(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】配信装置、プログラム、配信システム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/60 20060101AFI20221018BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20221018BHJP
【FI】
G06T11/60 100A
G06F3/04845
(21)【出願番号】P 2018138042
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和泉 直孝
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-043485(JP,A)
【文献】特開平11-041452(JP,A)
【文献】特開平02-062671(JP,A)
【文献】特開2016-200860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60 - 11/80
H04N 1/38 - 1/393
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置であって、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられた前記オブジェクトの加工方法と共に、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの前記配信先が対応付けられている加工方法記憶部と、を有し、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記配信手段は、前記加工方法記憶部において、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記配信先に前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信することを特徴とする配信装置。
【請求項2】
電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置であって、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの加工方法が対応付けられている加工方法記憶部と、を有し、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所のそれぞれの選択、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を受け付け、
前記加工方法記憶部に、前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を対応付けて記憶する加工方法登録受付手段を有することを特徴とする配信装置。
【請求項3】
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の形状を特定する形状特定手段を有し、
前記加工方法決定手段は、前記形状特定手段が特定した前記形状及び前記色情報に基づいて前記オブジェクトの加工方法を決定することを特徴とする請求項
1又は2に記載の配信装置。
【請求項4】
電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置を、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられた前記オブジェクトの加工方法と共に、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの前記配信先が対応付けられている加工方法記憶部、として機能させ、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記配信手段は、前記加工方法記憶部において、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記配信先に前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信することを特徴とするプログラム。
【請求項5】
電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置を、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの加工方法が対応付けられている加工方法記憶部、として機能させ、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所のそれぞれの選択、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を受け付け、
前記加工方法記憶部に、前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を対応付けて記憶する加工方法登録受付手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記配信装置を、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の形状を特定する形状特定手段として機能させ、
前記加工方法決定手段は、前記形状特定手段が特定した前記形状及び前記色情報に基づいて前記オブジェクトの加工方法を決定することを特徴とする請求項
4又は5に記載のプログラム。
【請求項7】
電子黒板と、前記電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置と、を有する配信システムであって、
前記電子黒板は、
ディスプレイに表示された画像に対し手書きされた描画像を画像と共に取り込んで画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データ生成手段が生成した前記画像データを前記配信装置に送信する送信手段と、を有し、
前記配信装置は、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられた前記オブジェクトの加工方法と共に、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの前記配信先が対応付けられている加工方法記憶部と、を有し、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記配信手段は、前記加工方法記憶部において、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記配信先に前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信することを特徴とする配信システム。
【請求項8】
電子黒板と、前記電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置と、を有する配信システムであって、
前記電子黒板は、
ディスプレイに表示された画像に対し手書きされた描画像を画像と共に取り込んで画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データ生成手段が生成した前記画像データを前記配信装置に送信する送信手段と、を有し、
前記配信装置は、
前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、
前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、
前記加工手段により
前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、
