(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-29
(45)【発行日】2022-10-07
(54)【発明の名称】空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの自動露出
(51)【国際特許分類】
H04N 5/235 20060101AFI20220930BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220930BHJP
H04N 5/243 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
H04N5/235 500
H04N5/235 300
H04N5/232 290
H04N5/243
(21)【出願番号】P 2021512776
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2019049706
(87)【国際公開番号】W WO2020051305
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】マケルヴァイン,ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ギッシュ,ウォルター シー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジョナサン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワード,グレゴリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アトキンス,ロビン
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0064179(US,A1)
【文献】特表2011-503915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0092066(US,A1)
【文献】特開2010-273001(JP,A)
【文献】特開2006-180015(JP,A)
【文献】特表2018-509027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出方法であって、
前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するステップであって、前記RAW画像データは、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含むステップと、
前記長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の画像品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外するステップと、
前記前処理するステップの後に残った前記長露光画素値および前記前処理するステップの後に残った前記短露光画素値を、ハイダイナミックレンジヒストグラムとして合成するステップと、
前記ハイダイナミックレンジヒストグラムから良好性メトリックを導出するステップと、
前記良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整するステップと、
調整された前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサに出力するステップと、
を含み、
前記良好性メトリックは、前記ハイダイナミックレンジヒストグラムの総エントロピーに対する前記ハイダイナミックレンジヒストグラムの個々のビンの寄与の前記ハイダイナミックレンジヒストグラム全体にわたっての分散を含む、
自動露出方法。
【請求項2】
前記導出するステップは、前記ハイダイナミックレンジヒストグラムの個々のビン
iからの前記寄与S
iをS
i = -p
ilog
2(p
i)として算出することを含み、p
iは前記個々のビン
iにおけるカウントである、
請求項1に記載の自動露出方法。
【請求項3】
前記合成するステップよりも前に、前記長露光画素値および短露光画素値からノイズの影響を除去するステップをさらに含む、
請求項1または2に記載の自動露出方法。
【請求項4】
前記ノイズの影響を除去するステップは、(a)前記長露光画素値の第1のヒストグラムおよび(b)前記短露光画素値の第2のヒストグラムのそれぞれを、ノイズモデルに従って逆畳み込みするステップを含む、
請求項3に記載の自動露出方法。
【請求項5】
ノイズ分散の期待値は、画素値の線形関数でモデリングされる、
請求項4に記載の自動露出方法。
【請求項6】
前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップの複数回の反復を行うことにより、前記分散を最小化するような前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定するステップをさらに含む、
請求項1から5のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項7】
前記複数回の反復を行うステップよりも前に、最適な長露光時間を決定するステップをさらに含み、
前記複数回の反復を行うステップは、前記長露光時間を前記最適な長露光時間に維持しながら最適な短露光時間を決定するステップを含む、
請求項6に記載の自動露出方法。
【請求項8】
前記最適な長露光時間を決定するステップは、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサによって撮影された画像のデモザイキングにおける前記長露光画素値の使用と前記短露光画素値の使用との遷移を定義する遷移点における、前記長露光画素値と前記短露光画素値とのノイズ差異を最小化するように、前記長露光時間を変更するステップを含む、
請求項7に記載の自動露出方法。
【請求項9】
前記長露光時間を変更するステップは、
前記長露光時間を初期値に設定しかつ前記短露光時間を最小値に設定するステップと、
以下の少なくとも1つの反復を行うステップと:
(a)前記取得するステップ、前処理するステップ、および合成するステップを行うことにより、仮のハイダイナミックレンジヒストグラムを生成するステップ、
(b)前記仮のハイダイナミックレンジヒストグラムから、前記長露光時間の目標値を推定するステップ、
(c)前記目標値を中心とする範囲における前記長露光時間の複数の値について、前記長露光時間から得られるであろう前記ノイズ差異を示す複数のパラメータのそれぞれを算出するステップ、
(d)前記パラメータの前記値から、前記ノイズ差異の前記値のうち最小のものに対応付けられた前記ビンと一致する前記遷移点に対応するに対応する前記長露光時間の修正値を推定するステップ、
(e)前記長露光時間の前記修正値が前記長露光時間の前記初期値以上でないとき、前記長露光時間の前記初期値を前記長露光時間の前記修正値に更新して後続の反復へと続けるステップ、および
(f)前記長露光時間の前記修正値が前記長露光時間の前記初期値以上のとき、前記長露光時間の前記修正値を前記最適な長露光時間として出力するステップ、
を含む、
請求項8に記載の自動露出方法。
【請求項10】
前記RAW画像データ中における顔を検出するステップをさらに含み、
前記調整するステップは、前記良好性メトリックに部分的に基づいて、かつ部分的に前記顔の露光を改善するように、前記長露光時間および前記短露光時間のセットを調整するステップを含む、
請求項1から9のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項11】
前記取得するステップにおいて、前記RAW画像データの一部として、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの、前記長露光時間より短くかつ前記短露光時間よりも長い中露光時間によって特徴付けられる画素からの中露光画素値をさらに取得するステップと、
前記前処理するステップにおいて、前記中露光画素値をさらに前処理して、1つ以上の第2の品質要件を満たさないような中露光画素値を除外するステップと、
前記合成するステップにおいて、前記前処理するステップの後に残った前記中露光画素値を前記ハイダイナミックレンジヒストグラムにさらに合成するステップと、
前記調整するステップにおいて、前記中露光時間をさらに調整するステップと、
前記出力するステップにおいて、前記調整された中露光時間をさらに出力するステップと、
を含む、請求項1から10のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項12】
前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有しており、
前記自動露出方法は、
前記色別の画素セットのうちそれぞれに対し別々に、前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、および導出するステップを行うステップと、
前記色別の画素セットに対し決定された各良好性メトリックをまとめて評価することにより、全色に適用可能な前記長露光時間および前記短露光時間の調整済みの1セットを生成するステップと、をさらに含む、
請求項1から11のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項13】
前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有しており、
前記自動露出方法は、
前記取得するステップにおいて、前記色別の画素セットのうちそれぞれについて、それぞれの色別の長露光画素値およびそれぞれの色別の短露光画素値を取得するステップと、
前記前処理するステップよりも前に、異なる色に対応付けられた前記色別の長露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記長露光画素値を生成し、異なる色に対応付けられた前記色別の短露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記短露光画素値を生成するステップであって、前記長露光画素値および短露光画素値は輝度を表している、ステップと、
をさらに含む、
請求項1から11のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項14】
前記前処理するステップは、前記長露光画素値および前記短露光画素値を互いに別々にフィルタリングするステップを含む、請求項1から13のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項15】
前記前処理するステップは、(1)前記フィルタリングするステップにおいて、(a)前記長露光画素値から飽和に関する閾値を超える長露光画素値を除外し、(b)前記短露光画素値からノイズに関する閾値未満の短露光画素値を除外するステップを含む、
請求項14に記載の自動露出方法。
【請求項16】
前記前処理するステップは、前記フィルタリングするステップの後に残った前記長露光画素値と前記短露光画素値とを比較することにより、動き差異を評価し、閾値動き差異レベルを超える動き差異の影響を受ける短露光画素値および長露光画素値を前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの空間領域から除外するステップをさらに含む、
請求項14または15に記載の自動露出方法。
【請求項17】
前記ノイズの影響を除去するステップは、閾値動き差異レベルを超える動き差異の影響を受ける前記短露光画素値および前記長露光画素値を前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの前記空間領域から除外するステップの後に残っている、前記長露光画素値および前記短露光画素値に、別々に適用される、請求項16および請求項4に記載の自動露出方法。
【請求項18】
前記合成するステップは、
(a)前記前処理するステップの後に残った前記長露光画素値の第1のヒストグラムと、(b)前記前処理するステップの後に残った前記短露光画素値の第2のヒストグラムとを、共通のスケールにスケーリングするステップと、
前記第2のヒストグラムから、前記共通のスケールにおいて、前記第1のヒストグラムの最上位ビンの中心値以下の中心値を有するような短露光画素値のビンを除外するステップと、
前記除外するステップの後、前記第1のヒストグラムと前記第2のヒストグラムとをマージすることにより、前記ハイダイナミックレンジヒストグラムを作成するステップと、を含む。
請求項1から17のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項19】
前記前処理するステップは、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサと前記RAW画像データによって表されるシーンとの間にある光学的勾配フィルタの影響を補償するように、前記長露光画素値および前記短露光画素値をスケーリングするステップを含む、
請求項1から18のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項20】
前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップの複数回の反復を行うことにより、前記良好性メトリックを最適化する前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定するステップを含む、
請求項1から19のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項21】
後続の各反復は、最も直近の先行する反復において前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサに出力された前記長露光時間および前記短露光時間の調整済みのセットを用いて、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサにより取得されたRAW画像データに基づいている、
請求項20に記載の自動露出方法。
【請求項22】
前記複数回の反復を行うステップを前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの複数の局所領域に対して別々に実行することにより、前記長露光時間および前記短露光時間の空間的に変化するセットを局所的に最適化するステップをさらに含む、
請求項20または21に記載の自動露出方法。
【請求項23】
(1)前記取得するステップにおいて、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサによって記録されたRAW映像ストリームの1フレームから、前記RAW画像データを取得するステップ、(2)前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップを前記RAW映像ストリームの複数のフレームの前記RAW画像データに対して実行することにより、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサによる前記RAW映像ストリームのキャプチャ中において、長露光時間および短露光時間の最適なセットを調整するステップ、(3)前記RAW映像ストリームの各フレームについて、前記長露光画素値および前記短露光画素値から空間的多重化露光ハイダイナミックレンジ画像を生成することにより、前記RAW映像ストリームから空間的多重化露光ハイダイナミックレンジ映像ストリームを生成するステップ、および(4)前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジ映像ストリームを後処理することにより、映像シリーズ(video series)のキャプチャ中における前記長露光時間および前記短露光時間の前記最適なセットの調整により引き起こされた前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジ映像ストリームの時間的明度不安定性を低減するステップをさらに含む、
請求項20から22のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項24】
前記後処理するステップは、各ハイダイナミックレンジ画像を、(a)固定の基準感度の、(b)前記ハイダイナミックレンジ画像に対応付けられた前記フレームのキャプチャ中において用いられた前記長露光時間および前記短露光時間における、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの感度に対する比、で乗算するステップを含む、
請求項23に記載の自動露出方法。
【請求項25】
(1)前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサによって記録されたフレームのRAW映像ストリームを得るステップと、(2)前記RAW映像ストリームの時間的明度変化を解析することにより、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサによってキャプチャされる後のフレームの明度を予測するステップと、(3)前記RAW映像ストリームの前記フレームのうち少なくともいくつかに対して前記反復を行うステップであって、前記反復のそれぞれはさらに、前記解析するステップにおいて予測された明度に基づいて、前記後のフレームにおいて最適になるように前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを操作するステップと、をさらに含む、
請求項20から22のいずれかに記載の自動露出方法。
【請求項26】
非一時的メモリ中にエンコードされる機械可読命令を含む、空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの自動露出のためのプログラムであって、前記機械可読命令は、プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに請求項1から25に記載の方法のうちいずれかを実行させる、データ入力命令を含む、
プログラム。
【請求項27】
空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサと、プロセッサと、請求項26に記載のプログラムを格納したメモリとを備え、前記
プログラムの前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、データ入力命令、前処理命令、合成命令、メトリック導出命令、調整命令、およびデータ出力命令の複数回の反復を行うことにより、前記良好性メトリックを最適化する前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定し前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサに出力する反復命令をさらに含む、自動露出機能を備えた空間的多重化露光ハイダイナミックレンジ撮像システム。
【請求項28】
(I)複数の空間領域のそれぞれに対し別々に少なくとも1つの露光時間を調整するように構成された回路を備えた空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサと、(II)プロセッサと、(III)非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令とを備える、自動露出機能を備えたハイダイナミックレンジ撮像システムであって、前記機械可読命令は、(a)前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに請求項1から25に記載の方法のうちいずれかを実行させるデータ入力命令を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年9月7日に出願された米国仮特許出願第62/728,660号および2018年9月7日に出願された欧州特許出願第18193264.1号に対する優先権を主張するものであり、これらの各出願の全体を本明細書に援用する。
【0002】
本願は、デジタルカメラの自動露出に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のデジタルカメラでは、カメラの画像処理パイプラインを通じて高品質な画像を得るために、画像の露出を適正に調整することが重要である。露出オーバーになると画像に白飛び領域が生まれたり、逆に露出アンダーになるとノイズレベルが過多になったり、可能性としてカラーアーティファクトが発生したりする。デジタル一眼レフ(DSLR)カメラなどの業務用カメラやハイエンドのコンシューマー用カメラでは、自動露出の際に調整するパラメータは、一般的に「露光時間」、「アナログおよび/またはデジタルゲイン(ISO感度)」、「絞りサイズ・(F値)」の3つである。スマートフォンカメラをはじめとするモバイル機器搭載カメラは、一般的に固定レンズを有している。これらのプラットフォームでは、自動露出アルゴリズムは、露光時間とゲインの2つのパラメータを最適化する。一般的に、自動露出アルゴリズムは、撮像システムで撮影された1つ以上の画像を解析して、露光時間およびゲイン(そして可変絞りカメラの場合はF値)を最適化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンカメラなどのほとんどのモバイル機器搭載カメラのイメージセンサは、画素のフルウェル容量が減らされていることに加えて、出力のビット深度が低い(通常10ビット)ため、ダイナミックレンジが限られている。多くのシーンにおいて、このダイナミックレンジでは、シーンの最も明るい部分と最も暗い部分との両方をキャプチャするには不十分である。例えば、逆光で人物の写真を撮影した場合、人物の顔が露出アンダーになったり、逆に明るい背景が露出オーバーになったりすることがある。ハイダイナミックレンジ(HDR)撮像機能にはいくつかの例があり、そのうちのいくつかは、カメラのダイナミックレンジをイメージセンサのダイナミックレンジよりも広げることができる。典型的なアプローチにおいて、HDRデジタルカメラは、同じシーンの画像を2つ撮影する。1つは、シーンの明るい部分の良好な画像データを得るために露光時間を短くした画像、もう1つは、シーンの暗い部分の画像データを得るために露光時間を長くした画像である。次に内蔵の画像処理回路が、この2つの画像を共通のスケールにスケーリングし、スケーリングされた画像を結合することで、シーンの明るい部分と暗い部分の両方をよりよく表現した1枚のHDR画像を生成する。このようなHDR撮像は多くの状況で有効であり、この種のHDR撮像機能は多くの静止画撮影用デバイスの標準特徴となっている。しかし、短露光と長露光は、少なくとも1つのフルフレーム読み出しプロセスを挟んで異なるタイミングで記録されるため、シーンが静的でない場合には、画像結合によって望ましくないアーティファクトが発生することがしばしばある。短露光と長露光との間に被写体が移動すると、HDR画像には、ひどい場合には移動する被写体の画像がずれた二重の画像として表示されたり、それほどひどくない場合でも移動する被写体において輪郭アーティファクトが発生したりする。
【0005】
HDR画像における動きアーティファクトをなくすために、単一のショットで明るい部分と暗い部分の露光を行うSME(空間的多重化露光(spatially-multiplexed-exposure))HDRイメージセンサが業界で開発されている。SME HDRイメージセンサは、イメージセンサの画素アレイに露光時間パターンを適用し、すべての画素が同じ露光時間では動作しないようにする。ジグザグHDRイメージセンサとして一般に知られるタイプのSME HDRイメージセンサでは、画素アレイがジグザグの画素ラインに分割されており、これらのジグザグラインは長露光時間と短露光時間とを交互に繰り返している。別のSME HDRイメージセンサタイプであるクアッド(Quad)HDRイメージセンサでは、通常のベイヤーカラーフィルタパターンが拡張されて、各カラーフィルタが2×2ブロックの画素をカバーするようになっている。2×2ブロック内では、1つの画素が長い露光時間で露光され、もう1つの画素が短い露光時間で露光され、残りの2つの画素が中間の露光時間で露光される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出方法は、以下を含む:(a)前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するステップであって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含むステップ、(b)前記長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外するステップ、(c)前記前処理するステップの後に残った前記長露光画素値および前記前処理するステップの後に残った前記短露光画素値を、HDRヒストグラムとして合成するステップ、(d)前記HDRヒストグラムから良好性メトリックを導出するステップ、(e)前記良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整するステップ、(f)調整された前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を、前記SME HDRイメージセンサに出力するステップ。
【0007】
