(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-28
(45)【発行日】2022-10-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
(21)【出願番号】P 2018133527
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 真人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 茂
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 充俊
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-216572(JP,A)
【文献】特開2015-072331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0165907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に回転可能に設けられ、現像極を有し、前記現像極の磁力によって担持する現像剤による現像を行う現像ローラと、を備え、
前記現像ローラは、前記現像ローラの周方向に間隔をあけて固定された複数の磁極部を備え、
前記複数の磁極部は、前記現像ローラが感光体ドラムと対向する位置に対して前記現像ローラの回転方向下流側であって、前記筐体の内部において前記現像ローラの回転方向最上流側に位置する筐体内最上流磁極部を含み、
前記筐体内最上流磁極部における前記現像剤の層厚は、0.6mm以上1.4mm以下であ
り、
前記現像ローラとの間に第1間隙を形成し、かつ前記筐体との間に第2間隙を形成して前記筐体に設けられ、前記現像極に対し、前記現像ローラの回転方向下流側に設けられる間隙形成部材と、
前記筐体の端部から前記現像ローラに向けて延出するガイド部と、が設けられ、
前記筐体と前記間隙形成部材との間には、
前記間隙形成部材に対して前記現像ローラの回転方向下流側に形成される第1開口と、
前記第1開口と前記第2間隙を通じて連通し、前記間隙形成部材に対して前記現像ローラの回転方向上流側に形成される第2開口と、が設けられ、
前記ガイド部は、前記第2開口を介して前記第2間隙から排出される気流を前記第1間隙に案内する画像形成装置。
【請求項2】
前記筐体内最上流磁極部における前記現像剤の層厚は、0.85mm以上1.4mm以下である
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記筐体内最上流磁極部における前記現像剤の層厚は、0.85mm以上1.1mm以下である
請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
無端状をなし、回転可能に設けられる中間転写体と、
前記中間転写体の回転方向に沿って設けられる複数の感光体ドラムと、を更に備え、
前記現像ローラは、前記複数の感光体ドラムのそれぞれと対向する位置に設けられる
請求項1から
3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Multi Function Peripheral(以下「MFP」という。)及びプリンタ等の画像形成装置がある。画像形成装置は、現像剤を収容する現像装置を備える。現像装置は、現像ローラを備える。現像ローラの回転に伴って、現像装置内に空気が入り込むと、現像装置内の圧力が高まる。現像装置内の圧力が高まると、現像装置内のトナーを含む空気が現像装置外に噴き出ることがある。トナーを含む空気が現像装置外に噴き出ると、現像装置外にトナーが飛散し、帯電器などの機能部品が汚れる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、現像装置外へのトナーの飛散を抑制することができる現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、筐体と、現像ローラと、を持つ。現像ローラは、前記筐体の内部に回転可能に設けられる。現像ローラは、現像極を有する。現像ローラは、前記現像極の磁力によって担持する現像剤による現像を行う。前記現像ローラは、前記現像ローラの周方向に間隔をあけて固定された複数の磁極部を備える。前記複数の磁極部は、筐体内最上流磁極部を含む。筐体内最上流磁極部は、前記現像ローラが感光体ドラムと対向する位置に対して前記現像ローラの回転方向下流側に位置する。筐体内最上流磁極部は、前記筐体の内部において前記現像ローラの回転方向最上流側に位置する。前記筐体内最上流磁極部における前記現像剤の層厚は、0.6mm以上1.4mm以下である。間隙形成部材は、前記現像ローラとの間に第1間隙を形成し、かつ前記筐体との間に第2間隙を形成して前記筐体に設けられる。間隙形成部材は、前記現像極に対し、前記現像ローラの回転方向下流側に設けられる。前記筐体の端部から前記現像ローラに向けて延出するガイド部が設けられる。前記筐体と前記間隙形成部材との間には、第1開口と、第2開口とが設けられる。第1開口は、前記間隙形成部材に対して前記現像ローラの回転方向下流側に形成される。第2開口は、前記第1開口と前記第2間隙を通じて連通し、前記間隙形成部材に対して前記現像ローラの回転方向上流側に形成される。前記ガイド部は、前記第2開口を介して前記第2間隙から排出される気流を前記第1間隙に案内する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の画像形成装置の一例を示す外観図。
【
図2】実施形態の画像形成装置の概略構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態の定着装置の概略構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態の現像装置の概略構成の一例を示す断面図。
【
図6】実施形態の遮蔽部材をケース本体とともに示す斜視図。
【
図10】実施形態の現像装置の周辺の空気の流れを説明するための側面図。
【
図11】実施形態の現像装置の周辺の空気の流れを説明するための平面図。
【
図12】実施形態の現像装置における空気の流れを説明するための断面図。
【
図13】現像装置におけるトナー飛散の一例を説明するための断面図。
【
図14】循環型の現像装置における空気の流れを説明するための断面図。
【
図15】感光体と現像ローラとの間隔が閾値よりも小さいときの説明図。
【
図16】感光体と現像ローラとの間隔が閾値よりも大きいときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成については同一の符号を付す。
【0008】
図1は、実施形態の画像形成装置1の一例を示す外観図である。例えば、画像形成装置1は複合機(MFP)である。画像形成装置1は、用紙などのシート状の記録媒体(以下「シート」という。)上に形成された画像を読み取ってデジタルデータ(画像ファイル)を生成する。画像形成装置1は、デジタルデータに基づいて、トナーを用いてシート上に画像を形成する。
【0009】
画像形成装置1は、表示部110、画像読取部120、画像形成部130及びシートトレイ140を備える。
表示部110は、出力インターフェースとして動作し、文字や画像の表示を行う。表示部110は、入力インターフェースとしても動作し、ユーザから指示を受け付ける。例えば、表示部110は、タッチパネル式の液晶ディスプレイである。
【0010】
例えば、画像読取部120は、カラースキャナである。カラースキャナには、Contact Image Sensor(CIS)やCharge Coupled Devices(CCD)等がある。画像読取部120は、センサを用いて、シート上に形成されている画像を読み取り、デジタルデータを生成する。
【0011】
画像形成部130は、トナーを用いてシート上に画像を形成する。画像形成部130は、画像読取部120によって読み取られた画像データ又は外部機器から受信した画像データに基づいて画像を形成する。例えば、シート上に形成される画像は、ハードコピー、プリントアウト等と称される出力画像である。
シートトレイ140は、画像出力に用いられるシートを画像形成部130に対して供給する。
【0012】
図2は、実施形態の画像形成装置1の概略構成の一例を示す図である。画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置1は、5連タンデム型の画像形成装置である。
【0013】
トナーの例として、消色トナー、非消色トナー(通常のトナー)、加飾性トナー等がある。消色トナーは、外的刺激によって消色する特性をもつ。「消色」とは、用紙の下地の色とは異なる色(有彩色のみならず白色および黒色等の無彩色を含む)で形成された画像を視覚的に見えなくすることを意味する。例えば、外的刺激とは、温度、特定波長の光、圧力である。実施形態において、消色トナーは特定の消色温度以上に達すると消色する。消色トナーは、消色した後に特定の復元温度以下に達すると発色する。