前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの加工方法が対応付けられている加工方法記憶部と、を有し、
前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、
前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所のそれぞれの選択、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を受け付け、
前記加工方法記憶部に、前記描画像の色、前記描画像の形状、前記描画像の場所、及び、前記オブジェクトの加工方法の選択を対応付けて記憶する加工方法登録受付手段を有することを特徴とする配信システム。
【請求項9】
前記配信装置は、
前記描画像検出手段が検出した前記描画像の形状を特定する形状特定手段を有し、
前記加工方法決定手段は、前記形状特定手段が特定した前記形状及び前記色情報に基づいて前記オブジェクトの加工方法を決定することを特徴とする請求項
7又は8に記載の配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信装置、プログラム、及び、配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等で多機能な電子黒板が利用されるようになってきた。電子黒板は、接続されているパソコンが画面に表示する資料の共有、資料への手書き、Webページの表示、及び、他拠点の電子黒板との表示内容の共有等が可能である。また、他拠点との音声通話や音声の録音も可能である。電子黒板は会議に限らず、思考の整理、及び、大画面を利用した画像の制作などにも幅広く利用されている。
【0003】
電子黒板が表示した画面はスクリーンショットとしてファイルに保存することができ、電子黒板が再度、表示したり印刷したりできるだけでなく、電子メール等で配信できるため、議事録の作成や配信も容易になる。
【0004】
例えば、スクリーンショットで生成された画像データを取り込んだPCが画像データに対しノイズ除去等の画像処理や、所定のデータ形式に変換する処理を行い、会議に参加したメンバーに対して処理後の画像データを配信するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、筆記者の要望に応じた処理を画像データに対し行うことができないという問題がある。例えば、手書きで引いた線(描画像)の上側や枠(描画像)で囲った部分に特定の処理(強調や削除など)を行ったり、手書きされた描画像によって配信方法や配信先を指定したりするといったことが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、筆記者の要望に応じた処理を画像データに対し行うことができる配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、電子黒板から送信された画像データを配信する配信装置であって、前記画像データ及び前記画像データに書き込まれた描画像の色情報を受信する受信手段と、前記色情報に基づいて前記画像データから前記描画像を検出する描画像検出手段と、前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて前記画像データに対する加工方法を決定する加工方法決定手段と、前記描画像検出手段が検出した前記描画像に基づいて、前記画像データにおいて加工対象となるオブジェクトを決定し、前記加工方法決定手段が決定した加工方法で前記オブジェクトを加工する加工手段と、前記加工手段により前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信先に配信する配信手段と、前記描画像検出手段が検出した前記描画像の場所を特定する場所特定手段と、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられた前記オブジェクトの加工方法と共に、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に前記オブジェクトの前記配信先が対応付けられている加工方法記憶部と、を有し、前記加工方法決定手段は、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記オブジェクトの加工方法を前記加工方法記憶部から取得し、前記配信手段は、前記加工方法記憶部において、前記描画像の色、前記描画像の形状、及び、前記描画像の場所に対応付けられている前記配信先に前記オブジェクトが加工された前記画像データを配信することを特徴とする配信装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
筆記者の要望に応じた処理を画像データに対し行うことができる配信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の配信システムの動作の概略を説明する図の一例である。
【
図3】コンピュータシステムの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】電子黒板のハードウェア構成図の一例である。
【
図5】配信システムが有する電子黒板、メールサーバ、及び、配信サーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図6】ワークフロー定義と対応付けられる描画像属性情報の登録方法を説明する図の一例である。
【
図7】ワークフロー定義登録画面の一例を示す図である。
【
図8】描画像の検出について説明する図の一例である。
【
図9】描画像の形状の特定方法を説明する図の一例である。
【
図10】描画像の場所判断方法を説明する図の一例である。
【
図11】部分カラーという加工方法を説明する図の一例である。
【
図12】塗りつぶしという加工方法を説明する図の一例である。
【
図13】配信システムの全体的な動作を説明するシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<配信システムの動作の概略>
図1は、本実施形態の配信システムの動作の概略を説明する図の一例である。ユーザは電子黒板2に対し任意に手書きする。電子黒板2にはPC(Personal Computer)などから送信された背景画像が表示されていてもよいし、いなくてもよい。
【0012】
(1)ユーザがスクリーンショットで作成した画像データを電子黒板2は配信サーバ40に送信する。画像データにはユーザが描画像301を手書きしており、画像データと共にユーザが描画像301の手書きした色のカラーリスト(各色のRGB値)が送信される。
【0013】
(2)配信サーバ40では、予め描画像属性情報がワークフロー定義と対応付けられている。例えば、
描画像属性情報:色(赤)+形状(下線)+場所(どこでも)
ワークフロー定義: 楷書化 + メール送信
のごとくである。これは、描画像301が赤で下線の形状であればどこに手書きされていても下線の部分(下線の上方向のオブジェクト)を楷書化してメールで送信するという処理を行うことを意味している。
【0014】
このため、配信サーバ40は描画像301を画像データから検出する。そして、この描画像301から描画像属性情報を検出する。まず、ユーザが手書きした色のRGB値に基づいて描画像301を取得できる。ここでは「赤」がRGB値から特定されたものとする。次に、配信サーバ40は描画像301の形状を解析して例えば「下線」を検出する。描画像301は1つとは限らないので、各描画像301がそれぞれ予め登録されている形状であるかどうかを判断する。また、配信サーバ40は描画像301の場所を特定する。このように、描画像301の色、形状、及び、場所が描画像属性情報となる。
