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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221012BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G03G21/00 396
G03G21/00 510
H04N1/00 912
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018053991
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019168489
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 圭
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 なつ子
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋輝
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-027447(JP,A)
【文献】特開2006-178585(JP,A)
【文献】特開2004-301999(JP,A)
【文献】特開2013-083695(JP,A)
【文献】特開2014-115382(JP,A)
【文献】特開2013-015832(JP,A)
【文献】特開2007-155756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0002233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを実行可能な複数の他機の画像形成装置と通信可能な通信部と、
前記通信部により通信される前記他機の画像形成装置及び自機の画像形成装置のそれぞれにおいて、前記他機の画像形成装置と、前記自機の画像形成装置と、のそれぞれに含まれる感光ドラム及び定着部のそれぞれにおける使用可能な状態を維持できる残量としての耐久残ポイント数のばらつき度合いをそれぞれ求め、前記ばらつき度合いが最も小さいものに前記印刷ジョブを割り当てる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷ジョブによって前記耐久残ポイント数を低下させる低下ポイント数については、前記印刷ジョブが文字ジョブである場合には前記感光ドラムの前記低下ポイント数を前記定着部の前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記印刷ジョブが画像ジョブである場合には前記定着部の前記低下ポイント数を前記感光ドラムの前記低下ポイント数よりも大きく設定し、
前記他機の画像形成装置及び前記自機の画像形成装置のうち、前記感光ドラムの前記耐久残ポイント数から前記感光ドラムの前記低下ポイント数を引いた前記感光ドラムの耐久残ポイント数、及び前記定着部の前記耐久残ポイント数から前記定着部の前記低下ポイント数を引いた前記定着部の耐久残ポイント数に基づく前記ばらつき度合いを求める、
画像形成装置。
【請求項2】
前記ばらつき度合いは、
前記感光ドラム及び前記定着部のそれぞれの耐久残ポイント数の標準偏差である、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像形成装置のうち、前記標準偏差が最も小さい方に前記印刷ジョブを割り当てる、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記標準偏差のうち、前記印刷ジョブを実行前よりも実行後の方が小さい方に前記印刷ジョブを割り当てる、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記画像形成装置に含まれる前記感光ドラム及び前記定着部を含めた複数のユニットについて、前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が少ないグループと、前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が多いグループと、をグループ分けし、前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が少ないグループに平準化処理を実行する、
請求項1~4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置のそれぞれはサーバーにより管理されるものであり、
前記サーバーは、
前記制御部の各種処理を実行可能である、
請求項1~5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部の各種処理は、
前記画像形成装置のうち少なくとも1つが実行可能である、
請求項1~6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷ジョブを実行可能な複数の画像形成装置と通信可能な通信部と、
前記通信部により通信される前記画像形成装置ごとに、前記画像形成装置に含まれる感光ドラム及び定着部のそれぞれにおける使用可能な状態を維持できる残量としての耐久残ポイント数のばらつき度合いを求め、前記ばらつき度合いが最も小さいものに前記印刷ジョブを割り当てる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷ジョブによって前記耐久残ポイント数を低下させる低下ポイント数については、前記印刷ジョブが文字ジョブである場合には前記感光ドラムの前記低下ポイント数を前記定着部の前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記印刷ジョブが画像ジョブである場合には前記定着部の前記低下ポイント数を前記感光ドラムの前記低下ポイント数よりも大きく設定し、
前記画像形成装置のうち、前記感光ドラムの前記耐久残ポイント数から前記感光ドラムの前記低下ポイント数を引いた前記感光ドラムの耐久残ポイント数、及び前記定着部の前記耐久残ポイント数から前記定着部の前記低下ポイント数を引いた前記定着部の耐久残ポイント数に基づく前記ばらつき度合いを求める、
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、像形成装置、及び画像形成システに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、ネットワークプリント、ファックス、及びスキャン等の機能を集約した画像形成装置が普及している。このような画像形成装置にはさまざまなユニットが装着されている。このようなユニットは消耗品であるため、使用状況によってはコピー機能等が使用できないこともある。そこで、各ユニットの使用状態を管理することにより、画像形成装置が提供可能な各種機能の使用可否を利用者に通知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、各ユニットの使用状態として、ネットワーク上に存在する複数の画像形成装置のそれぞれのユニットの耐久状態を確認し、耐久状態が高い画像形成装置に印刷ジョブを割り当てるものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ところで、耐久状態はユニットごとに異なる場合が多い。耐久状態、例えば、耐久枚数を過ぎているユニットは、画質不良等が発生する恐れがあるため、メンテナンスの対象となるが、そのメンテナンスタイミングは、使用環境又は送信されてくる印刷ジョブの内容により異なる。そこで、複数のユニットのそれぞれをその都度交換する代わりに、複数のユニットを含む画像形成装置を単位として、ネットワーク上に存在する複数の画像形成装置のうち、過去の総使用量から得られる次回の定期メンテナンスまでの耐久枚数の最も多い画像形成装置に、印刷ジョブを割り当てるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-017728号公報