一実施形態において、SME HDRイメージセンサの自動露出のための製品は、非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令を備え得る。前記機械可読命令は、(a)プロセッサによって実行されたとき、前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するデータ入力命令であって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含む、データ入力命令と、(b)前記プロセッサによって実行されたとき、長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外する、前処理命令と、(c)前記プロセッサによって実行されたとき、(i)前記前処理命令の実行後に残った前記長露光画素値および(ii)前記前処理命令の実行後に残った前記短露光画素値を、HDRヒストグラムとして合成する、合成命令と、(d)前記プロセッサによって実行されたとき、前記HDRヒストグラムから良好性メトリックを導出するメトリック命令と、(e)前記プロセッサによって実行されたとき、前記良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整する、調整命令と、(f)前記プロセッサによって実行されたとき、前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を出力する、データ出力命令と、を含む。
【0008】
一実施形態において、イメージセンサの自動露出方法は、以下を含む:(a)前記イメージセンサの、各露光時間設定における複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の複数のヒストグラムのそれぞれについて、前記ヒストグラムの個々のビンから前記ヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散を評価することにより、前記分散の最小値に対応する、前記イメージセンサに対する最適な露光時間を決定するステップ、および(b)前記最適な露光時間を前記イメージセンサに出力するステップ。
【0009】
一実施形態において、イメージセンサの自動露出のための製品は、非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令を備える。前記機械可読命令は、(a)プロセッサによって実行されたとき、前記イメージセンサから画素値を取得する、データ入力命令と、(b)プロセッサによって実行されたとき、前記イメージセンサの、各露光時間設定における複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の複数のヒストグラムのそれぞれにわたって、前記ヒストグラムの個々のビンから前記ヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散を評価することにより、前記分散の最小値に対応する、前記イメージセンサに対する最適な露光時間を決定する、エントロピー分散最適化命令と、(c)前記プロセッサによって実行されたとき、前記最適な露光時間を前記イメージセンサに出力する、データ出力命令と、を含む。
【0010】
一実施形態において、空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出方法は、以下を含む:(a)前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するステップであって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる長露光画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる短露光画素からの短露光画素値とを含むステップ、(b)前記SME-HDRイメージセンサの複数の空間領域のそれぞれについて、前記空間領域における選択された長露光画素の飽和度(saturation)レベルを評価するステップ、(c)前記選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、(i)前記空間領域中の前記短露光画素のための減少した短露光時間および(ii)前記減少した短露光時間を補償する増加したデジタルゲイン値を決定するステップ、(d)前記選択された長露光画素の前記長露光画素値が前記飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、前記減少した短露光時間および前記増加したデジタルゲイン値を、前記空間領域中の各短露光画素に出力するステップ。
【0011】
一実施形態において、自動露出機能を備えたハイダイナミックレンジ(HDR)撮像システムは、複数の空間領域のそれぞれに対し別々に少なくとも1つの露光時間を調整するように構成された回路を備えたSME HDRイメージセンサを有する。前記HDR撮像システムは、プロセッサと、非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令とをさらに備える。前記機械可読命令は、(a)前記プロセッサによって実行されたとき、前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するデータ入力命令であって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる長露光画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる短露光画素からの短露光画素値とを含む、データ入力命令と、(b)前記プロセッサによって実行されたとき前記空間領域のそれぞれについて、前記空間領域における少なくとも1つの選択された長露光画素の飽和度レベルを評価する飽和度評価命令と、(c)前記プロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つの選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、(i)前記空間領域中の各短露光画素のための減少した短露光時間および(ii)前記減少した短露光時間を補償する増加したデジタルゲイン値を決定する、調整命令と、(d)前記プロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つの選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる各空間領域について、前記減少した短露光時間および前記増加したデジタルゲイン値を前記空間領域中の各短露光画素に出力する、データ出力命令と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態による、HDRカメラにおける空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出のための、露光時間コントローラを示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による、HDRカメラにおける空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出のための、露光時間コントローラを示す。
【0013】
【
図3】
図3は、あるシーンについての輝度ヒストグラムの例を示す。
【0014】
【
図4】
図4は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサからの長露光画素値および短露光画素値から合成されたHDRヒストグラムから導出される良好性メトリックの評価に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための露光時間コントローラを示す。
【0015】
【
図5】
図5は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの自動露出方法を示す。
【0016】
【
図6】
図6は、エントロピー分散例のプロットである。
【0017】
【
図7】
図7は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサからの長露光画素値および短露光画素値から合成されたHDRヒストグラムから導出される良好性メトリックの評価に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するためのコンピュータを示す。
【0018】
【
図8】
図8は、一実施形態による、複数の多色画素グループを含む画素アレイを有するカラーSME HDRイメージセンサを示す。
【0019】
【
図9】
図9は、一実施形態による、
図8のカラーSME HDRイメージセンサに実装され得る1つの多色三重露光時間画素グループを示す。
【0020】
【
図10】
図10は、一実施形態による、カラーSME HDRイメージセンサに対し、カラーSME HDRイメージセンサの各色のHDRヒストグラムを生成し考慮する、自動露出方法を示す。
【0021】
【
図11】
図11は、一実施形態による、カラーSME HDRイメージセンサについて、輝度値のHDRヒストグラムを生成し考慮する、自動露出方法を示す。
【0022】
【
図12】
図12は、一実施形態による、ジグザグHDRイメージセンサを示す。
【0023】
【
図13】
図13は、一実施形態による、クアッドSME HDRカラーイメージセンサを示す。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【
図17】
図17は、画素値のヒストグラムに対するノイズの影響の例を説明するプロットの例である。
【0028】
【
図18】
図18は、一実施形態による、HDRヒストグラムを合成するための方法を示す。
【0029】
【0030】
【
図20】
図20は、一実施形態による、二重露光時間SME HDRイメージセンサに対し、まず長露光時間を最適化し次にエントロピー分散に基づいて短露光時間を最適化する、自動露出方法を示す。
【0031】
【0032】
【
図22】
図22は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの長露光時間を最適化するための方法を示す。
【0033】
【
図23】
図23は、
図22の方法におけるHDRヒストグラム生成と、目標長露光時間の推定の一例を示す。
【
図23】
図24は、
図22の方法におけるHDRヒストグラム生成と、目標長露光時間の推定の一例を示す。
【
図24】
図24は、
図22の方法におけるHDRヒストグラム生成と、目標長露光時間の推定の一例を示す。
【0034】
【0035】
【
図27】
図27は、
図22の方法において出力された最適な長露光時間に従ってシフトされたHDRヒストグラムの例である。
【0036】
【0037】
【
図32】
図32は、一実施形態による、シーンのダイナミックレンジを縮小するための勾配フィルタを含む1つのHDRカメラを示す図である。
【
図33】
図33は、一実施形態による、シーンのダイナミックレンジを縮小するための勾配フィルタを含む1つのHDRカメラを示す図である。
【0038】
【
図34】
図34は、一実施形態による、勾配フィルタを使用してHDRカメラによって撮影されたときのシーンの元のダイナミックレンジの少なくとも一部を再構成するための方法を示す。
【0039】
【
図35】
図35は、一実施形態による、映像ストリームの時間的明度不安定性をキャプチャ後に減少させる場合の、SME HDRイメージセンサによる映像ストリームキャプチャの自動露出のための方法を示している。
【0040】
【
図36】
図36は、一実施形態による、将来のシーンの予測される明度に応じて自動露出を最適化する、SME HDRイメージセンサによる映像ストリームキャプチャの自動露出のための方法を示す。
【0041】
【
図37】
図37は、一実施形態による、局所露光時間制御を有するSME HDRイメージセンサを示す。
【0042】
【
図38】
図38は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの局所的自動露出のための方法を示す。
【0043】
【
図39】
図39は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための露光時間コントローラを示す。
【0044】
【
図40】
図40は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための方法を示す。
【0045】
【
図41】
図41は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するためのコンピュータを示す。
【0046】
【
図42】
図42は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、単一露光時間イメージセンサを自動露出するための露光時間コントローラを示す。
【0047】
【
図43】
図43は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、単一露光時間イメージセンサを自動露出するための方法を示す。
【0048】
【
図44】
図44は、一実施形態による、エントロピー分散の最小化に少なくとも部分的に基づいて、単一露光時間イメージセンサを自動露出するためのコンピュータを示す。
【0049】
【
図45】
図45は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの長露光画素の飽和度レベルに基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための露光時間コントローラを示す。
【0050】
【
図46】
図46は、一実施形態による、その画素アレイの複数の局所的空間領域に対して別々の短露光時間制御を有する1つのSME HDRイメージセンサを示す。
【0051】
【
図47】
図47は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの各分光感度クラスおよび露光時間を代表する画素の各局所グループに対して別々の短露光時間制御を有するような、1つのSME HDRイメージセンサを示す。
【0052】
【
図48】
図48は、一実施形態による、SME HDRイメージセンサの長露光画素の飽和度レベルに基づいてSME HDRイメージセンサを自動露出するための方法を示す。
【0053】
【
図49】
図49は、一実施形態による、長露光画素の飽和度レベルに基づいてSME HDRイメージセンサを自動露出するための1つのコンピュータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態例の説明
本明細書において、空間的多重化露光(SME)ハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサの自動露出のためのシステムおよび方法、ならびにSME HDRイメージセンサを用い、自動露出機能を備えたカメラシステムを開示する。本開示のシステムおよび方法の特定の実施形態は、SME HDRイメージセンサの自動露出以外にも適用可能である。
【0055】
図1および
図2は、HDRカメラ102におけるSME HDRイメージセンサ110の自動露出のための1つの露光時間コントローラ100を示す。
図1は、一使用例におけるHDRカメラ102に実装された露光時間コントローラ100を示す図である。
図2は、HDRカメラ102における露光時間コントローラ100の機能を示す機能ブロック図である。
図1と
図2は共に参照するのが最適である。
【0056】
図1の使用シナリオでは、HDRカメラ102は、少なくとも人物ら192が太陽196によって逆光になっているため、太陽196によって直接照らされたシーン190の部分よりも人物ら192の顔194が大幅に暗くなっているような、ハイダイナミックレンジを有するシーン190のHDR画像を生成する。HDR撮像を可能にする目的で、SME HDRイメージセンサ110の感光性の画素アレイ220は、複数の長露光画素222と、複数の短露光画素224とを含む。長露光画素222は長露光時間292で動作するように構成され、短露光画素224は短露光時間294で動作するように構成されている。例えばシーン190のダイナミックレンジをキャプチャするために必要なようなHDR画像を生成する場合、長露光時間292は、短露光時間294よりも長い。しかし、いくつかの実施形態において、SME HDRイメージセンサ110は、シーンのダイナミックレンジがHDR画像を必要としない場合、またはHDRカメラ102のユーザーがHDR機能を無効にした場合には、等しい長露光時間292と短露光時間294で動作するように構成されてもよい。
【0057】
図2に示した画素アレイ220における長露光画素222および短露光画素224のレイアウトは、画素アレイ220の可能な構成の一例に過ぎないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、画素アレイ220は、長露光画素222および短露光画素224を、
図2に示すレイアウトとは異なるように配置してもよい。しかしながら、HDR画像を実現するために、画素アレイ220は、例えば、
図2の画素グループ226によって示されるように、各長露光画素222が少なくとも1つの短露光画素224に隣接または近接し、その逆もまた同様であるように、モザイク状に長露光画素222および短露光画素224を配置する。
【0058】
SME HDRイメージセンサ110は、画素アレイ220によって撮影された各フレームが、長露光画素222および短露光画素224の両方の画素値を含むように、画素アレイ220のすべての画素を1回の「ショット」で露光する。比較して、時間的多重露光HDRカメラは、同じ画素アレイの異なる画素に異なる露光時間を適用することができない。代わりに、時間的多重露光HDRカメラは、標準的な単一露光時間画素アレイを備え、2つ(またはそれ以上)の異なるそれぞれの露光時間で2つ(またはそれ以上)のフルフレームを順次撮影する。
【0059】
露光時間コントローラ100は、シーン190に最適な拡張化ダイナミックレンジを実現するために、長露光時間292および短露光時間294の少なくとも一方を調整するように構成されている。
【0060】
図3は、シーン190などのシーンの輝度ヒストグラム300の一例を示している。典型的な単一露光時間イメージセンサは、ダイナミックレンジ310を有する。このような単一露光時間イメージセンサの自動露出は、ダイナミックレンジ310を輝度ヒストグラム300の最も重要な部分に移動させることができる。しかし、その位置にかかわらず、ダイナミックレンジ310は、輝度ヒストグラム300の信号のかなりの部分を逃してしまう。これに対して、長露光画素222と短露光画素224とが共存することで、SME HDRイメージセンサ110は、ダイナミックレンジ310よりも大きい(ハイダイナミックレンジ320などの)ハイダイナミックレンジを実現することができる。長露光画素222および短露光画素224のそれぞれは、ダイナミックレンジ310と同様のダイナミックレンジを有していてもよいが、長露光画素222および短露光画素224のダイナミックレンジが協働することで、より高いダイナミックレンジを撮像することができる。
【0061】
再び
図1および
図2を参照して、露光時間コントローラ100は、輝度ヒストグラム300中の信号を最もよくキャプチャする長露光時間292および短露光時間294の値を決定するように構成されている。したがって、露光時間コントローラ100は、ハイダイナミックレンジ320の位置と範囲の両方を調整して、シーン190のダイナミックレンジを最もよくキャプチャするようにし得る。
【0062】
露光時間コントローラ100は、画素アレイ220の露光からRAW画像データ280を取得する。画素アレイ220によってキャプチャされた各フレームにつき、RAW画像データ280は、(a)それぞれの長露光画素222からの長露光画素値282と、(b)それぞれの短露光画素224からの短露光画素値284の両方を含む。露光時間コントローラ100は、RAW画像データ280の1つ以上のフレームを処理し、シーン190のダイナミックレンジ特性について長露光時間292および短露光時間294を調整する。露光時間コントローラ100は、長露光時間292および短露光時間294の値を含んだ調整済み露光時間セット290を、SME HDRイメージセンサ110に伝達する。露光時間コントローラ100は、長露光時間292および短露光時間294の一方または両方を調整してよい。
【0063】
一態様において、露光時間コントローラ100は、反復的プロセスによって露光時間セット290を最適化する。この反復的プロセスにおいて、露光時間コントローラは、(a)SME HDRイメージセンサ110からRAW画像データ280のフレームを取得し、(b)長露光画素値282および短露光画素値284に基づいて長露光時間292および短露光時間294の一方または両方を調整し、(c)調整済み露光時間ステップ290をSME HDRイメージセンサ110に伝達する、という複数回の反復を行う。後続の各反復は、先行する反復で受けとった調整済み露光時間セット290に従ってキャプチャされたRAW画像データ280に基づいている。別の態様において、露光時間コントローラ100は、それぞれが異なる露光時間セット290を使用してキャプチャされたいくつかの異なるフレームからのRAW画像データ280の分析に基づいて、非反復的な方法で露光時間セット290を最適化する。
【0064】
HDRカメラ102は、例えば露光時間コントローラ100によるSME HDRイメージセンサ110の自動露出後に撮影されたようなRAW画像データ280から、HDR画像270を生成する、HDR画像生成器250をさらに含んでもよい。
【0065】
図4は、SME HDRイメージセンサからの長露光画素値および短露光画素値から合成されたHDRヒストグラムから得られる良好性メトリックの評価に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための1つの露光時間コントローラ400を示す。露光時間コントローラ400は、露光時間コントローラ100の一実施形態であり、HDRカメラ402(HDRカメラ102の一実施形態)内において、SME HDRイメージセンサ110とともに実装されてもよい。あるいは、露光時間コントローラ400は、サードパーティのSME HDRイメージセンサとともに実装されるスタンドアローン製品として提供されてもよい。
【0066】
露光時間コントローラ400は、プリプロセッサ420と、合成器430と、調整器440とを含む。調整器440は、メトリック評価器442を含む。露光時間コントローラ400は、データ入力ハンドラ410およびデータ出力ハンドラ450の一方または両方をさらに含んでもよい。
【0067】
動作時において、プリプロセッサ420は、SME HDRイメージセンサ110の露光からの(すなわち、SME HDRイメージセンサ110によってキャプチャされた1つのフレームからの)RAW画像データ280の、長露光画素値282および短露光画素値284を処理する。データ入力ハンドラ410が、RAW画像データ280をSME HDRイメージセンサ110から取得してもよい。プリプロセッサ420による前処理の後、合成器430は、長露光画素値282および短露光画素値284を画素値のHDRヒストグラムとして合成する。調整器440は、メトリック評価器442を利用して、HDRヒストグラムの良好性メトリックを評価する。この良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて、調整器440は、調整済み露光時間セット290を生成する。データ出力ハンドラ450は、調整済み露光時間セット290をSME HDRイメージセンサ110に伝達してもよい。
【0068】
一実施形態において、露光時間コントローラ400は、顔検出器460をさらに含む。顔検出器460は、SME HDRイメージセンサ110から受けとった画像データ、例えばデータ入力ハンドラ410によって取得されたRAW画像データ280を処理して、顔194など、SME HDRイメージセンサ110によってキャプチャされた画像内の1つ以上の顔を検出する。この実施形態において、調整器440は、露光時間セット290を調整するために、顔検出器460によって検出された1つ以上の顔の露光をさらに考慮してもよい。この実施形態の一例では、調整器440は、顔検出器460によって検出された1つ以上の顔の良好性メトリックおよび露光をまとめて考慮することにより、顔(複数可)の適切な露光およびHDRヒストグラムの全般的なダイナミックレンジの理想的なキャプチャの両方のために、露光時間セット290を最適化する。調整器440は、事前に構成された設定またはユーザー定義可能な設定に従って、これらの2つのメトリックをトレードオフするように構成されてもよい。
【0069】
露光時間コントローラ400は、結合器416をさらに含んでもよい。結合器416の機能については、主に
図11を参照して後述する。
【0070】
HDRカメラ402は、例えば露光時間コントローラ400によるSME HDRイメージセンサ110の自動露出後にキャプチャされたようなRAW画像データ280から、HDR画像270を生成する、HDR画像生成器250をさらに含んでもよい。
【0071】
図5は、SME HDRイメージセンサの1つの自動露出方法500を示す。方法500は、例えば、HDRカメラ102内のSME HDRイメージセンサ110を自動露出するために、露光時間コントローラ400によって実行され得る。
【0072】
ステップ510において、方法500は、SME HDRイメージセンサの露光から、SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含む、RAW画像データを取得する。各長露光画素値には、少なくとも1つの対応する短露光画素値があり、その逆もまた同様である。対応する長露光および短露光画素値の各そのようなグループは、隣接するまたは近接する長露光および短露光画素に由来する。例えば、画素グループ226は、長露光画素値282および短露光画素値284の空間的に関連するグループを生成する。ステップ510の一例において、データ入力ハンドラ410が、SME HDRイメージセンサ110の露光からRAW画像データ280の1フレームを取得する。
