(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】駆動伝達装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20221004BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20221004BHJP
F16H 55/16 20060101ALI20221004BHJP
F16H 55/17 20060101ALI20221004BHJP
F16H 55/08 20060101ALI20221004BHJP
F16D 1/09 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/16 147
G03G21/16 180
F16H55/16
F16H55/17 A
F16H55/08 Z
F16D1/09 100
(21)【出願番号】P 2018154687
(22)【出願日】2018-08-21
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148381(JP,A)
【文献】特開2014-111983(JP,A)
【文献】特開2015-158268(JP,A)
【文献】特開2007-040399(JP,A)
【文献】特開平08-262826(JP,A)
【文献】特開2005-180480(JP,A)
【文献】特開2014-240677(JP,A)
【文献】特開2016-196898(JP,A)
【文献】実開平04-001771(JP,U)
【文献】特開2006-300230(JP,A)
【文献】特開2000-035090(JP,A)
【文献】特開2008-009231(JP,A)
【文献】実開昭50-090942(JP,U)
【文献】特開2012-008558(JP,A)
【文献】特開2001-193794(JP,A)
【文献】特許第5164495(JP,B2)
【文献】米国特許第05069654(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/16
F16H 55/16
F16H 55/17
F16H 55/08
F16D 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂系材料で構成された第一駆動伝達手段と、
前記第一駆動伝達手段と同軸上に配置され、金属類で構成された第二駆動伝達手
段とを備え、
前記第一駆動伝達手段と前記第二駆動伝達手段との間で駆動源の駆動力が伝達さ
れる駆動伝達装置において、
前記第一駆動伝達手段は、内歯歯車であり、
第二駆動伝達手段は、軸と、駆動伝達部と、前記第一駆動伝達手段が締結される
被締結部とを備え、
前記第一駆動伝達手段と前記被締結部とを締結部材で締結し、
該締結部材は、前記
軸に対して、前記第一駆動伝達手段の内歯部よりも外側
であって、かつ前記内歯部の近傍で、前記第一駆動伝達手段と前記被締結部とを締結することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動伝達装置において、
前記第一駆動伝達手段の熱膨張率が、前記第二駆動伝達手段の熱膨張率よりも高
いことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動伝達装置において、
前記第二駆動伝達手段の前記駆動伝達部及び前記被締結部は、前記軸に圧入され
ることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動伝達部は、歯車であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の駆動伝達装置において、
前記第一駆動伝達手段の内歯部が、前記締結部材が締結時に進む方向において、
前記第一駆動伝達手段と前記第二駆動伝達手段との締結面よりも、上流側に位置
することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
回転体と、
前記回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置とを備えた画像形成装置に
おいて、
前記駆動伝達装置として、請求項1乃至5いずれか一項に記載の駆動伝達装置を
用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記回転体が、中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第一駆動伝達手段と、第一駆動伝達手段と同軸上に配置され、第一駆動伝達手段とは異なる材質からなる第二駆動伝達手段とを備え、第一駆動伝達手段と第二駆動伝達手段との間で駆動源の駆動力が伝達される駆動伝達装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記駆動伝達装置として、第一駆動伝達手段たる樹脂歯車に、第二駆動伝達手段たる金属歯車を嵌合させるものが記載されている。金属歯車には、軸方向に延びる凸形状部が、回転方向に等間隔で4箇所形成されている。樹脂歯車の軸が挿入される軸孔の内周面には、軸受けに圧入されるリブが回転方向に等間隔で4箇所形成されている。金属歯車の各凸形状部が、樹脂歯車の軸孔のリブ間の各溝部に挿入されることで、両者は嵌合する。樹脂歯車の各リブと金属歯車の各凸形状部との間で駆動力を伝達するとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動伝達装置においては、負荷トルクが加わったときに、樹脂歯車が回転方向に捩れて回転精度が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、樹脂系材料で構成された第一駆動伝
達手段と、前記第一駆動伝達手段と同軸上に配置され、金属類で構成された第二
駆動伝達手段とを備え、前記第一駆動伝達手段と前記第二駆動伝達手段との間で
駆動源の駆動力が伝達される駆動伝達装置において、前記第一駆動伝達手段は、
内歯歯車であり、第二駆動伝達手段は、軸と、駆動伝達部と、前記第一駆動伝達
手段が締結される被締結部とを備え、前記第一駆動伝達手段と前記被締結部とを
締結部材で締結し、該締結部材は、前記軸に対して、前記第一駆動伝達手段の内
歯部よりも外側であって、かつ前記内歯部の近傍で、前記第一駆動伝達手段と前
記被締結部とを締結することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回転精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図。
【
図2】中間転写ベルトを駆動する駆動部の概略構成図。
【
図5】本実施形態の駆動部の周波数応答のゲイン特性と、内歯歯車、第二駆動伝達手段の歯車および中転歯車を樹脂材とした比較例の駆動部の周波数応答のゲイン特性とを比較したグラフ。
【
