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特許7157267広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221012BHJP
【FI】
G06Q30/02 380
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022041802
(22)【出願日】2022-03-16
【審査請求日】2022-03-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504133028
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】糸永 洋三
(72)【発明者】
【氏名】大石 崇史
(72)【発明者】
【氏名】島村 徹
(72)【発明者】
【氏名】見並 良治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 太志
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 未桜
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-011767(JP,A)
【文献】特開平07-325850(JP,A)
【文献】特開2018-005692(JP,A)
【文献】特開2020-030671(JP,A)
【文献】特開2018-005419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠の情報を前記ネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
ユーザから広告主に関する情報である広告主情報を取得するように構成される広告主取得部と、
前記プラットフォームを用いて取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第1の購買実績データベースと、前記プラットフォームを用いずに取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第2の購買実績データベースと、のそれぞれから、前記広告主情報に応じた前記購買実績データを取得するように構成される購買実績取得部と、
前記第1の購買実績データベース及び前記第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された前記購買実績データに基づき、ユーザに前記広告枠を推薦するように構成される推薦部と、
を備える広告枠取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の広告枠取引システムであって、
ユーザから広告キャンペーンに関する情報であるキャンペーン情報を取得するように構成されるキャンペーン取得部を更に備え、
前記推薦部は、前記キャンペーン情報に基づき前記広告枠をユーザに推薦する、広告枠取引システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の広告枠取引システムであって、
前記広告主情報には、前記広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリの情報が含まれ、
前記購買実績取得部は、前記第1の購買実績データベース及び前記第2の購買実績データベースのそれぞれから、当該広告枠を購入した広告主の業種又は前記カテゴリが、前記広告主情報により特定される前記業種又は前記カテゴリと同一である前記広告枠の前記購買実績データを取得する、広告枠取引システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の広告枠取引システムであって、
前記第2の購買実績データベースには、前記プラットフォームを用いずに取引された前記広告枠の前記購買実績データとして、既に出稿された広告から特定された、前記広告枠の前記購買実績データが蓄積される、広告枠取引システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の広告枠取引システムであって、
ユーザが選定した購入候補の前記広告枠である購入候補枠の情報を取得するように構成される購入候補取得部を更に備え、
前記推薦部は、前記購入候補枠の情報に基づき前記広告枠をユーザに推薦する、広告枠取引システム。
【請求項6】
請求項5に記載の広告枠取引システムであって、
前記推薦部は、同一の広告キャンペーンにおいて前記購入候補枠と併買される確率が高い前記広告枠ほど優先してユーザに推薦する、広告枠取引システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の広告枠取引システムであって、
前記推薦部は、前記購入候補枠と属性が同一である又は類似する前記広告枠をユーザに推薦する、広告枠取引システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の広告枠取引システムであって、
前記推薦部は、特定の広告主である特定広告主と業種又は商品若しくはサービスのカテゴリが同一の他の広告主の広告キャンペーンにおいて、前記特定広告主が過去に購入した前記広告枠、又は、前記特定広告主の広告キャンペーンについて購入候補として選定された前記広告枠、と併買される確率が高い前記広告枠ほど優先して推薦する、広告枠取引システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の広告枠取引システムであって、
第1の購買量及び第2の購買量に対して重み付けを行うように構成される重み付け部を更に備え、
前記第1の購買量は、前記第1の購買実績データベースから取得された前記購買実績データを基に特定される、1以上の広告主の1以上の前記広告枠に対する購買量、又は、当該購買量に基づく量であり、
前記第2の購買量は、前記第2の購買実績データベースから取得された前記購買実績データを基に特定される、1以上の広告主の1以上の前記広告枠に対する購買量、又は、当該購買量に基づく量であり、
前記推薦部は、重み付けられた前記第1の購買量及び前記第2の購買量に基づき、ユーザに前記広告枠を推薦する、広告枠取引システム。
【請求項10】
コンピュータの動作方法のうちネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引方法であって、
予約型広告に関する複数の広告枠の情報を前記ネットワーク上に公開することと、
ユーザから広告主に関する情報である広告主情報を取得することと、
前記プラットフォームを用いて取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第1の購買実績データベースと、前記プラットフォームを用いずに取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第2の購買実績データベースと、のそれぞれから、前記広告主情報に応じた前記購買実績データを取得することと、
前記第1の購買実績データベース及び前記第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された前記購買実績データに基づき、ユーザに前記広告枠を推薦することと、
を含む広告枠取引方法。
【請求項11】
ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
予約型広告に関する複数の広告枠の情報を前記ネットワーク上に公開するように構成される公開部と、
ユーザから広告主に関する情報である広告主情報を取得するように構成される広告主取得部と、
前記プラットフォームを用いて取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第1の購買実績データベースと、前記プラットフォームを用いずに取引された前記広告枠の購買実績データを蓄積する第2の購買実績データベースと、のそれぞれから、前記広告主情報に応じた前記購買実績データを取得するように構成される購買実績取得部と、
前記第1の購買実績データベース及び前記第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された前記購買実績データに基づき、ユーザに前記広告枠を推薦するように構成される推薦部と、
としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の広告媒体にわたる複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開し、ユーザから広告枠の購入申込みを受け付けるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-357294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームにおいては、取引される広告枠の種類は一般に多岐に渡る。このため、前記プラットフォームにおいて、ユーザが所望の広告枠を選定することは容易ではない。
【0005】
そこで、ユーザによる広告枠の選定を支援するため、例えば、前記プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを利用して、ユーザに広告枠を推薦することが考えられる。そして、この種の推薦方法において、ユーザに対する広告枠の推薦精度を向上したいというニーズが考えられる。
