(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】文書状態管理システム、文書状態管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20221018BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221018BHJP
G06F 16/14 20190101ALI20221018BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20221018BHJP
【FI】
G06Q10/10
H04N1/00 127A
G06F16/14
G06F21/62 318
(21)【出願番号】P 2018188639
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017196131
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡村 隆生
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-073081(JP,A)
【文献】特開2012-123615(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199537(WO,A1)
【文献】特開2015-125719(JP,A)
【文献】特開2006-031464(JP,A)
【文献】特開2011-238207(JP,A)
【文献】特開2007-304831(JP,A)
【文献】特開2012-015645(JP,A)
【文献】特開2008-210346(JP,A)
【文献】特開2004-013380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0279322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04N 1/00
G06F 16/14
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の登録を受け付ける受付手段と、
前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報、及び、前記文書の前記文書状態を追跡するための追跡用データを前記文書の識別情報
と対応付けて保持する第二の情報を記憶する記憶手段と、
前記追跡用データを媒体に記録して出力する第一の出力手段と、
前記媒体から前記追跡用データを取得する追跡用データ取得手段と、
前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得する状態取得手段と、
前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力する第二の出力手段と、を有し、
前記記憶手段は、前記文書の識別情報と前記文書に対するアクセスログを対応付けて保持する第三の情報を保持しており、
前記状態取得手段は、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書のアクセスログを前記第三の情報から取得する文書状態管理システム。
【請求項2】
前記第二の情報には前記文書の識別情報に対応付けて前記文書へアクセスする権限に関するアクセス権限が対応付けられており、
前記受付手段が前記文書の登録を受け付けることで前記文書へアクセスできる旨が前記第二の情報に登録され、
前記状態取得手段は、前記追跡用データに対応付けられた前記文書の前記アクセス権限にアクセスできる旨が登録されている場合、前記文書状態を取得する請求項1に記載の文書状態管理システム。
【請求項3】
文書状態管理システムであって、
文書の登録を受け付ける受付手段と、
前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報、及び、前記文書の前記文書状態を追跡するための追跡用データを前記文書の識別情報
と対応付けて保持する第二の情報を記憶する記憶手段と、
前記追跡用データを媒体に記録して出力する第一の出力手段と、
前記媒体から前記追跡用データを取得する追跡用データ取得手段と、
前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得する状態取得手段と、
前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力する第二の出力手段と、を有し、
前記第一の出力手段は、前記追跡用データと共に前記文書状態管理システムと通信するための通信先情報を前記媒体に記録して出力し、
前記追跡用データ取得手段は、前記媒体から前記追跡用データ及び前記通信先情報を取得し、
前記状態取得手段は、前記通信先情報を用いて前記第二の情報を参照し、
前記記憶手段は、前記追跡用データと前記通信先情報が対応付けられた第四の情報を保持しており、
前記第一の出力手段は、前記第四の情報を参照して、前記通信先情報ごとに重複しない前記追跡用データと前記通信先情報を作成する文書状態管理システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記文書の識別情報と前記文書に対するアクセスログを対応付けて保持する第三の情報を保持しており、
前記状態取得手段は、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書のアクセスログを前記第三の情報から取得する
請求項3に記載の文書状態管理システム。
【請求項5】
前記アクセスログは、前記文書が印刷された回数、編集された回数、又は、複製された回数である
請求項1に記載の文書状態管理システム。
【請求項6】
前記文書に関する手続が進捗した場合、前記受付手段は前記文書状態の更新を受け付け、
前記
第一の情報における前記文書状態を更新する更新手段を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の文書状態管理システム。
【請求項7】
前記追跡用データ取得手段が前記媒体から前記追跡用データを取得することで、予め定
められたプログラムを実行させ、
前記プログラムの実行により前記状態取得手段が前記文書の状態を取得する
請求項1~6のいずれか1項に記載の文書状態管理システム。
【請求項8】
文書状態管理システムが行う文書状態管理方法であって、
受付手段が、文書の登録を受け付けるステップと、
第一の出力手段が、前記文書の文書状態を追跡するための追跡用データを媒体に記録して出力するステップと、
追跡用データ取得手段が、前記媒体から前記追跡用データを取得するステップと、
前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報と、前記追跡用データを前記文書の識別情報
と対応付けて保持する第二の情報とを記憶する記憶手段を参照し、
状態取得手段が、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得するステップと、
第二の出力手段が、前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力するステップと、を有し、
前記記憶手段は、前記文書の識別情報と前記文書に対するアクセスログを対応付けて保持する第三の情報を保持しており、
前記状態取得手段は、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書のアクセスログを前記第三の情報から取得する文書状態管理方法。
【請求項9】
文書状態管理システムが行う文書状態管理方法であって、
受付手段が、文書の登録を受け付けるステップと、
第一の出力手段が、前記文書の文書状態を追跡するための追跡用データを媒体に記録して出力するステップと、
追跡用データ取得手段が、前記媒体から前記追跡用データを取得するステップと、
前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報と、前記追跡用データを前記文書の識別情報
と対応付けて保持する第二の情報とを記憶する記憶手段を参照し、
状態取得手段が、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得するステップと、
第二の出力手段が、前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力するステップと、を有し、
前記第一の出力手段は、前記追跡用データと共に前記文書状態管理システムと通信するための通信先情報を前記媒体に記録して出力し、
前記追跡用データ取得手段は、前記媒体から前記追跡用データ及び前記通信先情報を取得し、
前記状態取得手段は、前記通信先情報を用いて前記第二の情報を参照し、
前記記憶手段は、前記追跡用データと前記通信先情報が対応付けられた第四の情報を保持しており、
前記第一の出力手段は、前記第四の情報を参照して、前記通信先情報ごとに重複しない前記追跡用データと前記通信先情報を作成する文書状態管理方法。
【請求項10】
情報処理装置を、
文書の登録を受け付ける受付手段と、
前記文書の文書状態を追跡するための追跡用データを媒体に記録して出力する第一の出力手段と、
前記媒体から前記追跡用データを取得する追跡用データ取得手段と、
前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報と、前記追跡用データを前記文書の識別情報
と対応付けて保持する第二の情報と、を記憶する記憶手段を参照し、
前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得する状態取得手段と、
前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力する第二の出力手段、として機能させ、
