(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】流体用コンテナおよび医療流体の温度制御、例えば加熱、のための装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A61M1/36 175
(21)【出願番号】P 2019560754
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2018062135
(87)【国際公開番号】W WO2018206718
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【氏名又は名称】西守 有人
(74)【代理人】
【識別番号】100207354
【氏名又は名称】楠 康正
(72)【発明者】
【氏名】プチョウリン, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ニシペアヌ, エウゲン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-034515(JP,A)
【文献】特開2017-023441(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120843(WO,A1)
【文献】特表2005-508714(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2117101(GB,A)
【文献】特開昭57-192565(JP,A)
【文献】特表2014-521392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0262409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体用のコンテナ(100)であって、
入口ポート(112)と、
出口ポート(116)と、
前記入口ポートを前記出口ポートと流体連通するように
構成された流体通路であって、ひとつ以上の偏向セクション(110)を備える流体通路と、を備え、
-前記流体通路が、前記流体通路を通じて、流体流(F)の方向において非一定の最大幅(Lc)を有し、
-前記ひとつ以上の偏向セクションのうちの少なくともひとつが、さらに、エントリセクション(110e)とエグジットセクション(110x)とを含み、各エグジットセクションが、流体流の前記方向において対応する各エントリセクションから下流側に設けられ、
-前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて第1距離(De)に亘って流体流
(F)の前記方向に沿って
第1幅(Lc)から第2幅(Lt)へと減少し、かつ、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて第2距離(Dx)に亘って
実質的に一定に流体流
(F)の前記方向に沿って
前記第2幅(Lt)から前記第1幅(Lc)へ増大し、前記第1距離
(De)と前記第2距離
(Dx)とが互いに異な
り、前記流体通路の前記最大幅が少なくとも第1フェーズおよび第2フェーズを伴って非一様的に減少し、前記第1フェーズにおける前記減少と前記第2フェーズにおける前記減少とが互いに異なり、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクション(110e)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って、第1フェーズにおいてより非線形に減少すると共に、第2フェーズにおいてより線形に減少する、流体用のコンテナ。
【請求項2】
-前記第1距離(De)が前記第2距離(Dx)よりも小さい、および/または
-前記流体通路の前記最大幅(Lc)が前記エントリセクション(110e)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って第1幅(Lc)から第2幅(Lt)へと減少し、任意選択で、0.5≦Lt/Lc≦0.85、特に、0.7≦Lt/Lc≦0.8、さらに特に、Lt/Lc=0.75、および/または
-前記流体通路の前記最大幅(Lc)が前記エグジットセクション(110x)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って前記第2幅(Lt)から前記第1幅(Lc)へと増大する請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
-前記第1距離(De)が前記最大幅(Lc)の約0.3倍と前記最大幅(Lc)の約2.0倍との間であり、特に、前記最大幅の約0.5倍と前記最大幅の約0.7倍との間であり、より特に、前記最大幅の約0.6倍であり、および/または
-前記第2距離(Dx)が前記最大幅(Lc)の約0.8倍と前記最大幅(Lc)の約4.0倍との間であり、特に、前記最大幅の約1.0倍と前記最大幅の約2.0倍との間である請求項1
または2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記ひとつ以上の偏向セクション(110)のそれぞれについて、
-前記エントリセクション(110e)が第1端と第2端とを有し、前記エントリセクションの前記第1端が流体流(F)の前記方向において前記エントリセクションの前記第2端の上流にあり、
-前記エグジットセクション(110x)が第1端と第2端とを有し、前記エグジットセクションの前記第1端が流体流(F)の前記方向において前記エグジットセクションの前記第2端の上流にあり、
-前記エントリセクション(110e)の前記第1端における前記流体通路の前記最大幅(Lc)が前記エグジットセクション(110x)の前記第2端における前記流体通路の前記最大幅と実質的に等しい請求項1から
3のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記ひとつ以上の偏向セクション(110)のそれぞれがさらに、前記エントリセクション(110e)と前記エグジットセクション(110x)との間にはさまれた中間セクション(110i)を備え、任意選択で、
-各中間セクションが実質的に一定の幅を有し、特に前記一定の幅が前記第2幅(Lt)に等しく、および/または
-各中間セクション(110i)が前記対応するエントリセクション(110e)に直接的に隣接し、特に、前記対応するエントリセクションが前記対応する中間セクションの直接的な延長であり、および/または
-各中間セクション(110i)が前記対応するエグジットセクション(110x)に直接的に隣接し、特に、前記対応するエグジットセクションが前記対応する中間セクションの直接的な延長であり、および/または
-前記流体通路が、R
2=(1-Lt/Lc)・Lc+weld/2で算出される内半径(R
2)を備え、Lc=前記最大幅、Lt=前記中間セクション(110i)の前記幅、weld=溶接の幅であり、および/または
-前記内半径(R
2)と前記最大幅(Lc)との
比R
2/Lcが0.15から0.50の範囲にあり、特に0.2から0.3の範囲にあり、より特に約0.25に等しく、および/または
-前記流体通路が、R
3=Lc+weld/2で算出される外半径(R
3)を備え、Lc=前記最大幅、Lt=前記中間セクション(110i)の前記幅、weld=溶接の幅である請求項1から
4のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記中間セクション(110i)が内側エッジ(110i-1)と反対の外側エッジ(110i-2)とを有し、前記内側エッジが前記外側エッジの半径よりも小さな半径を有
し、前記エントリセクション(110e)および前記エグジットセクション(110x)のそれぞれが、前記中間セクションの前記内側エッジの延長で対応する内側エッジ(110e-1;110x-1)を有し、前記エントリセクションおよび前記エグジットセクションのそれぞれが、前記中間セクションの前記外側エッジの延長で対応する外側エッジ(110e-2;110x-2)を有し、
前記エントリセクションの前記内側エッジ(110e-1)の方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅(Lc)が前記エントリセクション(110e)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って減少し、任意選択で、前記エントリセクションの前記外側エッジ(110e-2)が実質的に真っ直ぐであり続けるか、および/または前記中間セクション(110i)の前記外側エッジ(110i-2)からの延長として接するように続き、および/または
前記エグジットセクションの前記内側エッジ(110x-1)の方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクション(110x)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って増大し、任意選択で、前記エグジットセクションの前記外側エッジ(110x-2)が実質的に真っ直ぐであり続けるか、および/または前記中間セクション(110i)の前記外側エッジ(110i-2)からの延長として接するように続く請求項
5に記載のコンテナ。
【請求項7】
-前記エントリセクションの内側エッジ(110e-1)の方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅(Lc)が前記エントリセクション(110e)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って減少し、および/または、前記エントリセクションの外側エッジ(110e-2)が実質的に真っ直ぐであり、および/または
-前記エグジットセクションの内側エッジ(110x-1)の方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクション(110x)を通じて流体流(F)の前記方向に沿って増大し、および/または、前記エグジットセクションの外側エッジ(110x-2)が実質的に真っ直ぐである請求項1から
5のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項8】
前記流体通路がさらに複数の接続セクション(102)を備え、任意選択で、
-前記複数の接続セクション(102)のそれぞれに沿って、前記流体通路が実質的に一定の最大幅を備え、代替的にまたは追加的に、前記複数の接続セクションのそれぞれに沿う前記流体通路が実質的に真っ直ぐであり、および/または
-前記複数の接続セクション(102)が入口セクション(113)を備え、当該入口セクション(113)が前記入口ポート(112)に接続されると共に前記複数の接続セクションのうちの隣接する第1接続セクション(102)に接続され、前記入口セクションが前記流体通路に、前記第1接続セクションにおいて前記入口ポートの直径から前記流体通路の最大幅への遷移を提供するよう構成され、特に、前記入口セクションが内側エッジ(113-1)と外側エッジ(113-2)とを含み、前記内側エッジおよび前記外側エッジのそれぞれが、前記入口ポートの軸(112c)に対する対応する入口角度(113β;113α)を形成し、その入口角度が約5度から約30度であり、より特に約15度未満であり、および/または
