(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】クリーニング装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20221004BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221004BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/00
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2018219313
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊也
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-180301(JP,A)
【文献】特開2012-088544(JP,A)
【文献】特開2002-202669(JP,A)
【文献】特開2013-130787(JP,A)
【文献】特開2015-230474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/34
15/00
15/02
15/14-15/16
15/36
21/00-21/04
21/10-21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写体を介してシートに転写位置で転写するジョブを実行する画像形成装置に設けられ、転写後に残った前記中間転写体上の残留トナーを清掃するクリーニング装置であって、
前記中間転写体に接して残留トナーを掻き取るクリーニング部材と、
前記中間転写体の周回方向において前記転写位置よりも下流側かつ前記クリーニング部材よりも上流側の第1位置で前記中間転写体に接しながら回転する貯留ローラーと、
前記貯留ローラーの周面に第2位置で接し、前記中間転写体と前記貯留ローラーと協働して、前記第1位置で前記中間転写体から前記貯留ローラーの周面に移った後の残留トナーを貯留する貯留空間を形成するとともに、貯留している残留トナーのうち前記第2位置を通過する量を規制する規制ローラーと、
を備え、
前記規制ローラーは、前記第2位置において前記貯留ローラーに対して周速差を有して回転し、
当該クリーニング装置は、前記シートに転写される画像の印字率の大きさに応じて前記周速差の大きさを可変制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記印字率が第1閾値以上かつ第2閾値以下の場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーと同方向に回転かつ前記貯留ローラーよりも周速を遅らせる通常モードを実行することを特徴とす
るクリーニング装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記印字率が前記第1閾値よりも低い場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーとは逆方向に回転させる第1クリーニングシーケンスを実行することを特徴とする請求項
1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1クリーニングシーケンスを前記ジョブ終了後に実行することを特徴とする請求項
2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記ジョブ終了後であり、前記印字率が前記第1閾値よりも低く、かつ前記ジョブで通紙されたシートの総枚数が第1所定枚数(複数)以上の場合にのみ、前記第1クリーニングシーケンスを実行することを特徴とする請求項
3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記印字率が前記第2閾値よりも高い場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーと同方向に回転かつ前記貯留ローラーよりも周速を速くさせる第2クリーニングシーケンスを実行することを特徴とする請求項
1~4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2クリーニングシーケンスを前記ジョブ終了後に実行することを特徴とする請求項
5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記ジョブ終了後であり、前記印字率が前記第2閾値よりも高く、かつ前記ジョブで通紙されるシートの総枚数が第2所定枚数(複数)以上の場合にのみ、前記第2クリーニングシーケンスを実行することを特徴とする請求項
6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記規制ローラーの回転方向と回転速度を可変可能な駆動手段を有し、
前記制御手段は、前記駆動手段に前記規制ローラーの回転速度と回転方向を変えさせることで、前記周速差の大きさを制御することを特徴とする請求項
1~7のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記貯留ローラーは、前記クリーニング部材よりも上に位置し、前記第1位置において前記中間転写体の周回方向とは逆方向に回転することを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記貯留ローラーは、前記クリーニング部材よりも下に位置し、前記第1位置において前記中間転写体の周回方向とは同方向に回転することを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写体に一次転写した後、前記中間転写体からシートに二次転写する画像形成装置であって、
二次転写後の前記中間転写体上に残った残留トナーを清掃するクリーニング部として、請求項1~
10までのいずれか1項に記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写体を介してシートに転写する画像形成装置に設けられ、転写後に残った中間転写体上の残留トナーを清掃するクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンターなどの画像形成装置には、感光体などの像担持体上にトナー像を形成し、像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写ベルトなどの中間転写体に一次転写した後、中間転写体から用紙などのシートに二次転写する、いわゆる中間転写体方式の画像形成装置がある。
【0003】
このような中間転写体方式では、中間転写体上のトナー像の全てがシートに転写されることが理想であるが、実際には、一部のトナー粒子が転写されずに残留トナーとして中間転写体上に残ってしまう場合がある。また、残留トナーだけではなく、用紙との接触による紙粉、トナー粒子から遊離された外添剤の粒子が中間転写体に付着する場合もある。
【0004】
中間転写体の表面に、残留トナー、紙粉、外添剤の粒子などの残留物が付着したままになっていると、以降のトナー像の形成に支障を来すことから、中間転写体の表面を清掃するクリーニング装置が設けられている。
【0005】
このクリーニング装置の構成として、周回している中間転写体にゴム製などのクリーニングブレードの先端を圧接させて、中間転写体の残留物を掻き取って除去する構成が一般的である。しかし、クリーニングブレードを用いる構成では、クリーニングブレードの先端(ブレード先端)と中間転写体との接触部分に大きな摩擦力が生じ、ブレード先端の摩耗や損傷などが生じ易くなる。
