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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20221019BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20221019BHJP
   G02B 13/26 20060101ALI20221019BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
B41J2/447 101C
B41J2/45
G02B13/26
G02B13/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019082328
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020179529
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 大介
(72)【発明者】
【氏名】池田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】ヌルナビラ ムハマドマクタ
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051194(JP,A)
【文献】特開2008-221707(JP,A)
【文献】特開2012-247566(JP,A)
【文献】特開2009-260118(JP,A)
【文献】特開2009-086649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G02B 13/26
G02B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主方向と略直交する副方向に搬送される表面を有する感光体と、
2次元に配列された複数の発光点群を有する発光基板と、
前記複数の発光点群からの光を前記感光体上の異なる位置に結像させる複数の結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系の結像倍率は-1であり、
前記感光体の回転軸の方向から見たとき、前記複数の結像光学系の共役長は、前記副方向の位置によってそれぞれ異なり、かつ前記副方向の位置に応じて単調に増加又は減少し、
前記複数の結像光学系のうち各結像光学系は、前記発光点群側から順に、第1レンズと、絞りと、第2レンズとを有し、
前記第1及び第2レンズは、曲面を持つ2つのレンズ面をそれぞれ有し、
前記2つのレンズ面は、2つの共通対称面を有し、かつ前記2つのレンズ面のうち少なくとも1面が前記2つの共通対称面が交差する対称線に関して非軸対称であり、
前記第1及び第2レンズは、前記絞りに近い絞り側レンズ面が主光線の光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり、前記絞りから遠い外側レンズ面が前記光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり、かつ心厚が等しく、
前記第1及び第2レンズにおいて、前記絞りに近い絞り側主点同士を結ぶ主点間線上に、前記絞りの中心が配置されており、前記対称線が前記主点間線に対してゼロでない角度を持ち、前記第1及び第2レンズの前記対称線が互いに平行であり、
前記発光点群の中心は、前記第1レンズの前記発光点群に近い外側主点を通り前記主点間線に平行に延ばした直線上を避けて配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光点群の中心は、前記第1レンズの前記外側主点を通り前記主点間線に平行に延ばした直線と、前記第1レンズの前記対称線との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体の前記回転軸の方向から見て、前記第1及び第2レンズの前記レンズ面は、前記絞りの中心に対して点対称であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の結像光学系について、前記第1レンズは、単一の第1レンズ基板の両側に樹脂製のレンズ部を有し、前記第2レンズは、単一の第2レンズ基板の両側に樹脂製のレンズ部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1及び第2レンズ基板は、前記第1及び第2レンズの前記主点間線に対して傾斜して配置されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1及び第2レンズの前記主点間線に対して、前記第1レンズ基板の法線の傾斜方向と、前記第1及び第2レンズの前記対称線の傾斜方向とが同じであり、前記第2レンズ基板の法線の傾斜方向と、前記第1及び第2レンズの前記対称線の傾斜方向とが同じであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1レンズ基板と前記第2レンズ基板とは前記