【0015】
(3)配信サーバ40は描画像属性情報に対応付けられたワークフロー定義を実行する。例えば、ワークフロー定義が「楷書化 + メール送信」の場合、描画像301の上側のオブジェクト(例えば文字)を楷書化する。
図1(b)では、「キゲン」という文字が文字認識され、更に漢字「期限」に変換されている。配信サーバ40は画像データの「キゲン」を「期限」に置き換えて、電子メールで送信する。
【0016】
このように、ユーザが手書きした描画像301に応じて配信サーバ40がワークフローを実行できる。ユーザは任意の描画像属性情報及び任意のワークフロー定義を登録し、描画像属性情報と任意のワークフロー定義を対応付けることができるので、ユーザが種々の描画像301を手書きすることで、配信サーバ40はユーザの細かな要望に応じた処理を画像データに対し行い、ユーザが描画像301で指定した配信先に送信することができる。
【0017】
なお、ワークフローの実行に必ずしも色と形状と場所の全てが必要ではなく、色のみ、色と場所のみ、又は、色と形状のみでも配信サーバ40はワークフローを実行できる。色のみのワークフローとは、カラーリストで検出した描画像は例えば下線に予め決まっており、下線の近くのオブジェクトを色で決まる加工方法で加工するようなワークフローである。
【0018】
<用語について>
ワークフローとは、画像データなどの電子データに対し実行される1以上の処理であり、各処理の順番が決まっている場合が多い。複数の処理が実行されることまでは必要なく、1つ以上の処理を含んでいればよい。また、ワークフローと呼ばれていなくてもよく、例えば、連携処理、連続処理と呼ばれていてもよい。
【0019】
配信とは情報を関係者又は関係機関に配ることをいう。配信先は装置でも人でもよい。
【0020】
描画像の色情報とは描画像の色を特定するための情報である。描画像は画像データの一部なので、色情報は画像データの画素値を特定する情報になる。本実施形態ではカラーリストやRGB値という用語で説明される。
【0021】
加工とは工作を加えることをいう。本実施形態では画像データの加工であるため、画像処理又は編集と称してもよい。
【0022】
<システム構成例>
図2は、本実施例の配信システム100の概略構成図の一例である。配信システム100は、ネットワークNを介して接続されたメールサーバ20、配信サーバ40、電子黒板2、及び、配信先装置60を有する。
【0023】
ネットワークNは、配信サーバ40、電子黒板2又は配信先装置60が設置されている拠点などに構築されているLAN、LANをインターネットに接続するプロバイダのプロバイダネットワーク、及び、回線事業者が提供する回線等により構築されている。ネットワークNは社内ネットワークのみでも、インターネットを含んでもよい。この他、VPN(Virtual Private Network)や広域イーサネット(登録商標)が含まれていてもよい。ネットワークNは有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。また、3G、LTE(Long Term Evolution)、4Gなどの携帯電話網により接続される場合、LANはなくてもよい。
【0024】
電子黒板2は少なくともタッチパネルを有しておりユーザが描いたストロークを点の座標として取り込んで大型のディスプレイに表示する。何らかの意味をもつ1つ以上のストロークの集まりが描画像である。この他、PCと接続されPCが表示する画面を電子黒板2が表示する機能、電子黒板2が表示するPCの画面と描画像を保存する機能、描画像を遠隔地にある他の電子黒板2と共有する機能などを有している。
【0025】
電子黒板2には、SMTP(Send Mail Transfer Protocol)サーバのIPアドレスとポート番号が設定されている。電子黒板2が送信する電子メールはいったんこのSMTPサーバに送信され、SMTPサーバが宛先のメールアドレスのドメインから特定したメールサーバ20に電子メールを転送する。
【0026】
メールサーバ20は、少なくとも電子メールの受信側の機能を有する電子メールのためのサーバである。受信側の機能としてはPOP(Post Office Protocol )というプロトコルが知られている。現在使われているバージョンは3なのでPOP3と呼ばれる。また、IMAPというプロトコルも知られている。両者の違いは電子メールを保管する場所であり、POP3では受信端末側(本実施例では配信サーバ40)が電子メールを受信して保管するが、IMAPではメールサーバ20が電子メールを保管する。本実施形態ではどちらのプロトコルを採用しても良いが、説明の便宜上、POP3を前提にして説明する。
【0027】
メールサーバ20には電子黒板2から直接、又は、SMTPというプロトコルで1つ以上のSMTPサーバから転送された電子メールが蓄積される。電子黒板2は配信サーバ40のメールアドレスを宛先にして電子メールを送信するが、SMTPサーバはメールアドレスをDNSサーバでPOP3サーバ(本実施形態のメールサーバ20)のIPアドレスに変換して、このPOP3サーバに転送する。一般にはいくつかのルーティングを経て配信サーバ40に設定されたIPアドレスを有するメールサーバ20に到達する。配信サーバ40は予め設定されているユーザIDとパスワードをメールサーバ20に送信して、認証が成立すると自機宛の電子メールをメールサーバ20から取得する。
【0028】
配信サーバ40は、画像データの配信処理を行う情報処理装置である(配信装置の一例)。配信サーバ40はワークフロー定義にしたがって、メールサーバ20から受信した画像データをOCR(Optical Character Reader)処理したり、PDFに変換したりするなどして配信先装置60に送信する。
【0029】
配信サーバ40には、POP3サーバ又はIMAPサーバとしてのメールサーバ20のIPアドレスとポート番号が設定されている。また、認証用のユーザID(アカウント)とパスワードも設定されている。配信サーバ40が所定のタイミングでメールサーバ20にアクセスすると、認証の成立により配信サーバ40のメールアドレスを宛先とする電子メールを受信することができる。
【0030】
なお、配信サーバ40を複合機が兼ねることができる。複合機の「複合」とは、プリント、FAX送受信、原稿のスキャン、及び、コピーなどの複数の機能を有することを意味するが、本実施形態では複合機が複数の機能を有することは必要でない。配信サーバ40を兼ねる複合機は、プリンター、印刷装置、ファクシミリ装置、又はスキャナ装置と呼ばれていてもよい。
【0031】
配信サーバ40が複合機の場合、画像データの入力手段(スキャナ)として使われてもよい。この場合、スキャナがスキャンした原稿に用いられている手書きの色がユーザにより複合機に入力される。これにより、電子黒板2が送信した画像データと同様の処理が可能になる。
【0032】
配信先装置60は、配信システム100において配信サーバ40が処理した画像データが送信される配信先の装置である。配信先の装置の一例として、クライアントPC60a、タブレット端末60b、及び、サーバ60cが図示されているが配信先はこれらに限られず、例えばネットワークストレージなどでもよい。記憶手段と通信手段を有する装置であれば配信先装置60となりうる。クライアントPC60aが配信先装置60の場合、配信サーバ40はワークフロー定義に設定されている配信先フォルダにSMB(Server Message Block)などのプロトコルで画像データを送信する。タブレット端末60bが配信先装置60の場合、配信サーバ40はワークフロー定義に設定されているメールアドレスを宛先にして画像データを送信する。サーバ60cが配信先装置60の場合、配信サーバ40はワークフロー定義に設定されているサーバのIPアドレスに、HTTP、FTP(File Transfer Protocol)、又はWebDAV等の通信プロトコルで画像データを送信する。なお、配信先装置60と配信方法の組み合わせなどは一例に過ぎない。
