(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-17
(45)【発行日】2022-10-25
(54)【発明の名称】生体物質定量方法、画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20221018BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20221018BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
G01N33/48 P
G01N21/64 F
G01N33/543 575
(21)【出願番号】P 2019551144
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2018039276
(87)【国際公開番号】W WO2019087853
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2017213471
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雄大
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/035705(WO,A1)
【文献】特開2015-021889(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146841(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163211(WO,A1)
【文献】特開2016-001141(JP,A)
【文献】特開2002-222414(JP,A)
【文献】特開平08-145871(JP,A)
【文献】特開平11-112814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力工程と、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換工程と、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換工程と、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて、前記生体物質を定量する定量工程と、を含
み、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出工程と、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定工程と、をさらに含み、
前記定量工程においては、前記判定工程において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
生体物質定量方法。
【請求項2】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力工程と、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出工程と、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定工程と、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量工程と、を含み、
前記定量工程においては、前記判定工程において前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
生体物質定量方法。
【請求項3】
前記判定工程は、複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値のピーク値に該当する座標の変化が、所定の第3閾値よりも小さいか否かを判定する請求項
2に記載の生体物質定量方法。
【請求項4】
前記判定工程は、複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の形状の変化が、所定の第4閾値よりも小さいか否かを判定する請求項
2又は
3に記載の生体物質定量方法。
【請求項5】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力手段と、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換手段と、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換手段と、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて、前記生体物質を定量する定量手段と、を備え
、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段と、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段と、をさらに含み、
前記定量手段は、前記判定手段において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
画像処理装置。
【請求項6】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力手段と、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段と、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段と、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段と、を備え、
前記定量手段は、前記判定手段によって前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
画像処理装置。
【請求項7】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本における、前記生体物質を定量するコンピューターを、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力手段、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換手段、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出手段、
前記抽出手段によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換手段、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段
