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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220929BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220929BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G03G15/08 360
G03G21/00 510
G03G21/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018191463
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020060668
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 隆介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 香弘
(72)【発明者】
【氏名】押川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】川島 直大
(72)【発明者】
【氏名】土屋 右騎
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126737(JP,A)
【文献】特開2010-060998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容された現像剤を撹拌する撹拌回転部材を具備した現像装置と、
複数の前記現像装置の前記撹拌回転部材をそれぞれ駆動する第1の駆動機構と、
前記複数の現像装置よりも数の少ない前記現像装置の前記撹拌回転部材を駆動する第2の駆動機構と、
前記現像装置が画像形成装置本体にセットされた状態を検知する検知手段と、
を備え、
所定の条件下で前記検知手段によって前記現像装置が前記画像形成装置本体にセットされた状態が検知されたときに、前記駆動機構による駆動によって前記撹拌回転部材の逆転と正転とを交互に繰り返しおこなうウォーミングアップ動作が実行され、
前記第1の駆動機構によっておこなわれる前記ウォーミングアップ動作の実行時間が、前記第2の駆動機構によっておこなわれる前記ウォーミングアップ動作の実行時間に比べて長くなるように制御される ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ウォーミングアップ動作において、前記撹拌回転部材は、逆転、正転の順番で交互に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
未使用の前記現像装置が初めて前記画像形成装置本体にセットされた状態が前記検知手段によって検知されたときに、前記ウォーミングアップ動作が実行されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記撹拌回転部材の回転時にかかるトルクを直接的又は間接的に検出するトルク検出手段を備え、
前記検知手段によって前記現像装置が前記画像形成装置本体にセットされた状態が検知されて、前記トルク検出手段で検出されたトルクが所定値を超えたときに、前記ウォーミングアップ動作が実行されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記撹拌回転部材の回転時にかかるトルクを直接的又は間接的に検出するトルク検出手段を備え、
前記トルク検出手段で検出されるトルクが大きいときに、前記トルク検出手段で検出されるトルクが小さいときに比べて、前記ウォーミングアップ動作の実行時間が長くなるように制御されることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ウォーミングアップ動作において前記撹拌回転部材を逆転する時間が正転する時間に比べて長くなるように制御されることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像装置は、像担持体に対向又は接触する現像ローラを具備し、
前記第1の駆動機構と前記第2の駆動機構とは、前記撹拌回転部材とともに前記現像ローラを回転駆動するように構成されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、内部に収容された現像剤を撹拌する撹拌回転部材を具備した現像装置が、着脱可能に設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、現像装置の内部に収容された現像剤は、撹拌スクリュ(搬送スクリュ)等の撹拌回転部材によって撹拌・混合される。撹拌・混合された現像剤は、その一部が現像ローラ(現像剤担持体)に供給される。現像ローラに担持された現像剤は、現像ローラに対向するドクターブレード(現像剤規制部材)によって適量に規制された後に、感光体ドラム(像担持体)との対向位置に達する。そして、その対向位置で、現像ローラに担持された現像剤中のトナーの一部が、感光体ドラムの表面に移動する。こうして、感光体ドラムの表面に形成された潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0004】