【0014】
消色トナーは、上述した特性を持つものであればどのようなトナーが使用されてもよい。例えば、消色トナーの色剤は、ロイコ染料でもよい。消色トナーは、顕色剤や消色剤、変色温度調節剤などを適宜組み合わせてもよい。
また、消色トナーの定着温度は、非消色トナーの定着温度に比べて低い。ここで、消色トナーの定着温度は、後述する消色トナーモード時のヒートローラ40の温度を意味する。非消色トナーの定着温度は、後述するモノクロトナーモード時又はカラートナーモード時のヒートローラ40の温度を意味する。
消色トナーの定着温度は、消色トナーの消色処理の温度に比べて低い。ここで、消色トナーの消色処理の温度は、後述する消色モード時のヒートローラ40の温度を意味する。
【0015】
画像形成装置1は、スキャナ部2、画像処理部3、露光部4、中間転写体10、クリーニングブレード11、作像部12~16、一次転写ローラ17-1~17-5、給紙部20、二次転写部30、定着装置32、排紙部33及び制御部(不図示)を備える。以下、いずれの一次転写ローラであるかを区別しないときは、単に一次転写ローラ17と表記する。
なお、以下の説明において、シートは給紙部20から排紙部33へと搬送されるため、給紙部20側をシート搬送方向Vsに対しての上流側とし、排紙部33側をシート搬送方向Vsに対しての下流側とする。
【0016】
画像形成装置1における転写には、第1転写工程及び第2転写工程がある。第1転写工程では、一次転写ローラ17は、各作像部の感光体ドラム上のトナーによる画像を中間転写体10に転写する。第2転写工程では、二次転写部30は、中間転写体10上に積層された各色のトナーによって画像をシートに転写する。
【0017】
スキャナ部2は、スキャニング対象となっているシート上に形成されている画像を読み取る。例えば、スキャナ部2は、シート上の画像を読み取り、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の三原色の画像データを生成する。スキャナ部2は、生成した画像データを画像処理部3に出力する。
【0018】
画像処理部3は、画像データを各色の色信号に変換する。例えば、画像処理部3は、画像データを、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像データ(色信号)に変換する。画像処理部3は、各色の色信号に基づいて、露光部4を制御する。
【0019】
露光部4は、作像部の感光体ドラムに光を照射する(露光する)。露光部4は、レーザ、LED等の露光光源を備える。
中間転写体10は、無端状のベルトである。中間転写体10は、
図2の矢印A方向に回転している。中間転写体10の表面にはトナーの画像が形成される。
クリーニングブレード11は、中間転写体10上に付着しているトナーを除去する。例えば、クリーニングブレード11は、板状の部材である。例えば、クリーニングブレード11は、ウレタン樹脂などの樹脂製である。
【0020】
作像部12~16は、各色(
図2に示す例では5色)のトナーを用いて画像を形成する。作像部12~16は、中間転写体10に沿って順に設置されている。
一次転写ローラ17(17-1~17-5)は、各作像部12~16が形成したトナーによる画像を中間転写体10に転写する際に利用される。
給紙部20は、シートを給紙する。
【0021】
二次転写部30は、二次転写ローラ30a及び二次転写対向ローラ30bを備える。二次転写部30は、中間転写体10上に形成されたトナーによる画像をシートに転写する。
二次転写部30においては、中間転写体10と二次転写ローラ30aとが接触している。なお、用紙詰まりを改善する点においては、中間転写体10と二次転写ローラ30aとが離間可能に構成されていてもよい。
【0022】
定着装置32は、シート上に転写されたトナーによる画像を加熱及び加圧によってシートに定着させる。定着装置32によって画像が形成されたシートは、排紙部33から装置外部に排出される。
【0023】
次に、作像部12~16について説明する。作像部12~15は、カラー印刷用の四色に対応した各色のトナーをそれぞれ収容している。カラー印刷用の四色とは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の色である。カラー印刷用の四色のトナーは、非消色のトナーである。作像部16は、消色トナーを収容する。作像部12~15と作像部16とは、収容するトナーが異なるものの構成は同じである。そこで、作像部12~16を代表して作像部12について説明し、他の作像部13~16についての説明は省略する。
【0024】
作像部12は、現像装置12a、感光体ドラム12b、帯電器12c及びクリーニングブレード12dを備える。
現像装置12aは、現像剤を収容している。現像剤には、トナーが含まれる。現像装置12aは、感光体ドラム12bにトナーを付着させる。例えば、トナーは、一成分現像剤として、あるいは、キャリアと組み合わせて二成分現像剤として用いられる。例えば、キャリアは、粒径数十μmの鉄粉又はポリマーフェライト粒子が用いられる。実施形態においては、非磁性のトナーが含まれる二成分現像剤を用いている。
感光体ドラム12bは、像担持体(像担持手段)の具体例の一つである。感光体ドラム12bは、外周面上に感光体(感光領域)を持つ。例えば、感光体は、有機光伝導体(OPC)である。
帯電器12cは、感光体ドラム12bの表面を一様に帯電させる。
クリーニングブレード12dは、感光体ドラム12b上に付着しているトナーを除去する。
【0025】
次に、作像部12の動作の概略について説明する。
感光体ドラム12bは、帯電器12cによって所定の電位に帯電される。次に、露光部4から感光体ドラム12bに光が照射される。これによって、感光体ドラム12bにおいて光が照射された領域の電位が変化する。この変化によって、感光体ドラム12bの表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム12bの表面上の静電潜像は、現像装置12aの現像剤によって現像される。すなわち、感光体ドラム12bの表面上に、トナーによって現像された画像(以下「現像画像」という。)が形成される。
感光体ドラム12bの表面上に形成された現像画像は、感光体ドラム12bと対向する一次転写ローラ17-1によって、中間転写体10上に転写される(第1転写工程)。
【0026】
次に、画像形成装置1における第1転写工程について説明する。まず、感光体ドラム12bと対向する一次転写ローラ17-1は、感光体ドラム12b上の現像画像を中間転写体10に転写する。次に、感光体ドラム13bと対向する一次転写ローラ17-2は、感光体ドラム13b上の現像画像を中間転写体10に転写する。このような処理が、感光体ドラム14b、15b及び16bにおいても行われる。このとき、各感光体ドラム12b~16b上の現像画像は、互いに重なるように中間転写体10に転写される。そのため、作像部16を通り過ぎた後の中間転写体10の上には、各色のトナーによる現像画像が重ねて転写されている。
【0027】
ただし、非消色トナーのみを用いた画像形成が行われる場合には、作像部12~15が動作する。このような動作によって、非消色トナーのみを用いた現像画像が中間転写体10に形成される。また、消色トナーのみを用いた画像形成が行われる場合には、作像部16が動作する。このような動作によって、消色トナーのみを用いた現像画像が中間転写体10に形成される。
【0028】
次に、第2転写工程について説明する。二次転写対向ローラ30bには電圧(バイアス)が印加されている。そのため、二次転写対向ローラ30b及び二次転写ローラ30aの間に電界が生じている。この電界によって、二次転写部30は、中間転写体10上に形成された現像画像をシートに転写する。
【0029】
次に、定着装置32について説明する。
図3は、実施形態の定着装置32の概略構成の一例を示す図である。
図3に示すように、定着装置32は、ヒートローラ40(加熱部)及び加圧ユニット50を備える。
【0030】
まず、加熱ユニットであるヒートローラ40について説明する。
ヒートローラ40は、シート搬送方向Vsにおいて画像形成部130(具体的には、
図2に示す二次転写部30)よりも下流側に配置される。ヒートローラ40は、後述する2つの目標温度で駆動する。ヒートローラ40は、無端状の定着部材である。ヒートローラ40は、湾曲した外周面を有する。すなわち、ヒートローラ40は、円筒状をなす。ヒートローラ40は、金属製のローラを有する。例えば、ヒートローラ40は、アルミニウム製のローラの外周面に、フッ素樹脂等の樹脂層を有する。ヒートローラ40は、第1軸40aを中心に回転可能である。ここで、第1軸40aは、ヒートローラ40の中心軸(回転軸)を意味する。
【0031】
なお、定着装置32は、ヒートローラ40を加熱する熱源(不図示)を更に備える。例えば、熱源は、サーマルヘッド等の抵抗発熱体、セラミックヒータ、ハロゲンランプ、電磁誘導加熱ユニット等であってもよい。熱源の位置は、ヒートローラ40の内部に配置されてもよいし、外部に配置されてもよい。
