IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図1
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図2
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図3
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図4
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図5
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図6
  • 特許-表示装置、表示方法及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20221004BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221004BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20221004BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20221004BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221004BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20221004BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221004BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 535
G06F3/041 570
G06F3/04883
G09G3/20 611A
G09G3/20 612B
G09G3/20 660C
G09G3/20 660E
G09G3/20 660Q
G09G3/34 J
G09G5/00 530H
G09G5/00 550C
G09G5/36 530Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019020965
(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公開番号】P2020129039
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 弘章
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506566(JP,A)
【文献】特開2003-156728(JP,A)
【文献】特開2016-81302(JP,A)
【文献】特開2015-158900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0239062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
G06F 3/041 , 3/04883
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーによって駆動される表示装置であって、
当該表示装置の表示画面の中に、前記バッテリーの残量に応じた表示領域を設定する表示領域設定部と、
前記表示領域に対する指示位置を検出する指示位置検出部と、
前記表示領域の設定状態と、前記指示位置の座標とを関連付けて記憶する指示位置記憶部と、
前記指示位置に描画情報を描画させる描画制御部と、
前記表示領域設定部が前記表示領域の設定を変更した際に、変更された前記設定状態と、前記指示位置記憶部が記憶した情報とに基づいて、前記表示領域の設定が変更される前に描画された前記描画情報を拡大又は縮小して表示させる表示制御部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示領域設定部は、
前記バッテリーの残量が閾値未満である場合に、前記表示領域を狭く設定して、
前記バッテリーの残量が前記閾値を超える場合に、前記表示領域を広く設定する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域設定部の設定に応じて、前記表示画面における前記表示領域以外の領域のバックライトを消灯させるバックライト制御部を、更に備える、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記設定状態は、前記表示領域の位置とサイズである、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、設定変更前の表示領域に対する前記描画情報の相対位置及び当該表示領域に対する前記描画情報の相対サイズと、
設定変更後の表示領域に対する前記描画情報の相対位置及び当該表示領域に対する前記描画情報の相対サイズと、が等しくなるように、前記描画情報を拡大又は縮小させる、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
バッテリーによって駆動される表示装置において、
当該表示装置の表示画面の中に、前記バッテリーの残量に応じた表示領域を設定する表示領域設定ステップと、
前記表示領域に対する指示位置を検出する指示位置検出ステップと、
前記表示領域の設定状態と、前記指示位置の座標とを関連付けて記憶する指示位置記憶ステップと、
