(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】駆動伝達装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
F16D 1/02 20060101AFI20221014BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F16D1/02 110
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2020197929
(22)【出願日】2020-11-30
(62)【分割の表示】P 2016181065の分割
【原出願日】2016-09-15
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178895(JP,A)
【文献】特開2015-179233(JP,A)
【文献】特開2014-052618(JP,A)
【文献】特開平11-338213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/02
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源側に設けられた出力部材と、
回転体側に設けられた入力部材と、
筒状であり、前記出力部材の駆動伝達部から駆動力を受け、前記入力部材の駆動伝達部に駆動力を伝達する中継駆動伝達部を内周面に有し、前記入力部材または前記出力部材に保持される中間部材とを備え、
前記中間部材には、前記出力部材および前記入力部材のうち前記中間部材を保持している保持側部材の駆動伝達部と軸方向で対向して、中間部材が前記保持側部材から抜けるのを防止する抜け止め部が設けられている駆動伝達装置において、
前記中間部材の回転中心から前記抜け止め部の先端までの距離と、前記回転中心から前記中継駆動伝達部の先端までの距離とを同一にし、
前記抜け止め部の前記保持側部材の駆動伝達部との対向部、および、前記保持側部材の駆動伝達部の前記抜け止め部との対向部の少なくとも一方に突出する部分を設け、
前記突出する部分の頂部が球面状であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動伝達装置において、
前記中継駆動伝達部は、内歯ギヤであり、
前記保持側部材の駆動伝達部は、前記内歯ギヤと噛み合う外歯ギヤであり、
前記保持側部材は、軸が挿入される筒状部を有し、
前記筒状部の外径と、前記外歯ギヤの歯底円直径とを同一としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動伝達装置において、
前記中間部材を介して前記出力部材と前記入力部材との間で駆動伝達が可能な駆動連結位置から、前記出力部材および前記入力部材のうち前記中間部材を保持しない非保持側部材から離れる方向に前記中間部材が軸方向に移動するように、前記中間部材は前記保持側部材に保持されており、
前記中間部材を、前記駆動連結位置側へ付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動伝達装置において、
前記中間部材が、前記駆動連結位置に位置するとき、前記付勢手段の付勢力が、前記中間部材に作用しないように構成したことを特徴とする駆動伝達装置
。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記中間部材は、前記入力部材および前記出力部材に対して、径方向および回転方向に所定のクリアランスを有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の駆動伝達装置において、
前記抜け止め部と、前記抜け止め部の先端と径方向で対向する部材との間、前記中間部材の内周面と前記出力部材の駆動伝達部との間、前記中間部材の内周面と前記入力部材の駆動伝達部との間、前記中継駆動伝達部と前記出力部材の外周面との間および前記中継駆動伝達部と前記入力部材の外周面との間で、径方向に所定の隙間を有し、
前記中継駆動伝達部と前記入力部材の駆動伝達部との間および前記中継駆動伝達部と前記出力部材の駆動伝達部との間で回転方向に所定の隙間を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記出力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に前記中継駆動伝達部に当接する当接面および前記入力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に前記中継駆動伝達部に当接する当接面の少なくとも一方を、軸方向において円弧状の曲面としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記出力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に前記中継駆動伝達部に当接する当接面および前記入力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に前記中継駆動伝達部に当接する当接面の少なくとも一方を、径方向において円弧状の曲面としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項
7または8に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動伝達部の前記当接面を曲面とした前記入力部材および前記出力部材のヤング率を、前記中間部材のヤング率よりも大きくしたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項10】
請求項1乃至
6いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記出力部材の駆動伝達部および前記入力部材の駆動伝達部の少なくとも一方は、回転方向に直交する面が、軸方向において直線状であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項11】
請求項1乃至
10いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記入力部材および前記出力部材の駆動伝達部の少なくとも一方が、ギヤ形状であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の駆動伝達装置において、
前記ギヤ形状の歯形は、歯厚が軸方向中央部で最大となり、かつ、軸方向両端部に向けて歯厚が小さくなる形状であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項13】
請求項1乃至
12いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記出力部材の駆動伝達部と前記入力部材の駆動伝達部との形状および数の少なくとも一方を、互い異ならせたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の駆動伝達装置において、
前記出力部材の駆動伝達部と、前記入力部材の駆動伝達部との回転方向長さが互いに異なるものにおいて、
前記中継駆動伝達部の前記出力部材の駆動伝達部が係合する部分と、前記中継駆動伝達部の前記入力部材の駆動伝達部が係合する部分とを、回転方向に傾斜したテーパ面で結んだことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項15】
請求項1乃至
14いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記入力部材および前記出力部材のうち、前記中間部材を保持していない非保持側部材の駆動伝達部のうちのひとつが、他の駆動伝達部よりも前記保持側部材側へ延びた延長駆動伝達部であり、
前記延長駆動伝達部の前記保持側部材側端部を、前記保持側部材側ほど、外径が短くなるようなテーパ形状としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項16】
請求項1乃至
15いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記中間部材の外径を、前記出力部材が設けられた出力軸の外径の2倍以下としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項17】
請求項1乃至
16いずれかに記載の駆動伝達装置において、
前記保持側部材は、前記出力部材であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項18】
回転体と、該回転体に駆動源からの駆動力を伝達する駆動伝達手段とを備えた画像形成装置において、
前記駆動伝達手段として、請求項1乃至
17のいずれか一記載の駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項
18に記載の画像形成装置であって、
潤滑剤塗布ブラシローラ、現像ローラ、現像剤攪拌スクリュウおよび中間転写クリーニングローラの少なくともひとつが、請求項1乃至
17のいずれかに記載の駆動伝達装置を用いて駆動伝達されることを特徴する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において、装置本体の駆動源の駆動力を、装置本体に対して着脱可能に設けられた回転体に伝達する駆動伝達装置を備えたものが知られている。上記駆動伝達装置は、駆動源側の出力軸に設けられ出力部材と、回転体側の入力軸に設けられた入力部材と、上記出力部材から駆動力が伝達され上記入力部材に駆動力を伝達する中間部材とを備えている。中間部材は筒状であり、出力部材の駆動伝達部と、入力部材の駆動伝達部とが、中間部材の内周面に形成された中継駆動伝達部と係合している。中間部材は、出力部材に対して傾き可能に保持されており、出力軸と入力軸との間の軸偏心などが存在したとき、中間部材が傾くことによりその軸偏心を吸収し、軸反力の発生を抑制することができる。
【0003】
特許文献1には、上記駆動伝達装置として、中間部材に、出力部材から抜け出すのを防止する抜け止め部を設けたものが記載されている。この抜け止め部は、中間部材の入力部材側と反対側の端部から回転中心に向けて突出し、軸方向において、入力部材側と反対側から、出力部材の駆動伝達部と対向している。これにより、抜け止め部が、出力部材の駆動伝達部に突き当たって中間部材の入力部材側への移動を規制する。その結果、中間部材が出力部材の入力部材側から抜け出すのを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像形成装置の小型化などの影響により、駆動伝達装置の周囲に十分なスペースを確保することが困難となってきている。このため、駆動伝達装置の小径化が求められてきている。
【0005】
上記特許文献1においては、上記抜け止め部を、上記中継駆動伝達部よりも回転中心に向けて突出させていたため、中間部材の小径化を十分に図ることができず、駆動伝達装置の小径化を十分に行えないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、駆動源側に設けられた出力部材と、回転体側に設けられた入力部材と、筒状であり、前記出力部材の駆動伝達部から駆動力を受け、前記入力部材の駆動伝達部に駆動力を伝達する中継駆動伝達部を内周面に有し、前記入力部材または前記出力部材に保持される中間部材とを備え、前記中間部材には、前記出力部材および前記入力部材のうち前記中間部材を保持している保持側部材の駆動伝達部と軸方向で対向して、前記中間部材が前記保持側部材から抜けるのを防止する抜け止め部が設けられている駆動伝達装置において、前記中間部材の回転中心から前記抜け止め部の先端までの距離と、前記回転中心から前記中継駆動伝達部の先端までの距離とを同一にし、前記抜け止め部の前記保持側部材の駆動伝達部との対向部、および、前記保持側部材の駆動伝達部の前記抜け止め部との対向部の少なくとも一方に突出する部分を設け、前記突出する部分の頂部が球面状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動伝達装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同複写機のプロセスカートリッジを示す拡大構成図。
【
図4】プロセスカートリッジの奥側と、装置本体に設けられた廃トナー経路とを示す斜視図。
【
図5】プロセスカートリッジの奥側と廃トナー経路と示す概略図。
【
図7】スクリュウ駆動伝達装置の装置本体側の構成を示す斜視図。
【
図10】スクリュウ駆動伝達装置の装置本体側を、手前側から見た正面図。
【
図13】(a)は、中間部材とスクリュウ入力ジョイントとが駆動連結した状態を示す概略図であり、(b)は、中間部材とスクリュウ入力ジョイントとが非駆動連結状態でプロセスカートリッジを装置本体に装着したときの状態を示す概略図。
【
図14】出力外歯ギヤの外歯をクラウニング形状にした実施例を示す斜視図。
【
図16】比較例の中間部材の課題について説明する図。
【
図17】変形例1のスクリュウジョイントの概略構成図。
【
図18】(a)は変形例1のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例1のスクリュウジョイントのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
【
図19】変形例2のスクリュウジョイントを示す概略図。
【
図20】(a)は、変形例2のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例2のスクリュウジョイントのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
