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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】駆動伝達装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/72 20060101AFI20220929BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20220929BHJP
   F16D 3/16 20060101ALI20220929BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F16D3/72
G03G21/18 150
G03G21/18 160
F16D3/16 M
F16H7/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018018650
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135411
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】仁枝 弘晃
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-48913(JP,A)
【文献】特開2013-205620(JP,A)
【文献】特開2017-54080(JP,A)
【文献】特開2007-48913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/72, 3/50, 3/16
3/02, 1/10
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心に穴部を有し、支持部材に回転自在に支持される第一回転体と、
回転中心に穴部を有する第二回転体と、
一端が前記第一回転体の穴部に挿入され、他端が前記第二回転体の穴部に挿入されて、前記第一回転体と前記第二回転体とを連結する連結部材とを備えた駆動伝達装置において、
前記第一回転体には、前記支持部材が挿入される支持部材挿入部を有し、
前記連結部材の両端部には、径方向に突出する突起部が設けられており、
前記第一回転体の穴部の内周面には、前記連結部材の突起部が軸方向に移動可能な溝部を有し、
前記連結部材の一端に設けられた突起部と、他端に設けられた突起部とが、回転方向において互いに異なる位置に設けられ、
前記第一回転体の穴部の内周面には、前記突起部が抜けるのを止める抜け止め部を有する駆動溝部と、前記連結部材の一端を穴部に挿入するときに、前記突起部を案内する案内溝部と、前記案内溝部と前記駆動溝部とを連通する連通部とを有し、
前記連結部材の一端の突起部が、前記駆動溝部に位置するとき、前記連結部材の他端の突起部と、前記案内溝部との回転方向の位置が互いに異なるように構成したことを特徴とする駆動伝達装置
【請求項2】
求項1に記載の駆動伝達装置において、
前記連結部材は、前記第一回転体に軸方向に移動可能に取り付けられ、
前記連結部材を、軸方向において前記第二回転体側に付勢する付勢手段が、前記第一回転体の穴部内に配置されており、
前記支持部材は、前記付勢手段の少なくとも一部が収納される収納部を有することを特徴とする駆動伝達装置
【請求項3】
回転中心に穴部を有し、支持部材に回転自在に支持される第一回転体と、
回転中心に穴部を有する第二回転体と、
一端が前記第一回転体の穴部に挿入され、他端が前記第二回転体の穴部に挿入されて、前記第一回転体と前記第二回転体とを連結する連結部材とを備えた駆動伝達装置において、
前記第一回転体には、前記支持部材が挿入される支持部材挿入部を有し、
前記連結部材は、前記第一回転体に軸方向に移動可能に取り付けられ、
前記連結部材を、軸方向において前記第二回転体側に付勢する付勢手段が、前記第一回転体の穴部内に配置されており、
前記支持部材は、前記付勢手段の少なくとも一部が収納される収納部を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
求項2または3に記載の駆動伝達装置において、
前記支持部材および前記付勢手段が金属で構成されており、
前記収納部に、前記付勢手段を受ける樹脂製の受け部材が設けられていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動伝達装置において、
前記受け部材が、導電性樹脂で構成されていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項2乃至5いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記連結部材の両端には、前記付勢手段を受ける受け部が設けられていることを特徴とする駆動伝達装置
【請求項7】
求項1乃至6いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記第一回転体は、ベルト部材を張架する張架部を有し、
前記支持部材は、軸方向において、前記張架部が形成された箇所以上、支持部材挿入部に挿入されることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の駆動伝達装置において、
前記第一回転体は、軸方向において前記張架部よりも第二回転体側にギヤ部を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動伝達装置において、
前記ギヤ部が、ハス歯であることを特徴とする駆動伝達装置
【請求項10】
求項1乃至9いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記第一回転体および前記第一回転体に駆動力を伝達する駆動伝達部材をカバーするカバー部材を有し、
前記カバー部材には、前記第一回転体が前記支持部材から抜け出すのを防止する抜け止め部が設けられていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記連結部材の両端部には、径方向に突出する突起部が設けられており、
各回転体の穴部の内周面に、前記連結部材の前記突起部が軸方向に移動可能な溝部を有し、
前記突起部の突出方向から前記突起部を見たとき、前記突起部の前記溝部と当接する当接箇所が円弧形状であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記連結部材は、樹脂で構成されており、
軸方向をX方向、X方向に直交する方向のうちある特定の方向をY方向、X方向およびY方向いずれにも直交する方向をZ方向としたとき、
前記連結部材の両端の前記第一回転体の穴部または前記第二回転体の穴部に挿入される挿入部は、球のX方向と直交する大円部分と、球のY方向と直交する大円部分と、球のZ方向と直交する大円部分とを残して肉抜きした球形状としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項13】
駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置を備えた画像形成装置において、
前記駆動伝達装置として、請求項1乃至12いずれか一項に記載の駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転中心に穴部を有し、支持部材に回転自在に支持される第一回転体と、回転中心に穴部を有する第二回転体と、一端が第一回転体の穴部に挿入され、他端が第二回転体の穴部に挿入されて、第一回転体と第二回転体とを連結する連結部材とを備えた駆動伝達装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記駆動伝達装置として、連結部材が挿入される穴部を有する筒状の第一回転体が記載されている。この筒状の第一回転体の外周面における軸方向中央に駆動モータの駆動力が伝達されるギヤ部が設けられている。第一回転体を支持する樹脂材からなる支持部材は穴部を有しており、この穴部に第一回転体のギヤ部を挟んで連結部材が挿入される側と反対側が入り込んで支持部材に支持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の第一回転体の支持の場合、過度なラジアル加重を支持部材が受けた場合、支持部材が溶着する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、回転中心に穴部を有し、支持部材に回転自在に支持される第一回転体と、回転中心に穴部を有する第二回転体と、一端が前記第一回転体の穴部に挿入され、他端が前記第二回転体の穴部に挿入されて、第一回転体と第二回転体とを連結する連結部材とを備えた駆動伝達装置において、前記第一回転体には、前記支持部材が挿入される支持部材挿入部を有し、前記連結部材の両端部には、径方向に突出する突起部が設けられており、前記第一回転体の穴部の内周面には、前記連結部材の突起部が軸方向に移動可能な溝部を有し、前記連結部材の一端に設けられた突起部と、他端に設けられた突起部とが、回転方向において互いに異なる位置に設けられ、前記第一回転体の穴部の内周面には、前記突起部が抜けるのを止める抜け止め部を有する駆動溝部と、前記連結部材の一端を穴部に挿入するときに、前記突起部を案内する案内溝部と、前記案内溝部と前記駆動溝部とを連通する連通部とを有し、前記連結部材の一端の突起部が、前記駆動溝部に位置するとき、前記連結部材の他端の突起部と、前記案内溝部との回転方向の位置が互いに異なるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、過度なラジアル加重を支持部材が受けた場合においても支持部材が溶着するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図。
