(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】検出装置及び検出システム
(51)【国際特許分類】
G01V 8/20 20060101AFI20221012BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20221012BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G01V8/20 P
G01J1/02 P
A01M1/00 Q
(21)【出願番号】P 2018205985
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 道明
(72)【発明者】
【氏名】久保田 修司
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-123894(JP,A)
【文献】特開平09-094048(JP,A)
【文献】特開2008-253235(JP,A)
【文献】特開2001-017053(JP,A)
【文献】特表2007-523613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0150470(US,A1)
【文献】特開2017-038071(JP,A)
【文献】特開2006-114146(JP,A)
【文献】特開2001-352503(JP,A)
【文献】特開2001-013261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0190063(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104520146(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
A01M 1/00-99/00
G01J 1/00-1/60,11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を備え、前記筐体内の物体を検出する検出装置であって、
前記筐体内に赤外線を出射する第一光源と、
前記筐体内に
前記赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源と、
前記筐体内に位置し、前記筐体の内面よりも高い光の反射率を有する反射部と、
前記赤外線を検出する光検出部と、
前記光検出部の検出結果を示す情報である検出情報を出力する出力部とを備え、
前記内面が
前記赤外線に反応しない反射率であ
って、
前記第二光源は、前記反射部に向かって前記赤外線と異なる波長の前記光を出射するように方向付けられ、
前記光検出部は、前記物体で反射された前記赤外線を検出する
検出装置。
【請求項2】
前記赤外線に反応しない反射率は、0.1%未満の反射率である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記内面は、互いに対向する第一内面及び第二内面を含み、
前記反射部は、前記第二内面に配置され、
前記第二光源は、前記第二内面に向かって
前記光を出射するように方向付けられている
請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記第一内面上への
前記物体が出入りを可能にする開口部を有し、
前記反射部は、前記開口部に沿って配置されている
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記第一内面から突出し且つ前記開口部に沿って延びる隆起部を有し、
前記隆起部は
前記赤外線に反応しない反射率である
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第一光源は、前記第一内面及び前記第二内面に沿う第一方向へ
前記赤外線を出射するように方向付けられている
請求項3~5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記内面における前記第一内面と前記第二内面との間の第三内面は、前記第一方向と垂直な方向に対して傾斜している
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記検出装置は、前記光検出部の検出結果を用いて、検出された
前記物体の大きさを検出する寸法検出部をさらに備え、
前記出力部は、前記寸法検出部によって検出された
前記物体の大きさを含む前記検出情報を出力する
請求項1~7のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記検出装置の位置を検出する位置検出部と、
時刻を計時する計時部とをさらに備え、
前記出力部は、前記位置検出部によって検出された位置と前記計時部によって検出された時刻とを対応付けて含む前記検出情報を出力する
請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記筐体内の環境の情報を検出する環境検出部をさらに備え、
前記出力部は、前記環境検出部によって検出された環境の情報を含む前記検出情報を出力する
請求項1~9のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項11】
筐体を備え、前記筐体内の物体を検出する検出装置と、該検出装置と通信する情報処理装置とを有する検出システムであって、
前記検出装置は、
前記筐体内に赤外線を出射する第一光源と、
前記筐体内に
前記赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源と、
前記筐体内に位置し、前記筐体の内面よりも高い光の反射率を有する反射部と、
前記赤外線を検出する光検出部と、
前記光検出部の検出結果を示す情報である検出情報を出力する出力部とを備え、
前記内面が
前記赤外線に反応しない反射率であり、
前記第二光源は、前記反射部に向かって前記赤外線と異なる波長の前記光を出射するように方向付けられ、
前記光検出部は、前記物体で反射された前記赤外線を検出し、
前記情報処理装置は、
前記検出装置から取得される前記検出情報を集約する集約部と、
集約された前記検出情報を出力する出力部とを備える
検出システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記検出装置から取得される前記検出情報を用いて、前記検出装置の検出を予測する予測部をさらに備える
請求項11に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線(「赤外光」とも呼ばれる)を出射し、検知される赤外線の反射光に基づきセンシング結果を出力する検出装置が知られている。
【0003】
例えば、赤外線の受光量の変化を検知したときに異常を検出する異常検出装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1の異常検出装置は、監視対象物を監視する監視センタシステムに監視要因の状況変化を通報する。そして、異常検出装置は、赤外線の受光量の変化を検知し、且つ、当該検知の前又は後の所定の期間内に振動を検知した場合、異常を検出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、赤外線は、人、動物、建物の壁又は柱等の様々な物体で反射し得る。特許文献1の異常検出装置は、監視対象物以外の物体で反射した赤外線を受光し、異常を検出する場合がある。つまり、特許文献1の異常検出装置は、不要な赤外線の反射光を誤検出するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示の検出装置及び検出システムは、誤検出を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による検出装置は、筐体を備え、前記筐体内の物体を検出する検出装置であって、前記筐体内に赤外線を出射する第一光源と、前記筐体内に前記赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源と、前記筐体内に位置し、前記筐体の内面よりも高い光の反射率を有する反射部と、前記赤外線を検出する光検出部と、前記光検出部の検出結果を示す情報である検出情報を出力する出力部とを備え、前記内面が前記赤外線に反応しない反射率であって、前記第二光源は、前記反射部に向かって前記赤外線と異なる波長の前記光を出射するように方向付けられ、前記光検出部は、前記物体で反射された前記赤外線を検出する。
【0007】
本発明の一実施形態による検出システムは、筐体を備え、前記筐体内の物体を検出する検出装置と、該検出装置と通信する情報処理装置とを有する検出システムであって、前記検出装置は、前記筐体内に赤外線を出射する第一光源と、前記筐体内に前記赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源と、前記筐体内に位置し、前記筐体の内面よりも高い光の反射率を有する反射部と、前記赤外線を検出する光検出部と、前記光検出部の検出結果を示す情報である検出情報を出力する出力部とを備え、前記内面が前記赤外線に反応しない反射率であり、前記第二光源は、前記反射部に向かって前記赤外線と異なる波長の前記光を出射するように方向付けられ、前記光検出部は、前記物体で反射された前記赤外線を検出し、前記情報処理装置は、前記検出装置から取得される前記検出情報を集約する集約部と、集約された前記検出情報を出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、誤検出を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る検出装置の外観の一例を示す斜視図
