(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】配置支援装置および配置支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20221004BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221004BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20221004BHJP
【FI】
G06Q50/26
G08G1/00 C
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2019076922
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊村 崇
(72)【発明者】
【氏名】中江 達哉
(72)【発明者】
【氏名】福島 正能
(72)【発明者】
【氏名】島田 将人
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028489(JP,A)
【文献】特開2005-284991(JP,A)
【文献】特開2012-043296(JP,A)
【文献】特開2013-092930(JP,A)
【文献】特開2006-201024(JP,A)
【文献】特開2003-288687(JP,A)
【文献】特開2007-172124(JP,A)
【文献】木村 新之介 外2名,保安レベルのさらなる向上に向けた緊急保安用車両の最適配置の検討および出動件数の予測ツールの開発,第27回 日本シミュレーション学会大会 発表論文集,日本,2008年06月19日,pp.395-398
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を発揮するために出動する部隊の配置を支援する配置支援装置であって、
所定の範囲に区切られた地図情報と、
前記所定の範囲における所定の曜日の人口を特定する人口情報と、
前記所定の範囲における所定の日時における気象を特定する気象情報と、を記憶する記憶部と、
前記所定の範囲ごとに所定の時刻帯に係る前記部隊の出動件数を、前記人口と前記気象に基づいて算出する出動件数算出部と、
前記出動件数に対応する前記部隊の出動に係る現場到着時間を前記人口と前記気象に基づいて算出する到着時間算出部と、
前記出動件数と前記現場到着時間とを表示する画面情報を生成する出力画面生成部と、
を備えることを特徴とする配置支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記気象情報を外部の装置から取得する通信部を備え、
前記気象情報は所定の観測所単位に取得され、
前記出動件数算出部は、前記所定の範囲を前記観測所のいずれかの気象情報と関連付けて前記出動件数を算出し、
前記到着時間算出部は、前記所定の範囲を前記観測所のいずれかの気象情報と関連付けて前記現場到着時間を算出する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記気象情報を外部の装置から取得する通信部を備え、
前記気象情報は所定の観測所単位に取得され、
前記出動件数算出部は、前記所定の範囲を最短距離の前記観測所の気象情報と関連付けて前記出動件数を算出し、
前記到着時間算出部は、前記所定の範囲を最短距離の前記観測所の気象情報と関連付けて前記現場到着時間を算出する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記出動件数算出部は、
前記所定の範囲における人口が増減するイベント情報の入力を受け付け、
算出した前記出動件数を前記イベント情報に含まれる日時および場所に応じて補正する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記出動件数算出部は、
前記所定の範囲における人口が増減するイベント情報の入力を受け付け、
算出した前記出動件数を前記イベントの特徴に応じて補正する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記出動件数算出部は、
前記所定の範囲における人口が増減するイベント情報の入力を受け付け、
算出した前記出動件数を前記イベントの参加者層に応じて補正する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記出動件数算出部は、
前記所定の範囲における人口が増減するイベント情報の入力を受け付け、
算出した前記出動件数を前記イベントが屋内イベントであれば前記所定の範囲について、前記イベントが屋外イベントであれば前記所定の範囲および近傍の前記所定の範囲について補正する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記出動件数算出部は、
前記所定の範囲における人口が増減するイベント情報の入力を受け付け、
算出した前記出動件数を前記イベントが飲酒可能なイベントであるか否かに応じて補正する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の配置支援装置であって、
前記到着時間算出部は、前記部隊の一つまたは複数について、配置する前記所定の範囲または時刻帯あるいはその両方を変化させて現場到着時間を算出し、
前記出力画面生成部は、前記現場到着時間が最小となるときの前記部隊の配置を提示する、
ことを特徴とする配置支援装置。
【請求項10】