【
図21】変形例3のスクリュウジョイントを示す概略図。
【
図22】(a)は、変形例3のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例3のスクリュウジョイントのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
【
図23】変形例3のスクリュウ入力ジョイントを奥側から見た図。
【
図24】変形例4のスクリュウジョイントを示す概略図。
【
図25】(a)は、変形例4のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例4のスクリュウジョイントのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
【
図26】(a)は、変形例4のスクリュウ入力ジョイントを、奥側から見た正面図であり、(b)は、変形例4のスクリュウ入力ジョイントの側面図。
【
図27】各入力突起部の奥側先端の軸方向位置を同じ位置とした場合の不具合について説明する図。
【
図28】複数の入力突起部のうちひとつを、他の入力突起部よりも長くした変形例4のスクリュウ入力ジョイントを示す図。
【
図29】駆動出力軸が、他の入力突起部よりも突出した入力突起部から離れる方向に軸心ずれが生じているときのスクリュウジョイントについて説明する図。
【
図30】変形例5のスクリュウジョイントを示す概略図。
【
図31】(a)は、変形例5のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図であり、(b)は、変形例5のスクリュウジョイントのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図。
【
図32】スクリュウ入力ジョイントを用いて、変形例5のスクリュウジョイントの特徴点を説明する図。
【
図33】変形例6のスクリュウジョイントの装置本体側の構成を示す斜視図。
【
図34】変形例6のスクリュウジョイントの特徴部を示す概略図。
【
図35】スクリュウ出力ジョイントを、スプリングピン151Fとした変形例6のスクリュウジョイントを示す図。
【
図36】平行ピンが入り込む中間部材奥側の中継突起部と、手前側の中継突起部とをテーパ形状で連結した変形例5の装置本体側の構成を示す概略図。
【
図37】変形例7のスクリュウジョイント50Gの要部拡大図。
【
図38】抜け止め部の出力突起部と対向する面と、出力突起部の抜け止め部と対向する面とが平面の場合について説明する図。
【
図39】変形例8のスクリュウジョイントの要部拡大図。
【
図40】中間部材が傾きながら駆動連結位置へ移動する様子を説明する図。
【
図41】抜け止め部の出力突起部と対向する先端部の手前側(図中左側)を傾斜面とした変形例8のスクリュウジョイントの要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した実施形態について説明する。まず、
図1を用いて、この複写機の概略について説明する。この複写機は、原稿を走査して読み取って得た画像情報をデジタル化して画像形成に用いるいわゆるデジタルカラー複写機としての機能を有している。また、この複写機は、原稿の画像情報を遠隔地と授受するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するいわゆるプリンタの機能も有している。
【0010】
図1において、複写機は、中間転写ベルト11を用いた中間転写方式で記録シートに画像を形成するものであって、且つ、各色のトナー像をそれぞれ専用のプロセスカートリッジで作像するタンデム方式の電子写真装置である。複写機の鉛直方向における最下部には、多段状の給紙部2が設けられている。また、その上方に画像形成部1、さらにその情報にスキャナ部3がそれぞれ設けられている。給紙部2の各段には、記録部材である普通紙や、OHPシート、第二原図などの記録シートからなるシート束を収容する給紙トレイ21が配設されている。
【0011】
画像形成部1のほぼ中央には、ベルトループ内側に配設された複数のローラによって無端状の中間転写ベルト11を張架している転写装置10が配設されている。中間転写ベルト11は、図中時計回り方向に回転(表面移動)する。中間転写ベルト11の上方には、中間転写ベルト11の表面移動方向に沿って、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像を作像するための4つのプロセスカートリッジ40Y,40M,40C,40Kが配設されている。以下、色分け符号であるY,M,C,Kについては、適宜省略する。また、4つのプロセスカートリッジ40の上方には2つの潜像書込手段としての光書込ユニット20a,20bが設けられている。
【0012】
図2は、4つプロセスカートリッジ40Y,40M,40C,40Kのうちの1つを示す概略構成図である。
各プロセスカートリッジ40には、潜像担持体としてのドラム状の感光体41が設けられている。各感光体41は、それぞれ、図中反時計回り方向に回転可能に設けられており、その周囲には、公知の帯電装置42、現像装置43、感光体クリーニング装置44が設けられている。
【0013】
帯電装置42は、感光体41に当接するように配置された帯電ローラ42aと、この帯電ローラ42aに当接して回転する帯電ローラクリーナ42bとから主として構成されている。帯電ローラ42aは、帯電バイアスを印加され、感光体41表面に電荷を与えて感光体41を一様帯電する。帯電ローラクリーナ42bは、帯電ローラ42aの表面に付着したトナーなどの付着物を除去する。
【0014】
現像装置43は、図中矢印I方向に表面移動しながら感光体41の表面の潜像にトナーを供給して潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ43aを有している。また、現像ローラ43aに現像剤を供給しながら図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュウ43bを有している。供給スクリュウ43bは、回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、回転することにより軸方向に現像剤を搬送するものである。
【0015】
現像ローラ43aと供給スクリュウ43bとの対向部よりも現像ローラ表面移動方向下流側には、現像ローラ43a上の現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としての現像ドクタ43cが設けられている。また、現像ローラ43aと感光体41との対向領域である現像領域よりも現像ローラ表面移動方向下流側には、現像領域を通過した現像済みの現像剤を回収する回収スクリュウ43dが設けられている。この回収スクリュウ43dは、現像ローラ43aから回収した回収現像剤を供給スクリュウ43bと同方向に搬送するものである。供給スクリュウ43bを収容する供給搬送路43eは、現像ローラ43aの側方に配設されている。また、回収スクリュウ43dを収容する現像剤回収搬送路としての回収搬送路43fは現像ローラ43aの下方に並設されている。
【0016】
現像装置43は、供給搬送路43eの下方で現像剤を回収搬送路43fと平行な方向に撹拌搬送する攪拌搬送路43gを有している。攪拌搬送路43gは、現像剤を攪拌しながら供給スクリュウ43bとは逆方向である図中奥方向に向けて搬送する攪拌スクリュウ43hを有している。
【0017】
供給搬送路43eと攪拌搬送路43gとは第一仕切り壁によって仕切られている。第一仕切り壁の供給搬送路43eと攪拌搬送路43gとを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路43eと攪拌搬送路43gとが連通している。なお、供給搬送路43eと回収搬送路43fとも第一仕切り壁によって仕切られているが、第一仕切り壁の供給搬送路43eと回収搬送路43fとを仕切る箇所には開口部が設けられていない。また、攪拌搬送路43gと回収搬送路43fとの2つの搬送路は第二仕切り壁によって仕切られている。第二仕切り壁は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路43gと回収搬送路43fとが連通している。
【0018】
現像ローラ43a上の現像剤は、現像ドクタ43cによって薄層化された後、感光体41との現像ローラ43aとの対向領域である現像領域に搬送されて現像に寄与する。現像後の現像剤は回収搬送路43fに回収された後、図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送され、第二仕切り壁に設けられた開口部を通って攪拌搬送路43gに進入する。なお、攪拌搬送路43gにおける現像剤搬送方向上流側端部の第二仕切り壁の開口部の付近で攪拌搬送路43gの上側に設けられた現像剤補給口から攪拌搬送路43g内にトナーが補給される。
【0019】
攪拌搬送路43gから現像剤の供給を受けた供給搬送路43eでは、現像ローラ43aに現像剤を供給しながら、供給スクリュウ43bで供給搬送路43eの現像剤搬送方向最下流側近傍に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ43aに供給され現像に用いられず供給搬送路43eの現像剤搬送方向最下流近傍まで搬送された余剰現像剤は、第一仕切りの余剰開口部を通じて攪拌搬送路43gに供給される。
【0020】
現像ローラ43aから回収搬送路43fに送られ、回収スクリュウ43dによって回収搬送路43fの現像剤搬送方向最下流近傍まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁の回収開口部を通じて攪拌搬送路43gに供給される。そして、攪拌搬送路43gは、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌しながら、攪拌スクリュウ43hで攪拌搬送路43gの現像剤搬送方向最下流側近傍であり、且つ供給搬送路43eの現像剤搬送方向最上流側近傍の位置まで搬送する。かかる位置まで搬送された現像剤は、第一仕切り壁の供給開口部を通じて供給搬送路43eに進入する。
【0021】
攪拌搬送路43gでは、攪拌スクリュウ43hによって、回収現像剤、余剰現像剤及び現像剤補給口から必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路43f及び供給搬送路43eの現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、現像剤搬送方向最下流側近傍で連通している供給搬送路43eの現像剤搬送方向最上流側近傍に攪拌された現像剤を移送する。
【0022】
攪拌搬送路43gの現像剤搬送方向最下流側近傍の供給開口部の真下付近には、トナー濃度センサーが設けられている。トナー濃度センサーからの出力に応じて、トナー補給制御装置が駆動されて、攪拌搬送路43g内にトナーが補給される。
【0023】
また、供給搬送路43eの搬送方向上流側端部(軸方向奥側端部)近傍には、現像剤排出口が形成されており、供給搬送路43eと排出搬送路43iとを連通する。供給搬送路43eの上流側端部に到達した現像剤の量が所定量よりも多くなると、現像剤排出口の高さまで現像剤が到達し、現像剤排出口を通過して排出搬送路43iへと現像剤が受け渡される。排出搬送路43iに受け渡された現像剤は、排出スクリュウ43jによって現像装置43の外部に設けられた排出現像剤回収部143c(
図3参照)に回収される。このように現像剤を排出する構成を備えることにより、現像装置43内の現像剤の量を一定に保つことができる。また、現像装置43に補給するトナーとして、キャリアを含有するプレミックストナーを補給する場合は、劣化したキャリアがトナーとともに排出搬送路43iに排出され、キャリアが入れ替わることで、現像装置43内の現像剤の劣化を抑制することができる。
【0024】
感光体クリーニング装置44は、感光体41の回転軸方向に長尺な弾性部材であるクリーニングブレード44a、廃トナー排出スクリュウ44b、潤滑剤塗布装置45などを備えている。クリーニングブレード44aにおけるその長尺方向に延びる一辺(当接辺)をエッジ部として感光体41の表面に押しつけて、感光体41表面上の転写残トナー等の不要な付着物を引き離し除去する。除去されたトナーは、廃トナー排出スクリュウ44bによって感光体クリーニング装置44の外に排出される。
【0025】
潤滑剤塗布装置45は、塗布ブラシとして潤滑剤塗布ブラシローラ45aと、固形潤滑剤45bと、均しブレード45cとから主に構成されている。固形潤滑剤45bは、ブラケット45dに保持され、加圧手段により潤滑剤塗布ブラシ側に加圧されている。潤滑剤塗布ブラシは、感光体41の回転方向に対して連れまわり方向に回転し、固形潤滑剤45bを削りとって感光体41上に潤滑剤を塗布する。均しブレード45cにおけるその長尺方向に延びる一辺(当接辺)をエッジ部として感光体41の表面に押しつけて、感光体41表面上の潤滑剤を均す。
【0026】
図1において、転写装置10は、中間転写ベルト11やベルトクリーニング装置17、4つの一次転写ローラ46などを有している。中間転写ベルト11は、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写対向ローラ16を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、ベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0027】