、
として機能させ
、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段、として機能させ、
前記定量手段は、前記判定手段において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外するためのプログラム。
【請求項8】
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本における、前記生体物質を定量するコンピューターを、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力手段、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段、として機能させるためのプログラムであって、
前記定量手段は、前記判定手段によって前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質定量方法、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理診断において、組織切片で過剰発現をしている生体物質の発現量を定量することは、予後の予測やその後の治療計画を決める上で非常に重要な情報となり得る。こうした生体物質の定量においては、組織切片内に設定した解析対象領域である関心領域内における特定の生体物質の発現量を解析することから、生体物質の定量及び関心領域の抽出を正確に行うことができる手法の開発が望まれている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、多数の蛍光色素を内包した蛍光ナノ粒子を用いて特定の生体物質を染色した組織標本を撮像した蛍光画像から、蛍光輝点を抽出し蛍光画像における特定の生体物質の発現量を定量解析する方法が記載されている。
【0004】
蛍光ナノ粒子は、蛍光色素を単体で用いて染色する場合に比べて高輝度かつ光安定性を有するため、定量的な解析に適している。しかしながら、組織切片のように自家蛍光を発する標本を用いた観察時には、蛍光ナノ粒子の輝度をシグナル(S)、自家蛍光の輝度をノイズ(N)とした場合のS/N比が低いと、自家蛍光まで輝点数に含めてしまう可能性が高くなり、やはり定量的な解析が困難であった。
【0005】
このような問題に対し、特許文献2には、自家蛍光による影響を排除した蛍光観察方法が開示されている。具体的には、蛍光画像の取得後、蛍光物質が発する蛍光波長を取得するために用いたバンドパスフィルタを当該バンドパスフィルタよりも短波長側又は長波長側の近傍領域の波長を取得できるバンドパスフィルタに交換し、蛍光画像と同一条件下で画像を取得することで、蛍光物質の蛍光を含まず自家蛍光のみが含まれた画像を取得する。この自家蛍光画像の輝度をもとに、蛍光画像の輝度から自家蛍光画像の輝度を除く処理によって、自家蛍光を含まず、蛍光物質による蛍光のみを含む画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2013/146841号
【文献】国際公開2012/035705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、自家蛍光と蛍光物質による蛍光とを分離するためには、自家蛍光の波長域とは異なる波長域の蛍光物質を用いる必要がある。即ち、自家蛍光の波長域が複数ある場合には、全ての波長域と異なる蛍光波長を有する蛍光物質を用いなければならないが、このような条件を満たす蛍光物質を用意できないという事態が生じる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、自家蛍光による影響を効果的に抑制し、組織標本における生体物質の発現を定量的に評価可能な生体物質定量方法、画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の生体物質定量方法は、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力工程と、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換工程と、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換工程と、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて、前記生体物質を定量する定量工程と、を含み、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出工程と、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定工程と、をさらに含み、
前記定量工程においては、前記判定工程において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の生体物質定量方法は、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力工程と、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出工程と、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定工程と、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量工程と、を含み、
前記定量工程においては、前記判定工程において前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の生体物質定量方法において、
前記判定工程は、複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値のピーク値に該当する座標の変化が、所定の第3閾値よりも小さいか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の生体物質定量方法において、
前記判定工程は、複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の形状の変化が、所定の第4閾値よりも小さいか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の画像処理装置は、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力手段と、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換手段と、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換手段と、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて、前記生体物質を定量する定量手段と、を備え、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段と、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段と、をさらに含み、