【文献】特開2009-238072号公報
【文献】特開平11-038845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような従来技術は、各種機能の使用が可能な画像形成装置を通知するだけであり、各ユニットの交換に要するコストが低減されるわけではない。特許文献2に記載のような従来技術は、耐久状態が高い画像形成装置に印刷ジョブが割り当てられるだけであるため、各ユニットの耐久状態に違いがあれば、ユニットの交換に要するコストがその都度発生する。特許文献3に記載のような従来技術は、画像形成装置の過去の総使用量に基づき印刷ジョブを割り当てる画像形成装置を決めているため、各ユニットは、耐久枚数の差異があればそのまま耐久枚数の差異がある状態で使用される。よって、各ユニットのうち、耐久枚数が過ぎたものから交換が必要となるため、その都度、サービスマンが画像形成装置のユニット交換作業に訪問する必要があり、該当するユニットの交換作業中、画像形成装置の使用は中断されなければならない。したがって、特許文献1~3に記載のような従来技術は、サービスコストが増加するだけでなく、マシンダウンタイムも増加する。
【0006】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、サービスコストを低下させ、且つマシンダウンタイムを抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の画像形成装置は、印刷ジョブを実行可能な複数の他機の画像形成装置と通信可能な通信部と、前記通信部により通信される前記他機の前記画像形成装置及び自機の画像形成装置のそれぞれにおいて前記他機の画像形成装置と、前記自機の画像形成装置と、のそれぞれに含まれる感光ドラム及び定着部のそれぞれにおける使用可能な状態を維持できる残量としての耐久残ポイント数のばらつき度合いを求め、前記ばらつき度合いが最も小さいものに前記印刷ジョブを割り当てる制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷ジョブによって前記耐久残ポイント数を低下させる低下ポイント数については、前記印刷ジョブが文字ジョブである場合には前記感光ドラムの前記低下ポイント数を前記定着部の前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記印刷ジョブが画像ジョブである場合には前記定着部の前記低下ポイント数を前記感光ドラムの前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記他機の画像形成装置及び前記自機の画像形成装置のうち、前記感光ドラムの前記耐久残ポイント数から前記感光ドラムの前記低下ポイント数を引いた前記感光ドラムの耐久残ポイント数、及び前記定着部の前記耐久残ポイント数から前記定着部の前記低下ポイント数を引いた前記定着部の耐久残ポイント数に基づいて前記ばらつき度合いを求める。
【0008】
また、前記制御部は、前記印刷ジョブに対応する負荷情報に基づき、前記ユニットのそれぞれの耐久残を求める、ことが好ましい。
【0009】
また、前記ばらつき度合いは、前記感光ドラム及び前記定着部のそれぞれの耐久残ポイント数の標準偏差である、ことが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記画像形成装置のうち、前記標準偏差が最も小さい方に前記印刷ジョブを割り当てる、ことが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記標準偏差のうち、前記印刷ジョブを実行前よりも実行後の方が小さい方に前記印刷ジョブを割り当てる、ことが好ましい。
【0012】
また、前記ユニットのそれぞれのうち、一つが感光ドラムに該当し、他の一つが定着部に該当する、ことが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記印刷ジョブで特定されるカバレッジに応じて、前記負荷情報を決定する、ことが好ましい。
【0014】
また、前記ユニットは、資材が含まれ、前記資材は、トナー及び用紙の少なくとも一方が該当する、ことが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記画像形成装置に含まれる前記感光ドラム及び前記定着部を含めた複数のユニットについて前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が少ないグループと、前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が多いグループと、をグループ分けし、前記ユニットのそれぞれの前記耐久残ポイント数が少ないグループに平準化処理を実行する
【0016】
また、前記画像形成装置のそれぞれはサーバーにより管理されるものであり、前記サーバーは、前記制御部の各種処理を実行可能である、ことが好ましい。
【0017】
また、前記制御部の各種処理は、前記画像形成装置のうち少なくとも1つが実行可能である、ことが好ましい。
【0019】
本開示の第3の側面である画像形成システムは、印刷ジョブを実行可能な複数の画像形成装置と通信可能な通信部と、前記通信部により通信される前記画像形成装置ごとに、前記画像形成装置に含まれる感光ドラム及び定着部のそれぞれにおける使用可能な状態を維持できる残量としての耐久残ポイント数のばらつき度合いを求め、前記ばらつき度合いが最も小さいものに前記印刷ジョブを割り当てる制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷ジョブによって前記耐久残ポイント数を低下させる低下ポイント数については、前記印刷ジョブが文字ジョブである場合には前記感光ドラムの前記低下ポイント数を前記定着部の前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記印刷ジョブが画像ジョブである場合には前記定着部の前記低下ポイント数を前記感光ドラムの前記低下ポイント数よりも大きく設定し、前記画像形成装置のうち、前記感光ドラムの前記耐久残ポイント数から前記感光ドラムの前記低下ポイント数を引いた前記感光ドラムの耐久残ポイント数、及び前記定着部の前記耐久残ポイント数から前記定着部の前記低下ポイント数を引いた前記定着部の耐久残ポイント数に基づく前記ばらつき度合いを求める
【発明の効果】
【0021】
本開示の構成によれば、サービスコストを低下させ、且つマシンダウンタイムを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示を適用した実施形態1に係る画像形成装置3を含む画像形成システム1のシステム構成例を示す図である。
図2】本開示を適用した実施形態1に係る制御装置7の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本開示を適用した実施形態1に係る負荷情報の一例を示すブロック図である。
図4】本開示を適用した実施形態1に係るユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いの一例を示す図である。
図5】本開示を適用した実施形態1に係る制御例を説明するフローチャートである。
図6】本開示を適用した実施形態1に係るプリンタ群ごとの各種条件の一例を示す図である。
図7】本開示を適用した実施形態1に係るユニットのメンテナンスタイミングの一例を示す図である。
図8】本開示を適用した実施形態2に係る制御例を説明するフローチャートである。
図9】本開示を適用した実施形態3に係る制御例を説明するフローチャートである。
図10】本開示を適用した実施形態4に係る制御例を説明するフローチャートである。
図11】本開示を適用した実施形態4に係るユニットのグルーピングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本開示の実施形態を説明するが、本開示は以下の実施形態に限られるものではない。
【0024】
実施形態1.