所定の機能を発揮するために出動する部隊の配置を支援する配置支援装置を用いた配置支援方法であって、
前記配置支援装置は、
所定の範囲に区切られた地図情報と、
前記所定の範囲における所定の曜日の人口を特定する人口情報と、
前記所定の範囲における所定の日時における気象を特定する気象情報と、を記憶する記憶部と、処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記所定の範囲ごとに所定の時刻帯に係る前記部隊の出動件数を、前記人口と前記気象に基づいて算出する出動件数算出ステップと、
前記出動件数に対応する前記部隊の出動に係る現場到着時間を前記人口と前記気象に基づいて算出する到着時間算出ステップと、
前記出動件数と前記現場到着時間とを表示する画面情報を生成する出力画面生成ステップと、
を実施することを特徴とする配置支援方法。
【請求項11】
所定の機能を発揮するために出動する部隊の配置を支援する配置支援装置であって、
所定の範囲に区切られた地図情報と、
前記所定の範囲における所定の曜日の人口を特定する人口情報と、
前記所定の範囲における所定の日時における気象を特定する気象情報と、を記憶する記憶部と、
前記所定の範囲ごとに所定の時刻帯に係る前記部隊の出動件数を、前記人口と前記気象に基づいて算出する出動件数算出部と、
前記出動件数に対応する前記部隊の出動に係る現場到着時間を前記人口と前記気象に基づいて算出する到着時間算出部と、
前記地図情報に前記所定の範囲を示す区切り線を重畳させて表示し、少なくとも前記出動件数と前記現場到着時間の前記所定の範囲間の平均値とを表示する画面情報を生成する出力画面生成部と、
を備えることを特徴とする配置支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置支援装置および配置支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「ランダムに発生させた仮想的な出動件数に対して、現場までの経路や道路状況を考慮してシミュレーションを行うことで現場到着時間を算出する」技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1は、出動件数がランダムであるため、実績に沿った日付や曜日、場所によって出動件数が変動することを考慮できていない。そのため、隊の配置のための予測精度にばらつきがある。
【0005】
本発明の目的は、より正確に出動件数と現場到着時間を算出することができ、それにもとづいて隊の配置を最適化することにより実際の現場到着時間を短縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0007】
本発明の一態様は、所定の機能を発揮するために出動する部隊の配置を支援する配置支援装置であって、所定の範囲に区切られた地図情報と、上記所定の範囲における所定の曜日の人口を特定する人口情報と、上記所定の範囲における所定の日時における気象を特定する気象情報と、を記憶する記憶部と、上記所定の範囲ごとに所定の時刻帯に係る上記部隊の出動件数を、上記人口と上記気象に基づいて算出する出動件数算出部と、上記出動件数に対応する上記部隊の出動に係る現場到着時間を上記人口と上記気象に基づいて算出する到着時間算出部と、上記出動件数と上記現場到着時間とを表示する画面情報を生成する出力画面生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より正確に出動件数と現場到着時間を算出することができ、それにもとづいて配置を最適化することにより実際の現場到着時間を短縮する技術を提供することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一の実施形態における配置支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】カレンダー情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】隊配置情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】配置支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図8】配置シミュレーション処理のフローの例を示す図である。
【
図9】シミュレーション結果出力画面の例を示す図である。
【
図10】第二の実施形態における配置支援システムの構成例を示す図である。
【
図11】気象観測エリアの配置表示画面の例を示す図である。
【
図12】第三の実施形態におけるイベント登録画面例を示す図である。
【
図13】配置シミュレーション処理(イベント変動)のフローの例を示す図である。
【
図14】第四の実施形態における隊配置効率化処理のフローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0012】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0014】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
救急業務においては、一刻も早い病院搬送が救命率向上や予後の社会復帰率向上に寄与するため、救急隊が出動してから現場に到着するまでの時間短縮が課題となっている。いつ発生するかわからない救急要請に対応するにはなるべく多くの救急隊を地域にまんべんなく配置することが理想であるが、現実には予算や人員などのリソースは有限であるため、いまある救急隊を要請が発生しそうな地域に配置して効率よく運用することが考えられている。これについては、従来は運用者が経験にもとづいて地域ごとの出動件数と現場到着時間を予測し、救急隊の隊配置を決定していた。