【0073】
ステップ520において、方法500は、ステップ510で取得された長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外する。ステップ520は、長露光画素値および短露光画素値を別々にフィルタリングするステップ522を含んでもよい。ステップ522は、飽和している長露光画素値と、ノイズの影響を大きく受けている短露光画素値を除いてもよい。また、ステップ520は、動きアーティファクトの影響を受けている長露光画素値および短露光画素値を除去してもよい。長露光画素値および短露光画素値がSME HDRイメージセンサの同じ露光に由来するものであっても、長露光時間と短露光時間との違いにより、シーンの非静的領域において長露光画素値と短露光画素値との間に不整合が生じることがある。これらの動きアーティファクトは、長露光と短露光とが少なくとも完全な1読み出しサイクルで分離されている、時間的多重化露光(temporally-multiplexed-exposure)HDRカメラで発生するものほどひどくはない。一実施形態において、ステップ520は、長露光画素値および短露光画素値からノイズの影響を除去するステップ524を含む。プリプロセッサ420は、長露光画素値282および短露光画素値284に対してステップ520を実行し得る。
【0074】
ステップ520の前処理の後、残りの長露光画素値のいくつかは、空間的に関連する残りの短露光画素値をもはや有しておらず、残りの短露光画素値のいくつかは、空間的に関連する残りの長露光画素値をもはや有していないかもしれない。しかし、いくつかの空間的に関連する長露光および短露光画素値のグループは、依然としてそのままであるか、または少なくとも1つの長露光画素値および1つの短露光画素値を依然として含んでい得る。
【0075】
ステップ530において、方法500は、ステップ520の後に残った長露光画素値および短露光画素値を、HDRヒストグラムとして合成する。ステップ530の一例において、合成器430は、ステップ520による前処理の後にプリプロセッサ420から受け取った長露光画素値282および短露光画素値284を合成する。
【0076】
ステップ540において、方法500は、ステップ530で合成されたHDRヒストグラムから良好性メトリックを導出する。良好性メトリックは、以下などのような1つ以上のパラメータに基づいてもよい。すなわち、(a)HDRヒストグラムにおける露光過多または露光不足の画素の数、(b)HDRヒストグラムの下端および/または上端でクリップされた画素の数、(c)HDRヒストグラムの統計的パラメータ(例えば、平均、加重平均、または中央値)、(d)ヒストグラムから算出された総エントロピー(例えばStotal = -Σpilog2(pi))(ここでpiは、HDRヒストグラムのi番目のビンにおける相対的なカウントであり、合計はHDRヒストグラムのすべてのビンiにわたる)、(e)重み付けされた総エントロピーStotal、(f)ノイズによるエントロピーSnoise、(g)F = Stotal- Snoiseとして求められる有用エントロピー、(h)総エントロピーに対する個々のビンの寄与のHDRヒストグラム全体にわたっての分散(例えばVar(Si)、ここで、Si = -pilog2(pi))、および(i)遷移点ノイズ差異(本明細書において、SME HDRイメージセンサによってキャプチャされた画像データからのHDR画像の生成において、長露光画素値と短露光画素値との使用の遷移点における長露光画素値と短露光画素値との間のノイズ差異として定義される)である。良好性メトリックが複数のパラメータを含む態様では、良好性メトリックは、このようなパラメータの加重和であってもよい。重みの大きさは、パラメータの値が低い方が有利と判断されるか、高い方が有利と判断されるかに応じて設定されてもよい。ステップ540の一例では、メトリック評価器442は、合成器430によって合成されたHDRヒストグラムから良好性メトリックを導出する。
【0077】
ステップ550において、方法500は、SME HDRイメージセンサの長露光時間および短露光時間の少なくとも一方を調整する。ステップ550は、この調整を良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて行い、ステップ550によって行われた調整は、この良好性メトリックを改善しようとするものである。例えば、ステップ550は、長露光時間および/または短露光時間を調整することにより、有用エントロピーを最大化するか、Var(Si)および遷移点ノイズ差異をまとめて最小化するか、HDRヒストグラムの上端および/または下端でのクリッピングを低減するか、あるいは、ステップ540を参照して上述したうち別の良好性メトリックを最適化してもよい。ステップ550は、複合的な良好性メトリックのいくつかの側面を考慮し、異なる側面に基づいて異なる調整を行ってもよい。ステップ550の一例では、調整器440は、ステップ540で決定された良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて、長露光時間292および短露光時間294の一方または両方を調整し、得られた調整済み露光時間セット290を出力する。
【0078】
図6は、方法500のステップ540の複数回の繰り返しで算出され得るエントロピー分散のプロット600の例である。プロット600では、Var(S
i)を、長露光時間と短露光時間との固定比が16である、長露光時間の関数として示している。プロット600は、約5ミリ秒の長露光時間においてエントロピー分散Var(S
i)の最小値を示している。したがって、プロット600のデータに基づくステップ550の一例では、ステップ550は、最適な長露光時間が約5ミリ秒であると判断してもよい。
【0079】
方法500のステップ550は、プロット600に示されているようなデータを利用して、そして任意に他のファクターも考慮しながら、最適な露光時間を決定してもよい。ステップ550は、エントロピー分散Var(S
i)を、長露光時間の関数として(例えば、
図6に示すように)、短露光時間の関数として、または、短露光時間および長露光時間の両方の関数として考慮してもよい。
【0080】
一実施形態において、方法500は、SME HDRイメージセンサによって生成された画像内の1つ以上の顔を検出するステップ560をさらに含む。方法500のこの実施形態では、ステップ550は、検出された顔(複数可)の露光を改善するステップ552を含む。顔検出器460は、ステップ560を実行し得る。ステップ552は、検出された顔(複数可)の明度を目標明度と比較し、それに応じて長露光時間を、(任意に、良好性メトリックに応じた露光時間の最適化とのトレードオフで)スケーリングしてもよい。例えば、ステップ550は、ステップ552において、顔の露光を改善するために長露光時間を調整し、次に、ステップ540の良好性メトリックを改善するために短露光時間を調整してもよい。
【0081】
ステップ570において、方法500は、ステップ550で調整された露光時間セットを、SME HDRイメージセンサに出力する。ステップ570の一例において、データ出力ハンドラ450は、調整済み露光時間セット290をSME HDRイメージセンサ110に出力する。
【0082】
方法500は、ステップ510で取得されるRAW画像データをキャプチャするステップ502をさらに含んでもよい。ステップ502の一例において、SME HDRイメージセンサ110は、RAW画像データ280をキャプチャする。
【0083】
一態様において、方法500は、ステップ510、520、530、540、550(任意にステップ560が先行し、ステップ552を含む)、および570、ならびに任意にステップ502の数回の反復を実行して、SME HDRイメージセンサの露光時間を反復的に最適化する。この態様において、各反復(初回を除く)は、先行する反復で調整された通りの露光時間で生成されたRAW画像データに基づいている。1つの反復的最適化プロセスの異なる反復は、異なる良好性メトリックおよび/または顔の露光を強調してもよい。例えば、初期の反復においては、長露光時間を調整することにより、HDRヒストグラムの下端でのクリッピングを低減および/または顔の露光を改善し、一方、後の反復においては、短露光時間を調整し、かつ長露光時間をより小さく調整することにより、エントロピー系のメトリックなどのHDRヒストグラムから導出される良好性メトリックを最適化してもよい。
【0084】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法500は、反復的最適化を行う代わりに、ステップ510、520、530、および540(および任意にステップ560および502の一方または両方)の何回かの繰り返しを実行して、長露光時間および/または短露光時間の関数として、良好性メトリック(および任意に顔の露光)をマッピングしてもよい。この代替的な態様において、ステップ550は、良好性メトリックを最適化する、または良好性メトリックおよび顔の露光をまとめて最適化するような露光時間セットを選択し、ステップ570は、選択された露光時間セットをSME HDRイメージセンサに出力する。
【0085】
図5には示していないが、方法500は、ステップ510、520、530、540、550、および570(および任意に560)の反復または繰り返しによってSME HDRイメージセンサ110の自動露出後にキャプチャされたRAW画像データから、HDR画像(例えば、HDR画像270)を生成するステップをさらに含んでもよい。HDR画像生成装置250が、HDR画像を生成するこのステップを実行し得る。
【0086】
図7は、SME HDRイメージセンサからの長露光画素値および短露光画素値から合成されたHDRヒストグラムから導出される良好性メトリックの評価に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための1つのコンピュータ700を示す。コンピュータ700は、露光時間コントローラ400の一実施形態であり、HDRカメラ402内において、SME HDRイメージセンサ110とともに実装され得る。あるいは、コンピュータ700は、サードパーティのSME HDRイメージセンサとともに実装されるスタンドアローン製品として提供されてもよい。コンピュータ700は、プロセッサ710、非一時的メモリ720、およびインターフェース790を含む。メモリ720は、機械可読命令730を含み、動的データ記憶域760をさらに含んでもよい。
【0087】
機械可読命令730は、データ入力命令732、前処理命令740、合成命令742、調整命令746、メトリック命令748、およびデータ出力命令734を含み、プロセッサ710による実行時に、方法500のステップ510、520、530、550、540、および570をそれぞれ実行する。データ入力命令732は、インターフェース790を介してRAW画像データ280を取得するように構成されており、データ出力命令734は、インターフェース790を介して露光時間セット290を出力するように構成されている。機械可読命令730は、プロセッサ710による実行時に、方法500のステップ560および524をそれぞれ実行する顔検出命令750およびノイズ除去命令752の一方または両方をさらに含んでもよい。
【0088】
特定の実施形態において、機械可読命令730は、プロセッサ710による実行時に、データ入力命令732、前処理命令740、合成命令742、調整命令746、メトリック命令748、およびデータ出力命令734に従って、方法500の数回の反復の実行を行う反復命令754を含み、任意に、顔検出命令750およびノイズ除去命令752の一方または両方を含む。
【0089】
動的データ記憶域760は、以下のうち1つ以上を記憶してもよい。すなわち、(a)プロセッサ710によるデータ入力命令732の実行時にインターフェース790を介して受けとられ、プロセッサ710による前処理命令740の実行時に前処理された長露光画素値282および短露光画素値284、(b)プロセッサ710による合成命令742の実行時に生成されたHDRヒストグラム770、(c)プロセッサ710によるメトリック命令748の実行時に生成された良好性メトリック値772、およびプロセッサ710による調整命令746の実行時に調整された長露光時間292および短露光時間294である。
【0090】
機械可読命令730は、プロセッサ710と協働して結合器416の実施形態を形成する、結合命令736をさらに含んでもよい。
【0091】
プロセッサ710と協働して、データ入力命令732、前処理命令740、合成命令742、調整命令746、メトリック命令748、データ出力命令734、顔検出命令750、および結合命令736は、データ入力ハンドラ410、プリプロセッサ420、合成器430、調整器440、メトリック評価器442、データ出力ハンドラ450、顔検出器460、および結合器416のそれぞれの実施形態を形成する。ノイズ除去命令752は、プリプロセッサ420に実装されてもよい。反復命令754は、露光時間コントローラ400に実装されてもよい。
【0092】
機械可読命令730は、サードパーティのプロセッサ710およびインターフェース790とともに実装されるために、非一時的メモリにエンコードされたスタンドアローンのソフトウェア製品として提供されてもよいことが理解される。
【0093】
SME HDRイメージセンサは、各露光において2つより多くの異なる露光時間、例えば、長露光時間、中露光時間、および短露光時間を利用するように構成されていてもよい。
図1~7を参照して上述したシステムおよび方法は、そのようなSME HDRイメージセンサと連携するように容易に拡張される。したがって、本開示の範囲から逸脱することなく、SME HDRイメージセンサ110は、長露光画素222および短露光画素224に加えて、中露光画素の1つ以上のセットを含んでもよく、ここで中露光画素の各セットは、長露光時間292よりも短く、短露光時間294よりも長いそれぞれの中露光時間で露光される。SME HDRイメージセンサ110のそのような実施形態は、RAW画像データ280の各フレームにおいて、長露光画素値282、短露光画素値284、さらに、中露光画素の1つ以上のセットのそれぞれによって生成された中露光画素値の1つ以上のセットを出力する。例えば、各画素グループ226は、同じ空間領域に位置する1つ以上の中露光画素によって拡張されてもよい。
【0094】
これに対応して、露光時間コントローラ100は、そのような中露光画素値をさらに含むRAW画像データ280を処理してもよい。3つ以上の異なる露光時間に基づく実施形態は、2つの異なる露光時間に限定された実施形態と比較して、ハイダイナミックレンジ320をさらに拡張し得る。代替的に、またはこれとの組み合わせとして、追加的な露光時間(複数可)が、SME HDRイメージセンサに対するビット深度またはノイズ要件を低減する役割を果たすか、または自動露出プロセスにおいて少なくとも1つの追加的な自由度を提供し得る。
【0095】
ここで露光時間コントローラ400を参照して、データ入力ハンドラ410、プリプロセッサ420、および合成器430のそれぞれは、中露光画素値の1つ以上のセットをRAW画像データ280の一部としてさらに処理するように構成されてもよい。具体的には、プリプロセッサ420は、中露光画素値の各セットから、飽和した中露光画素値およびノイズの影響を大きく受けている中露光画素値の両方を除いてもよい。調整器440およびデータ出力ハンドラ450のそれぞれは、1つ以上の中露光時間を露光時間セット290の一部として処理するように構成されてもよい。同様に、方法500について、ステップ502、510、520、および530(および特定の実施形態においてはステップ560も)のそれぞれは、長露光画素値および短露光画素値に加えて、中露光画素値の1つ以上のセットを処理するように適応されてもよく、ステップ550および570のそれぞれは、長露光時間および短露光時間に加えて、1つ以上の中露光時間を処理するように適応されてもよい。つまり、コンピュータ700は、中露光画素値の1つ以上のセットおよび1つ以上の中露光時間をさらに処理するように同様に構成されてもよい。
【0096】
1つ以上の中露光時間を含む実施形態では、遷移点ノイズ差異は、持続時間の面で互いに隣接する2つの露光時間の間の遷移点ノイズ差異を参照してもよい。例えば、長露光時間、単一の中露光時間、および短露光時間を有する実施形態では、遷移点ノイズ差異は、長露光画素値と中露光画素値との間、および/または中露光画素値と短露光画素値との間で評価されてもよい。
【0097】
図1~7を参照して上述した実施形態は、モノクロSME HDRイメージセンサおよびカラーSME HDRイメージセンサの両方に適用可能である。カラーSME HDRイメージセンサの場合、長露光画素値および短露光画素値(そして該当する場合には、中露光画素値の各セット)はそれぞれ、3色などの複数の異なる色の画素値を含む。例えば、各画素グループ226は、(a)3つの異なる色にそれぞれ感度を有する3つの長露光画素222と、(b)3つの異なる色にそれぞれ感度を有する3つの短露光画素224(そして該当する場合には、3つの異なる色にそれぞれ感度を有する3つの中露光画素の1つ以上のグループ)とを含むように拡張されてもよい。露光時間コントローラ100、露光時間コントローラ400、方法500、およびコンピュータ700は、まず、異なる色を結合して、輝度を表す長露光画素値および短露光画素値(そして該当する場合には、中露光画素値の1つ以上のセット)を生成し、その後、上述のように進み、これらの露光時間別輝度値に基づいて露光時間(複数可)を決定するように構成されてもよい。露光時間コントローラ400は、異なる色を結合するための結合器416を採用してもよい。あるいは、露光時間コントローラ100、露光時間コントローラ400、方法500、およびコンピュータ700は、少なくとも露光時間セットを調整する時点まで、異なる色を別々に処理するように構成されてもよく、そしてこの時点において、各露光時間はすべての色に対して一様に定義されてもよい。
【0098】
図8は、複数の多色画素グループ830を含む画素アレイ820を有する1つのカラーSME HDRイメージセンサ810を示す。カラーSME HDRイメージセンサ810はSME HDRイメージセンサ110の一実施形態であり、画素アレイ820は画素アレイ220の一実施形態であり、画素グループ830は画素グループ226の一実施形態である。各画素グループ830は、長露光画素832および短露光画素834を含む。長露光画素832および短露光画素834は、長露光画素222および短露光画素224の一実施形態である。各画素グループ830内において、長露光画素832は色別画素842L、844L、846Lを含み、短露光画素834は色別画素842S、844S、846Sを含む。画素842Lおよび842Sは第1の色に対し感度を有し、画素844Lおよび844Sは第2の色に対し感度を有し、画素846Lおよび846Sは第3の色に対し感度を有する。第1、第2、および第3の色は、それぞれ、赤、緑、および青であってもよい。各画素グループ830は、色別画素842L、844L、846L、842S、844S、および846Sのいずれか1つの、2つ以上のインスタンスを含んでもよい。例えば、
図8に示すように、各画素グループ830は、画素844Lの2つのインスタンスと、画素844Sの2つのインスタンスとを含んでいてもよい。
【0099】
図9は、カラーSME HDRイメージセンサ810に実装され得る1つの多色三重露光時間画素グループ930を示す。画素グループ930は、少なくとも1セットの中露光画素936をさらに含む画素グループ830の一実施形態である。中露光画素936の各セットは、長露光時間よりも短く、短露光時間よりも長い中露光時間で露光される。中露光画素936の各セットは、第1、第2、および第3の色にそれぞれ感度を有する色別画素942M、944M、および946Mを含む。各画素グループ930は、色固有の画素842L、844L、846L、842S、844S、846S、942M、944M、および946Mのいずれか1つの、2つ以上のインスタンスを含んでもよい。例えば、
図9に破線の箱型領域で示されるように、各画素グループ930は、画素844Lの2つのインスタンスと、画素844Sの2つのインスタンスと、画素944Mの2つのインスタンスとを含んでもよい。複数セットの中露光画素936を含む画素グループ930の実施形態では、中露光画素936の各セットは、異なるそれぞれの露光時間で露光される。
【0100】
図10は、カラーSME HDRイメージセンサに対し、カラーSME HDRイメージセンサの各色のHDRヒストグラムを生成し考慮する、1つの自動露出方法1000を示す。方法1000は、方法500の一実施形態である。方法1000は、例えば、HDRカメラ102におけるカラーSME HDRイメージセンサ810を自動露出するために、露光時間コントローラ400またはコンピュータ700によって実行されてもよい。
【0101】
方法1000は、各色についてステップ510、520、530、および540を別々に実行する。方法1000は、それによって、色のそれぞれについて良好性メトリックを決定する。良好性メトリックは、異なる色に対して同じまたは類似していても、そうでなくてもよい。一例において、データ入力ハンドラ410、プリプロセッサ420、合成器430、およびメトリック評価器442は、長露光画素832からの長露光画素値282と、短露光画素834からの短露光画素値284と、任意に中露光画素936からの中露光画素値も含むRAW画像データ280に基づいて、カラーSME HDRイメージセンサ810の第1、第2、および第3の色のそれぞれについて、ステップ510、520、530、および540をそれぞれ実行する。
【0102】
次に、方法1000は、ステップ540で決定された色別良好性メトリックのまとめての評価に少なくとも部分的に基づいて、長露光時間および短露光時間の少なくとも一方を調整するステップ1050を実行する。ステップ1050で決定された各露光時間は、すべての色に適用される。ステップ1050は、色別の露光時間を生成しない。ステップ1050は、ステップ550の一実施形態である。色別良好性メトリックのまとめての評価において、ステップ1050は、各色に同じ重みを適用してもよいし、色別の重みを適用してもよい。色別の重みは、支配的な色がより大きな重みを割り当てられるように、シーン内容に適応していてもよい。ステップ1050の一例において、調整器440は、ステップ540で決定された色別良好性メトリックのまとめての評価に少なくとも部分的に基づいて、長露光時間292および短露光時間294の少なくとも一方(および任意に1つ以上の中露光時間)を調整し、調整器440は、得られた調整済み露光時間セット290を出力する。
【0103】
方法1000は、
図5を参照して上述したように、ステップ560および552を含むことができる。一態様において、方法1000は、異なる色のうち1つ以上をベースにしてステップ560を行い、色別画像データ(例えば、緑色の画像データ)において顔を探索する。別の態様において、方法1000は、異なる色を結合して、ステップ560における顔検出の基礎となる輝度画像を生成する。
【0104】
ステップ1050の完了後、方法1000はステップ570を実行して、ステップ550で調整された露光時間セットをカラーSME HDRイメージセンサに出力する。ステップ570の一例において、データ出力ハンドラ450は、調整済み露光時間セット290をカラーSME HDRイメージセンサ810に出力する。
【0105】
方法1000は、ステップ510で取得されるRAW画像データをキャプチャするステップ502をさらに含んでもよい。方法1000において実施されるステップ502の一例において、カラーSME HDRイメージセンサ810は、長露光画素832からの長露光画素値282と、短露光画素834からの短露光画素値284と、任意に中露光画素936からの中露光画素値とを含むRAW画像データ280をキャプチャする。
【0106】
方法1000は、SME HDRイメージセンサの露光時間を反復的に最適化するために、ステップ510、520、530、540、550(任意にステップ560が先行し、ステップ552を含む)、および570、ならびに任意にステップ502の数回の反復を実行してもよく、ここで、ステップ510、520、530、および540は、各反復において各色について実行される。
図5を参照して上述したように、各反復(初回を除く)は先行する反復で調整された通りの露光時間で生成されたRAW画像データに基づいており、1つの反復的最適化プロセスの異なる反復は、異なる良好性メトリックおよび/または顔の露光を強調してもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、方法1000は、反復的最適化を行う代わりに、ステップ510、520、530、および540(および任意にステップ560および502の一方または両方)の何回かの繰り返しを実行して、長露光時間および/または短露光時間の関数として、良好性メトリック(および任意に顔の露光)をマッピングしてもよく、ここでステップ510、520、530、および540は、各繰り返しにおいて各色について実行される。この代替的な態様において、ステップ550は良好性メトリックを最適化する、または良好性メトリックおよび顔の露光をまとめて最適化するような露光時間セットを選択し、ステップ570は選択された露光時間セットをSME HDRイメージセンサに出力する。
【0107】
図11は、カラーSME HDRイメージセンサについて、輝度値のHDRヒストグラムを生成し考慮する、1つの自動露出方法1100を示す。方法1100は、方法500の一実施形態である。方法1100は、例えば、HDRカメラ102におけるカラーSME HDRイメージセンサ810を自動露出するために、露光時間コントローラ400またはコンピュータ700によって実行され得る。
【0108】
