IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7159760電源装置、搬送装置、および画像形成装置
<>
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図1
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図2
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図3
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図4
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図5
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図6
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図7
  • 特許-電源装置、搬送装置、および画像形成装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】電源装置、搬送装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20221018BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20221018BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221018BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G05F1/10 303
H02P29/00
H02J1/00 304A
H02M3/00 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018184434
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020052954
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】小林 正人
(72)【発明者】
【氏名】村手 広仁
(72)【発明者】
【氏名】石塚 誠一
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017813(JP,A)
【文献】特開2016-012058(JP,A)
【文献】特開2002-218645(JP,A)
【文献】特開2016-103906(JP,A)
【文献】特開2018-023269(JP,A)
【文献】特開2008-164999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0203651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
H02P 29/00
H02J 1/00
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源部から負荷に対する電圧の供給である電源供給を行うための電源供給線と、
前記第1の電源部による前記電源供給を制御する制御部と、
第2の電源部から前記制御部へ電圧の供給と遮断を切り替える第1の切替部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1の切替部が閉状態で且つ前記電源供給線の電圧が第1の閾値以下であることを条件に前記第1の電源部による前記電源供給を開始し、
前記第1の切替部が開状態から閉状態になった際は前記電源供給線の電圧が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下であることを条件に前記第1の電源部による前記電源供給を開始する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の切替部が開状態の場合、前記第1の電源部による前記電源供給を行わない、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源供給線の導通と遮断とを切り替える第2の切替部と、
前記第2の切替部に対して並列に接続され、前記負荷から前記第1の電源部へ向けて電流を流す整流器と、
を有し、
前記制御部は、主電源がONの状態である場合に前記第2の切替部を前記電源供給線が導通するように制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記整流器はダイオードである、
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2の閾値は、前記負荷の巻線負荷の起電力よりも高い、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第2の閾値を可変する可変手段を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の電源装置と、