一方、特許文献1には、画像形成装置に現像装置がセットされたときに現像装置内の現像剤を均すことを目的として、画像形成動作前に、現像ローラを回転停止した状態(又は、低速回転した状態)で撹拌スクリュを回転させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、現像剤が一端側に偏った状態で収容された現像装置が画像形成装置本体にセットされて、そのまま現像装置(撹拌回転部材)が駆動されてしまうと、撹拌回転部材を回転駆動する負荷が大きくなって駆動機構がロックしてしまうことがあった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体にセットされた現像装置において撹拌回転部材を回転駆動する負荷が大きくなって駆動機構がロックしてしまう不具合が生じにくい、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における画像形成装置は、内部に収容された現像剤を撹拌する撹拌回転部材を具備した現像装置と、複数の前記現像装置の前記撹拌回転部材をそれぞれ駆動する第1の駆動機構と、前記複数の現像装置よりも数の少ない前記現像装置の前記撹拌回転部材を駆動する第2の駆動機構と、前記現像装置が画像形成装置本体にセットされた状態を検知する検知手段と、を備え、所定の条件下で前記検知手段によって前記現像装置が前記画像形成装置本体にセットされた状態が検知されたときに、前記駆動機構による駆動によって前記撹拌回転部材の逆転と正転とを交互に繰り返しおこなうウォーミングアップ動作が実行され、前記第1の駆動機構によっておこなわれる前記ウォーミングアップ動作の実行時間が、前記第2の駆動機構によっておこなわれる前記ウォーミングアップ動作の実行時間に比べて長くなるように制御されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置本体にセットされた現像装置において撹拌回転部材を回転駆動する負荷が大きくなって駆動機構がロックしてしまう不具合が生じにくい、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す構成図である。
図3】(A)現像装置の上部を幅方向にみた概略断面図と、(B)現像装置の下部を幅方向にみた概略断面図と、である。
図4】現像装置の循環経路を幅方向にみた概略断面図である。
図5】ウォーミングアップ動作において、(A)撹拌スクリュが逆転した状態の現像装置を示す概略断面図と、(B)撹拌スクリュが正転した状態の現像装置を示す概略断面図と、である。
図6】新品の現像装置がセットされたときの制御を示すフローチャートである。
図7】変形例1としての、新品の現像装置がセットされたときの制御を示すフローチャートである。
図8】変形例2としての、新品の現像装置がセットされたときの制御を示すフローチャートである。
図9】変形例3としての、複数の現像装置と複数の駆動機構との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機、3は原稿を原稿読込部に搬送する原稿搬送部、4は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、5は出力画像が積載される排紙トレイ、7は用紙等のシートPが収容される給紙部、9はシートPの搬送タイミングを調整するレジストローラ(タイミングローラ)、を示す。
また、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面に形成されたトナー像をシートP上に重ねて転写する1次転写ローラ、を示す。
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像をシートP上に転写するための2次転写ローラ、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、28は現像装置13に供給するための各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナーが収容されたトナー容器、を示す。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
【0013】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿のカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0014】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部に送信される。そして、書込み部からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2参照)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0015】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12(図2参照)との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0016】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Yの表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Yの表面には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0017】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11Mの表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11Cの表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BKの表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0018】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ14が設置されている。