ステップ1110において、方法1100は、各色について、SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得する。RAW画像データは、SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの色別の長露光画素値と、SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの色別の短露光画素値とを含む。また、RAW画像データは、色別の中露光画素値の1つ以上のセットを含んでもよく、ここで色別の中露光画素値の各セットは、SME HDRイメージセンサの、それぞれの中露光時間によって特徴付けられる画素に由来する。ステップ1110の一例において、データ入力ハンドラ410が、SME HDRイメージセンサ110の露光からRAW画像データ280の1フレームを取得する。ここでRAW画像データ280のフレームは、各画素グループ830の長露光画素832からの長露光画素値282と、各画素グループ830の短露光画素834からの短露光画素値283とを含む。また、RAW画像データ280のフレームは、中露光画素値の1つ以上のセットを含んでもよく、この各セットは、各画素グループ930のそれぞれの中露光時間で露光された中露光画素936に由来する。
【0109】
後続のステップ1120は、各露光時間について、異なる色に対応付けられた空間的に隣接する画素からの画素値を結合して、それぞれの露光時間別輝度値を生成する。ステップ1120は、異なる色に対応付けられた空間的に隣接する色別の長露光画素値を結合して、輝度を表す長露光画素値を生成し、異なる色に対応付けられた空間的に隣接する色別の短露光画素値を結合して、輝度を表す短露光画素値を生成する。また、ステップ1120は、異なる色に対応付けられた空間的に隣接する色別の中露光画素値を結合して、輝度を表す中露光画素値を生成してもよい。ステップ1120の一例において、結合器416は、各画素グループ830から受け取った画素値を処理する。各画素グループ830について、結合器416は、(a)画素842L、844L、および846Lからの長露光画素値282を結合して、考慮中の画素グループ830についての長露光輝度値を作成し、(b)画素842S、844S、および846Sからの短露光画素値283を結合して、考慮中の画素グループ830についての短露光輝度値を作成する。結合器416はまた、各画素グループ830(930)および各中露光時間について、画素942M、944M、および946Mからの中露光画素値を結合して、考慮中の画素グループ830(930)および中露光時間についての中露光輝度値を作成してもよい。
【0110】
ステップ1130において、方法1100は、ステップ520および530を実行して、ステップ1120のステップで得られた露光時間別輝度値に基づいて、輝度値のHDRヒストグラムを生成する。次に、方法1100は、ステップ540を実行して、ヒストグラムから良好性メトリックを導出する。この良好性メトリックは、輝度に関するものであり、色別のものではない。方法1100は、
図5を参照して上述したように、ステップ550および570の実行に進む。
【0111】
方法1100は、ステップ510で取得されるRAW画像データをキャプチャするステップ502をさらに含んでもよい。方法1000において実施されるステップ502の一例において、カラーSME HDRイメージセンサ810は、長露光画素832からの長露光画素値282と、短露光画素834からの短露光画素値284と、任意に中露光画素936からの中露光画素値も含む、RAW画像データ280をキャプチャする。
【0112】
一実施形態において、方法1100はステップ560を含み、ステップ550は552を含む。この実施形態の一態様において、ステップ560は、ステップ1110で取得されたRAW画像データに基づいている。例えば、顔検出器460は、データ入力ハンドラ410から受け取ったRAW画像データ280を処理して、1つ以上の顔を検出してもよい。この実施形態の別の態様においては、ステップ560は、ステップ1120で生成された輝度データに基づく。例えば、顔検出器460は、データ結合器416によって生成された輝度データを処理して、1つ以上の顔を検出してもよい。
【0113】
方法1100は、ステップ560、1120、1130、540、550(任意にステップ560が先行し、ステップ552を含む)、および570、ならびに任意にステップ502の数回の反復を実行して、カラーSME HDRイメージセンサの露光時間を反復的に最適化してもよい。
図5を参照して上述したように、各反復(初回を除く)は先行する反復で調整された通りの露光時間で生成されたRAW画像データに基づいており、1つの反復的最適化プロセスの異なる反復は、異なる良好性メトリックおよび/または顔の露光を強調してもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、方法1100は、反復的最適化を行う代わりに、ステップ1110、1120、1130、および540および任意にステップ560および502の一方または両方)の何回かの繰り返しを実行して、長露光時間および/または短露光時間の関数として、良好性メトリック(および任意に顔の露光)をマッピングしてもよく、ここでステップ1110、1120、1130、および540は、各繰り返しにおいて各色について実行される。この代替的な態様において、ステップ550は良好性メトリックを最適化する、または良好性メトリックおよび顔の露光をまとめて最適化するような露光時間セットを選択し、ステップ570は、選択された露光時間セットをカラーSME HDRイメージセンサに出力する。
【0114】
図12は、1つのジグザグHDRイメージセンサ1200を示す図である。イメージセンサ1200は、カラーSME HDRイメージセンサ810の一実施形態である。イメージセンサ1200の画素は、正方形の画素グループ1210に配置されている。イメージセンサ1200は、
図12に描かれているよりも多くの画素グループ1210、例えば数百または数千の画素グループ1210を含んでもよいことが理解される。各画素グループ1210は、長露光時間画素1222(
図12に白の背景で示す)と、短露光時間画素1224(
図12に網掛けの背景で示す)とを含む。各画素グループ1210において、長露光時間画素1222は、緑色光に感度を有する4つの画素「GL」、赤色光に感度を有する2つの画素「RL」、および青色光に感度を有する2つの画素「BL」を含み、短露光時間画素1224は、緑色光に感度を有する4つの画素「GS」、赤色光に感度を有する2つの画素「RS」、および青色光に感度を有する2つの画素「BS」を含む。画素グループ1210は、長露光時間画素1222と短露光時間画素1224とを交互に入れ替わるジグザグの経路に沿って配置する(
図12の白いジグザグの経路および網掛けのジグザグの経路を参照)。画素グループ1210の各々は、画素グループ830の一実施形態である。
【0115】
露光時間コントローラ400およびコンピュータ700は、方法1000または1100を使用して、ジグザグHDRイメージセンサ1200を自動露出し得る。
【0116】
図13は、クアッドSME HDRカラーイメージセンサ1300を示す図である。イメージセンサ1300は、画素グループ930を実装するカラーSME HDRイメージセンサ810の一実施形態である。イメージセンサ1300の画素は、正方形の画素グループ1310に配置されている。イメージセンサ1300は、
図13に描かれているよりも多くの画素グループ1310、例えば、数百または数千の画素グループ1310のアレイを含んでもよいことが理解される。各画素グループ1310は、赤色光に感度を有する赤色画素の1つの2×2画素クラスタ1332と、緑色光に感度を有する緑色画素の2つの2×2画素クラスタ1334と、青色光に感度を有する青色画素の1つの2×2画素クラスタ1336とを含む。画素クラスタ1332、1334、1336のそれぞれは、1つの長露光時間画素1322、2つの中露光時間画素1326、および1つの短露光時間画素1324を含む。したがって、
図13に示すように、各画素クラスタ1332は、1つの長露光時間画素「RL」、2つの中露光時間画素「RM」、および1つの短露光時間画素「RS」を含み、各画素クラスタ1334は、1つの長露光時間画素「GL」、2つの中露光時間画素「GM」、および1つの短露光時間画素「GS」を含み、各画素クラスタ1336は、1つの長露光時間画素「BL」、2つの中露光時間画素「BM」、および1つの短露光時間画素「BS」を含む。
【0117】
露光時間コントローラ400およびコンピュータ700は、方法1000または1100を使用して、クアッドSME HDRカラーイメージセンサ1300を自動露出し得る。
【0118】
図14は、1つの前処理方法1400を示す。方法1400は、方法500のステップ520の一実施形態である。方法1400は、方法1000のステップ520および方法1100のステップ1130で実施されてもよい。方法1400は、プリプロセッサ420によって実行されてもよい。方法1400は、フィルタリングステップ1410および1420を含む。ステップ1410は、長露光画素値から、飽和に関する閾値を超える長露光画素値を除外する。ステップ1420は、短露光画素値から、ノイズに関する閾値未満である短露出画素値を除外する。ステップ1410は、長露光画素値のヒストグラムを構築し、このヒストグラムに、飽和に関する閾値を超える長露光画素値を除外するためのマスクを適用してもよい。同様に、ステップ1420は、短露光画素値のヒストグラムを構築し、このヒストグラムに、ノイズに関する閾値未満である短露光画素値を除外するためのマスクを適用してもよい。
【0119】
図15は、ビン群1510にビニングされた(binned)長露光画素値282のヒストグラム1500の例を示す。各ビン1510は、中心値1512によって特徴付けられる。ステップ1410は、長露光画素値282からヒストグラム1500を構築してもよい。ステップ1410は、飽和閾値1520を超える長露光画素値282をフィルタリングして除去してもよい。この目的のために、ステップ1410は、ヒストグラム1500にマスク1540を適用してもよい。
【0120】
図16は、ビン群1610にビニングされた短露光画素値284のヒストグラム1600の例を示す。各ビン1610は、中心値1612によって特徴付けられる。ステップ1420は、短露光画素値284からヒストグラム1600を構築してもよい。ステップ1420は、ノイズ閾値1630未満である短露光画素値284をフィルタリングして除去してもよい。この目的のために、ステップ1420は、ヒストグラム1600にマスク1640を適用してもよい。
【0121】
再び
図14を参照して、方法1400は、中露光画素値の1つ以上のセットのそれぞれから、飽和に関する閾値を超える中露光画素値と、ノイズに関する閾値未満の中露光画素値とを除去するステップをさらに含んでもよいことが理解される。
【0122】
特定の実施形態において、方法1400は、動き差異によって影響を受けたSME HDRイメージセンサの空間領域からの画素値を考慮から除外する追加的なフィルタリングステップ1430をさらに含む。これらの動き差異は、撮像されたシーンが非常に急速に変化して、長露光時間と短露光時間との間の差が、長露光画素によって提供される情報と隣接するまたは近接する短露光画素によって提供される情報との間に過剰差異を引き起こす場合に生じる。ステップ1430は、ステップ1410および1420におけるフィルタリングの後に残った、長露光画素値と短露光画素値とを比較して、長露光画素値と短露光画素値との間の動き差異を評価する。そして、ステップ1430は、閾値動き差異レベルを超える動き差異によって影響を受けたSME HDRイメージセンサの空間領域から、短露光画素値および長露光値を除外する。
【0123】
一例において、ステップ1430は、長露光時間および短露光時間に応じて共通のスケールにスケーリングされた後に、対応する長露光画素値282と短露光画素値284とが互いに大きく乖離している画素グループ226から、すべての画素値をフィルタリングして除去する。この比較において、ステップ1430は、画素アレイ220における長露光画素222と短露光画素224との間の位置差を考慮してもよい。別の例において、ステップ1430は、長露光時間および短露光時間に応じて共通のスケールにスケーリングされた後に、同色の長露光画素値832および短露光画素値834の1つ以上のペアが互いに大きく乖離している画素グループ830から、すべての画素値をフィルタリングして除去する。この例において、ステップ1430は、いくつかの色を考慮してもよいし、1つの色のみを考慮してもよい。例えば、緑の長露光画素844Lおよび緑の短露光画素844Sに由来する画素値を考慮してもよい。
【0124】
ステップ1430は、比較において中露光画素値の1つ以上のセットをさらに含むように容易に拡張可能である。例えば、ステップ1430は、画素グループ930からの画素値を考慮してもよい。ステップ1430は、共通の露光時間スケールにスケーリングされた長露光画素値と対応する短露光画素値との少なくとも1つのペアが、閾値を超えて互いに乖離しているような空間領域の画素値を破棄してもよい。「対応する短露光画素値」とは、長露光画素値が由来する長露光画素に最も近い、または所定の距離内にある短露光画素の画素値であり、カラーSME HDRイメージセンサの場合は、対応する短露光画素が長露光画素と同色であることが追加要件となる。モノクロSME HDRイメージセンサの場合、対応する長露光画素と短露光画素とは、典型的には互いに隣り合って配置される。カラーSME HDRイメージセンサの場合、対応する長露光画素と短露光画素とは、典型的には、互いに間隔を空けて配置され、その間に1つ以上の異なる色の画素が配置される。
【0125】
一例において、ステップ1430は、対応する長露光と短露光画素との1つ以上のペアが要件
【数1】
を満たさないような空間領域からの画素値を破棄する。ここで、d
longは長露光画素値、d
shortは短露光画素値、rは長露光時間の短露光時間に対する比、εは閾値である。別の例において、ステップ1430は、長露光および短露光画素が同位置(co-located)にないことをさらに考慮した、洗練された関係を利用する。この洗練された例において、ステップ1430は、対応する長露光と短露光画素との1つ以上のペアが要件
【数2】
を満たさないような空間領域からの画素値を破棄してもよい。ここで、x
longおよびx
shortは長露光画素および短露光画素の位置をそれぞれ指し、∇d
longは長露光画素値の勾配である。∇d
longは、補間によって決定されてもよい。
【0126】
中露光画素の1つ以上のセットをさらに考慮する方法1400の実施形態において、ステップ1430は、中露光画素値を対応する長露光画素値および/または対応する短露光画素値とさらに比較して、それらの間の動き差異を評価してもよい。あるいは、ステップ1430は、長露光画素値と短露光画素値との間の関係が動きに対して最も敏感な関係であるため、中露光画素を考慮する方法1400の実施形態であっても、長露光画素値と短露光画素値との比較のみに基づいて、そのフィルタリングを行ってもよい。
【0127】
方法1400は、ノイズ除去ステップ1440および1450をさらに含んでもよい。ステップ1440は、長露光画素値からノイズの影響を除去し、ステップ1450は、短露光画素値からノイズの影響を除去する。
図14には示していないが、方法1400は、中露光画素値の1つ以上のセットのそれぞれからノイズの影響を除去するステップをさらに含んでもよい。コンピュータ700において、プロセッサ710は、ノイズ除去命令752を実行して、短露光画素値および長露光画素値(および、任意で、中露光画素値)からノイズの影響を除去してもよい。
【0128】
図17は、画素値のヒストグラム1710に対するノイズの影響を説明するプロット1700である。ヒストグラム1710の画素値は、長露光時間、短露光時間、または中露光時間に対応付けられてい得る。また、本開示の範囲から逸脱することなく、ヒストグラム1710の画素値は、色別の画素値を結合して作成された輝度値であってもよい。以下の説明では、
図17は、
図14とともに参照するのが最適である。
【0129】
ヒストグラム1710は、2つの明度しかない仮想的なシーンに対応しており、ノイズが無く、2つの鋭いピークを有している。実際にはノイズが存在し、このノイズが2つの鋭いピークの幅を広げる原因となる。ヒストグラム1720は、ヒストグラム1710の画素値分布がノイズの存在によって影響を受ける例である。ガウスノイズの場合、ヒストグラム1710は、ヒストグラム1720の、標準偏差σで特徴付けられるガウス分布との畳み込みである。標準偏差σは、画素値の関数であってもよい。
【0130】
ガウス分布の標準偏差σが(所与の露光時間についての)画素値に対し独立であると仮定すると、ヒストグラム1710はヒストグラム1720から式
【数3】
に従って再構成され得る。ここで、νはビン位置、p
sはヒストグラム1710、G
σはガウスノイズ分布、Cはセンサ依存であり得るチューニングパラメータ、p
s+nはヒストグラム1720、G
σ*p
s+nはp
s+nのガウス畳み込みである。
【0131】
別の例において、ガウス分布の標準偏差σは画素値に依存し、ガウシアンの分散は、線形ノイズモデルσ
2=mv+bで示されるように、(所定の露光時間についての)画素値の線形関数となる。ここでm≠0である。係数mおよびbは、SME HDRイメージセンサのモデルごとに既知であるか計測され得る。この例において、ガウシアンフィルタG
σはビン位置νに応じて調整されてもよいし、等角写像を用いてヒストグラム1720をマッピングすることにより一定のノイズレベルをシミュレートしてもよい。例えば、ヒストグラム1720は、等角写像関数
【数4】
に基づいて再ビニングされ得る。ここで、yは、ガウスノイズがσ=1によって特徴づけられる一定モデルに従うスケール上のビンの位置である。yスケール上の一定ガウスノイズモデルに基づいて、再ビニングと逆畳み込みを行った後、逆等角写像関数
【数5】
を適用することにより、等角写像を元のνスケールに戻してもよい。
【0132】
ステップ1440およびステップ1450のそれぞれは、
図17およびヒストグラム1720について上述したように、ノイズ効果を除去し得る。本開示の範囲から逸脱することなく、方法1400は、該当する場合には、中露光画素値の各セットに対して同様のステップを含んでもよい。
【0133】
方法1400は、機械可読命令730中において、前処理命令740としてエンコードされてもよく、任意に、ステップ1440および1450(および同様の中露出ノイズ除去ステップ)がノイズ除去命令752としてエンコードされてもよい。
【0134】
図18は、HDRヒストグラムを合成するための1つの方法1800を示す。方法1800は、方法500のステップ530の一実施形態であり、合成器430によって実行され得る。方法1800は、機械可読命令730中において合成命令742としてエンコードされてもよい。方法1800は、方法1000のステップ520および方法1100のステップ1130で実施されてもよい。方法1800は、ステップ1810、1820、および1830を含む。
【0135】
ステップ1810は、(a)方法500のステップ520での前処理の後に残った長露光画素値の第1のヒストグラムと、(b)方法500のステップ520での前処理の後に残った短露光画素値の第2のヒストグラムとを、共通のスケールにスケーリングする。ステップ1810は、長露光時間と短露光時間との間の比に応じて、このスケーリングを行う。例えば、ステップ1810は、短露光値を長露光値と同じスケールに置くように、短露光値に長露光時間の短露光時間に対する比を乗算してもよい。ステップ1810の一例において、合成器430は、ヒストグラム1500および1600を共通のスケールにスケーリングする。
【0136】
ステップ1820は、共通のスケールにおいて、第1のヒストグラムの最上位ビンの中心値以下の中心値を有する短露光画素値のビンを、第2のヒストグラムから除外する。ステップ1820は、同色の空間的に関連する画素のいかなるグループ(例えば、1つの画素グループ226、830、または930からの同色の画素値)も、第1のヒストグラムおよび第2のヒストグラムの両方においては表されないようにする役割を果たす。例えば、ステップ1820は、ヒストグラム1600(ステップ1810でスケーリングされた場合、スケーリングされたまま)から、画素値1650未満のすべてのビンを除外してもよい。
【0137】
ステップ1830は、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムをマージして、HDRヒストグラムを作成する。
【0138】
図19は、ステップ1810および1820でヒストグラム1500および1600を処理した後、ステップ1830でヒストグラム1500および1600から合成されたHDRヒストグラム1900の一例を示す。ヒストグラム1900は、ビン1910にビニングされる。ビン1910の下側範囲1920は、ヒストグラム1500の長露光画素値に由来し、一方、ビン1910の上側範囲1930は、ヒストグラム1600の短露光画素値に由来する。
【0139】
再び
図18を参照して、第1および第2のヒストグラム、例えばヒストグラム1500および1600を合成するために、方法1800は、第1および第2のヒストグラムの一方または両方の画素値を再ビニングすることにより、これらの2つのヒストグラムの間で相互に一貫したビニングを達成してもよい。方法1800は、ステップ1820と1830の間でこの再ビニングを実行してもよい。
【0140】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法1800は、例えば、画素グループ930からの画素値を処理する際に、1つ以上の中露光時間に対応付けられた中露光画素値を処理してもよい。そのような実施形態において、方法1800は、少なくとも3つのそれぞれの露光時間に対応付けられた少なくとも3つのヒストグラムを処理し、ステップ1820は、共通のスケールにおいて、最も近い、より長い露光時間に対応付けられたヒストグラムの最上位ビンの中心値以下の中心値を有するビンを、各ヒストグラムから除外する。
【0141】
図20は、二重露光時間SME HDRイメージセンサに対し、まず長露光時間を最適化し次にエントロピー分散に基づいて短露光時間を最適化する、1つの自動露出方法2000を示す。方法2000は、例えば、HDRカメラ102内のSME HDRイメージセンサ110を自動露出するために、露光時間コントローラ400によって実行され得る。方法2000は、方法500の一態様である。方法2000は、カラーSME HDRイメージセンサ810を自動露出するために適用され得る。
【0142】
方法2000は、ステップ2010および2020を含む。ステップ2010は、長露光時間を決定する。ステップ2020は、方法500のステップ510、520、530、540、および550の複数回の繰り返しを実行して、最適な短露光時間を決定する。ここで、ステップ540で使用される良好性メトリックは、HDRヒストグラム全体にわたってのエントロピー分散(例えば、
図5を参照して上述したVar(S
i))であるか、またはそれを含む。ステップ2020は、繰り返しのうち1回以上において、ステップ560をさらに含んでいてもよい。
【0143】
一実施形態において、方法2000は方法1000を実施する。この実施形態において、ステップ2020は、
図10を参照して上述したように、ステップ510、520、530、540、および550(および、任意に、ステップ560)を実行する。別の実施形態において、方法2000は方法1100を実施する。この実施形態において、ステップ2020は、
図11を参照して上述したように、ステップ1110、1120、1130、540、および550(および、任意で、ステップ560)を実行する。方法2000がカラーSME HDRイメージセンサに適用される場合、ステップ2010は、輝度値の考慮に基づいて、1つの特定の色に対応付けられた画素値の考慮に基づいて、または2つ以上の異なる色に対応付けられた画素値をまとめて考慮することに基づいて、最適な長露光時間を決定してもよい。
【0144】
方法2000は、ステップ2010において、短露光時間を最適化するために使用されたパラメータとは別のパラメータ(単数または複数)に基づいて、長露光時間を最適化することが可能である。ステップ2010は、最適な長露光時間を、露光不足の画素の数を最小化し、顔の露光を最適化し、かつ/または、HDR画像を生成するためにSME HDRイメージセンサによってキャプチャされた画像データのデモザイキングにおいて生じる長露光画素値と短露光画素との間の遷移点ノイズ差異を最小化するような長露光時間として決定してもよい。このようなデモザイキングは、例えばHDR画像生成器250によってHDR画像270を生成するために実行される。
【0145】
SME HDRイメージセンサから生成されたHDR画像の各画像画素について、デモザイキングは、どの露光時間を利用するかを選択することを含む。例えば、
図2の画素グループ226からのRAW画像データ280のデモザイキングは、長露光画素222からの長露光画素値282または短露光画素224からの短露光画素値284のいずれかを選択することを含んでもよい。あるいは、
図2の画素グループ226からのRAW画像データ280のデモザイキングは、長露光画素222からの長露光画素値282および短露光画素224からの短露光画素値284の寄与を重み付けすることを含んでもよい。いずれの場合も、シーンが暗から明へと遷移するところで、デモザイキング処理は、長露光画素値の排他的または優勢的な使用から、短露光画素値の排他的または優勢的な使用へと切り替わってもよい。長露光画素値から短露光画素値への切り替えを補償するように画素値がスケーリングされていても、読み出しノイズなどの特定のノイズの寄与は、露光時間に対してスケーリングされない。このように、HDR画像では、長露光画素値に基づく画像領域と短露光画素値に基づく画像領域との間に、目立つ境界としての画像アーティファクトが現れることがある。このようなアーティファクトは、大きな領域が暗から明へとスムーズに遷移する場合に特に目立ちやすくなり得る。同様の画像アーティファクトは、カラーSME HDRイメージセンサ810から生成されたHDR画像において生じる可能性がある。
