(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】載置装置、板材セット装置、板材変形方法および板材セット方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20221012BHJP
B65B 5/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B42D15/00 341E
B65B5/00
(21)【出願番号】P 2018143745
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 遊馬
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-008684(JP,A)
【文献】特開平06-278886(JP,A)
【文献】特開2008-005871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
B65B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持板材を台座板材に重ねるとともに前記被保持板材の角部を前記台座板材の差込口に挿通することによって前記台座板材に前記被保持板材を保持させるために、前記台座板材が載置される載置装置であって、
前記台座板材のうち中央領域が載置される中央載置部と、
前記中央載置部の基準載置面に対して突出するか又は後退するとともに前記台座板材のうち外周領域が載置される外周載置部と、
前記中央載置部および前記外周載置部に対して前記台座板材を沿わせて反り変形させることで前記差込口を開口させる変形手段と、を備えることを特徴とする載置装置。
【請求項2】
前記外周載置部は、前記基準載置面に対して後退し、
前記中央載置部と前記外周載置部との境界が、前記差込口よりも外側に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項3】
前記外周載置部は、前記基準載置面に対して突出し、
前記中央載置部と前記外周載置部との境界が、前記差込口上又は前記差込口よりも内側に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項4】
前記外周載置部は、前記基準載置面に対して後退するとともに、前記基準載置面に対して突出した第2外周載置部を有する取付部材が着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項5】
前記中央載置部において、前記台座板材のうち前記差込口の内側部分を前記基準載置面よりも後退するように変形させる内側変形手段をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項6】
前記変形手段は、前記台座板材に対し、前記被保持板材の反対側から吸着して力を付与することで反り変形させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の載置装置と、
前記被保持板材を湾曲させて保持する湾曲保持手段と、
前記載置装置と前記湾曲保持手段とを相対移動させる移動手段と、を備え、
反り変形した前記台座板材の前記差込口と、湾曲した前記被保持板材の前記角部と、を位置合わせし、前記被保持板材の湾曲を低減することにより、前記角部を前記差込口に挿通することを特徴とする板材セット装置。
【請求項8】
前記湾曲保持手段は、間隔をあけて配置された一対の押さえ部と、該一対の押さえ部の間において前記被保持板材を吸着保持する吸着保持部と、前記押さえ部と前記吸着保持部とを相対移動させることで前記被保持板材を湾曲させる湾曲移動部と、を有し、
前記押さえ部のうち、前記被保持板材と接触する部分は、前記被保持
板材よりも摩擦係数が低くなるように構成され、
前記押さえ部と前記台座板材とによって前記被保持板材を挟み込んだ状態において前記被保持板材の湾曲を低減することを特徴とする請求項7に記載の板材セット装置。
【請求項9】
被保持板材を台座板材に重ねるとともに前記被保持板材の角部を前記台座板材の差込口に挿通することによって前記台座板材に前記被保持板材を保持させるために、前記台座板材を変形させる板材変形方法であって、
中央載置部と、該中央載置部の基準載置面に対して突出するか又は後退した外周載置部
と、を備える載置台を用い、
前記台座板材のうち中央領域を前記中央載置部に載置するとともに、外周領域を前記外周載置部に載置し、前記台座板材を前記中央載置部および前記外周載置部に対して沿わせて反り変形させることで前記差込口を開口させることを特徴とする板材変形方法。
【請求項10】
被保持板材を台座板材に重ねるとともに前記被保持板材の角部を前記台座板材の差込口に挿通することによって、前記台座板材に前記被保持板材を保持させる板材セット方法であって、
前記台座板材を反り変形させることで前記差込口を開口させる反り変形工程と、