前記記憶手段は、前記文書の識別情報と前記文書に対するアクセスログを対応付けて保持する第三の情報を保持しており、
前記状態取得手段は、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書のアクセスログを前記第三の情報から取得するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書状態管理システム、文書状態管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
申請に対し審査を行い、後日、その審査結果を申請者に通知する業務がある。申請者が例えば許認可制の事業を開始する場合は担当の役所に申請書を提出し、審査に通れば事業を開始できる。あるいはローンの審査などでも申請書に基づく審査が行われるなど、申請とその審査が行われる手続きは少なくない。
【0003】
審査が完了するまでにはある程度の時間がかかることが一般的であり、申請者が審査の完了前に審査状況を知りたい場合は少なくない。しかし、申請者が審査状況を把握するには、申請者が例えば役所に出向いて対象の申請書の番号、申請日、及び申請者本人であることを証明して、更に、役所の担当者が審査状況を調べて回答するという手間がかかる手続きが必要である。インターネットで審査状況が公開される申請もあるが、認証情報(申請者本人の識別情報とパスワード)が流出すると第三者が申請状況を知ることができてしまう。
【0004】
文書を追跡する技術としては電子透かしを利用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、登録者端末からサーバに電子文書Aを保存しておき、登録者端末には電子透かしとして照会情報が埋め込まれた電子文書Bが返送される電子文書内容証明システムが開示されている。したがって、ユーザが電子文書Bをスキャナで読み取ると照会情報が得られ電子文書Aを特定できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では文書そのものを特定するに過ぎず、審査状況などの文書状態を取得することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、文書状態を取得できる文書状態管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、文書の登録を受け付ける受付手段と、前記文書の識別情報と前記文書に関する文書状態を対応付けて保持する第一の情報、及び、前記文書の前記文書状態を追跡するための追跡用データを前記文書の識別情報と対応付けて保持する第二の情報を記憶する記憶手段と、前記追跡用データを媒体に記録して出力する第一の出力手段と、前記媒体から前記追跡用データを取得する追跡用データ取得手段と、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書の前記文書状態を前記第一の情報から取得する状態取得手段と、前記状態取得手段が取得した前記文書の前記文書状態を出力する第二の出力手段と、を有し、前記記憶手段は、前記文書の識別情報と前記文書に対するアクセスログを対応付けて保持する第三の情報を保持しており、前記状態取得手段は、前記追跡用データ取得手段が取得した前記追跡用データに対応付けられた前記文書の識別情報を前記第二の情報から取得して、前記文書の識別情報に対応付けられた前記文書のアクセスログを前記第三の情報から取得する文書状態管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
文書状態を取得できる文書状態管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の審査状況の取得方法を説明する図の一例である。
【
図2】本実施形態の審査状況の取得方法を説明する図の一例である。
【
図3】文書状態管理システムの概略構成図の一例である。
【
図4】画像処理装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図5】データベース装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図6】追跡専用装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図7】文書状態管理システムが有する画像処理装置、データベース装置、及び、追跡専用装置の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図8】画像処理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図9】データベース装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図10】追跡専用装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図11】画像処理装置の動作を説明する機能ブロック図の一例である。
【
図12】データベース装置の動作を説明する機能ブロック図の一例である。
【
図13】追跡専用装置の動作を説明する機能ブロック図の一例である。
【
図14】文書状態管理システムの全体的な処理について説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】初期化処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図16】タッチパネルに表示された初期設定画面の一例を示す図である。
【
図17】
図16で登録先ボタンが押下された際に表示されるポップアップ画面の一例を示す図である。
【
図18】申請者又は役所の担当者が画像処理装置の操作を開始する際の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図19】パネル入力の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図20】画像処理装置が外部のデータベース装置に追跡用データと申請書の画像データを登録する処理を示すフローチャート図の一例である。
【
図21】画像処理装置が自機に申請書に関する情報、文書状態及び追跡用データを登録する処理を示すフローチャート図の一例である。
【
図22】追跡部が追跡用データを作成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図23】画像入力の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図24】電子透かしを検知した場合に動作するプログラムの処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図25】データベース装置の動作手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図26】データベース装置が申請書に関する情報の登録を行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図27】データベース装置が文書状態管理テーブルにアクセスして審査状況を更新する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図28】データベース装置が文書状態管理権限テーブルへのアクセスを開始した際の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図29】太陽光発電の申請書を申請する際の画像データの登録画面について説明する図の一例である。
【
図30】登録画面の別の例を説明する図の一例である。
【
図31】申請書控え9を読み取らせて審査状況を追跡した場合にタッチパネルに表示される審査状況画面の一例を示す図である。
【
図32】文書状態管理システムの全体的な動作を示すシーケンス図の一例である。
【
図33】初期アクセスの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図34】追跡用データの作成に関する動作手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図35】文書状態の更新の処理に関するシーケンス図の一例である。
【
図36】審査状況の取得に関する処理のシーケンス図の一例である。
【
図37】データベースの構成例を説明する図である。
【
図38】データベースの構成例を説明する図である。
【
図39】情報登録に関する処理の流れを説明する図の一例である。
【
図40】審査状況の取得に関する処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、文書状態管理システム及び文書状態管理システムが行う文書状態管理方法について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<従来の審査状況の取得方法>
本実施形態について説明する前に、従来の審査状況の取得方法について説明する。
図1は従来の審査状況の取得方法を説明する図の一例である。
図1では一例として太陽光発電工事の申請を申請者が行った場合に申請者が審査状況を取得する流れを示す。
(1)申請者7は手書きで記入した申請書又はWebページに入力した申請書を役所に申請する。
(2)役所の担当者(申請受理者6a)は申請書8を受理する。
(3)役所の担当者(申請受理者6a)が申請書8を申請文書登録用記憶装置901に登録する。
(4)申請文書登録用記憶装置901は申請書の文書IDを採番してデータテーブルT1で保管する。
(5)役所の担当者(申請受理者6a)は文書状態管理テーブルT2で申請書8の審査状況を管理する。このため、文書状態管理テーブルT2とデータテーブルT1は文書IDで対応付けられる。