前記定量手段は、前記判定手段において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の画像処理装置は、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力手段と、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段と、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段と、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段と、を備え、
前記定量手段は、前記判定手段によって前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載のプログラムは、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本における、前記生体物質を定量するコンピューターを、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す第1の蛍光画像を入力する入力手段、
前記第1の蛍光画像を実空間から周波数空間に変換する第1の変換手段、
前記周波数空間の画像から、所定の周波数よりも高い周波数成分のみの画像を抽出する抽出手段、
前記抽出手段によって抽出された周波数成分の画像を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成する第2の変換手段、
前記第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段、
として機能させ、
前記第1の蛍光画像は、前記組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像であり、
前記第2の蛍光画像は、複数枚の前記第1の蛍光画像の各々について生成された複数枚の蛍光画像であり、
複数枚の前記第2の蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段、
複数枚の前記第2の蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段、として機能させ、
前記定量手段は、前記判定手段において前記輝度積算値の差が所定の第1閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する。
【0017】
請求項8に記載のプログラムは、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本における、前記生体物質を定量するコンピューターを、
単一又は複数種類の生体物質が染色された組織標本を、当該組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた、前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す複数枚の蛍光画像を入力する入力手段、
複数枚の前記蛍光画像から蛍光輝点領域を抽出し、当該蛍光輝点領域の輝度値の積算値である輝度積算値を算出する算出手段、
複数枚の前記蛍光画像の間で、同一の蛍光輝点領域の前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいか否かを判定する判定手段、
前記蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて前記生体物質を定量する定量手段、として機能させるためのプログラムであって、
前記定量手段は、前記判定手段によって前記輝度積算値の差が所定の第2閾値よりも小さいと判定された蛍光輝点領域を定量の対象から除外する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自家蛍光による影響を効果的に抑制し、組織標本における生体物質の発現を定量的に評価可能な生体物質定量方法、画像処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る生体物質定量システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態における生体物質定量処理1の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態における自家蛍光検出処理1の詳細を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態における輝点領域の抽出の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態における生体物質定量処理2の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態における自家蛍光検出処理2の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態における生体物質定量処理3の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
<蛍光画像の生体物質定量システム100の構成>
図1に、生体物質定量システム100の全体構成例を示す。
図1に示すように、生体物質定量システム100は、顕微鏡画像取得装置1Aと、画像処理装置2Aと、がケーブル3Aなどのインターフェースを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。
顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2Aとの接続方式は特に限定されない。たとえば、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2AはLAN(Local Area Network)により接続されることとしてもよいし、無線により接続される構成としてもよい。
【0022】
顕微鏡画像取得装置1Aは、公知のカメラ付き顕微鏡であり、スライド固定ステージ上に載置されたスライド上の組織切片の顕微鏡画像を取得し、画像処理装置2Aに送信するものである。
