(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成ユニットおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20221004BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H04N1/60 300
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2018129379
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】牧野 洋二
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098928(JP,A)
【文献】特開2011-087285(JP,A)
【文献】特開2007-264364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/60
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基本色で構成される入力画像から、前記基本色を混色することによって印刷媒体上にカラー画像を形成する画像形成装置であって、
前記印刷媒体上に形成された前記カラー画像の少なくとも一部の画像領域から色を測定して測色値を取得する測色部と、
前記画像領域を複数に区切られた分割領域毎、かつ、複数の階調種類に分けられた階調領域範囲別の測色値と、前記入力画像の画素値と、前記測色部の測色についての目標値とに基づいて、前記分割領域毎で、かつ、前記階調領域範囲別に第1モードパラメータを算出し、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の濃度変動において周期が逆位相となる距離であって該濃度変動の周期成分を相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した第2モードパラメータを算出し、前記第2モードパラメータに基づいて、前記基本色ごとの階調補正値を生成する生成部と、
前記階調補正値に基づいて、前記各基本色の階調特性を補正する補正部と、
を備え
、
前記生成部は、前記測色部がいずれかの前記階調領域範囲で前記測色値を取得できなかった場合、前記測色部が前記測色値を取得できた前記階調領域範囲の該測色値と、過去の直近に前記測色部により取得された未取得対象の前記階調領域範囲の前記測色値との関係性から推定した現在の前記階調領域範囲の前記第1モードパラメータを用いて、前記第2モードパラメータを求める画像形成装置。
【請求項2】
前記分割領域は、前記画像領域が副走査方向に複数に区切られた領域である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の濃度変動において周期が逆位相となる距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した前記第2モードパラメータを算出する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記生成部は、2以上の前記印刷媒体上における前記各画像領域において複数に区切られた前記分割領域毎、かつ、複数の階調種類に分けられた前記階調領域範囲別の前記測色値と、前記入力画像の前記画素値と、前記測色部の測色についての前記目標値とに基づいて、前記分割領域毎で、かつ、前記階調領域範囲別に前記第1モードパラメータを算出する請求項1~
3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記生成部は、
2以上の前記印刷媒体上における前記各画像領域において複数に区切られた前記分割領域毎、かつ、前記階調領域範囲別に算出された前記第1モードパラメータから、前記画像領域の濃度変動の周期成分を相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士が得られない場合、前記印刷媒体のうち最初の印刷媒体についての前記第1モードパラメータを破棄して、前記2以上の前記印刷媒体の次の印刷媒体についての前記第1モードパラメータを算出して、
前記2以上の前記印刷媒体のうち前記最初の印刷媒体を除いたもの、および前記次の印刷媒体について算出された前記第1モードパラメータから前記第2モードパラメータを算出する請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の前記濃度変動の2種以上の周期成分において、それぞれ相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した第2モードパラメータを算出する請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記測色部は、前記画像領域から色を読み取る画像読取部から得られた前記測色値を取得し、
前記画像読取部の読取り誤差を用いて、前記入力画像の画素値に基づく情報を補正して前記目標値を求める測色予測部を、さらに備えた請求項1~
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の基本色で構成される入力画像から、前記基本色を混色することによって印刷媒体上にカラー画像を形成する画像形成ユニットであって、
前記印刷媒体上に形成された前記カラー画像の少なくとも一部の画像領域から色を測定して測色値を取得する測色部と、
前記画像領域を複数に区切られた分割領域毎、かつ、複数の階調種類に分けられた階調領域範囲別の測色値と、前記入力画像の画素値と、前記測色部の測色についての目標値とに基づいて、前記分割領域毎で、かつ、前記階調領域範囲別に第1モードパラメータを算出し、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の濃度変動において周期が逆位相となる距離であって該濃度変動の周期成分を相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した第2モードパラメータを算出し、前記第2モードパラメータに基づいて、前記基本色ごとの階調補正値を生成する生成部と、
前記階調補正値に基づいて、前記各基本色の階調特性を補正する補正部と、
を備え
、
前記生成部は、前記測色部がいずれかの前記階調領域範囲で前記測色値を取得できなかった場合、前記測色部が前記測色値を取得できた前記階調領域範囲の該測色値と、過去の直近に前記測色部により取得された未取得対象の前記階調領域範囲の前記測色値との関係性から推定した現在の前記階調領域範囲の前記第1モードパラメータを用いて、前記第2モードパラメータを求める画像形成ユニット。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の基本色で構成される入力画像から、前記基本色を混色することによって印刷媒体上に形成されたカラー画像の少なくとも一部の画像領域から色を測定して測色値を取得する測色ステップと、
前記画像領域を複数に区切られた分割領域毎、かつ、複数の階調種類に分けられた階調領域範囲別の測色値と、前記入力画像の画素値と、前記測色ステップでの測色についての目標値とに基づいて、前記分割領域毎で、かつ、前記階調領域範囲別に第1モードパラメータを算出し、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の濃度変動において周期が逆位相となる距離であって該濃度変動の周期成分を相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した第2モードパラメータを算出し、前記第2モードパラメータに基づいて、前記基本色ごとの階調補正値を生成する生成ステップと、