主点間線に対して傾斜角度が異なることを特徴とする請求項4及び5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記主点間線に対する前記対称線の傾斜角度は、前記主点間線に対して前記第1レンズ基板の法線の傾斜角度と前記第2レンズ基板の法線の傾斜角度との間であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書込部を有する画像形成装置に関し、特に発光点群を受光面上に結像させる結像光学系を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光点からなる発光点群を主方向及び副方向に複数配置した発光基板と、各発光点群に対して1対1で結像レンズを対向配置したレンズアレイとを備える光書込部を有する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置の光書込部では、発光点から射出された光を、結像レンズを介在させることによって、感光体上において所望の位置に所望のビームスポットとする。
【0003】
画像形成装置として、例えば下記特許文献1に記載されるように、光軸が互いに平行な複数の結像レンズを用いて、複数の結像レンズに対応した複数の発光点群からの光をそれぞれ結像して描画する技術がある。このとき、複数の発光点群を同一のガラス基板上に配置すると、相対的な位置の精度を出しやすい一方で、ドライブ回路等を同一ガラス基板上に配置すると、ガラス基板上でドライブ回路等が占める面積が増大し、ユニットが大型化するおそれがある。
【0004】
ユニットを小型化するために、発光点群を同一のガラス基板上に配置せず、各発光点群の光軸方向の位置が異なるように配置することが考えられるが、この場合、各発光点群からレンズアレイまでの距離が異なることとなり、結像状態を保ちつつ、光学系の両側テレセントリック性及び均一倍率を達成することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-51194号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、発光点群が同一平面上にない場合において、結像状態を保ちつつ、両側テレセントリック性及び均一倍率を達成できる光書込部を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、主方向と略直交する副方向に搬送される表面を有する感光体と、2次元に配列された複数の発光点群を有する発光基板と、複数の発光点群からの光を感光体上の異なる位置に結像させる複数の結像光学系と、を備え、結像光学系の結像倍率は-1であり、感光体の回転軸の方向から見たとき、複数の結像光学系の共役長は、副方向の位置によってそれぞれ異なり、かつ副方向の位置に応じて単調に増加又は減少し、複数の結像光学系のうち各結像光学系は、発光点群側から順に、第1レンズと、絞りと、第2レンズとを有し、第1及び第2レンズは、曲面を持つ2つのレンズ面をそれぞれ有し、2つのレンズ面は、2つの共通対称面を有し、かつ2つのレンズ面のうち少なくとも1面が2つの共通対称面が交差する対称線に関して非軸対称であり、第1及び第2レンズは、絞りに近い側の絞り側レンズ面が主光線の光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり、絞りから遠い側の外側レンズ面が光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり、かつ心厚が等しく、第1及び第2レンズにおいて、絞りに近い絞り側主点同士を結ぶ主点間線上に、絞りの中心が配置されており、対称線が主点間線に対してゼロでない角度を持ち、第1及び第2レンズの対称線が互いに平行であり、発光点群の中心は、第1レンズの発光点群に近い外側主点を通り主点間線に平行に延ばした直線上を避けて配置される。
【0008】
上記画像形成装置によれば、第1及び第2レンズのレンズ面を軸対称でなく自由曲面とすることで、像面の不一致を軽減し、発光点群の位置を第1レンズの発光点群に近い側の外側主点を通り主点間線に平行に延ばした直線上を避けるように適切に設定することで、レンズ面を自由曲面としたことによる結像状態の不良を解消し画像領域全体で良好な結像状態を得ることができる。
【0009】
本発明の具体的な1つの側面では、上記画像形成装置において、発光点群の中心は、第1レンズの外側主点を通り主点間線に平行に延ばした直線と、第1レンズの対称線との間に位置する。この場合、発光点群の位置を第1レンズの傾斜方向に応じて適切に設定することで、良好な結像状態を得ることができる。
【0010】
