信号を第2のインターフェースを介して前記情報処理装置に送信し、前記イベントを受信し、前記イベントに付加された前記座標位置情報が示す前記描画装置が前記表示面に接触又は近接したときの座標位置が、画像オブジェクトの領域にある場合は、当該画像オブジェクトに対応した操作の指示を、前記画像表示装置又は表示装置を制御する画像表示制御装置が備えるオペレーティングシステムに発行する操作ステップと
を含む、画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の画像を表示する画像表示制御装置に関し、より詳細には、情報処理装置の表示画像を表示して当該情報処理装置の操作が可能であると共に、任意の描画画像を表示する画像表示制御装置、画像表示システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業や教育機関、行政機関等における会議等において、大型ディスプレイに情報処理装置の表示画像を表示させ、その操作を可能にする電子黒板が利用されている。
【0003】
このような電子黒板の一例として、特許文献1は、他の情報処理装置を接続し、その画面を表示して制御する情報処理装置を開示する。この情報処理装置では、当該情報処理装置を操作する第1の動作モードと、他の情報処理装置を操作する第2のモードとを切り替えて、これらの情報処理装置の操作を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の情報処理装置では、ユーザが描画画像を作成して表示させることができず、また、描画画像を削除することができないという問題があった。また、特許文献1に記載の情報処理装置では、操作すべき情報処理装置を切り替えるために、ユーザは、当該情報処理装置の表示画面から物理的に離れた操作パネルやキーボードを使用しなければならず、ユーザビリティが低いという問題があった。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、描画画像の作成および削除が可能であり、画像表示制御装置が提供する各機能を切り替える際の操作性を向上させる画像表示制御装置、画像表示システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
情報処理装置の表示画像を表示面に表示させて当該情報処理装置の操作が可能な画像表
示制御装置であって、
第1のインターフェースを介して前記情報処理装置から受信した映像信号から前記情報
処理装置の表示画像を生成する映像信号処理部と、
前記表示面に接触又は近接したことを示す座標位置の描画画像を生成し、前記映像信号
処理部で生成された前記表示画像に合成する描画部と、
前記座標位置が、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域であるか否か判断する
操作部と、
を含み、
前記操作部は、前記座標位置が、前記情報処理装置の表示画像が表示された領域である
場合には、当該座標位置に基づいて生成された信号を第2のインターフェースを介して前
記情報処理装置に送信させる、画像表示制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像表示制御装置は、上記構成を採用することにより、画像表示制御装置が提供する各機能を切り替える際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の画像表示装置のハードウェア構成を示す図。
【
図3】本発明の描画装置のハードウェア構成を示す図。
【
図4】本発明の画像表示装置が有するコントローラの機能構成を示す図。
【
図5】本発明の画像表示装置が有するコントローラが実行する処理を示す図。
【
図6】描画モードが選択されている場合に、本発明の画像表示装置が有するコントローラが実行する処理を示す図。
【
図7】削除モードが選択されている場合に、本発明の画像表示装置が有するコントローラが実行する処理を示す図。
【
図8】選択モードが選択されている場合に、本発明の画像表示装置が有するコントローラが実行する処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の画像表示システム100を示す。画像表示システム100は、画像表示装置110と、ユーザPC130とを含んで構成されており、画像表示装置110およびユーザPC130は、ケーブル124,126によって接続される。
【0011】
画像表示装置110は、ユーザPC130の表示画像を表示してその操作を可能にすると共に、ユーザが作成する描画画像を表示する装置である。画像表示装置110は、ディスプレイ112と、映像入力インタフェース120と、出力インタフェース122とを含んで構成される。
【0012】
ディスプレイ112は、ユーザPC130の表示画像やユーザが作成する描画画像などの種々の画像を表示する表示装置である。ディスプレイ112には、ユーザPC130の表示画像116や画像表示装置110を操作するGUI(Graphical User Interface)ボタン118a,118b,118cが表示される。また、ディスプレイ112は、指や専用ペンなどの物体の接触や接近を検知する手段である座標検出装置114が設置されている。