-前記複数の接続セクション(102)が出口セクション(117)を備え、当該出口セクション(117)が前記出口ポート(116)に接続されると共に前記複数の接続セクションのうちの隣接する第2接続セクション(102)に接続され、前記出口セクションが前記流体通路に、前記第2接続セクションにおいて前記出口ポートの直径から前記流体通路の最大幅への遷移を提供するよう構成され、特に、前記出口セクションが内側エッジ(117-1)と外側エッジ(117-2)とを含み、前記内側エッジおよび前記外側エッジのそれぞれが、前記出口ポートの軸(116c)に対する対応する出口角度(117β;117α)を形成し、その出口角度が約25度から約60度であり、より特に約40度未満である請求項1から
7のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項9】
前記ひとつ以上の偏向セクションが複数の偏向セクションを含み、偏向セクションの前記数が奇数であり、
-偏向セクションの前記数が1、3、5、7、9または13であり、特に偏向セクションの前記数が3であり、および/または
-前記ひとつ以上の偏向セクションのうちの奇数番目の偏向セクション(110)が、前記ひとつ以上の偏向セクションのうちの偶数番目の偏向セクションに対向して配置される請求項1から
8のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項10】
近位端と、前記近位端の反対側の遠位端と、をさらに備え、前記入口ポート(112)および前記出口ポート(116)の両方が前記近位端に設けられる請求項1から
9のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記入口ポート(112)が、血液処理装置の流体入口ラインに接続するよう、かつ、前記入口ポートを通じて前記流体入口ラインから医療流体を受けるよう、構成され、前記出口ポート(116)が、血液処理装置(1)の流体出口ラインに接続するよう、かつ、前記出口ポートから前記流体出口ラインへと医療流体を解放するよう、構成される請求項1から
10のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項12】
前記流体通路の前記最大幅(Lc)と前記流体通路の最大高さ(h)との比(Lc/h)が5より大きく、特に10より大きい請求項1から
11のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項13】
医療流体の温度制御のための装置(300)であって、
レセプタクル(306)と、
加熱領域(308)と、
前記レセプタクル(306)内に受け入れられる、請求項
1から12のいずれか一項に記載の医療流体用コンテナ(100)と、を備え、
前記加熱領域が、前記コンテナを通って流れる流体に加熱エネルギを移送するために、前記コンテナ(100)の少なくとも一部に接触するよう構成される装置。
【請求項14】
-前記加熱領域(308)がさらに第1加熱面(308-1)と第2加熱面(308-2)とを備え、前記第1加熱面および前記第2加熱面が前記コンテナ(100)の第1面(108-1)および第2面(108-2)に接触するよう構成され、これは前記第1面および前記第2面の両方を介して前記コンテナを通って流れる流体に加熱エネルギを移送するためのものであり、および/または、
-前記レセプタクル(306)はさらに前記バッグ(100)のマッチング部(107)を受け入れるよう構成された延長(307)を備え、これにより、前記レセプタクル内での前記コンテナの正しい配置、前記レセプタクル内に配置されたときの前記コンテナの正しい向き、流体の温度制御用の装置(300)に対する前記コンテナの正しい位置決め、のうちのひとつ以上が確実にされ、および/または、
-前記レセプタクル(306)はさらに、代替的にまたは組み合わせで、
-前記バッグ(100)のマッチング参照開口部(107r)に係合するよう構成された参照凸部(307r)
、および/または
-前記レセプタクル(306)の延長(307)内における前記バッグ(100)のマッチング部(107)の存在を検知するよう構成された、例えば光学センサなどのセンサ
を備え、
前記レセプタクル内での前記コンテナの正しい配置、前記レセプタクル内に配置されたときの前記コンテナの正しい向き、流体の温度制御用の装置(300)に対する前記コンテナの正しい位置決めのうちのひとつ以上が確実にするためである請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
-濾過ユニット(2)のプライマリチャンバ(3)の入口に接続可能な血液引き出しライン(6)と、
-前記プライマリチャンバ(3)の出口に接続された血液返却ライン(7)であって、前記血液ライン(6、7)が患者の心血管系への接続用に構成される、血液返却ライン(7)と、
-任意選択で、前記濾過ユニット(2)のセカンダリチャンバ(4)の出口に接続された透析流出ライン(13)と、を備える体外血液回路であって、
前記体外血液回路がさらに、
-前記血液返却ライン(7)または前記血液引き出しライン(6)に接続された、請求項1から
12のいずれか一項に記載の流体用コンテナ(100)を備える体外血液回路。
【請求項16】
体外血液処理用の装置であって、
特に
、半透膜(5)によって仕切られたプライマリチャンバ(3)およびセカンダリチャンバ(4)を有する濾過ユニット(2)と、
プライマリチャンバ(3)の入口に接続された血液引き出しライン(6)と、
前記プライマリチャンバ(3)の出口に接続された血液返却ライン(7)であって、前記血液ライン(6、7)が患者の心血管系への接続用に構成される、血液返却ライン(7)と、
任意選択で、前記セカンダリチャンバ(4)の入口に接続された透析供給ライン(8)と、
任意選択で、前記セカンダリチャンバ(4)の出口に接続された透析流出ライン(13)と、
前記ライン内で前記流体を動かすための少なくともひとつのポンプと、
前記ポンプを駆動する制御ユニット(12)と、を備え、
前記装置がさらに、請求項
13または
14に記載の医療流体の温度制御用装置(300)を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体用のコンテナ(特に、しかしながら非排他的に、流体を冷やすか温めるためのコンテナ)および体外血液処理用の装置内の流体を温度制御する、例えば加熱または冷却する、ための装置に関する。
【0002】
体外血液処理用の装置は、血液などの医療流体の温度を、医療流体を温めるか冷やすためのバッグと組み合わせて、調節するよう構成された流体温度制御(加熱または冷却)用の装置を含む。バッグは、流体温度制御装置内に挿入され、温度は例えば、流体温度制御装置の加熱領域からバッグの材料を通って、バッグを通って流れる医療流体内に(またはから)伝達される(または除去される)熱によって調節される。
【0003】
体外血液処理装置を制御するための方法は、流体温度制御装置およびバッグを使用して、医療流体、例えば血液の温度を制御することを含む。
【背景技術】
【0004】
体外血液処理のような医療用途では、例えば、特定の化学的または生物学的反応が起こるために、または治療が最適な条件下で行われるために、医療流体の個々の温度が重要である場合に、医療流体の温度を調節することが望まれることが多い。他の場合には、体外治療(例えば、透析、血液濾過、血液透析濾過)のために抜き取られた血液を患者に戻すことが含まれる。
【0005】
多くの場合、医療流体の流量は経時的に変化し、治療の種類、患者の特性および状態、体外回路のトポロジーなどを含む多くの要因に依存する。これらの変化する条件下で温度を調節することは、医療流体の信頼性のある処置および取り扱いを容易にする堅牢なシステムを必要とする。
【0006】
米国特許第6,464,666号は、補強フレーム構造と、非経口流体コンテナを支持する一体型ハンドルとを有する流体加温カセットを開示している。流体コンテナは、熱交換の非効率性を最小限に抑えるために薄いことが望ましい。フレーム構造は、薄い流体コンテナが加温ユニットの固定位置加温プレート間の狭い空間に挿入されることを可能にする。フレーム構造は、側部および端部を有する四角形の形状を有する。流体コンテナはその周囲で、フレーム構造の側部および端部に、四角形の形状で取り付けられる。フレーム構造の一部はカセットを加温ユニットに挿入したり、カセットを加温ユニットから取り外したりするのを助けるハンドルに形成されている。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0262409号は、熱交換器を製造するためのシステム及び方法を開示している。熱交換器は、蛇行経路を有するケーシングと、ケーシングによって囲まれた膜と、流体が熱交換器に入るための入口管またはバルブと、流体が熱交換器から出るための出口管またはバルブとを備える。ケーシングは、ケーシングと流体との間に存在する膜を囲む。外部ケーシングは広い非対称蛇行経路を有し、特に、剛性のプラスチックフレームを含む。フレームは2つの半体からなり、経路の形状は、半体が一緒に挟まれたときにそれらがチャネルを形成するように、フレームの両半体上で鏡像にされる。この方法は、複数の管またはバルブを可撓性コンテナに取り付けるステップと、剛性シェル内に非対称通路を形成するステップと、可撓性コンテナをシェル内に封入するステップと、シェルを封止するステップとを含む。
【0008】
特開2001-120658号公報には、医療用熱交換器バッグの屈曲部の内部に加わる負荷を低減することにより、液体が流路を流れる際に生じる内圧による破損によって液体が外部に漏れることを防止した医療用熱交換器バッグおよびその製造方法が開示されている。バッグは、一連の細長いチャネルと、流体が流れるための2つの湾曲したチャネルを含む一連の屈曲部とを備える。細長いチャネルおよび湾曲したチャネルの両方は、流体の流れの方向に沿って増加または減少する直径を有する。
【0009】
公知の設計のバッグまたはカセットは、内部通路内に空気が保持される可能性があるという問題を示している。空気保持は、ある程度、内部通路内の低速領域、例えば、入口/出口セクション、の存在および通路内に典型的に含まれる1つ以上の屈曲部の外側境界において、引き起こされ得る。搬送される流体が血液である場合、そのような影響は、血液凝固の危険性を伴う。空気の保持および/または血液凝固の危険性のために、公知の設計の操作時間は、安全で信頼性のある処置を確実にするためにしばしば制限される。
【0010】
