(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】結像レンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G02B13/04 D
(21)【出願番号】P 2018206711
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】長能 卓哉
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-220527(JP,A)
【文献】特開昭62-249119(JP,A)
【文献】特開昭61-140910(JP,A)
【文献】特開平04-050910(JP,A)
【文献】特開平02-167515(JP,A)
【文献】特開2013-054269(JP,A)
【文献】特開2017-003807(JP,A)
【文献】中国実用新案第207586521(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ向かって順に、第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第3レンズ群
、を配してなり、
無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第2レンズ群と前記絞りと前記第3レンズ群とが一体として、前記第1レンズ群との間隔を減少するように物体側へ移動する結像レンズであって、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL
21、正レンズL
22、負レンズL
23、正レンズL
24の4枚のレンズを配して構成され
、
前記第2レンズ群の焦点距離:f
2g
、前記正レンズL
22
と前記負レンズL
23
の合成焦点距離:f
L22L23
が、条件式:
(6) 0.20 < f
2g
/f
L22L23
< 0.65
を満足する結像レンズ。
【請求項2】
物体側から像側へ向かって順に、第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第3レンズ群、を配してなり、
無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第2レンズ群と前記絞りと前記第3レンズ群とが一体として、前記第1レンズ群との間隔を減少するように物体側へ移動する結像レンズであって、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL
21
、正レンズL
22
、負レンズL
23
、正レンズL
24
の4枚のレンズを配して構成され、
前記第3レンズ群は、最も物体側に、負レンズL
31
と正レンズL
32
の接合レンズを有し、
前記負レンズL
31
の物体側レンズ面の曲率半径:R
L31a
、前記正レンズL
32
の像側レンズ面の曲率半径:R
L32b
が、条件式:
(9) -0.35 < (R
L31a
- R
L32b
)/(R
L31a
+ R
L32b
) < -0.03
を満足し、
前記第3レンズ群の前記正レンズL
32
の材質の、d線の屈折率:nd、d線のアッベ数:νd、および、g線、F線、C線に対する屈折率:ng,nF,nCにより、
θ
g,F
=(ng - nF)/(nF - nC)
で定義される前記材質の部分分散比:θ
g,F
が以下の条件式:
(10) 1.45 < nd < 1.65
(11) 60.0 < νd < 95.0
(12) 0.009 < θ
g,F
- (-0.001802×νd + 0.6483) < 0.060
を満足する結像レンズ。
【請求項3】
請求項1記載の結像レンズであって、
前記第3レンズ群は、最も物体側に、負レンズL
31
と正レンズL
32
の接合レンズを有し、
前記負レンズL
31
の物体側レンズ面の曲率半径:R
L31a
、前記正レンズL
32
の像側レンズ面の曲率半径:R
L32b
が、条件式:
(9) -0.35 < (R
L31a
- R
L32b
)/(R
L31a
+ R
L32b
) < -0.03
を満足し、
前記第3レンズ群の前記正レンズL
32
の材質の、d線の屈折率:nd、d線のアッベ数:νd、および、g線、F線、C線に対する屈折率:ng,nF,nCにより、
θ
g,F
=(ng - nF)/(nF - nC)
で定義される前記材質の部分分散比:θ
g,F
が以下の条件式:
(10) 1.45 < nd < 1.65
(11) 60.0 < νd < 95.0
(12) 0.009 < θ
g,F
- (-0.001802×νd + 0.6483) < 0.060
を満足する結像レンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項にの結像レンズであって、
前記第2レンズ群における前記正レンズL
22
の物体側レンズ面から前記負レンズL
23
の像側レンズ面までの光軸上の距離:d
L22a-L23b
、前記負レンズL
21
の物体側レンズ面から前記正レンズL
24
の像側レンズ面までの光軸上の距離:L
2g
が、条件式:
(1) 0.40 <d
L22a-L23b
/L
2g
< 0.75
を満足する結像レンズ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の結像レンズであって、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の合成焦点距離:f
2g3g
が、条件式:
