(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】風量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20221007BHJP
G01F 1/10 20060101ALI20221007BHJP
G01F 15/06 20220101ALI20221007BHJP
G01P 5/00 20060101ALN20221007BHJP
G01P 5/06 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
G01F1/00 F
G01F1/00 K
G01F1/10
G01F15/06
G01P5/00 F
G01P5/06 J
(21)【出願番号】P 2018147208
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508361690
【氏名又は名称】株式会社イージーサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-138226(JP,U)
【文献】国際公開第2018/052588(WO,A1)
【文献】特開2001-116596(JP,A)
【文献】実開昭63-010418(JP,U)
【文献】特開平01-302113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給排気口とは別体であって、
給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付部と、
給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付部と、
給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を保持する風量演算式保持部と、
入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、複数の測定ポイントの風速測定値と、保持されている風量演算式と、から、給排気口の風量を演算する給排気口風量演算部と、
演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力部と、
給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持部と、
給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する測定ポイント位置出力部と、を有し、
測定ポイント位置出力部は、
給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示手段
を有する風量測定装置。
【請求項2】
給排気口風量出力部は、給排気口の風量を測定面内分布で出力する風量測定面内分布出力手段を有する請求項1に記載の風量測定装置。
【請求項3】
風速測定値入力受付部にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力部をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の風量測定装置。
【請求項4】
風速測定値入力受付部は、
風車を備えた風車手段と、
風車手段の風車回転速度に応じて風速を算出する風速算出手段と、
算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定手段と、
を有する請求項1から請求項3のいずれか一に記載の風量測定装置。
【請求項5】
給排気口とは別体である風量測定装置を用いた風量測定方法であって、
給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップと、
給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップと、
「入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズ」と、「複数の測定ポイントの風速測定値」と、「給排気口の縦サイズと横サイズ及び所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値とに基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式」と、を用いて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップと、
演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップと、
給排気口サイズ入力受付ステップで入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持ステップと
、
給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力するステップであって、
給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示サブステップを有する測定ポイント位置出力ステップと、
を有する風量測定方法。
【請求項6】
給排気口とは別体である風量測定装置を用いた風量測定方法のステップである、
給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップと、
給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップと、
「入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズ」と、「複数の測定ポイントの風速測定値」と、「給排気口の縦サイズと横サイズ及び所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値とに基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式」と、を用いて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップと、
演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップと、
給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持ステップと
、
給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力するステップであって、
給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示サブステップを有する測定ポイント位置出力ステップと、
を計算機に読取り実行可能に記述した風量測定プログラム。
【請求項7】
給排気口サイズ入力受付部に代えて又は加えて、円形の給排気口の直径又は半径のサイズの入力を受付ける円形給排気口サイズ入力受付部を有する請求項1に記載の風量測定装置。
【請求項8】
測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径に基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための円形測定ポイント取得ルールを保持する円形測定ポイント取得ルール保持部と、
測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径と、保持されている円形測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する円形測定ポイント位置出力部と、
をさらに有する
請求項7に記載の風量測定装置。
【請求項9】
給排気口風量出力部は、給排気口の風量を測定面内分布で出力する風量測定面内分布出力手段を有する
請求項7又は請求項8に記載の風量測定装置。
【請求項10】
風速測定値入力受付部にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力部をさらに有する
請求項7から請求項9のいずれか一に記載の風量測定装置。
【請求項11】
風速測定値入力受付部は、
風車を備えた風車手段と、
風車手段の風車回転速度に応じて風速を算出する風速算出手段と、
算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定手段と、
を有する
請求項7から請求項10のいずれか一に記載の風量測定装置。
【請求項12】
少なくとも前記風車手段は、人が支持して風車を天井面程度の高さに位置させる支持棒を有する
請求項11に記載の風量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風量測定装置に関し、特に給排気口の実際の風量を精度よく測定するのに好適な風量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調設備のメンテナンス、機器調整のため、空調設備のダクト内や給排気口付近の風量測定を行う風量測定装置が使用されている。ビル管理法などでは商業施設等の室内の空気を循環させる条件が定められており、所定時間内に室内の空気を完全に入れ替える必要性が規定されている。従ってビルの管理者は、室内に導入(給気)される新鮮な空気の風量、室内から導出(排気)される古い空気の風量を測定し、法律で定められている循環が正しく行われているか検査しなければならない。例えば空気を送るファンが古くなってホコリが駆動部分に堆積するなどするとファンが正しい回転を維持できなくなり、室内に導入される新鮮な空気の量が基準以下になったり、台風の後に、ビニールなどが給気口に詰まってファンの回転にもかかわらず基準以下の空気循環量となったりする。また、ファンの異常などによって室内が負圧になると、下水道や、トイレなどの配管から臭い空気が室内に導入されるなどの問題も発生する。