本発明の別の側面では、感光体の回転軸の方向から見て、第1及び第2レンズのレンズ面は、絞りの中心に対して点対称である。第1及び第2レンズ間に絞りのみがある場合、絞りの中心に対して点対称となるように第1及び第2レンズを配置することで非対称な収差成分を除去することができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、複数の結像光学系について、第1レンズは、単一の第1レンズ基板の両側に樹脂製のレンズ部を有し、第2レンズは、単一の第2レンズ基板の両側に樹脂製のレンズ部を有する。単一のレンズ基板上に複数のレンズ部を形成してそのレンズ基板の位置を調整及び保持するようにすれば、個々のレンズ部の位置を配置及び保持する場合よりも構成が簡単となり、第1及び第2レンズの相対的な位置が固定されるため精度も出しやすい。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、第1及び第2レンズ基板は、第1及び第2レンズの主点間線に対して傾斜して配置される。この場合、各結像光学系の共役長に応じて、副方向の異なる所定の位置に各結像光学系の第1及び第2レンズを容易に配置することができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、第1及び第2レンズの主点間線に対して、第1レンズ基板の法線の傾斜方向と、第1及び第2レンズの対称線の傾斜方向とが同じであり、第2レンズ基板の法線の傾斜方向と、第1及び第2レンズの対称線の傾斜方向とが同じである。この場合、第1及び第2レンズを構成するレンズ部の傾斜方向は第1及び第2レンズ基板の傾斜方向と同じとなる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、第1レンズ基板と第2レンズ基板とは主点間線に対して傾斜角度が異なる。第1及び第2レンズ基板の傾斜角度は、第1及び第2レンズ基板が発光点群から感光体までのどの位置にあるかによって異なることになるため、第1レンズ基板と第2レンズ基板とは平行に配置されない。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、主点間線に対する対称線の傾斜角度は、主点間線に対して第1レンズ基板の法線の傾斜角度と第2レンズ基板の法線の傾斜角度との間である。第1及び第2レンズを構成するレンズ部の傾斜角度を第1レンズ基板の傾斜角度と第2レンズ基板の傾斜角度との間にすることで、第1及び第2レンズを構成するレンズ部の厚みの差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の画像形成装置の概略構成を示す部分断面図である。
図2】像形成ユニットを構成する光プリントヘッドの構造を説明する断面図である。
図3】(A)は、発光素子の構造を説明する概念的な斜視図であり、(B)は、発光素子に設けた発光点群を説明する図であり、(C)は、発光点群やレンズの配置を説明する図である。
図4】(A)は、図2の光プリントヘッドを構成する光学系を説明する概念図であり、(B)は、比較例の光プリントヘッドを構成する光学系を説明する概念図である。
図5】比較例の光プリントヘッドの構造を説明する断面図である。
図6】(A)は、実施例の中央の結像光学系についての像面湾曲を示す図であり、(B)は、比較例の中央の結像光学系についての像面湾曲を示す図である。
図7】(A)~(C)は、実施例の中央の結像光学系についてのPSFを示す図であり、(D)~(F)は、比較例の中央の結像光学系についてのPSFを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る画像形成装置について説明する。図1に示すように、実施形態の画像形成装置100は、例えばデジタル複写機等として用いられ、原稿Dに形成された色画像を読み取る画像読取部10と、原稿Dに対応する画像を用紙Pに形成する画像形成部20と、画像形成部20に用紙Pを給紙する給紙部40と、用紙Pを搬送する搬送部50と、装置全体の動作を統括的に制御する制御部90とを含む。
【0018】
画像形成部20は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの色毎に設けられた像形成ユニット70Y,70M,70C,70Kと、各色を合成したトナー像が形成される中間転写部81と、トナー像を定着させる定着部82とを備えている。
【0019】
画像形成部20のうち、像形成ユニット70Yは、Y(イエロー)色の画像を形成する部分であり、感光体ドラム71、帯電部72、光プリントヘッド(光書込装置)73、現像部74等を備えている。感光体ドラム71は、Y色のトナー像を形成し、帯電部72は、感光体ドラム71の周囲に配置されてコロナ放電により感光体ドラム71の表面を感光体として帯電させ、光プリントヘッド73は、感光体ドラム71に対してY色成分の画像に対応する光を照射し、現像部74は、感光体ドラム71の表面にY色成分のトナーを付着させることにより静電潜像からトナー像を形成する。感光体ドラム71は、円筒形状を有し、回転軸RXのまわりに回転する。感光体ドラム71の円筒表面は、光プリントヘッド73による像を結像させる受光面71aとなっている。
【0020】
他の像形成ユニット70M,70C,70Kは、形成する画像の色が異なる以外はY色用の像形成ユニット70Yと同様の構造及び機能を有するため、これらの構造等については説明を省略する。なお、像形成ユニット70は、4色の像形成ユニット70Y,70M,70C,70Kのうち任意のユニットを意味し、それぞれの色に適合させた要素として、感光体ドラム71、帯電部72、光プリントヘッド73、及び現像部74を備える。