図2】駆動装置の概略構成図。
図3】第一駆動伝達部の分解斜視図。
図4】第一駆動伝達部の要部斜視図。
図5図2のB-B断面図。
図6】バネ受け部材の概略図。
図7】連結部材の斜視図。
図8】(a)は、連結部材の正面図であり、(b)は、連結部材の側面図。
図9図7のA-A断面図。
図10】連結部材を駆動側カップリング部材に組み付ける前の状態を示す図。
図11】連結部材の第二突起部が、駆動側カップリング部材に突き当たるまで連結部材を駆動側カップリング部材に挿入した状態を示す図。
図12】連結部材と駆動側カップリング部材との寸法関係を示す図。
図13】連結部材の第一突起部を、駆動側溝部に入れ込む様子を示す図。
図14】連結部材を駆動側カップリングに組み付けた状態を示す図。
図15】バネ受け部材の規制突起部による連結部材の側板側への移動規制について説明する図。
図16】第一、第二突起部が半球状の従来の連結部材と従動側カップリング部材との駆動伝達について説明する図。
図17図16の状態から90°回転させた状態を示す図。
図18】本実施形態の連結部材と従動側カップリング部材との駆動伝達について説明する図。
図19図18の状態から90°回転させた状態を示す図。
図20】第一突起部および第二突起部が半球形状の従来の連結部材を用いたときの第一ローラの速度変動を調べたグラフ。
図21】本実施形態の連結部材を用いたときの第一ローラの速度変動を調べたグラフ。
図22】第一突起部および第二突起部の変形例を示す図。
図23】第二駆動伝達部の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。同図において、タンデム型中間転写式の画像形成装置の本体1は、記録材である用紙を収容して供給する記録材供給手段としての給紙部である給紙テーブル200上に載せられている。図中の符号の添え字Y、M、C、Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)の各色をそれぞれ示す。
【0009】
画像形成装置の本体1の中央付近には、複数の支持ローラ13,14,15,16に掛け回されて図中時計回りに回転搬送可能な無端ベルト状の像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト10が設けられている。図示の例では、支持ローラの1つである二次転写対向ローラ16の左に中間転写ベルト用のクリーニング装置17が設けられている。クリーニング装置17は、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する。また、支持ローラ14と支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、4つのトナー像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kを横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
【0010】
タンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、光書込手段としての光書込装置である露光装置21が設けられている。タンデム画像形成装置20の各トナー像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kと、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持した状態で、それらがプリンタ筐体に対して一体的に着脱されるものである。それらトナー像形成ユニットは、互いに使用するトナーの色が異なる点の他は同様の構成になっている。Y用のトナー像形成ユニット18Yを例にすると、これは、感光体ドラム40Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置61Yを有している。また、回転駆動される感光体ドラム40Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置60Yや、Y用の一次転写ニップを通過した後の感光体ドラム40Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置63Yなども有している。
【0011】
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面は、帯電装置60Y,60M,60C,60Kで一様に帯電された後、画像データに基づいて露光装置21で露光される。これにより、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面に潜像が形成される。
【0012】
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの潜像はそれぞれ、現像装置61Y,61M,61C,61Kで現像され、これにより、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面に可視像である各色のトナー像が担持される。また、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kから中間転写ベルト10にトナー像を転写する一次転写位置には、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kが設けられている。また、支持ローラ14は中間転写ベルト10を回転駆動する駆動ローラである。ブラック単色画像を中間転写ベルト10上に形成する場合には、支持ローラ14以外の支持ローラ13,15を移動させて、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体ドラム40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10から離間させることも可能である。
【0013】
画像転写後の感光体ドラムは、ドラムクリーニング装置63により、画像転写後に感光体ドラム上に残留する残留トナーが除去され、再度の画像形成に備える。
【0014】
中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、二次転写装置22を備える。二次転写装置22は、図示の例では、二次転写対向ローラ16に二次転写ローラ12を押し当て転写電界を印加することにより、中間転写ベルト10上の画像を用紙に転写する。
【0015】
二次転写装置22の横には、用紙上の転写画像を定着する定着手段としての定着装置25が設けられている。定着装置25は、記録材搬送部材としての無端ベルトである定着ベルト26に加圧部材としての加圧ローラ27を押し当てて構成する。また、支持ローラ23に掛け回されて回転駆動される記録材搬送部材である搬送ベルト24により、画像転写後の用紙が定着装置25へ搬送される。
【0016】
なお、図示の例では、二次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、用紙の両面に画像を記録すべく用紙を反転する用紙反転装置28を備える。
【0017】