図6】中間転写ベルト駆動時において、駆動開始から規定時間のときに外乱(負荷)を加えたときの速度変動を調べてグラフ。
【
図14】
図3に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図15】変形例1に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図16】変形例2に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図17】変形例3に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図18】変形例4に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図19】変形例5に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図20】変形例6に対応する内歯歯車のネジにより締結力が作用する方向において、締結面よりも下流側に内歯を設けた例。
【
図26】変形例12の駆動部において、第二駆動伝達手段を一部材で構成した例を示す図。
【
図27】変形例12の駆動部において、被締結部材を、キーにより金属軸に固定した例を示す図。
【
図28】変形例12の駆動部において、被締結部材を、ピンにより金属軸に固定した例を示す図。
【
図29】変形例12の駆動部において、被締結部材を摩擦締結で金属軸に固定した例を示す図。
【
図30】第二駆動伝達手段が、ジョイントを備える例を示す図。
【
図31】第二駆動伝達手段が、プーリを備える例を示す図。
【
図32】第二駆動伝達手段を、駆動ローラの軸と、外歯歯車と、被締結部材とで構成した一例を示す図。
【
図33】第二駆動伝達手段を、感光体の軸と、外歯歯車と、被締結部材とで構成した一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した駆動装置を備えた画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、プリンタ200という)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ200の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ200の一例を示す概略構成図である。
【0009】
図1に示すプリンタ200は、2つの光書込ユニット1YM,CKと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、及び排紙トレイ53も備えている。そして、第一給紙カセット101、第二給紙カセット102、再送装置等も備えている。
【0010】
第一給紙カセット101及び第二給紙カセット102は、それぞれ内部に記録材としての記録紙Pの束を収容している。そして、第一給紙カセット101では第一給紙ローラ101a、第二給紙カセット102では第二給紙ローラ102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する二次転写ニップの直前で記録紙Pを搬送するための転写前搬送路31が続いている。第一給紙カセット101や第二給紙カセット102から送り出された記録紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路31に進入する。
【0011】
また、プリンタ200の筐体における側面には、手差しトレイ33が筐体に対して開閉可能に配設されており、筐体に対して開いた状態で手差しトレイ33上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0012】
2つの光書込ユニット1YM,CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、駆動手段によってそれぞれ図中、反時計回り方向に回転駆動される。
【0013】
光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,Mには、それぞれ、Y画像情報及びM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、それぞれ、C画像情報及びK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0014】
プロセスユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、像担持体(潜像担持体)としてのドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。また、プロセスユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、感光体3Y,M,C,Kの周囲に配設される各種機器を1つのユニットとして共通の支持体に支持しており、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。各プロセスユニット2Y,M,C,Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。
Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yのほか、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の一次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0015】
図1に示すプリンタ200は、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0016】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0017】
現像装置4Yは、磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用しても良い。現像装置4Yに対しては、Yトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0018】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いても良い。クリーニング性を高める目的で、このプリンタ200では、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。ファーブラシは、固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0019】
感光体3Yの上方には、除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。この除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。