(6)役所の担当者(処理担当6c)は文書状態管理テーブルT2の審査状況を適宜、更新する。
(7)申請者7が審査状況を問い合わせたいと考えると、申請者7は申請した役所に直接、出向く。問い合わせを受理する役所の担当者(問い合わせ受理者6b)は申請者本人なのか否かを身分確認証などで確認する必要がある。
(8)役所の担当者(問い合わせ受理者6b)は文書状態管理テーブルT2を検索して、審査状況を確認する。
(9)役所の担当者(問い合わせ受理者6b)は審査状況を申請者に回答する。
【0012】
このように従来の審査状況の取得方法は大変、手間がかかっていた。
【0013】
<本実施形態の審査状況の取得方法>
図2は本実施形態の審査状況の取得方法を説明する図の一例である。なお、
図2では主に
図1との相違を説明する。(1)~(4)の処理については
図1と同様でよい。
(5)画像処理装置10Aは文書状態管理テーブルT2で申請書の審査状況を管理する。このため、画像処理装置10Aは文書状態管理テーブルT2に文書IDを登録して審査状況を管理している。なお、画像処理装置10ではなく後述するデータベース装置が管理する場合もある。
(6)画像処理装置10Aは申請書の入力を受け付けると、追跡用データを作成する。
(7)追跡用データは申請書の審査状況を追跡するためのデータであり、画像処理装置10Aは文書IDと追跡用データが対応付けられた文書状態管理権限テーブルT3を作成する。
(8)画像処理装置10Aは文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3に画像処理装置10Bがアクセスするためのアクセス情報と追跡用データが電子透かしとして形成されている申請書控え9を印刷する。申請書控え9は申請者が保管する。
(9)審査の進捗に応じて、役所の担当者は文書状態管理テーブルT2の審査状況を適宜更新する。
(10)申請者が審査状況を問い合わせたいと考えると、申請者は申請書控え9を画像処理装置10Bに読み取らせる。画像処理装置10Bは電子透かしからアクセス情報と追跡用データを取得して、アクセス情報に基づき文書状態管理権限テーブルT3にアクセスする。画像処理装置10Aは電子透かしの追跡用データと一致する文書状態管理権限テーブルT3の追跡用データを検索する。これにより文書IDが特定されるので、文書状態管理テーブルT2から文書状態を取得できる。
(11)画像処理装置10Bは、タッチパネル10cに申請書の審査状況を表示する。
【0014】
このように、本実施形態では文書状態管理権限テーブルT3に追跡用データが登録され、文書状態管理テーブルT2の審査状況と文書IDで対応付けられており、追跡用データが申請書控え9に電子透かしとして形成されているので、申請者が申請書控え9を画像処理装置10Bに読み取らせることで、申請者が出向かなくても審査状況を把握できる。
【0015】
なお、文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3については
図37、
図38にて説明されているため参照されたい。これらと関連がある他のテーブルについても
図37、
図38で説明されている。
【0016】
<用語について>
文書の識別情報とは文書を一意に特定又は識別する情報をいう。本実施形態では文書IDという用語で説明する。IDはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。
【0017】
文書状態とは文書がいくつかの段階で処理されるとした場合にどの段階であるかに関する情報である。すなわち、どの程度、処理が進捗したかを示す。文書は手続きに付随することが想定され、手続きの進捗の段階と見なすことができる。本実施形態では申請に対する審査の進捗を例に説明するため審査状況という用語で説明する。
【0018】
追跡用データは、文書状態を記憶するネットワーク上の装置から文書状態を取得するための情報である。装置のURL(Universal Resource Locater)を示すわけではなく、文書状態にアクセスする権限があることを示す。
【0019】
媒体とは、情報を記憶するものをいう。例えば、紙媒体、半導体やCD-ROM等の記憶媒体、が挙げられる。
【0020】
<システム構成例>
図3は、文書状態管理システム100の概略構成図の一例である。文書状態管理システム100は、ネットワークを介して通信しうる画像処理装置10A,10B、追跡専用装置50、及び、データベース装置30を有している。
【0021】
画像処理装置10Aは申請書の申請を受け付ける施設に設置された画像処理装置であり、画像処理装置10Bは申請書に関する情報の登録に使用される画像処理装置である。このように用途が異なるが、画像処理装置10Aが画像処理装置10Bとして使用されること、又は、画像処理装置10Bが画像処理装置10Aとして使用されることも可能であるため、以下では画像処理装置10Aと10Bを区別せずに単に画像処理装置10という。
【0022】
画像処理装置10は、少なくともスキャナ機能を有している機器又は装置であればよい。画像処理装置10は、一例として複合機と呼ばれる機器である。複合機とは、スキャナ機能に加え、プリンタ機能、コピー機能、及び、ファクス機能等、複合的な機能を有する機器又は装置の名称である。また、複合機は、MFP(Multi- Function Peripheral)、複写機、コピー機などと呼ばれていてもよい。また、コンピュータにスキャナが外付けされていたり、デジタルカメラが撮像した画像データをコンピュータが取得したりしてもよい。また、画像処理装置10は申請書に関する情報を受け付けるタッチパネルを有していたり、申請書の登録のためにスキャナ機能を有していたりしてもよい。
【0023】
データベース装置30は、申請書の審査状況を保管する情報処理装置である。具体的には、PC(Personal Computer)、サーバ装置、又はワークステーションなどでよい。ただし、画像処理装置10がデータベース装置30の機能を兼用する場合がある。
【0024】
追跡専用装置50は、申請書の審査状況を追跡する情報処理装置である。申請書の審査状況の追跡は画像処理装置10又はデータベース装置30も可能である。追跡専用装置50は具体的には、PC、サーバ装置、又はワークステーションなどでよい。データベース装置30と追跡専用装置50は一台の装置として構成されてよい。また、データベース装置30又は追跡専用装置50の少なくとも一方の機能が画像処理装置10に含まれていてもよい。
【0025】
<ハードウェア構成例>
図4は画像処理装置10のハードウェア構成図の一例である。画像処理装置10は、ASIC10dに接続されたタッチパネル10c、スキャナ10a、プロッタ10f、及び、画像処理ASIC10g、並びに、DRAM10eに接続されたCPU10b、NIC(Network Interface Card)10h、及びHDD(Hard Disk Drive)10iを有する。
【0026】
タッチパネル10cは、画像処理装置10に対する操作やデータの入力を受け付ける。また、タッチパネル10cは液晶ディスプレイなどの表示装置を有しており、実行結果を表示する。
【0027】
CPU10bはHDD10iからDRAM10eに展開されたプログラムを実行して、画像処理装置10の全体を制御する。例えばASIC10dを制御して原稿の読み取り、画像処理、印刷等を行う。
【0028】
スキャナ10aは原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。また、スキャナ10aにはADF(Auto Document Feeder)が搭載されており、原稿を自動的に紙送りして次々に画像データを生成する。
【0029】
プロッタ10fはレーザで形成された潜像にトナーを塗布して現像し用紙にトナーを転写して定着させることで画像データを形成する。なお、インクジェット方式により画像データを形成してもよい。
【0030】
画像処理ASIC10gは、スキャナ10aにより画像データが生成されると電子透かしを検出する。また、画像処理ASIC10gはプロッタ10fで印刷する画像データに対し、電子透かしを合成する画像処理を行う。
【0031】
DRAM10eはプログラムの実行時にプログラムとデータが記憶される揮発性の記憶手段である。HDD10iはプログラムやデータを保存しておく不揮発性の記憶手段である。
【0032】
NIC10hはLANに画像処理装置10を接続させてデータを送信したり、受信したりする通信装置である。
【0033】
図5は、データベース装置30のハードウェア構成図の一例である。データベース装置30はASIC30cに接続されたICカードリーダー30a、DRAM30dに接続されたCPU30b、NIC30e、及び、HDD30fを有する。なお、
図5の説明において
図4と同じ名称の構成要素については
図4の説明で代用するものとし、
図5の説明では主に
図4との相違を説明する。
【0034】
ICカードリーダー30aはICカードの情報を読み取る。また、ICカードに情報を書き込むライタの機能を有していてもよい。ICカードに個人の認証情報が記憶されている場合、申請者はICカードをかざすだけで画像処理装置10を使用できる。
【0035】
図6は追跡専用装置50のハードウェア構成図の一例である。追跡専用装置50は、DARM50cに接続されたASIC50b、CPU50a、NIC50d及びHDD50eを有する。なお、
図6の説明において
図4と同じ名称の構成要素については
図4の説明で代用するものとし、
図6の説明では主に
図4との相違を説明する。図示するように追跡専用装置50の構成要素は
図4においてすでに説明した。
【0036】
<機能について>
図7は、文書状態管理システム100が有する画像処理装置10、データベース装置30、及び、追跡専用装置50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0037】