【
図2】実施の形態1に係る検出装置の筐体の内部の一例を示す斜視図
【
図3】実施の形態1に係る検出装置の筐体の内部の一例を示す底面図
【
図5】実施の形態1に係る検出装置の筐体の内部の一例を示す断面側面図
【
図6】実施の形態1に係る検出装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図7】検出対象物の寸法と光検出部の出力信号の変化値との関係の一例を示す図
【
図8A】光検出部が対象物を検出した場合に出力する信号の一例を示す図
【
図8B】光検出部が対象物を検出した場合に出力する信号の一例を示す図
【
図8C】光検出部が対象物を検出した場合に出力する信号の一例を示す図
【
図9】実施の形態1に係る検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図
【
図10】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図11】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図12】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図13】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図14】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図15】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図16】部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図
【
図17】反射部の反射部材と異物の検出結果との関係の一例を示す図
【
図18A】平滑部が配置される場合の可視光の波長と反射率と異物の検出結果との関係の一例を示す図
【
図18B】平滑部が配置されない場合の可視光の波長と反射率と異物の検出結果との関係の一例を示す図
【
図19】実施の形態1に係る検出装置における平滑部の有無に応じた検出領域の一例を示す図
【
図20】実施の形態1の変形例1に係る検出装置における平滑部の有無に応じた検出領域の一例を示す図
【
図21】実施の形態1の変形例2に係る検出装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図22】実施の形態2に係る検出システムの構成の一例を示すブロック図
【
図23】実施の形態2に係るゲートウェイの機能的な構成の一例を示す図
【
図24】実施の形態2に係るゲートウェイのハードウェア構成の一例を示す図
【
図25】実施の形態2に係る集約装置の機能的な構成の一例を示す図
【
図26】実施の形態2に係る集約データの一例を示す図
【
図27】実施の形態2に係る集約データの一例を示す図
【
図28】実施の形態2に係る集約装置のハードウェア構成の一例を示す図
【
図29】実施の形態2の変形例に係る集約装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来、赤外線を出射し、検知される赤外線の反射光に基づき、対象物の検知等のセンシング結果を出力する検出装置がある。このような検出装置は、赤外線の遮断等による反射光の変化に基づき、センシング結果を出力する。
【0011】
例えば、特許文献1に記載される異常検出装置は、赤外線の受光量の変化を検知したときに異常を検出する。この異常検出装置は、赤外線の受光量を変化させる物体が、対象物以外であっても、赤外線の受光量の変化に基づき異常を判定する場合がある。例えば、異常検出装置が、赤外線の走査エリアへの人間の侵入を異常として検出する場合、異常検出装置は、人間及び動物のいずれが走査エリアに侵入しても異常を検出し得る。さらに、異常検出装置は、建物の壁又は柱の近傍に配置された場合、壁又は柱の反射光を検出する場合がある。そして、異常検出装置は、壁又は柱の反射光に起因する受光量の変化を異常として検出することで、誤検出をする場合がある。
【0012】
例えば、特許文献2に記載される監視システムの端末機器は、パルス状の超音波又は赤外線を発生し走査する。監視システムは、パルス状の超音波又は赤外線の反射状況が定常状態と異なる場合、非定常状態と判断する。監視システムは、反射状況を解析して人体と他の物体との区別をつけている。つまり、監視システムは、移動物体と静止物体とを区別する。監視システムは、超音波又は赤外線が到達可能である位置の中で、反射波が端末機器によって検出される位置までに存在する移動物体を検出し得る。このため、検出対象の領域が設定された場合、監視システムは、当該領域の外側の移動物体を検出することで、誤検出をする場合がある。
【0013】
そこで、本開示の技術は、誤検出を低減する検出装置及び検出システムを提供する。例えば、本開示の技術は、不要な赤外線の反射光の検出を低減することで、誤検出を低減する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することによって重複した説明を省く。
【0015】
(実施の形態1)
<検出装置1の構成>
実施の形態1に係る検出装置1の構成を説明する。検出装置1は、赤外線を用いて、筐体内に侵入した物体を検出する。以下において、検出装置1は、虫等の小型の物体を検出するとして説明するが、検出装置1の検出対象は、小型の物体に限定されない。
【0016】
図1は、実施の形態1に係る検出装置1の外観の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、検出装置1は、筐体2を備えている。筐体2は、検出部2aと機器部2bとを含む。検出部2a及び機器部2bはそれぞれ、箱状の形状を有し、内部に空間を有している。検出部2a及び機器部2bは、隔壁2baにより互いに仕切られた状態で隣接している。検出部2aは、上記空間として、検出空間2cを有している。検出部2aの外形は、台形台状であるが、これに限定されない。機器部2bの外形は、直方体状であるが、これに限定されない。
【0017】
検出部2aは、底壁2aaと、上壁2abと、側壁2ac、2ad及び2aeとを含む。底壁2aaと、上壁2abと、側壁2ac、2ad及び2aeと、隔壁2baとは、その内側に検出空間2cを形成する。
【0018】
底壁2aaは、検出装置1が配置面上に配置される場合に、底部に位置し配置面と接触する壁部である。底壁2aaは矩形板状の形状を有しているが、これに限定されない。上壁2abは、検出装置1が配置面上に配置される場合に底壁2aaの上方に位置し、底壁2aaと間隔をあけて対向する壁部である。上壁2abは矩形板状の形状を有しているが、これに限定されない。また、本実施の形態では、上壁2ab及び底壁2aaは平行であるが、これに限定されない。
【0019】
側壁2ac、2ad及び2aeは、上壁2abと底壁2aaとの間でこれらを連結する壁部である。側壁2ac、2ad及び2aeは、上壁2ab及び底壁2aaと垂直な方向に対して傾斜している。側壁2ac、2ad及び2aeは、底壁2aaから上壁2abに向かって検出空間2cを先細にするようにテーパ状に傾斜している。側壁2acは、隔壁2baと対向する位置に配置されている。側壁2ad及び2aeは、互いに対向し、側壁2acと隔壁2baとを連結する。このような側壁2ac、2ad及び2aeは、台形板状の形状を有しているが、これに限定されない。
【0020】
また、検出部2aは、側壁2ac、2ad及び2aeそれぞれの下部に開口部2afを有している。開口部2afはそれぞれ、底壁2aaに隣接している。開口部2afはそれぞれ、矩形板状の底壁2aaの縁に沿って延びる細長の形状、例えばスリット状の形状を有している。開口部2afはそれぞれ、検出部2aの外部空間と検出空間2cとを連通する。
【0021】
図1に示すように、検出装置1は、1つの装置を構成するが、分離した別々の装置を構成してもよい。検出装置1が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されてもよく、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されてもよい。本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」は、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る検出装置1の筐体2の内部の一例を示す斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る検出装置1の筐体2の内部の一例を示す底面図である。
図3は、筐体2の内部を底壁2aaから上壁2abに向かって見た図である。
【0023】
図1~