【0032】
次に、加圧ユニット50について説明する。
加圧ユニット50は、複数のローラ51,52、ベルト53(回転体)及び加圧パッド54(加圧部材)を備える。
複数のローラ51,52は、ベルト53内に配置される。実施形態において、複数のローラ51,52は、第1ローラ51と第2ローラ52とから構成される。なお、複数のローラ51,52は、同一のローラであってもよいし、異なるローラであってもよい。
【0033】
複数のローラ51,52は、第1軸40aに平行な複数の回転軸51a,52aを中心にそれぞれ回転可能である。複数のローラ51,52は、ニップ41の形成に寄与する位置に配置される。
第1ローラ51は、第2ローラ52よりもシート搬送方向Vs上流側に配置される。第1ローラ51は、円柱状をなす。例えば、第1ローラ51は、鉄等の金属製のローラである。第1ローラ51は、第1軸40aに平行な第1回転軸51aを中心に回転可能である。ここで、第1回転軸51aは、第1ローラ51の中心軸を意味する。
第2ローラ52は、第1ローラ51よりもシート搬送方向Vs下流側に配置される。第2ローラ52は、円柱状をなす。例えば、第2ローラ52は、鉄等の金属製のローラである。第2ローラ52は、第1軸40aに平行な第2回転軸52aを中心に回転可能である。ここで、第2回転軸52aは、第2ローラ52の中心軸を意味する。
【0034】
ベルト53は、ヒートローラ40に対向する。ベルト53は、第1ローラ51と、第2ローラ52とに架け渡される。ベルト53は、無端状をなす。
ベルト53は、基層53aと、離型層(不図示)とを備える。例えば、基層53aは、ポリイミド樹脂(PI)により形成する。例えば、離型層は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)等のフッ素樹脂により形成する。なお、ベルト53の層構造は限定されない。ベルト53には、フィルム状部材が含まれる。
【0035】
加圧パッド54は、直方体状をなす。例えば、加圧パッド54は、耐熱性のポリフェニレンサルファド樹脂(PPS)、液晶ポリマ(LCP)、フェノール樹脂(PF)等の樹脂材料により形成する。加圧パッド54は、ベルト53を挟んでヒートローラ40と対向する位置に配置される。加圧パッド54は、バネ等の付勢部材(不図示)によって、ヒートローラ40に向けて付勢されている。加圧パッド54は、ベルト53の内周面に当接してベルト53をヒートローラ40に押し当てニップ41を形成する。すなわち、加圧パッド54がベルト53の内周面をヒートローラ40側に押圧することによって、ベルト53とヒートローラ40との間にニップ41を形成する。
【0036】
次に、ヒートローラ40等の回転方向について説明する。
ヒートローラ40は、モータ(図示略)により矢印R1方向に回転する。すなわち、ヒートローラ40は、加圧ユニット50に独立して、矢印R1方向に回転する。
ベルト53は、ヒートローラ40に従動して、矢印R2方向に回転する。すなわち、ベルト53は、矢印R1方向に回転するヒートローラ40の外周面に当接することによって、従動して回転する。
第1ローラ51は、ベルト53に従動して、矢印R3方向に回転する。第2ローラ52は、ベルト53に従動して、矢印R4方向に回転する。すなわち、第1ローラ51及び第2ローラ52は、矢印R2方向に回転するベルト53の内周面に当接することによって、従動して回転する。
【0037】
次に、実施形態の画像形成装置1(
図1参照)によって実行される画像形成処理の種類について説明する。画像形成装置1は、以下に示す3つのモードで印刷を実行する。
・モノクロトナーモード:非消色の黒単色のトナーで画像を形成する。
・カラートナーモード:非消色のモノクロトナー及びカラートナーで画像を形成する。
・消色トナーモード:消色トナーのみで画像を形成する。
いずれのモードで画像形成を行うかは、ユーザが画像形成装置1の表示部110を操作することによって選択可能である。
【0038】
モノクロトナーモードでは、ブラック(K)の非消色トナーを用いた作像部が動作することによって画像が形成される。モノクロトナーモードは、一般的なモノクロ画像をユーザが印刷したい場合に選択されるモードである。例えば、重要な資料等で紙を再利用せずに保管しておきたい場合などに用いられる。
カラートナーモードでは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)それぞれの非消色トナーを用いた4つの作像部が動作することによって画像が形成される。カラートナーモードは、カラー画像をユーザが印字したい場合に選択されるモードである。
消色トナーモードでは、消色トナーを用いた作像部のみが動作することによって画像が形成される。消色トナーモードは、画像形成された紙を再利用した場合に選択されるモードである。
【0039】
定着装置32は、定着モードと消色モードとに制御される。定着モードでは、トナー像をシートに定着する。消色モードでは、トナー像をシートから消色する。消色モードでは、ヒートローラ40の温度を定着モード時よりも高くする。すなわち、制御部(不図示)は、定着装置32を少なくとも2以上の目標温度で動作させる。具体的に、メモリ(不図示)に定着装置32の目標温度を2つ記憶する。制御部は、選択されたモードに応じて、メモリから目標温度を呼び出し、定着装置32を動作させる。2つの目標温度は、第1温度と、第2温度とである。ここで、第1温度は、消色モード時の温度である。第2温度は、定着モード時の温度である。すなわち、第2温度は、第1温度よりも低い温度である。なお、
図1に示すように、表示部110は、定着装置32を消色モードから定着モードに切り替えさせるボタン150(操作部)を備える。
【0040】
次に、現像装置12aについて説明する。
図4は、実施形態の現像装置12aの概略構成の一例を示す断面図である。
図4においては、断面ハッチを省略している。
図4に示すように、現像装置12aは、筐体60、第1ミキサ61、第2ミキサ62、現像ローラ63、シールド部64、間隙形成部材71、遮蔽部材72およびガイド部74を備える。
【0041】
筐体60は、現像剤を収容している。現像剤は、磁性体であるキャリアと、着色材としてのトナーとからなる。筐体60の内部には、第1ミキサ61および第2ミキサ62が配置されている。筐体60において感光体ドラム12b(
図2参照)と対向する側には、現像ローラ63の一部を露出させる開口部60hが形成されている。本実施形態では、筐体60は、現像装置12aを構成するものであるが、現像装置12a以外の画像形成装置1としてのフレームを含むものであってもよい。また、筐体60と間隙形成部材71とは、一体成型としても別部材としてもよい。
【0042】
図5は、
図4のV矢視図である。
図5においては、間隙形成部材71および遮蔽部材72などの図示を省略している。
図5に示すように、第1ミキサ61と第2ミキサ62とは、互いに平行に配置されている。第1ミキサ61は、現像剤を攪拌する現像剤攪拌部として機能する。第2ミキサ62は、現像剤を供給する現像剤供給部として機能する。
【0043】
筐体60には、第1ミキサ61が配置される第1室60aが形成されている。筐体60には、第2ミキサ62が配置される第2室60bが形成されている。筐体60には、第1室60aと第2室60bとを区画する隔壁65が設けられている。第1室60aおよび第2室60bは、隔壁65を挟んで隣り合う。筐体60において現像ローラ63の回転軸方向Vgの両側には、第1室60aと第2室60bとの間で現像剤を循環させるための側部開口60c,60dが形成されている。以下、現像ローラ63の回転軸方向Vgを「ローラ軸方向Vg」ともいう。
【0044】
図4に示すように、現像ローラ63は、筐体60に回転可能に設けられている。現像ローラ63は、現像剤を磁性体の磁力で担持している。現像ローラ63は、開口部60hを介して感光体ドラム12b(
図2参照)と対向する。現像ローラ63は、第2室60bの側に配置されている。
【0045】
現像ローラ63は、軸部63aと、複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2と、スリーブ63bと、を備える。
軸部63aは、ローラ軸方向Vg(
図5参照)に延在する。軸部63aの両端部は、筐体60に固定されている。
【0046】
複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2は、軸部63aに固定されている。複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2は、軸部63aの周方向に間隔をあけて定位置で固定されている。例えば、複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2は、磁石である。
【0047】
複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2は、現像極N1、第1搬送極S1、剥離極N2、掴み極N3および第2搬送極S2である。現像極N1は、現像ローラ63上に担持する現像剤を感光体ドラム12b(
