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特許7152611塩素製造のための塩化水素酸化反応用触媒及びこれの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】塩素製造のための塩化水素酸化反応用触媒及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20221004BHJP
   C01B 7/04 20060101ALI20221004BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20221004BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B01J23/63 M
C01B7/04 A
B01J37/02 101D
B01J37/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021535698
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 KR2019017358
(87)【国際公開番号】W WO2020130457
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167858
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ウォンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ウ ウンジ
(72)【発明者】
【氏名】イ ガラン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105128(JP,A)
【文献】特開2013-139017(JP,A)
【文献】特開2008-155199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C01B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素を酸化させ塩素を製造する方法に使用される触媒であって、
前記触媒は乾燥後触媒総100重量部に対して、異種物質0.5~10重量部、活性成分として酸化ルテニウム1~10重量部及び担体80~99重量部を含み、前記異種物質はセリアである塩化水素酸化反応用触媒。
【請求項2】
前記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも1種以上を含む、請求項1に記載の塩化水素酸化反応用触媒。
【請求項3】
前記担体は比表面積が5~300m/gであることを特徴とする、請求項1に記載の塩化水素酸化反応用触媒。
【請求項4】
前記触媒は粉末、粒子及びペレット形態から選択される少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の塩化水素酸化反応用触媒。
【請求項5】
(a)異種物質であるセリアの前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して、アルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも一つ以上の担体に担持する第1担持段階;
(b)第1担持段階以後乾燥及び焼成して室温で冷却して固形分を得る段階;
(c)ルテニウム前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して担持する第2担持段階;
(d)前記第2担持段階以後前記固形分を投入する段階;及び
(e)2次乾燥及び焼成する段階を含む塩化水素酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項6】
前記(a)段階で溶媒は水、アルコール及びニトリルからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする、請求項に記載の塩化水素酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項7】
前記(b)及び(e)段階で乾燥は室温~120℃の空気条件で3~5時間進行されることを特徴とする、請求項に記載の塩化水素酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項8】
前記(e)段階の乾燥する段階以後、乾燥後触媒全体100重量部に対して、酸化ルテニウムは1~10重量部で含まれることを特徴とする、請求項に記載の塩化水素酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項9】