前記階調補正値に基づいて、前記各基本色の階調特性を補正する補正ステップと、
を実行させ
、
前記生成ステップでは、前記測色ステップでいずれかの前記階調領域範囲で前記測色値を取得できなかった場合、前記測色ステップで前記測色値を取得できた前記階調領域範囲の該測色値と、過去の直近に前記測色ステップで取得した未取得対象の前記階調領域範囲の前記測色値との関係性から推定した現在の前記階調領域範囲の前記第1モードパラメータを用いて、前記第2モードパラメータを求めるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成ユニットおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大量印刷を前提とした電子写真方式およびインクジェット方式等のデジタル印刷装置では、数百枚、数千枚といった連続出力における出力色の安定性が求められる。特に、チラシおよびカタログ類等のように、数ページ毎に、若干のコンテンツが差し替えられた程度の同種原稿が反復されるようなユースケース、ならびに、複数拠点で分散印刷されるようなユースケースでは再現色の安定管理が重要となる。しかし、本格的な商用印刷とは異なり、これらのデジタル印刷機が利用される動作環境は、必ずしも厳密には管理されない場合が多く、多様な原稿種の混合印刷により、トナーまたはインキの供給量、およびマシンコンディションが刻々と変化するといった回避不能な不安定要因も多く存在する。このため、出力色をある程度厳密に安定管理することが求められる場合には、度々機械を停止して、キャリブレーションを行うことが必要となる。しかし、このようなキャリブレーション動作が度々行なわれると、損紙の発生、ジョブの停止、および、作業工数の増大といった問題が生じる。
【0003】
このような問題に対して、予め基本色毎に用意された階調特性に対する複数の変化モードデータに基づいて推定される階調特性変化によって、少ないサンプルデータ、および色の階調に偏りのあるデータであっても、色の変化を測定する際に重畳されるノイズ、およびページ内濃度ばらつきの影響による過剰適合を抑制し、安定した階調特性変化の推定を可能とする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、予め基本色毎に用意され、階調領域毎の変化特性に合わせた複数の変化モードデータに基づき、典型的な階調特性変化を的確に近似することで、少ないサンプルでも色再現に必要な全階調領域をカバーする階調パラメータを求める技術が開示されている(例えば、特許文献2)。また、この技術では、原稿データに測色可能なデータが不足している場合には、中間転写ベルト上に形成した測色パッチの反射特性に対応付けられた階調補正量を併用することで階調特性変動の補正を精度よく行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、印刷領域内の色を測色する際、測定に適した微小測色領域が、副走査方向の領域に偏っていた場合等、印刷領域全体で満遍なく測色できないようなとき、ページ間隔に近い周期を持つ周期変動と測色点の周期との干渉があるような場合には、測色結果にその変動影響がノイズとなって重畳される虞があり、階調特性変化の推定精度が低下するという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の技術では、原稿データは、紙上であり多くの場合、背景が白色に対する色変化を測定するのに対し、原色パッチは中間転写ベルト上で、多くの中間転写ベルト素材は黒色をしているため、背景が黒色に対する色変化を測色するため、原稿データ上と、原色パッチとでは、読取装置の光学特性の影響によって色変化量が違って見える虞があるため、ノイズの影響を抑制できず、階調特性変化の推定精度が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原稿データ画像の測色に適した領域が、副走査方向に偏るような場合であっても、周期変動によるノイズの影響を抑制しつつ、階調特性変化の推定精度の低下を抑制し、再現色を安定させることができる画像形成装置、画像形成ユニットおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の基本色で構成される入力画像から、前記基本色を混色することによって印刷媒体上にカラー画像を形成する画像形成装置であって、前記印刷媒体上に形成された前記カラー画像の少なくとも一部の画像領域から色を測定して測色値を取得する測色部と、前記画像領域を複数に区切られた分割領域毎、かつ、複数の階調種類に分けられた階調領域範囲別の測色値と、前記入力画像の画素値と、前記測色部の測色についての目標値とに基づいて、前記分割領域毎で、かつ、前記階調領域範囲別に第1モードパラメータを算出し、前記第1モードパラメータのうち、前記画像領域の濃度変動において周期が逆位相となる距離であって該濃度変動の周期成分を相殺する距離に対応する前記分割領域の前記第1モードパラメータ同士を前記階調種類ごとに平均して、該各階調種類に対応した第2モードパラメータを算出し、前記第2モードパラメータに基づいて、前記基本色ごとの階調補正値を生成する生成部と、前記階調補正値に基づいて、前記各基本色の階調特性を補正する補正部と、を備え、前記生成部は、前記測色部がいずれかの前記階調領域範囲で前記測色値を取得できなかった場合、前記測色部が前記測色値を取得できた前記階調領域範囲の該測色値と、過去の直近に前記測色部により取得された未取得対象の前記階調領域範囲の前記測色値との関係性から推定した現在の前記階調領域範囲の前記第1モードパラメータを用いて、前記第2モードパラメータを求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿データ画像の測色に適した領域が、副走査方向に偏るような場合であっても、周期変動によるノイズの影響を抑制しつつ、階調特性変化の推定精度の低下を抑制し、再現色を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略構造の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの概略構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの詳細構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置の画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、副走査方向の濃度分布の特徴的傾向を示すグラフである。
【
図7】
図7は、副走査画素領域毎で、かつ、階調領域範囲別に算出されるモードパラメータから各変化モードのモードパラメータを求める動作を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る画像形成装置の各変化モードのモードパラメータの導出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置、画像形成ユニットおよびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0012】
(画像形成装置の概略構造)
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略構造の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構造について説明する。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、記録媒体である用紙P(印刷媒体の一例)に対する画像形成を行う画像形成部4内に、用紙Pを搬送する給紙部2と、入力された原稿データ(入力画像)を基に転写ベルト47に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写部5と、用紙Pに転写されたトナー像の反射特性を測定する測定センサ45と、転写部5により転写された用紙Pの画像を定着させる定着部6と、用紙Pを外部に排出する排紙部7と、を備えている。
