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  • 特許-こませかご及びロック解除方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】こませかご及びロック解除方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A01K97/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022097254
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592218919
【氏名又は名称】有限会社サニー商事
(74)【代理人】
【識別番号】100194342
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 俊明
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-13088(JP,A)
【文献】特開2006-25717(JP,A)
【文献】登録実用新案第3151890(JP,U)
【文献】登録実用新案第3169635(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203835(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K97/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撒き餌を内部空間から外部へ放出するための開口を含むかご本体と、
前記かご本体に取り付けられ、前記開口を被うためのベース部とを備え、
前記ベース部には、前記かご本体の中心軸に対して対称な位置に第1収容部と第2収容部が設けられ、
前記第1収容部には少なくとも前記第1収容部内を前記ベース部の径方向に移動する第1のピンが収容され、前記第2収容部には少なくとも前記第2収容部内を前記径方向に移動する第2のピンが収容され、
前記かご本体には、前記開口の径方向の一端の第1端部が揺動支点部となり、前記揺動支点部とは異なる第2端部および第3端部のそれぞれに第1の貫通孔を有する第1の係合突起および第2の貫通孔を有する第2の係合突起が形成され、
さらに、前記第1のピンおよび前記第2のピンの前記径方向への移動を制御するピン移動制御棒が設けられ、
外部からの衝撃のない通常時に、前記ピン移動制御棒は前記第1のピンおよび前記第2のピンをそれぞれ前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に係合させて第1のロック状態を維持させ、前記第1の係合突起および前記第2の係合突起が前記ベース部の側壁に係合されて第2のロック状態が維持され、
外部からの第1の衝撃がある第1の衝撃時に、前記ピン移動制御棒が前記第1のピンおよび前記第2のピンを径方向内側に移動させて前記第1のロック状態を解除させ、
外部からの第2の衝撃がある第2の衝撃時に、前記第1の係合突起および前記第2の係合突起と前記ベース部の側壁との係合が外れて前記第2のロック状態が解除される、
ことを特徴とするこませかご。
【請求項2】
前記第1のピンにはピンの移動距離を規制するための第1の規制板が取り付けられ、前記第2のピンにはピンの移動距離を規制するための第2の規制板が取り付けられ、
前記ベース部が前記開口部を被った状態において、前記第1収容部の側壁であって中心軸から遠い方の側壁の一部であって前記第1の貫通孔の位置と対応する位置に前記第1のピンを挿通させるための第3の貫通孔を有し、前記第2収容部の側壁の一部であって中心軸から遠い方の側壁であって前記第2の貫通孔の位置と対応する位置に前記第2のピンを挿通させるための第4の貫通孔を有し、
前記第1収容部の側壁であって中心軸に近い方の側壁の一部に前記第1のピンを挿通させるための第5の貫通孔を有し、前記第2収容部の側壁であって中心軸に近い方の側壁の一部に前記第2のピンを挿通させるための第6の貫通孔を有し、
前記側壁と前記規制板の間には、前記第1の衝撃時に前記ピンを径方向内側に移動させる弾性力を付与させる弾性体が設けられ、
前記ピン移動制御棒は、前記ベース部の前記かご本体側の端部に設けられたテーパ形状のロック機構部と、前記ベース部の前記かご本体側とは逆方向の端部に設けられ前記第1の衝撃を検出してその衝撃力を上方に伝える衝撃検出部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のこませかご。
