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特許7151108情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20221004BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20221004BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23Q17/00 E
B23Q17/09 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018048384
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019160067
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】半田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小野 康宏
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087094(JP,A)
【文献】特開2001-079733(JP,A)
【文献】特開2014-172102(JP,A)
【文献】特開2013-012050(JP,A)
【文献】特開昭62-024945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091393(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B23Q 17/00
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理工程を含むサイクルを繰り返す対象装置の動作に応じて変化する物理量を検知する検知部から出力される検知情報を取得する第1の取得部と、
前記対象装置を動作させる区間を示す信号を前記対象装置から取得する第2の取得部と、
前記検知情報から前記検知情報の特徴を示す特徴情報を抽出する抽出部と、
前記信号から前記対象装置における前記処理工程ごとの処理区間を算出し、前記検知情報および前記特徴情報を前記処理工程ごとに区分けするデータ生成部と、
前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを出力させ、前記サイクルが異なる複数の処理区間を含む区間の前記信号、前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の検知情報、および前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の特徴情報の少なくともいずれかを出力させる出力制御部と、
前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを表示する表示部と、
前記表示部に表示された画面において、ユーザが任意のタイミングで表示データを記録できるデータ記録制御部と、を備え、
前記出力制御部は、
前記ユーザが記録した複数のデータを一覧で前記表示部に表示させ、前記一覧で表示された前記複数のデータから選択されたデータを出力させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理区間を含む区間は、処理開始時刻から処理終了時刻までの区間と、前記処理終了時刻後の所定区間と、を含む区間である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、
前記複数のデータを一覧で表示する一覧画面を経由して、前記表示部に表示された画面と、前記ユーザが任意のタイミングで記録した前記表示データと、前記サイクルが異なる複数の処理区間を含む区間の前記信号を表示する履歴情報画面との間で、前記表示部に表示を切り替えさせる、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、
前記サイクルが異なる前記複数の処理区間からそれぞれの処理時間を算出し、算出された複数の処理時間の統計値を算出する、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、
前記複数の処理時間の前記統計値を出力させる、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
対象装置から得られる情報を処理する情報処理装置で実行される情報処理方法であって
第1の取得部が、複数の処理工程を含むサイクルを繰り返す前記対象装置の動作に応じて変化する物理量を検知する検知部から出力される検知情報を取得する第1の取得ステップと、
第2の取得部が、前記対象装置を動作させる区間を示す信号を前記対象装置から取得する第2の取得ステップと、
抽出部が、前記検知情報から前記検知情報の特徴を示す特徴情報を抽出する抽出ステップと、
データ生成部が、前記信号から前記対象装置における前記処理工程ごとの処理区間を算出し、前記検知情報および前記特徴情報を前記処理工程ごとに区分けするデータ生成ステップと、
出力制御部が、前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを出力させ、前記サイクルが異なる複数の処理区間を含む区間の前記信号、前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の検知情報、および前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の特徴情報の少なくともいずれかを出力させる出力制御ステップと、
表示制御部が、前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを表示部に表示させる表示ステップと、