図1は、本開示を適用した実施形態1に係る画像形成装置3を含む画像形成システム1のシステム構成例を示す図である。画像形成装置3のそれぞれは、ネットワーク2を介して、制御装置7、サーバー9A、及びサーバー9Bと接続されている。サーバー9A及びサーバー9Bの何れかを特に区別しない場合、サーバー9と称する。画像形成装置3のそれぞれは、ハブ6に接続され、ネットワーク2を介して少なくとも1つのサーバー9と各種データの通信が可能である。ネットワーク2は、LAN及びインターネット等により構成される。また、ネットワーク2への接続形態は有線接続であってもよく、無線接続であってもよい。例えば、不図示のスマートフォン等のような機器であれば、不図示の無線LANルーターによる無線接続によりネットワーク2に接続することができる。
【0025】
画像形成装置3のそれぞれは、同一イントラネット内に設置されている。画像形成装置3は、PCプリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能及びボックス格納機能等を備える装置であって、例えばMFP(Multi-Functional Peripheral)から構成される。PCプリント機能は、制御装置7等から受信した画像データに基づき画像を用紙Pに印刷する機能である。PCプリント機能は、ネットワークプリンティング又はネットワークプリント等と呼ばれることもある。ボックス格納機能は、ユーザーごとにボックス又はパーソナルボックス等と呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザーが自分の記憶領域によって画像ファイル等を保存し管理するための機能である。ボックスは、パーソナルコンピューターにおけるフォルダ又はディレクトリに相当する。
【0026】
イントラネット内にはストレージ装置8が設置されている。ストレージ装置8は、画像形成装置3のそれぞれと通信が可能である。ストレージ装置8は、NAS(Network-Attached Storage)等から構成される。イントラネット内にはさらにゲートウェイサーバー4が設置されている。このようなシステム構成により、イントラネットから外部へのアクセスよりも外部からイントラネットへのアクセスが厳しく制限されるように、ゲートウェイサーバー4にファイアウォールの機能を実装させることができる。制御装置7は、画像形成装置3及びサーバー9のそれぞれのサービスを使用するためのクライアントとして機能することができる。制御装置7として、ノート型のパーソナルコンピューター、デスクトップ型のパーソナルコンピューター、又はタブレットコンピューター等が用いられる。なお、不図示のスマートフォン等のような機器も制御装置7と同様に、画像形成装置3及びサーバー9のそれぞれのサービスを使用するためのクライアントとして機能してもよい。
【0027】
サーバー9は、ネットワーク2を介して、オンラインストレージを提供することができる。例えば、画像データを保存し、制御装置7からの要求に応じて画像データを提供してもよい。サーバー9は、CGI(Common Gateway Interface)等を備えたウェブサーバー又はクラウドサーバー等を用いてもよい。サーバー9は、画像形成装置3のそれぞれがオフィスに設置されている場合、画像形成装置3を一元管理し、画像形成装置3が備える各種ユニットの耐久状態を管理してもよい。例えば、画像形成装置3のうち、低速のものに大量の出力を実行する指示を含む印刷ジョブが割り当てられる場合、高速のものにその印刷ジョブを割り当てさせることで、印刷ジョブを最適な出力先に変更させてもよい。サーバー9は、画像形成装置3の各ユニットに関する耐久状態をリモートで検知した場合、検知した耐久状態に応じてエンジニアに出動依頼を実施することで、消耗品である各ユニットの交換又は補充等を手配してもよい。サーバー9は、オフィスに存在する各集中プリントセンターを統合管理することにより、制御装置7から印刷ジョブが直接発注されることが可能である。
【0028】
画像形成装置3は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像を形成する。画像形成装置3は、例えば、YMCKの4色に対応する感光ドラムを中間転写ベルトの走行方向、すなわち鉛直方向に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。よって、画像形成装置3は、感光ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Pに二次転写することにより、画像を形成する。画像形成装置3は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。制御部100は、CPU、ROM、及びRAM等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じてプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置3の各ユニットの動作を制御する。各ユニットは、例えば、感光ドラム、定着部60、若しくは中間転写ベルト、又は後述する帯電装置、露光装置、若しくは現像装置等である。耐久状態に応じて交換されるものを全てユニットとして扱う。ユニットは、資材を含めてもよい。資材は、トナー及び用紙Pの少なくとも一方が該当する。なお、制御部100は、ハードウェアプロセッサとして構成される。
【0029】