図2参照)に近接させるようスリーブ63bを挟んで感光体ドラム12bと対向する。複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2は、現像極N1を基準として、現像ローラ63の回転方向J1下流へ、第1搬送極S1、剥離極N2、掴み極N3、第2搬送極S2の順に配置されている。以下、現像ローラ63の回転方向J1を「ローラ回転方向J1」ともいう。現像極N1、剥離極N2および掴み極N3は、N極である。第1搬送極S1および第2搬送極S2は、S極である。
【0048】
第1搬送極S1は、筐体60の内部においてローラ回転方向J1最上流側に位置する筐体内最上流磁極部である。第1搬送極S1は、現像ローラ63が感光体ドラム12b(
図2参照)と対向する位置に対してローラ回転方向J1下流側であって、筐体60の内部においてローラ回転方向J1最上流側に位置する。
【0049】
スリーブ63bは、軸部63aと複数の磁極部N1,S1,N2,N3,S2とを内包する円筒状をなす。スリーブ63bは、不図示の駆動源によって回転可能である。スリーブ63bは反時計回り(矢印J1方向)に回転する。感光体ドラム12b(
図2参照)は、スリーブ63bの回転方向J1(ローラ回転方向J1)に沿って時計回りに回転する。
【0050】
現像剤は、スリーブ63bの回転とともに現像ローラ63上を移動する。現像剤は、磁極部N1,S1,N2,N3,S2上を通過する際に磁力によって穂立つ。現像剤が穂立つことによって、現像剤からトナーが分離されてトナークラウドが生じる。トナークラウドは、トナー飛散の一因となる。
【0051】
現像剤は、掴み部N3の磁力によって現像ローラ63に付着する。現像ローラ63に付着した現像剤は、第2搬送極S2を経て現像極N1へと搬送される。現像極N1は、現像領域を形成する。現像領域において、現像ローラ63から感光体ドラム12b(
図2参照)に向けて現像剤に含まれるトナーが移動する。トナーによって感光体ドラム12bの表面上には、現像画像が形成される。感光体ドラム12bの表面上に現像画像が形成された後、現像剤は、第1搬送極S1を経て剥離極N2へと搬送される。剥離極N2と掴み極N3との磁力の反発によって、現像ローラ63に付着している現像剤は剥離される。
【0052】
筐体60における開口部60hのドクターブレード66は、現像ローラ63に担持される現像剤の層厚を規制する。
【0053】
シールド部64は、現像装置12aから感光体ドラム12b(
図2参照)への空気の流れを遮断する。シールド部64は、ドクターブレード66と感光体ドラム12bとの間に設けられている。シールド部64は、ドクターブレード66と現像ローラ63との隙間を塞ぐように筐体60から延出している。
【0054】
間隙形成部材71は、現像ローラ63との間に第1間隙G1を形成する。間隙形成部材71は、第1間隙G1を介して現像ローラ63と対向している。間隙形成部材71は、現像ローラ63を挟んで第2ミキサ62とは反対側に位置する。間隙形成部材71は、筐体60との間に第2間隙G2を形成する。間隙形成部材71は、第2間隙G2を介して筐体60と対向している。以下、筐体60のうち第2間隙G2を介して間隙形成部材71と対面する部分73を「ケース本体73」ともいう。間隙形成部材71は、ローラ軸方向Vg(
図6参照)に延在する。
【0055】
図6は、実施形態の遮蔽部材72をケース本体73とともに示す斜視図である。
図7は、実施形態のケース本体73を示す斜視図である。
図7に示すように、ケース本体73には、保持部81および係合部93が設けられている。例えば、ケース本体73、保持部81および係合部93は、同一の部材で一体に形成されている。
【0056】
ケース本体73は、ローラ軸方向Vgに延在する板状をなす。保持部81は、ケース本体73から間隙形成部材71(
図4参照)に向けて延出して間隙形成部材71を保持する。保持部81は、ローラ軸方向Vgに間隔をあけて配置された複数のリブ82を備える。複数のリブ82のうちローラ軸方向Vg外側のリブ82には、切欠き82hが形成されている。
【0057】
図4に示すように、遮断部材72は、第1間隙G1に配置されている。遮蔽部材72は、間隙形成部材71と現像ローラ63との間に設けられている。遮蔽部材72は、現像極N1に対し、ローラ回転方向J1下流側に設けられている。遮断部材72は、ループ状をなす。遮蔽部材72は、間隙形成部材71に支持されている。
図6に示すように、遮蔽部材72は、ローラ軸方向Vgに延在している。遮蔽部材72は、間隙形成部材71を介してリブ82に取り付けられている。例えば、間隙形成部材71には、不図示の両面テープが設けられている。例えば、遮蔽部材72は、間隙形成部材71の両面テープによってリブ82に取り付けられている。
【0058】
図4に示すように、遮蔽部材72の一部が現像ローラ63と接触配置されることによって、現像ローラ63の回転に伴い、遮蔽部材72は、現像装置12a内へ流れ込む気流を壁となって遮蔽する。第1間隙G1は、現像ローラ63と間隙形成部材71との間の間隙である。遮蔽部材72は、第1間隙G1を介して筐体60内から筐体60外へ出ようとローラ回転方向J1と逆流するトナーを含む風の流れを遮る弁の機能を有する。遮蔽部材72は、現像ローラ63の現像搬送を妨げない程度の低い圧力で現像ローラ63上の現像剤層(不図示)に接触している。遮蔽部材72は、完全に気流の流れを妨げるものではないが、気流の流れを律速する。遮蔽部材72は、間隙形成部材71の周囲を循環する気流を発生させ、発生した気流が中心となって現像装置12a内を流れることに寄与する。遮蔽部材72は、現像ローラ63に向けて凸をなすように湾曲している。遮蔽部材72は、柔軟性を有する。例えば、遮蔽部材72は、ウレタンなどの弾性体である。
【0059】
遮蔽部材72は、筐体60の内部において筐体内最上流磁極部である第1搬送極S1と対向する対向位置に配置されている。遮蔽部材72は、現像ローラ63の法線方向において第1搬送極S1と重なる位置に配置されている。言い換えると、遮蔽部材72は、ローラ回転方向J1において第1搬送極S1上に配置されている。
【0060】
遮蔽部材72におけるローラ回転方向J1上流側であって現像ローラ63と対向する部分には、遮蔽部材72が現像剤層(不図示)と接触する位置に向けて傾斜する傾斜面72aが設けられている。例えば、傾斜面72aは、現像ローラ63の接線に対し1度以上45度以下の角度をなす。
【0061】
ケース本体73と間隙形成部材71との間には、第1開口E1と第2開口E2とが設けられている。
第1開口E1は、間隙形成部材71に対してローラ回転方向J1下流側に形成されている。第1開口E1は、第2間隙G2におけるローラ回転方向J1下流側に位置する。
第2開口E2は、第1開口E1と第2間隙G2を通じて連通する。第2開口E2は、間隙形成部材71に対してローラ回転方向J1上流側に形成されている。第2開口E2は、第2間隙G2におけるローラ回転方向J1上流側に位置する。
遮蔽部材72に対してローラ回転方向J1下流側には、第3開口E3が形成されている。第3開口E3は、第1間隙G1におけるローラ回転方向J1下流側に連通する。第3開口E3は、剥離極N2の近傍に位置する。
遮蔽部材72に対してローラ回転方向J1上流側には、第4開口E4が形成されている。第4開口E4は、第1間隙G1におけるローラ回転方向J1上流側に連通する。
遮蔽部材72を通過した気流の一部は、第3開口E3から第1開口E1へ流れる。第1開口E1へ流れた気流は、第2開口E2へ流れ、第4開口E4を経て、再び現像ローラ63の回転に伴い遮蔽部材72を通過する。つまり、間隙形成部材71の周囲には、循環気流が形成される。間隙形成部材71は、気流の流れを決定付ける気流方向の調整機能を有する。ここで、ローラ軸方向Vgにおいて、第1開口E1の幅をW1、第2開口E2の幅をW2、第3開口E3の幅をW3とする。気流をスムーズに循環させるためには、各開口E1,E2,E3の幅W1,W2,W3が、W3>W1>W2の関係を有することが望ましい。言い換えると、第3開口E3から第1開口E1を経て第2開口E2に向かうほど流路の開口面積が小さくなることが望ましい。
【0062】
ケース本体73は、間隙形成部材71を挟んで現像ローラ63とは反対側に設けられる。第2間隙G2は、ケース本体73と間隙形成部材71との間に形成される。第2間隙G2は、ローラ回転方向J1に沿う。第2間隙G2は、第1開口E1および第3開口E3ならびに第2開口E2および第4開口E4を介して第1間隙G1と連通する。
【0063】
図8は、実施形態の保持部81の一例を示す平面図である。
図8は、保持部81を間隙形成部材71(
図7参照)の側から見た図である。
図8においては、遮蔽部材72を二点鎖線で示している。
図8に示すように、保持部81は、ローラ軸方向Vgに間隔をあけて配置された複数のリブ82を備える。複数のリブ82は、間隙形成部材71(
図7参照)の側から見て、ローラ軸方向Vgと直交する方向に直線状に延在する。複数のリブ82によって、第1開口E1と第2開口E2とを連通する複数の空間G2aが形成されている。複数のリブ82は、第2間隙G2(