4つの一次転写ローラ46は、それぞれ中間転写ベルト11の内周面側に接触するように配設され、電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト11をその内周面側から感光体41に向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体と一次転写ローラとの間に一次転写電界が形成される。感光体41上のトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0028】
また、転写装置10は、二次転写手段を構成する二次転写ローラ22を中間転写ベルト11の下方に有している。この二次転写ローラ22が中間転写ベルト11を介して二次転写対向ローラ16に圧接するようになっている。そして、この二次転写ローラ22が、自らと中間転写ベルト11との間に送り込まれる記録シートに対し、中間転写ベルト11上のトナー画像を一括二次転写する。二次転写対向ローラ16よりも中間転写ベルト11表面移動方向下流側には、ベルトクリーニング装置17が設けられている。ベルトクリーニング装置17は、回転駆動するベルトクリーニングブラシローラ17aが設けられており、このベルトクリーニングブラシローラ17aによって画像転写後に中間転写ベルト11の表面に残留する残留トナーが除去される。また、ベルトクリーニング装置17には、潤滑剤塗布機構を備えており、潤滑剤塗布機構のブラシローラ17bを介して、中間転写ベルト11の表面に潤滑剤を塗布している。
【0029】
二次転写ローラ22の紙搬送方向下流側には、記録シート上に形成されたトナー画像をシート表面に定着せしめる定着装置25が設けられている。無端状の定着ベルト26には定着加圧ローラ27が圧接されている。画像転写後の記録シートは、一対のローラ23間に架け渡された無端状の搬送ベルト24によって定着装置25へ搬送される。また、二次転写ローラ22の下方には、シート表裏両面に画像を形成する際にシートを反転させるシート反転装置28が設けられている。
【0030】
以上の構成を具備する複写機でカラー原稿のコピーをとるときには、コンタクトガラス上にセットされた原稿の画像をスキャナ部3によって読み取る。また、中間転写ベルト11を回転させて、公知の画像形成プロセスによって各感光体41上にそれぞれトナー像を形成する。次に各感光体上に形成したトナー像を順次重ね合わせて中間転写ベルト11に一次転写して、中間転写ベルト11上に4色重ね合わせトナー像を形成する。
【0031】
一方、中間転写ベルト11に対する4色重ね合わせトナー像の画像形成動作と並行して、給紙部2の選択された給紙トレイ21から記録シートを1枚ずつ分離給紙して、レジストローラ29に向けて搬送する。分離搬送された記録シートは、レジストローラ29のニップに突き当たることによって搬送が一時止められて待機される。レジストローラ29は、中間転写ベルト11上に形成された4色重ね合わせトナー像と、記録シートの先端との位置関係を所定の位置にするように、タイミングをとって回転駆動が開始される。このレジストローラ29の回転により、待機されている記録シートが再び給紙される。これにより、この記録シートの所定位置に対し、二次転写ローラ22によって中間転写ベルト11上の4色重ね合わせトナー像が二次転写されて、記録シート上にフルカラートナー像が形成される。
【0032】
このようにしてフルカラートナー像が形成された記録シートは、二次転写ローラ22よりも搬送経路の下流側にある定着装置25に送り込まれる。この定着装置25は、二次転写ローラ22によって二次転写されたフルカラートナー像を記録シート上に定着せしめるものである。フルカラートナー像が定着された記録シートは、排紙ローラ30によって装置外部へ排紙される。記録シートの両面に画像を形成する両面プリントモードにおいて、第一面だけにフルカラートナー像を定着させた記録シートが定着装置25から排出された場合には、その記録シートは排紙ローラ30ではなく、シート反転装置28に送られる。そして、シート反転装置28によって表裏面を反転せしめられた後、レジストローラ29に再搬送される。その後、二次転写ローラ22と定着装置25とを経由することで、第二面にも、フルカラー画像が形成される。
【0033】
図3は、プロセスカートリッジ40の奥側斜視図である。
プロセスカートリッジ40の奥側には、感光体41に設けられた感光体入力ジョイント141が配置されている。感光体入力ジョイント141は、装置本体に設けられた感光体出力ジョイントに連結され、感光体出力ジョイントを介してドラムモータの駆動力が伝達されて、感光体41が回転駆動する。
【0034】
また、現像ローラの軸の奥側端部には、現像ジョイントを構成する現像入力ジョイント143aが取り付けられている。現像入力ジョイント143aは、装置本体に設けられた現像モータの駆動力が伝達され回転駆動する現像出力軸の手前側端部に設けられた現像ジョイントの現像出力ジョイントに駆動連結される。
【0035】
供給スクリュウ43bの軸には、後述するスクリュウジョイント50を構成するスクリュウ入力ジョイント53が取り付けられている。スクリュウ入力ジョイント53は、スクリュウジョイントを構成する装置本体側の部材(スクリュウ出力ジョイント51,中間部材52)を介して現像モータの駆動力が伝達されて、供給スクリュウ43bが回転駆動する。供給スクリュウ43bの軸には、回収スクリュウ43dの軸に取り付けられた回収ギヤ143eと噛み合うギヤ143dが取り付けられている。供給スクリュウ43bに伝達された駆動力は、このギヤ143dと回収ギヤ143eとを介して回収スクリュウ43dに伝達され回収スクリュウが回転駆動する。また、供給スクリュウの軸の手前側端部には、攪拌スクリュウ43hの軸に取り付けられた攪拌ギヤと、排出スクリュウ43jの軸に取り付けられた排出ギヤとが噛み合うギヤが取り付けられている。供給スクリュウ43bに伝達された駆動力が、これらギヤを介して攪拌スクリュウ43hに伝達され、攪拌スクリュウ43hおよび排出スクリュウ43jが回転駆動する。
【0036】
潤滑剤塗布ブラシローラ45aの軸の奥側端部には、ブラシジョイントのブラシ入力ジョイント142が取り付けられている。ブラシジョイントは、後述するように、スクリュウジョイント50と同様のジョイントが用いられている。クリーニングモータの駆動力がブラシジョイントを構成する装置本体側の部材(出力ジョイント,中間部材)を介して伝達され、潤滑剤塗布ブラシローラ45aが回転駆動する。また、潤滑剤塗布ブラシローラ45aの手前側には、廃トナー排出スクリュウ44bに駆動力を伝達するためのギヤを有している。潤滑剤塗布ブラシローラ45aに伝達された駆動力が、上記ギヤを介して廃トナー排出スクリュウ44bに伝達され、廃トナー排出スクリュウ44bが回転駆動する。
【0037】
また、プロセスカートリッジ40の奥側には、感光体41と現像ローラ43aとの間の現像ギャップが、規定のギャップとなるように、感光体41と現像ローラ43aとを位置決めする位置決め面板148が取り付けられている。
【0038】
また、プロセスカートリッジ40の奥側のブラシ入力ジョイント142の上方には、装置本体の電源部と電気的に接続するためのコネクタ147が設けられている。プロセスカートリッジ40を装置本体に取り付けると、このコネクタ147が、装置本体に設けられた本体コネクタに接続され、装置本体の電源部に接続される。これにより、帯電装置42や現像装置43に電力が供給され、帯電バイアスや現像バイアスが印加される。
また、プロセスカートリッジ40の奥側には、排出スクリュウ43jによって搬送された排出現像剤が回収される排出現像剤回収部143cや、廃トナー排出スクリュウ44bによって搬送された廃トナーが回収される廃トナー回収部146が設けられている。
【0039】
図4は、プロセスカートリッジの奥側と、装置本体に設けられた廃トナー経路とを示す斜視図であり、
図5は、プロセスカートリッジ40の奥側と廃トナー経路と示す概略図である。
装置本体には、内部に搬送スクリュウが配置された廃トナー経路145および他端が廃トナー経路145に接続された排出ダクト144が設けられている。排出現像剤回収部143c下面には、排出口が設けられており、プロセスカートリッジ40が装置本体に装着されると、排出口が排出ダクト144に接続される。これにより、排出現像剤回収部143cに回収された排出現像剤は、排出口から排出された後、排出ダクト144を通って廃トナー経路145へ落下する。そして、廃トナー経路145の内部に配置された搬送スクリュウによって、廃トナー収容部へ搬送される。
【0040】
また、廃トナー回収部146の下面にも排出口が設けられており、プロセスカートリッジ40が装置本体に装着されると、この排出口が廃トナー経路145に接続される。これにより、廃トナー回収部146に回収された廃トナーは、排出口から廃トナー経路145へ落下する。そして、廃トナー経路145の内部に配置された搬送スクリュウによって、廃トナー収容部へ搬送される。
【0041】
図4、
図5に示すように、スクリュウ入力ジョイント53の周囲には、位置決め面板148、排出現像剤回収部143c、排出ダクト144が配置されており、スクリュウ入力ジョイント53の周囲には、十分なスペースがない。また、ブラシ入力ジョイント142の周囲には、コネクタ147や廃トナー回収部146が配置されており、ブラシ入力ジョイント142の周囲も十分なスペースがない。そのため、装置本体と供給スクリュウとを駆動連結するためのスクリュウジョイントや、装置本体と潤滑剤塗布ブラシローラ45aとを駆動連結するためのブラシジョイントとして、外径が小さいジョイントを用いる必要がある。
【0042】
また、製造誤差や組み付け誤差などにより供給スクリュウ43bの軸中心が、スクリュウ出力ジョイントの軸中心に対してずれる所謂軸心ずれや、一方の軸心が他方の軸心に対して傾く所謂偏角が生じる場合がある。
【0043】
例えば、ジョイントとして、一方を外歯ギヤ、他方を内歯ギヤとした場合、軸心ずれが生じたとき、歯の位置が、軸心ずれがないときよりも、軸心ずれ方向にずれる。その結果、軸心ずれ方向に対して回転方向に90°回転した位置においては、歯同士の接触圧が高くなり、逆に軸心ずれ方向に対して回転方向と逆方向に90°回転した位置においては、歯同士の接触圧が低くなる。このような力のアンバランスが生じることにより、軸心ずれがあると、ジョイント内での駆動伝達時において、スクリュウジョイントに軸反力が発生する。
【0044】
このジョイント部で発生した軸反力が供給スクリュウや現像ローラを回転自在に支持する現像ケーシングを介して、現像ローラの軸に加わる。その結果、現像ローラ43aが、スクリュウジョイントで発生した軸反力により感光体41に対して近づいたり離れたりして、感光体41と現像ローラ43aとの間の現像ギャップが変動してしまう。これにより、スクリュウジョイントの回転周期で画像濃度にムラが生じてしまうおそれがある。
また、偏角があると、供給スクリュウの回転速度が周期変動し、現像ローラへの現像剤の供給量が変動する。その結果、現像ムラが発生するおそれがある。
【0045】
また、軸心ずれによりブラシジョイントにブラシジョイントの一回転を1周期する軸反力が発生すると、潤滑剤塗布ブラシローラ45aの感光体41との当接圧が変動し、感光体41の負荷トルクが周期変動する。その結果、感光体41の回転速度が、ブラシジョイントの回転周期で変動し、ブラシジョイントの回転周期で画像濃度にムラが生じてしまうおそれがある。また、偏角があると、ブラシローラの回転速度が周期変動し、その速度変動によって、感光体41の負荷トルクが周期変動し、感光体41の回転速度が周期変動するおそれもある。
【0046】
そのため、スクリュウジョイントやブラシジョイントとして、軸心ずれや偏角を吸収して、軸反力の発生を抑制できるジョイントを用いる必要がある。
【0047】
このように、本実施形態においては、スクリュウジョイントやブラシジョイントとして、小型で軸反力の発生を抑制できるジョイントを用いる必要がある。そこで、本実施形態においては、スクリュウジョイントやブラシジョイントとして、以下に説明するジョイントを用いた。以下の説明では、代表してスクリュウジョイントについて説明するが、ブラシジョイントも同様な構成である。
【0048】
図6は、供給スクリュウ43bに現像モータの駆動力を伝達するスクリュウ駆動伝達装置60の概略構成図である。
図6の左側は、装置の手前側であり、右側が、駆動装置などが配置された装置の奥側である。また、
図7は、スクリュウ駆動伝達装置の装置本体側の構成を示す斜視図である。
スクリュウ駆動伝達装置60は、現像モータの駆動力により回転駆動するφ6[mm]の駆動出力軸61を有している。駆動出力軸61は、第一軸受63、第二軸受64を介して装置本体の第一側板71aと、第二側板71bとに回転自在に支持されている。駆動出力軸61の第一側板71aと第二側板71bとの間に、ギヤを介して現像モータの駆動力が伝達される駆動ギヤ62が駆動出力軸61と一体で回転するように設けられている。具体的には、駆動出力軸61に設けられた平行ピン62aに嵌合することで、駆動ギヤ62が駆動出力軸61と一体で回転するように設けられている。
【0049】
スクリュウジョイント50は、駆動出力軸61の手前側端部に取り付けられた出力部材たるスクリュウ出力ジョイント51と、回転体である供給スクリュウの軸の奥側端部に取り付けられた入力部材たるスクリュウ入力ジョイント53と、スクリュウ出力ジョイントに保持された中間部材52とを有している。スクリュウ出力ジョイント51、中間部材52及びスクリュウ入力ジョイント53は、樹脂からなっている。スクリュウ出力ジョイント51およびスクリュウ入力ジョイント53は、PPS(ポリフェニレンスルファイド)からなり、中間部材52は、POM(ポリアセタール)からなっている。
【0050】
スクリュウ出力ジョイント51と、第二軸受64との間には、スプリング66と、駆動出力軸61に対して軸方向にスライド移動可能なリング状のスライド部材67とが配置されている。スプリング66の奥側端部は、第二軸受64の手前側に配置されたバネ受け65に当接している。スプリング66の手前側端部は、スライド部材67に当接しており、スライド部材67を、手前側に付勢している。スライド部材67は、スクリュウ出力ジョイント51の奥側端部に突き当たっており、手前側への移動が規制されている。