図3に示すように、本実施の形態では、筐体2は、検出空間2cに面する内面の赤外線の反射率が0.1%未満であるように構成されている。0.1%未満の反射率は、上記内面が赤外線に反応しない反射率の一例である。以下において、内面が赤外線に反応しない反射率は、0.1%未満の反射率であるとして説明する。なお、内面が赤外線に反応しない反射率は、後述する光検出部6の受光感度に応じて、決定されてもよい。反射率は、ある面での入射光の光束に対する反射光の光束の割合である。例えば、内面が赤外線に反応しない反射率は、内面への赤外線の入射光の光量に対する光検出部6の受光量の割合が、0.1%未満等の所定の値未満の低い割合である反射率である。
【0024】
このような筐体2において、少なくとも底壁2aaの内面2aa1、上壁2abの内面2ab1、側壁2acの内面2ac1、側壁2adの内面2ad1、側壁2aeの内面2ae1、及び隔壁2baの表面2ba1の赤外線の反射率が0.1%未満である。ここで、内面2aa1は第一内面の一例であり、内面2ab1は第二内面の一例であり、内面2ac1、2ad1及び2ae1は第三内面の一例である。
【0025】
例えば、筐体2を構成する材料の赤外線の反射率が0.1%未満であってもよい。このような構成材料の例は、ABS樹脂及びスチレン等である。筐体2の全体が上記構成材料で構成されてもよく、少なくとも検出空間2cに面する壁が上記構成材料で構成されてもよい。さらに、筐体2の構成材料の色を黒色等の赤外線の吸収率の高い色としてもよい。又は、筐体2の各壁の内面が、赤外線の反射率が3%未満である赤外線吸収材で被覆されていてもよい。赤外線吸収材は、板、シート、フィルム又は塗料等として当該内面を被覆してもよい。赤外線吸収材の例は、ポリウレタン樹脂系の赤外線吸収材である。赤外線吸収材の色も赤外線の吸収率の高い色としてもよい。
【0026】
ここで、底壁2aaから上壁2abに向かい且つ底壁2aaに垂直である方向を、Z軸正方向と定義し、その反対方向をZ軸負方向と定義する。さらに、底壁2aaの内面2aa1に平行であり且つ隔壁2baから側壁2acに向かう方向を、Y軸正方向と定義し、その反対方向をY軸負方向と定義する。また、底壁2aaの内面2aa1に平行であり且つ側壁2aeから側壁2adに向かう方向を、X軸正方向と定義し、その反対方向をX軸負方向と定義する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに垂直である。
【0027】
図2及び
図3に示すように、検出装置1は、機器部2bにおいて、制御基板3と電源7とを備える。制御基板3は、検出装置1の全体を制御する制御回路を含む。制御基板3は、各構成要素に電力を供給する電源回路、及び/又は、検出装置1の外部の装置と有線通信又は無線通信するための通信回路を含んでもよい。制御基板3は、支持脚3bによって支持され、筐体2の上壁2abと底壁2aaとの間の位置に相当する位置に配置されている。制御基板3は、隔壁2baを貫通して検出空間2c内に延びる板状の突出部3aを一体的に有している。突出部3aは、Y軸正方向に突出する。本実施の形態では、突出部3aは、側壁2adと側壁2aeとの中間位置付近に配置されているが、これに限定されない。
【0028】
検出装置1は、突出部3aに、第一光源4と、第二光源5と、光検出部6とを備えている。第一光源4、第二光源5及び光検出部6は、検出空間2c内に配置されている。第一光源4及び第二光源5は、突出部3aの上面、つまりZ軸正方向の表面上に配置されている。光検出部6は、突出部3aの下面、つまりZ軸負方向の表面上に配置されている。第一光源4は、赤外線を出射する。限定するものではないが、赤外線の波長範囲の一例は、約800nm~1150nmである。第二光源5は、赤外線と異なる波長の光を出射する。具体的には、第二光源5は、可視光を出射するが、第二光源5が出射する光の波長は、赤外線と異なればよい。本実施の形態における第二光源5の可視光の波長範囲の一例は、約500nm~600nmである。光検出部6は、赤外領域の光を検出する、つまり、赤外線を検出する。光検出部6は、受光した赤外線の強度を検出し、当該強度を示す信号を出力する。
【0029】
電源7は、制御基板3の制御回路の制御のもと、第一光源4、第二光源5及び光検出部6等に電力を供給する。本実施の形態では、電源7は、一次電池又は二次電池である。しかしながら、電源7は、商用電源等の外部電源と接続され、外部電源の電力を供給する電源回路であってもよい。一次電池は、蓄積している電力の放電が可能である電池である。一次電池の例は、乾電池、酸化銀電池及び水源電池等である。二次電池は、電力の充放電が可能である電池である。二次電池の例は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等である。なお、電源7は、太陽電池を含んでもよい。
【0030】
図4は、
図2の突出部3aを拡大して示す平面図である。
図5は、実施の形態1に係る検出装置1の筐体2の内部の一例を示す断面側面図である。
図5は、YZ平面に沿う断面図を示す。
【0031】
図2、
図4及び
図5に示すように、突出部3aの上面3aaに配置された第一光源4は、赤外線LED(light emitting diode)4aと、プリズム4bとを有する。赤外線LED4a及びプリズム4bは、側壁2acへ向かって方向付けられている。本実施の形態では、赤外線LED4aは、上述した範囲の赤外線を出射するが、波長範囲が約700nm~2500nmである赤外線を出射してもよい。赤外線LED4aは、側壁2acへ向かうY軸正方向へ向かって、プリズム4bに赤外線を出射する。赤外線LED4aの光軸は、Y軸と平行であってもよく、Y軸に対して傾斜していてもよい。ここで、Y軸正方向は、第一方向の一例である。
【0032】
Y軸正方向に突出する半円筒状の側面を有するプリズム4bは、入射した赤外線を水平方向に放射状に拡散して出射する。具体的には、プリズム4bは、Y軸正方向の赤外線をX軸正方向及びX負方向へ放射状に拡げるように拡散する。これにより、プリズム4bから出射した赤外線は、XY平面に沿い且つ放射状に延びる複数の光軸を有する。このような赤外線は、底壁2aaの略全体にわたるように拡がり、検出空間2c内の全体を照射する。
【0033】
また、突出部3aの上面3aaに配置された第二光源5は、例えば、可視光LEDで構成される。第二光源5は、上壁2abに向かって方向付けられている。第二光源5は、上壁2abに向かうZ軸正方向へ向かって、可視光を出射する。
【0034】
また、突出部3aの下面3abに配置された光検出部6は、例えば、赤外線センサで構成される。赤外線センサは、受光した赤外線の強度を示す信号を出力する。赤外線センサの例は、赤外線フォトダイオード及び赤外線フォトトランジスタ等である。光検出部6は、第一光源4と同様に、側壁2acへ向かって方向付けられている。光検出部6は、第一光源4の赤外線の反射光を受光し、受光した赤外線の強度を示す信号を出力する。
【0035】
図2に示すように、筐体2は、検出部2aにおいて、底壁2aaの内面2aa1から突出する隆起部2dを有する。隆起部2dは、筐体2と同じ材料で構成され且つ筐体2と一体化されていてもよく、筐体2と異なる材料で構成されていてもよい。隆起部2dは、3つの開口部2afに沿って帯状に延び、開口部2afの近傍に配置されている。隆起部2dの平面形状は、U字状であるが、これに限定されない。隆起部2dの赤外線の反射率は0.1%未満である。隆起部2dは、赤外線の反射率が0.1%未満である材料で構成されてもよく、赤外線の反射率が0.1%未満である板、シート、フィルム又は塗料等で表面が被覆された構成であってもよい。
【0036】
隆起部2dは、筐体2の外部から開口部2afを通って筐体2内に侵入する赤外線を吸収し、当該赤外線が隆起部2dを越えて光検出部6によって検出されることを抑制する。このため、開口部2afと隆起部2dとの距離及び隆起部2dの突出寸法等は、開口部2afの形状及び寸法、並びに、所望される上記抑制効果等に応じて、決定されてもよい。
【0037】
図3及び
図5に示すように、検出装置1は、上壁2abの内面2ab1上に、反射部8を備える。反射部8は、内面2ab1よりも高い光の反射率を有する。本実施の形態では、反射部8は、板、シート、フィルム又は塗料等として内面2ab1上に配置されるが、これに限定されない。例えば、反射部8は、内面2ab1の表面粗度が低くされた領域であってもよい。反射部8は、3つの開口部2afに沿って帯状に延びる。反射部8は、側壁2ac、2ad及び2aeそれぞれの近傍に配置された3つの部位8a、8b及び8cを含む。反射部8は隆起部2dの上方に配置されている。3つの部位8a、8b及び8cは、隆起部2dと同様にU字状の平面形状を形成するが、これに限定されない。第二光源5の可視光は、反射部8において反射し、底壁2aaに向かって進む。これにより、可視光は、底壁2aaの中心から開口部2afの近傍までわたる底壁2aaの全体を照射する。また、反射部8で反射した可視光は、底壁2aaの内面2aa1及び隆起部2dによって、底壁2aaでの反射が抑えられる。
【0038】