上記構成の画像形成装置において、画像形成装置の本体1に画像データが送られ、作像開始の信号を受けると、駆動モータで支持ローラ14を回転駆動して他の複数の支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々のトナー像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kで各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上にそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kが対向する一次転写部で順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0018】
また、給紙部の給紙テーブル200の給紙ローラ58の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから用紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れる。搬送ローラ47で搬送して画像形成装置の本体1内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の用紙を繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写装置22の二次転写ローラ12との間に用紙を送り込み、二次転写装置22で転写して用紙上にカラー画像を記録する。画像転写後の用紙は、二次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込まれ、熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪で切り換えて用紙反転装置28に入れ、そこで反転して再び二次転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0019】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルト用のクリーニング装置17により、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0020】
以上の構成たる画像形成装置において、本体1のフロント側(図1中紙面手前側)には、本体1に対して支軸によって回動し開閉可能に取り付けられフロントカバーが設けられている。そして、このフロントカバーを支軸を中心に回動させて本体1に対し開くことにより、本体1の内部に収納された、感光体ドラムと帯電装置と現像装置とクリーニング装置とを1つのユニットとして着脱することができる。感光体ドラム40と帯電装置と現像装置とクリーニング装置とのうち、寿命となる部品があった際にはユニットごと取り外され、新しいユニットと交換される。そのため、画像形成装置本体の駆動源としての駆動モータから、感光体ドラム40などの駆動伝達対象の回転体へ駆動力を伝達する駆動伝達装置には、両者を着脱可能に連結する連結部材90が設けられている。
【0021】
図2は、駆動装置70の概略構成図である。
図2に示すように、駆動装置70は、第一ユニット150の第一ローラ152に駆動モータ80の駆動力を伝達する第一駆動伝達部70aと、第二ユニット160の第二ローラ162に駆動モータ80の駆動力を伝達する第二駆動伝達部70bとを備えている。
【0022】
第一駆動伝達部70aは、第一アイドラギヤ86、第一駆動入力部材84、タイミングベルト81、タイトナ83、第一回転体たる駆動側カップリング部材82、連結部材90、従動側カップリング部材41などを有している。第一アイドラギヤ86は、駆動モータ80のモータギヤ80aと噛み合っている。第一駆動入力部材84は、第一アイドラギヤ86に噛み合う入力ギヤ部84bと、駆動プーリ部84aとを有している。駆動側カップリング部材82は、ギヤ部82bとプーリ部82aとを有しており、タイミングベルト81は、駆動プーリ部84aと、駆動側カップリング部材82のプーリ部82aとに架け渡されている。タイトナ83は、タイミングベルト81のおもて面に当接し、タイミングベルト81にテンションを付与している。
【0023】
連結部材90は、一端が駆動側カップリング部材82に挿入され、他端が従動側カップリング部材41に挿入されており、駆動側カップリング部材82と従動側カップリング部材41とを連結している。従動側カップリング部材41は、第一ユニット150のスタッド151aに回転自在に取り付けられており、連結部材90の他端が挿入されるカップリング部41bと、第一ローラ152のローラ軸に取り付けられた出力ギヤが噛み合うギヤ部41aとを有している。
【0024】
第二駆動伝達部70bは、モータギヤ80aから駆動側カップリング部材82への駆動伝達を、タイミングベルトに替えて、モータギヤ80aと駆動側カップリング部材82のギヤ部82bとに噛み合う第二アイドラギヤ85にした以外は、第一駆動伝達部70aと同様の構成である。
【0025】
従動側カップリング部材41は、第二ユニット160の第二スタッド161aに回転自在に取り付けられており、第一ローラ152のローラ軸に取り付けられた出力ギヤ181は、従動側カップリング部材41のギヤ部41aの噛み合っている。
【0026】
本実施形態では、駆動側カップリング部材82が、プーリ部82aとギヤ部82bとを有することで、第一駆動伝達部70aと第二駆動伝達部70bとで同一の駆動側カップリングを用いることができる。これにより、部品管理コストを削減することができ、装置の低コスト化を図ることができる。上記第一ユニット150、第二ユニット160としては、例えば、現像装置61Y,現像装置61Mを挙げることができる。この場合、ローラ152,162として、現像ローラや現像装置内の現像剤を搬送する搬送スクリュウに駆動伝達するような形にすることができる。
【0027】
また、駆動装置70は、装置本体側に設けられた駆動伝達部材を覆う第一カバー部材110aと第二カバー部材110bとを備えている。第一カバー部材110aは、タイトナ83や、第一駆動伝達部70aの駆動側カップリング部材82を覆っており、第二カバー部材110bは、第一駆動入力部材84、第一アイドラギヤ86、第二アイドラギヤ85および第二駆動伝達部70bの駆動側カップリング部材82を覆っている。第一カバー部材110aと第二カバー部材110bは、連結部材90が貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔の周囲には、駆動側カップリング部材82と軸方向から対向し、駆動側カップリング部材82が、後述する駆動側カップリング部材82を回転自在に支持する金属スタッド100(図3参照)から抜け出すのを防止する抜け止め部111が形成されている。
【0028】
図3は、第一駆動伝達部70aの分解斜視図であり、図4は、第一駆動伝達部70aの要部斜視図であり、図5は、図2のB-B断面図である。
駆動モータ80が取り付けられる側板1bには、駆動側カップリング部材82を回転自在に支持する支持部材たる金属スタッド100がカシメ固定されている。金属スタッド100は、筒形状であり、導電性の樹脂からなるバネ受け部材101やコイルスプリング73が収納される収納部100aを有している。また、駆動側カップリング部材82は、樹脂材で構成され、回転中心には、穴部82cが設けられている。この穴部82cに金属スタッド100が挿入され、金属スタッド100に回転自在に支持される(図5参照)。
【0029】
図5に示すように、金属スタッド100は、軸方方向において、駆動側カップリング部材82のプーリ部82aが形成された位置まで挿入されており、駆動側カップリング部材82のプーリ部82aが形成された箇所を、金属スタッド100により支持している。
【0030】
本実施形態では、駆動側カップリング部材82の穴部が支持される構成とすることで、駆動側カップリング部材82を支持する支持部材を金属スタッド100にすることができる。このように、駆動側カップリング部材82を支持する支持部材を金属スタッド100にすることで、プーリ部82aに加わるタイミングベルト81の張力により支持部材にに過度なラジアル加重を受けても支持部材が溶着することがない。
【0031】
また、駆動側カップリング部材82を側板1bに設けた筒状の支持部材に挿入して支持部材の内周面で駆動側カップリング部材82を支持する場合、駆動側カップリング部材82の外周面に形成されたプーリ部82aの手前までしか駆動側カップリング部材82を支持部材で支持することができない。その結果、プーリ部82aに加わるタイミングベルト81の張力により支持部材のある箇所を支点して、駆動側カップリング部材82が傾くおそれがある。
【0032】
一方、本実施形態では、駆動側カップリング部材82のプーリ部82a形成箇所まで金属スタッド100で駆動側カップリング部材82を支持することができる。これにより、プーリ部82aに加わるタイミングベルト81の張力を、金属スタッド100で良好に受けることができ、駆動側カップリング部材82が、タイミングベルト81の張力により傾くのを抑制することができる。