【0021】
図2は、光プリントヘッド73の側面図である。なお、図2には、円筒状の感光体ドラム71の一部も示している。光プリントヘッド73は、2次元に配列された発光点群DGを形成した発光領域3a,3b,3cを有する発光素子73aと、発光領域3a,3b,3cの発光点群DGからの光を感光体ドラム(感光体)71の受光面71a上にそれぞれ結像させる結像光学系2a,2b,2cを有する光学系73bとを備える。結像光学系2a,2b,2cと感光体ドラム71との間には、ガラス製の平板(ガラス平板又は保護カバー)5gが設けられている。この平板5gと不図示の外装とによって、結像光学系2a,2b,2cが覆われており、結像光学系2a,2b,2cを構成するレンズにごみが付着することを防止している。
【0022】
結像光学系2a,2b,2cは、上下の±Z軸の方向に関して等間隔で配列されている。結像光学系2a,2b,2cは、両側テレセントリックであり、結像倍率(例えば、-1倍)が等しくなっているが、全く同じ形状を有するのではなく、図面の左右の±X軸の方向に関して若干サイズが異なるものとなっている。ここで、感光体ドラム71の回転軸RXに平行なY軸は、主走査方向又は主方向に対応し、感光体ドラム71の回転軸RXに対して直交し、光軸AX(ここでいう光軸AXは、後述する発光点EDから第1レンズ5dまでの主光線を基準とする)に垂直に延びるZ軸は、副走査方向又は副方向に対応する。つまり、光プリントヘッド73において、縦の副走査方向に関して3箇所に発光領域3a,3b,3cが設けられ、それぞれに対応させて結像光学系2a,2b,2cが設けられている。結像光学系2a,2b,2cは、不図示のホルダーによって相互に位置決めされた状態で、発光素子73aに対して位置決めされて固定されている。
【0023】
図3(A)に示すように、発光素子73aは、3層構造を有し、3つの発光基板76a,76b,76cを光軸AXに平行なX軸方向に積層したものである。発光素子73aを3つの発光基板76a,76b,76cに分割し、発光点群DGの背後にドライブ回路を配置することにより、ユニットの小型化を実現することができる。各発光基板76a,76b,76cには、Y方向に延びる基準線SXa,SXb,SXcに沿って発光領域3a,3b,3cが所定間隔で形成されている。つまり、発光領域3a,3b,3cは2次元的に配列されている。上層側(つまり図2の上側)の発光領域3bは、中間の発光領域3aに対して、-X側であって感光体ドラム71から離れる方向にシフトして配置され、下層側(つまり図2の下側)の発光領域3cは、中間の発光領域3aに対して、+X側であって感光体ドラム71に近づく方向にシフトして配置される。
【0024】
図3(B)は、単一の発光領域3aに形成された発光点群DG又は発光点EDの配列を説明する背後からの部分拡大図である。発光点群DGを構成する発光点EDは、主走査方向に相当するY方向に等間隔で配列され、副走査方向に相当するZ方向に対して傾いた方向にも等間隔で配列されている。1つの発光点EDの直径は例えば30μmとされ、主方向については2400dpiの1ドットに相当する10.6μmピッチで配置されている。図示を省略しているが、1行あたり32個の発光点EDがあり、全体としては4行で計128個の発光点EDが平行四辺形のマトリクス状に並んでいる。
【0025】
図3(C)に示すように、発光素子73aにおいて、隣り合う3つの発光領域3a,3b,3cを一組とする発光組SCn(n=1,2,3,…)がY方向に繰り返し等間隔で配置されている。なお、図2は、図3(C)のA-A断面に相当するものとなっている。発光組SCnを構成する発光領域3a,3b,3cは、主走査方向又はY方向に関して異なる位置に配列され、かつ、副走査方向又はZ方向に関して異なる位置に配列されている。同様に、光学系73bにおいて、隣り合う3つの結像光学系2a,2b,2cを一組とする結像組LCn(n=1,2,3,…)がY方向に繰り返し等間隔で配置されている。結像組LCnを構成する結像光学系2a,2b,2cは、主走査方向又はY方向に関して異なる位置に配列され、かつ、副走査方向又はZ方向に関して異なる位置に配列されている。具体例では、結像光学系2a,2b,2cは、Y方向に延びる1行あたり100個程度設けられており、全体としては計287個の結像光学系2a,2b,2c又は発光領域3a,3b,3cが平行四辺形のマトリクス状に並んでいる。
【0026】
発光素子73aを構成する各発光基板76a,76b,76cは、ガラス板73qの上に発光点EDを2次元配列させたボトムエミッション型の有機EL素子である。発光素子73aを構成する各発光点群DGは、受光面71a上に投影像群PGとして投影され、投影像群PGは、多数の発光点EDに対応する多数の投影像PDを含む。
【0027】
