特許 7160717 コンバイン

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-10-17

(45)【発行日】2022-10-25

(54)【発明の名称】コンバイン

(51)【国際特許分類】

   A01F 12/54 20060101AFI20221018BHJP

【ＦＩ】

A01F12/54 E

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2019028815

(22)【出願日】2019-02-20

(65)【公開番号】P2020130061

(43)【公開日】2020-08-31

【審査請求日】2021-07-30

(73)【特許権者】

【識別番号】000001878

【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003133

【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】板持 透

【審査官】竹中 靖典

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１７－０５１１６８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－０２９６５７（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平０２－１０７９４４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１３－１９８４１４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－１１８８２０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－２１０１６３（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭６３－００２４４２（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ０１Ｆ １２／１８ － １２／５４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

左右一対の走行装置に支持された機体と、
前記機体の前側に昇降自在に設けられた刈取り部と、
前記刈取り部で刈取られた穀稈に対して脱穀及び選別処理を施す脱穀選別部と、
前記脱穀選別部で選別された穀粒を貯蔵する穀粒タンクと、
前記脱穀選別部から排出された排塵物を前記機体外へと排出する排出口と、
前記排出口を覆う排塵カバーと、
前記排出口から排出された排塵物を案内する案内ガイドと、を備え、
前記機体の左右方向において対向する前記排塵カバーの側板の内、機体内側の側板を、上下方向に延設させ、かつ、前記機体内側の側板と前記一対の走行装置の間の中央位置との間の前記左右方向における距離が、前記機体内側の側板と各走行装置との間の前記左右方向におけるいずれの距離よりも短くなるように配設し、
前記案内ガイドは、
前記左右方向に複数、設けられた案内ガイドの内、前記左右方向において、前記一対の走行装置の間の中央位置から最も離れた案内ガイドであり、
排塵物を案内する案内面が前記機体内側に向かって下方に傾斜していると共に、前記機体を後方から見た際に、前記案内ガイドの案内面の延長線と、前記機体内側の側板の排塵物を案内する案内面の延長線と、が前記左右の走行装置の間でかつ、前記走行装置の接地面よりも上方にて交差するように構成されている、
ことを特徴とするコンバイン。

【請求項2】

前記脱穀選別部は、機体前後方向に延びる回転軸心を中心に回転する扱胴を備え、
前記排塵カバーは、前記回転軸心と前記機体内側の側板との距離が、前記回転軸心と機体外側の側板との距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項１記載のコンバイン。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、脱穀処理された排塵物の排出口が排塵カバーで覆われたコンバインに関する。

【背景技術】

【0002】

一般に、コンバインは、刈取り部で刈取った穀稈を脱穀部で脱穀処理し、その後、選別部で穀粒と排塵物とに選別される。選別部で選別された穀粒は、穀粒タンクまで搬送され、排出オーガを介して機外へ排出される。また、選別部で選別された排ワラ等の排塵物は、脱穀部の後方に設けた排出口から機外へ排出されるが、特に汎用コンバインの場合は、刈取られた穀稈が全量脱穀部に投入されるため、大量の排塵物が排出口から機外へ排出される。

【0003】

このような汎用コンバインにおいて、走行機体の後端側に排出口を覆う排塵カバーを取り付け、この排塵カバーの内部に設けたガイド板を介して、排出口から排出された排塵物を既刈り地側に排出するようにした技術が従来公知である（特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０１２－０２９６５７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、上記特許文献１記載の汎用コンバインでは、排塵カバーによって既刈り地側に案内誘導される排ワラ等の排塵物が、左右一方のクローラの走行跡に跨って落下するため、クローラの走行跡に落下した排塵物の回収が面倒であった。