【0003】
空調設備内のダクト内に備えた風量測定装置の例としては、複数台の風速計をダクト内面に当接して、複数台の風速計から風速を検知して出力し、演算ユニットでその出力データに基づいて演算して風量を求めるものが挙げられる(特許文献1)。
【0004】
また、給排気口にフードを設置して風量を測定する装置の例としては、給排気口に接触させて空気を排出し又は流入させるフードを備えた風量計本体の内部に、前段と後段の2段の縦列配置の差圧検出部を設け、差圧検出部の検出結果(差圧)に基づいて風速を測定し、演算部がこれに断面積を乗じて風量を測定する風量計が挙げられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-221667号公報
【文献】特開2017-040620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、ダクト内の風量は測定できるが、実際の給排気口の風量が測定できないという課題があった。
【0007】
上記特許文献2では、給排気口にフードを接触させて風量を測定するので、そのフードが抵抗となり、給排気口の実際の風量との間に誤差が出るという課題があった。さらに、大型の商業施設等では、給排気口数が1000を超えるような場合もあり、ダクト内に装置を設置するとすれば商業施設の建築コストの大幅な上昇を招く。さらに、フードを利用する場合でもフードの抵抗の問題の他に多数の給排気口のサイズが同一である場合はまれで、多数種類のフードのものを用意しなければならず、測定に大きなコストがかかるという問題もあった。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で給排気口の実際の風量を測定可能とする風量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明において、以下の風量測定装置を提供する。すなわち、第一の発明として、給排気口とは別体であって、給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付部と、給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付部と、給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を保持する風量演算式保持部と、入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、複数の測定ポイントの風速測定値と、保持されている風量演算式と、から、給排気口の風量を演算する給排気口風量演算部と、演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力部と、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持部と、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する測定ポイント位置出力部と、を有し、測定ポイント位置出力部は、給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示手段を有する風量測定装置を提供する(請求項1対応)。
【0010】
前記特徴に加え、給排気口風量出力部は、給排気口の風量を測定面内分布で出力する風量測定面内分布出力手段をさらに有する(請求項2対応)。
【0011】
前記特徴に加え、風速測定値入力受付部にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力部をさらに有する(請求項3対応)。
【0012】
前記特徴に加え、風速測定値入力受付部は、風車を備えた風車手段と、風車手段の風車回転速度に応じて風速を算出する風速算出手段と、算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定手段と、を有する(請求項4対応)。
【0013】
第二の発明として、給排気口とは別体である風量測定装置を用いた風量測定方法であって、給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップと、給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップと、「入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズ」と、「複数の測定ポイントの風速測定値」と、「給排気口の縦サイズと横サイズ及び所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値とに基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式」と、を用いて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップと、演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップと、給排気口サイズ入力受付ステップで入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持ステップと、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力するステップであって、給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示サブステップを有する測定ポイント位置出力ステップと、を有する風量測定方法を提供する(請求項5対応)。
【0014】
第三の発明として、給排気口とは別体である風量測定装置を用いた風量測定方法のステップである、給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップと、給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップと、「入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズ」と、「複数の測定ポイントの風速測定値」と、「給排気口の縦サイズと横サイズ及び所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値とに基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式」と、を用いて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップと、演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップと、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持ステップと、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力するステップであって、給排気口をデジタルカメラで画像を取り込み、測定者の端末画面に給排気口画像上に測定ポイントを重畳して表示させる測定ポイント重畳表示サブステップを有する測定ポイント位置出力ステップと、を計算機に読取り実行可能に記述した風量測定プログラムを提供する(請求項6対応)。
【0015】
給排気口サイズ入力受付部に代えて又は加えて、円形の給排気口の直径又は半径のサイズの入力を受付ける円形給排気口サイズ入力受付部を有する風量測定装置を提供する(請求項7対応)。
【0016】
前記特徴に加え、測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径に基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための円形測定ポイント取得ルールを保持する円形測定ポイント取得ルール保持部と、測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径と、保持されている円形測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する円形測定ポイント位置出力部と、をさらに有する(請求項8対応)。
【0017】
前記特徴に加え、測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径に基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための円形測定ポイント取得ルールを保持する円形測定ポイント取得ルール保持部と、測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径と、保持されている円形測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する円形測定ポイント位置出力部と、をさらに有する(請求項9対応)。
【0018】
前記特徴に加え、風速測定値入力受付部にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力部をさらに有する(請求項10対応)。