【0013】
映像入力インタフェース120は、ユーザPC130の表示画像116を形成する映像信号を受信するインタフェースである。本実施形態では、映像入力インタフェース120としてDVI(Digital Visual Interface)端子により構成されるDVIコネクタを採用することができる。映像入力インタフェース120は、ユーザPC130からVGAケーブル等のケーブル124を介してVGA信号を受信し、画像表示装置110にVGA信号を供給する。
【0014】
他の実施形態では、VGA(Video Graphics Array)コネクタ、HDMI(High-Definition Multimedia Interface、登録商標)コネクタ、Displayportコネクタ等を採用することができる。さらに他の実施形態では、映像入力インタフェース120は、Bluetooth(登録商標)やWiFi等の無線通信プロトコルに準拠した無線通信により、ユーザPC130から映像信号を受信してもよい。
【0015】
出力インタフェース122は、画像表示装置110の表示画像やユーザPC130を操作するイベントを出力する物理インタフェースである。本実施形態では、出力インタフェース122としてUSBソケットを採用することができる。
【0016】
ユーザPC130は、画像表示装置110に表示すべき画像を提供する情報処理装置である。ユーザPC130は、映像信号を出力するインタフェースを備えており、ユーザPC130の表示画像に表示された画像を形成する映像信号を所定のレート(例えば、50~60fps(frame per second))で画像表示装置110に供給する。本実施形態では、ユーザPC130は、インタフェースとしてVGA出力端子を備えており、VGA信号を画像表示装置110に送信することができる。他の実施形態では、ユーザPC130は、各種無線通信プロトコルに準拠した無線通信により、表示画像を送信してもよい。
【0017】
また、ユーザPC130は、USBポートを備えており、画像表示装置110からマウスやキーボードなどの入力装置が発行する種々のイベント(以下、「入力装置イベント」とする。)を形成する信号を受信し、当該入力装置イベントに応じた処理を実行する。
【0018】
図1に示す実施形態では、ユーザPC130としてノート型PCを採用するが、他の実施形態では、デスクトップ型PCやタブレット型PC、PDA等の映像信号を供給可能な情報処理装置を採用することができる。
【0019】
図2は、本発明の画像表示装置110のハードウェア構成を示す図である。画像表示装置110は、コントローラ200と、受信部202と、ディスプレイ112と、座標検出装置114と、
映像入力インターフェース120と、出力インターフェース122と、ネ
ットワークインターフェース204とを含んで構成される。
【0020】
コントローラ200は、画像表示装置の全体制御を行う画像表示制御装置である。コントローラ200は、LSI(Large Scale Integration)によって構成することができる。なお、コントローラ200の機能構成については、
図4を参照して詳細に説明する。
【0021】
受信部202は、描画装置210からの無線信号を受信する機能手段である。描画装置210は、モード切替部によって描画画像の作成や当該描画画像の消去、ディスプレイ112に表示されたGUIボタン等の画像オブジェクトの選択が可能であり、描画装置210が、画像表示装置110の表示装置であるディスプレイ112の表示領域に接触したことを検知し、接触したことを示す信号(以下、「接触信号」とする。)を画像表示装置110に無線によって送信する。受信部202は、接触信号を座標検出装置114に送信する。
【0022】
本実施形態では、座標検出装置114として、特許文献2に示すような赤外線遮断方式による座標入力/検出装置を採用する。この座標入力/検出装置では、ディスプレイ112の下側両端部に設置された2の受発光装置が、ディスプレイ112に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ112の周囲に設けられた反射部材によって同一光路上に反射する光を受光する。座標検出装置114は、描画装置210によって遮断された2の受発光装置が放射した赤外線の識別情報をコントローラ200が有する座標検出装置ドライバに通知する。座標検出装置ドライバは、当該赤外線の識別情報を使用して遮断された赤外線を特定し、描画装置210の接触位置または接近位置(以下、「座標位置」とする。)を算出する。
【0023】
他の実施形態では、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式の座標検出装置、対向する2の抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式の座標検出装置、接触物体がディスプレイに接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式の座標検出装置などの種々の検出手段を採用してもよい。
【0024】