画像読取部10は、自動原稿送り装置11及び原稿画像走査装置12等を備える。自動原稿送り装置11は、ADF(Auto Document Feeder)と称される。自動原稿送り装置11は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送し、原稿画像走査装置12に送り出す。自動原稿送り装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像を連続して読み取ることができる。なお、自動原稿送り装置11は、用紙反転機構により、それぞれの原稿の両面を読み取ることができる。原稿画像走査装置12は、自動原稿送り装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査する。原稿画像走査装置12は、光学的な走査により原稿からの反射光をCCDセンサーの受光面上に結像させることで、原稿に形成されている原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づき、原稿画像の入力画像データを生成する。入力画像データは、画像処理部30に供給され、画像処理部30が予め設定された画像処理を実行する。操作表示部20は、例えば、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で実現され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従い、各種操作画面、画像の状態、及び各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー及びスタートキー等の各種操作キーを備える。操作部22は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けることにより、操作信号を生成する。操作信号は、制御部100に出力される。
【0030】
画像処理部30は、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を入力画像データに行う回路を備える。画像処理部30は、例えば、制御部100の制御下において、階調補正データが設定されている階調補正テーブルに基づき、入力画像データに階調補正を行う。画像処理部30は、階調補正の他に、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理及び圧縮処理等を入力画像データに行う。このような各種デジタル画像処理が行われた入力画像データに基づき、画像形成部40は各種処理を行う。画像形成部40は、入力画像データに基づき、Y成分、M成分、C成分、及びK成分の各有色トナーによる画像を形成する。画像形成部40は、感光ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び中間転写ベルトを含む中間転写部を備える。帯電装置のコロナ放電により、感光ドラムの表面は一様に帯電される。露光装置が各色成分の画像に対応するレーザー光を感光ドラムに照射することにより、感光ドラムの表面に各色成分の静電潜像が形成される。現像装置が感光ドラムの表面に各色成分のトナーを供給させることにより、静電潜像は可視化されてトナー像が形成される。トナー像は、中間転写部により用紙Pに転写される。定着部60は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱及び加圧することにより、用紙Pにトナー像を定着させる。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51は、用紙Pの坪量及びサイズ等に基づいて予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、給紙部51に収容されている用紙P又は表裏の何れか一方に画像が形成された用紙Pを搬送する。なお、排紙部52は、画像が形成された用紙Pを機外に排出する。
【0031】
図2は、本開示を適用した実施形態1に係る制御装置7の機能構成例を示すブロック図である。制御装置7は、CPU711、RAM712、ROM713、記憶部720、表示部730、操作部740、及び通信部750等を備えている。CPU711、RAM712、及びROM713は、制御部710として機能する。制御部710は、ハードウェアプロセッサとして構成される。通信部750は、画像形成装置3又はサーバー9等とTCP/IP等のようなプロトコルに従い、印刷ジョブを実行可能な画像形成装置3と通信する。記憶部720には、オペレーティングシステム725と、各種処理を実行するアプリケーション721と、アプリケーションプログラミングインターフェース723とがインストールされている。これらを構成するプログラムは、必要に応じてRAM712にロードされ、CPU711により実行される。制御部710は、通信部750により通信される画像形成装置3ごとに、画像形成装置3に含まれる複数のユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いを求める。制御部710は、画像形成装置3のうち、ばらつき度合いが最も小さい方に印刷ジョブを割り当てる。
【0032】
制御部710は、印刷ジョブに対応する負荷情報に基づき、ユニットのそれぞれの耐久残を求める。図3は、本開示を適用した実施形態1に係る負荷情報の一例を示すブロック図である。図3に示すように、負荷情報は、印刷ジョブに応じて、ユニットごとの耐久残の低下ポイント数を定めたものである。よって、印刷ジョブが文字ジョブ及び画像ジョブの何れかにより負荷情報算出ルールが変わる。負荷情報算出ルールは、高いポイントが付与されたユニットの方が、ユニットの耐久残がより低下するように設定されている。ここで、ユニットの耐久残とは、ユニットが使用可能な状態を維持できるユニットの使用可能残量を意味する。図3(A)は、印刷ジョブが文字ジョブである場合の負荷情報算出ルールの一例を示す図である。文字ジョブは、低カバレッジであるため外添剤が少ない。よって、文字ジョブは、耐久状態という観点では、感光ドラムには不利であり、定着部60には有利である。したがって、図3(A)に示すように、ユニットは、感光ドラムである方が定着部60である場合よりも高いポイントが付与される。図3(B)は、印刷ジョブが画像ジョブである場合の負荷情報算出ルールの一例を示す図である。画像ジョブは、中カバレッジであるため外添剤が多い。よって、画像ジョブは、耐久状態という観点では、感光ドラムには有利であり、定着部60には不利である。したがって、図3(B)に示すように、ユニットは、定着部60である方が感光ドラムである場合よりも高いポイントが付与される。つまり、ユニットに係る負荷は、ページ当たりのトナー使用量で決まる。よって、負荷情報は、印刷ジョブで特定されるカバレッジに応じて、決定してもよい。具体的には、印刷ジョブから想定される印刷内容とカバレッジとに基づき、トナーの想定消費量を求め、求めたトナーの想定消費量から負荷情報を求めてもよい。ここで、耐久状態とは、ユニットの耐久残及びユニットの耐久枚数等のようなユニットが使用可能でいられる残りの状態である。