【0033】
なお、PC60は、ワークフロー定義に基づく画像データの加工結果をユーザが確認するための情報処理装置としても使用される。同様の確認は電子黒板2においても可能である。
【0034】
<ハードウェア構成>
<<配信サーバ、メールサーバのハードウェア構成例>>
配信サーバ40及びメールサーバ20は、例えば
図3に示すハードウェア構成のコンピュータシステムにより実現される。
図3は本実施形態に係るコンピュータシステム200の一例のハードウェア構成図である。
【0035】
図3に示したコンピュータシステム200は、入力装置201、表示装置202、外部I/F203、RAM(Random Access Memory)204、ROM(Read Only Memory)205、CPU(Central Processing Unit)206、通信I/F207、及びHDD(Hard Disk Drive)208などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0036】
入力装置201はキーボードやマウス、タッチパネルなどを含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置202はディスプレイなどを含み、コンピュータシステム200による加工結果を表示する。
【0037】
通信I/F207はコンピュータシステム200を社内ネットワーク及びインターネット等に接続させるインタフェースである。これにより、コンピュータシステム200は通信I/F207を介してデータ通信を行うことができる。
【0038】
HDD208はプログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、例えばコンピュータシステム200全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェアなどがある。HDD208は格納しているプログラムやデータ
を所定のファイルシステム及び/又はDB(データベース)により管理している。
【0039】
外部I/F203は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体203aなどがある。これにより、コンピュータシステム200は外部I/F203を介して記録媒体203aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体203aにはフレキシブルディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory card)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0040】
ROM205は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM205には、コンピュータシステム200の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM204は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
【0041】
CPU206は、ROM205やHDD208などの記憶装置からプログラムやデータをRAM204上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータシステム200全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0042】
なお、メールサーバ20及び配信サーバ40はクラウドコンピューティングに対応していてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。
【0043】
また、配信先装置60のハードウェア構成図は
図3と同等か異なっていても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0044】
<<電子黒板のハードウェア構成>>
続いて、
図4を用いて、本実施形態の電子黒板2のハードウェア構成を説明する。なお、
図4は、電子黒板2のハードウェア構成図の一例である。
【0045】
図4に示されているように、電子黒板2は、電子黒板2全体の動作を制御するCPU101、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM103、電子黒板2用のプログラム等の各種データを記憶するSSD104、通信ネットワーク9との通信を制御するネットワークコントローラ105、及び、USBメモリ5との通信を制御する外部記憶コントローラ106を備えている。
【0046】
また、電子黒板2は、ノートPC6のディスプレイに対して映像情報を静止画又は動画として表示させるキャプチャデバイス111、グラフィックスを専門に扱うGPU(Graphics Processing Unit)112、及び、GPUからの出力画像をディスプレイ3やテレビ会議端末7へ出力するために画面表示の制御及び管理を行うディスプレイコントローラ113を備えている。
【0047】
更に、電子黒板2は、接触センサ115の処理を制御するセンサコントローラ114、ディスプレイ3上に電子ペン4やユーザの手H等が接触したことを検知する接触センサ115を備えている。この接触センサ115は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ3の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ3に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ3の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。接触センサ115は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のID(Identification)をセンサコントローラ114に出力し、センサコントローラ114が、物体の接触位置である座標位置を特定する。なお、以下に示す全ての各IDは、識別情報の一例である。
【0048】
また、接触センサ115としては、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2の抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。
【0049】
また、電子黒板2は、電子ペンコントローラ116を備えている。この電子ペンコントローラ116は、電子ペン4と通信することで、ディスプレイ3へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。なお、電子ペンコントローラ116が、電子ペン4のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン4のユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0050】
更に、電子黒板2は、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、ネットワークコントローラ105、外部記憶コントローラ106、キャプチャデバイス111、GPU112、センサコントローラ114、及び電子ペンコントローラ116を、電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン120を備えている。
【0051】
なお、電子黒板2用のプログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよいし、プログラム配信用のサーバから配信されてもよい。