除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。また、帯電装置5Yは、電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。ここで、上述した方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用しても良い。
【0020】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M、C、K用のプロセスユニット2M,C,Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0021】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数の支持ローラによって張架している無端ベルトである中間転写ベルト61を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、いずれか1つの支持ローラの回転駆動によって図中、時計回り方向に走行(無端移動)させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の一次転写ニップが形成されている。
【0022】
Y、M、C、K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト61の内周面に囲まれたベルトループ内に配設された一次転写部材としての一次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら一次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ電源から一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の一次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる一次転写電界が形成される。
【0023】
図中、時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト61の外周面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト61の図中下方には、二次転写部材としての二次転写ローラ72が配設されている。この二次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における二次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルト外周面から当接して二次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と二次転写ローラ72とが当接する二次転写ニップが形成されている。
【0025】
二次転写ローラ72には、電源から二次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の二次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成されている。
【0026】
二次転写ニップの図中、右側方には、上述したレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップでは、中間転写ベルト61上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0027】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、二次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0028】
二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端ベルト状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中、反時計回り方向に無端移動させる。そして、二次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト36の外周面(張架面)に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動にともなって搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0029】
プリンタ200においては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54のいずれかに切り替える。
記録紙Pの第一面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第一面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。
【0030】
また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。
一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第一面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0031】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入し、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して二次転写ニップに再送される。二次転写ニップで第二面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第二面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0032】
図2は、中間転写ベルト61を駆動する駆動部20の概略構成図である。
駆動部20は、駆動源たる駆動モータ10と、駆動モータのモータギヤ10aに噛み合う第一駆動伝達手段たる内歯歯車16と、内歯歯車16と同軸上に設けられた外歯が形成された金属歯車9aと、中間転写ベルト61を支持する支持ローラの一つである駆動ローラ67の軸8に設けられ、金属歯車9aと噛み合う中転歯車7とを主に備えている。
【0033】
駆動モータの駆動力は、モータギヤ10aを介して内歯歯車16に伝達され、内歯歯車16から金属歯車9aへ伝達される。そして、金属歯車9aから中転歯車7へ伝達されて駆動ローラ67が回転駆動することで、中間転写ベルト61が回転駆動する。
【0034】
中間転写ベルト61は、二次転写ニップに厚紙が進入するときなどに大きな負荷トルクが加わる。このように、大きな負荷トルクが加わるため、駆動部20を構成する歯車としては、ヤング率(剛性)の高い金属で構成するのが好ましい。しかしながら、すべての歯車を金属で構成すると、硬いもの同士の噛み合いとなるため、振動が大きくなったり、騒音が大きくなったりするため、すべての歯車を金属にはできない。