前記指示位置に描画情報を描画させる描画制御ステップと、
前記表示領域設定ステップにおいて前記表示領域の設定を変更した際に、変更された前記設定状態と、前記指示位置記憶ステップにおいて記憶した情報とに基づいて、前記表示領域の設定が変更される前に描画された前記描画情報を拡大又は縮小して表示させる表示制御ステップと、
を行う表示方法。
【請求項7】
バッテリーによって駆動される表示装置を制御するコンピュータに対して、
当該表示装置の表示画面の中に、前記バッテリーの残量に応じた表示領域を設定する表示領域設定ステップと、
前記表示領域に対する指示位置を検出する指示位置検出ステップと、
前記表示領域の設定状態と、前記指示位置の座標とを関連付けて記憶する指示位置記憶ステップと、
前記指示位置に描画情報を描画させる描画制御ステップと、
前記表示領域設定ステップにおいて前記表示領域の設定を変更した際に、変更された前記設定状態と、前記指示位置記憶ステップにおいて記憶した情報とに基づいて、前記表示領域の設定が変更される前に描画された前記描画情報を拡大又は縮小して表示させる表示制御ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが表示画面の表面を指でなぞる等の入力を行うことで、表示部に線や図形などを描画することが可能な表示装置が知られている。
【0003】
このような描画機能を持つ表示装置において、バッテリーの電力の残量に応じて、表示面積を縮小し、電力消費を抑える技術が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該技術では、表示面積が縮小された状態でユーザが描画を行った後に、バッテリーの充電量が回復して、表示面積が縮小前の状態に戻った場合、表示画像に対する描画情報の描画位置にズレが生じるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示画面における表示領域のサイズに応じて、描画情報の描画位置を変更することが可能な表示装置、表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バッテリーによって駆動される表示装置であって、当該表示装置の表示画面の中に、前記バッテリーの残量に応じた表示領域を設定する表示領域設定部と、前記表示領域に対する指示位置を検出する指示位置検出部と、前記表示領域の設定状態と、前記指示位置の座標とを関連付けて記憶する指示位置記憶部と、前記指示位置に描画情報を描画させる描画制御部と、前記表示領域設定部が前記表示領域の設定を変更した際に、変更された前記設定状態と、前記指示位置記憶部が記憶した情報とに基づいて、前記表示領域の設定が変更される前に描画された前記描画情報を拡大又は縮小して表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリーによって駆動されて、タッチパネルを介して描画を行う表示装置において、放電によってバッテリーの残量が低下した場合に表示領域を縮小したとき、及び充電によってバッテリーの残量が増加した場合に表示領域を拡大したときであっても、表示画像に対する描画位置のずれの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表示装置の適用例である電子黒板の外観斜視図である。
図2図2は、電子黒板のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
図3図3は、電子黒板のコントローラ部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、電子黒板の動作概要を説明する図である。
図5図5は、バッテリーの残量が少ない場合に、ディスプレイの表示画面に狭い表示領域を設定する方法について説明する図である。
図6図6は、描画情報の拡大、縮小を行う方法について説明する図である。
図7図7は、電子黒板が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(電子黒板の概要の説明)
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る電子黒板10の概要について説明する。図1は、表示装置の適用例である電子黒板10の外観斜視図である。図1に示すように、電子黒板10は、ディスプレイ280と、コントローラ部11と、バッテリー部41と、タッチセンサ214とを有する。
【0010】
ディスプレイ280は、描画情報や画像情報を出力する表示デバイスであり、液晶パネルや有機ELパネル等で構成される。ディスプレイ280は、画像情報や描画情報を表示する表示画面42を備える。なお、ディスプレイ280は、表示装置の一例である。
【0011】
コントローラ部11と、バッテリー部41とはディスプレイ280の筐体の内部に実装されている。コントローラ部11は、電子黒板10の全体の動作を制御する。バッテリー部41は、電子黒板10に電力を供給する。なお、バッテリー224は、例えば、例えば、マンガン電池やアルカリ電池等の一次電池、又はリチウムイオン電池やニッケル・水素電池等の二次電池である。
【0012】