【0019】
前記特徴に加え、風速測定値入力受付部は、風車を備えた風車手段と、風車手段の風車回転速度に応じて風速を算出する風速算出手段と、算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定手段と、を有する(請求項11対応)。
【0020】
前記特徴に加え、少なくとも前記風車手段は、人が支持して風車を天井面程度の高さに位置させる支持棒を有する(請求項12対応)。
【発明の効果】
【0021】
上述した構成によれば、簡単な構成で給排気口の実際の風量を測定可能とする風量測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】実施形態1の風量測定装置の複数測定を説明するための図
【
図3】実施形態1の風量測定装置の9点測定を説明するための図
【
図5】実施形態1の風量測定装置の給排気口サイズ入力画面例を示す図
【
図6】実施形態1の風量測定装置の給排気口風量出力画面例を示す図
【
図7】実施形態1の風量測定装置のハードウェア構成図
【
図8】実施形態1の風量測定装置の処理フローチャート
【
図10】実施形態2の風量測定装置の測定ポイント取得ルールの例を示す図
【
図11】実施形態2の風量測定装置の入力インタフェース例を示す図
【
図12】実施形態2の風量測定装置のハードウェア構成図
【
図13】実施形態2の風量測定装置の処理フローチャート
【
図14】実施形態3の風量測定装置の機能ブロック図
【
図15】実施形態3の風量測定装置のハードウェア構成図
【
図16】実施形態3の風量測定装置の処理フローチャート
【
図17】実施形態4の風量測定装置の機能ブロック図
【
図18】実施形態4の風量測定装置のハードウェア構成図
【
図19】実施形態4の風量測定装置の処理フローチャート
【
図20】実施形態5の風量測定装置の単独タイプの斜視図
【
図21】実施形態5の風量測定装置の機能ブロック図
【
図22】実施形態5の風量測定装置のハードウェア構成図
【
図23】実施形態5の風量測定装置における風速測定値算出処理フローチャート
【
図24】実施形態1の風量演算シミュレーションを説明するための図
【符号の説明】
【0023】
0100、0200:風量測定装置、0101、0201:天井給排気口、0102、0202:天井、0103、0203:支持棒、0104、0204:測定者、01050205:端末、0301:吹き出し口、
0400:風量測定装置、0401:給排気口サイズ入力部、0402:風速測定値入力受付部、0403:風量演算式保持部、0404:給排気口風量演算部、0405:給排気口風量出力部、
0801:風量測定開始判断ステップ、0802:給排気口サイズ入力受付ステップ、0803:風速測定値入力受付ステップ、0804:入力受付終了判断ステップ、0805:風量演算式取得ステップ、0806:風量演算ステップ、0807:演算終了判断ステップ、0808:給排気口風量出力ステップ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0025】
なお、以下に記載する本装置の機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、システムバス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、例えば風速センサ、風車器、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース(WIFI、ブルートゥース(登録商標)等)、ディスプレイインタフェース、プリンタインタフェース、マウスインタフェース、キーボードインタフェース、USBインタフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。また、本装置は一つのハードウェアやソフトウェアにより構成される場合に限られず、複数のハードウェアやソフトウェアの組み合わせによって構成されてもよく、ネットワークを介在したサーバ装置を含んで構成されてもよい。
【0026】
また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
<実施形態1>
<概要>
【0027】
図1に示すように、本実施形態は、小型の風量測定装置0100を天井の給排気口0101に押し付け又は近づけて風量測定を行うタイプの形態を採用している。
図2に示すように、風の吹き出しの風量を測定する場合、空調設備(図示せず)から給気された風が、天井0202の内部に設置されたダクト0206を介して流れ(
図2中、→(矢印))、給排気口0201から吹き出されているとする(
図2中、給排気口から出ている複数の矢印)。そのとき、測定者0204が端末0205を保持し、支持棒0203の先端に取り付けられた風量測定装置0200の風車部分を天井の給排気口0201近づけて吹き出し風量の測定を行う。例えば、
図3に示すように、給排気口の吹き出し口0301を9分割し、9点測定を行う。
<実施形態1 全体の構成>
【0028】
図4に示すように本実施形態1は、給排気口サイズ入力受付部0401と、風速測定値入力受付部0402と、風量演算式保持部0403と、給排気口風量演算部0404と、給排気口風量出力部0405と、を有する風量測定装置0400である。以下に各構成について説明する。
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 給排気口サイズ入力受付部>
【0029】
「給排気口サイズ入力受付部」0401は給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける。
図1に示すような測定環境において、測定者0104が端末0105を保持し、支持棒0103の先端に取り付けられた風量測定装置0100の風車部分を天井の給排気口0101へ押し付けられているとする。風車部分と端末0105とは有線により接続されていてもよいし、無線接続でもよい。給排気口の形状は、縦サイズと横サイズが同じ正方形、縦サイズと横サイズが異なる長方形でもよいし、円形でもよい。端末ではディスプレイが付属しており、直ちにその測定給排気口の風量が確認できるように構成していることが好ましく、また予め給排気口の適性風量が判明している場合には、その適性風量を端末内に保持しておくことで適正な風量を保っているかの判断結果が出力されるように構成されていてもよい。例えば適性風量でない場合には警告を表示したり、警告音を出力するような構成とすることが考えられる。
【0030】
さらに、端末は通信機能を有しており、室内のLANや公衆ネットワークを介して測定結果を直ちに出力するように構成されていてもよい。このデータは、ネットワークを介してサーバやコンピュータなどに送信され、サーバやコンピュータでさらに詳細な分析を行い、その分析結果を再度端末で受信してその分析結果を表示するように構成してもよい。給排気口の風量分布などをこのようにして端末で表示させるように構成してもよい。また、端末や前記コンピュータやサーバに給排気のダクト構成を入力して保持させておき、各給排気口の給排気量(風量)からダクトのどの部分に問題があるかなどをシミュレーションして出力するように構成してもよい。例えば、ダクトの一部の配管が外れかけている、ダクトの一部に物(モノ)が詰まっているなどを推測可能とすることが考えられる。また、端末に位置検出装置、例えばGPSや日本版GPS(みちびき)、あるいは室内測位システムなどの利用機能を設け、室内のダクト配管、給排気口設置図面に基づいて、測定している給排気口や、測定している室内位置を自動で取得できるようにし、風量の測定結果をそれらと関連付けて自動で蓄積、送信するように構成することも考えられる。大きな商業施設の場合には、一人で全給排気口の測定をすることは困難であり、グループでそれぞれの持ち分を定めて(給排気口、ダクトの設計図面に基づいて)、測定結果を統合し、前記ダクトの流通風量のシミュレーションなどに利用することも考えられる。
【0031】
端末0105の給排気口サイズ入力画面0500の例を
図5に示す。以下では、給排気口のサイズを、縦サイズが30cmで、横サイズが30cmの正方形として説明する。給排気口の形状は、
図5に示すように、給排気口入力画面の真ん中には、給排気口の画像イメージ0502が表示され、入力欄0501には、測定者により例えば「30」(cm)などの数字が入力され、入力欄0503にも例えば「30」(cm)などの数字が入力される。入力が完了した場合は入力完了ボタン0505を押下すると完了する。また、入力が間違えた場合は測定者により再入力ボタン0504を押下することにより、入力データがリセットされ、再度入力受付状態となる。測定者が戻るボタン0506を押下すると、前画面に戻ることができる。また手入力でなく、写真撮影に基づいて自動的に給排気口のサイズが入力されるように構成してもよい。例えば、自動車の駐車の際に自動車を上から見た映像を作り出すのと同じような手法を利用することができる。具体的には給排気口までの距離と撮影された映像に基づいて、画像を真下から観察した場合の映像をスケール付きで算出することができ、これによって給排気口のサイズを割り出すことができる。
<実施形態1 風速測定値入力受付部>
【0032】
