(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】蛍光体、発光装置、照明装置及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09K 11/64 20060101AFI20221012BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20221012BHJP
【FI】
C09K11/64
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2017206283
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-10-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】工藤 広光
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-291352(JP,A)
【文献】特開2006-008721(JP,A)
【文献】特開2007-262574(JP,A)
【文献】特開2007-131794(JP,A)
【文献】特開2012-077300(JP,A)
【文献】特開2017-181685(JP,A)
【文献】特開2006-307182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]で表される結晶相を含み、以下で定義される4000mW/mm
2光励起での量子効率維持率が85%以上であることを特徴とする、蛍光体。
M
aSr
bCa
cAl
dSi
eN
f [1]
(前記式[1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、c、d、e及びfは、それぞれ下記の範囲の値である。
0<a<
0.004
0.95≦b≦1
0<c<0.1
a+b+c=1
0.7≦d≦1.3
0.7≦e≦1.3
2.5≦f≦3.5)
量子効率維持率:蛍光体を出力40mW/mm
2の光で励起したときの内部量子効率を100%とした場合、励起光の出力を上げてゆき、出力4000mW/mm
2の光で励起したときの内部量子効率の40mW/mm
2光励起での内部量子効率に対する割合を4000mW/mm
2光励起での量子効率維持率とする。
【請求項2】
更に、酸素を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の蛍光体。
【請求項3】
350nm以上、460nm以下の波長を有する励起光を照射したときの発光スペクトルが、580nm以上、700nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することを特徴とする、請求項1
または2に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記発光スペクトルにおける半値幅が80nm以下であることを特徴とする、請求項
3に記載の蛍光体。
【請求項5】
第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
該第2の発光体が、請求項1~4のいずれか一項に記載の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含む発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置を光源として含む照明装置。
【請求項7】
請求項5に記載の発光装置を光源として含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体、発光装置、照明装置及び画像表示装置に存する。
【背景技術】
【0002】
光源として使用されるLEDは非常に高い発光効率が得られることから、省エネルギーの流れを受け、近年、LEDを用いた照明やバックライトへの需要が増加している。ここで用いられるLEDは、青または近紫外波長の光を発するLEDチップ上に、蛍光体を配置した白色発光LEDである。
【0003】
このようなタイプの白色発光LEDとしては、近年、青色LEDチップ上に、青色LEDチップからの青色光を励起光として赤色に発光する窒化物蛍光体と緑色に発光する蛍光体を用いたものが用いられている。
特に、赤色に発光する窒化物蛍光体としては、(Sr,Ca)AlSiN3で表される母体に賦活剤を添加した蛍光体(以下、「SCASN蛍光体」と称する場合がある)などが開発されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
これらの窒化物蛍光体の発光特性を更に改良する為に、例えば、蛍光体中のCu含有量を一定値以下にする方法(特許文献3)や、蛍光体中の硫黄やリンの含有量を一定値以下にする方法(特許文献4)など、特定の組成領域に制御する方法が提案されている。更に、特許文献5には、特定の粒径および厚さの平板状であるSCASN蛍光体について開示されている。
一方で、非特許文献1に記載のように、母体組成に含まれるSrとCaの比を調整することにより、発光色を橙色から赤色まで変化させることができることが知られている。なお、非特許文献2に示すようなCaを含まないSrAlSiN3で表される母体に賦活剤を添加した蛍光体を、以下「SASN蛍光体」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-336253号公報