図4参照)を区画し、複数の空間G2aを形成する。複数のリブ82のうちローラ軸方向Vg外側のリブ82には、ローラ軸方向Vgと平行な方向に開口する切欠き82hが形成されている。切欠き82hは、リブ82を挟んで隣り合う複数の空間G2aを連通する。
図8の例では、リブ82に1つの切欠き82hが形成されている。
【0064】
第1開口E1及び第2開口E2は、ローラ軸方向Vgに連続している。実施形態において、第1開口E1の幅W1は、現像ローラ63(
図5参照)の幅と同じである。現像ローラ63(
図5参照)の幅は、ローラ軸方向Vgにおける現像ローラ63の長さである。例えば、第1開口E1の幅W1は、310mm程度である。
【0065】
ローラ軸方向Vgにおいて、第1開口E1の幅W1は、第2開口E2の幅W2よりも大きい(W1>W2)。例えば、第1開口E1の幅W1と第2開口E2の幅W2との比W2/W1は、0.5以上0.8以下である。
【0066】
以下、保持部81の延出方向(高さ方向)における第1開口E1の長さZ1を「第1開口E1の高さZ1」、保持部81の延出方向(高さ方向)における第2開口E2の長さZ2を「第2開口E2の高さZ2」ともいう。言い換えると、保持部81の延出方向は、ローラ軸方向Vgと直交する方向であって、間隙形成部材71とケース本体73との対向方向である。第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2は、互いに対面するケース本体73と間隙形成部材71との間隔で特定される。
例えば、第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2は、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましい。第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2は、1.0mm以上であることがさらに好ましい。
【0067】
図4に示すように、係合部93は、ケース本体73から筐体60の凹部60iに入り込むように延出している。係合部93によって、ケース本体73は、筐体60に脱着可能に取り付けられる。筐体60には、凹部60iを形成する壁部79が設けられる。壁部79は、間隙形成部材71との間で第1開口E1と第3開口E3との連通路を形成する。
【0068】
図6に示すように、ケース本体73は、間隙形成部材71および遮蔽部材72とともにカバーユニット70を構成する。
図4に示すように、カバーユニット70は、現像ローラ63を第2ミキサ62とは反対側から覆う。カバーユニット70は、係合部93によって、筐体60に脱着可能に取り付けられる。
【0069】
ガイド部74は、第2開口E2を介して第2間隙G2から排出される気流を遮蔽部材72と現像ローラ63との間に向ける。ガイド部74は、第2開口E2を介して第2間隙G2から排出される空気を第1間隙G1に案内する。ガイド部74は、第4開口E4を介して間隙形成部材71と対向するガイド面74aを有する。ガイド面74aは、ガイド部74によって案内される気流と接触するガイド部74の内面である。ガイド部74は、筐体60における第2開口E2の近傍の端部から現像ローラ63に向けて延出している。ガイド部74は、ケース本体73における開口部60hの側の端部から現像ローラ63に向けて延出している。例えば、ガイド部74は、ケース本体73と同一の部材で一体に形成されている。ガイド部74の先端は、現像ローラ63から離反している。ガイド部74の先端と現像ローラ63との間には、隙間74hが形成されている。
【0070】
図9は、実施形態のガイド部74の一例を示す断面図である。
図9は、
図4の要部拡大図である。
図9に示すように、基準線である第1仮想直線L1と、ガイド面74aを通る第2仮想直線L2とを設定する。第1仮想直線L1は、第2仮想直線L2と現像ローラ63との交点P1と、現像ローラ63の回転中心Cpとを通る仮想直線である。以下、ローラ軸方向Vg(
図5参照)から見て、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とのなす角度D1を「ガイド面の角度D1」ともいう。
【0071】
第1仮想直線L1を基準として第2仮想直線L2がローラ回転方向J1上流側に振れる向きをプラスとする。ガイド面の角度D1は、第1仮想直線L1を基準として第2仮想直線を時計回りに振ったときの角度(プラスの角度)である。ガイド面の角度D1は、プラス30度以上90度以下であることが好ましい。ガイド面の角度D1は、プラス45度以上であることがさらに好ましい。
【0072】
次に、現像装置の周辺の空気の流れを説明する。
図10は、実施形態の現像装置の周辺の空気の流れを説明するための側面図である。
図11は、実施形態の現像装置の周辺の空気の流れを説明するための平面図である。
図10及び
図11においては、現像装置12aよりも中間転写体10の回転方向(矢印A1方向)下流側に位置する現像装置13aの周辺の空気の流れを説明する。
図10に示すように、現像装置13aの周辺の空気は、現像装置13aと中間転写体10との間の空間を矢印A2方向に流れる。
【0073】
図11に示すように、現像装置13aと中間転写体10(
図10参照)との間の空間において、ローラ軸方向Vgの中央部の領域AR1と、ローラ軸方向Vgの端部の領域AR2,AR3と、を設定する。以下、ローラ軸方向Vgの中央部の領域AR1を「中央部領域AR1」、ローラ軸方向Vgの端部の領域AR2,AR3を「端部領域AR2,AR3」ともいう。
【0074】
例えば、ローラ軸方向Vgにおいて、端部領域AR2,AR3の幅は、中間転写体10の幅の15%以上20%以下である。例えば、ローラ軸方向Vgにおいて、中間転写体10の幅を330mm、現像ローラ63の幅を310mmとすると、端部領域AR2,AR3の幅は、現像ローラ63の端部から30mm以上45mm以下に相当する。
【0075】
現像装置13aと中間転写体10(
図10参照)との間の空間において、中央部領域AR1と端部領域AR2,AR3とでは、空気の流れが異なる。中央部領域AR1において、現像装置13aの周辺の空気は、現像装置13aと中間転写体10との間の空間を矢印A3a方向に流れる。
図10に示すように、中央部領域AR1(
図11参照)において、現像装置13aの周辺の空気は、中間転写体10の近傍では中間転写体10の回転方向(矢印A1方向)と同一方向に流れる。一方、中央部領域AR1(
図11参照)において、現像装置13aの周辺の空気は、現像装置13aの近傍では中間転写体10の回転方向(矢印A1方向)と逆方向に流れる。すなわち、中央部領域AR1(
図11参照)において、現像装置13aの周辺の空気は、現像装置13aと中間転写体10との間の空間を矢印A2方向に循環する。仮に、中央部領域AR1(
図11参照)において、トナーを含む空気が現像装置13a外に漏れ出しても、トナーは中間転写体10に運ばれ易いため、帯電器12cなどの機能部品が汚れる可能性は低い。
【0076】
図11に示すように、端部領域AR2,AR3においては、中間転写体10の回転方向(矢印A1方向)と直交する方向(ローラ軸方向Vgと平行な方向)の成分が加わった空気の流れがある。端部領域AR2,AR3において、現像装置13aの周辺の空気は、現像装置13aと中間転写体10(
図10参照)との間の空間を矢印A3b方向または矢印A3c方向に流れる。仮に、端部領域AR2,AR3において、トナーを含む空気が現像装置13a外に漏れ出すと、トナーは中間転写体10に運ばれ難いため、帯電器12cなどの機能部品が汚れる可能性は高い。
【0077】
次に、現像装置12aにおける空気の流れを説明する。
図12は、実施形態の現像装置12aにおける空気の流れを説明するための断面図である。
図12は、
図9に相当する図である。
図12に示すように、現像ローラ63が矢印J1方向に回転することによって、隙間74hを経由して筐体60内に空気が流入する。筐体60内に空気が流入すると、第1間隙G1において矢印Q1,Q2方向への風の流れが生じる。筐体60内に空気が入り込むと、筐体60内の圧力が高まるため、第3開口E3において筐体60内から筐体60外へ向かう矢印Q3方向への空気の流れが生じる。
【0078】
矢印Q3方向への空気の流れは、筐体60内の現像剤から離脱したトナーを巻き込んで隙間74hに向かうため、第2間隙G2において第4開口E4へ向かう矢印Q4,Q5方向への空気の流れが生じる。トナーを含む空気が矢印Q5方向に流れると、ガイド面74aによって第1間隙G1に向けて案内されるため、トナーを含む空気のほとんどは第1間隙G1に流入する。
【0079】
第1間隙G1に流入したトナーを含む空気は、筐体60内を、矢印Q1方向、矢印Q2方向、矢印Q3方向、矢印Q4方向、矢印Q5方向の順に流れる。すなわち、第1間隙G1、第2間隙G2、第1開口E1、第2開口E2、第3開口E3および第4開口E4によって、筐体60内にトナーを含む空気の流れの循環路が形成される。