「風速測定値入力受付部」0402は、給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける。風速の測定箇所は、風車部分が押し当てられた箇所の風速測定値を受け付ける。測定に際しては給排気口と風車部分(風車以外の風力測定センサを利用することも可能である。例えば、一定に先端を加熱可能な金属板の根本の温度がどれくらいになるかによって風量(風速)を測定することもできる。)が平行に配置することが好ましい。非平行に配置するとすき間から風が漏れて正確な測定ができないからである。複数の測定ポイントの測定を行い、風速測定値が給排気風量演算部0404に送られる。なお、風速測定値入力受付部となっているが、風速そのものでなく、風車の羽根の回転速度、直接的にセンサで測定する場合の風量などを入力することも実体的には同様であり、この構成に含まれるものとする。
<実施形態1 風量演算式保持部>
【0033】
「風量演算式保持部」0403は、給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を保持する。給排気口の形状とサイズ情報の組合せと風速から風量を計算する風量演算式が保持されている。例えば、
図24(a)に示すように、給排気口が正方形で9分割し測定ポイントが(1)、(2)、(3)、(4)であるとする。測定ポイント(1)、(2)、(3)、(4)の風速測定値が得られると、風速と、給排気口に対する測定ポイント(測定面内)とに基づいて給排気口内の風量の演算(風量演算シミュレーションモデルによる)が行われ、
図24(b)に示すような風速演算結果が分布として算出される。その結果、単位時間当たりにこの給排気口を通過する風量が積算値として算出できるので、
図24(c)に示すような全体の単位時間当たり(毎分、毎秒など)の風量が測定できるようになる。風量演算シミュレーションモデルは、給排気口のダクトの形状によって風量が変化するので、測定ポイントによっても給排気口の真ん中と側壁などで風量の強弱が出る。
図24(b)の例では、給排気口の真ん中のエリアは風量が「強」、その周辺に行くにしたがって、風量が「中」、「弱」となっている。
<実施形態1 給排気口風量演算部>
【0034】
「給排気口風量演算部」0404は、入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、複数の測定ポイントの風速測定値と、保持されている風量演算式と、から、給排気口の風量を演算する。風量演算式は、給排気口のサイズ(縦横比、形状(正方形、長方形、円形、ひし形、台形など))に応じて定められた測定ポイントの風速を入力することによって、給排気口全体の風速分布を推定し、その推定結果を用いて給排気口の単位時間当たり、ないしは任意時間当たりの風量を演算する。従って、風量演算式は、給排気口の形状や測定ポイントに応じて異なる演算式である。この演算は例えば、有限要素法、境界要素法、などに基づいて給排気口面(測定面)の風速をシミュレーションすることで実行される。同じ形状、同じ大きさの給排気口について、複数の風量演算式を準備してもよい。複数準備する意図は、十分な作業時間がある場合には測定ポイントを増やして、測定精度を向上させる余地を残すためである。従って、風量演算式ごとに測定精度を付加情報として表示したり案内することが考えられ、測定精度をキーとして風量演算式を呼出し、呼び出した風量演算式に従って測定ポイントを指示するように構成することもできる。
<実施形態1 給排気口風量出力部>
【0035】
「給排気口風量出力部」0405は、演算された給排気口の風量を出力する。給排気口風量演算部0404により風量が演算されると、
図6に示すように測定者の端末画面0600に給排気口の風量分布0601と各エリアL1、L2、L3、L4のそれぞれの風量測定結果0602が表示される。
図6の例では、トータル(合計)40000cc/secとなっている。測定結果を確認した場合は「OK」ボタン0605を押下すると測定完了となる。また、測定が失敗したなどの場合は測定者により「戻る」ボタン0604を押下することにより、入力データがリセットされ、再測定の入力受付状態となる。また、測定者が「次へ」ボタン0606を押下すると、測定結果の詳細データの表示などができるように構成してもよい。また風量出力部0405は、出力された値の信頼度を表示するように構成してもよい。さらに、出力された風量を一部屋の給排気口を含むレイアウトを入力することによって、一部屋内での空気の流動分布を示すような後処理に引き渡すことも考えられる。空気の流動分布とは天気予報の風の流れの部屋版のようなもので、空気の流通が良い位置に作業者のデスクを配置するなどに利用することができる。
<実施形態1 作用:ハードウェア的構成>
【0036】
図7に示すように、風量測定装置の計算機のハードウェア構成は、CPU0701と、ROM、ハードディスク、DVD-ROM、CD-ROM等の不揮発性メモリ0702と、主メモリ0703と、インタフェース0704とから構成されている。不揮発性メモリ0702には、給排気口サイズ入力プログラム、風速測定値入力プログラム、風量演算式保持プログラム、給排気口風量演算プログラム、給排気口風量出力プログラム、等のプログラムが格納されている。データとしては、給排気口サイズ情報、風速測定値入力情報、給排気口風量演算情報、給排気口風量出力情報などがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ0703の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。また、インタフェース0704には、ディスプレイインタフェース0705、プリンタインタフェース0706、マウスインタフェース0707、キーボードインタフェース0708、USBインタフェース0709、風速センサ0710などのインタフェースを備えている。無線接続の場合は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インタフェースを備えていてもよい。また、風量測定装置は携帯可能な構成を有しており、測定者が測定したデータをパソコン、タブレットPC、ディスクトップPC、ノートPCなどに取り込んで空調設備の分析を行うようにしてもよい。
<実施形態1 処理の流れ>
【0037】
図4に示すように、このような風力測定装置の計算機は、予め給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を風量演算式保持部0403に保持している。
【0038】
図8にあるように、この風力測定装置の計算機の動作は、まず、風量測定開始判断ステップを実行すると(ステップ0801)、給排気口サイズ入力受付プログラムにより給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップを実行する(ステップ0802)。
【0039】
次に、受付けた給排気口サイズの情報に基づいて、さらに場合により測定者の選択する希望測定精度に基づいて適用する風量演算シミュレーションモデルが決定され、風速測定値入力受付プログラムにより給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイント(測定面内)における風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップを実行する(ステップ0803)。
【0040】
処理ステップ0803をすべての測定ポイントについて終了すると(ステップ0804)、有限要素法や境界要素法によって測定面の全体の風速分布をシミュレーション可能となる。風速のシミュレーションが可能となった段階で、風量のシミュレーションも可能となる。給排気口サイズ情報に基づいて適用される風量演算シミュレーションモデルが決定されているので、この決定され風量演算シミュレーションモデルに適合した風量演算式を風量演算式保持部0403内から取得する風量演算式取得ステップを実行する(ステップ0805)。
【0041】
次に、給排気口風量演算プログラムにより入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、複数の測定ポイントの風速測定値と、給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、取得した風量演算式と、に基づいて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップを実行する(ステップ0806)。
【0042】
風量演算が終了した場合は(ステップ0807)、給排気口風量出力プログラムにより演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップを実行する(ステップ0808)。
【0043】
このように、実施形態1によれば、簡単な構成で給排気口の実際の風量を測定可能とする風量測定装置を提供することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0044】
本実施形態2は、実施形態1を基本としつつ、風量測定装置の測定ポイントを保持している測定ポイント取得ルールに従って測定ポイント位置出力を測定者が携帯している端末のディスプレイ画面に表示させるものである。
<実施形態2 構成>
【0045】
図9に示すように本実施形態2は、給排気口サイズ入力受付部0901と、風速測定値入力受付部0902と、風量演算式保持部0903と、給排気口風量演算部0904と、給排気口風量出力部0905と、を有し、測定ポイント取得ルール保持部0906と、測定ポイント位置出力部0907と、をさらに有する風量測定装置0900である。以下では、実施形態1との共通な構成は説明を省略し、本実施形態2に特徴的な構成について説明する。
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 測定ポイント取得ルール保持部>
【0046】