タッチセンサ214は、例えば、赤外線遮断方式によって座標の入力及び座標の検出を行う。具体的には、タッチセンサ214は、ディスプレイ280の上側両端部にそれぞれ設置される。タッチセンサ214は、赤外線を放射する発光部と赤外線を受光する受光部とをともに備える。タッチセンサ214は、ディスプレイ280の画面に平行に複数の赤外線を放射する。放射された赤外線は、ディスプレイ280の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、放射した赤外線の光路と同一の光路上を戻り、受光部に受光される。その際、画面上に手や電子ペン等の物体が存在すると、これらの物体によって反射した赤外線が、受光部に検出される。このとき、2つのタッチセンサ214は、物体から反射した赤外線を同時に受光して、三角測量の原理に基づいて、物体が接触した座標位置を特定する。
【0013】
(電子黒板のハードウェア構成の説明)
次に、図2を用いて、電子黒板10のハードウェア構成を説明する。図2は、電子黒板10のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【0014】
図2に示すように、電子黒板10は、コントローラ部11と、表示部21と、タッチパネル部31と、バッテリー部41を備える。
【0015】
コントローラ部11は、電子黒板10の全体の動作を制御する。コントローラ部11は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、SSD(Solid State Drive)204とを備える。
【0016】
CPU201は、電子黒板10全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。SSD204は、電子黒板用のプログラム等の各種データを記憶する。
【0017】
なお、CPU201が実行するプログラムは、ROM202に予め組み込んで提供される他に、コントローラ部11にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0018】
表示部21は、手Hや電子ペン290で描画された描画情報、及び外部機器から入力された画像情報を表示する。表示部21は、GPU(Graphics Processing Unit)212と、ディスプレイコントローラ213と、ディスプレイ280を備える。
【0019】
GPU212は、描画情報や画像情報等のグラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ280等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。また、ディスプレイコントローラ213は、ディスプレイ280のバックライトの状態(点灯、消灯、減光、増光等)を制御する。
【0020】
タッチパネル部31は、タッチセンサ214と、タッチパネルコントローラ215を備える。タッチセンサ214は、ディスプレイ280上に電子ペン290やユーザの手H等が接触したこと、及び接触した位置を検知するセンサである。タッチセンサ214の概要は、前記した通りである。タッチパネルコントローラ215は、タッチセンサ214の動作を制御する。
【0021】
なお、タッチセンサ214は、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの検出手段を用いてもよい。
【0022】
また、前記した電子ペン290は、電子黒板10が備える電子ペンコントローラ216によって制御される。電子ペンコントローラ216は、電子ペン290と通信することで、ディスプレイ280へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。なお、電子ペンコントローラ216が、電子ペン290のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン290のユーザが握る部分や、電子ペン290のその他の部分に対するタッチの有無を判断してもよい。
【0023】
バッテリー部41は、バッテリー224と、バッテリーコントローラ225を備える。バッテリー224は、電子黒板10に電力を供給する。バッテリーコントローラ225は、バッテリー224の残量を管理する。なお、電子黒板10は、バッテリー部41として、更に、AC電源を受電して電子黒板10に供給する電力供給部を備えてもよい。バッテリー224を備えるのは、AC電源を供給できない場所であっても、電子黒板10を使用可能とするためである。
【0024】
電子黒板10は、更に、ネットワークI/F(Interface)205、及び外部機器接続I/F206を備える。ネットワークI/F205は、図2に非図示の通信ネットワークとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ230、外付け機器(マイク240、スピーカ250、カメラ260)である。
【0025】
また、電子黒板10は、キャプチャデバイス211、近距離通信回路219、及び近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222、及び選択スイッチ類223を備える。
【0026】
キャプチャデバイス211は、外付けのPC(Personal Computer)270のディスプレイに対して、映像情報を静止画または動画として表示させる。
【0027】
近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0028】
電源スイッチ222は、電子黒板10の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。また、選択スイッチ類223は、例えば、ディスプレイ280の表示の明暗や色合い等を調整するためのスイッチ群である。
【0029】