画像表示装置110は、ネットワークインタフェース204を備えており、ディスプレイ112の表示画像や描画画像等の画像データを、ネットワークを介して送信することができる。
【0025】
図3は、本発明の描画装置のハードウェア構成を示す図である。以下、描画装置210のハードウェア構成について説明する。
【0026】
描画装置210は、接触検知手段を構成する先端部300、接触検知センサ302、信号処理部304および信号送信部306と、モード切替部308,310とを含む。
【0027】
先端部300は、ディスプレイ112に接触すべき可動式の部材である。先端部300は先端がディスプレイ112に接触すると、描画装置210の長手方向に移動し、後端が接触検知センサ302に接触する。先端部300と接触検知センサ302との間には、バネ等の弾性部材(図示せず)が設けられており、先端部300は座標検出装置114から離されると、その弾性力によって元の位置に戻る。
【0028】
接触検知センサ302は、先端部300が接触したことを検知するセンサである。本実施形態では、接触検知センサ302として、ニッタ株式会社のFlexiForce(商標)やイナバゴム株式会社のイナストマー(登録商標)等の圧力センサを採用することができ、先端部300が接触検知センサ302に接触すると、当該接触検知センサ302内の電流の抵抗値が変化する。
【0029】
信号処理部304は、接触検知センサ302を監視し、描画装置210が接触したか否かを判断する手段である。本実施形態では、信号処理部304として半導体回路を採用することができ、電圧変換回路と、A/D変換回路と、記憶回路と、判定回路と、出力回路とを含んで構成される。
【0030】
信号処理部304は、接触検知センサ302の抵抗値の変化を検知すると、電圧変換回路が接触検知センサ302の抵抗値の変化を電圧に変換し、A/D変換回路が、電圧変換回路の変換した電圧をデジタル値である接触信号に変換する。
【0031】
判定回路は、記憶回路に記憶された所定の閾値と接触信号とを比較し、先端部300がディスプレイ112に接触したか否か判定し、その判定結果を出力回路に送信する。
【0032】
本実施形態では、実際に先端部300がディスプレイ112に接触したことによって生ずる抵抗値の変化を電圧に変換し、デジタル変換した値を所定の閾値とすることができ、抵抗値の変化が所定の閾値以上である場合には、先端部300がディスプレイ112に接触したと判定する。一方、抵抗値の変化が所定の閾値よりも小さい場合には、先端部300がディスプレイ112に接触していないと判定する。
【0033】
また、判定回路は、動作モードの切替手段であるモード切替部308,310の押下を検知し、ユーザが押下したモード切替部の種別を示す信号(以下、「切替部種別信号」とする。)を出力回路に送信する。モード切替部308,310は、画像表示装置110が提供する描画モード、削除モードおよび選択モードを選択可能な機構である。描画モードとは、ユーザが描画画像を作成可能なモードである。削除モードとは、ユーザが作成した描画画像を削除可能なモードである。選択モードとは、ディスプレイ112に表示されたGUIボタン等の画像オブジェクトの選択やユーザPC130に対するイベントの送信が可能なモードである。
【0034】
本実施形態では、第1のボタンであるモード切替部308は、削除モードを指定可能なボタンであり、第2のボタンであるモード切替部310は、選択モードを指定可能なボタンである。本実施形態では、2のモード切替部を使用してモードを指定可能であるが、他の実施形態では、1または3のモード切替部を使用してモードを指定してもよい。
【0035】
ユーザがモード切替部308,310を押下すると、モード切替部308,310は、信号線を介して切替部種別信号を出力回路に送信する。
【0036】
出力回路は、判定回路が出力した接触信号および切替部種別信号を信号送信部306に出力する。接触信号には、描画装置210がディスプレイ112に接触したこと(true)を示す値と、接触していないこと(false)を示す値とが含まれる。出力回路は、定期的に接触信号および切替部種別信号を出力する。他の実施形態では、出力回路は、描画装置210がディスプレイ112に接触したときやディスプレイ112から離れたときに接触信号を出力してもよい。
【0037】
信号送信部306は、出力回路が出力した接触信号および切替部種別信号を画像表示装置110に送信する手段である。本実施形態では、信号送信部306は、赤外線やBluetooth(登録商標)等の無線通信により、接触信号や切替部種別信号を画像表示装置110に送信するが、他の実施形態では、これらの信号を、信号線を介して画像表示装置110に送信してもよい。
【0038】
本実施形態では、描画装置210を使用して動作モードの切り替えが可能であるため、例えば、ユーザは、描画装置210で描画画像を作成しているときに、手元の描画装置210を使用して動作モードを削除モードに切り替えて描画画像を削除することができ、次いで、動作モードを描画モードに切り替えて描画画像の作成を継続することができるため、ユーザビリティを一層高めることができる。
【0039】