【0014】
給紙部2は、給紙口20と、給紙ローラ21と、レジストローラ対22と、を有する。
【0015】
給紙口20は、画像形成部4内に用紙Pを給紙するための開口部である。給紙ローラ21は、給紙口20から給紙された用紙Pを転写部5まで搬送するローラである。レジストローラ対22は、給紙ローラ21から搬送されてくる用紙Pを所定のタイミングで転写部5に送り出すローラ対である。
【0016】
画像形成装置100は、転写ベルト47にトナー像を転写するための複数の基本色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つのプロセスユニット4Y、4M、4C、4Kを有している。プロセスユニット4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ像担持体であるドラム状の感光体40Y、40M、40C、40Kを有する。プロセスユニット4Y、4M、4C、4Kは、いずれも同様の構成を有し、説明が重複するため、ここでは、特にイエロー(Y)に対応するプロセスユニット4Yの構成についてのみ説明する。
【0017】
プロセスユニット4Yは、感光体40Yと、帯電装置42Yと、レーザユニット53Yと、現像装置43Yと、1次転写ローラ475Yと、クリーニング装置44Yと、を有する。
【0018】
感光体40Yは、
図1に示す反時計方向である方向Aに回転する回転体としての像担持体であるドラム状の部材であり、レーザユニット53Yが射出する走査光の被走査面である感光層が形成されている。帯電装置42Yは、感光体40Yを帯電させる装置である。レーザユニット53Yは、走査光を走査することによって、感光体40Yに潜像を形成するユニットである。現像装置43Yは、レーザユニット53Yにより形成された感光体40Y上の潜像に対して、イエロー(Y)のトナーにより現像してトナー像を形成する装置である。1次転写ローラ475Yは、巻き掛けられた転写ベルト47に対して、感光体40Yに形成されたトナー像を転写するローラである。クリーニング装置44Yは、トナー像が転写ベルト47に転写された後に、感光体40Yに残っている余分なトナーを取り除く装置である。
【0019】
このようなプロセスユニット4Y、4M、4C、4Kによって、基本色の混色により転写ベルト47上に混色の画像であるトナー像を形成する。
【0020】
転写部5は、転写ベルト47と、
図1の方向Bに回転するように駆動源によって駆動される駆動ローラ471と、駆動ローラ471と同様に方向Bに回転する従動ローラ472と、2次転写ローラ473と、を有している。
【0021】
転写ベルト47は、伸びの少ないポリイミド樹脂に、電気抵抗を調整するためのカーボン粉末を分散させたベルトである。転写ベルト47は、駆動ローラ471と、従動ローラ472と、2次転写ローラ473と、1次転写ローラ475Y、475M、475C、475Kと、に巻き掛けられている。
【0022】
2次転写ローラ473は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラと共に転写ベルト47に当接してニップ部を形成しているローラである。2次転写ローラ473は、2次転写位置Nにおいて、対向するローラとの間に転写ベルト47を用紙Pと共に挟み込み、2次転写バイアスをかけて転写ベルト47表面のトナー像を用紙Pに転写する。2次転写バイアスとしては、転写ベルト47の表面に帯電している静電荷とは逆の極性の電荷を付与する。2次転写位置Nでトナー像が転写された用紙Pは、定着部6へ搬送される。
【0023】
測定センサ45は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの測定対象色に対して感度を持つように前段に各測定対象色に対応するバンドパスフィルタを取り付けた、複数のモノクロラインセンサを組み合わせたインライン式の色度測定器である。測定センサ45は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に対応する3つの分光特性を備えた測定チャンネルを有している。測定センサ45が有する測定チャンネルの個数を測定チャンネル数という。測定センサ45は、2次転写位置Nよりも用紙Pの搬送方向の下流に設置され、用紙Pに形成された画像(カラー画像)の全体または一部の反射特性を測定する。
【0024】
なお、測定センサ45は、少なくとも1つの分光特性を有する測定チャンネル、すなわち、1つ以上の基本色に対して感度を持った測定チャンネルを有するセンサであればよく、いわゆるカラースキャナであってもよい。また、測定センサ45は、単一の分光特性を有するモノクロラインセンサであってもよい。
【0025】
定着部6は、加熱ローラ61と定着ローラ62との間に形成された定着ニップ部N2を用紙Pが通過する際に、熱および圧力の作用により、用紙Pに担持されたトナー像を定着させ、用紙P上に良好なカラー画像を形成する。定着部6を通過した定着済みの用紙Pは、排紙部7から画像形成部4の外へ排紙される。なお、排紙部7に切替爪と両面ユニットとを設け、切替爪の態様に応じて用紙Pを両面ユニットに進入させて両面画像形成に備えることとしてもよい。
【0026】
(画像形成装置のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0027】
図2に示すように、画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、補助記憶装置103と、ネットワークI/F104と、プリンタエンジンI/F106と、画像形成部4と、スキャナ27と、を備えている。このうち、CPU101、メモリ102、補助記憶装置103、ネットワークI/F104、プリンタエンジンI/F106およびスキャナI/F108は、互いにデータ通信可能にバス109によって接続されている。
【0028】
CPU101は、画像形成装置100の動作を総括的に制御する演算装置である。
【0029】
メモリ102は、ファームウェア等のプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPU101の演算処理時のワークエリア(作業領域)として使用されるRAM(Random Access Memory)とで構成されている。
【0030】
補助記憶装置103は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリ等の記憶装置であり、OS(Operating System)、各種プログラム、原稿データおよびカラープロファイル等を記憶する。
【0031】
ネットワークI/F104は、外部のネットワーク(LAN(Local Area Network)またはインターネット等)と接続するためのインターフェースである。ネットワークI/F104は、例えば、Ethernet(登録商標)に対応し、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)の通信規格に対応している。画像形成装置100は、ネットワークI/F104を介して、外部の装置(PC200およびサーバ201等)とデータ通信を行うことができる。
【0032】
プリンタエンジンI/F106は、電子写真方式により画像を形成して原稿データの印刷を実行する画像形成部4と通信可能に接続するためのインターフェースである。画像形成部4については、
図1で上述した通りである。
【0033】