【0051】
図8は、駆動出力軸61の手前側端部を示す拡大図である。
駆動出力軸61の手前側(プロセスカートリッジ40側、図中左側)には、駆動出力軸61の直径よりも短い直径のジョイント取り付け部61aが形成されている。ジョイント取り付け部61aの手前側は、軸方向に垂直な断面が角丸長方形状(一対の円弧形状部(円周面部)と、互いに平行な一対の直線形状部(平面部)とからなる)となっている。
【0052】
図9は、スクリュウ出力ジョイント51の斜視図である。
スクリュウ出力ジョイント51は、駆動伝達部たる出力外歯ギヤ51cと、筒状部51aと、孔の形状が角丸長方形状の駆動受け部51bとを有している。スクリュウ出力ジョイント51を手前側から駆動出力軸61に挿入し、筒状部51aをジョイント取り付け部61aの円形の部分に嵌め合わせ、駆動受け部51bをジョイント取り付け部61aの断面角丸長方形状部分161に嵌めわせる。これにより、
図8に示すように、スクリュウ出力ジョイント51が、駆動出力軸61と一体的に回転するように、駆動出力軸61に取り付けられる。
【0053】
図10は、スクリュウ駆動伝達装置60の装置本体側を、手前側から見た正面図である。
図10に示すように、駆動出力軸61の手前側先端161aは、ジョイント取り付け部61aの断面角丸長方形状部分161の短手方向長さを直径とする円柱形状であり、その外周面に溝が形成されている。そして、この溝部にEリング68を嵌め込むことで、このEリング68によりスクリュウ出力ジョイント51を、駆動出力軸61の手前側端部から抜け出るのを防止する。すなわち、このEリング68が、スクリュウ出力ジョイント51の抜け止め手段として機能している。
【0054】
図11は、中間部材52の斜視図である。
中間部材52は、内周面に中継駆動伝達部たる内歯ギヤ52aを有し、外径が駆動出力軸61の直径の2倍のφ12[mm]の筒状であり、奥側端部にスクリュウ出力ジョイント51から抜けるのを防止する抜け止め部52cが形成されている。
【0055】
中間部材52は、装置本体の第一側板71aと、第二側板71bに取り付ける前の駆動出力軸61の奥側端部からはめ込み、内歯ギヤ52aを駆動出力軸61の手前側端部に取り付けられたスクリュウ出力ジョイント51の出力外歯ギヤ51cに噛み合せる。内歯ギヤ52aを出力外歯ギヤ51cに噛み合せることで、
図8に示すように、抜け止め部52cが、出力外歯ギヤ51cと対向する。これにより、中間部材52が、スクリュウ出力ジョイントから抜け出すのを防止することができ、中間部材52がスクリュウ出力ジョイント51に保持される。
【0056】
内歯ギヤ52aを出力外歯ギヤ51cに噛み合せたら、駆動出力軸61の奥側端部からスライド部材67、スプリング66、バネ受け65、第二軸受64、第一軸受63の順にはめ込んでいく。そして、第二軸受64を第二側板71bに嵌合させ、第一軸受63を第一側板71aに嵌合させて、駆動出力軸61を装置本体に取り付ける。
【0057】
また、
図11に示すように、内歯ギヤ52aの各内歯の手前側端部には、テーパ部52bが形成されている。このテーパ部52bは、手前側から奥側へ径方向および回転方向に傾斜する形状となっている。具体的には、
図8の丸で囲んだAからわかるように歯厚が奥側に向けて徐々に厚くなり、かつ、
図8の丸で囲んだBからわかるように、歯たけが、奥側に向けて徐々に長くなる形状となっている。
【0058】
本実施形態においては、中間部材52が、軸方向に対して傾き可能、且つ、軸方向にスライド可能にスクリュウ出力ジョイント51に保持されるように構成されている。具体的には、
図8に示すように、抜け止め部52cの内径Dを、抜け止め部52cが対向するスクリュウ出力ジョイント51の筒状部51aの外径Eよりも長くし、スクリュウ出力ジョイント51の筒状部51aと所定の隙間を有して対向するように構成している。また、内歯ギヤ52aを、軸方向に真直ぐ延設させている。また、内歯ギヤ52aの歯底と、出力外歯ギヤ51cの歯先との間の隙間(内歯ギヤ52aの歯底円直径F-出力外歯ギヤ51cの歯先円直径G)である頂げきや、
図10のCで囲む部分に示すように、内歯ギヤ52aの内歯と出力外歯ギヤ51cの外歯との間の回転方向の遊び(バックラッシ)を、中間部材52が所定角度傾くことができるように設定している。これにより、中間部材52が、所定角度、傾き可能、かつ、軸方向に移動可能にスクリュウ出力ジョイントに保持される。
【0059】
図12は、スクリュウ入力ジョイント53の斜視図である。
スクリュウ入力ジョイント53は、供給スクリュウの軸143bに取り付けられる取り付け部53bと、入力外歯ギヤ53aとを備えている。取り付け部53bは、角丸長方形状の孔部を有している。供給スクリュウの軸143bの奥側先端は、軸方向に垂直な断面が角丸長方形状をしている。この角丸長方形状の供給スクリュウの軸143bの奥側先端を、取り付け部53bの孔部に挿入することで、スクリュウ入力ジョイント53が供給スクリュウの軸143bと一体的に回転するように取り付けられる。
【0060】
入力外歯ギヤ53aの各外歯の奥側端部には、中間部材52の内歯と同様のテーパ部53cが形成されている。すなわち、歯厚が手前側に向けて徐々に厚くなり、歯たけが、手前側に向けて徐々に長くなる形状のテーパ部53cである。
【0061】
図13(a)は、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53とが駆動連結した状態を示す概略図であり、
図13(b)は、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53とが非駆動連結状態でプロセスカートリッジを装置本体に装着したときの状態を示す概略図である。
プロセスカートリッジ40の装着時にスクリュウ入力ジョイント53の外歯が中間部材52の内歯に軸方向から当接するなどして、スクリュウ入力ジョイント53の入力外歯ギヤ53aが、中間部材52内に入り込まず、駆動連結しない場合がある。この場合は、
図13(b)に示すように、中間部材52がスライド部材67を奥側へ押し込み、スプリング66を圧縮しながら、スライド部材67とともに奥側(図中右側)へ移動する。これにより、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53との駆動連結が行われなくても、プロセスカートリッジ40を装置本体に装着することができる。
【0062】
現像モータを駆動して中間部材52が、スクリュウ出力ジョイント51とともに回転駆動すると、中間部材52の内歯が入力外歯ギヤ53aの外歯の間に位置する。すると、内歯ギヤ52aと入力外歯ギヤ53aとの突き当たりが外れ、中間部材52がスプリング66の付勢力により手前側(図中左側)へ移動する。これにより、
図13(a)に示すように、入力外歯ギヤ53aが中間部材52に挿入され、入力外歯ギヤ53aと内歯ギヤ52aとが噛み合う。その結果、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53とが駆動連結され、中間部材52からスクリュウ入力ジョイント53に駆動伝達が行われる。
【0063】
また、本実施形態では、中間部材52の内歯ギヤ52aの手前側端部と、スクリュウ入力ジョイントの入力外歯ギヤの奥側端部とにテーパ部52b,53cを設けている。中間部材52の内歯ギヤ52aの内歯と、スクリュウ入力ジョイントの入力外歯ギヤ53aの外歯との回転位相がほぼ合っている場合、上記内歯のテーパ部52bに入力外歯ギヤ53aの外歯のテーパ部53cが突き当たる。上述したように、各テーパ部52b,53cは、回転方向に対して傾斜している。よって、各テーパ部52b,53cにより案内され、スムーズに入力外歯ギヤ53aを、内歯ギヤ52aに噛み合せることができる。
【0064】
また、例えば、軸心ずれや偏角が生じていたり、中間部材52が自重により軸方向に対して傾いていたりなどして、中間部材52の手前側端部の中心と、スクリュウ入力ジョイント53の奥側端部の中心とがずれていることがある。各テーパ部52b,53cは、軸方向に対しても傾斜しているため、各テーパ部52b,53cにより、スクリュウ入力ジョイント53の入力外歯ギヤ53aを中間部材52に挿入されるように、中間部材52の軸方向に対する傾斜角度が変更される。その結果、軸心ずれや偏角が生じていたり、中間部材52が自重により軸方向に対して傾いていたりなどしても、スクリュウ入力ジョイント53の入力外歯ギヤ53aを中間部材内に挿入することができる。これにより、軸心ずれや偏角が生じていたり、中間部材52が自重により軸方向に対して傾いていたりなどしても、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53との駆動連結を行うことができる。
【0065】
本実施形態においては、内歯ギヤ52aと出力外歯ギヤ51cとの隙間(バックラッシ、頂げき)、内歯ギヤ52aと入力外歯ギヤ53aとの隙間(バックラッシ、頂げき)、抜け止め部52cとスクリュウ出力ジョイント51の筒状部51aとの隙間を適宜設定して、中間部材52が軸方向に対して所定角度傾き可能となっている。よって、駆動出力軸61と供給スクリュウの軸143bとの間に軸心ずれがあった場合は、中間部材52が傾くことで、回転方向で歯同士の接触圧が高くなる箇所や歯同士の接触圧が低くなる箇所が生じるのを抑制することができる。これにより、力のアンバランスを抑制することができ、軸反力の発生を抑制できる。
【0066】
また、中間部材52を設けることで、偏角があった場合は、中間部材52が、スクリュウ出力ジョイントに対して所定角度傾き、スクリュウ入力ジョイント53に対して、スクリュウ出力ジョイント51に対する傾斜角度と同角度傾く。これにより、スクリュウ出力ジョイント51から中間部材52への駆動伝達時に発生した速度変動が、中間部材52からスクリュウ入力ジョイント53への駆動伝達時に発生する速度変動で相殺される。これにより、偏角があっても、供給スクリュウの回転速度変動を抑制することができる。
【0067】
また、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53とが駆動連結する駆動連結位置まで中間部材52が移動すると、スライド部材67が、スクリュウ出力ジョイント51の筒状部51aの端部に突き当たる。これにより、中間部材52が駆動連結位置に位置するときは、スプリング66の付勢力が中間部材52に作用することがない。その結果、中間部材52をスムーズに傾かせることができ、良好に軸心ずれや偏角を吸収することができる。
【0068】
また、スライド部材67を無くして、スプリング66の手前側端部を、筒状部51aに直接当接させて、中間部材52が駆動連結位置に位置するとき、スプリング66の付勢力を中間部材52に作用させないようにしてもよい。これにより、部品点数を削減することができ、装置を安価にすることができるという利点がある。
【0069】
一方で、狭い空間にスクリュウジョイント50を配置できるようにするため、本実施形態では、中間部材52の外径を、駆動出力軸61の直径φ6[mm]の2倍以下にして、スクリュウジョイント50の小型化を図っている。このようにスクリュウジョイント50の小型化を図る結果、筒状部51aを、スプリング66の手前側端部が確実に当接できような厚みにすることが困難となる。そのため、スプリング66が、筒状部51aを乗り越えて、駆動連結位置に位置する中間部材52の抜け止め部52cに当接し、駆動連結位置に位置する中間部材52にスプリング66の付勢力が作用し続けるおそれがある。
【0070】
これに対し、本実施形態では、筒状部51aとスプリング66との間にスライド部材67を設けている。これにより、小型化を図ったジョイントでも、中間部材52が駆動連結位置に位置するとき、スプリング66の付勢力を確実に中間部材52に作用させないようにできるという利点がある。
【0071】
また、中間部材52が駆動連結位置に位置するとき、スプリング66が自由長となるように構成することで、スライド部材67を無くして、中間部材52が駆動連結位置に位置するとき、スプリング66の付勢力を中間部材52に作用させないようにすることも考えられる。しかし、この場合は、スプリング66の付勢力で、中間部材52を駆動連結位置まで移動させることができなくなるおそれがあり、好ましくない。
【0072】
また、出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの外歯を、クラウニング形状にするのが好ましい。
図14は、出力外歯ギヤ51cの外歯をクラウニング形状にした実施例を示す斜視図である。
クラウニング形状とは、歯厚方向にクラウニング形状をもっているという意味である。具体的には、
図14に示すように、出力外歯ギヤ51cにおける歯幅中央部の歯厚が最大であり、歯幅方向両端側の歯厚が最小となるような形状である。入力外歯ギヤ53aの歯も
図14と同様なクラウニング形状である。
【0073】
出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの歯を、それぞれ、ピッチ円方向の厚みが軸方向に変化するクラウニング形状とし、規定の有効歯面(歯幅中央部)で中間部材52の内歯ギヤ52aと噛み合うように設計されている。出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの外歯を、クラウニング形状とすることで、内歯に曲面で接触することになり、中間部材52をスムーズ傾かせせることができ、良好に軸心ずれや偏角を吸収することができ、軸反力を低減することができる。
【0074】