更に、電子黒板10は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図2に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
(電子黒板のハードウェア構成の説明)
次に、図3を用いて、電子黒板10のコントローラ部11の機能構成を説明する。図3は、電子黒板10のコントローラ部11の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0031】
図2に示したコントローラ部11は、CPU201の駆動に用いられるプログラムを実行することによって、CPU201の内部に、図3に示す各機能部を実現する。すなわち、コントローラ部11は、バッテリー残量検出部111と、表示領域設定部112と、バックライト制御部113と、指示位置検出部114と、指示位置記憶部115と、描画制御部116と、表示制御部117と、操作制御部118とを、機能部として実現する。
【0032】
バッテリー残量検出部111は、バッテリー224の残量を検出する。
【0033】
表示領域設定部112は、ディスプレイ280(表示装置)の表示画面42の中に、バッテリー224の残量に応じた表示領域を設定する。なお、本実施形態では、表示領域設定部112は、バッテリー224の残量に応じた面積の表示領域を設定するが、表示領域の設定方法はそれに限定されるものではない。
【0034】
バックライト制御部113は、ディスプレイ280のバックライトの状態を制御する。特に、バックライト制御部113は、表示領域設定部112の設定に応じて、表示画面42の中の表示領域以外の領域のバックライトを消灯させる。
【0035】
指示位置検出部114は、表示領域に対する指示位置を検出する。
【0036】
指示位置記憶部115は、表示領域の設定状態と、指示位置の座標とを関連付けて記憶する。
【0037】
描画制御部116は、指示位置に描画情報を描画させる。
【0038】
表示制御部117は、表示領域設定部112が表示領域の設定を変更した際に、変更された表示領域の設定状態と、指示位置記憶部115が記憶する情報とに基づいて、表示領域の設定が変更される前に描画された描画情報を拡大又は縮小して表示させる。
【0039】
操作制御部118は、電子黒板10に対する各種操作を受け付ける。また、操作制御部118は、受け付けた操作に対応する情報をコントローラ部11に送信する。
【0040】
(電子黒板のハードウェア構成の説明)
次に、図4を用いて、本実施形態における電子黒板10の動作概要を説明する図である。図4は、電子黒板10の動作概要を説明する図である。
【0041】
図4(a)は、表示領域設定部112の作用によって、ディスプレイ280の表示画面42全体が表示領域43aに設定された状態(状態1)を示す。そして、ディスプレイ280が図4(a)の状態にあるとき、電子黒板10の使用者が、手H又は電子ペン290によって表示領域43aに描画を行うと、指示位置検出部114が検出した描画位置に、描画制御部116が描画情報50aを描画させる。そして、指示位置記憶部115は、表示領域43aが設定されていることと、描画情報50aの描画位置とを関連付けて記憶する。
【0042】
図4(b)は、バッテリー224の放電によって、バッテリー224の残量が、予め設定した閾値未満になった状態(状態2)を示す。すなわち、バッテリー残量検出部111が、バッテリー224の残量が閾値未満になったことを検出した場合に、表示領域設定部112は、ディスプレイ280の消費電力を抑制するために、表示領域43aを縮小した表示領域43bを設定する。そして、更に、バックライト制御部113は、表示画面42における表示領域43b以外の領域43cのバックライトを消灯させる。すなわち、領域43cは、全面が黒の状態となる。
【0043】
そして、図4(b)の状態にあるとき、表示制御部117は、表示画面42を縮小する前の状態で描画された描画情報50aを、表示領域43bに応じた状態に縮小して、描画情報50bとして表示する。
【0044】
更に、図4(b)の状態において描画された情報は、描画された位置に、描画情報50cとして描画される。なお、このとき、指示位置検出部114は、領域43cに対して手H又は電子ペン290が接触した場合には、当該接触は無視する。或いは、指示位置検出部114は、領域43cを検出範囲外としてもよい。
【0045】
なお、図4(b)の状態において表示された描画情報50b、及び図4(b)の状態で描画された描画情報50cは、指示位置記憶部115の作用によって、表示領域43bが設定されていることと関連付けて記憶される。
【0046】
次に、図4(c)は、バッテリー224が充電されて、バッテリー224の残量が、予め設定した閾値を超えた状態(状態3)を示す。なお、状態3は状態1と同じ状態であるが、説明の便宜上、状態3として説明する。
【0047】
バッテリー残量検出部111が、バッテリー224の残量が閾値を超えたことを検出した場合に、表示領域設定部112は、ディスプレイ280に表示領域43aを設定する。そして、更に、バックライト制御部113は、全てのバックライトを点灯させる。
【0048】
そして、図4(c)の状態にあるとき、表示制御部117は、表示画面42を拡大する前の状態で描画された描画情報50b,50cを、表示領域43aに応じた状態に拡大して表示する。すなわち、描画情報50a,50dが表示される。
【0049】
そして、図4(c)の状態において表示された描画情報50a,50dは、指示位置記憶部115の作用によって、表示領域43aが設定されていることと関連付けて記憶される。
【0050】