【0006】
本開示の一局面は、ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムにおいて、ユーザに対する広告枠の推薦精度を向上することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムであって、公開部と、広告主取得部と、購買実績取得部と、推薦部と、を備える。公開部は、予約型広告に関する複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開するように構成される。広告主取得部は、ユーザから広告主に関する情報である広告主情報を取得するように構成される。購買実績取得部は、第1の購買実績データベースと第2の購買実績データベースとのそれぞれから、広告主情報に応じた購買実績データを取得するように構成される。第1の購買実績データベースは、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。第2の購買実績データベースは、プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。推薦部は、第1の購買実績データベース及び第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された購買実績データに基づき、ユーザに広告枠を推薦するように構成される。
【0008】
このような構成によれば、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データに加え、プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データも利用してユーザに広告枠を推薦できる。したがって、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データのみを利用して広告枠を推薦する構成と比較して、広告枠の推薦精度を向上することができる。
【0009】
なお、上記のユーザとしては、広告主や、広告主の広告活動を代理する広告会社、といった広告枠利用者が想定される。
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、キャンペーン取得部を更に備えてもよい。キャンペーン取得部は、ユーザから広告キャンペーンに関する情報であるキャンペーン情報を取得するように構成される。推薦部は、キャンペーン情報に基づき広告枠をユーザに推薦してもよい。
【0010】
このような構成によれば、ユーザが設定したキャンペーン情報に適合した広告枠を推薦でき、ユーザの利便性を向上できる。
本開示の一態様では、広告主情報には、広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリの情報が含まれてもよい。そして、購買実績取得部は、第1の購買実績データベース及び第2の購買実績データベースのそれぞれから、当該広告枠を購入した広告主の業種又は前記カテゴリが、広告主情報により特定される業種又はカテゴリと同一である広告枠の購買実績データを取得してもよい。
【0011】
このような構成によれば、ユーザから取得した広告主の業種や前記カテゴリに合致する購買実績データに基づいてユーザに広告枠を推薦できる。その結果、ユーザのニーズによりマッチした広告枠を推薦でき得る。
【0012】
本開示の一態様では、第2の購買実績データベースには、プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データとして、既に出稿された広告から特定された、広告枠の購買実績データが蓄積されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、出稿済みの広告から広告枠の購買実績を特定できるという広告の特性から、プラットフォームを用いずに取引された広告枠についてもその購買実績データを収集し、データベースに蓄積できる。そして、そのように蓄積された購買実績データを用いることで、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データのみを利用して広告枠を推薦する構成と比較して、広告枠の推薦精度を向上できる。
【0014】
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、購入候補取得部を更に備えてもよい。購入候補取得部は、ユーザが選定した購入候補の広告枠である購入候補枠の情報を取得するように構成される。そして、推薦部は、購入候補枠の情報に基づき広告枠をユーザに推薦してもよい。
【0015】
このような構成によれば、購入候補枠の情報を有効活用してユーザに適切な広告枠を推薦できる。
本開示の一態様では、推薦部は、同一の広告キャンペーンにおいて購入候補枠と併買される確率が高い広告枠ほど優先してユーザに推薦してもよい。
【0016】
このような構成によれば、様々な広告主の購買実績データに基づいて、同一の広告キャンペーンにおいて購入候補枠と併買される確率が高い広告枠をユーザに推薦できる。
本開示の一態様では、推薦部は、購入候補枠と属性が同一である又は類似する広告枠をユーザに推薦してもよい。
【0017】
このような構成によれば、新しい媒体の広告枠など、購買実績データがまだない広告枠であってもユーザに推薦することができる。
本開示の一態様では、推薦部は、特定の広告主である特定広告主と業種又は商品若しくはサービスのカテゴリが同一の他の広告主の広告キャンペーンにおいて、特定広告主が過去に購入した広告枠、又は、特定広告主の広告キャンペーンについて購入候補として選定された広告枠、と併買される確率が高い広告枠ほど優先して推薦してもよい。
【0018】
このような構成によれば、特定広告主と業種又は商品サービスカテゴリが同一の他の広告主が同一キャンペーンで購入する広告枠をユーザに推薦できる。
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、重み付け部を更に備えてもよい。重み付け部は、第1の購買量及び第2の購買量に対して重み付けを行うように構成される。第1の購買量は、第1の購買実績データベースから取得された購買実績データを基に特定される、1以上の広告主の1以上の広告枠に対する購買量、又は、当該購買量に基づく量である。第2の購買量は、第2の購買実績データベースから取得された購買実績データを基に特定される、1以上の広告主の1以上の広告枠に対する購買量、又は、当該購買量に基づく量である。推薦部は、重み付けられた第1の購買量及び第2の購買量に基づき、ユーザに広告枠を推薦してもよい。
【0019】
このような構成によれば、例えば、第1の購買量が第2の購買量に対して偏りがある場合等において当該偏りを補正し、広告枠の推薦精度を向上でき得る。
本開示の別の態様は、ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引方法であって、予約型広告に関する複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開することと、ユーザから広告主に関する情報である広告主情報を取得することと、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを蓄積する第1の購買実績データベースと、プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データを蓄積する第2の購買実績データベースと、のそれぞれから、広告主情報に応じた購買実績データを取得することと、第1の購買実績データベース及び第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された購買実績データに基づき、ユーザに広告枠を推薦することと、を含む。
【0020】
本開示の別の態様は、ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記公開部と、前記広告主取得部と、前記購買実績取得部と、前記推薦部と、としてコンピュータを機能させる。
【0021】
これらの態様によれば、前述した広告枠取引システムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は広告枠取引システムの全体構成の説明図である。
図2図2は広告枠取引装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はマイページ画面の一例を示す図である。
図4図4は検索画面の一例を示す図である。
図5図5は広告枠情報出力画面の一例を示す図である。
図6図6は推薦処理のフローチャートである。
図7図7は推薦条件設定画面の一例を示す図である。
図8図8Aは第1の購買実績データベースから取得された購買実績データと第2の購買実績データベースから取得された購買実績データとを統合して得られる統合データの模式な概念図、図8Bは統合データから生成される行列の説明図である。
図9図9は推薦順位決定処理のフローチャートである。
図10図10は推薦結果出力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す広告枠取引システム100は、インターネット等のネットワークN上で広告枠取引を行うためのプラットフォーム(以下「広告枠取引プラットフォーム」という。)を提供するためのシステムである。