データ記録制御部が、前記表示部に表示された画面において、ユーザに任意のタイミングで表示データを記録させる記録ステップと、を有し、
前記出力制御ステップでは、
前記ユーザが記録した複数のデータを一覧で前記表示部に表示させ、前記一覧で表示した前記複数のデータから選択されたデータを出力させる、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の処理工程を含むサイクルを繰り返す対象装置の動作に応じて変化する物理量を検知する検知部から出力される検知情報を取得する第1の取得ステップと、
前記対象装置を動作させる区間を示す信号を前記対象装置から取得する第2の取得ステップと、
前記検知情報から前記検知情報の特徴を示す特徴情報を抽出する抽出ステップと、
前記信号から前記対象装置における前記処理工程ごとの処理区間を算出し、前記検知情報および前記特徴情報を前記処理工程ごとに区分けするデータ生成ステップと、
前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを出力させ、前記サイクルが異なる複数の処理区間を含む区間の前記信号、前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の検知情報、および前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の特徴情報の少なくともいずれかを出力させる出力制御ステップと、
前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを表示部に表示させる表示ステップと、
前記表示部に表示された画面において、ユーザに任意のタイミングで表示データを記録させる記録ステップと、を実行させ
前記出力制御ステップでは、
前記ユーザが記録した複数のデータを一覧で前記表示部に表示させ、前記一覧で表示させた前記複数のデータから選択されたデータを出力させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象物の処理を行う処理装置において、装置の異常等を検知するため、機械のモータの電流値の情報、振動、または力等の物理量を検知して出力する方法が既に知られている。
【0003】
このような物理量を検知して工具の異常等を判定する装置として、主軸の負荷等の機械情報の時系列データと加工装置のイベントデータとを同期させて出力させ、加工動作の異常を検出する装置が知られている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、機械情報のみで加工装置の状態を把握しており、多面的な評価を行うことができない。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、装置状態を表す種々の情報が比較でき、多面的な評価が可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の処理工程を含むサイクルを繰り返す対象装置の動作に応じて変化する物理量を検知する検知部から出力される検知情報を取得する第1の取得部と、前記対象装置を動作させる区間を示す信号を前記対象装置から取得する第2の取得部と、前記検知情報から前記検知情報の特徴を示す特徴情報を抽出する抽出部と、前記信号から前記対象装置における前記処理工程ごとの処理区間を算出し、前記検知情報および前記特徴情報を前記処理工程ごとに区分けするデータ生成部と、前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを出力させ、前記サイクルが異なる複数の処理区間を含む区間の前記信号、前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の検知情報、および前記複数の処理区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の特徴情報の少なくともいずれかを出力させる出力制御部と、前記処理区間を含む区間の前記信号、前記処理区間を含む区間に対応する検知情報、および前記処理区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを表示する表示部と、前記表示部に表示された画面において、ユーザが任意のタイミングで表示データを記録できるデータ記録制御部と、を備え、前記出力制御部は、前記ユーザが記録した複数のデータを一覧で前記表示部に表示させ、前記一覧で表示された前記複数のデータから選択されたデータを出力させる
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置状態を表す種々の情報が比較でき、多面的な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる診断システムの全体構成の一例を機能ブロックで示す図である。
図2図2は、実施形態にかかる加工機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態にかかる診断装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態にかかる加工機の検知情報およびラダー信号の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態にかかる診断装置が検知情報から抽出した特徴情報を周波数成分で模式的に例示する図である。
図6図6は、実施形態にかかる診断装置が表示させるデータ情報画面の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態にかかる診断装置が表示させるデータ情報画面の他の例を示す図である。