前記被保持板材を湾曲させて保持する保持工程と、
反り変形した前記台座板材と湾曲した前記被保持板材とを相対移動させることにより前記差込口と前記角部とを位置合わせする移動工程と、
前記差込口と前記角部とが位置合わせされた状態で前記被保持板材の湾曲を低減することにより前記角部を前記差込口に挿通する挿通工程と、を含むことを特徴とする板材セット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置装置、板材セット装置、板材変形方法および板材セット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばプリペイドカード等の贈答用カード(板材)を送付する際、カードの保護や装飾を目的として、台紙にセットされることがある。即ち、予めスリット等の差込口が形成された台紙を用い、カードの角部を差込口に挿通することにより、台紙によってカードが保持される。このようにカードを台紙にセットする際、特にカードの枚数が多い場合、セット作業の自動化が望まれていた。
【0003】
このようにカードを台紙に保持させる方法として、カードを湾曲させて保持し、カードの角部を台紙の嵌め込み穴(差込口)に差し込む方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された方法では、角部を嵌め込み穴に差し込んだ状態でカードを離すことにより、カードを弾性によって初期形状に復帰させ、角部を嵌め込み穴に係合させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたようにカードを台紙に保持させる方法では、カードの角部を嵌め込み穴に位置合わせすることが困難であり、差込不良が生じることがあった。そこで、嵌め込み穴を大きくすることにより、角部の差込を容易にする対応が考えられるものの、嵌め込み穴を大きくすると保持力が低下し、カードの脱落やガタツキの要因となり得る。即ち、差込作業を容易にすることと、保持力を確保することと、を両立することは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、台座板材に被保持板材を容易に保持させることができるとともに保持力を確保することができる載置装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、被保持板材を台座板材に重ねるとともに前記被保持板材の角部を前記台座板材の差込口に挿通することによって前記台座板材に前記被保持板材を保持させるために、前記台座板材が載置される載置装置であって、前記台座板材のうち中央領域が載置される中央載置部と、前記中央載置部の基準載置面に対して突出するか又は後退するとともに前記台座板材のうち外周領域が載置される外周載置部と、前記中央載置部および前記外周載置部に対して前記台座板材を沿わせて反り変形させることで前記差込口を開口させる変形手段と、を備えることを特徴とする載置装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の載置装置によれば、中央載置部および外周載置部に対して台座板材を沿わせて反り変形させ、差込口を開口させることにより、被保持板材の角部が差込口に挿通しやすくなり、台座板材に被保持板材を容易に保持させることができる。また、挿通後に台座板材を反り変形を低減する(元の形状に復元させる)ことにより、差込口が閉じ、台座板材による被保持板材の保持力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る板材セット装置によってセットされる被保持板材および台座板材の一例を示す平面図である。
【
図2】前記板材セット装置によってセットされる被保持板材および台座板材の他の一例を示す平面図である。
【
図3】前記板材セット装置の載置装置を示す斜視図である。
【
図7】前記載置装置に前記台座板材が載置された様子を示す平面図である。
【
図9】前記載置装置によって前記台座板材を変形させた様子を示す断面図である。
【
図10】前記載置装置によって前記台座板材をさらに変形させた様子を示す断面図である。
【
図11】前記板材セット装置の搬送装置を示す正面図である。
【
図13】前記搬送装置を前記被保持板材に対向させた様子を示す正面図である。
【
図14】前記搬送装置を前記被保持板材に接近させた様子を示す正面図である。
【
図15】前記搬送装置によって前記被保持板材を保持した様子を示す正面図である。
【
図16】前記搬送装置によって前記被保持板材を湾曲させた様子を示す正面図である。
【
図17】前記搬送装置を前記載置装置に対向させた様子を示す断面図である。
【
図18】前記被保持板材を前記台座板材に重ねた様子を示す断面図である。
【