顕微鏡画像取得装置1Aは、照射手段、結像手段、撮像手段、通信I/Fなどを備えて構成されている。照射手段は、光源、フィルタなどにより構成され、スライド固定ステージに載置されたスライド上の組織切片に光を照射する。結像手段は、接眼レンズ、対物レンズなどにより構成され、照射した光によりスライド上の組織切片から発せられる透過光、反射光、又は蛍光を結像する。撮像手段は、CCD(Charge Coupled Device)センサーなどを備え、結像手段により結像面に結像される像を撮像して顕微鏡画像のデジタル画像データを生成する顕微鏡設置カメラである。通信I/Fは、生成された顕微鏡画像の画像データを画像処理装置2Aに送信する。
顕微鏡画像取得装置1Aでは、明視野観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた明視野ユニット、蛍光観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた蛍光ユニットが備えられており、ユニットを切り替えることにより明視野/蛍光を切り替えることが可能である。
なお、公知の任意の顕微鏡(たとえば、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、電子顕微鏡等)にカメラを設置したものを顕微鏡画像取得装置1Aとして用いることができる。
【0023】
なお、顕微鏡画像取得装置1Aとしては、カメラ付き顕微鏡に限定されず、たとえば、顕微鏡のスライド固定ステージ上のスライドをスキャンして組織切片全体の顕微鏡画像を取得するバーチャル顕微鏡スライド作成装置(たとえば、特表2002-514319号公報参照)などを用いてもよい。バーチャル顕微鏡スライド作成装置によれば、スライド上の組織切片全体像を表示部で一度に閲覧可能な画像データを取得することができる。
【0024】
画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織切片における細胞ごとの合焦位置を特定する。
図2に、画像処理装置2Aの機能構成例を示す。
図2に示すように、画像処理装置2Aは、制御部21、操作部22、表示部23、通信I/F24、記憶部25などを備えて構成され、各部はバス26を介して接続されている。
【0025】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成され、記憶部25に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像処理装置2Aの動作を統括的に制御する。
たとえば、制御部21は、記憶部25に記憶されている画像処理プログラムとの協働により画像解析処理を実行し、第1の変換手段、抽出手段、第2の変換手段、定量手段、算出手段、判定手段としての機能を実現する。
【0026】
操作部22は、文字入力キー、数字入力キー、各種機能キーなどを備えたキーボードと、マウスなどのポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部21に出力する。
【0027】
表示部23は、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのモニタを備えて構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0028】
通信I/F24は、顕微鏡画像取得装置1Aをはじめとする外部機器との間でデータ送受信を行なうためのインターフェースである。通信I/F24は、蛍光画像及び形態画像の入力手段としての機能を実現する。
【0029】
記憶部25は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリーなどで構成されている。記憶部25には、前述のように各種プログラムや各種データ、及び後述する抽出された輝点領域の座標や合焦位置等が記憶される。
その他、画像処理装置2Aは、LANアダプターやルーターなどを備え、LANなどの通信ネットワークを介して外部機器と接続される構成としてもよい。
【0030】
<組織標本>
続いて、組織標本について説明する。
組織標本は目的生体物質を含む組織切片であって免疫染色剤で染色され、染色後の組織標本が顕微鏡画像取得装置1Aのステージに設置される。
【0031】
(1)目的生体物質
目的生体物質とは、主に病理診断の観点からの検出または定量のために、蛍光標識体を用いた免疫染色の対象とするものをいい、組織切片に発現している生体物質、特にタンパク質(抗原)である。
典型的な目的生体物質としては、各種の癌組織の細胞膜で発現しており、バイオマーカとして利用することができる生体物質が挙げられる。
【0032】
(2)免疫染色剤(抗体-蛍光ナノ粒子の結合体)
免疫染色剤としては、蛍光標識の効率を向上させて蛍光の劣化につながる時間経過をなるべく抑えるために、一次抗体および蛍光ナノ粒子が間接的に、つまり抗原抗体反応などを利用した、共有結合以外の結合によって連結される複合体を用いることが好ましい。染色操作を簡便にするため、免疫染色剤として、一次抗体または二次抗体に蛍光ナノ粒子が直結している複合体を用いることもできる。
【0033】
免疫染色剤の一例として、[目的生体物質に対する一次抗体]…[一次抗体に対する抗体(二次抗体)]~[蛍光ナノ粒子]が挙げられる。
“…”は抗原抗体反応により結合していることを表し、“~”が示す結合の態様としては特に限定されず、たとえば、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、抗原抗体結合、ビオチンアビジン反応、物理吸着、化学吸着などが挙げられ、必要に応じてリンカー分子を介していてもよい。
【0034】
(3)抗体
一次抗体には、目的生体物質としてのタンパク質を抗原として特異的に認識して結合する抗体(IgG)を用いることができる。たとえば、HER2を目的生体物質とする場合は抗HER2抗体を、HER3を目的生体物質とする場合は抗HER3抗体を、それぞれ用いることができる。
二次抗体には、一次抗体を抗原として特異的に認識して結合する抗体(IgG)を用いることができる。
一次抗体および二次抗体はいずれも、ポリクローナル抗体であってもよいが、定量の安定性の観点から、モノクローナル抗体が好ましい。抗体を産生する動物(免疫動物)の種類は特に限定されるものではなく、従来と同様、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどから選択すればよい。
【0035】
(4)蛍光ナノ粒子
蛍光ナノ粒子とは、励起光の照射を受けて蛍光発光するナノサイズの粒子であって、目的生体物質を1分子ずつ輝点として表すのに十分な強度の蛍光を発光しうる粒子である。
蛍光ナノ粒子として、好ましくは量子ドット(半導体ナノ粒子)、蛍光物質集積ナノ粒子が使用される。蛍光ナノ粒子の輝度は、自家蛍光の輝度の5倍以上であることが望ましい。
【0036】
(4.1)量子ドット
