(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】着脱ユニット、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220929BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220929BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/16 176
G03G21/18 167
(21)【出願番号】P 2018172055
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知史
【審査官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-233424(JP,A)
【文献】特開平05-216301(JP,A)
【文献】特開2008-170834(JP,A)
【文献】特開昭61-154106(JP,A)
【文献】特開2017-203961(JP,A)
【文献】特開平03-170954(JP,A)
【文献】特開平07-110622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0018033(US,A1)
【文献】米国特許第05761589(US,A)
【文献】特開2008-026521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニットであって、
像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、
複数の被給電部材と、
当該着脱ユニットに対して着脱可能に設置されて、
前記装置本体に装着された状態で前記装置本体の電源部から前記複数の被給電部材への給電を中継する
カバー部材と、
を備え、
前記現像装置は、
前記像担持体に当接又は対向する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に接触してトナーを供給する供給ローラと、
前記現像剤担持体に接触して前記現像剤担持体の表面に担持されるトナー量を規制するドクターブレードと、
を具備し、
前記現像剤担持体と前記供給ローラと前記ドクターブレードとは、それぞれ、前記複数の被給電部材のうちの1つであり、
前記カバー部材は、前記装置本体に装着された状態で前記電源部の複数の電源部端子のうちの1つの電源部端子に接続される第1接続部と、前記複数の被給電部材のうちの少なくとも1つの被給電部材に接続される第2接続部と、を具備した導通手段を複数備え、
複数の前記導通手段のうち少なくとも1つの導通手段は、その導通経路中にツェナーダイオードを設置可能に構成され、
前記ツェナーダイオードが設置されていない第1カバー部材と、前記ツェナーダイオードが前記少なくとも1つの導通手段に設置された第2カバー部材と、前記第2カバー部材のものとはツェナー電圧が異なる前記ツェナーダイオードが前記少なくとも1つの導通手段に設置された単数又は複数種の第3カバー部材と、のうち少なくとも2つを前記カバー部材として交換可能に構成して、前記現像剤担持体と前記供給ローラと前記ドクターブレードと
にそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせを変更できるように
したことを特徴とする着脱ユニット。
【請求項2】
前記第2カバー部材と前記第3カバー部材とは、前記現像装置に対向する側において2つの前記導通手段を中継するように前記ツェナーダイオードが設置されたことを特徴とする請求項1に記載の着脱ユニット。
【請求項3】
前記ツェナーダイオードは、基板に設置され、
前記少なくとも1つの導通手段は、板状又は線状の弾性変形部をそれぞれ具備した2つの導通部材を備え、
一方の前記導通部材の前記弾性変形部が、弾性変形して、前記ツェナーダイオードのアノード側に接続された前記基板の第1端子に接触して、
他方の前記導通部材の前記弾性変形部が、弾性変形して、前記ツェナーダイオードのカソード側に接続された前記基板の第2端子に接触することを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の着脱ユニット。
【請求項4】
前記基板は、前記第1端子と前記第2端子とが互いに異なる面に設けられて、前記一方の導通部材の前記弾性変形部と前記他方の導通部材の前記弾性変形部とに挟まれるように配置されたことを特徴とする請求項3に記載の着脱ユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、熱可塑性樹脂で形成された突起部を備え、
前記基板は、穴部に前記突起部が挿通された後に前記突起部が熱溶融されることで前記カバー部材に固定されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の着脱ユニット。
【請求項6】
前記カバー部材に設置された単数又は複数の前記ツェナーダイオードのツェナー電圧の合計が、前記装置本体の前記電源部の電気回路に設置された単数又は複数の前記ツェナーダイオードのツェナー電圧の合計よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の着脱ユニット。
【請求項7】
前記装置本体は、画像形成装置本体であって、
当該着脱ユニットは、
プロセスカートリッジであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の着脱ユニット。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の着脱ユニットが前記装置本体としての画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置本体に着脱可能に設置されるプロセスカートリッジ、現像装置などの着脱ユニットと、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機などの画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に設置される現像装置(着脱ユニット)において、装置本体の電源部から、現像ローラやトナー層規制部材(ドクターブレード)などの被給電部材に給電をおこなう技術が広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、良質な画像を提供することなどを目的として、現像装置における電気回路にツェナーダイオードを設置する技術が開示されている。そして、装置本体の電源部から端子を介して現像装置の電気回路に給電されて、現像ローラに所望の電圧が印加されたり、トナー層規制部材にツェナーダイオードを介して所望の電圧が印加されたりすることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の着脱ユニット(現像装置)は、市場で既に装置本体に設置されて使用されているものなどに対して、被給電部材にそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせ(バイアス条件)を変更する場合に、装置本体の電源部を別のものに取り換える必要があった。そのため、大きな手間やコストが掛かってしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置本体の電源部を変更することなく、着脱ユニットにおける被給電部材のバイアス条件を簡単に変更することができる、着脱ユニット、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における着脱ユニットは、装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニットであって、像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、複数の被給電部材と、当該着脱ユニットに対して着脱可能に設置されて、前記装置本体に装着された状態で前記装置本体の電源部から前記複数の被給電部材への給電を中継するカバー部材と、を備え、前記現像装置は、前記像担持体に当接又は対向する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触してトナーを供給する供給ローラと、前記現像剤担持体に接触して前記現像剤担持体の表面に担持されるトナー量を規制するドクターブレードと、を具備し、前記現像剤担持体と前記供給ローラと前記ドクターブレードとは、それぞれ、前記複数の被給電部材のうちの1つであり、前記カバー部材は、前記装置本体に装着された状態で前記電源部の複数の電源部端子のうちの1つの電源部端子に接続される第1接続部と、前記複数の被給電部材のうちの少なくとも1つの被給電部材に接続される第2接続部と、を具備した導通手段を複数備え、複数の前記導通手段のうち少なくとも1つの導通手段は、その導通経路中にツェナーダイオードを設置可能に構成され、前記ツェナーダイオードが設置されていない第1カバー部材と、前記ツェナーダイオードが前記少なくとも1つの導通手段に設置された第2カバー部材と、前記第2カバー部材のものとはツェナー電圧が異なる前記ツェナーダイオードが前記少なくとも1つの導通手段に設置された単数又は複数種の第3カバー部材と、のうち少なくとも2つを前記カバー部材として交換可能に構成して、前記現像剤担持体と前記供給ローラと前記ドクターブレードとにそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせを変更できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体の電源部を変更することなく、着脱ユニットにおける被給電部材のバイアス条件を簡単に変更することができる、着脱ユニット、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】プロセスカートリッジとその近傍とを示す構成図である。
【
図3】プロセスカートリッジを長手方向に示す概略図である。
【
図4】画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの要部を示す概略図である。
【
図5】第1カバー部材の、(A)オモテ面を示す図と、(B)ウラ面を示す図と、である。
【
図6】画像形成装置本体に装着されたプロセスカートリッジの第2カバー部材の近傍を示す概略図である。
【
図7】第2カバー部材の、(A)オモテ面を示す図と、(B)ウラ面を示す図と、である。
【
図8】バイアス条件が異なるプロセスカートリッジの電源部からの給電経路を示す概略図である。
【
図9】ツェナーダイオードが設置された基板を示す、(A)正面図と、(B)側面図と、である。
【
図10】
図9の基板がカバー部材に設置された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1は、実施の形態における画像形成装置1を示す全体構成図である。
図2は、
図1の画像形成装置1に設置されたブラック用のプロセスカートリッジ10K(作像部)の構成を示す断面図である。
なお、4つの着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、作像プロセスに用いられるトナーTの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、
図2(及び、後述する
図3~
図10)ではブラック用のプロセスカートリッジ10Kのみを代表的に図示する。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は用紙等のシートが収容される給紙部、9はシートの搬送タイミングを調整するレジストローラ、を示す。