【文献】特開2007-291352号公報
【文献】特開2013-142134号公報
【文献】特開2013-142135号公報
【文献】国際公開第2015/001860号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Hiromu Watanabe, Naoto Kijima:Journal of Alloys and Compounds Vol.475(2009) Page434-439
【文献】Hiromu Watanabe, Naoto Kijima:Journal of the Ceramic Society of Japan Vol.117[1](2009) Page115-119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討では、特許文献3~5に開示されているSCASN蛍光体は、高光励起状態での発光特性が不十分であり、特に励起密度に対する発光強度、量子効率の低下が著しく、1W以上の電力を投入するハイパワーLEDチップを用いた高光束の発光装置では、発光効率の低下が課題となっている。
【0008】
即ち、本発明は、高密度光励起時でも発光特性が優れており、中でも発光スペクトルの半値幅が狭く、発光の量子効率維持率が高い窒化物蛍光体を提供することを目的とする。また本発明は、この蛍光体を用いた発光効率の高い発光装置、ならびに高品質の照明装置および画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、更なる検討を重ねた結果、組成式に占めるCa量とEu等の付活元素量をそれぞれ特定範囲としたSCASN蛍光体とすることで上記課題を解決しうることを見出して、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、下記式[1]で表される結晶相を含み、以下で定義される4000mW/mm2光励起での量子効率維持率が85%以上であることを特徴とする蛍光体、
第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、該第2の発光体が、この蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含む発光装置、
この発光装置を光源として含む照明装置、
及び
この発光装置を光源として含む画像表示装置、
に存する。
MaSrbCacAldSieNf [1]
(前記式[1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、c、d、e及びfは、それぞれ下記の範囲の値である。
0<a<0.05
0.95≦b≦1
0≦c<0.1
a+b+c=1
0.7≦d≦1.3
0.7≦e≦1.3
2.5≦f≦3.5)
量子効率維持率:蛍光体を出力40mW/mm2の光で励起したときの内部量子効率を100%とした場合、励起光の出力を上げてゆき、出力4000mW/mm2の光で励起したときの内部量子効率の40mW/mm2光励起での内部量子効率に対する割合を4000mW/mm2光励起での量子効率維持率とする。
【0011】
特に好適な本発明の蛍光体は、Caを含まない下記式[2]で表される結晶相を含み、上記定義の4000mW/mm2光励起での量子効率維持率が90%以上であることを特徴とする赤色蛍光体である。
MaSrbAldSieNf [2]
(前記式[2]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、d、e及びfは、それぞれ下記の範囲の値である。
0<a<0.05
0.95≦b≦1
a+b=1
0.7≦d≦1.3
0.7≦e≦1.3
2.5≦f≦3.5)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高密度光励起時でも発光特性が優れており、中でも発光スペクトルの半幅が狭く、発光の量子効率維持率が高い窒化物蛍光体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、この蛍光体を用いて、発光効率の高い発光装置、ならびに高品質の照明装置および画像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で得られた蛍光体と比較例1の蛍光体の発光スペクトルチャートである。
【
図2】実施例1,2及び比較例1,2の蛍光体の発光の励起強度依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
【0015】
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al2O4:Eu」という組成式は、「CaAl2O4:Eu」と、「SrAl2O4:Eu」と、「BaAl2O4:Eu」と、「Ca1-xSrxAl2O4:Eu」と、「Sr1-xBaxAl2O4:Eu」と、「Ca1-xBaxAl2O4:Eu」と、「Ca1-x-ySrxBayAl2O4:Eu」(但し、式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)とを全て包括的に示しているものとする。
【0016】
{蛍光体について}
[式[1]について]
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表される結晶相を有するSCASN蛍光体である。