量子ドットとしては、II-VI族化合物、III-V族化合物またはIV族元素を含有する半導体ナノ粒子が使用される。たとえば、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geなどが挙げられる。
【0037】
(4.2)蛍光物質集積ナノ粒子
蛍光物質集積ナノ粒子は、有機物または無機物でできた粒子を母体とし、複数の蛍光物質(たとえば、上記量子ドット、蛍光色素など)がその中に内包されている及び/又はその表面に吸着している構造を有する、ナノサイズの粒子である。
蛍光物質集積ナノ粒子としては、母体と蛍光物質とが、互いに反対の電荷を有する置換基または部位を有し、静電的相互作用が働くものであることが好適である。
蛍光物質集積ナノ粒子としては、量子ドット集積ナノ粒子、蛍光色素集積ナノ粒子などが使用される。
【0038】
蛍光物質集積粒子の発光波長は、蛍光顕微鏡の撮像素子の感度域内であれば任意である。具体的には、発光波長が400~700nmであることが好ましい。
蛍光物質集積粒子の平均粒径は特に限定されないが、粒径が大きいものは抗原にアクセスしにくく、粒径が小さく輝度値が低いものは発する蛍光がバックグラウンドノイズ(カメラのノイズや細胞の自家蛍光)に埋もれてしまうことから、20~200nm程度のものが好適である。
また、粒径の変動係数が15%以下であることが好ましい。蛍光色素集積粒子の粒径のばらつきが小さいことにより、1粒子当たりの蛍光の輝度値がほぼ一定となるため定量精度が高まる。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径として求めた。本願においては、1000個の粒子の粒径の算術平均を平均粒径とした。変動係数も、1000個の粒子の粒径分布から算出した値とした。
【0039】
(4.2.1)母体
母体のうち、有機物としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂など、一般的に熱硬化性樹脂に分類される樹脂;スチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸メチル共重合体)など、一般的に熱可塑性樹脂に分類される樹脂;ポリ乳酸等のその他の樹脂;多糖を例示することができる。
母体のうち、無機物としては、シリカ、ガラスなどを例示することができる。
【0040】
(4.2.2)量子ドット集積ナノ粒子
量子ドット集積ナノ粒子とは、上記量子ドットが、上記母体の中に内包されている、及び/又はその表面に吸着している構造を有する。
量子ドットが母体に内包されている場合、量子ドットは母体内部に分散されていればよく、母体自体と化学的に結合していてもよいし、していなくてもよい。
【0041】
(4.2.3)蛍光色素集積ナノ粒子
蛍光色素集積ナノ粒子とは、蛍光色素が、上記母体の中に内包されている、及び/又はその表面に吸着している構造を有する。
蛍光色素としては、ローダミン系色素分子、スクアリリウム系色素分子、シアニン系色素分子、芳香環系色素分子、オキサジン系色素分子、カルボピロニン系色素分子、ピロメセン系色素分子などを例示することができる。
蛍光色素としては、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、Cy(登録商標、GEヘルスケア社製)系色素分子、HiLyte(登録商標、アナスペック社製)系色素分子、DyLight(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO(登録商標、ATTO-TEC社製)系色素分子、MFP(登録商標、Mobitec社製)系色素分子、CF(登録商標、Biotium社製)系色素分子、DY(登録商標、DYOMICS社製)系色素分子、CAL(登録商標、BioSearch Technologies社製)系色素分子などを用いることができる。
なお、蛍光色素が母体に内包されている場合、蛍光色素は母体内部に分散されていればよく、母体自体と化学的に結合していてもよいし、していなくてもよい。
【0042】
(5)組織切片の染色方法
染色方法の一例について説明する。
この染色方法が適用できる組織切片(単に「切片」ともいい、病理切片などの切片も含まれる。)の作製法は特に限定されず、公知の手順により作製されたものを用いることができる。
【0043】
(5.1)標本作製工程
(5.1.1)脱パラフィン処理
キシレンを入れた容器に、切片を浸漬させ、パラフィン除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
【0044】
次いでエタノールを入れた容器に切片を浸漬させ、キシレン除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
【0045】
水を入れた容器に、切片を浸漬させ、エタノール除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
【0046】
(5.1.2)賦活化処理
公知の方法に倣い、目的生体物質の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01Mのクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMのEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mのトリス塩酸緩衝液などを用いることができる。
pH条件は用いる組織切片に応じてpH2.0~13.0の範囲から、シグナルが出て、組織の荒れがシグナルを評価できる程度となる条件で行う。通常はpH6.0~8.0で行うが、特殊な組織切片ではたとえばpH3.0でも行う。
加熱機器はオートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバスなどを用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50~130℃、時間は5~30分で行うことができる。
【0047】
次いでPBSを入れた容器に、賦活処理後の切片を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
【0048】
(5.2)免疫染色工程
免疫染色工程では、目的生体物質を染色するために、目的生体物質に直接的または間接的に結合しうる部位を有する蛍光ナノ粒子を含む免疫染色剤の溶液を、切片に乗せ、目的生体物質との反応を行う。免疫染色工程に用いる免疫染色剤の溶液については、この工程の前にあらかじめ調製しておけばよい。
【0049】
免疫染色工程を行う上での条件、すなわち免疫染色剤の溶液に組織標本を浸漬する際の温度および浸漬時間は、従来の免疫染色法に準じて、適切なシグナルが得られるよう適宜調整することができる。
温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