図8図8は、実施形態にかかる診断装置が表示させる一覧画面の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態にかかる診断装置が呼び出したキャプチャ画面の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態にかかる診断装置が表示させる履歴情報画面の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態にかかる診断装置のデータ加工処理の手順の一例を示すフロー図である。
図12図12は、実施形態にかかる診断装置のデータ表示処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図1図12を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(診断システムの全体構成)
図1は、実施形態にかかる診断システム1の全体構成の一例を機能ブロックで示す図である。診断システム1が備える情報処理装置としての診断装置100は、複数の処理工程としての加工工程を含むサイクルを繰り返す対象装置としての加工機200の動作に応じて変化する物理量を検知する検知部225から出力される検知情報を取得する第1の取得部としての検知情報受信部112と、加工機200を動作させる区間を示す信号としてのラダー信号を加工機200から取得する第2の取得部としての加工情報取得部101と、検知情報から検知情報の特徴を示す特徴情報を抽出する抽出部としての特徴抽出部102aと、ラダー信号から加工機200における加工工程ごとの処理区間としての加工区間を算出し、検知情報および特徴情報を加工工程ごとに区分けするデータ生成部103aと、加工区間を含む区間のラダー信号、加工区間を含む区間に対応する検知情報、および加工区間を含む区間に対応する特徴情報の少なくともいずれかを出力させ、サイクルが異なる複数の加工区間を含む区間のラダー信号、複数の加工区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の検知情報、および複数の加工区間を含む区間にそれぞれ対応する複数の特徴情報の少なくともいずれかを出力させる出力制御部としての表示制御部104と、を備える。以下に、実施形態の診断システム1の詳細について説明する。
【0011】
図1に示すように、実施形態の診断システム1は、加工機200および加工機200に接続される診断装置100を備える。加工機200は、工具を用いて、加工対象に対して切削、研削または研磨等の加工を行う工作機械である。加工機200は、診断装置100による診断の対象となる対象装置の一例である。診断装置100は、加工機200に対して通信可能となるように接続され、加工機200の動作について異常の診断を行う装置である。
【0012】
加工機200は、数値制御部201と、通信制御部221と、駆動制御部223と、駆動部224と、検知部225と、を有する。
【0013】
数値制御部201は、駆動部224による加工を数値制御(NC:Numerical Control)により実行する機能部である。例えば、数値制御部201は、駆動部224の動作を制御する数値制御データを生成して出力する。また、数値制御部201は、工具を駆動させる駆動部224の動作状態を示すコンテキスト情報(加工情報)として、例えば、工具の加工対象に対する送り動作から実際の加工処理が終了するまでの区間(切削送り区間)を示すON/OFF信号であるラダー信号を通信制御部221に出力する。コンテキスト情報とは、加工機200の動作の種類ごとに複数定められる情報である。コンテキスト情報は、上記のラダー信号のほか、例えば、加工機200の識別情報、駆動部224の識別情報(例えば、工具の識別情報等)、駆動部224に駆動される工具の径、および工具の材質等のコンフィギュレーション情報、ならびに、駆動部224の動作状態、駆動部224の使用開始からの累積使用時間、駆動部224に加わる負荷、駆動部224の回転数、駆動部224の加工速度等の加工条件の情報等を示す情報を含んでいてもよい。
【0014】
数値制御部201は、例えば、現在の加工機200の動作に対応するコンテキスト情報を、逐次、通信制御部221を介して診断装置100に送信する。数値制御部201は、加工対象を加工する際、加工の工程に応じて、駆動する駆動部224の種類、または駆動部224の駆動状態(回転数、回転速度等)を変更する。数値制御部201は、動作の種類を変更するごとに、変更した動作の種類に対応するコンテキスト情報を、通信制御部221を介して診断装置100に逐次送信する。
【0015】
通信制御部221は、診断装置100等の外部装置との間の通信を制御する機能部である。通信制御部221は、例えば、現在の動作に対応するコンテキスト情報を診断装置100に送信する。
【0016】
駆動制御部223は、数値制御部201により求められた数値制御データに基づいて、駆動部224を駆動制御する機能部である。
【0017】
駆動部224は、駆動制御部223による駆動制御の対象となる機能部である。駆動部224は、駆動制御部223による制御によって工具を駆動する。駆動部224は、駆動制御部223によって駆動制御されるアクチュエータ(モータ)等である。なお、駆動部224は、加工に用いられ、数値制御の対象となるものであればどのようなアクチュエータであってもよい。また、駆動部224は、2以上備えられていてもよい。
【0018】
検知部225は、加工機200で発生する物理量を検知し、検知した物理量の情報を検知情報(センサデータ)として診断装置100へ出力する機能部である。加工機200で発生する物理量としては、加工機200で発生する振動または音等である。このような振動または音等は、例えば、加工機200に設置された工具と加工対象とが加工動作中に接触することにより発生する。または、このような振動または音等は、工具もしくは加工機200自体により発せられる。検知部225の個数は任意である。例えば、同一の物理量を検知する複数の検知部225を備えてもよいし、相互に異なる物理量を検知する複数の検知部225を備えてもよい。例えば、加工に用いる工具である刃の折れ、および、刃のチッピング等が発生すると、加工時の振動や音が変化する。このため、検知部225で振動データや音響データを検知し、正常な振動や音を判断するモデル等を用いて判断することにより、加工機200の動作の異常が検知可能となる。