【0052】
<機能について>
図5は、配信システム100が有する電子黒板2、メールサーバ20、及び、配信サーバ40の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0053】
<<電子黒板>>
電子黒板2は、認証部11、画像生成部12及びメール送信部13は有する。電子黒板2が有するこれらの機能は、
図4に示した電子黒板2が有するCPU101がSSD104等に記憶されたプログラムを実行して電子黒板2が有するハードウェア要素と協働することで実現される機能又は手段である。
【0054】
また、電子黒板2は
図4に示したSSD104、RAM103又はROM102に構築されたユーザ情報DB14を有する。ユーザ情報DB14にはユーザに関する情報(例えば、ユーザIDとパスワード)が記憶されている。
【0055】
認証部11はユーザを認証する。例えば、ユーザが入力したパスワードとユーザIDがユーザ情報DB14に記憶されているか否かに基づいてユーザを認証する。ICカード、又は、生体認証情報のいずれで認証してもよい。なお、認証は認証サーバが行ってもよく、この場合、認証部11は認証サーバに認証情報(パスワードとユーザID)を送信し、認証サーバから認証結果を取得する。したがって、ユーザ情報DB14を有していなくてもよい。
【0056】
画像生成部12はディスプレイ3に表示された画面を取り込み、画像データを生成する。取り込むとはディスプレイ3に表示されている画面の画像データを生成することをいう。「キャプチャする」と称する場合がある。取り込まれた画像データは、ノートPC等が送信した背景画像だけの場合、描画像だけの場合、及び、背景画像と描画像を含む場合がある。本実施形態では、描画像だけ、又は、背景画像と描画像を含む画像データが配信される場合を主に説明する。ただし、背景画像だけの画像データも従来のワークフロー定義で配信可能である。
【0057】
メール送信部13は、予め登録されている配信サーバ40のメールアドレスを宛先に設定する。適宜、件名、送信元のメールアドレス(電子黒板2を示す)を設定する。更に、電子メールに画像データを添付し、予め設定されているSMTPサーバに送信する。このSMTPサーバが
図2のメールサーバ20の場合もある。ユーザは電子メールを編集して本文を編集できる(例えば、社外秘などの注意事項を電子メールの本文で設定することもできる。)。
【0058】
<<メールサーバ>>
メールサーバ20は、メール受付部21、及び、メール配信部22を有する。メールサーバ20が有するこれらの機能は、
図3に示したHDD209からRAM204に展開されたプログラム209pをCPU206が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラム209pは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0059】
また、メールサーバ20は
図3に示したHDD209又はRAM204に構築されたメール蓄積DB23を有する。メール蓄積DB23には各電子黒板2から送信されたメールが蓄積される。
【0060】
【表1】
表1はメール蓄積DB23に記憶されているメールを模式的に示す。メール蓄積DB23には、送信元メールアドレス、宛先メールアドレス、件名、本文、及び、添付ファイルの各項目がメールごとに記憶されている。送信元メールアドレスはメールを送信した電子黒板2のメールアドレスである。宛先メールアドレスは配信サーバ40のメールアドレスである。件名は電子メールのタイトルであり、本文は電子メールの本文である。添付ファイルは、ユーザの操作により電子黒板2が取り込んだ画像データである。表1では1つのメールに複数の画像データが添付されているが、1つの画像データが取り込まれるごとに1つのメールに添付され送信されてもよい。
【0061】
電子メールに添付され画像データが送信された場合、配信サーバ40は送信元メールアドレス、宛先メールアドレス、件名、及び、本文の少なくとも1つに基づいて、ワークフローの入力となり得る電子メールか否かを判断する。例えば送信元メールアドレスが予め登録された電子黒板2である場合にワークフローの入力と判断する。また、件名に「input for workflow」と記述されているとワークフローの入力と判断する。また、本文にカラーリストが記載されている場合にワークフローの入力と判断する。あるいは、配信サーバ40に送信された全ての電子メールをワークフローの対象としてもよい。
【0062】
本文には、描画像をユーザが描画する際に使用した電子ペンに設定されていた色(すなわち、描画像の色)のカラーリストが記述されている。カラーリストは1つ以上のRGB値である。ただし、色空間はsRGB、XYZ、HSK、HLS、Labなどでもよい。例えば、赤のRGBは一般に「255 0 0」であるが、本実施形態では描画像の描画に使用される赤のRGBが「255 01 01」のように決まっている。これにより、背景画像の赤「255 0 0」と区別して描画像を検出できる。青、緑なども同様であり、その他の色についても描画像の描画に使用される色は一般には使用されないRGB値となっている。取り得る色の数は256×256×256なので、描画像の色と背景画像の色が一致する可能性を低減できる。
【0063】
図5に戻って説明する。メール受付部21は、電子黒板2が送信した電子メールを直接、又は1つ以上のSMTPサーバを介して取得する。メール受付部21は取得したメールをメール蓄積DB23に記憶させる。
【0064】
メール配信部22は配信サーバ40から送信されたユーザIDとパスワードで配信サーバ40の認証が成立すると、認証した配信サーバ40のメールアドレスを宛先とするメールをメール蓄積DB23から読み出して、配信サーバ40に送信する。ユーザIDは通常、メールアドレスのうち@よりも前の部分なので配信サーバ40のメールアドレスが容易に特定される。これにより、配信サーバ40は自機宛のメールとメールに添付された画像データを取得できる。
【0065】
<<配信サーバ>
配信サーバ40は、プログラム実行部41、処理実行部42、確認要求部43、ワークフロー定義決定部44、場所判断部45、形状判断部46、描画像検出部47、メール取得部48、及び、ワークフロー定義登録受付部49を有する。配信サーバ40が有するこれらの機能は、
図3に示したCPU206がHDD208等に記憶されたプログラムを実行し、コンピュータシステム200のハードウェア要素と協働することにより実現される機能又は手段である。
【0066】
また、配信サーバ40は、
図3に示したHDD208、ROM205又はRAM204等により構築される定義情報記憶部50を有する。定義情報記憶部50には、描画像属性情報に対応付けられた1つ以上のワークフロー定義が記憶されている。
【0067】
【表2】
表2(a)は、定義情報記憶部50に記憶されているワークフロー定義の一例を示す。定義情報記憶部50にはユーザごとにワークフロー定義が記憶されている。後述するようにユーザは所望のワークフロー定義を登録できる。
【0068】
定義情報記憶部50には色、形状、場所、加工、配信フロー、及び、詳細設定の各項目が対応付けて登録されている。このうち、色、形状及び場所は、描画像属性情報である。加工は、画像データに対する画像処理方法であり、配信フローには電子黒板2が画像データをどのように配信するかが設定されている。詳細設定は、配信先のアドレスなどである。表2(b)に詳細設定の各項目を示す。なお、配信フローの「プロジェクト1」とは種々のプロジェクト名を示しており、プロジェクト名に対応付けられた配信先に配信されることを意味している。プロジェクト名には、例えば、プロジェクトの参加者のメールアドレスが対応付けられている。
【0069】
表2(a)のうち加工と配信フローがワークフロー定義に相当する。ワークフロー定義とは画像データにどのような処理を施しどこに配信するかを定義する情報である。