(2) 1.15 < f
2g3g
/f < 1.45
を満足する結像レンズ。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の結像レンズであって、
前記負レンズL
21
の焦点距離:f
L21
、前記正レンズL
24
の合成焦点距離f
L24
が、条件式:
(3) -0.85 < f
L21
/f
L24
< -0.45
を満足する結像レンズ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記負レンズL
21
の像側レンズ面の曲率半径:R
L21b
、前記正レンズL
24
の像側レンズ面の曲率半径:R
L24b
が、条件式:
(4) -0.50 < (R
L21b
+ R
L24b
)/(R
L21b
- R
L24b
) < -0.05
を満足する結像レンズ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記正レンズL
22
の焦点距離:f
L22
、前記負レンズL
23
の焦点距離:f
L23
が、条件式:
(5) -0.85 < f
L22
/f
L23
< -0.25
を満足する結像レンズ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に載の結像レンズであって、
前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離:L
3g
、前記負レンズL
21
の物体側レンズ面から前記正レンズL
24
の像側レンズ面までの光軸上の距離:L
2g
が、条件式:
(7) 0.40 < L
3g
/L
2g
< 1.00
を満足する結像レンズ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記第2レンズ群の焦点距離:f
2g
、前記第3レンズ群の焦点距離:f
3g
が、条件式:
(8) 0.60 < f
2g
/f
3g
< 1.50
を満足する結像レンズ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記第3レンズ群は、前記負レンズL
31
と前記正レンズL
32
の接合レンズの像側に、物体側から順に、負レンズL
33
、正レンズL
34
、正レンズL
35
を有して構成される結像レンズ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記第1レンズ群が負の屈折力を有するレンズ群である結像レンズ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
フォーカシング時に、前記第1レンズ群が像面に対して固定されている結像レンズ。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群を構成する全てのレンズが球面レンズである結像レンズ。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の結像レンズであって、
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群を構成する全てのレンズの材質が、無機固体材料である結像レンズ。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の結像レンズを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は結像レンズおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エリアセンサを用いた撮像装置は、コンパクトカメラや一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ等の「被写体を撮影する撮影カメラ」が従来から広く知られているが、近来、産業用カメラや車載カメラ、監視用カメラ等へ「活用の幅」が広がっている。
撮像装置に用いられる結像レンズでは、フォーカシング(合焦動作)に伴う性能の劣化が少なく、安定していることが重要であり、フォーカシングに伴う性能変動を抑制するものとして、特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、フォーカシングに伴うレンズ性能の変動を有効に抑制可能で新規な結像レンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の結像レンズは、物体側から像側へ向かって順に、第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第3レンズ群、を配してなり、無限遠から近距離へのフォーカシング時に、前記第2レンズ群と前記絞りと前記第3レンズ群とが一体として、前記第1レンズ群との間隔を減少するように物体側へ移動する結像レンズであって、前記第2レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL21、正レンズL22、負レンズL23、正レンズL24の4枚のレンズを配して構成され、前記第2レンズ群の焦点距離:f
2g
、前記正レンズL
22
と前記負レンズL
23
の合成焦点距離:f
L22L23
が、条件式:
(6) 0.20 < f
2g
/f
L22L23
< 0.65