【0006】
そこで、特許文献1には、クリーニングブレードで掻き取られた残留トナーをクリーニングブレードの近傍に一時的に貯留し、貯留した残留トナーを潤滑剤としてブレード先端と中間転写ベルトとの接触部分に供給するクリーニング装置が開示されている。
【0007】
図14は、特許文献1が開示するクリーニング装置90の概略構成を示す図である。
【0008】
同図に示すようにクリーニング装置90は、中間転写ベルト99上の残留物を掻き取るクリーニングブレード91と、クリーニングブレード91よりも中間転写ベルト99の周回方向上流側の位置99aで中間転写ベルト99と接するローラー部材92と、ローラー部材92の周面に押圧される薄い規制板93とを配置して、中間転写ベルト99とローラー部材92と規制板93との間で残留トナーTnを貯留する貯留空間95を形成する。この貯留空間95に貯留された残留トナーTnが潤滑剤としてクリーニングブレード91に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1は、規制板93の先端部93aが停止状態で、回転するローラー部材92の周面を押圧位置97で常時押圧することで、ローラー部材92の周面との隙間を狭めて、押圧位置97を通過する残留トナーの量を規制して、貯留空間95に貯留された残留トナーTnの貯留量が多くなりすぎないように調整する構成になっている。
【0011】
貯留空間95には、残留トナーだけではなく紙粉や外添剤の粒子も少なからず混在しているので、上記のような規制板93を押圧する構成では、貯留されている残留トナーや紙粉、外添剤の粒子が押圧位置97を通過する間に、規制板93の先端部93aに押し潰されるようになり、これらが凝集して、小さな塊状の異物Spを生じさせ易い。
【0012】
この異物Spが押圧位置97を通り抜け、ローラー部材92の周面に引っ付いたまま、中間転写ベルト99を介してクリーニングブレード91のブレード先端91aまで至ると、ブレード先端91aと中間転写ベルト99との接触部分に噛み込むことが生じる。この異物Spの噛み込みは、ブレード先端91aに摩耗や損傷が早期に発生する原因となる。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、残留トナーを貯留する構成において異物が中間転写体を介してクリーニングブレードの先端に至って噛み込むことを抑制できるクリーニング装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係るクリーニング装置は、像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写体を介してシートに転写位置で転写するジョブを実行する画像形成装置に設けられ、転写後に残った前記中間転写体上の残留トナーを清掃するクリーニング装置であって、前記中間転写体に接して残留トナーを掻き取るクリーニング部材と、前記中間転写体の周回方向において前記転写位置よりも下流側かつ前記クリーニング部材よりも上流側の第1位置で前記中間転写体に接しながら回転する貯留ローラーと、前記貯留ローラーの周面に第2位置で接し、前記中間転写体と前記貯留ローラーと協働して、前記第1位置で前記中間転写体から前記貯留ローラーの周面に移った後の残留トナーを貯留する貯留空間を形成するとともに、貯留している残留トナーのうち前記第2位置を通過する量を規制する規制ローラーと、を備え、前記規制ローラーは、前記第2位置において前記貯留ローラーに対して周速差を有して回転し、当該クリーニング装置は、前記シートに転写される画像の印字率の大きさに応じて前記周速差の大きさを可変制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記印字率が第1閾値以上かつ第2閾値以下の場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーと同方向に回転かつ前記貯留ローラーよりも周速を遅らせる通常モードを実行することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記制御手段は、前記印字率が前記第1閾値よりも低い場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーとは逆方向に回転させる第1クリーニングシーケンスを実行するとしても良い。
【0019】
ここで、前記制御手段は、前記第1クリーニングシーケンスを前記ジョブ終了後に実行するとしても良い。
【0020】
ここで、前記制御手段は、前記ジョブ終了後であり、前記印字率が前記第1閾値よりも低く、かつ前記ジョブで通紙されたシートの総枚数が第1所定枚数(複数)以上の場合にのみ、前記第1クリーニングシーケンスを実行するとしても良い。
【0021】
また、前記制御手段は、前記印字率が前記第2閾値よりも高い場合、前記規制ローラーを前記第2位置において前記貯留ローラーと同方向に回転かつ前記貯留ローラーよりも周速を速くさせる第2クリーニングシーケンスを実行するとしても良い。
【0022】
ここで、前記制御手段は、前記第2クリーニングシーケンスを前記ジョブ終了後に実行するとしても良い。
【0023】
ここで、前記制御手段は、前記ジョブ終了後であり、前記印字率が前記第2閾値よりも高く、かつ前記ジョブで通紙されるシートの総枚数が第2所定枚数(複数)以上の場合にのみ、前記第2クリーニングシーケンスを実行するとしても良い。
【0024】
また、前記規制ローラーの回転方向と回転速度を可変可能な駆動手段を有し、前記制御手段は、前記駆動手段に前記規制ローラーの回転速度と回転方向を変えさせることで、前記周速差の大きさを制御するとしても良い。
【0025】
また、前記貯留ローラーは、前記クリーニング部材よりも上に位置し、前記第1位置において前記中間転写体の周回方向とは逆方向に回転するとしても良い。
【0026】
さらに、前記貯留ローラーは、前記クリーニング部材よりも下に位置し、前記第1位置において前記中間転写体の周回方向とは同方向に回転するとしても良い。
【0027】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写体に一次転写した後、前記中間転写体からシートに二次転写する画像形成装置であって、二次転写後の前記中間転写体上に残った残留トナーを清掃するクリーニング部として、上記のクリーニング装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
上記のようにすれば、規制ローラーも回転するので、第2位置の通過の間に残留トナーに押圧力が作用しても、押圧される側の規制ローラーの周面が動くことで、残留トナーと混在している紙粉等がその動く方向に逃げるように移動できる。これにより、従来のように停止したままの規制板に残留トナーや紙粉などが押圧力で凝集して異物が生じるといったことが起き難くなり、クリーニング部材と中間転写体との接触部分に異物が噛み込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】プリンターの全体構成を示す概略正面図である。
【
図2】中間転写ベルトを清掃するクリーニング部の横断面図である。
【
図5】規制ローラー回転制御の内容を示すフローチャートである。
【
図6】印字率取得処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図7】クリーニングシーケンス1のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図8】中間転写ベルト上に形成されたY~K色のトナーパッチの構成例を示す平面図である。