【0017】
一般に、救急隊の隊配置は、例えばその日一日の隊配置は事前に計画され、計画に従って行われている。また、出動件数や出動地域は、様々な要因により変動するが、相関性のある要因として、曜日や時刻帯、季節、人口構成、気象条件等が考えられる。また、慣習的なイベントや年中行事などで集客が増減する傾向にある地域では、平素より出動件数が増減する傾向等の予測が可能な場合もある。一方で、近年ではインターネットやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等を介して、主催者のいないハロウィーンイベントが局地的に自然発生することがあり、そのようなイベントでは飲酒が制限されず救急出動が急激に増加する場合もみられる。
【0018】
そこで、本発明に係る第一の実施形態においては、日時や曜日、天候に応じて統計的に予測可能な人口増減に基づき、救急隊の配置決定を支援するシミュレーション結果を出力する配置支援システムを実現する。
【0019】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態における配置支援システムの構成例を示す図である。配置支援システムには、配置支援装置101が含まれる。配置支援装置101は、パーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレット端末、サーバー装置等のいわゆる情報処理装置である。配置支援装置101には、マウス操作やタッチパネル操作などで運用者からの指示を受け付ける入力受付部102と、運用者に画面を提示する表示部103と、各種情報を保持する記憶部104と、処理部105と、が含まれる。処理部105は、各種の演算処理と、入力受付部102と、表示部103と、記憶部104と、の動作を制御する。入力受付部102と、表示部103と、記憶部104、処理部105とは、共通バス(データバス、アドレスバスを含む)により接続される。
【0020】
配置支援システムは、例えば救急業務開始時に、当該一日あるいは数日間の隊配置を決定する際に用いられる。
【0021】
入力受付部102は、ユーザーインターフェースを介した運用者からの入力情報を受け付ける。表示部103は、ユーザーインターフェースを介して運用者へ情報を出力する。
【0022】
記憶部104には、カレンダー情報1041と、地図情報1042と、人口情報1043と、気象情報1044と、隊配置情報1045と、が含まれる。
【0023】
図2は、カレンダー情報のデータ構造の例を示す図である。カレンダー情報1041には、日付1041Aに応じて、曜日1041Bと、祝祭日1041Cと、が関連付けられている。日付1041Aは、年月日を特定する情報であり、例えばYYYY/MM/DD等の所定のフォーマットで示される。曜日1041Bは、曜日を特定する情報であり、例えば「Sun」、「Mon」等の所定のフォーマットで示される。祝祭日1041Cは、祝祭日に該当する日か否かを特定する情報である。
【0024】
地図情報1042は、地形情報を含む地図情報であり、図示しないが所定のフォーマットにより表現された地形上の任意の点の緯度経度と、その点の地勢情報と、その点の住所情報等が関連付けられている。また、地図情報1042には、道路の接続関係を特定する情報と、車両による走行における移動コスト(時間、距離、料金等)の情報も含まれる。なお、地図情報1042は、後述する所定の範囲(メッシュ)で区切る情報が関連付けられている。
【0025】
図3は、人口情報のデータ構造の例を示す図である。人口情報1043には、メッシュID1043Aと曜日1043Bの組み合わせに応じて、人口1043Cが関連付けられている。メッシュID1043Aは、所定の地域や地理的範囲を所定のルールで区切った範囲であるメッシュを特定する情報である。例えば、メッシュには、行政上の市区町村や統計に用いる標準地域メッシュや、約1km(キロメートル)四方の第3次メッシュなどがある。メッシュの地図上の配置位置は、日本であれば日本工業規格によって地図上の位置が緯度経度で定められているため、これを利用する。本実施形態においては、第3次メッシュを採用するものとするが、これに限られるものではなく、標準地域メッシュであってもよい。人口1043Cには、メッシュID1043Aにより特定されるメッシュに関して曜日1043Bにより特定される曜日の人口の実績値(例えば、複数年にわたる平均値)が格納される。なお、昼間人口は時刻帯によっても変動するため、メッシュと曜日と時刻帯の組み合わせに対して細かく格納できるようにしても構わない。一方、夜間人口を用いる場合は曜日や時刻帯による変動が少ないため、メッシュのみと紐づける簡素な構成としても構わない。
【0026】
図4は、気象情報のデータ構造の例を示す図である。気象情報1044には、地域1044Aと、日時1044Bと、気象1044Cと、が関連付けられている。地域1044Aは、気象情報において対象とされている最小単位の地域区分を特定する情報である。日時1044Bは、気象情報において対象とされている最小単位の日時の区分を特定する情報である。気象1044Cには、地域1044Aにより特定される地域に関して日時1044Bにより特定される日時の気象の予報(例えば、晴れ、曇、雨、雪等)が格納される。なお、気象1044Cの予報は、このような区分けに限られず、各種の天候に関する情報(各種注意報や警報、気温、湿度、降水量等)が含まれるものであってもよい。