【0033】
また、プーリ部82aを、ギヤ部82bよりも金属スタッド100が設けられた側板1b側に設けることで、ギヤ部82bを側板1b側に設けた場合に比べて、軸方向の長さが短い金属スタッド100で、プーリ部82a形成箇所まで金属スタッド100で駆動側カップリング部材82を支持することができる。また、プーリ部82aを、ギヤ部82bよりも側板1b側に設けることで、連結部材90の球状部を、ギヤ部82bが形成する箇所に位置させることができ、駆動側カップリング部材82が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、金属スタッド100を筒状とし、その内部にバネ受け部材101やコイルスプリング73を収納することで、駆動側カップリング部材82を軸方向に小型化することができる。
【0035】
駆動側カップリング部材82は、ポリアセタール樹脂(POM)からなる樹脂成型品であり、連結部材90の第一球状部91または第二球状部92が挿入される穴部82cを有している。連結部材90は、軸方向に移動可能、かつ、軸方向に対して傾き可能に駆動側カップリング部材82に組みつけられる。
【0036】
図6は、バネ受け部材101の概略図であり、(a)は、斜視図、(b)は、正面図、(c)は、断面図である。
金属スタッド100に収納されるバネ受け部材101は、連結部材90の側板1b側への移動を規制する規制部101aと、コイルスプリング73の一端を受ける受け部101bと有している。この規制部101aが図5に示すように、コイルスプリング73に挿入されており、コイルスプリング73の一端は、受け部101bに当接している。連結部材90の一端に設けられた第一バネ受け部96aが入り込んでおり、コイルスプリング73の他端は、連結部材90の一端に当接して、連結部材90をユニット側に付勢している。
【0037】
コイルスプリング73の他端は、連結部材90に当接しており、駆動伝達時、コイルスプリング73は、連結部材90とともに回転する。コイルスプリング73の一端を金属スタッド100で直接受けると、駆動伝達時にコイルスプリング73は、金属スタッド100の表面を摺動することになる。コイルスプリング73と、金属スタッド100は共に金属であるため、金属同士の摺動となり、異音が発生するおそれがある。
【0038】
これに対し、本実施形態においては、樹脂製のバネ受け部材101を設けて、コイルスプリング73の一端をこのバネ受け部材101に当接させることで、コイルスプリング73の一端を、樹脂との摺動にすることができ、異音の発生を抑制することができる。また、バネ受け部材101の樹脂材として、ポリアセタール樹脂(POM)などの摺動性のよい樹脂材を用いることで、より異音の発生を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、バネ受け部材101を導電性樹脂で構成している。このように、バネ受け部材101を導電性樹脂で構成することで、連結部材90を、コイルスプリング73、バネ受け部材101、金属スタッド100を介して、アースに接続された側板1bに電気的に接続することができる。これにより、連結部材90を電気的に接地することができ、駆動側カップリング部材82や従動側カップリング部材41との摺動により発生した静電気を、連結部材90、コイルスプリング73、バネ受け部材101、金属スタッド100、側板1bを介してアースに逃がすことができ、連結部材90に静電気が溜まるのを防止することができる。なお、バネ受け部材101の導電性は、静電気がリークできる程度の導電性があればよい。電気抵抗率が10KΩ・cm以下であれば静電気をリークできるので、電気抵抗率が10KΩ・cm以下のものが、本実施形態における導電性樹脂として定義される。
【0040】
また、図5に示すように、駆動側カップリング部材82の穴部82cの内周面には、連結部材90の第一突起部94が挿入される2つの駆動側溝部82d1,82d2が回転方向に180°の間隔を開けて設けられている。また、これら駆動側溝部82d1,82dのユニット側(図5の左側)端部は塞がれて、駆動側溝部内の第一突起部94が、駆動側溝部82d1,82d2から抜けるのを防止する抜け止め部82hが設けられている。これにより、連結部材90が、穴部82cのカップリング側端部から抜け出そうとすると、各第一突起部94が、抜け止め部85aに突き当たる。これにより、連結部材90が、穴部82cのユニット側端部から抜け出るのを防止することができる。
【0041】
また、穴部82cの内周面には、後述するように連結部材90を駆動側カップリング部材82に組み付ける際に、連結部材の第一突起部94を穴部82c内に案内する2つの案内溝部82e1,82e2が、回転方向に180°の間隔を開けて設けられている。また、これら案内溝部82e1,82e2は、駆動側溝部82dに対して回転方向に90°ずれた位置に設けられている。
【0042】
また、案内溝部82e1の一方の側面は、他方の側面よりも側板1b側(図5の右方向)に延びており、後述するように連結部材90を組み付ける際に、連結部材90の回転方向を規制する規制部82fを形成している。同様に、駆動側溝部82d1の一方の側面も、他方の側面よりも側板1b側(図5の右方向)に延びており、連結部材90の回転方向を規制する規制部82gを形成している。
【0043】
本実施形態においては、連結部材90が従動側カップリング部材41に接続されていないときは、コイルスプリング73の付勢力により、第一突起部94が抜け止め部82hに突き当たっている。これにより、連結部材90と従動側カップリング部材41との接続が外れているとき、連結部材90が、軸方向に対して傾くことなく、真直ぐな姿勢で、駆動側カップリング部材82に保持される。しかし、第一突起部94が抜け止め部82hに突き当たることにより、駆動側カップリング部材82が、ユニット側に押され、駆動側カップリング部材82が、金属スタッド100から抜けるおそれがある。そのため、本実施形態では、第一カバー部材110aに抜け止め部112を設け、駆動側カップリング部材82が、金属スタッド100から抜けるのを防止している。
【0044】
従動側カップリング部材41は、第一ユニットの側板に固定された第一スタッド151aに回転自在に取り付けられる。また、従動側カップリング部材41のカップリング部41bは、筒状であり、連結部材90の第二突起部95が挿入される切り欠き状の従動側溝部142が、回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられている。連結部材90の第二球状部92が、このカップリング部41bに挿入されている。
【0045】
図7は、連結部材90の斜視図であり、図8(a)は、連結部材90の正面図であり、図8(b)は、連結部材90の側面図である。また、図9は、図7のA-A断面図である。
連結部材90は、樹脂成型品であり、第一挿入部たる第一球状部91、第二挿入部たる第二球状部92、第一球状部91と第二球状部92とを繋ぐ連結部93とを備えている。また、第一球状部91には、第一突起部94と、第一バネ受け部96aとが設けられており、第二球状部92には、第二突起部95と第二バネ受け部96bとが設けられている。連結部材90の形成に用いられる樹脂としては、機械的強度に優れ、耐摩耗性、摺動性がよいポリアセタール樹脂(POM)を好適に用いることができる。
【0046】
第一突起部94および第二突起部95は、法線方向(軸方向に対して直交する方向)に延びる円柱形状となっており、回転方向に180°の間隔を開けて設けられている。図5(a)に示すように、第二突起部95は、第一突起部94に対して、回転方向に角度αずれた位置に設けられている。
【0047】
第一球状部91には、軸方向に直交する球の大円である第一大円部91aと、第一突起部94の延び出し方向に直交する第二大円部91bと、第一大円部91aおよび第二大円部91bのいずれにも直交する第三大円部91cを残して肉抜きした半球形状となっている。なお、上記大円とは、球の中心を通る平面が球面と交わってできる円のことである。
【0048】
第二球状部92も、軸方向に直交する球の大円である第一大円部92aと、第二突起部95の延び出し方向に直交する第二大円部92bと、第一大円部92aおよび第二大円部92bのいずれにも直交する第三大円部92cを残して肉抜きした半球形状となっている。
【0049】
本実施形態では、第一、第二球状部91,92を半球を肉抜きした形状としているが、連結部材90の最大傾斜角度に応じて、適宜決めればよい。また、第一球状部91の回転中心と、第二球状部92の回転中心には、バネ受け部96a,96bが設けられている。これらバネ受け部96a,96bの頂面は、球状部91,92の直径と同径の球面となっている。