中間部材52が軸方向に対して傾いてスクリュウ入力ジョイント53と駆動連結している場合、回転駆動時において、出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの外歯が、内歯と摺動するため、外歯や内歯が摩耗する。出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの外歯をクラウニング形状とした場合、外歯が摩耗すると、内歯に対して曲面で接触していたものが、平面で接触することになる。その結果、中間部材52が傾きづらくなり、軸反力の抑制効果が低減するおそれがある。
【0075】
一般的に、ヤング率が大きい方が硬く、摩耗し難いため、スクリュウ出力ジョイント51やスクリュウ入力ジョイント53のヤング率を、中間部材52のヤング率よりも大きくするのが好ましい。スクリュウ出力ジョイント51やスクリュウ入力ジョイント53のヤング率を、中間部材52のヤング率よりも大きくすることで、中間部材52よりも摩耗し難くすることができる。これにより、経時に亘り出力外歯ギヤ51cや入力外歯ギヤ53aの外歯のクラウニング形状を維持することができ、経時に亘り中間部材52をスムーズに傾かせることができる。よって、軸反力の抑制効果を経時に亘り維持することができる。
【0076】
また、中間部材52を、プロセスカートリッジ側のスクリュウ入力ジョイント53に保持するようにしてもよい。しかし、本実施形態のように、装置本体側のスクリュウ出力ジョイント51に保持するのが好ましい。これは、中間部材52を、プロセスカートリッジ側のスクリュウ入力ジョイント53に保持した場合、プロセスカートリッジの部品点数が増え、プロセスカートリッジのコストアップに繋がる。プロセスカートリッジ40は、消耗品であり、定期的な交換が必要なものであるため、プロセスカートリッジのコストアップが、装置のメンテナンス費の増大と繋がるおそれがある。本実施形態のように、装置本体側のスクリュウ出力ジョイント51に中間部材52を保持することにより、プロセスカートリッジのコストアップを抑えることができ、装置のメンテナンス費を抑えることができる。
【0077】
図15は、比較例の中間部材552を示す斜視図であり、
図16は、比較例の中間部材552の課題について説明する図である。
図15に示すように、この比較例の中間部材552は、抜け止め部552cの内径E1を、内歯ギヤ552aの歯先円直径Hよりも短くして、抜け止め部552cが内歯ギヤ552aの歯先よりも回転中心に向かって突出するような形状となっている。
【0078】
中間部材552における筒状部51aと抜け止め部552cの間の径方向の隙間が狭いと、中間部材552を十分に傾けさせることができず、軸心ずれや偏角の許容できる範囲が狭くなってしまうという問題がある。この比較例の中間部材において、中間部材552の外径を、駆動出力軸61の直径φ6[mm]の2倍以下にする場合、中間部材552における筒状部51aと抜け止め部552cの間の径方向の隙間が、狭くなり、中間部材552を十分に傾けさせることができず、軸心ずれや偏角の許容できる範囲が狭くなってしまう。
【0079】
また、供給スクリュウの軸143bと駆動出力軸61との間に軸心ずれがある場合、
図13(b)に示す状態から中間部材がスクリュウ入力ジョイント53と駆動連結する際は、中間部材は、傾いた状態で、スプリング66の付勢力で手前側へスライド移動する。このとき、比較例の中間部材552においては、
図16に示すように、抜け止め部552cが、筒状部51aの奥側端部に突き当たってしまうおそれがある。その結果、中間部材552が駆動連結位置まで移動できず、抜け止め部552cの一部が、スライド部材67と筒状部51aの奥側端部とで挟まれた状態となる。よって、中間部材552が、一定の角度で固定されてしまい、軸心ずれを十分に吸収できず、軸反力の発生を十分に抑制できないという問題もある。
【0080】
これに対し、本実施形態においては、抜け止め部52cの内径Dを、内歯ギヤ52aの歯先円直径と同径としている。これにより、中間部材52の外径を、駆動出力軸61の直径(φ6mm)の2倍以下であっても抜け止め部52cと筒状部51aとの隙間を十分確保できる。また、中間部材52が傾いた状態で、スプリング66の付勢力で手前側へスライド移動しても、抜け止め部52cが、筒状部51aの奥側端部に突き当たるのを抑制でき、中間部材52を駆動連結位置へスライド移動させることができる。これにより、中間部材52をスムーズに傾かせることができ、軸心すれや偏角を良好に吸収でき、良好に軸反力の発生を抑制することができる。また、中間部材の傾く角度を大きくでき、軸心ずれや偏角の許容できる範囲も広くできる。
【0081】
抜け止め部52cは、出力外歯ギヤ51cの外歯と対向していれば、抜け止め部52cが外歯に突き当たり、中間部材52の抜けを防止することができる。従って、抜け止め部52cの内径Dは、内歯ギヤ52aの歯先円直径以上、出力外歯ギヤ51cの歯先円直径以下でよい。これにより、抜け止めの機能を確保しつつ、抜け止め部52cと筒状部51aとの隙間を十分確保できる。しかし、成型のし易さや、内歯の回転方向の剛性を高めることができるという利点から、抜け止め部52cの内径Dは、内歯ギヤ52aの歯先円直径と同径とするのが好ましい。
【0082】
また、本実施形態においては、先の
図8に示したたように、スクリュウ出力ジョイント51が取り付けられる駆動出力軸61のジョイント取り付け部61aの直径を、駆動出力軸61の直径よりも小さくしている。これにより、スクリュウ出力ジョイントの外径を小さくすることができる。その結果、中間部材52の外径を駆動出力軸61の直径の2倍以下としても、抜け止め部52cと筒状部51aとの間の隙間を確保できる。これにより、中間部材52の傾く角度を大きくでき、軸心ずれや偏角の許容できる範囲も広くできる。また、抜け止め部が筒状部に突き当たらないようにできる。
【0083】
次に、スクリュウジョイントの変形例について説明する。
【0084】
[変形例1]
図17は、変形例1のスクリュウジョイント50Aの概略構成図であり、
図18(a)は変形例1のスクリュウジョイント50Aの装置本体側の構成を示す斜視図である。また、
図18(b)は、変形例1のスクリュウジョイント50Aのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図である。なお、
図17においては、スクリュウ出力ジョイント51Aの構成が分かるように、中間部材52Aは、断面で示している。
この変形例1では、スクリュウ出力ジョイント51Aの中間部材52Aへ駆動伝達を行う駆動伝達部を、外周面から突出する円柱形状の出力突起部151cとしている。出力突起部151cは、スクリュウ出力ジョイント51Aの外周面に90°の間隔を開けて4つ設けられている。
【0085】
中間部材52Aの内周面には、上記出力突起部151cが回転方向から当接し、上記出力突起部151cから駆動力を受けるとともに、スクリュウ入力ジョイント53Aへ駆動力伝達するための中継突起部152aが設けられている。この中継突起部152aは、中間部材52Aの内周面に回転方向に90°の間隔を開けて4つ設けられており、軸方向に延びている。各出力突起部151cは、中継突起部152aの間の溝の部分に係合している。中継突起部152aの手前側端部には、手前側から奥側へ行くにつれて、高さが高くなり、且つ、回転方向長さが長くなるようなテーパ部52bが形成されている。
【0086】
また、スクリュウ入力ジョイント53Aの外周には、中継突起部152aが回転方向から当接し、中継突起部152aから駆動力を受ける円柱形状の入力突起部153aが、回転方向90°の間隔を開けて4つ設けられている。この入力突起部153aの奥側先端には、奥側から手前側へ行くにつれて、高さが高くなり、且つ、回転方向長さが長くなるようなテーパ部53cが形成されている。
【0087】
中継突起部152aの内径を、スクリュウ出力ジョイント51Aおよびスクリュウ入力ジョイント53Aの外径より長くしている。これにより、中継突起部152aと、スクリュウ出力ジョイント51Aおよびスクリュウ入力ジョイント53Aとの間に径方向に所定の隙間が形成される。また、中間部材52の内径を、出力突起部151cおよび入力突起部153aの外径よりも長くしている。これにより、中間部材52と出力突起部151cおよび入力突起部153aとの間に所定の隙間が形成される。さらに、中継突起部152aと、出力突起部151cとの間、中継突起部152aと、入力突起部153aとの間に回転方向に所定の隙間が形成されるように、中継突起部152a、出力突起部151cおよび入力突起部153aの回転方向長さが設定されている。また、抜け止め部52cは、中継突起部152aの内径以上、出力突起部151cの外径以下とし、スクリュウ出力ジョイント51Aの外径と抜け止め部52cの間に規定の隙間を形成し、かつ、出力突起部151cと対向させている。かかる構成とすることにより、この変形例1においても、中間部材52Aを軸方向にスライド移動可能かつ、所定角度軸方向に傾き可能にできる。
【0088】
また、この変形例1においては、出力突起部151cと入力突起部153aとを円柱形状とすることにより、回転駆動時に中継突起部に当接する当接面を、軸方向に沿って円弧状の曲面にできる。これにより、中間部材をスムーズに傾かせることができ、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができる。
【0089】
また、この変形例1においても、スクリュウ出力ジョイント51Aやスクリュウ入力ジョイント53Aのヤング率を、中間部材52Aのヤング率よりも大きくするのが好ましい。これにより、出力突起部151cや入力突起部153aの中継突起部に当接する当接面の摩耗を抑制することができ、円弧状の曲面を維持することができる。
【0090】
[変形例2]
図19は、変形例2のスクリュウジョイント50Bを示す概略図である。また、
図20(a)は、変形例2のスクリュウジョイント50Bの装置本体側の構成を示す斜視図であり、
図20(b)は、変形例2のスクリュウジョイント50Bのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図である。なお、
図19においても、スクリュウ出力ジョイント51Bの構成が分かるように、中間部材52Bは、断面で示している。
【0091】
この変形例2においては、出力突起部151cを断面楕円形状とし、入力突起部153aを断面涙滴形状として、回転方向長さよりも軸方向長さが長い形状としたものである。回転方向長さよりも軸方向長さを長くすることで、出力突起部151cおよび入力突起部153aを回転方向長さと軸方向長さとが同一の断面円形状の円柱形状とした変形例1に比べて、出力突起部151cおよび入力突起部153aの強度を高めることができる。
【0092】
また、出力突起部151cを断面楕円形状とし、入力突起部153aを断面涙滴形状として、回転方向と直交する面を軸方向に沿って円弧状に湾曲する曲面にしている。これにより、出力突起部151cおよび入力突起部153aの回転駆動時に中継突起部152aとの当接面を、軸方向に沿って円弧状の湾曲した曲面にでき、中間部材52Bをスムーズに傾かせることができ、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができる。
【0093】
[変形例3]
図21は、変形例3のスクリュウジョイント50Cを示す概略図である。また、
図22(a)は、変形例3のスクリュウジョイント50Cの装置本体側の構成を示す斜視図であり、
図22(b)は、変形例3のスクリュウジョイント50Cのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図である。なお、
図21においても、スクリュウ出力ジョイント51Cの構成が分かるように、中間部材52Cは、断面で示している。
【0094】
この変形例3は、出力突起部151cおよび入力突起部153aの断面形状を、長方形状としたものである。かかる構成とすることでも、回転方向長さよりも軸方向長さを長くでき、出力突起部151cおよび、入力突起部153aの強度を高めることができる。
【0095】
図23は、変形例3のスクリュウ入力ジョイントを奥側から見た図である。
図23に示すように、変形例3においては、入力突起部153aの軸方向と平行な面を、図中一点鎖線で示す円Xの円弧とし、径方向に沿って円弧状の曲面としている。また、出力突起部151cの軸方向と平行な面も、入力突起部153aと同様、径方向に沿って円弧状の曲面としている。
【0096】
かかる構成とすることで、回転駆動時の中間部材52Cの中継突起部152aとの当接を、線接触にすることができ、中間部材52Cをスムーズに傾かせることができる。また、上述では、回転方向上流側、下流側両方の軸方向と平行な面を、径方向に沿って円弧状の曲面としているが、2面のうち、回転駆動時の中間部材52Cの中継突起部152aと当接する側の面のみ、径方向に沿って円弧状の曲面としてもよい。
【0097】
また、この変形例3では、入力突起部153aおよび出力突起部151cの回転方向に直交する面を、軸方向に沿っては円弧とせず、直線状としているので、以下の利点を得ることができる。すなわち、スクリュウ出力ジョイント51Cおよびスクリュウ入力ジョイント53Cは、樹脂からなり、金型を用いて成型される。例えば、略円筒形状のスクリュウ出力ジョイントは、型開き方向が互いに異なる軸方向に移動する2つの金型で成型可能である。変形例1や変形例2のように、出力突起部の回転方向に直交する面が軸方向に沿って円弧状に湾曲する曲面の場合は、最も回転方向の厚みが厚い出力突起部の軸方向中央部をパーティングラインに設定する必要がある。なぜなら、出力突起部の軸方向中央部をパーティングラインに設定しないと、金型を軸方向に移動させることができず、型開きを行えないからである。その結果、出力突起部の回転駆動時に中間部材の中継突起部に当接する面に、バリなどが発生するおそれがあり、中間部材52のスムーズな傾きを阻害するおそれがある。また、中間部材52が傾いた状態で、回転駆動するときは、出力突起部が、中継突起部に対して相対移動するが、上記バリが存在すると、摩耗の進行が早まり、中間部材が早期に摩耗してしまうおそれもある。