【0070】
表2(b)は詳細設定の一例を示す。詳細設定は、配信パス/アドレス、ユーザ情報、及び、ドメインの各項目を有している。配信パス/アドレスはフォルダ配信の配信先となるパス、メール配信のメールアドレス、又は、配信先のサーバのIPアドレスなどである。ユーザ情報はユーザの認証情報、配信権限情報などである。ドメインはフォルダ配信やFTP配信において配信元(配信サーバ40)を制限するために使用される認証情報である。
【0071】
図5に戻って説明する。メール取得部48は、上記のようにユーザIDとパスワードをメールサーバ20に送信して認証を受けると共に、認証が成立するとメールサーバ20から自機(配信サーバ40)のメールアドレスを宛先とする電子メールを取得する(受信する)。メール取得部48は、取得した電子メールを描画像検出部47に送出する。
【0072】
描画像検出部47は電子メールに添付された画像データからカラーリストに基づいて描画像を検出する。1つの画像データから複数の描画像が検出されてよい。描画像検出部47は描画像を形状判断部46に送出する。
【0073】
形状判断部46は、描画像の形状が予め定められているどの形状と見なせるかを判断する。この判断にはパターンマッチングや機械学習で得られた識別器などが使用されてよい。形状判断部46は予め決まっている形状が検出されると、その形状の描画像の座標を場所判断部45に送出する。
【0074】
場所判断部45は、予め定められた形状の描画像の座標に基づいて描画像がどこにあるかを判断する。例えば、右上、右下、左上、左下などを判断する。なお、複数の画像データが添付されている場合は、何ページ目から描画像が検出されたのかも特定しておく。描画像が検出されたページ番号も描画像属性情報の場所として扱われる。場所判断部45は描画像ごとに場所をワークフロー定義決定部44に送出する。
【0075】
ワークフロー定義決定部44は、描画像の色、形状、場所に対応付けられた加工と配信フローを定義情報記憶部50から取得する。すなわち、ワークフロー定義を決定する。また、描画像の座標、加工、及び、配信フローは処理実行部42に送出される。描画像の座標は加工対象のオブジェクトを特定するために使用される。
【0076】
プログラム実行部41は、予め登録された複数のプラグイン41-1、41-2、…、41-n(以下、任意のプラグインをプラグイン41-iとする)有し、処理実行部42からの制御にしたがって各プラグイン41-iを実行する。プラグイン41-iはワークフローが有する加工や配信フローと1対1に対応する。プラグイン41-iは、例えば部分カラー、塗りつぶし、OCR、PDF化、メール送信、フォルダ配信等にそれぞれが対応している。原則的に各プラグイン41-iは互いに異なる処理を実行するが、同じ処理を実行するプラグイン41-iが存在してもよい。
【0077】
処理実行部42はワークフローを実行する。処理実行部42は加工と配信フローを順番に実行するため、これらの処理に対応するプラグイン41-iに画像データを送出してその実行を要求する。プラグイン41-iから処理された画像データ(画像データから別の形式のデータに変換されていてもよい)を取得すると、処理実行部42は配信フローに対応する次のプラグイン41-iに配信を要求する。このように、電子黒板2から送信された画像データに対しワークフロー定義で定義されている処理を実行できる。
【0078】
確認要求部43は、電子黒板2又はクライアントPC60aに対しプラグイン41-iの加工結果が適切かどうかの確認をユーザに要求し、確認結果を取得する。確認には例えば電子メールとこの電子メールに記述されたURLを使用する。電子黒板2のメールアドレスは送信元として画像データに記載されている。クライアントPC60aのユーザのメールアドレスは例えば、電子黒板2の予約IDに対応付けられているものとする。あるいは、画像データを送信するために使用された電子メールにユーザのメールアドレスが記述されている。
【0079】
確認要求部43が送信する電子メールには画像データの加工結果が表示されるURLが記述されており、ユーザはURLにアクセスすることで加工結果の確認と配信の許可を入力できる。また、ユーザはアクセス先のURLに表示された加工結果が、描画像属性情報で指示した加工結果と異なる場合、又は、追加の処理を施したい場合に、任意に編集できる。
【0080】
ワークフロー定義登録受付部49は、ユーザにワークフロー定義を登録するための画面情報を提供し、描画像属性情報とワークフロー情報の登録を受け付けるWebサーバの機能を有する。画面情報はHTML、スクリプト言語(JavaScript:登録商標)、及び、CSS(Cascade Style Sheet)などで記述されている。画面情報をWebページやWebアプリという場合もある。Webアプリとは、ブラウザソフト上で動作するスクリプト言語(たとえばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバ側のプログラムが協調することによって動作し、ブラウザ上で使用されるソフトウェア又はその仕組みを言う。
【0081】
<ワークフロー定義の登録>
図6、
図7を用いてワークフロー定義の登録方法を説明する。
図6は、ワークフロー定義と対応付けられる描画像属性情報の登録方法を説明する図の一例である。ワークフロー定義登録受付部49は
図6のような画面を表示するための画面情報をクライアントPC60aに送信する。クライアントPC60aは
図6のような描画像属性情報登録画面401を表示する。ユーザはクライアントPC60aを操作して描画像属性情報登録画面401から描画像属性情報を登録する。
【0082】
描画像属性情報登録画面401は、色選択欄402、形状選択欄403、場所選択欄404、及び、遷移ボタン406を有する。色選択欄402は描画像属性情報の色をユーザが選択するために使用され、形状選択欄403は描画像属性情報の形状をユーザが選択するために使用され、場所選択欄404は描画像属性情報の場所をユーザが選択するために使用される。遷移ボタン406が押下されると、
図7のワークフロー定義登録画面501が表示される。
【0083】
なお、形状選択欄403の「ジェスチャ」とは描画像ではなくユーザのジェスチャ操作を意味する。ジェスチャ操作とは、指で決まった軌跡を描くことをいう。ユーザがジェスチャを選択すると、ジェスチャ設定欄405が表示される。ジェスチャ設定欄405は、上下左右の矢印ボタン4051と、矢印設定欄4052と、登録ボタン4053を有している。矢印ボタン4051はジェスチャの方向を設定するためのボタンであり、矢印設定欄4052はユーザが選択した矢印が表示される欄であり、登録ボタン4053は、矢印設定欄4052の矢印(ジェスチャ)を登録するためのボタンである。
【0084】
図6では矢印設定欄4052に「↑→↓」と選択されているので、ユーザがこのような形状の軌跡でディスプレイ3を指でなぞると、ジェスチャの形状が一致したと判断される。なお、軌跡は描画像とちがって画像データに表示されないため、画像データとは別に、軌跡を表す座標点列、又は、各矢印の始点と終点が電子メールに添付される。
【0085】
図7は、ワークフロー定義登録画面501の一例を示す。ワークフロー定義登録画面501では加工と配信フローというワークフロー定義が選択される。同様にワークフロー定義登録受付部49は
図7のような画面を表示するための画面情報をクライアントPC60aに送信する。
【0086】
ワークフロー定義登録画面501は、加工選択欄502、配信フロー選択欄503、及び、登録ボタン506を有している。加工選択欄502は画像データにどのような加工を行うかをユーザが選択するための欄である。配信フロー選択欄503は加工した画像データをどのように配信するかをユーザが選択するための欄である。なお、配信フロー選択欄503でプロジェクトが選択された場合、プロジェクト選択欄504が表示される。