図4は、画像表示装置110のコントローラ200の機能構成を示す図である。画像表示装置110は、OS(Operating System)400と、アプリケーション部410と、映像信号入力部422と、座標検出装置ドライバ424とを含んで構成される。
【0040】
映像信号入力部422は、ユーザPC130が送信する映像信号を処理する機能手段である。具体的には、映像信号入力部422は、ユーザPC130から受信したVGA信号等の映像信号をA/D変換し、アプリケーション部410に供給する。
【0041】
OS400は、コントローラ200の全体制御を行う機能手段である。OS400は、座標検出装置ドライバ424が発行する種々のイベントを受信し、アプリケーション部410に通知する。
【0042】
本実施形態では、OS400としてWINDOWS(登録商標)シリーズ、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、TRON、ITRON、μITRONなどのOSを採用することができ、コントローラ200の有するプロセッサ(図示せず)が、これらのOSの管理下でアセンブラ、C、C++、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、PERL、RUBY、PYTHONなどのプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行する。
【0043】
座標検出装置ドライバ424は、座標検出装置114を制御する機能手段である。座標検出装置ドライバ424は、座標検出装置114から接触信号を受信すると、描画装置210がディスプレイ112に接触または接近したことを通知するイベント(TOUCH)、描画装置210がディスプレイ112に接触または接近した状態で接触点または接近点が移動したことを通知するイベント(MOVE)、描画装置210がディスプレイ112から離れたことを通知するイベント(RELEASE)を発行し、OS400に通知する。
【0044】
座標検出装置ドライバ424は、座標検出装置114から受信した赤外線の識別情報を使用して描画装置210の座標位置を特定し、当該座標位置を示す情報(以下、「座標位置情報」とする。)を各種イベント(TOUCH、MOVE、RELEASE)に付加する。イベント(MOVE)には、複数の座標位置情報が付加される。また、座標検出装置ドライバ424は、座標検出装置114から受信した切替部種別信号を使用して、ユーザが押下したモード切替部308,310の種別を判断し、これらのイベントにモード切替部の識別情報を付加する。モード切替部308,310が押下されていない場合、すなわち、切替部種別信号を受信していない場合には、座標検出装置ドライバ424は、モード切替部の識別情報をイベントに付加しない。
【0045】
アプリケーション部410は、ディスプレイ112に表示される画像を処理する機能手段であり、映像信号処理部412と、イベント処理部414と、描画部416と、削除部418と、操作部420とを含んで構成される。
【0046】
映像信号処理部412は、映像信号入力部422が供給する映像信号を処理する機能手段である。映像信号処理部412は、映像信号からユーザPC130の表示画像を生成し、ディスプレイ112に表示する。映像信号処理部412は、ディスプレイ112に表示されている画像をコントローラ200が備えるRAM等の記憶装置の所定の領域(以下、「背景画像保存領域」とする。)に保存する。
【0047】
イベント処理部414は、OS400から受信したイベントを処理する機能手段である。具体的には、イベント処理部414は、OS400から受信したイベントに対応する処理を実行すべき描画部416、削除部418および操作部420にイベント(TOUCH)、イベント(MOVE)およびイベント(RELEASE)を通知する。
【0048】
描画部416は、描画画像を作成してディスプレイ112に表示する機能手段である。描画部416は、イベント処理部414から受信したイベントに含まれる座標位置情報が示す座標位置の色を所定の色に変更した描画画像を生成する。そして、描画部416は、背景画像保存領域から画像を取得して描画画像と合成し、ディスプレイ112に表示する。
【0049】
描画部416は、ディスプレイ112に表示されている描画画像をコントローラ200が備えるRAM等の記憶装置の所定の領域(以下、「描画画像保存領域」とする。)に保存する。このとき、描画部416は、描画画像を形成した座標位置を示す情報を描画画像のメタデータとして描画画像保存領域に保存する。また、描画部416は、合成した画像を所定の領域(以下、「合成画像保存領域」とする。)に保存する。
【0050】
削除部418は、描画画像を消去する機能手段である。削除部418は、イベント処理部414から受信したイベントに含まれる座標位置情報が示す座標位置と、描画画像が形成された座標位置とを比較し、これらの座標位置が合致する場合に、合成画像の当該座標位置の色を対応する背景画像の色に変更する。そして、削除部418は、変更した合成画像をディスプレイ112に表示し、合成画像保存領域に保存する。
【0051】