【0050】
また、連結部93は、略四角柱形状であり、連結部93の各側面に肉抜きが施された肉抜き部93aがX方向に図中aの間隔を開けて複数設けられている。また、連結部93は、各側面がY方向に対して45°傾くように形成されている。このように、各側面がY方向に対して45°傾くように形成することで、肉抜き部の直線部分が、四角形の対角線となり、連結部93の側面をY方向に直交する面と、平行な面となるように形成した場合に比べて、肉抜き部の直線部分を長くすることができる。これにより、肉抜きによる連結部の強度低下を抑えることができる。
【0051】
連結部材90を射出成型などにより成型するためヒケが生じ、そのヒケにより各球状部91、92や連結部93が変形し、品質に影響が出るおそれがある。このため、本実施形態では、上述したように、各球状部91,92、連結部93に肉抜きを施し、ヒケの発生を抑えている。
【0052】
本実施形態では、各球状部91,92の各大円部の厚み、連結部93の非肉抜き部の厚みを等しくa[mm]としている。これにより、各部のヒケによる影響を良好に抑えることができ、連結部材90を精度よく成型することができる。
【0053】
連結部材90は、上述したように、軸方向両端にコイルスプリング73の他端を受けるバネ受け部96a,96bが設けられており、第一球状部91と第二球状部92のどちらを駆動側カップリング部材82の穴部82cに挿入しても、連結部材90を駆動側カップリング部材82に組み付けることができるようになっている。これにより、連結部材90の駆動側カップリング部材82への組み付けを容易に行なうことができる。
【0054】
次に、連結部材90の駆動側カップリング部材82への取り付けについて図10~14を用いて説明する。図10図11図14の(a)は、断面斜視図であり、(b)は、斜視図である。また、図11の(c)は、断面図である。
なお、以下の説明では、連結部材90の第一球状部91を、駆動側カップリングの穴部82cに挿入する例について説明するが、第二球状部92を、駆動側カップリングの穴部82cに挿入してもよい。
まず、図10に示すように、第一突起部94を案内溝部82e1,82e2に挿入されるように、駆動側カップリング部材82に対して連結部材90の回転方向位置を調整する。次に、連結部材90の第一球状部91を穴部82cに挿入し、第一突起部94を案内溝部82e1,82e2に挿入していく。
【0055】
連結部材90の第一突起部94に対して第二突起部95を回転方向にずれた位置に設けている(図8(a)参照)。従って、連結部材90を駆動側カップリング部材82に挿入していくと、図11に示すように、第二突起部95が駆動側カップリング部材82のユニット側端面に突き当たり、第二突起部95が、案内溝部82e1に入り込むことがない。これにより、連結部材90が、駆動側カップリング部材82の側板1b側端部から抜け出すことがなく、連結部材90の組み付け作業を容易に行なうことができる。
【0056】
図12は、連結部材90と駆動側カップリング部材82との寸法関係を示す図である。
図12に示すように、第一突起部94の第二突起部側端部から、第二突起部95の第一突起部側端部までの長さL1を、駆動側カップリング部材のユニット側端部から連通部82iまでの長さをL2以上にしている。よって、図11に示すように、第二突起部95が駆動側カップリング部材82のユニット側端面に突き当たるまで連結部材90を駆動側カップリング部材82に挿入すれば、第一突起部94が、案内溝部と駆動側溝部とを連通する連通部82iに位置に到達させることができる。
【0057】
第二突起部95が、第二突起部95が駆動側カップリング部材82のユニット側端面に突き当たったら、図中矢印Dに示すように、連結部材90を回転させて、第一突起部を、駆動側溝部82d1,82d2に位置させる。
【0058】
本実施形態においては、案内溝部82e1の一方の側面は、他方の側面よりも側板1b側に延びた規制部82fを有している。図12に示すように、この規制部82fを有する案内溝部82e1の一方の側面の側板側端部から駆動側カップリング部材82のユニット側端部までの軸方向長さL3は、第二突起部95の第一突起部側端部までの長さL1よりも長くしている。よって、図11に示すように、第二突起部95が駆動側カップリング部材82のユニット側端面に突き当たるまで連結部材90を駆動側カップリング部材82に挿入したとき、第一突起部94が、規制部82fと対向する。これにより、連結部材90の第二突起部95の第一突起部94に対するズレ方向(図11の矢印D方向)と反対方向の回転が規制部82fにより規制される。連結部材90が、第二突起部95の第一突起部94に対するズレ方向と反対方向に回転可能とすると、連結部材90をその方向に回転させた際に、第二突起部95が、案内溝部82e1,82e2を通過することになる。この通過の際に、第二突起部95が、案内溝部82e1,82e2に入り込んで、連結部材90が、駆動側カップリング部材82の側板1b側から抜け出すおそれがある。
【0059】
一方、本実施形態のように、第二突起部95の第一突起部94に対するズレ方向と反対方向の回転を規制部82fにより規制することで、第二突起部95が、案内溝部82e1,82e2に入り込むのを防止することができ、連結部材90が、駆動側カップリング部材82の側板1b側から抜け出すのを防止することができる。これにより、連結部材90の駆動側カップリング部材82への組み付けを容易に行なうことができる。
【0060】
また、本実施形態では、駆動側溝部82d1の連通部82i側と反対側の側面を、連通部82i側の側面よりも延ばして、連結部材90の矢印D方向の回転を規制する規制部82gを設けている。図12に示すように、この規制部82gを有する駆動側溝部82d1の一方の側面の側板側端部から駆動側カップリング部材82のユニット側端部までの軸方向長さもL3であり、第二突起部95の第一突起部側端部までの長さL1よりも長くしている。よって、図11に示す状態から連結部材90を、図中矢印D方向に回転させ、図13に示すように、第一突起部94が駆動側溝部82d1,82d2の位置に到達すると、第一突起部94が規制部82gに突き当たり回転が規制される。これにより、目視で確認することなく、第一突起部94が、駆動側溝部82d1,82d2の位置に到達したことがわかる。よって、第一突起部94を、容易に駆動側溝部82d1,82d2の位置に位置させることができ、連結部材90の駆動側カップリング部材82への組み付けを容易に行なうことができる。
【0061】
そして、第一突起部94が規制部82gに突き当たって、連結部材90の回転が規制されたら、連結部材90を、ユニット側(図13の矢印E方向)へ移動させて、第一突起部94を駆動側溝部82d1,82d2に入れ込む。これにより、連結部材90が、駆動側カップリング部材82に組み付けられる。その後、この連結部材90が組みつけられた駆動側カップリング部材82をバネ受け部材101やコイルスプリング73を収納した金属スタッド100に取り付ける。
【0062】
本実施形態では、第二突起部95の第一突起部94に対する回転方向の角度α(図8(a)参照)を、駆動側溝部82dと案内溝部82eと間の回転方向の角度(90°)未満にして、第二突起部95の第一突起部94に対する回転方向の角度αを、駆動側溝部82dと案内溝部82eと間の回転方向の角度と異ならせている。よって、図13に示すように、第一突起部94を駆動側溝部82d1,82d2に入れ込んで連結部材90を駆動側カップリング部材82に組み付けたときに、第二突起部95が、案内溝部82e1,82e2に対して、回転方向ずれた位置に位置する。よって、連結部材90を駆動側カップリング部材82に組み付けた後に、第二突起部95が、案内溝部82e1,82e2に入り込むのを防止することができ、連結部材90が、駆動側カップリング部材82の側板側から抜け出すのを防止することができる。よって、連結部材90が組みつけられた駆動側カップリング部材82を、容易に金属スタッド100に組み付けることができる。
【0063】
図15は、バネ受け部材101の規制部101aによる連結部材90の側板1b側への移動規制について説明する図である。
図15に示すように連結部材90を、側板1b側へ押し込んでいくと、駆動側溝部82d1,82d2内の第一突起部94が連通部82iに到達する前に、連結部材90のバネ受け部96aが、バネ受け部材101の規制部101aに突き当たる。その結果、駆動側溝部内の第一突起部94が連通部82iを通って、案内溝部へ移動することがない。これにより、駆動側カップリング部材82を、バネ受け部材101を収納した金属スタッド100に支持した後は、連結部材90が駆動側カップリング部材82から抜け出すことがない。
