(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ロータリダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/14 20060101AFI20220930BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20220930BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
F16F9/14 A
F16F9/32 Z
F16F7/00 G
(21)【出願番号】P 2018106260
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】中屋 一正
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187140(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014206230(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0184714(US,A1)
【文献】特開2012-202498(JP,A)
【文献】特開2006-009849(JP,A)
【文献】特開2003-206972(JP,A)
【文献】特開2004-150561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、
前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、
前記機能モジュールは、
前記機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくとも前記メインロータに連結可能に形成されて前記回動駆動力を前記メインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて前記回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、
前記入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングに設けられて前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、
前記メインハウジングは、
前記機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部と、
前記メインロータにおける前記露出する部分の周囲を囲んで前記モジュールハウジングと密着するメインロータ周壁とを備え
、
前記メインハウジングおよび前記モジュールハウジングは、
互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備え、
前記メインロータ周壁は、
前記メインハウジングに形成された前記位置決め嵌合部の周囲を囲むようにこの位置決め嵌合部とは別体で立ち上って形成されていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項2】
流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、
前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、
前記機能モジュールは、
前記機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくとも前記メインロータに連結可能に形成されて前記回動駆動力を前記メインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて前記回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、
前記入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングに設けられて前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、
前記メインハウジングは、
前記機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部と、
前記メインロータにおける前記露出する部分の周囲を囲んで前記モジュールハウジングと密着するメインロータ周壁とを備え
、
前記メインハウジングおよび前記モジュールハウジングは、
互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備え、
前記メインロータ周壁は、
前記メインハウジングに形成された前記位置決め嵌合部の周囲を囲むようにこの位置決め嵌合部の高さよりも高く立ち上って形成されていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項3】
流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、
前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、
前記メインハウジングは、
前記機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部を有し、
前記機能モジュールは、
前記機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくとも前記メインロータに連結可能に形成されて前記回動駆動力を前記メインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて前記回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、
前記入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングに設けられて前記メインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、かつ、同種および/または異種の前記機能を有する複数の機能モジュールで構成されており、
前記モジュールハウジングは、
他の前記機能モジュールを着脱自在に取り付けるための他モジュール取付部を備え、
前記モジュール出力部は、
他の前記機能モジュールにおける前記モジュールロータに連結可能に形成されていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項4】
請求項3に記載したロータリダンパにおいて、
前記モジュール取付部は、
前記メインハウジングにおける前記メインロータの周囲における互いに異なる位置に形成された複数の雌ネジで構成されており、
前記外部取付部および前記他モジュール取付部は、
前記複数の各雌ネジにそれぞれ対向する位置に形成されて前記雌ネジにネジ嵌合する雄ネジが貫通可能な共通の貫通孔で構成されていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載したロータリダンパにおいて、
前記メインハウジングおよび前記モジュールハウジングは、
互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備えていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載したロータリダンパにおいて、
前記メインロータは、
前記メインハウジングから突出するとともに前記入力調整機構に連結される棒状に形成されていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載したロータリダンパにおいて、
前記モジュールハウジングは、
前記モジュールロータが露出する部分の周囲を囲んで同モジュールロータが連結されるモジュール取付対象物と密着するモジュールロータ周壁を備えていることを特徴とするロータリダンパ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載したロータリダンパにおいて、
前記入力調整機構は、
前記モジュールロータに対して回動方向に抗する弾性力を付与する弾性体を備えていることを特徴とするロータリダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四輪または二輪の自走式車両または産業用機械器具における回動機構において運動エネルギの減衰装置として用いられるロータリダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、四輪または二輪の自走式車両または産業用機械器具においては、回動機構において運動エネルギの減衰装置としてロータリダンパが用いられている。