【0033】
図4は、本開示を適用した実施形態1に係るユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いの一例を示す図である。図4の一例では、印刷ジョブが文字ジョブである場合におけるユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いとして、ユニットの耐久残の標準偏差σが使用されている。また、ユニットのそれぞれのうち、一つが感光ドラムに該当し、他の一つが定着部60に該当する。プリンタによりユニットの耐久残の標準偏差σは異なる。例えば、プリンタ(1)及びプリンタ(2)の何れにおいても、印刷ジョブ実行前のユニットの耐久残よりも印刷ジョブ実行後のユニットの耐久残の方が、印刷枚数に応じて少なくなっている。例えば、プリンタ(1)は、ユニットの耐久残の標準偏差σが120である。一方、プリンタ(2)は、ユニットの耐久残の標準偏差σが92である。よって、プリンタ(1)に比べ、プリンタ(2)の方がユニットの耐久残のばらつき度合いは小さいため、プリンタ(2)に印刷ジョブを割り当てた方がユニットの耐久残の標準偏差σが低くなる。したがって、プリンタ(2)に印刷ジョブを割り当てた方がユニットの耐久残が平準化される。つまり、制御部710は、画像形成装置3のうち、標準偏差σが最も小さい方に印刷ジョブを割り当てる。
【0034】
図5は、本開示を適用した実施形態1に係る制御例を説明するフローチャートである。ステップS11~ステップS22の処理は、複数の画像形成装置3の中から印刷ジョブを割り当てることによりユニットの耐久残を平準化する平準化処理であって、アプリケーション721として実装可能である。よって、印刷ジョブが割り当てられた画像形成装置3は、割り当てられた印刷ジョブに基づき、用紙Pに画像を形成する。ステップS11において、制御部710は、印刷ジョブを実行可能な画像形成装置3がネットワーク2上に複数存在するか否かを判定する。制御部710は、印刷ジョブを実行可能な画像形成装置3がネットワーク2上に複数存在すると判定する場合(ステップS11;Y)、ステップS12の処理に移行する。制御部710は、印刷ジョブを実行可能な画像形成装置3がネットワーク2上に複数存在しないと判定する場合(ステップS11;N)、複数の画像形成装置3の中から印刷ジョブを割り当てる処理を終了する。ステップS12において、制御部710は、実行予定の印刷ジョブがあるか否かを判定する。制御部710は、実行予定の印刷ジョブがあると判定する場合(ステップS12;Y)、ステップS13の処理に移行する。制御部710は、実行予定の印刷ジョブがないと判定する場合(ステップS12;N)、平準化処理を終了する。
【0035】
ステップS13において、制御部710は、印刷ジョブに対応する負荷情報の演算にカバレッジを利用するか否かを判定する。制御部710は、印刷ジョブに対応する負荷情報の演算にカバレッジを利用すると判定する場合(ステップS13;Y)、ステップS21の処理に移行する。ステップS21において、制御部710は、印刷内容とカバレッジとに基づき、トナーの想定消費量を求める。ステップS22において、制御部710は、トナーの想定消費量から負荷情報を求め、ステップS18の処理に移行する。制御部710は、印刷ジョブに対応する負荷情報の演算にカバレッジを利用しないと判定する場合(ステップS13;N)、ステップS14の処理に移行する。ステップS14において、制御部710は、印刷ジョブが文字ジョブであるか否かを判定する。制御部710は、印刷ジョブが文字ジョブであると判定する場合(ステップS14;Y)、ステップS15の処理に移行する。制御部710は、印刷ジョブが文字ジョブでないと判定する場合(ステップS14;N)、ステップS16の処理に移行する。
【0036】
ステップS15において、制御部710は、文字ジョブに対応する負荷情報を求める。ステップS16において、制御部710は、印刷ジョブが画像ジョブであるか否かを判定する。制御部710は、印刷ジョブが画像ジョブであると判定する場合(ステップS16;Y)、ステップS17の処理に移行する。制御部710は、印刷ジョブが画像ジョブでないと判定する場合(ステップS16;N)、ステップS12の処理に戻る。ステップS17において、制御部710は、画像ジョブに対応する負荷情報を求める。ステップS18において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、負荷情報に基づき、画像形成装置3に含まれる複数のユニットのそれぞれの耐久残を求める。ステップS19において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、複数のユニットのそれぞれの耐久残の標準偏差σを演算する。ステップS20において、制御部710は、画像形成装置3のうち、標準偏差σが最も小さい方に印刷ジョブを割り当て、ステップS12の処理に戻る。なお、印刷ジョブが文字ジョブではなく画像ジョブでもない場合、印刷ジョブが壊れている可能性がある。
【0037】
図6は、本開示を適用した実施形態1に係るプリンタ群ごとの各種条件の一例を示す図である。具体的には、図6(A)は、ユニットごとのユニットの初期耐久残の一例を示す図である。図6(B)は、印刷ジョブに応じて、ユニットごとの耐久残の低下ポイント数の一例を示す図である。図6(C)は、印刷内容の一例であって、印刷内容として、印刷種類と印刷枚数との一例を示す図である。図6(D)は、各プリントのうち平準化処理が実行されるものと、各プリントにおける現在のユニットの耐久残との一例を示す図である。図7は、本開示を適用した実施形態1に係るユニットのメンテナンスタイミングの一例を示す図である。図7の一例では、図6に示すプリンタ群ごとの各種条件が前提となる。
