(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】被監視者監視装置、該方法および被監視者監視システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/67 20180101AFI20221004BHJP
【FI】
G16H40/67
(21)【出願番号】P 2018513125
(86)(22)【出願日】2017-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2017014919
(87)【国際公開番号】W WO2017183527
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2016083279
(32)【優先日】2016-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】将積 直樹
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230679(JP,A)
【文献】特開2013-153820(JP,A)
【文献】特開2016-043273(JP,A)
【文献】特開2014-223060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知部と、
前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定部と、
前記排泄事象検知部の検知結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算部と、
前記生体信号測定部の測定結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算部と、
前記第1および第2排泄確率演算部で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算部と、
前記最終排泄確率演算部で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理部と、
計時を行う時計部と、
排泄を行った時刻である排泄時刻を記憶する排泄時刻記憶部と、
前記排泄事象検知部で前記事象を検知した場合に、前記時計部から現在時刻を前記排泄時刻として取得し、前記取得した排泄時刻を前記被監視者に対応付けて前記排泄時刻記憶部に記録する排泄時刻記録処理部と、
前記時系列な所定の生体信号を記憶する生体信号記憶部と、
前記生体信号測定部で測定された時系列な所定の生体信号を前記被監視者に対応付けて前記生体信号記憶部に記録する生体信号記録処理部とを備え、
前記第1排泄確率演算部は、所定の時間帯を所定の時間長で区切ることによって生成された複数のサブ時間帯それぞれについて、前記排泄時刻記憶部に記憶された排泄時刻に基づいて前記第1排泄確率を求めることによって第1排泄予測モデルを生成し、
前記第2排泄確率演算部は、前記生体信号記憶部に記憶された時系列な所定の生体信号
と、時間帯それぞれに割り付けられた排泄の有無とを学習データとして用いることによって、前記第2排泄確率を求める第2排泄予測モデルを学習によって生成し、
前記第1排泄確率演算部は、前記第1排泄予測モデルに、現在時刻を入力することによって前記第1排泄確率を求め、
前記第2排泄確率演算部は、前記第2排泄予測モデルに、現在時刻を入力することによって前記第2排泄確率を求める、
被監視者監視装置。
【請求項2】
前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記通知処理部は、前記判定部によって、前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された場合に、その旨を外部へ所定の通知を行う、
請求項1に記載の被監視者監視装置。
【請求項3】
前記排泄事象検知部は、前記被監視者が寝具から離れた離床を前記事象として検知する離床検知部を備える、
請求項1または請求項2に記載の被監視者監視装置。
【請求項4】
前記離床検知部は、撮像して画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成された画像に基づいて前記離床を検知する検知部とを備える、
請求項3に記載の被監視者監視装置。
【請求項5】
前記生体信号測定部は、ドップラセンサを備える、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の被監視者監視装置。
【請求項6】
コンピュータによって実行される被監視者監視方法であって、
監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知工程と、
前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定工程と、
前記排泄事象検知工程の検知結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算工程と、
前記生体信号測定
工程の測定結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算工程と、
前記第1および第2排泄確率演算工程で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算工程と、
前記最終排泄確率演算工程で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理工程と、
前記排泄事象検知工程で前記事象を検知した場合に、計時を行う時計部から現在時刻を、排泄を行った排泄時刻として取得し、前記取得した排泄時刻を前記被監視者に対応付けて排泄時刻記憶部に記録する排泄時刻記録処理工程と、
前記生体信号測定工程で測定された時系列な所定の生体信号を前記被監視者に対応付けて生体信号記憶部に記録する生体信号記録処理工程とを備え、
前記第1排泄確率演算工程は、所定の時間帯を所定の時間長で区切ることによって生成された複数のサブ時間帯それぞれについて、前記排泄時刻記憶部に記憶された排泄時刻に基づいて前記第1排泄確率を求めることによって第1排泄予測モデルを生成し、
前記第2排泄確率演算工程は、前記生体信号記憶部に記憶された時系列な所定の生体信号
と、時間帯それぞれに割り付けられた排泄の有無とを学習データとして用いることによって、前記第2排泄確率を求める第2排泄予測モデルを学習によって生成し、
前記第1排泄確率演算工程は、前記第1排泄予測モデルに、現在時刻を入力することによって前記第1排泄確率を求め、
前記第2排泄確率演算工程は、前記第2排泄予測モデルに、現在時刻を入力することによって前記第2排泄確率を求める、
被監視者監視方法。
【請求項7】
端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者を監視する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムであって、
前記被監視者監視装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の被監視者監視装置である、
被監視者監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象である被監視者を監視する被監視者監視装置、被監視者監視方法およびに被監視者監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国(日本)は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善および医療水準の向上等によって、高齢化社会、より詳しくは、総人口に対する65歳以上の人口の割合である高齢化率が21%を超える超高齢化社会になっている。また、2005年では、総人口約1億2765万人に対し65歳以上の高齢者人口は、約2556万人であったのに対し、2020年では、総人口約1億2411万人に対し高齢者人口は、約3456万人となる予測もある。このような高齢化社会では、病気や怪我や高齢等による看護や介護を必要とする要看護者や要介護者(要看護者等)は、高齢化社会ではない通常の社会で生じる要看護者等よりもその増加が見込まれる。そして、我が国は、例えば2013年の合計特殊出生率が1.43という少子化社会でもある。そのため、高齢な要看護者等を高齢の家族(配偶者、子、兄弟)が介護する老老介護も起きて来ている。
【0003】
要看護者等は、病院や、老人福祉施設(日本の法令では老人短期入所施設、養護老人ホームおよび特別養護老人ホーム等)等の施設に入所し、その看護や介護を受ける。このような施設では、要看護者等が、例えばベッドからの転落や歩行中の転倒等によって怪我を負ったり、ベッドから抜け出して徘徊したりするなどの事態が生じ得る。このような事態に対し、可及的速やかに対応する必要がある。また、このような事態を放置しておくとさらに重大な事態に発展してしまう可能性もある。このため、前記施設では、看護師や介護士等は、定期的に巡視することによってその安否や様子を確認している。
【0004】
しかしながら、要看護者等の増加数に対し看護師等の増加数が追い付かずに、看護業界や介護業界では、慢性的に人手不足になっている。さらに、日勤の時間帯に較べ、準夜勤や夜勤の時間帯では、看護師や介護士等の人数が減るため、一人当たりの業務負荷が増大するので、前記業務負荷の軽減が要請される。また、前記老老介護の事態は、前記施設でも例外ではなく、高齢の要看護者等を高齢の看護師等がケアすることもしばしば見られる。一般に高齢になると体力が衰えるため、健康であっても若い看護師等に比し看介護の負担が重くなり、また、その動きや判断も遅くなる。
【0005】
このような人手不足や看護師等の負担を軽減するため、看護業務や介護業務を補完する技術が求められている。このため、近年では、要看護者等の、監視すべき監視対象である被監視者を監視(モニタ)する被監視者監視技術が研究、開発されている。
【0006】
このような技術の一つとして、例えば特許文献1に開示された安全管理システムは、基地局に設置された中央制御装置と、前記中央制御装置と有線又は無線で接続され基地局と別の部屋に設置されるナースコール端子とからで構成される安全管理システムにおいて、前記別の部屋内のベッドに付設され、被介護者がベットから離れようとしていることを検出する少なくとも一つ以上のセンサであって、その出力が前記ナースコール端子に接続されているセンサと、前記中央制御装置と有線又は無線で接続され前記中央制御装置からの入力によって制御される赤外線CCDカメラであって前記別の部屋に設置されている赤外線CCDカメラとを含み、前記中央制御装置には前記赤外線CCDカメラで捕らえた画像を表示する手段が備えられている。
【0007】
一方、安否確認の点では、一人暮らしの独居者も前記要介護者等と同様であり、被監視対象者となる。
【0008】
ところで、上述の要看護者等の被監視者は、例えば排泄等の所用を行うために、離床して歩行すると、転倒するリスクがあり、転倒してしまうと怪我を負ってしまう可能性がある。このため、被監視者が歩行を行う際に、看護師や介護士等の監視者が付き添うことが多い。特に、被監視者が高齢である場合、歩行の際に転倒するリスクが高く、さらに、離床や入床の際に、転落や転倒してしまうリスクもある。
【0009】