例えば、下記特許文献1には、筒状に形成されたケース内に一対の羽根状のベーンを備えた棒状のシャフトが両持ち支持されたロータリダンパが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたロータリダンパにおいては、ロータリダンパにおける減衰の仕様を変更したい場合には所望する仕様のロータリダンパを新たに用意しなければならずロータリダンパの仕様変更が行ない難いとともに従前のロータリダンパも使用できなくなり不経済であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、仕様の変更が容易であるとともに従前のロータリダンパの使用を継続できることで経済性も良好にすることができるロータリダンパを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、メインハウジングは、機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部を有し、機能モジュールは、機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくともメインロータに連結可能に形成されて回動駆動力をメインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、モジュールハウジングに設けられてメインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、メインハウジングは、機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部と、メインロータにおける前記露出する部分の周囲を囲んでモジュールハウジングと密着するメインロータ周壁とを備え、メインハウジングおよびモジュールハウジングは、互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備え、メインロータ周壁は、メインハウジングに形成された位置決め嵌合部の周囲を囲むようにこの位置決め嵌合部とは別体で立ち上って形成されていることにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、メインハウジングは、機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部を有し、機能モジュールは、機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくともメインロータに連結可能に形成されて回動駆動力をメインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、モジュールハウジングに設けられてメインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、メインハウジングは、機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部と、メインロータにおける前記露出する部分の周囲を囲んでモジュールハウジングと密着するメインロータ周壁とを備え、メインハウジングおよびモジュールハウジングは、互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備え、メインロータ周壁は、メインハウジングに形成された位置決め嵌合部の周囲を囲むようにこの位置決め嵌合部の高さよりも高く立ち上って形成されていることにある。
【0008】
この場合、機能モジュールにおける入力調整機構は、機能モジュールの外部から入力される回動駆動力に関する特性および回動駆動力の伝達に関する物理的な構成または構造などの態様のうちの少なくとも1つを変更する。具体的には、入力調整機構は、回動駆動力の特性として回転数(回転角含む)、トルクおよび回動方向のうちの少なくとも1つを変更することができる機能を有する。また、入力調整機構は、回動駆動力の伝達に関する態様としてメインロータの連結部分の長さ、軸径(または孔径)、形成方向および形成位置を変更またはメインロータに対する衝撃吸収などの機能のうちの少なくとも1つを付加する機能を有する。そして、機能モジュールは、これらの各機能を単体でまたは複数の機能を同時に含んで構成することができる。
【0009】
このように構成した本発明の特徴によれば、ロータリダンパは、メインロータに入力される回動駆動力の仕様を変更することができる入力調整機構を備えた機能モジュールを着脱自在な状態で備えているため、所望する機能を有した機能モジュールを取り付けることによって容易に仕様を変更することができるとともに従前のロータリダンパの使用を継続することができ経済性も良好にすることができる。
【0010】
また、ロータリダンパは、メインハウジングは、モジュールハウジングが連結される際に同モジュールハウジングに対向する部分にメインロータにおける露出した部分の周囲を囲んでモジュールハウジングを受け止めるメインロータ周壁を備えているため、メインロータと入力調整機構との接続部分およびその周辺に水または油などの液体および粉塵などの異物が付着または侵入することを防止することができ、動作を長期間に亘って安定化することができる。
【0011】
また、ロータリダンパは、メインハウジングおよびモジュールハウジングは、互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備えているため、メインハウジングに機能モジュールを連結する際における位置決めを容易に行うことができ連結作業を容易かつ短時間に行うことができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、流動体の抵抗に抗しながら回動するメインロータの少なくとも一部を露出させた状態で同流動体とともに保持するメインハウジングを備えたロータリダンパにおいて、メインハウジングに着脱自在に取り付けられる機能モジュールを備え、メインハウジングは、機能モジュールを着脱自在に取り付けるためのモジュール取付部を有し、機能モジュールは、機能モジュール外から回動駆動力を受けるためのモジュール入力部および少なくともメインロータに連結可能に形成されて回動駆動力をメインロータに伝達するためのモジュール出力部をそれぞれ有して回動駆動するモジュールロータを備えて回動駆動力の特性および同回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも一方を変化させる機能を有する入力調整機構と、入力調整機構を収容するモジュールハウジングと、モジュールハウジングに設けられてメインハウジングに着脱自在に取り付けられる外部取付部とを備え、かつ、同種および/または異種の前記機能を有する複数の機能モジュールで構成されており、モジュールハウジングは、他の機能モジュールを着脱自在に取り付けるための他モジュール取付部を備え、モジュール出力部は、他の機能モジュールにおけるモジュールロータに連結可能に形成されていることにある。
【0013】
この場合、機能モジュールにおける入力調整機構は、機能モジュールの外部から入力される回動駆動力に関する特性および回動駆動力の伝達に関する物理的な構成または構造などの態様のうちの少なくとも1つを変更する。具体的には、入力調整機構は、回動駆動力の特性として回転数(回転角含む)、トルクおよび回動方向のうちの少なくとも1つを変更することができる機能を有する。また、入力調整機構は、回動駆動力の伝達に関する態様としてメインロータの連結部分の長さ、軸径(または孔径)、形成方向および形成位置を変更またはメインロータに対する衝撃吸収などの機能のうちの少なくとも1つを付加する機能を有する。そして、機能モジュールは、これらの各機能を単体でまたは複数の機能を同時に含んで構成することができる。
【0014】
このように構成した本発明の特徴によれば、ロータリダンパは、メインロータに入力される回動駆動力の仕様を変更することができる入力調整機構を備えた機能モジュールを着脱自在な状態で備えているため、所望する機能を有した機能モジュールを取り付けることによって容易に仕様を変更することができるとともに従前のロータリダンパの使用を継続することができ経済性も良好にすることができる。
【0015】
また、ロータリダンパは、同種および/または異種の機能を有する複数の機能モジュールおよび他の機能モジュールを着脱自在に取り付けるための他モジュール取付部を備えるとともに、モジュール出力部は他の機能モジュールにおけるモジュールロータに連結可能に形成されているため、ロータリダンパに同種および/または異種の複数の機能モジュールを取り付けることができ、回動駆動力の仕様をより多種多様に変更することができる。なお、他モジュール取付部は、外部取付部と共用することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記ロータリダンパにおいて、モジュール取付部は、メインハウジングにおけるメインロータの周囲における互いに異なる位置に形成された複数の雌ネジで構成されており、外部取付部および他モジュール取付部は、複数の各雌ネジにそれぞれ対向する位置に形成されて雌ネジにネジ嵌合する雄ネジが貫通可能な共通の貫通孔で構成されていることにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、モジュール取付部がメインハウジングにおけるメインロータの周囲における互いに異なる位置に形成された複数の雌ネジで構成されているとともに、外部取付部および他モジュール取付部が前記複数の各雌ネジにそれぞれ対向する位置に形成されて前記各雌ネジにネジ嵌合する雄ネジが貫通可能な共通の貫通孔で構成されているため、メインハウジングに対して複数の機能モジュールを長尺の雄ネジで一気通貫の構造で簡単に取り付けることができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記ロータリダンパにおいて、メインハウジングおよびモジュールハウジングは、互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備えていることにある。このように構成した本発明の他の特徴によれば、ロータリダンパは、メインハウジングおよびモジュールハウジングは、互いに連結される際に互いに対向し合う面に互いの位置を決めるために嵌合し合う位置決め嵌合部を備えているため、メインハウジングに機能モジュールを連結する際における位置決めを容易に行うことができ連結作業を容易かつ短時間に行うことができる。
【0019】
また、本発明の他の特徴は、前記ロータリダンパにおいて、メインロータは、メインハウジングから突出するとともに入力調整機構に連結される棒状に形成されていることにある。このように構成した本発明の他の特徴によれば、ロータリダンパは、メインロータがメインハウジングから突出するとともに入力調整機構に連結される中実の棒状に形成されているため、メインロータを筒状に形成した場合に比べてロータリダンパにおける径方向の構成をコンパクトにすることができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記ロータリダンパにおいて、モジュールハウジングは、モジュールロータが露出する部分の周囲を囲んで同モジュールロータが連結されるモジュール対象物と密着するモジュールロータ周壁を備えていることにある。ここで、モジュールロータが露出する部分とは、モジュールロータが他の機能モジュールまたはロータリダンパの取付対象物における回動駆動力が出力される部分である取付対象出力部に連結するためにモジュールハウジングに対して突出したまたは開口部を介して露出した軸状または筒状の部分をいう。このように構成した本発明の他の特徴によれば、ロータリダンパは、モジュールハウジングは、ロータリダンパ、他の機能モジュールまたはロータリダンパの最終的な取付対象物などのモジュール取付対象物が連結される際に同モジュール取付対象物に対向する部分にモジュールロータにおける露出した部分の周囲を囲んでモジュール取付対象物を受け止めるモジュールロータ周壁を備えているため、モジュールロータとモジュール取付対象物との接続部分およびその周辺に水または油などの液体および粉塵などの異物が付着または侵入することを防止することができ、動作を長期間に亘って安定化することができる。