【0080】
次に、現像装置におけるトナー飛散の一例を説明する。
図13は、現像装置におけるトナー飛散の一例を説明するための断面図である。
図13においては、断面ハッチを省略している。
図13の現像装置は、間隙形成部材を有しない。
図13において、符号160は筐体、符号161は第1ミキサ、符号162は第2ミキサ、符号163は現像ローラ、符号164はシールド部、符号165は隔壁、符号166はドクターブレード、符号170はカバー部材、符号174はガイド部、符号174hは隙間をそれぞれ示す。
【0081】
現像ローラ163には、現像剤(不図示)が担持されている。
図13に示すように、現像ローラ163の回転に伴って、現像剤が現像装置内に引き込まれる流れが生じ、隙間174hから現像装置内に空気が入り込む(図中矢印Wa)。現像装置内に空気が入り込むと、現像装置内の圧力が高まる。現像装置内の圧力が高まると、トナーを含む現像装置内の空気が現像装置外に漏れ出し、トナー飛散となる(図中矢印Wb)。
【0082】
本願発明者は鋭意検討の結果、トナー飛散を防止するための以下の構成を見出した。
まず、循環型の現像装置における空気の流れを説明する。
図14は、循環型の現像装置における空気の流れを説明するための断面図である。
図14においては、断面ハッチを省略している。
図14において符号271は間隙形成部材を示す。例えば、間隙形成部材271は、ケース本体73に設けられた不図示のリブに支持されている。遮蔽部材72は、間隙形成部材271に取り付けられている。
【0083】
間隙形成部材271と現像ローラ63との間には、第1間隙G1が設けられている。間隙形成部材271は、ケース本体73(筐体)との間に第2間隙G2を形成する。間隙形成部材271に対してローラ回転方向J1下流側の位置には、入口開口Eaが設けられている。間隙形成部材271に対してローラ回転方向J1上流側の位置には、出口開口Ebが設けられている。第1間隙G1と第2間隙G2とは、入口開口Eaと出口開口Ebとを介して連通している。例えば、現像ローラ63と近接する部分でケース本体73に間隙形成部材271を重ねることにより、第1間隙G1と第2間隙G2とを並列に形成してもよい。
【0084】
図14に示すように、現像ローラ63の回転に伴って、隙間74hから現像装置内に空気が入り込むと、現像装置内の圧力が高まる。現像装置内の圧力が高まると、現像装置内の空気は、入口開口Eaから第2間隙G2を通って出口開口Ebから排出される(図中矢印Va)。出口開口Ebから排出される空気は、第1搬送極S1の作用によって、現像装置内に引き込まれる(図中矢印Vb,Vc,Vd)。第1搬送極S1は、筐体内においてローラ回転方向J1最上流側に位置する筐体内最上流磁極部である。第1搬送極S1は、現像装置内から現像装置外に排出される空気を現像装置内に引き込む役割を有する。第1搬送極S1の磁力で穂立ちした現像剤の層が、空気を取り込んで現像装置内に引き込む。
【0085】
ドクターブレード66は、現像ローラ63に担持される現像剤の層厚を規制する。現像剤の層厚は、現像剤の穂立ちの高さを意味する。ドクターブレード66は、適切な層厚の現像剤層を形成するために、現像ローラ63と感光体ドラム(不図示)との近接部よりもローラ回転方向J1上流側に位置する筐体部分に設置されている。現像剤の層厚が小さすぎると、画像濃度不足となる。現像剤の層厚が大きすぎると、画像濃度過剰となったり白抜け画像が生じたりする。このように現像剤の層厚が小さすぎたり大きすぎたりすると、画像不良が発生する。そのため、現像剤の層厚は、適切な範囲に設定する必要がある。
【0086】
次に、白抜けについて説明する。
画像において、画像濃度が平均値よりも高い部分を高濃度部とし、画像濃度が平均値よりも低い部分を低濃度部とする。白抜けとは、高濃度部と低濃度部とが並んだ画像において、高濃度部と低濃度部との境界部で低濃度部の画像濃度が所定濃度よりも低くなる現象をいう。
【0087】
現像ローラの周速度は、感光体ドラムよりも大きい。例えば、感光体ドラムの周速度を1としたとき、現像ローラの周速度は1.85である。白抜けは、高濃度部の印刷によりトナーの含有量が減少した現像剤が、低濃度部を印刷した感光体表面を追い抜くときに、感光体からトナーをかきとることによって発生する。すなわち、白抜けは、現像ローラにおけるトナーの少ない現像剤が、感光体のトナーを引き寄せることによって発生する。白抜けは、電気的な要因と物理的な要因とが相まって発生する。
【0088】
感光体ドラムに対する現像剤の穂の圧力が高いほど、白抜けは顕著となる。つまり、現像剤の層厚が大きいほど、白抜けは顕著となる。感光体ドラムと現像ローラとの間隔を広げると、感光体ドラムに対する現像剤の穂の圧力を下げることができる。しかし、感光体ドラムと現像ローラとの間隔を広げると、エッジ効果が大きくなるため、白抜けの改善は小さい。
【0089】
次に、エッジ効果について説明する。
図15は、感光体と現像ローラとの間隔が閾値よりも小さいときの説明図である。
図16は、感光体と現像ローラとの間隔が閾値よりも大きいときの説明図である。
図15,
図16において、符号12kは感光体(感光体ドラムの外周面上の感光領域)、符号63は現像ローラ、符号T1は高濃度部、符号T2は低濃度部、矢印Vtは感光体12k上に移動するトナーをそれぞれ示す。
【0090】
図15に示すように、感光体12kと現像ローラ63との間隔が閾値よりも小さいとき、感光体12k上に移動するトナーの流れは、各濃度部T1,T2において均一な流れとなる。感光体12kと現像ローラ63との間隔が閾値よりも小さいときは、高濃度部と低濃度部との境界部で低濃度部の画像濃度が保持される。
【0091】
図16に示すように、感光体12kと現像ローラ63との間隔が閾値よりも大きいとき、感光体12k上に移動するトナーの流れは、低濃度部T2において不均一な流れとなる。低濃度部のうち高濃度部の近傍で、トナーの流れに偏りが生じる。感光体12kと現像ローラ63との間隔が閾値よりも大きいときは、高濃度部と低濃度部との境界部(破線丸囲み部)で低濃度部の画像濃度が所定濃度よりも低くなる(エッジ効果が大きくなる)。
【0092】
次に、現像剤の層厚とトナー飛散との関係について説明する。
本願発明者は鋭意検討の結果、第1搬送極S1上の現像剤の層厚が小さいほどトナー飛散が顕著に生じることを見出した。上述の通り、第1搬送極S1は、第1間隙G1を通じて現像装置内に現像装置外の空気を取り込んで現像装置内の圧力を高める役割を有する。また、第1搬送極S1は、第2間隙G2を通じて出口開口Ebから排出される現像装置内の空気を取り込んで第1間隙G1を通じて現像装置内に引き込む役割を有する。第1搬送極S1上の現像剤の層厚が小さいほど、空気を取り込む力が弱くなる。循環型の現像装置においては後者の力、つまり、第2間隙G2を通じて出口開口Ebから排出される現像装置内の空気を取り込んで第1間隙G1を通じて現像装置内に引き込む力の減少の影響が大きい。そのため、第1搬送極S1上の現像剤の層厚が小さいほど、現像装置外に排出される空気が増加すると考えられる。
【0093】
例えば、第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.6mm以上1.4mm以下である。第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.85mm以上1.4mm以下であることがより好ましい。第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.85mm以上1.1mm以下であることが更に好ましい。
【0094】
実施形態によれば、画像形成装置1(現像装置12a)は、筐体60と、現像ローラ63と、を持つ。現像ローラ63は、筐体60の内部に回転可能に設けられる。現像ローラ63は、現像極N1を有する。現像ローラ63は、現像極N1の磁力によって担持する現像剤による現像を行う。現像ローラ63は、第1搬送極S1を有する。第1搬送極S1は、筐体60の内部においてローラ回転方向J1最上流側に位置する。第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.6mm以上1.4mm以下である。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