そして、1次転写ローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0019】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0020】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面の各色のトナーが重ねて1次転写(担持)された中間転写ベルト17(中間転写体)は、図1の反時計方向に走行して、2次転写ローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写ローラ18との対向位置で、シートP上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17の表面は、中間転写ベルトクリーニング部の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写ローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送されるシートPは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送されたシートPが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達したシートPは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0022】
そして、フルカラー画像が転写されたシートPは、その後に定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラによって装置本体1外に出力画像として排出されて、排紙トレイ5上にスタックされる。こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
次に、図2図4にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部を示す構成図である。図3(A)は現像装置13の上部(回収用の第2撹拌スクリュ13b2の位置である。)を幅方向(長手方向)にみた概略断面図(水平方向の断面図)であって、図3(B)は現像装置13の下部(供給用の第1撹拌スクリュ13b1の位置である。)を幅方向にみた概略断面図である。図4は、現像装置13の循環経路を幅方向にみた概略断面図(垂直方向の断面図)である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であるために、図2図4等にて作像部及び現像装置は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0024】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像装置13(現像部)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電の有機感光体であって、駆動モータによって時計方向に回転駆動される。
【0025】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン-プロピレン-ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブレードが設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0026】
現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に僅かな隙間をあけて対向するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0027】
図1を参照して、トナー容器28は、その内部に現像装置13内に供給するためのトナーTを収容している。具体的に、現像装置13に設置された磁気センサによって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、トナー搬送管を介して、トナー容器28から現像装置13内に向けてトナー補給口13eからトナーTを適宜に供給する。
なお、本実施の形態において用いられるトナーT(現像剤G中のトナー、トナー容器28中のトナーである。)や、キャリアC(現像剤G中のキャリア)は、公知のものを用いることができる。
【0028】
以下、画像形成装置1における現像装置13について詳述する。
図2図4等を参照して、現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13a、撹拌回転部材としての撹拌スクリュ13b1、13b2(搬送スクリュ)、現像剤規制部材としてのドクターブレード13c、等で構成されている。
現像ローラ13aは、アルミニウム、ステンレス、真鍮、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブ13a2が駆動機構としての駆動モータ51によって反時計方向に回転されるように構成されている。図3を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブ13a2の周面(周囲)に複数の磁極を形成するマグネット13a1が固設されている。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、現像ローラ13aの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、その位置で適量に規制された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0029】