したがって、空気の保持を低減するか最小限に抑える、および/または血液がコンテナを通って運ばれる場合の血液凝固の危険性を低減または最小限に抑える、流体を温めるための装置および流体のための対応するコンテナを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一般的な目的は、上記の欠点を軽減または最小限に抑える、体外血液処理装置で使用するための、流体の温度を制御するための装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、上述の欠点を軽減または最小限に抑える、流体の温度を制御する(例えば、加温または冷却する)ための装置と共に使用するのに適したコンテナを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、コンテナの内部通路における低流体流領域の形成を防止または最小化することによって、空気保持および/または血液凝固の危険性を最小化する、流体の温度を制御する(例えば、加温または冷却する)ための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、コンテナの内部通路における高い流体流領域の形成を防止または最小限に抑えることによって、圧力降下および/または溶血の危険性を最小限に抑える、流体の温度を制御する(例えば、加温または冷却する)ための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、空気の保持および/または特にコンテナを通るより低い流体流速での血液凝固の危険性を最小限にする、流体の温度を制御する(例えば、加温または冷却する)ための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。これはまた、血液以外の流体がコンテナを通って運ばれるアプリケーションにおいても実質的な利点を伴い得る。
【0016】
本発明のさらなる目的は、コンテナの内部通路内の気泡の保持を防止または最小限にすることによって、ホットスポットの形成の危険性を最小限に抑える、流体を温めるための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。これはまた、流体への損傷(例えば、血液の場合の溶血、他の場合の脱ガスまたは化学分解)および/または例えば、過熱に起因するコンテナの材質への損傷を防止することを伴い得る。
【0017】
本発明のさらなる目的は、ホットスポットの形成を防止することによって、および/または気泡の保持を最小にすることによって、熱伝達を改善または最大にする、流体を温めるための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。これはまた、装置への加熱面とコンテナを通って運ばれる流体との間の熱交換を改善または最適化することを伴い得る。
【0018】
本発明のさらなる目的は、上記の利点の1つまたは複数を提供しながら、既知のコンテナと同じまたはより低いコストで製造することができる、流体の温度を制御する(例えば、加温または冷却する)ための装置と共に使用するためのコンテナを提供することである。
【0019】
上記の目的の少なくとも1つは、添付の特許請求の範囲の1つまたは複数に記載のコンテナおよび装置によって、単独で、または任意の組合せで達成される。
【0020】
第1の独立した態様では、流体用のコンテナが提供され、特に、流体を温めるか冷やすためのコンテナが提供され、コンテナが、入口ポートと、出口ポートと、入口ポートを出口ポートと流体連通するようにするよう構成された流体通路であって、ひとつ以上の偏向セクションを備える流体通路と、を備える。流体通路が、流体通路を通じて、流体流Fの方向において非一定の最大幅を有する。ひとつ以上の偏向セクションのうちの少なくともひとつが、さらに、エントリセクションとエグジットセクションとを含み、各エグジットセクションが、流体流の方向において対応する各エントリセクションから下流側に設けられる。前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて第1距離Deに亘って流体流の前記方向に沿って減少し、かつ、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて第2距離Dxに亘って流体流の前記方向に沿って増大し、前記第1距離と前記第2距離とが互いに異なる
【0021】
第1の態様に係る第2の態様では、前記流体通路を通る流体流Fの前記方向が、前記入口ポートから前記出口ポートに向かう方向に基づく。
【0022】
上記の態様のいずれかに係る第3の態様では、前記第1距離Deが前記第2距離Dxよりも小さい。
【0023】
上記の態様のいずれかに係る第4の態様では、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って第1幅Lcから第2幅Ltへと減少する。
【0024】
上記の態様に係る第5の態様では、0.5≦Lt/Lc≦0.85であり、特に0.7≦Lt/Lc≦0.8であり、より特にLt/Lc=0.75である。
【0025】
上記二つの態様のいずれかに係る第6の態様では、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って前記第2幅Ltから前記第1幅Lcへと増大する。
【0026】
上記の態様のいずれかに係る第7の態様では、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って非一様的に、少なくとも第1フェーズおよび第2フェーズを伴って減少し、前記第1フェーズにおける前記減少と前記第2フェーズにおける前記減少とが互いに異なる。
【0027】
第1から第6の態様のいずれかに係る第8の態様では、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って、第1フェーズにおいてより非線形に減少すると共に、第2フェーズにおいてより線形に減少する。
【0028】
上記二つの態様のいずれかに係る第9の態様では、第1フェーズが第1距離Deの少なくとも50%をカバーする。
【0029】
上記の態様のいずれかに係る第10の態様では、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って、前記第2距離Dxに亘って実質的に一定に増大する。
【0030】
上記の態様のいずれかに係る第11の態様では、前記第1距離Deが前記最大幅の約0.3倍と前記最大幅の約2.0倍との間であり、特に、前記最大幅の約0.5倍と前記最大幅の約0.7倍との間であり、より詳細には、前記最大幅の約0.6倍である。
【0031】
上記の態様のいずれかに係る第12の態様では、前記第2距離Dxが前記最大幅の約0.8倍と前記最大幅の約4.0倍との間であり、特に、前記最大幅の約1.0倍と前記最大幅の約2.0倍との間である。
【0032】
上記の態様のいずれかに係る第13の態様では、前記ひとつ以上の偏向セクションのそれぞれについて、前記エントリセクションが第1端と第2端とを有し、前記エントリセクションの前記第1端が流体流Fの前記方向において前記エントリセクションの前記第2端の上流にあり、前記エグジットセクションが第1端と第2端とを有し、前記エグジットセクションの前記第1端が流体流Fの前記方向において前記エグジットセクションの前記第2端の上流にある。
【0033】
上記の態様のいずれかに係る第14の態様では、前記エントリセクションの前記第1端における前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションの前記第2端における前記流体通路の前記最大幅と実質的に等しい。
【0034】
上記二つの態様のいずれかに係る第15の態様では、前記エントリセクションの前記第1端における前記流体通路の前記最大幅が約18mmと22mmとの間であり、特に約19mmと約21mmとの間であり、および/または前記エントリセクションの前記第2端における前記流体通路の前記最大幅が約13mmと17mmとの間であり、特に約14mmと約16mmとの間である。
【0035】
上記三つ上の第1から第14の態様のいずれかに係る第16の態様では、前記エントリセクションの前記第1端における前記流体通路の前記最大幅が約38mmと42mmとの間であり、特に約39mmと約41mmとの間であり、および/または前記エントリセクションの前記第2端における前記流体通路の前記最大幅が約28mmと32mmとの間であり、特に約29mmと約31mmとの間である。
【0036】
第13から第15の態様のいずれかに係る第17の態様では、前記エグジットセクションの前記第2端における前記流体通路の前記最大幅が約18mmと22mmとの間であり、特に約19mmと約21mmとの間であり、および/または前記エグジットセクションの前記第1端における前記流体通路の前記最大幅が約13mmと17mmとの間であり、特に約14mmと約16mmとの間である。
【0037】
第13、第14および第16の態様のいずれかに係る第18の態様では、前記エグジットセクションの前記第2端における前記流体通路の前記最大幅が約38mmと42mmとの間であり、特に約39mmと約41mmとの間であり、および/または前記エグジットセクションの前記第1端における前記流体通路の前記最大幅が約28mmと32mmとの間であり、特に約29mmと約31mmとの間である。
【0038】
上記の態様のいずれかに係る第19の態様では、前記ひとつ以上の偏向セクションのそれぞれがさらに、前記エントリセクションと前記エグジットセクションとの間にはさまれた中間セクションを備える。
【0039】
上記の態様に係る第20の態様では、各中間セクションが実質的に一定の幅を有する。
【0040】
上記の態様と組み合わせた第4から第6の態様のいずれかに係る第21の態様では、一定の幅が第2の幅Ltに等しい。
【0041】
上記三つ上の態様のいずれかに係る第22の態様では、各中間セクションが前記対応するエントリセクションに直接的に隣接し、特に、前記対応するエントリセクションが前記対応する中間セクションの直接的な延長である。
【0042】
上記四つ上の態様のいずれかに係る第23の態様では、各中間セクションが前記対応するエグジットセクションに直接的に隣接し、特に、前記対応するエグジットセクションが前記対応する中間セクションの直接的な延長である。
【0043】
上記五つ上の態様のいずれかに係る第24の態様では、前記中間セクションは、R2=(1-Lt/Lc)・Lc+weld/2で算出される内半径R2を備え、ここで、Lc=前記最大幅、Lt=前記中間セクション(110i)の前記幅、およびweld=溶接の幅であり;および/または前記内半径(R2)と前記最大幅(Lc)との比R2/Lcが0.15から0.50の範囲にあり、特に0.2から0.3の範囲にあり、より特に約0.25に等しい。
【0044】
6つ上の態様のいずれかに係る第25の態様では、前記中間セクションは、R3=Lc+weld/2で算出される外半径R3を備え、Lc=前記最大幅、weld=溶接の幅である。
【0045】
第19から第25の態様のいずれかに係る第26の態様では、前記中間セクションが内側エッジと反対の外側エッジとを有し、前記内側エッジが前記外側エッジの半径よりも小さな半径を有する。前記エントリセクションおよび前記エグジットセクションのそれぞれが、前記中間セクションの前記内側エッジの延長で対応する内側エッジを有する。前記エントリセクションおよび前記エグジットセクションのそれぞれが、前記中間セクションの前記外側エッジの延長で対応する外側エッジを有する。
【0046】
上記の態様のいずれかに係る第27の態様では、前記エントリセクションの前記内側エッジの方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って減少し、任意選択で、前記エントリセクションの前記外側エッジが実質的に真っ直ぐであり続けるか、および/または前記中間セクションの前記外側エッジからの延長として接するように続く。
【0047】