搬送物を搬送する搬送手段と、
を有する搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の電源装置と、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項9】
第1の電源部と、
第2の電源部と、
前記第1の電源部から電圧の供給を受けるユニットと、
前記ユニットと前記第1の電源部とに接続される電源供給線と、
前記第2の電源部からの電圧の供給を行うための接続および遮断を切り替える第1の切替部と、
前記第1の切替部が閉状態であることで、前記第2の電源部からの電圧が供給される接続状態にあり、かつ、前記電源供給線の電圧が第1の閾値以下の場合に、前記第1の電源部から前記電源供給線へ電圧を供給し、前記第1の切替部が状態から状態に切り替わることで、前記第2の電源部からの電圧が供給される接続状態となった時に、前記電源供給線の電圧が前記第1の閾値より高い第2の閾値以下である場合に、前記第1の電源部より前記電源供給線へ電圧を供給する制御部と、
を有する電源装置。
【請求項10】
前記電源供給線に設けられ、前記第1の電源部からの電圧の供給を行うための接続および遮断を切り替える第2の切替部と、
前記第2の切替部と並列に設けられ、前記ユニットから前記第1の電源部に電流を流す整流器とを有し、
前記制御部は、主電源がONの状態である場合に前記第2の切替部を前記電源供給線が導通するように制御すること
を特徴とする請求項9に記載の電源装置。
【請求項11】
前記整流器はダイオードであること
を特徴とする請求項10に記載の電源装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第2の閾値の値を変更可能な可変部を有すること
を特徴とする請求項9乃至請求項11のうち、何れか一項に記載の電源装置。
【請求項13】
前記可変部は、可変抵抗器であること
を特徴とする請求項12に記載の電源装置。
【請求項14】
前記ユニットは、モータを含むこと
を特徴とする請求項9乃至請求項13のうち、何れか一項に記載の電源装置。
【請求項15】
前記モータは、異なる種類の複数のモータであること
を特徴とする請求項14に記載の電源装置。
【請求項16】
前記ユニットは搬送部を含むこと
を特徴とする請求項9乃至請求項15のうち、何れか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、搬送装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PSU(Power Supply Unit)のコンデンサに電荷が蓄えられた状態で負荷側に電源供給が行われた際、コンデンサに蓄えられた残留電荷により負荷側に過電流が流れて負荷側の電子部品が故障するということがある。そこで、コンデンサの電圧が一定値まで低下してから電源供給を行う技術がある。
【0003】
また、電力供給線の電圧変化率が閾値に達した場合に電源供給を行う技術を開示した文献もある(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンデンサの電荷には負荷側で生じた起電力により蓄積されているものもある。例えば、プリンタやMFPなど画像形成装置におけるジャム処理時に、ユーザが搬送路に詰まっている記録紙を搬送路から引き抜いたときなどに起電力が生じ、電荷が蓄積する。記録紙が引き抜かれる際に記録紙を挟持する搬送ローラも回転し、搬送ローラの駆動モータが発電機となることで起電力が生じる。このため、従来は、負荷側で起電力が生じた場合に電源供給の再開までに時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷側で起電力が生じた場合であっても電源供給の再開を最適なタイミングで行うことが可能な電源装置、搬送装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、発明の一実施の形態の電源装置は、第1の電源部から負荷に対する電圧の供給である電源供給を行うための電源供給線と、前記第1の電源部による電源供給を制御する制御部と、第2の電源部から前記制御部へ電圧の供給と遮断を切り替える第1の切替部と、を有し、前記制御部は、前記第1の切替部が閉状態で且つ前記電源供給線の電圧が第1の閾値以下であることを条件に前記第1の電源部による電源供給を開始し、前記第1の切替部が開状態から閉状態になった際は前記電源供給線の電圧が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下であることを条件に前記第1の電源部による電源供給を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷側で起電力が生じた場合であっても電源供給の再開を最適なタイミングで行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態に係る電源装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、電源装置のタイミングチャートの一例を示す図である。