また、10Y、10M、10C、10Kは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成されるプロセスカートリッジ(着脱ユニット)、16は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルト17上に重ねて転写する1次転写バイアスローラ、を示す。
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のトナー像をシート上に転写するための2次転写バイアスローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、20はシート上のトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、を示す。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0013】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの感光体ドラム11の表面に向けて発せられる。
【0014】
一方、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの感光体ドラム11(
図2参照)は、それぞれ、所定の回転方向(反時計方向)に回転している。そして、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電ローラ12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位(-900V程度である。)が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11の表面は、それぞれのレーザ光Lの照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0015】
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、紙面左側から1番目の感光体ドラム11(像担持体)の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ12にて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像(-50~100V程度の露光電位が形成される。)が形成される。
【0016】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0017】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面は、それぞれ、現像装置13(現像ローラ13a)との対向位置(現像ニップ)に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部(1次転写ニップ)に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写バイアスローラ16が設置されている。そして、1次転写バイアスローラ16の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0018】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、クリーニング装置14との対向位置に達する。そして、この位置で、クリーニングブレード14aとクリーニングブラシローラ14bとによって感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、除去された未転写トナーがクリーニング装置14内に回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11の表面は、除電装置の位置を通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0019】
他方、感光体ドラム11上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、
図1の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置(2次転写ニップ)に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、シート(用紙)に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17の表面は、中間転写ベルトクリーニング部19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送されるシートは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送されたシートが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9(タイミングローラ)に導かれる。レジストローラ9に達したシートは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0021】
そして、フルカラー画像が転写されたシートは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)がシート上に定着される。
そして、定着工程後のシートは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセス(画像形成動作)が完了する。
【0022】
次に、
図2、
図3にて、着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ10Kについて詳述する。
図2、
図3に示すように、プロセスカートリッジ10Kは、感光体ドラム11と、帯電ローラ12(帯電装置)と、現像装置13と、クリーニング装置14と、が一体的にユニットとして構成されている。プロセスカートリッジ10Kは、装置本体としての画像形成装置本体1に対して着脱可能(交換可能)に設置されていて、適宜に画像形成装置本体1から取り出されて新品のものに交換されたり修理がされたりすることになる。