上述したような処理を行う前に、BSA含有PBSなど公知のブロッキング剤やTween20などの界面活性剤を滴下することが好ましい。
【0050】
(5.3)標本後処理工程
免疫染色工程を終えた組織標本は、観察に適したものとなるよう、固定化・脱水、透徹、封入などの処理を行うことが好ましい。
【0051】
固定化・脱水処理は、組織標本を固定処理液(ホルマリン、パラホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、アセトン、エタノール、メタノールなどの架橋剤)に浸漬すればよい。透徹処理は、固定化・脱水処理を終えた組織標本を透徹液(キシレンなど)に浸漬すればよい。封入処理は、透徹処理を終えた組織標本を封入液に浸漬すればよい。
これらの処理を行う上での条件、たとえば組織標本を所定の処理液に浸漬する際の温度および浸漬時間は、従来の免疫染色法に準じて、適切なシグナルが得られるよう適宜調整することができる。
【0052】
(5.4)形態観察染色工程
免疫染色工程とは別に、明視野において細胞、組織、臓器などの形態を観察することができるようにするための、形態観察染色を行ってもよい。
形態観察染色工程は、常法に従って行うことができる。
組織標本の形態観察に関しては、細胞質・間質・各種線維・赤血球・角化細胞が赤~濃赤色に染色される、エオジンを用いた染色が標準的に用いられている。細胞核・石灰部・軟骨組織・細菌・粘液が青藍色~淡青色に染色される、ヘマトキシリンを用いた染色も標準的に用いられている(これら2つの染色を同時に行う方法はヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)として知られている)。
形態観察染色工程を含める場合は、免疫染色工程の後に行うようにしてもよいし、免疫染色工程の前に行うようにしてもよい。
【0053】
(6)蛍光画像取得工程
染色した組織標本に対し、顕微鏡画像取得装置1Aを用いて顕微鏡画像(第1の蛍光画像)を取得する。第1の蛍光画像の取得に際して、フォーカシングは蛍光ナノ粒子に対して行い、蛍光ナノ粒子に合焦した面(合焦面)を第1の蛍光画像として取得する。
制御部21は、顕微鏡画像取得装置1Aのステージを制御して、焦点位置を切り替えさせながら合焦面を特定し、組織標本の蛍光画像を撮像する。
蛍光画像を撮像する場合、制御部21は、照射手段により励起光を組織標本に照射する。すると、組織標本の蛍光ナノ粒子が蛍光発光し、蛍光輝点が出現する。制御部21はその蛍光像を撮像手段に撮像させる。
【0054】
<蛍光画像の生体物質定量方法>
続いて、蛍光画像の生体物質定量方法について説明する。
かかる方法は、蛍光画像の生体物質定量システム100を用いて、免疫染色後の組織標本から自家蛍光を除去し、組織標本における生体物質の発現量を定量的に評価する際に行われる方法である。
【0055】
はじめに、免疫染色後の組織標本を顕微鏡画像取得装置1Aのステージに設置し、合焦位置を特定して合焦面を撮像する。その後、組織標本の第1の蛍光画像を生成し、これを画像処理装置2Aに送信する。
【0056】
図3に、画像処理装置2Aにおける生体物質定量処理1のフローチャートを示す。
図3に示す生体物質定量処理1は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。かかるプログラムとしては、たとえば「ImageJ」(オープンソース)が挙げられる。かかる画像処理ソフトウエアを利用することにより、蛍光画像から所定の波長(色)の蛍光輝点を抽出し、輝点領域の輝度値や蛍光ナノ粒子数を算出する処理などを、半自動的に迅速に行いうる。
【0057】
まず、顕微鏡画像取得装置1Aからの第1の蛍光画像が入力されると(ステップS11:入力工程)、自家蛍光検出処理を実行する(ステップS12)。
図4に、ステップS12における自家蛍光検出処理1のフローチャートを示す。
図4に示す自家蛍光検出処理1は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0058】
ステップS12においては、まず、第1の蛍光画像に対して離散フーリエ変換を実行する(ステップS121:第1の変換工程)。即ち、ステップS121の処理によって、実空間から周波数特性を得る。
【0059】
次いで、ステップS121の処理によって分離された周波数のうち、所定の周波数よりも高い周波数成分のみを抽出する(ステップS122:抽出工程)。即ち、蛍光ナノ粒子の蛍光輝点と比べると、輝度が低く周囲の画素との画素値の差が小さいため、低周波成分に分離される。ステップS122において、自家蛍光を分離できるようなハイパスフィルタを予め設計しておき、これを用いて第1の蛍光画像の周波数成分のうち高周波成分のみを残し低周波成分を除去することで、自家蛍光が除去される。
【0060】
次いで、ステップS122の処理によって抽出された高周波成分について、逆離散フーリエ変換を実行することで、蛍光ナノ粒子の蛍光のみが抽出された実空間の蛍光画像(第2の蛍光画像)が得る(ステップS123:第2の変換工程)。以上により、自家蛍光検出処理が完了する。
【0061】
自家蛍光検出処理が完了すると、第2の蛍光画像から輝点領域が抽出される(ステップS13)。
図5に、ステップS13における処理の詳細フローを示す。ステップS13の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0062】
ステップS13においては、まず、蛍光画像から蛍光輝点の波長に応じた色成分の抽出が行われる(ステップS131)。ステップS131では、たとえば、蛍光粒子の発光波長が550nmである場合には、その波長成分を有する蛍光輝点のみが画像として抽出される。
【0063】
次いで、抽出された画像に閾値処理が施され、二値化画像が生成され、輝点領域が抽出される(ステップS132)。
【0064】
次いで、輝点領域にラベリング処理が施され、抽出された輝点領域のそれぞれにラベルが付与される(ステップS133)。以上の処理により、輝点領域の抽出が完了する。
【0065】
ステップS13の処理の後、輝点領域が抽出された画像について、輝点数が計測される(ステップS14:定量工程)。即ち、一輝点を一蛍光ナノ粒子として計測することで、目的生体物質の発現量を定量評価することができる。なお、ここでは単に輝点数を計測するものとしたが、例えば第1の蛍光画像と同一平面上かつ同一範囲の明視野画像を撮像して、細胞領域又は細胞核領域を抽出し輝点領域画像と重ね合わせることで、細胞領域ごと又は細胞核領域ごとの輝点数を算出することができる。
【0066】