【
図9】クリーニングシーケンス1の実行中に残留トナーが搬送される様子を示す図である。
【
図10】クリーニングシーケンス2のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図11】クリーニングシーケンス2の実行中に残留トナーが搬送される様子を示す図である。
【
図12】貯留ローラーと規制ローラーの周速差と、残留トナーの貯留量とブレードへの供給量の関係を例示するグラフである。
【
図13】変形例に係るクリーニング部の概略構成を示す図である。
【
図14】従来のクリーニング装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るクリーニング装置および画像形成装置の実施の形態を、プリンターを例にして説明する。
(1)プリンターの構成
図1は、プリンター1の全体構成を示す概略正面図である。同図では、プリンター1を正面側から見たときの左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、X軸とY軸の双方に直交する奥行方向をZ軸方向で示している。
【0031】
同図に示すように、プリンター1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色に対応した作像部2Y,2M,2C,2Kと、中間転写部3と、給送部4と、定着部5と、制御部6などを備えている。
【0032】
プリンター1は、ネットワーク(例えば、LAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)からプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色トナー像を形成し、形成したトナー像を記録用のシートSへ転写してカラー画像を形成する。
【0033】
作像部2Y,2M,2C,2Kは、この順に中間転写部3の中間転写ベルト15の走行方向(矢印B方向)に沿って並置されている。
【0034】
作像部2Kは、矢印A方向に回転する像担持体としての感光体ドラム10Kと、帯電部11Kと、現像部13Kと、クリーニング部14Kなどを有しており、感光体ドラム10K上にK色のトナー像を作像する。
【0035】
他の作像部2Y,2M,2Cは、作像部2Kと基本的に同様の構成であり、感光体ドラム10Y,10M,10Cと、帯電部11Y,11M,11Cと、現像部13Y,13M,13Cと、クリーニング部14Y,14M,14Cなどを有し、感光体ドラム10Y,10M,10C上にY,M,C色のトナー像を作像する。
【0036】
中間転写部3は、作像部2Y~2Kよりも上に配される中間転写ベルト15に加えて、駆動モーター16aにより回転駆動される駆動ローラー16と、従動ローラー17a、17bと、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kと、二次転写ローラー19と、クリーニング部20などを有している。
【0037】
中間転写ベルト15は、無端状のベルトであり、駆動ローラー16と従動ローラー17a、17bと一次転写ローラー18Y~18Kに張架されて矢印B方向(ベルト走行方向)に一定速度Vaで周回駆動される。中間転写ベルト15の材料としては、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて、表面抵抗値を1×107~1×1012〔Ω/□〕に調整したものが用いられる。その他、ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン(商標)系樹脂などの樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム等の弾性材、またこれらに導電粉体やカーボンを分散させることで抵抗調整を行った材料としても良い。
【0038】
一次転写ローラー18Y~18Kは、対応する感光体ドラム10Y~10Kに中間転写ベルト15を介して対向配置されている。二次転写ローラー19は、中間転写ベルト15を介して駆動ローラー16に対向配置されている。
【0039】
作像部2Y~2Kよりも下に位置する露光部12は、制御部6からの駆動信号によりY~K色の画像形成のための光ビームLを発光素子から発する。
【0040】
作像部ごとに、帯電部11Y~11Kにより帯電された感光体ドラム10Y~10Kが露光部12から発せられた光ビームLにより露光走査されて感光体ドラム10Y~10K上に静電潜像が作像され、その静電潜像が現像部13Y~13Kに収容されているトナーを含む現像剤により現像され、対応する色のトナー像が感光体ドラム10Y~10K上に形成される。トナー粒子は、球状のバインダー樹脂に、帯電性や流動性を向上させるための外添剤が添加されてなる。
【0041】
感光体ドラム10Y~10K上に形成されたY~K色のトナー像は、一次転写ローラー18Y~18Kの静電作用により中間転写ベルト15に一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト15上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。一次転写の際に、感光体ドラム10Y~10K上のトナー像のうち、中間転写ベルト15に転写されずに感光体ドラム上に残った残留トナーは、クリーニング部14Y~14Kに設けられたクリーニングブレード141により掻き取られる。
【0042】
中間転写ベルト15上に多重転写されたY~K色のトナー像は、中間転写ベルト15の周回走行により、二次転写ローラー19が中間転写ベルト15と接する二次転写位置19aまで移動する。
【0043】
給送部4は、給紙カセット(不図示)に収容された記録用のシートSを繰り出しローラー21で搬送路(破線)に繰り出して、停止中のタイミングローラー22まで搬送する。
【0044】
タイミングローラー22は、周回する中間転写ベルト15上に多重転写されたY~K色トナー像が二次転写位置19aに到達するタイミングに合わせて、回転を開始し、シートSを二次転写位置19aに搬送する。
【0045】
シートSが二次転写位置19aを通過する際に、中間転写ベルト15上に多重転写されたY~K色のトナー像が二次転写ローラー19の静電作用によりシートS上に二次転写される。これにより、シートS上にカラートナー像が形成される。なお、二次転写の際に、中間転写ベルト15上のトナー像のうち、シートSに転写されずに中間転写ベルト15上に残った残留トナーや外添剤、およびシートSの紙面との接触により中間転写ベルト15周面に付着した紙粉などの残留物は、中間転写ベルト15の周回走行によりクリーニング部20まで搬送され、クリーニング部20で中間転写ベルト15上から除去される。
【0046】
二次転写位置19aでカラートナー像が二次転写されたシートSは、定着部5に搬送される。定着部5は、加熱ローラー5aとこれに圧接して定着ニップを形成する加圧ローラー5bとを有し、二次転写ローラー19により搬送されて来るシートSが定着ニップを通過する際に、シートS上のカラートナー像(未定着画像)を加熱、加圧により熱定着する。定着部5を通過したシートSは、排出ローラー23により機外に排出され、排紙トレイ24に収容される。
(2)クリーニング部20の構成
図2は、クリーニング部20の横断面図である。
【0047】
同図に示すようにクリーニング部20は、クリーニングブレード31、貯留ローラー32、規制ローラー33、搬送スクリュー34等を備えており、これらがハウジング30に収容されている。クリーニングブレード31~搬送スクリュー34のそれぞれは、Z軸方向(中間転写ベルト15の幅方向)に沿って長尺状かつ相互に並行になっている。