【0021】
また、本発明の他の特徴は、前記ロータリダンパにおいて、入力調整機構は、モジュールロータに対して回動方向に抗する弾性力を付与する弾性体を備えていることにある。
【0022】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ロータリダンパは、入力調整機構がモジュールロータに対して回動方向に抗する弾性力を付与する弾性体を備えているため、モジュールロータに対する回動方向への衝撃を吸収してロータリダンパを衝撃緩衝装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るロータリダンパの外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す2-2線から見たロータリダンパの概略構造を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す3-3線から見たロータリダンパの概略構造を示す断面図である。
【
図4】本発明に係るロータリダンパに連結される機能モジュール(衝撃吸収機能)の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す機能モジュールにおける蓋体を省略して内部構造を現した斜視図である。
【
図6】
図4に示す機能モジュールの反対側の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す7-7から見た機能モジュールの概略構造を示す断面図である。
【
図8】本発明に係るロータリダンパに連結される他の機能モジュール(増速機能)の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す機能モジュールにおける蓋体を省略して内部構造を現した斜視図である。
【
図10】
図8に示す機能モジュールの反対側の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図11】
図8および
図10にそれぞれ示す11-11線から見た機能モジュールの概略構造を示す断面図である。
【
図12】本発明に係るロータリダンパに連結される他の機能モジュール(減速機能)の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図13】
図12に示す機能モジュールにおける蓋体を省略して内部構造を現した斜視図である。
【
図14】
図12および
図13にそれぞれ示す14-14線から見た機能モジュールの概略構造を示す断面図である。
【
図15】本発明に係るロータリダンパに連結される更に他の機能モジュール(入力方向の変更)の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図16】
図15に示す機能モジュールの反対側の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図17】
図16に示す17-17線から見た機能モジュールの概略構造を示す断面図である。
【
図18】
図1に示すロータリダンパに
図4に示す機能モジュールを連結した状態の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図19】
図18に示すロータリダンパおよび機能モジュールの組付け体を取付対象物における取付対象出力部に取り付けた状態の外観構成を概略的に示す一部破断側面図である。
【
図20】
図18に示すロータリダンパおよび機能モジュールの組付け体に更に
図15に示す機能モジュールを連結した状態の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るロータリダンパの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るロータリダンパ100の外観構成の概略を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示す2-2線から見たロータリダンパ100の概略構造を示す断面図である。また、
図3は、
図1に示す3-3線から見たロータリダンパ100の概略構造を示す断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している部分がある。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このロータリダンパ100は、自動車におけるシートのリクライニング機構、テールゲート、グローブボックスの開閉機構、二輪の自走式車両(バイク)の後輪を上下動可能に支持するスイングアームの基端部、家具における開閉扉のヒンジ部分、または昇降棚の昇降機構などの可動部分を有する取付対象物(図示せず)に直接取り付けられて、またはこれらの取付対象物の試作品に対して取り付けられて可動部分が可動する際の運動エネルギを減衰させる減衰装置である。
【0025】
(ロータリダンパ100の構成)
ロータリダンパ100は、メインハウジング101を備えている。メインハウジング101は、メインロータ110を回動自在に保持しつつロータリダンパ100の筐体を構成する部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を中空形状に形成して構成されている。より具体的には、メインハウジング101は、外形形状がメインロータ110の軸方向に延びる直方体状に形成されている。この場合、メインハウジング101は、メインロータ110の軸方向側から見て正方形状に形成されている。このメインハウジング101は、主として、ハウジング本体102と蓋体109とで構成されている。
【0026】
ハウジング本体102は、メインロータ110の可動ベーン114および流動体115を収容するとともにメインロータ110の軸体111の一方の端部を回動自在に支持する部品であり、筒体における一方端が大きく開口するとともに他方端が小さく開口する有底円筒状に形成されている。より具体的には、ハウジング本体102は、前記筒体における一方端で大きく開口する開口部側に円筒状の内室103が形成されるとともに、この内室103の底部に開口した状態で円筒状のロータ支持部105が形成されている。
【0027】
内室103は、メインロータ110の可動ベーン114とともに流動体115を液密的に収容する空間であり、ハウジング本体102内に中央部に配置されたメインロータ110を介して互いに対向する2つの半円筒の空間で構成されている。この場合、内室103内における前記2つの半円筒の空間内には、固定ベーン104がハウジング本体102と一体的にそれぞれ形成されている。
【0028】
固定ベーン104は、メインロータ110とともに内室103内を複数の空間に仕切る壁状の部分であり、ハウジング本体102の軸線方向に沿って内室103の内壁面から内側に向かって凸状に張り出して形成されている。本実施形態においては、前記メインロータ110と互いに対向配置された2つの固定ベーン104とによって内室103内を4つの個室に仕切っている。これらの各固定ベーン104は、外縁部に凹状に凹む溝状に形成されており、この溝内にゴム材などの弾性材料で構成されたシール体104aが嵌め込まれている。
【0029】
ロータ支持部105は、メインロータ110の軸体111における一方の端部を回転自在な状態で支持する円筒状の部分である。この場合、ロータ支持部105の内周部は、ベアリングおよびパッキンなどのシール材を介してメインロータ110の軸体111を液密的に支持している。また、ロータ支持部105の外周部には、メイン側位置決め嵌合部106が形成されている。
【0030】
メイン側位置決め嵌合部106は、後述する第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503が嵌合する部分であり、これらの第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503が摺動して嵌合する円周面状に形成されている。このメイン側位置決め嵌合部106の外側には、メインロータ周壁107が形成されている。
【0031】
メインロータ周壁107は、メイン側位置決め嵌合部106と第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503との連結部分およびその周辺に水分または油分などからなる液体および粉塵などの異物が付着および侵入を防止するための部分であり、メインハウジング101における機能モジュール200~500が連結される側の面の4つの外縁部がメイン側位置決め嵌合部106の周囲を囲むように立ち上って形成されている。
【0032】
この場合、メインロータ周壁107の高さは、メイン側位置決め嵌合部106の高さよりも高く形成されている。このメインロータ周壁107には、4つの辺の角部、すなわち、ハウジング本体102に連結される機能モジュール200~500が連結される側の面における四隅にモジュール取付部108がそれぞれ形成されている。
【0033】
モジュール取付部108は、機能モジュール200~500のうちのいずれか1つが着脱自在な状態で取り付けられる部分である。本実施形態においては、モジュール取付部108は、有底穴の内周面にネジが形成された雌ネジで構成されている。この雌ネジで構成されたモジュール取付部108には、機能モジュール200~500を貫通する後述する取付ボルト600が捩じ込まれてネジ嵌合する。本実施形態においては、モジュール取付部108は、4つのネジ穴が正方形の四隅に位置するように互いに隣接するネジ穴同士が直交する方向に等間隔に形成されている。
【0034】