【0023】
ここで、感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、表面層(保護層)が順次積層されている。
感光体ドラム11は、メインモータによって
図2の反時計方向に回転駆動される。
【0024】
図2を参照して、帯電ローラ12は、金属材料(導電材料)からなるローラ軸12a上に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ状部材であって、感光体ドラム11に対して当接するように(又は、微小なギャップをあけて対向するように)設置されている。帯電ローラ12には電源部60(
図4参照)から所定の電圧(帯電バイアスVD)が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
【0025】
現像装置13は、主として、感光体ドラム11に当接(又は、対向)するように配置された現像ローラ13a(現像剤担持体)と、現像ローラ13aに摺接してトナーを供給する供給ローラ13bと、現像装置13内のトナーを撹拌・搬送するアジテータ13c(撹拌部材、又は/及び、搬送部材)と、現像ローラ13aに接触するドクターブレード13dと、で構成される。
現像ローラ13aは、金属材料(導電材料)からなるローラ軸13a1上に、導電性を有するゴム層が形成されたローラ部材である。供給ローラ13bは、金属材料(導電材料)からなるローラ軸13b1上に、導電性を有する弾性層が形成されたローラ部材である。アジテータ13cは、ローラ軸上に羽根部材が設置された撹拌部材である。ドクターブレード13dは、金属材料(導電材料)からなり薄くてバネ性を有する板状部材である。現像装置13内には、トナーT(1成分現像剤)が収容されている。
【0026】
そして、現像ローラ13a、供給ローラ13b、アジテータ13cは、メインモータによる駆動によって、それぞれ
図2中の矢印方向に回転する。現像装置13内のトナーTは、アジテータ13cによって、トナー補給部25、26からトナー補給口を介して補給されたトナーTとともに撹拌混合されながら供給ローラ13bに向けて搬送される。そして、供給ローラ13bに担持されたトナーTは、現像ローラ13aとの摺接によって摩擦帯電して、現像ローラ13a上にトナーTが担持される。
そして、現像ローラ13a上に担持されたトナーTは、その後にドクターブレード13dの位置に達する。そして、現像ローラ13a上のトナーTは、ドクターブレード13dの位置で適量に薄層化された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)に達する。
【0027】
その後、現像領域において、現像ローラ13a上のトナーTが、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像に付着して、所望のトナー像が形成される。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、電源部60から現像ローラ13aに印加された現像バイアスVB(-150V程度である。)と、の電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界(現像電界)によって、トナーTが潜像に付着する。
なお、現像ローラ13aの他に、供給ローラ13bとドクターブレード13dとにも、装置本体1の電源部60(
図4参照)からそれぞれ所定の電圧が印加されている。これにより、現像ローラ13aと供給ローラ13bとの間に所望の電位差が形成されて、供給ローラ13bから現像ローラ13aへのトナーTの移動が促進される。また、現像ローラ13aとドクターブレード13dとの間に所望の電位差が形成されて、ドクターブレード13dによる現像ローラ13a上のトナーTの薄層化が最適化される。
【0028】
ここで、画像形成装置本体1に設けられたトナー補給部は、交換可能に構成されたトナーボトル25と、トナーボトル25を保持・回転駆動するとともに現像装置13に新品トナーTを補給するトナーホッパ部26と、で構成されている。また、トナーボトル25内には、新品のトナーT(
図2では、ブラックのトナーである。)が収容されている。また、トナーボトル25の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
なお、トナーボトル25内の新品トナーTは、現像装置13内のトナーT(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像装置13内に適宜に補給されるものである。現像装置13内のトナーTの消費は、現像装置13に設置された圧電センサによって間接的又は直接的に検知される。
【0029】
図2を参照して、クリーニング装置14には、感光体ドラム11の表面に当接して感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニングブレード14aと、感光体ドラム11の表面に当接しながら所定方向に回転して感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニングブラシローラ14bと、が設置されている。
【0030】
以下、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10K(画像形成装置1)において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に
図2を用いて説明したように、プロセスカートリッジ10Kは、装置本体としての画像形成装置本体1に対して着脱可能に設置される着脱ユニットであって、感光体ドラム11や現像装置13や帯電ローラ12やクリーニング装置14が設置されている。
着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ10Kは、感光体ドラム11(又は、現像ローラ13a)の回転軸方向(
図2の紙面垂直方向であって、