画像処理装置10は、操作部11、画像読取部12、画像出力部13、電子埋め込み検知部23、追跡部24、電子埋め込み部28、1次記憶部17、2次記憶部18、外部通信部19、及び、制御部20を有する。画像処理装置10が有するこれらの機能は、HDDに記憶されたプログラムをCPUが実行し画像処理装置10の各構成要素を制御することで実現される。
【0038】
操作部11はタッチパネル10cなどを介して申請者の操作を受け付ける。また、操作部11は液晶ディスプレイなどによる情報の表示機能を備える。
【0039】
画像読取部12は画像データの入力を受け付ける。具体的には、スキャナを制御して原稿を読み取り申請書又は申請書控え9の画像データを生成する。画像出力部13は画像データを出力する。具体的には、プロッタを制御して用紙に画像データを印刷する。
【0040】
電子埋め込み検知部23は画像入力部22が入力させた画像データから電子透かしを検知する。また、電子透かしを復号してデータを取得する。電子埋め込み部28はデータを符号化して画像データに電子透かしを形成する。
【0041】
1次記憶部17は比較的、短時間に書き換えられるデータが記憶される記憶部であり、2次記憶部18は比較的、長時間、データが記憶される記憶部である。1次記憶部17は例えば揮発性でよく、2次記憶部18は不揮発性でよい。
【0042】
外部通信部19はネットワークNを介してデータベース装置30又は追跡専用装置50と各種の情報を送受信する。追跡部24は、重複しない追跡用データを作成し、また、追跡用データに基づいて申請書の審査状況を追跡して検出する。
【0043】
制御部20は、画像処理装置10が有する機能を呼び出して全体として必要な処理が行われるように画像処理装置10の全体を制御する。
【0044】
データベース装置30は、1次記憶部33、2次記憶部34、認証部35、入出力部36、追跡部37、外部通信部32、及び、制御部31を有する。データベース装置30が有するこれらの機能は、HDDに記憶されたプログラムをCPUが実行しデータベース装置30の各構成要素を制御することで実現される。
【0045】
1次記憶部33、2次記憶部34、追跡部37、制御部31、及び外部通信部32については画像処理装置10と同様でよい。認証部35は、申請者が文書状態管理システム100を利用する権限を有するか否かを確認する。具体的にはICカードの情報を1次記憶部33又は2次記憶部34の情報と比較して、一致するものがあれば権限を有すると判断する。入出力部36は、データベース装置30へのデータの入力と出力を行う。
【0046】
追跡専用装置50は、1次記憶部53、2次記憶部54、追跡部24、外部通信部52、及び、制御部51を有している。追跡専用装置50が有するこれらの機能は、HDDに記憶されたプログラムをCPUが実行し追跡専用装置50の各構成要素を制御することで実現される。1次記憶部53、2次記憶部54、追跡部55、制御部51、及び外部通信部52については画像処理装置10と同様でよい。
【0047】
<ソフトウェア構成>
図8は、画像処理装置10のソフトウェア構成例を示す図である。画像処理装置10のソフトウェアは階層構造を有しており、上位層からアプリ層71、サービス層72、ハンドラ層73、及び、ハード層74で構成される。サービス層72、ハンドラ層73及びハード層74をまとめてプラットフォーム75と呼ぶ。
【0048】
アプリ層71は、各アプリケーションに応じた制御をとりまとめるソフトウェアで構成されており、操作画面からの指示/設定要求を受けて、プラットフォーム75に要求を行う事でアプリケーションの機能を実現する。
【0049】
サービス層72は、画像処理装置10の各機能として入力機能、出力機能、ユーザ認証機能、電子埋め込み機能、電子埋め込み検知機能、及び、外部通信機能を制御する。
【0050】
ハンドラ層73は、1次記憶部17及び2次記憶部18に対しデータ格納及びデータ取り出しの制御を行い、更に、ハード層74に属するハード機器の制御を行う。すなわち、Engine(Scan/Plotter)76を制御して画像データの入力と出力を行い、その他のハード機器であるHardWare77を制御して外部との通信を行う。
【0051】
ハード層74は、Engine(Scan/Plotter)やその他のハードウェアに関する層であり、実際に機械的・物理的な動作により画像処理装置10の機能を提供する。
【0052】
図9は、データベース装置30のソフトウェア構成例を示す図である。データベース装置30のソフトウェアは階層構造を有しており、上位層からアプリ層87、サービス層88、ハンドラ層89、及びハード層90を有する。サービス層88、ハンドラ層89及びハード層90をまとめてプラットフォーム91と呼ぶ。
【0053】
アプリ層87は、データベース装置30が行う制御をとりまとめるソフトウェアで構成されており、設定要求を受けて、プラットフォーム91に要求を行う事でアプリケーションの機能を実現する。
【0054】
サービス層88は、OS(Operating System)に内包されており、各機能として認証機能81、File管理機能82、権限管理機能83、及び追跡管理機能84を制御する。ハンドラ層89も、OSに内包されており、1次記憶部33、2次記憶部34にデータ格納及びデータ取り出しの制御を行い、ハード層90に属するハードウェアへの制御を行う。例えば、I/O(Display/Keyboard/Mouse)機器85からの入力の受付や出力結果の表示を行い、その他のハード機器であるHardWare86を制御する。
【0055】
ハード層90は、I/O(Display/Keyboard/Mouse)機器85やその他のハードウェアに関する層であり、実際に機械的・物理的な動作によりデータベース装置30の機能を提供する。
【0056】
図10は、追跡専用装置50のソフトウェア構成例を示す図である。追跡専用装置50のソフトウェアは階層構造を有しており、上位層からアプリ層107、サービス層108、ハンドラ層109、及びハード層110を有する。サービス層108、ハンドラ層109及びハード層110をまとめてプラットフォーム111と呼ぶ。
【0057】
アプリ層107は、追跡専用装置50が行う制御をとりまとめるソフトウェアで構成されており、設定要求を受けて、プラットフォーム111に要求を行う事でアプリケーションの機能を実現する。
【0058】
サービス層108は、OSに内包されており、各機能として認証機能101、File管理機能102、権限管理機能103、及び追跡管理機能104を制御する。ただし、追跡管理機能104で管理されるデータには追跡結果が含まれる。
【0059】
ハンドラ層109もOSに内包されており、1次記憶部53及び2次記憶部54に対するデータ格納及びデータ取り出しの制御を行い、ハード層110に属するハード機器への制御を行う。例えば、I/O(Display/Keyboard/Mouse)機器105からの入力の受付や、出力結果の表示を行い、その他のハード機器であるHardWare106を制御する。
【0060】
ハード層110は、I/O(Display/Keyboard/Mouse)機器105やその他のハードウェアに関する層であり、実際に機械的・物理的な動作により追跡専用装置50の機能を提供する。
【0061】
<動作説明>
図11は画像処理装置10の動作を説明する機能ブロック図の一例である。情報入力部21はタッチパネルに対する各種のデータ(例えば、データテーブルT1の情報)の入力を受け付け、また、画像処理装置10に対する設定を受け付ける。入力された情報や設定を保存しておく。
【0062】
画像入力部22は、申請書控え9及び申請書の画像の入力を受け付ける。申請書の画像の入力が必要となるかどうかは予め設定されている。電子透かしを検知する設定が行われている場合、画像入力部22は電子埋め込み検知部23を呼び出す。電子埋め込み検知部23は画像データから電子透かしを検知する。
【0063】
電子埋め込み検知部23は電子透かしを検知したら検知内容にしたがって追跡部24を呼び出す。電子透かしを検知しなかった場合は出力部27を呼び出す。
【0064】
追跡部24は、電子透かしを検知しない場合に追跡用データを生成する場合と電子透かしを検知した場合に審査状況取得部26を呼び出す場合がある。前者の場合、申請書に対し重複しない追跡用データを作成する。あるいは、外部から追跡用データを取得する。
【0065】
電子埋め込み検知部23が追跡用データを検知した場合、審査状況を取得するために追跡部24は審査状況取得部26を呼び出す。データベース編集部25は、作成又は外部から取得した追跡用データを文書状態管理テーブルT2と関連付けて画像処理装置10に登録するか、外部のデータベース装置30に登録する。追跡用データは文書状態管理権限テーブルT3に登録される。
【0066】
電子埋め込み部28は、申請書に関する情報登録が行われたら追跡用データとアクセス情報を画像データに埋め込み、出力部27を呼び出す。この画像データは申請書控え9として印刷されるが、追跡用データとアクセス情報の電子透かしのみを印刷してもよい。
【0067】
審査状況取得部26は、追跡用データの登録先が画像処理装置10であれば自機である画像処理装置10から審査状況を取得する。外部のデータベース装置30であれば外部のデータベース装置30にアクセスして審査状況を取得する。
【0068】
出力部27は、画像処理装置10又は外部から審査状況を取得すると審査状況を出力する。あるいは審査状況の取得に失敗した場合はエラーを出力する。あるいは、追跡用データが電子透かしとして形成された画像データを出力する。
【0069】
図12は、データベース装置30の動作を説明する機能ブロック図の一例である。外部アクセス検知部41は、データベース装置30へのアクセスが検知されたか否かを判断し、アクセス権認証部42を呼び出す。
【0070】