【0038】
図7(A)は、平準化処理が実行されないプリンタ(3)及びプリンタ(4)について、時間の経過と共に変動するユニットの耐久残の一例を示す図である。図7(B)は、平準化が実行されるプリンタ(5)及びプリンタ(6)について、時間の経過と共に変動するユニットの耐久残の一例を示す図である。通常、図7(A)に示すように、メンテナンスタイミングは、使用環境又は送信されてくる印刷ジョブの内容により異なる。例えば、温度及び湿度等により各ユニットの耐久状態は変わる。また、送信されてくる印刷ジョブの内容によりトナーの使用量が変わるため、送信されてくる印刷ジョブの内容により各ユニットの耐久状態は変わる。よって、図7(A)に示すように、プリンタ(3)及びプリンタ(4)の何れにおいても、感光ドラム及び定着部60のそれぞれのメンテナンスタイミングは不揃いとなる。メンテナンスの対象となるユニットが、感光ドラム又は定着部60であるため、メンテナンスタイミングは、感光ドラム又は定着部60の交換タイミングとなる。よって、交換タイミングの都度、マシンをダウンさせるため、マシンダウンタイムが増加する。さらに、交換タイミングの都度、サービスマンが現地に訪問するため、サービスコストも増加する。一方、図7(B)においては、メンテナンスタイミングが同一時期に揃えられている。ここで、時期とは、ある一点の時間だけでなくサービスマンが作業するために訪問先に滞在している時間、すなわち、ある一定の時間幅が許容されるものである。図7(B)に示すように、プリンタ(5)及びプリンタ(6)の何れにおいても、感光ドラム及び定着部60のメンテナンスタイミングの時期を合わせることができている。よって、交換タイミングの都度、マシンをダウンさせているが、交換タイミングそのものが減っているため、総マシンダウンタイムは抑制されている。つまり、平準化処理が、画像不良のリスクを1台にまとめるだけでなく、ダウンタイムを最小限に抑制する。さらに、交換タイミングそのものが減っているため、サービスマンが現地に訪問する回数も減り、サービス作業時間も減っている。よって、サービスコストは低下する。
【0039】
以上の説明から、本実施形態においては、画像形成装置3のうち、ユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いが小さい方に印刷ジョブが割り当てられる。よって、印刷ジョブの割り当てられた画像形成装置3におけるユニットのそれぞれの耐久残が平準化されるため、画像形成装置3における複数のユニットのメンテナンスタイミングのずれを抑制することができる。したがって、1つの画像形成装置3における複数のユニットのメンテナンスタイミングを同じ時期に実施できるため、サービスマンが現場に出向くことが減りつつ、交換作業により画像形成装置3の使用を中断させる回数も減らすことができる。この結果、サービスコストを低下させ、且つマシンダウンタイムを抑制することができる。
【0040】
換言すれば、1台の画像形成装置3の中で、ユニットごとのメンテナンスタイミングを揃えることで、サービスマンの1回の訪問で複数のユニットの交換が可能となるため、サービス訪問回数が減少し、マシンダウンタイムが抑制される。よって、サービスコストを低下させ、且つマシンダウンタイムを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態においては、印刷ジョブに対応する負荷情報に基づき、ユニットのそれぞれの耐久残が求められる。よって、印刷ジョブごとにユニットの耐久残を求めることができるため、印刷ジョブごとに処理を実行することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、ばらつき度合いは、ユニットのそれぞれの耐久残の標準偏差σである。よって、ばらつき度合いが的確に現れるため、複数のユニットの耐久残の平準化に適した画像形成装置3が選択可能となる。
【0043】
また、本実施形態においては、画像形成装置3のうち、標準偏差σが最も小さい方に印刷ジョブが割り当てられる。よって、ユニットの耐久残のばらつきが小さい方の画像形成装置3が適切に選択されるため、1つの画像形成装置3におけるユニットのメンテナンスタイミングの時期を合わせることができる。
【0044】
また、本実施形態においては、ユニットのそれぞれのうち、一つが感光ドラムに該当し、他の一つが定着部60に該当する。よって、感光ドラム及び定着部60の消耗状態に応じて印刷ジョブを割り当てることができる。感光ドラム及び定着部60は、外添剤の影響により耐久残が変わる。外添剤は、印刷ジョブが文字ジョブであれば少なく、印刷ジョブが画像ジョブであれば多い。文字ジョブは、低カバレッジであるため外添剤が少なく、感光ドラムにとっては不利であり、定着ユニットにとっては有利である。画像ジョブは、中カバレッジであるため外添剤が多く、感光ドラムにとっては有利であり、定着ユニットにとっては不利である。したがって、文字ジョブ又は画像ジョブの影響を受けるユニットにつき、耐久残を正確に監視することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、印刷ジョブで特定されるカバレッジに応じて、負荷情報が決定される。よって、カバレッジにより耐久残の影響を受けるユニットであれば、負荷情報が的確に定まるため、負荷情報の精度を上げることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、サーバー9は、制御部710の各種処理を実行可能である。よって、それぞれの画像形成装置3のハードウェアを変更しなくてもばらつき度合いを求める処理が組み込まれるため、拡張性の高いシステムを構築することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、制御部710の各種処理は、複数の画像形成装置3のうち少なくとも1つが実行可能である。よって、システム全体として大幅な変更をしなくてもばらつき度合いを求める処理が組み込まれるため、拡張性の高いシステムを構築することができる。
【0048】
実施形態2.