また、検出装置1は、上壁2abの内面2ab1に、平滑部9を備える。平滑部9は、内面2ab1と反対側の反射部8の表面上に配置される。可視光は、平滑部9を介して反射部8に入射し、反射部8の反射光は、平滑部9を介して出射される。平滑部9は、反射部8の反射光を均等化する、具体的には、反射光の強度を均等化する。例えば、反射部8の表面の微細な凹凸は、反射部8の表面において、反射光の強度にムラを生じる。平滑部9は、このような光の強度のムラを平滑化する。このような平滑部9の表面粗度は、反射部8の表面粗度よりも低い。平滑部9は、板、シート又はフィルムとして反射部8上に配置される。平滑部9の構成材料の例は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂及びガラス等である。
【0039】
平滑部9は、反射部8の全体を覆って配置される。本実施の形態では、平滑部9は、U字状の反射部8の全体及びU字の内側の領域を覆って配置されている。これにより、平滑部9の数量は1つでよいため、平滑部9の配置が容易になる。
【0040】
<検出装置1の機能的構成>
検出装置1の機能的な構成を説明する。
図6は、実施の形態1に係る検出装置1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、検出装置1は、第一光源4と、第二光源5と、光検出部6と、電源7と、制御部10と、記憶部20と、入出力部30と、位置計測部31とを備える。制御部10は、動作制御部10aと、寸法検出部10bと、位置検出部10cと、計時部10dとを含む。
【0041】
制御部10の動作制御部10aは、検出装置1の全体の動作を制御する。例えば、動作制御部10aは、電源7から供給される電力を各構成要素に供給し、各構成要素の動作を制御する。例えば、動作制御部10aは、第一光源4の点灯及び消灯動作、第二光源5の点灯及び消灯動作、並びに、光検出部6の検出動作を制御する。
【0042】
計時部10dは、時刻を計測し、計測時刻を出力する。
【0043】
寸法検出部10bは、光検出部6から受信する赤外線の受光信号に基づき、筐体2の検出空間2c内に存在する物体の寸法を検出する。例えば、筐体2の外部から検出空間2c内に、虫等の異物が侵入すると、光検出部6は、異物で反射した赤外線を受光するため、光検出部6の出力信号が変化する。
【0044】
図7は、検出対象物の寸法と光検出部6の出力信号の変化値との関係の一例を示す図である。
図8A~
図8Cは、光検出部6が対象物を検出した場合に出力する信号の一例を示す図である。
図8Aは、非検出時を示し、
図8Bは、大型成虫の検出時を示し、
図8Cは、小型成虫の検出時を示す。なお、
図8A~
図8Cの間において、電圧の大きさは異なるスケールで示されている。
【0045】
図7の例では、光検出部6は、受光する反射光の反射対象が大きい程、出力レベルである出力電圧を大きく変化させる。
図8Aに示すように、光検出部6は、検出空間2c内に異物である虫が存在しない場合、一定の電圧を出力する。
図8Bに示すように、光検出部6は、検出空間2c内に存在する大型成虫を検出している間、出力電圧を連続的に、例えば0に低下させる。所定の時間当たりの電圧の低下量の積分値が、
図7の出力電圧の変化量に対応する。
図8Cに示すように、光検出部6は、検出空間2c内に存在する小型成虫を検出している間、出力電圧を断続的に、例えば0に低下させる、つまり、パルス状の信号を出力する。なお、光検出部6は、上述のように連続的に電圧を出力し検出を行ってもよく、間欠的に電圧を出力し検出を行ってもよい。例えば、光検出部6は、1秒当たりに所定の回数、電圧を出力してもよい。
【0046】
寸法検出部10bは、上述のような光検出部6の出力信号を演算処理することにより、検出空間2c内の異物の存在の有無と、存在する異物の寸法とを検出する。例えば、寸法検出部10bは、出力信号を積分することによって演算処理してもよい。非検出の場合、積分値は、最も大きく、所定の値である。小型の異物の検出の場合、積分値は、上記所定の値よりも小さい。異物が大きくなる程、積分値は小さくなる。
【0047】
なお、寸法検出部10bは、計時部10dから時刻を取得し、光検出部6の出力信号と時刻とを対応付ける。寸法検出部10bは、出力信号に対応付けられた時刻を用いて、検出結果の検出時刻を決定し、検出結果と検出時刻とを対応付けて入出力部30及び/又は記憶部20に出力する。
【0048】
位置検出部10cは、検出装置1の3次元位置を検出する。位置検出部10cは、位置計測部31から、検出装置1の3次元位置を示す位置信号を取得し、位置信号を演算処理することにより、検出装置1の3次元位置を検出する。なお、位置検出部10cは、計時部10dから時刻を取得し、位置計測部31の位置信号と時刻とを対応付ける。位置検出部10cは、位置信号に対応付けられた時刻を用いて、3次元位置の検出時刻を決定し、3次元位置と検出時刻とを対応付けて入出力部30及び/又は記憶部20に出力する。
【0049】
記憶部20は、種々の情報の記憶及び取り出しを可能にする。記憶部20は、寸法検出部10b及び位置検出部10cの検出結果、並びに、寸法検出部10b及び位置検出部10cが演算に使用する各パラメータの関係及び閾値等を記憶する。
【0050】
入出力部30は、検出装置1の外部と、情報及び指令を送受信する。入出力部30は、入出力部30と接続された外部の装置からの指令を受け付ける。入出力部30は、寸法検出部10b及び位置検出部10cの検出結果等の各種情報を外部の装置に出力する。入出力部30は、有線通信又は無線通信を介して、外部の装置と接続されてもよい。入出力部30は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信網を介して、外部の装置と接続されてもよい。ここで、入出力部30は出力部の一例である。
【0051】
位置計測部31は、検出装置1の位置を検出し、制御部10に出力する。位置計測部31は、自身で検出装置1の位置を計測してもよく、他の装置から有線通信又は無線通信を介して検出装置1の位置を取得してもよい。自身で検出する場合、位置計測部31は、GPS(Global Positioning System)受信器、慣性計測装置及び/又は地磁気計等で構成されてもよい。慣性計測装置は、加速度計及び/又は角速度計を含んでもよい。位置を取得する場合、位置計測部31は、通信回路等で構成されてもよい。
【0052】
<検出装置1のハードウェア構成>
検出装置1のハードウェア構成を説明する。
図9は、実施の形態1に係る検出装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、検出装置1は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、メモリ200と、通信回路300と、GPS受信器310と、電池70と、第一光源発信回路41と、第二光源発信回路51と、光受信回路61と、赤外線LED4aと、可視光LED50と、赤外線センサ60とを構成要素として含む。上記構成要素はそれぞれ、例えばバスを介して互いに接続されている。なお、上記構成要素は、有線通信及び無線通信のいずれを介して接続されてもよい。
【0053】
メモリ200は、記憶部20の機能を実現する。メモリ200は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。なお、メモリ200が、ROM102及び/又はRAM103を含んでもよい。
【0054】
CPU101は、制御部10の機能を実現する。CPU101はプロセッサ等で構成され、ROM102は不揮発性半導体記憶装置等で構成され、RAM103は揮発性半導体記憶装置等で構成される。制御部10を動作させるプログラムは、ROM102又はメモリ200等に予め保持されている。プログラムは、CPU101によって、ROM102又はメモリ200等からRAM103に読み出されて展開される。CPU101は、RAM103に展開されたプログラム中のコード化された各命令を実行する。なお、プログラムは、ROM102及びメモリ200に限らず、例えば記録ディスク等の記録媒体に格納されていてもよい。また、プログラムは、有線ネットワーク、無線ネットワーク又は放送等を介して伝送され、RAM103に取り込まれてもよい。
【0055】
なお、CPU101によって機能が実現される構成要素である制御部10は、CPU101等のプログラム実行部によって実現されてもよく、回路によって実現されてもよく、プログラム実行部及び回路の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、制御部10の構成要素は、集積回路であるLSI(大規模集積回路:Large Scale Integration)として実現されてもよい。制御部10の構成要素は個別に1チップ化されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0056】
赤外線LED4aは、第一光源4の機能を実現する。第一光源発信回路41は、制御部10の機能を実現する。赤外線LED4aは、赤外線を出射し、第一光源発信回路41は、CPU101の制御のもと、赤外線LED4aに供給する電力を制御する。
【0057】
可視光LED50は、第二光源5の機能を実現する。第二光源発信回路51は、制御部10の機能を実現する。可視光LED50は、可視光を出射し、第二光源発信回路51は、CPU101の制御のもと、可視光LED50に供給する電力を制御する。
【0058】
通信回路300は、入出力部30の機能を実現する。通信回路300は、有線通信回路又は無線通信回路であってもよい。通信回路300は、無線通信回路である場合、アンテナを含んでもよい。