【0098】
また、取り付け部53bの外径が、入力突起部153aが形成された箇所の外径よりも大きいスクリュウ入力ジョイント53においては、入力突起部の回転方向に直交する面を軸方向に沿って円弧状の曲面とした場合、少なくとも金型が4つ必要となる。すなわち、法線方向に移動する一対の金型と、軸方向に移動する一対の金型とである。これにより、金型費が増加し、製造コストのアップに繋がる。
【0099】
これに対し、変形例3では、出力突起部151cの回転方向と直交する面を、軸方向に沿っては直線状としている。よって、出力突起部の回転駆動時に中間部材の中継突起部に当接する面を、一つの金型で成型することができ、この面にバリが発生するのを防止できる。これにより、中間部材52のスムーズに傾かせることができ、中間部材が早期に摩耗するのを防止することができるという利点である。
【0100】
また、入力突起部153aの回転方向と直交する面を、軸方向に沿って直線状とすることで、軸方向に移動する一対の金型で、スクリュウ入力ジョイント53を成型することができる。これにより、金型の数を減らすことができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0101】
[変形例4]
図24は、変形例4のスクリュウジョイント50Dを示す概略図であり、
図25(a)は、変形例4のスクリュウジョイント50Dの装置本体側の構成を示す斜視図であり、
図25(b)は、変形例4のスクリュウジョイント50Dのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図である。なお、
図24においても、スクリュウ出力ジョイント51Dの構成が分かるように、中間部材52dは、断面で示している。
また、
図26(a)は、変形例4のスクリュウ入力ジョイントを、奥側から見た正面図であり、
図26(b)は、変形例4のスクリュウ入力ジョイントの側面図である。
【0102】
この変形例4においては、出力突起部151cおよび入力突起部153aの回転方向と直交する面を、楕円球面としたものである。具体的に説明すると、
図26(a)に示すように、軸方向と平行な面を、径方向に沿って円弧状の曲面(図中点線の円X1の円弧面)とするとともに、
図26(b)に示すように、軸方向に沿って円弧状の曲面(図中点線楕円X2の円弧面)としたのである。
かかる構成とすることで、中間部材52dの中継突起部152aとの当接を点接触にすることができ、変形例1~3に比べて、よりスムーズに中間部材52を、傾かせることができる。また、この変形例4においても、回転駆動時に中継突起部152aに当接する面のみを、楕円球面としてもよい。
【0103】
図27は、各入力突起部153aの奥側先端の軸方向位置を同じ位置とした場合の不具合について説明する図である。
駆動出力軸と供給スクリュウの軸との間の軸心ずれ量が多くなると、
図27に示すように、隣合う2つの入力突起部153aが、互いに異なる中継突起部のテーパ部52bによって同じ溝(中継突起部の間の隙間)に入り込もうとする場合がある。この場合、回転駆動すると、中間部材52dがスプリングの付勢力に抗して軸方向奥側に逃げることで、一方の入力突起部が、テーパ部を乗り越えて、本来入り込むべき溝へ相対移動し、最終的には駆動連結される。しかし、入力突起部がテーパ部を乗り越える際に入力突起部にかかる負荷が大きく、入力突起部が破損するおそれがある。
【0104】
そこで、
図28に示すように、複数の入力突起部のうちひとつを、他の入力突起部よりも長くし、奥側へ突出した形状とするのが好ましい。これにより、複数の入力突起部のうち、奥側へ突出した入力突起部のテーパ部のみ、中間部材の中継突起部のテーパ部に当接する。そして、このテーパ部が中間部材を軸方向奥側へ押し込む。中間部材52が奥側へ押し込まれると、スプリングが圧縮され、スプリングの付勢力が増加する。そして、ある程度、中間部材52が押し込まれると、スプリング66の付勢力で、供給スクリュウが回転し、奥側へ突出した入力突起部が、中継突起部の間に案内される。これにより、軸心ずれ量が多く隣合う2つの入力突起部が、互いに異なる中継突起部のテーパ部によって同じ溝(中継突起部の間の隙間)に入り込もうとするような状態であったとしても、その状態が解除される。よって、回転駆動時に入力突起部がテーパ部を乗り越えて、駆動連結するような事態が生じることがなくなり、入力突起部に大きな負荷が加わるのを抑制することができ、入力突起部の破損を抑制することができる。
【0105】
また、上記では、入力突起部の一つを、奥側に突出させているが、中間部材の複数のテーパ部52bのひとつを、手前側へ突出させても、同様の効果を得ることができる。
【0106】
また、
図28に示すように、他の入力突起部から突出する入力突起部の他の入力突起部から突出した部分の径方向の長さを、奥側(先端)に向かうにつれて短くなるようにするのが好ましい。
図29は、駆動出力軸が、他の入力突起部よりも突出した入力突起部から離れる方向に軸心ずれが生じているときのスクリュウジョイントについて説明する図である。
図29に示すように、他の入力突起部よりも奥側へ突出した入力突起部から離れる方向に駆動出力軸が、供給スクリュウの軸に対して軸心ずれが生じているとき、中間部材は、図中反時計回りに傾く。このように中間部材が傾いたときは、奥側ほど、中間部材の内周面が、突出した入力突起部に近づく。
【0107】
他の入力突起部よりも突出する入力突起部の他の入力突起部から突出している部分の径方向の長さを、奥側(先端)に向かうにつれて短くなるようにすることで、奥側に行くにつれて、入力突起部と、中間部材内周面との隙間が大きくなる。その結果、
図29に示すように中間部材が傾いたときに、この突出する入力突起部の他の入力突起部から突出している部分が、中間部材の内周面に当接するのを抑制することができる。これにより、中間部材の傾きが妨げられるのを抑制することができ、軸心ずれの許容量(軸反力の発生が抑制可能な軸心ずれ量)を増加することができる。
【0108】
[変形例5]
図30は、変形例5のスクリュウジョイント50Eを示す概略図である。また、
図31(a)は、変形例5のスクリュウジョイント50Eの装置本体側の構成を示す斜視図であり、
図31(b)は、変形例5のスクリュウジョイント50Eのプロセスカートリッジ側の構成を示す斜視図である。また、
図32は、スクリュウ入力ジョイントを用いて、変形例5のスクリュウジョイントの特徴点を説明する図である。なお、
図30においても、スクリュウ出力ジョイント51Bの構成が分かるように、中間部材52Bは、断面で示している。
【0109】
図32に示すようにこの変形例5においては、出力突起部151cおよび、入力突起部153aの回転方向と直交する面を、球面としたものである。具体的に説明すると、出力突起部151cおよび入力突起部153aの回転方向側面が、
図32(a)に示すように径方向に沿って円弧状の曲面(図中点線の円G1の円弧面)である。また、
図32(b)に示すように、軸方向に沿って円弧状の曲面(図中点線の円G2の円弧面)である。これにより、変形例4と同様、中継突起部との当接を点接触にでき、変形例1~3の中継突起部との当接が線接触の場合に比べて、中間部材をスムーズに傾かせることができる。
【0110】
本実施形態においては、出力突起部および、入力突起部の回転方向両側の側面を球面としているが、駆動伝達時に中継突起部と当接する側の側面のみ球面とすればよい。具体的には、出力突起部においては、回転方向下流側の側面を球面とし、入力突起部においては、回転方向上流側の側面を球面とする。
【0111】
また、この変形例5においても、出力突起部は、法線方向から見たとき、円ではなく、角丸長方形状としている。これにより、出力突起部の軸方向長さを、法線方向から見たとき円にした場合に比べて短くすることができ、スクリュウジョイントを軸方向に小型化することができる。また、同様に、入力突起部も、法線方向から見たとき、円ではなく、角丸長方形状とし、入力突起部の軸方向長さを短くでき、スクリュウジョイントを軸方向にさらに小型化することができる。
【0112】
また、この変形例5においても、複数の入力突起部153aのうちのひとつを、奥側へ突出させている。これにより、この変形例5においても、変形例4と同様に、回転駆動時に入力突起部がテーパ部を乗り越えて、駆動連結するような事態が生じることがなくなり、入力突起部に大きな負荷が加わるのを抑制することができ、入力突起部の破損を抑制することができる。
【0113】
[変形例6]
図33は、変形例6のスクリュウジョイント50Fの装置本体側の構成を示す斜視図であり、
図34は、変形例6のスクリュウジョイント50Fの特徴部を示す概略図である。
この変形例6においては、スクリュウ出力ジョイントを平行ピン51Fとしたものである。
この変形例6においては、
図34に示すように、スライド部材67の手前側への移動を規制する筒状の規制部材69が、駆動出力軸61の手前側端部に取り付けられている。規制部材69と駆動出力軸61の手前側端部とには、平行ピン51Fが貫通する貫通孔が設けられている。これら貫通孔に平行ピン51Fを貫通させることにより、平行ピン51Fが駆動出力軸に取り付けられるとともに、規制部材69が、駆動出力軸61に取り付けられる。
【0114】
このように、規制部材69によりスライド部材67の移動を規制することにより、中間部材52Fが、駆動連結位置にあるとき、スライド部材67と中間部材とが非接触となり、中間部材52Fにスプリング66の付勢力が作用しないようにすることができる。また、
図33に示すように、平行ピン51Fが、中間部材52Fの中継突起部152aの間(中間部材の溝)に入り込んでいる。これにより、平行ピンを介して回転駆動力が中間部材に伝達される。なお、スクリュウ入力ジョイントについては、先の変形例1~5に示したスクリュウ入力ジョイントのいずれかを用いればよい。
【0115】
平行ピン51Fは、金属から構成されており、スクリュウ出力ジョイントを樹脂で形成する変形例1~変形例5に比べて、スクリュウ出力ジョイントの強度を高めることができるという利点がある。
【0116】
図35は、スクリュウ出力ジョイントを、スプリングピン151Fとした変形例6のスクリュウジョイントを示す図である。
スプリングピン151Fとすることで平行ピンに比べて強度の面では低下するが、駆動出力軸61への取り付けを容易にできるというメリットがある。また、スプリングピン151Fも金属からなるので、スクリュウ出力ジョイントを、樹脂とした場合に比べて強度を高めることができる。また、
図35に示すように、スプリングピン151Fの切り口が、手前側となるように、スプリングピン151Fを取り付けるのが好ましい。これは、スプリングピン151Fの切り口が奥側の場合、中間部材の抜け止め部がスプリングピンの切り口と対向することになる。その結果、抜け止め部が、スプリングピンの切り口の縁に引っ掛り、中間部材がスムーズに傾かないおそれがあり、軸反力が発生するおそれがある。一方、スプリングピン151Fの切り口を手前側に設けることで、抜け止め部は、スプリングピンの円弧面と対向することになり、抜け止め部がスプリングピンに引っ掛る事態が生じず、中間部材をスムーズに傾かせることができ、軸反力が発生するのを抑制することができる。また、
図35に示す例では、スライド部材67の手前側への移動を規制する規制部材として、Eリング169を用いた。
【0117】
現像ケースに嵌合された軸受に供給スクリュウの軸を挿入することで、供給スクリュウの軸が現像ケースに回転自在に支持される。このように、現像ケースに支持された供給スクリュウの軸に平行ピンやスプリングピンを差し込むことは困難である。そのため、スクリュウ入力ジョイントとしては、先の変形例1~変形例5に示したスクリュウ入力ジョイントを用い、供給スクリュウの軸をスクリュウ入力ジョイントに挿入することで、スクリュウ入力ジョイントを供給スクリュウに組み付ける構成をとらざるを得ない。その結果、スクリュウ入力ジョイントは、樹脂で形成することになり、入力突起部の強度を得るためには、平行ピンよりも大きな形状にせざるを得なくなる。その結果、平行ピンが入り込む中間部材奥側の中継突起部の間隔より、手前側の中継突起部の間隔の方を広げる必要がある。これにより、奥側の中継突起部の回転方向長さが、手前側の中継突起部の回転方向の長さよりも長くなる。その結果、奥側の中継突起部と手前側突起部との間に回転方向に段差ができてしまう。このように段差が生じると、以下の不具合が生じる。すなわち、中間部材を組み付けのために、駆動出力軸の奥側端部から中間部材を嵌め込み、軸方向手前側へ移動させて、平行ピンを、奥側の中継突起の間に入れ込むときに、上記段差に平行ピンが突き当たり、中間部材を、スムーズに組み付けることができないという不具合である。また、中間部材が、スクリュウ入力ジョイントにより押し込まれて、奥側へ移動したとき、平行ピンが手前側の中継突起の間に位置する。従って、回転駆動して、入力突起部が手前側の中継突起の間に位置し、押し込みが解除され、中間部材が、スプリング66の付勢力により手前側へ移動するときに、平行ピンが、前記段差に突き当たるおそれがある。平行ピンが、前記段差に突き当たると、中間部材52が駆動連結位置まで移動せず、スクリュウ入力ジョイントとの駆動連結が正常に行われず、軸反力などが大きくなるおそれがある。
【0118】
図36は、平行ピン51Fが入り込む中間部材奥側の中継突起部と、手前側の中継突起部とをテーパ形状で連結した変形例5の装置本体側の構成を示す概略図である。
図36の円で囲んだ箇所で示すように、奥側の中継突起部252aと、手前側の中継突起部252cとの連結部252bを、軸方向に対して傾斜するテーパ形状とすることで、以下の利点を得ることができる。すなわち、上述したように、中間部材52の組み付け時に、手前側の中継突起部の間の隙間に位置する平行ピンが、奥側の中継突起の間の隙間に対して回転方向の位相がずれていた場合、上記平行ピンは連結部252bに当接する。しかし、連結部252bはテーパ形状であるので、平行ピンは、テーパ形状の連結部252bにより案内され、奥側の中継突起の間に入れ込むことができる。これにより、中間部材を、スムーズに組み付けることができる。