【0087】
加工選択欄502の部分カラーとは、描画像が示す場所(枠内、下線の上側、波線の上側、☆マークの内側等)のオブジェクトを決まった色に変更することをいう。塗りつぶしとは、描画像が示す場所を塗りつぶすことをいう。つまり削除に相当する。解像度アップとは、描画像が示す場所の解像度を増大すること(例えば4×4の画素を16×16に変更する)をいう。楷書化は崩し文字を正確な文字に変更する処理又は所定のフォントに変更することをいう。OCRとは手書き文字をテキストデータに変換することをいう(文字認識すること)。
【0088】
配信フロー選択欄503の任意の配信方法が選択されると、詳細設定欄505が表示される。ユーザは詳細設定欄505に配信パス等を設定する。
【0089】
<描画像の検出について>
続いて、
図8を用いて描画像の検出について説明する。
図8(a)は、描画像301を含む画像データの一例を示す。
図8(a)の画像データには2つの描画像301a、301bが含まれている。画像データにはカラーリストが添付されているので、描画像検出部47はこのカラーリストのRGB値と一致する色の画素を検出する。つまり、画像データの画素値とカラーリストのRGB値とを1画素ずつ比較し、カラーリストのRGB値と一致する画素を特定する。特定した画素が描画像の画素である。こうすることで、1つの画像データから各色の描画像301a、301bを検出できる。
【0090】
図8(b)は検出された描画像301a、301bを示す。
図8(b)では下線という描画像301aと、枠という描画像301bが検出されている。
【0091】
<描画像の形状の特定>
図9は描画像の形状の特定方法を説明する図の一例である。
図9(a)に示すように、形状判断部46は抽出された描画像301aに対しパターンマッチングを行う。形状判断部46は予め登録されている各形状のテンプレートを有している。
図9(a)では下線のテンプレート310aが左上に示されている。形状判断部46は、各形状のテンプレート310aと描画像301を含む画像との相関値を計算する。テンプレート310aを少しずつずらしてこの処理を行い、相関値が閾値以上の場合、描画像301aがテンプレート310aと同じ形状であると判断する。相関値としては、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)、NCC(Normalized Cross-Correlation)などが知られている。
【0092】
図9(b)では円形のテンプレート310bが左上に示されている。円形のテンプレート310bにより円形の描画像301bの検出が可能になる。このように、すべての形状のテンプレートで相関値を算出することで、1つの画像データから複数の描画像の形状を判断できる。
【0093】
なお、形状を判断するための識別器を機械学習で構築することも可能である。例えば、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレスト、Ada Boost、ナイーブベース、k近傍法、などの機械学習のアルゴリズムで描画像が表す形状を学習する。学習で得られた識別器は入力された画像データがどのような形状を有するかを出力する。
【0094】
<場所の判断>
図10は描画像の場所判断方法を説明する図の一例である。例えば、場所判断部45は画像データを4つに等分し、4つのうちどの部分に描画像301の重心が含まれるかを判断する。そして、重心が所属する場所に描画像301が存在すると判断する。これにより、右上、右下、左上、左下などの場所を特定できる。
【0095】
以上のように、色、形状、及び、場所が決定されることで、ワークフロー定義(加工と配信フロー)が決定される。なお、画像データを4分割以上してより詳細な場所を判断してもよい。
【0096】
<加工について>
図11を用いて加工について説明する。
図11は、部分カラーという加工方法を説明する図である。まず、
図11(a)は部分カラーが施される前の画像データを示す。例えば、下線の描画像301aに対応付けられた加工が部分カラーであるとする。この場合、部分カラーに対応したプラグイン41-iは下線の上方のオブジェクト320を特定する。下線の上方のオブジェクト320とは、下線に対し垂直な上方向に所定距離内で最も近いオブジェクトをいう。オブジェクトは例えば連続した一連の画素の集まりをいう。
図11では1文字1文字がオブジェクトである。連続した一連の画素の検出方法としては各種の輪郭追跡アルゴリズムが知られている。オブジェクトは背景画像でも描画像でもよい。
【0097】
図11では、描画像の上方の「わかりやすいとは何か」というオブジェクト320(正確には複数のオブジェクト)が検出される。「わかりやすいとは何か」の各文字がオブジェクトである。文字に限らず三角や四角の図形なども同様にオブジェクトとして検出される。
【0098】
部分カラーに対応したプラグイン41-iはオブジェクト320を決まった色に変更する。すなわち、オブジェクト320に対応する画素の画素値を変更する。
図11(b)はオブジェクト320の色が変更された画像データの一例を示す。こうすることで、下線という描画像301aの上方の文字の色を変更できる。このオブジェクト320はノートPCなどから送信された背景画像であるので、適切な色が付されているとは限らない。本実施形態では背景画像の任意のオブジェクト320をユーザが好む色に変更できる。
【0099】
なお、加工により、元の描画像301aは不要となるため元の描画像を削除してもよい。画像データからは描画像301aがなくなりユーザが見やすくなる。一方で、描画像301aがあることで画像データのオブジェクト320が強調される面もあるため、元の描画像301aを残してもよい。このように、元の描画像301aを残すこと及び削除することには一長一短があるので、ユーザが選択できるとなおよい。例えば、ワークフロー定義の登録時に元の描画像301aを残すかどうかをユーザが選択できる。ユーザは、元の描画像301aを削除したい場合には、描画像301aを削除するように設定した描画像301aを手書きし、元の描画像301aを削除したくない場合には、描画像301aを削除しないように設定した描画像301aを手書きする。
【0100】
図12は、塗りつぶしという加工方法を説明する図である。まず、
図12(a)は塗りつぶしが施される前の画像データを示す。例えば、枠という描画像301bに対応付けられた加工が塗りつぶしであるとする。この場合、塗りつぶしに対応したプラグイン41-iは枠の描画像301b内のオブジェクト321を特定する。例えば枠の右端と左端の間、及び、枠の上端と上端の間に含まれるオブジェクト321を特定する。このオブジェクト321の外接矩形を塗りつぶし範囲とする。
【0101】
図12の例では、枠の描画像301bに囲まれた「脳という名のデータベース」の各文字がオブジェクト321である。そして全てのオブジェクト321が隠れる最小の矩形(外接矩形)が塗りつぶし範囲となる。
【0102】
図12(b)はオブジェクト321が塗りつぶされた画像データの一例を示す。
図12(b)では、オブジェクト321が矩形323で塗りつぶされている。なお、塗りつぶす際の色はオブジェクト321の背景と同じ色であることが好ましい。こうすることで、塗りつぶしの違和感を低減できる。あるいは、白又は黒などの決まった色でもよい。また、塗りつぶしの色はワークフローを定義する際にユーザが選択できてよい。
【0103】
こうすることで、ユーザは任意のオブジェクト321を塗りつぶすことができる。元のオブジェクト321は視認できないので、オブジェクト321を削除する効果がある。オブジェクト321によっては秘匿性が高いものがあるが、本実施形態では任意のオブジェクトを削除することができる。
【0104】
図12(b)では、枠の描画像301bが消去されている。このような処理は枠の描画像301bに対応付けられた加工において枠の描画像301bを消去する旨が設定されていることで実現できる。これにより、塗りつぶしの後、枠の描画像301bが残ることを防止できる。