【0048】
クリーニングブレード31は、ウレタンゴムなどの弾性体からなり、先端部31aが中間転写ベルト15の周面にベルト走行方向Bとは反対方向に向いた姿勢で当接した状態になる、いわゆるカウンター配置されており、中間転写ベルト15上の残留トナーTnと、これと一緒に中間転写ベルト15上に残っている紙粉や外添剤(不図示)などを掻き落として除去(クリーニング)する。以下、クリーニングブレード31をブレード31と略し、また、残留トナーTn、紙粉、外添剤を特に区別する必要のない場合には、これらをまとめて残留トナー等という。
【0049】
ブレード31により掻き落とされた残留トナー等は、落下後、ハウジング30の底面30a上に溜まり、溜まった残留トナー等は、搬送スクリュー34によりZ軸方向に沿ってクリーニング部20の外に配された回収容器(不図示)まで搬送され、その回収容器に回収される。
【0050】
貯留ローラー32は、金属製の軸部32aの周囲に発泡体などの弾性層32bが設けられてなり、ベルト走行方向Bにおいてブレード31よりも上流側かつ二次転写位置19a(
図1)よりも下流側であり、ブレード31の近傍に配置されている。貯留ローラー32の周面32cが中間転写ベルト15の周面に第1位置15aで接した状態で回転自在になるように、貯留ローラー32は、ハウジング30に支持されている。
【0051】
貯留ローラー32は、軸部32aに駆動モーター35の回転駆動力が伝達されることにより、第1位置15aにおいてベルト走行方向Bに対して逆(カウンター)方向である矢印D方向に回転駆動される。貯留ローラー32の周速が一定のVs0になるように、貯留ローラー32の回転速度V0が決められている。V0は、例えば600rpmである。
【0052】
貯留ローラー32の回転により、貯留ローラー32の周面32cが中間転写ベルト15の周面を擦り、中間転写ベルト15上の残留トナー等がブレード31に至る直前に第1位置15aで貯留ローラー32の周面32cと接触することで、残留トナー等の一部が周面32cに付着して貯留ローラー32に移る。貯留ローラー32に移った残留トナー等は、周面32cに付着したまま、貯留ローラー32の回転により、矢印D方向に搬送される。
【0053】
規制ローラー33は、金属製の軸部33aの周囲に発泡体またはソリッドゴムなどの弾性層33bが設けられてなる。なお、規制ローラー33としては、発泡体などに代えて、例えばブラシ繊維が設けられているものや周面に軸方向に沿った螺旋状の溝が設けられているものなどを用いることもできる。
【0054】
規制ローラー33は、貯留ローラー32よりも少し小径であり、貯留ローラー32に対し第1位置15aから貯留ローラー32の回転方向Dに沿って約半周した第2位置32eで貯留ローラー32の周面32cに接した状態で回転自在になるようにハウジング30に支持されている。
【0055】
規制ローラー33の軸部33aには、回転方向を正逆に切り換え可能な駆動モーター36が連結されており、駆動モーター36の正転時には、第2位置32eにおいて貯留ローラー32の回転方向Dと同じ方向である矢印E方向に回転駆動され、駆動モーター36の逆転時には、第2位置32eにおいて貯留ローラー32の回転方向Dに対して逆方向である矢印F方向に回転駆動される。貯留ローラー32の回転制御は、全体制御部6により実行されるが、その詳細については後述する。以下、規制ローラー33が矢印E方向に回転することを正転、矢印F方向に回転することを逆転という。
【0056】
規制ローラー33は、通常のプリント(画像形成)時に一定の周速Vs1(<Vs0)で正転するように回転速度V1が決められている。V1は、例えば500rpmである。同図では、規制ローラー33が正転している状態を示している。
【0057】
通常のプリント時には、貯留ローラー32が矢印D方向に速度V0で一定回転しつつ、規制ローラー33が矢印E方向に速度V1(<V0)で正転した状態になり、第1位置15aで中間転写ベルト15から貯留ローラー32に移った残留トナー等が貯留ローラー32の回転により第2位置32eまで搬送される。
【0058】
第2位置32eでは貯留ローラー32と規制ローラー33とが接触し、その隙間が実質、ほとんどない状態になっており、周速Vs1<Vs0の関係から第2位置32eで周速差Vzが生じている。
【0059】
周速Vs1がVs0に対して小さいほど、第2位置32eまで搬送された残留トナー等が第2位置32eを通過する量が少なくなる(通過が規制される)。第2位置32eを通過する残留トナー等の量が少なくなるほど、中間転写ベルト15と貯留ローラー32と規制ローラー33とにより形成される貯留空間39に貯留される残留トナー等の貯留量が多くなるという関係がある。通常のプリント時に、貯留空間39における残留トナー等の貯留量が少なくなりすぎず、多くもなりすぎずに適正範囲に収まるように回転速度V0とV1の大きさが予め実験などにより決められている。
【0060】
貯留空間39に貯留されている残留トナー等のうち、第2位置32eを通過した残留トナーTnが貯留ローラー32の周面32cに付着したまま第1位置15aまで至り、第1位置15aで貯留ローラー32から中間転写ベルト15の周面に移ると、第1位置15aよりもベルト走行方向Bの下流側に位置するブレード31の先端部31aに潤滑剤として供給される。これにより、ブレード31の先端部31aと中間転写ベルト15との摩擦力が低減され、ブレード31の先端部31aにおける早期の摩耗や損傷の防止が図られる。
【0061】
このように本実施の形態では、貯留空間39に貯留されている残留トナー等が第2位置32eを通過する量を規制する規制部材として、回転体である規制ローラー33を用いており、第2位置32eでは貯留ローラー32と規制ローラー33の両方が同じ回転方向に動く。これにより、貯留空間39に貯留されている残留トナー等のうち、貯留ローラー32に接している残留トナー等には貯留ローラー32の回転による搬送力が作用し、規制ローラー33に接している残留トナー等には規制ローラー33の回転による搬送力が作用するので、残留トナー等が第2位置32eを通過する間の流動性が向上する。
【0062】
これに対し、
図14に記載のように板状である規制板93を用いる構成では、規制板93自体が動かないので、この動かない規制板93の先端部93aに残留トナー、紙粉、外添剤が押し付けられて凝集されることで異物が生じ易くなる。
【0063】
本実施の形態では、規制部材である規制ローラー33も動くので、
図14に記載の規制板93よりも貯留空間39内での残留トナー等の流動性が良くなり、第2位置32eの通過の間に残留トナー等に押圧力が作用しても、押圧される側の規制ローラー33の周面が動くことで、残留トナー等がその動く方向に逃げるように移動でき、凝集による異物の発生を抑制することができる。
(3)全体制御部6の構成
図3は、全体制御部6の構成を示すブロック図である。
【0064】
同図に示すように全体制御部6は、通信インターフェース(I/F)部61と、CPU62と、ROM63と、RAM64と、印字率情報取得部65と、プリント枚数取得部66と、ローラー回転制御部67と、回転情報テーブル68と、トナーパッチ形成部69を備える。
【0065】
I/F部61は、LANボードなどのネットワークに接続するためのインターフェースである。
【0066】
ROM63には、作像部2Y~2K、中間転写部3、給送部4、定着部5等を制御するために必要なプログラムのほか、駆動モーター36の正逆転の回転制御を実行するためのプログラム等が格納されている。ROM63に格納されている各プログラムは、CPU62により読み出されて実行される。RAM64は、プログラム実行時のCPU62のワークエリアとして用いられる。