【0059】
GPS受信器310は、位置計測部31の機能を実現する。GPS受信器310は、GPS衛星から電波を受信することで、自身の位置を取得する。GPS受信器310に加えて又はその代わりに、慣性計測装置、地磁気計及び通信回路等が設けられてもよい。
【0060】
電池70は、電源7の機能を実現する。電池70は、一次電池及び二次電池のいずれであってもよい。
【0061】
<筐体2の側壁の傾斜角>
筐体2の側壁2ac、2ad及び2aeの傾斜角を説明する。本発明者らは、
図10~
図16に示すように、様々な部材の表面に対して入射角度を変えつつ赤外線を照射した場合の当該表面における反射率を、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を用いて計測した。照射された赤外線の中心波長は、950nmである。また、赤外線の入射方向は、赤外線の入射光の光軸方向である。赤外線の入射方向つまり光軸と入射表面とが垂直である場合、入射角は90度である。なお、
図10~
図16は、部材の表面に対する赤外線の入射角と反射率との関係の一例を示す図である。
【0062】
図10は、部材の構成材料がABS樹脂である例を示す。
図10に示すように、平坦な部材表面への赤外線の入射角度が88度以上である場合、当該表面での赤外線の反射率は0.1%以上である。
【0063】
図11は、部材の構成材料がスチレンである例を示す。
図11に示すように、平坦な部材表面への赤外線の入射角度が87度以上である場合、当該表面での赤外線の反射率は0.1%以上である。
【0064】
図12は、平坦な部材表面に赤外線吸収材を貼り付けた例を示す。赤外線吸収材の赤外線の透過率は0%である。使用した赤外線吸収材は、ポリウレタン樹脂系の赤外線吸収材である。
図12に示すように、赤外線吸収材において、赤外線の入射角度が90度の場合、赤外線の反射率は0.1%である。つまり、入射角度が90度未満の場合、赤外線の反射率は0.1%未満である。
【0065】
図13は、平坦な部材表面に黒色テープを貼り付けた例を示す。
図13に示すように、黒色テープにおいて、赤外線の入射角度が88度以上である場合、赤外線の反射率は0.1%以上である。
【0066】
図14は、平坦な部材表面に白色のコピー用紙を貼り付けた例を示す。
図14に示すように、白色のコピー用紙において、全ての赤外線の入射角度での赤外線の反射率が0.1%以上である。なお、白色のコピー用紙は、赤外線の反射率が高い部材である。
【0067】
図15は、平坦な部材表面に青色アクリル板(2mm厚)を貼り付けた例を示す。
図15に示すように、青色アクリル板において、赤外線の入射角度が82度以上である場合、赤外線の反射率は0.1%以上である。青色アクリル板は、赤外線の反射率が比較的高い部材である。
【0068】
図16は、平坦な部材表面に黄色アクリル板(2mm厚)を貼り付けた例である。
図16に示すように、黄色アクリル板において、赤外線の入射角度が80度以上である場合、赤外線の反射率は0.1%以上である。黄色アクリル板は、赤外線の反射率が比較的高い部材である。
【0069】
図10~
図16の結果から、側壁2ac、2ad及び2aeはそれぞれ、入射する赤外線の光軸と内面2ac1、2ad1及び2ae1との角度が87度以下であるように、傾斜していることが好ましく、79度以下であるように傾斜していることがより好ましい。本実施の形態では、内面2ac1、2ad1及び2ae1それぞれの垂線がXY平面に対して3度以上傾斜するように、側壁2ac、2ad及び2aeは傾斜している。側壁2acはX軸方向の軸を中心に傾斜し、側壁2ad及び2aeはY軸方向の軸を中心に傾斜している。
【0070】
<反射部8の反射率>
反射部8の反射率を説明する。本発明者らは、
図17に示すように、反射部8の構成材料として、様々な反射材を実施の形態1の検出装置1に適用し、異物の検出能力を検証した。
図17は、反射部8の反射部材と異物の検出結果との関係の一例を示す図である。筐体2の底壁2aaの中心に載置された異物が検出されるか否かを判定した。
図17に示すように、反射材A~Dはそれぞれ、波長570nmの可視光と波長950nmの赤外線とに対する反射率を有している。この反射率は、入射角90度の場合の反射率である。また、
図17の例では、平滑部9は配置されていない。
【0071】
異物は、反射材A及びDでは検出されたが、反射材B及びCでは検出されなかった。こにより、反射材の反射率は、赤外線及び赤外線以外の光について、約4%~約6%の範囲内にあることが好ましい。
【0072】
<平滑部9の作用>
平滑部9の作用を説明する。本発明者らは、異物を検出可能な領域に対して平滑部9が与える影響を検証した。
図18Aは、平滑部9が配置される場合の可視光の波長と反射率と異物の検出結果との関係の一例を示す図である。
図18Bは、平滑部9が配置されない場合の可視光の波長と反射率と異物の検出結果との関係の一例を示す図である。
【0073】
図18Aは、平滑部9が配置された検出装置1において、第二光源5が、波長が異なる緑色、黄緑色及び赤色の可視光をそれぞれ出射した場合について、平滑部9の表面上での可視光の反射率と、底壁2aaの端部に配置された異物の検出結果とを示す。底壁2aaの端部は、隆起部2dと開口部2afとの間の領域である。光の反射率は、平滑部9と反射部8とが積層されている部分の反射率である。
図18Aに示すように、赤外線に近い波長を有する赤色光を除き、異物が検出されている。隆起部2dと開口部2afとの間の領域は、可視光の反射光によって照射される領域である。この領域では、異物で反射した可視光によって温度上昇が起こることで赤外線が発生し、赤外線の反射光の光強度が増強される。よって、赤外線の反射光は光検出部6によって検出されやすくなる。このように、平滑部9を配置することによって、底壁2aa上の広範囲での異物の検出が可能である。
【0074】
図18Bは、平滑部9及び反射部8が配置されていない検出装置1において、第二光源5が、緑色、黄緑色及び赤色の可視光をそれぞれ出射した場合について、上壁2abの内面2ab1上での可視光の反射率と、底壁2aaの端部に配置された異物の検出結果とを示す。
図18Bにおける異物の位置は、
図18Aと同じである。
図18Bにおける光の反射率の検出位置は、
図18Aと同じである。
図18Bに示すように、いずれの可視光であっても、異物が検出されない。異物での赤外線の反射光は、可視光の照射が側壁経由であり且つ側壁の光反射率が低いため、温度上昇が起こらず、赤外線の発生量が低くなる。このため、赤外線の反射光は、光検出部6によって検出されにくい。
【0075】
図19は、実施の形態1に係る検出装置1における平滑部9の有無に応じた検出領域の一例を示す図である。
図19の透視平面図は、平滑部9及び反射部8の配置を示し、配置は上述と同様である。
図19の断面側面図は、第一光源4及び第二光源5の出射光と、異物Aでの反射光とを示す。第一光源4から出射された赤外線は、直接異物Aに到達し、異物Aで反射された後に光検出部6によって検出される。第二光源5から出射された可視光は、平滑部9を通って反射部8に入射し、反射部8で反射された後に異物Aに到達する。可視光の反射光は、異物Aにおいて、照射により温度上昇し赤外線を発生させる。これにより、赤外線の反射光が光検出部6によって検出されやすくなる。
【0076】
図19の検出領域平面図は、底壁2aa上における異物を検出可能な領域を示す。一点鎖線で囲まれる領域DA1は、平滑部9及び反射部8が配置された場合の検出可能領域を示す。破線で囲まれる領域DA2は、平滑部9及び反射部8が配置されない場合の検出可能領域を示す。なお、領域DA2のケースでは、平滑部9及び反射部8が配置されないため、検出時に第二光源5は照射されない。
【0077】
領域DA2は、異物での赤外線の反射光が可視光による温度上昇に起因する赤外線増加を受けずに光検出部6によって検出され得る領域である。領域DA1は、領域DA2と、可視光によって照射される領域とを含み、底壁2aa上の広範囲を占める。
【0078】
なお、底壁2aaの内面2aa1の光の反射率が低いため、内面2aa1での赤外線及び可視光の反射が抑えられる。このため、内面2aa1での赤外線の反射光が光検出部6によって検出されることが抑えられる。さらに、赤外線が、開口部2afを通って、筐体2の外部の異物に反射し内部に戻ってきた場合、内部への赤外線の戻り光と、可視光の照射による温度上昇及び赤外線発生とが抑えられる。さらにまた、隆起部2dは、赤外線を外部に放出して外部からのノイズを効果的に抑える。よって、領域DA2は、開口部2afに隣接する領域を含まない。
【0079】
<効果>
上述のような実施の形態1に係る検出装置1は、筐体2を備え、筐体2内の物体を検出する。検出装置1は、筐体2内に赤外線を出射する第一光源4と、筐体2内に赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源5と、筐体2内に位置し、筐体2の内面よりも高い光の反射率を有する反射部8と、赤外線を検出する光検出部6と、光検出部6の検出結果を示す情報である検出情報を出力する入出力部30とを備える。さらに、筐体2の内面が赤外線に反応しない反射率にする。例えば、上記赤外線に反応しない反射率は、0.1%未満の反射率であってもよい。
【0080】