【0035】
本実施形態では、第二駆動伝達手段の歯車を金属歯車9aとし、中転歯車7を樹脂とした。これにより、金属歯車9aと、中転歯車7との間の噛み合い振動を、樹脂材からなる中転歯車7により吸収することができ、振動や騒音の発生を抑制することができる。また、モータギヤ10aは、金属のモータ軸に切削加工などを施して形成したものであるので、内歯歯車16も、金属歯車9aよりも硬度が低く、ヤング率の低い樹脂材としている。これにより、モータギヤ10aと内歯歯車16との間の噛み合い振動を樹脂材からなる内歯歯車16により吸収することができ、振動や騒音を抑制することができる。
【0036】
このように、本実施形態では、内歯歯車16と金属歯車9aとが別材質となるため、樹脂の一体成型で内歯歯車16と金属歯車9aとを形成できない。また、インサート成型によって、金属からなる金属歯車9aと樹脂材からなる内歯歯車16とを一体成型することも考えられるが、特許文献1に記載されているように、製造工程が複雑化するなどの問題が生じる。
【0037】
そこで、内歯歯車16と金属歯車9aとを回転自在に支持した金属軸にそれぞれ圧入し、内歯歯車16に伝達されたモータの駆動力を、金属軸を介して金属歯車9aに伝達することも考えられる。
しかしながら、金属軸の熱膨張よりも樹脂からなる内歯歯車16の熱膨張の方が大きいため、温度上昇時に内歯歯車16と金属軸との結合力が低下し、内歯歯車16が金属軸に対して、空回りするおそれがある。一方、内歯歯車16と金属歯車9aとを圧入する軸を樹脂軸にした場合、温度上昇時に、樹脂軸と金属歯車9aとの間の嵌合力が大きくなりすぎ、樹脂軸に割れが生じるおそれがある。
【0038】
また、金属歯車9aが圧入された金属軸に駆動ピンを差し込んで、この駆動ピンを介して、内歯歯車16と金属軸との間で駆動伝達を行なえるようにすることも考えられる。また、内歯歯車16の金属軸が貫通する貫通孔を断面Dカット形状とし、金属軸のこの貫通孔に入り込む部分を断面Dカット形状として、内歯歯車16と金属軸との間で駆動伝達を行なえるようにすることも考えられる。しかし、これらの場合は、樹脂材の内歯歯車16の軸中心に近い位置に負荷トルクが加わることになり、内歯歯車16の駆動伝達部(内歯とモータギヤとの噛み合い部)から離れてしまう。このように、距離が離れてしまうことから、樹脂材からなり剛性の弱い内歯歯車16が回転方向に歪んで(捩れて)しまい、回転精度が悪くなるという課題がある。
【0039】
そこで、本実施形態においては、金属で構成された第二駆動伝達手段9よりも、硬度およびヤング率が低く、かつ、熱膨張率が高い樹脂材からなる第一駆動伝達手段である内歯歯車16を、金属歯車9aを備える第二駆動伝達手段9に締結して、内歯歯車16から第二駆動伝達手段へ駆動源の駆動力を伝達するようにした。
【0040】
図3は、
図2におけるA部拡大図であり、
図4は、第二駆動伝達手段9を示す概略構成図である。
第二駆動伝達手段9は、
図4に示すように、金属軸9bと、金属軸9bに圧入される金属からなる圧入部材としての金属歯車9aと、金属軸9bに圧入される圧入部材としての板金からなる被締結部材9cとで構成されている。被締結部材9cには、内周面にネジ溝が形成されたネジ穴91cが、回転方向に等間隔で複数形成されている。
また、金属軸9bは、軸受け201を介してモータ保持側板200bと本体側板200aとに回転自在に支持されている。
【0041】
第一駆動伝達手段である内歯歯車16は、締結部材としてのネジ16aにより被締結部材9cに締結されている。また、本実施形態においては、ネジ16a頭と内歯歯車16との間にスプリングワッシャを挟んで締結しており、高い締結力が得られるようにしている。
【0042】
本実施形態においては、内歯歯車16に伝達された駆動モータ10の駆動力は、被締結部材9cに伝達される。具体的には、締結力が作用する内歯歯車16と被締結部材9cとの接触部の締結箇所の周囲(ネジ16aが貫通している周囲)の静止摩擦力により、内歯歯車16から被締結部材9cに駆動力が伝達される。そして、被締結部材9cから金属軸9bを介して金属歯車9aに伝達される。
【0043】
温度上昇により樹脂材からなる内歯歯車16が熱膨張したとき、内歯歯車16の熱膨張が、ネジの締結力を高める方向に作用する。これにより、内歯歯車16から駆動力が伝達される部材が内歯歯車16よりも熱膨張率が低い部材であっても、温度上昇時においても良好に内歯歯車16から第二駆動伝達手段9へ駆動力を伝達することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ネジにより締結する箇所を、金属歯車9aの外周面よりも外側に設けている。これにより、駆動ピンなどにより内歯歯車16と第二駆動伝達手段9との間で駆動伝達するものに比べて、負荷トルクを受ける箇所とモータトルクを受ける箇所である内歯歯車16の駆動伝達部(内歯とモータギヤとの噛み合い部)との距離を短くすることができ、内歯歯車16が歪む(捩れる)のを抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。
【0045】
よって、本実施形態の駆動部20は、噛み合い振動や騒音を抑制でき、駆動部の耐久性を高め、さらに、回転精度の悪化も抑制することができる。
【0046】
また、内歯歯車16は、金属軸9bに軽圧入するのが好ましい。軽圧入することで、芯出しを良好に行なうことができ、内歯歯車16の偏心を良好に抑制することができる。また、金属軸9bの回転に対する振れも抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。また、被締結部材9c、金属歯車9aを直接、金属軸9bに圧入することで、芯出しを良好に行なうことができ、偏心を良好に抑制することができる。これにより、被締結部材9c、金属歯車9aの回転精度の低下も抑制することができる。
【0047】
また、モータギヤ10aと噛み合うギヤを内歯歯車とすることで、モータギヤとの噛み合い率を向上することができ、回転ムラや騒音・振動の発生を抑制することができる。
【0048】
図5は、本実施形態の駆動部20の周波数応答のゲイン特性と、内歯歯車16、第二駆動伝達手段9の歯車、および中転歯車7を樹脂材とした比較例の駆動部の周波数応答のゲイン特性とを比較したグラフである。
図中実線が、本実施形態の駆動部20の周波数応答のゲイン特性を示しており、図中破線が、比較例の駆動部の周波数応答のゲイン特性を示している。
図5に示すように、図中破線で示す比較例の共振点a(周波数:57[Hz]、ゲイン:34[dB])よりも、図中実線に示す本実施形態の駆動部20の共振点b(周波数:64[Hz]、ゲイン30[dB])の方が、共振周波数が上昇していることがわかる。このことから、本実施形態の駆動部20の方が、比較例の駆動部よりも回転系の剛性が高くなっていることがわかる。
【0049】