【0146】
一実施形態において、ステップ2010は、SME HDRイメージセンサによってキャプチャされた画像データのデモザイキングにおいて、長露光画素値の使用と短露光画素値の使用との間の遷移点における長露光画素値と短露光画素値との間の遷移点ノイズ差異を最小化するように、長露光時間を変更するステップ2012を含む。ステップ2012は、遷移点に画素値を有する画素の数を最小化または低減するように、長露光時間を設定してもよい。方法2000がカラーSME HDRイメージセンサに適用される場合、ステップ2012は、選択された1つの色についてか、いくつかの色のそれぞれについてか、または輝度値について、遷移点ノイズ差異を最小化してもよい。
【0147】
図21は、方法2000のステップ2020で算出されたエントロピー分散例のプロット2100である。プロット2100はVar(S
i)を、2ミリ秒の長露光時間について、露光時間比(すなわち、長露光時間の短露光時間に対する比)の関数として示す。プロット2100は、露光比が8のときに最小値を示している。したがって、プロット2100に基づいた場合、方法2000のステップ2020は、短露光時間を0.25ミリ秒に設定することになる。
【0148】
方法2000は、例えば画素グループ930を実装するカラーSME HDRイメージセンサ810のように、2つより多くの異なる露光時間で動作するSMR HDRイメージセンサの自動露出に拡張してもよい。そのような一態様において、方法2000は、ステップ2010で長露光時間を最適化し、その後、ステップ2020で残りの露光時間を最適化する。2つより多くの異なる露光時間で動作する自動露出SMR HDRイメージセンサに含まれる場合、ステップ2012は、2つの最も近い露光時間の間、例えば、長露光時間と最も近い中露光時間との間の遷移点ノイズ差異を最小化する。
【0149】
図22は、SME HDRイメージセンサの長露光時間を最適化するための1つの方法2200を示す。二重露光時間SME HDRイメージセンサに適用される場合、方法2200は、長露光画素値と短露光画素値との間の遷移点ノイズ差異を最小化する長露光時間を決定する。以下において方法2200は、二重露光時間SME HDRイメージセンサに関連するものとして説明するが、方法2200は、方法2000のステップ2010について上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく、2つより多くの異なる露光時間を有するSME HDRイメージセンサに適用されてもよい。方法2200は、方法2000のステップ2012の一実施形態である。方法2000のステップ2010は、長露光時間を最適化するために方法2200を適用してもよく、かつ任意で顔の露光および露光不足の画素の数などの他のメトリックもともに考慮してもよい。
【0150】
ステップ2210で、方法2200は、SME HDRイメージセンサの長露光時間を初期値に設定し、SME HDRイメージセンサの短露光時間を最小値に設定する。次に方法2200は、短露光時間をステップ2210で定義された最小値に維持しながら、長露光時間を最適化する一連のステップの1回以上の反復を実行することに進む。各反復は、ステップ2220、2230、2240、2250、判定2260、および、判定2260の結果に応じて、ステップ2270または2280を含む。
【0151】
ステップ2220は、方法500のステップ510、520、530の複数回の繰り返しを実行して、仮のHDRヒストグラムを生成する。カラーSME HDRイメージセンサの場合、ステップ2220は、代わりにステップ1110、1120、1130を実行して、輝度値の仮のHDRヒストグラムを生成してもよいし、ステップ2220は、選択された1つの色について、またはいくつかの異なる色について、ステップ510、520、530を実行してもよい。
【0152】
ステップ2230は、ステップ2220で生成された仮のHDRヒストグラムから、長露光時間の目標値を推定する。例えば、HDRヒストグラム1900については、谷部1950が下側範囲1920と上側範囲1930との間の遷移点まで上方シフトするように、または谷部1952が下側範囲1920と上側範囲1930との間の遷移点まで下方シフトするように、長露光時間を調整することが有利であり得る。このように、この例において、2230は、谷部1950または谷部1952のいずれかを下側範囲1920と上側範囲1930との間の遷移点にシフトさせるように、目標長露光時間を設定してもよい。あるいは、ステップ2230は、仮のHDRヒストグラムの平均、中央値、または最頻値を遷移点から遠ざけるような目標長露光時間を設定してもよい。
【0153】
カラーSME HDRイメージセンサの場合、ステップ2230は、輝度値の仮のHDRヒストグラムに基づいて目標値を推定してもよいし、ステップ2230は、選択された1つの色についての画素値の仮のHDRヒストグラムに基づいて目標値を推定してもよいし、ステップ2230は、それぞれいくつかの異なる色に対応付けられたいくつかの仮のHDRヒストグラムをまとめて考慮することに基づいて目標値を推定してもよい。
【0154】
図23、
図24、
図25は、ステップ2220におけるHDRヒストグラム生成と、ステップ2230における目標長露光時間の推定との一例を示す。以下の説明において、
図23、
図24、および
図25は、
図22とともに参照するのが最適である。
図23は、シーン190などのシーンの輝度ヒストグラム2300の例である。
図24は、輝度ヒストグラム2300によって特徴付けられるシーンからのRAW画像データ280に基づいて、ステップ2230で生成されたHDRヒストグラム2400の例であり、ここでRAW画像データ280は、ステップ2210で定義された初期の長露光時間および最小の短露光時間でキャプチャされる。この例では、長露光画素値と短露光画素値との間の遷移点2410は、約2
10にある。ヒストグラムの大部分を遷移点2410から遠ざけるために、ステップ2330は、減少した長露光時間を目標にしてもよい。
図25は、減少した長露光時間がHDRヒストグラム2400のデータに対して持つ効果をシミュレートすることによって作成される、シミュレーションHDRヒストグラム2500を示す。この例において、目標長露光時間は、シミュレーションHDRヒストグラム2500の平均画素値<v>を遷移点2410の18%の位置に配置する露光時間である。したがって、この例では、目標長露光時間は、
【数6】
である。
図25において明らかなように、シミュレーションHDRヒストグラム2500の大部分は、遷移点2410からシフトして離れている。同様の、より一般的な例では、目標長露光時間は、
【数7】
に設定され得る。ここで、Aは1未満、例えば0.1から0.5の間である。別の例においては、目標長露光時間は、
【数8】
に設定される。ここで、P(v)は、中央値、相乗平均、または最頻値などの、HDRヒストグラム2400の別の統計的パラメータである。
【0155】
ステップ2230で推定された目標長露光時間に近い長露光時間の範囲について、ステップ2240は、長露光時間から生じるであろう遷移点ノイズ差異を示すパラメータを算出する。パラメータは、遷移点ノイズ差異の期待値であってもよいし、長露光時間の関数として遷移点ノイズ差異に比例するパラメータの期待値であってもよい。カラーSME HDRイメージセンサの場合、ステップ2240で算出されるパラメータは、輝度値間の遷移点ノイズ差異に係るものであってもよいし、あるいはステップ2240は、1つ以上の色についてのパラメータを別々に算出してもよい。ステップ2240の以下の説明は、輝度値、モノクロSME HDRイメージセンサの画素値、またはカラーSME HDRイメージセンサの1つの色に対応付けられた画素値に関連する、パラメータの算出に適用される。しかし、この説明は、各セットが異なる色に対応付けられているような、パラメータのいくつかのセットの算出に容易に拡張できる。ステップ2240で考慮される長露光時間の範囲は、最小の長露光時間tlong_minから最大の長露光時間tlong_maxにわたる。一例において、tlong_min = tlong_target - Δtかつtlong_max = tlong_target +Δtであり、ここでΔtは、目標長露光時間tlong_targetのあるパーセンテージである。一例において、Δtは目標長露光時間tlong_targetの5%から50%の間である。別の例において、Δtは目標長露光時間tlong_targetの15%から25%の間である。ステップ2240における、初期の長露光時間tlong_initialの修正長露光時間tlong_modへのスケーリングは、HDRヒストグラムのビン値v(ステップ2220において生成された)を修正ビン値v' = v*tlong_mod/tlong_initialにスケーリングすることに相当する。ステップ2240は次に、最小の修正ビン値v'min = v*tlong_min/tlong_initialから最大の修正ビン値v'max = v*tlong_max/tlong_initialの範囲で、複数の修正ビン値のそれぞれにおける遷移点ノイズ差異を評価する。
【0156】
一実施形態において、ステップ2240は、遷移点ノイズ差異を算出する。この実施形態において、ステップ2240は、ノイズモデルを適用してもよい。一態様において、ステップ2240は、
図14および
図17を参照して上述した線形ノイズモデルσ
2=mv+bを適用する。この態様において、遷移点における短露光画素値と長露光画素値とのノイズレベル差は、
【数9】
と記述し得る。ここで、rは長露光時間の短露光時間に対する比、v
tは短露光画素値を長露光画素値のスケールにスケールを上げることにより作成されたHDRヒストグラムにおける遷移点の画素値である。v
tは、例えば、長露光画素値の飽和閾値(例えば飽和閾値1520)である。HDR画像に影響を及ぼす遷移点ノイズ差異ε
noiseは、ノイズレベル差Δ(σ
2)を遷移点における画素カウントp(v
t)で重み付けしたもの
【数10】
として算出され得る。しかし、Δ(σ
2)は長露光時間に対して独立であり、p(v
t)のみが長露光時間に依存するため、どの長露光時間が遷移点ノイズ差異ε
noiseを最小化するかを決定するに際して、p(v
t)はそれ自体,遷移点ノイズ差異について十分な情報を持っている。したがって別の実施形態において、ステップ2240は、Δ(σ
2)およびε
noiseを算出することなく、単にt
long_minからt
long_maxの範囲において複数の長露光時間のそれぞれについてp(v
t)を算出する。
【0157】
ステップ2250は、ステップ2240で算出されたパラメータから、ステップ2250で算出された最小の遷移点ノイズ差異値に対応付けられたビンと一致する遷移点に対応する長露光時間の修正値を推定する。このようにしてステップ2250で処理されたパラメータは、p(vt)、εnoiseまたは遷移点ノイズ差異を示す別のパラメータであってもよい。ステップ2250は、ヒストグラム内の比較的カウント数の少ない場所に遷移点を配置するように、長露光時間を修正してもよい。一実施形態において、ステップ2250は、ステップ2240で評価された範囲内でp(vt)を最小化する長露光時間を選択する。ステップ2240がいくつかの異なる色を別々に処理する実施形態においては、ステップ2250は、これらの異なる色に対応付けられたパラメータをまとめて考慮して、長露光時間の値を修正する。
【0158】
ステップ2260は、方法2200がステップ2270に進むか、ステップ2280に進むかを決定する判定ステップである。ステップ2250で推定された、修正後の長露光時間が、ステップ2210で設定された初期の長露光時間よりも小さい場合、方法2200はステップ2270に進む。そうでなければ、方法2200はステップ2280に進む。ステップ2270は、ステップ2210の初期の長露光時間を、ステップ2250で推定された修正後の長露光時間に更新し、方法2200は、ステップ2220、2230、2240、2250、2260、および2270または2280の後続の反復を実行する。ステップ2280は、ステップ2250で推定された修正後の長露光時間を最適な長露光時間として出力し、方法2200を終了する。
【0159】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法2200は、ステップ2240および2250を省略し、代わりに、ステップ2230で推定された目標長露光時間で判定ステップ2260に進んでもよい。
【0160】
ここで、ステップ2012で方法2200を実施する方法2000の実施形態に言及する。ステップ2020は、遷移点ノイズ差異を良好性メトリックの一部として考慮することもできる。そのような一実施形態において、ステップ2020は、複合的なエラーメトリックεtotal =var(Si)+a*εnoiseを最小化する。ここでaは、エントロピー分散Var(Si)および遷移点ノイズ差異εnoiseの相対的な重要性を定義する、所定のパラメータである。
【0161】
図26~31は、ステップ2012で方法2200を実施する方法2000の実施形態において生成および処理されるデータの例であって、ステップ2020で良好性メトリックとして、またはステップ2020で良好性メトリックの一部として、遷移点ノイズ差異を考慮するデータの例である。
図26~31は、以下の説明において、
図20および
図22とともに参照するのが最適である。
【0162】
図26は、方法2200のステップ2220において、方法2000のステップ2010の一部として生成された仮のHDRヒストグラム2600の例である。ヒストグラム2600は、1ミリ秒である長露光時間と、16である長対短露光時間比rに基づいている。
図27は、方法2000のステップ2010の一部として、方法2200のステップ2280で出力された最適な長露光時間に従ってシフトされたHDRヒストグラム2700の例である。長対短露光時間比rは、HDRヒストグラム2700では16である。
図28~31は、方法2000のステップ2020で考慮されるHDRヒストグラム2800、2900、3000、3100の例である。HDRヒストグラム2800、2900、3000、3100のそれぞれは、方法2200を用いてステップ2010で決定された最適な長露光時間に基づいているが、長対短露光時間比rは、HDRヒストグラム2800、2900、3000、3100の各々につき異なっており、それぞれ2、4、8、および16である。ステップ2020は、例えば複合的なエラーメトリックε
totalの一部として、および任意に
図5を参照して上述したような他のパラメータとともに、ε
noiseをその良好性メトリックに含んでもよい。
【0163】
図32および
図33は、シーン3290のダイナミックレンジを縮小するための勾配フィルタを含む1つのHDRカメラ3200を示す図である。
図32は、HDRカメラ3200の断面図であり、
図33は、HDRカメラ3200のイメージセンサの平面図である。
図32と
図33は、以下の説明において共に参照するのが最適である。
【0164】
HDRカメラ3200は、HDRカメラ102の一実施形態であり、方法500、1000、または1100に従って、露光時間コントローラ100によって自動露出され得る。HDRカメラ3200は、SME HDRイメージセンサ110と、勾配フィルタ3240と、イメージセンサ110と勾配フィルタ3240との間に配置された対物レンズ3230と、コントローラ3250とを含む。勾配フィルタ3240は、少なくとも1つの次元で勾配を示す透過係数を有する中性濃度フィルタ(neutral density filter)である。
図32および
図33に示した実施形態では、勾配フィルタ3240の透過係数は、1つの次元における線形勾配(linear gradient)によって特徴付けられる。勾配フィルタ3240のこの実施形態は、地平線の写真などの、上半分が明るく、下半分が暗いシーン3290の画像撮影に適してい得る。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、勾配フィルタ3240は、より複雑な透過係数の変化を示してもよい。
【0165】
画素アレイ220に向かう途中で勾配フィルタ3240の透過性の低い部分を通過する光線3292は、画素アレイ220に向かう途中で勾配フィルタ3240の透過性の高い部分を通過する光線3294よりも減衰される。撮影者は、勾配フィルタ3240を選択し、そしてシーン3290の明るい部分を暗くするように、選択した勾配フィルタ3240を方向付けし得る。
図32および
図33に描かれたシナリオでは、勾配フィルタ3240は、シーン3290の下部よりもシーン3290の上部を暗くする。勾配フィルタ3240の機能は、画素アレイ220に仮想マスク3310を適用することに似ており、仮想マスク3310の透過係数は勾配フィルタ3240の透過係数と同様に変化する。
【0166】
勾配フィルタ3240によるシーン3290のダイナミックレンジの縮小は、SME HDRイメージセンサ110に対するダイナミックレンジ要求を軽減する。例えば、勾配フィルタ3240は、SME HDRイメージセンサ110によって生成されたHDR画像において露光不足または露光過多である画素の数を減らし、代わりに、そのような画素をSME HDRイメージセンサ110のダイナミックレンジ内に入れることにより、対応するシーン部分の完全な情報をキャプチャすることができる。
【0167】
コントローラ3250は、SME HDRイメージセンサ110による画像撮影の少なくともいくつかの側面を制御する。コントローラ3250は、HDRカメラ3200のSME HDRイメージセンサ110によって生成された画像データを処理して、勾配フィルタ3240の影響を補償してもよい。したがって、勾配フィルタ3240およびコントローラ3250は協働し、勾配フィルタ3240およびコントローラ3250を含まないHDRカメラ102の実施形態と比較して、HDRカメラ3200のダイナミックレンジをさらに拡張する。コントローラ3250はまた、SME HDRイメージセンサ110を自動露出してもよい。一実施形態において、コントローラ3250は、露光時間コントローラ100を含む。
【0168】
図34は、勾配フィルタ3240を使用してHDRカメラ3200によって撮影されたときのシーン3290の元のダイナミックレンジの少なくとも一部を再構成するための1つの方法3400を示す。方法3400は、コントローラ3250によって実行され得る。方法3400は、勾配フィルタ3240の影響を補償するために、SME HDRイメージセンサ110の出力画像をスケーリングするステップ3420を含む。ステップ3420で適用されるスケーリングは、勾配フィルタ3240によって非一様に減衰される前のシーン3290の元のダイナミックレンジを少なくとも部分的に再構成する。ステップ3420は、勾配フィルタ3240によって与えられた減衰を戻す(reverse)ために、SME HDRイメージセンサ110の出力画像を仮想マスク3310の逆関数によってスケーリングしてもよい。あるシナリオにおいては、ステップ3420は、シーン3290のダイナミックレンジ全体を再構成する。別のシナリオにおいては、シーン3290のダイナミックレンジは、勾配フィルタ3240によって低減されたとしても、SME HDRイメージセンサ110のダイナミックレンジを超える。このシナリオにおいて、ステップ3240は、シーン3290の元のダイナミックレンジを部分的にしか再構成しない。ステップ3240は、コントローラ3250にエンコードされた、またはユーザーによって提供された、勾配フィルタ3240の仕様に基づいてもよい。
【0169】
一実施形態において、方法3400は、勾配フィルタ3240の影響下でSME HDRイメージセンサ110を自動露出するために、方法500(または方法1000または1100)を実行するステップ3410をさらに含む。
【0170】
図35は、映像ストリームの時間的明度不安定性をキャプチャ後に減少させる場合の、SME HDRイメージセンサによってキャプチャされた映像ストリームの自動露出のための1つの方法3500を示している。方法3500は、HDRカメラ402によって実行されてもよいし、HDR画像生成器250とともに露光時間コントローラ400によって実行されてもよい。
【0171】
映像ストリームのキャプチャ中において、方法3500は、ステップ3510および3520の反復を実行して、SME HDRイメージセンサを自動露出する。方法3500は、ステップ3510および3520を連続的または定期的に実行して、シーンが変化するにつれSME HDRイメージセンサを自動露出させてもよい。方法3500は、協働してHDR映像ストリームを生成するステップ3530および3540をさらに含む。一実施形態において、方法3500は、映像ストリームをキャプチャするステップ3502も含む。ステップ3502は、SME HDRイメージセンサ110によって実行され得る。
【0172】
ステップ3510は、映像ストリームのフレームから、SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含む、RAW画像データを取得する。ステップ3510の一例において、露光時間コントローラ400は、SME HDRイメージセンサ110からRAW画像データ280の1フレームを取得する。本開示の範囲から逸脱することなく、ステップ3510で取得される画像データは、それぞれSME HDRイメージセンサの、1つ以上の中露光時間によって特徴付けられる画素からの、中露光画素値の1つ以上のセットをさらに含んでもよい。ステップ3520は、方法500のステップ520、530、540、550(および任意に560)、および570を実行して、良好性メトリック(および任意に顔の露光)に少なくとも部分的に基づいて、長露光時間および短露光時間の少なくとも一方を調整してSME HDRイメージセンサに出力する。ステップ3520は、方法1000または1100に従って、ステップ520、530、540、550(および任意に560)、および570を実施してもよいことが理解される。ステップ3520の一例において、露光時間コントローラ400は、長露光時間292および短露光時間294の少なくとも一方を調整し、露光時間セット290をSME HDRイメージセンサ110に出力する。
【0173】
ステップ3530は、HDR映像ストリームを生成するように、映像ストリームの各フレームのHDR画像を生成する。ステップ3530の一例において、HDR画像生成器250は、SME HDRイメージセンサ110から受けとった映像ストリームの各フレームからHDR画像270を生成する。HDR画像を生成するためにステップ3530によって処理されるフレームのフレームレートは、SME HDRイメージセンサを自動露出するためにステップ3510によって処理されるフレームのフレームレートと同じでもよいし、または異なっていてもよい。一態様において、ステップ3510および3520による自動露出は、ステップ3530で処理される映像ストリームのフレームレートよりも遅い。別の態様において、ステップ3510および3520による自動露出は、ステップ3530で処理される映像ストリームのフレームレートよりも速い。例えば、方法3500は、HDR画像のためにステップ3530で処理される各フレームのキャプチャに先立って、ステップ3510および3520の数回の反復を実行して、SME HDRイメージセンサを自動露出してもよい。
【0174】
いくつかのシナリオにおいて、映像ストリームキャプチャの自動露出(ステップ3510および3520による)が、ステップ3530で生成された映像ストリームにおける明度ジャンプにつながる可能性がある。この問題を改善するために、ステップ3540は、HDR映像ストリームを後処理することにより、HDR映像ストリームの時間的明度不安定性を低減する。HDR画像生成器250は、ステップ3540を実行し得る。一実施形態において、ステップ3540は、各HDR画像に、(a)固定の基準感度の、(b)HDR画像が生成されたフレームのキャプチャ時に使用された露光時間におけるSME HDRイメージセンサの感度に対する比、を乗算するステップ3542を含む。
【0175】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法3500は、時間的多重化露光HDRイメージセンサまたは単一露光時間イメージセンサなど、SME HDRイメージセンサ以外の他のタイプのイメージセンサを自動露出するように適応されてもよい。方法3500が、単一露光時間イメージセンサによる映像キャプチャを自動露出するように適応される場合、ステップ3530で生成される画像は、HDR画像でない場合もある。
【0176】
図36は、将来のシーンの予測される明度に応じて自動露出を最適化する、SME HDRイメージセンサによる映像ストリームキャプチャの自動露出のための1つの方法3600を示す。方法3600は、HDRカメラ402によって実行されてもよいし、HDR画像生成器250とともに露光時間コントローラ400によって実行されてもよい。
【0177】
映像ストリームのキャプチャ中において、方法3600は、ステップ3510、3620、3630、および3640の反復を実行して、映像ストリームのキャプチャ中にSME HDRイメージセンサを自動露出する。ここで自動露出は、キャプチャされるであろうシーンの予想される明度を考慮する。方法3600は、ステップ3510、3620、3630、および3640を連続的または定期的に実行して、シーンが変化するにつれSME HDRイメージセンサを自動露出してもよい。方法3600は、
図35を参照して上述したように、協働してHDR映像ストリームを生成するステップ3530および3540をさらに含んでもよい。
【0178】
ステップ3510は、