を満足する。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、フォーカシングに伴うレンズ性能の変動を有効に抑制可能で新規な結像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例1の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図2】実施例2の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図3】実施例3の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図4】実施例4の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図5】実施例5の結像レンズの構成を示す断面図である。
【
図6】実施例1の結像レンズを無限遠物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図7】実施例1の結像レンズを倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図8】実施例1の結像レンズを倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図9】実施例2の結像レンズを無限遠物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図10】実施例2の結像レンズを倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図11】実施例2の結像レンズを倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図12】実施例3の結像レンズを無限遠物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図13】実施例3の結像レンズを倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図14】実施例3の結像レンズを倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図15】実施例4の結像レンズを無限遠物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図16】実施例4の結像レンズを倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図17】実施例4の結像レンズを倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図18】実施例5の結像レンズを無限遠物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図19】実施例5の結像レンズを倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図20】実施例5の結像レンズを倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態における収差図である。
【
図21】撮像装置の実施の1例を説明図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を説明する。
図1および
図5に、結像レンズの実施形態を5例示す。これらは、図示の順序で後述する実施例1ないし5に対応する。
これらの図に実施形態を示す結像レンズは産業用カメラの1例である「製品検査装置等のマシンビジョン」に用いられる結像レンズを想定している。
図1ないし
図5において図の左側が「物体側」であり、右側が「像側」である。
上段の図は、結像レンズを「無限遠に合焦」させたときのレンズ配置、中段の図は、「中距離に合焦」させたときのレンズ配置、下段の図は「近距離に合焦」させたときのレンズ配置を示している。「中距離」は、後述の実施例の場合で言えば、倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた場合である。
繁雑を避けるため、
図1ないし
図5において符号を共通化する。
即ち、これらの図において、符号G1は「第1レンズ群」、符号G2は「第2レンズ群」、符号G3は「第3レンズ群」をそれぞれ示す。また、符号Sは「絞り」を示す。
第3レンズ群G3の像側における符号Imは「像面」を示す。以下に説明する結像レンズを用いる撮像装置では、結像レンズにより結像される物体像をCCDエリアセンサやMOSセンサ、CMOSセンサ等の「エリアセンサ」で撮像することが想定され、物体像は像面Imに合致させたセンサ受光面に結像させられる。像面Imの物体側に符号Fで示すのはエリアセンサのカバーガラスや各種のフィルタを「これらに等価な1枚の透明板」として図示したものである。
【0008】
第1レンズ群G1は「正または負の屈折力」を有し、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3は共に「正の屈折力」を有する。
図1ないし
図5に示すように、無限遠(上段の図)から近距離(下段の図)へのフォーカシング時に、第2レンズ群G2と絞りSと第3レンズ群G3とが一体として、第1レンズ群G1との間隔を減少するように物体側へ移動する。
【0009】
これらの実施例において、第1レンズ群G1は2枚、第3レンズ群G3は5枚のレンズにより構成されているが、これら第1レンズ群G1、第3レンズ群G3のレンズ枚数はこれに限定されない。
第2レンズ群G2は、4枚のレンズで構成されている。これら4枚のレンズを物体側から順に、負レンズL21、正レンズL22、負レンズL23、正レンズL24と呼び、図中に符号L21、L22、L23、L24で示す。