【0006】

そこで、本発明は、排塵物の回収が容易なコンバインを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明に係るコンバインは、左右一対の走行装置（２）に支持された機体（３）と、前記機体（３）の前側に昇降自在に設けられた刈取り部（５）と、前記刈取り部（５）で刈取られた穀稈に対して脱穀及び選別処理を施す脱穀選別部（７，９）と、前記脱穀選別部（９）で選別された穀粒を貯蔵する穀粒タンク（１０）と、前記脱穀選別部（９）から排出された排塵物を前記機体（３）外へと排出する排出口（３１）と、前記排出口（３１）を覆う排塵カバー（３３）と、前記排出口（３１）から排出された排塵物を案内する案内ガイド（３７）と、を備え、前記機体の左右方向において対向する前記排塵カバー（３３）の側板の内、機体内側の側板（３３ｃ）を、上下方向に延設させ、かつ、前記機体内側の側板（３３ｃ）と前記一対の走行装置（２ａ，２ｂ）の間の中央位置（Ｃ１）との間の前記左右方向における距離（Ｌ１）が、前記機体内側の側板（３３ｃ）と各走行装置（２ａ，２ｂ）との間の前記左右方向におけるいずれの距離（Ｌ２，Ｌ３）よりも短くなるように配設し（Ｌ１＜Ｌ２，Ｌ３）、前記案内ガイド（３７）は、前記左右方向に複数、設けられた案内ガイド（３７，３８）の内、前記左右方向において、前記一対の走行装置（２ａ，２ｂ）の間の中央位置から最も離れた案内ガイドであり、排塵物を案内する案内面が前記機体内側に向かって下方に傾斜していると共に、前記機体（３）を後方から見た際に、前記案内ガイド（３７）の案内面の延長線（Ｙ１）と、前記機体内側の側板（３３ｃ）の排塵物を案内する案内面の延長線（Ｐ）と、が前記左右の走行装置（２ａ，２ｂ）の間でかつ、前記走行装置（２ａ，２ｂ）の接地面よりも上方にて交差するように構成されていることを特徴とする。

【0010】

また、前記脱穀選別部（７，９）は、機体前後方向に延びる回転軸心（Ｃ２）を中心に回転する扱胴（２０）を備え、前記排塵カバー（３３）は、前記回転軸心（Ｃ２）と前記機体内側の側板（３３ｃ）との距離（Ｌ４）が、前記回転軸心（Ｃ２）と機体外側の側板（３３ｃ）との距離（Ｌ５）よりも大きい（Ｌ４＞Ｌ５）と好適である。

【0011】

なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。

【発明の効果】

【0012】

請求項１に係る本発明によると、排塵カバーの機体内側の側板と一対の走行装置の間の中央位置との間の左右方向における距離が、機体内側の側板と各走行装置との間の左右方向におけるいずれの距離よりも短くなるように構成されている。このため、排塵カバーの機体内側の側板に沿って落下する排塵物を、左右のクローラの走行跡（ワダチ）の間に集積させることができ、排塵物の回収作業を容易にするができる。

【0013】

また、案内ガイドを、その案内面の延長線と、前記機体内側の側板の排塵物を案内する案内面の延長線と、が左右の走行装置の間でかつ、走行装置の接地面よりも上方にて交差するように構成している。このため、案内ガイドによって、左右のクローラの走行跡（ワダチ）の間に排塵物を案内することができる。

【0014】

さらに、上記案内ガイドは、左右方向に複数、設けられた案内ガイドの内、左右方向において、一対の走行装置の間の中央位置から最も離れた案内ガイドとなっている。このため、上記案内ガイドは、最も外側の案内ガイドであったとしても、左右のクローラの走行跡（ワダチ）の間に排塵物を案内することができるようになっている。

【0015】

請求項２に係る本発明によると、排塵カバーは、扱胴の回転軸心と機体内側の側板との距離が、扱胴の回転軸心と機体外側の側板との距離よりも大きくなるようになっている。こうすることによって、排塵カバーを機体外側に拡げずに、左右のクローラの走行跡（ワダチ）の間に排塵物を集積することができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】本発明を適用した汎用コンバインの側面図。

【図2】本発明を適用した汎用コンバインの平面図。

【図3】その脱穀部および選別部を示す断面図。

【図4】本発明を適用した汎用コンバインの背面図。

【図5】排塵カバーを含む機体後方側の要部平面図。

【図6】排塵物の排出経路を示す説明図。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図１と図２に示すように、汎用コンバイン１は、左右一対のクローラ式走行装置である走行装置２に支持された機体３を有している。該機体３の前側には、圃場の穀稈を刈取る刈取り部５が昇降自在に設けられており、前記機体３の前方一側方には、オペレータが着座して汎用コンバイン１を操縦する運転操作部６が設けられている。前記機体３の他側方には、前記刈取り部５で刈取り・搬送された穀稈を脱穀する脱穀部７が設けられていると共に、該脱穀部７の下方には、脱穀された選別物を選別する選別部９が設けられている。前記運転操作部６の後方には、上記選別部９で選別された穀粒を貯蔵するグレンタンク（穀粒タンク）１０と、該グレンタンク１０内に貯蔵された穀粒を機外に排出するための排出オーガ１１と、が設けられている。