図35を参照して上述したように、映像ストリームのフレームからRAW画像データを取得する。ステップ3620は、ステップ3620が調整された露光時間(複数可)をSME HDRイメージセンサに出力しないことを除いて、ステップ3520と同様である。ステップ3630は、RAW映像ストリームの時間的明度変化を分析して、SME HDRイメージセンサによってキャプチャされるであろう後のフレームの明度を予測する。ステップ3630の一例において、露光時間コントローラ400は、SME HDRイメージセンサ110によってキャプチャされるRAW映像ストリームの時間的明度変化を分析して、SME HDRイメージセンサ110によってキャプチャされるであろう次のフレームまたは後のフレームの明度を予測する。ステップ3640は、ステップ3630で予測された明度に基づいて、ステップ3620によって調整された露光時間(複数可)を操作して、SME HDRイメージセンサによってキャプチャされるであろう後のフレームに最適となるように露光時間(複数可)をさらに調整する。ステップ3630は露光時間コントローラ400によって実行され、露光時間コントローラ400が、ステップ3620および3640で調整されさらに操作された露光時間セット290を、後のフレームをキャプチャするときにSME HDRイメージセンサ110によって適用されるように、SME HDRイメージセンサ110に出力してもよい。
【0179】
方法3600は、
図35を参照して上述したように、HDR映像ストリームを生成するためのステップ3530をさらに含んでもよい。任意で、方法3600は、
図35を参照して上述したように、HDR映像ストリームの時間的明度不安定性を低減するためのステップ3540も含む。
【0180】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法3600は、時間的多重化露光HDRイメージセンサまたは単一露光時間イメージセンサなど、SME HDRイメージセンサ以外の他のタイプのイメージセンサを自動露出するように適応されてもよい。方法3600が、単一露光時間イメージセンサによる映像キャプチャを自動露出するように適応される場合、ステップ3530で生成される画像は、HDR画像でない場合もある。
【0181】
図37は、局所露光時間制御を有する1つのSME HDRイメージセンサ3710を示す。SME HDRイメージセンサ3710は、SME HDRイメージセンサ110の一実施形態であり、HDRカメラ102に実装されてもよい。SME HDRイメージセンサ3710は、画素アレイ3720および局所露光時間制御回路3750を含む。画素アレイ3720は、局所領域3730に分割されており、局所露光時間制御回路3750は、各局所領域3730の露光時間を独立して設定するように構成されている。例えば、局所露光時間制御回路3750は、ある局所領域3730の画素群3740に1セットの露光時間を割り当て、別の局所領域3730の画素群3740に別のセットの露光時間を割り当ててもよい。
【0182】
本開示の範囲から逸脱することなく、画素アレイ3720は、
図37に示すよりも多いまたは少ない局所領域3730に分割されてもよく、局所領域3730は、
図37に描かれているものとは異なるサイズおよび形状を有してもよく、局所領域3730のサイズおよび/または形状は、異なる局所領域3730の間で異なってもよい。
【0183】
一実施形態において、画素アレイ3720は、画素グループ226で構成され、各局所領域3740は、少なくとも1つの画素グループ226を含む。別の実施形態において、画素アレイ3720は、画素グループ830を備えるように構成され、各局所領域3740は、少なくとも1つの画素グループ830を含む。さらに別の実施形態において、画素アレイ3720は、画素グループ930を備えるように構成され、各局所領域3740は、少なくとも1つの画素グループ930を含む。
【0184】
図38は、SME HDRイメージセンサの局所的自動露出のための1つの方法3800を示す。方法3800は、SME HDRイメージセンサ3710の局所的自動露出に使用され、画素アレイ3720の異なるそれぞれの局所領域3730に異なる露光時間を設定してもよい。
【0185】
方法3800は、
図5を参照して上述したように、SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するためにステップ510を実行する。方法3800のステップ510の一例において、露光時間コントローラ400は、SME HDRイメージセンサ3710からRAW画像データ280の1フレームを取得する。
【0186】
次に、ステップ3820において、SME HDRイメージセンサの画素アレイの複数の局所領域のそれぞれについて、方法3800は、ステップ520、530、540、および550(および任意にステップ560)を実行して、局所領域の長露光時間および短露光時間の少なくとも一方を調整する。ステップ3820は、このように、各局所領域に対して独立した露光時間調整を可能にする。ステップ3820は、残りのいずれの局所領域についても露光時間を変更しないままで、局所領域のうち1つ以上について露光時間(複数可)を調整してもよいことが理解される。ステップ3820は、方法1000または1100に従って、ステップ520、530、540、および550(および、任意に、ステップ560)を実施してもよい。ステップ3820の一例において、露光時間コントローラ400は、SME HDRイメージセンサ3710の1つ以上の局所領域3730のそれぞれについて、長露光時間292および/または短露光時間294を調整する。
【0187】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法3800は、2つより多くの異なる露光時間で動作するSME HDRイメージセンサの自動露出に適用されてもよく、その場合、ステップ510および3820は、中露光画素値の1つ以上のセットをさらに処理し、ステップ3820は、局所領域のうち1つ以上のそれぞれについて1つ以上の中露光時間を調整してもよい。
【0188】
ステップ3840において、方法3800は、調整された露光時間を、SME HDRイメージセンサに出力する。ステップ3840の一例において、露光時間コントローラ400は、複数の露光時間セット290を、SME HDRイメージセンサ3710のそれぞれの複数の局所領域3730に出力する。
【0189】
特定の実施形態において、方法3800は、ステップ3820と3840の間に実行されるステップ3830をさらに含む。ステップ3830は、ステップ3820で調整された局所的な露光時間を修正して、異なる局所領域間の露光時間の遷移を平滑化する。そのような一実施形態において、ステップ3830は、隣接する領域間の露光時間の差に上限を課す。別のそのような実施形態において、ステップ3830は、ステップ3820で調整された露光時間に、空間的平滑化フィルタを適用する。さらに別のそのような実施形態では、ステップ3820は、SME HDRイメージセンサの局所領域の空間解像度よりも小さい局所領域の空間解像度で実行され、ステップ3830は、SME HDRイメージセンサの局所領域のフル空間解像度を利用して、露光時間の遷移を平滑化する。露光時間コントローラ400は、ステップ3830を実行し得る。
【0190】
方法3800は、
図5を参照して上述したように、ステップ502をさらに含んでもよい。方法3800において実施されるステップ502の一例において、SME HDRイメージセンサ3710は、RAW画像データ280をキャプチャする。
【0191】
方法3800は、方法500について上述したのと同様の方法で、SME HDRイメージセンサの各局所領域の露光時間を最適化するために、ステップ510、3820、および3840(および、任意に、ステップ502および3830の一方または両方も)の数回の反復または繰り返しを実行してもよい。
【0192】
図39は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための1つの露光時間コントローラ3900を示す。露光時間コントローラ3900は、露光時間コントローラ100の一実施形態であり、HDRカメラ3902のSME HDRイメージセンサ110と組み合わせられてもよい。HDRカメラ3902は、HDRカメラ102の一実施形態である。
【0193】
露光時間コントローラ3900は、SME HDRイメージセンサ110から受けとったRAW画像データ280を処理することにより、エントロピー分散Var(Si)の最小化に基づいて露光時間セット290を最適化する、エントロピー分散最適化器3950を含む。露光時間コントローラ3900は、遷移点ノイズ差異、顔の露光、および/または方法500のステップ540および550を参照して上述したものを含む他のメトリックなどの、他のメトリックを考慮することもできる。
【0194】
一実施形態において、エントロピー分散最適化器3950は、HDRヒストグラムを合成するための合成器430を含む。この実施形態において、合成器430は、複数の露光時間別のヒストグラムからHDRヒストグラムを合成してもよく、かつエントロピー分散最適化器3950は、露光時間固有のヒストグラムのそれぞれからノイズの影響を除去するノイズ除去器3960をさらに含んでもよい。
【0195】
露光時間コントローラ3900は、2つの露光時間、すなわち、長露光時間292および短露光時間294で動作するSME HDRイメージセンサ110の実施形態を自動露出してもよい。あるいは、露光時間コントローラ3900は、2つより多くの露光時間、すなわち、長露光時間292、短露光時間294、および1つ以上の中露光時間で動作するSME HDRイメージセンサ110の実施形態を自動露出してもよい。露光時間コントローラ3900は、カラーSME HDRイメージセンサ110ならびにモノクロSME HDRイメージセンサ110を自動露出することができる。
【0196】
図40は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための1つの方法4000を示す。方法4000は、方法500の一実施形態であり、露光時間コントローラ3900によってSME HDRイメージセンサ110を自動露出するために実行され得る。方法4000は、ステップ4010および4020を含む。ステップ4010は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、最適な露光時間設定を決定し、ステップ4020は、最適な露光時間設定をSME HDRイメージセンサに出力する。例えば、露光時間コントローラ3900は、(a)ステップ4010において、SME HDRイメージセンサ110からのRAW画像データ280を処理し、エントロピー分散最適化器3950を用いて最適な露光時間セット290を決定し、(b)ステップ4020において、最適な露光時間セット290をSME HDRイメージセンサ110に出力してもよい。
【0197】
ステップ4010は、異なるそれぞれの露光時間設定でのSME-HDRイメージセンサの、複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の、複数のHDRヒストグラムを処理する。複数のHDRヒストグラムのそれぞれについて、ステップ4010は、HDRヒストグラムの個々のビンからHDRヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散Var(Si)を評価することにより、エントロピー分散Var(Si)の最小値に対応するイメージセンサの最適な露光時間設定を決定する。
【0198】
一実施形態において、ステップ4010は、異なる露光時間設定のそれぞれについて、ステップ4014および4018を実行する。ステップ4014は、露光時間設定のそれぞれの1つにおける露光からの画素値に対するHDRヒストグラムのインスタンスを生成する。ステップ4014の一例において、合成器430は、SME HDRイメージセンサ110から取得したRAW画像データ280の1フレームから、HDRヒストグラムを生成する。ステップ4014は、それぞれの複数の異なる露光時間で動作するSME HDRイメージセンサのそれぞれの複数の画素サブセットに対応付けられた複数の露光時間別のヒストグラムからHDRヒストグラムを合成するステップ4016を含んでもよい。ステップ4016の一例において、合成器430は、長露光画素値282のヒストグラムと、短露光画素値284のヒストグラムとから、HDRヒストグラムを合成する。ステップ4018は、エントロピー分散Var(Si)をHDRヒストグラムのそれぞれについて計算する。
【0199】
ステップ4014がステップ4016を含んでいる方法4000の実施形態において、ステップ4010は、ステップ4014の前に、ステップ4012を実行してもよい。ステップ4012は、ステップ4016でHDRヒストグラムを合成するために使用される露光時間別のヒストグラムのそれぞれからノイズの影響を除去する。ステップ4014は、
図14および
図17を参照して上述したステップ1440および1450と同様である。ステップ4012の一例において、ノイズ除去器3960は、(a)長露光画素値282のヒストグラムおよび(b)短露光時間画素値284のヒストグラムのそれぞれからノイズの影響を除去する。
【0200】
ステップ4010は、ステップ4014および4018(および任意に4012)の繰り返しを反復的に実行してもよく、ここで最初の反復を除く各反復は、先行する反復で決定された露光時間設定でキャプチャされたRAW画像データに基づいている。ステップ4010はまた、方法500のステップ540および550を参照して上述した遷移点ノイズ差異、顔の露光、および/またはその他のメトリックなど、エントロピー分散以外の他のメトリックを考慮してもよい。
【0201】
方法4000は、モノクロSME HDRイメージセンサおよびカラーSME HDRイメージセンサを自動露出し得る。カラーSME HDRイメージセンサ810などのカラーSME HDRイメージセンサの自動露出に適用される場合、方法4000は、ステップ4014および4018で処理された輝度値のHDRヒストグラムのエントロピー分散Var(Si)を最小化してもよい。または方法4000は、ステップ4014および4018で処理された色別の画素値の1つ以上のHDRヒストグラムのエントロピー分散Var(Si)を最小化してもよい。
【0202】
本開示の範囲から逸脱することなく、方法4000は、2つより多くの異なる露光時間で動作するように構成されたSME HDRイメージセンサに適用されてもよい。そのようなシナリオにおいて、方法4000は、中露光値の1つ以上のセットをさらに処理して、1つ以上の最適な中露光時間をそれぞれ決定してもよい。また、本開示の範囲から逸脱することなく、方法4000は、時間的多重化露光HDRイメージセンサの自動露出に適用されてもよい。
【0203】
図41は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、SME HDRイメージセンサを自動露出するための1つのコンピュータ4100を示す。コンピュータ4100は、露光時間コントローラ3900の一実施形態であり、HDRカメラ3902内において、SME HDRイメージセンサ110とともに実装され得る。あるいは、コンピュータ4100は、サードパーティのSME HDRイメージセンサとともに実装されるスタンドアローンの製品として提供されてもよい。コンピュータ4100は、プロセッサ4110、非一時的メモリ4120、およびインターフェース4190を含む。メモリ4120は、機械可読命令4130を含み、動的データ記憶域4160をさらに含んでもよい。
【0204】
機械可読命令4130は、データ入力命令4132、エントロピー分散命令4140、およびデータ出力命令4134を含む。プロセッサ4110による実行時に、データ入力命令4132は、インターフェース4190を介して、SME HDRイメージセンサからRAW画像データ(例えば、RAW画像データ280)を取得する。RAW画像データは、方法4000のステップ4010で使用されるものである。プロセッサ4110による実行時に、エントロピー分散命令4140およびデータ出力命令4134は、方法4000のステップ4010および4020をそれぞれ実行する。エントロピー分散4132は、プロセッサ4110による実行時に、方法4000のステップ4016および4012をそれぞれ実行する合成命令4142およびノイズ除去命令4150の一方または両方を含むことができる。データ出力命令4134は、インターフェース4190を介して露光時間セット290を出力するように構成される。
【0205】
動的データ記憶域4160は、以下のうち1つ以上を記憶してもよい。すなわち、(a)プロセッサ4110によるデータ入力命令4132の実行時にインターフェース4190を介して受けとった長露光画素値282および短露光画素値284、(b)プロセッサ4110による合成命令4142の実行時に生成された1つ以上のHDRヒストグラム770、(c)プロセッサ4110によるエントロピー分散命令4140の実行時に生成された1つ以上のエントロピー分散値4172、および(d)プロセッサ4110によるエントロピー分散命令4140の実行時に生成された長露光時間292および短露光時間294である。
【0206】
機械可読命令4130は、サードパーティのプロセッサ4110およびインターフェース4190とともに実装されるために、非一時的メモリにエンコードされたスタンドアローンのソフトウェア製品として提供されてもよいことが理解される。本開示の範囲から逸脱することなく、スタンドアローンのソフトウェア製品として提供されるコンピュータ4100および機械可読命令4130のいずれか一方を、時間的多重化露光HDRイメージセンサの自動露出に適用してもよい。
【0207】
図42は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、単一露光時間イメージセンサを自動露出するための1つの露光時間コントローラ4200を示す。露光時間コントローラ4200は、2つ以上の露光時間の代わりに1つの露光時間を最適化するように適応されていることを除いて、露光時間コントローラ3900と同様である。露光時間コントローラ4200は、カメラ4202内の単一露光時間イメージセンサ4210と組み合わせられてもよい。単一露光時間イメージセンサ4210は、すべて同じ露光時間で露光される画素4230の画素アレイ4220を含む。
【0208】
露光時間コントローラ4200は、単一露光時間イメージセンサ4210から受けとった、画素値4282を含むRAW画像データ4280を処理することにより、画素値4282のヒストグラムのエントロピー分散Var(Si)の最小化に基づいて単一露光時間イメージセンサ4210の露光時間4290を最適化する、エントロピー分散最適化器4250を含む。露光時間コントローラ4200は、他のエントロピー系のメトリック、顔の露光、露光過多の画素4230の数、および/または露光不足の画素4230の数などの他のメトリックをさらに考慮してもよい。エントロピー分散最適化器4250は、画素値4282のヒストグラムからノイズの影響を除去するノイズ除去器4260を含んでもよい。
【0209】
露光時間コントローラ4200は、カラーイメージセンサならびにモノクロイメージセンサの自動露出が可能である。
【0210】
図43は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて単一露光時間イメージセンサの自動露出を行う1つの方法4300を示している。方法4300は、単一露光時間イメージセンサのすべての画素に適用される単一の露光時間のみを最適化することを除いて、方法4000と同様である。方法4300は、単一露光時間イメージセンサ4210を自動露出するために、露光時間コントローラ4200によって実行されてもよい。方法4300は、ステップ4310および4320を含む。ステップ4310は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、最適な露光時間を決定する。ステップ4320は、最適な露光時間を単一露光時間イメージセンサに出力する。例えば、露光時間コントローラ4200は、(a)ステップ4310において、単一露光時間イメージセンサ4210からのRAW画像データ4280を処理し、エントロピー分散最適化器4250を用いて最適な露光時間4290を決定し、(b)ステップ4320において、最適な露光時間4290を単一露光時間イメージセンサ4210に出力してもよい。
【0211】
ステップ4310は、異なるそれぞれの露光時間における単一露光時間イメージセンサの複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の複数のヒストグラムを処理する。複数のヒストグラムのそれぞれについて、ステップ4310は、ヒストグラムの個々のビンからのヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散Var(Si)を評価することにより、エントロピー分散Var(Si)の最小値に対応するイメージセンサの最適な露光時間を決定する。
【0212】
一実施形態において、ステップ4310は、異なる露光時間のそれぞれについて、ステップ4312および4316を実行する。各露光時間について、ステップ4312は、その露光時間における露光からの画素値のHDRヒストグラムのインスタンスを生成する。ステップ4312の一例において、エントロピー分散最適化器4250は、単一露光時間イメージセンサ4210から取得した画素値4282のヒストグラムを生成する。ステップ4316は、ステップ4312で生成されたヒストグラムについてエントロピー分散Var(Si)を計算する。
【0213】
一実施形態において、ステップ4310は、ステップ4312と4316の間にステップ4314を実行する。ステップ4314は、ステップ4316におけるエントロピー分散計算の前に、ステップ4312で生成されたヒストグラムからノイズの影響を除去する。ステップ4314は、
図14および
図17を参照して上述したステップ1440および1450と同様である。ステップ4314の一例において、ノイズ除去器4260は、画素値4282のヒストグラムからノイズの影響を除去する。
【0214】
ステップ4310は、ステップ4312および4316(および任意に4314)の繰り返しを反復的に実行してもよく、最初の反復を除く各反復は、先行する反復で決定された露光時間設定で撮影されたRAW画像データに基づいている。ステップ4310はまた、エントロピー分散以外の他のメトリック、例えば、他のエントロピー系のメトリック、顔の露光、露光過多の画素4230の数、および/または露光不足の画素4230の数を考慮してもよい。
【0215】
方法4300は、モノクロ単一露光時間イメージセンサおよびカラー単一露光時間イメージセンサを自動露出し得る。ベイヤーカラーフィルタアレイを有する単一露光時間イメージセンサなどのカラー単一露光時間イメージセンサの自動露出に適用される場合、方法4300は、異なる色の画素値4282を結合することによって生成される輝度値のヒストグラムのエントロピー分散Var(Si)を最小化してもよいし、方法4300は、色別の画素値4282の1つ以上のヒストグラムのエントロピー分散Var(Si)を最小化してもよい。
【0216】
図44は、エントロピー分散Var(S
i)の最小化に少なくとも部分的に基づいて、単一露光時間イメージセンサを自動露出するための1つのコンピュータ4400を示す。コンピュータ4400は、露光時間コントローラ4200の一実施形態であり、カメラ4202内において、単一露光時間イメージセンサ4210とともに実装されてもよい。あるいは、コンピュータ4400は、サードパーティの単一露光時間イメージセンサとともに実装されるスタンドアローン製品として提供されてもよい。コンピュータ4400は、プロセッサ4410、非一時的メモリ4420、およびインターフェース4490を含む。メモリ4420は、機械可読命令4430を含み、動的データ記憶域4460をさらに含んでもよい。
【0217】
機械可読命令4430は、データ入力命令4432、エントロピー分散命令4440、およびデータ出力命令4434を含む。プロセッサ4410による実行時に、データ入力命令4432は、インターフェース4490を介して単一露光時間イメージセンサからRAW画像データ(例えば、RAW画像データ4280)を取得する。RAW画像データは、方法4300のステップ4310で使用される。プロセッサ4410による実行時に、エントロピー分散命令4440およびデータ出力命令4434は、方法4300のステップ4310および4320をそれぞれ実行する。エントロピー分散命令4440は、プロセッサ4410による実行時に、方法4300のステップ4314を実行するノイズ除去命令4450を含んでもよい。データ出力命令4434は、インターフェース4490を介して露光時間4290を出力するように構成されている。
【0218】
動的データ記憶域4460は、以下のうち1つ以上を記憶してもよい。すなわち、(a)プロセッサ4410によるデータ入力命令4432の実行時にインターフェース4490を介して受けとった画素値4282、(b)プロセッサ4410によるエントロピー分散命令4440の実行時に生成された1つ以上のヒストグラム4470、(c)プロセッサ4410によるエントロピー分散命令4440の実行時に生成された1つ以上のエントロピー分散値4472、および(d)プロセッサ4410によるエントロピー分散命令4440の実行時に生成された露光時間4290である。
【0219】
機械可読命令4430は、サードパーティのプロセッサ4410およびインターフェース4490とともに実装されるために、非一時的メモリにエンコードされたスタンドアローンのソフトウェア製品として提供されてもよいことが理解される。
【0220】
図45は、SME HDRイメージセンサの長露光画素の飽和度レベルに基づいてSME HDRイメージセンサを自動露出するための1つの露光時間コントローラ4500を示す。露光時間コントローラ4500は、基本的に、SME HDRイメージセンサの長露光画素を照度計として使用する。露光時間コントローラ4500は、HDRカメラ4502内のSME HDRイメージセンサ110と組み合わせられてもよい。露光時間コントローラ4500は、飽和度評価器4510を含む。