スキャナI/F108は、測定センサ45を備えるスキャナ27と通信可能に接続するためのインターフェースである。スキャナ27は、測定センサ45の機能により用紙Pの画像を読み取る装置である。測定センサ45については、
図1で上述した通りである。なお、本発明での「画像読取部」は、測定センサ45に相当すると考えることもできるし、測定センサ45を備えるスキャナ27に相当すると考えることもできる。
【0034】
なお、
図2に示した画像形成装置100のハードウェア構成は一例を示すものであり、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0035】
(画像形成装置の機能ブロック構成)
図3は、実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの概略構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機能ブロックの概略構成について説明する。
【0036】
図3に示すように、画像形成装置100は、ネットワーク500を介して、PC(Personal Computer)200およびサーバ201と通信可能となっている。
図3に示すように、画像形成装置100は、画像処理部30と、画像形成ユニット35と、を備えている。
【0037】
画像処理部30は、PC200からネットワーク500を介して受信した原稿データを、画像形成部4で印刷可能な形式に画像処理を行う機能部である。そして、画像処理部30は、画像処理を行った原稿データを、画像形成部4の基本色で構成された画素配列(ビットマップデータ、または、それと等価な圧縮形式)に変換して階調処理部31に送る。なお、原稿データは、RGBまたはCMYKでカラー指定されたビットマップデータ、テキストデータ、図形の描画命令等を含んだデータフォーマットで表現されている。
【0038】
画像処理部30は、画像形成ユニット35とは別体の、例えば、PC上のソフトウェアおよび拡張ボードで構成されており、画像形成ユニット35に対して交換可能な構成となっている。なお、画像処理部30は、画像形成ユニット35と通信可能であれば、画像形成装置100とは別体の端末上に設けられてもよく、ネットワーク500を介したPC200またはサーバ201上に設けられてもよく、画像形成ユニット35と一体型の構成であってもよい。
【0039】
画像形成ユニット35は、階調処理部31と、色調制御部32と、画像検査部33(測色部)と、エンジン制御部39と、画像形成部4と、を含む。なお、画像形成部4の機能については、上述した通りである。
【0040】
階調処理部31は、画像処理部30が画像処理を行った画像情報を、画像形成部4が受け取り可能な形式の画像データに変換する機能部である。なお、階調処理部31の動作の詳細は後述する。
【0041】
色調制御部32は、画像検査部33により検出された画像情報から画像の色調変動(濃度変動等)を検出して、階調処理部31に対して階調補正値を与える機能部である。なお、色調制御部32の動作の詳細は後述する。
【0042】
画像検査部33は、画像形成部4により印刷出力された用紙Pからスキャナ27により画像をインライン形式により検出する(読み込む)機能部である。具体的には、画像検査部33が含むスキャナ27の測定センサ45は、画像形成部4が形成した画像に対して光を照射して、その反射光を受光することによって、画像の反射率を2次元的に面で測定して画像として検出する。すなわち、画像を検出するということは、画像を構成する色を測色していることになる。そして、画像検査部33は、検出された画像の色調変動(濃度変動等)を検出する。なお、画像検査部33の動作の詳細は後述する。
【0043】
エンジン制御部39は、画像形成部4の画像形成動作の制御を行う機能部である。
【0044】
階調処理部31、色調制御部32、画像検査部33(スキャナ27を除く)および画像形成部4は、それぞれ、CPU101がメモリ102に展開したプログラムを実行することによって実現される。なお、階調処理部31、色調制御部32、画像検査部33(スキャナ27を除く)および画像形成部4の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0045】
図4は、実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックの詳細構成の一例を示す図である。次に、
図4を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機能ブロックの詳細構成について説明する。なお、色調制御部32が扱うデータ形式をCIELab(以下、単にLabと称する)とし、原稿データのCMYK形式のデータをLab形式のデータに変換しているが、Lab形式に限定されるものではなく、色変化量を明確にできればどのような色表現形式を用いるものとしてもよいが、以下では、Lab形式であるものとして説明する。
【0046】
図4に示すように、画像形成装置100の画像処理部30は、原稿色-Lab変換部310と、Lab-CMYK変換部311と、ユーザ階調変換部312と、記憶部302と、を有する。
【0047】
原稿色-Lab変換部310は、PC200等から受信したCMYK形式等で記述された原稿データQ(入力画像)を、デバイスに依存しないLab形式の表色値docLabに変換する機能部である。Lab-CMYK変換部311は、表色値docLabを、画像形成部4の基本色CMYKの各色8ビットの整数の階調値prnCMYKに変換する機能部である。ユーザ階調変換部312は、対応するカラープロファイルに基づいて、階調値prnCMYKを補正する機能部である。ユーザ階調変換部312は、初期状態においては、階調値prnCMYKを変更せずにそのまま出力する。Lab-CMYK変換部311、ユーザ階調変換部312およびCMYK-Lab変換部313による処理は、ベクトルデータおよびフォント展開と同時に処理され、結果として出力される階調値prnCMYKは、基本色であるCMYKのビットマップデータとして出力される。出力されたビットマップデータ(階調値prnCMYK)は、印刷原稿単位で、記憶部302に記憶される。
【0048】
図4に示すように、画像形成装置100の階調処理部31は、階調補正部316(補正部)と、階調変換部317と、を有する。
【0049】
階調補正部316は、各基本色の階調特性を基本色ごとに補正するための階調補正値ΔCT(=(ΔC(c),ΔM(m),ΔY(y),ΔK(k)))を用いて、画像形成部4が出力するための画像を補正する機能部である。ここで、c、m、y、kは、補正前の階調値であり、例えば、ΔC(c)は、シアン(C)の補正前の階調値cに対する補正量を示す。具体的には、階調補正部316は、各基本色C、M、Y、Kごとに階調補正テーブル(以下、TRC(Tone Response Correction)と称する場合がある)を備え、階調補正値ΔCTと、TRCとを用いて、記憶部302から読み込んだ階調値prnCMYKが示す各基本色の階調特性を補正する。
【0050】
階調変換部317は、階調補正部316により補正された基本色毎の8ビットのカラー値を、画像形成部4が表現可能な階調数に合うように、面積階調法または誤差拡散法等を用いて変換する機能部である。画像形成部4は、階調変換部317により変換されたCMYKデータに基づいて、用紙P上に画像を形成する。
【0051】
図4に示すように、画像形成装置100の画像検査部33は、上述のようにスキャナ27を有すると共に、スキャナ色-Lab変換部318を有する。
【0052】
スキャナ色-Lab変換部318は、スキャナ27により測定された用紙P上の画像の計測値mesColを、Lab形式の測色値mesLabに変換する機能部である。
【0053】
図4に示すように、画像形成装置100の色調制御部32は、測色予測部34と、色調補正量決定部319(生成部)と、記憶部320と、を有する。
【0054】