【請求項3】
前記第1の規制板の前記第1のピンへの取り付け位置は、前記第1の衝撃時に前記第1の規制板が前記第1収容部の中心軸に近い方の側壁に接触したときに、前記第1の貫通孔に係合されたピンの係合が解除される位置であり、前記第2の規制板の前記第2のピンへの取り付け位置は、前記第1の衝撃時に前記第2の規制板が前記第2収容部の中心軸に近い方の側壁に接触したときに前記第2の貫通孔に係合されたピンの係合が解除される位置である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のこませかご。
【請求項4】
前記テーパ形状のロック機構部と前記衝撃検出部材は一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のこませかご。
【請求項5】
前記第1のロック状態を解除した後に、前記ベース部に対して上方から下方に作用する外力によって前記かご本体の係合突起と前記ベース部の係止部の係合による前記第2のロック状態が解除される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のこませかご。
【請求項6】
前記弾性体はコイルばねである、
ことを特徴とする請求項2に記載のこませかご。
【請求項7】
前記弾性体は板ばねである、
ことを特徴とする請求項2に記載のこませかご。
【請求項8】
前記外部からの衝撃は、こませかごが着水するときに受ける衝撃である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のこませかご。
【請求項9】
前記かご本体は、前記開口が下方に位置し、その上方には、道糸を連結するための連結部があり、さらに、その連結部と前記開口との間に、水が流入する窓がある、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のこませかご。
【請求項10】
開口を含むかご本体と、前記開口を被い、第1収容部と第2収容部が設けられたベース部とを備え、
前記第1収容部には少なくとも前記第1収容部内を前記ベース部の径方向に移動する第1のピンが収容され、前記第2収容部には少なくとも前記第2収容部内を前記径方向に移動する第2のピンが収容され、
前記かご本体には、前記開口の径方向の一端の第1端部が揺動支点部となり、前記揺動支点部とは異なる第2端部および第3端部のそれぞれに第1の貫通孔を有する第1の係合突起および第2の貫通孔を有する第2の係合突起が形成され、
さらに、前記第1のピンおよび前記第2のピンの前記径方向への移動を制御するピン移動制御棒が設けられているこませかごにおけるロック解除方法であって、
外部からの衝撃のない通常時に、前記第1のピンおよび前記第2のピンをそれぞれ前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に係合させて第1のロック状態を維持し、前記第1の係合突起および前記第2の係合突起を前記ベース部の側壁へ係合させて第2のロック状態を維持し、
外部からの第1の衝撃がある第1の衝撃時に、前記ピン移動制御棒が前記第1のピンおよび前記第2のピンを径方向内側に移動させて前記第1のロック状態を解除させ、
外部からの第2の衝撃がある第2の衝撃時に、前記第2の衝撃による力を利用して前記第1の係合突起および前記第2の係合突起と前記ベース部の側壁との係合を外して前記第2のロック状態を解除させる、
ことを特徴とするロック解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、こませかご及びロック解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のこませかごは、かごを遠投する投げ釣りやかごを船の近くに投入する船釣りに用いられる。こませかごは、撒き餌を放出することにより魚を有効に集めるため、いわゆるポイントで撒き餌を放出することが望ましい。たとえば、かごを海中に投げ込んだ時点ではふたは閉じたままであり、所定の水深に達したときに、かごのふたを開き、内部の撒き餌を放出することが望ましい。以下の特許文献1は、そのような要望に応える撒き餌技術の例である。
【0003】