【0024】
広告枠取引は、広告枠を提供する広告枠提供者と、広告枠を利用する広告枠利用者と、の間で行われる取引である。なお、広告枠提供者と広告枠利用者との間で行われる取引には、広告枠提供者と広告枠利用者との間で直接的に行われる取引のみならず、広告枠提供者と広告枠利用者との間に第三者が介在して間接的に行われる取引も含まれる。
【0025】
ここで、広告枠とは、取引対象物であり、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、アウトドア・メディア、デジタル(換言すれば、インターネット)等の媒体における、広告を入れるスペースを指す。広告枠利用者は、取引にて入手した広告枠に広告を出稿(例えば、掲載、放送、配信等)することができる。なお、アウトドア・メディア(以下「ODM」という。)とは、家庭以外の場所で接触する媒体の総称であり、例えば、駅構内、電車、バス車内などで接触する交通広告媒体や、街中、商業施設といった屋外で接触する屋外広告媒体等を含む。
【0026】
本実施形態では、広告枠提供者は、媒体社又は媒体社の広告枠販売活動を代理する広告会社である。また、広告枠利用者は、広告主又は広告主の広告活動を代理する広告会社である。
【0027】
広告枠取引システム100は、広告枠の中でも予約型広告の広告枠の取引を行うためのシステムである。予約型広告とは、特定の広告枠を事前予約して購入し、出稿する形式の広告である。予約型広告は、例えば、出稿金額、出稿場所、出稿期間(例えば、掲載金額、掲載面、掲載期間)等があらかじめ定められている広告であってもよい。
【0028】
予約型広告としては、例えば、テレビCM、ラジオCM、新聞広告及び雑誌広告の4マス広告や、ODMによる広告(以下「ODM広告」という。)、デジタル広告等が挙げられる。なお、ODM広告には、交通広告や屋外広告などが含まれる。
【0029】
広告枠取引システム100では、このように複数の媒体の広告枠の取引が行われる。換言すれば、媒体が異なる複数の広告枠の取引が行われる。
広告枠取引システム100は、広告枠取引装置1と、提供者側端末2と、利用者側端末3と、広告枠情報等DB4、第1の購買実績データベース5と、第2の購買実績データベース6と、を備える。以下、データベースを「DB」と記載する。なお、図示の都合上、図1には、提供者側端末2及び利用者側端末3をそれぞれ1つずつ図示しているが、実際には、提供者側端末2及び利用者側端末3は、それぞれ複数存在する。
<広告枠取引装置>
広告枠取引装置1は、広告枠取引システム100の中心機能を担う機器であり、広告枠取引プラットフォームを提供するための機器である。広告枠取引装置1は、コンピュータ、具体的にはサーバコンピュータによって構成されており、図2に示すように、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0030】
通信部11は、通信用インタフェースである。広告枠取引装置1は、図1に示すようにインターネット等のネットワークNに接続されており、ネットワークNを経由して、提供者側端末2や利用者側端末3等との間でデータの送受信を行う。また、広告枠取引装置1は、通信部11を介して各種DB4~6とデータの送受信を行う。
【0031】
記憶部12は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等のストレージであり、各種データを記憶する。
制御部13は、CPU等のプロセッサ13a、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下「メモリ13b」という。)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部13の各種機能は、プロセッサ13aが非遷移的実体的記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ13bが、プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部13を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0032】
本実施形態では、記憶部12には、広告枠取引装置1の機能を発生させるためのプログラム(以下、広告枠取引プログラム)があらかじめインストールされている。この広告枠取引プログラムがプロセッサ13aによって読み取られて実行されることで、広告枠取引装置1が広告枠取引プラットフォームを提供する機器として機能する。また、広告枠取引プログラムがプロセッサ13aによって読み取られて実行されることで、後述する図6に示す推薦処理を含む、広告枠の取引に関連する各種データ処理が実行される。
<提供者側端末>
提供者側端末2は、広告枠提供者が保有する端末であり、PC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。広告枠提供者は、提供者側端末2を通じて、提供する広告枠に関する情報を広告枠取引装置1に向けて送信する。これにより、広告枠提供者は、新たな広告枠を取引対象品として提供した際に、その広告枠の情報を、利用者側端末3及び広告枠取引装置1を通じて広告枠利用者等に知らせることが可能である。
<利用者側端末>
利用者側端末3は、広告枠利用者が保有する端末であり、ブラウジング機能を有するPC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。利用者側端末3は、ディスプレイと、ディスプレイに表示された情報に対するユーザの入力操作を受け付ける入力デバイスと、を備える。広告枠利用者は、利用者側端末3を通じて、各広告枠提供者が提供した広告枠の情報を受信し、受信した情報をディスプレイに表示させて確認する。また、広告枠利用者は、利用者側端末3にて広告枠の選定及び購入の申込みを行うことができる。
<広告枠情報等DB>
広告枠情報等DB4には、広告枠取引プラットフォーム上で取引される広告枠の情報(以下「広告枠情報」という。)等が記憶されている。
【0033】
広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告の出稿時期、広告枠の価格等の情報を含む。
媒体IDは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、ODM、デジタルなどの広告媒体の種別(分類)を識別するIDである。ビークルIDは、ビークルを識別するIDである。ここで、ビークルとは、広告媒体の銘柄である。例えば、「新聞」という広告媒体に対して「〇〇新聞」という個別銘柄がビークルである。ユニットIDは、ユニットを識別するIDである。ここで、ユニットとは、広告媒体において価格が設定され、広告枠提供者により販売される広告枠の単位である。例えば、「新聞」という広告媒体において「全15段モノクロ」、「2段1/2モノクロ」などの販売単位がユニットである。ユニットは、広告媒体における広告の位置、サイズ及び色の少なくとも1つを特定するものであってもよい。
【0034】
広告出稿時期は、広告枠を用いて広告が出稿(掲載、放送、配信等)される時期である。広告出稿時期は、換言すれば、広告の掲載時期、放送時期、配信時期等である。
なお、広告枠情報は、上記以外の情報を含んでいてもよく、例えば、広告枠の購入申込期限、広告の入稿期限などの情報が含まれていてもよい。
【0035】
広告枠情報は、各広告枠提供者が提供者側端末2を介して広告枠に関するデータをアップロードすることで広告枠情報等DB4に記憶される。そして、広告枠情報等DB4に記憶されている各広告枠の広告枠情報が、取引可能な広告枠の情報として、広告枠取引プラットフォーム上で公開される。
【0036】
また、広告枠情報等DB4には、各広告主の情報が記憶されている。各広告主の情報は、広告枠取引システム100を利用する広告枠利用者等によって登録される。
<第1の購買実績DB>
第1の購買実績DB5は、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。すなわち、広告枠取引プラットフォーム上で広告枠の取引が行われると、第1の購買実績DB5上に取引された広告枠の購買実績データが蓄積されていく。
【0037】
購買実績データには、購入された広告枠の情報、広告枠を購入した広告主の情報、購入された広告枠に出稿される広告の素材情報等が含まれる。
購入された広告枠の情報には、広告枠を識別可能な情報である広告枠ID、当該広告枠の広告出稿時期、広告枠の価格等の情報が含まれる。
【0038】
ここで、広告枠IDは、例えば、前述した媒体ID、ビークルID及びユニットIDの組合せであってもよく、これらの組合せに1対1対応するIDであってもよい。また、ここでいう広告枠の価格は、後述する推定価格とは異なり、広告枠取引プラットフォーム上で取引されたときの広告枠の実際の価格である。
【0039】
広告枠を購入した広告主の情報には、広告主を識別可能な情報である広告主IDが含まれる。また、広告主の情報には、広告主のブランドや、業種、商品又はサービスのカテゴリ等を識別可能な情報(以下「ブランドID」等という。)等が含まれる。ここで、業種としては、例えば自動車メーカーや飲料メーカー等が挙げられ、商品又はサービスのカテゴリとしては、例えば自動車や飲料等が挙げられる。なお、以下では、商品又はサービスのカテゴリを「商品サービスカテゴリ」と記載する。
【0040】