以降、バッテリー224の残量に応じて、状態1(状態3)と状態2とが交互に遷移する。
【0051】
なお、図4では、表示領域43a,43bが、バッテリー224の残量に応じて2段階に変更される様子を説明したが、表示領域の設定数は2に限定されるものではない。すなわち、バッテリー224の残量に応じて、表示領域をより多段階に細かく変更してもよい。
【0052】
(表示領域の設定方法の説明)
次に、図5を用いて、表示領域43bの設定方法について説明する。図5は、バッテリー224の残量が少ない場合に、ディスプレイ280の表示画面42に狭い表示領域43bを設定する方法について説明する図である。
【0053】
なお、ディスプレイ280の表示画面42は、最も広い状態(図4(a)の表示領域43a)において、表示画面42の横方向をx軸、縦方向をy軸として、左上の点A(0,0)から右下の点B(M,N)の範囲に、画像情報及び描画情報を表示できるものとする。そして、表示領域設定部112は、表示画面42の中央付近に、縮小された表示領域43bを設定するものとする。
【0054】
表示領域43bは、左上の点C(a,b)から右下の点D(c,d)の範囲に、画像情報及び描画情報を表示できるものとする。なお、図5の例では、表示領域43bは表示画面42の中央付近に設定したが、表示領域43bの設定位置は、これに限られない。すなわち、例えば、点A(0,0)と点C(a,b)とが一致した状態になるように、表示領域43bを設定する等してもよい。
【0055】
なお、指示位置記憶部115は、表示領域43bの設定状態として、点C(a,b)と点D(c,d)の座標を記憶する。すなわち、点C(a,b)と点D(c,d)の座標は、表示領域43bの位置を表す。また、点C(a,b)と点D(c,d)の座標から、表示領域43bのサイズ、すなわち、横方向サイズ(c-a)と、縦方向サイズ(d-b)が算出される。
【0056】
(描画情報の拡大、縮小方法の説明)
次に、図6を用いて、描画情報の拡大、縮小方法について説明する。図6は、描画情報の拡大、縮小を行う方法について説明する図である。
【0057】
前述したように、指示位置記憶部115は、ディスプレイ280の表示画面42に表示領域43bが設定されていることと、そこに描画された描画情報の描画位置とを関連付けて記憶する。例えば、図6に示すように、表示領域43bが設定されている場合に、描画情報の描画位置である点Uの座標が記憶される。なお、描画情報は、一般に複数の点が連続した図形となるため、複数の点Uの座標が記憶される。ここでは、説明を簡単にするため、描画位置は点U(p,q)のみであるとする。
【0058】
このとき、表示領域設定部112が表示領域を拡大して、表示領域43aを設定したとする。このとき、表示制御部117は、点U(p,q)を、式(1),式(2)で算出される点V(r,s)に移動させる。
【0059】
r={(p-a)/(c-a)}*M …(1)
s={(q-b)/(d-b)}*N …(2)
【0060】
すなわち、表示制御部117は、表示領域43bに対する点U(p,q)の相対位置と等しくなるように、表示領域43aにおける点V(r,s)の位置を定める。
【0061】
逆に、表示領域設定部112が表示領域を縮小して、表示領域43aを表示領域43bに変更した場合には、点V(r,s)を、式(3),式(4)で算出される点U(p,q)に移動させる。
【0062】
p=(r/M)*(c-a)+a …(3)
q=(s/N)*(d-b)+b …(4)
【0063】
なお、表示制御部117は、表示領域43a又は表示領域43bに表示された画像情報についても、表示領域の設定状態の変更に応じて、拡大縮小を行う。
【0064】
(電子黒板が行う処理の流れの説明)
次に、図7を用いて、電子黒板10が行う処理の流れを説明する。図7は、電子黒板10が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0065】
操作制御部118は、ユーザの起動操作を検出することによって、電子黒板10を起動させる(ステップS11)。
【0066】
バッテリー残量検出部111は、バッテリー224の残量が閾値以上であるかを判定する(ステップS12)。バッテリー224の残量が閾値以上であると判定される(ステップS12:Yes)と、ステップS13に進む。一方、バッテリー224の残量が閾値以上であると判定されない(ステップS12:No)と、ステップS15に進む。
【0067】
ステップS12において、Yesと判定されると、表示領域設定部112は、表示領域を「状態1」に設定する(ステップS13)。すなわち表示領域43aが設定される。なお、既に表示領域43aが設定されている場合は、表示領域設定部112は何もしない。そして、バックライト制御部113は、表示画面42の全てのバックライトを点灯させる(ステップS14)。その後、ステップS17に進む。
【0068】
ステップS12において、Noと判定されると、表示領域設定部112は、表示領域を「状態2」に設定する(ステップS15)。すなわち表示領域43bが設定される。なお、既に表示領域43bが設定されている場合は、表示領域設定部112は何もしない。そして、バックライト制御部113は、表示画面42の表示領域43bに対応する位置以外のバックライトを消灯させる(ステップS16)。その後、ステップS19に進む。
【0069】
ステップS14に続いて、表示領域設定部112は、表示領域の設定が「状態2」から「状態1」に変化したかを判定する(ステップS17)。表示領域の設定が「状態2」から「状態1」に変化したと判定される(ステップS17:Yes)と、ステップS18に進む。一方、表示領域の設定が「状態2」から「状態1」に変化したと判定されない(ステップS17:No)と、ステップS21に進む。