前記特許文献1に開示された安全管理システムでは、ベッドに寝ている被介護者(被監視者の一例)がベッドから離れるという行動を起こし始めた時点で自動的に被介護者の行動をナースセンターにて把握することができるので、看護師(監視者の一例)は、被介護者の下に駆けつけることができる。しかしながら、駆けつけたときには、既に被監視者が離床して歩行しているため、被監視者の転倒に、監視者の付き添いが間に合わない虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、排泄確率を予測して監視者に通知することで事前の駆け付けを支援できる被監視者監視装置、被監視者監視方法およびに被監視者監視システムを提供することである。
【0012】
本発明にかかる被監視者監視装置、被監視者監視方法およびに被監視者監視システムは、監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知して第1排泄確率を求め、前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定して第2排泄確率を求め、これら第1および第2排泄確率に基づいて前記被監視者の最終的な排泄確率を求めて外部へ通知する。このため、本発明にかかる被監視者監視装置、被監視者監視方法およびに被監視者監視システムは、排泄確率を予測して監視者に通知することで事前の駆け付けを支援できる。
【0013】
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における被監視者監視システムの構成を示す図である。
【
図2】前記被監視者監視システムにおけるセンサ装置の構成を示す図である。
【
図3】前記センサ装置の配設態様を説明するための図である。
【
図4】前記センサ装置におけるドップラセンサ部の構成を示す図である。
【
図5】前記センサ装置における排泄事象処理部の構成を示す図である。
【
図6】前記センサ装置における離床および入床の各検知を説明するための図である。
【
図7】前記センサ装置における生体信号処理部の構成を示す図である。
【
図8】体動を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
【
図9】呼吸を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
【
図10】センサノイズ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
【
図11】前記センサ装置における排泄予測モデルを作成し、最終的な排泄確率を通知する動作を示すフローチャートである。
【
図12】前記センサ装置における排泄を予測して通知する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0016】
実施形態における被監視者監視システムは、監視すべき(見守るべき)監視対象(見守り対象)である被監視者(見守り対象者)Obを監視するものであり、端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、被監視者Obを監視する被監視者監視装置とを備える。前記被監視者監視装置は、本実施形態では、監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知部と、前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定部と、前記排泄事象検知部の検知結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算部と、前記生体信号測定部の測定結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算部と、前記第1および第2排泄確率演算部で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算部と、前記最終排泄確率演算部で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理部とを備える。さらに、本実施形態では、前記被監視者監視装置は、前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部を備え、前記通知処理部は、前記判定部によって、前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された場合に、その旨を外部へ所定の通知を行う。前記被監視者監視装置は、自機が備える出力装置に前記排泄確率や最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された旨を出力しても良いが、本実施形態では、この被監視者監視システム全体を管理する管理サーバ装置を介して前記端末装置へ通知するものである。なお、前記端末装置は、1種類の装置であって良いが、本実施形態態では、前記端末装置は、固定端末装置と携帯端末装置との2種類の装置である。これら固定端末装置と携帯端末装置との主な相違は、固定端末装置が固定的に運用される一方、携帯端末装置が例えば看護師や介護士等の監視者(ユーザ)に携行されて運用される点であり、これら固定端末装置と携帯端末装置とは、略同様である。
【0017】
図1は、実施形態における被監視者監視システムの構成を示す図である。
図2は、前記被監視者監視システムにおけるセンサ装置の構成を示す図である。
図3は、前記センサ装置の配設態様を説明するための図である。
図4は、前記センサ装置におけるドップラセンサ部の構成を示す図である。
図5は、前記センサ装置における排泄事象処理部の構成を示す図である。
図6は、前記センサ装置における離床および入床の各検知を説明するための図である。
図6Aは、離床の検知を説明するための図であり、
図6Bは、入床の検知を説明するための図である。
図7は、前記センサ装置における生体信号処理部の構成を示す図である。
図8は、体動を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
図9は、呼吸を検知した場合におけるドップラ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
図10は、センサノイズ信号およびそのパワースペクトルの一例を示す図である。
図8A、
図9Aおよび
図10Aは、時間空間でのドップラ信号を示し、その横軸は、時間であり、その縦軸は、出力値(信号レベル、振幅)である。
図8B、
図9Bおよび
図10Bは、周波数空間でのドップラ信号(パワースペクトル)を示し、その横軸は、周波数であり、その縦軸は、各周波数成分のパワー(各周波数成分の振幅)である。
【0018】
実施形態における被監視者監視システムMSは、より具体的には、例えば、
図1に示すように、1または複数のセンサ装置SU(SU-1~SU-4)と、管理サーバ装置SVと、固定端末装置SPと、1または複数の携帯端末装置TA(TA-1、TA-2)と、構内交換機(PBX、Private branch exchange)CXとを備え、これらは、有線や無線で、LAN(Local Area Network)等の網(ネットワーク、通信回線)NWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、通信信号を中継する例えばリピーター、ブリッジおよびルーター等の中継機が備えられても良い。
図1に示す例では、これら複数のセンサ装置SU-1~SU-4、管理サーバ装置SV、固定端末装置SP、複数の携帯端末装置TA-1、TA-2および構内交換機CXは、L2スイッチの集線装置(ハブ、HUB)LSおよびアクセスポイントAPを含む有線および無線の混在したLAN(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN等)NWによって互いに通信可能に接続されている。より詳しくは、複数のセンサ装置SU-1~SU-4、管理サーバ装置SV、固定端末装置SPおよび構内交換機CXは、集線装置LSに接続され、複数の携帯端末装置TA-1、TA-2は、アクセスポイントAPを介して集線装置LSに接続されている。そして、ネットワークNWは、TCP(Transmission control protocol)およびIP(Internet protocol)等のインターネットプロトコル群が用いられることによっていわゆるイントラネットを構成する。
【0019】
被監視者監視システムMSは、被監視者Obに応じて適宜な場所に配設される。被監視者(見守り対象者)Obは、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする者や、身体能力の低下等によって介護を必要とする者や、一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見と早期対処とを可能にする観点から、被監視者Obは、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合にその発見を必要としている者であることが好ましい。このため、被監視者監視システムMSは、被監視者Obの種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。
図1に示す例では、被監視者監視システムMSは、複数の被監視者Obが入居する複数の居室RMや、ナースステーション等の複数の居室を備える介護施設の建物に配設されている。
【0020】
センサ装置SUは、例えば、ネットワークNWを介して他の装置SV、SP、TAと通信する通信機能等を備え、被監視者Obを監視し、被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求め、外部へ通知し、そして、前記最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された場合に、その旨を外部へ通知するものである。本実施形態では、上述したとおり、センサ装置SUは、監視サーバ装置SVを介して端末装置SP、TAへ通知する。
図1には、一例として、4個の第1ないし第4センサ装置SU-1~SU-4が示されており、第1センサ装置SU-1は、被監視者Obの一人であるAさんOb-1の居室RM-1(不図示)に配設され、第2センサ装置SU-2は、被監視者Obの一人であるBさんOb-2の居室RM-2(不図示)に配設され、第3センサ装置SU-3は、被監視者Obの一人であるCさんOb-3の居室RM-3(不図示)に配設され、そして、第4センサ装置SU-4は、被監視者Obの一人であるDさんOb-4の居室RM-4(不図示)に配設されている。このようなセンサ装置SUは、後述でより詳細に説明される。
【0021】
管理サーバ装置SVは、ネットワークNWを介して他の装置SU、TA、SPと通信する通信機能を備え、センサ装置SUから前記最終的な排泄確率や前記最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された旨(排泄予告情報)を受けると、被監視者Obに対応付けて前記最終的な排泄確率や前記排泄予告情報を記憶(記録)して管理し、前記最終的な排泄確率や前記排泄予告情報を前記被監視者Obに対応する所定の端末装置SP、TAへ通知(通報、報知、送信)し、クライアント(本実施形態では端末装置SP、TA等)の要求に応じたデータを前記クライアントに提供し、被監視者監視システムMS全体を管理する装置である。
【0022】
