(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】払拭装置、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20221004BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B41J2/165 305
B41J2/165 303
B41J2/165 307
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2018171700
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】長谷 貴之
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0015101(US,A1)
【文献】特開2018-079684(JP,A)
【文献】特開2009-286077(JP,A)
【文献】特開2010-253823(JP,A)
【文献】特開平10-146984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭対象を払拭するウェブ状の第1払拭部材と、
前記払拭対象を払拭するブレード状の第2払拭部材と、を備え、
前記第2払拭部材は、少なくとも、前記払拭対象を払拭する位置と前記第1払拭部材に押し付ける位置との間で移動可能であり、
前記第2払拭部材を前記第1払拭部材に押し付けたまま前記第1払拭部材を巻取る巻取り動作を行い、
前記第2払拭部材を前記第1払拭部材に押し付けた状態で、前記第1払拭部材により前記払拭対象を払拭する払拭動作を行
い、
前記第2払拭部材は可撓性を有する部材であり、
前記第2払拭部材の押し当て量を調整可能である
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
前記第2払拭部材の押し当て量は、前記第1払拭部材の巻き径及び材質の少なくともいずれかに基づいて調整する
ことを特徴とする請求項
1に記載の払拭装置。
【請求項3】
払拭対象を払拭するウェブ状の第1払拭部材と、
前記払拭対象を払拭するブレード状の第2払拭部材と、を備え、
前記第2払拭部材は、少なくとも、前記払拭対象を払拭する位置と前記第1払拭部材に押し付ける位置との間で移動可能であり、
前記第2払拭部材を前記第1払拭部材に押し付けたまま前記第1払拭部材を巻取る巻取り動作を行い、
前記第2払拭部材は可撓性を有する部材であり、
前記第2払拭部材の押し当て量を調整可能であり、
前記第2払拭部材の押し当て量は、前記第1払拭部材の巻き径及び材質の少なくともいずれかに基づいて調整する
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項4】
液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス装置であって、
請求項1ないし
3のいずれかに記載の払拭装置を備えている
ことを特徴とするヘッドメンテナンス装置。
【請求項5】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
請求項1ないし
3のいずれかに記載の払拭装置、又は請求項
4に記載のメンテナンス装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は払拭装置、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを使用する場合、ノズルの状態を維持回復するため、ノズル面をキャッピングするキャップ、ノズル面を払拭清掃する払拭装置などを含む維持回復機構(メンテナンス装置)を備える。
【0003】
従来、ノズル面を払拭するウェブと、ノズル面を払拭するブレード状のワイパと、を備え、ワイパをウェブに押し当てて清掃するようにした払拭装置としてのヘッド清掃装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウェブを使用する場合、ウェブを巻き回した繰り出し側ロールとウェブを巻き取る巻取り側ロールを備え、巻取り側ロールを回転駆動し、繰り出し側ロールを自由回転とする構成が採用される。
【0006】
しかしながら、繰り出し側ロールが自由回転可能であると、ウェブを巻き取るときにウェブに弛みが生じるという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でウェブ状払拭部材の弛みを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る払拭装置は、
払拭対象を払拭するウェブ状の第1払拭部材と、
前記払拭対象を払拭するブレード状の第2払拭部材と、を備え、
前記第2払拭部材は、少なくとも、前記払拭対象を払拭する位置と前記第1払拭部材に押し付ける位置との間で移動可能であり、
前記第2払拭部材を前記第1払拭部材に押し付けたまま前記第1払拭部材を巻取る巻取り動作を行い、
前記第2払拭部材を前記第1払拭部材に押し付けた状態で、前記第1払拭部材により前記払拭対象を払拭する払拭動作を行い、
前記第2払拭部材は可撓性を有する部材であり、
前記第2払拭部材の押し当て量を調整可能である
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成でウェブ状払拭部材の弛みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る払拭装置の側面説明図である。
【
図3】同実施形態の払拭動作の説明に供する払拭開始位置での側面説明図である。
【
図6】払拭制御部による巻取り動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図7】同巻取り動作の説明に供する側面説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る払拭装置の払拭制御部による払拭動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図9】同払拭動作の説明に供する側面説明図である。
【
図10】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の機構部の平面説明図である。
【