詳しくは、汲上げ磁極が磁性体としてのキャリアに作用して、供給用搬送経路に収容された現像剤Gが現像ローラ13a上に汲上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード13cの位置で掻き取られて、供給用搬送経路に戻される。一方、汲上げ磁極による磁力が作用するドクターブレード13cの位置で、ドクターブレード13cと現像ローラ13aとのドクターギャップを通過して現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、主磁極の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム11に摺接する。こうして、現像ローラ13aに担持された現像剤G中のトナーTが感光体ドラム11上の潜像に付着する。その後、主磁極の位置を通過した現像剤Gは、複数の搬送磁極によって、上カバーとの間を搬送された後に、剤離れ磁極の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極の位置で、反発磁界(現像ローラ13aから離れる方向に作用する磁界である。)がキャリアに作用して、現像ローラ13a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ13aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、回収用搬送経路内に落下して第2撹拌スクリュ13b2によって回収用搬送経路の下流に向けて搬送される。
【0030】
図2等を参照して、現像剤規制部材としてのドクターブレード13cは、現像ローラ13aの下方に配置された非磁性の板状部材(その一部を磁性材料で形成することもできる。)である。ドクターブレード13cは、現像ローラ13aに対して下方で対向して、現像ローラ13aに担持される現像剤Gの量を規制する現像剤規制部材として機能する。
【0031】
そして、現像ローラ13aは図2の反時計方向に回転して、感光体ドラム11は図2の時計方向に回転する。
2つの撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)は、現像装置13内に収容された現像剤Gを幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1撹拌スクリュ13b1(供給用撹拌回転部材)は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを幅方向(回転軸方向)に水平に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)とともに、汲上げ磁極の位置で現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(B)の白矢印方向の供給である。)する。第1撹拌スクリュ13b1は、図2の反時計方向に回転する。
【0032】
第2撹拌スクリュ13b2(回収用撹拌回転部材)は、第1撹拌スクリュ13b1の上方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ磁極によって現像ローラ13a上から強制的に離脱された現像剤Gであって、図3(A)の白矢印方向に離脱するものある。)を幅方向に水平に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)。なお、本実施の形態では、第2撹拌スクリュ13b2の回転方向が、現像ローラ13aの回転方向に対して逆方向(図2の時計方向である。)になるように設定されている。
そして、第2撹拌スクリュ13b2は、第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路の下流側から第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路の上流側に第2中継部13gを介して搬送する(図3の一点鎖線矢印に示す搬送である。)。
2つの撹拌スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの撹拌スクリュ13b1、13b2は、いずれも、軸部にスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
【0033】
そして、2つの撹拌スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aとともに、ギア列によって1つの駆動系が形成されていて、駆動機構としての駆動モータ51によって回転駆動されるように構成されている。すなわち、制御部50によって駆動モータ51が駆動制御されることによって、2つの撹拌スクリュ13b1、13b2が、現像ローラ13aとともに回転駆動されることになる。
詳しくは、現像ローラ13aは、幅方向(図2の紙面垂直方向であって、図3の左右方向である。)の一端側の軸部に、駆動モータ51から駆動力が直接的に伝達されるカップリングが設けられている。また、現像ローラ13aの幅方向一端側の軸部にはギアが設置されていて、このギアがアイドラを介して、第1撹拌スクリュ13b1の幅方向一端側の軸部に設置されたギアに噛合している。また、第1撹拌スクリュ13b1の幅方向他端側の軸部には第1ギアが設置されていて、この第1ギアが、第2撹拌スクリュ13b2の幅方向他端側の軸部に設置された第2ギアに噛合している。
なお、本実施の形態では、現像装置を駆動する駆動モータ51(駆動機構)が、感光体ドラム11等を回転駆動する駆動モータとは別に、現像駆動モータとして独立して設けられている。そして、この駆動モータ51は、正逆双方向回転型のモータであって、現像装置13を逆転して駆動できるように構成されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0034】
ここで、第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路(供給用搬送経路)と、第2撹拌スクリュ13b2による搬送経路(回収用搬送経路)と、は壁部(仕切り部13d)によって隔絶されている。
図3及び図4(A)を参照して、第2撹拌スクリュ13b2による搬送経路(回収用搬送経路)の下流側と、第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路(供給用搬送経路)の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。第2撹拌スクリュ13b2による回収用搬送経路の下流側に達した現像剤Gが、第2中継部13gにて自重落下して、供給用搬送経路の上流側に達することになる。