より具体的には、管理サーバ装置SVは、通知先対応関係および通信アドレス対応関係を予め記憶している。前記通知先対応関係は、通知元のセンサ装置SU(センサID)と通知先の端末装置SP、TA(端末ID)との対応関係である。前記通信アドレス対応関係は、各装置SU、SP、TA(各ID)とその通信アドレスとの対応関係である。センサID(センサ装置識別子)は、センサ装置SUを特定し識別するための識別子である。端末ID(端末装置識別子)は、端末装置SP、TAを特定し識別するための識別子である。まず、管理サーバ装置SVは、前記最終的な排泄確率を収容する通信信号(第1最終排泄確率通知通信信号)を受信すると、この受信した第1最終排泄確率通知通信信号における通知元(送信元)のセンサ装置SU(センサID)と前記受信した第1最終排泄確率通知通信信号に収容された前記最終的な排泄確率等のデータとを互いに対応付けて記憶(記録)する。そして、管理サーバ装置SVは、前記通知先対応関係から、前記受信した第1最終排泄確率通知通信信号における通知元のセンサ装置SUに対応する通知先の端末装置SP、TAを特定し、この通知先の端末装置SP、TAへ、前記通知元(送信元)のセンサ装置SUが持つセンサID、および、前記最終的な排泄確率等を収容した通信信号(第2最終排泄確率通知通信信号)を送信する。また、管理サーバ装置SVは、前記排泄予告情報を収容する通信信号(第1排泄予告通知通信信号)を受信すると、この受信した第1排泄予告通知通信信号における通知元(送信元)のセンサ装置SU(センサID)と前記受信した第1排泄予告通知通信信号に収容された前記排泄予告情報等のデータとを互いに対応付けて記憶(記録)する。そして、管理サーバ装置SVは、前記通知先対応関係から、前記受信した第1排泄予告通知通信信号における通知元のセンサ装置SUに対応する通知先の端末装置SP、TAを特定し、この通知先の端末装置SP、TAへ、前記通知元(送信元)のセンサ装置SUが持つセンサID、および、前記排泄予告情報等を収容した通信信号(第2排泄予告通知通信信号)を送信する。通信アドレスは、前記通信アドレス対応関係から取得される。
【0023】
このような管理サーバ装置SVは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。
【0024】
固定端末装置SPは、ネットワークNWを介して他の装置SU、SV、TAと通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、および、所定の指示やデータを入力する入力機能等を備え、管理サーバ装置SVやセンサ装置SUや携帯端末装置TAに与える所定の指示やデータを入力したり、センサ装置SUで得られた最終的な排泄確率を表示したり、センサ装置SUで得られた排泄予告情報を出力したり等することによって、被監視者監視システムMSのユーザインターフェース(UI)として機能する機器である。このような固定端末装置SPは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。
【0025】
携帯端末装置TAは、ネットワークNWを介して他の装置SV、SP、SUと通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、所定の指示やデータを入力する入力機能、および、音声通話を行う通話機能等を備え、管理サーバ装置SVやセンサ装置SUに与える所定の指示やデータを入力したり、管理サーバ装置SVからの通知によってセンサ装置SUで得られた最終的な排泄確率を表示したり、管理サーバ装置SVからの通知によってセンサ装置SUで得られた排泄予告情報を出力したり等することによって、被監視者監視システムMSのユーザインターフェース(UI)として機能する機器である。このような携帯端末装置TAは、例えば、いわゆるタブレット型コンピュータやスマートフォンや携帯電話機等の、持ち運び可能な通信端末装置によって構成可能である。
【0026】
次に、センサ装置SUについて、より詳しく説明する。上述のセンサ装置SUは、例えば、
図2に示すように、排泄事象センサ部11と、生体信号センサ部12と、制御処理部13と、記憶部14と、通信インタフェース部(通信IF部)15とを備える。
【0027】
通信IF部15は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従って通信を行うための通信回路である。通信IF部15は、制御処理部13から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この被監視者監視システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介して他の装置SV、SP、TAへ送信する。通信IF部15は、ネットワークNWを介して他の装置SV、SP、TAから通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータを制御処理部13が処理可能な形式のデータに変換して制御処理部13へ出力する。通信IF部15は、例えば、IEEE802.11規格等に従った通信インタフェース回路を備えて構成される。
【0028】
排泄事象センサ部11は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従って、被監視者Obの排泄に関わる所定の事象を検知するためのデータを取得するものである。本実施形態では、被監視者Obの排泄に関わる所定の事象は、被監視者が寝具から離れた離床であり、この離床を非接触で検知するために、排泄事象センサ部11は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従って撮像して画像(画像データ)を生成する撮像部11を備える。この排泄事象センサ部11の一例としての撮像部11(排泄事象センサ部と撮像部とは、便宜上、同一の符号を用いる)は、
図3に示すように、生体信号センサ部12と共に、被監視者Obが所在を予定している空間(所在空間、
図1に示す例では配設場所の居室RM)を監視可能に例えば天井面CEに配置され、前記所在空間を撮像対象としてその上方から撮像し、前記撮像対象を俯瞰した画像(画像データ)を生成し、前記撮像対象の画像(対象画像)を制御処理部13へ出力する。好ましくは、被監視者Ob全体を撮像できる蓋然性が高いことから、撮像部11は、被監視者Obが横臥する寝具(例えばベッド等)BDにおける、被監視者Obの頭部が位置すると予定されている予め設定された頭部予定位置(通常、枕の配設位置)の直上から撮像対象を撮像できるように配設される。
【0029】
このような撮像部11は、可視光の画像を生成する装置であって良いが、比較的暗がりでも被監視者Obを監視できるように、本実施形態では、赤外線の画像を生成する装置である。このような撮像部11は、例えば、本実施形態では、撮像対象における赤外の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象における赤外の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象における赤外の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタル赤外線カメラである。撮像部11の前記結像光学系は、本実施形態では、その配設された居室RM全体を撮像できる画角を持つ広角な光学系(いわゆる広角レンズ(魚眼レンズを含む))であることが好ましい。
【0030】
生体信号センサ部12は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従って、生体信号を測定するためのデータを取得するものである。本実施形態では、生体信号センサ部12は、非接触で測定するために、生体信号センサ部12は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従うドップラセンサ部12を備える。この生体信号センサ部12の一例としてのドップラセンサ部12(生体信号センサ部とドップラセンサ部とは、便宜上、同一の符号を用いる)は、送信波を送信し、物体で反射した前記送信波の反射波を受信し、前記送信波と前記反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号を出力するセンサである。前記物体が動いている場合、いわゆるドップラ効果により前記物体の動いている速度に比例して反射波の周波数がシフトするため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラ周波数成分)が生じる。ドップラセンサ部12は、このドップラ周波数成分の信号をドップラ信号として生成し、出力する。前記送信波は、超音波やマイクロ波等であって良いが、本実施形態では、2.4GHz~24GHzのマイクロ波である。マイクロ波は、着衣を透過して生体の体表で反射できるため、生体が衣服を着ていても体表の動きを検知でき、好ましい。ドップラセンサ部12は、前記所在空間に前記送信波を送信し、前記空間から前記反射波を受信するように、例えば上述のように配置される。このドップラ周波数成分のドップラ信号は、ドップラセンサ部12から制御処理部13へ出力される。
【0031】
このようなドップラセンサ部12は、より具体的には、例えば、
図4に示すように、送信部121と、送信アンテナ122と、受信アンテナ123と、受信部124と、アナログデジタル変換部(AD変換部)125とを備える。
【0032】
送信部121は、マイクロ波に対応する電気信号の送信波を生成する回路であり、例えばガンダイオードや増幅回路等を備えたマイクロ波発振回路等を備えて構成される。送信アンテナ122は、送信部121に接続され、送信部121で生成された電気信号の送信波をマイクロ波の送信波に変換し、前記所在空間に前記マイクロ波の送信波を放射するアンテナである。送信アンテナ122は、所定の指向特性(メインローブの半値幅および送信方向)でマイクロ波の送信波を放射する。
【0033】
受信アンテナ123は、前記所在空間からマイクロ波を取得してマイクロ波を電気信号に変換するアンテナである。受信部124は、受信アンテナ123に接続され、受信アンテナ123から出力された電気信号、および、電気信号の送信波から、信号処理によって、ドップラ周波数成分のドップラ信号を生成する回路である。受信部124は、1チャンネルのドップラ信号を生成する回路であっても良いが、本実施形態では、より精度良く検出するために、例えば直交位相検波器等を備え、IチャンネルとQチャネルとの2チャンネルのドップラ信号(IチャンネルデータI(t)およびQチャンネルデータQ(t))を生成する回路である。この2チャンネルの受信部124では、ドップラ周波数成分のドップラ信号Dp(t)は、I(t)+i×Q(t)の複素信号となる(Dp(t)=I(t)+i×Q(t)、iは、虚数単位であり、i
2=-1)。AD変換部125は、受信部124に接続され、アナログのドップラ信号を所定のサンプリング間隔でサンプリングしてデジタル化することによってデジタルのドップラ信号に変換する回路である。AD変換部125は、制御処理部13に接続され、このAD変換したデジタルのドップラ信号(IチャンネルデータI(t)およびQチャンネルデータQ(t))を制御処理部13へ出力する。なお、
図4に示す例では、AD変換部125は、ドップラセンサ部12に備えられたが、これに代え、制御処理部13に備えられても良い。
【0034】