アクセス権認証部42は、データベース装置30へのアクセス権限の有無を確認する。アクセス権限は追跡用データと共に文書状態管理権限テーブルT3に登録されており、文書にアクセスする権限があることを言う。本実施形態では追跡用データの登録によりアクセス権限が登録される。アクセス権がなければアクセス認証失敗を通知し、アクセス権があるならばデータベース編集部43又は追跡部37を呼び出す。アクセス権は、画像処理装置10が予め保持する認証情報である。例えばデータベース装置30がトークンを画像処理装置10に渡しておき、画像処理装置10はこのトークンでデータベース装置30からの認証を受ける。
【0071】
データベース編集部43は申請書に関する登録情報をデータテーブルT1に登録する。申請書に関する登録情報の登録に成功した場合、追跡部37を呼び出す。登録に失敗した場合、登録失敗を外部アクセス検知部41に通知する。
【0072】
追跡部37は、追跡用データを生成又は取得して、文書状態管理権限テーブルT3に文書IDと対応付けて登録する。また、文書状態管理権限テーブルT3に対しこの申請書の審査状況にアクセスできるアクセス権限を設定する。また、データベース編集部43から追跡用データを取得した場合、追跡部37は文書状態管理権限テーブルT3を検索して文書IDを特定し文書状態管理テーブルT2から審査状況を取得して応答する。
【0073】
図13は、追跡専用装置50の動作を説明する機能ブロック図の一例である。外部アクセス検知部60は、データベース装置30へのアクセスが検知されたか否かを判断し、アクセス権認証部61を呼び出す。アクセス権認証部61の機能はデータベース装置30と同様である。また、追跡部55の基本的な機能は画像処理装置10又はデータベース装置30と同様である。
【0074】
追跡専用装置50の追跡部55は追跡用データベース参照部63を呼び出す。追跡用データベース参照部63は、これまでに作成された重複しない追跡用データを格納している追跡専用テーブルT4を参照して、重複しない追跡用データを作成する。また、追跡用データにより審査状況が問い合わされた場合は追跡専用テーブルT4から追跡用データを検索して文書状態管理テーブルT2がある場所(アクセス先)を取得する。
【0075】
<動作手順 全体処理>
図14は、文書状態管理システム100の全体的な処理について説明するフローチャート図の一例である。
【0076】
まず、画像処理装置10は初期設定処理を行う(S1)。初期設定処理は、画像処理装置10がデータベース装置30にアクセスするための通信情報、申請書に関する情報の登録先の設定、及び、電子透かしの検出の実行可否等を設定する処理である。具体的には役所などの担当者が行う。詳細を
図15にて説明する。
【0077】
次に、画像処理装置10は実行処理を行う(S2)。実行処理は、画像処理装置10で申請書に関する情報入力及び画像データの入力が行われた際に、自機である画像処理装置10又はデータベース装置30の審査に関する情報の登録又は審査状況の取得(追跡)を行う処理である。具体的には申請者等が行う。詳細を
図18にて説明する。
【0078】
<初期化処理>
図15は、初期化処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【0079】
画像処理装置10は後述する初期設定画面301を表示し、役所などの担当者(例えば、システムの管理者)に対し初期設定を促す(S11)。初期設定画面の一例を
図16に示す。
【0080】
次に、画像処理装置10は情報登録先の設定を受け付ける(S12)。すなわち、自機である画像処理装置10に申請書に関する情報(データテーブルT1)を登録するのか、外部のデータベース装置30に登録するのかの設定を受け付ける。外部のデータベース装置30を利用すると設定された場合、データベース装置30にアクセスするための通信情報の設定を受け付ける。なお、文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3はデータテーブルT1と同じ場所に構築されるものとする。あるいは、データテーブルT1、文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3は必要な情報をたどれるようにリンクされているものとする。
【0081】
次に、画像処理装置10は審査状況の取得設定を受け付ける(S13)。審査状況の取得設定とは審査状況を取得する処理を画像処理装置10が行うか、外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50が行うかの設定である。
【0082】
次に、画像処理装置10は追跡用データの取得設定を受け付ける(S14)。追跡用データの取得設定は、追跡用データを画像処理装置10が作成するのか、追跡専用装置50から取得するのかの設定である。
【0083】
次に、画像処理装置10は電子透かし設定を受け付ける(S15)。電子透かし設定は、申請書に関する情報の登録後に追跡用データの電子透かしを画像データに合成して出力を行うが、単に、用紙に画像データを印刷するのか、又は、電子データとして出力するかの選択に関する設定である。
【0084】
図16は、タッチパネル10cに表示された初期設定画面301の一例を示す。初期設定画面301は情報登録設定欄302、審査状況取得設定欄303、追跡用データ取得設定欄304、及び、電子透かし設定欄305を有する。
【0085】
情報登録設定欄302は、申請書に関する情報を自機に登録するのか、又は、外部のデータベース装置30に登録するのかが設定される登録先ボタン311を有する。あるいは、その都度マニュアルで選択するか否を設定できてもよい。また、申請書に関する情報を自機に登録する場合に外部からのアクセスを許可するか否かが設定される許可ボタン312を有する。登録先ボタン311が押下されると
図17のようにポップアップ画面が表示される。ポップアップ画面では申請書に関する情報の登録先を設定できる。
【0086】
審査状況取得設定欄303は、審査状況の管理(取得)を自機である画像処理装置10が行うか、それとも外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50が行うかが設定される管理先設定ボタン313を有する。また、アクセスログを保持するか否かが設定されるアクセスログ設定ボタン314を有する。画像処理装置10に情報を登録して、外部で審査状況を管理するケースでは、審査状況の取得設定は外部となる。アクセスログとは文書に対する印刷、編集、複写の履歴の記録である。アクセスログの記録は任意になる。
【0087】
追跡用データ取得設定欄304は、追跡用データの作成を画像処理装置10が行うか、外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50が行うかが設定される追跡用データボタン315を有する。
【0088】
電子透かし設定欄305は、電子透かしの検知を行うか否かが設定される検知ボタン316、及び、検知した場合に行われる処理が設定される処理ボタン317を有する。
図16では処理ボタン317がアクセスログを取得することに設定されている。
【0089】
図17は、
図16で登録先ボタン311が押下された際に表示されるポップアップ画面321の一例を示す図である。ポップアップ画面321には、申請書を自機で設定する場合の保存先設定欄322、外部に設定する場合のアクセス先設定ボタン323を有する。役所の担当者は適切な保存先又はアクセス先を設定できる。
【0090】
<操作開始時の処理>
図18は、申請者又は役所の担当者が画像処理装置10の操作を開始する際の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【0091】
申請者又は役所の担当者が画像処理装置10の操作を開始すると、画像処理装置10の情報入力部21又は画像入力部22は、パネル入力か又は画像入力かを判断する(S21)。これらは操作内容から適宜判断される。
【0092】
パネル入力の場合、情報入力部21はパネル入力を受け付ける(S22)。パネル入力は申請書に関する情報をタッチパネルから入力すること、及び、データベース装置30へのアクセスの設定とデータベース装置30へのデータ入力等を行う設定である。この処理を
図19にて説明する。
【0093】
画像入力の場合、画像入力部22は画像入力を行う(S23)。画像入力は、申請書又は申請書控え9(電子透かしが形成されている)が読み取られた場合の処理である。この処理を
図23にて説明する。
【0094】
図19はパネル入力の処理を説明するフローチャート図の一例である。申請者又は役所の担当者はタッチパネル10cに申請書類に関する情報を入力する。情報入力部21はこの入力を受け付ける(S31)。
【0095】
情報入力部21は初期設定の情報登録設定欄302で設定された情報の登録先を読み出す(S32)。
【0096】
情報入力部21は情報の登録先として外部のデータベース装置30が設定されているか否かを判断する(S33)。
【0097】
外部のデータベース装置30が情報の登録先として設定されている場合、情報入力部21は初期設定画面301で設定された外部のデータベース装置30に申請書に関する情報を登録する(S34)。この処理を
図20にて説明する。
【0098】
外部のデータベース装置30が情報の登録先として設定されていない場合、情報入力部21は自機に申請書に関する情報を登録する(S35)。この処理を
図21にて説明する。
【0099】
登録完了したら、情報入力部21は追跡用データを出力するか否かを初期設定画面301の設定から判断する(S36)。
【0100】
追跡用データを出力する設定の場合、追跡部24が追跡用データとアクセス先を作成し、電子透かしが形成された画像を出力部27が出力する(S37)。
【0101】
図20は、画像処理装置10が外部のデータベース装置30に追跡用データと申請書の画像データを登録する処理を示すフローチャート図の一例である。
【0102】
初期設定画面301において、外部のデータベース装置30に申請書に関する情報を登録することが設定されている場合、外部通信部19は情報登録設定欄302に設定された外部のデータベース装置30と通信する(S41)。