図12】本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の制御部の一例のブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る払拭装置について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同払拭装置の側面説明図、
図2は同払拭装置の平面説明図である。
【0012】
この払拭装置1は、液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)411のノズル面411aを払拭対象として払拭する。
【0013】
払拭装置1は、払拭対象であるノズル面411aを払拭する第1払拭部材であるウェブ状の払拭部材としてのウェブ2と、第2払拭部材である可撓性を有するブレード状のワイパ14を備えている。これらのウェブ2及びワイパ14は、
図2に示す側板18,19間に保持されている。
【0014】
ウェブ2としては、吸収性を有し、少なくとも使用する液体に対して耐液性を有するとともに、毛羽立ちや発塵を生じないシート状の材料からなることが好ましく、例えば、不織布、布、フィルム、紙などが挙げられる。
【0015】
ウェブ2は繰り出しローラ3に巻き回された繰り出し側ロール2Aから矢印A方向に繰り出され、搬送ローラ4、5を経て、巻取りローラ6に巻取り側ロール2Aとして巻き取られる。
【0016】
搬送ローラ4、5は側板18、18に回転可能に保持されている。ここでは、繰り出し側ロール2Aを払拭方向の上流側に、巻取り側ロール2Bを払拭方向の下流側に配置し、ウェブ2は払拭方向に沿う方向に巻き取る構成としている。
【0017】
2つの搬送ローラ4、5の間には、ウェブ2をノズル面411aに押し付ける押し付け部材11が配置されている。押し付け部材11は、ノズル面411aにウェブ2を接触させるときには、スプリング12によって所定の押し付け力でウェブ2をノズル面411aに押し付ける。
【0018】
巻取りローラ6には、巻取りモータ8の駆動力がギヤ列からなる伝達機構7を介して伝達される。
【0019】
搬送ローラ4にはコードホイール9を取り付け、このコードホイール9に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ10を設けている。これらのコードホイール9とエンコーダセンサ10によってウェブ2の移動距離(送り量)を検出するエンコーダ19を構成している。
【0020】
また、ウェブ2に対して払拭方向上流側にワイパ14が配置されている。ワイパ14は、ワイパホルダ13に保持されている。ワイパホルダ13の軸15の端部は側板18、18に回転可能に保持されている。
【0021】
ワイパ14は、ウェブ2がノズル面411aに接触する位置(押し付け部材11の位置)よりもウェブ2の移動方向で上流側に配置されている。
【0022】
そして、ステッピングモータなどのワイパモータ17の回転を、ギヤ列で構成した伝達機構16を介してワイパホルダ13の軸15に伝達し、ワイパモータ17によってワイパホルダ13を回転可能としている。
【0023】
これにより、ワイパ14は、少なくとも、ノズル面411aに接触可能な高さの実線図示の位置(払拭位置)と、ウェブ2に押し付ける破線図示の位置との間で変位可能(移動可能)としている。
【0024】
この場合、ワイパ14をウェブ2に押し付ける押し付け位置は、ウェブ2を案内する搬送ローラ4に対向する位置としている。これにより、ワイパ14をウェブ2に確実に押し付けて、ウェブ2を巻き取るときにバックテンションを付与することができる。
【0025】
上述したウェブ2、繰り出し側ロール2A、巻取り側ロール2B、搬送ローラ4、5、伝達機構7、巻取りモータ8、ワイパホルダ13、伝達機構16、ワイパモータ17などは、ヘッド411に対して相対的に移動する移動部材30に搭載されている。
【0026】
移動部材30は、ヘッド411のノズル配列方向である矢印Y方向(払拭方向)に往復移動可能に配置されている。この移動部材30の払拭方向への移動は、ラック31及びピニオン32と、ピニオン32を回転させる移動モータ33を含む移動機構で行っている。移動部材30の移動は、タイミングベルトとプーリを含む移動機構などで行うこともできる。
【0027】
また、移動部材30は、ウェブ2及びワイパ14がノズル面411aに対して進退する方向、ここでは上下方向に移動可能(昇降可能)に配置されている。移動部材30の昇降は、例えばカム35と、カム35を回転させる昇降モータ36を含む昇降機構によって行われる。移動部材30の昇降は、ラックとピニオンを含む昇降機構などで行うこともできる。
【0028】
ウェブ2を送る巻き取りモータ8、ワイパ14を回動(移動)させるワイパモータ17、移動モータ33及び昇降モータ36は払拭制御部200によって駆動制御される。
【0029】
次に、本実施形態の払拭動作について
図3ないし
図5を参照して説明する。
図3は払拭開始位置での側面説明図、
図4は払拭動作中の側面説明図、
図5は払拭終了位置での側面説明図である。
【0030】
まず、ヘッド411のノズル面411aの払拭清掃を行うときには、
図3に示すように、移動部材30が上昇して、ヘッド411のノズル面411aの払拭開始となる一端部に、ウェブ2が所定の押圧力で押付けられる。このとき、ワイパ14はノズル面411aには接触していない。
【0031】
そして、
図4に示すように、移動部材30が払拭方向(Y1方向)に移動されることで、ウェブ2によってノズル面411aに残留している液体(廃液という)300が払拭ないし吸収されて除去される。
【0032】
次いで、ウェブ2が所定位置まで移動したときに、ワイパ14がノズル面411aに一端部側から接触し、ワイパ14は移動部材30の移動に伴ってウェブ2で拭き残した廃液300を払拭しながら払拭方向に移動する。
【0033】
そして、
図5に示すように、ワイパ14がノズル面411aの他端部に到達した位置で、移動部材30の払拭方向への移動を停止させ、その後に、移動部材30を下降させて、ワイパ14をノズル面411aから離間させる。
【0034】
これにより、ワイパ14が弾性により変形していた状態から直立状態に戻るときに、ワイパ14に付着した廃液を払拭方向前方に吹き飛ばして、廃液が飛散することによる汚れを防止することができる。
【0035】
次に、ウェブの巻取り動作について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は払拭制御部による巻取り動作の制御の説明に供するフロー図、
図7は巻取り動作の説明に供する側面説明図である。
【0036】