この特許文献1は、こませかごが水面に達するまでの第1段階で、ふた部材をしっかりと閉じた状態(ロック状態)に維持した上、 かごが水面に達した時点以降の第2段階では、釣竿をあ おることによってふた部材を確実に開くことができる弱い閉じ状態(半ロック状態)にする。そのため、ふた部材の揺動支点側にばね部材を設け、ふた部材に対し径方向に向かうばね力を付与しておく。爪が止め部材の凹部にはまり合うときロック状態となり、水面からの衝撃を受けると、爪が止め部材の傾斜部分へと位置を変えて半ロック状態となる。なお、かご本体の頂部付近には連結部が取り付けられており、この連結部に針金部材からなる天秤が巻回されて取り付けられている。この天秤の一端部に道糸を結び、他端部に仕掛けが装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-158257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ポイントに達するまでは、確実にふたを閉じておくことができ、ポイントで確実にふたを開くことができるようにする技術を示す。半ロック状態、ロック状態に遷移させるロック機構部はかごの外部に設けられているため、かご本体の連結部に取り付けられている天秤の一端部に結ばれている道糸や他端部に装着されている仕掛けが、こませかごの着水から水中に沈んでいく過程でロック機構部に絡まってしまう虞が生じる。また、こませかごを海面に投げ込む過程でロック機構部が風による抵抗を受けたり、水中において水の抵抗を受けてしまいロック機構部のロック機能が正常に動作せず、例えば、着水時にふたが開いてしまったり、水中における釣り竿のあおり動作に基づくロック解除が正常に行われずふたが開かないというおそれがある。最悪の場合、ロック機構部自体が損傷してしまうおそれも生じる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、こませかごが水中に入るまでは確実にふたを閉じておくことができ、しかも、着水した後に所定のところでふたを確実に開くことができるこませかご及びロック解除方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るこませかごの一側面は、撒き餌を内部空間から外部へ放出するための開口を含むかご本体と、かご本体に取り付けられ、開口を被うためのベース部とを備え、ベース部には、かご本体の中心軸に対して対称な位置に第1収容部と第2収容部が設けられ、第1収容部には少なくとも第1収容部内をベース部の径方向に移動する第1のピンが収容され、第2収容部には少なくとも第2収容部内を径方向に移動する第2のピンが収容され、かご本体には、開口の径方向の一端の第1端部が揺動支点部となり、揺動支点部とは異なる第2端部および第3端部のそれぞれに第1の貫通孔を有する第1の係合突起および第2の貫通孔を有する第2の係合突起が形成され、さらに、第1のピンおよび第2のピンの径方向への移動を制御するピン移動制御棒が設けられ、外部からの衝撃のない通常時に、ピン移動制御棒は第1のピンおよび第2のピンをそれぞれ第1の貫通孔および第2の貫通孔に係合させて第1のロック状態を維持させ、第1の係合突起および第2の係合突起がベース部の側壁に係合されて第2のロック状態が維持され、外部からの第1の衝撃がある第1の衝撃時に、ピン移動制御棒が第1のピンおよび第2のピンを径方向内側に移動させて第1のロック状態を解除させ、外部からの第2の衝撃がある第2の衝撃時に、第1の係合突起および第2の係合突起とベース部の側壁との係合が外れて第2のロック状態が解除されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、第1のピンにはピンの移動距離を規制するための第1の規制板が取り付けられ、第2のピンにはピンの移動距離を規制するための第2の規制板が取り付けられ、ベース部が開口部を被った状態において、第1収容部の側壁であって中心軸から遠い方の側壁の一部であって第1の貫通孔の位置と対応する位置に前記第1のピンを挿通させるための第3の貫通孔を有し、第2収容部の側壁の一部であって中心軸から遠い方の側壁であって第2の貫通孔の位置と対応する位置に第2のピンを挿通させるための第4の貫通孔を有し、第1収容部の側壁であって中心軸に近い方の側壁の一部に前記第1のピンを挿通させるための第5の貫通孔を有し、第2収容部の側壁であって中心軸に近い方の側壁の一部に前記第2のピンを挿通させるための第6の貫通孔を有し、側壁と規制板の間には、第1の衝撃時にピンを径方向内側に移動させる弾性力を付与させる弾性体が設けられ、ピン移動制御棒は、ベース部のかご本体側の端部に設けられたテーパ形状のロック機構部と、ベース部のかご本体側とは逆方向の端部に設けられ第1の衝撃を検出してその衝撃力を上方に伝える衝撃検出部材を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、第1の規制板の第1のピンへの取り付け位置