前記(b)及び(e)段階で焼成は300~400℃で2~4時間の間行った後、室温で冷却させることを特徴とする、請求項に記載の塩化水素酸化反応用触媒の製造方法。
【請求項10】
請求項5~9の何れか一項に記載の製造方法で製造された触媒の存在下における、塩化水素の酸化による塩素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩化水素(HCl)の酸化反応を通じて塩素(Cl)を得るための触媒に関するもので、更に詳細にはTiOを担持体にしたRuO担持触媒に異種物質を添加して塩化水素(HCl)から塩素(Cl)を製造するための酸化反応用触媒及びそれの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1868年Deaconが開発した塩化水素の触媒的酸化方法にあっては酸素で塩化水素を酸化させ発熱平衡反応(exothermic equilibrium reaction)で塩素を形成する。塩化水素は例えばイソシアネート製造のようなホスゲン(phosgene)化反応で共同生成物として多量形成される。イソシアネートの製造の時形成された塩化水素は追って塩化ビニル及び最後にPVCを形成するように処理される1,2-ジクロロエタンへのエチレンのオキシ塩化反応で主に使用される。国内の場合OxyChlorination反応器で塩化水素をエチレン(Ethylene)と反応させVCMを製造する反応外には大部分の塩酸及び塩化水素を水溶液状(20%又は35%塩酸)で製造して販売したり中和処理後廃棄する。
【0003】
塩化水素酸化反応に使用される触媒としてはルテニウム系触媒、銅系触媒、セリウム系触媒等があるし、ルテニウム系触媒は銅系触媒又はセリウム系触媒より少量の触媒と低い反応温度を持つことを特徴とする。
【0004】
塩化水素の酸化で塩素を製造する反応は平衡反応であり、反応温度が高いほど平衡的に不利になって平衡転換率が低くなる。従って、低い反応温度を持つ触媒であるほど反応にあって平衡的に有利になってより高い塩化水素の転換率を得ることができる。
【0005】
しかし、従来の技術で言及された触媒たちの大部分は主に高温で高い活性を見せているし、共に高温運転の時数か月の短期間で触媒の性能が減少する現象を表せている。即ち、担持酸化ルテニウムは熱安定性や触媒寿命の二つの条件を同時に滿足することには難しさがある実情である。
【0006】
日本特開第2014-522797号は等温反応器で酸化セリウム触媒を使用する塩素の製造方法に関するもので酸化チタンに担持されたルテニウム及び酸化セリウム触媒を利用して塩化水素の気相酸化反応ができることが開示されている。
【0007】
日本特開第2014-503341号は塩化水素の酸化によって塩素を製造する触媒及びその製造方法に関するものでセリウム、ルテニウム、銅等の複合活性成分を二酸化チタンに担持させ製造された触媒を塩化水素の酸化反応に適用されることを開示している。但し、前記の日本特開は但し、熱的安定性及び長期間触媒の性能が維持される具体的な効果の言及がない点で限界がある。
【0008】
日本特開第2014-517756号では等温反応器にあっての酸化セリウム触媒を使用する塩素の製造方法に関するもので、前記特許は酸化セリウム触媒を使用した塩素製造工程特許として反応器を多段に設計して酸化ルテニウム触媒と酸化セリウム触媒を相異なる層に充填して使用する工程に関するものを開示する。但し、これは、酸化ルテニウムと酸化セリウムを相異なる層に充填して使用している点で限界がある。
【0009】
最後に韓国特開第2018-011828号ではセリウム及びルテニウムを含む塩素気体のための塩化水素の気体状酸化反応用触媒を開示するし、特にセリウム及びルテニウムを二酸化ジルコニウムに担持する点で差がある。
【0010】
既存のルテニウム系触媒は少量の触媒で相対的に低い反応温度で塩素を製造することを特徴としているし、熱的安定性が低くて高温運転の時数か月内に触媒の性能が減少する形象を表せている。従って前記問題点を克服して熱的安定性を確保して高温でも長時間触媒の性能を維持するためのルテニウム系触媒の開発が切実に必要な実情である。
(特許文献1)日本特開第2014-522797号(2014.09.08)
(特許文献2)日本特開第2014-503341号(2014.10.03)
(特許文献3)日本特開第2014-517756号(2014.09.08)
(特許文献4)韓国特開第2014-0102205号(2014.08.21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した問題点を全て解決することを目的とする。