MaSrbCacAldSieNf [1]
(前記式[1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、c、d、e及びfは、それぞれ下記の範囲の値である。
0<a<0.05
0.95≦b≦1
0≦c<0.1
a+b+c=1
0.7≦d≦1.3
0.7≦e≦1.3
2.5≦f≦3.5)
【0017】
特に好適な本発明の蛍光体は、Caを含まない下記式[2]で表される結晶相を有するSASN蛍光体である。
MaSrbAldSieNf [2]
(前記式[2]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、d、e及びfは、それぞれ下記の範囲の値である。
0<a<0.05
0.95≦b≦1
a+b=1
0.7≦d≦1.3
0.7≦e≦1.3
2.5≦f≦3.5)
【0018】
ここで、Mは、付活元素を表す。付活元素としては、ユーロピウム(Eu)、マンガン(Mn)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)よりなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、少なくともEuを含むことがより好ましい。
【0019】
さらに、付活元素Mとしては、Euに加えて、Ce、Pr、Sm、Tb及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよく、この場合、発光量子効率の点で少なくともCeを含むことがより好ましい。つまり、付活元素Mは、Eu及び/又はCeであることが更に好ましく、特に好ましくは、Eu、或いはEuおよびCeである。付活元素M全体に対するユーロピウム(Eu)の割合は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0020】
前記式[1]および前記式[2]において、「Sr」はストロンチウム元素を表し、前記式[1]において、「Ca」はカルシウム元素を表す。Sr及びCaは、その他の化学的性質が類似した元素、例えば、バリウム(Ba)および/又はマグネシウム(Mg)等で一部置換されていてもよい。これらの元素、例えばBaは、原料に不可避的に混入していることや蛍光体の製造でフラックス(融剤)を用いた場合、微量に混入することがあるが、本発明はこれらを除外するものではない。
【0021】
前記式[1]および前記式[2]において、「Al」はアルミニウム元素を表す。Alは、その他の化学的性質が類似した元素、例えばホウ素(B)および/又はガリウム(Ga)等で一部置換されていてもよい。
【0022】
前記式[1]および前記式[2]において、「Si」はケイ素元素を表す。Siは、その他の化学的性質が類似した元素、例えばゲルマニウム(Ge)等で一部置換されていてもよい。
【0023】
前記式[1]および前記式[2]において、「N」は窒素元素である。Nは、一部がその他の元素、例えば、酸素(O)および/又はハロゲン元素、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)等、を含有していてもよい。尚、本発明における「元素の含有」には、元素が置換されている形態と、置換されずに含まれる形態との双方を意味するものである。
【0024】
酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合や、粉砕工程又は窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられ、本発明の蛍光体においては不可避的に混入してしまうものである。
尚、本発明の蛍光体の酸素の含有量は、蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0025】
ハロゲン元素も酸素と同様に、本発明の蛍光体中に含有されていてもよい。蛍光体中に、ハロゲン元素が含まれる場合、原料金属中の不純物として混入される場合、又は粉砕工程若しくは窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられ、特に、フラックスとしてハロゲン化物を用いる場合、蛍光体中に含まれてしまう場合がある。
混入されるハロゲン元素としては、前記した通り、例えば、フッ素元素、塩素元素、臭素元素及びヨウ素元素などが挙げられる。本発明の蛍光体のハロゲン元素の含有量は、蛍光体の発光特性が容認できる点で、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0026】
式[1]におけるa+b+c、d、e及びfについては、下記の観点により、その元素モル比を設定することが好ましい。式[1]における元素のモル比(a+b+c:d:e:f)は、化学量論組成である1:1:1:3が好ましい。実際には、2価金属若しくは酸素による欠損又は電荷補償などにより過不足が生じる。
【0027】
式[2]におけるa+b、d、e及びfについては、下記の観点により、その元素モル比を設定することが好ましい。式[2]における元素のモル比(a+b:d:e:f)は、化学量論組成である1:1:1:3が好ましい。実際には、2価金属若しくは酸素による欠損又は電荷補償などにより過不足が生じる。
【0028】