【0018】

前記刈取り部５は、圃場の穀稈を分草するデバイダ１２と、該デバイダ１２によって分草された穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃１３と、該刈刃１３の後方側に配設されたバケット状のプラットホーム１４と、これらデバイダ１２及び刈刃１３の上方に配設された掻込みリール１５と、を備えており、該掻込みリール１５によってプラットホーム１４に掻き込まれた穀稈を刈刃１３が刈取るように構成されている。前記刈刃１３によって刈り取られた穀稈は、前記プラットホーム１４内のプラットホームオーガ（図示せず）によって搬送装置１６に横送りされた後、搬送装置１６の内部に配設されたフィーダ１９（図３参照）によって後方側に搬送される。該フィーダ１９の終端部は前記脱穀部７の上部前端側に接続されており、収穫した穀物を脱穀部７内へ刈取った穀稈ごと投入するように構成されている。

【0019】

図３に示すように、前記脱穀部７は、前記刈取り部５によって刈り取られた穀稈が投入される扱室１７と、該扱室１７内に回転自在に支持され、その外周面にらせん状に案内板２０ａが取付けられた扱胴２０と、を備えており、該案内板２０ａには、穀稈を引っ掛けて上記扱胴２０と共に回転させる突起状の扱歯２０ｂが複数設けられている。扱胴２０の後端部には伝達プーリ２１が取り付けられており、該伝達プーリ２１は扱室１７の後端側に設けられた伝達系カバー２２によって包囲されている。また、前記扱室１７は、その下方側（扱胴２０の下方部分）が扱胴２０の外周に沿った半円筒状の受網２３によって形成されており、前記扱室１７に投入された穀稈は、前記扱歯２０ｂによって扱胴２０と一緒に回転させられ、前記案内板２０ａによって機体後方側に搬送されながら、前記受網２３によって擦り付けられて脱穀される。

【0020】

前記選別部９は、前記受網２３を通過した脱穀物を揺動選別する揺動選別体２４と、該揺動選別体２４を内包する選別ケース２５と、選別風を送風する唐箕ファン２６と、選別後の排塵物を機外へ排出する二番選別ファン２７とを備えている。これにより、受網２３から落下してきた脱穀物は、揺動選別体２４のチャフシーブ２８に投下され、該チャフシーブ２８によって選別されつつ更に下方に漏下される。漏下した脱穀物は、前記唐箕ファン２６からの選別風により、選別された１番物である穀粒と２番物とに選別される。選別された穀粒は、揚穀ラセン２９によって穀粒を貯蔵するグレンタンク１０内に搬送されて、機体３の上面後方端から延びる排出オーガ１１を介して機外へと排出される。

【0021】

また、前記２番物は、還元ラセン３０により揺動選別体２４に還元されて再び選別作業が行われる構成となっている。なお、本実施の形態において汎用コンバイン１は、脱穀部７の後方に排出口３１が設けられており、この排出口３１から、脱穀部７において脱穀された排ワラや、受網２３から落下してきた揺動選別体２４上の脱穀物のうち、前記選別部９によって選別された排ワラ等の排塵物が機外へと排出される。即ち、本実施の形態では、上述した脱穀部７及び選別部９によって刈取り部５によって刈取られた穀稈に対して脱穀及び選別処理を施す脱穀選別部７，９を構成されており、この脱穀選別部から排出された排塵物が上記排出口３１から排出されるようになっている。該排出口３１は門構え形状に形成された排塵ケース３２に囲われており、該排塵ケース３２には、排出される排塵物を圃場面に案内落下させる排塵カバー３３が取り付けられている。

【0022】

図４、図５及び図６に示すように、前記グレンタンク１０の後方側には、燃料タンク３４やその給油口３５等が配設されており、燃料タンク３４の一部は、前記脱穀部７と前記グレンタンク１０との間に画成された左右方向に広がる空間部Ｓ内に配置されている。また、機体後端のメインフレーム３６には左右一対の縦フレーム３６ａ，３６ｂが設けられており、これら縦フレーム３６ａ，３６ｂは脱穀部７の左右内側壁の延長線上に配置されている。縦フレーム３６ａ，３６ｂに架け渡された後端フレーム３６ｃには扱胴２０の軸部が支持されており、該後端フレーム３６ｃには、右側の縦フレーム３６ｂから機体中央寄りに延びて空間部Ｓ内に達する延長フレーム３６ｄが形成されている。