本実施形態では、背景画像保存領域および合成画像保存領域は、これらの画像を構成する画素の色が座標位置毎に保存されており、削除部418は、消去すべき描画画像に対応する合成画像の画素を特定し、これに対応する背景画像の色を特定することができる。
【0052】
操作部420は、画像表示装置110またはユーザPC130に対する操作を指示する機能手段である。操作部420は、イベント処理部414から受信したイベントに含まれる座標位置情報が示す座標位置が、画像表示装置110に対する指示を示す画像オブジェクトの領域またはユーザPC130の表示画像が表示された領域であるか否か判断する。
【0053】
座標位置情報が示す座標位置が画像表示装置110に対する指示を示す画像オブジェクトの領域内である場合には、操作部420は、当該画像オブジェクトが選択された旨のイベントをOS400に対して発行する。座標位置情報が示す座標位置がユーザPC130の表示画像が表示された領域である場合には、操作部420は、当該座標位置をユーザPC130の表示画像の解像度に適合する座標位置に変更し、変更した座標位置と共に入力装置イベントをユーザPC130に送信する。
【0054】
本実施形態では、画像表示装置110が座標検出装置114を制御する機能手段や、描画画像を生成して背景画像と重畳する機能手段を備えているため、これらの機能を有する制御ドライバ等のソフトウェアをユーザPC130にインストールする必要がない。
【0055】
図5は、本発明の画像表示装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図5を参照して、画像表示装置110のコントローラ200が実行する処理について説明する。
【0056】
図5の処理は、ステップS500から開始し、ステップS501でコントローラ200のイベント処理部414が、座標検出装置ドライバ424の発行したイベントを検知したか否か判断する。イベントを検知していない場合には(no)、ステップS501の処理を反復する。一方、イベントを検知した場合には(yes)、処理をステップS502に分岐する。
【0057】
ステップS502では、イベント処理部414は、イベントに付加されたモード切替部の識別情報を使用して、削除モードを指定する第1のボタンが押下されたか否か判断し、第1のボタンが押下されたと判断した場合には(yes)、処理をステップS506に分岐する。ステップS506では、イベント処理部414は、ステップS501で検知したイベントを削除部418に通知し、処理をステップS501に戻す。
【0058】
一方、ステップS502の判定で第1のボタンが押下されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS503に分岐する。ステップS503では、イベント処理部414は、イベントに付加されたモード切替部の識別情報を使用して、選択モードを指定する第2のボタンが押下されたか否か判断し、第2のボタンが押下されたと判断した場合には(yes)、処理をステップS505に分岐する。ステップS505では、イベント処理部414は、ステップS501で検知したイベントを操作部420に通知し、処理をステップS501に戻す。
【0059】
一方、ステップS503の判定で第2のボタンが押下されていないと判断した場合には(no)、処理をステップS504に分岐する。ステップS504では、イベント処理部414は、ステップS501で検知したイベントを描画部416に通知し、処理をステップS501に戻す。
【0060】
図6は、本発明の画像表示装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図6を参照して、描画モードが選択されている場合に画像表示装置110のコントローラ200が実行する処理について説明する。
【0061】
図6の処理は、ステップS600で描画部416がイベント処理部414からイベントを受信することにより開始する。ステップS601では、描画部416は、イベントの種類がTOUCHまたはMOVEであるか否か判断する。イベントの種類がTOUCHまたはMOVEである場合には(yes)、処理をステップS602に分岐する。一方、イベントの種類がTOUCHまたはMOVEでない場合、すなわち、RELEASEである場合には(no)、処理をステップS607に分岐して終了する。
【0062】
ステップS602では、描画部416は、イベントに付加された座標位置情報を使用して描画画像を生成する。ステップS603では、描画部416は、描画画像を描画画像保存領域に保存する。ステップS604では、描画部416は、背景画像保存領域から背景画像を取得し、描画画像と合成する。ステップS605では、描画部416は、ステップS604で生成した合成画像をディスプレイ112に表示する。ステップS606では、描画部416は、当該合成画像を合成画像保存領域に保存し、ステップS607で処理が終了する。
【0063】
図7は、本発明の画像表示装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図7を参照して、削除モードが選択されている場合に画像表示装置110のコントローラ200が実行する処理について説明する。
【0064】