【0019】
情報処理装置としての診断装置100は、通信制御部111と、検知情報受信部112と、加工情報取得部101と、診断部102と、データ管理部103と、記憶部113と、入力部114と、表示制御部104と、表示部115と、を有する。
【0020】
通信制御部111は、加工機200との間の通信を制御する機能部である。例えば、通信制御部111は、加工機200の数値制御部201から、通信制御部221を介して、コンテキスト情報を受信する。
【0021】
第1取得部としての検知情報受信部112は、加工機200に設置された検知部225から検知情報を受信する機能部である。
【0022】
第2取得部としての加工情報取得部101は、加工機200から、通信制御部111により受信されたコンテキスト情報(加工情報)を取得する機能部である。
【0023】
診断部102は、特徴抽出部102a、モデル生成部102b、及び異常判定部102cを備え、加工機200の動作の異常等を判定する機能部である。
【0024】
抽出部としての特徴抽出部102aは、異常判定部102cによる判定等で用いる特徴情報を検知情報から抽出する機能部である。特徴情報は、検知情報の特徴を示す情報であればどのような情報であってもよい。
【0025】
モデル生成部102bは、加工が正常に行われたことの判定に用いられるモデルを生成する機能部である。モデルは、例えばコンテキスト情報ごとに生成される。なお、モデルを外部装置で生成する場合は、モデル生成部102bは備えられなくてもよい。
【0026】
異常判定部102cは、特徴抽出部102aにより抽出された特徴情報と、モデル生成部102bにより生成されたコンテキスト情報ごとのモデルと、を用いて、加工機200の動作が正常であるか否かを判定する機能部である。
【0027】
データ管理部103は、データ生成部103a及びキャプチャ制御部103b備え、検知情報、コンテキスト情報、および特徴情報等を加工して管理する機能部である。
【0028】
データ生成部103aは、コンテキスト情報から加工機200における処理工程としての加工工程ごとの加工区間を算出する。また、データ生成部103aは、検知情報受信部112により取得された検知情報や、特徴抽出部102aが抽出した特徴情報を加工工程ごとに区分けする。
【0029】
データ記録制御部としてのキャプチャ制御部103bは、表示制御部103cに接続される表示部115の表示データを任意のタイミングで記録することを可能にする機能部である。
【0030】
記憶部113は、検知情報受信部112により取得された検知情報をコンテキスト情報と関連付けて記憶する機能部である。また、記憶部113は、特徴抽出部102aにより抽出された特徴情報をコンテキスト情報と関連付けて記憶する。また、記憶部113は、モデル生成部102bにより生成されたモデルをコンテキスト情報と関連付けて記憶する。
【0031】
入力部114は、文字および数字等の入力、各種指示の選択、ならびにカーソルの移動等の操作を行う機能部である。
【0032】
出力制御部としての表示制御部104は、表示部115の表示動作を制御する機能部である。具体的には、表示制御部104は、例えば、異常判定部102cによる異常判定の結果等を、表示部115に表示させる。また、表示制御部104は、データ管理部103により加工されたデータ等を、表示部115に表示させる。表示部115は、表示制御部104による制御に従って各種情報を表示する機能部である。
【0033】
なお、診断装置100および加工機200それぞれの機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図1で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図1の1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成してもよい。
【0034】
また、加工機200と診断装置100とは、どのような接続形態で接続されてもよい。例えば、加工機200と診断装置100とは、専用の接続線、有線LAN(Local Area Network)等の有線ネットワーク、または、無線ネットワーク等により接続されていてもよい。
【0035】
また、図1には1台の加工機200が診断装置100に接続されている例が示されているが、これに限定されるものではなく、複数台の加工機200が診断装置100に対して、それぞれ通信可能となるように接続されていてもよい。
【0036】
(加工機のハードウェア構成)
次に、図2を用い、実施形態の加工機200のハードウェア構成例について説明する。図2は、実施形態にかかる加工機200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、加工機200は、CPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read Only Memory)20aと、RAM(Random Access Memory)20bと、通信I/F(インターフェース)21と、駆動制御回路23と、がバス2Bで通信可能に接続された構成となっている。
【0038】
CPU20は、加工機200の全体を制御する演算装置である。CPU20は、例えば、RAM20bをワークエリア(作業領域)としてROM20a等に格納されたプログラムを実行することで、加工機200全体の動作を制御し、加工機能を実現する。図1の数値制御部201は、例えば、CPU20で動作するプログラムによって実現される。
【0039】
通信I/F21は、診断装置100等の外部装置との通信に用いられるインターフェースである。通信I/F21は、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に対応したNIC(Network Interface Card)等である。図1の通信制御部221は、例えば、通信I/F21、およびCPU20で動作するプログラムによって実現される。