また、図3及び図4(A)を参照して、第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第2撹拌スクリュ13b2による搬送経路の上流側と、は第1中継部13fを介して連通している。そして、第1撹拌スクリュ13b1による供給用搬送経路にて現像ローラ13a上に供給されなかった現像剤Gが、第1中継部13fの近傍に留まって盛り上がって、第1中継部13fを介して第2撹拌スクリュ13b2による回収用搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
なお、第1中継部13fにおける現像剤の搬送性(供給用搬送経路から回収用搬送経路への重力方向に逆らった現像剤の受け渡しである。)を向上させるために、第1撹拌スクリュ13b1の下流側の位置(第1中継部13fに対応する位置である。)に、パドル形状部や、スクリュの巻き方向が逆方向に形成されたスクリュ部、を設けることもできる。
【0035】
このような構成により、2つの撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)によって、現像装置13において現像剤Gを幅方向(長手方向)に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像装置13が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3及び図4(A)中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1撹拌スクリュ13b1による供給用搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2撹拌スクリュ13b2による回収用搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0036】
なお、第2撹拌スクリュ13b2による搬送経路中には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知する磁気センサが設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、トナー容器28からトナー補給口13e(第1中継部13fの近傍に配設されている。)を介して現像装置13内に向けて新品のトナーTが供給される。
また、図3図4(A)を参照して、トナー補給口13eは、第2撹拌スクリュ13b2による搬送経路の上流側の上方であって、現像領域から離れた位置(現像ローラ13aの幅方向の範囲の外側である。)に配設されている。このようにトナー補給口13eを第1中継部13fの近傍に設置することで、回収用搬送経路において、現像ローラ13aから離脱した現像剤が比重の小さい補給トナーの上方から降りかかり、回収用搬送経路の下流側に向けて比較的長い時間をかけて現像剤に対して補給トナーの分散・混合を充分におこなうことができる。
なお、本実施の形態では、トナー補給口13eを第2撹拌スクリュ13b2による回収用搬送経路中に配設したが、トナー補給口13eの位置はこれに限定されることなく、例えば、供給用搬送経路の上流側の上方に配置することもできる。
【0037】
以下、本実施の形態における画像形成装置1において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に図1図3等を用いて説明したように、画像形成装置1には、現像装置13や、駆動機構としての駆動モータ51などが設置されている。
この現像装置13は、画像形成装置本体1に対して着脱可能(交換可能)に設置されていて、所定の交換サイクルで新品のもの(リサイクル品も含むものとする。)に交換される。現像装置13が画像形成装置本体1に装着(セット)されると、駆動機構(駆動モータ51)から現像装置13への駆動伝達が可能な状態になり、現像装置13が画像形成装置本体1から取り出されると、駆動機構(駆動モータ51)から現像装置13への駆動伝達ができない状態になる。
【0038】
また、先に説明したように、現像装置13には、その内部に収容された現像剤Gを撹拌する撹拌回転部材としての撹拌スクリュ13b1、13b2(搬送スクリュ)や、感光体ドラム11(像担持体)に対向する現像ローラ13aなどが設置されている。
そして、駆動機構(駆動モータ51)は、撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)とともに現像ローラ13aを回転駆動するように構成されている。
【0039】
ここで、駆動機構としての駆動モータ51は、撹拌回転部材としての撹拌スクリュ13b1、13b2を正転・逆転可能に駆動するものである。具体的に、本実施の形態における駆動モータ51(駆動機構)は、正逆双方向回転型のモータであって、制御部50による制御によって、図2図5(B)に示すように撹拌スクリュ13b1、13b2を現像ローラ13aとともに正転させたり、図5(A)に示すように撹拌スクリュ13b1、13b2を現像ローラ13aとともに逆転させたりすることができるように構成されている。
【0040】
また、図2図5に示すように、本実施の形態における画像形成装置には、現像装置13が画像形成装置本体1にセットされた状態を検知する検知手段としてのリーダライタ55(情報読み書き手段)が設置されている。
詳しくは、現像装置13には、情報記憶媒体としてのRFID13rが設置されている。そして、装置本体1には、装置本体1にセットされた現像装置13のRFID13rに対向する位置に、リーダライタ55が固定設置されている。RFID13rには、現像装置13に関する種々の個別情報(製造年月日、製造ロット、使用履歴、稼働時間、リサイクル履歴などである。)が記憶されており、それらの情報がリーダライタ55によって適宜読み込まれたり書き換えられたりして、種々の制御に活用される。