図19】前記被保持板材の角部を前記台座板材の差込口に挿通する様子を示す断面図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係る板材セット装置によってセットされる被保持板材および台座板材の一例を示す平面図である。
【
図21】前記板材セット装置の載置装置を示す斜視図である。
【
図22】前記載置装置の取付部材を示す斜視図である。
【
図24】前記載置装置に前記台座板材が載置された様子を示す平面図である。
【
図26】前記載置装置によって前記台座板材を変形させた様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。尚、第2実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態の板材セット装置は、例えば
図1、2に示すように台紙(台座板材)100A、100Bにカード(被保持板材)200を保持させる(セットする)ためのものであって、
図3~6に示すような載置装置(載置台)2Aと、
図11、12に示すような搬送装置3と、を備える。
【0011】
台紙100A、100Bは長方形の薄板状に形成され、四隅の近傍にスリット(切り込み)状の差込口が形成されている。台紙100Aには、内側(角部とは反対側)に向かって凸の円弧状の差込口101が形成されている。台紙100Bには、内側に向かって凸の円弧と、この円弧の両端に連続するとともに台紙100Bの外縁に沿って延びる直線と、によって構成されるスリット状の差込口102が形成されている。
【0012】
カード200は、台紙100A、100Bよりも小さい長方形の薄板状に形成され、台紙100A、100Bの第1面103に重ねられるとともに、角部201が差込口101、102に挿通される。即ち、カード200のうち角部201以外の部分が第1面103に重ねられ、角部201が反対側の第2面に重ねられる。
【0013】
カード200は、例えば通話用や購買用のプリペイドカードであって、ポリエステルやポリイミド等の合成樹脂によって構成されていてもよいし、鉄やアルミニウム、ステンレス、銅等の金属材料によって構成されていてもよいし、パルプ等の植物繊維によって構成されていてもよい。また、台紙100A、100Bも同様に、合成樹脂、金属材料又は植物繊維のいずれによって構成されていてもよい。尚、カード200はいずれの台紙100A、100Bに保持されてもよいが、以下では台紙100Aによる保持について説明する。
【0014】
[載置装置]
載置装置2Aは、載置台本体21と、内側吸着手段22と、外側吸着手段23と、を備える。
【0015】
載置台本体21は、例えばアクリルニトリルブタジエンスチレンやポリカーボネート等の合成樹脂又は金属材料によって構成され、中央載置部211と、4つの外周載置部212と、を有する。以下では、平坦な中央載置部211がXY平面に沿うものとし、XY平面に略直交する方向をZ方向とする。また、Z方向において、載置台本体21を基準として台紙100Aが載置される側を上側とし、その反対側を下側とする。
【0016】
載置台本体21は、Z方向から見て長方形状に形成されており、その四隅に三角形状の外周載置部212が配置されている。これにより、中央載置部211は八角形状に形成されている。中央載置部211と外周載置部212との間には、直線状の稜線213が形成されている。
【0017】
中央載置部211は、XY平面に沿うとともに平坦な基準載置面S1を有しており、それぞれの稜線213の近傍には、貫通孔214が形成されている。
【0018】
外周載置部212は、基準載置面S1に対して傾斜角度θ1を有して傾斜した平面を有しており、傾斜角度θ1は例えば5~50°程度であればよい。尚、4つの外周載置部212の傾斜角度は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0019】
外周載置部212は、基準載置面S1に対して下側に後退している。即ち、台紙100Aに対し、中央載置部211及び外周載置部212が凸形状となっている。4つの外周載置部212のそれぞれには、貫通孔215が形成されている。貫通孔214と貫通孔215とによって稜線213が挟み込まれている。
【0020】
内側吸着手段22は、4つの吸着部221と、4つの吸着部221を連結する連結部222と、連結部222をZ方向に移動させる駆動部と、を有する。4つの吸着部221は、それぞれ4つの貫通孔214内に配置され、Z方向に沿って移動可能となっている。吸着部221は、例えばゴム製の接触部を有するとともに減圧(吸引)によって吸着可能なものであればよい。
【0021】
外側吸着手段23は、4つの吸着部231と、4つの吸着部231を連結する連結部232と、連結部232をZ方向に移動させる駆動部と、を有する。4つの吸着部231は、それぞれ4つの貫通孔215内に配置され、Z方向に沿って移動可能となっている。吸着部231は、例えばゴム製の接触部を有するとともに減圧(吸引)によって吸着可能なものであればよい。
【0022】
ここで、載置装置2Aに台紙100Aを載置して変形させる手順について、