図6は、中間転写ベルト駆動時におい、駆動開始から規定時間のときに外乱(負荷)を加えたときの速度変動を調べてグラフである。
図6(a)が、内歯歯車16、第二駆動伝達手段の歯車および中転歯車7を樹脂材とした比較例の駆動部を用いたときの中間転写ベルトの速度変動を示す図であり、
図6(b)が、本実施形態の駆動部20を用いたときの中間転写ベルトの速度変動を示す図である。
【0050】
図6(a)、図(b)を比較して分かるように、本実施形態の駆動部を用いた方が、比較例の駆動部を用いた場合に比べて、外乱(負荷)を加えたときの速度変動を抑えることができることがわかる。本実施形態の駆動部は、回転系の剛性が比較例の駆動部よりも高くできたので、外乱(負荷)が加わったときの中間転写ベルトの速度変動を抑えることができたと考えられる。
このように、本実施形態の駆動部20を用いることで、例えば、厚紙などが二次転写ニップに進入したときの中間転写ベルトの速度変動を抑制することができ、バンディングなどの異常画像の発生を抑制することができる。
【0051】
[変形例1]
図7は、変形例1の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例1においては、内歯歯車16を、金属歯車9aに締結したものである。このように、内歯歯車16を金属歯車9aに締結することで、被締結部材9cを削減することができ、部品点数削減による装置のコストダウンを図ることができる。一方、実施形態の駆動部よりも締結箇所が、内歯歯車16の駆動伝達部から離れてしまう場合があり、負荷トルクに対する内歯歯車16の歪み(捩れ)の抑制効果は、低下する。従って、この変形例1では、負荷トルクの小さいところに用いるのが好ましい。
【0052】
[変形例2]
図8は、変形例2の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例2においては、第二駆動伝達手段を一部材で構成したものである。すなわち、この変形例2では、金属からなる金属部材92が、樹脂材からなる中転歯車7に噛み合う外歯歯車部92aと、モータ保持側板200bと本体側板200aとに軸受け201を介して回転自在に支持される軸部92bと、樹脂材からなる内歯歯車16が締結される被締結部92cとを備えている。
このように、第二駆動伝達手段を一部材で構成することで、部品点数削減による装置のコストダウンを図ることができる。また、圧入部材がなくなり、容易に組み立てることができる。
【0053】
[変形例3]
図9は、変形例3の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例3においては、第二駆動伝達手段9を、軸部93bと外歯歯車部93aとからなる金属部材93と、被締結部材9cとで構成したものである。この変形例3では、金属軸9bを削減することができ、部品点数の削減による装置のコストダウンを図ることができる。また、変形例2に比べて、外歯歯車部93aの外側に内歯歯車16が締結される箇所を、容易に形成することができる。
【0054】
[変形例4]
図10は、変形例4の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例4においては、金属歯車9aに被締結部材9cを圧入したものである。この変形例4では、金属軸9bを介さずに、駆動モータ10の駆動力を、金属歯車9aに伝達することができる。また、この変形例4では金属軸9bに金属歯車9aを圧入して、金属軸9bをモータ保持側板200bと本体側板200aとに軸受け201を介して回転自在に支持しているが、金属軸は、モータ保持側板200bと本体側板200aとに回転不能に支持し、金属歯車9aを金属軸に回転可能に支持する構成としてもよい。
【0055】
[変形例5、6]
図11は、変形例5の駆動部の要部拡大構成図であり、
図12は、変形例6の駆動部の要部拡大構成図である。
図11(a),
図12(a)は、概略断面図であり、
図12(b)は、概略斜視図である。なお、
図11(a)は、
図11(b)の図中破線αで切った断面図であり、
図12(a)は、
図12(b)の図中破線αで切った断面図である。
これら、変形例5、6は、固定軸95に軸受け96を介して金属歯車9aを回転自在に支持したものであり、金属歯車9aは、軸受け96に圧入されている。変形例5においては、内歯歯車16を、金属歯車9aに挿入し、金属歯車9aに締結している。変形例5では、金属歯車9aに段差を設けて、その段差面に内歯歯車16を嵌め込んでいるが、金属歯車9aに傾斜面を設けて、傾斜面に内歯歯車16を嵌め込んでもよい。
【0056】
一方、変形例6においては、内歯歯車16の貫通孔の内周面を凹凸形状にし、金属歯車9aの駆動モータ側の軸受けに圧入する箇所に、切り欠き状の溝部を設けている。そして、貫通孔の凸部を切り欠き状の溝部に入れ込んで、内歯歯車16も駆動モータ側の軸受けに圧入したものである。変形例6においては、金属歯車9aが圧入されている軸受けに内歯歯車を圧入しているので、偏心や振れを良好に抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。
【0057】
[変形例7]
図13は、変形例7の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例7においては、ネジにより締結する箇所を、内歯歯車16の内歯の外側に設けたものである。この変形例7の構成でも、負荷トルクを受ける箇所と内歯歯車16の駆動伝達部(モーターギヤと内歯との噛み合い部)との距離を短くすることができ、内歯歯車の捩れを抑制することができる。内歯よりも内側に内歯と噛み合う部材(例えば、モータギヤ)が配置されるため、内歯よりも内側に締結箇所を設けた場合は、ネジ16aに内歯と噛み合う部材がぶつかってしまい、締結箇所を内歯に十分に近づけることができないおそれがある。これに対し、この変形例3では、内歯の近い位置に締結箇所を設けても、ネジ16aが、内歯と噛み合う部材にぶつかることがなく、内歯と近い位置に締結箇所を設ける構成を容易に実現することができる。
【0058】
また、
図2~13においては、内歯歯車のネジ16aにより締結力が作用する方向において、第二駆動伝達手段9と内歯歯車16との締結面よりも、上流側に内歯を設けているが、上記締結面よりも下流側に内歯を設けてもよい。
図14は、
図3に対応する内歯歯車のネジ16aにより締結力が作用する方向において、第二駆動伝達手段9と内歯歯車16との締結面よりも下流側に内歯を設けた例である。
【0059】
図14に示すように駆動モータ側から、金属歯車9a、被締結部材9cが配置されている。この
図14では、内歯歯車16のネジによる締結力が作用する方向は、図中右方向であり、内歯歯車16の内歯が、内歯歯車16と被締結部材9cとの締結面よりも図中右側(締結力が作用する方向下流側)に配設されている。
【0060】
図15は、変形例1に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例であり、