【0103】
情報入力部21は外部のデータベース装置30との通信に成功したか否かを判断し(S42)、通信に成功した場合は、データベース装置30に文書状態管理機能があるか否かを確認する(S43)。文書状態管理機能は本実施形態で説明する審査状況を追跡する機能である。データベース装置30には文書状態管理機能が搭載されていないものがあるためである。
【0104】
文書状態管理機能がある場合、追跡部24は追跡用データ及びアクセス先を作成又は取得する(S44)。この処理を
図22にて説明する。
【0105】
次に、情報入力部21は、申請書に関する情報と追跡用データをセットにして、外部のデータベース装置30に登録要求(アップロード)する(S45)。なお、アクセス先は登録してもしなくてもよい。
【0106】
情報入力部21は、外部のデータベース装置30からデータテーブルT1、文書状態管理テーブルT2、及び、文書状態管理権限テーブルT3に申請書に関する情報、文書状態及び追跡用データが登録された旨の通知を受け取って終了する(S46)。
【0107】
ステップS42でデータベース装置30との通信に失敗した場合、出力部27は通信不可のエラーを表示する(S49)。
【0108】
ステップS43で文書状態管理機能がないと判断された場合、情報入力部21はデータベース装置30に情報登録する機能があるか否かを判断する(S47)。情報登録とは申請書に関する情報の登録をいう。
【0109】
情報登録する機能がある場合、情報入力部21は申請書に関する情報の登録を行う(S48)。そうでない場合、情報入力部21は通信不可を通知して終了する(S49)。
【0110】
図21は、画像処理装置10が自機に申請書に関する情報、文書状態及び追跡用データを登録する処理を示すフローチャート図の一例である。
【0111】
画像処理装置10の情報入力部21は文書状態管理機能が有効か否かを判断する(S51)。
【0112】
文書状態管理機能が有効である場合、追跡部24が追跡用データの作成又は取得を行う(S52)。アクセス先も作成又は取得される。この処理については
図22を用いて説明する。
【0113】
次に、情報入力部21、あるいは画像入力部22によって入力された、申請書に関する情報と関連づけられた追跡用データを自機に格納する(S53)。
【0114】
次に、情報入力部21は、申請書に関する情報が登録されたデータテーブルT1と文書状態管理テーブルT2と文書状態管理権限テーブルT3とを対応付ける(S54)。また、この時、文書状態管理権限テーブルT3には審査状況に対するアクセス権限が設定される。
【0115】
ステップS51において文書状態管理機能がないと判断された場合、入力された申請書に関する情報を自機に格納して終了する(S55)。
【0116】
図22は、追跡部24が追跡用データを作成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0117】
まず、追跡部24は初期設定の追跡用データ取得設定欄304の設定を読み出して、自機で作成する設定か外部から取得する設定かを判断する(S61)。
【0118】
自機で作成する場合、追跡部24は追跡用データとアクセス先を作成する(S62)。
【0119】
外部から取得する場合、追跡用データを作成する外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50と通信し追跡用データとアクセス先を取得する(S63)。
【0120】
図23は画像入力の処理を説明するフローチャート図の一例である。画像が入力される場合には、申請書控え9が読み取られる場合と申請書が読み取られる場合がある。
【0121】
画像入力部22は申請書に関する情報の登録の一部として画像が入力されたのか否かを判断する(S71)。この判断はスキャンした画像データの登録か又は電子透かしの検知かを行うことであり、操作内容により判断される。
【0122】
申請書の画像データを登録する場合、画像入力部22は初期設定画面301の情報登録設定欄302の設定に基づき外部のデータベース装置30に登録するか否かを判断する(S72)。
【0123】
外部のデータベース装置30に登録するという設定の場合、画像入力部22は外部のデータベース装置30に画像データを登録する(S73)。この処理は
図20に記載した処理と同様でよい。
【0124】
自機に登録するという設定の場合、画像入力部22は自機に画像データを登録する(S74)。この処理は
図21に記載した処理と同様でよい。
【0125】
次に、画像入力部22は自機で追跡用データを作成する設定か外部で作成する設定かを初期設定画面301の追跡用データ取得設定欄304の設定に基づき判断する(S75)。
【0126】
自機で追跡用データを作成する設定の場合、追跡部24は追跡用データとアクセス先を作成し、電子埋め込み部28がアクセス情報と追跡用データを電子透かしとして画像データに合成し、出力部27が出力する(S76)。
【0127】
ステップ71において画像データの登録ではないと判断された場合、情報入力部21は初期設定画面301の電子透かし設定欄305の設定に基づいて、電子透かしを検知する設定か否かを判断する(S77)。
【0128】
電子透かしを検知しない設定の場合、出力部27は入力された画像データをそのまま出力する(S83)。
【0129】
電子透かしを検知する設定の場合、電子埋め込み検知部23が電子透かしを検知したか否かを判断する(S78)。
【0130】
電子透かしがない場合、出力部27は入力された画像データをそのまま出力する(S83)。
【0131】
電子透かしがある場合、電子埋め込み検知部23が電子透かしを復号して情報を取得する(S79)。
【0132】
次に、画像入力部22は電子透かしがある場合に動作するプログラムが電子透かし設定欄305に設定されているか否かを判断する(S80)。
【0133】
電子透かしを検知した場合に動作するプログラムが設定されている場合、このプログラムが実行されプログラムに応じた処理を行う(S81)。この処理については
図24にて説明する。
【0134】
電子透かしを検知した場合に動作するプログラムが設定されていない場合、出力部27は電子透かしの情報をタッチパネル10cに表示する(S82)。
【0135】
図24は、電子透かしを検知した場合に動作するプログラムの処理を説明するフローチャート図の一例である。
図24では、申請書の審査状況を取得するプログラムが動作した場合を一例として説明する。
【0136】
画像処理装置10の審査状況取得部26は、電子透かしから復号された情報が追跡用データとアクセス先か否かを判断する(S91)。
【0137】
追跡用データとアクセス先でない場合、別プログラムが動作する(S101)。別プログラムは電子透かしから復号された情報に適合したものであるが、本実施形態では説明を省略する。
【0138】
追跡用データとアクセス先である場合、審査状況取得部26は電子透かしから追跡用データとアクセス先を取得する(S92)。
【0139】
審査状況取得部26はアクセス先に基づいてアクセス先が外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50かを判断する(S93)。
【0140】
アクセス先が外部のデータベース装置30の場合、審査状況取得部26は外部のデータベース装置30と通信する(S94)。審査状況取得部26は通信に成功したか否かを判断する(S95)。
【0141】
通信に成功した場合、審査状況取得部26は追跡用データを外部のデータベース装置30に送信し、追跡用データが一致する申請書の審査状況を取得する(S96)。
【0142】
次に、出力部27は取得した審査状況をタッチパネル10cに表示する(S97)。
【0143】
ステップS93においてアクセス先が外部のデータベース装置30でない場合、審査状況取得部26は自機の文書状態管理権限テーブルT3から追跡用データを検索し、電子透かしの追跡用データに対応付けられたアクセス権限がアクセスを許可しているか否かを判断する(S98)。
【0144】
追跡用データが検索にヒットしない場合又はアクセス権限がない場合、出力部27はデータがありませんとタッチパネル10cに表示する(S99)。
【0145】
追跡用データが検索にヒットしかつアクセス権限がある場合、出力部27は取得した審査状況をタッチパネル10cに表示する(S100)。
【0146】
<データベース装置の動作>
図25は、データベース装置30の動作手順を示すフローチャート図の一例である。データベース装置30においても画像処理装置10の内部に画像データが登録された場合と同様で、外部アクセス検知部41は申請書に関する情報に対してアクセスが発生したか否かを検知するまで待機する(S111)。なお、通信可否の通知、自データベースの管理機能有無の通知も行っている。
【0147】
アクセスを検知した場合、外部アクセス検知部41はアクセス先を判断する(S112)。このアクセス先とはデータベース(テーブル)の種類である。ここでは、文書状態管理権限テーブルT3へのアクセスかそれ以外かが判断される。
【0148】
アクセス先が文書状態管理権限テーブルT3でない場合、申請書に関する情報の登録が要求されているか又は文書状態管理テーブルT2の更新を要求されているかを判断する(S113)。
【0149】
申請書に関する情報の登録の場合、データベース編集部43はデータ登録処理を行う(S114)。この処理を、
図26にて説明する。
【0150】
文書状態管理テーブルT2の更新の場合、データベース編集部43は文書状態管理テーブルT2の更新のアクセス処理を行う(S115)。この処理を
図27にて説明する。
【0151】
図26は、データベース装置30が申請書に関する情報の登録を行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
【0152】
まず、データベース編集部43はデータテーブルT1に空きがあるが否かを判断する(S121)。