第2レンズ群G2は、負レンズL21の像側レンズ面で発生した球面収差やコマ収差等を、正レンズL24で打ち消すことにより収差補正を行なうが、これだけで十分な収差補正とはならず、フォーカシングに伴う性能劣化の抑制も十分とはならない。そこで、負レンズL21と正レンズL24との間に、正レンズL22、負レンズL23を配することで、2枚のレンズL21、L24のみでは補正しきれない単色収差および色収差を良好に補正することを可能とした。
第2レンズ群G2の焦点距離:f
2g
、正レンズL
22
と負レンズL
23
の合成焦点距離:f
L22L23
が、条件式:
(6) 0.20 < f
2g
/f
L22L23
< 0.65
を満足する。
第3レンズ群G3は、最も物体側に、負レンズL
31
と正レンズL
32
の接合レンズを有し、
負レンズL
31
の物体側レンズ面の曲率半径:R
L31a
、正レンズL
32
の像側レンズ面の曲率半径:R
L32b
が、条件式:
(9) -0.35 < (R
L31a
- R
L32b
)/(R
L31a
+ R
L32b
) < -0.03
を満足し、第3レンズ群の正レンズL
32
の材質の、d線の屈折率:nd、d線のアッベ数:νd、および、g線、F線、C線に対する屈折率:ng,nF,nCにより、
θ
g,F
=(ng - nF)/(nF - nC)
で定義される前記材質の部分分散比:θ
g,F
が以下の条件式:
(10) 1.45 < nd < 1.65
(11) 60.0 < νd < 95.0
(12) 0.009 < θ
g,F
- (-0.001802×νd + 0.6483) < 0.060
を満足する。
条件式(9)ないし(12)は、前記条件式(6)に代えて、あるいは条件式(6)とともに満足することができる。
【0010】
第2レンズ群G2は、前記の如く、物体側から像側へ向かって順に、負レンズL21、正レンズL22、負レンズL23、正レンズL24の4枚のレンズを配して構成されるが、正レンズL22の物体側レンズ面から負レンズL23の像側レンズ面までの光軸上の距離:dL22a-L23b、前記負レンズL21の物体側レンズ面から前記正レンズL24の像側レンズ面までの光軸上の距離:L2gが、条件式:
(1) 0.40 < dL22a-L23b/L2g< 0.75
を満足することが好ましい。
【0011】
なお、条件式(1)に加えて、以下の条件式(1a)が満足されることが好ましい。
(1a) 0.00≦dL22b-L23a/dL22a-L23b < 0.10
条件式(1a)のパラメータにおける「dL22b-L23a」は、正レンズL22の像側レンズ面から負レンズL23の物体側レンズ面までの光軸上の距離、「dL22a-L23b」は、上記の如く、正レンズL22の物体側レンズ面から負レンズL23の像側レンズ面までの光軸上の距離である。
【0012】
上記の如く、この発明の結像レンズは、前記条件式(6)もしくは条件式(6)とともに、条件式(9)ないし(12)を満足し、好ましくは上記条件式(1)あるいは条件式(1)および(1a)を満足するが、条件式(6)、(9)を含む以下の条件式(2)ないし(9)のうち、条件式(6)、(9)以外の任意の1以上を満足することが好ましい。
【0013】
(2) 1.15 < f2g3g/f < 1.45
(3) -0.85 < fL21/fL24 < -0.45
(4) -0.50 < (RL21b + RL24b) / (RL21b - RL24b) < -0.05
(5) -0.85 < fL22 / fL23 < -0.25
(6) 0.20 < f2g / fL22L23 < 0.65
(7) 0.40 < L3g / L2g < 1.00
(8) 0.60 < f2g / f3g < 1.50
(9) -0.35 < (RL31a - RL32b)/(RL31a + RL32b) < -0.03 。
【0014】
条件式(2)ないし(8)のおける各パラメータの記号の意味は以下の通りである。
f: 結像レンズが無限遠に合焦した状態における全系の焦点距離
f2g3g:第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成焦点距離
fL21:負レンズL21の焦点距離
fL24:正レンズL24の合成焦点距離
RL21b:負レンズL21の像側レンズ面の曲率半径
RL24b:正レンズL24の像側レンズ面の曲率半径
fL22:正レンズL22の焦点距離
fL23:負レンズL23の焦点距離
f2g:第2レンズ群の焦点距離
fL22L23:正レンズL22と負レンズL23の合成焦点距離
L3g:第3レンズ群G3の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離
L2g:負レンズL21の物体側レンズ面から正レンズL24の像側レンズ面までの光軸上の距離
f3g:第3レンズ群G3の焦点距離
条件式(9)は、第3レンズ群G3が「最も物体側に、負レンズL31と正レンズL32の接合レンズを有する」場合の条件であり、パラメータ中の記号は以下の通りである。
【0015】
RL31a:前記接合レンズにおける負レンズL31の物体側レンズ面の曲率半径
RL32b:前記接合レンズにおける正レンズL32の像側レンズ面の曲率半径 。
【0016】
第3レンズ群G3が「最も物体側に、負レンズL31と正レンズL32の接合レンズを有し、条件式(9)が満足される場合、第3レンズ群の接合レンズにおける正レンズL32は、以下の条件式:
(10) 1.45 < nd < 1.65
(11) 60.0 < νd < 95.0