【0023】

前記排塵カバー３３は、前記排出口３１に対向する背面板３３ａと、背面板３３ａの左右側方に設けられた一対の側部カバー３３ｂ，３３ｃとから構成されている。背面板３３ａは後端フレーム３６ｃから機体後方に向かって下り勾配で傾斜しており、一対の側部カバー３３ｂ，３３ｃは背面板３３ａを挟んで上下方向に垂直に配置されている。これら側部カバー３３ｂ，３３ｃのうち、機体外側（排塵カバー３３の背面から見て左側）に位置する側部カバー３３ｂは、左側の縦フレーム３６ａから後方に向けて延設されており、機体内側（排塵カバー３３の背面から見て右側）に位置する側部カバー３３ｃは、右側の縦フレーム３６ｂよりも機体中央寄りに形成された延長フレーム３６ｄから後方に向けて延設されている。このように、排塵カバー３３の右側の側部カバー３３ｃを前記空間部Ｓまで延ばした延長フレーム３６ｄの後方に延設することにより、該側部カバー３３ｃは走行装置２の左右クローラ２ａ，２ｂの中央部を通る鉛直線（図６の２点鎖線Ｐ）に沿って配置される。

【0024】

即ち、機体左右方向において対向する排塵カバー３３の側板の内、機体内側の側板としての側部カバー３３ｃを、上下方向に延設させ、かつ、側部カバー３３ｃと一対の走行装置としてのクローラ２ａ，２ｂの間の中央位置Ｃ１との間の左右方向における距離Ｌ１が、側部カバー３３ｃとクローラ２ａ，２ｂとの間の左右方向におけるいずれの距離Ｌ２，Ｌ３よりも短くなるように配設している。

【0025】

また、排塵カバー３３全体でみれば、脱穀部７に対して排塵カバー３３は機体内側に拡がって形成されており、機体前後方向に延びる扱胴２０の回転軸心（回転中心）Ｃ２と側部カバー３３ｃとの距離Ｌ４が、回転軸心Ｃ２と機体外側の側板としての側部カバー３３ｂとの距離Ｌ５よりも大きくなっている（Ｌ４＞Ｌ５）。

【0026】

また、排塵カバー３３の内部にはガイド板３７と補助ガイド板３８が設けられており、排出口３１から排出された排塵物は、これらガイド板３７と補助ガイド板３８によって機体左右方向（例えば、既に刈取り作業を終えた既刈り地側）に案内される。前記ガイド板３７は背面板３３ａの内側と左側の側部カバー３３ｂの内側との間に架設されており、補助ガイド板３８はガイド板３７の隣に所定の空間を存して傾斜姿勢取り付けられている。そして、これら排塵物を案内する複数の案内ガイドとしてのガイド板３７及び補助ガイド板３８は、それぞれ、排塵カバー３３の排塵口３９側の端部（下端）が排出口３１側の端部（上端）よりも機体内側に来るように機体左右方向に下り傾斜している。

【0027】

ついで、排出口３１から排出された排ワラ等の排塵物が排出されるまでの流れについて図６に基づいて説明をする。図６に示すように、排塵口３９は排塵物が飛散しないように排塵カバー３３によって覆われていると共に、ガイド板３７及び補助ガイド板３８によって下方へと移動しながら機体内側に向かって案内される。

【0028】

ガイド板３７は、複数ある案内ガイドの内、左右方向においてクローラ２ａ，２ｂの間の中央位置Ｃ１から最も離れた位置に排泄された機体最外側の案内ガイドであり、排塵物を案内する案内面の延長線Ｙ１が、側部カバー３３ｃの延長線Ｐと、左右のクローラ２ａ，２ｂの間でかつ、クローラ２ａ，２ｂの接地面よりも上方にある交点Ｘ１にて交差するように構成されている。このため、ガイド板３７と補助ガイド板３８との間に排出された排塵物は、経路Ｒ２に沿って機体内側へと案内され、最終的にクローラ２ａ，２ｂの間に落下して堆積する。

【0029】

また、補助ガイド板３８もガイド板３７と同様に、排塵物を案内する案内面の延長線Ｙ２が、側部カバー３３ｃの延長線Ｐと、左右のクローラ２ａ，２ｂの間でかつ、クローラ２ａ，２ｂの接地面及び交点Ｘ１よりも上方にある交点Ｘ２にて交差するように構成されている。このため、補助ガイド板３８と側部カバー３３ｃとの間に排出された排塵物は、経路Ｒ１に沿って機体内側へと案内され、最終的にクローラ２ａ，２ｂの間に落下して堆積する。