は、第1の衝撃時に第1の規制板が第1収容部の中心軸に近い方の側壁に接触したときに、第1の貫通孔に係合されたピンの係合が解除される位置であり、第2の規制板の第2のピンへの取り付け位置は、第1の衝撃時に第2の規制板が第2収容部の中心軸に近い方の側壁に接触したときに第2の貫通孔に係合されたピンの係合が解除される位置であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、テーパ形状のロック機構部と衝撃検出部材は一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、第1のロック状態を解除した後に、ベース部に対して上方から下方に作用する外力によってかご本体の係合突起とベース部の係止部の係合による第2のロック状態が解除されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、弾性体はコイルばねであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、弾性体は板ばねであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、外部からの衝撃はこませかごが着水するときに受ける衝撃であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るこませかごの他の側面は、かご本体は、開口が下方に位置し、その上方には、道糸を連結するための連結部があり、さらに、その連結部と開口との間に、水が流入する窓があることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るロック解除方法の一側面は、開口を含むかご本体と、前記開口を被い、第1収容部と第2収容部が設けられたベース部とを備え、第1収容部には少なくとも第1収容部内をベース部の径方向に移動する第1のピンが収容され、第2収容部には少なくとも第2収容部内を径方向に移動する第2のピンが収容され、かご本体には、開口の径方向の一端の第1端部が揺動支点部となり、揺動支点部とは異なる第2端部および第3端部のそれぞれに第1の貫通孔を有する第1の係合突起および第2の貫通孔を有する第2の係合突起が形成され、さらに、第1のピンおよび第2のピンの径方向への移動を制御するピン移動制御棒が設けられているこませかごにおけるロック解除方法であって、外部からの衝撃のない通常時に、第1のピンおよび第2のピンをそれぞれ第1の貫通孔および第2の貫通孔に係合させて第1のロック状態を維持し、第1の係合突起および第2の係合突起をベース部の側壁へ係合させて第2のロック状態を維持し、外部からの第1の衝撃がある第1の衝撃時に、ピン移動制御棒が第1のピンおよび第2のピンを径方向内側に移動させて第1のロック状態を解除させ、外部からの第2の衝撃がある第2の衝撃時に、第2の衝撃による力を利用して第1の係合突起および第2の係合突起とベース部の側壁との係合を外して前記第2のロック状態を解除させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、こませかごが水中に入るまでは確実に開口を閉じておくことができ、着水直後に半ロック状態にさせ着水後に所定の箇所でロックを完全に解除して開口を確実に開かせることができるこませかご及びロック解除方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態におけるこませかごの全体斜視図であり、(a)はロック状態における図であり、(b)はロック解除状態における図である。
図2】ベース部の一例を示した縦断面図であり、(a)はロック状態における図であり、(b)はロック解除状態における図である。
図3】ベース部の平面図である。
図4】本発明の実施形態におけるこませかごのロックおよびロック解除状態を説明するための部分断面斜視図であり、(a)は着水前の状態を示す図であり、(b)は着水時の状態を示す図であり、(c)は着水直後の状態を示す図である。
図5】(a)はピン移動制御棒の一例を示した斜視図であり、(b)はピン移動制御棒の他の例を示した斜視図である。
図6】ベース部の第1の変形例を示した縦断面図である。