【0040】
駆動制御回路23は、モータ24の駆動を制御する回路である。モータ24は、加工に用いる工具24aを駆動する。工具24aには、ドリル、エンドミル、バイトチップ、砥石等、および、加工対象が載置され加工に合わせて移動されるテーブル等が含まれる。図1の駆動制御部223は、例えば、駆動制御回路23によって実現される。図1の駆動部224は、例えば、モータ24によって実現される。
【0041】
センサ25は、例えば、マイクデバイス、振動センサ、加速度センサ、またはAE(Acoustic Emission)センサ等で構成され、例えば、振動または音等が検出できる工具の近傍に設置される。センサ25が接続されたセンサアンプ25aは、診断装置100に通信可能に接続されている。センサ25およびセンサアンプ25aは、加工機200に予め備えられていてもよく、または、完成機械である加工機200に対して後から取り付けられてもよい。また、センサアンプ25aは、加工機200に設置されることに限定されるものではなく、診断装置100側に設置されていてもよい。図1の検知部225は、例えば、センサ25及びセンサアンプ25aによって実現される。
【0042】
なお、図2に示したハードウェア構成は一例であり、加工機200がすべての構成機器を備えている必要はなく、また、他の構成機器を備えていてもよい。例えば、図1に示す数値制御部201および通信制御部221は、図2に示すCPU20にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよく、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよく、または、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0043】
(診断装置のハードウェア構成)
次に、図3を用い、実施形態の診断装置100のハードウェア構成例について説明する。図3は、実施形態にかかる診断装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0044】
図3に示すように、診断装置100は、CPU10と、ROM10aと、RAM10bと、通信I/F11と、センサI/F12と、補助記憶装置13と、入力装置14と、ディスプレイ15と、がバス1Bで通信可能に接続された構成となっている。
【0045】
CPU10は、診断装置100の全体を制御する演算装置である。CPU10は、例えば、RAM10bをワークエリア(作業領域)としてROM10a等に格納されたプログラムを実行することで、診断装置100全体の動作を制御し、診断機能を実現する。図1の加工情報取得部101、診断部102、データ管理部103、および表示制御部104は、例えば、CPU10で動作するプログラムによって実現される。
【0046】
通信I/F11は、加工機200等の外部装置との通信に用いられるインターフェースである。通信I/F11は、例えば、TCP/IPに対応したNIC等である。図1の通信制御部111は、例えば、図3に示す通信I/F11、およびCPU10で動作するプログラムによって実現される。
【0047】
センサI/F12は、加工機200に設置されたセンサ25からセンサアンプ25aを介して検知情報を受信するインターフェースである。図1の検知情報受信部112は、例えば、センサI/F12、およびCPU10で動作するプログラムによって実現される。
【0048】
補助記憶装置13は、診断装置100の設定情報、加工機200から受信された検知情報およびコンテキスト情報、OS(Operating System)、およびアプリケーションプログラム等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性の記憶装置である。なお、補助記憶装置13は、診断装置100が備えるものとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、診断装置100の外部に設置された記憶装置であってもよく、または、診断装置100とデータ通信可能なサーバ装置が備えた記憶装置であってもよい。図1の記憶部113は、例えば、RAM10bおよび補助記憶装置13等によって実現される。
【0049】
入力装置14は、文字および数字等の入力、各種指示の選択、ならびにカーソルの移動等の操作を行うマウスまたはキーボード等の入力装置である。図1の入力部114は、例えば、入力装置14によって実現される。
【0050】
ディスプレイ15は、文字、数字、および各種画面および操作用アイコン等を表示するCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。図1の表示部115は、例えば、ディスプレイ15によって実現される。
【0051】
なお、図3に示したハードウェア構成は一例であり、診断装置100がすべての構成機器を備えている必要はなく、また、他の構成機器を備えていてもよい。例えば、図1に示した診断装置100の各機能部(加工情報取得部101、診断部102、データ管理部103、および表示制御部104)は、CPU10にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよく、IC等のハードウェアにより実現してもよく、または、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。また、診断装置100が加工機200の診断動作に特化し、診断結果を外部のサーバ装置等に送信する場合、入力装置14およびディスプレイ15は備えられていない構成としてもよい。
【0052】
(データ管理部の動作例)
次に、図4および図5を用い、データ管理部103の動作例について説明する。
【0053】
所定の加工品を複数製作する場合などに、加工機200では複数の加工工程を含むサイクルが繰り返し行われることがある。データ管理部103のデータ生成部103aは、コンテキスト情報に含まれるラダー信号等から、加工工程ごとの加工区間等を算出する。