上記二つ上の態様のいずれかに係る第28の態様では、前記エグジットセクションの前記内側エッジの方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って増大し、任意選択で、前記エグジットセクションの前記外側エッジが実質的に真っ直ぐであり続けるか、および/または前記中間セクションの前記外側エッジからの延長として接するように続く。
【0048】
第1から第25の態様のいずれかに係る第29の態様では、前記エントリセクションの内側エッジの方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エントリセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って減少し、および/または、前記エントリセクションの外側エッジが実質的に真っ直ぐである。
【0049】
第1から第25または第29の態様のいずれかに係る第30の態様では、前記エグジットセクションの内側エッジの方向変化に実質的に起因して、前記流体通路の前記最大幅が前記エグジットセクションを通じて流体流Fの前記方向に沿って増大し、および/または、前記エグジットセクションの外側エッジが実質的に真っ直ぐである。
【0050】
第19の態様と組み合わせた上記の態様のいずれかに係る第31の態様では、前記中間セクションが少なくとも約90度の偏向、特に約180度の偏向を備える。
【0051】
上記の態様のいずれかに係る第32の態様では、前記流体通路がさらに複数の接続セクションを備える。
【0052】
上記の態様のいずれかに係る第33の態様では、前記複数の接続セクションのそれぞれに沿って、実質的に一定の最大幅を伴う前記流体通路が提供され、および/または、前記流体通路は前記複数の接続セクションのそれぞれに沿って、実質的に真っ直ぐである。
【0053】
上記二つの態様のいずれかに係る第34の態様では、前記流体通路の前記複数の接続セクションのひとつに沿った最大幅が、前記複数の接続セクションの他のそれぞれに沿った最大幅に等しい。
【0054】
上記三つ上の態様のいずれかに係る第35の態様では、前記複数の接続セクションが入口セクションを備え、当該入口セクションが前記入口ポートに接続されると共に前記複数の接続セクションのうちの隣接する第1接続セクションに接続され、前記入口セクションが前記流体通路に、前記第1接続セクションにおいて前記入口ポートの直径から前記流体通路の最大幅への遷移を提供するよう構成され、特に、前記入口セクションが内側エッジと外側エッジとを含み、前記内側エッジおよび前記外側エッジのそれぞれが、前記入口ポートの軸に対する対応する入口角度を形成し、その入口角度が約5度から約30度であり、より特に約15度未満である。
【0055】
上記四つ上の態様のいずれかに係る第36の態様では、前記複数の接続セクションが出口セクションを備え、当該出口セクションが前記出口ポートに接続されると共に前記複数の接続セクションのうちの隣接する第2接続セクションに接続され、前記出口セクションが前記流体通路に、前記第2接続セクションにおいて前記出口ポートの直径から前記流体通路の最大幅への遷移を提供するよう構成され、特に、前記出口セクションが内側エッジと外側エッジとを含み、前記内側エッジおよび前記外側エッジのそれぞれが、前記出口ポートの軸に対する対応する出口角度を形成し、その出口角度が約25度から約60度であり、より特に約40度未満である。
【0056】
上記の態様のいずれかに係る第37の態様では、前記流体通路が曲がりくねった形状またはヘビ状の形状を有する。
【0057】
上記の態様のいずれかに係る第38の態様では、前記ひとつ以上の偏向セクションが複数の偏向セクションを含み、偏向セクションの前記数が奇数であり、任意選択で、偏向セクションの前記数が1、3、5、7、9または13であり、特に偏向セクションの前記数が1または3である。
【0058】
上記の態様のいずれかに係る第39の態様では、前記ひとつ以上の偏向セクションのうちの奇数番目の偏向セクションが、前記ひとつ以上の偏向セクションのうちの偶数番目の偏向セクションに対向して配置される。
【0059】
上記の態様のいずれかに係る第40の態様では、前記ひとつ以上の偏向セクションが少なくとも三つの偏向セクションを含む。
【0060】
上記の態様に係る第41の態様では、前記少なくとも三つの偏向セクションのうちの少なくともひとつが前記少なくとも三つの偏向セクションのうちの少なくとも二つに対するように配置される。
【0061】
上記の態様のいずれかに係る第42の態様では、前記コンテナはさらに、近位端と、前記近位端の反対側の遠位端と、を備える。
【0062】
上記の態様に係る第43の態様では、前記入口ポートおよび前記出口ポートの両方が前記近位端に設けられる。
【0063】
上記二つ上の態様のいずれかに係る第44の態様では、コンテナは、使用のために、流体を温めるか冷やすための装置のレセプタクル内に、前記遠位端側から、挿入されるように構成される。
【0064】
上記の態様のいずれかに係る第45の態様では、前記入口ポートが、血液処理装置の流体入口ラインに接続するよう構成される。
【0065】
上記態様に係る第46の態様では、前記入口ポートが、前記入口ポートを通じて前記流体入口ラインから医療流体を受けるよう構成される。
【0066】
上記の態様のいずれかに係る第47の態様では、前記出口ポートが、血液処理装置の流体出口ラインに接続するよう構成される。
【0067】
上記態様に係る第48の態様では、前記出口ポートが、前記出口ポートから前記流体出口ラインへと医療流体を解放するよう構成される。
【0068】
上記の態様のいずれかに係る第49の態様では、コンテナは実質的に柔軟な材料から作られており、任意選択で、前記材料はポリウレタン(PUR)およびポリ塩化ビニル(PVC)のうちのひとつ以上を含む。
【0069】
上記の態様のいずれかに係る第50の態様では、コンテナはバッグを備え、前記バッグは任意選択で、少なくとも第1フィルムと第2フィルムとを備え、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムが互いに対してシールされている。
【0070】
上記の態様のいずれかに係る第51の態様では、特に液体が前記通路を通過している使用中に、前記通路が、5よりも大きい、特に10よりも大きい前記最大幅と最大内部高さとの比(w/h)を示す。
【0071】
上記の態様のいずれかに係る第52の態様では、使用中、前記通路内の前記流体流が層流である。
【0072】
第53の独立した態様では、医療流体を温めるか冷やすための装置が提供され、当該装置が、レセプタクルと、加熱領域と、前記レセプタクル内に受け入れられる、第1から第52の態様のいずれかに記載の医療流体を温めるか冷やすためのコンテナと、を備え、前記加熱領域が、前記コンテナを通って流れる流体に加熱エネルギを移送するために、前記コンテナの少なくとも一部に接触するよう構成される。
【0073】
上記態様に係る第54の態様では、前記加熱領域がさらに第1加熱面と任意選択で第2加熱面とを備え、前記第1加熱面および任意選択の前記第2加熱面が前記コンテナの第1面および第2面に接触するよう構成され、これは前記第1面および任意選択で前記第2面を介して前記コンテナを通って流れる流体に加熱エネルギを移送するためのものである。
【0074】
上記二つ上の態様のいずれかに係る第55の態様では、前記レセプタクルはさらに前記バッグのマッチング部を受け入れるよう構成された延長を備え、これにより、以下のうちのひとつ以上が確実にされる:前記レセプタクル内での前記コンテナの正しい配置、前記レセプタクル内に配置されたときの前記コンテナの正しい向き、流体を温めるか冷やすための装置に対する前記コンテナの正しい位置決め。
【0075】
上記三つ上の態様のいずれかに係る第56の態様では、前記レセプタクルはさらに、代替的にまたは組み合わせで、前記バッグのマッチング参照開口部に係合するよう構成された参照凸部と、および/または前記レセプタクルの延長内における前記バッグのマッチング部の存在を検知するよう構成された、例えば光学センサなどのセンサと、を備え、前記レセプタクル内での前記コンテナの正しい配置、前記レセプタクル内に配置されたときの前記コンテナの正しい向き、流体を温めるか冷やすための前記装置に対する前記コンテナの正しい位置決め、のうちのひとつ以上を確実にするためである。
【0076】
第57の独立した態様では、体外血液回路が提供され、該回路が、濾過ユニットのプライマリチャンバの入口に接続可能な血液引き出しラインと、前記プライマリチャンバの出口に接続された血液返却ラインであって、前記血液ラインが患者の心血管系への接続用に構成される、血液返却ラインと、任意選択で、前記濾過ユニットのセカンダリチャンバの出口に接続された透析流出ラインと、を備える。体外血液回路はさらに、前記血液返却ラインまたは前記血液引き出しラインに接続された、第1から第52の態様のいずれかに記載の流体を温めるか冷やすためのコンテナを備える。
【0077】
第58の独立した態様では、体外血液処理用の装置が提供され、当該装置は、半透膜によって仕切られたプライマリチャンバおよびセカンダリチャンバを有する濾過ユニットと、前記プライマリチャンバの入口に接続された血液引き出しラインと、前記プライマリチャンバの出口に接続された血液返却ラインであって、前記血液ラインが患者の心血管系への接続用に構成される、血液返却ラインと、任意選択で、前記セカンダリチャンバの入口に接続された透析供給ラインと、任意選択で、前記セカンダリチャンバの出口に接続された透析流出ラインと、前記ライン内で前記流体を動かすための少なくともひとつのポンプと、前記ポンプを駆動する制御ユニットと、を備える。前記装置がさらに、第53から第56の態様のいずれかに記載の医療流体を温めるか冷やすための装置を備える。
【0078】
第59の独立した態様では、任意選択で、上記の態様のいずれかに従って、流体用のコンテナ100が提供され、当該コンテナ100は、入口ポート112と、断面直径を有し、入口ポート112に接続される入口管111と、出口ポート116と、入口ポートを出口ポートと流体連通させるように構成され、1つまたは複数の偏向セクション110を備える流体通路とを備え、流体通路は高さhと流体通路を通る流体流Fの方向に一定でない最大幅Lcとを有し、入口管の断面直径は流体通路の高さhよりも大きく、1つまたは複数の偏向セクションのうちの少なくともひとつがさらにエントリセクション110eおよびエグジットセクション110xを備え、それぞれのエグジットセクションはそれぞれの対応するエントリセクションから、流体流の方向において下流に配置され、コンテナ100は、入口管111を流体通路102と流体接続する入口セクション113を備え、入口セクション113は第1の平面と、第1の平面の反対側の第2の平面と備え、第2の平面が入口管111から流体通路に向かって展開し、流体通路に向かって収束する。
【0079】
上記の態様に係る第60の態様では、入口セクションの第1の平面および/または第2の平面は、流体通路主平面の長手方向延長部に対する角度を画定し、それは20度未満、特に2度~17度の間に含まれる。
【0080】
上記の2つの態様に係る第61の態様では、入口セクションはさらに、第1および第2の平面を流体通路に接続するターミナル部をさらに含み、ターミナル部は、流体通路の高さhに実質的に対応する距離で実質的に平行な2つの層を含み、第1の平面および第2の平面はターミナル部のそれぞれの層に接続される。