【0067】
CPU62は、ROM63に格納されているプログラムを読み出して、作像部2Y~2K、中間転写部3、給送部4、定着部5を制御して、プリントジョブを円滑に実行する。また、駆動モーター16aを制御して駆動ローラー16を回転駆動させ、中間転写ベルト15を一定速度Vaで周回走行させる。さらに、駆動モーター35を回転制御して、貯留ローラー32を一定の回転速度V0で回転させる。
【0068】
印字率情報取得部65は、ジョブの実行ごとに、プリントすべき全枚数のシートSに形成されるトナー像の合計の印字率Crを取得する。具体的には、1枚のシートSの全体の面積におけるY~K色のトナー像の形成領域の割合を百分率(%)で表した数値を印字率Ciとしたとき、1枚目のシートSに対する印字率C1、2枚目のシートSに対する印字率C2、3枚目のシートSに対する印字率C3・・をシート単位で取得し、取得したC1、C2、C3・・を合計した値を合計の印字率Crとする。
【0069】
受信したプリントジョブのデータに、(a)シートごとにプリントすべき画像の印字率Ciを示す情報が含まれている場合には、その情報を参照し、(b)印字率Ciを示す情報が含まれていない場合には、プリントジョブの画像データに基づいて、1枚のシートSごとに、その全体の面積に対する、トナー像を形成すべき部分を構成する画素数の割合を計算することにより求める。なお、(c)受信したプリントジョブのデータに印字率Crを示す情報が含まれている場合には、その情報を参照する。ここでは、上記の(a)により合計の印字率Crを求めるとする。
【0070】
プリント枚数取得部66は、ジョブの実行ごとに、プリントすべきシートSの全枚数(総枚数)Pを取得する。
【0071】
回転情報テーブル68は、
図4に示すように規制ローラー33の回転制御モードとして、通常モードと、クリーニングシーケンス1、2のそれぞれごとに、規制ローラー33を正転と逆転のいずれで、どの回転速度で回転させるのかを示す回転情報を格納している。
【0072】
図3に戻って、ローラー回転制御部67は、回転情報テーブル68の回転情報に基づいて、規制ローラー33の回転を制御する規制ローラー回転制御を実行する。
【0073】
トナーパッチ形成部69は、後述のクリーニングシーケンス1の実行時にY~K色の所定濃度のトナーパッチを所定個数、中間転写ベルト15上に形成する。このトナーパッチを形成するための画像データが予めトナーパッチ形成部69に格納されている。
(4)規制ローラー回転制御の内容
図5は、規制ローラー回転制御の内容を示すフローチャートであり、このフローは、不図示のメインルーチンにより一定間隔でコールされるごとに実行される。
【0074】
同図に示すようにプリントジョブの開始か否かを判断する(ステップS1)。プリントジョブの開始ではないことを判断すると(ステップS1で「No」)、リターンする。プリントジョブの開始を判断すると(ステップS1で「Yes」)、当該プリントジョブにおける総枚数Pを取得する(ステップS2)。この取得は、プリント枚数取得部66により行われる。
【0075】
取得した総枚数Pが所定値Pz以上であるか否かを判断する(ステップS3)。所定値Pzは、例えば50枚である。
【0076】
P<Pzであることを判断すると(ステップS3で「No」)、通常モードを実行する(ステップS4)。この通常モードとは、
図4に記載の回転情報に含まれる通常モードのことであり、プリントジョブ実行中に駆動モーター36を制御して、規制ローラー33を正転かつ速度V1で回転させる。これにより上記のように貯留空間39に残留トナー等が貯留されつつ第2位置32eを通過した残留トナーTnが中間転写ベルト15を介してブレード31の先端部31aに供給される。
【0077】
なお、貯留空間39で残留トナー等の貯留量(以下、「貯留量Ct」という。)が増えて、貯留された残留トナー等の液面が高さ方向(Y軸方向)に規制ローラー33の頂部33d(
図2)近くに至っても、残留トナー等には、正転している規制ローラー33による矢印E方向の搬送力が作用する。これにより、残留トナー等が頂部33dから、第2位置32eとは反対側の位置33eにこぼれ落ちることはほとんど生じない。
【0078】
しかし、貯留量Ctが増えすぎて、残留トナー等の液面が規制ローラー33の頂部33dをはるかに越えてしまうと、その越えた分の残留トナー等が、矢印E方向に回転する規制ローラー33の搬送力に抗して、貯留空間39から頂部33dを飛び越えて位置33eに向かってこぼれ落ちるようになる。このほとんどの残留トナー等は、自重により規制ローラー33から離れて落下して、ハウジング30の底面30aに溜まる。このように、貯留量Ctが極端に過多になることが防止される。プリントジョブの終了を判断すると(ステップS5で「Yes」)、リターンする。
【0079】
一方、P≧Pzであることを判断すると(ステップS3で「Yes」)、印字率取得処理を実行する(ステップS6)。
【0080】
図6は、印字率取得処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートであり、印字率情報取得部65により実行される。
【0081】
同図に示すように、まず変数iを1に設定する(ステップS21)。i枚目のシートSにプリントする画像の印字率Ciを取得して記憶する(ステップS22)。そして、現在の変数iが総枚数Pと一致しているか否かを判断する(ステップS23)。
【0082】
一致していなければ(ステップS23で「No」)、現在の変数iに1をインクリメントした値を新たな変数iに設定して(ステップS24)、ステップS22に戻る。
【0083】
ステップS22では、現在のi枚目のシートSに対する印字率Ciを取得して記憶する。現在の変数iが総枚数Pと一致するまで、ステップS22~S24の処理を繰り返し実行する。これにより、1枚目、2枚目、3枚目・・P枚目の各シートに対する印字率C1、C2、C3・・Cpが得られる。
【0084】
現在の変数iが総枚数Pと一致したことを判断すると(ステップS23で「Yes」)、記憶している印字率C1、C2、C3・・Cpを合計した値を合計の印字率Crとして算出し(ステップS25)、リターンする。
【0085】
図5に戻って、ステップS7では、合計の印字率Crが閾値TH1よりも小さいか否かを判断する。ここで、閾値TH1(第1閾値)は、
図4に記載のクリーニングシーケンス1を実行するか否かを印字率Crとの大小関係で判断するための低印字率を示す所定値であり、例えば10%である。
【0086】
印字率Crと、貯留空間39における残留トナー等の貯留量Ctとは、通常のプリント中では、印字率Crが小さくなるほど貯留量Ctが少なくなるという関係を有する。
【0087】
なぜなら、印字率Crが小さいほど、シートSの全体面積のうちトナー像の形成部分が少ない、すなわち非画像領域が多いことになる。通常、非画像領域の大小によって二次転写効率が大きく変わることはないので、非画像領域が多くなると、少ない場合よりもシートSが二次転写位置19aを通過する際に中間転写ベルト15の周面に残る残留トナーTnの量が少なくなる。
【0088】
一方で、非画像領域が多くなるほど、シートS、ここでは用紙の紙面のうち、中間転写ベルト15の周面に直に接する部分が多くなるので、非画像領域が少ない場合よりも中間転写ベルト15の周面に付着する紙粉の量が多くなる。
【0089】
このように低印字率のプリントジョブにより中間転写ベルト15上で残留トナーTnの量が少なくなりつつ紙粉の量が多くなると、当該ジョブ実行中に二次転写位置19aを通過したシート枚数(通紙枚数)が増えるに伴って、貯留空間39に新たに入ってくる残留トナーTnの量があまり増えないのに対して紙粉の量が増えていく。