図7】ベース部の第2の変形例を示した斜視図であり、(a)はロック状態における図であり、(b)はロック解除状態における図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明に係るこませかごについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0020】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。図1は本発明に係るこませかごの全体斜視図であり、(a)はロック状態における図であり、(b)はロック解除状態における図である。図2はベース部の縦断面図であり、(a)はロック状態における図であり、(b)はロック解除状態における図である。図3は、ベース部の平面図である。図4はこませかごのロックおよびロック解除状態を説明するための部分断面斜視図であり、(a)は着水前の状態を示す図であり、(b)は着水時の状態を示す図であり、(c)は着水直後の状態を示す図である。
【0021】
こませかご1は、撒き餌を入れるための内部空間が区画され、撒き餌を内部空間から外部へ放出するための開口9を含むかご本体3と、かご本体3の底部に取り付けられ、かご本体3の開口9を被うための円錐台形状のベース部5とを備える。こませかご1を構成するかご本体3の開口9は、撒き餌を放出するための出口と、撒き餌を入れるための入口とを兼ねている。かご本体3とベース部5は透光性を有する合成樹脂によって形成されているが、これに限定されない。
【0022】
かご本体3は、円筒形状の側壁7と、側壁7の上方に位置する円錐形状の屋根部6とが一部品として一体に形成されている 。屋根部6の中央に、T形状の天秤(図示せず)を間にして道糸を連結するための連結部が設けられている。かご本体3には、開口9の径方向の一端の第1端部12が揺動支点部となり、揺動支点部とは異なる第2端部および第3端部にそれぞれ第1の貫通孔43aを有する第1の係合突起(係合爪)11aおよび第2の貫通孔43bを有する第2の係合突起(係合爪)11bが形成されている。この第2端部および第3端部はベース部5をかご本体3に係合させる止め側になっている。なお、本実施の形態では、かご本体3には第1の係合突起11aおよび第2の係合突起11bを形成しているが、係合突起を蝶番13に対向する位置にやや大きめの単一の係合突起を形成するようにしてもよいし、3つ以上の係合突起を形成するようにしてもよい。
【0023】
ベース部5は、上方に形成された円筒形状の第1の側壁41と、第1の側壁41に連設された円錐台形状の第2の側壁42と、第1の側壁41内に収容部を形成させるための収容部材(ハウジング)30と、中空の錘体70と、かご本体3の軸方向に上下移動自在なピン移動制御棒21とを備えて構成されている。
収容部材30には、かご本体3の開口9を被う円盤状の基板23と、基板23の径方向に対して垂直方向に延在する第1の仕切り板311、第2の仕切り板312、第3の仕切り板314、第4の仕切り板315が一部品として一体に形成されている。図3に示すように、第1の仕切り板311、第2の仕切り板312、第3の仕切り板314および第4の仕切り板315の径方向両端部側にそれぞれ第5の仕切り板317および第6の仕切り板318が一部品として一体に形成されている。
【0024】
第1の仕切り板311、第2の仕切り板312、第5の仕切り板317の一部および第6の仕切り板318の一部によって第1の収容部32が形成され、第3の仕切り板314、第4の仕切り板315、第5の仕切り板317の一部および第6の仕切り板318の一部によって第2の収容部34が形成される。なお、第5の仕切り板317および第6の仕切り板318を形成せずに、第1の仕切り板311と第2の仕切り板312の間に第1の収容部32を形成し、第3の仕切り板314と第4の仕切り板315の間に第2の収容部34を形成するようにしてもよい。
【0025】
第1の仕切り板311、第2の仕切り板312、第3の仕切り板314および第4の仕切り板315には後述する第1のピン51および第2のピン52を挿通させるための貫通孔が形成されている。第1の仕切り板311の中央部には貫通孔45aが形成され、第2の仕切り板312の中央部には貫通孔47aが形成され、第3の仕切り板314の中央部には貫通孔47bが形成され、第4の仕切り板315の中央部には貫通孔45bが形成されている。
【0026】
図3に示すように第1のピン51は第1の仕切り板311と第2の仕切り板312に支持され、第1の仕切り板311の貫通孔45aと第2の仕切り板312の貫通孔47aを通って径方向に移動自在に支持されている。第1のピン51には、第1のピン51の径方向内側に移動させる弾性力を付与(付勢)させる第1のコイルバネ61と、第1のピンの移動距離を規制(調整)するための第1の規制板(調整板)65が取り付けられている。第2のピン52は第3の仕切り板314と第4の仕切り板315に支持され、第3の仕切り板314の貫通孔47bと第4の仕切り板315の貫通孔45bを通って径方向に移動自在に支持されている。第1のピン51には、第1のピン51の径方向内側に移動させる弾性力を付与(付勢)させる第1のコイルバネ61と、第1のピンの移動距離を規制(調整)するための第1の規制板(調整板)65が取り付けられている。第2のピン52には、第2のピン52の径方向内側に移動させる弾性力を付与(付勢)させる第2のコイルバネ62と、第2のピン52の移動距離を規制(調整)するための第2の規制板(調整板)66が取り付けられている。