蓋体109は、ハウジング本体102に形成されている内室103を液密的に塞ぐとともにメインロータ110を支持するための部品であり、メインハウジング101の軸方向から見て正方形状の板体の中央部に貫通孔が形成されて構成されている。この蓋体109には、内室103内に形成された4つの個室における特定の個室間で流動体を流通させるバイパス通路(図示せず)が形成されるとともに、このバイパス通路を流通する流動体の流量を調整するための調整弁(図示せず)が設けられている。
【0035】
メインロータ110は、メインハウジング101の内室103内に配置されて内室103内を前記固定ベーン104とともに4つの空間からなる4つの個室にそれぞれ仕切るとともに、この内室103内で回動してこれらの4つの個室の容積をそれぞれ増減させるための部品であり、主として、軸体111と可動ベーン114とで構成されている。
【0036】
軸体111は、可動ベーン114を支持する丸棒状の部分であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材によって構成されている。この軸体111は、一方の端部側がロータ支持部105を貫通した状態で支持されるとともに同ロータ支持部105を貫通した先端部がハウジング本体102の外部に露出してメイン側連結部112を形成している。一方、軸体111の他方の端部は、蓋体109に回転自在な状態で支持されるとともにアキュムレータ113が嵌め込まれている。
【0037】
メイン側連結部112は、ロータリダンパ100が取り付けられる取付対象物または機能モジュール200~500との接続部分である。このメイン側連結部112は、断面形状が円形の有底筒状の円筒状に形成されるとともに、外周部の一部に回り止めとなる軸方向に延びる平面部が形成されて構成されている。アキュムレータ113は、内室103内の流動体115の温度変化による膨張または収縮による体積変化を補償するための機具であり、内室103に連通した状態で設けられる。
【0038】
可動ベーン114は、内室103内を複数の空間に仕切りつつこれらの各空間の容積を液密的にそれぞれ増減させるための部品であり、軸体111(内室103)の径方向に延びる板状体によってそれぞれ構成されている。この場合、これら2つの可動ベーン114は、軸体111を介して互いに反対方向(換言すれば仮想の同一平面上)に延びて形成されている。これらの可動ベーン114は、外縁部に凹状に凹む溝状に形成されており、この溝内にゴム材などの弾性材料で構成されたシール体114aが嵌め込まれている。なお、これら2つの可動ベーン114は、軸体111を介して互いに反対方向(換言すれば仮想の同一平面上)から外れた位置形成されていてもよいことは当然である。
【0039】
これらの可動ベーン114には、各可動ベーン114によって仕切られた互いに隣接する2つの個室間で流動体を制限的に流通させる絞り弁114bが設けられている。これにより、メインロータ110は、可動ベーン114によって隔てられる2つの個室間を流動体が絞り弁114bを流通する際に生じる抵抗に抗しながら軸体111の軸方向周りに回動する。
【0040】
流動体115は、内室103を回動する可動ベーン114に対して抵抗を付与することによりロータリダンパ100にダンパー機能を作用させるための物質であり、内室103内に満たされている。この流動体115は、ロータリダンパ100の仕様に応じた粘性を有する流動性を有する液状、ジェル状または半固体状の物質で構成されている。この場合、流動体115の粘度は、ロータリダンパ100の仕様に応じて適宜選定される。本実施形態においては、流動体115は、油、例えば、鉱物油またはシリコーンオイルなどによって構成されている。なお、
図2において流動体115を破線円内のハッチングで示している。
【0041】
機能モジュール200~500は、ロータリダンパ100のメインロータ110に対する外部からの回動駆動力の入力を調整するための装置であり、ロータリダンパ100に対して着脱自在な別部品で構成されている。ここで、回動駆動力の入力の調整とは、ロータリダンパ100が取り付けられる取付対象物から出力される回動駆動力に関する特性および回動駆動力の伝達の態様のうちの少なくとも1つを変化させてロータリダンパ100に伝達することである。
【0042】
この場合、回動駆動力の特性としては、回転数、トルクおよび回転方向などがある。また、回動駆動力の伝達の態様としては、取付対象物の取付対象出力部に対して所望するロータリダンパ100の連結位置、連結方向または姿勢を実現する回動駆動力の伝達経路のほか、互いに異なる形状または大きさのメイン側連結部112と取付対象出力部との連結を実現する連結構造および回動駆動力の伝達時における衝撃吸収などの機能付加構造などがある。そして、機能モジュール200~500は、これらの回動駆動力、連結構造または機能付加構造に関する調整機能を有している。
【0043】
機能モジュール200は、
図4~
図7にそれぞれ示すように、取付対象物または他の機能モジュール300~500などの外部から入力される回動駆動力に対して抗する弾性力を付与しつつこの回動駆動力をロータリダンパ100または他の機能モジュール300~500に出力する装置であり、主として、モジュールハウジング201および入力調整機構205を備えて構成されている。
【0044】
モジュールハウジング201は、入力調整機構205を収容しつつ機能モジュール200の筐体を構成する部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を中空の箱状に形成して構成されている。この場合、モジュールハウジング201は、入力調整機構205を収容する部分が深く窪んで開口する箱状に形成されたモジュールハウジング本体201aとこのモジュールハウジング本体201aの開口部を覆う蓋体201bとがネジで留められて一体的な箱状に形成されている。このモジュールハウジング201には、外部取付部202、第1モジュール側位置決め嵌合部203、第2モジュール側位置決め嵌合部204およびモジュールロータ周壁208がそれぞれ形成されている。
【0045】
外部取付部202は、機能モジュール200をロータリダンパ100または他の機能モジュール300~500に連結するための部分であり、取付ボルト600が貫通する貫通孔で構成されている。この外部取付部202は、ハウジング本体102に形成された4つのモジュール取付部108にそれぞれ対向する位置に形成されている。
【0046】
第1モジュール側位置決め嵌合部203は、互いに連結されるロータリダンパ100との間で位置決めを行うための部分であり、ハウジング本体102に形成されたメイン側位置決め嵌合部106に嵌合可能な円筒状に形成されている。この第1モジュール側位置決め嵌合部203は、入力調整機構205におけるモジュール出力部206bに対向するモジュールハウジング201の壁面から突出して形成されている。
【0047】
第2モジュール側位置決め嵌合部204は、互いに連結される他の機能モジュール300~500との間で位置決めを行うための部分であり、他の機能モジュール300~500にそれぞれ形成された第1モジュール側位置決め嵌合部303,403,503にそれぞれ嵌合可能な円筒状に形成されている。この第2モジュール側位置決め嵌合部204は、入力調整機構205におけるモジュールロータ206が突出する壁面から突出して形成されている。
【0048】
入力調整機構205は、機能モジュール200の外部から入力される回動駆動力に対して抗する弾性力を付与しつつこの回動駆動力を出力する部品群であり、主として、モジュールロータ206および弾性体207a,207bをそれぞれ備えて構成されている。モジュールロータ206は、取付対象物または他の機能モジュール300~500に接続されてこれらから回動駆動力を受けて回動駆動する部品であり、金属材料または樹脂材材料を丸棒状に形成して構成されている。
【0049】
このモジュールロータ206は、一方の端部側が第2モジュール側位置決め嵌合部204の内周部に回動自在に支持されるとともに、他方の端部側が第1モジュール側位置決め嵌合部203の内周部に回転自在に支持されている。この場合、モジュールロータ206は、第2モジュール側位置決め嵌合部204から突出しており、この突出した部分が取付対象物または他の機能モジュール300~500に接続されるモジュール入力部206aを構成している。本実施形態においては、モジュール入力部206aは、円筒状の取付対象出力部に対応して中実の軸状に形成されている。また、モジュールロータ206は、第1モジュール側位置決め嵌合部203に支持された部分が円筒状に形成されており、ロータリダンパ100のメイン側連結部112が嵌合するモジュール出力部206bを構成している。
【0050】
また、モジュールロータ206は、アーム部206cを有している。アーム部206cは、弾性体207a,207bからの弾性力を受ける部分であり、モジュールロータ206の外周部から径方向外側に張り出して形成されており、先端部が弾性体207a,207bによって互いに対向し合う方向にそれぞれ押されている。
【0051】
弾性体207a,207bは、モジュールロータ206に対して回動方向に抗する弾性力を付与する部品であり、モジュールハウジング201内に設けられている。本実施形態においては、弾性体207a,207bは、金属製のコイルバネで構成されている。この弾性体207a,207bは、各一方の端部がモジュールハウジング201にそれぞれ固定されるとともに各他方の端部が前記アーム部206cをそれぞれ両側から弾性的に押している。
【0052】
これにより、モジュールロータ206は、外部から回動駆動力が付与されない状態においては弾性体207a,207bの各弾性力によって時計回りおよび反時計周りにおける中立位置に弾性的に静止した状態で位置している。なお、本実施形態においては、弾性体207a,207bは、互いに異なる強さ(バネ定数)の弾性体を用いることにより時計回りおよび反時計周りにおいて互いに異なる衝撃吸収特性を発揮させるように構成したが、互いに同じ強さの弾性体で構成を用いることにより時計回りおよび反時計周りにおいて互いに同じ衝撃吸収特性を発揮させるように構成することもできる。
【0053】