測色予測部34は、画像処理部30から出力される階調値prnCMYKに基づいて、画像形成部4で形成される画像の階調を予測する機能部である。測色予測部34は、CMYK-Lab変換部313と、Lab-スキャナ色変換部314と、スキャナ補正部325と、スキャナ色-Lab変換部315と、を有する。
【0055】
CMYK-Lab変換部313は、画像処理部30から出力される階調値prnCMYKを、再び、Lab値prnLabに変換する機能部である。
【0056】
Lab-スキャナ色変換部314は、CMYK-Lab変換部313により変換されたLab値prnLabを、スキャナ色空間の表色値scnColに変換する機能部である。スキャナ補正部325は、予め与えられた測定センサ45の読取り誤差に基づいて、Lab-スキャナ色変換部314により変換された表色値scnCol(入力画像の画素値に基づく情報の一例)を補正して、読取り予測値scnCol’を求める機能部である。このスキャナ補正部325による補正により、スキャナ27による読取り色の予測精度が改善される。
【0057】
スキャナ色-Lab変換部315は、スキャナ補正部325により補正された読取り予測値scnCol’を、再度、デバイスに依存しないLab値である測色予測値targetLabに変換する機能部である。
【0058】
以上のような一連のLab-スキャナ色変換部314、スキャナ補正部325およびスキャナ色-Lab変換部315の処理により、スキャナ27により読取り可能な色域が、画像形成部4が出力可能は色域よりも小さい場合に生じる読取り色の飽和(色域圧縮)もシミュレートされる効果がある。
【0059】
以上のような、CMYK-Lab変換部313、Lab-スキャナ色変換部314、スキャナ補正部325およびスキャナ色-Lab変換部315を含む測色予測部34による測色予測値targetLabの生成には、大きな演算負荷(使用するメモリ量および処理時間)を要する。このため、測色予測部34は、実際には必要なページ数分のデータから予め測色予測値tagetLabを生成して記憶部320に記憶しておき、後段の色調補正量決定部319では、記憶部320に記憶された測色予測値targetLabを使用する。このように、スキャナ27側の誤差特性も含めてスキャナ読み取り結果としての測色予測targetLabを予め保存しておくことによって、後段の色調補正量決定部319において、階調補正値ΔCTの算出を実時間で効率よく行うことが可能となる。これによって、Lab-CMYK変換部311およびユーザ階調変換部312で求められた階調値prnCMYKは、画像検査部33で計測されるべき測色予測値targetLabへと変換される。
【0060】
色調補正量決定部319は、目標色である測色予測値targetLabと、実際に画像検査部33から得られた測色値mesLabと、階調補正部316への入力値である階調値prnCMYKと、エンジン制御部39からのエンジン情報と、に基づいて、TRCの補正を行うための基本色ごとの階調補正値ΔCTを生成する機能部である。色調補正量決定部319により生成される階調補正値ΔCTによって、目標となる再現色と、出力される発色とのずれが最小となるようにし、用紙Pに出力される画像の発色を安定化させることができる。
【0061】
なお、
図4に示す画像形成装置100の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す画像形成装置100で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す画像形成装置100で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0062】
また、原稿色-Lab変換部310、Lab-CMYK変換部311、CMYK-Lab変換部313、Lab-スキャナ色変換部314、スキャナ色-Lab変換部315、およびスキャナ色-Lab変換部318は、それぞれの色空間変換のために、カラープロファイルと呼ばれる基礎データを必要とする。このようなカラープロファイルとしては、例えば、ICC(International Color Consortium)の定めるICCプロファイルを用いるものとすればよい。
【0063】
これらのカラープロファイルのうち、原稿色-Lab変換部310に必要なカラープロファイルは、原稿データQに添付されているか、予め用意されているものが使用される。また、Lab-スキャナ色変換部314、スキャナ色-Lab変換部315およびスキャナ色-Lab変換部318に必要なカラープロファイルは、色調制御部32および画像検査部33にそれぞれ予め固定的に設定されている。そして、Lab-CMYK変換部311、およびCMYK-Lab変換部313に必要なカラープロファイルは、用紙Pの種類によって色再現特性が異なるため、サーバ201に予め保存された複数のカラープロファイルから用紙Pの種類に合った適切なカラープロファイルを選択して設定することが望ましい。このような用紙Pの種類によるカラープロファイルの変更は、ユーザが任意で行ってもよく、画像処理部30が入力した原稿データQに合った用紙Pの選択に合せて自動で行われるものとしてもよい。
【0064】
(画像形成装置の画像処理の流れ)
図5は、実施形態に係る画像形成装置の画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の画像処理の流れについて説明する。
【0065】
<ステップS100>
画像処理部30の原稿色-Lab変換部310は、入力したCMYK形式等で記述された原稿データQを、デバイスに依存しないLab形式の表色値docLabに変換する。そして、ステップS101へ移行する。
【0066】
<ステップS101>
画像処理部30のLab-CMYK変換部311は、表色値docLabを、画像形成部4の基本色CMYKの各色8ビットの整数の階調値prnCMYKに変換する。そして、ステップS102およびS107へ移行する。
【0067】
<ステップS102>
画像処理部30のユーザ階調変換部312は、対応するカラープロファイルに基づいて、階調値prnCMYKを補正して、画像データとして出力する。ユーザ階調変換部312は、初期状態においては、階調値prnCMYKを変更せずにそのまま画像データとして出力する。Lab-CMYK変換部311、ユーザ階調変換部312およびCMYK-Lab変換部313による処理は、ベクトルデータおよびフォント展開と同時に処理され、結果として出力される階調値prnCMYKは、基本色であるCMYKのビットマップデータとして出力される。出力されたビットマップデータ(階調値prnCMYK)は、印刷原稿単位で、記憶部302に記憶される。そして、ステップS103へ移行する。
【0068】
<ステップS103>
階調処理部31の階調補正部316は、階調補正値ΔCTと、各基本色C、M、Y、KごとのTRCとを用いて、記憶部302から読み込んだ階調値prnCMYKが示す各基本色の階調特性を補正(階調補正)する。そして、ステップS104へ移行する。
【0069】
<ステップS104>
階調処理部31の階調変換部317は、階調補正部316により補正された基本色毎の8ビットのカラー値を、画像形成部4が表現可能な階調数に合う形式となるように、面積階調法または誤差拡散法等を用いて変換する。そして、ステップS105へ移行する。
【0070】
<ステップS105>
画像形成部4は、階調変換部317により変換されたCMYKデータに基づいて、用紙P上に画像(トナー像)を形成する。そして、ステップS106へ移行する。
【0071】
<ステップS106>
画像検査部33のスキャナ27(測定センサ45)は、用紙Pに形成された画像を測定して計測値mesColを得る。画像検査部33のスキャナ色-Lab変換部318は、スキャナ27により測定された用紙P上の画像の計測値mesColを、Lab形式の測色値mesLabに変換する。スキャナ色-Lab変換部318は、変換した測色値mesLabを色調補正量決定部319へ送る。