図3図3は、図2と比較するための従来構成の電源装置におけるタイミングチャートを示す図である。
図4図4は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
図5図5は、図4に示す画像形成装置の平面図である。
図6図6は、画像形成装置のブロック構成の一例を示す図である。
図7図7は、画像形成装置が備えるPSU(電源装置)と負荷などとの接続関係の一例を示す図である。
図8図8は、第3の実施の形態に係る搬送装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る電源装置、搬送装置、および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る電源装置の構成の一例を示す図である。図1に示す電源装置(以下、PSU(Power Supply Unit)とも言う)1は、電源部11と、切替SW(SW:スイッチ)12と、整流器13と、制御ユニット14とを備える。電源装置1の負荷側には、負荷の一例としてモータユニットM1を示している。また、電源装置1にはインターロックのためのインターロックSW15が接続されている。インターロックSW15は、スイッチONにより電源部16から制御ユニット14へ電圧を供給し、スイッチOFFにより電源部16から制御ユニット14への電圧の供給を遮断する。なお、インターロックSW15は一例であり、単に電源部16から制御ユニット14への電圧の供給と遮断とを切り替える切替部(第1の切替部)であればよい。また、第1の切替部は電源装置1に含めてもよい。以下では、一例としてインターロックSW15がOFF状態のときに開状態と示し、インターロックSW15がON状態のときに閉状態と示す。ここで、電源部11は「第1の電源部」に相当する。電源部16は「第2の電源部」に相当する。切替SW12は「第2の切替部」に相当する。制御ユニット14は「制御部」に相当する。
【0011】
電源部11は、電源供給を行うための電源供給線10を介して、負荷に対して電圧を供給する。
【0012】
切替SW12は、ON/OFFの切り替えにより電源供給線10を導通したり遮断したりする切替部である。
【0013】
整流器13は、負荷側から電源部11へ電流が流れることを可能にする。図1は、整流器13の一例としてダイオードを有する構成を示している。この構成においてダイオードは電源供給線10に切替SW12と並列に接続されている。例えばモータユニットM1に従動するMdが手動により動作したとする。この場合に、モータユニットM1のモータが発電機となり起電力が生じる。負荷側に生じた起電力により発生する電荷は、整流器13であるダイオードを通り、電源部11の電荷との差異はほとんど無くなる。従って、負荷側の起電力により発生した電荷がある場合に電源部11から電源供給を行っても負荷側に過電流が流れない構成となっている。
【0014】
モータユニットM1は、巻線負荷の一例であるモータを有する。例えばプリンタにおいて記録媒体(用紙など)を搬送する搬送路の駆動モータなどである。モータユニットM1のモータには、Md、例えばモータにより従動する駆動機構(搬送ローラやギアなど)が接続されている。
【0015】
制御ユニット14は、主電源のON/OFFに基づき切替SW12をSW制御信号により切り替える。また、制御ユニット14は、電源供給線10の電圧を監視し、電源供給線10の電圧とインターロックSW15の状態とから、電源部11の電源供給を制御する。具体的に、制御ユニット14は、インターロックSW15の状態と、電源供給線10の電圧の大きさとから、電源部11の電源の出力可否を判断して、電源部11に出力可や出力否の制御信号(例として、出力可でイネーブル信号)を出力する。ここで、電源部11の電源を出力可とする条件は、インターロックSW15が閉状態で、且つ電源供給線10の電圧が所定の閾値以下になる場合とする。また、本実施の形態では、第1の閾値である閾値aと、第2の閾値である閾値bとを使用する。
【0016】
閾値aは、インターロックSW15が閉状態のときの判断に使用する。閾値bは、インターロックSW15が閉じる際の判断において使用する。インターロックSW15が閉状態のときは、電源部11のコンデンサに残留電荷が溜まっている状態(充電状態)なので、その状態で起電力が発生した場合に電源供給を行うと、切替SW12がONしたままなので電源供給線10に突入電流が流れる恐れがある。このため、インターロックSW15が閉じているときは、電源部11のコンデンサの残留電荷が放電される閾値aを設定する。インターロックSW15が開き電源部11のコンデンサの残留電荷が放電状態になった場合は、再びインターロックSW15が閉じる際の判断において、起電力による誤検知を防ぐために閾値bを設定する。閾値bは閾値aよりも値が高いとする。
【0017】
制御ユニット14は、電源供給線10の電圧とこれらの閾値とを比較し、上記条件を満たす場合に出力可と判断し、電源部11の電源に出力可を示す電源制御信号を出力する。
【0018】