図16は、変形例2に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例である。また、
図17は、変形例3に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例であり、
図18は、変形例4に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例である。また、
図19は、変形例5に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例であり、
図20は、変形例6に対応する上記締結面よりも下流側に内歯を設けた例である。
【0061】
このように、締結面よりも内歯歯車のネジ16aにより締結力が作用する方向下流側に内歯を設けた場合でも、
図3~12と同様な構成を採用することができる。また、
図14~
図20に示すように、内歯歯車の内歯を、第二駆動伝達手段9の外歯歯車の一部と対向させることができ、
図3~
図12に示す構成に比べて、駆動部の軸方向のサイズの小型化を図ることができる。
【0062】
[変形例8]
図21は、変形例8の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例は、第二駆動伝達手段9の金属歯車9aを、内歯歯車としたものであり、特開2014-111983号公報の
図2に記載の駆動部に、本実施形態の特徴部を適用したものである。すなわち、特開2014-111983号公報の
図2の駆動部は、同軸上に2つの内歯歯車が樹脂の一体成型品であり、剛性に乏しい構成であった。これに対し、この変形8では、出力側の内歯歯車を金属として、特開2014-111983号公報の
図2の駆動部に対して高剛性化を図れる。また、樹脂製の内歯歯車16を、金属の内歯歯車にネジで締結することで、内歯歯車16から駆動力が伝達される金属の内歯歯車が熱膨張率が低い金属部材であっても、温度上昇時においても良好に内歯歯車16から金属の内歯歯車へ駆動力を伝達することができる。またネジ締結することで、内歯歯車の内歯と金属の内歯歯車への駆動伝達箇所との距離が離れるのを抑制することができ、樹脂製の内歯歯車16の捩れを抑制することができる。
【0063】
[変形例9]
図22は、変形例9の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例9は、第二駆動伝達手段9の金属歯車9aに内歯を2箇所設けたものであり、特開2014-111983号公報の
図12に記載の駆動部に、本実施形態の特徴部を適用したものである。特開2014-111983号公報の
図12に記載の駆動部の2箇所に内歯を設けた駆動伝達部材は、樹脂製であったが、この変形例9では、この2箇所に内歯を設けた駆動伝達部材を金属製にすることで、特開2014-111983号公報の
図12に記載の駆動部に比べて、剛性を高めることができる。また、箇所に内歯を設けた金属製の駆動伝達部材と、樹脂製の内歯歯車16とをネジで締結することで、上述と同様、温度上昇時においても良好に駆動伝達を行なうことができ、樹脂製の内歯歯車16の捩れを抑制することができる。
【0064】
[変形例10]
図23は、変形例10の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例10は、内歯歯車16の外周面に外歯16cを設けたものである。
この変形例10の駆動部においても、内歯歯車と同軸上の外歯歯車を金属とすることで剛性を高めることができ、この金属の外歯歯車と樹脂製の内歯歯車とをネジで締結することで、温度上昇時においても良好に駆動伝達を行なうことができ、樹脂製の内歯歯車16の捩れを抑制することができる。
【0065】
[変形例11]
図24は、変形例11の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例11は、第二駆動伝達手段9の金属歯車9aにエンコーダディスク24aを取り付けた例である。本体側板200aには、光学センサ24bが取り付けられており、エンコーダディスク24aの円周方向に設けられた被検知部を光学センサ24bが検知することで、回転数などを検知することができる。
【0066】
[変形例12]
図25は、変形例12の駆動部の要部拡大構成図である。
この変形例25は、第二駆動伝達手段9を、被締結部材9cと金属軸9bとで構成し、一段減速で駆動ローラ67に駆動力を伝達するようにしたものである。金属軸9bは、駆動ローラ67の軸であり、被締結部材9cが圧入され、樹脂製の内歯歯車16が軽圧入されている。
【0067】
また、
図26に示すように、変形例2と同様、第二駆動伝達手段9を一部材で構成してもよい。
図26に示す構成とすることで、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0068】
また、
図27に示すように、被締結部材9cを、キー13により金属軸9bに固定してもよい。具体的には、金属軸の外周面と、被締結部材9cの内周面とにそれぞれキー13が嵌合する溝を設けて、これら溝にキー13を嵌め込むことで、被締結部材9cを、金属軸に固定する。また、
図28に示すように、被締結部材9cを、ピン14により金属軸9bに固定してもよい。ピン14としては、平行ピンやスプリングピンを用いることができる。
図27、
図28に示す構成とすることで、被締結部材9cを金属軸9bに圧入する場合に比べて、被締結部材の金属軸9bへの組み付けを容易に行なうことができる。
【0069】
また、
図29に示すように、被締結部材9cを摩擦締結で金属軸9bに固定してもよい。
図29(a)は、
図29(b)の図中一点鎖線βで切った断面図であり、
図29(b)は、
図29(a)の矢印方向から見た概略図である。
図29に示すように、被締結部材9cは、切り欠き部191cが設けられており、被締結部材9cの内径は、金属軸の外径よりも若干大きくなっている。また、被締結部材9cには、軸方向と直交する方向に延びる摩擦締結用ネジ挿入穴191dが設けられており、この摩擦締結用ネジ挿入穴191dは、被締結部材の外周面から切り欠き部191cまで延びる貫通穴である。切り欠き部191cを挟んで、摩擦締結用ネジ挿入穴191dと対向する箇所には、軸方向と直交する方向に延びる摩擦締結用ネジ穴191eが設けられている。
【0070】
上記摩擦締結用ネジ挿入穴191dに摩擦締結用ネジ16eを挿入し、切り欠き部191cを挟んで設けられた摩擦締結用ネジ穴191eに摩擦締結用ネジ16eをネジ込むことで、切り欠き部191cの間隔が狭まっていき、被締結部材9cの内径が、狭まっていく。そして、被締結部材9cの内周面が、金属軸9bの外周面に圧接し、被締結部材9cが金属軸9bに摩擦締結される。
図29の構成も、被締結部材9cを、容易に金属軸9bに挿入することができ、組み付けが容易となる利点がある。また、被締結部材9cの内周面が、金属軸9bの外周面に圧接することで、被締結部材9cを金属軸9bに圧入する場合と同様、被締結部材9cの芯出しを良好に行なうことができ、被締結部材9cの偏心を良好に抑制することができる。