【0041】
特に、本実施の形態では、リーダライタ55がRFID13rの信号を検知するか否かにより、装置本体1に現像装置13がセットされているか否かが制御部50で判別されることになる。
また、本実施の形態では、いずれかの画像形成装置で現像装置13が使用されると、その使用履歴に関する情報がリーダライタ55からRFID13rに書き込まれる。そのため、リーダライタ55の読み取りにより、装置本体1にセットされた現像装置13が新品(リサイクルにより新品化されたものも含む。)であるか否かが制御部50で判別されることになる。すなわち、リーダライタ55(検知手段)によって、未使用の現像装置13が初めて画像形成装置本体1にセットされた状態を検知できるように構成されている。
【0042】
ここで、本実施の形態では、所定の条件下でリーダライタ55(検知手段)によって現像装置13が画像形成装置本体1にセットされた状態が検知されたときに、駆動モータ51(駆動機構)による駆動によって撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)の逆転と正転とを交互に繰り返しおこなう「ウォーミングアップ動作(ウォーミングアップモード)」が実行される。
具体的に、本実施の形態では、未使用の現像装置13が初めて画像形成装置本体1にセットされた状態がリーダライタ55(検知手段)によって検知されたときに、その「ウォーミングアップ動作」が実行される。すなわち、いずれの画像形成装置でも使用されていない新品の現像装置13が初めて画像形成装置本体1にセットされた状態がリーダライタ55によって検知されたときに、画像形成動作(現像工程)が開始される前に、駆動モータ51の逆転・正転が繰り返されて、現像装置13(現像ローラ13a、撹拌スクリュ13b1、13b2)が正逆方向に駆動されることになる。
【0043】
このような「ウォーミングアップ動作(ウォーミングアップモード)」をおこなうのは、画像形成動作(作像工程)を開始する前に、現像装置13内の現像剤Gの偏りを正常な状態に均しておいて、良好な画像形成動作(現像工程)をおこなうためである。
ところが、図4(B)に示すように、内部に収容された現像剤Gが幅方向一端側に偏ってしまった状態の新品の現像装置13がそのまま装置本体1にセットされてしまい、駆動モータ51によって撹拌スクリュ13b1、13b2が正方向に回転駆動(正転)されてしまうと、駆動モータ51の起動トルク(主として、撹拌スクリュ13b1、13b2を回転駆動する負荷である。)が大きくなってしまう。そして、駆動モータ51の起動トルクが駆動可能な上限を超えてしまうと、駆動モータ51のロックが発生してしまうことになる。
これに対して、本実施の形態における「ウォーミングアップ動作」は、新品の現像装置13が画像形成装置本体1にセットされた直後に、いきなり撹拌スクリュ13b1、13b2を正転させるのではなくて、逆転と正転とを交互に繰り返しているため、駆動モータ51の起動トルクを急激に増大させることなく、現像装置13内の現像剤Gの偏りを解消することができる。すなわち、駆動モータ51のロックが生じることなく、現像装置13内の現像剤Gが正常な状態に均されることになる。具体的に、図4(B)の状態で撹拌スクリュ13b1、13b2が逆転されると、第1撹拌スクリュ13b1による搬送経路の現像剤Gは、現像剤Gが滞留した第1中継部13fをさらに滞留させる方向ではなくて、そこから離れる方向に搬送される。そのため、第1中継部13fの滞留が緩和されることになり、駆動モータ51の起動トルクを増大させることなく、現像装置13内の現像剤Gの偏りが解消される。
なお、ウォーミングアップ時に、撹拌スクリュ13b1、13b2の逆転のみを続けてしまうと、トナー補給口13eから現像剤Gが溢れ出てしまう不具合が生じやすくなるため、本実施の形態のように、撹拌スクリュ13b1、13b2の逆転と正転とを交互に繰り返すことが必要になる。
【0044】
ここで、本実施の形態では、上述した「ウォーミングアップ動作(ウォーミングアップモード)」において、撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)は、正転、逆転の順番ではなくて、逆転、正転の順番で交互に駆動される。すなわち、装置本体1にセットされた現像装置13は、最初に図5(A)に示すように逆転されて、次に図5(B)に示すように正転されて、その後もその順番(逆転、正転の順番)で繰り返し駆動されることになる。
このように最初に撹拌スクリュ13b1、13b2を逆転させることで、最初に撹拌スクリュ13b1、13b2を正転させる場合に比べて、駆動モータ51のロックを生じにくくすることができる。すなわち、図4(B)に示すように現像剤Gが幅方向一端側に極端に偏っている状態などに、最初に撹拌スクリュ13b1、13b2を正転させてしまうと、その一発目の正転で駆動モータ51をロックさせてしまう可能性がある。これに対して、一発目の始動を逆転とすることで、そのような不具合を生じにくくすることができる。
【0045】
また、本実施の形態における「ウォーミングアップ動作」において、撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)を逆転する時間T1が、正転する時間T2に比べて、長くなるように制御することもできる(T1>T2)。
このように制御することにより、逆転時間T1が正転時間T2以下に設定される場合に比べて、現像装置13内の現像剤Gを短い時間で正常状態に均すことができる。
なお、そのように逆転時間T1を長く設定する場合には、トナー補給口13eからの剤溢れが生じない範囲でおこなうことが好ましい。
【0046】