【0027】
第1のコイルバネ61は、中空部に第1のピン51が挿入された状態で第1の仕切り板311と第1の規制板65の間に配置される。第2のコイルバネ62は、中空部に第2のピン52が挿入された状態で第4の仕切り板314と第2の規制板66の間に配置される。
【0028】
ベース部5内には、収容部材30の第1の側壁41の上端部に、かつ、揺動支点側に蝶番(ヒンジ部)13が形成されている。すなわち、ベース部5の揺動支点側は、蝶番 13で構成され、その蝶番13による揺動あるいは回転中心は不動であり、位置が変わることはない。蝶番13は、軸受けステーと軸受けステーに挿入されるピンで構成され、ピンの両端部はかご本体3の側壁7に溶接、溶着等により固定(接合)されている。この蝶番の構造は一般的なものであり公知であるのでその詳細な説明は省略する。かご本体3は蝶番13のピンを回転軸としてかご本体3を揺動可能に支持する。
【0029】
ピン移動制御棒21は、図2および図5(a)に示すように、ロック制御頭部22、首部24、胴部26、基部27および衝撃感知部28を備え、一部品として一体に形成されている。
ロック制御頭部22は、略円錐台形状(テーパー形状)であり、上下移動によってテーパー部分に当接された第1のピン51および第2のピン52の径方向の移動を制御する機能を有する。より詳細には、ロック制御頭部22は、円盤部221とテーパー部222で構成され、円盤部221とテーパー部222の間にスリット223が形成され、後述するロック状態において第1のピン51および第2のピン52はこのスリット223に当接されている。
【0030】
首部24は円柱形状であり、胴部26は首部24の直径よりも大きい直径を有する円柱形状であって錘体70の中空部に挿通され、基部27は円錐台形状であってベース部5の開口9を塞ぐ機能を有し、衝撃感知部28は半球体形状であって外部からの衝撃を感知し、その衝撃力を基部27、胴部26および首部24を介してロック制御頭部22に伝える機能を有する。胴部26と首部24の間にはスリット(溝)29が形成されており、このスリット(溝)29は後述するロック状態解除後に再びロック状態に戻すためにユーザが行う衝撃感知部28を引っ張る動作を容易にするために形成されている。なお、胴部26、基部27および衝撃感知部28の上記した形状は一例であってこれに限定されない。
【0031】
ベース部5の第2の側壁42の内周面の所定位置と当該所定位置と対向した位置には、それぞれ径方向内側に向かって錘体70を固定するための突出片(軸方向に延存する突出爪)55,55が形成されている。この突出片55,55は錘体70に形成されたスリット(図示せず)に係合され錘体70の変動を防止している。
【0032】
<ピン移動制御棒の変形例>
ピン移動制御棒は、上記したピン移動制御棒21のような形状以外に、図5(b)に示すような形状のものでもよい。図5(b)に示すように、変形例に係るピン移動制御棒121は、四角形状のロック制御頭部72、首部74、胴部76、基部77および衝撃感知部78を備え、一部品として一体に形成されている。
ロック制御頭部72は、略四角錐台形状(テーパー形状)であり、上下移動によってテーパー部分に当接された第1のピン51および第2のピン52の径方向の移動を制御する機能を有する。より詳細には、ロック制御頭部72は、四角形状の平板部271とテーパー部272で構成されている。後述するロック状態において第1のピン51および第2のピン52はこの平板部271の側面に当接されている。
【0033】
首部74は断面十字形状であり、胴部26は首部24の外径(太さ)よりも大きい外径を有する略コの字形状であって錘体70の中空部に挿通され、基部77は略円錐台形状であってベース部5の開口9を塞ぐ機能を有し、衝撃感知部78は断面十字形状であって外部からの衝撃を感知し、その衝撃力を基部77、胴部76および首部74を介してロック制御頭部72に伝える機能を有する。胴部76と首部74の間にはスリット(溝)79が形成されており、このスリット(溝)79は後述するロック状態解除後に再びロック状態に戻すためにユーザが行う衝撃感知部78を引っ張る動作を容易にするために形成されている。なお、胴部76、基部77および衝撃感知部78の上記した形状は一例であってこれに限定されない。