(12) 0.009 < θg,F- (-0.001802×νd + 0.6483) < 0.060
を満足する材質で構成される。
条件式(11)における「θg,F」は、周知の部分分散比であって、レンズ材質のd線の屈折率:nd、d線のアッベ数:νd、および、g線、F線、C線に対する屈折率:ng,nF,nCにより、
θg,F=(ng - nF)/(nF - nC)
で定義される。
【0017】
上述の如く、この発明の結像レンズは、第2レンズ群G2を、4枚のレンズL21ないしL24により構成しているが、上記条件式(1)を満足するように構成することにより、さらに良好な収差補正が可能となる。
【0018】
条件式(1)は、第2レンズ群G2における「全長:dL22a-L23b」に対する「正レンズL22の物体側レンズ面から負レンズL23の像側レンズ面までの光軸上の距離:L2g」の比を規定する。
上述のとおり、負レンズL21と正レンズL24の間に正レンズL22と負レンズL23を配することにより、「負レンズL21と正レンズL24で補正しきれない残存収差」を、正レンズL22と負レンズL23に分担して収差補正することで良好な結像性能を実現することができる。
しかし、正レンズL22の物体側レンズ面から負レンズL23の像側レンズ面の光軸上の距離:dL22a-L23bが、前記距離:L2gに対して条件式(1)の下限値を超えるほどに短くなると、「正レンズL22と負レンズL23で行われる収差補正」が不十分となり、良好な結像性能の実現が困難となる。
また、前記距離:dL22a-L23bが、前記距離:L2gに対して条件式(1)の上限値を超えるほどに長くなると、負レンズL21と正レンズL24の厚さや形状が制限され、負レンズL21と正レンズL24での収差の適切なやり取りが行われなくなる。
条件式(1)が満足されることにより、球面収差、コマ収差、像面湾曲、色収差等の補正を良好にでき、フォーカシングに伴う性能劣化も抑えることが可能となる。
【0019】
条件式(1a)を満足するように構成することにより、正レンズL22と負レンズL23での収差補正がより効果的に行われ、第2レンズ群全体でより良好な収差補正が可能となる。
【0020】
条件式(2)は全系の焦点距離:f(無限遠に合焦した状態における焦点距離)に対する「第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成焦点距離」の比を規定するものである。
【0021】
条件式(2)の上限を超えると、「第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成パワー」が、全系のパワーに対して過小となり、第2、第3レンズ群の「フォーカス群としての機能」が弱まり、フォーカス群の移動量が増加し易く、結像レンズ自体の大型化に加え、フォーカス群を移動させる機構を含めた結像レンズ全体が巨大化し易い。
条件式(2)の下限を超えると、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成パワーが、全系のパワーに対して過大となり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3で収差が発生しやすくなり、フォーカシング時の収差補正が困難となり、フォーカシングに伴うレンズ性能の変動が大きくなり易い。
【0022】
条件式(2)を満足することにより、良好な収差補正を行いつつ、少ない移動量でフォーカシングすることが可能となる。
【0023】
条件式(3)は、第2レンズ群G2における「正レンズL24の焦点距離に対する負レンズL21の焦点距離の比」を規定するものである。
条件式(3)を満足することで、比較的大きな収差のやり取りを行う負レンズL21と正レンズL24のパワーバランスが良好に保たれ、良好な収差が可能となる。
条件式(3)の上限を超えると負レンズL21の負のパワーが過大となり、下限を超えると負レンズL21の負のパワーが過小となり、良好な収差補正が困難となり易い。
【0024】
条件式(4)は、「第2レンズ群の負レンズL21の像側レンズ面と正レンズL24の像側レンズ面で作られる形状」を規定するものである。これらのレンズ面で主に球面収差とコマ収差のやり取りをしており、条件式(4)は「撮影距離全域に渡って球面収差およびコマ収差を良好な抑制」を実現できる条件である。
条件式(4)の上限を超えると、負レンズL21の像側レンズ面と正レンズL24の像側レンズ面の曲率半径の差が過小となり、球面収差がアンダーに発生し易くなる。
条件式(4)の下限を超えると、負レンズL21の像側レンズ面と正レンズL24の像側レンズ面の曲率半径の差が過大となり、球面収差がオーバーに発生し易くなる。
【0025】
条件式(5)は、第2レンズ群G2における負レンズL23の焦点距離に対する正レンズL22の焦点距離の比を規定するものである。
条件式(5)の上限を超えると「正レンズL22の正のパワー」が過大となり、下限を超えると「正レンズL22の正のパワー」が過小となる。
正レンズL22と負レンズL23は、「負レンズL21と正レンズL24でやり取りされる収差補正」をより良好にするために用いられている。
条件式(5)の範囲外では「正レンズL22と負レンズL23の正と負のパワーバランス」が崩れて、過剰な収差のやり取りが行われ易く、良好な収差補正が困難となる。
条件式(5)の範囲内とすることで「負レンズL21と正レンズL24で補正しきれない残存収差を、正レンズL22と負レンズL23に分担して収差補正する」という正レンズL22と負レンズL23の役割を有効に果たすことができ、フォーカシングに伴う性能劣化も良好に抑制することが可能となる。
【0026】