【0064】
次に、連結部材90と従動側カップリング部材41との駆動連結について、説明する。
第一ユニット150を装置に装着する際、第一スタッド151aに取り付けられた従動側カップリング部材41と連結部材90との位相が合っていないときは、従動側カップリング部材41のカップリング部41bの縁部に第二突起部95が突き当たる。その状態でさらに、第一ユニット150を装置本体に押し入れていくと、連結部材90がコイルスプリング73を圧縮しながら、側板1b側へ移動する。これにより、従動側カップリング部材41と連結部材90との駆動連結が行われなくても、第一ユニット150を装置本体に装着することができる。
【0065】
連結部材90が駆動側カップリング部材82とともに回転駆動すると、第二突起部95と従動側溝部142との位相が合い、連結部材90がコイルスプリング73の付勢力によりユニット側へ移動し、第二球状部92が、カップリング部41bに入り込み、第二突起部95が従動側溝部142に入り込む。これにより、連結部材90と従動側カップリング部材41とが駆動連結され、連結部材90から従動側カップリング部材41へ駆動力が伝達される。
【0066】
従動側カップリング部材41の回転中心と、駆動側カップリング部材82の回転中心とにずれ(以下、軸心ずれという)があるときは、図5に示すように、連結部材90が傾くことで駆動連結することができる。本実施形態では、連結部材90の各カップリング部材82,41に挿入される第一球状部91,第二球状部92を、球状としている。また、バネ受け部96a,96bの頂面を球面としている。これにより、軸心ずれがあった場合、連結部材90をスムーズに傾けさせることができ、良好に軸心ずれを吸収できる。具体的には、駆動側カップリング部材82の穴部82cに挿入された第一球状部91の第一,第二,第三大円部91a,91b,91cの円弧状の表面が穴部82cの内周面をスムーズに摺動し、駆動側カップリング部材82に対してスムーズに連結部材90が傾く。また、従動側カップリング部材41のカップリング部41bに挿入される第二球状部92の第一,第二,第三大円部92a,92b,92cの円弧状の表面、および、第二バネ受け部96bの球面状の頂面が、カップリング部41bの内周面や底面をスムーズに摺動し、従動側カップリング部材41に対してスムーズに連結部材90が傾く。これにより、連結部材90がスムーズに傾き、軸心ずれを吸収することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、連結部材90の駆動側カップリング部材82からから駆動力が伝達される第一突起部94、従動側カップリング部材41に駆動力を伝達する第二突起部95の形状を円柱状としている。これにより、第一、第二突起部が半球状のものに比べて軸心ずれの際の角速度変動を抑制することができるという利点を得ることができる。
【0068】
図16は、第一、第二突起部が半球状の従来の連結部材190と従動側カップリング部材41との駆動伝達について説明する図であり、(a)は、連結部材の傾き方向に対して直交する方向見た概略図であり、(b)は、図16(a)の上から見た概略図であり、(c)は、軸方向見た概略図である。また、図17は、図16の状態から90°回転させた状態を示す図であり、(a)は、連結部材の傾き方向に対して直交する方向見た概略図であり、(b)は、図17(a)の上から見た概略図であり、(c)は、軸方向見た概略図である。
【0069】
第二突起部195が半球状の場合、図17(c)に示すように、従動側溝部142の側面に当接する溝部当接箇所である第二突起部195の回転方向下流端が、頂部に向うにつれて、回転方向上流側に位置するような円弧形状となる。図16に示すように第二突起部195の突出方向が、軸心ずれ方向に対して直交する方向のときは、第二突起部195のほぼ全体が従動溝部に入り込んでいる。そのため、このときは、図16(c)に示すように、第二突起部195の根元側が、従動側溝部142の側面に当接している。
【0070】
この状態から図16(c)の矢印F方向に回動すると、図16(c)の左側の第二突起部195が従動溝部内をユニット側へ移動し、図16(c)の右側の第二突起部195が従動溝部内を側板側へ移動する。このとき、第二突起部195の従動溝部への入り込み量が減少し、第二突起部195の従動溝部側面との当接位置が頂部側へと変化していく。第二突起部195が半球状の場合は、上述したように、従動側溝部142と当接する第二突起部195の回転方向下流端は、頂部に向うにつれて、回転方向上流側に位置する。このため、図23(c)に示すように、連結部材190が90°回転しても、従動側カップリング部材41は90°回転しておらず、回転方向でδθ後退した位置に位置し、従動側カップリング部材41の角速度が連結部材90の角速度よりも遅くなる。
【0071】
そして、図17の状態からさらに、図17(c)の矢印F方向に回転すると、図17(a)において上側に位置する第二突起部195が、従動溝部内を側板側へ移動する。また、図17(a)において下側に位置する第二突起部195が、従動溝部内をユニット側へ移動する。このとき、第二突起部195の従動溝部側面との当接位置が頂部側から根元側へと変化し、図23の状態から90°回転し、トータルで180°回転すると、第二突起部195と従動溝部との位置が入れ替わる以外は、図16と同じ状態となる。このとき、従動側カップリング部材41の遅れがなくなっており、連結部材90と同様、180°回転している。すなわち、図17の状態から90°回転する間は、従動側カップリング部材41は、δθ多く回転しており、連結部材90に対して角速度が速まるのである。このように、突起部を半球状とした場合は、1/2回転周期の角速度変動が生じてしまう。
上述では、連結部材と従動側カップリング部材41との間の速度変動について説明したが、駆動側カップリング部材82と連結部材との間においても、連結部材が、1/2周期で速度変動が生じてしまう。
【0072】
図18は、本実施形態の連結部材90と従動側カップリング部材41との駆動伝達について説明する図であり、(a)は、連結部材90の傾き方向に対して直交する方向見た概略図であり、(b)は、図18(a)の上から見た概略図であり、(c)は、軸方向見た概略図である。また、図19は、図18の状態から90°回転させた状態を示す図であり、(a)は、連結部材90の傾き方向に対して直交する方向見た概略図であり、(b)は、図19(a)の上から見た概略図であり、(c)は、軸方向見た概略図である。
【0073】
本実施形態においては、第二突起部95を円柱状としている。これにより、図18(c)に示すように、第二突起部95の従動溝部の側面に当接する溝部当接箇所である回転方向下流側端部が、径方向に真直ぐ延びる直線形状となり、第二突起部95の従動側溝部142に当接する箇所が、根元から頂部まで、回転方向において同じ位置となる。図18に示す状態から、図18(c)の矢印F方向に回転すると、第二突起部95の従動溝部の入り込みが減少し、図19(c)に示すように、90°回転すると、第二突起部95の頂部側のみ従動側溝部142に入り込んだ状態となる。その結果、第二突起部95の頂部の回転方向下流側端部のみ従動側溝部の側面に当接する状態となる。しかし、第二突起部95の回転方向下流側端部が径方向に真直ぐ延びる直線状であるので、第二突起部95の頂部の回転方向下流側端部のみ従動側溝部の側面に当接する状態となっても、従動側カップリング部材41は、連結部材90の回転に対して遅れることなく、連結部材90と同じ角度回転する。これにより、軸心ずれがあっても、従動側カップリング部材41を等速度で回転させることができる。
【0074】
同様に、第一突起部94も円柱形状としているので、駆動側カップリング部材82から連結部材90への駆動伝達において、連結部材90が速度変動することなく、連結部材90を等速度で回転させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、第一突起部94、第二突起部95を円柱形状とすることで、溝部の側面に当接する溝部当接箇所である回転方向下流側端部が、回転方向に突出するような円弧面となる。その結果、突起部と溝部の側面との当接が、径方向から見たとき、点接触となり、図18(a)に示すように、突起部の突出方向と直交する方向にスムーズに連結部材90を傾けることができる。なお、上記点接触とは、設計上の理想な状態であり、実際においては、多少接触幅を有する状態を含む。
【0076】
図20は、第一突起部および第二突起部が半球形状の従来の連結部材190を用い、従動側カップリング部材41の軸中心を駆動側カップリング部材82の回転軸中心に対して所定量ずらして連結させたときの第一ローラ152の速度変動を調べたグラフである。図20に示すように、第一ローラ152が、所定の周期で速度変動が生じていることがわかる。