図3、
図4の上下方向である。)を着脱方向として、画像形成装置本体1に対して着脱されることになる。
【0031】
詳しくは、
図3、
図4を参照して、プロセスカートリッジ10K(着脱ユニット)は、大きく4つのサブユニット(現像装置13とクリーニング装置14と感光体ドラム11と帯電ローラ12とである。)に分かれている。そして、4つのサブユニット11~14の長手方向(回転軸方向)の両端がそれぞれカバー部材15、16(側板)に保持されて、プロセスカートリッジ10Kが構成されることになる。
【0032】
具体的に、現像装置13の現像ケース13eに設置された位置決めピン13e1がカバー部材15(16)の位置決め穴15aに挿入され、帯電ローラ12のローラ軸12aがカバー部材15(16)の穴部15bに軸受を介して挿入され、感光体ドラム11の軸部がカバー部材15(16)の軸受部に挿入され、クリーニング装置14に設置された位置決めピンがカバー部材15(16)の位置決め穴に挿入される。そして、カバー部材15(16)が現像ケース13eとクリーニング装置14とにネジ締結されて、プロセスカートリッジ10Kが構成される。すなわち、カバー部材15(16)は、プロセスカートリッジ10K(着脱ユニット)に対して着脱可能(交換可能)に設置されていることになる。
なお、プロセスカートリッジ10Kにおけるサブユニットの構成や支持方法などは、本実施の形態のものに限定されない。
【0033】
そして、このように構成されたプロセスカートリッジ10Kが画像形成装置本体1にセットされると、
図4に示すように、装置本体1の本体側板51に設置された位置決めピン52が、プロセスカートリッジ10Kのカバー部材15(16)の位置決め穴15cに挿入される。こうして、装置本体1においてプロセスカートリッジ10Kが位置決めされた状態で支持されることになる。また、このとき、装置本体1の本体側板51に設置された電源部端子71~74が、プロセスカートリッジ10Kのカバー部材15に設置された導通部材31~34(導通手段)に接触して、装置本体1の電源部60からプロセスカートリッジ10Kへの給電が可能になるが、これについては後で詳しく説明する。
なお、装置本体1におけるプロセスカートリッジ10Kの支持方法などは、本実施の形態のものに限定されない。
【0034】
ここで、プロセスカートリッジ10K(着脱ユニット)には、画像形成装置本体1の電源部60から給電される複数の被給電部材として、現像ローラ13a、供給ローラ13b、ドクターブレード13d、帯電ローラ12が設置されている。すなわち、現像ローラ13a、供給ローラ13b、ドクターブレード13d、帯電ローラ12には、電源部60からの給電によって、それぞれに所望の電圧(バイアス)が印加されることになる。
【0035】
また、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10Kには、
図4に示すように装置本体1に装着された状態で装置本体1の電源部60から複数の被給電部材12、13a、13b、13dへの給電を中継する給電中継部材としてのカバー部材15が、着脱可能(交換可能)に設置されている。
詳しくは、
図4、
図5に示すように、プロセスカートリッジ10Kにおいて、装置本体1への装着方向奥側に位置するカバー部材15には、複数の導通部材31~34(導通板)が設置されている。これらの導通部材31~34は、ステンレス鋼やリン青銅などの導電材料からなり複数箇所に曲げ加工が施されたバネ性を有する板状部材である。導通部材31~34には、プロセスカートリッジ10Kが画像形成装置本体1に装着された状態で電源部60の複数の電源部端子71~74のうちの1つの電源部端子に接続される第1接続部31a~34aと、複数の被給電部材12、13a、13b、13dのうちの少なくとも1つの被給電部材に接続される第2接続部31b~34bと、が設けられている。
図5(A)に示すように、第1接続部31a~34aは、プロセスカートリッジ10Kの外側(電源部60が設けられた側)に対向するように設けられている。これに対して、
図5(B)に示すように、第2接続部31b~34bは、プロセスカートリッジ10Kの内側(被給電部材が設けられた側)に対向するように設けられている。
【0036】
具体的に、
図4、
図5に加え、
図8(A)をも参照して、第1の導通部材31には、第1の電源部端子71に接続される第1接続部31aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、現像ローラ13a(ローラ軸13a1)に接続される第2接続部31bがカバー部材15のウラ面側に設けられている。
また、第2の導通部材32には、第2の電源部端子72に接続される第1接続部32aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、ドクターブレード13dに接続される第2接続部32bがカバー部材15のウラ面側に設けられている。
また、第3の導通部材33には、第3の電源部端子73に接続される第1接続部33aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、供給ローラ13b(ローラ軸13b1)に接続される第2接続部33bがカバー部材15のウラ面側に設けられている。
また、第4の導通部材34には、第4の電源部端子74に接続される第1接続部34aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、帯電ローラ12に接続される第2接続部34bがカバー部材15のウラ面側に設けられている。
図4、
図5、
図8(A)に示すカバー部材としての第1カバー部材15Aには、後述するツェナーダイオード41、42は設置されていない。
【0037】
そして、本実施の形態において、給電中継部材としてのカバー部材15は、複数の被給電部材12、13a、13b、13dにそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせ(以下、適宜「バイアス条件」という。)を変更できるように構成されている。