本発明の他の目的は塩化水素を酸化させ塩素を生産する工程に使用される酸化ルテニウム担持触媒の製造方法を提供する目的がある。
【0012】
特に、熱的安定性が低くて高温運転の時数か月内に触媒の性能が減少する問題点を解決するためのことに目的がある。
【0013】
本発明の目的は低温での触媒活性を高めて同時に熱的安定性を強化して高温での耐久性を向上させた触媒提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した通りのような本発明の目的を達成して、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための、本発明の特徴的な構成は下記の通りである。
【0015】
本発明の実施例に従うと、塩化水素を酸化させ塩素を製造する方法に使用される触媒にあって、担体及び活性成分に異種物質を含む塩化水素酸化反応用触媒が提供される。
【0016】
本発明の実施例に従うと、塩化水素を酸化させ塩素を製造する方法に使用される触媒にあって、前記触媒は乾燥後触媒総100重量部に対して、異種物質0.5~10重量部、活性成分に酸化ルテニウム1~10重量部及び担体80~99重量部を含むことができる。
【0017】
前記異種物質はセリア(ceria)、アルミナ及びシリカから選択される少なくとも1種以上を含むことができるし、好ましくはセリアが含められる。但し、これに制限されない。
又、前記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。
【0018】
本発明の実施例に従うと、前記担体は5~300m/gであることを特徴とする。好ましくは5~100m/gが提供されるし、これに制限されない。
【0019】
本発明の実施例に従うと、前記触媒は粉末、粒子及びペレット形態から選択される少なくとも一つ以上でありえるし、好ましくはペレットの形態が提供される。
【0020】
本発明の実施例に従うと、(a)段階の異種物質から選択される少なくとも一つ以上の前駆体で溶液を製造してアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも一つ以上の担体に担持する第1担持段階;(b)第1担持段階以後乾燥及び焼成して室温で冷却して固形分を得る段階;(c)ルテニウム前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して担持する第2担持段階;(d)前記第2担持段階以後前記固形分を投入する段階及び(e)2次乾燥及び焼成する段階を含む塩化水素酸化反応用触媒の製造方法が提供される。
【0021】
この場合、2次乾燥及び焼成前全体溶液100重量部に対して、前記(a)段階で異種物質はセリウム前駆体、アルミニウム前駆体及びシリカ前駆体から選択される少なくとも1種以上を0.001~10重量部を含められるし、前記担持はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0022】
又、2次乾燥及び焼成前全体溶液100重量部に対して、前記(c)段階でルテニウム前駆体は0.001~10重量部を含むことができる。
【0023】
前記(a)段階で溶媒の場合物、アルコール及びニトリルからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含めるし、好ましくは蒸留水、超純水又はモノアルコールでありえるし、これに制限されない。
【0024】
本発明の実施例に従うと、前記(b)及び(e)段階で乾燥は室温~120℃の空気雰囲気で3~5時間行われるし、前記(e)段階でルテニウム前駆体は2次乾燥及び焼成前全体100重量部に対して、0.1~10重量部を含むことができる。乾燥段階以後焼成段階が行われるし、前記(b)及び(e)段階の焼成は300~400℃で2~4時間の間行った後、室温まで冷却させることを特徴とする。
【0025】
本発明の実施例に従うと、前記触媒の存在下で塩化水素の酸化を通じた塩素の製造方法が提供される。この時塩素の製造反応温度は200~450℃が提供できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に従った触媒は低温での触媒活性を高めて同時に熱的安定性を強化して高温での熱的安定性等の耐久性を向上させた触媒提供する効果を提供する。従って、熱的安定性を確保して高温でも長時間触媒の性能が維持される効果を提供する。
【0027】
本発明に従った製造方法で製造された触媒は塩化水素を酸化させ塩素を製造することに提供して塩素転換率を向上させる効果を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