過不足の許容範囲は、通常3割、好ましくは2割、より好ましくは1割強であり、特に好ましくは1割程度である。いずれも、蛍光体として使用可能であり、かつSCASN蛍光体もしくはSASN蛍光体と同一の結晶構造を有する範囲であればよい。尚、SCASN蛍光体もしくはSASN蛍光体と同一の結晶構造であるとは、例えば、JCPDSカードに記載されているSCASNのXRDピークと主要なピークが実質同じ位置であることで確認ができる。
【0029】
aの範囲は、0<a<0.05であり、その下限値は好ましくは0.00001、より好ましくは0.001、更に好ましくは0.004であり、またその上限値は好ましくは0.03、より好ましくは0.01、特に好ましくは0.004である。
【0030】
bの範囲は、0.95≦b≦1であり、その下限値は好ましくは0.96、より好ましくは0.97、更に好ましくは0.975であり、またその上限値は、好ましくは1.0である。
【0031】
cの範囲は、0≦c<0.1であり、その上限値は、好ましくは0.05、より好ましくは0.03、更に好ましくは0.025である。
【0032】
式[1]におけるa、b及びcの相互の関係は、a+b+c=1を満足する。式[2]におけるa、bの相互の関係は、a+b=1を満足する。
【0033】
dの範囲は、0.7≦d≦1.3であり、その下限値は好ましくは0.8、より好ましくは0.9であり、またその上限値は好ましくは1.2、より好ましくは1.1である。
【0034】
eの範囲は、0.7≦e≦1.3であり、その下限値は好ましくは0.8、より好ましくは0.9であり、またその上限値は好ましくは1.2、より好ましくは1.1である。
【0035】
fの範囲は、2.5≦f≦3.5であり、その下限値は好ましくは2.6、更に好ましくは2.8であり、またその上限値は好ましくは3.3、更に好ましくは3.1である。
【0036】
[量子効率維持率について]
本発明の蛍光体は、高密度光励起時でも発光特性が優れており、発光の量子効率維持率が高く、以下で定義される4000mW/mm2光励起での量子効率維持率が85%以上であることを特徴とする。
量子効率維持率:蛍光体を出力40mW/mm2の光で励起したときの内部量子効率を100%とした場合、励起光の出力を上げてゆき、出力4000mW/mm2の光で励起したときの内部量子効率の40mW/mm2光励起での内部量子効率に対する割合を4000mW/mm2光励起での量子効率維持率とする。
【0037】
本発明における量子効率維持率とは、例えば波長445nmの青色LD(レーザダイオード)を用い、出力40mW/mm2で励起した際の発光の内部量子効率を100%とした場合、この青色LDの出力を上げて蛍光体に照射される光励起密度を増加させた時の発光の内部量子効率の値の変動を示す。変動が少ない場合には維持率の値は高くなり、発光特性が良いことを意味する。
【0038】
具体的な量子効率維持率の測定の方法は、後掲の実施例の項に示す通りである。なお、後掲の実施例では内部量子効率の測定に光励起源として青色LDを用いているが、光励起源はこれに限らない。
本発明の蛍光体の量子効率維持率は高い程好ましく、より好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上である。その上限は理論的には100%であるが、通常99%以下である。
【0039】
[本発明の効果を奏する理由]
本発明の蛍光体とすることで、「高密度光励起時でも発光特性が優れており、発光の量子効率維持率が高く、発光スペクトルの半値幅が狭い」との効果を奏する理由について下記の通り推測する。
通常、発光に寄与する付活元素が結晶中に偏析することなく、SrもしくはCaの格子位置に置換されることが最も望ましいとされる。この場合、1個の粒子の結晶成長が大きく、歪が少ないほうが、結晶中内で付活元素から発光された光を阻害することなく、効率的に外部へ取り出すことができると考えられる。また、付活元素中、例えば、Eu2+は、青色から緑色領域に光吸収を持ち、自らの発光エネルギーを再度吸収する再吸収効果を有するが、付活元素濃度が少なく、付活元素間が離れるほど、その影響は小さくなる。そのためには、付活元素濃度を少なくし、Sr元素をカチオンサイトの主としてCa元素の組成比を限定し、化学量論組成を維持した単結晶に近い結晶構造を保持する。さらには母体結晶中に含まれる格子欠陥、重金属等の不純物を少なくして、結晶中に含まれる歪を少なくすることにより、結果として1個の付活元素からの発光の量子効率が改善され、発光の半値幅も狭くなる。
【0040】
{蛍光体の物性について}
[発光色]
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、波長360nm~480nmといった近紫外領域~青色領域の光で励起され、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色又は赤色等、所望の発光色とすることができる。
【0041】
[発光スペクトル]
蛍光体の化学組成又は付活元素の種類によって発光ピーク波長及びその形状は異なるが、例えば、本発明の蛍光体が、Sr含有量が多いSCASN蛍光体であり、かつ、付活元素MとしてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、350nm以上、460nm以下の波長を有する励起光、特にピーク波長455nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
【0042】