【0027】
図5は、隊配置情報のデータ構造の例を示す図である。隊配置情報1045には、時刻帯1045Aごとに、救急隊を特定する隊ID1045Bと、隊ID1045Bにより特定される救急隊が配置されるメッシュを特定する配置メッシュID1045Cと、が関連付けられている。時刻帯1045Aは、救急隊の配置を維持する時間である時刻帯を特定する情報である。
【0028】
本実施形態においては、これらのカレンダー情報1041と、地図情報1042と、人口情報1043と、気象情報1044と、隊配置情報1045とは、あらかじめ運用者によって作成され、記憶部104に保存されているものとするが、これに限られず、他のシステム等から情報を適宜に取得して記憶部104に保存するものであってもよい。
【0029】
処理部105には、配置条件設定部1051と、出動件数算出部1052と、到着時間算出部1053と、出力画面生成部1054と、が含まれる。
【0030】
配置条件設定部1051は、運用者からの隊配置の計画の入力を入力受付部102を介して受け付けて、隊配置情報1045として記憶部104に記憶させる。例えば、表示部103が対象地域上にメッシュの区切りを重畳表示させる画面を出力すると、配置条件設定部1051は、救急隊を示すアイコン等がいずれかのメッシュ上にドロップされたことを受け付けて、隊配置情報1045に格納する。そして、配置条件設定部1051は、当該救急隊について、配置時刻帯の情報の入力を受け付けるポップアップ画面等を表示部103に出力させ、配置時刻帯の情報の入力を受け付け、隊配置情報1045に格納する。つまり、配置条件設定部1051は、画面入力による隊配置位置の計画の入力を可能とする。
【0031】
出動件数算出部1052は、受け付けた隊配置の条件のもとで対象地域全メッシュの当日または所定範囲の複数日(例えば、一週間)の各時刻帯について、メッシュごとに人口と気象に基づいて出動件数を算出する処理を行う。
【0032】
出動件数算出部1052は、記憶部104から算出の条件となる各種情報を読み出す。例えば、出動件数算出部1052は、カレンダー情報1041からは当日の当該時刻帯の曜日を、人口情報1043からは当該メッシュの当日の当該時刻帯の人口を取得する。また、出動件数算出部1052は、気象情報1044からは、当日の当該時刻帯の天気や気温、降水量を含む気象を取得する。出動件数算出部1052は、出動件数算出手法として、あらかじめ曜日や人口、気象の情報を説明変数として出動件数を予測する重回帰モデルを作成しておき、そのモデルを使って各時刻帯の出動件数を得る。なお、重回帰モデルに限らず、回帰木やサポートベクターマシン、ディープラーニング等を用いた学習済みの各種のニューラルネットワーク等、各種のAI(人工知能)を用いて出動件数を予測する手法を採用してもよい。
【0033】
到着時間算出部1053は、受け付けた隊配置の条件のもとで対象地域全メッシュの当日または所定範囲の複数日(例えば、一週間)の各時刻帯について、メッシュごとに周辺メッシュで発生する出動件数を加えて当該メッシュでの各救急隊の現場到着時間を人口と気象に基づいて算出する。救急隊の数は限られているため、周辺メッシュも含めて同一時刻帯に救急隊の数を超える出動要請が発生した場合、後から発生した出動要請ほど現場到着時間が長くなることが実際の運用時には起こっている。こうした事象を本システムでも再現して、より正確に現場到着時間を算出することが望ましいためである。具体的には、到着時間算出部1053は、注目メッシュの周辺のメッシュの出動件数を注目メッシュごとに集計し、注目メッシュの出動件数とする。周辺メッシュの範囲は隣接する8近傍(北、北東、東、南東、南、南西、西、北西)とするが、さらにその外側を含む24近傍を周辺メッシュとするようにしてもよい。
【0034】
そして、到着時間算出部1053は、注目メッシュの出動件数を用いて、記憶部104から算出の条件となる各種情報を読み出す。例えば、到着時間算出部1053は、カレンダー情報1041からは当日の当該時刻帯の曜日を、人口情報1043からは当該メッシュの当日の当該時刻帯の人口を取得する。また、到着時間算出部1053は、気象情報1044からは、当日の当該時刻帯の天気や気温、降水量を含む気象を取得する。到着時間算出部1053は、現場到着時間の算出手法として、あらかじめ曜日や人口、気象の情報を説明変数として現場到着時間を予測する重回帰モデルを作成しておき、そのモデルを使って各時刻帯の出動ごとの現場到着時間を得る。なお、重回帰モデルに限らず、回帰木やサポートベクターマシン、ディープラーニング等を用いた学習済みの各種のニューラルネットワーク等、各種のAI(人工知能)を用いて現場到着時間を予測する手法を採用してもよい。
【0035】
出力画面生成部1054は、救急隊の現場への到着時間の算出結果を表示する画面を生成する。具体的には、出力画面生成部1054は、注目メッシュごとに、現場到着時間の算出結果に応じた現場到着時間を表示する。この表示方法は、各種の方法が考えられるが、例えば、出力画面生成部1054は、現場到着時間の算出結果が所定の閾値よりも大きい値のメッシュについては、地図上にハイライト表示する等、強調表示を行う。また、出力画面生成部1054は、すべてのメッシュについて現場到着時間の値の大きさを色の濃淡や色相の相違で表示するようにしてもよい。また、出力画面生成部1054は、対象地域(メッシュ)全体の現場到着時間の平均値と、出動件数とを表示する画面を生成してもよい。
【0036】