広告の素材情報には、例えば、広告主の商品又はサービスの情報、広告の表現形式の情報等が含まれる。広告の表現形式の情報には、例えば、テキスト、画像、動画等の種別の情報、カラー、モノクロ等の色の種別の情報等が含まれる。
<第2の購買実績DB>
第2の購買実績DB6は、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。換言すれば、第2の購買実績DB6は、広告枠取引プラットフォームを介さずに広告枠提供者と広告枠利用者との間で取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。第2の購買実績DB6は、例えば次のようにして構築される。
【0041】
すなわち、広告の特性上、既に出稿(掲載、放送、配信等)された広告から、どの広告主がどの広告枠を利用して、いつ、どんな商品又はサービスについて広告出稿を行ったのかが把握できる。つまり、出稿済みの広告から広告枠の購買実績を特定できる。第2の購買実績DB6には、既に出稿された広告から特定された、広告枠の購買実績データが蓄積される。
【0042】
本実施形態では、広告枠取引システム100の提供者(以下「システム提供者」という。)は、広告出稿から特定された各広告枠の購買実績を含む調査データを取得し、取得した調査データに基づいて第2の購買実績DB6を構築する。なお、この調査データは、第三者機関である外部の調査機関から提供されることが想定される。しかし、調査データの提供元については特に限定されるものではない。例えば、システム提供者自身が調査データを収集してもよく、調査データの一部が広告枠提供者や広告枠利用者から提供されてもよい。
【0043】
第2の購買実績DB6に蓄積される購買実績データは、第1の購買実績DB5に蓄積される購買実績データと同様に、購入された広告枠の情報、広告枠を購入した広告主の情報、購入された広告枠に出稿される広告の素材情報等を含む。ただし、第2の購買実績DB6では、購入された広告枠の価格として、広告出稿から推定された価格である推定価格が記憶される。
【0044】
すなわち、出稿済みの広告からは、その広告枠が広告枠提供者と広告枠利用者との間で、いくらで取引されたかまでは把握できない。このため、システム提供者が取得する調査データには、取引された広告枠の価格までは含まれていない。そこで、本実施形態では、システム提供者等が、購入された広告枠の種別、購入した広告主の業種、広告出稿時期等の各種情報から広告枠の推定価格を算出し、その推定価格を第2の購買実績DB6に記憶する。なお、推定価格の算出方法は、各種情報に基づいて人が推定する方法に限られず、各種情報に基づいて機械的に自動で算出する方法等であってもよい。
【0045】
本実施形態では、後述のとおり、第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6から、広告主や広告枠が同一の購買実績データが取得される。そこで、広告主や広告枠等については名寄せが行われる。具体的には、両DB5,6に記憶される広告枠ID、広告主ID、ブランドID等については両DB5,6で共通して用いられる共通IDが使用される。
【0046】
具体的には、本実施形態では、広告枠取引プラットフォーム上で新規な広告枠や広告主等が登録される際に、システム提供者が、広告枠や広告主について、調査データ(すなわち、第2の購買実績DB6)で用いられているIDと同様のIDを人的に付す。このようなIDとしては、例えば、広告業界で共通して用いられるID等が挙げられる。このようにして、第1の購買実績DB5に記憶される広告枠ID等について、第2の購買実績DB6でも使用されている広告枠ID等(すなわち、共通ID)が付与される。
【0047】
なお、第2の購買実績DB6と第1の購買実績DB5とは一部重複した購買実績データを記憶している。すなわち、第1の購買実績DB5には、前述のとおり、広告枠取引プラットフォーム上で取引された広告枠の購買実績データが蓄積される。そして、その中には、既に広告出稿が行われた広告枠の購買実績データと、未だ広告出稿が行われていない広告枠の購買実績データ(換言すれば、比較的直近に購入された広告枠の購買実績データ)と、が含まれる。
【0048】
このうち、前者の購買実績データについては、広告出稿からある程度時間が経過すると、前述した調査データにその購買実績データが含まれる。その結果、第2の購買実績DB6にも同様の購買実績データが蓄積されることになる。つまり、広告枠取引プラットフォーム上で取引された広告枠であって広告出稿からある程度時間が経過した広告枠の購買実績データについては、第1の購買実績DB5と第2の購買実績DB6との両方に蓄積される。このように、第2の購買実績DB6には、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データが蓄積されていてもよい。
【0049】
[2.機能]
[2-1.検索・購入申込機能]
次に、広告枠取引システム100の基本的機能である広告枠の検索機能及び購入申込機能について、図3図5を用いて説明する。図3図5は、利用者側端末3のディスプレイに表示される画面の一例である。以下では、利用者側端末3を保有する広告枠利用者として、広告主の広告活動を代理する広告会社を想定して説明する。
【0050】
まず、広告会社の担当者であるユーザは、利用者側端末3を起動して広告枠取引装置1が提供する広告枠取引プラットフォームのウェブサイトにアクセスする。そして、ユーザは、ユーザIDやパスワード等の認証情報を入力し、ログインする。すると、図3に示すマイページ画面A1が利用者側端末3のディスプレイに表示される。
【0051】
マイページ画面A1には、各種操作ボタンが表示される。各種操作ボタンには、キャンペーン作成ボタンB1、キャンペーン検索ボタンB2、購入申込ボタンB3及び検索ボタンB4が含まれる。キャンペーン作成ボタンB1は、広告主の広告キャンペーン(以下「キャンペーン」という。)の作成(登録)を行うためのボタンである。ユーザがキャンペーン作成ボタンB1を操作すると、図示省略するキャンペーン作成画面が表示される。キャンペーン作成画面において各種情報(例えば、キャンペーン名、広告主名、広告主の業種、広告対象の商品又はサービスのカテゴリ、キャンペーンの予算総額や期間等)を設定すると、キャンペーンが新規に登録される。登録されたキャンペーンの情報は、広告枠情報等DB4に記憶されるとともに、マイページ画面A1のキャンペーン表示領域R1にそのキャンペーン名が表示される。本実施形態では、ユーザは、所望の広告枠を選定し、選定した広告枠を、登録されたキャンペーンに追加していく。そして、追加した広告枠について購入申込みを行うことで、その広告枠の購入(すなわち、取引)が行われる。
【0052】
キャンペーン検索ボタンB2は、登録したキャンペーンの中から所望のキャンペーンを検索するためのボタンである。
購入申込ボタンB3は、キャンペーンに追加した広告枠の購入申込みを行うためのボタンである。ここで、マイページ画面A1の広告枠表示領域R2には、キャンペーンに追加された広告枠の情報(本実施形態では、最も直近でキャンペーンに追加された広告枠の情報)と、購入申込ボタンB3と、が表示される。表示される広告枠の情報としては、例えば、キャンペーン名21、ビークル名22、ユニット名23、空枠状況24、広告枠の具体的なイメージ画像25、価格26、購入申込期限27、入稿期限28の情報等が挙げられる。購入申込ボタンB3を操作することで、広告枠表示領域R2に表示された広告枠の購入申込みが行われる。
【0053】
一方、検索ボタンB4は、広告枠を検索するためのボタンである。ユーザが検索ボタンB4を操作すると、図4の検索画面A2に遷移する。
検索画面A2では、ユーザは広告枠の検索方法を選択できる。検索方法として、媒体検索、キーワード検索及び条件検索が選択可能である。媒体検索は媒体別の検索、キーワード検索はキーワードによる検索、条件検索は条件(例えば、ターゲットセグメント、キャンペーンの予算総額・期間、エリアなどの条件)による検索である。
【0054】
図4には、媒体検索が選択された場合の画面例が示されている。なお、媒体検索では、ユーザが画面左側の媒体選択領域R3から媒体を選択すると、選択された媒体に該当する各種ビークルがビークル表示領域R4に表示される。図4に示す例では媒体として「新聞」が選択されている。
【0055】
一方、検索画面A2には、メディア推薦ボタンB5が表示される。メディア推薦ボタンB5が操作されると、推薦処理が実行される。推薦処理は、ユーザが設定した条件に応じてユーザに広告枠を推薦する処理である。この推薦処理による推薦機能は広告枠取引装置1の特徴的な機能であり、後で詳述する。
【0056】
一方、検索画面A2のビークル表示領域R4においてユーザがいずれかのビークルを選択すると、図5に示す広告枠情報出力画面A3に遷移する。
なお、本実施形態では、キーワード検索や条件検索による検索が行われた場合は、条件に合致する1又は複数のビークルが表示される。そして、表示された1又は複数のビークルの中からユーザがビークルを選択すると、図5に示す広告枠情報出力画面A3に遷移する。
【0057】
広告枠情報出力画面A3には、検索画面A2で選択されたビークルに関する広告枠の情報が表示される。具体的には、広告枠情報出力画面A3には、ビークル名31、媒体社名32、ビークルに関する説明33、広告枠の具体的なイメージ画像34、広告枠一覧35等が表示される。
【0058】