【0072】
<ステップS107>
色調制御部32の色調補正量決定部319は、記憶部302に蓄積されたビットマップデータから、予め必要な部分の階調値prnCMYKをページバッファに読み込む。そして、ステップS108へ移行する。
【0073】
<ステップS108>
一方、測色予測部34のCMYK-Lab変換部313は、画像処理部30から出力される階調値prnCMYKを、再び、Lab値prnLab(出力予測値)に変換する。そして、ステップS109へ移行する。
【0074】
<ステップS109>
測色予測部34のLab-スキャナ色変換部314は、CMYK-Lab変換部313により変換されたLab値prnLabを、スキャナ色空間の表色値scnColに変換する。ここで、表色値scnColは、測定センサ45固有の読取り誤差を含まないため、表色値scnColをそのまま補正に用いると、測定センサ45の読取り誤差を含んだ状態で補正される。例えば、測定センサ45が読取り可能な色域が画像形成部4の出力可能な色域よりも範囲が小さいような場合には、測定センサ45による色域の圧縮が生じるため、Lab値prnLab(出力予測値)が測定センサ45により得られた計測値mesColと大きく異なるおそれがある。そこで、測色予測部34のスキャナ補正部325は、予め与えられた測定センサ45の読取り誤差に基づいて、Lab-スキャナ色変換部314により変換された表色値scnColを補正して、読取り予測値scnCol’(スキャナ読取予測値)を求める。このようなスキャナ補正部325を有することで、測定センサ45が読取り可能な色域が画像形成部4の出力可能な色域より範囲が小さい場合にも、精度良く色の読取り値の予測が行われる。そして、ステップS110へ移行する。
【0075】
<ステップS110>
測色予測部34のスキャナ色-Lab変換部315は、スキャナ補正部325により補正された読取り予測値scnCol’を、再度、デバイスに依存しないLab値である測色予測値targetLab(目標値)に変換する。測色予測部34は、このように予め印刷されるべき印刷領域全体について、算出した測色予測値targetLab(目標値)を記憶部302に記憶させておく。そして、ステップS111へ移行する。
【0076】
<ステップS111>
すべての測色領域(後述する微小測色領域)において、測色値mesLabおよび測色予測値targetLab(目標値)の抽出が終了していない場合(ステップS111:No)、ステップS107へ戻り、終了している場合(ステップS111:Yes)、画像処理を終了する。
【0077】
(階調補正値ΔCTの生成方法)
次に、本実施形態における色調補正量決定部319による階調補正値Δの生成方法について説明する。
【0078】
まず、階調補正値ΔCTの生成処理に先立って、色調補正量決定部319は、各ページの印刷領域から、色の測定(測色)を行うのに適した色の変化の少ない複数の数mm四方程度の微小測色領域(xi,yi)(i=1,・・・,N)を抽出して、当該微小測色領域(xi,yi)の測色値を得る。ここでは、微小測色領域を、その中心座標(xi,yi)で表すものとしている。なお、ここでの座標(x,y)について、画像形成装置100で用紙Pが搬送される紙送り方向(搬送方向)(すなわち、副走査方向)を座標yとし、副走査方向と直行する方向(主走査方向)を座標xとして説明している。微小測色領域(xi,yi)の抽出方法は、例えば、5[mm]角程度の任意の領域から、400[dpi]で41×41画素の領域を選択し、抽出する方法が利用できる。
【0079】
色調補正量決定部319は、微小測色領域(xi,yi)について、単ページまたは連続する数ページから先のN個の微小測色領域(xi,yi)を抽出し、副走査方向に複数に区切られた副走査画素領域(y)(分割領域)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別に、微小測色領域(xi,yi)の測色値の平均値(測色平均値)を算出する。ここで、階調領域範囲(rd)とは、印刷領域において画定される、複数の変化モードのいずれかの階調範囲に含まれる描画要素(図形等)における領域を示す。また、変化モードとは、印刷領域の描画要素の階調について所定数の段階(階調種類)に区切った場合における各階調範囲を示す。したがって、階調領域範囲(rd)は、複数の変化モードそれぞれに対応した領域範囲に区切られる。例えば、変化モード数dを3とした場合、階調領域範囲(rd)は、3種類の階調範囲の領域に分割される。
【0080】
そして、色調補正量決定部319は、副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別に算出された測色平均値に基づいて、副走査画素領域(y)毎で変化モード数dに応じた、各モードパラメータθ(rd)(y)(第1モードパラメータ)を算出する。ここで、色調補正量決定部319による各モードパラメータθ(rd)(y)を算出には、上述した目標色である測色予測値targetLabと、階調補正部316への入力値である階調値prnCMYKと、が用いられる。なお、測色平均値に基づく変化モード別のモードパラメータθ(rd)(y)の算出方法については、例えば、特開2017-204786号公報に開示されている算出方法を適用できる。また、色調補正量決定部319により求められた副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別の各モードパラメータθ(rd)(y)のうち、所定の変化モードに対応するモードパラメータを総称してモードパラメータθ(rd)と表すものとする。
【0081】
また、色調補正量決定部319は、副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別に算出した各モードパラメータθ(rd)(y)のうち、後述する濃度変動の周期についての所定の距離と一致するモードパラメータθ(rd)(y)同士を、変化モード別のモードパラメータθ(rd)として求める。さらに、色調補正量決定部319は、求めた変化モード別のモードパラメータθ(rd)の集合データで平均処理され、階調補正値ΔCTを生成するための変化モード別のモードパラメータθRd(第2モードパラメータ)として算出する。すなわち、基本色CMYK毎に変化モード数dに応じて、モードパラメータθR1、θR2、θR3、・・・、θRd(総称して、モードパラメータθRdとする)が求められる。
【0082】
図6は、副走査方向の濃度分布の特徴的傾向を示すグラフである。次に、
図6を参照しながら、副走査方向で生じる濃度の周期変動(濃度変動)について説明する。
【0083】
図6に示すグラフの横軸は、5ページ分の印刷領域の副走査位置を、1ページ目の書き出しを基準として、実際には印刷されない紙間も含めて表しており、縦軸は、濃度を表している。副走査方向の濃度変動の特徴は、破線で示した数ページ間にまたがる緩やかな濃度のドリフト上に、実線で示したような周期変動と、その他のランダムな変動とが重畳されたものとなっている。このような、数[cm]から数十[cm]の周期変動は、しばしば画像形成部4における画像を潜像するための感光体40Y、40M、40C、40K、そして、現像を行う現像装置43Y(その他、M、C、Kの現像装置を含む)等に同期して生じる。
図6に示す「▽」印で示した濃度変動の周期と、上向きの矢印で示したサンプリングの周期とが微妙にずれるために、「」印で示すような領域で測定した測色値から推定される一点鎖線で示されるドリフト量が、破線で示される実際のドリフト量よりも、ずれて評価されてしまうため、その結果、階調特性変化の推定精度が低下してしまう。これらの数[cm]から数十[cm]の緩やかな周期変動の影響を、階調領域範囲(rd)別に回避し、数ページに渡るドリフトの影響を抑制、すなわち、副走査方向で生じる濃度変動の影響を抑制した階調領域範囲(rd)別のモードパラメータθRdを求める動作を、以下に説明する。