図6は、配置支援装置のハードウェア構成例を示す図である。配置支援装置101は、情報処理装置900により実現される。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)901と、メモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)、SSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取書込装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信用のネットワーク50を介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的な情報処理装置900、あるいはこの情報処理装置900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。
【0037】
例えば、処理部105は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、入力受付部102は、CPU901が入力装置906を利用することで実現可能であり、表示部103は、CPU901が出力装置907を利用することで実現可能であり、記憶部104は、CPU901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0038】
この所定のプログラムは、読取書込装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。
【0039】
また、読取書込装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0040】
なお、上記の情報処理装置900の例は、一般的なコンピュータで実現可能であることの例示であり、これに限定するものではなく、同様のハードウェア構成を備える情報処理装置であればよい。
【0041】
図7は、隊配置情報の入力画面例を示す図である。隊配置情報の入力画面202には、対象地域の地
図201と、地図上の地域を所定の区域に分ける第三次メッシュ(基準地域メッシュ、緯度間隔30秒、経度間隔45秒)を示す格子状の線と、救急隊の配置先の場所を示すアイコン203と、が含まれる。運用者は、本画面上で救急隊のアイコン203を任意のメッシュ内に移動させることで、救急隊と、その救急隊の配置先のメッシュを指定する入力を行うことができる。
【0042】
図8は、配置シミュレーション処理のフローの例を示す図である。配置シミュレーション処理は、運用者により配置支援装置101が開始されると、開始される。
【0043】
まず、配置条件設定部1051は、隊配置の条件を受け付ける(ステップS001)。具体的には、配置条件設定部1051は、
図7に示した画面上で隊配置の条件(救急隊、該救急隊の配置メッシュ、配置時刻帯)の入力を受け付け、記憶部104の隊配置情報1045に記憶させる。
【0044】
そして、出動件数算出部1052は、時刻帯と場所(注目メッシュ)を設定する(ステップS002)。具体的には、出動件数算出部1052は、出動件数を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせを特定する。
【0045】
そして、出動件数算出部1052は、出動件数の算出に関する情報を読み出す(ステップS003)。具体的には、出動件数算出部1052は、カレンダー情報1041からは当日の当該時刻帯の曜日を、人口情報1043からは当該メッシュの当日の当該時刻帯の人口を取得する。また、出動件数算出部1052は、気象情報1044からは、当日の当該時刻帯の天気や気温、降水量を含む気象を取得する。
【0046】
そして、出動件数算出部1052は、出動件数を算出する(ステップS004)。具体的には、出動件数算出部1052は、受け付けた隊配置の条件のもとで対象メッシュの当該時刻帯について、上述のように当該メッシュでの各救急隊の現場到着時間を算出する。
【0047】
そして、出動件数算出部1052は、すべての場所について算出が完了したか否か判定する(ステップS005)。具体的には、出動件数算出部1052は、出動件数を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内にあるか否か判定し、なければ全ての場所について算出が完了した(ステップS005で「Yes」)と判定する。出動件数を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内にある場合には、出動件数算出部1052は、全ての場所について算出が完了していない(ステップS005で「No」)と判定し、制御をステップS002に戻す。
【0048】
すべての場所について算出が完了した場合(ステップS005で「Yes」の場合)には、到着時間算出部1053は、周辺の出動件数を算出する(ステップS006)。具体的には、到着時間算出部1053は、各メッシュと各時刻帯の組み合わせを注目メッシュとして、同一時刻帯の8近傍の周辺メッシュで発生する出動件数を加えて注目メッシュの出動件数とみなす。
【0049】
そして、到着時間算出部1053は、時刻帯と場所(注目メッシュ)を設定する(ステップS007)。具体的には、到着時間算出部1053は、現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせを特定する。
【0050】