広告枠一覧35には、1又は複数のユニットのそれぞれについて、価格及びキャンペーン追加ボタンB6が表示される。ユーザは、広告枠一覧35から広告枠を選択し、キャンペーン追加ボタンB6を操作する。すると、進行中のキャンペーンの一覧が表示され、ユーザは表示された一覧の中から広告枠を追加したいキャンペーンを選択する。すると、選択されたキャンペーンに対して広告枠が追加される。
【0059】
広告枠が追加されると、図3に示すマイページ画面A1の広告枠表示領域R2に、追加された広告枠の情報が表示される。そして、ユーザが購入申込ボタンB3を操作すると、広告枠提供者に広告枠の発注の連絡が送信され、広告枠の購入処理が行われる。
【0060】
[2-2.推薦機能]
次に、広告枠取引システム100の特徴的機能である広告枠の推薦機能について説明する。推薦機能は、広告枠取引装置1の制御部13が推薦処理を実行することで実現される。以下、この推薦処理ついて図6のフローチャートを用いて説明する。なお、推薦処理は、図4に示す検索画面A2においてメディア推薦ボタンB5が操作されることで実行される。
【0061】
まず、制御部13は、S101(Sはステップを表す。)で、利用者側端末3から推薦条件情報を取得する。推薦条件情報とは、推薦する広告枠を制御部13が決定する際に考慮される条件を示す情報である。つまり、推薦条件情報に応じた広告枠がユーザに推薦される。
【0062】
制御部13は、次のようにして推薦条件情報を取得する。すなわち、制御部13は、図7に示す推薦条件設定画面A4を表示するためのデータを利用者側端末3に送信する。すると、当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイに推薦条件設定画面A4が表示され、ユーザは設定画面A4で推薦条件情報を設定する。
【0063】
本実施形態では、推薦条件情報には、広告主情報とキャンペーン情報とが含まれる。広告主情報は、広告主に関する情報であり、例えば、広告主名、広告主の業種、商品サービスカテゴリ等を含む。キャンペーン情報は、キャンペーンに関する情報であり、例えば、キャンペーンの予算総額、実施期間(開始日及び終了日)等を含む。
【0064】
ここで、広告会社の担当者であるユーザは、設定画面A4において、システム100に登録されている任意の広告主の広告主情報(例えば、広告主名等)を設定可能である。すなわち、ユーザは、設定画面A4において、対象広告主の広告主情報はもちろんのこと、対象広告主とは異なる広告主の広告主情報も設定可能である。ここでいう対象広告主とは、広告枠取引システム100を利用して、その広告主のキャンペーンに追加する広告枠が選定される広告主のうち特定の広告主を指す。具体的には、対象広告主は、本実施形態のように広告主の代わりに他の者(広告会社の担当者等)がシステム100を利用する場合は前記広告主、広告主が直接システム100を利用する場合は当該広告主である。
【0065】
後述のとおり、ユーザが入力した広告主情報により特定される広告主の購買実績データを基に広告枠が推薦される。つまり、ユーザは、対象広告主のキャンペーンに追加する広告枠を決めるに当たり、対象広告主とは異なる広告主の購買実績データに基づく広告枠の推薦を受けられる。
【0066】
一方、キャンペーン情報としては、基本的には、対象広告主(例えば、広告会社の担当者であるユーザが担当する広告主)のキャンペーン情報を入力することが想定される。
設定画面A4において推薦条件情報が設定されると、利用者側端末3から広告枠取引装置1に推薦条件情報を示すデータが送信される。当該データを受信することで、広告枠取引装置1の制御部13は推薦条件情報を取得する。
【0067】
なお、以下では、S101で取得された推薦条件情報に含まれる広告主名で特定される広告主を「設定広告主」と称し、対象広告主とは区別する。
続いて、S102で、制御部13は、第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6のそれぞれから、推薦条件情報に応じた購買実績データを取得する。
【0068】
ここで、制御部13は、S101で取得したキャンペーン情報に合致する購買実績データを取得する。具体的には例えば、制御部13は、広告枠情報等DB4を参照し、現在取引可能な各広告枠の広告出稿時期と価格とを取得する。そして、制御部13は、広告出稿時期がキャンペーン期間に含まれ、かつ、価格が予算総額以下である1又は複数の広告枠の購買実績データをDB5,6から取得する。
【0069】
また、S102では、制御部13は、広告枠を購入した広告主の業種又は商品サービスカテゴリが、S101で取得された広告主情報に含まれる業種又は商品サービスカテゴリと同一の購買実績データを取得する。
【0070】
さらに、制御部13は、取得する購買実績データが重複しないようにDB5,6から各広告枠の購買実績データを取得する。本実施形態では、制御部13は、購入された広告枠の出稿時期の範囲や広告枠の種別(例えば、広告枠ID)の範囲を指定して購買実績データを取得することで、取得する購買実績データが重複しないようにする。
【0071】
具体的には、制御部13は、第2の購買実績DB6からは、既に広告出稿が行われ、前述した調査データに含まれる購買実績データを取得する。換言すれば、制御部13は、出稿時期が過去(ただし、直近の過去を除く。)の広告枠の購買実績データを取得する。
【0072】
一方、制御部13は、第1の購買実績DB5からは、広告枠取引プラットフォーム内で取引された広告枠の購買実績データのうち、第2の購買実績DB6にまだ記憶されていない購買実績データを取得する。換言すれば、制御部13は、購入された未だ広告出稿が行われていない広告枠の購買実績データ(すなわち、出稿時期が未来の広告枠の購買実績データ)と、広告出稿が行われたが調査データにまだ含まれていない広告枠の購買実績データ(すなわち、出稿時期が直近の過去の広告枠の購買実績データ)と、を第1の購買実績DB5から取得する。
【0073】
つまり、制御部13は、広告枠の出稿時期の範囲を指定することで、出稿時期が直近の過去以降である広告枠、すなわち、出稿時期が特定の時点以降である広告枠の購買実績データを第1の購買実績DB5から少なくとも取得する。
【0074】
ここで、調査データにおいては、調査される媒体の種別が限られており、全ての媒体の種別が網羅されているわけではない。このため、広告枠取引プラットフォーム上で取引されるが調査データには購買実績データが含まれない広告枠が存在し得る。
【0075】
そこで、制御部13は、このような広告枠の購買実績データについては、出稿時期が前記特定の時点よりも前、すなわち、出稿時期の観点からは調査データに含まれ得る購買実績データであっても、第1の購買実績DB5から取得してもよい。
【0076】
このように、制御部13は、広告枠の出稿時期の範囲に加え、広告枠の種別の範囲を指定してDB5,6から取得する購買実績データの範囲を決定してもよい。
なお、DB5,6から取得する購買実績データを決定する方法はこれに限られず、出稿時期と広告枠の種別とのいずれか一方の範囲のみを指定して購買実績データが取得されてもよい。また、取得する購買実績データの範囲をその他方法で決定してもよい。
【0077】
このように、本実施形態では、制御部13は、第1の購買実績DB5に記憶されている購買実績データの中から、第2の購買実績DB6にも記憶されている購買実績データを除外して購買実績データを取得する。換言すれば、制御部13は、両DB5,6に重複して記憶されている購買実績データについては、第1の購買実績DB5から取得せず、第2の購買実績DB6から取得する。
【0078】
続いて、S103で、制御部13は、DB5,6のそれぞれから取得した購買実績データを統合する。具体的には、制御部13は、図8Aに示すように、第1の購買実績DB5から取得した購買実績データと、第2の購買実績DB6から取得した購買実績データと、を行方向(すなわち、購買実績データが並んでいる方向)に連結する。
【0079】
ここで、両DB5,6から取得した購買実績データに含まれる広告主ID及び広告枠IDについては前述のとおり共通IDが用いられており、名寄せ済みである。以下では、両DB5,6の購買実績データを統合して得られるデータを「統合データ」という。
【0080】
なお、図8Aにおいて、「過去」、「未来」、「直近の過去」との記載は、購買実績データに係る広告枠の出稿時期が過去、未来、直近の過去であることを意味している。
続いて、S104で、制御部13は、推薦順位決定処理を実行する。推薦順位決定処理は、ユーザに対する各広告枠の推薦順位を決定する処理である。推薦順位が高い広告枠ほど優先してユーザに推薦される。以下、推薦順位決定処理について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
まず、S201で、制御部13は、S103で生成した統合データに対してデータ抽出やクロス集計等の処理を行うことで、図8Bに示すような2次元行列(以下「購買量行列」という。)Y1を生成する。
【0082】
この購買量行列Y1の行は広告主IDに対応し、列は広告枠IDに対応し、成分は広告枠の購買量に対応する。すなわち、購買量行列Y1の(i,j)成分は、i番目の広告主のj番目の広告枠に対する購買量である。本実施形態では、購買量として、広告主が広告枠を購入した購入回数を例示する。
【0083】
続いて、S202で、制御部13は、S201で生成した購買量行列Y1に対し、非負値行列因子分解(NMF)や特異値分解(SVD)等の行列分解を実行し、低ランク近似した行列(以下「低ランク近似行列」という。)Y2(図示省略)を生成する。この低ランク近似行列Y2は次のように生成される。
【0084】