【0153】
空き領域が無い場合、データベース編集部43は登録不可を画像処理装置10に通知する(S126)。
【0154】
空き領域がある場合、データベース編集部43は空き領域に申請書に関する情報を登録する(S122)。
【0155】
次に、追跡用データを登録するか否かを判断する(S123)。画像処理装置10から、申請書に関する情報とともに、追跡用データが送信されている場合は登録すると判断される。
【0156】
追跡用データがある場合、データベース編集部25は申請書に関する情報を登録したデータテーブルT1に対応する文書状態管理権限テーブルT3に追跡用データを登録し、更に、追跡用データに対応付けてアクセス権限を付与する(S124)。また、文書状態管理テーブルT2の審査状況を初期除隊に設定する。
【0157】
次に、データベース編集部43は登録成功を画像処理装置10に通知する(S125)。追跡用データが送信されていない場合、文書状態管理権限テーブルT3に追跡用データとアクセス権限を登録せずに登録成功を通知する。
【0158】
図27はデータベース装置30による、文書状態管理テーブルT2へのアクセスを処理して審査状況を更新する手順を説明するフローチャート図の一例である。
【0159】
登録された申請書に関する情報はデータテーブルT1で管理され、データテーブルT1に対応付けて文書状態管理テーブルT2で審査状況が管理されている。
【0160】
データベース編集部43は登録されている申請書の審査状況の更新が行われた場合、文書IDなどで指定される申請書の審査状況を更新する(S131)。
【0161】
図28は、データベース装置30による、文書状態管理権限テーブルT3へのアクセス処理を説明するフローチャートの一例である。文書状態管理権限テーブルT3へのアクセスとは審査状況へ問い合わせされたことを意味する。
【0162】
まず、データベース編集部43は文書状態管理テーブルT2へのアクセスが発生した際、データベース装置30が、追跡用データを受信、又は追跡用データが作成されているか判断する(S141)。
【0163】
追跡用データを受信、又は追跡用データが作成されていない場合、データベース編集部43は文書状態管理テーブルT2へのアクセス不可を画像処理装置10に通知する(S145)。
【0164】
追跡用データを受信、又は追跡用データが作成されている場合、追跡部37は追跡用データが文書状態管理権限テーブルT3に登録されているか否かを判断する(S142)。
【0165】
追跡用データが登録されている場合、追跡部37は対象となる申請書の審査状況を文書状態管理テーブルT2から取得して要求元の画像処理装置10に返答する(S143)。
【0166】
追跡用データが登録されていない場合、追跡部24はアクセス権限がないと判断しアクセス権なしのエラー通知を返答する(S144)。
【0167】
<具体的な申請書の一例>
図29は、太陽光発電の申請書を申請する際の画像データの登録画面331について説明する図である。登録画面331は、申請書類欄332、アップロード先表示欄333、文書状態アクセス用紙出力欄334、及び入力ボタン335等を有する。
【0168】
申請者は登録画面331に表示される申請用のデータフォーマットにしたがって画面上からタッチパネル10cで入力を行い、申請書類欄332、アップロード先表示欄333、文書状態アクセス用紙出力欄334を設定する。操作部11は申請者の操作を受け付ける。なお、文書状態アクセス用紙出力欄334には、電子透かしのある申請書控え9を出力するか否かが設定される。
【0169】
これにより申請書をアップロード後に申請書控え9を印刷して、申請者は手元に所有することで審査状況を知る事ができる。
【0170】
図30は、登録画面331の別の例を説明する図の一例である。
図30では申請書類欄332が読み取りスタートボタン336に変わっている。読み取りスタートボタン336により、申請者は申請書に関する情報が記載された紙媒体を画像処理装置10に読み取らせて、申請書を入力できる。
【0171】
図31は、申請書控え9を読み取らせて審査状況を追跡した場合にタッチパネル10cに表示される審査状況画面341の一例である。電子透かしが形成された申請書控え9が入力され、追跡用データとアクセス先が取得できると、出力部27は審査状況342を表示する。
図31では審査中と表示され、申請書が「審査中」であることを示している。
【0172】
<シーケンス図について>
図32は、文書状態管理システム100の全体的な動作を示すシーケンス図の一例である。ステップ201の初期アクセスとは、画像処理装置10と外部のデータベース装置30又は追跡専用装置50とが最初に通信する際の処理である。この処理については
図33にて説明する。
【0173】
ステップS202の追跡情報作成とは、画像処理装置10と追跡専用装置50が行う追跡用データの作成処理である。この処理については
図34にて説明する。
【0174】
ステップS203の情報登録とは、画像処理装置10とデータベース装置30との間の申請書に関する情報の登録に関する処理である。
【0175】
ステップS204の審査状況の更新とは、更新できる権限を持つ役所などの担当者が文書状態を更新する処理であり、審査状況がどのように更新されるかに関する処理である。この処理については
図35にて説明する。
【0176】
ステップS205の審査状況の取得は、画像処理装置10が電子透かしから追跡用データとアクセス情報を取り出し、外部のデータベース装置30から審査状況を取得する処理である。
【0177】
図33は、初期アクセスの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
S211:画像処理装置10が外部のデータベース装置30をアクセス先に指定する。
S212,S213:これにより外部通信部19は、データベース装置30とアクセス可能か確認を行う。
S214~S216:アクセスが正常にできれば、外部通信部19は文書状態管理機能の有無をデータベース装置30に対し確認する。データベース装置30は文書状態管理機能の有無を確認し、文書状態管理機能の有無を画像処理装置10に通知する。
【0178】
S217:文書状態管理機能がある場合、画像処理装置10は外部のデータベース装置30が文書状態を取得可能であると判断する。
S218:画像処理装置10の外部通信部19は追跡用データの作成が可能か否かを追跡専用装置50に問い合わせる。
S219:追跡専用装置50は自機の機能として追跡用データの作成が可能か否かを判断する。
【0179】
S220:追跡専用装置50は追跡用データの作成が可能である旨(正常通知)を画像処理装置10に返す。
S221:画像処理装置10は追跡用データの取得が可能であると判断する。
【0180】
図34は、追跡用データの作成に関する動作手順を示すシーケンス図の一例である。
S231:画像処理装置10の情報入力部21が申請書に関する情報の入力を受け付ける。
S232、S233:追跡部24は追跡用データを作成するが、初期設定画面301において、追跡用データが外部で作成されることが設定されている場合、外部に追跡用データを要求する。
S234、S235:追跡専用装置50はユニークな追跡用データを作成し、画像処理装置10に送信する。
【0181】
S236:画像処理装置10は申請書に関する情報と追跡用データを外部のデータベース装置30に送信する。
S237~S239:データベース装置30は申請書に関する情報と追跡用データを登録する。また、データベース編集部43は追跡用データを利用すると登録された申請書の審査状況に追跡用データで画像処理装置10がアクセスできるように設定にして、情報登録を完了させ、文書状態の取得が可能になったことを画像処理装置10に通知する。
【0182】
S240:画像処理装置10の出力部27は追跡用データとアクセス情報が電子透かしで形成された紙媒体を出力する。
【0183】
図35は文書状態の更新の処理に関するシーケンス図の一例である。
S241:審査状況が進捗した申請書を指定して役所などの担当者が外部のデータベース装置30に登録されている審査状況を更新する。
S242:外部のデータベース装置30のデータベース編集部43は登録されている画像データの審査状況を更新する。例えば、申請書が審査中になった場合、役所などの担当者は「審査中」に審査状況を更新する。
S243:外部のデータベース装置30は、画像処理装置10の出力部27に、タッチパネル10cに更新完了を表示させる。
【0184】
図36は、審査状況の取得に関する処理のシーケンス図の一例である。
S251:画像処理装置10は電子透かしがある画像データの入力を受け付ける。電子埋め込み検知部23は電子透かしを検知する。
S252:電子埋め込み検知部23は電子透かしから追跡用データを取得する。S253:追跡部24は追跡用データを追跡専用装置50に送信する。
S254:追跡専用装置50の追跡部55は、追跡用データにより追跡専用テーブルT4を検索し、追跡専用テーブルT4から追跡用データに対応付けられたアクセス先を取得する。この処理は、アクセス先が申請書控え9に電子透かしとして印刷されている場合には不要になる。したがって、アクセス先は申請書控え9に印刷されていてもされていなくてもよい。
【0185】
S255:追跡専用装置50はアクセス先に基づいて追跡用データを外部のデータベース装置30に送信する。
S256:データベース装置30の追跡部37は追跡用データで文書状態管理権限テーブルT3を検索し、文書IDを特定して文書状態管理テーブルT2から審査状況を取得する。
S257:データベース装置30は審査状況を追跡専用装置50に送信する。
S258:追跡専用装置50は審査状況を画像処理装置10に送信する。
S259:画像処理装置10の出力部27は審査状況をタッチパネル10cに出力する。
【0186】
<データベースの構成>
図37,
図38を用いて本実施形態で使用されるデータベースについて説明する。
図37(a)は登録情報用のデータテーブルT1を示し、