そして、到着時間算出部1053は、現場到着時間の算出に関する情報を読み出す(ステップS008)。具体的には、到着時間算出部1053は、注目メッシュの出動件数を用いて、記憶部104から算出の条件となる各種情報を読み出す。例えば、到着時間算出部1053は、カレンダー情報1041からは当日の当該時刻帯の曜日を、人口情報1043からは当該メッシュの当日の当該時刻帯の人口を取得する。また、到着時間算出部1053は、気象情報1044からは、当日の当該時刻帯の天気や気温、降水量を含む気象を取得する。
【0051】
そして、到着時間算出部1053は、注目メッシュについて、現場到着時間を算出する(ステップS009)。具体的には、到着時間算出部1053は、あらかじめ作成した曜日や人口、気象の情報を説明変数として現場到着時間を予測する重回帰モデルを使って各時刻帯の出動ごとの現場到着時間を得る。
【0052】
そして、到着時間算出部1053は、すべての場所(注目メッシュ)について算出が完了したか否か判定する(ステップS010)。具体的には、到着時間算出部1053は、現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内にあるか否か判定し、なければ全ての場所について算出が完了した(ステップS010で「Yes」)と判定する。現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内に残存する場合には、到着時間算出部1053は、全ての場所について算出が完了していない(ステップS010で「No」)と判定し、制御をステップS007に戻す。
【0053】
すべての場所について算出が完了した場合(ステップS010で「Yes」の場合)には、出力画面生成部1054は、現場到着時間を表示する(ステップS011)。具体的には、出力画面生成部1054は、後述するシミュレーション結果出力画面を生成して、表示部103に表示させる。
【0054】
以上が、配置シミュレーション処理のフローである。配置シミュレーション処理によれば、出動件数および現場到着時間をより正確に算出することが可能になる。
【0055】
図9は、シミュレーション結果出力画面の例を示す図である。シミュレーション結果出力画面は、救急隊の現場への到着時間のシミュレーション算出結果を表示する画面である。具体的には、出力画面生成部1054は、地図情報に区切り線により重畳された注目メッシュごとに、現場到着時間の算出結果に応じた現場到着時間を表示する。
図9では、対象メッシュのうち現場到着時間の算出結果が所定の閾値よりも大きい値のメッシュについては、地図上にハイライト表示401され、対象地域全体の現場到着時間の地域間の平均値402と、出動件数403と、が表示される。
【0056】
以上が、第一の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置である。第一の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置によれば、出動件数および現場到着時間をより正確に算出することが可能になるとともに、それにもとづいて隊配置を最適化することにより実際の現場到着時間を短縮することが可能となる。
【0057】
[第二の実施形態]第一の実施形態では、運用者が手動で記憶部104に保持する人口情報1043や気象情報1044を作成する例を説明したが、インターネット等のネットワーク経由で気象情報を提供する外部のWebサイトなどから自動的に取得して保持するようにしてもよい。なお、情報の更新の頻度は1日に1回程度で十分であるが、1時間に1回などさらに細かく反映できるように運用者により設定変更できるようにしてもかまわない。
【0058】
図10は、第二の実施形態における配置支援システムの構成例を示す図である。第二の実施形態における配置支援システムは、基本的に第一の実施形態に係る配置支援システムと略同様であるが、配置支援装置101´の一部が相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0059】
第二の実施形態における配置支援装置101´には、通信部106が設けられている。通信部106は、通信装置908より、HTTP(HyperText Transfer Protocol)などを用いてインターネット等のネットワーク50を介して、外部の気象情報提供サーバー装置10と通信可能に接続される。気象情報提供サーバー装置10は、いわゆる気象情報を地域、時間を限定して提供する装置である。配置支援装置101´は、気象情報提供サーバー装置10から、気象情報について前日までの実績値や当日の速報値を取得する。
【0060】
例えば、東京都の場合は、島嶼を除くと10か所の観測所単位で得られた気象データを取得することができるが、地域の区切りとして第3次メッシュを適用する場合、メッシュごとに単一の観測所が対応するわけではない。
【0061】
図11は、表示部103が表示する気象観測エリアの配置表示画面の例を示す図である。観測所601は、第三次メッシュの数に対して少なく存在することになり、観測所が直接的に割り当たるメッシュもあれば直接的には割り当たらないメッシュ、つまり割り当てる観測所を決定する必要があるメッシュも含まれる。そこで、観測所の緯度経度と各メッシュの中心緯度経度の直線距離をあらかじめ計算しておき、メッシュごとに最短距離となる観測所を割り当てておくことが考えられる。ラベル602は、メッシュごとの観測所A~Dの割り当てを示す画面表示である。例えば「A」と表示されたラベルのメッシュは観測所Aの気象データを反映することを示している。なお、このラベル602は、気象観測エリアの配置表示画面上で変更することで、運用者が当該メッシュに反映させる観測所を指定できる。