図6は、新品の現像装置13が装置本体1にセットされたときの制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、リーダライタ55によって新品の現像装置13が装置本体1にセットされているかが判別される(ステップS1)。その結果、新品の現像装置13がセットされていないものと判別された場合には上述した「ウォーミングアップ動作」をおこなわずに本フローを終了し、新品の現像装置13がセットされたものと判別された場合には上述した「ウォーミングアップ動作」がおこなわれる。
具体的に、まず、駆動モータ51の逆転駆動がおこなわれて、撹拌スクリュ13b1、13b2が現像ローラ13aとともに所定時間T1だけ逆転される(ステップS2)。続いて、駆動モータ51の正転駆動がおこなわれて、撹拌スクリュ13b1、13b2が現像ローラ13aとともに所定時間T2だけ正転される(ステップS3)。そして、そのような逆転・正転の周期が予め定められた回数(N回)おこなわれ(ステップS4)、「ウォーミングアップ動作」を終了する。
【0047】
<変形例1>
図7は、変形例1としての新品の現像装置13がセットされたときの制御を示すフローチャートであって、本実施の形態における図6に対応する図である。
変形例1における画像形成装置1には、図2図5(A)に示すように、撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)の回転時にかかるトルクを直接的又は間接的に検出するトルク検出手段としてのトルク検出部52が設けられている。詳しくは、変形例1において、トルク検出部52(トルク検出手段)は、駆動モータ51に流れる電流の大きさの変化から、撹拌スクリュ13b1、13b2の回転時にかかるトルクを間接的に検出するものである。具体的に、駆動モータ51に流れる電流が大きいときには撹拌スクリュ13b1、13b2のトルクが大きく、駆動モータ51に流れる電流が小さいときには撹拌スクリュ13b1、13b2のトルクが小さいものと判別される。
そして、変形例1では、リーダライタ55(検知手段)によって現像装置13が画像形成装置本体1にセットされた状態が検知されて、トルク検出部52(トルク検出手段)で検出されたトルクが所定値Aを超えたときに、本実施の形態と同様に「ウォーミングアップ動作」が実行される。
【0048】
詳しくは、変形例1では、図7に示すように、まず、リーダライタ55によって新品の現像装置13が装置本体1にセットされているかが判別される(ステップS1)。その結果、新品の現像装置13がセットされたものと判別された場合には、現像装置13をロックが生じない程度の僅かな時間だけ駆動(逆転が好ましい。)してトルク検出部52でトルクを検出して、そのトルクが所定値Aを超えているかを判別する(ステップS10)。
その結果、トルクが所定値Aを超えているものと判別された場合には、現像装置13内の現像剤Gに大きな偏りが生じているものとして、「ウォーミングアップ動作」がおこなわれる(ステップS2~S4)。これに対して、トルクが所定値Aを超えていないものと判別された場合には、現像装置13内の現像剤Gにほとんど偏りが生じていないものとして、「ウォーミングアップ動作」をおこなわずに、そのまま本フローを終了する。
このような制御をおこなう変形例1においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例1では、現像装置13内の現像剤Gに大きな偏りが生じているものと判断された場合にのみ「ウォーミングアップ動作」が実行されるため、必要でないときに「ウォーミングアップ動作」がおこなわれてユーザーの待ち時間が生じてしまう不具合を防止することができる。
【0049】
<変形例2>
図8は、変形例2としての新品の現像装置13がセットされたときの制御を示すフローチャートであって、前記変形例1における図7に対応する図である。
変形例2における画像形成装置1にも、変形例1のものと同様に、撹拌スクリュ13b1、13b2の回転時にかかるトルクを検出するトルク検出部52(トルク検出手段)が設けられている。
そして、変形例2では、トルク検出部52(トルク検出手段)で検出されるトルクが大きいときに、トルク検出部52で検出されるトルクが小さいときに比べて、「ウォーミングアップ動作」の実行時間が長くなるように制御される。
【0050】
詳しくは、変形例2では、図8に示すように、まず、リーダライタ55によって新品の現像装置13が装置本体1にセットされているかが判別される(ステップS1)。その結果、新品の現像装置13がセットされたものと判別された場合には、現像装置13をロックが生じない程度の僅かな時間だけ駆動(逆転が好ましい。)してトルク検出部52でトルクを検出して(ステップS20)、その検出結果からウォーミングアップ動作の実行時間(ステップS4のN回である。)を決定する(ステップS21)。具体的に、トルク検出部52で検出したトルクが大きいほど、現像装置13内の現像剤Gの偏りも大きいものとして、ウォーミングアップ時に駆動モータ51の逆転・正転を繰り返す回数(N回)が多くなるように設定する。
そして、ステップS21で決定された実行時間(N回)だけ、「ウォーミングアップ動作」がおこなわれる(ステップS2~S4)。
このような制御をおこなう変形例2においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例2では、現像装置13内の現像剤Gの偏りの大きさに応じて、「ウォーミングアップ動作」の実行時間を可変しているため、「ウォーミングアップ動作」が適正な時間おこなわれて、ユーザーに無駄な待ち時間が生じてしまう不具合を防止することができる。
【0051】
<変形例3>
図9は、変形例3としての、複数の現像装置13Y、13M、13C、13BKと複数の駆動機構51A、51Bとの関係を示す概略図である。
図9に示すように、変形例3における画像形成装置1には、複数の現像装置13Y、13M、13Cの撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)をそれぞれ駆動する第1の前記駆動機構としての第1駆動モータ51Aが設置されている。また、画像形成装置1には、その複数の現像装置13Y、13M、13Cよりも数の少ない現像装置13BKの撹拌スクリュ13b1、13b2を駆動する第2の前記駆動機構としての第2駆動モータ51Bが設置されている。