すなわち、全広告主数をM、全広告枠数をNとして、S201で生成された購買量行列Y1がM行N列の行列であるとする。この購買量行列Y1では、購買実績がない要素については全て「0」が設定される。そして、M、Nよりも小さい適当な整数Dを決める。そして、M行D列の行列Pと、N行D列の行列Qとを想定し、制御部13は、「Y~P・Q´」を満たす行列P及びQを計算する。ここで「Q´」は行列Qの転置行列を示している。ここで得られた行列Pの各行pは、各広告主の特性を表すベクトルとみなすことができ、また、行列Qの各行qは、各広告枠の特性を表すベクトルとみなすことができる。そして、Y2=P・Q´を満たす行列Y2を、購買量行列Y1の低ランク近似行列Y2とする。なお、低ランク近似行列Y2では、購買実績がない要素についても非ゼロの値になり得る。このため、低ランク近似行列Y2を用いて広告枠の推薦を行うことで、購買実績がない広告枠についても推薦することが可能になる。
【0085】
続いて、S203で、制御部13は、S202で生成した低ランク近似行列Y2に基づいて、各広告枠の適合度を取得する。ここでいう適合度とは、推薦条件情報にその広告枠がどの程度適合しているかを示す度合いである。本実施形態では、制御部13は、低ランク近似行列Y2において、推薦条件情報に含まれる設定広告主に対応する行の各列(すなわち、各広告枠)の成分を各広告枠の適合度として取得する。S203で取得された適合度は後述するS205で各広告枠の推薦順位を決定する際に用いられる。
【0086】
続いて、S204で、制御部13は、図6のS101で取得した広告主情報に応じた特定企業の各広告枠の購買量を取得する。具体的には、制御部13は、広告主情報に含まれる業種や商品サービスカテゴリに応じた特定企業の各広告枠の購買量を取得する。本実施形態では、業種や商品サービスカテゴリに応じた前記特定企業として、その業種又はその商品サービスカテゴリにおける所定の大手企業が想定される。
【0087】
すなわち、本実施形態では、各業種又は各商品サービスカテゴリについて、対応する特定企業(換言すれば、対応する大手企業)があらかじめ設定されている。そして、制御部13は、S201で生成された購買量行列Y1において、特定企業(すなわち、所定の大手企業)に対応する行の各列(すなわち、各広告枠)の成分を取得する。これにより、特定企業の各広告枠の購買量が取得される。
【0088】
なお、本実施形態では、購買量行列Y1から特定企業の各広告枠の購買量を取得するが、特定企業の購買量の取得方法はこれに限られない。例えば、低ランク近似行列Y2において、特定企業に対応する行の各列(すなわち、各広告枠)の成分が、特定企業の各広告枠の購買量として取得されてもよい。
【0089】
続いて、S205で、制御部13は、各広告枠の推薦順位を決定する。ここで、制御部13は、S203で取得した各広告枠の適合度と、S204で取得した特定企業の各広告枠の購買量(すなわち、購買実績)と、に基づいて2通りの方法で広告枠の推薦順位を決定する。
【0090】
具体的には、まず、制御部13は、S203で取得した設定広告主に関する適合度が高い広告枠ほど推薦順位が高くなるように各広告枠の推薦順位を決定する。これにより、適合度に基づく推薦順位が決定される。
【0091】
また、制御部13は、S204で取得した特定企業の各広告枠の購買量が高い広告枠ほど推薦順位が高くなるように各広告枠の推薦順位を決定する。これにより、特定企業の購買実績に基づく推薦順位が決定される。
【0092】
制御部13は、S205の処理を実行した後、図9の推薦順位決定処理を終了する。
図6に戻り、S105で、制御部13は、提示処理を実行する。提示処理は、広告枠情報等DB4に記憶されている、取引可能な少なくとも1つの広告枠をユーザに提示処理である。具体的には、制御部13は、図8のS205で決定した推薦順位に従い推薦順位が比較的高い1以上の広告枠の広告枠情報を広告枠情報等DB4から取得する。そして、取得した広告枠情報を推薦順位に従いソートして一覧表示するためのデータを生成し、利用者側端末3に送信する。当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイには図10に示す推薦結果出力画面A5が表示される。
【0093】
推薦結果出力画面A5には、設定広告主に関する適合度に基づく推薦結果と、設定された業種又は商品サービスカテゴリに応じた特定企業の購買実績に基づく推薦結果と、が表示されている。具体的には、前記適合度が高い順番にソートされた複数の広告枠情報が図10における上段に表示されている。一方、ユーザが設定した業種又は商品サービスカテゴリに対応した特定企業の購買実績が高い順にソートされた複数の広告枠情報が図10における下段に表示されている。本実施形態では、ユーザが広告主の業種又は商品サービスカテゴリとして自動車メーカー又は自動車を選択したことが想定される。このため、出力画面A5において、特定企業として、大手自動車会社の購買実績を踏まえた推薦結果が表示されている。
【0094】
なお、本実施形態では、適合度や特定企業の購買実績の値は出力画面A5に表示されない。すなわち、これらの値は、各広告枠の推薦順位を決定するためにシステムのバックエンド側で用いられる。
【0095】
出力画面A5において、ユーザは、複数の広告枠41のいずれかを選択して対象広告主のキャンペーンに追加する。そして、ユーザは、図3のマイページ画面A1の購入申込ボタンB3を操作して、該当する広告枠を購入する。
【0096】
制御部13は、S105を実行すると、図6に示す推薦処理を終了する。
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0097】
(1)本実施形態では、制御部13は、第1の購買実績DB5と第2の購買実績DB6とのそれぞれから、ユーザから取得された広告主情報に応じた購買実績データを取得する。第1の購買実績DB5は、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。第2の購買実績DB6は、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。そして、制御部13は、第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6のそれぞれから取得された購買実績データに基づき、ユーザに広告枠を推薦する。
【0098】
したがって、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データに加え、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データも利用してユーザに広告枠を推薦できる。したがって、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データのみを利用して広告枠を推薦する構成と比較して、広告枠の推薦精度を向上することができる。
【0099】
(2)本実施形態では、ユーザは、広告主情報を設定する設定画面A4において、対象広告主とは異なる広告主の広告主情報を設定可能である。そして、制御部13は、当該広告主情報を利用者側端末3から取得する。換言すれば、制御部13は、広告枠取引システム100に登録されている複数の広告主(具体的には、広告枠情報等DB4に情報が記憶されている複数の広告主)の中からユーザが任意に選択した広告主の広告主情報を取得する。そして、制御部13は、取得した広告主情報に基づき広告枠を推薦する。
【0100】
このため、ユーザは、対象広告主とは異なる広告主と同様の広告枠の推薦を受けることができる。特に、日用品等を購入する一般的なオンラインショップ等では、ユーザは他の特定のユーザがどのような商品を購入したかはわからず、他の特定のユーザを指定して、そのユーザの購買実績データに基づく商品推薦を受けることはできない。
【0101】
一方、広告の特性上、出稿済みの広告から他の広告主の購買実績が特定される。換言すれば、他の広告主の購買実績が公開される。このような事情から、広告枠取引システム100では、ユーザは、対象広告主とは異なる他の広告主を設定し、設定した他の広告主の購買実績データに基づく広告枠の推薦を受けることできる。
【0102】
(3)制御部13は、S101でユーザから推薦条件情報に含まれるキャンペーン情報を取得し、取得されたキャンペーン情報に基づき広告枠をユーザに推薦する。したがって、ユーザが設定したキャンペーン情報に適合した広告枠を推薦でき、ユーザの利便性を向上できる。
【0103】
(4)制御部13は、S102において、第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6のそれぞれから、広告枠を購入した広告主の業種又は商品サービスカテゴリが、推薦条件情報に含まれる広告主情報により特定される業種又は前記カテゴリと同一である購買実績データを取得する。したがって、ユーザから取得した広告主の業種や前記カテゴリに合致する購買実績データに基づいてユーザに広告枠を推薦できる。その結果、ユーザのニーズによりマッチした広告枠を推薦でき得る。
【0104】
(5)第2の購買実績DB6には、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データとして、既に出稿された広告から特定された、広告枠の購買実績データが蓄積される。
【0105】