【0062】
以上が、第二の実施形態である。第二の実施形態によれば、このように観測所とメッシュの対応付けを予め定めておくことで、あらかじめ自動的に取得して記憶部104に保持した気象情報1044を用いて配置シミュレーション処理に反映することができるようになり、より簡便に現場到着時間を算出することができる。
【0063】
[第三の実施形態]出動件数は、祭りやコンサートなど人が集まるイベントが開催される時間、場所で急増する場合がある。そこで、第三の実施形態では、既知の不定期あるいは定期的なイベント情報をあらかじめ登録しておくことで、出動件数の算出結果に補正をかけて、より正確に現場到着時間を算出する。なお、イベントは、所定の範囲における人口が所定以上増減する規模を有するものを対象とする。
【0064】
イベントは、開催日時、開催場所、参加人数、参加者層、屋内外の区別、参加者が実働する参加型か観覧する観覧型かの参加形態、参加者の飲酒が可能か否かの飲酒有無により、救急隊の出動数が大きく変動することが経験的にわかってきている。このようなイベントの属性情報を受け付けることで、出動件数算出部1052は、イベントの該当メッシュについて出動件数を有る程度変動させて補正することができる。
【0065】
図12は、第三の実施形態におけるイベント登録画面例を示す図である。イベント登録画面には、イベント名称701、開催日702、開催時刻703(開始時刻および終了時刻)、開催場所の緯度経度704(座標)、予想される参加人数705、参加者層706、開催施設707、参加形態708、飲酒の有無709等イベントの詳細を入力する欄が含まれる。参加者層706は、「若者」、「家族連れ」、「高齢者」などイベントの主たる参加者の年齢層について選択的に入力を受け付ける。開催施設707は、イベントの開催施設が屋内、屋外のどちらかを指定する入力を受け付ける項目である。コンサートなどは屋内イベント、祭りや花火大会は屋外イベントを指定することができる。参加形態708は、ハロウィンのように参加者自らが主体となって活動する参加型なのか、スポーツ観戦や演劇のように参加者は基本的に見ているだけの鑑賞型なのかについての指定入力を受け付ける。飲酒の有無709は、参加者が飲酒可能とされているか否かについての指定入力を受け付ける。登録するボタン710は、押下されるとイベントの登録を完了する。登録されたイベントは記憶部104の図示しない領域に保持される。また、キャンセルボタン711は、押下されるとイベント登録が中止される。
【0066】
図13は、配置シミュレーション処理(イベント変動)のフローの例を示す図である。第三の実施形態に係る配置シミュレーション処理(イベント変動)は、基本的に第一の実施形態で説明した配置シミュレーション処理フローと同様であるが、一部相違がある。以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
配置シミュレーション処理(イベント変動)では、ステップS005において出動件数の算出が完了したあとに、イベントにより出動件数を補正する処理ステップS101が追加されている。出動件数算出部1052は、
図12に示したイベント登録画面で登録されたイベントの中から、算出対象の日付、時刻帯に開催されるイベントを抽出する。出動件数算出部1052は、抽出されたイベントの開催場所の緯度経度704が属するメッシュを特定し、そのメッシュの出動件数を補正する(ステップS101)。
【0068】
ステップS101におけるイベント開催時の出動回数の補正の方法について説明する。出動件数算出部1052は、過去の実績にもとづき参加人数による出動件数の倍率の回帰式をあらかじめ求めておき、登録されたイベント情報の参加人数705に対する倍率を得て、出動件数の算出結果に乗算する。回帰式は、参加者層706、開催施設707、参加形態708、飲酒の有無709の組み合わせごとに別の係数をもつ式を用意しておくことが望ましい。ここでは出動件数の倍率を用いる説明をしたが、参加人数に応じて増加する件数を用いてもよい。
【0069】
また、参加人数705や参加者層706、開催施設707、参加形態708、飲酒の有無709を説明変数として出動件数そのものを重回帰やニューラルネット等で予測してもかまわない。
【0070】
また、補正するメッシュの範囲は開催場所の緯度経度704が属するメッシュひとつとしたが、隣接する8近傍メッシュ、さらにはその外側も含めた24近傍メッシュに補正を適用してもよい。また、開催施設707の入力が「屋内」の場合は当該メッシュのみを補正し、「屋外」の場合は隣接する24近傍メッシュにするなど、イベントの種類に応じて補正の適用範囲を切り替えてもよい。さらには、イベント登録画面等に運用者に補正を適用するメッシュの範囲を入力させるようにすることで、より適切に補正を適用するようにしてもよい。
【0071】
以上が、第三の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置である。第三の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置によれば、既知の不定期あるいは定期的なイベントをあらかじめ登録しておくことで、出動件数の算出結果に補正をかけて、より正確に現場到着時間を算出するとともに、それにもとづいて隊配置を最適化することにより実際の現場到着時間を短縮することが可能となる。
【0072】
[第四の実施形態]第一の実施形態から第三の実施形態では、運用者から指定された隊配置を条件として現場到着時間を算出した。しかし、これに限られるものではなく、隊配置の最適化を行って現場到着時間が最短となる隊配置を提示するようにしてもよい。