具体的に、変形例3における画像形成装置本体1は、本実施の形態のものと同様に、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の現像装置13Y、13M、13C、13BKが着脱可能に設置されている。そして、カラー用の3つの現像装置13Y、13M、13Cは、1つの駆動源(第1駆動モータ51A)によって複数のギア列を介して正転・逆転可能に駆動されるように構成されている。これに対して、ブラック用の1つの現像装置13BKは、第1駆動モータ51Aとは異なる駆動源(第2駆動モータ51B)によってギア列を介して正転・逆転可能に駆動されるように構成されている。
【0052】
そして、変形例3では、第1駆動モータ51A(第1の駆動機構)によって3つの現像装置13Y、13M、13Cでそれぞれおこなわれる「ウォーミングアップ動作」の実行時間(N回)が、第2駆動モータ51B(第2の駆動機構)によって1つの現像装置13BKでおこなわれる「ウォーミングアップ動作」の実行時間(N回)に比べて長くなるように制御される。
これは、3つの現像装置13Y、13M、13Cを駆動する第1駆動モータ51Aにかかる負荷は、1つの現像装置13BKを駆動する第2駆動モータ51Bにかかる負荷に比べて、もともと高くなっているため、現像装置13Y、13M、13Cに現像剤Gの大きな偏りが生じてしまうと第1駆動モータ51Aがロックしやすいためである。これに対して、変形例3では、3つの現像装置13Y、13M、13Cの「ウォーミングアップ動作」の実行時間を長目に設定しているため、そのような不具合が生じにくくなる。
変形例3においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、所定の条件下でリーダライタ55(検知手段)によって現像装置13が画像形成装置本体1にセットされた状態が検知されたときに、駆動モータ51(駆動機構)による駆動によって撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)の逆転と正転とを交互に繰り返しおこなう「ウォーミングアップ動作」が実行される。
これにより、画像形成装置本体1にセットされた現像装置13において撹拌スクリュ13b1、13b2を回転駆動する負荷が大きくなって駆動モータ51がロックしてしまう不具合が生じにくくなる。
【0054】
なお、本実施の形態では、回収スクリュとして機能する第2撹拌スクリュ13b2が供給スクリュとして機能する第1撹拌スクリュ13b1の上方に設置されて、ドクターブレード13cが現像ローラ13aの下方に設置された2成分現像方式の現像装置13に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の形態はこれに限定されることなく、例えば、回収スクリュとして機能する第2撹拌スクリュが供給スクリュとして機能する第1撹拌スクリュの下方に設置されてドクターブレードが現像ローラの上方に設置された2成分現像方式の現像装置や、複数の搬送部材が水平方向に並設された2成分現像方式の現像装置や、現像剤としてキャリアを含まないトナーのみを用いた1成分現像方式の現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、現像ローラ13aが感光体ドラム11(像担持体)に対して隙間をあけて対向するように配置された現像装置13に対して本発明を適用したが、現像ローラが像担持体に対して当接するように配置された接触式1成分現像方式の現像装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態においては、装置本体1に対して現像装置13が単体で着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、現像装置がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。その場合、作像部のメンテナンスの作業性が向上することになる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0056】
また、本実施の形態では、「ウォーミングアップ動作」が実行されるときに、現像ローラ13aとともに2つの撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)が正方向や逆方向に回転駆動されるように構成したが、現像ローラ13aは非回転として、2つの撹拌スクリュ13b1、13b2(撹拌回転部材)のみが正方向や逆方向に回転駆動されるように構成することもできる。その場合、現像ローラ13aを駆動する駆動系と、撹拌スクリュ13b1、13b2を駆動する駆動系と、が別々に構成されることになる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13、13Y、13M、13C、13BK 現像装置、
13a 現像ローラ(現像剤担持体)、
13b1 第1撹拌スクリュ(撹拌回転部材)、
13b2 第2撹拌スクリュ(撹拌回転部材)、
13c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
13r RFID(情報記憶媒体)、
51 駆動モータ(駆動機構)、
51A 第1駆動モータ(第1の駆動機構)、
51B 第2駆動モータ(第2の駆動機構)、
52 トルク検出部(トルク検出手段)、
55 リーダライタ(情報読み書き手段)、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【文献】特開2010-152098号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9