上記構成によると、筐体2の内面が赤外線に反応しない反射率であるため、赤外線が当該内面で反射することが抑えられる。同様に、第二光源5の出射光が当該内面で反射することも抑えられる。これにより、光検出部6は、筐体2の内面での赤外線の反射光の検出を抑えることができる。さらに、筐体2の外部に漏出した赤外線が、外部の物体で反射し筐体2に戻ってきた場合、このような赤外線の戻り光と第二光源5の出射光との干渉が抑えられるため、当該戻り光が光検出部6によって検出されることが抑えられる。よって、検出装置1の誤検出が低減される。
【0081】
また、反射部8の近傍では、第二光源5の出射光よる温度上昇で赤外線が発生するため、赤外線の光強度が増強され得る。これにより、赤外線の反射光が光検出部6によって検出されやすくなる。例えば、反射部8が、光検出部6から遠い位置に配置される場合、光検出部6から遠い位置の物体で反射した赤外線は、反射部8で反射した第二光源5の出射光と干渉し得る。これにより、当該赤外線は光検出部6によって検出されやすくなる。よって、物体を検出可能な領域を広くすることが可能になる。よって、検出装置1が物体を検出できないという誤検出が低減される。
【0082】
また、実施の形態1に係る検出装置1において、筐体2の内面は、互いに対向する第一内面2aa1及び第二内面2ab1を含み、反射部8は、第二内面2ab1に配置されてもよい。さらに、第二光源5は、第二内面2ab1に向かって光を出射するように方向付けられてもよい。上記構成によると、反射部8で反射された第二光源5の出射光は、第一内面2aa1を照射する。これにより、第一内面2aa1上の物体で反射された赤外線は、その強度が増強され、光検出部6によって検出されやすくなる。
【0083】
また、実施の形態1に係る検出装置1において、筐体2は、第一内面2aa1上への物体が出入りを可能にする開口部2afを有し、反射部8は、開口部2afに沿って配置されてもよい。上記構成によると、反射部8で反射された第二光源5の出射光は、開口部2afの近傍の領域を照射し得る。これにより、開口部2afを通って侵入する虫等の物体を効果的に検出することが可能になる。
【0084】
また、実施の形態1に係る検出装置1において、筐体2は、第一内面2aa1から突出し且つ開口部2afに沿って延びる隆起部2dを有し、隆起部2dは赤外線に反応しない反射率であってもよい。上記構成によると、隆起部2dは、開口部2afを通って筐体2の内部から外部に漏れ得る赤外線を吸収する。さらに、隆起部2dは、開口部2afを通って筐体2の外部から内部に侵入する赤外線を吸収する。よって、光検出部6が、筐体2内の物体以外の物体で反射した赤外線を検出することが抑えられる。つまり。誤検出が低減される。
【0085】
また、実施の形態1に係る検出装置1において、第一光源4は、第一内面2aa1及び第二内面2ab1に沿う第一方向であるY軸正方向へ赤外線を出射するように方向付けられてもよい。上記構成によると、第一光源4から出射された赤外線が反射部8で反射されることが抑えられる。よって、光検出部6が、筐体2内の物体以外の物体で反射した赤外線を検出することが抑えられる。
【0086】
また、実施の形態1に係る検出装置1において、筐体2の内面における第一内面2aa1と第二内面2ab1との間の第三内面2ac1、2ad1及び2ae1は、第一方向である第一光源4の出射方向と垂直な方向に対して傾斜していてもよい。上記構成によると、第三内面2ac1、2ad1及び2ae1での赤外線の反射が抑えられる。
【0087】
また、実施の形態1に係る検出装置1は、光検出部6の検出結果を用いて、検出された物体の大きさを検出する寸法検出部10bを備え、入出力部30は、寸法検出部10bによって検出された物体の大きさを含む検出情報を出力してもよい。上記構成によると、検出装置1は、筐体2内の物体の検出だけでなく、検出された物体の大きさも検出し出力することできる。よって、物体の詳細な検出情報の出力が可能になる。
【0088】
また、実施の形態1に係る検出装置1は、検出装置1の位置を検出する位置検出部10cと、時刻を計時する計時部10dとを備え、入出力部30は、位置検出部10cによって検出された位置と計時部10dによって検出された時刻とを対応付けて含む検出情報を出力してもよい。上記構成によると、検出装置1は、筐体2内の物体の検出だけでなく、検出装置1の位置に基づく検出位置と検出時刻とを検出し出力することができる。よって、物体の詳細な検出情報の出力が可能になる。
【0089】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1の変形例1に係る検出装置は、反射部の形状及び配置が実施の形態1と異なる。以下、変形例1について、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0090】
図20は、実施の形態1の変形例1に係る検出装置における平滑部9の有無に応じた検出領域の一例を、
図19と同様に示す図である。
図20に示すように、本変形例に係る検出装置は、テーパ状の平面形状を形成するように配置された2つの反射部8を、筐体2の上壁2abに有する。実施の形態1では、反射部8は、各開口部2afに略平行に配置されていたが、本変形例では、反射部8は、側壁2ad及び2aeに沿って配置されている。さらに、2つの反射部8は、第一光源4から離れるに従って互いから離れるように、テーパ状に配置されている。反射部8は側壁2acの開口部2afに沿って配置されない。
【0091】
図20の透視平面図と検出領域平面図とを比較すると、反射部8は、平滑部9及び反射部8が配置されない場合の検出可能領域DA2の周囲の境界に沿うように、配置されている。これにより、検出可能領域DA2の外側では、反射部8で反射された第二光源5の可視光は、異物Aへの照射による温度上昇で赤外線を発生するため、赤外線の光強度が増強され得る。よって、第二光源5から可視光が出射される場合、実施の形態1と同様の検出可能領域DA1が形成される。従って、変形例1に係る検出装置は、実施の形態1と同様の検出能力を有する。
【0092】
また、変形例1に係る検出装置のその他の構成及び動作は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。そして、変形例1に係る検出装置によると、実施の形態1に係る検出装置1と同様の効果が得られる。
【0093】
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1の変形例2に係る検出装置は、環境に関する情報を検出する点で、実施の形態1と異なる。以下、変形例2について、実施の形態1及び変形例1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1及び変形例1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0094】
図21は、実施の形態1の変形例2に係る検出装置1Aの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図21に示すように、変形例2に係る検出装置1Aは、実施の形態1に係る検出装置1と比較して、環境検出部32をさらに備える。環境検出部32は、筐体2内の検出空間2cの環境に関する情報を検出する。環境に関する情報の例は、温度、湿度、臭気及び粉塵濃度等である。本変形例では、環境検出部32は、臭気を検出する臭気センサであり、検出した臭気を制御部10Aに出力する。
【0095】
例えば、制御部10Aの動作制御部10aは、環境検出部32から臭気を示す信号を取得すると、臭気を示す値を入出力部30に出力してもよい。又は、動作制御部10aは、臭気を示す値が閾値以上になったことを示す通知を入出力部30に出力してもよい。例えば、動物又は虫等の生物が検出空間2c内に侵入し糞尿等の排泄物を排泄すると、臭気が上昇する。動作制御部10aは、臭気の値が閾値以上の場合、検出空間2c内で検出された物体が動物又は虫等の生物であるという通知を出力してもよい。
【0096】
また、臭気の値が閾値以上の場合、検出装置1Aの配置場所又はその近傍に、動物又は虫等の生物の排泄物が存在する可能性がある。入出力部30を介して、臭気の値が閾値以上であることが通知されると、検出装置1Aの使用者は、生物を検出するために、上記配置場所への検出装置1Aの配置を継続することを決定することができる。
【0097】
また、変形例2に係る検出装置1Aのその他の構成及び動作は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。そして、変形例2に係る検出装置1Aによると、実施の形態1に係る検出装置1と同様の効果が得られる。
【0098】
また、変形例2に係る検出装置1Aは、筐体2内の環境の情報を検出する環境検出部32を備え、入出力部30は、環境検出部32によって検出された環境の情報を含む検出情報を出力してもよい。上記構成によると、検出装置1Aによって検出された物体の特性を判定することが可能になる。例えば、物体が、動物又は虫等の生物である場合、環境検出部32は、生物の排泄物の臭気を検出してもよい。
【0099】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1又は変形例に係る複数の検出装置を備える検出システムである。以下、実施の形態2について、実施の形態1及び変形例と異なる点を中心に説明し、実施の形態1及び変形例と同様の点の説明を適宜省略する。