【0119】
また、中間部材が駆動連結解除位置から駆動連結位置へ移動するときに、平行ピンが、奥側の中継突起部252aの間の隙間に対して回転方向の位相がずれていても、上記平行ピン51Fは、テーパ形状の連結部552b案内されて、奥側の中継突起の間に入り込む。これにより、中間部材が駆動連結位置まで移動して、中間部材とスクリュウ入力ジョイントとを正常に駆動連結することができる。
【0120】
[変形例7]
図37は、変形例7のスクリュウジョイント50Gの要部拡大図である。
この変形例7においては、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する箇所に突起部52dを設けたものである。突起部52dの頂部は、球面状となっている。その他の構成は、変形例4と同一の構成である。
【0121】
図38は、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する面と、出力突起部151cの抜け止め部と対向する面とが平面の場合について、説明する図である。
先の変形例4等で説明したように、出力突起部の断面形状を楕円形状とせず、角丸長方形状として、スクリュウジョイント50の軸方向の小型化を図った場合、出力突起部の抜け止め部と対向する面が平面となる。中間部材52が、軸方向に対して傾いたとき、抜け止め部52cが出力突起部に当接する場合がある。
図38に示すように、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する面と、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面とが平面の場合、抜け止め部52cが出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面に線接触する。このように、線接触となることで、中間部材52の傾いた方向と直交する方向(
図38の紙面と直交する方向)に中間部材52が傾き難くなり、軸心ずれを良好に吸収できないおそれがある。その結果、軸反力が大きくなったり、回転ムラが大きくなったりするおそれがある。
【0122】
一方、
図37に示す変形例7においては、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する箇所に突起部52dを設けている。よって、中間部材52が軸方向に対して傾いたとき、抜け止め部52cの突起部52dが、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面に接触する。これにより、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面に略点接触し、中間部材52Gの傾いた方向と直交する方向にも中間部材52Gをスムーズに傾けることができる。その結果、軸心ずれを良好に吸収でき、軸反力の増大や、回転ムラの増大を抑制するおそれがある。
【0123】
また、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する箇所を球面として、出力突起部側へ突出させてもよい。かかる構成とすることでも、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面に点接触し、中間部材52Gの傾いた方向と直交する方向にも中間部材52Gをスムーズに傾けることができる。また、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面を球面としたり、出力突起部151cの抜け止め部52cと対向する面に突起部を設けたりしてもよい。
【0124】
[変形例8]
図39は、変形例8のスクリュウジョイント50Hの要部拡大図である。
この変形例8は、抜け止め部52cの出力突起部151cと対向する先端部の手前側(図中左側)に、奥側から手前側へ向けて徐々に内径が広がる曲面状の面取り部52eを設けたものである。
【0125】
図40は、中間部材が傾きながら駆動連結位置へ移動する様子を説明する図であり、
図40(a)は、変形例8の場合について示しており、
図40(b)は、抜け止め部に面取り部を設けない場合について示している。
製造誤差などにより、抜け止め部とスクリュウ出力ジョイントの筒状部との間の隙間が、規定の隙間よりも狭くなる場合がある。このような場合、駆動出力軸61と供給スクリュウの軸143bとの間に軸心ずれがあるなどして、中間部材が傾きながらスプリングの付勢力により駆動連結位置へ移動する場合に、
図40に示すように、筒状部の端部に抜け止め部の先端が当たる場合がある。
【0126】
図40(b)に示すように、抜け止め部52cの出力突起部と対向する先端部の手前側に面取り部を設けていない場合、筒状部51aの端部に抜け止め部52cの先端が当たると、抜け止め部52cが、この筒状部51aを乗り越えることができない。その結果、中間部材52が、駆動連結位置まで移動せず、中間部材52とスクリュウ入力ジョイント53とが駆動連結しないなどの不具合が発生するおそれがある。
【0127】
一方、変形例8においては、
図40(a)に示すように、抜け止め部52cの面取り部52eが筒状部51aの端部に当たる。このように、面取り部52eが筒状部51aの端部に当たることで、スプリング66の中間部材52Hを手前側へ付勢する付勢力の分力が、抜け止め部52cが筒状部51aを乗り越える方向に働く。その結果、抜け止め部52cが、筒状部51aを乗り越えて、中間部材52Hが、スプリング66の付勢力で駆動連結位置まで移動する。これにより、製造誤差などにより、抜け止め部52cとスクリュウ出力ジョイント51Hの筒状部51aとの間の隙間が、規定の隙間よりも多少狭くなっても、中間部材52Hとスクリュウ入力ジョイント53Hとを確実に駆動連結することができる。
【0128】
また、
図41に示すように、抜け止め部52cの面取り部52eを、奥側から手前側へ向けて徐々に内径が広がるような傾斜面としてもよい。かかる構成としても、抜け止め部52cが筒状部51aの端部に当たっても、抜け止め部52cが筒状部51aを乗り越えることができ、中間部材52Hとスクリュウ入力ジョイント53Hとを確実に駆動連結することができる。
【0129】
また、スクリュウ出力ジョイントの筒状部の端部を、手前側が奥側に向けて徐々に外径が短くなるような曲面や傾斜面としてもよい。かかる構成としても、抜け止め部が筒状部の端部に当たっても、抜け止め部が筒状部を乗り越えることができ、中間部材とスクリュウ入力ジョイントとを確実に駆動連結することができる。
【0130】
上述では、スクリュウジョイントを例にして説明したが、ブラシジョイントについても、
図6~
図41を用いて説明したジョイントを用いることができる。また、現像ローラ43aと、装置本体側の駆動装置とを駆動連結する現像ジョイントに、
図6~
図41を用いて説明したジョイントを用いてもよい。現像ジョイントを、
図6~
図41を用いて説明したジョイントにすることで、現像ローラ43aの軸と、装置本体側の駆動出力軸との間に軸心ずれがあっても、現像ジョイントでの軸反力を抑制できる。よって、感光体と現像ローラ43aとの間の現像ギャップの変動や、現像ドクタ43cとのギャップ変動を抑制することができる。また、軸心ずれによる現像ローラ43aの回転ムラも抑制することができる。これにより、現像ギャップ変動、現像ドクタ43cとの間のギャップ変動および現像ローラの回転ムラを起因とする画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0131】
また、ベルトクリーニング装置17のベルトクリーニングブラシローラ17aの軸と、装置本体側の駆動装置との駆動連結するジョイントに
図6~
図41を用いて説明したジョイントを用いてもよい。
図6~
図41を用いて説明したジョイントを用いることで、ベルトクリーニングブラシローラ17aの回転ムラや、ジョイントの軸反力に起因するベルトクリーニングブラシローラ17aの中間転写ベルト11に対する当接圧の変動を抑制することができる。これにより、ベルトクリーニングブラシローラ17aから受ける中間転写ベルト11への負荷変動を低減することができ、中間転写ベルト11の速度変動を低減することができる。
【0132】
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
現像モータ側などの駆動源側に設けられたスクリュウ出力ジョイント51などの出力部材と、供給スクリュウ43b側などの回転体側に設けられたスクリュウ入力ジョイント53などの入力部材と、筒状であり、出力外歯ギヤ51cなどの出力部材の駆動伝達部から駆動力を受け、入力外歯ギヤ53aなどの入力部材の駆動伝達部に駆動力を伝達する内歯ギヤ52aなどの中継駆動伝達部を内周面に有し、前記入力部材または前記出力部材に保持される中間部材52とを備え、前記中間部材52には、前記出力部材および前記入力部材のうち前記中間部材を保持している保持側部材の駆動伝達部と軸方向で対向して、中間部材が前記保持側部材から抜けるのを防止する抜け止め部52cが設けられているスクリュウ駆動伝達装置60などの駆動伝達装置において、前記中間部材52の回転中心から前記抜け止め部52cの先端までの距離を、前記回転中心から前記中継駆動伝達部の先端までの距離以上とした。
中間部材の小径化を図るには、中間部材の肉厚を減らすことが考えられる。しかしながら、中間部材の剛性を確保するためには、中間部材にはある程度の厚みが必要である。また、入力部材と出力部材との軸心ずれを吸収するためには、中間部材が軸方向に対して所定角度、傾き可能にする必要がある。中間部材が軸方向に対して所定角度、傾き可能にするには、上記抜け止め部の先端と、この抜け止め部の先端と径方向で対向する部材の外周面との間に所定の隙間が必要である。
よって、抜け止め部の先端に径方向で対向する部材の抜け止め部と対向する部分の外径をA、抜け止め部の先端と、この抜け止め部の先端と径方向で対向する部材との間の隙間をB、抜け止め部の先端から中間部材の内周面までの長さをC、中間部材の厚みをDとすると、中間部材が所定角度傾き可能で、所定の剛性を得るための中間部材の外径Eは、E=(B+C+D)×2+Aと規定することができる。
なお、上記抜け止め部の先端と径方向で対向する部材との間の隙間Bは、上述では、中間部材が軸方向に対して所定角度傾き可能にするために限らず、例えば、駆動伝達装置の組み付けを容易するためにも、上記抜け止め部の先端と径方向で対向する部材との間に所定の隙間Bが必要である。
態様1においては、前記中間部材の回転中心から前記抜け止め部の先端までの距離を、前記回転中心から前記中継駆動伝達部の先端までの距離以上としているので、抜け止め部が、径方向において、中継駆動伝達部の先端と同位置か、中継駆動伝達部の先端よりも凹んでいる。従って、態様1は、中継駆動伝達部の先端よりも抜け止め部が突出している特許文献1に記載の構成よりも、抜け止め部の先端から中間部材の内周面までの長さCを短くできる。これにより、特許文献1に記載の駆動伝達装置よりも、中間部材の小径化を図ることができ、駆動伝達装置の小径化を図ることができる。
【0133】
(態様2)
(態様1)において、前記中間部材52を介してスクリュウ出力ジョイント51などの出力部材とスクリュウ入力ジョイント53などの入力部材との間で駆動伝達が可能な駆動連結位置から、前記出力部材および前記入力部材のうち前記中間部材52を保持しない非保持側部材(本実施形態では、入力部材)から離れる方向に前記中間部材52が軸方向に移動するように、前記中間部材は前記保持側部材(本実施形態では、出力部材)に保持され、前記中間部材を、前記駆動連結位置側へ付勢するスプリング66などの付勢手段を備えた。
これによれば、実施形態で説明したように、非保持側部材(本実施形態では、スクリュウ入力ジョイント53など入力部材)の駆動伝達部(本実施形態では、入力突起部153a)の回転方向の位相が、中間部材の中継突起部152aなどの中継駆動伝達部の回転方向の位相と一致した状態で、供給スクリュウなどの回転体を装置本体に装着するとき、非保持側部材の駆動伝達部が、中継駆動伝達部に当接して、非保持側部材の駆動伝達部が、中間部材内に入り込まない。しかし、態様2では、前記非保持側部材から離れる方向に前記中間部材52が軸方向に移動可能なため、非保持側部材の駆動伝達部が、中継駆動伝達部に当接して、非保持側部材の駆動伝達部が、中間部材内に入り込まずとも、中間部材52が軸方向にスライド移動して、回転体を装置本体に装着することができる。そして、回転駆動して、非保持側部材の駆動伝達部と中継駆動伝達部の回転方向の位相がずれて当接が解除されると、スプリング66などの付勢手段の付勢力により、中間部材52が非保持側部材と駆動連結する駆動連結位置へ移動し、非保持側部材の駆動伝達部が、中間部材内に入り込み、駆動連結することができる。
また、前記中間部材の回転中心から前記抜け止め部の先端までの距離を、前記回転中心から前記中継駆動伝達部の先端までの距離以上としているので、抜け止め部が、中継駆動伝達部よりも突出しているものに比べて、中間部材52が駆動連結位置へ移動するときに、抜け止め部がスクリュウ出力ジョイントなどの出力部材に突き当たるのを抑制することができる。その結果、中間部材の外径を小さくしても、中間部材が駆動連結位置まで移動しないような事態が生じるのを抑制することができる。
【0134】
(態様3)
(態様2)において、前記中間部材52が、前記駆動連結位置に位置するとき、スプリング66などの付勢手段の付勢力が、前記中間部材52に作用しないように構成した(本実施形態では、スプリングと中間部材との間に軸方向に移動可能で、スクリュウ出力ジョイントなどの保持側部材の端部に突き当たるスライド部材67を設けた構成)。