詳しくは、給電中継部材としてのカバー部材15は、複数の導通部材31~34(導通手段)のうち少なくとも1つの導通部材の導通経路中にツェナーダイオード41、42(
図6~
図10参照)を設置可能に構成されている。
【0038】
具体的に、
図6、
図7に示すプロセスカートリッジ10Kに設置されたカバー部材は、少なくとも1つの導通手段の導通経路中にツェナーダイオード41、42が設置された第2カバー部材15Bである。
図6、
図7に加え、
図8(B)をも参照して、カバー部材15(第2カバー部材15B)は、第1の導通部材31´と第2の導通部材32´と第3の導通部材33´とが設置されている。
第1の導通部材31´は、第1の電源部端子71に接続される第1接続部31aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、現像ローラ13a(ローラ軸13a1)に接続される第2接続部31bがカバー部材15のウラ面側に設けられ、さらにカバー部材15のウラ面側で第2の導通部材32´に第1のツェナーダイオード41を介して接続されている。
第3の導通部材33´は、第3の電源部端子73に接続される第1接続部33aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、供給ローラ13b(ローラ軸13b1)に接続される第2接続部33bがカバー部材15のウラ面側に設けられ、さらにカバー部材15のウラ面側で第2の導通部材32´に第2のツェナーダイオード42を介して接続されている。
第2の導通部材32´は、第2の電源部端子72を含めいずれの電源部端子71~74にも直接的に接続されておらず、ドクターブレード13dに接続される第2接続部32bがカバー部材15のウラ面側に設けられ、第1のツェナーダイオード42を介して第1の導通部材31´に接続され、第2のツェナーダイオード42を介して第2の導通部材32´に接続されている。
また、第4の導通部材34には、第4の電源部端子74に接続される第1接続部34aがカバー部材15のオモテ面側に設けられ、帯電ローラ12に接続される第2接続部34bがカバー部材15のウラ面側に設けられている。
このように、第2カバー部材15Bでは、4つの導通部材31´~34´と2つのツェナーダイオード41、42とによって複数の導通手段(導通経路)が形成されている。
【0039】
そして、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10K(着脱ユニット)は、ツェナーダイオード41、42が設置されていない第1カバー部材15A(
図4、
図5、
図8(A)参照)と、ツェナーダイオード41、42が少なくとも1つの導通部材(導通手段)に設置された第2カバー部材15B(
図6、
図7、
図8(B)参照)と、第2カバー部材15Bのものとはツェナー電圧Zdが異なるツェナーダイオード41、42が少なくとも1つの導通部材(導通手段)に設置された単数又は複数種の第3カバー部材(
図8(C)~(E)参照)と、のうち少なくとも2つをカバー部材15として交換可能に構成したものである。
【0040】
すなわち、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10Kは、サブユニット11~14などの主要部が共通化されていて、導通手段が設けられたカバー部材のみを複数種類のカバー部材15A~15Eの中から選択して交換するだけで、装置本体1の電源部60をそのまま使用しても、複数の被給電部材12、13a、13b、13dのバイアス条件(電圧の大きさの組み合わせ)を変更できるようになっている。
【0041】
さらに詳しくは、
図8(A)~(E)に示すように、画像形成装置本体1の電源部60は、現像バイアスVBを出力する高圧電源部、帯電バイアスVDを出力する高圧電源部、抵抗、ツェナー電圧Zdが-200Vの第1のツェナーダイオード61、ツェナー電圧Zdが-50Vの第2のツェナーダイオード62などからなる電気回路が設けられている。なお、
図8において、電源部60を示す枠上に位置する●印が電源部端子71~74になり、プロセスカートリッジ10Kを示す枠上に位置する●印が接続部31a~34aになる。
【0042】
そして、
図8(A)に示すカバー部材15A(ツェナーダイオードが設置されていない第1カバー部材である。)が設置されたプロセスカートリッジ10Kが装置本体1にセットされると、現像ローラ13aには現像バイアスVBが印加され、ドクターブレード13dには電源部60の第1のツェナーダイオード61のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-200V)が印加され、供給ローラ13bには電源部60の第1、第2のツェナーダイオード61、62のツェナー電圧Zdの総和分だけ降下した電圧(VB-250V)が印加されることになる。また、帯電ローラ12には帯電バイアスVDが印加されることになる。
【0043】
これに対して、
図8(B)に示すカバー部材15Bは、ツェナー電圧Zdが-100Vの第1のツェナーダイオード41と、ツェナー電圧Zdが-100Vの第2のツェナーダイオード41と、が設置されている第2カバー部材である。そして、
図8(B)に示すカバー部材15Bが設置されたプロセスカートリッジ10Kが装置本体1にセットされると、現像ローラ13aには現像バイアスVBが印加され、ドクターブレード13dにはカバー部材15Bの第1のツェナーダイオード41のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-100V)が印加され、供給ローラ13bにはカバー部材15Bの第1、第2のツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの総和分だけ降下した電圧(VB-200V)が印加されることになる。また、帯電ローラ12には帯電バイアスVDが印加されることになる。