払拭制御部200は、
図6に示すように、ウェブ2の巻き取り動作を行うときには、ワイパモータ17を回転駆動してワイパ14を回転させ、
図7に示すように、ウェブ2にワイパ14を押し付ける。
【0037】
そして、巻取りモータ8を回転駆動して、巻取り側ロール2Bを回転させ、ウェブ2を巻取り側ロール2Bに所定量巻き取る。
【0038】
このとき、ウェブ2にはワイパ14が押し付けられていることでバックテンションがかかり、この状態でウェブ2を巻き取ることで、ウェブ2の弛みを生じることなく巻き取ることができる。
【0039】
この場合、ワイパ14は可撓性を有するので、押し付け量(押し付け力)を調整可能である。そこで、巻取り側ロール2Bの巻き径(又は、繰り出し側ロール2Aの巻き径)に応じてワイパモータ17の駆動量を調整して、ワイパ14の押し付け量(押し付け力)を調整することが好ましい。これにより、ウェブ2に対して適切なバックテンションを付与することができる。
【0040】
同様に、ウェブ2の材質に応じてワイパモータ17の駆動量を調整して、ワイパ14の押し付け量(押し付け力)を調整することが好ましい。これにより、ウェブ2に対して適切なバックテンションを付与することができる。
【0041】
このように、ワイパ14をウェブ2に押し付けた状態でウェブ2を巻き取る巻取り動作を行うことで、ウェブ2にバックテンションを付与した状態で巻取りを行うことができ、ウェブ2の弛みを抑制でき、適切な巻き圧で巻取り側ロール2Bに巻き取ることができる。
【0042】
また、ワイパ14をウェブ2に押し付けることで、ワイパ14に付着した廃液300を除去してワイパ14を清浄化することができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について
図8及び
図9も参照して説明する。
図8は払拭制御部による払拭動作の制御の説明に供するフロー図、
図9は払拭動作の説明に供する側面説明図である。
【0044】
本実施形態では、前述した第1実施形態と同様に、ワイパモータ17を回転駆動してワイパ14をウェブ2に押し付けた状態で巻取り側ロール2Bを回転させてウェブ2を所定量巻き取る。これにより、ウェブ2はバックテンションがかかった状態で巻き取られる。
【0045】
その後、ワイパ14をウェブ2に押し付けた状態のまま、つまり、ウェブ2にテンションをかけたまま、
図9に示すように、ウェブ2を払拭開始位置に移動し、ウェブ2をノズル面411aに押し付ける。そして、移動部材30を払拭方向Yに移動させてウェブ2でノズル面411aを払拭した後、ウェブ2を下降させる払拭動作を行う。
【0046】
このとき、ウェブ2にはテンションがかっているので、ウェブ2を安定した状態でノズル面411a(払拭対象)に押し付けて払拭を行うことができ、払拭性が向上する。
【0047】
なお、本実施形態の構成では、ウェブ2で払拭するときにワイパ14による払拭は行われない。通常はウェブ2による払拭のみを行い、経時的に所定時間が経過したときなどにワイパ14による払拭を併用する場合に有効である。
【0048】
上記各実施形態においては、払拭対象が液体吐出ヘッドのノズル面である例で説明しているが、払拭対象はノズル面に限定されるものではない。
【0049】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は同装置の機構部の平面説明図、
図11は同じく要部側面説明図である。
【0050】
この液体を吐出する装置400は、シリアル型装置である。左右の側板401A、401Bに架け渡した主ガイド部材402及び従ガイド板403などのガイド機構でキャリッジ405を主走査方向に移動可能に保持している。
【0051】
キャリッジ405には、3つの液体吐出ユニット410(410a~410c)を搭載している。液体吐出ユニット410は、液体吐出手段としての液体吐出ヘッド(ヘッド)411と、ヘッド411に液体を供給するサブタンク412とを一体化して構成している。
【0052】
装置本体側には、各色の液体を収容した複数のメインタンク(液体カートリッジ)420が交換可能に装着されるカートリッジホルダ421が配置されている。このカートリッジホルダ421に装着されたメインタンク420から送液ポンプなどによって各色の供給チューブで構成した液体経路423を介して各液体吐出ユニット410のヘッド411に各色の液体が供給される。
【0053】
一方、シート材430を搬送方向に搬送するために、シート材430を吸着してヘッド411に対向して搬送する搬送手段440を備えている。
【0054】
搬送手段440は、搬送ローラ441と、搬送ローラ441に加圧されて接触する加圧ローラ442と、ヘッド411に対向するプラテン部材443と、プラテン部材443の吸引孔443aを介してシート材430を吸着する吸引機構部434などで構成される。なお、図では吸引孔443aは部分的に図示しているが、プラテン部材443の全体に配置される。
【0055】
また、キャリッジ405の主走査方向の一方側にはヘッド411の維持回復(メンテナンス)を行う維持回復機構450が配置されている。
【0056】
維持回復機構450は、本発明に係るヘッドメンテナンス装置であり、例えばヘッド411のノズル面411aをキャッピングするキャップ451と、ノズル面411aを払拭する本発明に係る払拭装置1を備えている。
【0057】
この液体を吐出する装置400においては、シート材430を搬送ローラ441及び加圧ローラ442によってプラテン部材443上を吸着しながら搬送方向に搬送する。
【0058】
そこで、キャリッジ405を主走査方向に移動させながら印刷信号に応じてヘッド411を駆動することにより、停止しているシート材430に所要の色の液体を吐出して1行分を印刷し、シート材430を所定量搬送後、次の行の印刷を行うことを繰り返して印刷し、シート材430を排出する。
【0059】
このように、本発明に係る払拭装置を含むメンテナンス装置を備えていることで、ヘッド面を清浄化して安定した液体吐出を行うことができ、また、装置の小型化を図ることができる。
【0060】
次に、本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の制御部の一例について
図12のブロック説明図を参照して説明する。
【0061】
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
【0062】
また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0063】