図2に戻って、光学系73bにおいて、各結像光学系2a,2b,2cは、第1レンズ5dと、絞り5eと、第2レンズ5fとをそれぞれ有する。第1レンズ5dは、発光領域3a,3b,3cからの光線LBをコリメートする。第2レンズ5fは、第1レンズ5dからの光線LBを集光し、感光体ドラム71の受光面71a上に発光領域3a,3b,3cの像を投影する。結果的に、受光面71a上の受光領域4a,4b,4cには、発光領域3a,3b,3cに形成された2次元的な配列の発光点群DGと同じパターンの投影像群PGが形成される。後に詳述するが、光学系73bを構成する複数の第1レンズ5dは、2次元的に配列され、それらの中心は、同一平面(第2平面PLb)上に配置されている。光学系73bを構成する複数の第2レンズ5fは、2次元的に配列され、それらの中心は、同一平面(第3平面PLc)上に配置されている。また、光学系73bを構成する複数の絞り5eは、2次元的に配列され、それらの中心は、同一平面(第4平面PLd)上に配置されている。
【0028】
結像光学系2a,2b,2cを両側テレセントリックで結像倍率を-1倍とするため、発光点群DG、第1レンズ5d、絞り5e、第2レンズ5f、及び感光体ドラム71上の結像点は概ね等間隔となっている。また、ある発光点群DGの背後に他の発光点群DGのドライブ回路等を配置しているため、3つの結像光学系2a,2b,2cに対する3つの発光点群DGは、概ね直線(又は同一平面)上に配列しており、その直線は主光線の光進行方向又は光軸AXに対して傾いている。発光点群DGから感光体ドラム71上の結像点までの距離は、上側の結像光学系2bほど長くなっている。感光体ドラム71が平面でなく円筒形状であるため、副走査方向の位置に対する各結像光学系2a,2b,2cの発光点群DGから感光体ドラム71上の結像点までの距離(又は結像光学系2a,2b,2cの共役長)の変化は線形ではないが、単調に増加又は減少している。
【0029】
図2に示すように、第1レンズ5dは、凸レンズであり、より詳細には、第1レンズ5dのレンズ形状は、光軸近傍で両凸である。図示の例では、第1レンズ5dは、ガラスその他で形成された共通の第1レンズ基板5hの両側に樹脂製のレンズ部5i,5jを形成又は積層したものとなっている。単一の第1レンズ基板5h上に複数のレンズ部5i,5jを形成して第1レンズ基板5hの位置を調整及び保持するようにすれば、個々のレンズ部5i,5jの位置を配置及び保持する場合よりも構成が簡単となり、第1レンズ5dの相対的な位置が固定されるため精度も出しやすい。副走査方向に関して3つの異なる位置に配置された第1レンズ5dは、第1レンズアレイA1を構成する。絞り5eは、遮光体である絞り基板5pに複数の開口5sを形成したものである。副走査方向に関して3つの異なる位置に配置された絞り5eは、絞りアレイA3を構成する。第2レンズ5fは、凸レンズであり、より詳細には、第2レンズ5fのレンズ形状は、光軸近傍で両凸である。図示の例では、第2レンズ5fは、ガラスその他で形成された共通の第2レンズ基板5kの両側に樹脂製のレンズ部5m,5nを形成したものとなっている。副走査方向に関して3つの異なる位置に配置された第2レンズ5fは、第2レンズアレイA2を構成する。
【0030】
図4(A)は、発光点群DG、第1レンズ5d、及び第2レンズ5f周辺を説明する概念図である。図4(A)において、説明の都合上、図2に示す第1及び第2レンズ5d,5fの回転角度を大きくして図示している。図4(A)において、第1及び第2レンズ5d,5fは、レンズ面S1~S4のみの断面を示している。また、図中央の2本の短い直線は絞り5eを示している。また、各レンズ5d,5fのレンズ面S1~S4間に2つずつある記号「+」は各レンズ5d,5fの主点T1~T4を示している。
【0031】
第1レンズ5dは、2つの共通対称面SE1,SE3を有しており、非回転対称で上下対称及び左右対称となっている。また、第2レンズ5fは、2つの共通対称面SE2,SE3を有しており、非回転対称で上下対称及び左右対称となっている。共通対称面のうち主光線の光進行方向に対する上下対称の共通対称面SE1,SE2(紙面に垂直な面)は、第1レンズ5dの主点T1,T2を通る面、及び第2レンズ5fの主点T3,T4を通る面である。第1及び第2レンズ5d,5fにおいて、上下対称な共通対称面SE1,SE2は、光進行方向に平行ではなく、右上方向に傾いている。光進行方向に対する左右対称の共通対称面SE3(紙面上の面)は、絞り5eの中心C1を通り、上下対称の共通対称面SE1,SE2に垂直な面である。また、各第1及び第2レンズ5d,5fに関して、光源(又は発光点ED)側のレンズ面S1,S3と感光体ドラム71側のレンズ面S2,S4とにおいて、2つの共通対称面SE1(SE2),SE3は一致しているものの、第1レンズ5dと第2レンズ5fとを比較すると、上下対称の共通対称面SE1,SE2は一致しておらず上下にずれている。本実施形態において、結像光学系2a,2b,2cのうちこれを構成する第1及び第2レンズ5d,5fは、曲面を有する4つのレンズ面S1~S4を有している。各レンズ5d,5fを構成する2つのレンズ面のうち少なくとも1面は2つの共通対称面SE1(SE2),SE3が交差する対称線E1,E2に関して非軸対称となっている。具体的には、例えばレンズ面S1~S4はいずれも自由曲面となっている。
【0032】