図7~10を参照して説明する。
【0023】
まず、
図7、8に示すように、台紙100Aを載置台本体21に載置する。このとき、Z方向から見て稜線213が円弧状の差込口101の両端近傍を通過する。即ち、中央載置部211と外周載置部212との境界が、差込口101よりも外側に設定されている。台紙100Aのうち稜線213よりも内側の領域が中央領域105となり、外側の領域が外周領域106となる。中央領域105において、台紙100Aの第2面104が中央載置部211に接触する。
【0024】
次に、外側の吸着部231によって外周領域106を吸着保持し、連結部232を下側に移動させる。これにより、
図9に示すように、外周領域106が外周載置部212に沿う。即ち、台紙100Aのうち中央領域105が中央載置部211に載置されるとともに、外周領域106が外周載置部212に載置されることにより、台紙100Aが稜線213に沿って屈曲され、上側に凸に反り変形する。
【0025】
円弧状の差込口101の中央部(先端)は、稜線213よりも内側に位置していることから、差込口101の先端において中央領域105の端縁よりも外周領域106の端縁の方が上方に位置し、XY平面に沿った方向から見て差込口101が開口する。このように、外側吸着手段23は、中央載置部211および外周載置部212に対して台紙100Aを沿わせて反り変形させることで差込口101を開口させ、変形手段として機能する。
【0026】
次に、内側の吸着部221によって中央領域105を吸着保持し、連結部222を下側に移動させる。これにより、
図10に示すように、中央領域105のうち差込口101近傍の部分が貫通孔214内に入り込む。即ち、差込口101において中央領域105の端縁と外周領域106の端縁とがさらに離れ、差込口101の開口が大きくなる。
【0027】
このように、内側吸着手段22は、中央載置部211において、台紙100Aのうち差込口101の内側部分を基準載置面S1よりも後退させるように変形させ、内側変形手段として機能する。尚、吸着部221、231の頭部は、台紙100Aの変形に応じて首振り可能に構成されていることが好ましい。
【0028】
[搬送装置]
搬送装置3は、カード200を湾曲させて保持する湾曲保持手段31と、湾曲保持手段31を移動させる移動手段と、を備える。
【0029】
湾曲保持手段31は、ベース部310と、一対の押さえ部311と、吸着保持部312と、湾曲移動部313と、を有する。一対の押さえ部311は互いに間隔を空けて配置され、以下ではこの対向方向をx方向とし、x方向と直交する2方向をそれぞれy方向およびz方向とする。
【0030】
押さえ部311は、y方向から見て四角形状に形成されるとともに、下側(カード200と接触する側)の角部が面取りされている。さらに、押さえ部311は、カード200と接触する部分(接触部)に低摩擦化処理が施されており、接触部の摩擦係数が、カード200の摩擦係数よりも低くなっている。低摩擦化処理としては、接触部をフッ素樹脂等の摺動部材(摩擦係数が小さい部材)によって構成する処理と、接触部に研磨等を施すことで平滑化する処理と、が例示される。尚、押さえ部の全体が摺動部材によって構成されてもよいし、接触部のみが摺動部材によって構成されてもよい。
【0031】
吸着保持部312は、例えばゴム製の接触部を有するとともに減圧(吸引)によって吸着可能なものであればよく、ベース部310の下端に固定されるとともに、y方向から見て一対の押さえ部311の間に配置されている。図示の例では、y方向に並んだ2つの吸着保持部312が設けられており、吸着保持部312は、x方向において一対の押さえ部311に挟み込まれていない。このように複数の吸着保持部312を設けることにより、カード200を保持した際に、吸着保持部312を中心としてカード200が回転してしまうことを抑制することができる。
【0032】
湾曲移動部313は、ベース部310に固定され、押さえ部311をz方向に移動させる。これにより、押さえ部311と吸着保持部312とがz方向に相対移動するようになっている。尚、吸着保持部を移動させる湾曲移動部を設けてもよい。
【0033】
ここで、搬送装置3によってカード200を保持する手順について、
図13~16を参照して説明する。
【0034】
まず、
図13に示すように湾曲保持手段31をカード200の束の上方に位置付ける。次に、
図14に示すように、移動手段によって湾曲保持手段31全体をz方向に下降させ、吸着保持部312をカード200に接触させる。吸着保持部312によってカード200を吸着保持し、
図15に示すように移動手段によって湾曲保持手段31全体をz方向に上昇させることで、1枚のカード200が保持される。
【0035】
次に、
図16に示すように湾曲移動部313によって押さえ部311をz方向に下降させることで、カード200が押さえ部311に当接し、カード200のうち一対の押さえ部311の近傍および外側部分が下降する。これにより、搬送装置3によってカード200が湾曲した状態で保持される。尚、長方形状のカード200は、長手方向がx方向に向けられていてもよいしy方向に向けられていてもよい。