モジュールロータ周壁208は、モジュールロータ206におけるモジュール入力部206aと第1モジュール側位置決め嵌合部303,403,503または取付対象物の取付対象出力部との連結部分およびその周辺に水分または油分などからなる液体および粉塵などの異物が付着および侵入を防止するための部分である。このモジュールロータ周壁208は、モジュールハウジング201における機能モジュール300~500または取付対象物が連結される側の面にモジュール入力部206aの周囲を囲むように方形の壁状に立ち上って形成されている。
【0054】
この場合、モジュールロータ周壁208の高さは、第2モジュール側位置決め嵌合部204の高さよりも高く形成されている。このモジュールロータ周壁208には、4つの辺の角部に貫通孔状の外部取付部202がそれぞれ形成されている。
【0055】
機能モジュール300は、
図8~
図11にそれぞれ示すように、外部から入力される回動駆動力を増速して出力する装置であり、主として、モジュールハウジング301および入力調整機構305を備えて構成されている。
【0056】
モジュールハウジング301は、前記モジュールハウジング201と同様に、入力調整機構305を収容しつつ機能モジュール300の筐体を構成する部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を中空の箱状に形成して構成されている。この場合、モジュールハウジング301は、入力調整機構305を収容する部分が深く窪んで形成されたモジュールハウジング本体301aとこのモジュールハウジング本体301aの開口部を覆う蓋体301bとがネジで留められて一体的な箱状に形成されている。このモジュールハウジング301には、外部取付部302、第1モジュール側位置決め嵌合部303およびボス304がそれぞれ形成されている。
【0057】
外部取付部302は、機能モジュール300をロータリダンパ100または他の機能モジュール200に連結するための部分であり、取付ボルト600が貫通する貫通孔で構成されている。この外部取付部302は、ハウジング本体102に形成された4つのモジュール取付部108にそれぞれ対向する位置に形成されている。
【0058】
第1モジュール側位置決め嵌合部303は、互いに連結されるロータリダンパ100との間または他の機能モジュール200との間で位置決めを行うための部分であり、ハウジング本体102に形成されたメイン側位置決め嵌合部106および他の機能モジュール200に形成された第2モジュール側位置決め嵌合部204に嵌合可能な円筒状に形成されている。この第1モジュール側位置決め嵌合部303は、入力調整機構305におけるモジュール出力部307aに対向するモジュールハウジング301の壁面から突出して形成されている。
【0059】
ボス304は、モジュールロータ306を支持する部分であり、入力調整機構305におけるモジュールロータ306が突出する蓋体301bの壁面から円筒状に突出して形成されている。
【0060】
入力調整機構305は、機能モジュール300の外部から入力される回動駆動力を増速して出力する部品群であり、主として、モジュールロータ306および出力軸307をそれぞれ備えて構成されている。モジュールロータ306は、取付対象物に接続されてこの取付対象物から回動駆動力を受けて回動駆動する部品であり、金属材料または樹脂材材料を丸棒状に形成して構成されている。
【0061】
このモジュールロータ306は、一方の端部側がボス304の内周部に回転自在に支持されるとともに、他方の端部側に第1ギア306bが形成されてモジュールハウジング301に回転自在に支持されている。この場合、モジュールロータ306は、ボス304から突出しており、この突出した部分が取付対象物に接続されるモジュール入力部306aを構成している。
【0062】
第1ギア306bは、第2ギア307bと噛み合ってモジュールロータ306の回動速度に対して出力軸307の回動速度を増速、換言すれば、モジュールロータ306のトルクに対して出力軸307のトルクを減少させるための部品であり、モジュールロータ306と一体的に回動する平歯車で構成されている。この場合、第1ギア306bは、第2ギア307bに対して外形が大きくかつ歯数が多く形成されている。
【0063】
出力軸307は、一方の端部側がモジュールハウジング301に回転自在に支持されるとともに、他方の端部側に第2ギア307bが形成されて第1モジュール側位置決め嵌合部303に回転自在に支持されている。この場合、出力軸307は、第1モジュール側位置決め嵌合部303に支持された部分が円筒状に形成されており、ロータリダンパ100のメイン側連結部112または他の機能モジュール200のモジュール入力部206aが嵌合するモジュール出力部307aを構成している。
【0064】
第2ギア307bは、第1ギア306bと噛み合ってモジュールロータ306の回動速度に対して出力軸307の回動速度を増速、換言すれば、モジュールロータ306のトルクに対して出力軸307のトルクを減少させるための部品であり、出力軸307と一体的に回転する平歯車で構成されている。この場合、第2ギア307bは、前記第1ギア306bに対して外形が小さくかつ歯数が少なく形成されている。
【0065】
機能モジュール400は、
図12~
図14にそれぞれ示すように、外部から入力される回動駆動力を減速して出力する装置であり、主として、モジュールハウジング401および入力調整機構405を備えて構成されている。この機能モジュール400は、機能モジュール300に対して第1ギア306bおよび第2ギア307bとは異なる第1ギア406bおよび第2ギア407bをそれぞれ備える点で異なり他の構成が共通しているため、これら共通する部分の説明は適宜省略する。
【0066】
すなわち、機能モジュール400は、モジュールハウジング301、モジュールハウジング本体301a、蓋体301b、外部取付部302、第1モジュール側位置決め嵌合部303、ボス304、入力調整機構305、モジュールロータ306、モジュール入力部306a、出力軸307およびモジュール出力部307aとそれぞれ同様のモジュールハウジング401、モジュールハウジング本体401a、蓋体401b、外部取付部402、第1モジュール側位置決め嵌合部403、ボス404、入力調整機構405、モジュールロータ406、モジュール入力部406a、出力軸407およびモジュール出力部407aをそれぞれ備えている。
【0067】
第1ギア406bは、第2ギア407bと噛み合ってモジュールロータ406の回動速度に対して出力軸407の回動速度を減速、換言すれば、モジュールロータ406のトルクに対して出力軸407のトルクを増大させるための部品であり、モジュールロータ406と一体的に回動する平歯車で構成されている。この場合、第1ギア406bは、第2ギア407bに対して外形が小さくかつ歯数が少なく形成されている。
【0068】
第2ギア407bは、第1ギア406bと噛み合ってモジュールロータ406の回動速度に対して出力軸407の回動速度を減速、換言すれば、モジュールロータ406のトルクに対して出力軸407のトルクを増大させるための部品であり、出力軸407と一体的に回転する平歯車で構成されている。この場合、第2ギア407bは、前記第1ギア406bに対して外形が大きくかつ歯数が多く形成されている。なお、機能モジュール300,400は、平歯車からなる第1ギア306b,406bおよび第2ギア307b,407bを用いて増速機構および減速機構をそれぞれ構成したが、他の構造、例えば、遊星ギアを用いた構造によって増速機構および減速機構をそれぞれ構成してもよいことは当然である。
【0069】
機能モジュール500は、
図15~
図17にそれぞれ示すように、ロータリダンパ100におけるメイン側連結部112の軸方向とは異なる方向から回動駆動力を入力するための装置であり、主として、モジュールハウジング501および入力調整機構505を備えて構成されている。
【0070】
モジュールハウジング501は、前記モジュールハウジング201と同様に、入力調整機構505を収容しつつ機能モジュール500の筐体を構成する部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を中空の箱状に形成して構成されている。この場合、モジュールハウジング501は、入力調整機構505の一部を収容する部分が深く窪んで形成されたモジュールハウジング第1本体501aとこのモジュールハウジング第1本体501aの開口部を覆う蓋体501bとで入力調整機構505の他の一部を収容する筒状のモジュールハウジング第2本体501cの一部を挟んでネジで留めることにより一体的な箱状に形成されている。このモジュールハウジング501には、外部取付部502、第1モジュール側位置決め嵌合部503およびボス504がそれぞれ形成されている。
【0071】
外部取付部502は、機能モジュール500をロータリダンパ100または他の機能モジュール200に連結するための部分であり、取付ボルト600が貫通する貫通孔で構成されている。この外部取付部502は、ハウジング本体102に形成された4つのモジュール取付部108にそれぞれ対向する位置に形成されている。
【0072】
第1モジュール側位置決め嵌合部503は、互いに連結されるロータリダンパ100との間または他の機能モジュール200との間で位置決めを行うための部分であり、ハウジング本体102に形成されたメイン側位置決め嵌合部106および他の機能モジュール200にそれぞれ形成された第2モジュール側位置決め嵌合部204にそれぞれ嵌合可能な円筒状に形成されている。この第1モジュール側位置決め嵌合部503は、入力調整機構505におけるモジュール出力部507aに対向するモジュールハウジング501の壁面から突出して形成されている。
【0073】
ボス504は、モジュールロータ506を支持する部分であり、入力調整機構505におけるモジュールロータ506が突出するモジュールハウジング501の壁面から円筒状に突出して形成されている。
【0074】
入力調整機構505は、ロータリダンパ100におけるメイン側連結部112の軸方向とは異なる方向から回動駆動力を入力して同回動駆動力をメイン側連結部112と同じ軸方向に伝達経路を変更する部品群であり、主として、モジュールロータ506および出力軸507をそれぞれ備えて構成されている。モジュールロータ506は、取付対象物に接続されてこの取付対象物から回動駆動力を受けて回動駆動する部品であり、金属材料または樹脂材材料を丸棒状に形成して構成されている。
【0075】