図7の処理は、ステップS700で削除部418がイベント処理部414からイベントを受信することにより開始する。ステップS701では、削除部418は、イベントの種類がTOUCHまたはMOVEであるか否か判断する。イベントの種類がTOUCHまたはMOVEである場合には(yes)、処理をステップS702に分岐する。一方、イベントの種類がTOUCHまたはMOVEでない場合、すなわち、RELEASEである場合には(no)、処理をステップS707に分岐して終了する。
【0065】
ステップS702では、削除部418は、描画画像保存領域に保存された描画画像の座標位置情報を取得する。ステップS703では、削除部418は、イベントに付加された座標位置情報と、描画画像の座標位置情報とを比較し、これらの座標位置情報が示す座標位置が重複するか否か判断する。座標位置が重複する場合には(yes)、処理をステップS704に分岐させる。一方、座標位置が重複しない場合には(no)、処理をステップS707に分岐して終了させる。
【0066】
ステップS704では、削除部418は、合成画像保存領域から合成画像を取得し、合成画像のうち当該座標位置が示す画素の色を、背景画像保存領域に保存された背景画像のうち当該座標位置が示す画素の色に変更することにより、座標位置が示す描画画像を削除する。ステップS705では、削除部418は、ステップS704で変更した合成画像をディスプレイ112に表示する。ステップS706では、削除部418は、ディスプレイ112に表示した合成画像を合成画像保存領域に保存し、ステップS707で処理が終了する。
【0067】
図8は、本発明の画像表示装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図8を参照して、選択モードが選択されている場合に画像表示装置110のコントローラ200が実行する処理について説明する。
【0068】
図8の処理は、ステップS800で操作部420がイベント処理部414からイベントを受信することにより開始する。ステップS801では、操作部420は、イベントの種類がRELEASEであるか否か判断する。イベントの種類がRELEASEである場合には(yes)、処理をステップS802に分岐する。一方、イベントの種類がRELEASEでない場合、すなわち、TOUCHまたはMOVEである場合には(no)、処理をステップS806に分岐して終了する。
【0069】
ステップS802では、操作部420は、イベントに付加された座標位置情報を使用して、当該座標位置情報が示す座標位置がいずれの領域に属するか判断する。座標位置が画像オブジェクト領域に属する場合には、処理をステップS803に分岐させる。ステップS803では、操作部420は、座標位置が示す画像オブジェクトが選択された旨のイベントをOS400に対して発行し、ステップS806で処理が終了する。
【0070】
ステップS802の判定で座標位置がユーザPC130の表示画像領域に属すると判断した場合には、処理をステップS804に分岐させる。ステップS804では、操作部420は、イベントに付加された座標位置情報が示す座標位置をユーザPC130の表示画像の解像度に適合するように変更する。ユーザPC130の表示画像の解像度は予め規定してもよく、また、映像信号処理部412が、ユーザPC130から受信した映像信号を解析して算出してもよい。
【0071】
ステップS805では、操作部420は、当該座標位置が選択された旨の入力装置イベントに変更後の座標位置を示す座標位置情報を付加してユーザPC130に送信し、ステップS806で処理が終了する。
【0072】
ステップS802の判定で座標位置がその他の領域に属すると判断した場合には、処理をステップS806に分岐して終了する。
【0073】
これまで本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の構成要素を変更若しくは削除し、または本実施形態の構成要素を他の構成要素を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0074】
特に、上述した実施形態では、コントローラが、画像表示装置と一体的に構成されたディスプレイに画像を表示させるが、他の実施形態では、コントローラが、プロジェクタ等の画像の投影が可能な表示装置に画像を投影させ、スクリーン等の表示面に画像を表示させてもよい。この場合、描画装置の接触位置または接近位置を検知するセンサをスクリーンや表示装置に設け、コントローラが、画像が投影された表示面上の領域、すなわち、表示装置の表示領域に対する描画装置の接触位置情報または接近位置情報をセンサから取得することができる。
【符号の説明】
【0075】
100…画像表示システム、110…画像表示装置、112…ディスプレイ、114…座標検出装置、116…表示画像、118a,118b,118c…GUIボタン、120…映像入力インタフェース、122…出力インタフェース、124,126…ケーブル、130…ユーザPC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【文献】特開2002-91654号公報
【文献】特許第4627781号公報