まず、前記蛍光体は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常580nm以上、好ましくは590nm以上、より好ましくは596nm以上、また、通常700nm以下、好ましくは650nm以下、より好ましくは640nm以下である。ピーク波長λp(nm)が前記範囲内であると、橙色ないし赤色光としての発光特性が良好である点で好ましい。
【0043】
また、前記蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常50nm以上、好ましくは70nm以上、また好ましくは85nm未満、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは75nm以下である。FWHMが前記範囲内であると、発光装置に適用した場合、該発光装置の演色性と発光効率が共に良好である点で好ましい。
【0044】
なお、前記蛍光体をピーク波長455nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)等を用いて行うことができる。発光ピーク波長及び発光ピークの半値幅は、得られる発光スペクトルから算出することができる。
【0045】
{蛍光体の製造方法について}
本発明の蛍光体の製造方法としては、蛍光体原料用合金を用いる製造方法(合金法)及び原料窒化物を用いる製造方法(窒化物法)などが挙げられる。
【0046】
蛍光体原料用合金を用いる製造方法としては、例えば、特開2009-132916号公報及び国際公開第2006/106948号などの各公報に記載に準じて製造することが可能である。また、原料窒化物を用いる製造方法としては、例えば、国際公開第2005/052087号などに記載の方法が挙げられる。
【0047】
ここで、本発明の蛍光体とするための製法上の技術思想は、格子欠陥の誘発や量子効率の低下に起因する不純物を除去し、結晶成長が著しい焼成物の中心を選択的に得ることである。これは、各原料の純度や焼成機の焼成条件精度、例えば焼成温度、焼成時の圧力、焼成容器(坩堝)の容量、焼成容器の形状等に依存する。
いずれの場合も、蛍光体原料用合金や原料窒化物などの蛍光体原料混合物を坩堝に充填して、焼成してケーキを得る工程を含む。
【0048】
本発明の蛍光体とするには、前記蛍光体原料混合物を坩堝に充填し、焼成してケーキを得る工程(以下、「焼成工程」と称する場合がある)後、坩堝から取り出した焼成ケーキにおいて、該ケーキの表面から、ケーキ質量の5質量%以上を、深さ方向に平坦に削る工程(以下、「切削工程」と称する場合がある)を含むことが好ましい。
【0049】
焼成工程における、蛍光体原料混合物を充填する坩堝は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明の効果が得られやすい点で、窒化ホウ素(BN)坩堝、モリブデン(Mo)坩堝であることが好ましい。
【0050】
切削工程における焼成ケーキを削る量は、ケーキ質量に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上で、通常30質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果が得られやすい点で好ましい。
【0051】
尚、本発明における表面とは、焼成工程後、坩堝から取り出された蛍光体原料混合物の焼成物(ケーキ)において、表面のある一部分のみであっても、表面の全体のいずれをも意味する。
【0052】
本発明の効果が良好に得られる点で、ケーキ表面の全体を削ることが好ましい。
また、削り方は、ケーキ表面から均一な深さで削ることが好ましい。本発明における均一な深さとは、同程度の深さを意味するものである。
【0053】
尚、ケーキ表面を削る方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、ヤスリや彫刻刀、グラインダー等を用いて削る方法が挙げられる。尚、ケーキ表面を削る際に用いる道具は、金属製以外である方が、不純物の混入が防ぐことができる点で好ましい。
【0054】
上記に切削工程後のケーキについて、更に、分級工程、洗浄工程、乾燥工程などの後処理工程を行ってもよい。
【0055】
{蛍光体含有組成物}
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
【0056】
[蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
【0057】
[液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びポリイミドシリコーン樹脂などが挙げられる。
【0058】
[液体媒体及び蛍光体の含有率]
本発明の蛍光体含有組成物中の蛍光体及び液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、液体媒体については、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50質量%以上、好ましくは75質量%以上であり、通常99質量%以下、好ましくは95質量%以下である。
【0059】
[その他の成分]
本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0060】
{発光装置}
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備える発光装置であって、該第2の発光体は本発明の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含有するものである。ここで、本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0061】