図2及び図3は、制御ユニット14が各部を制御するタイミングチャートについて説明する図である。図2は、本実施の形態に係る電源装置のタイミングチャートの一例を示す図である。図3は、図2と比較するための従来構成の電源装置におけるタイミングチャートを示す図である。以下では、電源部11の電源が+24V電源である場合を例にして説明する。なお、+24V電源は一例であり、これに限るものではない。以下では、図2図3のタイミングチャートについて特に明示しない限り、動作は共通であるものとする。
【0019】
先ず、主電源がON状態つまり切替SW12がONでインターロックSW15が開状態になった場合、制御ユニット14が出力否の電源制御信号を出力する。この場合、電源部11から電圧の供給が停止され、電源供給線10の電圧が下降する。電源供給線10の電圧が閾値a(例えば1.5V)を下回ったとき、残留電荷のステータスは充電中から放電状態へと変わる。
【0020】
この状態において、モータユニットM1に従動したMdが手動により動作したとする。例えばプリンタのジャム処理時にユーザが搬送路に詰まっている記録媒体を搬送路から引き抜いたときにMdが動作する。この場合に、電源供給線10に閾値aよりも高い起電力が発生する。電源供給線10の電圧のOFF(0V)からの立ち上がりが、そのときに発生した起電力を表している。
【0021】
図3に示すように、従来構成では、発生した起電力が閾値aを越えると、その後にインターロックSW15が閉状態になっても、電源供給線10の電圧が閾値a以下に低下するまで制御ユニット14から出力否の電源制御信号が出力され続けるため、電源供給は開始されない。この場合には、閾値a以下になるB点で制御ユニット14から出力可の電源制御信号が出力され、電源供給が開始される。
【0022】
これに対し本実施の形態の電源装置1では、図2に示すように出力可否の条件として閾値aよりも値が高い閾値bを使用する。ここで閾値bは、Mdを手動で動作させた場合のモータユニットM1の最大電圧(巻線負荷の起電力)よりも高い電圧値(一例として10V)とする。この場合、インターロックSW15が開状態から閉状態に閉じられたA点において、電源供給線10の電圧が閾値bを下回り条件を満たすことになる。このため、制御ユニット14はインターロックSW15が閉じられた時点で出力可の電源制御信号を出力し、電源部11から負荷に電圧を供給する。
【0023】
その後、インターロックSW15が閉状態で主電源がOFFされ、その後直ぐにONされた場合は、従来構成と同様である。つまり、主電源が一度OFFされたので電源部11から負荷側への電圧の供給は停止し、電源供給線10の電圧が下降する。下降途中に主電源がONされても、電源供給線10の電圧が閾値aを下回っていないため、閾値aを下回るまで制御ユニット14からは出力可の電源制御信号は出力されず、電源部11から負荷に対して電圧は供給されない。閾値a以下になるC点で制御ユニット14から出力可の電源制御信号が出力され、電源部11から負荷側に電圧が供給されることになる。
【0024】
なお、電源供給線10の電圧を比較する際の閾値は、抵抗器によって値が決定される。抵抗を可変する可変手段(例えば可変抵抗器)を使用する場合には、モータユニットM1が変更された場合でも部品を変更せずに閾値を容易に可変させることで最適な電圧の供給が可能となる。
【0025】
以上のように、本実施の形態に係る電源装置1では、閾値aよりも値が高い閾値bをインターロックSW15が閉じる際の判断において使用する。これにより、インターロックSW15が閉じた時点で電源供給を再開することが可能になる。つまり、負荷側で起電力が生じた場合であっても電源供給の再開を最適なタイミングで行うことが可能になる。
【0026】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。図5は、図4に示す画像形成装置の平面図である。図4に示す画像形成装置2は、シリアル型の液体吐出方式(インク吐出方式)の画像形成装置であり、本体筐体202が、本体フレーム203上に配設されている。画像形成装置2は、本体筐体202内に、図4に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド204と副ガイドロッド205が張り渡されている。主ガイドロッド204は、キャリッジ206を移動可能に支持しており、キャリッジ206には、副ガイドロッド205に係合してキャリッジ206の姿勢を安定化させる連結片206aが設けられている。
【0027】
画像形成装置2は、主ガイドロッド204に沿って無端ベルト状のタイミングベルト207が配設されており、タイミングベルト207は、駆動プーリ208と従動プーリ209との間に張り渡されている。駆動プーリ208は、主走査モータ210によって回転駆動され、タイミングベルト207に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ208は、主走査モータ210によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト207を主走査方向に回転移動させる。
【0028】
キャリッジ206は、ベルト保持部206b(図5参照)によってタイミングベルト207に連結されており、タイミングベルト207が駆動プーリ208によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド204に沿って主走査方向に往復移動する。