【0073】
第四の実施形態は、基本的に第一の実施形態と同様であるが、一部相違がある。以下、相違を中心に説明する。
【0074】
図14は、第四の実施形態における隊配置効率化処理のフローの例を示す図である。隊配置効率化処理は、配置シミュレーション処理または配置シミュレーション処理(イベント変動)の実施後に開始される。
【0075】
まず、配置条件設定部1051は、最適化したい救急隊の指定を受け付ける(ステップS201)。具体的には、配置条件設定部1051は、
図7に示した画面上で、最適化したい救急隊の入力を受け付ける。
【0076】
以降は、ステップS201にて受け付けた最適化したい救急隊について、様々なメッシュおよび時刻帯に配置を変更して現場到着時間を算出し比較し、最適な配置を特定する処理を行う。
【0077】
到着時間算出部1053は、対象の隊をメッシュに配置する(ステップS202)。具体的には、到着時間算出部1053は、最適化したい救急隊の配置先の時刻帯と場所(注目メッシュ)を、現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせの一つに特定する。
【0078】
そして、到着時間算出部1053は、最適化したい救急隊の注目メッシュを固定条件として、全てのメッシュと時刻帯の組み合わせについて、現場到着時間を算出する(ステップS203)。具体的には、到着時間算出部1053は、あらかじめ作成した曜日や人口、気象の情報を説明変数として現場到着時間を予測する重回帰モデルを使って各時刻帯の出動ごとの現場到着時間を得る。
【0079】
そして、到着時間算出部1053は、対象地域全域の平均値を算出する(ステップS204)。平均値は、記憶部104の図示しない領域に保持する。
【0080】
そして、到着時間算出部1053は、最適化したい救急隊が、すべての場所(注目メッシュ)に配置される場合について算出が完了したか否か判定する(ステップS205)。具体的には、到着時間算出部1053は、最適化したい救急隊について現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内に残存するか否か判定し、なければ全ての場所について算出が完了した(ステップS205で「Yes」)と判定する。現場到着時間を未算出のメッシュと時刻帯の組み合わせが対象地域、対象日時範囲内にある場合には、到着時間算出部1053は、全ての場所について算出が完了していない(ステップS205で「No」)と判定し、制御をステップS202に戻す。
【0081】
すべての場所について算出が完了した場合(ステップS205で「Yes」の場合)には、出力画面生成部1054は、現場到着時間の平均が最小となる場合を最適化したい救急隊の最適配置として特定し、隊配置を提示する(ステップS206)。具体的には、出力画面生成部1054は、
図9に示すシミュレーション結果出力画面を生成して、表示部103に表示させる。
【0082】
以上が、隊配置効率化処理のフローである。隊配置効率化処理では、隊の一つについて、配置するメッシュまたは時刻帯あるいはその両方を変化させて現場到着時間を算出し、現場到着時間が最小となるときの隊の配置を提示することができる。隊配置効率化処理によれば、最適な現場到着時間およびその際の隊配置をより正確に算出することが可能になる。
【0083】
以上が、第四の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置である。第四の実施形態に係る配置支援システムおよび配置支援装置によれば、現場到着時間の平均値が最小化される、つまり最適化された救急隊の配置を算出することが可能となり、実際の現場到着時間を短縮することが可能となる。
【0084】
なお、第四の実施形態では、ステップS201において指定する救急隊をひとつに限定したが、二つ以上の複数の隊、さらにはすべての隊を最適化したい救急隊として指定可能にすることもできる。また、最適化にあたって救急隊を配置できる範囲を運用者に指定させることもできる。実運用時には特定の救急隊を遠方に配置変更することが困難な場合も想定されるため、配置できる範囲を指定させることでより実運用に沿った最適化を提示することができるようになる。
【0085】
また、最適な隊配置を判断する指標として、現場到着時間の平均値を用いたが、最大値や中央値など、重視する観点に応じて運用者が指標を変更できるようにしてもよい。さらには、平均値などの指標を算出する時間幅や対象地域の範囲を運用者に指定させるようにしてもよい。
【0086】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0087】
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
【0088】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0089】
本発明は、救急隊に限られず、消防隊、自衛隊など、所定の機能を発揮するために出動する部隊の配置の決定を要する様々な態様で提供できる。
【符号の説明】
【0090】
101・・・配置支援装置、102・・・入力受付部、103・・・表示部、104・・・記憶部、1041・・・カレンダー情報、1042・・・地図情報、1043・・・人口情報、1044・・・気象情報、1045・・・隊配置情報、105・・・処理部、1051・・・配置条件設定部、1052・・・出動件数算出部、1053・・・到着時間算出部、1054・・・出力画面生成部。