【0221】
動作時において、露光時間コントローラ4500は、SME HDRイメージセンサ110から受けとったRAW画像データ280の1つ以上のフレームを処理する。飽和度評価器4510は、RAW画像データ280の長露光画素値282の飽和閾値に対するレベルを評価する。長露光画素222からの長露光画素値282が所定の飽和閾値を超える場合、露光時間コントローラ4500は、SME HDRイメージセンサ110の短露光画素224のうち少なくともいくつかに対して、減少した短露光時間4592を設定する。露光時間の減少を補償するために、露光時間コントローラ4500は、短露光時間と対応するデジタルゲインとの積が変化しないように、これらの短露光画素224に対して増加したデジタルゲイン4594を設定する。
【0222】
一実施形態において、露光時間コントローラ4500は、同じ短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594を、SME HDRイメージセンサ110のすべての短露光画素224に適用する。別の実施形態において、露光時間コントローラ4500は、位置に依存する短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594を定義するように構成される。この実施形態において、露光時間コントローラ4500は、画素アレイ220の異なる局所的空間領域に対して、これらの局所的空間領域のそれぞれにおいて飽和度評価器4510によって決定された飽和度レベルに応じて、短露光時間4592(および対応するデジタルゲイン4594)を別々に設定してもよい。
【0223】
一態様において、露光時間コントローラ4500は、すべての長露光画素222および短露光画素224が同じ分光感度を有するモノクロSME HDRイメージセンサ110を自動露出する。別の態様において、露光時間コントローラ4500は、いくつかの異なる分光感度クラス、例えば、赤、緑、および青を含むカラーSME HDRイメージセンサ810などのカラーSME HDRイメージセンサ110を自動露出する。この態様において、露光時間コントローラ4500は、(a)画素アレイ220のすべての短露光時間画素224に対してグローバルに、または(b)画素アレイ220の複数の別々に構成可能な局所的空間領域のそれぞれ内のすべての短露光時間画素224について、すべての分光感度クラスに対して同じ短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594を定義してもよい。
【0224】
図46は、その画素アレイ220の複数の局所領域4622に対して別々の短露光時間制御を有する1つのSME HDRイメージセンサ4610を示す。SME HDRイメージセンサ4610は、SME HDRイメージセンサ110の一実施形態である。SME HDRイメージセンサ4610は、露光時間コントローラ4500が、
図45を参照して上述したように、各局所領域4622を別々に自動露出するように、HDRカメラ4502に実装されてもよい。図示を明確にするために、
図46は、2つの別々に制御可能な局所領域4622のみを描いているが、SME HDRイメージセンサ4610の画素アレイ220は、2つより多くの別々に制御可能な局所領域4622に構成されてもよい。SME HDRイメージセンサ4610は、モノクロイメージセンサであってもよいし、カラーSME HDRイメージセンサ810などのカラーイメージセンサであってもよい。
【0225】
図47は、SME HDRイメージセンサ4710の各分光感度クラスおよび露光時間を代表する画素の各局所グループに対して別々の短露光時間制御を有するような、1つのSME HDRイメージセンサ4710を示す。各画素グループ226が1つの長露光画素222と1つの短露光画素224で構成されるような、SME HDRイメージセンサ4710のモノクロ実施形態においては、短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594は、各短露光画素224に対して他の短露光画素224とは別々に構成可能である。画素グループ830で構成されるSME HDRイメージセンサ4710のカラー実施形態では、短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594は、各画素グループ830に対して他の画素グループ830とは別々に構成可能である。
【0226】
図48は、SME HDRイメージセンサの長露光画素の飽和度レベルに基づいてSME HDRイメージセンサを自動露出するための1つの方法4800を示す。方法4800は、HDRカメラ4502内のSME HDRイメージセンサ110を自動露出するために、露光時間コントローラ4500によって実行され得る。
【0227】
ステップ4810において、方法4800は、SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得する。RAW画像データは、SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる長露光画素からの長露光画素値と、SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる短露光画素からの短露光画素値とを含む。ステップ4810の一例において、露光時間コントローラ4500は、SME HDRイメージセンサ110から、長露光画素値282および短露光画素値284を含むRAW画像データ280を取得する。
【0228】
次に、方法4800は、SME HDRイメージセンサの各別々に構成可能な局所的空間領域に対して、ステップ4820および4830、ならびに必要に応じてステップ4840も実行する。あるシナリオにおいては、SME HDRイメージセンサは、画素アレイ全体を通じて同じ短露光時間および対応するデジタルゲインでの動作に限定される。このシナリオにおいて、方法4800は、ステップ4820および4830を実行し、必要に応じてステップ4840も実行して、短露光時間および対応するデジタルゲインをグローバルに設定することを1回行う。別のシナリオにおいては、SME HDRイメージセンサは、例えば
図46および
図47に示すように、2つ以上の別々に構成可能な局所的空間領域を有するように構成される。このシナリオにおいて、方法4800は、これらの局所的空間領域のそれぞれについて、ステップ4820および4830、および必要に応じてステップ4840も実行する。
【0229】
ステップ4820は、考慮中の局所的空間領域における少なくとも1つの選択された長露光画素の飽和度レベルを評価する。一例において、飽和度評価器4510は、局所的空間領域における少なくとも1つの長露光画素222の飽和度を評価する。局所的空間領域が複数の長露光画素222を含む場合、ステップ4820は、(a)これらの長露光画素222のうちの選択された1つ、(b)これらの長露光画素222のすべて、または(c)これらの長露光画素222の適切なサブセットを評価してもよい。
【0230】
ステップ4830は、判定ステップである。ステップ4820で評価された、選択された長露光画素(複数可)の長露光画素値が飽和閾値を超えた場合、方法4800はステップ4840に進む。ステップ4840は、(i)局所的空間領域における短露光画素の減少した短露光時間と、(ii)減少した短露光時間を補償する、増加したデジタルゲイン値とを決定する。ステップ4830および4840の一例において、露光時間コントローラ4500は、飽和度評価器4510による評価に基づいて、局所的空間領域における1つ以上の選択された長露光画素の長露光画素値が飽和閾値を超えることを決定し、露光時間コントローラ4500は次に、短縮された短露光時間4592と、短露光時間の短縮を補償する対応するデジタルゲイン4594とを定義する。
【0231】
ステップ4840の後、方法4800は、ステップ4860を実行する。ステップ4860は、選択された長露光画素(複数可)の長露光画素値が飽和閾値を超えることを特徴とする各局所的空間領域に対して、減少した短露光時間および対応して増加したデジタルゲイン値を、局所的空間領域の各短露光画素に出力する。ステップ4860の一例において、露光時間コントローラ4500は、飽和閾値を超える長露光画素の飽和度の影響を受けた各局所的空間領域に、短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594を出力する。
【0232】
2つ以上の別々に構成可能な局所的空間領域を有するSME HDRイメージセンサを自動露出するように構成された方法4800の実施形態において、方法4800は、ステップ4840と4860の間にステップ4850をさらに含んでもよい。ステップ4850は、ステップ4840で行われた調整の後、短露光時間およびデジタルゲイン値に空間的平滑化を適用する。この実施形態の一態様において、ステップ4850は、隣接する局所的空間領域間の短露光時間の差に上限を課す。この実施形態の別の態様において、ステップ4850は、ステップ4840で調整された短露光時間に空間的平滑化フィルタを適用する。この実施形態のさらに別の態様において、ステップ4840は、SME HDRイメージセンサの局所的空間領域の空間解像度よりも小さい空間解像度で実行され、ステップ4850は、SME HDRイメージセンサの局所的空間領域のフル空間解像度を利用して、露光時間の遷移を平滑化する。露光時間コントローラ4500は、ステップ4850を実行してもよい。
【0233】
方法4800は、露光時間コントローラ4500について上述したように、カラーSME HDRイメージセンサだけでなく、モノクロSME HDRイメージセンサの自動露出に適用することができる。
【0234】
図49は、長露光画素の飽和度レベルに基づいてSME HDRイメージセンサを自動露出するための1つのコンピュータ4900を示す。コンピュータ4900は、露光時間コントローラ4500の一実施形態であり、HDRカメラ4502内において、SME HDRイメージセンサ110とともに実装され得る。あるいは、コンピュータ4900は、サードパーティのSME HDRイメージセンサとともに実装されるスタンドアローンの製品として提供されてもよい。コンピュータ4900は、プロセッサ4910、非一時的メモリ4920、およびインターフェース4990を含む。メモリ4920は、機械可読命令4930を含み、動的データ記憶域4960をさらに含んでもよい。
【0235】
機械可読命令4930は、データ入力命令4932、飽和度評価命令4940、調整命令4942、およびデータ出力命令4934を含む。プロセッサ4910による実行時に、データ入力命令4432は、方法4800のステップ4810を実行して、インターフェース4990を介してSME HDRイメージセンサからRAW画像データ(例えば、RAW画像データ280)を取得する。プロセッサ4910による実行時に、飽和度評価命令4940は、方法4800のステップ4820を実行する。プロセッサ4910による実行時に、調整命令4942は、方法4800のステップ4830、および必要に応じてステップ4840も実行する。一実施形態において、機械可読命令4930は、プロセッサ4910による実行時に、方法4800のステップ4850を実行する平滑化命令4936をさらに含む。データ出力命令4434は、インターフェース4990を介して短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594を出力するように構成される。
【0236】
動的データ記憶域4960は、以下のうち1つ以上を記憶してもよい。すなわち、(a)プロセッサ4910によるデータ入力命令4932の実行時にインターフェース4990を介して受けとった長露光画素値282および短露光画素値284、(b)プロセッサ4910による飽和度評価命令4940の実行時に決定された1つ以上の飽和度条件4970、(c)プロセッサ4910による調整命令4942の実行時に生成された短露光時間4592および対応するデジタルゲイン4594の1つ以上のセットである。
【0237】
機械可読命令4930は、サードパーティのプロセッサ4910およびインターフェース4990とともに実装されるために、非一時的メモリにエンコードされたスタンドアローンのソフトウェア製品として提供されてもよいことが理解される。
【0238】
特徴の組み合わせ
上述の特徴および以下の請求項に記載の特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載されたイメージセンサの自動露出のための1つの方法または製品という側面は、本明細書に記載されたイメージセンサの自動露出のための別の1つの方法または製品の特徴を組み込んだり、入れ替えたりすることができることが理解されるであろう。以下の例は、上述の実施形態のいくつかの可能な、非限定的な組み合わせを示している。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書の方法、製品、およびシステムに他の多くの変更および修正を加えることができることは明らかであろう。
【0239】
(A1)SME HDRイメージセンサの自動露出方法は、以下を含み得る:(I)前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するステップであって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含むステップ、(II)前記長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外するステップ、(III)前記前処理するステップの後に残った前記長露光画素値および前記前処理するステップの後に残った前記短露光画素値を、HDRヒストグラムとして合成するステップ、(IV)前記HDRヒストグラムから良好性メトリックを導出するステップ、(V)前記良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整するステップ、(VI)調整された前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を、前記SME HDRイメージセンサに出力するステップ。
【0240】
(A2)(A1)に記載の前記自動露出方法において、前記良好性メトリックは、エントロピーメトリックを含み得る。
【0241】
(A3)(A2)に記載の前記自動露出方法において、前記良好性メトリックは、前記HDRヒストグラムの総エントロピーに対する前記HDRヒストグラムの個々のビンの寄与の前記HDRヒストグラム全体にわたっての分散を含み得る。
【0242】
(A4)(A3)に記載の前記自動露出方法において、前記導出するステップは、前記HDRヒストグラムの個々のビンiからの前記寄与SiをSi = -pilog2(pi)として算出することを含んでいてもよく、piは前記個々のビンiにおけるカウントである。
【0243】
(A5)(A3)および(A4)に記載の前記自動露出方法のいずれかは、前記合成するステップよりも前に、前記長露光画素値および短露光画素値からノイズの影響を除去するステップをさらに含み得る。
【0244】
(A6)(A5)に記載の前記自動露出方法において、前記ノイズの影響を除去するステップは、(a)前記長露光画素値の第1のヒストグラムおよび(b)前記短露光画素値の第2のヒストグラムのそれぞれを、ノイズモデルに従って逆畳み込みするステップを含み得る。
【0245】
(A7)(A6)に記載の前記自動露出方法の前記ノイズモデルにおいて、ノイズ分散の期待値は、画素値の線形関数でモデリングされ得る。
【0246】
(A8)(A3)から(A7)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップの複数回の反復を行うことにより、前記分散を最小化するような前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定するステップをさらに含み得る。
【0247】
(A9)(A8)に記載の前記自動露出方法は、前記複数回の反復を行うステップよりも前に、最適な長露光時間を決定するステップをさらに含んでいてもよく、かつ、前記複数回の反復を行うステップは、前記長露光時間を前記最適な長露光時間に維持しながら最適な短露光時間を決定するステップを含み得る。
【0248】
(A10)(A9)に記載の前記自動露出方法において、前記最適な長露光時間を決定するステップは、前記SME HDRイメージセンサによって撮影された画像のデモザイキングにおける前記長露光画素値の使用と前記短露光画素値の使用との遷移を定義する遷移点における、前記長露光画素値と前記短露光画素値とのノイズ差異を最小化するように、前記長露光時間を変更するステップを含み得る。
【0249】
(A11)(A10)に記載の前記自動露出方法において、前記長露光時間を変更するステップは、(1)前記長露光時間を初期値に設定しかつ前記短露光時間を最小値に設定するステップと、(2)以下の少なくとも1つの反復を行うステップとを含み得る:(a)前記取得するステップ、前処理するステップ、および合成するステップを行うことにより、仮のHDRヒストグラムを生成するステップ、(b)前記仮のHDRヒストグラムから、前記長露光時間の目標値を推定するステップ、(c)前記目標値を中心とする範囲における前記長露光時間の複数の値について、前記長露光時間から得られるであろう前記ノイズ差異を示す複数のパラメータのそれぞれを算出するステップ、(d)前記パラメータの前記値から、前記ノイズ差異の前記値のうち最小のものに対応付けられた前記ビンと一致する前記遷移点に対応するに対応する前記長露光時間の修正値を推定するステップ、(e)前記長露光時間の前記修正値が前記長露光時間の前記初期値以上でないとき、前記長露光時間の前記初期値を前記長露光時間の前記修正値に更新して後続の反復へと続けるステップ、(f)前記長露光時間の前記修正値が前記長露光時間の前記初期値以上のとき、前記長露光時間の前記修正値を前記最適な長露光時間として出力するステップ。
【0250】
(A12)(A2)から(A11)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、前記RAW画像データ中における顔を検出するステップをさらに含んでいてもよく、かつ、前記調整するステップは、前記良好性メトリックに部分的に基づいて、かつ部分的に前記顔の露光を改善するように、前記長露光時間および前記短露光時間のセットを調整するステップを含み得る。
【0251】
(A13)(A2)から(A12)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記良好性メトリックは、前記HDRヒストグラムの上端および下端の一方または両方におけるクリッピングを表すメトリックをさらに含み得る。
【0252】
(A14)(A1)から(A13)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、(i)前記取得するステップにおいて、前記RAW画像データの一部として、前記SME HDRイメージセンサの、前記長露光時間より短くかつ前記短露光時間よりも長い中露光時間によって特徴付けられる画素からの中露光画素値をさらに取得するステップと、(ii)前記前処理するステップにおいて、前記中露光画素値をさらに前処理して、1つ以上の第2の品質要件を満たさないような中露光画素値を除外するステップと、(iii)前記合成するステップにおいて、前記前処理するステップの後に残った前記中露光画素値を前記HDRヒストグラムにさらに合成するステップと、(iv)前記調整するステップにおいて、前記中露光時間をさらに調整するステップと、(v)前記出力するステップにおいて、前記調整された中露光時間をさらに出力するステップと、を含み得る。
【0253】
(A15)(A1)から(A14)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記SME HDRイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり得、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有しており、かつ前記自動露出方法は、(A)前記色別の画素セットのうちそれぞれに対し別々に、前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、および導出するステップを行うステップと、(B)前記色別の画素セットに対し決定された各良好性メトリックをまとめて評価することにより、全色に適用可能な前記長露光時間および前記短露光時間の調整済みの1セットを生成するステップと、をさらに含み得る。
【0254】
(A16)(A1)から(A14)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記SME HDRイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり得、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有しており、かつ前記自動露出方法は、(1)前記取得するステップにおいて、前記色別の画素セットのうちそれぞれについて、それぞれの色別の長露光画素値およびそれぞれの色別の短露光画素値を取得するステップと、(2)前記前処理するステップよりも前に、異なる色に対応付けられた前記色別の長露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記長露光画素値を生成し、異なる色に対応付けられた前記色別の短露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記短露光画素値を生成するステップであって、前記長露光画素値および短露光画素値は輝度を表している、ステップと、をさらに含み得る。
【0255】
(A17)(A1)から(A16)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記前処理するステップは、前記長露光画素値および前記短露光画素値を互いに別々にフィルタリングするステップを含み得る。
【0256】
(A18)(A17)に記載の前記自動露出方法において、前記前処理するステップは、(1)前記フィルタリングするステップにおいて、(a)前記長露光画素値から飽和に関する閾値を超える長露光画素値を除外し、(b)前記短露光画素値からノイズに関する閾値未満の短露光画素値を除外するステップを含み得る。
【0257】
(A19)(A17)および(A18)に記載の前記自動露出方法において、前記前処理するステップは、前記フィルタリングするステップの後に残った前記長露光画素値と前記短露光画素値とを比較することにより、動き差異を評価し、閾値動き差異レベルを超える動き差異の影響を受ける短露光画素値および長露光値を前記SME HDRイメージセンサの空間領域から除外するステップをさらに含み得る。
【0258】
(A20)(A19)および(A5)に記載の前記自動露出方法において、前記ノイズの影響を除去するステップは、閾値動き差異レベルを超える動き差異の影響を受ける前記短露光画素値および前記長露光値を前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの前記空間領域から除外するステップの後に残っている、前記長露光画素値および前記短露光画素値に、別々に適用される。
【0259】
(A21)(A1)から(A20)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記合成するステップは、(1)(a)前記前処理するステップの後に残った前記長露光画素値の第1のヒストグラムと、(b)前記前処理するステップの後に残った前記短露光画素値の第2のヒストグラムとを、共通のスケールにスケーリングするステップと、(2)前記第2のヒストグラムから、前記共通のスケールにおいて、前記第1のヒストグラムの最上位ビンの中心値以下の中心値を有するような短露光画素値のビンを除外するステップと、(3)前記除外するステップの後、前記第1のヒストグラムと前記第2のヒストグラムとをマージすることにより、前記HDRヒストグラムを作成するステップと、を含み得る。
【0260】
(A22)(A1)から(A21)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記前処理するステップは、前記SME HDRイメージセンサと前記RAW画像データによって表されるシーンとの間にある光学的勾配フィルタの影響を補償するように、前記長露光画素値および前記短露光画素値をスケーリングするステップを含み得る。
【0261】
(A23)(A1)から(A22)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップの複数回の反復を行うことにより、前記良好性メトリックを最適化する前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定するステップを含み得る。
【0262】
(A24)(A23)に記載の前記自動露出方法において、後続の各反復は、最も直近の先行する反復において前記SME HDRイメージセンサに出力された前記長露光時間および前記短露光時間の調整済みのセットを用いて、前記SME HDRイメージセンサにより取得されたRAW画像データに基づいていてもよい。
【0263】
(A25)(A23)および(A24)に記載の前記自動露出方法のいずれかは、前記行うステップを前記SME HDRイメージセンサの複数の局所領域に対して別々に実行することにより、前記長露光時間および前記短露光時間の空間的に変化するセットを局所的に最適化するステップをさらに含み得る。
【0264】