「測定ポイント取得ルール保持部」0906は、給排気口サイズ入力受付部0901で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する。
【0047】
図10に示すように、測定ポイント取得ルールは、風量測定対象の空調設備から給排気される天井等の給排気口の形状によって各種ルールを設定する。例えば、
図10の測定ポイント取得ルール1001は、給排気口の形状が正方形のグループを示しており、給排気口を9分割してその交差点を測定ポイントルールとしたものである。この場合は、給排気口は正方形なので、縦サイズと横サイズは同じ長さでLとすると、L=3aとなり、測定ポイントは(1)から(4)の4点となり、番号順に測定して複数回の風速の測定を行うことにより、風量の演算が行える。また、風量測定装置の測定エリアが給排気口全面をカバーしている場合は、1回の測定で給排気口の風量演算が可能となるように構成してもよい。
【0048】
図10の測定ポイント取得ルール1002は、給排気口が正方形であるが、16分割して交差点を測定ポイントにしている例である。縦サイズと横サイズは同じ長さでLとすると、L=4aとなる。この場合は、測定ポイントを9点設置した例であり、番号順に測定して複数回の測定を行うことにより、風量測定が行える。同一の面積の給排気口であれば4ポイントの測定を行う場合に比べて9ポイントの測定を行う場合の方が給排気口面(測定面)内の風速分布をより緻密にシミュレーション可能であるので演算される風量もより精度が高いものとなる。前述のとおり、同じ形状の給排気口について複数の風量演算式を用意し、それぞれの式に応じて測定ポイントを表示するように構成すると便利である。また、汎用シミュレーション式を用意し、給排気口の形状などに応じてシミュレーション式を生成するように構成してもよい。給排気口の形状や大きさをパラメータとしてシミュレーション式を生成するように構成するのである。
【0049】
図10の測定ポイント取得ルール1003は、給排気口の形状が長方形の例を示しており、縦サイズLa=4a、横サイズLb=6bの24分割して交差点を測定ポイントルールとした例である。測定ポイントを15点設置した例であり、番号順に測定して複数回の測定を行うことにより、風量測定が行える。以上のように測定ポイントは原則として、風速分布をどのようなシミュレーションモデル言い換えれば、風量演算式で実施するかに応じて定められるものであり、給排気口のサイズ、形状が決定した段階で対応する風量演算式の変数として入力される風速のポイントとして一義的に決定されるものであり、これを測定者に対して提示する。
<実施形態2 測定ポイント位置出力部>
【0050】
測定ポイント位置出力部」0907は、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する。
【0051】
図11に示すように、給排気口1101をデジタルカメラ等で画像を取り込み、測定者1105の端末画面1102に給排気口画像1103上に測定ポイント1104を重畳して表示させる。これにより、測定者はその表示された測定ポイントに従って順番に風量測定装置の位置を移動させて測定する。あるいは、風速を測定する風車やセンサの位置を自動的に測定者の保持する端末に取得し、その位置が正しい位置に来た瞬間に風速を測定するように構成してもよい。大きな目安として測定ポイント位置を出力し、ぴったりと合った場合に瞬間的に風速を測定するというものである。これは例えばスマートフォンなどでQRコード(登録商標)などを取得する場合に利用される技術と類似のものであり、位置がぴったりとあったことを装置側で取得して、その瞬間に風速を自動取得するというものである。
<実施形態2 作用:ハードウェア的構成>
【0052】
図12に示すように、風量測定装置の計算機のハードウェア構成は、CPU1201と、ROM、ハードディスク、DVD-ROM、CD-ROM等の不揮発性メモリ1202と、主メモリ1203と、インタフェース1204と、ディスプレイインタフェース1205と、プリンタインタフェース1206と、マウスインタフェース1207、キーボードインタフェース1208、USBインタフェース1209、風速センサインタフェース1210とから構成されている。不揮発性メモリ1202には、測定ポイント取得ルール保持プログラム、測定ポイント位置出力プログラム、等のプログラムが格納されている。データとしては、測定ポイント取得ルール1,2・・、測定ポイント位置などがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ1203の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。その他のプログラムやデータは、
図7と同様であるので、説明を省略する。無線接続の場合は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インタフェースを備えていてもよい。
<実施形態2 処理の流れ>
【0053】
図9に示すように、このような風力測定装置の計算機は、予め給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を風量演算式保持部0903に保持している。
【0054】
図13に示すように、この風力測定装置の計算機の動作は、まず、風量測定開始判断ステップを実行する(ステップ1301)。ここでの判断が風量測定開始である場合には、まず、給排気口サイズ入力受付プログラムにより給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップを実行する(ステップ1302)。この給排気口サイズの情報と場合により測定者が選択する測定精度の情報とに基づいて適用する風量演算シミュレーションモデルが決定され、この決定に応じて測定ポイント位置が決定される。
【0055】
次に、測定ポイント位置出力プログラムにより給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルール(風速シミュレーションモデルに基づくもの)とに基づいて測定ポイントの位置を測定者等に対して出力する測定ポイント位置出力ステップを実行する(ステップ1303)。これらは測定者が利用可能な携帯端末等に備えられたディスプレイや、装置の風速測定センサ、風車等の位置認識システムにて位置認識をして自動的に風速を測定するためのシステムに対して出力されてもよい。
【0056】
次に、
図11に示すように測定ポイントの位置を測定者が選択すると(あるいは、測定ポイント位置に関連付けられて示されている測定順に従って)、風速測定値入力受付プログラムにより給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイント(測定面内)における風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップを実行する(ステップ1304)。
【0057】
処理ステップ1303、1304をすべての測定ポイントについて終了すると(ステップ1305)、有限要素法や境界要素法によって測定面の全体の風速分布をシミュレーション可能となる。風速のシミュレーションが可能となった段階で、風量のシミュレーションも可能となる。給排気口サイズ情報に基づいて適用される風量演算シミュレーションモデルが決定されているので、この決定された風量演算シミュレーションモデルに適合した風量演算式を風量演算式保持部0903内から取得する風量演算式取得ステップを実行する(ステップ1306)。
【0058】
次に、必要な場合には、給排気口風量演算プログラムにより入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズをすでに取得され保持されているものを取得し、さらに測定済みの複数の測定ポイントの風速測定値と、取得した風量演算式と、に基づいて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップを実行する(ステップ1307)。
【0059】
風量演算が終了した場合は(ステップ1308)、給排気口風量出力プログラムにより演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップを実行する(ステップ1309)。
【0060】
このように、実施形態2によれば、測定者が保持する端末に複数の測定ポイントの位置と測定順序が表示されるので、測定者は測定作業の短縮化を図ることができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0061】
本実施形態3は、実施形態1、2を基本としつつ、給排気口風量出力部に風量測定面内分布出力手段を設け、風量測定面内分布情報を端末の画面に表示できる構成となっている。
<実施形態3 構成>
【0062】
図14に示すように本実施形態3は、給排気口サイズ入力受付部1401と、風速測定値入力受付部1402と、風量演算式保持部1403と、給排気口風量演算部1404と、給排気口風量出力部1405と、を有し、給排気口風量出力部1405に風量測定面内分布出力手段1406をさらに有する風量測定装置1400である。以下では、実施形態1、2との共通な構成は説明を省略し、本実施形態3に特徴的な構成について説明する。
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 風量測定面内分布出力手段>
【0063】
「風量測定面内分布出力手段」1406は給排気口風量出力部1405内に設けられ、給排気口の風量を測定面内分布(情報)で出力する。風量測定面内分布(情報)とは、