以上説明したように、第1の実施形態に係る生体物質定量システム100においては、組織標本を撮像して得られた第1の蛍光画像を、実空間から空間周波数に変換し、所定の周波数よりも高い周波数成分のみを抽出し、抽出された周波数成分を実空間に変換して第2の蛍光画像を生成し、第2の蛍光画像における蛍光輝点領域に基づいて生体物質を定量する。したがって、第1の実施形態に係る生体物質定量システム100によれば、周波数特性を利用して自家蛍光と蛍光物質による蛍光とを確実に分離することができるため、自家蛍光による影響を効果的に抑制し、組織標本における生体物質の発現を定量的に評価可能である。
【0067】
また、従来技術のように波長に基づいて自家蛍光と蛍光物質による蛍光とを分離するためには、自家蛍光の波長域とは異なる波長域の蛍光物質を用いる必要があったが、第1の実施形態に係る生体物質定量システム100においては、蛍光の波長によらずに自家蛍光と蛍光物質による蛍光とを分離することができるため、観察に用いる蛍光物質が限定されることなく、確実に自家蛍光を分離することができる。また、自家蛍光の検出のためにバンドパスフィルタ等を交換して複数回撮影する必要がなく、効率的である。
【0068】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について図面を用いて説明する。第2の実施形態に係る生体物質定量システム100は、第1の実施形態とは異なり、組織標本の高さ方向に複数枚の撮像された蛍光画像を用いて、自家蛍光と蛍光ナノ粒子の蛍光輝点とを判別して、自家蛍光を解析対象から除外する。
なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
はじめに、第1の実施形態と同様、免疫染色後の組織標本を顕微鏡画像取得装置1Aのステージに設置し、フォーカシングを蛍光ナノ粒子に対して行い、蛍光ナノ粒子に合焦した面(合焦面)を撮像する。続いて、合焦面を基準として、Z方向の上下に焦点位置を移動させ、所定の間隔(例えば、5um)毎に複数の焦点面を撮像する。その後、組織標本から蛍光画像を生成し、これを画像処理装置2Aに送信する。
【0070】
図6に、制御装置60における生体物質定量処理2のフローチャートを示す。
図6に示す生体物質定量処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。かかるプログラムとしては、第1の実施形態と同様に、たとえば「ImageJ」(オープンソース)が挙げられる。
【0071】
まず、顕微鏡画像取得装置1Aからの蛍光画像が入力されると(ステップS21:入力工程)、輝点領域の抽出を実行する(ステップS22)。ここで、ステップS22において入力される蛍光画像は、上記したように合焦面と、合焦面を基準としてZ方向に所定の間隔を空けて撮像された、複数の焦点面の蛍光画像である。
ステップS21においては、これらの蛍光画像の全てが画像処理装置2Aに入力され、ステップS22においては、全ての蛍光画像について輝点領域の抽出が実行される。なお、ステップS22における処理は、第1の実施形態に係るステップS13の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
輝点領域が抽出されると、自家蛍光検出処理2が実行される(ステップS23)。
図7に、ステップS23における自家蛍光検出処理2のフローチャートを示す。
図7に示す自家蛍光検出処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0073】
ステップS23においては、まず、輝点領域画像における輝点の座標が特定される(ステップS231)。即ち、ステップS22における輝点領域の抽出処理によっては、自家蛍光と蛍光ナノ粒子の輝点とが混在した輝点領域画像が得られるが、画像上の全ての輝点について、X-Y平面(Z方向に直交する平面)上のX座標位置及びY座標位置を特定し、記憶部25によって記憶させる。なお、ステップS231の処理は全ての蛍光画像に対して実行される。
【0074】
次いで、輝点領域画像上の各々の輝点について、輝度積算値が算出される(ステップS232:算出工程)。具体的には、輝点領域画像から輝点領域が抽出された画像と、その輝点領域に対応する部位の蛍光画像とが重ね合わされ、輝点領域が抽出された画像をマスクとして、蛍光画像から輝点領域に対応する新たな蛍光画像が生成される。この蛍光画像に基づき、X座標位置及びY座標位置における輝度値を数値化した輝度分布が作成され、この値を乗算したものが当該輝点領域における輝度積算値である。なお、ステップS232の処理は全ての蛍光画像に対して実行される。
【0075】
次いで、ステップS232で算出された輝度積算値を用いて、合焦面における各々の輝点領域の輝度積算値と、他の焦点面における輝度積算値との差を算出する(ステップS233)。
蛍光ナノ粒子の蛍光輝点はZ座標が異なると輝度積算値が大きく変化するが、自家蛍光の場合は蛍光ナノ粒子の輝点に比べて輝度積算値の変化が小さい。即ち、Z座標が一定の距離だけ離れた画像間で、輝度積算値の差異がほとんどない輝点を自家蛍光とみなすことができる。制御部21は、合焦面上の蛍光輝点と、合焦面からZ方向に所定の距離だけ離れた他の輝点領域画像上の同一座標に存在する蛍光輝点の、輝度積算値の差を算出する。
【0076】
次いで、各輝点領域について、ステップS233で算出された輝度積算値の差が所定の閾値(第1閾値)よりも小さいか否かを判定し、所定の閾値よりも小さいと判定された輝点領域を自家蛍光と判断して、定量解析の対象から除く(ステップS234:判定工程)。即ち、制御部21は、自家蛍光と判断された輝点領域の座標を記憶部25によって記憶させ、定量解析時にはこれを参照して自家蛍光以外の輝点領域を解析に用いる。以上の処理によって、自家蛍光検出処理を完了する。
【0077】
ステップS23の処理の後、輝点領域が抽出された画像について、輝点数が計測される(ステップS24:定量工程)。即ち、ステップS23の自家蛍光検出処理によって自家蛍光が計測の対象から除外されているため、蛍光ナノ粒子の輝点のみが計測される。なお、ここでは単に輝点数を計測するものとしたが、例えば第1の蛍光画像と同一平面上かつ同一範囲の明視野画像を撮像して、細胞領域又は細胞核領域を抽出し、輝点領域画像と重ね合わせることで、細胞領域ごと又は細胞核領域ごとの輝点数を算出することができる。これにより、細胞内の目的生体物質の発現量を定量解析することが可能である。
【0078】
以上説明したように、第2実施形態に係る生体物質定量システム100においては、組織標本の高さ方向に所定の間隔毎に撮像して得られた複数枚の蛍光画像から、蛍光輝点領域を抽出して輝度積算値を算出し、合焦面と他の焦点面における輝度積算値の差が所定の閾値以内の場合には自家蛍光と判定し、定量解析の対象から除外する。したがって、自家蛍光と蛍光物質との輝度積算値の変化量の差を利用してこれらを分離するため、波長に基づいて分離する場合と異なり、バンドパスフィルタ等を交換して複数回撮像する必要がなく効率的である。また、例えば想定よりもS/N比が低く、従来技術によっては自家蛍光を分離できない場合であっても、確実に分離することができる。