第1搬送極S1は、現像装置内から現像装置外に排出される空気を現像装置内に引き込む役割を有する。第1搬送極S1の磁力で穂立ちした現像剤の層が、空気を取り込んで現像装置内に引き込む。第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.6mm未満の場合、現像装置外に排出される空気を現像装置内に引き込む力が減少し過ぎてしまい、トナー飛散が生じる可能性がある。また、第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.6mm未満の場合、現像剤の絶対量が減少し過ぎてしまい、画像濃度不足が生じる可能性がある。一方、第1搬送極S1における現像剤の層厚が1.4mmを超える場合、感光体ドラムに対する現像剤の穂の圧力が高くなり過ぎてしまい、白抜けが生じる可能性がある。実施形態によれば、第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.6mm以上であることによって、現像装置外に排出される空気を現像装置内に引き込む力を適度に保持することができる。したがって、現像装置外へのトナーの飛散を抑制することができる。加えて、第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.6mm以上であることによって、現像剤の絶対量を適度に保持することができる。したがって、画像濃度不足が生じることを抑制することができる。加えて、第1搬送極S1における現像剤の層厚が1.4mm以下であることによって、感光体ドラムに対する現像剤の穂の圧力を適度に保持することができる。したがって、白抜け画像が生じることを抑制することができる。
【0095】
現像装置12aは、間隙形成部材71を更に備える。間隙形成部材71は、現像ローラ63との間に第1間隙G1を形成する。間隙形成部材71は、筐体60との間に第2間隙G2を形成する。間隙形成部材71は、筐体60に設けられる。間隙形成部材71は、現像極N1に対し、ローラ回転方向J1下流側に設けられる。筐体60と間隙形成部材71との間には、第1開口E1と、第2開口E2と、が設けられる。第1開口E1は、間隙形成部材71に対してローラ回転方向J1下流側に形成される。第2開口E2は、第1開口E1と第2間隙G2を通じて連通する。第2開口E2は、間隙形成部材71に対してローラ回転方向J1上流側に形成される。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第1間隙G1、第2間隙G2、第1開口E1および第2開口E2によって、筐体60内にトナーを含む空気の流れの循環路が形成されるため、トナーを含む空気が現像装置外に噴き出ることを抑制することができる。したがって、現像装置外へのトナーの飛散を抑制することができる。
【0096】
第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.85mm以上1.4mm以下であることがより好ましい。第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.85mm以上であることによって、現像装置外に排出される空気を現像装置内に引き込む力をさらに適度に保持することができる。したがって、現像装置外へのトナーの飛散を効果的に抑制する上でさらに好適である。
【0097】
第1搬送極S1における現像剤の層厚は、0.85mm以上1.1mm以下であることが更に好ましい。第1搬送極S1における現像剤の層厚が1.1mm以下であることによって、感光体ドラムに対する現像剤の穂の圧力をさらに適度に保持することができる。したがって、白抜け画像が生じることを効果的に抑制する上でさらに好適である。
【0098】
画像形成装置1は、中間転写体10と、複数の感光体ドラム12b~16bと、を更に備える。中間転写体10は、無端状をなす。中間転写体10は、回転可能に設けられる。複数の感光体ドラム12b~16bは、中間転写体10の回転方向に沿って設けられる。現像ローラ63は、複数の感光体ドラム12b~12bのそれぞれと対向する位置に設けられる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。各現像ローラ63の第1搬送極S1における現像剤の層厚が0.6mm以上1.4mm以下であることによって、各現像装置において現像装置外へのトナーの飛散を抑制しつつ、白抜け画像が生じることを抑制することができる。したがって、タンデム型の画像形成装置において、現像装置外へのトナーの飛散および白抜け画像の発生のそれぞれを効果的に抑制することができる。
【0099】
現像装置12aは、遮蔽部材72を更に備える。遮蔽部材72は、第1間隙G1に配置される。遮蔽部材72は、現像極N1に対し、ローラ回転方向J1下流側に設けられる。遮蔽部材72は、筐体60の内部において筐体内最上流磁極部である第1搬送極S1と対向する対向位置に配置される。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第1搬送極S1で発生するトナークラウドを現像装置12a内にとどめることができるため、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制することができる。
ところで、現像装置外へのトナーの飛散を低減するために、飛散したトナーを回収するためのフィルタ及びファンなどを設ける構成がある。しかし、製品寿命を迎える前にトナーを捕捉するフィルタの目詰まりの回数が増える可能性がある。また、フィルタを設けることはファン及びダクトも設ける必要があり、装置が大型化する可能性がある。実施形態によれば、フィルタを設ける必要がないため、メンテナンス性が向上するとともに、装置の大型化を回避する上で好適である。
【0100】
ローラ軸方向Vgにおいて、第1開口E1の幅W1は、第2開口E2の幅W2よりも大きい(W1>W2)ことによって以下の効果を奏する。第1開口E1の幅W1が第2開口E2の幅W2以下の場合(W1≦W2)と比較して、トナーを含む空気の流れが中央部領域AR1に集中しやすい。すなわち、トナーを含む空気の流れが端部領域AR2,AR3に向かうことを抑制することができる。仮に、中央部領域AR1において、トナーを含む空気が現像装置13a外に漏れ出しても、トナーは中間転写体10に運ばれ易いため、帯電器12cなどの機能部品が汚れる可能性は低い。したがって、帯電器12cなどの機能部品の汚濁を抑制することができる。
【0101】
第1開口E1の幅W1と第2開口E2の幅W2との比W2/W1が、0.5以上0.8以下であることによって、以下の効果を奏する。W2/W1が0.5未満の場合、トナーを含む空気の流れが端部領域AR2,AR3に向かう可能性が高くなる。W2/W1が0.5未満の場合、第2開口E2の幅W2が狭すぎて現像装置12a内の空気の排出が不十分となり、現像装置12a内の圧力が高まり過ぎることが原因と推定される。一方、W2/W1が0.8を超える場合、第2開口E2の幅W2が広すぎてしまい、トナーを含む空気の流れを中央部領域AR1に集中させることが困難となる。実施形態によれば、W2/W1が0.5以上0.8以下であることによって、トナーを含む空気の流れが中央部領域AR1に集中するため、帯電器12cなどの機能部品の汚濁を抑制する上で好適である。
【0102】
第2開口E2を介して第2間隙G2から排出される気流を遮蔽部材72と現像ローラ63との間に向けるガイド部74を備えることによって、以下の効果を奏する。ガイド部74によって、トナーを含む空気が第1間隙G1に案内されるため、トナーを含む空気が現像装置12a外に噴き出ることを抑制することができる。したがって、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制することができる。
【0103】
ケース本体73は、間隙形成部材71に向けて延出して間隙形成部材71を保持する保持部81を備えることによって、以下の効果を奏する。間隙形成部材71を保持するための保持部材を別途設ける場合と比較して、部品点数を削減し、装置構成を簡素化することができる。
【0104】
保持部81は、ローラ軸方向Vgに間隔をあけて配置され、間隙形成部材71の側から見て、ローラ軸方向Vgと直交する方向に直線状に延在する複数のリブ82を備えることによって、以下の効果を奏する。複数のリブ82によって、第1開口E1と第2開口E2とを連通する複数の空間G2aが形成されるため、複数の空間G2aにおいてトナーを含む空気をスムーズに流すことができる。複数の空間G2aにおいてトナーを含む空気がスムーズに流れると、複数の空間G2aを含む循環路においてトナーを含む空気をスムーズに流すことができる。したがって、トナーを含む空気が現像装置12a外に噴き出ることをさらに効果的に抑制することができる。
【0105】
リブ82には、ローラ軸方向Vgと平行な方向に開口する切欠き82hが形成されていることによって、以下の効果を奏する。切欠き82hによって、リブ82を挟んで隣り合う複数の空間G2aが連通されるため、複数の空間G2aを含む循環路においてトナーを含む空気をさらにスムーズに流すことができる上で好適である。
【0106】
傾斜面72aは、現像ローラ63の接線に対し45度以下の角度をなすことによって、以下の効果を奏する。傾斜面72aが現像ローラ63の接線に対して45度を超える角度をなす場合、現像ローラ63上の現像剤が遮蔽部材72と衝突してトナークラウドが発生する可能性がある。傾斜面72aが現像ローラ63の接線に対して45度以下の角度をなすことによって、トナークラウドが発生する可能性を低くすることができるため、好適である。
【0107】