後述する本発明に対した詳細な説明は、本発明が実施できる特定実施例を例示として参照する。これら実施例は当業者が本発明を実施できるのに十分であるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに違うが相互排除的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定形象、構造及び特性は一実施例に関して本発明の精神及び範囲を外れないながら他の実施例で具現できる。又、それぞれの開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲を外れないながら変更できることが理解されるべきである。従って、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするのではないし、本発明の範囲は、適切に説明されるなら、その請求項たちが主張することと均等な全ての範囲と共に添付された請求項によりだけ限定される。
【0029】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が本発明を容易に実施できるようにするため、本発明の好ましい実施例たちに関して詳細に説明することにする。
【0030】
本発明の実施例に従うと、塩化水素を酸化させ塩素を製造する方法に使用される触媒として、担体及び活性成分に異種物質を含む塩化水素酸化反応用触媒が提供される。この場合、前記触媒は乾燥後触媒総100重量部に対して、異種物質0.5~10重量部、活性成分として酸化ルテニウム1~10重量部及び担体80~99重量部を含むことができる。
【0031】
本発明の実施例に従うと、前記異種物質はセリア、アルミナ及びシリカから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。
【0032】
前記触媒は乾燥後触媒総100重量部に対して前記活性成分として酸化ルテニウム1~10重量部を含め、前記異種物質を0.5~10重量部を含む。触媒前駆体を担持、乾燥、焼成の段階を経た後、最終的に酸化ルテニウムの製造ができる。この場合酸化ルテニウム含有量が2.0重量部である時、異種物質含量が0.5~10.0重量部を含められるし、好ましくは酸化ルテニウム含有量が2.0重量部である時、異種物質含量は0.5~10.0重量部でありえる。この時、異種物質で好ましくセリアを提供する。
【0033】
セリアは酸化セリウムを意味するし、酸化セリウムは比較的高温でも安定性が確保を提供する。酸化セリウムを含んだ反応の場合平均温度は200~600℃の範囲で、好ましくは250~550℃で熱的安定性が提供される。但し、600℃を超過する場合は塩素製造の時塩素転換率で不利さがあって、200℃未満の場合は触媒活性が低下されるので、前記範囲で反応を調節するべき必要がある。
【0034】
又、前記異種物質含量が0.5~10.0重量部を含むことができる。前記範囲を超過すると触媒活性低下効果があり、前記範囲未満であれば熱に対した安定確保にあって足りない効果を提供する。
【0035】
本発明の実施例に従うと、前記ルテニウム前駆体は錯塩の形態で存在ができるし、ハロゲン化物、硝酸塩、ハロゲノ酸塩、酸素酸塩(oxoate)、オキシハロゲン化物、塩化物等のような金属塩たちを含むことができる。例えば、RuCl及びRuBr、Ru(NO)(NO、KRuCl、KRuCl、KRuO、NaRuO、RuOCl、RuOCl、RuOCl、等を含むことができるし、これに制限されない。
【0036】
本発明の実施例に従うと、ルテニウム前駆体は好ましくハロゲン化物と硝酸塩が提供されるし、最も好ましくは塩化物を含む塩化ルテニウムとルテニウム硝酸塩のニトロシル硝酸ルテニウムが提供される。ルテニウム化合物に場合によってルテニウム化合物の水化物が提供できるし、前記ルテニウム化合物から選択される2種以上が提供できる。
【0037】
ルテニウム前駆体は粉末形態あるいは、溶液形態で利用して溶媒中に混合できるし、溶媒には固体担体が懸濁され沈殿体を形成して固体担体に沈積できる。前記の担持は含浸又は浸漬を含めるし、この場合温度は通常的に適用される0~100℃、好ましくは0~50℃でありその圧力は通常的に適用される0.1~1MPa、好ましくは大気圧である。担持は空気雰囲気下や窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素のような不活性ガス雰囲気下で遂行できるしこの時水蒸気を含むことができる。好ましくは前記不活性ガス雰囲気下で遂行することが提供されるがこれに限定されるのではない。
最後に、担体は80~99重量部を含むことができる。
【0038】