【0081】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として添付の図面に示される、本発明の少なくとも1つの実施の形態についての以下の詳細な説明からより明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
以下、非限定的な例として提供される添付の図面を参照して説明する。
【
図1】例示的な実施の形態による、体外血液処理装置を概略的に示す。
【
図2】本発明の実施の形態による、流体を温めるための装置を概略的に部分分解図で示す。
【
図3】従来技術の設計による、流体を温めるためのバッグを示す。
【
図4】本発明の第1の実施の形態による、流体を温めるための装置のためのバッグを示す。
【
図5】本発明の第2の実施の形態による、流体を温めるための装置のためのバッグに使用されるような1つ以上の偏向セクションのうちのひとつ偏向セクションを示す。
【
図6A】本発明の実施の形態による、入口セクションの側面図を示す。
【
図6B】本発明の実施の形態による、入口セクションの斜視図を示す。
【
図7A】
図7A~7Dは、本発明の実施の形態による、入口セクションの異なる代替的な実施の形態に基づく流体流を示す。
【
図7B】
図7A~7Dは、本発明の実施の形態による、入口セクションの異なる代替的な実施の形態に基づく流体流を示す。
【
図7C】
図7A~7Dは、本発明の実施の形態による、入口セクションの異なる代替的な実施の形態に基づく流体流を示す。
【
図7D】
図7A~7Dは、本発明の実施の形態による、入口セクションの異なる代替的な実施の形態に基づく流体流を示す。
【
図8A】流体を温めるための装置のためのバッグを示し、バッグは本発明の別の実施の形態によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、例示的な実施の形態による、体外血液処理装置1を概略的に示す。
【0084】
体外血液処理回路200の一例が概略的に示されているが、体外血液処理回路200の特定の構造は本発明の目的に関連しておらず、したがって、
図1に具体的に示されているものに対する他の異なる回路が、各単一の医療装置の機能的および設計上の必要性(例えば、持続的腎代替療法-CRRT治療-対慢性透析治療)の結果として使用されてもよいことに留意されたい。
【0085】
体外血液処理回路200は、透析流体供給ライン8を備えた透析流体回路32を示し、透析液を少なくとも1つのソース14から、1つ以上の濾過ユニット2または透析装置が動作する処理ステーション15に向けて輸送するように構成されている。
【0086】
透析流体回路32は、透析液(使用済み透析液および半透膜5を介して血液から限外濾過された液体)を処理ステーション15から
図1に16で概略的に示す排出ゾーンに向かって輸送するように構成された透析流出ライン13をさらに備える。
【0087】
水圧回路は血液回路17と協働し、
図1においても基本構成部品のなかに模式的に示されている。また、血液回路の具体的な構成も本発明の基本ではない。したがって、
図1を参照して、血液回路の可能な実施の形態の簡単な説明がなされるが、これは単に非限定的な例として提供される。
【0088】
図1の血液回路17は、血管アクセス18から血液を除去するように構成された血液引き出しライン6と、処理された血液を血管アクセス18に戻すように構成された血液返却ライン7とを備える。
【0089】
図1の血液回路17は、血液濾過ユニット2のプライマリチャンバ3、すなわち血液チャンバをさらに備え、そのセカンダリチャンバ4は体外血液処理回路200に接続される。
【0090】
より詳細には血液引き出しライン6はプライマリチャンバ3の入口に接続され、血液返却ライン7はプライマリチャンバ3の出口に接続される。
【0091】
次に、透析供給ライン8はセカンダリチャンバ4の入口に接続され、一方、透析流出ライン13はセカンダリチャンバ4の出口に接続される。
【0092】
濾過ユニット2、例えば透析器、血漿フィルタ、血液フィルタ、または血液透析フィルタ、は上述のように、2つのチャンバ3および4を含み、これらは、例えば中空繊維タイプまたはプレートタイプの半透膜5によって仕切られている。
【0093】
一実施の形態では濾過ユニット(2)は、血漿濾過吸着デバイス、チャコールカラム、例えば敗血症治療のための内毒素除去のための吸着デバイスなどの吸着デバイスを含むことができ、この実施の形態では新鮮な透析流体ラインおよび使用済み透析流体を除去するための透析流出ラインの両方が存在しなくてもよい。
【0094】
血液回路17はまた、1つ以上の空気分離器19と、引き出しラインおよび返却ラインの両方にあるクランプ20とを備えてもよい。
【0095】
体外血液処理装置1は、1つ以上の血液ポンプ21、例えば蠕動ポンプのような容積式ポンプを含み、
図1の例では、血液ポンプ21が血液引き出しライン6上に含まれる。
【0096】
上述の実施の形態の装置はまた、ユーザインタフェース22(例えば、グラフィックユーザインタフェースまたはGUI)と、ユーザインタフェースに接続された制御ユニット12、すなわち、プログラムされた/プログラム可能な制御ユニットとを備えてもよい。
【0097】
バイパスライン23は、透析流体供給ライン8と透析流出ライン13とを接続し、それによって、濾過ユニット2をバイパスし、制御ユニット12に接続された1つ以上の流体チェック部材24は、バイパスライン23を選択的に開閉する。
【0098】
透析流体ポンプ25および透析液ポンプ26は、それぞれ透析流体供給ライン8および透析流出ライン13上に配置され、さらに制御ユニット12に動作可能に接続されてもよい。
【0099】
この装置はまた、例えば、1つ以上の濃縮物供給源27、28および送達のためのそれぞれの濃縮物ポンプ29、30(調節手段10)、ならびに少なくとも1つの導電度センサ35を含む、任意の公知のタイプのものであり得る、1つ以上の新鮮な流体のバッグ(例えば、CRRT処置における)または透析流体調製デバイス9(例えば、慢性処置における)のような透析流体供給源を備えてもよい。
【0100】
透析装置がそれぞれの送達ライン36、37、38および40で透析供給ライン8に接続された種々の液体源(例えば、1つ以上の水源14、1つ以上の濃縮物源27、28、消毒液の1つ以上の供給源33)を潜在的に含むため、装置は各送達ラインにおいて、対応するチェック部材(全てが
図1に示されていない)を示し得、そして例えば、バルブ部材31および34を備えてもよい。
【0101】
透析供給ライン8には、液体が循環する方向に、第1流量計41と透析流体ポンプ25とが配置されている。
【0102】
透析流出ライン13には、透析液ポンプ26および第2流量計42を設けることができる。第1および第2流量計41、42は、透析セッション中に血液回路17に接続された患者の流体バランスを(既知の方法で)制御するために使用されてもよい。
【0103】
透析流出ライン13には、透析流出ライン13内の透析液のパラメータ値(例えば導電率)を測定するために、濾過ユニット2のすぐ下流にセンサ11が設けられている。
【0104】
1つ以上の注入ライン39がまた、それぞれの注入ポンプ43または流量調節バルブと共に含まれてもよく、注入ラインは、血液返却ライン7および/または血液引き出しライン6まで接続され、および/または患者に直接接続される。注入ラインのための液体源は、予め包装されたバッグ44および/または装置自体によって調製された液体であってもよい。注入ライン39は、予め包装されたバッグ44(実線45a)から、またはオンライン調製スルーブランチ45b(破線)から、注入液を受け取ることができる。
【0105】
既に述べたように、記載された実施の形態は、非限定的な例であることが意図されている。
【0106】
図1では、血液返却ライン7に、患者に血液を戻す前に、中の流体を循環させるためのバッグ100を設けることができる(バッグの実施の形態が
図4に示されている)。
【0107】
体外血液処理機械は、患者に戻される血液の温度を所望の温度領域、例えば約摂氏37度に調節するために、例えばバッグ内を循環する流体を温めるための装置300を備える。
【0108】
以下の説明では、血液温度を調節するための流体加温装置および対応する加温バッグを参照する。しかしながら、この説明は、この点において限定的に解釈されるべきではない。温度流体制御のための装置は、添付の特許請求の範囲に含まれる。加温または冷却のいずれかのためのバッグもまた、本明細書および特許請求の範囲によって包含される。
【0109】
流体加温装置300は一般に、血液または注入/置換液体などの医療流体の温度を調節する(例えば、温める)ように設計される。流体加温装置300は例えば、濾過ユニット2に入る治療流体の温度を調節するときに、戻されることが意図される血液以外の医療流体、または患者の身体に供給されることが意図される流体を温めるために使用され得る。言い換えれば、バッグ100は、透析ライン8に別様に接続されてもよい。したがって、流体加温装置300は、
図1に示されるもの以外の方法で使用されてもよい。
図1に示される例示的な実施の形態では流体加温装置300は、患者に戻され、空気分離器19から来る血液を温めるために使用される。空気検出器46およびクランプ20は、流体加温装置300の下流および血管アクセス18の上流の血液ライン7上に配置され得る。
【0110】
体外血液処理装置の可能な実施の形態の上記の説明を考慮して、以下、例えば、流体を温めるための装置300および流体のためのバッグ100の特定の実施の形態が説明される。
【0111】
図2は、本発明の実施の形態による、流体を温めるための装置300を概略的に部分分解図で示す。流体加温装置300は一般に、図示されるように設計されてもよく、すなわち、例えば、第1の構成要素302と第2の構成要素304との間に加熱領域308を画定しつつ、例えば、第1の構成要素302と第2の構成要素304との間の流体を温めるためのバッグ100をスロット306内に、例えば実質的に水平に受容するように構成されてもよい。装置300は、互いに旋回可能に接続された第1の構成要素302および第2の構成要素304を備えて設計され得、それによって、加熱領域308の洗浄を容易にする。しかしながら、第1の構成要素302および第2の構成要素304はまた、任意の他の適切な様式(例えば、切断、移動、傾斜)で互いに接続され得、それによって、バッグ100の洗浄および/または挿入/除去を容易にする。図示の実施の形態では、明確にするために、第1の構成要素302および第2の構成要素304が互いに分離して示されている。使用中、第1の構成要素302および第2の構成要素304は、互いに固定して取り付けられ、それによって、バッグ100の挿入/除去のためのスロット306を提供する。図示のように、バッグ100をスロット306に挿入し、加熱領域308と重ね合わせて配置することができる。スロット306には、バッグ100のマッチング部分107を受け入れるために拡張307を設けることができる。部分107は、バッグ100(
図8a参照)の一方の側から突出する小さなタブの形成であってもよく、または
図2および4に示されるような三角形の形状であってもよい。さらに、スロット306の拡張307には、バッグ100の対応する参照開口部107rと係合するように構成された参照凸部307rを設けることができる。タブ、拡張307、および/または参照凸部307rはバッグ100に関して以下でさらに説明するように、スロット306内へのバッグ100の適切な配置を確実にするように設計される。
【0112】