第1及び第2レンズ5d,5fは、絞り5eに近い絞り側レンズ面S2,S3が主光線の光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり心厚が等しくなっている。また、第1及び第2レンズ5d,5fは、絞り5eから遠い外側レンズ面S1,S4が主光線の光進行方向に関して互いに反転した同一形状であり心厚が等しくなっている。また、感光体ドラム71の回転軸RXの方向から見て、第1及び第2レンズ5d,5fのレンズ面S1~S4は、絞り5eの中心C1に対して点対称となっている。第1及び第2レンズ5d,5f間に絞り5eのみがある場合、絞り5eの中心C1に対して点対称となるように第1及び第2レンズ5d,5fを配置することにより、非対称な収差成分を除去することができる。
【0033】
各レンズ5d,5fにある主点T1~T4のうち絞り5e側にある絞り側主点T2,T3同士を結ぶ直線(主点間線LL1)は絞り5eの中心C1を通っている。つまり、第1及び第2レンズ5d,5fにおいて、絞り5eに近い絞り側主点T2,T3同士を結ぶ主点間線LL1上に、絞り5eの中心C1が配置されている。また、対称線E1,E2は主点間線LL1に対してゼロでない角度を持っており、第1及び第2レンズ5d,5fの対称線E1,E2は互いに平行となっている。
【0034】
図2及び図4(A)に示すように、第1及び第2レンズアレイA1,A2の第1及び第2レンズ基板5h,5kは、第1及び第2レンズ5d,5fの主点間線LL1に対して傾斜して配置されている。第1及び第2レンズ5d,5fの主点間線LL1に対して、第1レンズ基板5hの法線NL1の傾斜方向と、第1及び第2レンズ5d,5fの対称線E1,E2の傾斜方向とは同じであり、具体的には紙面において右上方向となっている。また、第1及び第2レンズ5d,5fの主点間線LL1に対して、第2レンズ基板5kの法線NL2の傾斜方向と、第1及び第2レンズ5d,5fの対称線E1,E2の傾斜方向とは同じであり、具体的には紙面において右上方向となっている。言い換えれば、第1及び第2レンズ5d,5fを構成するレンズ部5i,5j,5m,5nの傾斜方向は、第1及び第2レンズ基板5h,5kの傾斜方向と同じとなっている。また、第1レンズ基板5hと第2レンズ基板5kとは主点間線LL1に対して傾斜角度が異なっている。第1及び第2レンズ基板5h,5kの傾斜角度は、第1及び第2レンズ基板5h,5kが発光群点DGから感光体ドラム71までのどの位置にあるかによって異なることになるため、第1レンズ基板5hと第2レンズ基板5kとは平行に配置されないこととなる。
【0035】
また、主点間線LL1に対する対称線E1,E2の傾斜角度は、主点間線LL1に対して第1レンズ基板5hの法線NL1の傾斜角度と第2レンズ基板5kの法線NL2の傾斜角度との間となっている。第1及び第2レンズ5d,5fを構成するレンズ部5i,5j,5m,5nの傾斜角度を第1レンズ基板5hの傾斜角度と第2レンズ基板5kの傾斜角度との間にすることにより、第1及び第2レンズ5d,5fを構成するレンズ部5i,5j,5m,5nの厚みの差を低減することができる。また、結像状態を悪化させずに第1及び第2レンズ基板5h,5kに対するレンズ部5i,5j,5m,5nの傾き度合を軽減することができる。本実施形態において、第1及び第2レンズ5d,5fのレンズ部5i,5j,5m,5nは、絞り5eの傾斜角度に近い角度でそれぞれ傾斜している。第1レンズ5dを構成する第1レンズ基板5hの傾斜角度は、第2レンズ5fを構成する第2レンズ基板5kよりも絞り5eの傾斜角度に近いものとなっており、レンズ部5i,5j,5m,5nは、第1レンズ基板5hの傾斜角度に合わせて傾斜している。つまり、第1及び第2レンズアレイA1,A2の第1及び第2レンズ基板5h,5kの傾斜角度が異なっていても、レンズ部5i,5j,5m,5nの傾斜角度、延いては第1及び第2レンズ5d,5fの全体としての傾斜角度は揃っている。
【0036】
なお、仮に、第1及び第2レンズアレイA1,A2の第1及び第2レンズ基板5h,5kに対してレンズ部5i,5j,5m,5nの傾きをそれぞれ対応するレンズ基板に合わせたとすれば、第1レンズ5dと第2レンズ5fとで傾斜角度が異なる量となり非対称な収差が存在して結像状態を悪化させることになる。
【0037】
図4(A)に示すように、発光点群DGの中心は、第1レンズ5dの発光点群DGに近い外側主点T1から水平に延ばした線の延長線に対して下側にずれた位置に配置されている。つまり、発光点群DGの中心は、第1レンズ5dの発光点群DGに近い外側主点T1を通り主点間線LL1に平行に延ばした直線LL2上を避けて配置される。具体的には、発光点群DGの中心は、第1レンズ5dの外側主点T1を通り主点間線LL1に平行に延ばした直線LL2と、第1レンズ5dの対称線E1との間に位置している。発光点群DGの位置を第1レンズ5dの傾斜方向に応じて適切に設定することにより、良好な結像状態を得ることができる。
【0038】
図4(A)では、発光点群DGの中心から絞り5eの中心C1に向かって進む光線LBを示している。図4(A)において、発光点群DGから射出した光線LBは第1レンズ5dのレンズ面S1に入射するまで略平行に進み、第2レンズ5fのレンズ面S4から射出する光線LBは感光体ドラム71に入射するまで略平行に進む。また、光線LBは第1レンズ5dと第2レンズ5fとの間では水平ではなく、各レンズ5d,5fの主光線の光進行方向に対する上下対称の共通対称面SE1,SE2の傾斜方向、つまり紙面において右上方向に傾斜して進む。