【0034】
[ロックおよびロック解除の方法]
以下に、本発明のこませかご1によるロックおよびロック解除の方法について図1図4を参照して詳細に説明する。
【0035】
図4(a)はこませかご1が海面に着水する直前の状態を示しており、図4(b)はこませかご1が海面に着水する直後の状態を示しており、図4(c)はこませかご1が海水の中にいており、海面に着水する直後の状態を示している。こませかご1が海面に着水する直前は、図4(a)に示すように、第1のピン51と第2のピン52の径方向外側端部がそれぞれかご本体3の係合爪11aの貫通孔43aと係合爪11bの貫通孔43bに嵌合された状態でロック(以降、「第1ロック」と呼ぶ。)され、さらにかご本体3の係合爪11a,11bがベース部5の第1の側壁41に係合されて状態でロック(以降、「第2ロック」と呼ぶ。)され、開口9が閉じている。
【0036】
<ロック解除第1段階>
こませかご1が着水すると、水面からの衝撃を衝撃感知部28が受けてピン移動制御棒21は軸方向上方に移動し、ロック制御頭部22が上方に移動する。第1のピン51および第2のピン52はロック制御頭部22のスリット223からテーパー部222に移動するため第1のピン51および第2のピン52は径方向内側に移動する。第1のピン51および第2のピン52の径方向内側に向かう移動によりかご本体3の係合部11a,11bの貫通孔43a,43bに嵌合されていた第1のピン51および第2のピン52の端部が径方向内側に移動すると第1のピン51および第2のピン52をそれぞれ貫通孔43a,43bに係合させている第1ロックが解除されロック解除第1段階が終了する。
【0037】
<ロック解除第2段階>
こませかご1の着水によってこませかご1のロック解除第1段階が終了すると、こませかご1は水中を下方向(海底)に沈んでいく。こませかご1が水中を下方向に沈んでいくと、かご本体3の上窓4から海水が流れ込みかご本体3内に徐々に海水が充填されていく。そしてかご本体3内部の軸方向垂直下向の水圧(内水圧)により係合突起11a,11bのベース部5に対する係合が外れ、係合突起11a,11bがベース部5の第1の側壁41から外れて第2ロックが解除され、ロック解除第2段階が終了する。係合突起11a,11bのベース部5に対する係合が外れると、かご本体5が図1(b)に示すように傾いてかご本体内の撒き餌が水中に放出される。なお、こませかご1が水中を下方向に沈んでいく過程で釣り竿をあおることにより第2ロックの解除をより早くさせることができる。
【0038】
上記した構成により、まずこませかご1が着水した際にロック解除第1段階が実行されるので、着水直後にかご本体3とベース部5の係合が外れることはない。したがって、こませかごの着水直後の撒き餌放出を防止することができる。また、こませかごの着水前の状態においても第1ロックおよび第2ロックにより外乱(突風、強風当)によるかご本体3とベース部5の係合が外れるという予期せぬ事態を確実に防止することができる。また、釣り竿をあおるタイミングで第2ロックを解除できるので、好適なポイントで、かつ、好適なタイミングで撒き餌を放出させることができる。
【0039】
[ベース部の第1の変形例]
以下に、ベース部5の変形例について説明する。なお、上記した実施の形態におけるベース部5の弾性体がコイルバネ61,62ではなく板バネ71,72である点と、第1のピン51,52が設けられていない点と、第2の仕切り板312および第3の仕切り板314に貫通孔がそれぞれ2つ形成されている点を除いて上記した実施の形態と同様であるので、以下では異なる点についてのみ説明する。
【0040】
板バネ71は、略渦巻状のバネ部71aと直線形状のピン部71bとを有して構成され、バネ部71aの端部は、第1の規制板(調整板)65の、第1の仕切り板311に対向する面に当接している。板バネ72は、略渦巻状のバネ部72aと直線形状のピン部72bとを有して構成され、バネ部72aの端部が第2の規制板(調整板)66の、第4の仕切り板315に対向する面に当接している。
【0041】
第2の仕切り板312にはバネ部71aの一部を挿通させるための貫通孔48aと、ピン部71bの一部を挿通させるための貫通孔47aが形成されている。第3の仕切り板314にはバネ部72aの一部を挿通させるための貫通孔48bと、ピン部72bの一部を挿通させるための貫通孔47bが形成されている。ピン部71bはさらに貫通孔49a、45aおよび43aに挿通されている。ピン部72bはさらに貫通孔49b、45bおよび43bに挿通されている