【0090】
貯留空間39に貯留されている残留トナー等は、少しずつ第2位置32eを通過して貯留空間39から排出されるので、貯留空間39に入ってくる残留トナーTnの量が少なくなるほど、貯留空間39に貯留されている残留トナーTnの量が減ってくる。
【0091】
貯留空間39に貯留されている残留トナーTnの量が少なくなるほど、第2位置32eを通過して、ブレード31に供給される残留トナーTnの量が減ることになり、ブレード31の先端部31aと中間転写ベルト15との摩擦力が上がって、ブレード31の先端部31aの摩耗が進むおそれがある。また、紙粉の割合が多くなったままの状態が続くと、紙粉が残留トナーTnや外添剤と固着して新たな異物Spが発生するおそれも高くなる。
【0092】
そこで、残留トナーTnの量が少なくなり紙粉の量が多くなるという第1条件として、総枚数P≧所定値Pz(ステップS3)かつ印字率Cr<閾値TH1(ステップS7)を予め決めておく。そして、この第1条件を満たすと(ステップS7で「Yes」)、実行中のプリントジョブの終了を待ち(ステップS9で「Yes」)、次のジョブが開始されるまでの間の待機中に、紙粉を多く含む残留トナー等を貯留空間39から排出しつつ、貯留空間39に新たな残留トナーTnを供給するクリーニングシーケンス1を実行した後(ステップS10)、リターンする。
【0093】
図7は、クリーニングシーケンス1のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、中間転写ベルト15を周回走行させ(ステップS31)、貯留ローラー32を回転速度V0で回転させる(ステップS32)。中間転写ベルト15の周回走行と貯留ローラー32の回転は、通常のプリント時と同じ動作である。
【0094】
続いて、規制ローラー33を速度V2で逆転させる(ステップS33)。この速度V2での逆転は、
図4に記載のテーブル68に格納されているクリーニングシーケンス1の情報を読み出して、駆動モーター36を逆転制御することにより行われる。ここで速度V2は、速度V1よりも小さく、例えば300rpmである。規制ローラー33がV2で逆転するときの周速をVs2とする。
【0095】
そして、作像部2Y~2Kを制御して、中間転写ベルト15上に所定の濃度のY~K色のトナーパッチを所定個数、形成させる(ステップS34)。このトナーパッチの形成は、トナーパッチ形成部69により行われる。もちろん、このトナーパッチの形成時には、シートSが通紙されないので、紙粉が中間転写ベルト15に付着することはない。
【0096】
図8は、
図2の矢印H方向から中間転写ベルト15を見たときに、中間転写ベルト15上に形成されたY、M、C、K色のトナーパッチ80Y、80M、80C、80Kの構成例を示す平面図である。
【0097】
トナーパッチ80Y、80M、80C、80Kは、この順にベルト走行方向B(副走査方向に相当)の下流から上流に向かって一定の間隔を開けて列状に並んでいる。このトナーパッチ80Y~80Kからなる一つのパッチ列81と同じ構成のパッチ列82、83が相互にZ軸方向(主走査方向に相当)に一定の間隔を開けて並んでおり、合計12個のトナーパッチが中間転写ベルト15上に形成される。
【0098】
中間転写ベルト15上に形成されたトナーパッチ80Y、80M、80C、80Kのうち、第1位置15aで中間転写ベルト15から貯留ローラー32に移ったトナー粒子が貯留空間39に補給されることになる。なお、トナーパッチ80Y等は、貯留空間39に補給するためのものなので、各色の形成個数や配置が同図に限られることはない。
【0099】
図7に戻って、ステップS35では、クリーニングシーケンス1の開始から所定時間経過したか否かを判断する。所定時間は、例えば60秒である。
【0100】
図9は、クリーニングシーケンス1の実行中に残留トナーが搬送される様子を示す図である。クリーニングシーケンス1の実行により、ステップS34で形成した中間転写ベルト15上のトナーパッチ80Y~80Kを構成するトナー粒子が貯留空間39に補給されるので、貯留空間39の残留トナーTnの貯留量が急速に増えることになる。
【0101】
また、ステップS33で規制ローラー33を逆転(矢印F方向に回転)させているので、残留トナー等に貯留ローラー32の回転方向(矢印D方向)とは逆方向の搬送力が作用し、貯留ローラー32の回転方向と同方向である正転時と比べて、第2位置32eを通過する残留トナー等の量を大幅に規制することができる。
【0102】
一方で、規制ローラー33の逆転により、貯留空間39に貯留されている残留トナー等は、破線で示す矢印G方向の搬送力を受けるので、ある程度の量が規制ローラー33の頂部33dを越えて位置33eまで搬送され、その後、自重により規制ローラー33から離れて落下して(排出)、ハウジング30の底面30aに溜まる。排出された残留トナー等は、ブレード31には供給されない。
【0103】
このようにクリーニングシーケンス1は、中間転写ベルト15上に形成したトナーパッチ80Y等のトナー粒子を貯留空間39に補給しつつ、直前のプリントジョブ実行時に増えた貯留空間39内の紙粉を含む残留トナー等を、逆転する規制ローラー33の搬送力により、貯留空間39から強制排出する動作になる。この時点で異物Spが発生していても、その異物Spも排出できる。
【0104】
つまり、貯留空間39に紙粉を含まない新たなトナー粒子を補給しつつ、紙粉を多く含む残留トナー等を貯留空間39から排出することで、クリーニングシーケンス1の終了時には、紙粉の割合が少ない残留トナー等が貯留空間39に貯留されるようになり、これ以降に異物Spが発生し易くなることを予防できる。
【0105】
また、規制ローラー33を逆転させると、規制ローラー33の周面が貯留ローラー32の周面32cを擦る力が正転時よりも強くなるので、貯留ローラー32の周面32cに埋没している紙粉や塵などが掻き出され易くなる。この掻き出し力の強化により、埋没している紙粉や塵が貯留ローラー32の周面32cから掻き出されて離間すれば、残留トナー等と一緒に排出できる。埋没した状態のままにしておけば、いずれ離間して、その後に異物Spを発生させる可能性があるが、その発生原因を事前に除去できることになる。
【0106】
図7に戻って、クリーニングシーケンス1の開始から所定時間経過したことを判断すると(ステップS35で「Yes」)、貯留ローラー32、規制ローラー33、中間転写ベルト15を停止して(ステップS36)、リターンする。
【0107】
図5に戻って、合計の印字率Cr<閾値TH1ではない場合(ステップS7で「No」)、次に、Cr>閾値TH2であるか否かを判断する(ステップS8)。
【0108】
ここで、閾値TH2(第2閾値)は、
図4に記載のクリーニングシーケンス2を実行するか否かを印字率Crとの大小関係で判断するための高印字率を示す所定値であり、例えば40%である。
【0109】
印字率Crが大きくなると、感光体ドラム10Y~10K上において未転写のトナー量が多くなるが、これに加えてトナー粒子に添加されている外添剤の量の多くなる。外添剤は、通常、トナー粒子よりもかなり小径であるので、クリーニング部14Y~14Kのクリーニングブレード141でトナー粒子を除去できても外添剤がすり抜けてそのままドラム上に残ってしまうことが生じ易い。
【0110】
低印字率の場合、感光体ドラム10Y~10Kに存するトナーの量が少なく、外添剤の量もそれほど多くないので、残留トナーも外添剤もクリーニングブレード141で除去され易い。これに対し、高印字率の場合、トナーの量が多くなり、外添剤の量も多くなるので、トナーを除去できても外添剤のすり抜けが多くなり易い。