筐体60においてローラ軸方向Vgの両側には、第1室60aと第2室60bとの間で現像剤を循環させるための側部開口60c,60dが形成されていることによって、以下の効果を奏する。側部開口60c,60dを介して、第2室60b側の空気が第1室60aに入り込み易い。一方、現像装置12a内の圧力が高まった場合、現像装置12aのローラ軸方向Vgの両端部からトナーを含む空気が漏れ出し易い。実施形態によれば、第1開口E1の幅W1が第2開口E2の幅W2以下の場合(W1≦W2)と比較して、トナーを含む空気の流れが中央部領域AR1に集中しやすい。したがって、筐体60においてローラ軸方向Vgの両側に側部開口60c,60dが形成されている場合であっても、帯電器12cなどの機能部品の汚濁を抑制することができる。
【0108】
遮蔽部材72は、筐体60の内部において筐体内最上流磁極部である第1搬送極S1と対向する対向位置に配置されることによって、以下の効果を奏する。第1搬送極S1で発生するトナークラウドを現像装置12a内にとどめることができるため、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制する上で好適である。
【0109】
ガイド面の角度D1は、プラス30度以上であることによって、以下の効果を奏する。ガイド面の角度D1がプラス30度未満の場合、第2間隙G2から排出される空気を第1間隙G1に向けて曲げる効果が小さい。実施形態によれば、ガイド面の角度D1がプラス30度以上であることによって、第2間隙G2から排出される空気を第1間隙G1に向けて十分に曲げることができるため、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制する上で好適である。さらに、ガイド面の角度D1がプラス45度以上であることによって、第2間隙G2から排出される空気を第1間隙G1に向けてより効果的に曲げることができるため、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制する上でさらに好適である。
【0110】
ガイド面74aは、ガイド部74によって案内される気流と接触するガイド部74の内面であることによって、以下の効果を奏する。ガイド面74aによって第2間隙G2から排出される空気を第1間隙G1に向けてより効果的に曲げることができるため、現像装置12a外へのトナーの飛散を抑制する上でさらに好適である。
【0111】
ガイド部74は、筐体60における第2開口E2の近傍の端部から現像ローラ63に向けて延出することによって、以下の効果を奏する。ガイド部74をケース本体73と同一の部材で一体に形成した場合、ガイド部材を別途設ける必要がないため、部品点数を削減し、装置構成を簡素化することができる。
【0112】
第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2は、互いに対面するケース本体73と間隙形成部材71との間隔で特定され、0.5mm以上であることによって、以下の効果を奏する。第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2が0.5mm未満の場合、第2間隙G2における空気の流れが悪くなり、現像装置12a内の空気を排出する効率が低下する可能性が高い。実施形態によれば、第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2が0.5mm以上であることによって、第2間隙G2における空気の流れをスムーズにすることができる。第2間隙G2においてトナーを含む空気がスムーズに流れると、第2間隙G2を含む循環路においてトナーを含む空気をスムーズに流すことができる。したがって、トナーを含む空気が現像装置12a外に噴き出ることを効果的に抑制することができるため好適である。さらに、第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2が1.0mm以上であることによって、第2間隙G2における空気の流れをさらにスムーズにすることができるため、トナーを含む空気が現像装置12a外に噴き出ることを効果的に抑制する上でさらに好適である。
【0113】
以下、変形例について説明する。
現像装置12aは、間隙形成部材71を備えることに限らない。例えば、現像装置12aは、間隙形成部材71を備えていなくてもよい。
【0114】
現像装置12aは、遮蔽部材72を備えることに限らない。例えば、現像装置12aは、遮蔽部材72を備えていなくてもよい。
【0115】
保持部81は、ローラ軸方向Vgに間隔をあけて配置され、間隙形成部材71の側から見て、ローラ軸方向Vgと直交する方向に直線状に延在する複数のリブ82を備えることに限らない。例えば、保持部81は、間隙形成部材71の側から見て、ローラ軸方向Vgと交差する方向に直線状に延在する複数のリブ82を備えていてもよい。
【0116】
ガイド部74は、ケース本体73と同一の部材で一体に形成されることに限らない。例えば、ガイド部74は、ケース本体73とは別体に形成されていてもよい。
【0117】
第1開口E1及び第2開口E2は、ローラ軸方向Vgに連続していることに限らない。例えば、第1開口E1及び第2開口E2の少なくとも一方は、ローラ軸方向Vgに分割していてもよい。第1開口E1及び第2開口E2の少なくとも一方をローラ軸方向Vgに分割した場合であっても、第1開口E1の高さZ1および第2開口E2の高さZ2は0.5mm以上とする。
【0118】
本願発明者は、第1搬送極S1における現像剤99(
図17参照)の層厚(以下単に「現像剤層厚」という。)と、トナー飛散、画像濃度不足および白抜けとの関係とを確認した。
【0119】
【0120】
表1は、現像剤層厚(mm)と、トナー飛散、画像濃度不足および白抜けとの関係を示す。
現像剤層厚は、以下の方法により取得した。
まず、筐体からカバーユニットを取り外し、現像ローラの上方を開放させる。次に、現像ローラの回転中心から見て、第1搬送極S1の真上に非磁性の板金を設置する。
図17は、現像剤層厚の算出方法の説明図である。
図17に示すように、現像ローラ63の回転中心Cp1と第1搬送極S1の中心Cp2とを通る延長線Lk(仮想直線)を設定する。非磁性の板金98は、延長線Lk上で、延長線Lkと垂直に伸びるように設置する。現像ローラ63を周速度10mm/s程度で回転させながら、非磁性の板金98を現像ローラに徐々に近づけていき、非磁性の板金98にトナーの付着を確認できたところから現像剤層厚Tdを算出する。
【0121】
現像ローラが現像剤を担持していないときの現像ローラと感光体との間隔を0.35mmとした。
【0122】
トナー飛散は、不良発生印刷枚数をもとに評価した。不良発生印刷枚数は、トナー飛散に不利な高温多湿(温度30℃、湿度85%)で通紙試験を行い、帯電器にトナーの汚濁が進行して画像汚れが発生するまでの印刷枚数である。表1において、トナー飛散は、不良発生印刷枚数が12万枚以上のときを〇、8万枚以上12万枚未満のときを△、8万枚未満のときを×とした。
【0123】
画像濃度の測定機は、エックスライト(X-Rite)社製のSpectro Eye(製品名)を用いた。表1において、画像濃度不足は、黒色のベタ画像濃度で1.35以上のときを〇、1.20以上1.35未満のときを△、1.20未満のときを×とした。
【0124】
白抜けは、目視判断の官能評価で行った。表1において、画像に白抜けが発生していないときを〇、僅かな白抜けが発生したときを△、明らかな白抜けが発生したときを×とした。
【0125】
表1に示すように、現像剤層厚が0.6mm以上の場合には、トナー飛散評価は△又は〇(不良発生印刷枚数が8万枚以上)となり、トナー飛散を抑制できることが確認された。現像剤層厚が0.85mm以上の場合には、トナー飛散評価は〇(不良発生印刷枚数が12万枚以上)となり、トナー飛散をさらに効果的に抑制できることが確認された。
また、現像剤層厚が0.6mm以上の場合には、画像濃度評価は〇となり、画像濃度不足を抑制できることが確認された。
また、現像剤層厚が1.4mm以下の場合には、白抜け評価は△又は〇となり、明らかな白抜けが発生することを抑制できることが確認された。また、現像剤層厚が1.1mm以下の場合には、白抜け評価は〇となり、白抜けが発生することを抑制できることが確認された。
以上により、現像剤層厚が0.85以上1.1mm以下の場合には、トナー飛散、画像濃度不足および白抜けを効果的に抑制できることが確認された。
【0126】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の画像形成装置によれば、現像装置外へのトナーの飛散を抑制することができる。
【0127】
上述した実施形態における画像形成装置の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
1…画像形成装置、10…中間転写体、12a…現像装置、12b~16b…感光体ドラム、60…筐体、63…現像ローラ、71…間隙形成部材、E1…第1開口、E2…第2開口、G1…第1間隙、G2…第2間隙、J1…ローラ回転方向(現像ローラの回転方向)、N1…現像極、S1…第1搬送極(筐体内最上流磁極部)