図6の風量分布0601に表示された各エリアL1、L2、L3、L4の分布状態をいう。前述のように、一つの部屋の中の給排気口を部屋の所定一に設置した部屋の数学モデルを作り、各給排気口からの測定面内分布を伴った風量の出力に基づいて、部屋の内部での空気の流れをシミュレーションすることができる。これによって、新鮮な空気の流通をシミュレーションしたり、温調空気の流れをシミュレーションするなどして、部屋全体の空調環境をシミュレーションすることもできる。
【0064】
さらに発熱体を部屋内に仮想的に設置したり、時間移動させることでさらに現実に即した部屋内の空気環境をシミュレーションすることができる。これらも三次元の有限要素法、三次元の境界要素法などを利用して可能である。この部屋内部での温調空気のシミュレーション結果も三次元空間で表示するように構成することも可能であり、三次元空間内を移動する視点でもって、その視点位置の空気の様子(流速、流速方向、温度、発熱体(人やノートパソコンなど)が移動した場合の温度変化など)を観察することも可能である。また部屋に複数の給排気口がある場合には、各給排気口に連なるダクト調整(可変ダンパーによるものなど)によって部屋内の空気の流れがどのように変化するかもシミュレーション可能である。各ダクト調整によって異なる給排気口からの風量が変化することで、部屋の内部の空気の流通も変わるからである。
【0065】
これらによって温調空気の効率的な流通計画を立てることが可能となり、省エネルギーに資することもできる。また部屋の内部に設置される三次元構造物、例えばロッカー、書棚、デスク、パーテーションなどの配置もシミュレーションに加えることができ、これらの配置によってより最適な空気流通制御を実験することもできる。これらは、本装置に備わっている機能であってもよい。
<実施形態3 作用:ハードウェア的構成>
【0066】
図15に示すように、風量測定装置の計算機のハードウェア構成は、CPU1501と、ROM、ハードディスク、DVD-ROM、CD-ROM等の不揮発性メモリ1502と、主メモリ1503と、インタフェース1504と、ディスプレイインタフェース1505と、プリンタインタフェース1506と、マウスインタフェース1507、キーボードインタフェース1508、USBインタフェース1509、風速センサインタフェース1510とから構成されている。不揮発性メモリ1502には、風量測定面内分布出力サブプログラム、等のプログラムが格納されている。データとしては、風量測定面内分布情報測などがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ1503の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。その他のプログラムやデータは、
図7又は
図13と同様であるので、説明を省略する。無線接続の場合は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インタフェースを備えていてもよい。
<実施形態3 処理の流れ>
【0067】
図16に示すように、この風力測定装置の計算機の動作は、風量測定開始判断ステップ1601、給排気口サイズ入力受付ステップ1602、風速測定値入力受付ステップ1603、風速測定値入力受付終了判断ステップ1604、風量演算式取得ステップ1605、風量演算ステップ1606、演算終了判断ステップ1607までの処理は、
図8のステップ0801から0807までの処理と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
給排気口風量出力ステップ1607に風量測定面内分布サブステップ1608を有する点が第1実施形態とは異なる。風量測定面内分布サブステップ1608では、給排気口の風量を測定面内分布で出力する。
【0069】
このように、実施形態3によれば、風量測定結果を風量測定面内分布情報の形式で測定者の端末に表示できるので、測定者は給排気口の実際の風量状態を画像イメージで認識できるようになる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0070】
本実施形態4は、実施形態1~3を基本としつつ、風速測定値入力受付部1702の後段に風速測定面内分布出力部を設けた構成としている。
<実施形態4 構成>
【0071】
図17に示すように本実施形態4は、給排気口サイズ入力受付部1701と、風速測定値入力受付部1702と、風量演算式保持部1704と、給排気口風量演算部1705と、給排気口風量出力部1706と、を有し、風速測定面内分布出力部1703と、をさらに有する風量測定装置1700である。以下では、実施形態1~3との共通な構成は説明を省略し、本実施形態4に特徴的な構成について説明する。
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 風速測定面内分布出力部>
【0072】
「風速測定面内分布出力部」1703は、風速測定値入力受付部1702にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する。ここで、風速測定値の給排気口の測定面内分布とは、複数の測定ポイントにおける各測定ポイントの風速測定値を出力する場合と、各測定ポイントの風速測定値に基づいて給排気口の測定面全面の風速をシミュレーションした結果を出力する場合のいずれでもよい。これにより、給排気口のより風速を測定者は把握することができる。風量は新鮮な空気の供給量を知るために利用されるが風速はそれのみならず、人が感じる温度や、発熱体から熱を奪う効率、逆に熱を与える効率を計算したり、直感的に把握することに役立つ。
【0073】
なお、この風速測定面内分布出力は、風速測定面内分布出力部が演算式を独自に有して風速測定値入力受付手段からの情報に基づいて独自に演算した結果を出力するように構成してもよいし、あるいは給排気口風量演算部での風量の演算途中結果である風速の給排気口全面の演算結果(シミュレーション結果)を取得して出力するように構成してもよい。なお、この風速測定面内分布出力は、ディスプレイなどに出力されるのみでなく、前述のような部屋の空気の流れをシミュレーションするためにも用いられる。つまり前述のように部屋の各位置における風量のみならず、部屋の各位置における風速としてシミュレーションをするために用いることができる情報である。同じく有限要素法、境界要素法などを用いて行われる。
<実施形態4 作用:ハードウェア的構成>
【0074】
図18に示すように、風量測定装置のハードウェア構成は、CPU1801と、ROM等の不揮発性メモリ1802と、主メモリ1803と、インタフェース1804と、ディスプレイインタフェース1805と、プリンタインタフェース1806と、マウスインタフェース1807、キーボードインタフェース1808、USBインタフェース1809、風速センサインタフェース1810とから構成されている。不揮発性メモリ1802には、風速測定面内分布出力サブプログラム、等のプログラムが格納されている。データとしては、風速測定面内分布情報などがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ1803の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。その他のプログラムやデータは、
図7又は
図12、
図15と同様であるので、説明を省略する。無線接続の場合は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インタフェースを備えていてもよい。
<実施形態4 処理の流れ>
【0075】
図17に示すように、このような風力測定装置の計算機は、予め給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を風量演算式保持部1704に保持している。
【0076】
図19に示すように、この風力測定装置の計算機の動作は、まず、風量測定開始判断ステップを実行すると(ステップ1901)、給排気口サイズ入力受付プログラムにより給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付ステップを実行する(ステップ1902)。
【0077】
次に、受付けた給排気口サイズの情報に基づいて、さらに場合により測定者の選択する希望測定精度に基づいて適用する風量演算シミュレーションモデルが決定され、風速測定値入力受付プログラムにより給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイント(測定面内)における風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付ステップを実行する(ステップ1903)。
【0078】
処理ステップ1903をすべての測定ポイントについて終了すると(ステップ1904)、次に風速測定面内分布出力プログラムにより風速測定値入力受付部1702にて入力を受付けた風速測定値を、給排気口の測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力ステップを実行する(ステップ1905)。
【0079】
処理ステップ1904の実行により、風速測定面内分布がわかる。すなわち、有限要素法や境界要素法によって測定面の全体の風速分布がシミュレーションされたのである。風速のシミュレーション結果が出た段階で、風量のシミュレーションも可能となる。給排気口サイズ情報に基づいて適用される風量演算シミュレーションモデルが決定されているので、この決定され風量演算シミュレーションモデルに適合した風量演算式を風量演算式保持部1704内から取得する風量演算式取得ステップを実行する(ステップ1906)。