【0039】
図5に示す比較例において、結像光学系2a,2b,2cのうちこれを構成する第1及び第2レンズ5d,5fは、曲面を有する4つのレンズ面S1~S4を有している。これらの4つのレンズ面S1~S4はいずれも軸対称非球面となっており、回転対称軸RTはすべて一致している。また、3つの結像光学系2a,2b,2cの各回転対称軸RTは互いに平行となっている。各結像光学系2a,2b,2cの発光点群DGの中心は回転対称軸RTの延長線上にある。また、各結像光学系2a,2b,2cの感光体ドラム71上の結像点の中心は回転対称軸RTの延長線上にある。
【0040】
図5に示す比較例において、光軸AXと第1及び第2レンズアレイA1,A2の第1及び第2レンズ基板5h,5kとの角度差は、レンズ部5i,5j,5m,5nが第1及び第2レンズ基板5h,5kに対して傾斜する角度を示している。比較例の結像光学系2a,2b,2cの場合、レンズ部5i,5j,5m,5nの厚みが上側の結像光学系2bと下側の結像光学系2cとで異なっており、特に上側の結像光学系2bで厚みの差が大きくなっている。
【0041】
図4(B)に示す別の比較例では、本実施形態の光プリントヘッド73を構成する第1及び第2レンズ5d,5fのレンズ面S1~S4を自由曲面ではなく軸対称非球面としている。比較例の各レンズ5d,5fは回転対称であるが、第1レンズ5dの回転対称軸K1と第2レンズ5fの回転対称軸K2とは一致しておらず、各回転対称軸K1,K2は光軸AXに対して傾斜しつつ互いに平行にシフトしている状態である。比較例では、発光点群DGの中心は、第1レンズ5dの外側主点T1を通り主点間線LL1に平行に延ばした直線LL2上に配置されている。
【0042】
図4(B)において、発光点群DGの中心から第1レンズ5dのレンズ面S1まで水平に進む光線LBは、第1レンズ5dと第2レンズ5fとの間でも水平に進み、第2レンズ5fのレンズ面S4から射出され感光体ドラム71上の結像点に向かう光線LBも水平に進む。
【0043】
本実施形態では、各結像光学系2a,2b,2cにおいて、第1レンズアレイA1、第2レンズアレイA2、及び絞りアレイA3は全体として平板状であり、これらの部材A1~A3は発光点群DGから感光体ドラム71上の結像点までの光路を略4等分するように配置されている。この場合、光軸AXに垂直な面と発光点群DGの中心を繋ぐ同一平面(第1平面PLa)とのなす角度θaのタンジェントは、例えば1となっている。また、光軸AXに垂直な面と第1レンズアレイA1の第1レンズ5dの中心を繋ぐ同一平面(第2平面PLb)とのなす角度θbのタンジェントは、例えば約3/4となっている。光軸AXに垂直な面と絞りアレイA3の絞り5eの中心を繋ぐ同一平面(第4平面PLd)とのなす角度θdのタンジェントは、例えば約1/2となっている。光軸AXに垂直な面と第2レンズアレイA2の第2レンズ5fの中心を繋ぐ同一平面(第3平面PLc)とのなす角度θcのタンジェントは、例えば約1/4となっている。
【0044】
以上説明した画像形成装置によれば、結像光学系2a~2cを構成する第1及び第2レンズ5d,5fのレンズ面S1~S4を軸対称でなく自由曲面とすることで、像面の不一致を軽減し、発光点群DGの位置を第1レンズ5dの発光点群DGに近い側の外側主点T1を通り主点間線LL1に平行に延ばした直線LL2上を避けるように適切に設定することで、レンズ面S1~S4を自由曲面としたことによる結像状態の不良を解消し画像領域全体で良好な結像状態を得ることができる。
【0045】
〔実施例〕
以下、画像形成装置100に組み込まれる光学系73bの具体的な実施例について説明する。実施例の光学系73bは、図2に示すものと同じである。以降の表において、上側の結像光学系は、図2の結像光学系2bを意味し、中央の結像光学系は、図2の結像光学系2aを意味し、下側の結像光学系は、図2の結像光学系2cを意味する。第1レンズアレイA1、絞りアレイA3、及び第2レンズアレイA2を構成する平板については、各結像光学系2a~2cで共通となっている。発光点群DGは、表では中央の座標を示している。また、感光体ドラム71は、半径25mmの円筒形で、面としては3つの結像光学系2a,2b,2cで共通であるが、表では、感光体ドラム71の表面については光軸AXと交わる位置における位置と傾きとを示した。非球面係数を見ると、絞り5eを挟んで、絶対値が同じで符号が反対になっているため、第1及び第2レンズ5d,5fのレンズ面が同一形状で反対向きになっていることがわかる。
【0046】
〔1-a:中央の結像光学系〕
以下、中央の結像光学系2aのデータについて説明する。表1は、中央の結像光学系2aを構成する第1レンズ5d、絞り5e、及び第2レンズ5fについて、レンズ面の面頂点の座標をまとめたものである。距離の単位はmmであり、角度の単位は度である。波長650nmの光に対して、レンズ基板の屈折率は1.5145であり、レンズ面とレンズ基板との間に設けられている樹脂製のレンズ部の屈折率は、1.5285である。また、結像倍率βは、全ての光学系で-1である。