【0054】
図4は、実施形態にかかる加工機200の検知情報およびラダー信号の一例を示す図である。図4に示すように、センサデータ(検知情報)には、非切削区間を示す波形部分、および切削区間を示す波形部分が含まれる。非切削区間は、工具が加工対象に接触する前後の区間である。切削区間は、工具が加工対象に接触して切削処理を行っている区間である。
【0055】
一方、加工機200は、例えば、工具による加工動作の開始時にラダー信号をONにし、工具を加工対象まで送り動作をさせ、実際の加工処理が終了したときにラダー信号をOFFとする。この場合、加工機200は、工具が加工対象に接触してからラダー信号をONさせているわけではない。このため、図4の、ラダー信号がON状態となっている区間である加工区間には、工具が加工対象に接触していない区間である非切削区間と、工具が加工対象に接触して切削処理を行っている切削区間とが含まれることになる。
【0056】
データ生成部103aは、各々の加工工程について、非切削区間を含む加工区間と、実際に切削処理を行っている切削区間とを割り出し、それぞれ加工時間と切削時間とを算出する。データ生成部103aは、上記のラダー信号がONとなっている区間を加工区間として割り出し、加工時間を算出する。切削区間を割り出すにあたっては、データ生成部103aは、診断部102の特徴抽出部102aにより抽出された特徴量を参照する。
【0057】
特徴抽出部102aは、例えば、検知情報が振動センサやマイクデバイスにより収集された周波数データである場合、エネルギー、周波数スペクトル、および、MFCC(メル周波数ケプストラム係数)等を特徴情報として抽出する。本実施形態では、抽出される特徴情報は、周波数スペクトルであるものとして説明する。
【0058】
図5は、実施形態にかかる診断装置100が検知情報から抽出した特徴情報を周波数成分で模式的に例示する図である。図5に示す区間は、加工区間を1つ含む。つまり、図5の区間には、切削区間が1つ含まれる。
【0059】
特徴抽出部102aは、例えば、検知情報に対してフレームごとにフーリエ変換を行うことによって特徴情報を抽出する。ここで、フレームとは、検知情報の所定時間(例えば、20[ms]、40[ms]等)のデータ量を示し、例えば、特徴情報が、検知情報に対してフーリエ変換されることにより得られる周波数スペクトルである場合の窓長のデータ量に相当する。図5に示す特徴情報は、対応する検知情報のフレームの時間に関連付けられている。切削区間の周波数スペクトルは、非切削区間の周波数スペクトルと相違する特徴を有する。これらの周波数スペクトルの相違から、データ生成部103aは、切削区間を割り出し、切削時間を算出する。
【0060】
ただし、図5では、非切削区間の特徴情報と切削区間の特徴情報との違いを模式的に示すため、非切削区間において周波数成分が図示されていない。このことは、非切削区間に周波数成分が存在しないことを示すわけではない。
【0061】
このように割り出された加工区間および切削区間は、複数の加工工程を含むサイクルにおける一加工工程に相当する。データ生成部103aは、サイクルに含まれる複数の加工工程それぞれについて、加工区間および切削区間を割り出し、それらの時間を算出する。また、データ生成部103aは、加工情報取得部101が取得したラダー信号、検知情報受信部112が受信した検知情報、および特徴抽出部102aが抽出した特徴情報を、これらの加工工程ごとに区分けする。
【0062】
区分けされた検知情報および特徴情報は、対応する加工区間のラダー信号と関連付けられて記憶部113に記憶される。加工機200が上記加工のサイクルを繰り返すにつれ、これらの検知情報および特徴情報が、記憶部113に蓄積されていく。
【0063】
(データ管理部および表示制御部の動作例)
次に、図6図10を用い、データ管理部103および表示制御部104の動作例について説明する。以下の説明において、診断装置100のユーザによる画面操作は、例えば、診断装置100の入力部114から行われる。または、診断装置の表示部115がタッチパネル方式となっていて、ユーザが表示部115に触れることで画面操作が行われてもよい。
【0064】
表示制御部104は、加工工程ごとに区分けされた検知情報、特徴情報、およびラダー信号の少なくともいずれかを、表示部115に表示させる。
【0065】
図6は、実施形態にかかる診断装置100が表示させるデータ情報画面300の一例を示す図である。図6の例においては、表示制御部104は、検知情報、特徴情報、およびラダー信号の全てをデータ情報画面300として表示させている。
【0066】
データ情報画面300は、ある加工工程において取得された、検知情報、特徴情報、およびラダー信号の時系列データのうち、少なくとも1種のデータを含む。それぞれのデータの表示区間は、加工区間および加工区間前後の所定長さの区間である。つまり、それぞれのデータの表示区間は、ラダー信号がONされる加工開始時刻から、ラダー信号がOFFされる加工終了時刻までの区間と、加工開始時刻前の所定区間および加工終了時刻後の所定区間である。
【0067】
これらのデータから、診断装置100のユーザは様々な情報が得られる。例えば、ラダー信号からは、加工開始時刻が3.00秒であり、加工終了時刻が4.50秒であることがわかる。検知情報からは、加工状態の概要を知ることができる。ラダー信号により示される加工区間内において、検知情報の波形が大きくなっている区間があることから、この区間が実際に切削処理がなされた切削区間であり、一見すると切削処理は問題なく行われたように見受けられる。特徴情報からは、加工状態の詳細や特徴を知ることができる。特徴情報によれば、一部区間で中低域の周波数成分が強く出ていることがわかる。このことから、検知情報からはわからなかった、通常とは違う現象が起きている可能性が示唆される。
【0068】