【0080】
次に、場合により給排気口風量演算プログラムにより入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとを保持している機能部分から取り出し、複数の測定ポイントの風速測定値と、取得した風量演算式と、に基づいて給排気口の風量を演算する給排気口風量演算ステップを実行する(ステップ1907)。
【0081】
風量演算が終了した場合は(ステップ1908)、給排気口風量出力プログラムにより演算された給排気口の風量を出力する給排気口風量出力ステップを実行する(ステップ1909)。
【0082】
このように、実施形態4によれば、複数の測定ポイントにおける各測定ポイントの風速測定値が得られるので風速の部屋内のシミュレーションが可能となったり、測定者が直感的に体感温度などを想像することができる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0083】
本実施形態5は、実施形態1~4を基本としつつ、風力測定値入力受付部に風車手段と風速算出手段とタイミング決定手段とを備えた構成としている。
図20に示すように、風車手段は側面カバー2002を備えた(側面カバーは必須でないが、その測定ポイントの風速をピンポイントで測定するために流体力学的に適切なカバー形態であることが望ましい。)風車本体2001を有し、風車本体2001はユニバーサルジョイント2003を介して支持棒2004を備えている。風量測定装置の測定者はこの支持棒2004を保持して天井等の給排気口に風車本体2001を押し付ける、又は近づけることにより、風量測定(風速測定)が行える。
図20の例では、風車本体2001は単独タイプの例を示している。風量測定の際は、
図1に示すように、測定者0104が小形(持ち運び型)の風量測定装置0100の風車本体を、天井0102の給排気口0101に近づけたり、押し付けたりし、測定位置(測定ポイント)に合うように支持棒0103を移動させることにより簡単に風量測定が行えるようになる。例えば、給排気口(ガラリ口)は角形か円形で風量に合わせた口サイズ(ガラリ)で約9点(9か所)測定して風量を算出する。なお前述のようにこの風車には測定者の利用する携帯端末装置などに対して自身の位置を示す情報を提示する機能部分が備わっていてもよい。QRコード(登録商標)がスマートフォンで自動読み取りされるのと同様に、正しい位置に風車が位置している場合に自動的に風速を取得するように構成するためである。そのために例えば特定の間欠発光部などを設け、携帯端末側でその発光位置と、給排気口の画像との関係から測定ポイントに対する風車等の相対的位置を自動演算するようなケースである。これは、モーションディテクターなど、テレビゲームの作成やプレーに利用される仕組みと同じである。またこの位置情報に応じてユニバーサルジョイントを電動で駆動可能にし、位置情報がぴったりと測定ポイントに来ていなくとも自動で位置調整することが可能なように構成することもできる。風車には羽根(ベーン)の表と裏の色を異なる色とすることが考えられる。例えば、風車はユニバーサルジョイントの部分で表裏をひっくり返すことが可能に構成し、羽根の色で給気を測定しているのか、排気を測定しているのか判断できるように構成することが考えられる。
<実施形態5 構成>
【0084】
図21に示すように本実施形態5は、給排気口サイズ入力受付部2101と、風速測定値入力受付部2102と、風量演算式保持部2103と、給排気口風量演算部2104と、給排気口風量出力部2105と、を有し、風速測定値入力受付部2102内に風車手段2110と風速算出手段2111とタイミング決定手段2112を有する風量測定装置2100である。以下では、実施形態1~4との共通な構成は説明を省略し、本実施形態5に特徴的な構成について説明する。
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 風車手段>
【0085】
「風車手段」2110は風速測定値入力受付部2102内に設けられ、風車を備えている。風車は給排気口の給排気流によって回転する。従って、給気の場合と排気の場合とでは回転方向は逆向きとなる。風車には、その回転を検知する検知部が付いている。例えば回転計であり、風車の回転とともに軸回転する磁石と、その磁石が近接視することによって磁気抵抗を変化させる磁気抵抗効果素子などによって回転検知が行われる。つまり回転検知は、磁気抵抗効果素子によって検出される磁気抵抗変化として測定され、単位時間当たりの回転数が計測される。また風車手段は、複数の同じ風車が規則正しく同一平面上に配置されている風車ブロックのような構成でもよい。例えば四つの風車が正方形を形作るように配置されるようなものである。一度に複数の個所の風速を測定できるからである。
【0086】
さらに風車は一つの平面上でなく、風車軸方向に複数の風車が配置されるようなものであってもよい。これはヘリコプターで二重のローターが設置されているタイプのようなものである。二重の風車は同一風車で羽根の配置が逆方向に配置されるようなものであってもよい。上側の風車によって生じる整流効果で下の風車が正しく風速に応じて回転するので測定精度をより高くすることができる。上側の風車の回転と下側の風車の回転との組合せで風速に対する検量線を予め用意しておくことで測定精度を高められる。さらに二重の風車は相対的に羽根が多い又は相対的に羽根が大きい風車と相対的に羽根が少ない又は相対的に羽根が小さい風車との二重構造としてもよい。前者は強い風をとらえるに適しており、後者は弱い風をとらえるに適している。好ましくは後者の風車を上側に前者の風車を下側に配置することでより精度の高い風速測定ができる。やはり、二つの風車の回転数の組合せと風速との検量線を用いて正確な風速を割り出すことができる。
<実施形態5 風速算出手段>
【0087】
「風速算出手段」2111は風速測定値入力受付部2102内に設けられ、風車手段2110の風車回転速度に応じて風速を算出する。風車は無風状態で回転していない状態で給排気口に徐々に近づいて行き、給排気口の近辺に十分な時間置かれている状態で回転が定常状態となる。従って測定は風車の回転が定常状態になってからであるべきであるので、風車が定常状態になったかの判断が行われる。そのためにも風速算出手段で算出される前の風車の回転経過(回転履歴)がモニターされ続けなければならない。風速算出手段では単位時間当たりの回転数と、風速に関する検量線情報が保持されており、回転数が検出されると検量線に基づいて風速が取得される。また風車の回転方向に応じて給気を測定しているのか、排気を測定しているのかが出力されるように構成されていることが好ましい。この給気、排気は、例えば、測定者が携帯する携帯装置のモニターに表示されるように構成することができる。
<実施形態5 タイミング決定手段>
【0088】
「タイミング決定手段」2112は風速測定値入力受付部2102内に設けられ、算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定する。このタイミングは、前述の風車の回転数が定常状態になっていること、さらに、風車が測定ポイント(正確には測定ポイントを中心とした所定の範囲内(測定誤差許容範囲内))にあることの二つの条件が同時に満たされたときに算出されている風速を風速測定値として受け付ける。この二つの条件が満たされているかはコンピュータによって判断される。ただし、測定ポイントの条件を満たしているかは測定者による手入力によって取得されるように構成してもよい。
<実施形態5 作用:ハードウェア的構成>
【0089】
図22に示すように、風量測定装置の計算機のハードウェア構成は、CPU2201と、ROM等の不揮発性メモリ2202と、主メモリ2203と、インタフェース2204と、ディスプレイインタフェース2205と、プリンタインタフェース2206と、マウスインタフェース2207、キーボードインタフェース2208、USBインタフェース2209、風速センサインタフェース2210とから構成されている。不揮発性メモリ2202には、風車を起動し回転させる(風車に備わっているブレーキの解除など)、又は風車の回転速度から風車の回転が定常状態に入ったことを検出する風車サブプログラム、風車の回転速度から風速を算出する風速算出プログラム、算出された風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定サブプログラム、等のプログラムが格納されている。データとしては、風車回転速度、風速、風速測定値などがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ2203の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。その他のプログラムやデータは、
図7又は、
図12、
図15、
図18と同様であるので、説明を省略する。無線接続の場合は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi等の近距離無線インタフェースを備えていてもよい。
<実施形態5 処理の流れ>
【0090】
実施形態5の風量測定装置の全体の処理の流れは、実施形態1と同様であるので、説明を省略することとし、以下では、本実施形態6に特徴的な風速測定値算出処理の流れについて説明する。
【0091】
図23に示すように、まず、風車サブプログラムより、風車を起動し風車を回転させる風車回転ステップを実行する(ステップ2301)。この風車回転ステップの実行により風車回転速度を得ることができる。
【0092】
次に、風車算出サブプログラムにより、得られた風車回転速度から風速を算出する風速算出ステップを実行する(ステップ2302)。この算出された風速を風速測定値とする。