【0029】
画像形成装置2は、本体筐体202内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部211と維持機構部212が収納されている。カートリッジ部211は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各液体(インク)をそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部211の各カートリッジは、キャリッジ206が搭載する記録ヘッド220の対応する色の記録ヘッド220y、220m、220c、220k(図5参照)と、図示しないパイプで連結されている。各カートリッジは、パイプを通して記録ヘッド220y、220m、220c、220kに対して液体を供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド220y、220m、220c、220kを総称するときには、記録ヘッド220という。
【0030】
画像形成装置2は、キャリッジ206を主走査方向に移動させながら、プラテン214(図5参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される被記録媒体(用紙など)Pに液体を吐出することで、被記録媒体Pに画像を記録出力する。
【0031】
すなわち、本実施例の画像形成装置2は、被記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送する搬送手段と、被記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、被記録媒体Pに画像を形成する画像形成手段とを有する。画像形成手段は、キャリッジ206や記録ヘッド220などを含み、キャリッジ206を主走査方向に移動させながら、記録ヘッド220y、220m、220c、220kのノズル列からプラテン214上の被記録媒体P上に液体を吐出して、被記録媒体Pに画像を形成する。
【0032】
維持機構部212は、記録ヘッド220の吐出面の清掃、キャッピング、不要な液体の吐出等を行って、記録ヘッド220からの不要な液体の排出や記録ヘッド220の信頼性の維持を図っている。
【0033】
画像形成装置2は、被記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー213が設けられており、画像形成装置2のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー213を開けることで、本体筐体202内部のメンテナンス作業やジャム被記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。カバー213は後述する開閉扉251に相当し、インターロックになっている。
【0034】
キャリッジ(移動体)206は、図5に示すように、記録ヘッド220y、220m、220c、220kを搭載しており、記録ヘッド220y、220m、220c、220kは、それぞれ上記カートリッジ部211の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色の液体を、対向する被記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド220yは、イエロー(Y)液体を、記録ヘッド220mは、マゼンタ(M)液体を、記録ヘッド220cは、シアン(C)液体を、記録ヘッド220kは、ブラック(K)液体を、それぞれ吐出する。
【0035】
記録ヘッド220は、その吐出面(ノズル面)が、図4の下方(被記録媒体P側)に向くように、キャリッジ206に搭載されており、被記録媒体Pに液体を吐出する。
【0036】
画像形成装置2は、タイミングベルト207、すなわち、主ガイドロッド204に平行に、少なくともキャリッジ206の移動範囲に亘ってエンコーダシート215が配設されている。キャリッジ206には、エンコーダシート215を読み取るエンコーダセンサ221が取り付けられている。画像形成装置2は、エンコーダセンサ221によるエンコーダシート215の読み取り結果に基づいて主走査モータ210の駆動を制御することで、キャリッジ206の主走査方向の移動を制御する。
【0037】
上記主ガイドロッド204及び副ガイドロッド205は、本体筐体202の左右の側板202a、202b間に架け渡されて、固定されている。
【0038】
キャリッジ206に搭載されている記録ヘッド220は、図5に示すように、それぞれの記録ヘッド220y、220m、220c、220kが、複数のノズル列で構成されており、プラテン214上を搬送される被記録媒体P上にノズル列から液体を吐出することで、被記録媒体Pに画像を形成する。画像形成装置2では、キャリッジ206の1回の走査で被記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、及び、黒の印字速度を向上させるために、キャリッジ206に、上流側の記録ヘッド220と下流側の記録ヘッド220とを搭載している。
【0039】