本発明の実施例に従うと、前記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも1種以上を含む塩化水素酸化反応用触媒を提供する。好ましくはチタニア担体を提供できる。チタニア担体はアナターゼ(anatase)型チタニア又はルチル型チタニア、非晶質チタニア又はこれらの混合物が使用できる。
【0039】
又、チタニア担体はアルミナ、ジルコニア又は酸化ニオビウムのような酸化物を含有できる。本発明の実施例に従うと、好ましくはルチル型チタニアが提供されるし、これに制限されない。チタニア担体の比表面積は通常的に使用されるBET法によって測定できるし、比表面積は5~300m/g、好ましくは5~100m/gが提供される。比表面積が前記範囲を超過すると酸化ルテニウムの熱安定性確保に難しさがありえるし、前記範囲未満であれば高分散が難しいところ、触媒の活性も又低くなる問題がある。
【0040】
アルミニウム担体の場合には好ましくはアルファ-アルミナが提供される。これは低いBET比表面積を持つので、他の不純物たちの吸収は起きにくい点から好ましい。この場合比表面積は10~500m/g、好ましくは20~350m/gが提供される。
【0041】
ジルコニア担体の場合には0.05~10μm範囲の細孔を持つことで比表面積は前記の通りである。
【0042】
本発明の実施例に従うと、塩素製造のための塩化水素酸化反応用触媒は粉末、粒子及びペレット形態から選択される少なくとも一つ以上でありえるし、好ましくはペレット又は粉末の形態であり、最も好ましくはペレットの形態が提供される。直径は好ましくは5mm以下である。成形体の直径が大き過ぎると、触媒の活性度で不利さを提供できる。
【0043】
本発明の実施例に従うと、塩化水素酸化反応用触媒は(a)異種物質から選択される少なくとも一つ以上の前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して、アルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも一つ以上の担体に担持する第1担持段階;(b)第1担持段階以後乾燥及び焼成して室温で冷却して固形分を得る段階;(c)ルテニウム前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して追加に担持させる第2担持段階;(d)前記第2担持段階以後前記固形分を投入する段階及び(e)2次乾燥及び焼成する段階を含む塩化水素酸化反応用触媒の製造方法が提供される。
【0044】
この時、前記異種物質はセリウム前駆体、アルミニウム前駆体及びシリカ前駆体から選択される少なくとも1種以上を含めるし、2次乾燥及び焼成前全体溶液100重量部に対して、0.001~10重量部を含むことができる。
【0045】
セリウム前駆体は錯塩の形態で存在ができるし、セリウム化合物、特に硝酸セリウム、酢酸セリウム又は塩化セリウム等のような金属塩たちを含むことができる。好ましくは硝酸セリウムが提供がされるし、これに制限されない。
【0046】
本発明の実施例に従うと、前記(c)段階でルテニウム前駆体は2次乾燥及び焼成前全体溶液100重量部に対して、0.001~10重量部を含むことができるし、これに対しては前記前述した内容と同一であるところ、省略することにする。
【0047】
本発明の他の実施例に従うと、塩化水素酸化反応用触媒は(i)異種物質から選択される少なくとも一つ以上の前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して、アルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくとも一つ以上の担体に担持させる段階;(ii)ルテニウム前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して追加に担持させる段階;(iii)追加担持以後乾燥する段階;及び(iv)焼成する段階で製造できる。
【0048】
即ち、異種物質を担持して乾燥、焼成をした後、ルテニウム前駆体が溶媒に溶解された溶液にこれを投入して又乾燥及び焼成して触媒を製造できるし、異種物質を担持した後、ルテニウム前駆体を連続で担持した後、乾燥及び焼成する段階で製造されることもできる。換言すると、少しの順序は必要によって変形できるし、これは当業者水準で自由に変形製造が可能であることを意味する。
【0049】
触媒の製造方法で利用される溶媒は水、アルコール及びニトリルからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0050】
前記水の場合は蒸留水、イオン交換水又は超純水(DIW)のような高純度水が提供される。使用する水に不純物を含有する場合には不純物が触媒に付着して触媒の活性を低下させることができる。
【0051】