【0036】
吸着保持部312によってカード200を吸着保持する際、カード200同士が静電気等によって密着し、複数枚のカード200が持ち上げられてしまうことがある。カード200を湾曲させる際、最も上側のカード200のみが変形することで、その下側のカードが落下し、1枚のカード200のみが保持されるようになる。
【0037】
[カードの台紙へのセット方法]
上記のような載置装置2Aと搬送装置3とを備えた板材セット装置1によってカード200を台紙100Aに保持させる手順について、
図17~19を参照して説明する。
【0038】
まず、上記のように載置装置2Aに台紙100Aを載置して反り変形させる。尚、
図17に示す例では、内側吸着手段22によって台紙100Aを変形させていないが、
図10に示すように内側吸着手段22によって台紙100Aを変形させてもよい。
【0039】
さらに、上記のように搬送装置3によってカード200を湾曲させて保持し、移動手段によって湾曲保持手段31を移動させることにより、湾曲保持手段31を載置装置2Aの上方に位置付ける。即ち、搬送装置3の移動手段が、載置装置2Aと湾曲保持手段31とを相対移動させる。尚、載置装置を移動させることで、載置装置と湾曲保持手段とを相対移動させてもよい。
【0040】
次に、
図18に示すように、搬送装置3の移動手段によって湾曲保持手段31全体を下降させる。これにより、カード200が台紙100Aの第1面103に重ねられる。さらに、カード200が押さえ部311と台紙100Aとによって挟み込まれる。このとき、カード200の角部201は、開口した差込口101の内側に位置付けられ、即ち差込口101と角部201とが位置合わせされる。
【0041】
次に、
図19に示すように、搬送装置3の移動手段によって湾曲保持手段31全体を下降させつつ、湾曲移動部313によって押さえ部311を上昇させる。即ち、押さえ部311を移動させずに吸着保持部312を下降させていく。これにより、カード200が自らの弾性によって復元していき、角部201が外側に向かって移動する。このとき、カード200と押さえ部311とが摺接する。
【0042】
カード200が復元することで、角部201が差込口101に挿通されていく。カード200が完全に復元したら、吸着保持部312による保持を解除する。さらに、吸着部231による保持を解除し、台紙100Aを復元させることで、差込口101を閉じる。これにより、台紙100Aによるカード200の保持が完了する。
【0043】
尚、上記の例では、吸着保持部312を下降させていくことでカード200を復元させるものとしたが、吸着保持部312による保持を解除することにより、カード200を復元させてもよい。また、カード200及び台紙100Aは、完全に元の形状に復元しなくてもよく、湾曲や反り変形の程度が、保持された状態よりも低減されればよい。
【0044】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、中央載置部211および外周載置部212に対して台紙100Aを沿わせて反り変形させ、差込口101を開口させることにより、カード200の角部201が差込口101に挿通しやすくなり、台紙100Aにカード200を容易に保持させることができる。また、挿通後に台紙100Aを元の形状に復元させることにより、差込口101が閉じ、台紙100Aによるカード200の保持力を確保することができる。
【0045】
また、外周載置部212が基準載置面S1に対して後退していることで、内側に凸に形成された円弧状の差込口101を開口させた際に、挿通される角部201を台紙100Aと干渉しにくくすることができる。
【0046】
また、内側吸着手段22が、台紙100Aのうち差込口101の内側部分を基準載置面S1よりも後退させるように変形させることで、差込口101の開口をさらに大きくすることができ、カード200の角部201を差込口101に挿通しやすくなる。
【0047】
また、変形手段としての外側吸着手段23が、台紙100Aに対し、カード200の反対側の面である第2面104に吸着して力を付与する、即ち引き寄せる力によって台紙100Aを反り変形させることで、搬送装置3やカード200との干渉を抑制しつつ差込口101の開口を大きくすることができる。
【0048】
また、押さえ部311のうちカード200と接触する接触部が摺動部材によって構成されていることで、カード200を復元させる際の妨げとなりにくく、カードが予期しない方向に移動することを抑制することができる。従って、角部201を差込口101に挿通しやすくすることができる。
【0049】
[第2実施形態]
本実施形態の板材セット装置は、例えば
図20に示すように台紙100Cにカード200を保持させるためのものであって、