キャリッジ206には、読取センサ230が取り付けられており、読取センサ230は、画像位置ずれ調整処理時に被記録媒体Pに記録された調整パターンを読み取る。
【0040】
図6は、画像形成装置2のブロック構成の一例を示す図である。図6に示すように画像形成装置2は、制御部100、上記読取センサ230及び記録ヘッド220y~220kを搭載するキャリッジ206、主走査モータ210、エンコーダセンサ221、ロータリエンコーダ241、副走査モータ242、送給モータ243、排出モータ244、画像読取部245及び操作表示部246等を備えている。画像形成装置2は、上記の他に、維持機構部212を駆動する維持回復モータ、該駆動モータを駆動するための回復系駆動部、各種のソレノイド類を駆動するソレノイド類駆動部、電磁クラッチ類などを駆動するクラッチ駆動部等を備えているが図示を省略している。さらに、画像形成装置2は、主制御部101に、その他の各種センサの検出信号等も入力されるが、図示を省略している。また、電源ボタンや電源装置などについては図7に示し、後述する。
【0041】
制御部100は、主制御部101、外部I/F102、ヘッド駆動制御部103、主走査駆動部104、副走査駆動部105、送給駆動部106、排出駆動部107及びスキャナ制御部108等を備えている。主制御部101は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)114、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)115及びFPGA(Field Programmable Gate Array)116等を搭載している。
【0042】
主制御部101は、ROM112内に画像形成装置2としてのプログラム及び必要なデータが格納されている。主制御部101は、CPU111が、ROM112内のプログラムに基づいて、RAM113をワークメモリとして利用して、画像形成装置2の各部を制御して、画像形成装置2としての処理を実行する。
【0043】
NVRAM114は、画像形成装置2の電源がオフの場合にも記憶しておくべきデータがCPU111の制御下で格納され、また、読み出される。
【0044】
ASIC115は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等の画像処理を行ない、FPGA116は、画像形成装置2全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0045】
外部I/F102は、LAN(Local Area Network)等のネットワークや専用線等の通信線によって他の機器と主制御部101との通信のインターフェイスを行ない、外部装置からのデータを主制御部101に送出する。また、外部I/F102は、主制御部101が生成したデータを外部装置に出力する。この外部I/F102は、脱着可能な記憶媒体が装着可能であり、プログラムが記憶媒体に記憶された状態や、外部からの通信装置を介して配信される。
【0046】
ヘッド駆動制御部103は、記録ヘッド220y~220kそれぞれの液体吐出の有無、吐出する場合の液滴吐出タイミング及び吐出量を制御して、記録ヘッド220y~220kに被記録媒体P上へ画像を記録させる。ヘッド駆動制御部103は、記録ヘッド220y~220kを駆動制御するためのヘッドデータ生成配列変換用ASIC(ヘッドドライバ)を有し、印刷データ(ディザ処理などが施されたドットデータに基づき、液滴の有無と液滴の大きさを示す駆動信号を生成して、記録ヘッド220y~220kに供給する。記録ヘッド220y~220kは、各記録ヘッド220y、220m、220c、220kのノズル毎にスイッチを有しており、駆動信号に基づいてオン/オフすることで、印刷データにより指定される被記録媒体Pの位置に指定されるサイズの液滴を着弾させる。なお、ヘッド駆動制御部103のヘッドドライバは、記録ヘッド220y~220k側に設けられていてもよいし、ヘッド駆動制御部103と記録ヘッド220y~220kが一体構成となっていてもよい。
【0047】
主走査駆動部(モータドライバ)104は、主制御部101の制御下で、キャリッジ206を主走査方向に移動走査する主走査モータ210を駆動する。したがって、主走査駆動部104及び主走査モータ210等は、全体として、移動体駆動手段として機能している。
【0048】
主制御部101には、エンコーダシート215を読み取るエンコーダセンサ221からの読取結果信号が入力され、主制御部101は、この読取結果信号に基づいて、キャリッジ206の主走査方向の位置を検出する。そして、主制御部101は、主走査駆動部104を介して主走査モータ210を駆動制御することで、キャリッジ206を主走査方向に意図する位置へ往復移動させる。
【0049】
副走査駆動部(モータドライバ)105は、被記録媒体Pを搬送する副走査モータ242を駆動する。
【0050】