条件式(6)は、第2レンズ群G2における「正レンズL22と負レンズL23の合成焦点距離」に対する第2レンズ群G2の焦点距離の比を規定するものである。
第2レンズ群G2は全体で正のパワーを持つが、条件式(6)の上限を超えると、正レンズL22と負レンズL23の合成の正のパワーが過大となって、第2レンズ群内で過剰な収差が発生し易く、良好な収差補正が困難となり易い。
条件式(6)の下限を超えると、正レンズL22と負レンズL23の合成の正のパワーが過小となって、第2レンズ群における「収差補正の寄与」が過小となり易く、良好な収差補正が困難となり易い。
条件式(6)を満足することにより、良好な収差補正が可能となる。
【0027】
条件式(7)は、第2レンズ群G2の全長に対する第3レンズ群G3の全長の比を規定するものである。
条件式(7)の範囲内とすることで、フォーカス群である第2、第3レンズ群の「絞りSを挟んだ前後」で適切な大きさのバランスを実現でき、結像レンズの小型化と良好な収差補正の両立が可能となる。
【0028】
条件式(8)は、第3レンズ群の焦点距離に対する第2レンズ群の焦点距離の比を規定するものである。
条件式(8)の範囲外では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3のパワーバランスが崩れ易く、収差補正が困難となり易い。条件式(8)を満足することにより、フォーカス群の「絞りの物体側と像側」でパワーバランスを取り易く、良好な収差補正と、フォーカシングに伴う性能劣化の抑制を実現し易い。
【0029】
条件式(9)は、前述の如く、第3レンズ群G3が「最も物体側に、負レンズL31と正レンズL32の接合レンズを有する」場合の条件であり、負レンズL31の物体側レンズ面と正レンズL32の像側レンズ面で作られる形状を規定するものである。
これらのレンズ面は、主に球面収差とコマ収差、非点収差等のやり取りをしており、条件式(9)を満足させることにより、より良好な収差補正が可能となる。
【0030】
条件式(9)が満足される場合における上記正レンズL32の材質を、条件式(10)、(11)、(12)を満足するように選択することにより良好な色収差補正を図ることができる。
【0031】
倍率色収差は、結像レンズの焦点距離が長くなるほど発生し易くなる。
条件式(10)、(11)、(12)を満足する材質は「異常分散性が高く、低分散な光学材料」であり、このような材質で正レンズL32を形成すると、焦点距離を短くしても、色収差発生の有効な抑制が可能である。
また、大口径なレンズの場合、軸上色収差も十分に補正する必要があり、特に軸上マージナル光線が比較的高い位置を通る正レンズに異常分散性を持つ硝種を用いることで、色収差の2次スペクトルを有効に補正でき、軸上色収差の発生の抑制も十分にすることができる。
条件式(10)の下限値を超えると、単色収差の補正が不十分となり易く、下限値を超えると、色収差の補正が不十分となり易い。
条件式(12)が下限値を超えると、色収差の二次スペクトルの補正が不十分となり易い。条件式(10)、(11)、(12)についてすべて上限以上となるような光学材料は存在しないか、存在したとしても非常に特殊かつ高価であり、現実的でない。
【0032】
結像レンズの第3レンズ群G3は、負レンズL31と正レンズL32の接合レンズの像側に、物体側から順に、負レンズL33、正レンズL34、正レンズL35を有して構成することが好ましい。
第3レンズ群G3をこのように構成する場合、接合レンズの像側の負レンズと正レンズで収差補正を行うが、正レンズを正レンズL34と正レンズL35の2枚に分けて収差補正を分担させることにより、良好な収差補正を実現でき、さらに最終レンズを正レンズL35とすることにより像面への入射角を小さくすることが可能となる。
【0033】
第1レンズ群G1のパワーは、前述の如く、正であることも負であることも可能であるが、第1レンズ群G1のパワーを負とすると、結像レンズが負・正・正のパワー配分を持つ所謂「レトロフォーカスタイプ」となり、射出瞳位置を像面から遠ざけ、周辺光束を撮像素子の受光面に対して垂直に近い角度で入射させることが可能となる。
また、第1レンズ群G1は、フォーカシング時に「像面に対して固定」されていることが好ましい。このようにすることで、フォーカシング用の移動機構を簡素化でき、メカを含めた結像レンズ全体の小型化が容易となる。
結像レンズは、第1、第2、第3レンズ群を構成する全てのレンズを「球面レンズ」とすることができる。非球面や回折面を持ったレンズを含むこともできるが、これらを採用しないことで例えば成形用の金型などのコストの発生を避けられ、特に小ロットの生産時においてコスト面で有利である。
【0034】
また、レンズ材質的には、第1レンズ群、第2レンズ群および第3レンズ群を構成する全てのレンズの材質を「無機固体材料」とすることが好ましい。
有機材料や有機無機ハイブリッド材料等によるレンズは、温度・湿度などの環境条件による特性の変化が大きい。結像レンズを構成する全てのレンズを無機固体材料で形成することにより、温度・湿度などの環境条件の変化の影響を受けにくい結像レンズを実現できる。
この発明の結像レンズを用いることにより、フォーカシング時に性能劣化を発生させず、無限遠から近距離まで良好に収差補正可能な高性能な撮像装置が可能となる。
【0035】
「結像レンズ」の具体的な実施例を挙げる前に、
図21を参照して、この発明の結像レンズを用いる撮像装置を使用した製品検査装置の実施の1形態を説明する。
以下に説明する製品検査装置は「製品検査」を行うための装置である。
製品検査には種々の検査や検査項目があり得るが、簡単のために多数個が製造される製品の「傷の有無」を検査する場合を例にとって説明する。