図21~23に示すような載置装置(載置台)2Bと、前記第1実施形態と同様の搬送装置3と、を備える。
【0050】
台紙100Cは長方形板状に形成され、四隅の近傍にスリット(切り込み)状の差込口107が形成されている。差込口107は、長方形の短辺及び長辺に対して傾斜した直線状に形成されている。
【0051】
[載置装置]
載置装置2Bは、前記第1実施形態の載置装置2Aに対してアタッチメント(取付部材)4が取り付けられたものである。
【0052】
アタッチメント4は、
図22に示すように、開口部40を有して枠状に形成されている。アタッチメント4は、XY平面に沿って延びる本体板部41と、本体板部41の下面から突出して外周載置部212上に載置される脚部42と、本体板部41の上面から突出した4つの載置突起43と、を有する。アタッチメント4は、脚部42が外周載置部212上に載置されることにより、外周載置部212に着脱可能に構成されている。
【0053】
載置装置2Aに対してアタッチメント4が取り付けられると、中央載置部211が開口部40に位置付けられ、台紙100Cを中央載置部211に載置可能となる。載置突起43は、中央部から外周部に向かうにしたがって上方に向かう傾斜部を有し、本体板部41に対する傾斜角度(即ち中央載置部211に対する傾斜角度)θ2は、例えば5~50°程度であればよい。尚、4つの載置突起43の傾斜角度は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0054】
ここで、載置装置2Bに台紙100Cを載置して変形させる手順について、
図24~26を参照して説明する。
【0055】
まず、
図24、25に示すように、台紙100Cを載置台本体21及びアタッチメント4上に載置する。このとき、Z方向から見て開口部40の内周縁(即ち中央載置部211と載置突起43との境界)上に差込口107が位置する。台紙100Cのうち開口部40の内周縁よりも内側の領域が中央領域105となり、外側の領域が外周領域106となる。尚、台紙の差込口は、開口部の内周縁よりも多少内側に位置付けられてもよい。
【0056】
内側吸着手段22の吸着部221によって中央領域105を吸着することにより、台紙100Cの第2面104が中央載置部211に接触するとともに、載置突起43に接触する。即ち、載置突起43は、基準載置面S1に対して突出するとともに、台紙100Cの外周領域106が載置され、第2外周載置部として機能する。
【0057】
このように、台紙100Cが中央載置部211及び載置突起43に沿うことにより、台紙100Cが開口部40の内周縁に沿って屈曲され、下側に凸に反り変形する。このとき、載置突起43の内側の端縁は、中央載置部211よりも上方に配置されており、段差が形成されている。これにより、XY平面に沿った方向から見て差込口107が開口する。以上のように、内側吸着手段22は、中央載置部211および載置突起43に対して台紙100Cを沿わせて反り変形させることで差込口107を開口させ、変形手段として機能する。
【0058】
次に、
図26に示すように、内側吸着手段22の連結部222を下側に移動させることにより、中央領域105のうち差込口107近傍の部分が貫通孔214内に入り込む。即ち、差込口107において中央領域105の端縁と外周領域106の端縁とがさらに離れ、差込口107の開口が大きくなる。
【0059】
尚、本実施形態の板材セット装置においても、前記第1実施形態と同様に搬送装置3によってカード200を湾曲保持して位置合わせし、保持解除することで台紙100Cにカード200を保持させればよい。
【0060】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、中央載置部211および載置突起43に対して台紙100Cを沿わせて反り変形させ、差込口107を開口させることにより、カード200の角部201が差込口107に挿通しやすくなり、台紙100Cにカード200を容易に保持させることができる。また、挿通後に台紙100Cを元の形状に復元させることにより、差込口107が閉じ、台紙100Cによるカード200の保持力を確保することができる。
【0061】
また、第2外周載置部としての載置突起43が基準載置面S1に対して上方に突出していることで、直線状の差込口107を開口させやすい。
【0062】
また、載置突起43を有するアタッチメント4が外周載置部212に着脱可能であることで、差込口の形状に応じてアタッチメント4を着脱し、基準載置面S1に対して突出した外周載置部と、後退した外周載置部と、を選択することができる。
【0063】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0064】
例えば、前記第1実施形態では、変形手段としての外側吸着手段23が、引き寄せる力によって台紙100Aを反り変形させるものとしたが、台紙100Aの第1面103に押し付けるような力を加えることにより、台紙100Aを反り変形させてもよい。また、引き寄せる力と、押し付ける力と、の両方を台紙100Aに対して加えてもよい。