記憶部14は、制御処理部13に接続され、制御処理部13の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、センサ装置SUの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するSU制御プログラムや、排泄事象センサ部(本実施形態では撮像部)11の出力に基づいて被監視者Obの排泄に関わる所定の事象を検知する処理を実行する排泄事象処理プログラムや、生体信号センサ部(本実施形態ではドップラセンサ部)12の出力に基づいて被監視者Obの生体信号を抽出する処理を実行する生体信号処理プログラムや、前記排泄事象処理プログラムの検知結果に基づいて、被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算プログラムや、前記生体信号処理プログラムの測定結果に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算プログラムや、計時を行う時計プログラムや、前記排泄事象処理プログラムで前記事象(本実施形態では離床)を検知した場合に、前記時計プログラムから現在時刻を前記排泄時刻として取得し、この取得した排泄時刻を前記被監視者Obに対応付けて後述の排泄時刻記憶部141に記録する排泄時刻記録処理プログラムや、前記生体信号処理プログラムで抽出された時系列な所定の生体信号を前記被監視者Obに対応付けて後述の生体信号記憶部142に記録する生体信号記録処理プログラムや、前記第1および第2排泄確率演算プログラムで求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算プログラムや、前記最終排泄確率演算プログラムで求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理プログラムや、前記最終排泄確率演算プログラムで求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、自機のセンサID、および、管理サーバ装置SVの通信アドレス等の、各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。記憶部14は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部14は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部13のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。記憶部14は、排泄時刻記憶部141、生体信号記憶部142、第1排泄予測モデル記憶部143および第2排泄予測モデル記憶部145を機能的に備える。
【0035】
排泄時刻記憶部141は、排泄を行った時刻である排泄時刻を被監視者Obに対応付けて記憶するものである。生体信号記憶部142は、生体信号を被監視者Obに対応付けて記憶するものである。第1排泄予測モデル記憶部143は、後述のように生成された第1排泄予測モデルを被監視者Obに対応付けて記憶するものである。第2排泄予測モデル記憶部144は、後述のように生成された第2排泄予測モデルを被監視者Obに対応付けて記憶するものである。
【0036】
制御処理部13は、センサ装置SUの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、被監視者Obを監視し、被監視者Obが排泄する、所定の単位時間(例えば15分、30分、60分等)当たりの確率を最終的な排泄確率として求め、外部へ通知し、そして、前記最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された場合に、その旨を外部へ通知するための回路である。制御処理部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部13は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部130、排泄事象処理部131、生体信号処理部132、第1排泄確率演算部133、第2排泄確率演算部134、時計部135、排泄時刻記録処理部136、生体信号記録処理部137、最終排泄確率演算部138、判定部139および通知処理部140を機能的に備える。
【0037】
制御部130は、センサ装置SUの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、センサ装置SUの全体制御を司るものである。
【0038】
排泄事象処理部131は、排泄事象センサ部(本実施形態では撮像部)11の出力に基づいて被監視者Obの排泄に関わる所定の事象を検知する処理を実行する。排泄に関わる所定の前記事象は、排泄そのものであっても良いが、本実施形態では、上述したように、前記被監視者が寝具から離れた離床である。看護師や介護士等によって看護や介護等を受ける被監視者は、離床する場合、そのまま排泄のためにトイレに行く可能性が高く、特に、夜間では、離床は、排泄を伴う蓋然性が高い。そして、本実施形態では、上述したように、非接触で離床が検知される。このため、排泄事象センサ部11の一例である撮像部11で生成された画像(対象画像)から離床を検知するために、排泄事象処理部131は、例えば、本実施形態では、
図5に示すように、動体検知部1311および行動判定部1312を機能的に備える。
【0039】
動体検知部1311は、撮像部11で生成された対象画像が入力され、この入力された対象画像に基づいて、被監視者Obの人物の領域として、前記対象画像内における動体領域を抽出するものである。より具体的には、動体検知部1311は、前記対象画像から例えば背景差分法やフレーム差分法によって動体領域を抽出する。動体検知部1311は、この抽出した動体領域を行動判定部1312へ出力する。
【0040】
行動判定部1312は、動体検知部1311から入力された動体領域に基づいて被監視者Obの行動、ここでは、離床の有無を判定して離床を検知するものである。より具体的には、離床の有無を判定するために、まず、記憶部14には、前記各種の所定のデータの1つとして、予め寝具BDの所在領域が記憶される。そして、行動判定部1312は、
図6Aに示すように、動体検知部1311から入力された動体領域MObが、寝具BDの所在領域内から、寝具BDの所在領域外へ時間変化した場合に、離床有りと判定し、離床を検知する。行動判定部1312は、離床を検知すると、この検知結果を排泄時刻記録処理部136へ出力する。なお、行動判定部1312は、入床の事前検知を離床と判定する前提条件としても良い。この場合、行動判定部1312は、
図6Bに示すように、動体検知部1311から入力された動体領域MObが、寝具BDの所在領域外から、寝具BDの所在領域内へ時間変化した場合に、入床有りと判定し、入床を検知する。なお、撮像部11が寝具BDに対し斜め上方等から撮像すると、被監視者Obが離床していても動体領域MObと寝具BDの所在領域とが重なる場合が有り得る。このため、これら離床や入床の判定の際に、動体領域MObと寝具BDの所在領域とが重なっている重なり領域の面積の時間変化や、動体領域MObの面積に対する重なり領域の面積の比率の時間変化が考慮されても良い。
【0041】
生体信号処理部132は、生体信号センサ部(本実施形態ではドップラセンサ部)12の出力に基づいて被監視者Obの生体信号を抽出する処理を実行するものである。このような生体信号処理部132は、より詳しくは、
図7に示すように、信号切り出し部1321および周波数解析部1322を機能的に備える。
【0042】
信号切り出し部1321には、ドップラセンサ部12からドップラ信号が入力される。このドップラセンサ部12から入力されるドップラ信号は、時間的に連続した信号であるので、次段の周波数解析部1322で高速フーリエ変換を実施するために、信号切り出し部1321は、ドップラセンサ部12から入力されるドップラ信号を所定の時間長で切り出し、周波数解析部1322へ出力する。切り出し方は、ドップラセンサ部12から入力されるドップラ信号を、切り出された前後のドップラ信号に重なり部分が無いように、所定の時間長で区切る切り出し方であっても良いが、本実施形態では、時間分解能を向上させるために、切り出された前後のドップラ信号に重なり部分が有るように、所定の時間長で区切る切り出し方である。
【0043】
周波数解析部1322は、信号切り出し部1321より入力された時間空間のドップラ信号を周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)に変換するものである。周波数解析部1322は、周波数空間のドップラ信号を生体信号記録処理部137へ出力する。この時間空間から周波数空間への変換には、公知の常套手段が用いられ、例えば、高速フーリエ変換法(FFT(Fast Fourier Transform)法)、離散フーリエ変換法(DFT(Discrete Fourier Transform)法)、離散コサイン変換法(DCT(Discrete Cosine Transform)法)およびウェーブレット変換法等が利用される。
【0044】
本実施形態では、周波数解析部1322は、公知技術である短時間フーリエ変換法(STFT(Short-Time Fourier Transform)法)によって前記時間空間のドップラ信号を周波数空間のドップラ信号に変換する。このSTFT法では、ドップラセンサ部12より入力された時間空間のドップラ信号は、信号切り出し部1321でいわゆる窓関数によって所定時間のドップラ信号だけ切り出され、この所定時間のドップラ信号が周波数解析部1322でフーリエ変換され、これによって周波数空間のドップラ信号(パワースペクトル)が生成される。実際には、ドップラ信号は、AD変換部125のサンプリング間隔でドップラセンサ部12から連続的に入力されるので、信号切り出し部1321および周波数解析部1322は、ドップラセンサ部12から入力されるドップラ信号に時間的に窓関数をずらしながら当該窓関数を作用させ、そのそれぞれをフーリエ変換する。
【0045】
前記ドップラセンサ部12によって、例えば体動や呼吸の動き等の、被監視者Obにおける種々の動きによるドップラ信号が得られるので、時間空間のドップラ信号や周波数空間のドップラ信号は、これに応じたプロファイルを持つ。
【0046】
例えば、歩行や寝返り等の前記体動は、ゆっくり動く胴体の動きと早く動く手足の動きが混在し、比較的大きな動作で非周期的な動きとなる。このような体の各部が様々な動きをする体動に対応するドップラ信号は、比較的大きな信号強度を持つ比較的広帯域な信号であり、時間空間では、例えば、
図8Aに示すように、比較的振幅が大きく時間経過に従って振幅が不規則に変化する信号となり、周波数空間では、
図8Bに示すように、特定の周波数成分にピークを持たない比較的フラットな(平坦な)プロファイルとなる。
【0047】
また例えば、前記呼吸の動きは、胸部の上下動として現れ、比較的小さな動作で周期的な動きとなる。安静呼吸では、一般に、約12~25回/分であり、約0.2Hz~0.4Hzで胸部が上下動する。このような呼吸の動きに対応するドップラ信号は、比較的小さな信号強度を持つ比較的狭帯域な信号であり、時間空間では、例えば、
図9Aに示すように、比較的振幅が小さく時間経過に従って振幅が規則に変化する信号となり、周波数空間では、
図9Bに示すように、特定の周波数成分(
図9Bに示す例では約0.3Hz)にピークを持つプロファイルとなる。
【0048】