したがって、出稿済みの広告から広告枠の購買実績を特定できるという広告の特性から、プラットフォームを用いずに取引された広告枠についてもその購買実績データを収集し、データベースに蓄積できる。そして、そのように蓄積された購買実績データを用いることで、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データのみを利用して広告枠を推薦する構成と比較して、広告枠の推薦精度を向上できる。
【0106】
なお、本実施形態では、広告枠取引プラットフォームがプラットフォームに相当し、S101が広告主取得部及びキャンペーン取得部としての処理に相当し、S102が購買実績取得部としての処理に相当し、S104及びS105が推薦部としての処理に相当し、S105が公開部としての処理に相当する。
【0107】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0108】
(1)図9のS201で生成される購買量行列Y1は上記実施形態のものに限られない。例えば、図6のS103で生成される統合データを基に広告主の業種ごと又は商品サービスカテゴリごとに各広告枠の購買量の平均を算出する。そして、行が業種又は商品サービスカテゴリのIDに対応し、列が広告枠IDに対応し、成分が購買量の前記平均である行列が購買量行列Y1として生成されてもよい。そして、生成された行列Y1を用いて各広告枠の推薦が行われてもよい。
【0109】
(2)上記実施形態において、制御部13は、ユーザによって選定された購入候補の広告枠である購入候補枠の情報を取得し、取得した購入候補枠の情報に基づいてユーザに広告枠を推薦してもよい。ここでいう購入候補枠は、対象広告主のキャンペーンに追加されたが、まだ購入申込みがされていない広告枠であってもよい。なお、購入候補枠の情報を取得する処理が購入候補取得部としての処理に相当する。このような構成によれば、購入候補枠の情報を有効活用してユーザに適切な広告枠を推薦できる。
【0110】
具体的には例えば、対象広告主のキャンペーンに追加する広告枠をユーザが選定する際に、下記の例1~3のように、購入候補枠の情報を用いて広告枠が推薦されてもよい。
<例1>
制御部13は、推薦対象となる広告枠(例えば、推薦順位を決定した広告枠)の中から下記の条件1及び2のいずれか一方又は両方を満たす広告枠を除外してもよい。
(条件1)既に購入候補枠として選定されている広告枠であること
(条件2)ユーザが設定したキャンペーンの予算総額から、購入候補枠として選定された1以上の広告枠の合計金額を差し引いた残予算額を上回る価格の広告枠であること
<例2>
制御部13は、同一の広告キャンペーンにおいて購入候補枠と併買される確率(以下「併買率」という。)が高い広告枠ほど優先してユーザに推薦してもよい。
【0111】
例えば、制御部13は、DB5,6の購買実績データを参照し、購入候補枠と同一キャンペーンで購入された広告枠の組合せを購入量に基づいてランキングする。そして、制御部13は、ランキングが高い組合せに係る広告枠をユーザに推薦してもよい。
【0112】
例えば、購入候補枠である広告枠Aについて、広告枠Aと同一キャンペーンにおいて購入されたことのある広告枠の組合せ及び購入回数が以下であるとする。
広告枠A,Bをセットで5回購入
広告枠A,B,Cをセットで3回購入
広告枠A,Dをセットで2回購入
この場合、広告枠A,Bがセットで購入される回数が高いため、広告枠Bがユーザに推薦されてもよい。
【0113】
このような構成によれば、様々な広告主の購買実績データに基づいて、同一キャンペーンにおいて購入候補枠との併買率(換言すれば、相乗効果)が高い広告枠をユーザに推薦できる。
【0114】
なお、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された複数の広告枠については、システム100上、それらが同一のキャンペーンについて購入されたかどうかを判定できる。一方、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された複数の広告枠については、システム100上、それらが同一のキャンペーンについて購入されたかどうかを判定できない場合がある。
【0115】
そこで、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された複数の広告枠については、例えば、それらの広告枠を用いて出稿された各広告から特定される広告主や広告出稿時期、広告対象の商品又はサービスやブランド等が同一である複数の広告枠を、同一のキャンペーンについて購入された複数の広告枠であると推定してもよい。
<例3>
制御部13は、購入候補枠と属性が同一である又は類似する広告枠をユーザに推薦してもよい。具体的には、各広告枠に当該広告枠の属性を示すタグ(以下「属性タグ」という。)を付しておき、購入候補枠の属性タグと同一である又は類似する属性タグを有する広告枠がユーザに推薦されてもよい。なお、広告枠の属性としては、媒体、ビークル、ユニット等の種別や、媒体社名などが想定される。
【0116】
なお、属性タグについては、システム提供者や広告枠提供者等が人的に各広告枠に付してもよく、又は、機械的に付してもよい。後者の場合、例えば、各広告枠の広告枠情報と属性タグとの関係を機械学習等で学習し、その学習済みの機械学習モデルを用いて自動で属性タグが各広告枠に付されてもよい。
【0117】
このような構成によれば、購入候補枠と属性が同一である又は類似する広告枠がユーザに推薦される。したがって、新しい媒体の広告枠など、購買実績データがまだない広告枠であってもユーザに推薦することができる。
【0118】
(3)また例えば、次のような方法で広告枠が推薦されてもよい。具体的には例えば、制御部13は、特定の広告主である特定広告主を示す情報を取得する。ここでいう特定広告主としては対象広告主が想定されるが、特定広告主は対象広告主以外の設定広告主等であってもよい。
【0119】
そして、制御部13は、第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6に蓄積されている購買実績データに基づいて、特定広告主と業種又は商品サービスカテゴリが同一の他の広告主のキャンペーンにおいて、特定広告主が過去に購入した広告枠、又は、特定広告主の広告キャンペーンについて購入候補として選定された広告枠、と併買される確率(併買率)が高い広告枠ほど優先して推薦してもよい。
【0120】
例えば、特定広告主の業種が自動車メーカーであり、特定広告主が広告枠Aを過去に購入した、又は、購入候補枠として選定したとする。この場合、自動車メーカーの他の企業のキャンペーンにおいて広告枠Aとの併買率が高い広告枠B,Cが推薦されてもよい。
【0121】
このような構成によれば、特定広告主と業種又は商品サービスカテゴリが同一の広告主が同一キャンペーンで購入する広告枠をユーザに推薦できる。
(4)上記実施形態の図6のS102において、制御部13は、DB5,6のそれぞれから、広告枠を購入した広告主の業種又は商品サービスカテゴリが、ユーザによって設定された広告主情報により特定される業種又は前記カテゴリと同一でない購買実績データも取得してもよい。そして、制御部13は、取得した当該購買実績データを用いて広告枠を推薦してもよい。
【0122】
(5)上記実施形態の図6のS101において、ユーザから取得されるキャンペーン情報には、広告枠の媒体に関する条件を示す情報が含まれていてもよい。具体的には例えば、キャンペーン情報には、特定の媒体を指定する情報や、特定の媒体を除外する情報などが含まれていてもよい。そして、キャンペーン情報に含まれるこれらの情報に合致する広告枠が推薦されてもよい。
【0123】
(6)上記実施形態のS102において、制御部13は、第2の購買実績DB6に記憶されている購買実績データの中から第1の購買実績DB5にも記憶されている購買実績データを除外して購買実績データを取得してもよい。換言すれば、制御部13は、両DB5,6に重複して記憶されている購買実績データについては、第2の購買実績DB6ではなく第1の購買実績DB5から取得してもよい。
【0124】
(7)上記実施形態では、購買量行列Y1の成分である「購買量」として、広告主が広告枠を購入した購入回数を例示したが、購買量はこれに限られない。
例えば、購買量は、広告主が広告枠を用いて広告出稿を行ったキャンペーンの数、広告主が広告枠を用いて行った広告出稿の出稿金額、広告主が広告枠を用いて出稿した広告の接触回数等であってもよい。なお、広告の接触回数としては、例えば、GRP(Gross Rating Point)や広告露出回数等が用いられてもよい。
【0125】
(8)上記実施形態では、広告枠や広告主等の共通IDは、システム提供者が人的に付与する。しかし、共通コードを付与する方法はこれに限られない。例えば、機械的に共通コードが付与されてもよい。具体的には例えば、両DB5,6に記憶されている広告枠や広告主の名称をテキストマッチングする。そして、マッチングした広告枠や広告主に対し、共通するIDをシステムが自動付与してもよい。
【0126】
(9)図10に示す出力画面A5において、各広告枠の適合度や特定企業の購買量等の値が表示されてもよい。
(10)上記実施形態では、第1の購買実績DB5から取得された購買実績データと、第2の購買実績DB6から取得された購買実績データと、に基づき購買量行列Y1を生成する際に、前者の購買実績データから特定される各広告主の各広告枠の購買量と、後者の購買実績データから特定される各広告主の各広告枠の購買量と、を対等に扱う。しかし、両購買量の扱い方はこれに限られない。例えば、両購買量に対して重み付けを行い、重み付けを行った購買量に基づいて購買量行列Y1等が生成されてもよい。