このように、カバー部材15Bに設置された単数又は複数のツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの合計が、装置本体1の電源部60の電気回路に設置された単数又は複数のツェナーダイオード61、62のツェナー電圧Zdの合計よりも小さくなるように構成されるとき、電源部60側のツェナーダイオード61、62には電気が流れずに、カバー部材15B側のツェナーダイオード41、42に電気が流れて、そのツェナーダイオード41、42による電圧降下が生じることになる。
【0044】
さらに、
図8(C)に示すカバー部材15Cは、ツェナー電圧Zdが-50Vの第1のツェナーダイオード41と、ツェナー電圧Zdが-150Vの第2のツェナーダイオード41と、が設置されている第3カバー部材である。そして、
図8(C)に示すカバー部材15Cが設置されたプロセスカートリッジ10Kが装置本体1にセットされると、現像ローラ13aには現像バイアスVBが印加され、ドクターブレード13dにはカバー部材15Cの第1のツェナーダイオード41のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-50V)が印加され、供給ローラ13bにはカバー部材15Cの第1、第2のツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの総和分だけ降下した電圧(VB-150V)が印加されることになる。また、帯電ローラ12には帯電バイアスVDが印加されることになる。この場合にも、カバー部材15Cに設置されたツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの合計が、装置本体1の電源部60のツェナーダイオード61、62のツェナー電圧Zdの合計よりも小さくなるように構成されている。
【0045】
さらに、
図8(D)に示すカバー部材15Dは、ツェナー電圧Zdが-100Vの第1のツェナーダイオード41と、ツェナー電圧Zdが-50Vの第2のツェナーダイオード41と、が設置されている第3カバー部材である。そして、
図8(D)に示すカバー部材15Dが設置されたプロセスカートリッジ10Kが装置本体1にセットされると、現像ローラ13aには現像バイアスVBが印加され、ドクターブレード13dにはカバー部材15Dの第1のツェナーダイオード41のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-100V)が印加され、供給ローラ13bにはカバー部材15Dの第1、第2のツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの総和分だけ降下した電圧(VB-150V)が印加されることになる。また、帯電ローラ12には帯電バイアスVDが印加されることになる。この場合にも、カバー部材15Dに設置されたツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの合計が、装置本体1の電源部60のツェナーダイオード61、62のツェナー電圧Zdの合計よりも小さくなるように構成されている。
【0046】
さらに、
図8(E)に示すカバー部材15Eは、ツェナー電圧Zdが-150Vの第1のツェナーダイオード41が設置されている第3カバー部材である。そして、
図8(E)に示すカバー部材15Eが設置されたプロセスカートリッジ10Kが装置本体1にセットされると、現像ローラ13aには現像バイアスVBが印加され、ドクターブレード13dにはカバー部材15Eの第1のツェナーダイオード41のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-150V)が印加され、供給ローラ13bにもカバー部材15Eの第1のツェナーダイオード41のツェナー電圧Zdの分だけ降下した電圧(VB-150V)が印加されることになる。また、帯電ローラ12には帯電バイアスVDが印加されることになる。この場合にも、カバー部材15Cに設置されたツェナーダイオード41、42のツェナー電圧Zdの合計が、装置本体1の電源部60のツェナーダイオード61、62のツェナー電圧Zdの合計よりも小さくなるように構成されている。
【0047】
このように、本実施の形態では、プロセスカートリッジ10Kに着脱可能に設置されるカバー部材15(給電中継部材)において、ツェナーダイオードを用いた回路の電圧降下量を組み合わせることで、バイアス条件を変更している。
すなわち、本実施の形態によれば、装置本体1の電源部60を変更したり別のものに取り換えたりすることなく、また、プロセスカートリッジ10Kの主要部の構成を変更することなく、プロセスカートリッジ10Kのバイアス条件を変更することができる。さらに換言すると、装置本体1の電源部60を共通化することができるとともに、バイアス条件の異なる複数のプロセスカートリッジ10Kの主要部を共通化することができることになる。
そのようにバイアス条件(被給電部材12、12a、12b、12dにそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせ)を変更する場合としては、第1に、市場で既に装置本体1に設置されて使用されているプロセスカートリッジ10Kに対して、現像装置13内で使用されるトナーTや現像ローラ13aなどの仕様が後から変更される場合などがある。また、第2に、画像形成装置本体1に複数色のプロセスカートリッジ10K、10Y、10M、10Cが設置されて、各色ごとにバイアス条件を微調整する必要がある場合などもある。
そして、本実施の形態によれば、被給電部材12、12a、12b、12dにそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせ(バイアス条件)を変更する場合に、装置本体1の電源部60の変更などが必要ないため、大きな手間やコストが掛かかることもない。
なお、
図8(A)~(E)に示したプロセスカートリッジ10Kは、カバー部材15のみを交換することでそれぞれの構成に改造することもできるし、カバー部材15が異なるそれぞれのプロセスカートリッジ10Kを予め用意しておいても良い。