また、ドップラセンサ部12の測定対象範囲内に被監視者Obが不存在等で動くものが無い場合(被監視者Obの呼吸停止の場合を含む)には、センサノイズがドップラセンサ部12から出力される。このセンサノイズは、いわゆる熱雑音であり、ホワイトノイズとなり、時間空間では、例えば、
図10Aに示すように、比較的振幅が小さく時間経過に従って振幅があまり変化しないフラットな信号となり、周波数空間では、
図10Bに示すように、特定の周波数成分にピークを持たない比較的フラットな(平坦な)プロファイルとなる。
【0049】
図2に戻って、時計部135は、計時を行うものである。時計部135は、年月日を計るカレンダ機能も備える。
【0050】
排泄時刻記録処理部136は、排泄事象処理部131で前記事象(本実施形態では排泄とみなされる離床)を検知した場合に、時計部135から現在時刻(年月日時)を排泄時刻として取得し、この取得した排泄時刻を被監視者Obに対応付けて排泄時刻記憶部141に記録するものである。排泄時刻の記録によって前記事象(離床、排泄)のあった事実も排泄時刻記憶部141に記録されることになる。
【0051】
生体信号記録処理部137は、生体信号センサ部12で測定された時系列な所定の生体信号、本実施形態では、生体信号処理部132で求められた周波数空間のドップラ信号を前記被監視者Obに対応付けて生体信号記憶部142に記録するものである。
【0052】
第1排泄確率演算部133は、排泄事象処理部131の検知結果に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求めるものである。より具体的には、第1排泄確率演算部133は、所定の時間帯を所定の時間長(第1時間長)で区切ることによって生成された複数のサブ時間帯(第1サブ時間帯)それぞれについて、排泄時刻記憶部141に記憶された排泄時刻に基づいて前記第1排泄確率を求めることによって第1排泄予測モデルを生成する。前記所定の時間帯は、排泄の監視時間帯に応じた任意であって良く、例えば、一日24時間の時間帯、夜間20時から翌6時までの時間帯、および、深夜0時から4時までの時間帯等である。前記所定の時間長は、任意の適宜な時間長であって良く、例えば、10分、15分および30分等である。一例では、一日24時間が0時から15分ごとに区切られ、96(=4×24)個のサブ時間帯が生成される。そして、所定期間、例えば1週間に亘ってセンサ装置SUが、稼働され、排泄時刻を排泄時刻記憶部141に記憶して行く。この結果、例えば、2時から2時15分のサブ時間帯内に、7日間のうち5回、排泄時刻が排泄時刻記憶部141に記憶されている場合、2時から2時15分のサブ時間帯における第1排泄確率は、(排泄検知回数)/(観測回数)=5回/7日間(7回)=約71%と求められる。このような演算が前記96個の各サブ時間帯それぞれについて実行され、前記96個の各サブ時間帯それぞれについて各第1排泄確率が求められ、これらサブ時間帯とその第1排泄確率との96個の組が前記第1排泄予測モデルとなる。
【0053】
そして、第1排泄確率演算部133は、この生成した第1排泄予測モデルを前記被監視者Obに対応付けて第1排泄予測モデル記憶部143に記憶する。
【0054】
第2排泄確率演算部134は、生体信号処理部132の処理結果に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求めるものである。より具体的には、第2排泄確率演算部134は、前記生体信号記憶部に記憶された時系列な所定の生体信号を学習データとして用いることによって前記第2排泄確率を求める第2排泄予測モデルを学習によって生成する。より詳しくは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、所定の特徴量が学習データとして生成される。前記所定の第2時間長は、任意な適宜な時間長であって良く、前記所定の第1時間長と同一であっても異なっても良い。前記所定の特徴量は、例えば、前記第2サブ時間帯を所定の第3時間長で区切ることによって生成された複数の小時間帯それぞれについて、当該小時間帯で得られる周波数空間の複数のドップラ信号から求められた平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvarである。したがって、前記所定の特徴量は、平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvarの8個に、前記小時間帯の個数を乗じた個数となる。例えば、30分の第2サブ時間帯が5分ごとの6個の第1ないし第6小時間帯に区切られ、これら第1ないし第6小時間帯それぞれについて、当該小時間帯で得られる周波数空間の複数のドップラ信号から求められた平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvarが求められ、これらは、合計48(=8×6)個となる。なお、パワーは、パワースペクトルを積分することで求めることができ、呼吸数は、1分間のピーク数を計数することで求めることができる。
【0055】
そして、所定期間、例えば1週間に亘ってセンサ装置SUが、稼働され、周波数空間のドップラ信号を生体信号記憶部142に記憶して行く。一方、看護師や介護士等の監視者は、看護記録や介護記録等から前記複数の第2サブ時間帯それぞれに、排泄の有無を表すデータを割り付けて、端末装置SP、TAを介して記憶部14に記憶して行く。そして、第2排泄確率演算部134は、このように得られた周波数空間のドップラ信号から、1週間分の各第2サブ時間帯それぞれについて、各特徴量を求め、これら特徴量に記憶部14に記憶された排泄の有無を対応付けて教師有りの学習データを生成し、この生成した学習データを用いて、前記第2排泄確率を求める第2排泄予測モデルを例えばロジスティック回帰分析等によって生成する。
【0056】
そして、第2排泄確率演算部134は、この生成した第2排泄予測モデルを前記被監視者Obに対応付けて第2排泄予測モデル記憶部144に記憶する。
【0057】
最終排泄確率演算部138は、第1および第2排泄確率演算部133、134で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求めるものである。最終排泄確率演算部138は、この求めた最終的な排泄確率を判定部139および通知処理部140それぞれへ出力する。より具体的には、最終排泄確率演算部138は、前記複数のサブ時間帯(第1サブ時間帯)それぞれについて、第1排泄予測モデルから求めた第1排泄確率と、第2排泄予測モデルから求めた第2排泄確率とを乗算することで、前記最終的な排泄確率を求める。この第2排泄予測モデルから第2排泄確率を求める際には、当該サブ時間帯に取得された周波数空間のドップラ信号から求められた特徴量(平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvar)が用いられる。前記所定の時間帯が一日24時間であってデータ収集期間が複数日(観測回数が複数回)である場合には、当該サブ時間帯(当該第1サブ時間帯)に取得された周波数空間のドップラ信号から求められる特徴量は、複数であるので、これら複数の特徴量の中のいずれか1つ、あるいは、これら複数の特徴量の平均値、あるいは、これら複数の特徴量の中央値が前記第2排泄予測モデルから第2排泄確率を求める際に用いられる。このため、第1サブ時間帯と第2サブ時間帯とは、一致していることが好ましい。
【0058】
判定部139は、最終排泄確率演算部138で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えたか否かを判定する。この判定の結果、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えていない場合には、判定部139は、何もせず、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えている場合には、判定部139は、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を通知処理部140へ出力する。
【0059】
通知処理部140は、最終排泄確率演算部138で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知するものである。本実施形態では、通知処理部140は、最終排泄確率演算部138で求めた最終的な排泄確率を管理サーバ装置SVを介して所定の端末装置SP、TAへ通信IF部15で送信する。より具体的には、通知処理部140は、自機のセンサID、および、最終排泄確率演算部138で求めた最終的な排泄確率を収容した通信信号(第1最終排泄確率通知通信信号)を管理サーバ装置SVへ通信IF部15で送信する。この第1最終排泄確率通知通信信号を受信した管理サーバ装置SVは、それに収容されたセンサIDに対応する通知先の端末IDを検索し、この検索した端末IDを持つ端末装置SP、TAへ、この受信した最終排泄確率通知通信信号に収容されていたセンサID、および、最終的な排泄確率を収容した通信信号(第2最終排泄確率通知通信信号)を送信する。なお、管理サーバ装置SVは、前記受信した最終排泄確率通知通信信号に収容されていたセンサID、および、最終的な排泄確率を収容した通信信号を同報通信で送信しても良い。
【0060】
そして、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨が判定部139から入力されると、通知処理部140は、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を外部へ通知する。本実施形態では、通知処理部140は、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を管理サーバ装置SVを介して所定の端末装置SP、TAへ通信IF部15で送信する。より具体的には、通知処理部140は、自機のセンサID、および、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を表す排泄予告情報を収容した通信信号(第1排泄予告通知通信信号)を管理サーバ装置SVへ通信IF部15で送信する。この第1排泄予告知通信信号を受信した管理サーバ装置SVは、それに収容されたセンサIDに対応する通知先の端末IDを検索し、この検索した端末IDを持つ端末装置SP、TAへ、この受信した第1排泄予告通知通信信号に収容されていたセンサIDおよび排泄予告情報を収容した通信信号(第1排泄予告通知通信信号)を送信する。
【0061】
本実施形態では、排泄事象センサ部11および排泄事象処理部131は、被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知部の一例に相当し、生体信号センサ部12および生体信号処理部132は、前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定部の一例に相当する。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図11は、前記センサ装置における排泄予測モデルを作成し、最終的な排泄確率を通知する動作を示すフローチャートである。
図12は、前記センサ装置における排泄を予測して通知する動作を示すフローチャートである。
【0063】