前記アルコールの場合は有機溶媒はモノアルコールでありえるし、C3以上の1次アルコールであることが提供される。好ましくはC3アルコール系有機溶媒を提供するし、好ましくは1-プロパノールを提供して、溶液の高い湿潤性(wettability)と疏水性(hydrophobicity)を活用してヒドロキシ基が存在するチタニア担体の外表面にだけルテニウム成分を担持できるし、酸化チタン成形担体又は粉末担体表面に担持されるルテニウムの分散度を高めてあげられる効果を提供する。
【0052】
使用する溶媒の量には制限があるのではない。但し、溶媒量が多過ぎると乾燥時間が多く所要されるので、溶媒の量は当業者水準で自由に調節できることを提供する。
【0053】
前記製造方法で使用される乾燥は室温~120℃の空気条件で3~5時間進行できる。乾燥は回転及び攪拌をしながら乾燥できる。乾燥容器を振動させたり、容器内に具備された攪拌機を利用してもできるし、これに制限されない。乾燥温度は通常的に適用される室温~120℃程度が提供されるし、圧力の場合も又通常的に適用される0.1~1MPa、好ましくは大気圧が提供できる。
【0054】
本発明の実施例に従うと前記触媒の製造方法に従って、最終的に生成される触媒で全体100重量部に対して酸化ルテニウムを1~10重量部を含む。好ましくは2~5重量部を含むことができる。最終生成された酸化ルテニウムが前記1重量部範囲未満であれば触媒としての活性が足りないことがあるし、前記5重量部範囲超過すると費用的な側面で不利である。酸化ルテニウムが2重量部である時、異種物質で添加されたセリウムの場合は0.5~10重量部を含むことができる。前記の範囲で、本発明に従った塩素転換率及び熱的安定性が向上された最適の効果を提供できる。
【0055】
前記製造方法で使用される焼成は300~400℃で2~4時間の間進行ができる。その後、室温まで冷却させることが提供される。焼成温度は通常的に適用される温度として、好ましくは250~450℃が提供される。酸化性気体で例えば酸素を含む気体を挙げられる。その酸素濃度は通常的に適用される1~30用量%程度が提供される。酸素源としては一般的に空気や純粋な酸素が提供されるし、必要によって不活性ガスや水蒸気が含められる。酸化性ガスは好ましく空気が提供できるし、空気の流れ下の電気炉で約350℃で焼成を約3時間程度経た後、室温に冷却して最終的に酸化ルテニウム触媒の製造ができる。
【0056】
本発明の実施例に従うと、塩素製造のための塩化水素酸化反応用触媒で通常的にルテニウムの酸化数は4であり、二酸化ルテニウム(RuO)が提供される。但し、酸化数及び形態はこれに制限されない。
【0057】
本発明の実施例に従うと、前記塩化水素酸化反応用触媒は塩化水素を酸化させ塩素を製造することに利用される。
【0058】
本発明の実施例に従うと、前記中何れか一つの項に従った製造方法で製造された触媒の存在下で塩化水素の酸化を通じた塩素の製造方法が提供される。
【0059】
反応の方式は固定相方式又は流動床方式、気相反応等が提供されるし、好ましくは気相反応が提供される。この酸化反応は平衡反応であり高すぎる温度で遂行すると平衡転換率が下がるため、比較的低温で遂行することが好ましいし反応温度は通常100~500℃、好ましくは200~450℃であり、最も好ましくは300℃が提供される。又、反応圧力は通常0.1~5MPa程度である。酸素源としては空気を使用してもよいし、純粋な酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論的なモル量は1/4モルであるが通常的としては0.1~10倍の酸素が提供される。又、塩化水素の供給速度は触媒1L当たりガス供給速度(L/h;0℃、1気圧換算)、即ち、GHSVで表せ、通常10~20000h-1程度である。但し、この時投入される触媒の量は主に温度、触媒の量及び製造される塩素生成物の量によって少しは変形はできる。
【0060】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用を更に詳細に説明することにする。但し、これは本発明の好ましい例示と提示されたことでありどのような意味でもこれによって本発明が制限されることと解釈されてはならない。
ここに記載されていない内容はこの技術分野で熟練された者であれば十分に技術的に類推できることなのでその説明を省略することにする。
【0061】
実施例1