(A26)(A23)から(A25)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、以下をさらに含み得る:(1)前記取得するステップにおいて、前記SME HDRイメージセンサによって記録されたRAW映像ストリームの1フレームから、前記RAW画像データを取得するステップ、(2)前記取得するステップ、前処理するステップ、合成するステップ、導出するステップ、調整するステップ、および出力するステップを前記RAW映像ストリームの複数のフレームの前記RAW画像データに対して実行することにより、前記SME HDRイメージセンサによる前記RAW映像ストリームのキャプチャ中において、長露光時間および短露光時間の最適なセットを調整するステップ、(3)前記RAW映像ストリームの各フレームについて、前記長露光画素値および前記短露光画素値からHDR画像を生成することにより、前記RAW映像ストリームからHDR映像ストリームを生成するステップ、(4)前記HDR映像ストリームを後処理することにより、映像シリーズ(video series)のキャプチャ中における前記長露光時間および前記短露光時間の前記最適なセットの調整により引き起こされた前記HDR映像ストリームの時間的明度不安定性を低減するステップ。
【0265】
(A27)(A26)に記載の前記自動露出方法において、前記後処理するステップは、各HDR画像を、(a)固定の基準感度の、(b)前記HDR画像に対応付けられた前記フレームのキャプチャ中において用いられた前記長露光時間および前記短露光時間における、前記SME HDRイメージセンサの感度に対する比、で乗算するステップを含み得る。
【0266】
(A28)(A23)から(A25)に記載の自動露出方法のうちいずれかは、(1)前記SME HDRイメージセンサによって記録されたフレームのRAW映像ストリームを得るステップと、(2)前記RAW映像ストリームの時間的明度変化を解析することにより、前記SME HDRイメージセンサによってキャプチャされるであろう後のフレームの明度を予測するステップと、(3)前記RAW映像ストリームの前記フレームのうち少なくともいくつかに対して前記反復を行うステップであって、前記反復のそれぞれはさらに、前記解析するステップにおいて予測された明度に基づいて、前記後のフレームについて最適なの前記長露光時間および前記短露光時間を最適なセットを操作するステップと、をさらに含み得る。
【0267】
(B1)SME HDRイメージセンサの自動露出のための製品は、非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令を備え得る。前記機械可読命令は、(I)プロセッサによって実行されたとき、前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するデータ入力命令であって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる画素からの短露光画素値とを含む、データ入力命令と、(II)前記プロセッサによって実行されたとき、長露光画素値および短露光画素値を前処理して、1つ以上の品質要件を満たさない長露光画素値および短露光画素値を除外する、前処理命令と、(III)前記プロセッサによって実行されたとき、(a)前記前処理命令の実行後に残った前記長露光画素値および(b)前記前処理命令の実行後に残った前記短露光画素値を、HDRヒストグラムとして合成する、合成命令と、(IV)前記プロセッサによって実行されたとき、前記HDRヒストグラムから良好性メトリックを導出するメトリック命令と、(V)前記プロセッサによって実行されたとき、前記良好性メトリックに少なくとも部分的に基づいて前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整する、調整命令と、(VI)前記プロセッサによって実行されたとき、前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を出力する、データ出力命令と、を含む。
【0268】
(B2)(B1)に記載の前記製品において、前記良好性メトリックは、前記HDRヒストグラムの総エントロピーに対する前記HDRヒストグラムの個々のビンの寄与の前記HDRヒストグラム全体にわたっての分散であってもよい。
【0269】
(B3)(B2)に記載の前記製品において、前記メトリック命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記HDRヒストグラムの個々のビンiからの前記寄与SiをSi = -pilog2(pi)として算出し、piは前記個々のビンiにおけるカウントであるように構成されていてもよい。
【0270】
(B4)(B3)に記載の前記製品において、前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記HDRヒストグラムからノイズの影響を除去するノイズ除去命令をさらに含んでいてもよく、前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記メトリック命令よりも前に前記ノイズ除去命令を実行するように前記プロセッサに命令するように構成されていてもよい。
【0271】
(B5)(B4)に記載の前記製品において、前記ノイズ除去命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記HDRヒストグラムをノイズモデルに従って逆畳み込みするように構成されていてもよい。
【0272】
(B6)(B5)に記載の前記製品の前記ノイズモデルにおいて、ノイズ分散の期待値は、画素値の線形関数でモデリングされ得る。
【0273】
(B7)(B2)から(B6)に記載の前記製品のいずれかにおいて、前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記データ入力命令、前記前処理命令、前記合成命令、前記メトリック命令、前記調整命令、および前記データ出力命令の複数回の反復を行うことにより、前記分散を最小化するような前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定し前記SME HDRイメージセンサに出力する反復命令をさらに含み得る。
【0274】
(B8)自動露出機能を備えたSME HDR撮像システムは、SME HDRイメージセンサと、プロセッサと、前記プロセッサが前記製品の前記機械可読命令を実行したとき、前記SME HDRイメージセンサの前記長露光時間および前記短露光時間を調整するための(B2)から(B7)に記載の前記製品のいずれかとを備え得、前記製品の前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、データ入力命令、前記前処理命令、前記合成命令、前記メトリック命令、前記調整命令、および前記データ出力命令の複数回の反復を行うことにより、前記良好性メトリックを最適化する前記長露光時間および前記短露光時間の最適なセットを決定し前記SME HDRイメージセンサに出力する反復命令をさらに含む。
【0275】
(B9)(B8)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり得、前記色別の画素セットのうちそれぞれは複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、かつ前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有する。前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、前記色別の画素セットのうちそれぞれに対し別々に、前記データ入力命令、前記前処理命令、前記合成命令、および前記メトリック命令を実行するように命令するように構成されていてもよく、かつ前記調整命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記色別の画素セットのうちそれぞれに対し決定された前記前記良好性メトリックをまとめて評価することにより、前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方を調整し、前記長露光時間および前記短露光時間の少なくとも一方は全色に適用可能なように構成されていてもよい。
【0276】
(B10)(B9)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサは、ジグザグHDRイメージセンサであってもよい。
【0277】
(B11)(B9)または(B10)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサはクアッドHDRイメージセンサであってもよく、かつ前記機械可読命令は、以下のように構成されていてもよい:(1)前記プロセッサによって実行されたとき、前記データ入力命令は、前記RAW画像データの一部として、前記SME HDRイメージセンサの、前記長露光時間より短くかつ前記短露光時間よりも長い中露光時間によって特徴付けられる画素からの中露光画素値をさらに取得し、(2)前記プロセッサによって実行されたとき、前記前処理命令は、前記中露光画素値をさらに前処理して、1つ以上の第2の品質要件を満たさないような中露光画素値を除外し、(3)前記プロセッサによって実行されたとき、前記合成命令は、前記前処理命令の実行後に残った前記中露光画素値を前記HDRヒストグラムにさらに合成し、(4)前記プロセッサによって実行されたとき、前記調整命令は、前記中露光時間をさらに調整し、(5)前記プロセッサによって実行されたとき、前記データ出力命令ステップは、調整された前記中露光をさらに出力する。
【0278】
(B12)(B8)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサは複数の色別の画素セットを有するカラーイメージセンサであり得、前記色別の画素セットのうちそれぞれは複数の色のうちのそれぞれの1つに対し固有に感度を有しており、かつ前記色別の画素セットのうちそれぞれは、前記長露光時間により特徴付けられる画素のサブセットおよび前記短露光時間により特徴付けられる画素のサブセットを有する。前記データ入力命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記色別の画素セットのうちそれぞれについて、それぞれの色別の長露光画素値およびそれぞれの色別の短露光画素値を取得するように構成されていてもよく、かつ前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記前処理命令の実行よりも前に、(a)異なる色に対応付けられた前記色別の長露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記長露光画素値を生成し、(b)異なる色に対応付けられた前記色別の短露光画素値のうち空間的に隣接するものを結合することにより、前記短露光画素値を生成する結合命令であって、前記長露光画素値および短露光画素値は輝度を表している結合命令をさらに含み得る。
【0279】
(B13)(B12)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサはジグザグHDRイメージセンサであってもよい。
【0280】
(B14)(B12)に記載の前記SME HDR撮像システムにおいて、前記SME HDRイメージセンサはクアッドHDRイメージセンサであってもよく、かつ前記機械可読命令は、以下のように構成されていてもよい:(1)前記プロセッサによって実行されたとき、前記データ入力命令は、前記RAW画像データの一部として、前記SME HDRイメージセンサの、前記長露光時間より短くかつ前記短露光時間よりも長い中露光時間によって特徴付けられる画素からの色別の中露光画素値をさらに取得し、(2)前記プロセッサによって実行されたとき、前記結合命令は、前記異なる色に対応付けられた前記色別の中露光画素値のうち空間的に隣接するものをさらに結合することによって、中露光画素値を生成し、前記中露光画素値は輝度を表し、(3)前記プロセッサによって実行されたとき、前記前処理命令は、前記中露光画素値をさらに前処理することにより、1つ以上の第2の品質要件を満たさないような中露光画素値を除外し、(4)前記プロセッサによって実行されたとき、前記合成命令は、前記前処理命令にしたがった前処理の後に残った前記中露光画素値を前記HDRヒストグラムにさらに合成し、(5)前記プロセッサによって実行されたとき、前記調整命令は、前記中露光時間をさらに調整し、(6)前記プロセッサによって実行されたとき、前記データ出力命令は、前記調整された中露光時間をさらに出力する。
【0281】
(B15)(B8)から(B14)に記載の前記SME HDR撮像システムのいずれかにおいて、前記反復命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記SME HDRイメージセンサの複数の局所領域に対して別々に前記反復を行うことにより、前記長露光時間および前記短露光時間の空間的に変化するセットを局所的に最適化するように構成されていてもよく、かつ前記SME HDRイメージセンサは、前記局所領域のそれぞれについて前記長露光時間および前記短露光時間を局所的に定義するための回路を備えていてもよい。
【0282】
(C1)イメージセンサの自動露出方法は、以下を含み得る:(I)前記イメージセンサの、各露光時間設定における複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の複数のヒストグラムのそれぞれについて、前記ヒストグラムの個々のビンから前記ヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散を評価することにより、前記分散の最小値に対応する、前記イメージセンサに対する最適な露光時間を決定するステップ、(II)前記最適な露光時間を前記イメージセンサに出力するステップ。
【0283】
(C2)(C1)に記載の前記自動露出方法において、前記評価するステップは、複数の異なる露光時間設定について、(a)前記露光時間設定のそれぞれの1つにおける前記イメージセンサの露光からの画素値のヒストグラムの1つのインスタンスを生成するステップおよび(b)前記ヒストグラムの前記インスタンスからの分散を計算するステップ、のそれぞれの複数回の反復を行うことを含み得る。
【0284】
(C3)(C2)に記載の前記自動露出方法において、前記計算するステップは、個々のビンiについて、前記寄与をSi = -pilog2(pi)として算出するステップを含んでいてもよく、piは前記個々のビンiにおけるカウントであってもよい。
【0285】
(C4)(C2)および(C3)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記反復のそれぞれは、前記計算するステップよりも前に、前記ヒストグラムの前記インスタンスからノイズの影響を除去するステップをさらに含み得る。
【0286】
(C5)(C4)に記載の前記自動露出方法において、前記ノイズの影響を除去するステップは、前記ヒストグラムの前記インスタンスをノイズモデルに従って逆畳み込みするステップを含み得る。
【0287】
(C6)(C1)から(C5)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記イメージセンサは、前記イメージセンサの全画素を同じ露光時間で露光するように構成されていてもよい。
【0288】
(C7)(C1)から(C6)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記イメージセンサは空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサであってもよく、かつ前記自動露出方法は、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの、それぞれの複数の異なる露光時間で動作するそれぞれの複数の画素サブセットと対応付けられた複数の露光時間別のヒストグラムから、前記ヒストグラムを合成するステップを含み得る。
【0289】
(C8)(C7)に記載の前記自動露出方法は、前記合成するステップよりも前に、前記露光時間別のヒストグラムのそれぞれからノイズの影響を除去するステップをさらに含み得る。
【0290】
(C9)(C8)に記載の前記自動露出方法において、前記ノイズの影響を除去するステップは、前記露光時間別のヒストグラムのそれぞれをノイズモデルに従って逆畳み込みするステップを含み得る。
【0291】
(D1)イメージセンサの自動露出のための製品は、非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令を備え得る。前記機械可読命令は、(I)プロセッサによって実行されたとき、前記イメージセンサから画素値を取得する、データ入力命令と、(II)プロセッサによって実行されたとき、前記イメージセンサの、各露光時間設定における複数の個々の露光のそれぞれからの画素値の複数のヒストグラムのそれぞれにわたって、前記ヒストグラムの個々のビンから前記ヒストグラムの総エントロピーへの寄与の分散を評価することにより、前記分散の最小値に対応する、前記イメージセンサに対する最適な露光時間を決定する、エントロピー分散最適化命令と、(III)前記プロセッサによって実行されたとき、前記最適な露光時間を前記イメージセンサに出力する、データ出力命令と、を含む。
【0292】
(D2)(D1)に記載の前記製品において、前記エントロピー分散最適化命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、複数の異なる露光時間設定について、(a)前記露光時間設定のそれぞれの1つにおける前記イメージセンサの露光からの画素値のヒストグラムの1つのインスタンスを生成するステップおよび(b)前記ヒストグラムの前記インスタンスからの分散を計算するステップ、のそれぞれの複数回の反復を行うように構成され得る。
【0293】
(D3)(D2)に記載の前記製品において、前記エントロピー分散最適化命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、個々のビンiについて、前記ビンの前記寄与をSi = -pilog2(pi)として算出するステップをさらに含んでいてもよく、piは前記個々のビンiにおけるカウントであってもよい。
【0294】
(D4)(D2)および(D3)に記載の前記製品のいずれかにおいて、前記エントロピー分散最適化命令は、前記プロセッサによって実行されたとき前記反復のそれぞれにおいて、前記分散を計算するステップよりも前に、前記ヒストグラムの前記インスタンスからノイズの影響を除去する、ノイズ除去命令をさらに含み得る。
【0295】
(D5)(D4)に記載の前記製品において、前記ノイズ除去命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記ヒストグラムの前記インスタンスをノイズモデルに従って逆畳み込みするように構成され得る。
【0296】
(D6)(D5)に記載の前記製品の前記ノイズモデルにおいて、ノイズ分散の期待値は、画素値の線形関数でモデリングされ得る。
【0297】
(D7)自動露出機能を備えた撮像システムは、イメージセンサと、プロセッサと、前記プロセッサが前記機械可読命令を実行したとき、前記イメージセンサに対する前記最適な露光時間を決定するための、(D1)から(D6)に記載の製品のいずれかと、を備え得る。
【0298】
(D8)(D7)に記載の前記撮像システムにおいて、前記イメージセンサは、前記イメージセンサの全画素を同じ露光時間で露光するように構成されていてもよい。
【0299】
(D9)(D7)および(D8)に記載の前記撮像システムのいずれかにおいて、前記イメージセンサは空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサであってもよく、かつ前記機械可読命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記空間的多重化露光ハイダイナミックレンジイメージセンサの、それぞれの複数の異なる露光時間で動作するそれぞれの複数の画素サブセットと対応付けられた複数の露光時間別のヒストグラムから、前記ヒストグラムを合成する、合成命令をさらに含み得る。
【0300】
(D10)(D9)に記載の前記撮像システムにおいて、前記エントロピー分散最適化命令は、前記プロセッサによって実行されたとき前記反復のそれぞれにおいて、前記合成命令の実行よりも前に、前記露光時間別のヒストグラムのそれぞれからノイズの影響を除去する、ノイズ除去命令を含み得る。
【0301】
(D11)(D10)に記載の前記撮像システムにおいて、前記ノイズ除去命令は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記露光時間別のヒストグラムのそれぞれをノイズモデルに従って逆畳み込みするように構成されていてもよい。
【0302】
(E1)SME HDRイメージセンサの自動露出方法は、以下を含み得る:(I)前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するステップであって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる長露光画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる短露光画素からの短露光画素値とを含むステップ、(II)前記SME-HDRイメージセンサの複数の空間領域のそれぞれについて、前記空間領域における選択された長露光画素の飽和度レベルを評価するステップ、(III)前記選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、(i)前記空間領域中の前記短露光画素のための減少した短露光時間および(ii)前記減少した短露光時間を補償する増加したデジタルゲイン値を決定するステップ、(IV)前記選択された長露光画素の前記長露光画素値が前記飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、前記減少した短露光時間および前記増加したデジタルゲイン値を、前記空間領域中の各短露光画素に出力するステップ。
【0303】
(E2)(E1)に記載の前記自動露出方法において、前記空間領域のそれぞれは、前記SME-HDRイメージセンサの画素の各分光感度クラスにつき1つの長露光画素および1つの対応付けられた短露光画素からなっていてもよい。
【0304】
(E3)(E1)に記載の前記自動露出方法において、前記空間領域のそれぞれは、前記SME-HDRイメージセンサの画素の各分光感度クラスにつき複数の前記長露光画素および複数の前記短露光画素を含んでいてもよい。
【0305】
(E4)(E1)から(E3)に記載の前記自動露出方法のいずれかにおいて、前記空間領域は、前記SME-HDRイメージセンサのすべての長露光画素およびすべての短露光画素をまとめて含んでもよい。
【0306】
(F1)自動露出機能を備えたHDR撮像システムは、(I)複数の空間領域のそれぞれに対し別々に少なくとも1つの露光時間を調整するように構成された回路を備えた空間的多重化露光(SME)HDRイメージセンサと、(II)プロセッサと、(III)非一時的メモリ中にエンコードされた機械可読命令とを備え得る。前記機械可読命令は、(a)前記プロセッサによって実行されたとき、前記SME HDRイメージセンサの露光からRAW画像データを取得するデータ入力命令であって、前記RAW画像データは、前記SME HDRイメージセンサの、長露光時間によって特徴付けられる長露光画素からの長露光画素値と、前記SME HDRイメージセンサの、短露光時間によって特徴付けられる短露光画素からの短露光画素値とを含む、データ入力命令と、(b)前記プロセッサによって実行されたとき前記空間領域のそれぞれについて、前記空間領域における少なくとも1つの選択された長露光画素の飽和度レベルを評価する飽和度評価命令と、(c)前記プロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つの選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる前記空間領域のそれぞれについて、(i)前記空間領域中の各短露光画素のための減少した短露光時間および(ii)前記減少した短露光時間を補償する増加したデジタルゲイン値を決定する、調整命令と、(d)前記プロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つの選択された長露光画素の前記長露光画素値が飽和閾値を超えることによって特徴付けられる各空間領域について、前記減少した短露光時間および前記増加したデジタルゲイン値を前記空間領域中の各短露光画素に出力する、データ出力命令と、を含む。
【0307】
(F2)(F1)に記載の前記製品において、前記空間領域のそれぞれは、前記SME-HDRイメージセンサの画素の各分光感度クラスにつき1つの長露光画素および1つの対応付けられた短露光画素からなっていてもよい。
【0308】
(F3)(F1)に記載の前記製品において、前記空間領域のそれぞれは、前記SME-HDRイメージセンサの画素の各分光感度クラスにつき複数の前記長露光画素および複数の前記短露光画素を含んでいてもよい。
【0309】
(F4)(F1)から(F3)に記載の前記製品のいずれかにおいて、前記空間領域は、前記SME-HDRイメージセンサのすべての長露光画素およびすべての短露光画素をまとめて含んでもよい。
【0310】
本明細書の範囲から逸脱しない範囲で、上記のシステムおよび方法に変更を加え得る。従って、以上の明細書に含まれる内容および添付の図面に示される内容は、例示的であって限定的な意味ではないものと解釈されるべきであることに留意されたい。以下に続く請求項は、本明細書に記載の一般的および具体的な特徴、そして本システムおよび方法の範囲に関して表現的にその中間にあると見なし得るすべての記述をも、網羅するように意図されている。