【0042】
バネ部71aのピン部側は貫通孔48aに挿通され、ピン部71bの径方向内側の一部は貫通孔47a,49aに挿通され、ピン部71bの径方向外側の一部は貫通孔45a,43aに挿通されている。バネ部72aのピン部72b側は貫通孔48bに挿通され、ピン部72bの径方向内側の一部は貫通孔47b,49bに挿通され、ピン部72bの径方向外側の一部は貫通孔45b,43bに挿通されている。
【0043】
バネ部71a,72aは、それぞれピン部71a,72aを径方向内側に移動させる弾性力を付与(付勢)する。板バネ71の大部分が図6に示すように第1収容部32内に配置され、板バネ72の大部分が第2収容部34内に配置される。バネ部71a,72aは、それぞれ上記した実施の形態のコイルバネ61,62の機能と同様の機能を有する。ピン部71a,72aは、それぞれ上記した実施の形態の第1のピン、第2のピンの機能と同様の機能を有する。
【0044】
上記した構成によれば、バネ部とピンが単一部品である板バネで構成されるので、ピンを径方向内側に移動させる機能とピンによるロックおよびロック解除の機能を両立させることができる。したがって、製造コストのさらなる低減が図れ、修理・交換等も容易に行うことができる。
【0045】
[ベース部の第2の変形例]
以下に、ベース部5の第2の変形例について説明する。なお、上記した実施の形態におけるベース部5の第1の側壁の形状が異なっている点を除いて上記した実施の形態と同様であるので、以下では異なる点についてのみ説明する。
【0046】
本第2の変形例に係るベース部5は、図7に示すようにベース5の第1の側壁41の一部に凸部81が形成されている。凸部81の上端面は軸方向の水圧を受ける面(図7の例では面形状が四角形状)として機能する。そして、この凸部81の形成位置は蝶番13の形成位置(揺動支点部)とは異なる径方向端部に形成されている。なお、凸部81の形成位置(揺動支点部)は、蝶番13の位置から最も遠い径方向端部に形成されるのが好ましい。揺動支点部を支点とするモーメントが大きくなり第2ロックの解除が容易になるからである。
【0047】
上記した構成によれば、軸方向の水圧を受けるベース部の上端面の面積が凸部のないものと比較すると増大するので、軸方向上方から受ける水圧を高めることができ、第2ロックの解除をより確実に行うことができる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 こませかご
3 かご本体
5 ベース部
6 屋根部
7 側壁
9 開口
11a 係合突起
11b 係合突起
13 蝶番(ヒンジ)
21,121 ピン移動制御棒
22 ロック制御頭部(ロック機構部)
23 基板
24 首部
26 胴部
27 基部
28 衝撃感知部
29 スリット
30 収容部材
32 第1の収容部
34 第2の収容部
41 第1の側壁
42 第2の側壁
45a,45b 貫通孔
47a,47b 貫通孔
48a,48b 貫通孔
49a,49b 貫通孔
51 第1のピン
52 第2のピン
61 第1のコイルバネ
62 第2のコイルバネ
65 第1の規制板(調整板)
66 第2の規制板(調整板)
70 錘体
71,72 板バネ
71a,72a バネ部
71b,72b ピン部
221 円盤部
222 テーパー部
223 スリット
311 第1の仕切り板
312 第2の仕切り板
314 第3の仕切り板
315 第4の仕切り板
317 第5の仕切り板
318 第6の仕切り板
【要約】      (修正有)
【課題】水中に入るまでは確実にふたを閉じておくことができ、着水した後に所定のところでふたを確実に開くことができるこませかご及びロック解除方法を提供すること。
【解決手段】かご本体に取り付けられたベース部には、中心軸に対して対称な位置に第1収容部と第2収容部が設けられ、第1収容部および第2収容部にはそれぞれ第1のピンおよび第2のピンが収容され、第1のピンおよび第2のピンの径方向への移動を制御するピン移動制御棒が設けられ、衝撃のない通常時に、ピン移動制御棒は第1のピンおよび第2のピンをかご本体に係合させ、かご本体の係合突起がベース部の側壁に係合され、外部からの第1の衝撃がある第1の衝撃時に、ピン移動制御棒が第1のピンおよび第2のピンを径方向内側に移動させて第1のロック状態を解除させ、外部からの第2の衝撃がある第2の衝撃時に、係合突起とベース部の側壁との係合が外れて第2のロック状態が解除される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7