【0084】
図7は、副走査画素領域毎で、かつ、階調領域範囲別に算出されるモードパラメータから各変化モードのモードパラメータを求める動作を説明する図である。
図7を参照しながら、階調領域範囲(rd)別のモードパラメータθRdを求める方法について説明する。
【0085】
具体的には、
図7では、副走査方向の所定区間で区切られた副走査画像領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別に算出されたモードパラメータθ(rd)(y)に対して、副走査方向に生じる濃度変動の周期成分について、N周期+0.5周期(N=整数値)の距離と一致するモードパラメータθ(rd)(y)の組み合せに基づいて、階調補正値ΔCTを生成するためのモードパラメータθRdを求める方法の一例を示している。
図7では、原稿データに基づいて連続印刷された2ページ分の異なる画像(画像領域)を表しており、ページ内の「」が示す領域は、測色に適した色の変化の少ない画像領域内に配置された複数の微小測色領域を示している。また、ページ内の破線は、複数に区切られた副走査画素領域(y)を表しており、ページ上部の数字は、その副走査画素領域(y)を区別するための領域番号yを表している。この区切られた副走査方向の所定区間の領域である階調領域範囲(rd)毎に、色調補正量決定部319によりモードパラメータθ(rd)が算出され、算出されたモードパラメータθ(rd)に領域番号yを添字として付与して、モードパラメータθ(rd)(y)としている。なお、副走査画素領域(y)および階調領域範囲(rd)を特定する領域は、
図7に示すように1ページ分の全体の画像領域に限定されるものではなく、少なくとも一部の画像領域であってもよい。
【0086】
図7では、階調領域範囲(rd)を3つの種類に分けた場合、すなわち、変化モード数をd=3とした場合を例にとり、このときの階調領域範囲(rd)を、変化モード別に、それぞれ低濃度階調領域r1、中濃度階調領域r2、高濃度階調領域r3として表現している。なお、説明の便宜上、微小測色領域、および副走査画素領域(y)は、大きめに表現しているが、実際は、例えば、測色に必要な微小測色領域が、上述した400[dpi]で41×41画素で、印刷に使用した用紙がA4サイズの場合で、短手方向を副走査方向とした場合、副走査方向の用紙長さは約210[mm]となるので、画素数は400[dpi]で約3307画素になる。それを41画素で区切ると、1ページあたりの副走査方向における副走査画素領域(y)の数は、80個程度になることは言うまでもない。
【0087】
図7における2つの周期成分のグラフ(濃度変動A、B)は、画像を印刷したときに副走査方向に生じる2種類の濃度変動を模したグラフである。便宜上、分けて表しているが、実際にはこれらの濃度変動が合成された状態で印刷される画像に重畳された状態となっている。色調補正量決定部319は、副走査画素領域(y)毎、かつ、階調領域範囲(rd)別に算出したモードパラメータθ(rd)(y)のうち、紙間距離を含む周期についての距離が、濃度変動Aおよび濃度変動BそれぞれのN周期+0.5周期の距離と一致するモードパラメータθ(rd)(y)が存在する場合、それらモードパラメータθ(rd)(y)に基づく平均値を、変化モード別(階調領域範囲(rd)別)にモードパラメータθRdとして求める。すなわち、N周期+0.5周期の距離とは、濃度変動において周期が逆位相となる距離であって、各濃度変動の周期成分を相殺する距離である。
【0088】
まず、低濃度階調領域r1では、色調補正量決定部319により、y=1,2,3,4,5,6,15,16,17,18,19の各副走査画素領域(y)で、モードパラメータθ(r1)(y)が算出される。このうち、N周期+0.5周期と一致するのは、y=1,3,5,15,17,19(
図7における「△」印および「☆」印)となるので、色調補正量決定部319は、それらの領域番号にそれぞれ対応するモードパラメータθ(r1)を抽出する。
【0089】
同様に、中濃度階調領域r2では、色調補正量決定部319により、y=1,2,3,4,5,6,15,16,17,18,19,20,21の各副走査画素領域(y)で、モードパラメータθ(r2)(y)が算出される。このうち、N周期+0.5周期と一致するのは、y=2,4,6,16,18,20(
図7における「△(黒塗り潰し)」印および「★」印)となるので、色調補正量決定部319は、それらの領域番号にそれぞれ対応するモードパラメータ(r2)を抽出する。
【0090】
同様に、高濃度階調領域r3では、色調補正量決定部319により、y=8,9,10,22,23,24の各副走査画素領域(y)で、モードパラメータθ(r3)(y)が算出される。このうち、N周期+0.5周期と一致するのは、y=8,9,22,23(
図7における「○」印および「◇」印)となるので、色調補正量決定部319は、それらの領域番号にそれぞれ対応するモードパラメータ(r3)を抽出する。
【0091】
そして、色調補正量決定部319は、抽出した変化モード(各階調領域範囲(rd))別のモードパラメータθ(r1)、θ(r2)、θ(r3)のそれぞれの集合データで平均処理されたモードパラメータθR1、θR2、θR3に基づいて求められた近似線により、基本色毎の階調補正値ΔCTを生成する。このような階調補正値ΔCTを生成することによって、濃度の周期変動によるノイズの影響が抑制された推定精度の高い階調特性変化を安定的に推定することが可能となる。
【0092】
なお、連続印刷が行われる際、隣り合うページの紙間距離は、常に同一であるとは限らないが、画像を測色する際の測定センサ45等でページ毎に測定を開始する際に使用されるタイミング信号等から、その時の紙間距離が容易に推定可能なので、色調補正量決定部319は、上述のようなタイミング信号等を流用して、紙間距離を求めるものとすればよい。
【0093】
また、測色に適した色の変化の少ない画像領域が、1ページ内の領域に満遍なく存在していて、それぞれの濃度変動のN周期+0.5周期の距離と一致する距離を有する副走査画素領域(y)同士が、階調領域範囲(rd)別に存在していれば、その副走査画素領域(y)同士に基づく各モードパラメータθR1、θR2、θR3を算出してもよい。また、2ページ間でN周期+0.5周期の距離と一致する距離を有する副走査画素領域(y)が存在しない場合は、3ページ間の副走査画素領域(y)から上述の距離と一致する距離を有する副走査画素領域(y)を抽出して、モードパラメータθRdを算出こともできる。ただし、探索するページ数が増加すると、
図6に示した場合と同様に、実際のドリフト量よりもずれて評価されてしまう虞があるため、1ページまたは、連続する2ページ間で探索することが望ましい。また、1ページ目および2ページ目で見つからない場合は、1ページ目で算出したモードパラメータθ(rd)(y)を破棄して、2ページ目および3ページ目で求めるようにしてもよい。なお、この場合、2つのページ単位に限定されるものではなく、3つ以上のページ単位であってもよい。例えば、1ページ目~3ページ目で見つからない場合は、1ページ目で算出したモードパラメータθ(rd)(y)を破棄して、2ページ目~4ページ目で求めるようにしてもよい。
【0094】
また、上述したように3種類に分けられた階調領域範囲(rd)で、いずれかの階調領域範囲(rd)の微小測色領域における測色値が取得できない場合、色調補正量決定部319は、測色値が取得できた階調領域範囲(rd)の測色値と、過去の直近の制御タイミングで取得した未取得対象の階調領域範囲(rd)の測色値との関係性から推定した現在の階調領域範囲(rd)の各変化モードのモードパラメータθ(rd)を使って各モードパラメータθRdを求めるようにしてもよい。これによって、推定精度を低下させることなく、常に安定した階調補正が可能となる。