また、制御部500は、液体吐出ヘッド20を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ405側に設けた液体吐出ヘッド20を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509とを備えている。
【0064】
また、制御部500は、キャリッジ405を移動走査する主走査モータ551、搬送手段440を駆動する送りモータ552、維持回復機構(ヘッドメンテナンス装置)450のキャップ451の移動(昇降)、吸引手段の駆動などを行なう維持回復モータ553を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
【0065】
また、制御部500は、払拭装置1を駆動する払拭制御部200を備えている。
【0066】
また、制御部500は、I/O部513を備えている。I/O部513は、温度センサ、その他装置に装着されている各種のセンサ群570からの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
【0067】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0068】
制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト590のプリンタドライバ591側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0069】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。
【0070】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。
【0071】
この印刷制御部508は、ROM502に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
【0072】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力されるヘッド411の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択してヘッド4の圧力発生手段に対して与える。これにより、ヘッド411を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0073】
払拭制御部200は、前述したように、払拭装置1の巻取りモータ8、ワイパモータ17、移動モータ33、昇降モータ36などを駆動制御して払拭動作(巻取り動作を含む)を制御する。
【0074】
そして、この装置400では、ウェブ2及びワイパ14を使用して払拭を行う第1モードと、ウェブ2のみを使用して払拭を行う第2モードとを備える。
【0075】
これらの払拭モードは、ユーザの印刷設定に対応させることができる。例えば、払拭動作を第2モードで行うか、第1モードで行うかについて、払拭動作前の印刷モードとの関連付けを行うようにすることができる。
【0076】
具体的には、大量印刷を行った後や、インクを多量に使用した印刷時の後にはウェブとワイパを併用する第1モードで払拭動作を行う。一方、印刷枚数が少ない場合や、一定の期間においてインクの使用量が少ない場合などは、ワイパを使用せずウェブのみの第2モードで払拭動作を行う。
【0077】
なお、これらのモード選択は、操作パネル514やホスト側から設定することができる。
【0078】
そして、第2モードでは、前述した第2実施形態で説明したように、ワイパ14をウェブ2に押し付けてテンションを付与した状態で巻取りを含む払拭動作を行うようにしている。
【0079】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0080】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0081】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0082】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0083】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0084】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0085】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0086】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0087】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0088】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0089】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0090】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0091】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0092】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0093】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0094】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0095】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0096】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0097】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0098】
1 払拭装置
2 ウェブ(第1払拭部材)
2A 繰り出し側ロール
2B 巻取り側ロール
3 繰り出しローラ
4、5 搬送ローラ
6 巻取りローラ
13 ワイパホルダ
14 ワイパ(第2払拭部材)
200 払拭制御部