図37(b)は文書状態管理テーブルT2を示し、
図37(c)は文書状態管理権限テーブルT3を示す。
【0187】
データテーブルT1は、受け付け番号、名前、住所、TEL、Email、及び、工事日の各項目を有する。データテーブルT1には申請時に登録される申請書に関する情報が登録される。文書状態管理テーブルT2は、受け付け番号、文書ID、及び、審査状況の各項目を有する。文書状態管理テーブルT2には申請書の審査状況が登録されている。受け付け番号は文書状態の管理が開始された際に採番される識別情報である。文書IDは文書の識別情報であり、予め付与されていてもよいし申請文書登録用記憶装置901が付与してもよい。審査状況は申請がどのような状況かを示す。文書状態管理権限テーブルT3は、文書ID、アクセス権限、追跡用データ、及び、ユーザの各項目を有する。文書状態管理権限テーブルT3には文書の追跡用データとアクセス権限が設定される。文書状態管理権限テーブルT3では文書に関する権限が管理される。アクセス権限には文書へどのようなアクセスが可能かについて登録される。例えば、無し、参照、ダウンロード、又は、フルコントール(全ての種類のアクセス可)等が登録される。追跡用データはこれまで説明したとおりである。ユーザは文書の作成者又は所有者である。追跡用データが登録されるとアクセス権限として少なくとも参照とダウンロードが登録される。参照のみが登録されてもよい。参照は審査状況を申請者7が取得できることを意味し、「ダウンロード」は申請書をダウンロードできることを意味する。
【0188】
これにより、申請者7は追跡用データを使って申請書の審査状況を知ることができる。また、追跡用データの登録後に申請書類の不備等が発覚したり閲覧期間が経過したりした場合に管理者がアクセス権限を無しに設定することもできる。したがって、追跡用データが登録されていてもアクセス権限がない場合が生じうる。逆に、アクセス権限があるが追跡用データがない場合も生じうる。
【0189】
データテーブルT1と文書状態管理テーブルT2は受け付け番号で対応付けられている。文書状態管理テーブルT2と文書状態管理権限テーブルT3は文書IDで対応付けられている。
【0190】
追跡部24、追跡部37又は追跡部55は、文書状態管理権限テーブルT3を参照することで、情報登録時に設定されている追跡用データから申請書へのアクセス権限の有無を判断でき、アクセス権限がある場合は文書IDで文書状態管理テーブルT2の審査状況を取得できる。追跡用データの登録時にアクセス権限も設定される。
【0191】
図37(d)は追跡専用テーブルT4を示す。追跡専用テーブルT4は、文書ID、追跡用データ、及び、アクセス先の各項目を有する。追跡専用テーブルT4は追跡用データとアクセス先を対応付けて記憶するテーブルである。アクセス先はURLなどでデータテーブルT1、文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3の保存場所を示す通信先情報である。また、データテーブルT1、文書状態管理テーブルT2及び文書状態管理権限テーブルT3のそれぞれについて別々の保存場所を示すURLが用意されてもよい。
【0192】
追跡専用テーブルT4により追跡専用装置50等は、重複しない追跡用データとアクセス先を作成できる。また、追跡用データのみが電子透かしに形成されている場合もアクセス先に基づいて文書状態管理テーブルT2と文書状態管理権限テーブルT3にアクセスできる。
【0193】
画像処理装置10に保存されているデータテーブルとデータベース装置30に保存されているデータテーブルは同様のデータ構造を有する。
【0194】
図38(a)はデータテーブルT1を示し、
図38(b)はアクセスログテーブルT5を示し、
図38(c)はアクセスログ管理権限テーブルT6を示す。アクセスログテーブルT5は受け付け番号、文書ID、印刷の回数、編集の回数、及び、複製の回数の各項目を有する。アクセスログテーブルT5は申請書に対しどのようなアクセスがあったのかを管理するためのテーブルである。
【0195】
アクセスログ管理権限テーブルT6は文書ID、アクセス権限、追跡コード及びユーザの各項目を有する。アクセスログ管理権限テーブルT6はアクセスログテーブルへのアクセス権を管理するテーブルであるが、文書状態管理権限テーブルT3と同じものである。
【0196】
データテーブルT1とアクセスログテーブルT5は受け付け番号で対応付けられている。アクセスログテーブルT5とアクセスログ管理権限テーブルT6は文書IDで対応付けられている。
【0197】
追跡部24、追跡部37又は追跡部55は、アクセスログ管理権限テーブルT6を参照することで、情報登録時に設定されている追跡用データからアクセスログテーブルT5へのアクセス権の有無を判断でき、アクセス権がある場合は文書IDでアクセスログテーブルT5の印刷数、編集数、及び複製数を取得できる。印刷の回数、編集の回数、及び複製の回数をまとめてアクセスログという場合がある。
【0198】
<処理の流れ>
図39、
図40を用いて処理の流れを説明する。
図39は情報登録に関する処理の流れを説明する図の一例である。
図38は、画像処理装置10から画像データの入力を行い、追跡用データは追跡専用装置50から取得し、情報登録先がデータベース装置30であるケースについて記載する。
(1)申請者が画像処理装置10を操作して、申請書に関する情報を入力し、登録先を設定する。
(2)画像処理装置10は、重複しない追跡用データを作成するために追跡専用装置50に追跡用データの要求を行う。
(3)追跡専用装置50はこれまでに作成した追跡用データとアクセス権限を対応付けて記憶する追跡専用テーブルT4を保持しており、これまでに発行した追跡用データと一致しない追跡用データを作成して画像処理装置10に通知する。
(4)画像処理装置10は入力された申請書に関する情報と追跡用データを外部のデータベース装置30に送信する。
(5)外部のデータベース装置30は記憶するためのデータテーブルT1の空きを検索して、空き領域に申請書に関する情報を記憶する。データテーブルT1は文書状態管理テーブルT2と対応づけられており、審査状況が設定される。また、文書状態管理テーブルT2は、文書状態管理テーブルT2にアクセスするためのアクセス権限を管理している文書状態管理権限テーブルT3と関連付けられている。追跡用データの登録により文書状態管理権限テーブルT3には文書状態管理テーブルT2にアクセスするためのアクセス権限が設定される。
【0199】
図40は審査状況の取得に関する処理の流れを説明する図である。
(1)申請者が審査状況の取得のために、電子透かしが形成された申請書控え9を画像処理装置10に読み込ませる。
(2)画像処理装置10では追跡用データを検知し、追跡専用装置50に追跡用データを送信する。
(3)追跡専用装置50は追跡用データと関連付けられている外部のデータベース装置30へアクセス先を追跡専用テーブルT4から検索し、アクセス先のデータベース装置30に追跡用データを送信する。
(4)データベース装置30は、文書状態管理権限テーブルT3から追跡用データに対応付けられている文書IDを取得し、この文書IDに対応付けられている審査状況を文書状態管理テーブルT2から取得する。
(5)データベース装置30は審査状況を、追跡専用装置50を経て画像処理装置10に送信する。
(6)画像処理装置10は受け取った審査状況を画像処理装置10のタッチパネル10cに表示する。
【0200】
<まとめ>
このように、本実施形態では文書状態管理権限テーブルT3に追跡用データが登録され、文書状態管理テーブルT2に審査状況が登録されている。追跡用データが申請書控え9に電子透かしとして形成されているので、申請者が申請書控え9を画像処理装置10Bに読み取らせることで、追跡用データで文書状態管理権限テーブルT3が検索され審査状況を取得できるため、申請者が出向かなくても審査状況を把握できる。
【0201】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0202】
例えば、本実施形態では追跡用データを申請書控え9に印刷したが、追跡用データは任意の記憶媒体に記憶されてよい。例えば、USBメモリやICカードに記憶されてよい。また、電子メールなどで申請者に転送されてもよい。また、申請書控え9でなく任意の紙媒体や白紙に追跡用データが電子透かしとして形成されてもよい。
【0203】
また、本実施形態では申請書の審査状況を例に説明したが、段階的に状態が変化する文書に対し好適に適用できる。例えば、登録、印刷、破棄、のように文書状態が変化する文書、ワークフローにおいて次々と処理が施される文書などに適用できる。
【0204】
また、
図11,
図12、
図13などの構成例は、画像処理装置10、データベース装置30、及び追跡専用装置50の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、画像処理装置10、データベース装置30、及び追跡専用装置50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0205】
また、画像処理装置10、データベース装置30、及び追跡専用装置50の機能がそれぞれ複数のサーバ装置に分散されていてもよいし、複数の画像処理装置10、データベース装置30、及び追跡専用装置50が存在してもよい。
【0206】
なお、情報入力部21は受付手段の一例であり、1次記憶部17、33,53及び2次記憶部18、34、54は記憶手段の一例であり、画像出力部13は第一の出力手段の一例であり、追跡部24は追跡用データ取得手段の一例であり、審査状況取得部26は状態取得手段の一例であり、出力部27は第二の出力手段の一例であり、データベース編集部25は更新手段の一例である。文書状態管理テーブルT2は第一の情報の一例であり、文書状態管理権限テーブルT3は第二の情報の一例であり、アクセスログテーブルT5は第三の情報の一例であり、追跡専用テーブルT4は第四の情報の一例である。