データ情報画面300は、また、キャプチャボタン301と、キャプチャ選択ボタン302とを含む。キャプチャボタン301は、現在表示されている画面をユーザがキャプチャするときに用いるボタンである。キャプチャ選択ボタン302は、現在表示されている画面に、以前にキャプチャされた画面を呼び出すときに用いるボタンである。
【0069】
キャプチャ制御部103bは、ユーザによってキャプチャボタン301が押下されると、現在表示中の画面を、その画面に表示されるデータと対応するコンテキスト情報に関連付けて記憶部113に記憶させる。ここで、ユーザによりキャプチャボタン301が押下され、現在表示中の画面がキャプチャされたものとする。
【0070】
図7は、実施形態にかかる診断装置100が表示させるデータ情報画面300の他の例を示す図である。キャプチャ制御部103bは、この画面において、ユーザによってキャプチャ選択ボタン302が押下されると、表示制御部104を介して図7に示す一覧画面400を表示部115に表示させる。
【0071】
図8は、実施形態にかかる診断装置100が表示させる一覧画面400の一例を示す図である。図7に示すように、一覧画面400は、これまでにキャプチャされたデータの一覧表を含む。かかる一覧表には、加工区間を示す切削送りの開始時刻、加工工程を示すシーケンス番号、サイクルの番号、用いられた工具の種類を示すホルダ番号等を含む。これらの情報から、ユーザは、以前にキャプチャされたデータを選択することができる。すなわち、一覧画面400に含まれる選択ボタン401が押下されると、例えば、先ほどキャプチャされたデータが呼び出される。一覧画面400に含まれるキャンセルボタン402が押下されると、データの呼び出しはキャンセルされ、図7の画面に戻る。
【0072】
図9は、実施形態にかかる診断装置100が呼び出したキャプチャ画面500の一例を示す図である。図9に示すように、図7の画面から一連の操作が行われることで、先ほどキャプチャされたデータのキャプチャ画面500が呼び出される。キャプチャ画面500にもキャプチャ選択ボタン302が含まれ、さらに別のデータを呼び出すこともできる。
【0073】
また、表示制御部104は、異なるサイクルの複数の検知情報、複数の特徴情報、および複数のラダー信号の少なくともいずれかを、表示部115に表示させる。
【0074】
図10は、実施形態にかかる診断装置100が表示させる履歴情報画面600の一例を示す図である。図10の例においては、表示制御部104は、ラダー信号について、サイクル99~101までの3つのデータを履歴情報画面600として表示させている。
【0075】
履歴情報画面600は、ある加工工程の複数サイクルにおいて取得された、検知情報、特徴情報、およびラダー信号の時系列データのうち、少なくとも1種のデータを含む。それぞれのデータの表示区間は、加工区間および加工区間前後の所定長さの区間である。ラダー信号の時系列データを表示する図10の例においては、また、ラダー信号に関連するデータ、つまり、加工時間を示す切削送り時間の平均値ならびに標準偏差、および切削時間の平均値ならびに標準偏差が表示されている。これらの統計値は、データ生成部103aにより算出される。
【0076】
ユーザは、加工工程を示すシーケンス番号や、表示させたいサイクルの番号等を指定して、履歴情報画面600を表示させることができる。これらのデータから、ユーザは様々な情報が得られる。例えば、図10の例においては、切削時間の標準偏差が7.2となっており、切削時間にばらつきが生じていることがわかる。実際、サイクル101のデータを見ると、他のデータに比べて切削時間が短い。このことは、サイクル101の加工において、加工対象の固定が不充分であったことを示唆している。固定が不充分であると、加工中の振動等により加工対象が移動してしまう。加工対象が移動すると工具が加工対象に接触せず、加工途中であるにも関わらず、加工が終了したものと判定されてしまう場合がある。これにより、切削時間が短くなってしまう。
【0077】
(診断装置の情報処理の例)
次に、図11および図12を用い、診断装置100による情報処理の例について説明する。診断装置100による情報処理には、診断装置100によるデータ加工処理と、診断装置100によるデータ表示処理と、が含まれる。図11は、実施形態にかかる診断装置100のデータ加工処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0078】
図11に示すように、ステップS101において、加工情報取得部101は、加工機200からコンテキスト情報を取得する。ステップS102において、検知情報受信部112は、検知部225から検知情報を受信する。
【0079】
ステップS103において、特徴抽出部102aは、受信された検知情報から特徴情報を抽出する。
【0080】
ステップS104において、データ生成部103aは、取得されたコンテキスト情報から、加工区間および切削区間を算出する。ステップS105において、データ生成部103aは、算出した加工区間および切削区間のそれぞれの時間を算出する。ステップS106において、データ生成部103aは、算出した加工区間に基づき、検知情報、特徴情報、およびラダー信号を加工工程ごとに区分けする。
【0081】
ステップS104において、加工工程ごとに区分けされた検知情報および特徴情報は、対応する加工区間のラダー信号と関連付けられて記憶部113に記憶される。
【0082】
以上により、診断装置100によるデータ加工処理が終了する。
【0083】
次に、図12を用い、診断装置100によるデータ表示処理の例について説明する。図12は、実施形態にかかる診断装置100のデータ表示処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0084】
図12に示すように、ステップS201において、任意の画面において、データ情報画面300または履歴情報画面600のいずれかの画面表示が選択される。履歴情報画面600の画面表示が選択された場合は、ステップS202bにおいて、診断装置100の表示制御部104は、表示部115に履歴情報画面600を表示させる。