【0071】
また、上述では、第二駆動伝達手段は、歯車を備えているが、
図30に示すように、歯車に替えて駆動ローラ67の軸端部に設けられた従動側ジョイント71に挿入されて、駆動連結するジョイント9fでもよい。また、
図31に示すように、駆動ローラ67の軸に設けられた従動側プーリ73に巻き回されたタイミングベルト117が巻き回されるプーリ9gとしてもよい。
【0072】
また、
図32に示すように、第二駆動伝達手段9を、駆動ローラの軸8と、金属歯車9aと、被締結部材9cとで構成してもよい。この
図32に示す構成では、金属歯車9aを、ベルトクリーニング装置75のベルトクリーニングローラ75aの軸に設けられたクリーニング歯車17に噛み合せている。この
図32に示す駆動部では、中間転写ベルト61と、ベルトクリーニングローラ75aとを駆動する。
【0073】
また、本駆動部20により駆動される回転体としては、中間転写ベルトに限られない。例えば、
図33に示すように、第二駆動伝達手段9を、感光体3の軸3aと、金属歯車9aと、被締結部材9cとで構成し、金属歯車9aを現像ローラ4aの軸に取り付けられた現像ギヤ15と噛み合う構成とし、感光体3と現像ローラ4aとを駆動してもよい。また、本駆動部20により駆動される回転体としては、二次転写ローラ72、ドラムクリーニング装置6のクリーニングローラ、記録紙Pを搬送する搬送ローラ、現像材攪拌スクリュー、廃トナー搬送スクリュー、定着ローラなどを挙げることができる。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
第一駆動伝達手段と、第一駆動伝達手段と同軸上に配置され、第一駆動伝達手段とは異なる材質からなる第二駆動伝達手段9とを備え、第一駆動伝達手段と第二駆動伝達手段との間で駆動源の駆動力が伝達される駆動部20などの駆動伝達装置において、第一駆動伝達手段は、内歯歯車16であり、第一駆動伝達手段を、第二駆動伝達手段9に締結した。
駆動源の駆動トルクを受ける第一駆動手段の入力側駆動伝達部と、負荷トルクを受ける第一駆動手段の出力側駆動伝達部との距離が離れるほど、第一駆動手段が回転方向に捩れやすくなる。第一駆動手段が回転方向に捩れることで、第一駆動手段の出力側駆動伝達部で回転速度が変動し、回転精度が低下してしまう。
上記特許文献1においては、第一駆動伝達手段である樹脂歯車の外周面に形成された外歯が駆動源の駆動トルクを受ける入力側駆動伝達部となり、樹脂歯車の軸孔の内周面に形成された複数のリブが、負荷トルクを受ける出力側駆動伝達部となる。このように、特許文献1では、第一駆動伝達手段の外周面と内周面との間の距離に応じて捩れが生じる。
これに対し、態様1では、第一駆動伝達手段と第二駆動伝達手段とを締結することで、第一駆動伝達手段と第二駆動伝達手段の間の駆動伝達が、締結箇所で行なわれることになる。この締結箇所は、第一駆動伝達手段の外周面と内周面との間に設けることが可能であり、第一駆動手段の負荷トルクを受ける出力側駆動伝達部と駆動トルクを受ける入力側駆動伝達部との間の距離を、特許文献1に記載のものよりも短くすることが可能となる。その結果、特許文献1に比べて、第一駆動伝達手段が回転方向に捩れるのを抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。
【0075】
(態様2)
態様1において、内歯歯車16である第一駆動伝達手段の熱膨張率が、第二駆動伝達手段9の熱膨張率よりも高い。
これによれば、実施形態で説明したように、内歯歯車16である第一駆動伝達手段の熱膨張率が、第二駆動伝達手段の熱膨張率よりも高い構成において、第一駆動伝達手段を第二駆動伝達手段に締結する態様1の構成を採用することで、温度上昇時でも、第一駆動伝達手段と第二駆動伝達手段との間で良好に駆動伝達を行なうことができる。
【0076】
(態様3)
態様1または2において、第二駆動伝達手段は、金属軸9bなどの被圧入部材と、被圧入部材に圧入される少なくともひとつ以上の圧入部材とで構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように金属軸9bなどの被圧入部材と圧入部材とを一体で回転させることができる。また、被圧入部材に対して圧入部材を精度よく芯出しすることができ、圧入部材の偏心を低減することができる。また、駆動爪の係合で軸との間で駆動伝達を行なうものに比べて、歪み(捩れ)の発生を低減することができる。
【0077】
(態様4)
態様3において、被圧入部材が、固定軸に支持される軸受である。
これによれば、
図11、
図12に示したように、固定軸に第二駆動伝達手段9を設けることができる。軸に対して精度よく芯出しすることができ、圧入部材の偏心を低減することができる。また、歪み(捩れ)の発生を低減することができる。
【0078】
(態様5)
態様3または4において、圧入部材は、歯車、プーリまたはジョイントである。
これによれば、捩れ偏心を低減することができるので、速度変動を抑制して、精度よく駆動伝達を行なうことができる。
【0079】
(態様6)
態様3乃至5いずれかにおいて、第二駆動伝達手段9は、圧入部材を2つ以上有しており、ひとつは、歯車、プーリまたはジョイントであり、他の一つは、内歯歯車16である第一駆動伝達手段が締結される被締結部材9cである。
歯車、プーリまたはジョイントに内歯歯車16である第一駆動伝達手段を締結する場合に比べて、第一駆動手段の駆動伝達部(内歯とモータギヤとの噛み合い部)に近い位置で締結することが可能となり、第一駆動伝達手段が捩れるのを抑制することができる。また、被締結部材は、圧入で金属軸9bなどの被圧入部材に固定されるので、被締結部材9cの偏心を抑制することができ、被締結部材9cを介して、第一駆動伝達手段から歯車、プーリまたはジョイントに精度よく駆動伝達を行なうことができる。
【0080】
(態様7)
態様3乃至6いずれかにおいて、内歯歯車16である第一駆動伝達手段を、圧入部材に締結した。
これによれば、変形例1、2で説明したように、被締結部材を設けるものにくらべて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0081】
(態様8)
態様1または2において、第二駆動伝達手段は、軸部92bと外歯歯車部92aなどの駆動伝達部とを有する金属部材92などの構成部材を備える。
これによれば、変形例2、3で説明したように、金属軸と駆動伝達部材とをそれぞれ備えるものに比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0082】
(態様9)
態様8において、金属部材92などの構成部材に内歯歯車16である第一駆動伝達手段が締結される。
これによれば、変形例2で説明したように、部品点数削減による装置のコストダウンを図ることができる。また、圧入部材がなくなり、容易に組み立てることができる。
【0083】
(態様10)
態様8において、第二駆動伝達手段9は、金属部材93などの構成部材に圧入され、第一駆動伝達手段が締結される被締結部材9cを有する。