【0100】
図22は、実施の形態2に係る検出システム1000の構成の一例を示すブロック図である。
図22は、検出システム1000が建物に適用される例を示す。なお、検出システム1000の適用対象は、建物に限定されない。
図22に示すように、検出システム1000は、複数の検出装置1と、ゲートウェイ80と、集約装置90とを備える。検出装置1は、建物の各階に配置される。建物の1階に配置される検出装置1を、検出装置1a1~1aiと表記する。建物の2階に配置される検出装置1を、検出装置1b1~1bjと表記する。建物の3階に配置される検出装置1を、検出装置1c1~1akと表記する。建物の4階に配置される検出装置1を、検出装置1d1~1dmと表記する。なお、検出装置全体を示す場合、検出装置1と表記する。ここで、集約装置90は情報処理装置の一例である。
【0101】
ゲートウェイ80は、各検出装置1と集約装置90との通信を中継する。ゲートウェイ80は、建物の1~4階のそれぞれに配置される。1階のゲートウェイ80は、検出装置1a1~1aiと接続され、検出装置1a1~1aiから出力される情報を集積し、集約装置90へ送信する。2階のゲートウェイ80は、検出装置1b1~1bjと接続され、検出装置1b1~1bjから出力される情報を集積し、集約装置90へ送信する。3階のゲートウェイ80は、検出装置1c1~1ckと接続され、検出装置1c1~1ckから出力される情報を集積し、集約装置90へ送信する。4階のゲートウェイ80は、検出装置1d1~1dmと接続され、検出装置1d1~1dmから出力される情報を集積し、集約装置90へ送信する。
【0102】
集約装置90と接続されるゲートウェイ80も配置される。集約装置90と接続されたゲートウェイ80と、検出装置1と接続されたゲートウェイ80とは、通信網又はその他の通信を介して接続される。集約装置90と各検出装置1とは、ゲートウェイ80等を介して通信する。通信網の例は、インターネット、有線LAN(Local Area Network)及び無線LAN等である。その他の通信の例は、LoRaなどのLPWA(Low Power Wide Area)等の無線通信方式である。本実施の形態では、LoRaの無線通信が用いられるが、これに限定されない。なお、ゲートウェイ80は、必須ではない。例えば、集約装置90が無線通信に直接接続されるように構成される場合、集約装置90と接続されるゲートウェイ80は不要である。検出装置1が無線通信に直接接続されるように構成される場合、検出装置1と接続されるゲートウェイ80は不要である。
【0103】
集約装置90は、各検出装置1から取得される検出結果を集約し出力する装置である。本実施の形態では、集約装置90は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット等のコンピュータ端末又はサーバ装置である。
【0104】
ゲートウェイ80の機能的な構成を説明する。
図23は、実施の形態2に係るゲートウェイ80の機能的な構成の一例を示す図である。
図23に示すように、ゲートウェイ80は、機器制御部81と、入出力部84と、無線通信部85とを備える。機器制御部81は、ゲートウェイ80の動作の全体を制御する。具体的には、機器制御部81は、入出力部84及び無線通信部85を介した情報及び指令等の送受信の中継を制御する。入出力部84は、検出装置1又は集約装置90と、有線通信又は無線通信を介して接続され、検出装置1又は集約装置90に対して情報及び指令等を送受信する。無線通信部85は、無線通信等を介して、他のゲートウェイ80の無線通信部85と接続され、他のゲートウェイ80に対して情報及び指令等を送受信する。
【0105】
ゲートウェイ80のハードウェア構成を説明する。
図24は、実施の形態2に係るゲートウェイ80のハードウェア構成の一例を示す図である。
図24に示すように、ゲートウェイ80は、CPU801と、ROM802と、RAM803と、第一通信インタフェース(I/F)804と、第二通信I/F805とを備える。
【0106】
CPU801、ROM802及びRAM803は、機器制御部81の機能を実現する。CPU801、ROM802及びRAM803の機能は、実施の形態1のCPU101、ROM102及びRAM103と同様である。機器制御部81は、CPU801等のプログラム実行部によって実現されてもよく、回路によって実現されてもよく、プログラム実行部及び回路の組み合わせによって実現されてもよい。
【0107】
第一通信I/F804は、入出力部84の機能を実現する。第二通信I/F805は、無線通信部85の機能を実現する。例えば、第一通信I/F804及び第二通信I/F805は、通信回路で構成されてもよい。
【0108】
集約装置90の機能的な構成を説明する。
図25は、実施の形態2に係る集約装置90の機能的な構成の一例を示す図である。
図25に示すように、集約装置90は、機器制御部91と、記憶部94と、入出力部95と、操作部96と、表示部97とを備える。さらに、機器制御部91は、制御部91aと、集約部91bと、寸法検出部91cと、時間取得部91dと、3次元位置取得部91eと、予測部91fと、出力部91gとを含む。
【0109】
記憶部94は、種々の情報の記憶及び取り出しを可能にする。記憶部94は、機器制御部91の出力情報等を記憶する。記憶部94は、検出装置1が配置される建物に関する情報等の配置場所に関する情報を記憶してもよい。例えば、建物に関する情報は、建物の構造等を含んでもよい。
【0110】
入出力部95は、ゲートウェイ80と有線通信又は無線通信を介して接続され、ゲートウェイ80に対して情報及び指令等を送受信する。
【0111】
操作部96は、集約装置90の使用者からの操作、情報及び指令の入力を受け付け、機器制御部91に出力する。表示部97は、機器制御部91から出力されるテキストデータ及び画像データを、画像として出力する。また、表示部97は、機器制御部91から出力される音声データを、音声として出力する機能を備えてもよい。
【0112】
機器制御部91の制御部91aは、集約装置90の全体の動作を制御する。制御部91aは、各検出装置1から送信される情報を、入出力部95を介して取得し、機器制御部91の各構成要素に出力する。各検出装置1は、自身に設定されたID等の識別情報と共に、検出結果及び検出装置1の位置等の情報を送信する。
【0113】
寸法検出部91cは、各検出装置1によって検出される異物の寸法を検出する。検出装置1の寸法検出部10bが、検出された異物の寸法を検出する場合、寸法検出部91cは当該寸法を検出装置1から取得してもよい。又は、検出装置1が、検出された異物の寸法を検出しない場合、寸法検出部91cは、検出装置1の寸法検出部10bと同様の機能を有し、当該寸法を検出してもよい。寸法検出部91cは、各検出装置1によって検出される異物の寸法と、当該検出装置1の識別情報と、時間取得部91dから取得される時刻とを対応付けて、集約部91bに出力する。
【0114】
時間取得部91dは、時刻の情報を取得する。時間取得部91dは、各検出装置1から、計時部10dによって計測された時刻を取得してもよい。又は、時間取得部91dは、検出装置1の計時部10dと同様の機能を有し、時刻を計測してもよい。
【0115】
3次元位置取得部91eは、各検出装置1の3次元位置を取得し、予測部91f及び集約部91bに出力する。3次元位置取得部91eは、各検出装置1の3次元位置を記憶部94に記憶させてもよい。3次元位置取得部91eは、各検出装置1から、位置検出部10cによって検出された当該検出装置1の位置及び識別情報を取得する。さらに、3次元位置取得部91eは、記憶部94に記憶される建物の情報と、各検出装置1の3次元位置及び識別情報とを対応付け、建物上での各検出装置1の位置を取得してもよい。
【0116】
予測部91fは、各検出装置1における異物の検出結果から、異物の移動を予測し、集約部91bに出力する。例えば、予測部91fは、全ての検出装置1の検出結果を要素として含むベクトルを用いて予測してもよい。
【0117】
例えば、非検出の状態は、ベクトルの要素「0」で表され、検出の状態は、ベクトルの要素「1」で表されてもよい。そして、予測部91fは、対象検出装置1について、対象検出装置1の状態を示す「0」又は「1」と、上記ベクトルの各要素との差分を取得する。具体的には、検出装置1で異物を検出した場合、異物の移動予測が可能である。異物を検出した対象検出装置1の状態「1」と、その周辺の検出装置1における検出の有無の状態「0」又は「1」との差分が取得される。例えば、周辺の非検出の検出装置1と対象検出装置1との差分は、非検出の検出装置1の状態「0」-対象検出装置1の状態「1」=「-1」となる。この場合、マイナスの方向に異物が移動すると予測できる。つまり、非検出の検出装置1から対象検出装置1に向かう方向が、異物の移動方向であると予測される。
【0118】
なお、対象検出装置1が、建物の室内の端に位置する場合、建物の外には実際には検出装置1は無い。この場合、予測部91fは、建物の外に検出装置1が存在すると想定して予測する。これにより、予測部91fは、当該建物に隣接する建物の方向への異物の移動を予測することができる。上述の予測方法は、一例であり、これに限定されず、既知のいかなる方法でもよい。
【0119】