【0105】
この他、解像度アップ、楷書化、OCRの各加工についても、対象となるオブジェクトが特定されれば同様に実行できる。
【0106】
また、
図12では特定のオブジェクトの加工について説明したが、画像データの全体を加工してもよい。例えば、画像データがカラーである場合に全体を白黒に変換したり、エッジを強調したりしてもよい。また、顔、人名、製品名等を検出して塗りつぶしてもよい。この場合は、プラグイン41-iが顔認識機能を有し、人名リスト又は製品名リストを有していることが好ましい。
【0107】
図11,
図12では背景画像の一部がオブジェクトとして検出されているが、オブジェクトが描画像301の場合もある。
【0108】
<動作手順>
図13を用いて配信システム100の全体的な動作を説明する。
図13は、配信システム100の全体的な動作を説明するシーケンス図の一例である。
【0109】
S1:ユーザは電子黒板2に描画像301を手書きし、これをワークフローで配信したいと考えるとスクリーンショットを作成する。電子黒板2の画像生成部12は画像データを生成する。電子黒板2は、ユーザが電子ペンで描画像301を作成した際の色(RGB値)を記録している。メール送信部13は、画像データを電子メールに添付すると共に本文に、1つ以上の色のRGB値であるカラーリストを設定する。メール送信部13は画像データとカラーリストをメールサーバ20に送信する。ユーザごとに加工内容が異なる場合はユーザIDも送信される。
【0110】
S2:メールサーバ20のメール受付部21は画像データとカラーリストを受信し、メール蓄積DB23に蓄積する。そして、配信サーバ40のメール取得部48がメールサーバ20に電子メールを要求すると、メールサーバ20のメール配信部22が画像データとカラーリストを配信サーバ40に送信する。
【0111】
S3:配信サーバ40のメール取得部48は画像データとカラーリストを取得し、描画像検出部47が画像データから描画像301を検出する。複数の描画像301がある場合は全ての描画像を検出する。
【0112】
S4:次に、形状判断部46が描画像301ごとに形状を特定する。形状判断部46が判断できるすべての描画像301について形状を特定してもよいが、処理負荷を低減するためにユーザがワークフロー定義で登録している形状のみを検出することが有効である。この場合、電子黒板2からユーザIDを取得して定義情報記憶部50からこのユーザIDに対応付けられているワークフロー定義を形状判断部46が取得すればよい。
【0113】
S5:次に、場所判断部45は描画像301の場所を特定する。場所の判断は、ステップS4で形状が特定された描画像301についてのみ行われる。
【0114】
S6:ワークフロー定義決定部44は、描画像属性情報(色、形状及び場所)に対応付けられているワークフロー定義(加工と配信フロー)を定義情報記憶部50から取得する。
【0115】
S7:処理実行部42は加工に対応したプラグイン41-iを呼び出して、画像データに対する加工を行う。
【0116】
S8-1、8-2:次に、確認要求部43は内容確認通知を電子黒板2又はクライアントPCに送信する。内容確認通知とは、加工された画像データ又は加工された画像データを保存したURLを通知して、ユーザに加工結果を確認してもらうことをいう。確認により、ユーザは所望の加工が行われたか否かを判断できる。なお、内容確認通知は電子黒板2又はクライアントPCのいずれかに送信すればよい。また、電子黒板2又はクライアントPCのどちらにも内容確認通知を送信しなくてもよい。
【0117】
S9-1,9-2:電子黒板2又はクライアントPCのユーザは内容承認通知を配信サーバ40に送信する。例えば、画像データのIDと共に配信許可の旨を送信してもよいし、URL上で配信許可ボタンを押下してもよい。また、ユーザが加工された画像データを修正してもよい。修正により、ユーザは所望の加工を行うことができる。
【0118】
S10:配信サーバ40の確認要求部43が内容承認通知を受信すると、配信フローに対応したプラグイン41-iが画像データを配信先装置60に配信する。
【0119】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の配信システムは、電子黒板上で会議の資料等に書き込まれた描画像をカラーリストに基づいて抽出し、描画像の色、形状、及び、場所に応じて加工(画像処理)を行う。加工は、色と形状と場所によって予め決められており(塗りつぶし、色変換、OCR,文字フォントの変更)、加工後の画像データを配信相手に配信する。これにより、電子黒板2を用いた会議において、色を使い分けて手書きするという簡単な操作で、筆記者(ユーザ)の細かい要望に応じた加工を配信サーバ40が会議後に自動的に行い配信可能となる。
【0120】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0121】
例えば、本実施形態では電子黒板2がメールサーバ20を介して画像データを配信サーバ40に送信したが、電子黒板2は画像データを直接、配信サーバ40に送信できる。例えば、配信サーバ40のWeb APIを使用する。
【0122】
また、本実施形態では、描画像301と画像データが一体に電子黒板2から配信サーバ40に送信されているが、描画像301と画像データは別々の画像として送信されてもよい。この場合、描画像301は他の描画像だけでなく画像データのオブジェクトを特定できるように画像データに対する座標を有する。
【0123】
また、電子黒板2がワークフローに入力するデータは画像データに限られない。例えば、テキストデータ、PDF、又はHTMLデータなど、描画像301でワークフロー定義を指定できる電子データであれば電子黒板2が送信できる。
【0124】
また、電子黒板2は描画像301が手書きされた画像データを送信できる電子機器であればよい。例えば、プロジェクタ型の電子黒板がある。プロジェクタはカメラと音波で電子ペンの位置を検出し、描画像を投影する。このように電子黒板2は描画像を表示する機能を有していればよい。
【0125】
例えば、スマートフォンやタブレット端末などでもユーザが描画像を手書きできるものは本実施形態の電子黒板2と成りうる。
【0126】
また、本実施形態では配信サーバ40が画像データに対する加工を行ったが、電子黒板が画像データに対する加工を行ってもよい。この場合、電子黒板が配信サーバとなる。
【0127】
また、配信サーバ40とは別に複合機が存在してもよい。複数の配信サーバ40が存在してもよい。
【0128】
また、
図5などの構成例は、電子黒板2、メールサーバ20,及び配信サーバ40の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、電子黒板2、メールサーバ20,及び配信サーバ40の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0129】
なお、メール取得部48は受信手段の一例であり、描画像検出部47は描画像検出手段の一例であり、ワークフロー定義決定部44は加工方法決定手段の一例であり、プラグイン41-1は加工手段の一例であり、プラグイン41-2は配信手段の一例でり、形状判断部46は形状特定手段の一例であり、場所判断部45は場所特定手段の一例であり、ワークフロー定義登録受付部49は加工方法登録受付手段の一例であり、定義情報記憶部50は加工方法記憶部の一例である。画像生成部12は画像データ生成手段の一例であり、メール送信部13は送信手段の一例である。
【符号の説明】
【0130】
2 電子黒板
3 ディスプレイ
4 電子ペン
20 メールサーバ
40 配信サーバ
60 配信先装置
100 配信システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】