加熱領域308は典型的には加熱表面を含み、それらの加熱表面の間に、使用中に、バッグ100が配置され、バッグの外側表面の大部分が加熱表面と接触する。
図2に示すように、バッグ100は加熱領域308の対応する上部加熱表面308-1および下部加熱表面308-2(例えば、上部および下部)と重ね合わせることができる実質的に平坦な上部表面108-1および下部表面108-2を提供する。
【0113】
図3は、従来技術の設計による、流体を温めるためのバッグ100kを示す。バッグ110kは概して、
図2に示され、上述されたように、流体を温めるための装置300と類似または同一の装置と共に使用されてもよい。
【0114】
従来技術の設計によれば、バッグ100kは、加熱される流体のための通路を形成するために特定の方法で互いに溶接されるフィルム材料、例えばプラスチックフィルム、の2つの隣接する層から作られる。通路は、入口ポート112kを出口ポート116kと流体連通させる。通路はさらに、入口ポート112kに隣接する入口セクション113kと、出口ポート116kに隣接する出口セクション117kとを含む。
図3に示すように、通路はさらに3つの偏向セクション110kを含み、当該偏向セクション110kはバッグ100kの細長いセクションを互いに接続し、それぞれと入口セクション113kおよび出口セクション117kとを接続し、通路にほぼ蛇行した形状を提供する。
【0115】
図3に示されるように、入口セクション113k、偏向セクション110k、出口セクション117k、およびその間の細長いセクションは、典型的には実質的に同じ断面を有し、いずれのセクションにわたっても、通路の幅および/または断面にほとんど変化がないか、または全く変化がない。
【0116】
流体流Fの方向は細長いセクションの各々について
図3に示されており、一般に、入口ポート112kから出口ポート116kに向かって導かれる。図示のように、入口ポート112kから出口ポート116kに向かって通路を通って流れる流体は入口セクション113kで通路に入り、出口セクション117kで通路から出る。また、流体は、偏向セクション110kにおいて通路の蛇行形状に従って偏向される。通路を通る流体流プロファイルはそれぞれのセクション(例えば、入口セクション、出口セクション、細長いセクション、偏向セクション)における通路の幾何学的形状、流速および粘度に依存する。流体流は細長いセクションにわたって比較的完全に発生するが、いくつかの流体流パラメータに関して、通路のセクション全体にわたって変化する。
【0117】
図3から分かるように、通路を通る流体の流れは、比較的低い速度を有するかまたは停滞さえも示す流体の流れの領域A、比較的均一な流体の流れの領域B、および比較的高い速度を有する流体の流れの領域Cを示す。
【0118】
低速流体流は実質的な欠点を伴うことがあり、それは例えば、停滞領域の形成に起因する流体の交換がほとんどまたは全くない領域、および/または低流体流の領域における気泡の収集または蓄積などである。通路を通って運ばれる流体が血液である場合、低速度の流体流は凝固をもたらし得、血餅が生成され、それが血流によって運び去られ、最終的には血流中で患者に戻される危険性を伴う。これは、流体の流れがほとんどまたは全く生じない領域が形成され、通路を通って流れる流体の塊との流体の交換がほとんどまたは全く生じないという、流体のよどみの場合に特に起こりやすい。従って、低速度の流体の流れは回避されるべきである。
【0119】
領域Aとして
図3に示される低速流体流は、入口セクション113k、出口セクション117k、および偏向セクション110kで生じ得る。偏向セクション110kの形状は、特にその中間セクション(中間セクションの外側エッジに沿った領域Aを参照)およびその出口セクション(中間セクションから下流の出口セクションの内側エッジに位置する領域Aを参照)において、低速流体流の形成に著しく寄与しうる。
【0120】
また、高速流体流は例えば、コンテナの入口と出口との間の過剰な圧力降下、およびコンテナ壁近傍における高い剪断応力などの欠点を伴うことがある。
【0121】
領域Cとして
図3に示される高速流体流は、入口セクション113kの近く、出口セクション117kの近く、および偏向セクション110kで生じ得る。入口セクション113kの近くまたは出口セクション117kの近くで生じる高速流体流は一般にあまり重要ではない。一般に、典型的には通路の断面よりも小さい断面を備える入口ポート112kを通って(または出口ポート116kに向かって)医療用チューブから流れる流体によって、より高い速度が引き起こされるからである。しかしながら、入口セクション113kの近く又は出口セクション117kの近くで生じる高速流体流は、同様に有害な効果を有し得る。
【0122】
(流体流量および粘度と組み合わせた)流体経路の幾何形状は、流体の低/高速領域を引き起こす。偏向セクション110kで発生する高速流体流は、典型的にはその中間セクションの内側エッジで発生する。過度に高速の流体流は、溶血を引き起こすことがあるので、避けるべきである。
【0123】
図4は、本発明の第1の実施の形態による、流体を温めるための装置300のためのバッグ100を示す。
図8Aは、特に高流量用に設計されたバッグ100の第2の実施の形態を示す。バッグ100は可撓性であり、特にフィルム材料で作られる。
【0124】
バッグ100は、フィルム材料、特にポリウレタン(PUR)またはポリ塩化ビニル(PVC)の2つの層から作製され得、重ねられ、そしてバッグ100を形成するように溶接され、そして2つの層および溶接線によって画定される通路を形成する。溶接線は、明確にするために
図4には示されていない。説明のために、溶接線120が
図5の詳細図に示されている。
【0125】
ポリウレタン(PUR)は、高い機械的抵抗および良好な熱伝導特性を有する材料である。したがって、PURの使用は、フィルム材料を介したバッグ100内の流体への熱伝達に関する有利な特性をバッグ100に提供することができる。PURの使用は、さらに、バッグ100からの流体の漏れの危険性を最小限にすることができる。
【0126】
図4に示される実施の形態は、4つの接続セクション102が実質的に並んだ配置を示すレイアウトで、互いに実質的に平行に配置された4つの接続セクション102を備える。
【0127】
逆に、
図8Aに示される実施の形態は、2つの接続セクション102のみを備えている。接続セクション102はバッグ100の全体的な展開方向に平行である(例えば、方向Fおよび/または流体の流入および流出の方向(要素111付近の矢印を参照)に実質的に平行である)ように示されることに留意されたい。しかしながら、接続セクション102は全体的な展開方向に対して、および/または互いに対して、ある角度で(例えば、直交して)配置されてもよい。後者のケースでは、通路の断面及び/又は最大幅Lcは任意のセクション(例えば、接続セクション、偏向セクション等)の長さに沿ってある程度増減することができる。
【0128】
用語「幅」および「断面」の両方は、通路およびそのセクションの断面サイズの尺度に関連し、使用前および使用中のバッグ100の異なる状態を反映するために使用される。バッグ100はプラスチックフィルムの層から作られるので、バッグは使用前に、通路が液体または粒子を全く含まないために、実質的に平坦な形状を有する。この未使用状態では平坦な通路の幅がその有効な尺度であるので、通路のサイズはある幅を有すると称されてもよい。しかしながら、使用中、通路を通って運ばれる流体は、フィルムの2つの層が互いに接触するのを止めさせ、それによって、通路を垂直に開き、流体の流れを容易にする。この使用状態では断面(または断面積)がその有効な尺度であるため、通路のサイズは断面を有するものと呼ぶことができる。典型的には、一実施の形態(
図4)では通路の断面が使用中、約1~2mm(高さ)×18~22mm(幅)、特に約1.4mm×20mmのサイズを有する。バッグが使用されない(すなわち、平坦である)ときの通路の幅または最大幅Lcは、約20mmである。いくつかの実施の形態(
図8A)では、通路の断面がより大きくてもよく、使用中、通路の断面は大流量用途の場合、約1~2mm(高さ)×34~45mm(幅)、特に約1.4mm×40mmのサイズを有する。全体的な設計の主な原理、特に、その高さよりもはるかに大きい幅を有する通路(すなわち、幅>>高さを有する実質的に二次元の流れ)を有し、層流用に設計されている通路を有するものは、広範囲の用途に適用することができ、(例えば、血液加温バッグの用途に関して)所与の寸法に限定されないことに留意されたい。この点において、例えば、目標性能(例えば、W×L、通路幅×通路長)に対する熱交換表面積、目標流量動作範囲における最小/最大剪断レート(例えば、通路の幅および高さに依存する)、および圧力降下(例えば、通路の幅、高さ、および長さに依存する)の間の関係などのいくつかの特性を、個々の用途について調整することができる。
【0129】
この点に関して、二次元流を参照する場合、流体は高さよりもはるかに大きい幅を有するチャネル内を流れることが意図され、その結果、当然ながら、フローは3次元であるが、実質的に2次元であると考えることができる。より詳細には、幅と高さとの間の比率が5よりも大きく(Lc/h>5)、おそらく10よりも高い。
図4および
図8Aの2つの例は、10を超える比率Lc/hを有する。
【0130】
さらに、本発明のバッグの実施の形態は、限定されないが、バッグ内部の層流状態の存在においてより有利であり、そのような層流状態用に特に設計される。
【0131】
開示された実施の形態(
図4および
図8A)を一般的に参照すると、蛇行通路の両端は、バッグ100の同じ側に配置され、入口セクション113および出口セクション117を備える。入口セクション113及び出口セクション117は更に、それぞれ入口ポート112及び出口ポート116に接続されている。入口ポート112および出口ポート116は、チューブまたは医療流体ライン111および/またはルアーコネクタ(図示せず)をさらに含み得る。ルアーコネクタは、チューブ111の反対側の端部に配置することができる。具体的には、入口112に接続された管111に雄型ルアーコネクタを設けることができ、出口116に接続された管111に雌型ルアーコネクタを設けて、体外血液回路へのバッグ100の誤った接続を回避することができる。いくつかの実施の形態では、ルアーコネクタがそれぞれ、入口ポート112および/または出口ポート116に隣接して配置されてもよい。管はまた、例えばPVCまたはPURから作製されてもよい。
【0132】
より一般的には、入口112は、濾過ユニット2の下流で、場合によっては空気分離器19の下流であるが、加温ユニット300のすぐ上流および空気検出器46のすぐ上流に配置された返却ライン7上の対応するカウンタコネクタと結合されるように構成されたコネクタを備え、出口116は、加温器ユニット300のすぐ下流および空気検出器46の上流に配置された返却ライン7上の対応するカウンタコネクタと結合されるように構成されたコネクタを備え、入口コネクタおよび出口コネクタおよびカウンタコネクタは、正しい構成でのみ結合されるように構成される(すなわち、入口コネクタは出口カウンタコネクタに結合されず、出口コネクタは入口カウンタコネクタに結合されなくてもよい)。
【0133】