集約部91bは、機器制御部91の各構成要素から取得される情報を集約した集約データを生成し、出力部91g及び記憶部94に出力する。例えば、集約部91bは、寸法検出部91c、時間取得部91d及び3次元位置取得部91eから取得される情報を集約して、
図26に示すような集約データを生成してもよい。
図26は、実施の形態2に係る集約データの一例を示す図である。
図26では、集約データは、検出装置1と、異物の検出の有無と、建物における検出装置1の位置と、異物の検出日時とを対応付けた情報を含む。なお、集約データは、
図26の情報に加えて、検出された異物の大きさの情報を含んでもよい。
【0120】
また、集約部91bは、寸法検出部91c、時間取得部91d、3次元位置取得部91e及び予測部91fから取得される情報を集約して、
図27に示すような集約データを生成してもよい。
図27は、実施の形態2に係る集約データの一例を示す図である。
図27では、集約データは、建物の各階を示す図上における各検出装置1の位置と、各検出装置1における異物の検出の有無(「有」の場合は図中でドット表示)と、予測される異物の移動方向(図中で矢印表示)とを示す。
【0121】
出力部91gは、集約部91bから取得される集約データをテキストデータ、画像データ及び/又は音声データにして、表示部97等に出力する。
【0122】
集約装置90のハードウェア構成を説明する。
図28は、実施の形態2に係る集約装置90のハードウェア構成の一例を示す図である。
図28に示すように、集約装置90は、CPU901と、ROM902と、RAM903と、メモリ904と、通信I/F905と、操作I/F906と、表示装置907とを備える。
【0123】
CPU901、ROM902及びRAM903は、機器制御部91の機能を実現する。CPU901、ROM902及びRAM903の機能は、実施の形態1のCPU101、ROM102及びRAM103と同様である。機器制御部91は、CPU901等のプログラム実行部によって実現されてもよく、回路によって実現されてもよく、プログラム実行部及び回路の組み合わせによって実現されてもよい。
【0124】
メモリ904は、記憶部94の機能を実現する。メモリ904は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ、HDD又はSSD等の記憶装置で構成される。なお、メモリ904が、ROM902及び/又はRAM903を含んでもよい。
【0125】
通信I/F905は、入出力部95の機能を実現する。例えば、通信I/F905は、通信回路で構成されてもよい。操作I/F906は、操作部96の機能を実現する。操作I/F906は、ボタン、ダイヤル、キー、タッチパネル及び音声入力のためのマイク、画像入力のためのカメラ等の入力装置を含んでもよい。
【0126】
表示装置907は、表示部97の機能を実現する。表示装置907は、液晶パネル、有機EL(Electroluminescence)、無機EL及び電子ペーパーディスプレイ等のディスプレイであってもよい。表示装置907は、操作I/F906を兼ねたタッチパネルであってもよい。表示装置907はスピーカを含んでもよい。
【0127】
<効果等>
上述のような実施の形態2に係る検出システム1000は、筐体2を備え、筐体2内の物体を検出する検出装置1と、検出装置1と通信する情報処理装置としての集約装置90とを有する。検出装置1は、筐体2内に赤外線を出射する第一光源4と、筐体2内に赤外線と異なる波長の光を出射する第二光源5と、筐体2内に位置し、筐体2の内面よりも高い光の反射率を有する反射部8と、赤外線を検出する光検出部6と、光検出部6の検出結果を示す情報である検出情報を出力する入出力部30とを備える。さらに、筐体2の内面が赤外線に反応しない反射率にする。集約装置90は、検出装置1から取得される検出情報を集約する集約部91bと、集約された検出情報を出力する出力部91gとを備える。
【0128】
上記構成によると、検出システム1000は、様々な場所に配置された検出装置1の検出結果を集約した情報を出力することができる。さらに、各検出装置1は誤検出を低減することができるため、検出システム1000は、集約した情報の精度を向上することができる。
【0129】
また、実施の形態2に係る検出システム1000において、集約装置90は、検出装置1から取得される検出情報を用いて、検出装置1の検出を予測する予測部91fを備えてもよい。上記構成によると、例えば、検出対象が移動し得る生物である場合、予測部91fの予想結果から、当該生物の移動方向の推定が可能である。よって、上記生物に対する対策を立てることが可能になる。
【0130】
また、実施の形態2に係る検出システム1000において、集約装置90は、コンピュータ端末又はサーバ装置であったが、これに限定されない。例えば、
図29に示すように、集約装置90は、コンピュータ端末90A及びサーバ装置90Bを含んでもよい。なお、
図29は、実施の形態2の変形例に係る集約装置90の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図29に示すように、集約装置90は、コンピュータ端末90A及びサーバ装置90Bを含む。コンピュータ端末90A及びサーバ装置90Bそれぞれのハードウェア構成は、実施の形態2に係る集約装置90と同様である。
【0131】
コンピュータ端末90Aは、機器制御部91Aと、記憶部94Aと、入出力部95Aと、操作部96Aと、表示部97Aとを備える。さらに、機器制御部91Aは、制御部91Aaと、集約部91Abと、寸法検出部91Acと、時間取得部91Adと、3次元位置取得部91Aeと、出力部91Agとを含む。コンピュータ端末90Aの上記の構成要素の機能はそれぞれ、実施の形態2に係る集約装置90と同様である。なお、入出力部95Aは、サーバ装置90Bの入出力部95Bと有線通信又は無線通信を介して接続され、サーバ装置90Bに対して情報及び指令等を送受信する。また、出力部91Agは、集約部91bから取得される集約データを、表示部97及びサーバ装置90B等に出力する。
【0132】
サーバ装置90Bは、機器制御部91Bと、記憶部94Bと、入出力部95Bと、操作部96Bと、表示部97Bとを備える。さらに、機器制御部91Bは、制御部91Baと、集約部91Bbと、予測部91Bfと、出力部91Bgとを含む。サーバ装置90Bの上記の構成要素の機能はそれぞれ、実施の形態2に係る集約装置90と同様である。なお、予測部91Bfは、コンピュータ端末90Aから取得される情報を用いて、各検出装置1における異物の移動を予測する。集約部91Bbはコンピュータ端末90Aから取得される情報及び予測部91Bfの予測結果を集約した集約データを生成し、出力部91Bg及び記憶部94Bに出力する。出力部91Bgは、集約部91Bbによって生成された集約データを表示部97B等に出力する。
【0133】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0134】
例えば、実施の形態及び変形例に係る検出装置は、反射部8及び平滑部9を備えていたが、これに限定されない。例えば、検出装置は、反射部8のみを備えてもよい。又は、平滑部9の光の反射率が反射部8と同等以上である場合、検出装置は平滑部9のみを備えてもよい。また、反射部8及び平滑部9の配置形状も、実施の形態及び変形例に限定されない。
【0135】
また、実施の形態及び変形例に係る検出装置において、第二光源5は、第一光源4の赤外線の光強度を増強するために用いられたが、これに限定されず、他の用途にも用いられてもよい。例えば、検出装置の初期化のチェック動作において、第二光源5が用いられてもよい。この場合、検出装置の電源が入れられたときに、検出装置は、第二光源5をある一定の時間点灯し、電源の状態をチェックする。次いで、検出装置は、第一光源4のみを点灯する。さらに、検出装置は、第一光源4の点灯中、第二光源5を点灯させた後に消灯させる。このとき、例えば、筐体2の検出空間2c内に異物が存在しないため、検出装置は異物を検出しない。検出装置は、このときの光検出部6の検出結果を初期状態に決定する。検出装置は、初期状態に対する検出結果の変化に基づき、異物の有無等を検出する。これにより、検出装置は、異物の検出中、第一光源4及び第二光源5を連続して点灯させずに異物を検出することができるため、省エネルギー化を可能にする。
【0136】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0137】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0138】
1,1A 検出装置
2 筐体
2aa1 内面(第一内面)
2ab1 内面(第二内面)
2ac1,2ad1,2ae1 内面(第三内面)
2af 開口部
2d 隆起部
4 第一光源
5 第二光源
6 光検出部
8 反射部
9 平滑部
10b 寸法検出部
10c 位置検出部
10d 計時部
30 入出力部(出力部)
32 環境検出部
90 集約装置(情報処理装置)
91c,91Ac 寸法検出部
91d,91Ad 時間取得部
91g,91Ag,91Bg 出力部
91f,91Bf 予測部
1000 検出システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【文献】特許第4688331号公報
【文献】特開2008-197878号公報