【0048】
ここで、本実施の形態におけるカバー部材15において、
図9、
図10に示すように、ツェナーダイオード41、42は、基板40(PCB)に設置されたチップである。
そして、少なくとも1つの導通手段は、板状(又は線状)の弾性変形部31x~33x(バネ性を有する接触部分である。)をそれぞれ具備した2つの導通部材31´、32´(又は、32´、33´)で形成されている。そして、一方の導通部材32´(33´)の弾性変形部32x(33x)が、弾性変形して、ツェナーダイオード41(42)のアノードA側に接続された基板40の第1端子40a(40b)に接触する。これに対して、他方の導通部材31´(32´)の弾性変形部31x(32x)が、弾性変形して、ツェナーダイオード41(42)のカソードC側に接続された基板40の第2端子40b(40a)に接触している。
【0049】
特に、本実施の形態において、基板40は、第1端子40aと第2端子40bとが互いに異なる面に設けられて、一方の導通部材32´の弾性変形部32xと他方の導通部材31´の弾性変形部31xとに挟まれるように配置されている。なお、第1端子40aは導線40cを介してツェナーダイオード41のアノードA側に接続され、第2端子40bは導線40d(オモテ面からウラ面に配回されている。)を介してツェナーダイオード41のカソードC側に接続されている。
このように2つの板バネ材(弾性変形部31x、32x)で基板40を挟みながら導通経路を形成することで、導通経路にツェナーダイオード41を設置した場合であっても、ツェナーダイオード41の高い接触性を維持しつつ、コンパクトな電気回路を形成することが可能になる。
【0050】
また、
図10を参照して、カバー部材15は、熱可塑性樹脂で形成された突起部15fが形成されている。特に、本実施の形態では、カバー部材15全体が熱可塑性樹脂で形成されている。一方、
図9を参照して、基板40には穴部40eが形成されている。
そして、
図10を参照して、基板40は、穴部40eに突起部15fが挿通された後に突起部15fの先端が熱溶融されて熱カシメ部15f1が形成されることでカバー部材15に固定される。すなわち、基板40は、カバー部材15の座部に保持された状態で、熱カシメ部15f1によって固定されることになる。
このように構成することにより、ネジやリベットや止め輪などを用いて基板40を固定するスペースを確保できないような場合であっても、カバー部材15の狭いスペースに基板40を固定することが可能になる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10K(着脱ユニット)は、複数の被給電部材12、13a、13b、13dと、画像形成装置本体1(装置本体)に装着された状態で画像形成装置本体1の電源部60から複数の被給電部材12、13a、13b、13dへの給電を中継するカバー部材15(給電中継部材)と、が設けられている。そして、カバー部材15は、複数の被給電部材12、13a、13b、13dにそれぞれ印可する電圧の大きさの組み合わせを変更できるように構成されている。
これにより、装置本体1の電源部60を変更することなく、プロセスカートリッジ10Kにおける被給電部材12、13a、13b、13dのバイアス条件を簡単に変更することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム11と帯電ローラ12(帯電装置)と現像装置13とクリーニング装置14とを一体化してプロセスカートリッジ10Kを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。しかし、プロセスカートリッジの構成はこれに限定されることなく、種々の形態のものを用いることができる。
そして、そのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、感光体ドラム(像担持体)上に形成された潜像を現像する現像装置と、感光体ドラム上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、感光体ドラムとが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニットと定義する。
【0053】
また、本実施の形態では、本発明が適用される着脱ユニットとしてプロセスカートリッジ10Kを用いたが、装置本体に着脱可能な着脱ユニットであって複数の被給電部材が設置されたものであれば、本発明を適用することができる。特に、現像装置13が装置本体1に対して単独で着脱される着脱ユニットとして構成されている場合には、その現像装置13に本発明を適用してもよい。
また、カバー部材15(給電中継部材)における導通部材31~34、31´~33´(導通手段)の形状、配、組み合わせなどは、本実施の形態のものに限定されることはない。
また、本実施の形態では1成分現像方式の現像装置13を用いたが、2成分現像方式の現像装置を用いることもできる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置(装置本体、画像形成装置本体)、
10Y、10M、10C、10K プロセスカートリッジ(着脱ユニット)、
11 感光体ドラム、
12 帯電ローラ(被給電部材)、
13 現像装置、
13a 現像ローラ(被給電部材)、
13b 供給ローラ(被給電部材)、
13c アジテータ、
13d ドクターブレード(被給電部材)、
15、15A~E カバー部材(給電中継部材)、
15f 突起部、 15f1 熱カシメ部、
31~34、31´~33´ 導通部材(導通手段)、
31a~34a 第1接続部、
31b~34b 第2接続部、
31x~33x 弾性変形部、
40 基板(PCB)、
40a、40b 端子(第1端子又は第2端子)、
40c、40d 導線、
40e 穴部、
41、42 ツェナーダイオード、
51 本体側板、
60 電源部、
71~74 電源部端子。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】