【0030】

なお、側部カバー３３ｃに衝突する排塵物は、垂直壁である側部カバー３３ｃに沿って落下する。この側部カバー３３ｃは、左右のクローラ２ａ，２ｂの間の中央部、より詳しくは、これら左右のクローラ２ａ，２ｂの間の中央位置Ｃ１を僅かに超えた位置まで機体内側にせり出して構成されている。このため、側部カバーは３３ｃに衝突した排塵物も側部カバー３３ｃに沿ってクローラ２ａ，２ｂの間の中央部に落下、堆積する。

【0031】

以上説明したように、本発明の実施の形態に係る汎用コンバイン１では、脱穀部７とグレンタンク１０との間に存する機体後方側の空間部Ｓを有効利用して、排塵カバー３３の機体内側の側部カバー３３ｃを機体中央寄りに設けることにより、排ワラ等の排塵物を左右クローラ２ａ，２ｂの走行跡（ワダチ）の間に集積させることができる。また、ガイド板３７及び補助ガイド板３８との延長線Ｙ１，Ｙ２がクローラ２ａの外形線と交差せず、かつ、上記延長線Ｙ１，Ｙ２と側部カバー３３ｃの延長線Ｐとの交点Ｘ１，Ｘ２がクローラ２ａ，２ｂ間に位置するようにしていること、経路Ｒ１及びＲ２の交点が左右のクローラ２ａ，２ｂの間に位置していること、とが相俟って、より効果的に排塵物を左右クローラ２ａ，２ｂの走行跡（ワダチ）の間に集積させることができる。

【0032】

更に、排塵カバー３３を左右方向に大きくするのにあたり、脱穀部７を大型化せずに空間部Ｓを有効利用することにより、機体後部の左右スペースをバランス良く利用することができ、スペースの有効利用と排塵物の回収作業の容易化とを両立させることができる。また、排塵カバー３３が機体内側に向かって幅方向に拡大するため、その開口（例えば、補助ガイド板３８と側部カバー３３ｃとの間のスペース）が拡がる。このため、例え、脱穀選別部７，９から瞬間的に大量の排塵物が排出されたとしても、この排塵物を詰まることなく円滑に機外へと排出することができる。

【0033】

なお、上述した実施の形態では、フルクローラタイプのコンバインについて説明をしたが、本発明はこれに限らず、例えば、走行車輪やハーフクローラタイプの走行装置を備えたコンバインに対して適用することもできる。また、汎用コンバインのみならず、自脱式などどの種類のコンバインに対しても適用することができる。

【0034】

更に、上述した実施の形態において、ガイド板３７及び補助ガイド板３８の案内面は、排塵物の射出方向を決定する主面と、下端部側の面の傾斜角度が異なっているが、本実施の形態における案内面の延長線Ｙ１，Ｙ２とは、排塵物の射出方向を決定する主面の延長線をいう。また、これは、側部カバー３３ｃの延長線も同様である。更に、上述した実施の形態では、側部カバー３３ｃの延長線Ｐが左右のクローラ２ａ，２ｂの間の中央位置Ｃ１を僅かに超えた位置まで機体内側にせり出す構成となっていたが、本発明は、例えば、側部カバー３３ｃの延長線Ｐが中央位置Ｃ１と一致する位置まで機体内側にせり出す構成としても良いし、上述した中央部において側部カバー３３ｃの延長線Ｐが中央位置Ｃ１の手前までせり出すような構成となっていても良い。

【0035】

また、上述した実施の形態では、１つの排出口３１から脱穀部７及び選別部９の両方から排出された排塵物を機外へと排出する構成について説明をしたが、脱穀選別部は、これら脱穀部７及び選別部９からの排塵物を排出する排出口を別々に設けられても良い。そして、これら別々に設けた排出口を本発明を適用した一つの排塵カバーで覆うようにしても良いし、これら別々に設けられた排出口のどちらか一方を覆う排塵カバーに対して本発明を適用しても良い。つまり、排塵カバーは、脱穀選別部から排出された排塵物を機外へと排出する排出口を覆う構成となっていれば良い。

【符号の説明】

【0036】

１ コンバイン（汎用コンバイン）
２ 走行装置
３ 機体
５ 刈取り部
７，９ 脱穀選別部
１０ 穀粒タンク（グレンタンク）
３１ 排出口
３３ 排塵カバー
３３ｃ 機体内側の側部カバー
３７ 案内ガイド（ガイド板）
Ｃ１ 中央位置
Ｃ２ 回転軸心
Ｐ 延長線
Ｙ１ 延長線
Ｌ１～Ｌ５ 距離

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】