【0093】
次に、タイミング決定サブプログラムにより、算出されている風速を風速測定値として入力を受付ける風速測定値入力受付タイミング決定ステップを実行する(ステップ2303)。
【0094】
以上の処理により、風速測定値の情報を得ることができる。
【0095】
このように、実施形態5によれば、簡易的(持ち運び型)風量測定装置により測定位置(測定ポイント)を移動させることにより、簡単に風量測定が行えるようになる。この持ち運び型の風量測定装置で風量が自動計算され、測定場所で風量の数値化ができるようになり、測定者が保持している端末に数値を表示することもできる。
<実施形態6A>
<実施形態6A 概要>
【0096】
本実施形態の風量測定装置は、給排気口サイズ入力受付部に代えて又は加えて、円形の給排気口の直径又は半径のサイズの入力を受付ける円形給排気口サイズ入力受付部を有する点に特徴がある。
<実施形態6A 構成>
【0097】
実施形態6Aの構成は、実施形態1の構成を基本として給排気口サイズ入力受付部に代えて又は加えて、円形の給排気口の直径又は半径のサイズの入力を受付ける円形給排気口サイズ入力受付部を有するものである。実施形態1と共通の構成要件は、給排気口サイズ入力受付部と、風速測定値入力受付部と、風量演算式保持部と、給排気口風量演算部と、給排気口風量出力部と、であり、共通部分に関しては説明を省略する。
<実施形態6A 構成の説明>
【0098】
「円形給排気口サイズ入力受付部」は、給排気口サイズ入力受付部に代えて又は加えて、円形の給排気口の直径又は半径のサイズの入力を受付ける。
【0099】
このように、実施形態6Aによれば、給排気口の形状が円形のものであっても、精度よく風量測定が行えるようになる。
<実施形態6B>
<実施形態6B 概要>
【0100】
本実施形態の風量測定装置は、測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径に基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための円形測定ポイント取得ルールを保持する円形測定ポイント取得ルール保持部と、測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径と、保持されている円形測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する円形測定ポイント位置出力部と、をさらに有する点に特徴がある。
<実施形態6B 構成>
【0101】
実施形態6Bの構成は、実施形態6Aの構成を基本として測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形測定ポイント取得ルール保持部と、測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形測定ポイント位置出力部と、をさらに有する点が異なる。その他の構成については、実施形態6Aの構成と同様であるので、説明を省略する。
<実施形態6B 構成の説明>
【0102】
「円形測定ポイント取得ルール保持部」は、測定ポイント取得ルール保持部に代えて又は加えて円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径に基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための円形測定ポイント取得ルールを保持する。
【0103】
「円形測定ポイント位置出力部」は、測定ポイント位置出力部に代えて又は加えて、円形給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の直径又は半径と、保持されている円形測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を出力する。円形測定ポイントの取得ルールとしては、円の中心から交互に直角で交わる直線と円の中心を同じく中心とする給排気口の直径よりも小さな直径を有する仮想円との交点を測定ポイントとするようなものが考えられる。なお、直線は二本に限定されず、三本以上であってもよい。三本の場合には均等な交錯角の総和が360度となるように構成すればよい。また同心円も二の円に限定されず、三以上の同心円を利用することができる。
【0104】
このように、実施形態6Bによれば、給排気口の形状が円形の測定ポイント位置を出力するので、給排気口が円形のものであっても、精度よく風量測定が行えるようになる。
<実施形態6C>
<実施形態6C 概要>
【0105】
本実施形態の風量測定装置は、給排気口風量出力部が、円形の給排気口の風量を測定面内分布で出力する風量測定面内分布出力手段を有する点に特徴がある。
<実施形態6C 構成>
【0106】
実施形態6Cの構成は、実施形態6A又は6Bの構成を基本として給排気口風量出力部が、給排気口の風量を測定面内分布で出力する風量測定面内分布出力手段を有する点が異なる。この風量測定面内分布出力手段は円形の給排気口に対する風量測定面内分布出力を出力する。その他の構成については、実施形態6A又は6Bの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0107】
このように、実施形態6Cによれば、給排気口が円形の場合も、風量測定結果を風量測定面内分布情報の形式で測定者の端末に表示できるので、測定者は円形の給排気口の実際の風量状態を画像イメージで認識できるようになる。
<実施形態6D>
<実施形態6D 概要>
【0108】
本実施形態の風量測定装置は、風速測定値入力受付部にて入力を受付けた風速測定値を、円形の給排気口に対する測定面内分布で出力する風速測定面内分布出力部をさらに有する点に特徴がある。
<実施形態6D 構成>
【0109】
実施形態6Dの構成は、実施形態6A~6Cの構成を基本として風速測定面内分布出力部をさらに有する点が異なる。この風速測定面内分布出力部は円形の給排気口に対する風速測定面内分布(情報)出力をする。その他の構成については、実施形態6A~6Cの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0110】
このように、実施形態6Dによれば、給排気口が円形の場合でも、複数の測定ポイントにおける各測定ポイントの風速測定値が得られるので、円形の給排気口のより実際に近い風量を精度よく測定することができる。
<実施形態6E>
<実施形態6E 概要>
【0111】
本実施形態の風量測定装置は、風速測定値入力受付部が、円形の給排気口に対する、風車を備えた風車手段と、風車手段の風車回転速度に応じて風速を算出する風速算出手段と、算出されている風速を風速測定値として入力を受付けるタイミングを決定するタイミング決定手段と、を有する点に特徴がある。
<実施形態6E 構成>
【0112】
実施形態6Eの構成は、実施形態6A~6Dの構成を基本として風速測定値入力受付部が、風車手段と、風速算出手段と、タイミング決定手段と、を有する点が異なる。この風速測定値入力受付部の風車手段、風速算出手段、タイミング決定手段は円形の給排気口に対する各種処理を行う。その他の構成については、実施形態6A~6Dの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0113】
このように、実施形態6Eによれば、単独タイプの風量測定装置により測定位置(測定ポイント)を移動させることにより、簡単に円形の給排気口の風量測定が行えるようになる。
<実施形態6F>
<実施形態6F 概要>
【0114】
本実施形態の風量測定装置は、少なくとも前記風車手段は、人が支持して風車を天井面程度の高さに位置させる支持棒を有する点に特徴がある。
<実施形態6F 構成>
【0115】
実施形態6Fの構成は、実施形態6D~6Eの構成を基本として、前記風車手段が、人が支持して風車を天井面程度の高さに位置させる支持棒を有する点が異なる。この支持棒を移動させて、円形の給排気口の風量測定を行う。その他の構成については、実施形態6D又は6Eの構成と同様であるので、説明を省略する。
上記課題を解決するために本発明において、以下の風量測定装置を提供する。すなわち、第一の発明として、給排気口とは別体であり、 給排気口の縦サイズと横サイズの入力を受付ける給排気口サイズ入力受付部と、給排気口内面、直下又は直上の略給排気口面と平行な面である測定面の複数の測定ポイントにおける風速測定値の入力を受付ける風速測定値入力受付部と、給排気口の縦サイズと横サイズと、所定の複数の測定ポイントにおける風速測定値と、に基づいて給排気口の風量を演算するための風量演算式を保持する風量演算式保持部と、入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、複数の測定ポイントの風速測定値と、保持されている風量演算式と、から、給排気口の風量を演算する給排気口風量演算部と、演算された給排気口の風量を測定者の端末画面に出力する給排気口風量出力部と、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズとに基づいて風速測定値の入力を受付けるべき測定ポイントの位置を取得するための測定ポイント取得ルールを保持する測定ポイント取得ルール保持部と、給排気口の画像をデジタルカメラで取り込み、給排気口サイズ入力受付部で入力を受付けた給排気口の縦サイズと横サイズと、保持されている測定ポイント取得ルールとに基づいて測定ポイントの位置を測定者の端末画面に給排気口の風量に重畳して出力する測定ポイント位置出力部と、を有する(請求項1対応)。