本発明の蛍光体としては、例えば、励起光源からの光の照射下において、黄色ないし赤色領域の蛍光を発する蛍光体を使用する。具体的には、発光装置を構成する場合、本発明の橙色ないし赤色蛍光体としては、580nm~700nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。尚、励起光源については、420nm未満の波長範囲に発光ピークを有するものを用いてもよい。
【0062】
以下、本発明の蛍光体が、580~700nmの波長範囲に発光ピークを有し、且つ第1の発光体が420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用いる場合の、発光装置の態様について記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
前記の場合、本発明の発光装置は、例えば、次の(A)又は(B)の態様とすることができる。
(A)第1の発光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、550nm以上580nm未満の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、及び第1の蛍光体として本発明の蛍光体を用いる態様。
(B)第1の発光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、500nm以上560nm未満の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び第1の蛍光体として本発明の蛍光体を用いる態様。
【0064】
[黄色蛍光体]
前記(A)の態様における黄色蛍光体としては、例えば、下記の蛍光体が好ましい。
ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)3(Al、Ga)5O12:(Ce,Eu,Nd)が挙げられる。オルソシリケートとしては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:(Eu,Ce)が挙げられる。
【0065】
(酸)窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Ca,Mg)Si2O2N2:Eu(SION系蛍光体)、(Li,Ca)2(Si,Al)12(O,N)16:(Ce,Eu)(α-サイアロン蛍光体)、(Ca,Sr)AlSi4(O,N)7:(Ce,Eu)(1147蛍光体)、(La,Ca,Y)3(Al,Si)6N11:Ce(LSN蛍光体)などが挙げられる。
【0066】
尚、前記蛍光体においては、ガーネット系蛍光体が好ましく、中でも、Y3Al5O12:Ceで表されるYAG系蛍光体が最も好ましい。
【0067】
[緑色蛍光体]
前記(B)の態様における緑色蛍光体としては、例えば、下記の蛍光体が好ましい。
ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)3(Al、Ga)5O12:(Ce,Eu,Nd)及びCa3(Sc,Mg)2Si3O12:(Ce,Eu)(CSMS蛍光体)が挙げられる。シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)3SiO10:(Eu,Ce)及び(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:(Ce,Eu)(BSS蛍光体)が挙げられる。
【0068】
酸化物蛍光体としては、例えば、(Ca,Sr,Ba,Mg)(Sc,Zn)2O4:(Ce,Eu)(CASO蛍光体)が挙げられる。(酸)窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Si2O2N2:(Eu,Ce)、Si6-zAlzOzN8-Z:(Eu,Ce)(β-サイアロン蛍光体)(0<z≦1)、(Ba,Sr,Ca,Mg,La)3(Si,Al)6O12N2:(Eu,Ce)(BSON蛍光体)が挙げられる。
アルミネート蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2Al10O17:(Eu,Mn)(GBAM系蛍光体)が挙げられる。
【0069】
[発光装置の構成]
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成及び発光装置の実施形態としては、例えば、特開2007-291352号公報に記載のものが挙げられる。その他、発光装置の形態としては、例えば、砲弾型、カップ型、チップオンボード及びリモートフォスファー等が挙げられる。
【0070】
{発光装置の用途}
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く且つ演色性も高いことから、中でも照明装置又は画像表示装置の光源として、とりわけ好ましく用いられる。
【0071】
{照明装置}
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、保持ケースの底面に多数の発光装置を並べた面発光照明装置等を挙げることができる。
【0072】
{画像表示装置}