[表1]
中央の結像光学系2aの非球面形状について表2にまとめた。記載した非球面は、いずれも自由曲面であり、球面項はなく、形状式は、X、Y、Zに対応するローカル座標をx、y、zとして
である。なお、表に無い非球面係数aijはすべて0である。これらの点は以下でも同様である。
[表2]
【0047】
〔1-b:上側の結像光学系〕
以下、上側の結像光学系2bのデータについて説明する。表3は、上側の結像光学系2bを構成する第1レンズ5d、絞り5e、及び第2レンズ5fについて、レンズ面の面頂点の座標をまとめたものである。
[表3]
上側の結像光学系2bの自由曲面形状について表4にまとめた。
[表4]
【0048】
〔1-c:下側の結像光学系〕
以下、下側の結像光学系2cのデータについて説明する。表5は、下側の結像光学系2cを構成する第1レンズ5d、絞り5e、及び第2レンズ5fについて、レンズ面の面頂点の座標をまとめたものである。
[表5]
下側の結像光学系2cの自由曲面形状について表6にまとめた。
[表6]
【0049】
図6(A)は、実施例の光プリントヘッド73の像面湾曲を示したものである。一方、図6(B)は比較例の光プリントヘッドの像面湾曲を示したものである。ここで、比較例は、図4(B)に示す構成の光プリントヘッドについてのデータを示している。実施例では、レンズ面に自由曲面を用いたことにより、像面が一致し、像面湾曲も補正されている。比較例では、主走査方向と副走査方向とで像面の乖離があり、また像面歪曲も異なっている。
【0050】
図7(A)~7(C)は、実施例の光プリントヘッド73のPSF(Point spread function)を示したものである。光プリントヘッド73の実際の発光点は面光源であるが、ここで示しているのは点光源で計算したビームプロファイルである。図7(A)は発光点群DGの主走査方向の左端に相当する位置に点光源を置いて計算したものであり、図7(B)は発光点群DGの主走査方向の中央に相当する位置に点光源を置いて計算したものであり、図7(C)は発光点群DGの主走査方向の右端に相当する位置に点光源を置いて計算したものである。
【0051】
図7(D)~7(F)は、比較例の光プリントヘッド73のPSFを示したものである。比較例の結像光学系2a,2b,2cの面形状は自由曲面であり、発光点群DGの配置のみ図4(B)に示す比較例の光プリントヘッドと同じにしている。図7(D)~7(F)において、発光点群DGの中央では良好な結像状態が得られているが、発光点群DGの左端及び右端では結像状態が悪化している。
【0052】
以上では、具体的な実施形態としての画像形成装置について説明したが、本発明に係る画像形成装置は、上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、光学系73bを構成する結像光学系は、3つに限らず2つ又は4つ以上とすることができる。
【0053】
上記実施形態において、発光点群DGを構成する発光点EDの数や配列に関する具体例は、単なる例示であり、用途や目的に応じて発光点EDの数や配列を変更することができる。
【0054】
上記実施形態において、絞り5eは、絞り基板5pに開口5sを形成したものとしたが、ガラスで形成された絞り基板の片側に形成された層状の遮光体からなる遮光部に多数の開口を形成したものでもよい。
【0055】
上記実施形態において、発光基板76a,76b,76cを密着させた状態で配置しているが、間隔を空けて配置してもよい。また、発光基板76a,76b,76cの長さ及び厚さは適宜変更することができる。
【0056】
上記実施形態において、第1及び第2レンズ5d,5fの両側のレンズ面を自由曲面としたが、いずれか一方のレンズ面のみを自由曲面としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
2a,2b,2c…結像光学系、 4a-4c…受光領域、 3a,3b,3c…発光領域、 4a,4b,4c…受光領域、 5d…第1レンズ、 5f…第2レンズ、 5g…平板、 5h…第1レンズ基板、 5k…第2レンズ基板、 5i,5j,5m,5n…レンズ部、 5p…絞り基板、 5s…開口、 10…画像読取部、 20…画像形成部、 40…給紙部、 50…搬送部、 70,70Y,70M,70C,70K…像形成ユニット、 71…感光体ドラム、 71a…受光面、 72…帯電部、 73…光プリントヘッド、 73a…発光素子、 73b…光学系、 74…現像部、 76a,76b,76c…発光基板、 81…中間転写部、 82…定着部、 90…制御部、 100…画像形成装置、 A1…第1レンズアレイ、 A2…第2レンズアレイ、 A3…絞りアレイ、 AX…光軸、 DG…発光点群、 SE1,SE2,SE3…共通対称面、 E1,E2…対称線、 ED…発光点、 K1,K2…回転対称軸、 LB…光線、 LL1…主点間線、 PD…投影像、 PG…投影像群、 RT…回転対称軸、 S1,S4…外側レンズ面、 S2,S3…絞り側レンズ面、 T1,T4…外側主点、 T2,T3…絞り側主点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7