このモジュールロータ506は、一方の端部側がボス504の内周部に回転自在に支持されるとともに、他方の端部側に第1ギア506bが形成されている。この場合、モジュールロータ506は、ボス504から突出しており、この突出した部分が取付対象物に接続されるモジュール入力部506aを構成している。
【0076】
第1ギア506bは、第2ギア507bと噛み合ってモジュールロータ506の回動駆動力を出力軸507に伝達する部品であり、モジュールロータ506と一体的に回転する笠歯歯車で構成されている。この場合、第1ギア506bは、第2ギア507bに対して外形が小さくかつ歯数が少なく形成されており、モジュールロータ506の回動速度が減速されるように構成されている。
【0077】
出力軸507は、一方の端部側が第1モジュール側位置決め嵌合部503の内周部に回転自在に支持されるとともに、他方の端部側に第2ギア507bが形成されている。この場合、出力軸507は、第1モジュール側位置決め嵌合部503に支持された部分が円筒状に形成されており、ロータリダンパ100のメイン側連結部112または他の機能モジュール200のモジュール入力部206aが嵌合するモジュール出力部507aを構成している。
【0078】
第2ギア507bは、第1ギア506bと噛み合ってモジュールロータ506の回動駆動力を受ける部品であり、出力軸507と一体的に回転する笠歯歯車で構成されている。すなわち、第1ギア506bと第2ギア507bとは、互いに直交する方向で噛み合っている。これにより、入力調整機構505は、モジュールロータ506が入力した回動駆動力を直交する方向に伝達経路を変更することができる。なお、第1ギア506bと第2ギア507bとは、モジュールロータ506の回動速度を減速するように構成したが、これに限定されるものではなく、モジュールロータ506の回動駆動力を増速するように構成してもよいし、モジュールロータ506の回動駆動力を減速も増速もさせることなくそのまま伝達するように構成することもできる。
【0079】
(ロータリダンパ100の作動)
次に、このように構成されたロータリダンパ100の作動について説明する。このロータリダンパ100は、互いに可動的に連結される2つの部品間に設けられる。例えば、ロータリダンパ100は、自動車におけるシートのリクライニング機構、テールゲート、グローブボックスの開閉機構、二輪の自走式車両(バイク)の後輪を上下動可能に支持するスイングアームの基端部、家具における開閉扉のヒンジ部分、または昇降棚の昇降機構などの可動部分を有する取付対象物またはこれらの取付対象物の試作品における相対回転する一方の部品にメインハウジング101が取り付けられるとともに、他方の部品にメインロータ110が取り付けられる。
【0080】
この場合、ロータリダンパ100は、メインロータ110と取付対象物との間に機能モジュール200~500を介在させてメインロータ110への回動駆動力の特性および/または回動駆動力の伝達の態様を変化させることができる。具体的には、ロータリダンパ100を取付対象物に取り付ける作業を行う作業者は、ロータリダンパ100とともに機能モジュール200~500のうちの必要となる機能を有する機能モジュール200~500および取付ボルト600をそれぞれ用意する。そして、作業者は、ロータリダンパ100のメインハウジング101に機能モジュール200~500のモジュールハウジング201,301,401,501を取り付ける。
【0081】
例えば、作業者は、
図18に示すように、ロータリダンパ100におけるメインロータ110に回動駆動力が作用する際における衝撃を抑えたい場合には、ロータリダンパ100に機能モジュール200を設けることができる。具体的には、作業者は、ロータリダンパ100のメインハウジング101から突出した状態で露出するメインロータ110の先端部分であるメイン側連結部112を機能モジュール200のモジュールハウジング201に開口した状態で露出するモジュール出力部206bに挿し込んで連結する。この場合、作業者は、メインロータ110のメイン側連結部112およびモジュール出力部206bにそれぞれ形成されたキー溝内に棒状のキー(図示せず)を嵌め込んで両者が一体的に回動するように連結する。
【0082】
また、この場合、ロータリダンパ100と機能モジュール200とは、メインロータ110がモジュール出力部206bに挿し込まれることでメイン側位置決め嵌合部106と第1モジュール側位置決め嵌合部203とが互いに嵌合する。これにより、機能モジュール200は、メインロータ110の軸線方向に直交する平面内における位置決めがなされる。また、ロータリダンパ100および機能モジュール200は、メイン側連結部112とモジュール出力部206bとの連結部分がメイン側位置決め嵌合部106および第1モジュール側位置決め嵌合部203で覆われるため、この連結部分への異物の侵入を防止することができる。
【0083】
次に、作業者は、ロータリダンパ100のメインハウジング101に形成された4つのモジュール取付部108と機能モジュール200のモジュールハウジング201に形成された4つの外部取付部202との各位置を合わせた後、4つの取付ボルト600をそれぞれ外部取付部202に貫通させてモジュール取付部108にそれぞれ締め付ける。この場合、取付ボルト600は、モジュールハウジング201を貫通してメインハウジング101のモジュール取付部108に捩じ込み可能な長さで形成されている。これにより、機能モジュール200は、メインハウジング101とモジュールハウジング201とが一体化してロータリダンパ100に固定的に取り付けられる。
【0084】
なお、作業者は、モジュール取付部108を構成する4つのネジ穴が正方形の四隅を構成するように直交する2方向で等間隔に配置されているため、ロータリダンパ100に対する機能モジュール200の向きを90°ごとに回転させて所望する向きで取り付けることができる。特に、機能モジュール200のようにモジュールハウジング201がロータリダンパ100のメインハウジング101の外縁部から張り出す大きさまたは形状に形成されている場合には、ロータリダンパ100に対する機能モジュール200の取り付けの向きを調整することで機能モジュール200が他の物品に物理的に干渉することを防止することができる。
【0085】
また、この場合、機能モジュール200は、モジュールハウジング201におけるロータリダンパ100側の面がメインハウジング101に形成されたメインロータ周壁107の先端面に密着した状態で取り付けられる。これにより、ロータリダンパ100は、メイン側連結部112とモジュール出力部206bとの連結部分およびその周辺への異物の侵入を防止することができる。また、メインロータ周壁107は、厚さの薄い壁状に形成されているため、メインハウジング101とモジュールハウジング201とが互いに対向する2つの面間の全面で接触し合う場合に比べて両者間に異物を挟んだ状態で接触し合うことを抑制することができる。
【0086】
次に、作業者は、
図19に示すように、機能モジュール200が取り付けられたロータリダンパ100を取付対象物90に取り付ける。この場合、作業者は、機能モジュール200のモジュールハウジング201から突出した状態で露出するモジュールロータ206のモジュール入力部206aを取付対象物90における回動駆動力が出力される取付対象出力部91に取り付ける。ここで、取付対象出力部91は、メイン側連結部112およびモジュール入力部206a,306a,406a,506aのうちの1つが選択的に嵌合して連結される円筒状の部品である。また、作業者は、メインハウジング101またはモジュールハウジング201を取付対象出力部91に対して相対回転する部分に金具などの固定具(図示せず)を用いて取り付ける。
【0087】
なお、この場合、作業者は、ロータリダンパ100、機能モジュール200および取付対象物90を一体的に取り付けることもできる。具体的には、取付対象物90におけるロータリダンパ100の取付位置にモジュール取付部108および外部取付部202と同じピッチの4つの貫通孔をそれぞれ形成しておくとともに、取付ボルト600を取付対象物90およびモジュールハウジング201を貫通してメインハウジング101のモジュール取付部108に捩じ込み可能な長さに形成しておく。これにより、作業者は、取付ボルト600を取付対象物90およびモジュールハウジング201に貫通させてメインハウジング101のモジュール取付部108に締め付けることで取付対象物90に対してロータリダンパ100および機能モジュール200を一体的に取り付けることもできる。これによれば、前記固定具は不要である。
【0088】
この場合、機能モジュール200は、取付対象物90におけるモジュールハウジング201側の取付面92がモジュールハウジング201に形成されたモジュールロータ周壁208の先端面に密着した状態で取り付けられる。これにより、ロータリダンパ100は、モジュール入力部206aと取付対象出力部91との連結部分およびその周辺に水分または油分などからなる液体および粉塵などの異物が付着および侵入を防止することができる。また、モジュールロータ周壁208は、厚さの薄い壁状に形成されているため、取付対象物90とモジュールハウジング201とが互いに対向する2つの面間の全面で接触し合う場合に比べて両者間に異物を挟んだ状態で接触し合うことを抑制することができる。
【0089】
このように取り付けられたロータリダンパ100は、取付対象物90の取付対象出力部91から機能モジュール200を介して回動駆動力が入力される(
図19における破線矢印参照)。具体的には、ロータリダンパ100は、取付対象出力部91からモジュールロータ206に作用する回動駆動方向における衝撃が弾性体207a,207bによって緩衝された状態でモジュールロータ206に入力された回動駆動力がメインロータ110に伝達される。これにより、ロータリダンパ100は、機能モジュール200を介して入力した回動駆動力によってメインロータ110が流動体115の抵抗に抗しながら回動する。また、ロータリダンパ100は、モジュールロータ206に回動駆動力が作用しなくなった場合には、弾性体207a,207bの弾性力によって2つの回動方向(時計回りおよび反時計周り)における中央部分に回動して静止する。
【0090】