図21(a)において、符号20は「撮像装置」、符号23は「検査プロセス実行部」を示し、符号24は「表示部」を示す。また、符号Wは「製品」、符号26は「製品搬送ベルト(以下においては単に「搬送ベルト26」と言う。)」を示している。
撮像装置20は、製品検査装置におけるカメラ機能部であり、撮影用光学系21と画像処理部22とを有する。
検査対象としての製品Wは、搬送ベルト26上に等間隔に置かれ、搬送ベルト26により矢印方向(図の右方)へ等速的に搬送される。
撮影用光学系21は、検査対象である製品Wの像を結像するものであり、請求項1ないし15の何れか1項に記載の結像レンズ、具体的には後述の実施例1ないし5の何れかの結像レンズを用いることができる。従って、以下において撮影用光学系21を結像レンズ21と呼ぶ。
【0036】
製品検査は、
図21(b)に示す「準備工程」、「検査工程」、「結果表示工程」の各工程に從って行われる。これらの工程のうち、「検査工程と結果表示工程」が「検査プロセス」である。
「準備工程」では、検査条件を設定する。
即ち、搬送ベルト26により搬送される製品Wの大きさや形状、傷の有無を検査する部位等に応じて、結像レンズ21の撮影位置、撮影態位(結像レンズの向きや撮影対象との距離、即ち、物体距離)を定める。「物体距離」は、所謂「ワーキングディスタンス」である。
そして、有無を検出すべき「傷」の位置や大きさに応じて、結像レンズ21をフォーカシングする。実施例1ないし5の結像レンズは「フォーカシング機能」を持つので、検査項目(説明中の例では傷の有無)に応じて、適切に設定された物体距離に合わせてフォーカシングを行うことができる。
【0037】
一方において「傷のないことが確認されているモデル製品」を搬送ベルト26上の検査位置に置いて、これを結像レンズ21により撮影する。
撮影は、画像処理部22に配置された「エリアセンサ(固体撮像素子)」による撮像で行われ、エリアセンサにより撮像された画像は「画像情報」とされデジタルデータ化する画像処理が行われる。
画像処理されたデジタルデータは、検査プロセス実行部23に送られ、検査プロセス実行部23は、前記デジタルデータを「モデルデータ」として記憶する。
「検査工程」では、製品Wが搬送ベルト26上に「モデル製品と同一態位」に置かれ、搬送ベルト26により順次搬送される。搬送される個々の製品Wが「検査位置」を通過する際に結像レンズ21による撮影が行われ、画像処理部22でデジタルデータ化されて、検査プロセス実行部23に送られる。
検査プロセス実行部23は「コンピュータやCPU」として構成され、画像処理部22を制御し、また、画像処理部22を介して結像レンズ21の「撮影やフォーカシング」を制御する。
【0038】
検査プロセス実行部23は、画像処理部22でデジタルデータ化された「製品Wの画像データ」を受けると、この画像データと前記記憶したモデルデータのマッチングを行う。
【0039】
撮影された製品Wに「傷」がある場合は、画像データとモデルデータとが合致しないので、この場合には、当該製品は「不良品」と判定する。
また、製品Wに傷が無い場合は、該製品の画像データとモデルデータが合致するので、この場合は、当該製品が「良品」であると判定する。
「結果表示工程」は、検査プロセス実行部23による個々の製品の「良品、不良品」の判定結果を、表示部24に表示する工程である。
なお、装置の構成上は、検査プロセス実行部23と表示部24とが「検査プロセス実行手段」を構成する。
【0040】
「結像レンズの数値実施例」
以下に本発明の結像レンズの具体的な実施例を5例示す。
各実施例および対応収差図における記号の意味は以下の通りである。
【0041】
F:Fナンバ
Y’:像高
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:d線に対する屈折率
vd:d線に対するアッベ数
BF:バックフォーカス
θg,F:部分分散比
特に断らない限り、長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
【0042】
「実施例1」
実施例1は、
図1に即してレンズ構成を説明した結像レンズに対応する。
焦点距離f:8.01 Fナンバ:2.06 半画角ω:35.0
実施例1の結像レンズのデータを表1に示す。
【0043】
【0044】
面間隔:Dの欄における「A」は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の群間隔、「B」は第3レンズ群G3とフィルタ等Fとの間隔であり、何れもフォーカシングに際して変化する「可変間隔」である。後述の実施例2以下においても同様である。
【0045】
「可変間隔」
可変間隔を表2に挙げる。
【0046】
【0047】
表2の最上の行における「×0.03、×0.07」は結像レンズの結像倍率である。以下の実施例においても同様である。
【0048】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式のパラメータの値を表3に挙げる。
【0049】
【0050】
「実施例2」
実施例2は、
図2に即してレンズ構成を説明した結像レンズに対応する。
焦点距離f:8.01 Fナンバ:2.06 半画角ω:35.0°
実施例2のデータを表4に挙げる。
【0051】
【0052】
「可変間隔」
可変間隔を表5に挙げる。
【0053】
【0054】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式のパラメータの値を表6に挙げる。
【0055】
【0056】
「実施例3」