【0111】
感光体ドラム10Y~10Kに残る外添剤の量が多くなれば、その多く残った外添剤は、一次転写を経て中間転写ベルト15上に移る。このように高印字率の方が低印字率のプリントジョブよりも中間転写ベルト15上に存する外添剤の量が多くなる。
【0112】
これにより、高印字率のプリントジョブ実行中に貯留空間39における残留トナー等に含まれる外添剤の量が多くなる。外添剤の量が多くなると、外添剤の粒子同士や外添剤の粒子と紙粉が引っ付いたりして、残留トナーとの流動性が低下して、外添剤と紙粉との固着が生じ易くなり、これが異物Spの発生原因になり易い。
【0113】
そこで、外添剤の量が多くなるという第2条件として、総枚数P≧所定値Pz(ステップS3)かつ印字率Cr>閾値TH2(ステップS8)を予め決めておく。そして、この第2条件を満たすと(ステップS8で「Yes」)、実行中のプリントジョブの終了を待ち(ステップS11で「Yes」)、次のジョブが開始されるまでの間の待機時に、外添剤を多く含む残留トナー等を貯留空間39から排出してブレード31に供給するクリーニングシーケンス2を実行した後(ステップS12)、リターンする。
【0114】
図10は、クリーニングシーケンス2のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、中間転写ベルト15を周回走行させ(ステップS51)、貯留ローラー32を回転速度V0で回転させる(ステップS52)。
【0115】
続いて、規制ローラー33を速度V3で正転させる(ステップS53)。この速度V3での正転は、
図4に記載のテーブル68に格納されているクリーニングシーケンス2の情報を読み出して、駆動モーター36を高速で正転制御することにより行われる。ここで速度V3は、速度V0よりも大きく、例えば800rpmである。規制ローラー33が速度V3で一定回転するときの周速をVs3、貯留ローラー32の周速をVs0とすると、Vs3>Vs0の関係を有する。
【0116】
そして、ステップS54では、クリーニングシーケンス2の開始から所定時間経過したか否かを判断する。所定時間は、例えば60秒である。
【0117】
図11は、クリーニングシーケンス2の実行中に残留トナーが搬送される様子を示す図である。
【0118】
同図に示すようにクリーニングシーケンス2の実行により、ステップS53で規制ローラー33が貯留ローラー32よりも高速で正転しており、周速Vs3>Vs0の関係を有する。これにより、貯留ローラー32に対する規制ローラー33との周速差Vz(=Vs3-Vs0)がプラスになり、通常のプリント時に比べて第2位置32eを通過する残留トナー等の量を大幅に増加させることができる。
【0119】
図12は、周速差Vzと、残留トナーの貯留量とブレードへの供給量の関係を例示するグラフである。同図に示すように、貯留量と供給量とは、周速差Vzが0のときを境に、周速差Vzが正のときその値が大きくなるに伴って供給量の方が貯留量よりも多くなり、逆に、周速差Vzが負のときその絶対値が大きくなるに伴って貯留量の方が供給量よりも多くなる関係を有していることが判る。貯留ローラー32の周速Vs0を固定としたとき、周速差Vzが正の場合、周速Vs3>Vs0になり、規制ローラー33の搬送力が貯留ローラー32よりも大きくなり、第2位置32eを通過する残留トナー等の量が増える。逆に、周速差Vzが負の場合、周速Vs3<Vs0になり、規制ローラー33の搬送力が低下するので、第2位置32eを通過する残留トナー等の量が減ることになる。
【0120】
クリーニングシーケンス1では、
図9に示すように規制ローラー33が逆転するので、周速差Vz(=-Vs2-Vs0)がマイナスになり、その絶対値がかなり大きくなるので、供給量がかなり少なくなる。
【0121】
クリーニングシーケンス2では、規制ローラー33が高速で正転し、周速差Vz(=Vs3-Vs0)がプラスになるので、供給量がかなり多くなる。
【0122】
つまり、直前のプリントジョブの実行により増えた貯留空間39の残留トナー等の貯留量を一気に減らすことで、外添剤を多く含む残留トナー等を貯留空間39から多く排出しつつ、排出された残留トナーTnの多くをブレード31の先端部31aに供給できる。
【0123】
これにより、クリーニングシーケンス2の終了時には、直前のプリントジョブ実行時よりも貯留空間39における残留トナー等の貯留量がある程度減っており、これに含まれる外添剤の総量も減っているので、次のプリントジョブ時で補給される外添剤の量が多くなければ、外添剤の割合が低くなった残留トナー等が貯留空間39に貯留されるようになり、これ以降に異物Spが発生し易くなることを予防できる。
【0124】
図10に戻って、クリーニングシーケンス2の開始から所定時間経過したことを判断すると(ステップS54で「Yes」)、貯留ローラー32、規制ローラー33、中間転写ベルト15を停止して(ステップS55)、リターンする。
【0125】
なお、
図5において印字率Crが閾値TH1以上(ステップS7で「Yes」)かつ閾値TH2以下の場合には(ステップS8で「No」)、上記の第1条件と第2条件を満たさないとして、ステップS4に進み、通常モードを実行する。つまり、クリーニングシーケンス1、2の実行を禁止する。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態では、貯留ローラー32と規制ローラー33とを第2位置32eで接触させ、この第2位置32eを通過する残留トナーの量を規制するようにした。これにより、従来のように貯留ローラーに板状の規制部材を押圧する構成に比べて、貯留空間39に貯留されている残留トナー等の流動性が高くなり、流動性が悪い構成よりも異物の発生を抑制でき、中間転写ベルト15とブレード31の先端部31aとの接触部分に異物Spが噛み込むことによるブレード31の摩耗や損傷を防止できる。
【0127】
また、板状ではなく回転体である規制ローラー33を用いることにより、次のような効果も得られる。すなわち、中間転写ベルト15から貯留ローラー32に移った残留トナー等の量は、貯留ローラー32の軸方向の各位置でばらついていることがほとんどである。例えば、軸方向に隣接する位置AとBにおいて、位置Aでは残留トナー等の付着量が多いが、位置Bでは残留トナー等の付着量がかなり少なくなっている場合などがある。
【0128】
従来の規制板を貯留ローラーに押圧する構成では、貯留ローラーの周面に残留トナー等を押し潰すようになるだけなので、位置AとBとで押圧位置を通過後の貯留ローラーの周面上の残留トナーの厚みが異なり、ブレード31の先端部31aへの残留トナーの供給量が軸方向に不均一になっていた。この軸方向に不均一な分布により、残留トナーの供給量が少ない位置では、中間転写ベルト15とブレード31の先端部31aとの接触部分の摩擦力が大きくなってしまう。
【0129】
これに対し、本実施の形態では、貯留ローラー32と規制ローラー33のローラー同士を第2位置32eで接触させており、両方のローラーが回る。これにより、貯留ローラー32上で位置Aに存する多くの量の残留トナー等は、押し付けられる側の規制ローラー33からも回転方向の力を受けて下流側の第2位置32eに向かって搬送されていく。
【0130】
第2位置32eでは両ローラー間の隙間が狭いので、位置Aに存する残留トナー等のうち一部だけが第2位置32eを通過でき、残りが通過できずに第2位置32eの入口側で一瞬溢れたようになる。しかし、両ローラーが回っていることから、その溢れた残留トナー等が位置Aから軸方向にその隣の位置Bに広がるようになり、位置Bで両ローラー間の隙間を通過できるようになる。この軸方向への広がりにより、第2位置32eを通過後の貯留ローラー32上に存する残留トナー等の付着量が軸方向に均されることになり、軸方向の不均一性が抑制される。