【0079】
なお、上記実施形態においては、Z座標の異なる画像間の輝度積算値の差を用いて自家蛍光を検出するものとしたが、これに限定されない。例えば、Z座標の異なる画像間で、輝点領域の輝度値がピーク値となる座標の変化が所定の閾値(第2閾値)よりも小さいものや、輝点領域の形状の変化が所定の閾値(第3閾値)よりも小さいものも、自家蛍光とみなすことができる。
【0080】
また、上記実施形態においては、実空間上で自家蛍光を分離できるようなフィルタ設計を並行して行うことも可能である。これにより、より確実に自家蛍光と蛍光物質による蛍光とを分離することができる。
【0081】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態について図面を用いて説明する。第3の実施形態に係る生体物質定量システム100は、自家蛍光検出処理として、周波数解析による自家蛍光の除去(自家蛍光除去処理)と輝度積算値を用いた自家蛍光の特定(自家蛍光特定処理)とを含む。
なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
はじめに、第2の実施形態と同様、免疫染色後の組織標本を顕微鏡画像取得装置1Aのステージに設置し、フォーカシングを蛍光ナノ粒子に対して行い、蛍光ナノ粒子に合焦した面(合焦面)を撮像する。続いて、合焦面を基準として、Z方向の上下に焦点位置を移動させ、所定の間隔(例えば、5um)を空けて複数の焦点面を撮像する。その後、組織標本30から第1の蛍光画像を生成し、これを画像処理装置2Aに送信する。
【0083】
図8に、画像処理装置2Aにおける生体物質定量処理3のフローチャートを示す。
図8に示す生体物質定量処理3は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。かかるプログラムとしては、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、たとえば「ImageJ」(オープンソース)が挙げられる。
【0084】
まず、顕微鏡画像取得装置1Aからの第1の蛍光画像が入力されると(ステップS31:入力工程)、自家蛍光除去処理を実行する(ステップS32)。ステップS32における自家蛍光除去処理は、第1の実施形態のステップS12における自家蛍光検出処理1と同様であるため、詳細な説明を省略する。即ち、離散フーリエ変換により第1の蛍光画像の周波数特性を求め(第1の変換工程)、高周波成分のみを抽出し(抽出工程)、逆離散フーリエ変換により自家蛍光を除去した第2の蛍光画像を得る(第2の変換工程)。なお、ステップS32の処理は、全ての第1の蛍光画像について実行する。
【0085】
続いて、第2の蛍光画像から輝点領域を抽出する(ステップS33)。なお、ステップS33における処理は、第1の実施形態に係るステップS13の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、ステップS33の処理は、全ての第2の蛍光画像について実行する。
【0086】
次いで、第2の蛍光画像から得られた輝点領域画像について、自家蛍光特定処理を実行する(ステップS34)。ステップS34における自家蛍光特定処理は、第2の実施形態のステップS23における自家蛍光検出処理2と同様であるため、詳細な説明を省略する。即ち、各輝点領域の座標を特定し、輝度積算値を算出し(算出工程)、合焦面と他の焦点面との間で輝度積算値の差が所定の閾値(第1閾値)よりも小さいものを自家蛍光と判断して(判定工程)、定量解析の対象から除外する。
【0087】
ステップS34の処理の後、輝点領域が抽出された画像について、輝点数が計測される(ステップS35:定量工程)。即ち、ステップS34の自家蛍光検出処理によって自家蛍光が計測の対象から除外されているため、蛍光ナノ粒子の輝点のみが計測される。なお、ここでは単に輝点数を計測するものとしたが、例えば第1の蛍光画像と同一平面上かつ同一範囲の明視野画像を撮像して、細胞領域又は細胞核領域を抽出し、輝点領域画像と重ね合わせることで、細胞領域ごと又は細胞核領域ごとの輝点数を算出することができる。これにより、細胞内の目的生体物質の発現量を定量解析することが可能である。
【0088】
以上説明したように、第3の実施形態に係る生体物質定量システム100においては、自家蛍光検出処理としての自家蛍光除去処理と自家蛍光特定処理とを併用する。即ち、自家蛍光除去処理によって低周波成分を有した自家蛍光を除去するとともに、当該処理によっては除去しきれなかった自家蛍光を、自家蛍光特定処理によって検出して解析の対象から除外することによって、より定量解析の精度を向上させることができる。
【0089】
[他の実施形態]
その他、生体物質定量システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0090】
本実施形態では、汎用の顕微鏡画像取得装置1Aを用いて蛍光画像の合焦位置を特定している。顕微鏡画像取得装置1Aに代えて公知のホールスライドスキャナを用いてもよい。ホールスライドスキャナによれば、組織標本の厚さ方向(Z方向)に自動でピントを合わせるだけでなく、組織標本の長さおよび幅方向(X-Y方向)にもステージ移動が可能であり、広範囲の蛍光画像を生成することができる。ホールスライドスキャナでも、蛍光画像の合焦位置を特定した後は、焦点位置を、その特定した蛍光画像の合焦位置に自動で移動させうる。
【0091】
本実施形態では、生体サンプルとして組織切片を対象とし、蛍光マーカーとして蛍光ナノ粒子を含む免疫染色剤で組織標本を染色し、蛍光画像の合焦位置を特定している。生体サンプルの対象は培養細胞であってもよいし、遺伝子(DNA)でもよい。生体サンプルの対象が遺伝子である場合には蛍光マーカーとして蛍光色素を用いることができる。蛍光ナノ粒子も蛍光色素も蛍光マーカーの一例であり、その他の公知の蛍光マーカーが使用されてもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、蛍光ナノ粒子のみによって組織標本を染色するものとしたが、これに限定されず、もちろん複数の蛍光ナノ粒子を用い、あるいは蛍光ナノ粒子と他の蛍光色素とを用いて多重染色してもよい。これらの場合も、上記実施形態と同様に蛍光ナノ粒子に対してフォーカシングを行うことが有効である。
【0093】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、生体物質定量方法、画像処理装置及びプログラムに利用できる。
【符号の説明】
【0095】
1A 顕微鏡画像取得装置
2A 画像処理装置
3A ケーブル
21 制御部(第1の変換手段、抽出手段、第2の変換手段、定量手段、算出手段、判定手段)
22 操作部
23 表示部
24 通信I/F(入力手段)
25 記憶部
26 バス
100 生体物質定量システム