【0095】
また、
図7では2つの周期成分を持った濃度変動A、Bについて説明しているが、副走査方向に生じる周期性を持った濃度変動は、3つ以上の多数の周期成分が存在する場合も考えられる。濃度変動に影響を及ぼすすべての周期成分についてのN周期+0.5周期の距離と一致するモードパラメータθ(rd)(y)から求めた各モードパラメータθR1、θR2、θR3に基づいて、階調補正値ΔCTを生成してもよい。ただし、印刷された画像から、多数の周期成分すべてについて上述の距離と一致する各モードパラメータθR1、θR2、θR3を算出する場合、多数の周期成分のうち、いずれかの周期成分について上述の距離と一致するモードパラメータθ(rd)(y)が存在しなかったりするケースが増えることになる。したがって、連続印刷が行なわれる間で、階調補正値ΔCTが生成できなくなり、階調特性変化の推定精度が低下する虞があるので、印刷画像の濃度変動に大きく影響する少数種類(2~3種類)の周期成分を予め抽出しておき、その周期成分に対して求めることが望ましい。
【0096】
(階調補正値ΔCTの生成処理の流れ)
図8は、実施形態に係る画像形成装置の各変化モードのモードパラメータの導出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の階調補正値ΔCTの生成処理の流れについて説明する。
【0097】
<ステップS300>
色調補正量決定部319は、印刷領域を副走査方向に複数に区切られた副走査画素領域(y)毎に微小測色領域のサンプル(測色値)を取得する。そして、ステップS301へ移行する。
【0098】
<ステップS301>
色調補正量決定部319は、副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別の測色値の平均値(測色平均値)に基づいて、各モードパラメータθ(rd)(y)を算出する。そして、ステップS302へ移行する。
【0099】
<ステップS302>
すべての副走査画素領域(y)に対するモードパラメータ(rd)(y)の算出が完了した場合(ステップS302:Yes)、ステップS303へ移行し、完了していない場合、ステップS300へ戻る。
【0100】
<ステップS303>
色調補正量決定部319は、副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別に算出した各モードパラメータθ(rd)(y)のうち、領域番号y=0の副走査画像領域(y)を基準としたときのN周期+0.5周期の距離(指定周期距離)と一致する距離で、同じ階調領域範囲(rd)の微小測色領域が存在する副走査画素領域(y)を探索する。そして、色調補正量決定部319は、N周期+0.5周期の距離(指定周期距離)と一致するモードパラメータ(rd)(y)同士を、変化モード別のモードパラメータθ(rd)として求める。
【0101】
ただし、1ページのみで処理を行う場合は、探索を行う周期成分の中で最も大きい周期成分に対して、残り0.5周期の距離と重なる領域まで行い、2ページ間でN周期+0.5周期の距離と一致する距離を探索する場合は、最初のページの最後の副走査画素領域(y)まで行う。そして、ステップS304へ移行する。
【0102】
<ステップS304>
すべての副走査画素領域(y)について、N周期+0.5周期の距離(指定周期距離)と一致するモードパラメータ(rd)(y)の探索、およびモードパラメータθ(rd)の導出(算出)が完了した場合(ステップS304:Yes)、ステップS305へ移行し、完了していない場合(ステップS304:No)、ステップS303へ戻る。
【0103】
<ステップS305>
色調補正量決定部319は、求めた変化モード別のモードパラメータθ(rd)の集合データで平均処理を行い、階調補正値ΔCTを生成するための変化モード別のモードパラメータθRdとして算出する。そして、色調補正量決定部319は、算出したモードパラメータθRdに基づいて求められた近似線により、基本色毎の階調補正値ΔCTを生成する。なお、モードパラメータθRdに基づく階調補正値ΔCTの生成(算出)方法については、例えば、特開2017-204786号公報に開示されている生成方法を適用できる。
【0104】
そして、生成された階調補正値ΔCTに基づいて、エンジン制御部39および階調補正部316に与える色調補正量を補正する。具体的には、例えば、階調補正部316は、色調補正量決定部319から受け取った階調補正値ΔCTを用いて、TRCを補正する。これによって、用紙Pに印刷出力される画像の発色を安定させる。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置100では、印刷領域の副走査方向に複数に区切られた副走査画素領域(y)毎で、かつ、階調領域範囲(rd)別の測色平均値に基づいて、副走査画素領域(y)毎で変化モード数dに応じた、各モードパラメータθ(rd)(y)を算出している。そして、各モードパラメータθ(rd)(y)のうち、濃度変動のN周期+0.5周期の距離(指定周期距離)と一致するモードパラメータθ(rd)(y)同士を、変化モード別のモードパラメータθ(rd)として求め、変化モード別のモードパラメータθ(rd)の集合データで平均処理を行い、階調補正値ΔCTを生成するための変化モード別のモードパラメータθRdとして算出する。そして、算出したモードパラメータθRdに基づいて、基本色毎の階調補正値ΔCTを生成する。これによって、連続印刷される原稿データの画像の測色に適した領域が、副走査方向に偏るような場合であっても、濃度変動によるノイズの影響を抑制しつつ、階調特性変化の推定精度の低下を抑制し、再現色を安定させることができる。
【0106】
なお、上述の実施形態において、画像形成装置100の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU101が上述の記憶装置(例えば、補助記憶装置103等)からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置(例えば、メモリ102)上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0107】
2 給紙部
4 画像形成部
4C、4M、4Y、4K プロセスユニット
5 転写部
6 定着部
7 排紙部
20 給紙口
21 給紙ローラ
22 レジストローラ対
27 スキャナ
30 画像処理部
31 階調処理部
32 色調制御部
33 画像検査部
34 測色予測部
35 画像形成ユニット
39 エンジン制御部
40C、40M、40Y、40K 感光体
42Y 帯電装置
43Y 現像装置
44Y クリーニング装置
45 測定センサ
47 転写ベルト
53Y レーザユニット
61 加熱ローラ
62 定着ローラ
100 画像形成装置
101 CPU
102 メモリ
103 補助記憶装置
104 ネットワークI/F
106 プリンタエンジンI/F
108 スキャナI/F
109 バス
200 PC
201 サーバ
302 記憶部
310 原稿色-Lab変換部
311 Lab-CMYK変換部
312 ユーザ階調変換部
313 CMYK-Lab変換部
314 Lab-スキャナ色変換部
315 スキャナ色-Lab変換部
316 階調補正部
317 階調変換部
318 スキャナ色-Lab変換部
319 色調補正量決定部
320 記憶部
325 スキャナ補正部
471 駆動ローラ
472 従動ローラ
473 2次転写ローラ
475C、475M、475Y、475K 1次転写ローラ
500 ネットワーク
P 用紙
Q 原稿データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【文献】特開2016-092653号公報
【文献】特開2017-204786号公報