これによれば、変形例3で説明したように、外歯歯車部93aなどの駆動伝達部の外側に内歯歯車16が締結される箇所を、容易に形成することができる。
【0084】
(態様11)
態様1または2において、第二駆動伝達手段9は、軸部92bと内歯歯車16である第一駆動伝達手段が締結される被締結部92cを有する構成部材を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
これによれば、
図26に示したように、金属軸と被締結部材とをそれぞれ備えるものに比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0085】
(態様12)
態様1または2において、第二駆動伝達手段9は、金属軸9bなどの回転軸と、内歯歯車16である第一駆動伝達手段が締結される被締結部材9cと、回転軸と被締結部材とを駆動連結するキー13やピン14などの連結部材とで構成されている。
これによれば、
図27、
図28を用いて説明したように、被締結部材9cを金属軸9bに圧入する場合に比べて、被締結部材の金属軸9bへの組み付けを容易に行なうことができる。
【0086】
(態様13)
態様12において、連結部材が、キー13、平行ピンまたはスプリングピンである。
これによれば、
図27、
図28を用いて説明したように、被締結部材9cと金属軸9bとを駆動連結することができ、内歯歯車から被締結部材9cに伝達された駆動力を、金属軸9bに伝達することができる。
【0087】
(態様14)
態様1または2において、第二駆動伝達手段9は、金属軸9bなどの回転軸と、内歯歯車16である第一駆動伝達手段が締結される被締結部材9cと、被締結部材9cを回転軸に固定する摩擦締結用ネジ16eなどの回転軸締結部材とで構成されている。
これによれば、
図29を用いて説明したように、被締結部材9cを金属軸9bに圧入する場合に比べて、被締結部材の金属軸9bへの組み付けを容易に行なうことができる。
【0088】
(態様15)
態様14において、摩擦締結用ネジ16eなどの回転軸締結部材により金属軸9bなどの回転軸と被締結部材9cとを摩擦締結した。
これによれば、
図29を用いて説明したように、被締結部材9cを金属軸9bに圧入する場合と同様、被締結部材9cの芯出しを良好に行なうことができ、被締結部材9cの偏心を良好に抑制することができる。
【0089】
(態様16)
態様1乃至15いずれかにおいて、締結によって内歯歯車16である第一駆動伝達手段に作用する締結力の作用方向において、第一駆動伝達手段の内歯部が、第一駆動伝達手段と前記第二駆動伝達手段との締結面よりも下流側に位置する。
これによれば、
図14~
図20に示すように、内歯歯車16の内歯部を、第二駆動伝達手段9の外歯歯車の一部と対向させることができ、
図3~
図12に示す構成に比べて、駆動部の軸方向のサイズの小型化を図ることができる。
【0090】
(態様17)
態様1乃至15いずれかにおいて、締結によって内歯歯車16である第一駆動伝達手段に作用する締結力の作用方向において、第一駆動伝達手段の内歯部が、第一駆動伝達手段と前記第二駆動伝達手段との締結面よりも上流側に位置する。
これによれば、
図3~
図12に示したような構成にすることができる。
【0091】
(態様18)
態様1乃至17いずれかにおいて、内歯歯車16である第一駆動伝達手段が、樹脂系材料で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、噛み合い振動などの駆動伝達時の振動や騒音を良好に抑制することができる。
【0092】
(態様19)
態様1乃至18いずれかにおいて、第二駆動伝達手段9を構成する部材の少なくともひとつが金属類で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、装置の耐久性を高めることができる。また、装置の回転方向の剛性を高めることができ、負荷変動時の速度変動を抑制することができる。
【0093】
(態様20)
態様1乃至19いずれかにおいて、内歯歯車16である第一駆動伝達手段の駆動伝達面は、第二駆動伝達手段9の駆動伝達面よりも軸中心から離れた位置にあり、径方向において、第二駆動伝達手段の駆動伝達面と、第一駆動伝達手段の駆動伝達面との間で、第一駆動伝達手段が、第二駆動伝達手段に締結されている。
これによれば、実施形態で説明したように、第二駆動伝達手段の駆動伝達面よりも軸中心側で、第一駆動伝達手段を締結するものに比べて、第一駆動伝達手段の駆動伝達面と、締結箇所とを近づけることができ、第一駆動伝達手段の歪み(捩れ)を抑制することができる。よって、回転精度の悪化を抑制することができる。
【0094】
(態様21)
態様1乃至19において、内歯歯車16である記第一駆動伝達手段の内歯である駆動伝達面よりも軸中心から離れた位置で前記第一駆動伝達手段が、前記第二駆動伝達手段に締結されている。
これによれば、変形例7で説明したように、ネジ16aなどの締結部材が、内歯と噛み合う部材にぶつかることがなく、内歯と近い位置に締結箇所を設ける構成を容易に実現することができる。
【0095】
(態様22)
回転体と、回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置とを備えた画像形成装置において、駆動伝達装置として、態様1乃至21いずれかの駆動伝達装置を用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、回転体の速度変動を抑制することができ、良好な画像を得ることができる。
【0096】
(態様23)
態様22において、回転体が、中間転写ベルト61などの中間転写体である。
これによれば、二次転写ニップに厚紙が進入したときなどの負荷トルクが上昇時の中間転写ベルト61などの中間転写体の速度変動を抑制することができ、バンディングなどの異常画像の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0097】
3 :感光体
4a :現像ローラ
7 :中転歯車
8 :軸
9 :第二駆動伝達手段
9a :金属歯車
9b :金属軸
9c :被締結部材
9f :ジョイント
9g :プーリ
10 :駆動モータ
10a :モータギヤ
13 :キー
14 :ピン
15 :現像ギヤ
16 :内歯歯車
16a :ネジ
16c :外歯
16e :摩擦締結用ネジ
17 :クリーニング歯車
20 :駆動部
24a :エンコーダディスク
24b :光学センサ
91c :ネジ穴
92 :金属部材
92a :外歯歯車部
92b :軸部
92c :被締結部
93 :金属部材
93a :外歯歯車部
93b :軸部
95 :固定軸
96 :軸受け
117 :タイミングベルト
191c :切り欠き部
191d :摩擦締結用ネジ挿入穴
191e :摩擦締結用ネジ穴
200 :プリンタ
200a :本体側板
200b :モータ保持側板
201 :軸受け
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】