実施形態2は、実施形態1と同様の構成及び機能についての説明は省略する。実施形態2は、平準化処理の他の一例であり、実施形態1におけるステップS11~ステップS17、ステップS21、及びステップS22の処理が共通である。実施形態2は、実施形態1におけるステップS18~ステップS20の処理とは異なる処理を実行する。具体的には、制御部710は、標準偏差σのうち、印刷ジョブを実行前よりも実行後の方が小さい方に印刷ジョブを割り当てる。図8は、本開示を適用した実施形態2に係る制御例を説明するフローチャートである。
【0049】
ステップS41において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、負荷情報に基づき、印刷ジョブ実行前の場合における画像形成装置3に含まれる複数のユニットのそれぞれの耐久残を求める。ステップS42において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、印刷ジョブの実行前の場合における複数のユニットのそれぞれの耐久残の標準偏差σを演算する。ステップS43において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、負荷情報に基づき、印刷ジョブ実行後の場合における画像形成装置3に含まれる複数のユニットのそれぞれの耐久残を求める。ステップS44において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、印刷ジョブの実行後の場合における複数のユニットのそれぞれの耐久残の標準偏差σを演算する。ステップS45において、制御部710は、印刷ジョブ実行後の方が標準偏差σが小さい画像形成装置3があるか否かを判定する。制御部710は、印刷ジョブ実行後の方が標準偏差σが小さい画像形成装置3があると判定する場合(ステップS45;Y)、ステップS46の処理に移行する。ステップS46において、制御部710は、印刷ジョブ実行後の方が標準偏差σが小さい画像形成装置3を選択する。ステップS47において、制御部710は、選択した画像形成装置3のうち、標準偏差σが最も小さい方に印刷ジョブを割り当て、平準化処理を終了する。一方、制御部710は、印刷ジョブ実行後の方が標準偏差σが小さい画像形成装置3がないと判定する場合(ステップS45;N)、ステップS48の処理に移行する。ステップS48において、制御部710は、印刷ジョブ実行後の画像形成装置3のうち、標準偏差σが最も小さい方に印刷ジョブを割り当て、平準化処理を終了する。つまり、本実施形態においては、判定基準として、印刷ジョブ実行前の標準偏差σが印刷ジョブ実行後の標準偏差σよりも大きいか否かの処理が追加される。
【0050】
以上の説明から、本実施形態においては、印刷ジョブを実行前よりも実行後の方が標準偏差σが小さい方に印刷ジョブが割り当てられる。よって、印刷ジョブを実行後にユニットの耐久残のばらつきが小さい方の画像形成装置3が選択されるため、選択された画像形成装置3におけるばらつき度合いをさらに低減させることができる。よって、ユニットのメンテナンスタイミングの時期をさらに合わせていくことができる。
【0051】
実施形態3.
実施形態3において、実施形態1及び実施形態2と同様の構成及び機能についての説明は省略する。実施形態3は、資材もユニットとして平準化処理を実行する点が、実施形態1及び実施形態2と異なる。図9は、本開示を適用した実施形態3に係る制御例を説明するフローチャートである。ステップS61~ステップS72の処理は、平準化処理である。ステップS61~ステップS67、ステップS70、ステップS71、及びステップS72の処理は、ステップS11~17、ステップS20、ステップS21、及びステップS22の処理と同様であるため、その説明については省略する。ステップS68において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、負荷情報に基づき、画像形成装置3に含まれる複数の資材のそれぞれの耐久残を求める。ステップS69において、制御部710は、画像形成装置3ごとに、複数の資材のそれぞれの耐久残の標準偏差σを演算する。
【0052】
以上の説明から、本実施形態においては、ユニットは、資材が含まれ、資材は、トナー及び用紙Pの少なくとも一方が該当する。よって、トナー及び用紙Pの消耗状態に応じて印刷ジョブを割り当てることができる。なお、本実施形態においては、メンテナンスの対象となるユニットは、トナー及び用紙Pの少なくとも一方である。よって、メンテナンスタイミングは、トナー及び用紙Pの少なくとも一方の補充タイミングである。つまり、本実施形態においては、各ユニットの補充タイミングを同一時期に合わせることができる。
【0053】
実施形態4.