実施例3は、
図3に即してレンズ構成を説明した結像レンズに対応する。
焦点距離f:8.01 Fナンバ:2.06 半画角ω:35.0°
実施例3のデータを表7に挙げる。
【0057】
【0058】
「可変間隔」
可変間隔を表8に挙げる。
【0059】
【0060】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式のパラメータの値を表9に挙げる。
【0061】
【0062】
「実施例4」
実施例4は、
図4に即してレンズ構成を説明した結像レンズに対応する。
焦点距離f:8.01 Fナンバ:2.06 半画角ω:35.0°
実施例4のデータを表10に挙げる。
【0063】
【0064】
「可変間隔」
可変間隔を表11に挙げる。
【0065】
【0066】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式のパラメータの値を表12に挙げる。
【0067】
【0068】
「実施例5」
実施例5は、
図5に即してレンズ構成を説明した結像レンズに対応する。
焦点距離f:8.01 Fナンバ:2.06 半画角ω:35.0°
実施例5のデータを表13に挙げる。
【0069】
【0070】
「可変間隔」
可変間隔を表14に挙げる。
【0071】
【0072】
「条件式におけるパラメータの値」
各条件式のパラメータの値を表15に挙げる。
【0073】
【0074】
「各実施例の収差図」
実施例1に関する収差図を
図6ないし
図8に示す。
図6は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図7は「倍率:-0.03倍(中距離)となる物体に合焦させた状態」での収差図、
図10は「倍率:-0.07倍(近距離)となる物体に合焦させた状態」での収差図である。
【0075】
「球面収差」の図における破線は「正弦条件」を表し、「非点収差」の図における実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。他の実施例の収差図においても同様である。
【0076】
実施例2に関する収差図を
図9ないし
図11に示す。
図9は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図10は「倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態」での収差図、
図11は「倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態」での収差図である。
【0077】
実施例3に関する収差図を
図12ないし
図14に示す。
図12は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図13は「倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態」での収差図、
図14は「倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態」での収差図である。
【0078】
実施例4に関する収差図を
図15ないし
図17に示す。
図15は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図16は「倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態」での収差図、
図17は「倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態」での収差図である。
【0079】
実施例5に関する収差図を
図18ないし
図20に示す。
図18は「無限遠に合焦した状態」での収差図、
図19は「倍率:-0.03倍となる物体に合焦させた状態」での収差図、
図20は「倍率:-0.07倍となる物体に合焦させた状態」での収差図である。
【0080】
これらの収差図から明らかなように、各実施例とも諸収差は高いレベルで補正され、フォーカシングに伴う球面収差の変化が十分に抑制され、コマ収差、像面湾曲の変化も最周辺部まで良好に抑制されている。軸上色収差、倍率色収差も小さく良好に抑制され、歪曲収差も絶対値で至近から無限まで2.5%程度に抑えられている。
【0081】
即ち、実施例1ないし5の結像レンズは何れも、各種収差が十分に低減され、画角:70°程度、Fナンバ:2.0程度で「500万~800万画素程度の撮像素子」にまで対応した解像力を有し、無限遠物体から倍率:-0.07倍までをフォーカシングに伴う性能の変化が少ない高性能な結像レンズとなっている。
【0082】
以上、発明の好ましい実施の形態・実施例について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態・実施例に限定されるものではない。
上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態・実施例に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 絞り
Im 像面
F フィルタ等
L21 第2レンズ群G2を構成する負レンズL21
L22 第2レンズ群G2を構成する正レンズL22
L23 第2レンズ群G2を構成する負レンズL23
L24 第2レンズ群G2を構成する正レンズL24
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【文献】特開2017-102173号公報
【文献】特許第5891912号公報