【0077】
図21は、第一突起部94および第二突起部95を円柱形状の本実施形態の連結部材90を用い、従動側カップリング部材41の軸中心を駆動側カップリング部材82の回転軸中心に対して所定量ずらして連結させたときの第一ローラ152の速度変動を調べたグラフである。
図21に示すように、突起部が半球形状の従来の連結部材の場合に比べて、第一ローラ152の速度変動を十分に抑制できていることがわかる。
【0078】
また、第一突起部94や第二突起部95は、少なくとも溝部(142,82d)の側面と当接する溝部当接箇所が、径方向に真直ぐのび、回転方向に突出した形状であればよい。よって、例えば、図22に示すような断面角丸長方形状の柱形状や、断面楕円形状の柱形状でもよい。
また、突起部(95a,94)の溝部(42,82d)の側面と当接する溝部当接箇所が円弧面の場合、円弧の中心角θyを、連結部材90の突起部の突出方向と直交する方向の最大傾斜角度θ1の2倍以上にする。これにより、連結部材90が最大傾斜角度θ1で傾いたときも、突起部(95、94)の円弧面を、溝部(142,82d)の側面に当接させることができる。これにより、連結部材90が最大傾斜角度θ1で傾いたときも、突起部の突出方向からみたときの溝部と突起部との接触を点接触にすることができスムーズに連結部材90を傾かせることができる。
【0079】
図23は、第二駆動伝達部70bの概略断面図である。
図23に示すように、第二駆動伝達部70bは、駆動側カップリング部材82への駆動伝達が、ギヤ伝達にした以外は、第一駆動伝達部70aと同様であり、駆動側カップリング部材82は、内部にバネ受け部材101とコイルスプリング73を収納した筒状の金属スタッド100に回転自在に支持されている。また、駆動側カップリング部材82に組みつけられた連結部材90が、コイルスプリング73によって、ユニット側へ付勢されている。
【0080】
駆動側カップリング部材82のギヤ部82bは、駆動伝達時に、駆動側カップリング部材82に側板側へスラスト力が発生するようなハス歯とするのが好ましい。このようなハス歯とすることで、駆動伝達時に、駆動側カップリング部材82が金属スタッド100から抜け出す方向に移動するのを防止することができる。
【0081】
また、本実施形態では、駆動側カップリング部材82の穴部82cを貫通孔とし、穴部82cの一方に連結部材90を挿入し、他方に金属スタッド100を挿入しているが、連結部材90が挿入される穴部と、金属スタッド100が挿入される穴部とをそれぞれ設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、第一ユニットの第一ローラ152と、第二ユニットの第二ローラ162とを、ひとつの駆動モータ80で駆動しているが、第一ユニットの第一ローラ152を回転する駆動モータと、第二ユニットの第二ローラ162を回転する駆動モータとをそれぞれ別々に設けてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、従動側カップリング部材41を、ユニットのスタッドに回転自在に取り付けているが、従動側カップリング部材41を、ユニットのローラの回転軸に回転軸と一体的に回転するように取り付けてもよい。
【0084】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
回転中心に穴部82cを有し、金属スタッド100などの支持部材に回転自在に支持される駆動側カップリング部材82などの第一回転体と、回転中心に穴部を有する従動側カップリング部材41などの第二回転体と、一端が第一回転体の穴部に挿入され、他端が第二回転体の穴部に挿入されて、第一回転体と第二回転体とを連結する連結部材90とを備えた駆動伝達装置において、第一回転体には、支持部材が挿入される支持部材挿入部(本実施形態では、穴部82c)を有する。
支持部材の穴部に第一回転体を入れ込んで第一回転体を支持する特許文献1に記載の構成においては、支持部材が樹脂材で構成されており、第一回転体への駆動伝達をベルトによる駆動伝達にするなどして、過度なラジアル加重を支持部材が第一回転体から受ける場合、支持部材が第一回転体との摩擦により溶着する恐れがあった。このため、支持部材を金属で構成することが考えられるが、支持部材の穴部に第一回転体を入れ込んで第一回転体を支持する構成においては、支持部材が大径化し、金属で支持部材を構成すると、コスト高に繋がるという課題が生じる。
さらに、支持部材の穴部に第一回転体を入れ込んで第一回転体を支持する構成においては、第一回転体の外周面に形成されたギヤ部の手前までしか支持部材に挿入できず、ギヤ部の手前までしか第一回転体を支持することができない。ギヤによる駆動伝達においては、第一回転体のギヤ部に加わる力は、第一回転体の回転方向に加わる駆動モータの駆動力であり、この駆動力のほとんどは、第一回転体が回転することで受け流すことができる。しかし、第一回転体への駆動伝達をベルトによる駆動伝達とした場合、第一回転体のベルトを張架するプーリ部には、ベルトの張力が加わる。このベルトの張力は、第一回転体が回転することで受け流すことができない。その結果、プーリ部に加わるベルトの張力により支持部材のある箇所を支点にして、第一回転体が傾くおそれがある。なお、ギヤによる駆動伝達においても、負荷トルクが大きい場合に、支持部材のある箇所を支点にして第一回転体が傾くおそれがある。
そこで、態様1では、金属スタッド100などの支持部材を駆動側カップリング部材82などの第一回転体の支持部材挿入部に挿入して第一回転体を支持するようにした。これにより、支持部材が大径化するのを抑制することができ、支持部材を金属で構成した場合でも、装置のコストアップを抑制することができる。これにより、装置のコストアップを抑えて、支持部材の溶着を防止することができる。また、軸方向において、第一回転体の駆動伝達部が形成された箇所まで、支持部材を挿入することが可能となり、駆動伝達部が形成された箇所を、支持部材で支持することが可能となる。このように、駆動伝達部が形成された箇所を、支持部材で支持することができるので、第一回転体の駆動伝達部が、ベルトを張架するプーリ部であっても、プーリ部に加わるベルトの張力を、支持部材でしっかりと受けることができ、第一回転体が傾いてしまうのを抑制することができる。
【0085】
(態様2)
態様1において、駆動側カップリング部材82などの第一回転体は、タイミングベルト81などのベルト部材を張架するプーリ部82aなどの張架部を有し、金属スタッド100などの支持部材を、軸方向において、張架部が形成された箇所以上、支持部材挿入部に挿入される。
これによれば、実施形態で説明したように、プーリ部82aなどの張架部に加わるタイミングベルトなどのベルト部材の張力を金属スタッド100などの支持部材で受けることができ、安定的に第一回転体を支持することができる。
【0086】
(態様3)
態様2において、駆動側カップリング部材82などの第一回転体は、軸方向においてプーリ部82aなどの張架部よりも従動側カップリング部材41などの第二回転体側にギヤ部82bを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動側カップリング部材82などの第一回転体への駆動伝達が、ベルト伝達の場合でも、ギヤ伝達の場合でも、同じ構成の第一回転体を用いることができ、部品管理費用の削減を図ることができる。
また、張架部よりも従動側カップリング部材41などの第二回転体側にギヤ部82bを設けることで、張架部をギヤ部82bよりも第二回転体側に設けたものに比べて、装置を軸方向に小型化することができる。
【0087】
(態様4)
態様3において、ギヤ部82bが、ハス歯である。
これによれば、駆動伝達時に、駆動側カップリング部材82などの第一回転体が、金属スタッド100などの支持部材を挿入する方向にスラスト力を生じさせることができ、第一回転体が支持部材から抜け出すのを抑制することができる。
【0088】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、前記連結部材90は、駆動側カップリング部材82などの第一回転体に軸方向に移動可能に取り付けられ、連結部材90を、軸方向において従動側カップリング部材41などの第二回転体側に付勢するコイルスプリング73などの付勢手段が、第一回転体の穴部82c内に配置されており、金属スタッド100などの支持部材は、前記付勢手段の少なくとも一部が収納される収納部100aを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、金属スタッド100などの支持部材に収納部を有さない構成に比べて、装置を軸方向に小型化することができる。