隣接する接続セクション102は、共に接合され、偏向セクション110によって流体連通するようにされる。偏向セクション110は、通路に全体的に曲がりくねった(または蛇行した)形状を提供する丸みを帯びた屈曲部を画定する。各偏向セクション110は、対応するエントリセクション110eと、対応する中間セクション110iと、対応するエグジットセクション110xと、を含み、これらは、通路を通る流体の流れに基づいて順番に配置される(
図4および
図8Aの矢印Fを参照のこと)。
【0134】
図4および
図8Aに示されるように、各偏向セクション110のエントリセクション110eと、中間セクション110iと、エグジットセクション110xと、は、従来技術の設計に関連する上述の問題のうちの1つまたは複数を回避するために、特定の形状を備える。図示の実施の形態では、エントリセクション110eは、通路に、隣接する接続セクション102(より大きい幅/直径を有する)から隣接する中間セクション(より小さい幅/直径を有する)に向かう最大幅(または内径)の減少を提供する。エグジットセクション110xは、通路に、隣接する中間セクション(より小さい幅/直径を有する)から隣接する接続セクション102(より大きい幅/直径を有する)に向かう最大幅(または内径)の増加を提供する。中間セクション110iは、実質的に一定の幅/直径を有するものとして示されている。
【0135】
エントリセクション110eおよびエグジットセクション110xの個々の形状は互いに異なる。エントリセクション110eは内側エッジ110e-1および外側エッジ110e-2を含み、内側および外側は対応する中間セクション110iに対して定義され、中間セクション110iは外側エッジ110i-2(すなわち、屈曲部の外側)および内側エッジ110i-1(すなわち、屈曲部の内側)を画定する。エントリセクション110eの内側エッジ110e-1は非線形形状(例えば、円のセグメントに実質的に対応する)を備え、一方、エントリセクション110eの外側エッジ110e-2は直線形状(例えば、直線状に連続し、先行する接続セクション102の対応する外側エッジ102-2から延在する)を備える。エントリセクション110eの内側エッジ110e-1の非線形形状は、先行する接続セクション102から後続する中間セクション110iへの通路の幅/断面の減少を決定する。
【0136】
接続セクション102に関連する用語「内側エッジ」および「外側エッジ」に関して、以下に注目する。偏向セクション110を互いに接続するために設けられる接続セクション102について、接続セクション102のエッジに対する用語「内側」および「外側」は、それぞれの最も近い偏向セクション110に関連する。
図4は、明確にするために、接続偏向セクション110を互いに接続するために設けられた2つの接続セクション102のうちの1つのみについて、この命名規則を示す(流体流Fの方向における第2および第3の接続セクション102を参照)。流体流Fの方向において、第3の接続セクション102は、対応する内側エッジおよび外側エッジを示す参照番号を備えている。したがって、第3の接続セクション102の上側エッジ(すなわち、
図4の上端により近いエッジ)は、第2の偏向セクション110の近くで(流体流Fの方向で、識別領域109に隣接して)内側エッジ102-1としてマークされる。第3の接続セクション102の底側エッジ(すなわち、
図4の底部により近いエッジ)は、通路の同じセクションに沿って、第2の偏向セクション110の近くの外側エッジ102-2としてマークされている。
【0137】
これに対応して、第3の接続セクション102の上側エッジは、第3の偏向セクション110の近くで(流体流Fの方向で、部分107に隣接して)外側エッジ102-2としてマークされる。第3の接続セクション102の底側エッジは、通路の同じ部分に沿って、第3の偏向セクション110の近くの内側エッジ102-1とマークされている。このようにして、「内側」および「外側」という用語は、常に最も近い偏向セクション110に対応する。したがって、用語「内側」および「外側」は、最も近い偏向セクション102に応じて、通路に沿った流体流Fの方向で変化し、それによって、内側エッジ102-1および外側エッジ102-2と呼ばれる接続セクション102の部分を明確に識別する。
【0138】
上記のことは、偏向セクション110を互いに接続するために設けられた残りの接続セクション102にも当てはまる(すなわち、
図4に示す第2の接続セクション102にも当てはまる)ことに留意されたい。しかしながら、明確にするために、全ての参照番号が
図4に追加されているわけではない。さらに、上記は
図4に示す実施の形態よりも少ないまたは多い接続セクション102を有する実施の形態(例えば、2つまたは6つ以上の接続セクション102を有する)にも適用されることに留意されたい。
【0139】
図4及び8Aの両実施の形態において、エントリセクション110eと同様に、エグジットセクション110xには、上述のエントリセクション110eに関して説明したのと同じように、対応する中間セクション110iに関して定義される内側エッジ110x-1と外側エッジ110x-2が含まれる。エグジットセクション110xの内側エッジ110x-1は、実質的に直線形状(例えば、後続の接続セクション102の対応するエッジに対してある角度で配置されたラインセグメントに実質的に対応する)を備え、一方、エグジットセクション110xの外側エッジ110x-2は直線形状(例えば、後続の接続セクション102の対応するエッジの延長として真っ直ぐ続く)を備える。隣接する(追従する)接続セクション102の対応するエッジに対するエグジットセクション110xの内側エッジ110x-1の角度構成は、中間セクション110iから追従接続セクション102への通路の幅/断面の増加を決定する。
【0140】
図4に示す実施の形態では、バッグ100の通路が3つの偏向セクション110を含む。全ての偏向セクション110は、偏向セクション110に依存する鏡反転レイアウトを有することを除いて、互いに実質的に同一であり、右旋回または左旋回を決定する(流体流の方向において、そして上から見られるように;
図4を参照のこと)。したがって、エントリセクション110e、中間セクション110i、およびエグジットセクション110xの説明は、
図4に示される偏向セクション110のいずれか1つに適用可能である。偏向セクション110が右旋回または左旋回を決定することに応じて、「内側」および「外側」エッジの位置はそれに応じて変化し、その結果、接続セクション102に関して、用語「内側」および「外側」はそれぞれの文脈で言及される(すなわち、接続セクション102のそれぞれの入口端または出口端に基づく)偏向セクション110に関して対応する意味を受けることに留意されたい。
【0141】
図4(および
図8Aの実施の形態と同様)から分かるように、バッグ100によって画定される通路を通る流体流は、かなり均一である。偏向セクション110の中間セクション110iでは、低速流体流のよどみまたは領域がほとんどないか、全くない。これは、中間セクション110i全体にわたって維持される、それぞれのエントリセクション110eにおける幅/断面の減少による中間セクション110における流体流速の適度な全体的増加によって達成される。さらに、高速流体流の領域(領域C-
図4参照)は、あまり集中/局所化されておらず、偏向セクション110のより長く広い部分にわたって広がる。これは、剪断応力を低減又は最小化し、領域C内の高速流体流をより均一にする。
【0142】
偏向セクション110の個々の構成の別の効果は、偏向セクション110のそれぞれのエグジットセクション110xに低速流体流がほとんどないか、全くない(よどみがない)ことである。これは、エグジットセクション110xの特定の構成と、中間セクション110i全体にわたる高速流体流の集束されず/局所化されておらず、より広がった領域Cと、の両方によって達成される。
【0143】
接続セクション102の幅/断面と中間セクション110の幅/断面との比は、0.5~0.85、特に0.7~0.8の範囲である。
【0144】
異なる流体流量で試験を行った。例えば、100ml/分のより低い流速では、
図4に示される実施の形態に沿った偏向セクション110の個々の構成の効果がより顕著である。しかしながら、この効果はまた、例えば200ml/分または300ml/分のより高い流体流速での公知の設計と比較して有意であり得、これらの流速において、上記の有益な効果もまた生じ続ける。
【0145】
本発明によるバッグ100は、通路を通る流体の流れを改善するように構成された入口セクション113及び出口セクション117を更に含むことができる。いくつかの実施の形態では、入口ポート112および出口ポート116の一方または両方が隣接する接続セクション102の主展開軸に対して偏心して配置されてもよい。
【0146】
図4および
図8Aに示す実施の形態では、入口ポート112および出口ポート116はそれぞれの接続セクション102に対して偏心して配置され、入口セクション113および出口セクション117を後続/先行偏向セクション110と流体連通させる。
図4の実施の形態では、入口ポート112は隣接する接続セクション102に実質的に平行に配置され、バッグ100の中心に向かって(例えば、出口ポート116に向かって、および出口ポート116に平行に)わずかに(横方向に)シフトされる。
図8Aの実施の形態では、入口ポート112は隣接する接続セクション102に実質的に平行に配置され、バッグ100の中心からわずかに(横方向に)離れて(例えば、出口ポート116から離れるように平行に)シフトされる。
【0147】
入口ポート112のこの配置によれば、入口セクション113は非対称の構成を備え、内側エッジ113-1および外側エッジ113-2を提供し、そのエッジの両方とも、入口ポート112の軸112cに対して角度をなして配置される。内側エッジ113-1および外側エッジ113-2の角度113βおよび113αは、互いに異なっていても、同じであってもよい。いくつかの実施の形態では入口ポート112が隣接する接続セクション102に対して中心に合わせられていないため、入口セクション113の内側エッジ113-1および外側エッジ113-2は角度113βおよび113αが同じであっても、異なる長さを有する可能性がある。入口セクション113は通路に発散領域を提供し、通路の幅/断面を、入口ポート112の直径から、隣接する接続セクション102の断面まで増大させる。
【0148】
出口セクション117には、上記の入口セクション113に関して説明したのと同様の方法で内側エッジ117-1および外側エッジ117-2が設けられている。
図4の実施の形態では、出口ポート116は隣接する接続セクション102に実質的に平行に配置され、バッグ100の中心に向かって(例えば、入口ポート112に向かって、および入口ポート116に平行に)わずかに(横方向に)シフトされる。
図8Aの実施の形態では、出口ポート116は隣接する接続セクション102に実質的に平行に配置され、バッグ100の中心からわずかに(横方向に)離れて(例えば、入口ポート112から離れるように平行に)シフトされる。
【0149】
出口ポート112のこの配置によれば、出口セクション117は非対称の構成を備え、内側エッジ117-1および外側エッジ117-2を提供し、そのエッジの両方とも、ポート116の中心軸116cに対してある角度で配置される。内側エッジ117-1および外側エッジ117-2の角度117βおよび117αは、互いに異なっていても、同じであってもよい。出口ポート116が隣接する接続セクション102に対して中心に合わせられていないため、内側エッジ117-1および外側エッジ117-2は角度117αおよび117βが同じであっても、異なる長さを有する可能性がある。出口セクション117は通路に収束領域を提供し、隣接する接続セクション102の断面から出口ポート116の直径まで通路の幅/断面を減少させる。