なお、上記作動説明においては、ロータリダンパ100に機能モジュール200を取り付けた場合について説明した。しかし、ロータリダンパ100は、機能モジュール200に代えて他の機能モジュール300~500についても同様に取り付けることができる。この場合、ロータリダンパ100は、機能モジュール300を取り付けることによって機能モジュール300のモジュールロータ306に入力された回動駆動力を増速してメインロータ110に伝達することができる。また、ロータリダンパ100は、機能モジュール400を取り付けることによって機能モジュール400のモジュールロータ406に入力された回動駆動力を減速してメインロータ110に伝達することができる。また、ロータリダンパ100は、機能モジュール500を取り付けることによってメインロータ110の軸線方向に対して直交する方向から回動駆動力を入力することができる。
【0091】
また、ロータリダンパ100は、機能モジュール200に加えて他の機能モジュール300~500を取り付けることができる。例えば、作業者は、
図20に示すように、ロータリダンパ100に対して機能モジュール200に加えて機能モジュール500を取り付けることができる。具体的には、作業者は、ロータリダンパ100におけるメインロータ110のメイン側連結部112を機能モジュール200のモジュール出力部206bに挿し込んだ後、更に機能モジュール200におけるモジュールロータ206のモジュール入力部206aを機能モジュール500のモジュールハウジング501に開口した状態で露出するモジュール出力部507aに挿し込んで連結する。この場合、作業者は、モジュールロータ206のモジュール入力部206aおよびモジュール出力部507aにそれぞれ形成されたキー溝内に棒状のキーを嵌め込んで両者が一体的に回動するように連結する。
【0092】
また、この場合、機能モジュール200と機能モジュール500とは、モジュールロータ206のモジュール入力部206aがモジュール出力部507aに挿し込まれることで第2モジュール側位置決め嵌合部204と第1モジュール側位置決め嵌合部503とが互いに嵌合する。これにより、機能モジュール500は、機能モジュール200のモジュールロータ206の軸線方向に直交する平面内における位置決めがなされる。
【0093】
また、機能モジュール200および機能モジュール500は、モジュール入力部206aとモジュール出力部507aとの連結部分が第2モジュール側位置決め嵌合部204および第1モジュール側位置決め嵌合部503で覆われるため、この連結部分への異物の侵入を防止することができる。また、機能モジュール200および機能モジュール500は、モジュールロータ周壁208を介して取り付けられるため、モジュール入力部206aとモジュール出力部507aとの連結部分およびその周辺に水分または油分などからなる液体および粉塵などの異物が付着および侵入を防止することができる。
【0094】
次に、作業者は、ロータリダンパ100のメインハウジング101に形成された各モジュール取付部108に対して機能モジュール200の各外部取付部202および機能モジュール500の各外部取付部502の各位置を併せた後、4つの取付ボルト600をそれぞれ外部取付部202,502に貫通させてモジュール取付部108にそれぞれ締め付ける。この場合、取付ボルト600は、モジュールハウジング201,501をそれぞれ貫通してメインハウジング101のモジュール取付部108に捩じ込み可能な長さで形成されている。
【0095】
これにより、機能モジュール200,500は、メインハウジング101に対してモジュールハウジング201,501が一体化してロータリダンパ100に固定的に取り付けられる。この場合、機能モジュール500は、外力を入力するモジュールロータ506の軸線方向がロータリダンパ100のメインロータ110の軸線方向に対して直交する方向に延びている。
【0096】
次に、作業者は、機能モジュール200および機能モジュール500がそれぞれ取り付けられたロータリダンパ100を前記と同様にして取付対象物90(図示せず)に取り付ける。この場合、ロータリダンパ100は、メインロータ110の軸線方向に対してモジュールロータ506の軸線方向が直交する方向に延びているため、同直交する方向から回動駆動力を入力することができる。
【0097】
このように取り付けられたロータリダンパ100は、取付対象物90の取付対象出力部91(図示せず)から機能モジュール500および機能モジュール200をそれぞれ介して回動駆動力が入力される。具体的には、ロータリダンパ100は、取付対象物90からモジュールロータ506に作用する回動駆動力が入力調整機構505を介して直交する方向に伝達された後、モジュール出力部507aを介して機能モジュール200のモジュールロータ206に伝達される。
【0098】
次いで、ロータリダンパ100は、モジュールロータ206に作用する回動駆動方向における衝撃が弾性体207a,207bによって緩衝された状態でモジュールロータ206に入力された回動駆動力がメインロータ110に伝達される。これにより、ロータリダンパ100は、機能モジュール200,500を介して入力した回動駆動力によってメインロータ110が流動体115の抵抗に抗しながら回動する。また、ロータリダンパ100は、モジュールロータ206に回動駆動力が作用しなくなった場合には、弾性体207a,207bの弾性力によって2つの回動方向(時計回りおよび反時計周り)における中央部分に回動して静止する。
【0099】
なお、上記作動説明においては、作業者は、ロータリダンパ100に仮連結した機能モジュール200に対して機能モジュール500を仮連結した。しかし、作業者は、機能モジュール500を仮連結した機能モジュール200をロータリダンパ100に仮連結するようにしてもよい。
【0100】
また、ロータリダンパ100は、機能モジュール200に対して機能モジュール500を取り付けた。しかし、ロータリダンパ100は、機能モジュール200に対して機能モジュール500に代えてまたは加えて機能モジュール300,400を取り付けることもできる。
【0101】
また、作業者は、ロータリダンパ100に入力される回動駆動力の仕様を変更する場合には、取付ボルト600のネジ嵌合を弛めてメインハウジング101から取り外すことで機能モジュール200~500を取り外すことができる。これにより、作業者は、新たな機能モジュール200~500を単体でまたは適宜組み合わせてロータリダンパ100に取り付けることができる。
【0102】
上記作動方法の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ロータリダンパ100は、メインロータ110に入力される回動駆動力の仕様を変更することができる入力調整機構205,305,405,505を備えた機能モジュール200~500を着脱自在な状態で備えているため、所望する機能を有した機能モジュール200~500を単体でまたは組み合わせて取り付けることによって容易に仕様を変更することができるとともに従前のロータリダンパの使用を継続することができ経済性も良好にすることができる。
【0103】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0104】
例えば、上記実施形態においては、ロータリダンパ100は、4つの互いに異なる機能を有する機能モジュール200~500を備えて構成した。しかし、ロータリダンパ100は、同種の機能を有する機能モジュール200~500を複数個ずつ備えて構成してもよい。また、ロータリダンパ100は、機能モジュール200~500とは異なる機能を有する機能モジュールを備えて構成することもできる。
【0105】
この場合、機能モジュールは、例えば、取付対象物から入力される回動駆動方向を反転させてロータリダンパ100のメインロータ110に入力する機能を有して構成することができる。具体的には、機能モジュールは、機能モジュール300,400における第1ギア306b,406bおよび第2ギア307b,407bを互いに同じ外径および歯数に形成することで実現できる。また、この場合、この機能モジュールは、モジュール入力部の軸線方向とモジュール出力部の軸線方向とが互いに異なる位置に位置しているため、取付対象物から回動駆動力が出力される取付対象出力部の軸線方向上にロータリダンパ100を配置することができない場合にロータリダンパ100を取付対象出力部の軸線方向上からずらした位置に配置することもできる。
【0106】
また、機能モジュールは、取付対象物から回動駆動力が出力される取付対象出力部とロータリダンパ100におけるメイン側連結部112との間の物理的距離がメイン側連結部112の長さ以上に離れている場合には、両者間を繋ぐ機能を有するように構成することができる。具体的には、機能モジュールは、機能モジュール200におけるモジュールロータ206からアーム部206cを排するとともに弾性体207a,207bを排する。そして、モジュールロータ206の長さを前記取付対象出力部とロータリダンパ100におけるメイン側連結部112との間の物理的距離以上の長さに形成する。これにより、機能モジュールは、物理的に離れた取付対象出力部とメイン側連結部112を互いに連結して回動駆動力を伝達することができる。
【0107】
また、機能モジュールは、ロータリダンパ100におけるメイン側連結部112の外径と取付対象物から回動駆動力が出力される取付対象出力部とが一致せず、互いに連結できない場合には、両者間を繋ぐ機能を有するように構成することができる。具体的には、機能モジュールは、例えば、機能モジュール200~500において、モジュール入力部206a,306a,406a,506aをメイン側連結部112に連結可能な外径に形成するとともに、モジュール出力部206b,307a,407a,507aを前記取付対象出力部に連結可能な外径に形成すればよい。
【0108】
また、上記実施形態においては、メイン側連結部112、モジュール入力部206a,306a,406a,506aをそれぞれ軸状に形成したが、これは取付対象出力部が
図19に示す取付対象出力部91のように筒状の軸体で構成されていることを前提としている。したがって、モジュール入力部206a,306a,406a,506aは、取付対象出力部の外側に嵌合させることを前提とすれば(例えば、取付対象出力部が中実の軸体で構成されている場合)、モジュール入力部206a,306a,406a,506aを筒状の軸体で構成することができる。
【0109】