上記構成の被監視者監視システムMSでは、各装置SU、SV、SP、TAは、電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。センサ装置SUでは、その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部13には、制御部130、排泄事象処理部131、生体信号処理部132、第1排泄確率演算部133、第2排泄確率演算部134、時計部135、排泄時刻記録処理部136、生体信号記録処理部137、最終排泄確率演算部138、判定部139および通知処理部140が機能的に構成される。
【0064】
本実施形態における被監視者監視システムMSでは、第1および第2排泄予測モデルを作成し最終的な排泄確率を通知する初期モードと、最終的な排泄確率を用いて排泄予告を行う排泄予告モードとがある。以下、これらを順次に説明する。
【0065】
(初期モード)
初期モードでは、
図11において、まず、センサ装置SUは、制御処理部13によって、各データを取得し、記憶する(S11)。より具体的には、センサ装置SUは、排泄事象センサ部11の一例としての撮像部11から画像を取得し、排泄事象処理部131によって、前記画像(対象画像)に基づいて前記事象(本実施形態では離床)を検知し、前記事象を検知すると、排泄時刻記録処理部136によって、時計部135から現在時刻が排泄時刻として取得され、この取得した排泄時刻を排泄時刻記憶部141に記憶する。センサ装置SUは、生体信号センサ部12の一例としてのドップラセンサ部12からドップラ信号を取得し、生体信号処理部132によって、周波数空間のドップラ信号を生成し、この生成した周波数空間のドップラ信号を生体信号記憶部142に記憶する。なお、この際に、看護師や介護士等の監視者は、看護記録や介護記録等から前記複数の第2サブ時間帯それぞれに、排泄の有無を表すデータを割り付けて、端末装置SP、TAを介して記憶部14に記憶して行く。
【0066】
次に、センサ装置SUは、制御処理部13によって、各データの取得開始から、予め設定されたデータ収集期間(例えば1週間、10日間、2週間等)が終了したか否かを判定する(S12)。この判定の結果、データ収集期間が終了していない場合(No)には、センサ装置SUは、制御処理部13によって、処理を処理S11に戻し、一方、データ収集期間が終了している場合(Yes)には、センサ装置SUは、制御処理部13によって、次の処理S13を実行する。すなわち、データ収集期間が終了するまで、各データが収集され、記憶されて行く。
【0067】
処理S13では、センサ装置SUは、制御処理部13の第1排泄確率演算部133によって、処理S11および処理S12で取得され記憶された各データを用いることで、第1排泄予測モデルを生成し、この生成した第1排泄予測モデルを第1排泄予測モデル記憶部143に記憶する。
【0068】
この次に、センサ装置SUは、制御処理部13の第2排泄確率演算部134によって、処理S11および処理S12で取得され記憶された各データを用いることで、第2排泄予測モデルを生成し、この生成した第2排泄予測モデルを第2排泄予測モデル記憶部144に記憶する(S14)。
【0069】
次に、センサ装置SUは、制御処理部13の最終排泄確率演算部138によって、第1および第2排泄確率演算部133、134で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者Obが排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める(S16)。
【0070】
次に、センサ装置SUは、制御処理部13の通知処理部139によって、処理S15で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知し(S17)、処理を終了する。本実施形態では、通知処理部139は、センサIDおよび前記最終的な排泄確率を収容した第1最終排泄確率通知通信信号を管理サーバ装置SVへ通信IF部15で送信する。この第1最終排泄確率通知通信信号を受信した管理サーバ装置SVは、それに収容されたセンサIDに対応する通知先の端末IDを検索し、この検索した端末IDを持つ端末装置SP、TAへ、この受信した第1最終排泄確率通知通信信号に収容されていたセンサIDおよび最終的な排泄確率を収容した第2最終排泄確率通知通信信号を送信する。この第2最終排泄確率通知通信信号を受信した端末装置SP、TAは、この受信した第2最終排泄確率通知通信信号に収容された最終的な排泄確率を前記被監視者Obに対応付けて表示する。例えば、前記第1サブ時間帯ごとに順次に並べて各最終的な排泄確率が表示される。すなわち、第1排泄予測モデルが表示される。なお、端末装置SP、TAには、センサIDと被監視者Obの氏名との対応関係が予め記憶される。
【0071】
初期モードでは、被監視者監視システムMSは、このように動作する。
【0072】
(排泄予告モード)
排泄予告モードでは、予め設定された所定の時間間隔(サンプリング間隔)で
図11に示す処理S11と同様な処理で各データが取得され、記録される一方、
図12に示す各処理が予め設定された所定の時間間隔(例えば1秒等)で繰り返し実行される。
【0073】
図12において、まず、センサ装置SUは、制御処理部13の第1および第2排泄確率演算部133、134によって時計部135から現在時刻を取得する(S21)。
【0074】
次に、センサ装置SUは、第1排泄確率演算部133によって、現在時刻に当たる第1排泄確率を第1排泄予測モデルから求める(S22)。
【0075】
次に、センサ装置SUは、第2排泄確率演算部134によって、現在時刻に当たる第2排泄確率を第2排泄予測モデルから求める(S23)。例えば、第2排泄確率演算部134は、現在時刻から前記第2時間長だけ過去に遡った時刻までの、生体信号記憶部142に記憶された周波数空間の複数のドップラ信号から特徴量(上述の例では、平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvarの合計48個)を求め、この求めた特徴量を第2排泄予測モデルに用いることで第2排泄確率を求める。
【0076】
次に、センサ装置SUは、最終排泄確率演算部138によって、処理S22で求めた第1排泄確率および処理S23で求めた第2排泄確率に基づいて最終的な排泄確率を求める(S25)。例えば、最終排泄確率演算部138は、処理S22で求めた第1排泄確率と処理S23で求めた第2排泄確率とを乗算することによって最終的な排泄確率を求める。
【0077】
次に、センサ装置SUは、判定部139によって、処理S25で最終排泄確率演算部138によって求められた最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えたか否かを判定する(S26)。この判定の結果、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えていない場合には、センサ装置SUは、今回の処理を終了し、一方、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えている場合には、センサ装置SUは、次の処理S27を実行した後に、今回の処理を終了する。
【0078】
この処理S27では、センサ装置SUは、通知処理部140によって、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を外部へ通知する。本実施形態では、通知処理部139は、センサIDおよび排泄予告情報を収容した第1排泄予告通知通信信号を管理サーバ装置SVへ通信IF部15で送信する。この第1排泄予告通知通信信号を受信した管理サーバ装置SVは、それに収容されたセンサIDに対応する通知先の端末IDを検索し、この検索した端末IDを持つ端末装置SP、TAへ、この受信した第1排泄予告通知通信信号に収容されていたセンサIDおよび排泄予告情報を収容した第2排泄予告通知通信信号を送信する。この第2排泄予告通知通信信号を受信した端末装置SP、TAは、所定の警告音を鳴らす。なお、警告音に代え、あるいは、追加して、端末装置SP、TAは、排泄予告を表すメッセージを前記被監視者Obに対応付けて表示しても良い。また、警告音に代え、あるいは、追加して、または、前記表示代え、あるいは、追加して、端末装置SP、TAは、所定の振動を出力しても良い。
【0079】
排泄予告モードでは、被監視者監視システムMSは、このように動作する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態における被監視者監視システムMS、被監視者監視装置の一例であるセンサ装置SUおよびこれに実装された被監視者監視方法は、被監視者Obの第1排泄確率を求め、前記被監視者Obの第2排泄確率を求め、これら第1および第2排泄確率に基づいて前記被監視者Obの最終的な排泄確率を求めて外部へ通知する。したがって、監視者は、被監視者Obの最終的な排泄確率を参照することで、排泄を予測できるから、上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、事前の駆け付けを支援できる。したがって、前記被監視者Obの転倒リスクを低減できる。
【0081】
上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、最終的な排泄確率を、2通りの手法で求めた第1および第2排泄確率に基づいて求めるので、より精度の良い排泄確率を求めることができる。
【0082】
特に、施設に入居している高齢者の場合、安定した生活を送ってもらうために、食事の時刻や就寝の時刻は、ある程度決められており、周期性を持っている。それに従い、排泄の時期やそのための離床動作も周期性を持っている。また、排泄前には無意識のうちに違和感を感じ、眠りが浅くなったり寝返りが増える等の何らかの体動がある。特に、夜間就寝中では、その傾向が表れやすい。上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、排泄事象処理部131の検知結果に基づいて第1排泄確率を求め、生体信号処理部132の処理結果に基づいて第2排泄確率を求め、これらを統合して最終的な排泄確率を求めているので、精度よく排泄確率を求めることができる。
【0083】
寝たきりの状態で24時間おむつに排泄している高齢者は、排泄後のおむつ交換が看護師や介護士等の監視者にとって大きな業務負担となっている。そのため、排泄前におむつ交換のタイミングを知りたいという要望がある。例えば特開2001-161732には、おむつ交換の時期を検出するデバイスが開示されているが、おむつ内に配設するあるため、高齢者が違和感を感じたり、おむつ交換のたびに配設する必要がある等、使い勝手が良くない。しかしながら、上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、別途、おむつ内にデバイスを配設する必要が無く、使い勝手がよい。
【0084】
上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた場合、外部へ所定の通知を行う。このため、この通知を参照することで、監視者は、被監視者Obの排泄が近いことを認識できる。そして、監視者は、被監視者Obの実際の離床前に、被監視者Obの下に駆け付けることが可能となるので、転倒のリスクを低減できる。
【0085】
上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、離床を前記事象とみなすことで前記事象を簡易に検知できる。
【0086】