【0089】
(態様6)
態様5において、金属スタッド100などの支持部材およびコイルスプリング73などの付勢手段が金属で構成されており、収納部に、付勢手段を受けるバネ受け部材101などの樹脂製の受け部材が設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、金属からなるコイルスプリング73などの付勢手段を樹脂からなるバネ受け部材101で受けることができ、付勢手段が連結部材90とともに回転したときに摺動音が発生するのを抑制することができる。
【0090】
(態様7)
態様6において、バネ受け部材101などの受け部材が、導電性樹脂で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、連結部材90と駆動側カップリング部材82などの第一回転体との摺動や連結部材90と従動側カップリング部材41などの第二回転体との摺動によって発生した静電気を、コイルスプリング73などの付勢手段、バネ受け部材101などの受け部材および金属スタッド100などの支持部材を介して逃がすことができる。
【0091】
(態様8)
態様5乃至7いずれかにおいて、連結部材90の両端には、コイルスプリング73などの付勢手段を受けるバネ受け部96a,96bなどの受け部が設けられている
これによれば、実施形態で説明したように、連結部材90の一端、他端どちらを駆動側カップリング部材82などの第一回転体の穴部82cに挿入して、連結部材90を第一回転体に組み付けることができる。
【0092】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、連結部材90の両端部には、径方向に突出する突起部94,95が設けられており、駆動側カップリング部材82などの第一回転体の穴部82cの内周面には、前記連結部材90の前記突起部が軸方向に移動可能な案内溝部82e1,82e2などの溝部を有し、前記連結部材90の一端に設けられた突起部と、他端に設けられた突起部とが、回転方向において互いに異なる位置に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、連結部材90の両端の突起部が案内溝部82e1,82e2などの溝部に入り込むのを防止することができ、連結部材90が駆動側カップリング部材82などの第一回転体から抜け出すのを防止することができる。これにより、連結部材90が第一回転体から抜け出して、連結部材90を再度、第一回転体へ組み付け直すという手間が生じるのを抑制することができ、連結部材90の第一回転体への組み付けを容易に行なうことができる。
【0093】
(態様10)
態様9において、駆動側カップリング部材82などの第一回転体の穴部82cの内周面には、突起部が抜けるのを止める抜け止め部82hを有する駆動側溝部82d1,82d2などの駆動溝部と、連結部材90の一端を穴部82cに挿入するときに、突起部を案内する案内溝部82e1,82e2と、案内溝部と駆動溝部とを連通する連通部82iとを有し、連結部材90の一端の突起部が、第一回転体の駆動溝部に位置するとき、連結部材90の他端に設けられた突起部と、前記案内溝部との回転方向の位置が互いに異なるように構成した。
これによれば、実施形態で説明したように、連結部材90の一端の突起部が、駆動側カップリング部材82などの第一回転体の駆動側溝部などの駆動溝部に位置するときに、連結部材90の他端の突起部が、案内溝に入り込むのを防止することができる。これにより、連結部材90が第一回転体から抜け出すのを防止することができ、連結部材90を組み付けた第一回転体を、金属スタッド100などの支持部材に容易に組み付けることができる。
【0094】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、駆動側カップリング部材82などの第一回転体および第一回転体に駆動力を伝達する駆動伝達部材(タイミングベルト等)をカバーするカバー部材110aを有し、前記カバー部材には、前記第1回転体が金属スタッド100などの支持部材から抜け出すのを防止する抜け止め部111が設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動側カップリング部材82などの第一回転体が、金属スタッド100などの支持部材から抜け出すのを防止することができる。また、カバー部材と、前記第1回転体が金属スタッド100などの支持部材から抜け出すのを防止する抜け止め部材とを別々に設けるものに比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0095】
(態様12)
態様1乃至11いずれかにおいて、前記連結部材90の両端部には、径方向に突出する突起部が設けられており、各回転体の穴部の内周面に、前記連結部材の前記突起部が軸方向に移動可能な溝部を有し、前記突起部の突出方向から前記突起部を見たとき、前記突起部の突出方向から前記突起部を見たとき、前記突起部の前記溝部と当接する当接箇所が円弧形状である。
これによれば、図16図21を用いて説明したように、第一回転体と第二回転体との間に軸心ずれがあったときの速度変動を、突起部が半球状の場合に比べて抑制することができる。
【0096】
(態様13)
態様1乃至12いずれかにおいて、連結部材90は、樹脂で構成されており、軸方向をX方向、X方向に直交する方向のうちある特定の方向をY方向、X方向およびY方向いずれにも直交する方向をZ方向としたとき、連結部材90の両端の前記第一回転体の穴部または第二回転体の穴部に挿入される球状部91,92などの挿入部は、球のX方向と直交する大円部分(第一大円部91a,92a)と、球のY方向と直交する大円部分(第二大円部91b,92b)と、球のZ方向と直交する大円部分(第三大円部91c,92c)とを残して肉抜きした球形状とした。
これによれば、図7を用いて説明したように、各挿入部のヒケを抑制することができ、精度よく各挿入部を成型することができる。また、連結部材90の連結部93が長くても、各挿入部を、均等に肉抜きすることができる。これにより、連結部材90の連結部93が長くても、各挿入部のヒケを良好に抑制でき、各挿入部を精度よく成型することができる。また、連結部93の直径を小さくすることができ、連結部材90の小型化を図ることができる。
また、連結部材90を、第一回転体および第二回転体に対して、スムーズに傾けることができる。
【0097】
(態様14)
駆動モータ80などの駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置を備えた画像形成装置において、駆動伝達装置として、態様1乃至13いずれかの駆動伝達装置を用いた。
これによれば、駆動伝達装置により伝達される第一ローラなどの回転速度変動を抑制することができ、良好な画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0098】
1b :側板
41 :従動側カップリング部材
41a :ギヤ部
41b :カップリング部
70 :駆動装置
70a :第一駆動伝達部
70b :第二駆動伝達部
73 :コイルスプリング
80 :駆動モータ
80a :モータギヤ
81 :タイミングベルト
82 :駆動側カップリング部材
82a :プーリ部
82b :ギヤ部
82c :穴部
82d1 :駆動側溝部
82d2 :駆動側溝部
82e1 :案内溝部
82e2 :案内溝部
82i :連通部
83 :タイトナ
84 :第一駆動入力部材
84a :駆動プーリ部
84b :入力ギヤ部
85 :アイドラギヤ
90 :連結部材
91 :第一球状部
91a :第一大円部
91b :第二大円部
91c :第三大円部
92 :第二球状部
92a :第一大円部
92b :第二大円部
92c :第三大円部
93 :連結部
94 :第一突起部
95 :第二突起部
96a :第一バネ受け部
96b :第二バネ受け部
100 :金属スタッド
100a :収納部
101 :バネ受け部材
101a :規制部
101b :受け部
110a :第一カバー部材
110b :第二カバー部材
111 :抜け止め部
112 :抜け止め部
142 :従動側溝部
150 :第一ユニット
151a :第一スタッド
152 :第一ローラ
160 :第二ユニット
161a :第二スタッド
162 :第二ローラ
181 :出力ギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【文献】特開2017-54080号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23