また、機能モジュールは、機能モジュールの外部から入力される回動駆動力に関する特性および回動駆動力の出力に関する態様のうちの少なくとも1つを変更する機能を有していればよい。この場合、回動駆動力の特性としては回転数、トルクおよび回転方向を変更することができる機能があり、回動駆動力の出力に関する態様としてはモジュールロータのモジュール入力部はメイン側連結部の長さ、軸径(または孔径)、形成方向および形成位置を変更または衝撃吸収などの機能を付加する機能がある。そして、機能モジュールは、これらの各機能を単体でまたは複数の機能を同時に含んで構成することができる。
【0110】
また、機能モジュール200は、モジュールロータ206の2つの回動駆動方向のうちの両方向から弾性体207a,207bの弾性力を付与するように構成した。しかし、機能モジュール200は、モジュールロータ206の2つの回動駆動方向のうちの一方にのみ弾性体207aまたは弾性体207bによる弾性力を付与するように構成することもできる。また、弾性体207a,207bは、コイルバネのほか、板バネまたはトーションバネで構成することもできるとともに2つの磁石の反発力または吸着力を用いて構成することもできる。
【0111】
また、ロータリダンパ100は、複数の機能モジュールを備えて構成してよいが、1つの機能モジュールのみを備えて構成することもできる。この場合、モジュールハウジングにおける外部取付部は、ロータリダンパ100におけるモジュール取付部108にのみ取り付けることができるように構成されていればよく、他の機能モジュールが取り付けられるように構成する必要はない。
【0112】
また、上記実施形態においては、機能モジュール200における外部取付部202は、ロータリダンパ100または他の期のモジュール300~500にそれぞれ選択的に取り付け可能に構成した。一方、機能モジュール300~500における各外部取付部302,402,502は、ロータリダンパ100にのみ取り付け可能に構成した。すなわち、外部取付部202は、本発明に係る他モジュール取付部を含んで構成されている。したがって、機能モジュール300~500は、外部取付部302,402,502がロータリダンパ100に加えて他の機能モジュール300~500のそれぞれ選択的に取り付け可能に構成することもできる。
【0113】
また、機能モジュール200~500は、外部取付部202,302,402,502がロータリダンパ100にのみ取り付け可能に形成することもできる。この場合、機能モジュール200~500は、他の機能モジュール200~500を取り付けるための他モジュール取付部を外部取付部202,302,402,502とは別に設ける必要がある。ここで、他モジュール取付部は、例えば、2つのモジュールハウジング201,301,401,501を互いに着脱自在に取り付け可能な圧入ピンと嵌合孔、雄ネジと雌ネジ、鉤状の引っ掛け部と凹状の被引っ掛け部または磁石と磁石(または磁性体)などで構成することができる。
【0114】
なお、モジュール取付部108および外部取付部202,302,402,502についても雄ネジと雌ネジ以外の構成、例えば、圧入ピンと嵌合孔、鉤状の引っ掛け部と凹状の被引っ掛け部または磁石と磁石(または磁性体)などで構成することができる。また、モジュール取付部108を雌ネジで構成する場合においては、形成する位置および形成する数についても必要に応じて適宜設定すればよい。したがって、モジュール取付部108は、正方形の角部に代えて長方形またはその他の多角形(例えば、三角形または六角形)の角部に配置するようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施形態においては、メイン側連結部112を軸体で構成するとともにモジュール出力部206b,307a,407a,507aをメイン側連結部112が嵌合する筒体で構成した。しかし、メイン側連結部112およびモジュール出力部206b,307a,407a,507aは、互いに着脱自在に連結されるように構成されていればよい。したがって、例えば、モジュール出力部206b,307a,407a,507aを軸体で構成するとともにメイン側連結部112をモジュール出力部206b,307a,407a,507aが嵌合する筒体で構成することもできる。
【0116】
また、上記実施形態においては、メインハウジング101にメイン側位置決め嵌合部106を設けるとともに、モジュールハウジング201,301,401,501に第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503をそれぞれ設けて、メイン側位置決め嵌合部106に対して第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503が選択的に取り付けられるように構成した。すなわち、これらが本発明に係る位置決め嵌合部に相当する。
【0117】
この場合、メイン側位置決め嵌合部106および第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503は、メイン側位置決め嵌合部106の外側に第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503が嵌合するように構成されている。しかし、メイン側位置決め嵌合部106および第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503は、メイン側位置決め嵌合部106の内側に第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503が嵌合するように構成することもできる。また、メイン側位置決め嵌合部106および第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503は、メインロータ110およびモジュールロータ206,306,406,506の周囲ではなく、これらから離れた位置に圧入ピンと嵌合孔とで構成することもできる。また、メインハウジング101およびモジュールハウジング201,301,401,501は、メイン側位置決め嵌合部106、第1モジュール側位置決め嵌合部203,303,403,503をそれぞれ省略して構成することもできる。
【0118】
また、上記実施形態においては、モジュールハウジング201における第2モジュール側位置決め嵌合部204は、モジュールハウジング301,401,501における各第2モジュール側位置決め嵌合部304,404,504に嵌合可能に構成した。この場合、第2モジュール側位置決め嵌合部304,404,504は、第2モジュール側位置決め嵌合部204以外の他の第2モジュール側位置決め嵌合部304,404,504には嵌合不能に形成されている。しかし、第2モジュール側位置決め嵌合部304,404,504は、第2モジュール側位置決め嵌合部204に加えて他の第2モジュール側位置決め嵌合部304,404,504に嵌合可能に形成することもできる。また、モジュールハウジング201,301,401,501は、メイン側位置決め嵌合部106、第2モジュール側位置決め嵌合部204,304,404,504をそれぞれ省略して構成することもできる。
【0119】
また、上記実施形態においては、メインハウジング101は、モジュールハウジング201,301,401,501と対向する面に薄板状の壁体を連続する環状に形成したメインロータ周壁107を設けた。しかし、メインロータ周壁107は、薄板状の壁体を断続する環状に形成することもできる。また、メインハウジング101は、メインロータ周壁107を省略して構成することもできる。また、モジュールロータ周壁208についても機能モジュール200以外の機能モジュール300~500に設けてもよいし、薄板状の壁体を断続する環状に形成してもよい。また、モジュールハウジング201は、モジュールロータ周壁208を省略して構成することもできる。
【0120】
また、上記実施形態においては、ロータリダンパ100における内室103内を4つの個室に仕切って構成した。しかし、ロータリダンパ100における内室103は、少なくとも2つ以上の個室に仕切られていればよい。
【0121】
また、ロータリダンパ100は、自動車におけるシートのリクライニング機構、テールゲート、グローブボックスの開閉機構、二輪の自走式車両(バイク)の後輪を上下動可能に支持するスイングアームの基端部、家具における開閉扉のヒンジ部分、または昇降棚の昇降機構などの可動部分を有する取付対象物以外の機械装置、電機装置または器具に取り付けて用いることができる。
【符号の説明】
【0122】
90…取付対象物、91…取付対象出力部、92…取付面、
100…ロータリダンパ、101…メインハウジング、102…ハウジング本体、103…内室、104…固定ベーン、104a…シール体、105…ロータ支持部、106…メイン側位置決め嵌合部、107…メインロータ周壁、108…モジュール取付部、109…蓋体、110…メインロータ、111…軸体、112…メイン側連結部、113…アキュムレータ、114…可動ベーン、114a…シール体、114b…絞り弁、115…流動体、
200…機能モジュール、201…モジュールハウジング、201a…モジュールハウジング本体、201b…蓋体、202…外部取付部、203…第1モジュール側位置決め嵌合部、204…第2モジュール側位置決め嵌合部、205…入力調整機構、206…モジュールロータ、206a…モジュール入力部、206b…モジュール出力部、206c…アーム部、207a,207b…弾性体、208…モジュールロータ周壁、
300,400…機能モジュール、301,401…モジュールハウジング、301a,401a…モジュールハウジング本体、301b,401b…蓋体、302,402…外部取付部、303,403…第1モジュール側位置決め嵌合部、304,404…ボス、305,405…入力調整機構、306,406…モジュールロータ、306a,406a…モジュール入力部、306b,406b…第1ギア、307,407…出力軸、307a,407a…モジュール出力部、307b,407b…第2ギア、
500…機能モジュール、501…モジュールハウジング、501a…モジュールハウジング第1本体、501b…蓋体、501c…モジュールハウジング第2本体、502…外部取付部、503…第1モジュール側位置決め嵌合部、504…ボス、505…入力調整機構、506…モジュールロータ、506a…モジュール入力部、506b…第1ギア、507…出力軸、507a…モジュール出力部、507b…第2ギア、
600…取付ボルト。