【0085】
データ情報画面300の画面表示が選択された場合は、ステップS202aにおいて、表示制御部104は、表示部115にデータ情報画面300を表示させる。
【0086】
ステップS203において、キャプチャ制御部103bは、キャプチャボタン301またはキャプチャ選択ボタン302が押下されたか否かを判定する。キャプチャボタン301が押下された場合は、ステップS203aにおいて、キャプチャ制御部103bは、かかるデータ情報画面300のデータを、対応するコンテキスト情報に関連付けて記憶部113に記憶させる。
【0087】
キャプチャ選択ボタン302が押下された場合は、ステップS204において、表示制御部104は、一覧画面400を表示部115に表示させる。ステップS205において、表示制御部104は、選択ボタン401が押下されたか否かを判定する。選択ボタン401が押下された場合は、ステップS206において、表示制御部104は、キャプチャ画面500を表示部115に表示させる。
【0088】
以上により、診断装置100によるデータ表示処理が終了する。
【0089】
例えば、特許文献1の情報取得装置においては、主軸負荷等の機械情報の時系列データと、プログラム名、工具番号およびオペレータ操作によるオーバーライド値等の装置のイベントデータとを対応させて出力させる。これにより、加工動作の異常を検出している。しかしながら、機械情報のみで加工装置の状態を把握するだけでは、多面的で充分な評価が行えない。
【0090】
実施形態の診断装置100においては、データ生成部103aにより、検知情報、特徴情報、およびラダー信号が加工工程ごとに区分けされ、表示制御部104により、これらのデータが表示される。このように、種々のデータを比較することで、ユーザは、多面的に加工機200の状態を把握し、評価することができる。
【0091】
実施形態の診断装置100においては、データ生成部103aにより加工されたデータが記憶部113に蓄積され、表示制御部104により、履歴情報画面600として表示される。これにより、ユーザは、サイクルの異なるデータを表示して比較することができ、加工機200の経時変化等を把握し、評価することができる。
【0092】
実施形態の診断装置100においては、履歴情報画面600で平均値や標準偏差等の統計データが表示される。これにより、ユーザは、より多面的に、かつ、定量的な評価を行うことが可能となる。
【0093】
実施形態の診断装置100においては、キャプチャ制御部103bにより、任意のタイミングでデータを保存し、後にかかるデータを参照することができる。これにより、ユーザは、必要なときにデータを参照して、情報を得ることが容易となる。加工機200の異常の発端となるような小さな変化等にも気づきやすくなる。
【0094】
実施形態の診断装置100においては、表示制御部104により表示される時系列データは、加工区間前後の区間を含んで表示される。これにより、加工対象に対する工具のあたり具合や、加工対象から工具が離脱するときの状態を把握しやすくなる。
【0095】
(変形例)
上述の実施形態では、診断装置100の表示制御部104が表示部115に各種データを表示させるものとしたが、データの出力手法はこれに限られない。診断装置100に接続されるプリンタ等に、各種データがプリントアウトされるようにしてもよい。
【0096】
上述の実施形態では、検知情報は、例えば、振動データまたは音響データ等であるとしたが、モータの電流値、負荷、トルク等、他のデータであっても検知情報として用いることができる。
【0097】
上述の実施形態では、診断対象の装置を例えば加工機200であるとしたが、組立機、測定機、検査機、または洗浄機等の機械が対象装置であってもよい。
【0098】
なお、上述の実施形態および各変形例の診断システムで実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供するように構成してもよい。
【0099】
また、上述の実施形態および各変形例の診断システムで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0100】
また、上述の実施形態および各変形例の診断システムで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および各変形例の診断システムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0101】
また、上述の実施形態および各変形例の診断システムで実行されるプログラムは、上述した各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)がROMからプログラムを読み出して実行することにより上述の各機能部が主記憶装置上にロードされ、各機能部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0102】
1 診断システム
1B バス
10 CPU
10a ROM
10b RAM
11 通信I/F
12 センサI/F
13 補助記憶装置
14 入力装置
15 ディスプレイ
2B バス
20 CPU
20a ROM
20b RAM
21 通信I/F
23 駆動制御回路
24 モータ
24a 工具
25 センサ
25a センサアンプ
100 診断装置
111 通信制御部
112 検知情報受信部
101 加工情報取得部
102 診断部
102a 特徴抽出部
103 データ管理部
103a データ生成部
103b キャプチャ制御部
104 表示制御部
113 記憶部
114 入力部
115 表示部
200 加工機
201 数値制御部
221 通信制御部
223 駆動制御部
224 駆動部
225 検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【文献】特開2017-033346号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12