【0131】
これにより、ブレード31の先端部31aへの残留トナーの供給量を軸方向に均一化でき、軸方向の一端から他端の全体に亘って中間転写ベルト15とブレード31の先端部31aとの接触部分の摩擦力の抑制を図ることができる。
【0132】
本発明は、クリーニング装置に限られず、上記の規制ローラー33の回転制御方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD-ROM、DVD-RAM、CD-ROM、CD-R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0133】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
【0134】
(1)上記実施の形態では、貯留ローラー32の回転速度と回転方向が一定であり、規制ローラー33の回転方向(正逆転)と回転速度を可変させる構成例を説明したが、これに限られない。例えば、貯留ローラー32の回転速度を可変にして(回転方向は一定)、規制ローラー33の正転時の回転速度を大小に可変させる構成をとることもできる。または、貯留ローラー32と規制ローラー33の一方または両方の回転速度を通常時に対して変えることで両ローラー間に相対的な周速差Vzを生じさせる制御をとることもできる。通常モード、第1クリーニングシーケンス、第2クリーニングシーケンスのそれぞれにおいて、貯留ローラー32と規制ローラー33との周速の大小関係が、
図4に示す回転速度の大小関係と同じになれば良い。
【0135】
(2)上記実施の形態では、クリーニングシーケンス1(第1クリーニングシーケンス)とクリーニングシーケンス2(第2クリーニングシーケンス)のそれぞれをプリントジョブ終了後に開始するとしたが、これに限られない。例えば、第1と第2のクリーニングシーケンスの一方または両方を、プリントジョブの終了直前から開始するとしたり、プリントジョブの実行途中から開始するとしたりする制御をとることもできる。
【0136】
また、ジョブごとに、ジョブで通紙されるシートの総枚数Pが所定枚数Pz(複数)以上を、第1クリーニングシーケンスと第2クリーニングシーケンスの実行条件の一つとしたが、これに限られない。例えば、総枚数Pに関係なく、印字率のみを実行条件にするとしても良い。
【0137】
さらに、クリーニングシーケンス1においてトナーパッチ80Y~80Kを中間転写ベルト15上に形成するとしたが、これに限られない。規制ローラー33の逆転により、貯留空間39内で紙粉を多く含有している残留トナー等を強制排出できるとともに、貯留ローラー32の周面に埋没している紙粉や塵などを掻き出して除去する効果を得られる。
【0138】
(3)上記実施の形態では、規制ローラー33を独立の駆動モーター36で正逆回転を切換可能な構成例を説明したが、これに限られない。貯留ローラー32を回転駆動する駆動モーター35の駆動力を、ギアやクラッチなどを含む駆動伝達機構(不図示)を介して規制ローラー33にも伝えることで、規制ローラー33を正逆かつ回転速度を切り換え可能な構成をとることもできる。この構成では、駆動モーター35が貯留ローラー32と規制ローラー33の共用の駆動源になる。
【0139】
(4)また、規制ローラー33に駆動源の駆動力を供給する構成に代えて、例えば規制ローラー33が貯留ローラー32に従動回転する構成もとり得る。この従動回転の構成では、周速差Vzが生ぜず、規制ローラー33を逆転や高速で正転させることもできなくなるが、板状の規制部材を用いる従来構成に比べて少なくとも残留トナー等の流動性を高めることができることから、残留トナーと紙粉や外添剤の凝集による異物Spの発生を抑制できる。これと同じ効果は、従動回転ではなく、例えば規制ローラー33の正転時の周速Vs1を貯留ローラー32の周速Vs0と同じにする、つまり周速差Vzが生じないように駆動モーター36を回転制御する構成でも得ることができる。
【0140】
(5)さらに、貯留ローラー32と規制ローラー33を、貯留ローラー32の軸心に対して規制ローラー33の軸心が斜め上に位置するように配置するとしたが、これに限られない。貯留ローラー32がブレード31よりもベルト周回方向上流側の第1位置15aで中間転写ベルト15に接し、規制ローラー33が第2位置32eで貯留ローラー32に接して、貯留ローラー32と規制ローラー33と中間転写体とが協働して残留トナーの貯留空間39を形成できる位置であれば良い。例えば、
図2において貯留ローラー32と規制ローラー33が水平方向(X軸方向)に並ぶように配置する構成をとることもできる。
【0141】
(6)上記実施の形態では、
図2に記載のようにブレード31よりも上に貯留ローラー32が位置する構成例を説明したが、この位置関係に限られない。例えば、
図13に示す矢印B方向に周回走行する中間転写ベルト15に対してブレード31よりも下に貯留ローラー32が位置する構成をとることもできる。
【0142】
同図に示す変形例に係る構成では、貯留ローラー32が中間転写ベルト15に接する第1位置15aにおいて貯留ローラー32の回転方向Dと中間転写ベルト15のベルト走行方向Bが同じ方向になる。中間転写ベルト15と貯留ローラー32と規制ローラー33とが協働して貯留空間39を形成することは実施の形態と同じである。
【0143】
(7)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラープリンターに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーの画像形成に代えて、モノクロの画像形成を実行する機能を有する画像形成装置に適用することもできる。
【0144】
すなわち、感光体ドラムや感光体ベルトなどの像担持体上に形成されたトナー像を、周回する中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体に一次転写した後、中間転写体上のトナー像をシートに二次転写し、二次転写後に中間転写体上に残った残留トナーをクリーニングブレードなどのクリーニング部材で除去する構成に適用できる。このような構成であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等の画像形成装置一般に適用できる。また、クリーニング部20が貯留ローラー32と規制ローラー33の回転を制御するローラー回転制御部67などの制御手段を備えるとしても良い。
【0145】
なお、貯留ローラー32や規制ローラー33などの各部材の大きさ、回転速度、所定時間などの数値が上記のものに限られないことはいうまでもなく、装置構成に適した大きさ、回転速度、所定時間などが予め設定される。
【0146】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、中間転写体の残留物を除去する画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 プリンター
6 全体制御部
10Y、10M、10C、10K 感光体ドラム
15 中間転写ベルト
15a 第1位置
16a、35、36 駆動モーター
19a 二次転写位置
20 クリーニング部
31 クリーニングブレード
31a ブレード先端部
32 貯留ローラー
32e 第2位置
33 規制ローラー
39 貯留空間
65 印字率情報取得部
66 プリント枚数取得部
67 ローラー回転制御部
68 回転情報テーブル
69 トナーパッチ形成部
Tn 残留トナー