【0065】
また、前記第1実施形態では、内側吸着手段22が、台紙100Aのうち差込口101の内側部分を基準載置面S1よりも後退させるように変形させるものとしたが、中央載置部211及び外周載置部212に沿わせる反り変形によって差込口101が充分に開口する場合には、内側吸着手段22によって台紙100Aを変形させなくてもよいし、内側吸着手段22を省略してもよい。
【0066】
また、前記第2実施形態では、載置突起43を有するアタッチメント4が載置装置2Aに対して着脱可能であるものとしたが、載置突起は、載置装置全体に対して着脱不能に形成されていてもよい。また、このような構成では、外側吸着手段23は省略されていてもよい。
【0067】
また、前記第1実施形態では、基準載置面S1に対して後退した外周載置部212が平坦に形成されているものとしたが、基準載置面S1に対して後退した外周載置部が突起状に形成されていてもよい。
【0068】
また、前記第2実施形態では、基準載置面S1に対して突出した突起状の載置突起43が外周載置部として機能するものとしたが、基準載置面S1に対して突出した外周載置部が平坦に形成されていてもよい。
【0069】
また、前記第1実施形態では、湾曲保持手段31の押さえ部311において、カード200との接触部の摩擦係数が、カード200の摩擦係数よりも低くなっているものとしたが、例えばカード200の摺動抵抗が低い場合等、カード200が復元する際に押さえ部が妨げとなりにくい場合には、接触部の摩擦係数がカード200の摩擦係数と同等以上であってもよい。
【0070】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0071】
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0073】
[直線状の差込口]
前記第2実施形態のような板材セット装置を用い、直線状の差込口が形成された台紙によってカードを保持させた。四隅近傍に差込口が形成された台紙を用いた場合を実施例1とし、対角線上の2箇所に差込口が形成された台紙を用いた場合を実施例2とする。
【0074】
また、載置装置を利用しない場合を比較例とし、四隅近傍に差込口が形成された台紙を用いた場合を比較例1とし、対角線上の2箇所に差込口が形成された台紙を用いた場合を比較例2とする。
【0075】
実施例1では、400回の試行のうち399回で挿通(保持)に成功し(成功率99.8%)、実施例2では、400回の試行のうち400回で挿通(保持)に成功した(成功率100%)。一方、比較例1、2では成功率は0%だった。
【0076】
[湾曲保持手段の押さえ部]
湾曲保持手段の押さえ部について、摺動部材の有無および面取りの有無の条件を変更し、成功率を評価した。前記第2実施形態のような載置装置を用い、直線状の差込口が形成された台紙によってカードを保持させた。実施例3~6の条件と試験結果とを表1に示す。尚、摺動部材としてはウレタンを用い、摺動部材なしの条件においては接触部をポリアセタールによって構成した。
【0077】
【0078】
[後退した外周載置部と突出した外周載置部]
直線状の差込口が形成された台紙を用い、前記第1実施形態のような載置装置によってカードを保持させた場合を実施例7とし、前記第2実施形態のような載置装置によってカードを保持させた場合を実施例8とする。即ち、外周載置部が基準載置面に対して後退している場合を実施例7とし、突出している場合を実施例8とする。
【0079】
実施例7では、400回の試行のうち399回で挿通(保持)に成功し(成功率99.8%)、実施例8では、400回の試行のうち283回で挿通(保持)に成功した(成功率70.8%)。
【0080】
[内側変形手段の有無]
直線状の差込口が形成された台紙を用い、前記第2実施形態のような板材セット装置によってカードを保持させた。このとき、内側変形手段によって台紙を変形させた場合を実施例9とし、内側変形手段によって変形させない場合を実施例10とする。
【0081】
実施例9では、400回の試行のうち399回で挿通(保持)に成功し(成功率99.8%)、実施例10では、400回の試行のうち264回で挿通(保持)に成功した(成功率66%)。
【符号の説明】
【0082】
1 板材セット装置
2A、2B 載置装置
211 中央載置部
212 外周載置部
213 稜線(境界)
22 内側吸着手段(内側変形手段、変形手段)
23 外側吸着手段(変形手段)
31 湾曲保持手段
311 押さえ部
312 吸着保持部
313 湾曲移動部
4 アタッチメント(取付部材)
43 載置突起(第2外周載置部)
100A~100C 台紙(台座板材)
101、102、107 差込口
200 カード(被保持板材)
201 角部
S1 基準載置面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】