上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、画像から離床を検知するので、被監視者Obに非接触で被監視者Obの離床、ひいては前記事象を検知できる。
【0087】
上記被監視者監視システムMS、センサ装置SUおよび被監視者監視方法は、被監視者Obの生体信号をドップラセンサ部12で測定するので、被監視者Obに非接触でその生体信号を測定できる。
【0088】
なお、上述の実施形態において、排泄予告モードの実施中に、被監視者Obにおける実際の排泄があった際に、看護師や介護士等の監視者は、端末装置SP、TAから排泄時刻および排泄の有無を表すデータを入力し、管理サーバ装置SVを介してセンサ装置SUへ送信する。センサ装置SUは、端末装置SP、TAから管理サーバ装置SVを介して受信した排泄時刻および排泄の有無を表すデータを記憶部14に記憶する。そして、センサ装置SUは、所定の期間間隔ごとに、あるいは、監視者等の指示により、初期モードの各データに、排泄予告モードの実施中に得られたデータを加えて第1排泄予測モデルを再計算し、初期モードの各データに、排泄予告モードの実施中に得られたデータを加えて学習データを更新し、この更新した学習データで第2排泄予測モデルを学習し直して更新しても良い。これによってさらに第1および第2排泄予測モデルの精度が向上できる。
【0089】
このような場合、上述の被監視者監視装置の一例としてのセンサ装置SUにおいて、前記排泄時刻の入力を受け付ける排泄受付部をさらに備え、生体信号記憶部142は、さらに、前記排泄受付部で受け付けた排泄時刻を前記被監視者Obに対応付けて排泄時刻記憶部141に記録し、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、第1排泄確率演算部133は、排泄時刻記憶部141に記憶された排泄時刻に基づいて第1排泄予測モデルを再生成し、第2排泄確率演算部134は、排泄時刻記憶部141に記憶された排泄時刻に基づいて前記複数の第2サブ時間帯それぞれについて排泄の有無を表す排泄有無データを生成し、前記生成した排泄有無データを、前記学習データにおける前記複数の第2サブ時間帯それぞれに対応する各データに加えることで教師有り学習データを生成し、前記生成した教師有り学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを再学習によって再生成する。本実施形態では、排泄時刻は、看護師や介護士等の監視者によって端末装置SP、TAに入力され、端末装置SP、TAから管理サーバ装置SVを介してセンサ装置SUに入力されるので、通信IF部15が、排泄時刻の入力を受け付ける排泄受付部の一例に相当する。なお、センサ装置SUは、必要に応じて、さらに、制御処理部13に接続され例えば各種コマンドや各種データ等を入力する入力部や、前記入力部で入力された各種コマンドや各種データを出力する出力部をさらに備え、排泄時刻は、前記入力部から入力されても良い。
【0090】
また、上述の実施形態では、第1および第2排泄確率に基づいて最終的な排泄確率が求められたが、さらに第3排泄確率に基づいて最終的な排泄確率が求められても良い。このような場合、上述の被監視者監視装置の一例としてのセンサ装置SUにおいて、
図2に破線で示すように、排泄時刻から時間が経過するに従って排泄確率が高くなる第3排泄予測モデルから第3排泄確率を求める第3排泄確率演算部21を、制御処理部13に機能的にさらに備え、最終排泄確率演算部138は、第1ないし第3排泄確率演算部133、134、21それぞれで求められた第1ないし第3排泄確率それぞれに基づいて前記最終的な排泄確率を求める。より具体的には、例えば、最終排泄確率演算部138は、第1ないし第3排泄確率演算部133、134、21それぞれで求められた第1ないし第3排泄確率を乗算することによって前記最終的な排泄確率を求める。記憶部14は、
図2に破線で示すように、第3排泄予測モデルを記憶する第3排泄予測モデル記憶部22を機能的にさらに備える。
図11に示すフローチャートでは、処理S14と処理S16との間に、破線で示すように、第3排泄予測モデルを生成し、第3排泄予測モデル記憶部22に記憶する処理S15がさらに追加される。
図12に示すフローチャートでは、処理S23と処理S25との間に、破線で示すように、第3排泄確率を求める処理S24がさらに追加される。前記第3排泄予測モデルは、予め複数のサンプルを用いることによって生成されたテーブルや関数式であって良く、あるいは、学習データを用いることによって生成された学習モデルであって良い。これによれば、最終的な排泄確率を、第1および第2排泄確率に加えてさらに第3排泄確率に基づいて求めるので、さらにより精度の良い最終的な排泄確率を求めることができる。
【0091】
また、上述の実施形態では、排泄事象センサ部11は、撮像部11を備え、排泄事象処理部131によって離床を排泄として検知したが、排泄事象検知部は、これに限定されるものではない。例えば、寝具周りの領域や離床する場所等に配設された離床マットが用いられても良い。離床マットは、例えば、感圧センサを備え、被監視者Obが当該離床マットに乗ることで、前記感圧センサによって被監視者Obの離床を検知する。また例えば、トイレに配設された、着座を検知する着座センサが用いられても良い。着座センサは、例えば、感圧センサを備え、被監視者Obが当該着座センサに乗ることで、前記感圧センサによって被監視者Obの着座を検知する。この着座センサを用いる場合では、排泄後、入床までの歩行の際のリスクに対応できる。このような離床マットや着座センサでは、有線または無線によって通信可能にセンサ装置SUの制御処理部13に接続される。
【0092】
また、上述の実施形態では、特徴量は、平均パワーPave、最大パワーPmax、最小パワーPmin、その分散Pvar、平均呼吸数Bave、最大呼吸数Bmax、最小呼吸数Bminおよびその分散Bvarであったが、これに限定されるものではない。例えば、これらに加え、摂取水分量や、食事量が用いられても良い。このような場合、上述の被監視者監視装置の一例としてのセンサ装置SUにおいて、好ましくは、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量の入力を受け付ける摂取水分受付部と、前記摂取水分受付部で受け付けた、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する摂取水分記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、第2排泄確率演算部134は、前記学習データにおける、前記摂取水分記憶部に記憶された摂取時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。また、上述の被監視者監視装置の一例としてのセンサ装置SUにおいて、好ましくは、食事時刻に対応付けられた食事量の入力を受け付ける食事量受付部と、前記食事量受付部で受け付けた、食事時刻に対応付けられた食事量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する食事量記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、第2排泄確率演算部134は、前記学習データにおける、前記食事量記憶部に記憶された食事時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記食事時刻に対応付けられた食事量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。また、上述の被監視者監視装置の一例としてのセンサ装置SUにおいて、好ましくは、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量の入力を受け付ける摂取水分受付部と、食事時刻に対応付けられた食事量の入力を受け付ける食事量受付部と、前記摂取水分受付部で受け付けた、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する摂取水分記憶部と、前記食事量受付部で受け付けた、食事時刻に対応付けられた食事量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する食事量記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、第2排泄確率演算部134は、前記学習データにおける、前記摂取水分記憶部に記憶された摂取時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を加え、前記学習データにおける、前記食事量記憶部に記憶された食事時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記食事時刻に対応付けられた食事量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。
【0093】
このような摂取時刻に対応付けられた摂取水分量や、食事時刻に対応付けられた食事量は、看護師や介護士等の監視者によって端末装置SP、TAに入力され、端末装置SP、TAから管理サーバ装置SVを介してセンサ装置SUに入力される。通信IF部15は、摂取水分受付部の一例に相当し、食事量受付部の一例にも相当する。記憶部14には、
図2に破線で示すように、摂取水分記憶部31や、食事量記憶部32が機能的にさらに備えられる。
【0094】
また、上述の実施形態では、初期モードの処理S17において、最終的な排泄確率が外部へ通知されたが、これに加えて、センサ装置SUは、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えたか否かを判定し、その判定結果も外部へ通知しても良い。そして、最終的な排泄確率を表示する場合に、前記所定の閾値thを越えているか否かに応じた異なる表示態様で前記最終的な排泄確率が表示される。例えば、前記所定の閾値thを越えている最終的な排泄確率は、赤色や黄色で表示され、前記所定の閾値thを越えていない最終的な排泄確率は、青色や緑色で表示される。
【0095】
また、上述の実施形態では、排泄予告モードの処理S27において、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨が外部へ通知されたが、これに加えて、センサ装置SUは、前記最終的な排泄確率も外部へ通知されても良い。そして、前記最終的な排泄確率が所定の閾値thを超えた旨を表示する場合に、前記最終的な排泄確率が表示される。
【0096】
また、上述の実施形態では、被監視者監視装置は、センサ装置SUに構成されたが、センサ装置SUと管理サーバ装置SVとで構成されても良い。このような場合、一例では、センサ装置SUは、排泄事象センサ部11および生体信号センサ部12を備え、管理サーバ装置SVは、排泄事象処理部131、生体信号処理部132、第1排泄確率演算部133、第2排泄確率演算部134、時計部135、排泄時刻記録処理部136、生体信号記録処理部137、最終排泄確率演算部138、判定部139、通知処理部140、排泄時刻記憶部141、生体信号記憶部142、第1排泄予測モデル記憶部143および第1排泄予測モデル記憶部144を備えて構成される。
【0097】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0098】