これによれば、実施形態で説明したように、中間部材を、軸方向に対してスムーズに傾けさせることができ、良好に軸心ずれや偏角を吸収することができる。これにより、軸反力の発生や、回転体の回転ムラを良好に抑制することができる。
【0135】
(態様4)
(態様2)または(態様3)において、抜け止め部の保持側部材の駆動伝達部側の端部に、保持側部材の駆動伝達部側へ向かうに連れて内径が拡大する傾斜面または曲面とした面取り部52eを設けた。
これによれば、変形例8で説明したように、製造誤差などにより抜け止め部の先端と抜け止め部と対向する部分との隙間が狭くなるなどして、中間部材が駆動連結位置へ移動しているときに、抜け止め部がスクリュウ出力ジョイントなどの出力部材の端部に当たったとしても、抜け止め部が、出力部材を乗り越えることができる。これにより、確実に、中間部材を、スプリングなどの付勢手段の付勢力により、駆動連結位置へ移動させることができ、中間部材と、スクリュウ入力ジョイントなどの非保持側部材とを確実に駆動連結することができる。
【0136】
(態様5)
(態様1)乃至(態様4)いずれかにおいて、中間部材52は、スクリュウ入力ジョイント53などの入力部材およびスクリュウ出力ジョイント51などの出力部材に対して、径方向および回転方向に所定のクリアランスを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、スムーズに中間部材を軸方向に移動させることができ、かつ、傾かせることができる。これにより、良好に中間部材と非保持側部材との駆動連結を行うことができる。また、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができ、軸反力や、回転ムラを抑制することができる。
【0137】
(態様6)
(態様5)において、前記抜け止め部52cと前記抜け止め部52cの先端と径方向から対向する部材との間、前記中間部材52の内周面と出力突起部などの出力部材の駆動伝達部との間、前記中間部材52の内周面と入力突起部などの入力部材の駆動伝達部との間、中継突起部などの中継駆動伝達部と前記出力部材の外周面との間および前記中継駆動伝達部と前記入力部材の外周面との間で、径方向に所定の隙間を有し、前記中継駆動伝達部と前記入力部材の駆動伝達部との間および前記中継駆動伝達部と前記出力部材の駆動伝達部との間で回転方向に所定の隙間を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、中間部材52が、スクリュウ入力ジョイント53などの入力部材およびスクリュウ出力ジョイント51などの出力部材に対して、径方向および回転方向に所定のクリアランスを有することができる。
【0138】
(態様7)
(態様1)乃至(態様6)いずれかにおいて、前記抜け止め部52cの前記保持側部材の駆動伝達部(本実施形態では、出力突起部)との対向部、および、前記保持側部材の駆動伝達部の前記抜け止め部との対向部の少なくとも一方に突起部52dなどの突出する部分を設けた。
これによれば、変形例7で説明したように、中間部材52が傾いたとき、前記保持側部材の駆動伝達部および抜け止め部の一方が、上記突起部52dなどの突出する部分と当接する。これにより、前記保持側部材の駆動伝達部と抜け止め部とが当接しても、中間部材の傾きを阻害することがなく、軸心ずれを良好に吸収できる。その結果、軸反力や、回転ムラを良好に抑制できる。
【0139】
(態様8)
(態様1)乃至(態様7)いずれかにおいて、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に中継突起部などの中継駆動伝達部に当接する当接面および入力突起部などの入力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に中継駆動伝達部に当接する当接面の少なくとも一方を、軸方向において円弧状の曲面とした。
これによれば、実施形態や変形例1で説明したように、前記当接面が平面な場合に比べて、中間部材をスムーズに傾かせることができ、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができる。
【0140】
(態様9)
(態様1)乃至(態様8)いずれかにおいて、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に中継突起部などの中継駆動伝達部に当接する当接面および入力突起部などの入力部材の駆動伝達部の駆動伝達時に前記中継駆動伝達部に当接する当接面の少なくとも一方を、径方向において円弧状の曲面とした。
これによれば、変形例3などで説明したように、前記当接面が平面な場合に比べて、中間部材をスムーズに傾かせることができ、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができる。
【0141】
(態様10)
(態様8)または(態様9)において、前記駆動伝達部の前記当接面を曲面とした前記入力部材および前記出力部材のヤング率を、前記中間部材のヤング率よりも大きくした。
これによれば、変形例1などで説明したように、上記曲面が摩耗するのを抑制することができ、経時に亘り、中間部材をスムーズに傾かせることができる。
【0142】
(態様11)
(態様1)乃至(態様7)いずれかにおいて、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部および入力突起部などの入力部材の駆動伝達部の少なくとも一方は、回転方向に直交する面が、軸方向において直線状である。
これによれば、変形例3で説明したように、駆動伝達時に中継突起部などの中継駆動伝達部に当接する当接面の軸方向中央にパーティングラインを設定する必要がなくなり、この当接面にバリなどが発生するのを防止することができる。また、軸方向に移動する一対の金型で、出力部材や入力部材を成型可能となり、金型費を削減することができ、製造のコストダウンを図ることができる。
【0143】
(態様12)
(態様1)乃至(態様11)いずれかにおいて、入力部材の駆動伝達部および前記出力部材の駆動伝達部の少なくとも一方が、ギヤ形状である。
これによれば、実施形態で説明したように、ギヤの噛み合いで、駆動伝達を行うことができる。
【0144】
(態様13)
(態様12)において、前記ギヤ形状の歯形は、歯厚が軸方向中央部で最大となり、かつ、軸方向両端部に向けて歯厚が小さくなる形状である。
これによれば、
図14を用いて説明したように、歯厚を一定にした場合に比べて、中間部材をスムーズに傾かせることができ、軸心ずれや偏角を良好に吸収することができる。
【0145】
(態様14)
(態様1)乃至(態様13)において、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部と入力突起部などの入力部材の駆動伝達部との形状および数の少なくとも一方を、互い異ならせた。
これによれば、変形例6で説明したように、例えば、交換が容易でない装置本体側に配置される出力ジョイントなどの出力部材は、平行ピンなどの剛性の高いものを用い、交換が容易な回転体側に配置される入力ジョイントなどの入力部材に関しては、樹脂などの剛性が弱いものとした場合に、入力部材の駆動伝達部の数および形状を、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部と同じとすると、入力部材の駆動伝達部が破損するおそれがある。しかし、出力部材の駆動伝達部と入力部材の駆動伝達部との形状および数の少なくとも一方を、互い異ならせることで、入力部材として、出力部材よりも剛性の弱いものを用いた場合でも、入力部材の駆動伝達部が破損するなどの不具合が発生するのを抑制することができる。
【0146】
(態様15)
(態様14)において、出力突起部などの出力部材の駆動伝達部と、入力突起部などの入力部材の駆動伝達部との回転方向長さが互いに異なるものにおいて、中継突起部などの中継駆動伝達部の出力部材の駆動伝達部が係合する部分と、中継駆動伝達部の入力部材の駆動伝達部が係合する部分とを、回転方向に傾斜したテーパ面で結んだ。
これによれば、
図36を用いて説明したように、中間部材を保持側部材に組み付けるときに、保持側部材の駆動伝達部が、中継突起部などの中継駆動伝達部の出力部材の駆動伝達部が係合する部分と、中継駆動伝達部の入力部材の駆動伝達部が係合する部分との連結部に引っ掛ることない。これにより、スムーズに中間部材を保持側部材に組み付けることができる。
また、中間部材が、駆動連結位置へ移動する際に保持側部材の駆動伝達部が、中継駆動伝達部の出力部材の駆動伝達部が係合する部分と、中継駆動伝達部の入力部材の駆動伝達部が係合する部分との連結部に引っ掛ることもない。これにより、スムーズに中間部材を駆動連結位置へ移動させることができ、中間部材と非保持側部材とを駆動連結することができる。
【0147】
(態様16)
(態様1)乃至(態様15)において、前記入力部材および前記出力部材のうち、前記中間部材を保持していない非保持側部材の駆動伝達部(本実施形態では、入力突起部)のうちのひとつが、他の駆動伝達部よりも前記保持側部材側へ延びた延長駆動伝達部であり、前記延長駆動伝達部の前記保持側部材側端部を、前記保持側部材側ほど、外径が短くなるようなテーパ形状とした。
これによれば、
図27~
図29を用いて説明したように、延長駆動伝達部が、他の駆動伝達部よりも先に中間部材内に入り込む。これにより、軸心すれ量が多くても、回転方向で互いに隣合う非保持側部材の駆動伝達部が、中継突起部など中継駆動伝達部の間の同じ隙間に入り込もうとするのを抑制することができる。これにより、非保持側部材の駆動伝達部の破損を抑制することができる。
また、延長駆動伝達部の前記保持側部材側端部を、前記保持側部材側ほど、外径が短くなるようなテーパ形状とすることで、
図29を用いて説明したように、延長駆動伝達部の先端が中間部材の傾きを阻害するのを抑制することができる。
【0148】
(態様17)
(態様1)乃至(態様16)において、前記中間部材52の外径を、前記出力部材が設けられた前記駆動出力軸61などの出力軸の外径の2倍以下とした。
これによれば、前記中間部材52の外径を、前記駆動出力軸61などの出力軸の外径の2倍を超えるものとした場合に比べて、狭いスペースにスクリュウジョイントなどの駆動伝達装置を、配置することができる。
【0149】
(態様18)
(態様1)乃至(態様17)において、前記保持側部材は、出力ジョイントなどの出力部材である。
これによれば、実施形態で説明したように、中間部材を入力ジョイントなどの入力部材に保持した場合に比べて、定期的に交換する回転体側の部材を、削減することができる。その結果、回転体の交換コストアップを抑制することができ、装置のメンテナンス費を抑えることができる。
【0150】
(態様19)
供給スクリュウ43bなどの回転体と、該回転体に現像モータなどの駆動源からの駆動力を伝達する駆動伝達手段とを備えた画像形成装置において、駆動伝達手段として、態様1乃至18のいずれか一記載の駆動伝達装置を用いた。
これによれば、軸反力や、回転体の回転ムラを抑制することができる。
【0151】
(態様20)
(態様19)において、潤滑剤塗布ブラシローラ、現像ローラ、現像剤攪拌スクリュウおよび中間転写クリーニングローラの少なくともひとつが、(態様1)乃至(態様18)のいずれかに記載の駆動伝達装置を用いて駆動伝達される。
これによれば、実施形態で説明したように、画像濃度ムラが抑制された良好な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0152】
1:画像形成部
2:給紙部
3:スキャナ部
10:転写装置
11:中間転写ベルト
16:二次転写対向ローラ
17:ベルトクリーニング装置
17a:ベルトクリーニングブラシローラ
17b:ブラシローラ
20a,20b:光書込ユニット
21:給紙トレイ
22:二次転写ローラ
24:搬送ベルト
25:定着装置
26:定着ベルト
27:定着加圧ローラ
28:シート反転装置
29:レジストローラ
30:排紙ローラ
40:プロセスカートリッジ
41:感光体
42:帯電装置
42a:帯電ローラ
42b:帯電ローラクリーナ
43:現像装置
43a:現像ローラ
43b:供給スクリュウ
43c:現像ドクタ
43d:回収スクリュウ
43h:攪拌スクリュウ
43j:排出スクリュウ
44:感光体クリーニング装置
44a:クリーニングブレード
44b:廃トナー排出スクリュウ
45:潤滑剤塗布装置
45a:潤滑剤塗布ブラシローラ
45b:固形潤滑剤
45c:ブレード
45d:ブラケット
46:一次転写ローラ
50:スクリュウジョイント
51:スクリュウ出力ジョイント
51a:筒状部
51b:駆動受け部
51c:出力外歯ギヤ
51F:平行ピン
52:中間部材
52a:内歯ギヤ
52b:テーパ部
52c:抜け止め部
52d:突起部
52e:面取り部
53:スクリュウ入力ジョイント
53a:入力外歯ギヤ
53b:取り付け部
53c:テーパ部
60:スクリュウ駆動伝達装置
61:駆動出力軸
61a:ジョイント取り付け部
62:駆動ギヤ
62a:平行ピン
63:第一軸受
64:第二軸受
66:スプリング
67:スライド部材
68:Eリング
69:規制部材
71a:第一側板
71b:第二側板
141:感光体入力ジョイント
142:ブラシ入力ジョイント
143a:現像入力ジョイント
143b:供給スクリュウの軸
143c:排出現像剤回収部
143d:ギヤ
143e:回収ギヤ
144:排出ダクト
145:廃トナー経路
146:廃トナー回収部
147:コネクタ
148:位置決め面板
151F:スプリングピン
151c:出力突起部
152a:中継突起部
153a:入力突起部
169:Eリング
252a:奥側の中継突起部
252b:連結部
252c:手前側の中継突起部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0153】