実施形態4において、実施形態1~実施形態3と同様の構成及び機能についての説明は省略する。実施形態4は、平準化処理の対象となるユニットが多い場合、ユニットのそれぞれの耐久残に応じてグルーピングすることにより、ユニットのそれぞれの耐久残が少ないグループと、ユニットのそれぞれの耐久残が多いグループとがグループ分けされる。実施形態4は、ユニットのそれぞれの耐久残が少ないグループに平準化処理を実行する。具体的には、制御部710は、ユニットのそれぞれのうち、ユニットのそれぞれの耐久残と、ユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いと、ユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いの判定基準と、に基づき選ばれたものにつき、ユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いを求める。
【0054】
図10は、本開示を適用した実施形態4に係る制御例を説明するフローチャートである。ステップS91~ステップS98の処理は、平準化対象ユニットを指定する指定処理であって、アプリケーション721として実装可能である。指定処理は、今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの2倍以上になるか否かをばらつき度合いのグループ分けの判定基準として使用するが、特にこれに限定されない。今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの3倍以上になるか否かをばらつき度合いのグループ分けの判定基準として使用してもよい。図11は、本開示を適用した実施形態4に係るユニットのグルーピングの一例を示す図である。図11(A)は、画像形成装置3に含まれる複数のユニットが、それぞれのユニットの耐久残の降順に並べ替えられた一例を示す図である。図11(B)は、カウンターiが2であるときのユニットの耐久残の標準偏差σの一例を示す図である。図11(C)は、カウンターiが3であるときのユニットの耐久残の標準偏差σの一例を示す図である。図11(D)は、カウンターiが4であるときのユニットの耐久残の標準偏差σの一例を示す図である。図11(E)は、カウンターiが5であるときのユニットの耐久残の標準偏差σの一例を示す図である。図11(F)は、カウンターiが6であるときのユニットの耐久残の標準偏差σの一例を示す図である。図11(G)は、各ユニットがグルーピングされた一例を示す図である。
【0055】
ステップS91において、制御部710は、ユニット数が閾値以上であるか否かを判定する。制御部710は、ユニット数が閾値以上であると判定する場合(ステップS91;Y)、ステップS92の処理に移行する。制御部710は、ユニット数が閾値未満であると判定する場合(ステップS91;N)、指定処理を終了する。なお、閾値は例えば10であるが、特にこれに限定されない。ステップS92において、制御部710は、ユニットをユニットの耐久残の降順に並べ替える。例えば、図11(A)に示すように、ユニットと、ユニットの耐久残との組となるデータがユニットの耐久残の降順に並べ替えられる。ステップS93において、制御部710は、カウンターiに2を入れる。ステップS94において、制御部710は、ユニットの耐久残の小さいものからカウンターiの個数分までのユニットの耐久残の標準偏差σを演算する。例えば、図11(B)に示すように、2個のユニットの耐久残の標準偏差σが7.1となる。
【0056】
ステップS95において、制御部710は、前回演算した標準偏差σがあるか否かを判定する。制御部710は、前回演算した標準偏差σがあると判定する場合(ステップS95;Y)、ステップS96の処理に移行する。制御部710は、前回演算した標準偏差σがないと判定する場合(ステップS95;N)、ステップS97の処理に移行する。ステップS96において、制御部710は、今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの2倍以上になるか否かを判定する。制御部710は、今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの2倍以上になると判定する場合(ステップS96;Y)、ステップS98の処理に移行する。ステップS98において、制御部710は、カウンターi-1の個数分までのユニットを平準化対象ユニットに指定し、指定処理を終了する。例えば、図11(F)に示す標準偏差σが66.8であり、図11(E)に示す標準偏差σが15.8である。よって、図11(G)に示すように、5個のユニット、すなわち、ユニット(6)~ユニット(10)がグループ(B)として平準化対象ユニットに指定される。一方、制御部710は、今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの2倍未満であると判定する場合(ステップS96;N)、ステップS97の処理に移行する。ステップS97において、制御部710は、カウンターiを1だけインクリメントし、ステップS94の処理に戻る。例えば、図11(B)~図11(E)のそれぞれに示す一例では、今回演算した標準偏差σが前回演算した標準偏差σの2倍以上とはならない。
【0057】
以上の説明から、本実施形態においては、ユニットのそれぞれのうち、耐久残と、ばらつき度合いと、ばらつき度合いのグループ分けの判定基準と、に基づき選ばれたものにつき、ばらつき度合いを求める。よって、複数のユニットの全てではなく、ばらつき度合いのグループ分けの判定基準で選ばれたユニットについてのばらつき度合いを求めればよい。したがって、演算コストを抑えて処理を実行することができる。
【0058】
以上、本開示を適用した画像形成システム1を実施形態に基づいて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0059】
例えば、本実施形態においては、図5及び図8図10に示す各種処理が制御装置7に実装されている一例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、ステップS11~ステップS22、ステップS41~ステップS48、ステップS61~ステップS72、及びステップS91~ステップS98のような上記各種処理は、アプリケーション721として画像形成装置3又はサーバー9に実装されていてもよい。例えば、画像形成装置3に上記各種処理が含まれる場合、制御部100は、自機の画像形成装置3と、他機の画像形成装置3とを識別すればよい。具体的には、制御部100は、他機の画像形成装置3及び自機の画像形成装置3のそれぞれにおいて、他機の画像形成装置3と、自機の画像形成装置3と、のそれぞれに含まれる少なくとも2つのユニットの耐久残のばらつき度合いをそれぞれ求めればよい。制御部100は、他機の画像形成装置3及び自機の画像形成装置3のうち、ばらつき度合いが最も小さい方に印刷ジョブを割り当てるようにすればよい。また、図示は省略したが、上記各種処理が実装されているスマートフォン等を介して、上記各種処理が実行されてもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、ユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いとして、ユニットの耐久残の標準偏差σが使用される一例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、マハラノビス距離によりユニットのそれぞれの耐久残のばらつき度合いを求めてもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、画像形成装置3がMFPから構成される一例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、画像形成装置3が複写機から構成されてもよい。この場合、複写機に含まれるユニットに上記平準化処理が適用される。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成システム、2 ネットワーク、3 画像形成装置
4 ゲートウェイサーバー、6 ハブ、7 制御装置、710 制御部
711 CPU、712 RAM、713 ROM
720 記憶部、721 アプリケーション
723 アプリケーションプログラミングインターフェース
725 オペレーティングシステム
730 表示部、740 操作部、750 通信部
8 ストレージ装置、9,9A,9B サーバー
10 画像読取部、11 自動原稿送り装置、12 原稿画像走査装置
100 制御部、20 操作表示部、21 表示部、22 操作部
30 画像処理部、40 画像形成部、50 用紙搬送部、
51 給紙部、52 排紙部、53 搬送経路部、60 定着部
P 用紙、σ 標準偏差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11