一態様にかかる被監視者監視装置は、監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知部と、前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定部と、前記排泄事象検知部の検知結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算部と、前記生体信号測定部の測定結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算部と、前記第1および第2排泄確率演算部で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算部と、前記最終排泄確率演算部で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理部とを備える。好ましくは、上述の被監視者監視装置において、計時を行う時計部と、排泄を行った時刻である排泄時刻を記憶する排泄時刻記憶部と、前記排泄事象検知部で前記事象を検知した場合に、前記時計部から現在時刻を前記排泄時刻として取得し、前記取得した排泄時刻を前記被監視者に対応付けて前記排泄時刻記憶部に記録する排泄時刻記録処理部と、前記時系列な所定の生体信号を記憶する生体信号記憶部と、前記生体信号測定部で測定された時系列な所定の生体信号を前記被監視者に対応付けて前記生体信号記憶部に記録する生体信号記録処理部とをさらに備え、前記第1排泄確率演算部は、所定の時間帯を所定の時間長(第1時間長)で区切ることによって生成された複数のサブ時間帯(第1サブ時間帯)それぞれについて、前記排泄時刻記憶部に記憶された排泄時刻に基づいて前記第1排泄確率を求めることによって第1排泄予測モデルを生成し、前記第2排泄確率演算部は、前記生体信号記憶部に記憶された時系列な所定の生体信号を学習データとして用いることによって、前記第2排泄確率を求める第2排泄予測モデルを学習によって生成し、前記最終排泄確率演算部は、前記第1および第2排泄確率演算部それぞれによって生成された第1および第2排泄予測モデルそれぞれから求まる第1および第2排泄確率に基づいて前記最終的な排泄確率を求める。好ましくは、上述の被監視者監視装置において、前記排泄時刻の入力を受け付ける排泄受付部をさらに備え、前記生体信号記憶部は、さらに、前記排泄受付部で受け付けた排泄時刻を前記被監視者に対応付けて前記排泄時刻記憶部に記憶し、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、前記第1排泄確率演算部は、前記排泄時刻記憶部に記憶された排泄時刻に基づいて前記第1排泄予測モデルを再生成し、前記第2排泄確率演算部は、前記排泄時刻記憶部に記憶された排泄時刻に基づいて前記複数の第2サブ時間帯それぞれについて排泄の有無を表す排泄有無データを生成し、前記生成した排泄有無データを、前記学習データにおける前記複数の第2サブ時間帯それぞれに対応する各データに加えることで教師有り学習データを生成し、前記生成した教師有り学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを再学習によって再生成する。好ましくは、上述の被監視者監視装置において、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量の入力を受け付ける摂取水分受付部と、前記摂取水分受付部で受け付けた、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を前記被監視者に対応付けて記憶する摂取水分記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、前記第2排泄確率演算部は、前記学習データにおける、前記摂取水分記憶部に記憶された摂取時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。好ましくは、上述の被監視者監視装置において、食事時刻に対応付けられた食事量の入力を受け付ける食事量受付部と、前記食事量受付部で受け付けた、食事時刻に対応付けられた食事量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する食事量記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、前記第2排泄確率演算部は、前記学習データにおける、前記食事量記憶部に記憶された食事時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記食事時刻に対応付けられた食事量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。好ましくは、上述の被監視者監視装置において、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量の入力を受け付ける摂取水分受付部と、食事時刻に対応付けられた食事量の入力を受け付ける食事量受付部と、前記摂取水分受付部で受け付けた、摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する摂取水分記憶部と、前記食事量受付部で受け付けた、食事時刻に対応付けられた食事量を前記被監視者Obに対応付けて記憶する食事量記憶部とをさらに備え、前記学習データは、前記所定の時間帯を所定の第2時間長で区切ることによって生成された複数の第2サブ時間帯それぞれについて、データを備え、前記第2排泄確率演算部は、前記学習データにおける、前記摂取水分記憶部に記憶された摂取時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記摂取時刻に対応付けられた摂取水分量を加え、前記学習データにおける、前記食事量記憶部に記憶された食事時刻に対応する第2サブ時間帯のデータに、前記食事時刻に対応付けられた食事量を加え、前記加えた学習データを用いることによって前記第2排泄予測モデルを学習によって生成する。
【0099】
このような被監視者監視装置は、被監視者の第1排泄確率を求め、前記被監視者の第2排泄確率を求め、これら第1および第2排泄確率に基づいて前記被監視者の最終的な排泄確率を求めて外部へ通知する。したがって、監視者は、被監視者の最終的な排泄確率を参照することで、排泄を予測できるから、上記被監視者監視装置は、事前の駆け付けを支援できる。上記被監視者監視装置は、最終的な排泄確率を、2通りの手法で求めた第1および第2排泄確率に基づいて求めるので、より精度の良い排泄確率を求めることができる。
【0100】
他の一態様では、上述の被監視者監視装置において、前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部と、前記通知処理部は、前記判定部によって、前記最終排泄確率演算部で求められた最終的な排泄確率が所定の閾値を超えたと判定された場合に、その旨を外部へ所定の通知を行う。
【0101】
このような被監視者監視装置は、最終的な排泄確率が、予め設定された所定の閾値を超えた場合、外部へ所定の通知を行う。このため、この通知を参照することで、監視者は、被監視者の排泄が近いことを認識できる。
【0102】
他の一態様では、これら上述の被監視者監視装置において、前記排泄事象検知部は、前記被監視者が寝具から離れた離床を前記事象として検知する離床検知部を備える。
【0103】
このような被監視者監視装置は、離床を前記事象とみなすことで前記事象を簡易に検知できる。
【0104】
他の一態様では、これら上述の被監視者監視装置において、前記離床検知部は、撮像して画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成された画像に基づいて前記離床を検知する検知部とを備える。
【0105】
このような被監視者監視装置は、画像から離床を検知するので、被監視者に非接触で被監視者の離床、ひいては前記事象を検知できる。
【0106】
他の一態様では、これら上述の被監視者監視装置において、前記生体信号測定部は、ドップラセンサを備える。
【0107】
このような被監視者監視装置は、被監視者の生体信号をドップラセンサで測定するので、被監視者に非接触でその生体信号を測定できる。
【0108】
他の一態様では、これら上述の被監視者監視装置において、排泄時刻から時間が経過するに従って排泄確率が高くなる第3排泄予測モデルから第3排泄確率を求める第3排泄確率演算部をさらに備え、前記最終排泄確率演算部は、第1ないし第3排泄確率演算部それぞれで求められた第1ないし第3排泄確率それぞれに基づいて前記最終的な排泄確率を求める。
【0109】
このような被監視者監視装置は、最終的な排泄確率を、第1および第2排泄確率に加えてさらに第3排泄確率に基づいて求めるので、さらにより精度の良い最終的な排泄確率を求めることができる。
【0110】
他の一態様にかかる被監視者監視方法は、監視対象である被監視者の排泄に関わる所定の事象を検知する排泄事象検知工程と、前記被監視者における時系列な所定の生体信号を測定する生体信号測定工程と、前記排泄事象検知工程の検知結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第1排泄確率として求める第1排泄確率演算工程と、前記生体信号測定部の測定結果に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を第2排泄確率として求める第2排泄確率演算工程と、前記第1および第2排泄確率演算工程で求められた第1および第2排泄確率に基づいて、前記被監視者が排泄する、所定の単位時間当たりの確率を最終的な排泄確率として求める最終排泄確率演算工程と、前記最終排泄確率演算工程で求めた最終的な排泄確率を外部へ通知する通知処理工程とを備える。
【0111】
このような被監視者監視方法は、被監視者の第1排泄確率を求め、前記被監視者の第22排泄確率を求め、これら第1および第2排泄確率に基づいて前記被監視者の最終的な排泄確率を求めて外部へ通知する。したがって、監視者は、被監視者の最終的な排泄確率を参照することで、排泄を予測できるから、上記被監視者監視方法は、事前の駆け付けを支援できる。上記被監視者監視方法は、最終的な排泄確率を、2通りの手法で求めた第1および第2排泄確率に基づいて求めるので、より精度の良い排泄確率を求めることができる。
【0112】
他の一態様にかかる被監視者監視システムは、端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者を監視する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムであって、前記被監視者監視装置は、これら上述のいずれかの被監視者監視装置である。
【0113】
このような被監視者監視システムは、これら上述のいずれかの被監視者監視装置を用いるので、排泄確率を予測して監視者に通知することで事前の駆け付けを支援できる。
【0114】
この出願は、2016年4月19日に出願された日本国特許出願特願2016-83279を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0115】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明によれば、被監視者監視装置、被監視者監視方法およびに被監視者監視システムが提供できる。