硝酸セリウム水化物0.5gをDIW5.0gに溶解して製造した溶液をチタニア粉末10.0gに含浸させた後、100℃空気中で4時間の間乾燥させた。乾燥された固体を空気流れ下の電気炉で350℃焼成(calcination)を3時間経た後、徐々に室温まで冷却させた。このように得られた固形分を硝酸溶液に溶けているニトロシル硝酸ルテニウム1.08gをDIW320.0gに溶解して製造した溶液に入れて室温で5時間の間攪拌した後回転式蒸発器(回転蒸発濃縮器、Rotary evaporator)を利用して乾燥させた。乾燥された固体を空気流れ下の電気炉で350℃焼成(calcination)を3時間経た後、徐々に室温まで冷却させ最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0重量部、セリア含量が2.0重量部であるRuO-CeO/TiO触媒を収得した。
【0062】
実施例2
硝酸セリウム水化物0.13gを使用して実施例1と同一な方法で触媒を製造して最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0重量部、セリア含量が0.5重量部であるRuO-CeO/TiO触媒を収得した。
【0063】
実施例3
硝酸セリウム水化物0.25gを使用して実施例1と同一な方法で触媒を製造して最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0重量部、セリア含量が1.0重量部であるRuO-CeO/TiO触媒を収得した。
【0064】
実施例4
硝酸セリウム水化物1.25gを使用して実施例1と同一な方法で触媒を製造して最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0重量部、セリア含量が5.0重量部であるRuO-CeO/TiO触媒を収得した。
【0065】
比較例1
塩化ルテニウム水化物0.4gをDIW5.0gに溶解して製造した溶液をチタニア粉末(SAKAI社)10.0gに含浸させた後、100℃空気中で4時間の間乾燥させた。乾燥された固体を空気流れ下の電気炉で350℃焼成(calcination)を3時間経た後、徐々に室温まで冷却させ最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0重量部であるRuO/TiO触媒を収得した。
触媒活性評価のための実験例1と熱的安定性評価のための実験例2を下記のような条件で実施した。
【0066】
実験例1-触媒の活性評価
製造された触媒1.35gをチタニア粉末6.75gで希釈させてニッケル反応管(外径1inchチューブ)に充填した。前記反応管で、触媒層を300℃の温度で加熱して常圧下に塩化水素及び酸素気体をそれぞれ100mL/minの速度で供給して反応を実行した。反応開始2時間後の時点で、反応管出口の気体を15%沃化カリウム水溶液に流通させることでサンプリングを10分間実行した。続いてヨード滴定法で塩素の生成量を測定して下記数学式によって塩化水素の空時収得量(space time yield (STY))を計算した。実験例1の結果は下記の[表1]に表せた。
[数学式1]
【0067】
実験例2-熱的安定性評価
実験例1の条件で24時間反応を実行した後塩素生成量を測定して塩化水素転換率A計算した。以後触媒層を380℃の温度で加熱して同一な流量条件下に24時間の間反応を実行して又触媒層の温度を300℃に下げた後同一な流量条件下で2時間反応後塩素生成量を測定して塩化水素転換率Bを計算した。転換率Aと転換率Bの比を利用して下記数式のように劣化度を計算して触媒の熱的安定性を比較した。結果を[表2]に表せた。
[数学式2]
【0068】
【表1】
【表2】
【0069】
酸化セリウム添加量によって既存の酸化ルテニウム触媒に比べて優れた活性及び耐久性を持つことができることを[表1]及び[表2]の結果値で確認ができる。
【0070】
特に2重量部RuO-0.5~1重量部Ceo/TiOの範囲で触媒活性が同一な水準であったり高くなったことを確認できるし、延いて2重量部RuO-2~5重量部Ceo/TiOの範囲で劣化度が[比較例]対比向上されることを確認できる。
【0071】
従って、本発明に従った触媒は異種金属の含量によって低温での触媒活性を高めて、熱的安定性を強化して高温での熱的安定性等の耐久性を向上させた触媒提供する効果を確認できる。従って、熱的安定性を確保して高温でも長時間触媒の性能が維持可能な点で向上された耐久性を確認できる。
【0072】
以上で本発明が具体的な構成要素等のような特定事項たちと限定された実施例によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたことだけで、本発明が前記実施例たちに限定されるのではないし、本発明が属する技術分野で通常的な知識を持つ者であればこのような記載から多様な修正及び変形を図ることができる。
【0073】
従って、本発明の思想は前記説明された実施例に局限されて決められてはならないし、後述する特許請求範囲だけではなくこの特許請求範囲と均等に又は等価的に変形された全てのものどもは本発明の思想の範疇に属すると言うべきである。