【0127】
換言すれば、制御部13は、第1の購買量と第2の購買量とに対して重み付けを行ってもよい。ここで、第1の購買量は、第1の購買実績DB5から取得された購買実績データから特定される、1以上の広告主の1以上の広告枠に対する購買量(換言すれば、各広告主の各広告枠に対する購買量)、又は、当該購買量に基づく量である。第2の購買量は、第2の購買実績DB6から取得された購買実績データから特定される、1以上の広告主の1以上の広告枠それぞれに対する購買量(換言すれば、各広告主の各広告枠に対する購買量)、又は、当該購買量に基づく量である。第1の購買量及び第2の購買量には、図6のS101でユーザから取得された広告主情報により特定される広告主(すなわち、設定広告主)の購買量が含まれる。そして、制御部13は、重み付けられた第1の購買量及び第2の購買量に基づき、ユーザに広告枠を推薦してもよい。
【0128】
一例として、制御部13は、次のようにして重み付けを行ってもよい。すなわち、制御部13は、下記式1に従い、重み付け購買量行列を算出する。

重み付け購買量行列=第1の購買量行列+α×第2の購買量行列・・・式1

ここで、第1の購買量行列(第2の購買量行列)は、第1の購買実績DB5(第2の購買実績DB6)から取得された購買実績データに対してデータ抽出やクロス集計等の処理を行うことで生成される、各広告主の各広告枠に対する購買量を表す行列である。前述した購買量行列Y1と同様に、第1の購買量行列(第2の購買量行列)の行は広告主IDに、列は広告枠IDに、成分は広告枠の購買量にそれぞれ対応してもよい。第1、第2の購買量行列は、それぞれ、第1、第2の購買量に相当する。また、αはパラメータである。
【0129】
そして、制御部13は、上記式1に従い算出した重み付け購買量行列を基に、上記実施形態と同様に低ランク近似行列を生成するなどして、広告枠をユーザに推薦してもよい。
また、制御部13は、広告主が購入する広告枠(換言すれば、ユーザから購入申込みを受け付ける広告枠)を、重み付け購買量行列を用いて予測し、その予測精度が最大になるようにパラメータαを決定してもよい。換言すれば、制御部13は、重み付け購買量行列を用いて推薦した広告枠を広告主が購入する確率が最大になるようにパラメータαを決定してもよい。
【0130】
ここで、制御部13は、DB5,6に蓄積されている過去の購買実績データについて広告主が購入した広告枠を予測するタスクを実行し、その予測精度が最大になるようにパラメータαを決定してもよい。又は、制御部13は、パラメータαの様々な値で実際にユーザに対して広告枠の推薦を行い、推薦された広告枠が購入されたか否か等の実績データを踏まえ、パラメータαを決定してもよい。つまり、制御部13は、実運用を通してパラメータαを決定してもよい。
【0131】
このような構成によれば、例えば、第1の購買量が第2の購買量に対して偏りがある場合等において当該偏りを補正し、広告枠の推薦精度を向上でき得る。
具体的には例えば、第1の購買実績DB5の購買実績データと第2の購買実績DB6の購買実績データとは性質が異なる場合がある。
【0132】
具体的には、調査データに基づく第2の購買実績DB6の購買実績データは、広告枠取引プラットフォーム上の取引に基づく第1の購買実績DB5の購買実績データよりも網羅性が高く、より多くの広告主の購買実績データを含んでいる場合がある。つまり、或る広告主の購買実績データが第2の購買実績DB6には蓄積されているが、その広告主の購買実績データが第1の購買実績DB5には蓄積されていない場合がある。
【0133】
あるいは、或る広告枠の購買実績データは第1の購買実績DB5及び第2の購買実績DB6の一方には蓄積されているが、他方には蓄積されていないといったことも考えられる。また、第2の購買実績DB6には、第1の購買実績DB5と比較して、より長い期間に渡り集計された購買実績データが含まれている場合もある。
【0134】
このように、第1の購買実績DB5の購買実績データと第2の購買実績DB6の購買実績データとは性質が異なる場合がある。
そこで、上記実施形態のように、第1の購買実績DB5の購買実績データに基づく購買量(第1の購買量)と、第2の購買実績DB6の購買実績データに基づく購買量(第2の購買量)と、を1対1の重み付けにて対等に扱うことも考えられるが、相対的に重みを変えて両購買量を統合した方が、より高精度な推薦ができる可能性がある。つまり、重み付けを行うことで、第1の購買量が第2の購買量に対して偏りがある場合等において当該偏りを補正し、広告枠の推薦精度を向上でき得る。
【0135】
なお、上記式1では、第2の購買量行列の全成分に対して一律にパラメータαを乗じることで重み付けを行う。しかし、重み付けの方法はこれに限られない。例えば、第2の購買量行列の成分ごとに異なるパラメータを乗じることで第1の購買量行列及び第2の購買量行列に対して重み付けを行ってもよい。換言すれば、購買量行列において、広告主や広告枠によって異なる重み付けを行ってもよい。また、その他任意の方法で重み付けが行われてもよい。
【0136】
また、上記の例では、第1の購買量行列及び第2の購買量行列として、広告主IDを行とする購買量行列を例示したが、購買量行列はこれに限られない。
例えば、第1及び第2の購買量行列は、[4.他の実施形態]の(1)で述べたような、行が広告主の業種又は商品サービスカテゴリのIDに対応し、列が広告枠IDに対応し、成分が購買量の平均である行列等であってもよい。そして、これらの購買量行列に対して重み付けを行ってもよい。このような購買量行列も第1、第2の購買量に相当する。つまり、第1(第2)の購買量は、第1の購買実績DB5(第2の購買実績DB6)から取得された購買実績データから特定される、1以上の広告主の1以上の広告枠に対する購買量に基づく量であってもよい。
【0137】
(11)上記実施形態において、複数の広告枠をひとまとめにした商品であるパッケージ商品がユーザに推薦されてもよい。
この場合において例えば、同一のキャンペーンについて購入される複数の広告枠をひとまとめにしたパッケージ商品がユーザに推薦されてもよい。
【0138】
具体的には例えば、制御部13は、この種のパッケージ商品について次のように購買実績データを取得し、取得した購買実績データに基づいてユーザにパッケージ商品を推薦してもよい。
【0139】
すなわち、前述のとおり、広告枠取引プラットフォームを用いて取引された複数の広告枠については、システム100上、それらが同一のキャンペーンについて購入されたかどうかを判定できる。このため、第1の購買実績DB5には、同一キャンペーンについて購入された複数の広告枠から構成されるパッケージ商品の購買実績を蓄積できる。
【0140】
一方、広告枠取引プラットフォームを用いずに取引された複数の広告枠については、システム100上、それらが同一のキャンペーンについて購入されたかどうかを判定できない場合がある。このため、前述のとおり、それらの広告枠を用いて出稿された各広告から特定される広告主や広告出稿時期、広告対象の商品又はサービスやブランド等が同一である複数の広告枠を、同一のキャンペーンについて購入された複数の広告枠であると判定する。これにより、第2の購買実績DB6に蓄積されている購買実績データを基にパッケージ商品の購買実績データを生成することができる。
【0141】
そして、両DB5,6に蓄積されているパッケージ商品の購買実績データを用いて、購買量行列Y1において、その他の商品(すなわち、1つの広告枠からなる商品)と同様にパッケージ商品を取扱うことができる。そして、このような購買量行列Y1を用いて、ユーザにパッケージ商品が推薦されてもよい。
【0142】
(12)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0143】
(13)前述した広告枠取引装置1の制御部13の他、広告枠取引装置1を構成要素とする広告枠取引システム100、制御部13としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記憶した半導体メモリ等の非遷移的実体的記憶媒体、広告枠取引方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0144】
1…広告枠取引装置、2…提供者側端末、3…利用者側端末、
4…広告枠情報等データベース、5…第1の購買実績データベース、
6…第2の購買実績データベース、100…広告枠取引システム。
【要約】
【課題】ネットワーク上で広告枠の取引を行うためのプラットフォームを提供するための広告枠取引システムにおいて、ユーザに対する広告枠の推薦精度を向上する。
【解決手段】公開部は、予約型広告に関する複数の広告枠の情報をネットワーク上に公開する。広告主取得部は、ユーザから広告主情報を取得する。購買実績取得部は、第1の購買実績データベースと第2の購買実績データベースとのそれぞれから、広告主情報に応じた購買実績データを取得する。第1の購買実績データベースは、プラットフォームを用いて取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。第2の購買実績データベースは、プラットフォームを用いずに取引された広告枠の購買実績データを蓄積する。推薦部は、第1の購買実績データベース及び第2の購買実績データベースのそれぞれから取得された購買実績データに基づき、ユーザに広告枠を推薦する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10