主制御部101には、副走査モータ242の回転を検出するロータリエンコーダ241からの検出信号(パルス)が入力される。主制御部101は、この検出信号に基づいて被記録媒体Pの副走査方向の移動量、すなわち、媒体送り量を検出し、副走査駆動部105を介して副走査モータ242を駆動制御することで図示しない搬送ローラを介して被記録媒体Pの搬送制御を行う。ここで、副走査駆動部105、副走査モータ242、および搬送ローラは搬送手段の一部として構成される。また、後述する送給駆動部106と送給モータ243と送給ローラ、および、排出駆動部107と排出モータ244と排出ローラなども搬送手段の一部として構成される。
【0051】
送給駆動部106は、図示しない送給トレイから被記録媒体Pを送給する送給ローラを駆動する送給モータ243を駆動する。
【0052】
排出駆動部107は、印刷(画像形成)された被記録媒体Pを図示しない排出トレイ上に排出する排出ローラを駆動する排出モータ244を駆動する。なお、排出駆動部107は、副走査駆動部105により代用してもよい。したがって、副走査駆動部105、副走査モータ242、搬送ローラ、送給駆動部106、送給モータ243、送給ローラ、排出駆動部107、排出モータ244、及び、排出ローラ等は、全体として、被記録媒体Pを搬送する搬送手段として機能している。
【0053】
スキャナ制御部108は、画像読取部245の駆動動作を制御する。画像読取部245は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を利用したイメージスキャナ等が用いられている。画像読取部245は、原稿を走査して、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、スキャナ制御部108に出力する。
【0054】
操作表示部246は、画像形成装置2に各種動作をさせるのに必要な各種キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)やLED(Light Emitting Diode)等のランプを備えている。操作表示部246は、操作キーから、画像形成装置2に各種機能動作処理を行わせるための各種操作が行われると、操作内容を主制御部101に渡す。また、操作表示部246は、主制御部101から渡される表示情報、すなわち、操作キーから入力された命令内容や画像形成装置2からユーザに通知する各種情報を、ディスプレイに表示させる。特に、操作表示部246は、後述する画像位置ずれ調整処理に必要な各種設定操作が行われる。
【0055】
図7は、画像形成装置2が備えるPSU(電源装置)と負荷などとの接続関係の一例を示す図である。図7には、PSUと接続される負荷の一例としてとして、記録媒体の搬送手段に設けられている搬送モータと各種駆動部とを示している。その他については図示を省略している。
【0056】
図7に示すように、PSU1には、画像形成装置2の電源ボタン250の操作により電源ON/OFFの信号が入力する。また、開閉扉251の開閉に基づきインターロック機構が作動してインターロックSW15が切り替わる。PSU1は、第1の実施の形態に示した電源装置と同様のタイミングで動作する。つまり、ジャム処理などで開閉扉251が開けられ、搬送路から手動で記録媒体が引き抜かれた後に開閉扉251が閉じられると、PSU1が閾値bを使って電源供給線の電圧と比較し、搬送手段などへの電圧の供給を直ぐに再開する。
【0057】
本実施の形態では、画像形成装置の一例としてシリアル型液体吐出方式の画像形成装置を示したが、画像形成装置をこれに限定するものではない。電源装置の負荷側に巻線負荷を備え、起電力を発生させる構成が含まれるものであれは、任意の画像形成装置に適用可能である。例えば用紙を搬送する機構を含むMFPなどもこれに当たる。
【0058】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態に示す電源装置は、各種の搬送装置に搭載することができる。例えば、第2の実施の形態に一例として示した画像形成装置も搬送手段を備えるため、搬送装置の一つに含まれる。このような用紙を搬送する搬送装置以外にも、モータなどのように巻線負荷で起電力を生じさせる構成が含まれているものであれは、他の搬送物を搬送する搬送装置に対して適宜適用することができる。例えば、搬送装置の一つとして、紙幣を搬送する搬送装置(現金自動預け払い機など)や、フィルムを搬送する搬送装置や、シートを搬送する搬送装置などへの適用が可能である。
【0059】
図8は、第3の実施の形態に係る搬送装置の構成の一例を示す図である。図8に示す搬送装置3は、PSU1や、搬送手段252などを有する。搬送手段252には、搬送物を搬送するための各種の搬送モータおよび駆動部を適用できる。搬送装置3は、第2の実施の形態に示した画像形成装置2の搬送に関わる部分などに対応し、一例としては第2の実施の形態において説明したものと同様である。なお、搬送手段252は、第2の実施の形態に示すものに限らず、搬送物や用途などに応じて適宜設計や組み合わせを変更してよい。
【符号の説明】
【0060】
1 電源装置
10 電源供給線
11 電源部
12 切替SW
13 整流器
14 制御ユニット
15 インターロックSW
M1 モータユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【文献】特開2014-164200号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8