【0150】
さらに、入口セクション113および出口セクション117は、流体流の方向がその2つのセクションで異なるため、異なる形状を備えている。換言すれば、入口セクション113の発散領域は、出口セクション117の収束領域とは異なる形状を有する(
図4及び
図8C参照)。
【0151】
両方の実施の形態において、入口セクション113は内側エッジ113-1および外側エッジ113-2を備え、内側エッジ113-1および外側エッジ113-2が隣接する接続セクション102の対応するエッジに対して形成する角度は、出口セクション117の内側エッジ117-1および外側エッジ117-2によって形成される対応する角度よりも小さい。入口セクション113においてより低い速度の流体流を示す領域A(比較のために
図3の対応する入口セクション113kを参照)は、通路を通る流体流のより長い距離にわたって幅/断面を増加させる、(流体流の方向に関して)徐々に増加する幅/断面を入口セクション113に提供することによって、実質的に減少され得ることが見出された。
【0152】
同様に、出口セクション117においてより低い速度の流体流を示す領域A(比較のために
図3の対応する出口セクション117kを参照)は、通路を通る流体流のより長い距離にわたって幅/断面を減少させる、(流体流の方向に関して)徐々に減少する幅/断面を出口セクション117に提供することによって、実質的に減少され得る。入口セクション113及び出口セクション117の両方でより低い速度の流体流を示す領域Aの減少は、
図4及び
図8Cに示すような入口ポート112及び出口ポート116の非対称配置と組み合わせて最も顕著であった。
【0153】
いくつかの実施の形態では、プラスチックフィルム(例えば、PURまたはPVC)の2つの層は、入口/出口ポートとは反対側のバッグ100の側に位置し、通路に隣接する部分107を形成する。部分107は、入口/出口の反対側の側面領域から現れるタブ(
図8A)の形態であってもよく、あるいは、非限定的な例として添付の
図4に示すように、任意選択で三角形であってもよい。部分107は、流体加温装置300のスロット306の対応する逆形状部分に嵌合するように設計されている。いくつかの実施の形態では、部分107は参照開口部107rを備える。参照開口部107rは、流体加温装置300のスロット306に設けられた対応する凸部と嵌合するように設計されている。三角形部分107および/または参照開口部107rは流体加温装置300のスロット306内へのバッグ100の適切な配置を確実にするために、バッグ100の残りの構成要素に対して配置される。いくつかの実施の形態では、バッグ100は概して挿入方向Gに沿って装置300内に挿入される。
【0154】
代替的に(または組み合わせて)、センサ、例えば光学センサを使用して、バッグ100の存在を検知することができ、すなわち(タブ/三角形)部分107の存在を検知することができる。
【0155】
適切な配置は例えば、対応する凹部に係合された入口/出口管と、加熱領域308と重ねて配置された通路とを含む。
【0156】
バッグ100は特に、通路の部分によって占められていない入口ポート112と出口ポート116との間の識別領域109において、例えば、バッグ100の特性を示す、機械可読または人間可読ラベルを配置するように構成された領域をさらに含み得る。
【0157】
図5および対応する
図8Bは上述のような流体を温めるための装置300のためのバッグ100において使用されるような、1つ以上の偏向セクション110のそれぞれの偏向セクション110を示し、バッグ100は、本発明の実施の形態に従う。
図5および
図8Bは、通路の異なる要素についての可能な測定値を示す。しかしながら、示された測定値は例示的なものであり、本明細書に記載された実施の形態を限定することを意図したものではないことに留意されたい。
【0158】
溶接線120は、典型的には約2mm~約4mm、特に約3mmの幅を有する。
図4及び
図5による通路は、典型的には接続セクション102に沿って約20mmの幅を有する。上記の
図4に関して説明したように、偏向セクション110のエントリセクション110eは、典型的には中間セクション110iにおいて、通路の幅を約20mmから約15mmに減少させる。この目的のために、エントリセクション110eは、例えば約10mmの半径(
図5のR
1参照)を有する円のセグメントに対応する内側エッジ110e-1を有することができる。次いで、エントリセクション110eの内側エッジ110e-1の円セグメントは、例えば約4~5mmの半径R
2を有する円のセグメントによって画定される、中間セクション110iの内側エッジ110i-1へと続く(
図5参照)。中間セクション110iは約15mm(上記参照)の幅を有し、その外側エッジ110i-2は、例えば約21.5mm(
図5参照)の半径R
3によって画定される。エグジットセクション110xは約30mmの流体流Fの方向の長さを有し、中間セクション110iの外側エッジから接線方向に続く外側エッジ110x-2と、後続の接続セクション102(例えば、その内側エッジ/外側エッジ)の主展開軸に対して例えば約10.26度の角度110x-1αで配置された内側エッジ110x-1と、によって画定される。第1および第2の実施の形態の両方において、出口発散角度、すなわち、内側エッジ110x-1と接続セクション102の対応するエッジとの間の角度は、25度未満、特に15度未満である。
【0159】
図5は、本発明の実施の形態による偏向セクション110の非対称構成、ならびに対応する形状の通路をバッグ100に提供する溶接線120を示す。
【0160】
図8Aから8Cによる通路は、典型的には接続セクション102に沿って約40mmの幅を有する。説明したように、偏向セクション110のエントリセクション110eは、典型的には中間セクション110iにおいて、通路の幅を約40mmから約30mmに減少させる。この目的のために、エントリセクション110eは、例えば約10mmの半径(
図5のR
1参照)を有する円のセグメントに対応する内側エッジ110e-1を有することができる。次いで、エントリセクション110eの内側エッジ110e-1の円セグメントは、例えば約6.5mmの半径を有する円のセグメントによって画定される、中間セクション110iの内側エッジ110i-1へと続く(
図5、R
2参照)。中間セクション110iは約30mm(上記参照)の幅を有し、その外側エッジ110i-2は、例えば約44.5mm(
図5、R
3参照)の半径によって画定される。エグジットセクション110xは約40mmの流体流Fの方向の長さを有し、中間セクション110iの外側エッジから接線方向に続く外側エッジ110x-1と、後続の接続セクション102(例えば、その内側エッジ/外側エッジ)の主展開軸に対して例えば約14度の角度110x-2αで配置された内側エッジ110x-1と、によって画定される。第1および第2の実施の形態の両方において、出口発散角度、すなわち、内側エッジ110x-2と接続セクション102の対応するエッジとの間の角度は、25度未満、特に15度未満である。
【0161】
図6Aは、本発明の実施の形態による、入口セクション113の側面図を示す。
図6Aは、入口ポート112の(または直接的に管111の)直径112dを、通路セクション102の高さhに遷移させる際の重要なパラメータ、すなわち、通路セクション102の長手方向延長部に平行な平面と、入口ポート112または管111に隣接する接続セクションとの間の角度を表すパラメータ、を示す。管111または入口ポート112の直径が通路セクション102の高さhよりも大きいため、入口セクションの側面を画定する2つの対向する層は角度構成を有し、当該角度構成では、角度「a」が、流体流Fの方向においてどれほどの距離に亘って、入口ポート112または管111の実質的に円形の直径112dが通路セクション102(例えば、最大幅Lcよりもはるかに小さい高さhを有する)の実質的に平坦な断面に適合されるかを決定する。
図6Aは約4度の角度「a」を示し、その結果、入口ポート112の実質的に円形の直径112dが通路セクション102の実質的に平坦な断面にゆっくりと(例えば、実質的に入口セクション113全体にわたって)適合される(挟まれていない状況)。
【0162】
図6Bは、本発明の実施の形態による、入口セクション113の斜視図を示す。
図6Bは約10度の角度「a」を示し、その結果、入口ポート112の実質的に円形の直径112dが
図6Aに示されているよりも迅速に(例えば、入口セクション113のより短いセクションにわたって)通路セクション102の実質的に平坦な断面に適合される。換言すれば、
図6Bは、2つの表面が平行になる第2の部分113-2に対応して入口セクションが挟まれる状況を示す。
図6Aおよび6Bから分かるように、入口セクション113の対応するセクション(またはその一部)は角度「a」の値に依存し、したがって、入口セクション113自体の延長部に限定される必要はない。
図6Bは、入口セクション113が、対向する材料層が通路セクション102(図示せず)に平行な平面に対して角度「a」をなすある部分113-1と、対向する層が実質的に平行であり、通路セクション102の高さhに実質的に対応する距離にある別の部分113-2とを有することを示す。
【0163】
一般に、角度「a」は、入口ポート112でコンテナ100に入る流体が通路セクション102の実質的に平坦な断面に一致するように横方向に広げられる態様を決定するように修正され得る。ここで、より大きな角度「a」は、比較的低い速度を有する流体流の領域Aの形成を低減または排除するために、流体がより迅速にまたは効果的に(例えば、流体流Fの方向におけるより短い距離に沿って)横方向に広がることにつながり得る。
【0164】
図7A~7Dは、本発明の実施の形態による、入口セクションの異なる代替的な実施の形態に基づく流体流を示す。
図7A~7Dは流体力学、特に、比較的低い速度および比較的高い速度をそれぞれ有する流体流の領域を示す領域AおよびCの形成に対する角度「a」の影響(例えば、速度の大きさの等高線)を示す。
図7Aは角度「a」=4度の流体流シミュレーションを示し、
図7Bは角度「a」=5度の流体流シミュレーションを示し、
図7Cは角度「a」=10度の流体流シミュレーションを示し、
図7Dは、角度「a」=15度の流体流シミュレーションを示す。図からわかるように、それぞれの入口セクション113の各角度aおよび各関連する構成は、入口セクションを通る流体流、特に、上述のような領域AおよびCの形成に影響を及ぼす。なお、
図7A~
図7Dに示す例は入口セクション113の異なる構成を比較するために、特定の粘度を有し、同じ流体流量で搬送される同じ流体に基づいている。
図7A~7Dの例の圧力降下は、それぞれ3133Pa、3152Pa、3182Pa、および3208Paと実質的に同じであった。
【0165】
最も実際的な実施の形態であると現時点で考えられているものとの関係で本発明が説明されたが、本発明は開示された実施の形態に限定されるものではなく、むしろ添付の請求項の範囲に含まれる種々の変形例および等価な構成をカバーするよう意図されていることは理解されるべきである。