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑及び青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
【0074】
{測定方法}
[発光特性]
室温(25℃)において、励起光源として150Wキセノンランプ(ピーク波長455nm)を用い、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置FP6500(日本分光社製)を用いて発光スペクトルを測定した。
測定された発光スペクトルから発光ピーク波長と半値幅を求めた。
x、y表色系(CIE 1931表色系)の色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの480nm~780nmの波長領域のデータから、JIS Z8724(1997年)に準じた方法で、JIS Z8701(1999年)で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyとして算出した。
【0075】
[XRD]
粉末X線回折装置X’Pert Pro MPD(PANalytical社製)を用いて粉末X線回折(XRD)スペクトルのデータを得た後、XRDパターンと粉末X線回折用のデータベースPDF4+に登録されているSCASN(No.01-077-9188)のXRDパターンと比較し、同じ結晶構造であることを確認した。なお、測定条件は、下記の通りである。
CuKα線封入式X線管球使用
ゴニオ半径=240mm
入射側スリット=10mm
ソーラースリット=0.04rad
ステップ幅=0.008°
操作範囲2θ=10~150
【0076】
[量子効率維持率]
以下の方法で、励起光の出力(照度)に対する内部量子効率の変化を調べ、量子効率維持率を算出した。
波長445nmの青色LDを用い、蛍光体に出力40mW/mm2の出力(照度)を照射して励起し、この青色LDの出力を上げてゆき、出力40mW/mm2で励起したときの内部量子効率に対する当該出力での内部量子効率の百分率を算出する。出力40mW/mm2で励起したときの内部量子効率に対する出力4000mW/mm2で励起したときの内部量子効率の百分率を量子効率維持率として求めた。
なお、内部量子効率の測定算出方法は公知であり、例えば、特開2009-161576号公報に記載の方法を採用することができる。
【0077】
[蛍光体組成]
製造された蛍光体の組成は、高周波プラズマ発光分析法(ICP-OES 島津製作所製 ICPS-8100)により求めた。
【0078】
{蛍光体の製造}
(実施例1)
組成比が1:1:1のSr-Al-Si合金を粉砕後、この合金に対して純度99%のユーロピウム原料(Eu酸化物)を添加してBN坩堝に入れ、窒素雰囲気中200MPa、1950℃で2時間焼成した。得られた焼成ケーキの表面を、ナイフ等の切削具を用いてその全表面にわたって均等に、ケーキ質量に対して15質量%を削った後、乳鉢で粉砕した。次いで、0.5N-HClで1時間洗浄した後、水洗、乾燥等の工程を得て、前記式[2]におけるa=0.0009、b=0.9991、d=1.1、e=1.1、f=3.2の実施例1の蛍光体を得た。
【0079】
(実施例2)
蛍光体原料として、組成比がCa0.021Sr0.975Eu0.004であるCa-Sr-Eu-Al-Si合金を用いた他は、実施例1と同様にして、前記式[1]におけるa=0.0035、b=0.975、c=0.0215、d=1.1、e=1.1、f=3.2の実施例2の蛍光体を得た。
【0080】
(比較例1)
実施例1の蛍光体と同じ発光ピーク波長を持つDENKA製α-サイアロン系蛍光体「YL-595B」を比較例1の蛍光体とした。
【0081】
(比較例2)
蛍光体原料として、組成比がCa0.104Sr0.890Eu0.006であるCa-Sr-Eu-Al-Si合金を用いた他は、実施例1と同様にして、前記式[1]におけるa=0.019、b=0.879、c=0.102、d=1.0、e=1.0、f=3.0の比較例2の蛍光体を得た。
【0082】
実施例1、実施例2の蛍光体および比較例2の蛍光体については、XRD測定を行い、SCASN結晶構造もしくはSASN結晶構造であることを確認した。
【0083】
また、実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2の蛍光体について、発光特性と量子効率維持率を測定した結果を表1に示した。
【0084】
【0085】
図1は実施例1で得られた蛍光体と比較例1の蛍光体の発光スペクトルチャートである。
図1から明らかなように、実施例1の蛍光体の発光スペクトル形状は比較例1と比べ、半値幅が狭いことがわかる。
【0086】
図2は各蛍光体の発光の励起強度依存性、即ち、量子効率維持率の変化を示すグラフである。なお、各蛍光体の内部量子効率値は40mW/mm
2で100%となるように規格化されている。
図2から明らかなように、実施例1および実施例2の蛍光体は、比較例1,2の蛍光体と比べ、励起光密度に対する量子効率の維持率が高いことがわかる。
また、表1に示す如く、実施例1,2の本発明の蛍光体の発光の半値幅は狭く、4000mW/mm
2での量子効率維持率は85%以上と高い。
例えば、比較例1の蛍光体のピーク波長は実施例1と同じ波長であるのに対して、実施例1の蛍光体は比較例1の蛍光体よりも半値幅は10nmも狭く、比較例1の蛍光体の量子効率維持率は84%であるのに対して、実施例1の蛍光体の量子効率維持率は93%であり、9ポイントと大幅に量子効率維持率が向上している。