【0070】
ステップS17において、Yesと判定されると、表示制御部117は、表示領域43bに表示されていた画像情報、及び表示領域43bに描画されていた描画情報を、表示領域43aに合うように拡大する(ステップS18)。その後、ステップS21に進む。
【0071】
また、ステップS16に続いて、表示領域設定部112は、表示領域の設定が「状態1」から「状態2」に変化したかを判定する(ステップS19)。表示領域の設定が「状態1」から「状態2」に変化したと判定される(ステップS19:Yes)と、ステップS20に進む。一方、表示領域の設定が「状態1」から「状態2」に変化したと判定されない(ステップS19:No)と、ステップS21に進む。
【0072】
ステップS19において、Yesと判定されると、表示制御部117は、表示領域43aに表示されていた画像情報、及び表示領域43aに描画されていた描画情報を、表示領域43bに合うように縮小する(ステップS20)。その後、ステップS21に進む。
【0073】
指示位置検出部114は、その時点で設定されている表示領域43a又は表示領域43bの中に、指示位置が検出されたかを判定する(ステップS21)。指示位置が検出されたと判定される(ステップS21:Yes)と、ステップS22に進む。一方、指示位置が検出されたと判定されない(ステップS21:No)と、ステップS24に進む。
【0074】
ステップS21において、Yesと判定されると、描画制御部116は、指示位置に描画情報を描画する(ステップS22)。
【0075】
続いて、指示位置記憶部115は、表示領域の設定状態と指示位置とを関連付けて記憶する(ステップS23)。
【0076】
ステップS21において、Noと判定された場合、又はステップS23を実行した後で、操作制御部118は、ユーザの終了操作を検出することによって、電子黒板10の動作終了が指示されたかを判定する(ステップS24)。電子黒板10の動作終了が指示されたと判定される(ステップS24:Yes)と、図7の処理が終了する。一方、電子黒板10の動作終了が指示されたと判定されないステップS24:No)と、ステップS12に戻って、前述した処理を繰り返す。
【0077】
以上説明したように、本実施形態のディスプレイ280(表示装置)によれば、表示領域設定部112が、ディスプレイ280の表示画面42の中に、ディスプレイ280を駆動するバッテリー224の残量に応じた面積の表示領域43a又は表示領域43bを設定する。そして、指示位置検出部114が、表示領域に対する指示位置を検出して、指示位置記憶部115が、表示領域(43a,43b)の設定状態と、指示位置の座標とを関連付けて記憶する。そして、描画制御部116は、指示位置に描画情報を描画させる。また、表示制御部117は、表示領域設定部112が表示領域(43a,43b)の設定を変更した際に、変更された表示領域の設定状態と、指示位置記憶部115が記憶した情報とに基づいて、表示領域の設定が変更される前に描画された描画情報を拡大又は縮小して表示させる。したがって、ディスプレイ280の表示領域のサイズが変化しても、表示領域に対する描画情報の位置ずれの発生を防止することができる。
【0078】
また、本実施形態のディスプレイ280によれば、表示領域設定部112は、バッテリー224の残量が閾値未満である場合に、狭い表示領域43bを設定して、バッテリー224の残量が閾値を超える場合に、広い表示領域43aを設定する。したがって、バッテリー224の残量に応じた表示領域を設定することができる。
【0079】
また、本実施形態のディスプレイ280によれば、表示領域設定部112が、表示画面42の中の表示領域43aを表示領域43bに縮小した際に、バックライト制御部113が、表示領域43b以外の領域のバックライトを消灯させる。したがって、バッテリー224の残量の減少を抑止することができる。
【0080】
また、本実施形態のディスプレイ280によれば、表示領域の設定状態は、表示領域の位置(例えば表示領域の左上の座標と右下の座標)とサイズ(例えば表示領域の縦横の画素数)である。したがって、表示領域の設定状態を簡便に記憶することができる。
【0081】
また、本実施形態のディスプレイ280によれば、表示制御部117は、設定変更前の表示領域に対する描画情報の相対位置、及び当該表示領域に対する描画情報の相対サイズと、設定変更後の表示領域に対する描画情報の相対位置及び当該表示領域に対する描画情報の相対サイズと、が等しくなるように、設定変更前の描画情報を拡大又は縮小させる。したがって、表示画面42における表示領域のサイズに応じて、当該表示領域に対する相対位置が一定になるように、描画情報の描画位置を変更することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10 電子黒板
42 表示画面
43a,43b 表示領域
50a,50b,50c,50d 描画情報
111 バッテリー残量検出部
112 表示領域設定部
113 バックライト制御部
114 指示位置検出部
115 指示位置記憶部
116 描画制御部
117 表示制御部
224 バッテリー
280 ディスプレイ(表示装置)
290 電子ペン
H 手
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【文献】特開2012-157100号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7