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特許7161626積層アンテナ構造を有するアンテナ・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】積層アンテナ構造を有するアンテナ・システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20221019BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021544494
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020014877
(87)【国際公開番号】W WO2020159806
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】62/798,762
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/834,661
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519006872
【氏名又は名称】エイブイエックス・アンテナ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】シャンブリン,ジョン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6041966(JP,B1)
【文献】特開平08-213835(JP,A)
【文献】特開2019-009544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0155823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ・システムであって、
回路ボードと、
第1導電性アンテナ給電路を通じて、前記回路ボードに電気的に結合された第1アンテナ構造と、
前記第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通する第2導電性アンテナ給電路を通じて、前記回路ボードに電気的に結合された第2アンテナ構造と、
を備え、
前記第1アンテナ構造が、前記回路ボードと前記第2アンテナ構造との間に位置付けられ、第2アンテナ構造に対して接地面を設け
前記第1アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記回路ボードに電気的に接地され、
前記第2アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記第1アンテナ構造に電気的に接地される、アンテナ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ・システムにおいて、
前記第1アンテナ構造が第1周波数に同調され、
前記第2アンテナ構造が、前記第1周波数とは異なる第2周波数に同調される、アンテナ・システム。
【請求項3】
請求項記載のアンテナ・システムにおいて、
前記第1周波数が、約722メガヘルツから約728メガヘルツまでの範囲に及び、
前記第2周波数が、約1995メガヘルツから約2020メガヘルツまでの範囲に及ぶ、アンテナ・システム。
【請求項4】
請求項1記載のアンテナ・システムにおいて、前記第1アンテナ構造および前記第2アンテナ構造が、各々、前記1つ以上の短絡ポストを有するノポールアンテナを含む、アンテナ・システム。
【請求項5】
請求項1記載のアンテナ・システムにおいて、前記第1アンテナ構造が前記第2アンテナ構造に対して接地面を設けるように、前記第1アンテナ構造の断面積が、前記第2アンテナ構造の断面積よりも大きい、アンテナ・システム。
【請求項6】
請求項1記載のアンテナ・システムにおいて、 前記第1アンテナ構造の形状が、前記第2アンテナ構造の形状とは異なる、アンテナ・システム。
【請求項7】
モジュールであって、
筐体と、
前記筐体内に配置されたアンテナ・システムであって、横方向、横断方向、および垂直方向を定める、アンテナ・システムと、
を備え、前記アンテナ・システムが、
回路ボードと、
第1導電路を通じて前記回路ボードに結合された第1アンテナ構造であって、第1周波数に同調される、第1アンテナ構造と、
前記第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通する第2導電路を通じて、前記回路ボードに結合された第2アンテナ構造であって、前記第1周波数とは異なる第2周波数に同調される、第2アンテナ構造と、
を備え、
前記第1アンテナ構造が、前記回路ボードと前記第2アンテナ構造との間に位置付けられ、前記第2アンテナ構造に対して接地面を設け
前記第1アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記回路ボードに電気的に接地され、
前記第2アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記第1アンテナ構造に電気的に接地される、モジュール。
【請求項8】
請求項記載のモジュールにおいて、前記アンテナ・システムが、更に、
前記第1アンテナ構造と前記回路ボードとの間に配置された基板を備える、モジュール。
【請求項9】
請求項記載のモジュールにおいて、
前記第1導電路が、前記基板によって定められた第1開口を貫通し、
前記第2導電路が、前記基板によって定められた第2開口を貫通する、モジュール。
【請求項10】
請求項記載のモジュールにおいて、前記基板がポリカーボネート材料を含む、モジュール。
【請求項11】
請求項記載のモジュールにおいて、前記アンテナ・システムが、更に、
前記回路ボードに結合されたエネルギ蓄積デバイスを備え、
前記回路ボードが、前記第1アンテナと前記エネルギ蓄積デバイスとの間に、垂直方向に沿って位置付けられる、モジュール。
【請求項12】
横方向、横断方向、および垂直方向を定めるアンテナ・システムであって、
回路ボードと、
導電性アンテナ給電路を通じて前記回路ボードに結合された第1アンテナ構造であって、第1周波数に同調される第1アンテナ構造と、
前記導電性アンテナ給電路を通じて前記回路ボードに結合された第2アンテナ構造であって、前記第1周波数とは異なる第2周波数に同調される、第2アンテナ構造と、
を備え、
前記第1アンテナ構造が、前記回路ボードと前記第2アンテナ構造との間に位置付けられ、前記第2アンテナ構造に対して接地面を設け
前記第1アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記回路ボードに電気的に接地され、
前記第2アンテナ構造が、1つ以上の短絡ポストを通じて、前記第1アンテナ構造に電気的に接地される、アンテナ・システム。
【請求項13】
請求項12記載のアンテナ・システムにおいて、前記導電性アンテナ給電路が、前記第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通する、アンテナ・システム。
【請求項14】
請求項12記載のアンテナ・システムであって、更に、
カバーを備え、前記第1アンテナ構造および前記第2アンテナ構造が、前記カバーと前記回路ボードとの間に垂直方向に沿って位置付けられ、前記カバーが、前記第1アンテナ構造の断面積および前記第2アンテナ構造の断面積よりも大きい断面積を有する、アンテナ・システム。
【請求項15】
請求項12記載のアンテナ・システムであって、更に、
前記第1アンテナ構造と前記導電性アンテナ給電路との間に、横方向に沿って結合されたフィルタを備える、アンテナ・システム。
【請求項16】
請求項15記載のアンテナ・システムにおいて、前記フィルタが、前記第1周波数を通過させ、前記第2周波数を遮断するように構成される、アンテナ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001] 本願は、 “Antenna System Having Stacked Antenna Structures”(積層アンテナ構造を有するアンテナ・システム)と題し、2019年1月30日の出願日を有する米国仮特許出願第62/798,762号の優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。また、本願は、“Antenna System Having Stacked Antenna Structures”(積層アンテナ構造を有するアンテナ・システム)と題し、2019年4月16日の出願日を有する米国仮特許出願第62/834,661号の優先権も主張する。 この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
分野
[0002] 本開示は、一般的には、アンテナ・システムに関し、更に特定すれば、積層アンテナ構造を有するアンテナ・システムに関する。
【従来技術】
【0003】
[0003] アンテナは、2つのデバイス間においてデータを送信および受信するために使用することができる。デバイスの中は、複数のアンテナを含み、複数の周波数帯域に跨がって通信に対応し、長期的進化(LTE:long term evolution)のような通信規格と関連付けられた高データ速度に対応することができるものもある。例えば、ハンドヘルド・デバイス(例えば、スマートフォン)は2つのアンテナを含むことができる。2つのアンテナの内、1つは第1周波数に同調され、データを送信および受信するように構成することができる。他方のアンテナは、第1周波数とは異なる第2周波数に同調され、データを受信するように構成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本開示の実施形態の態様および利点は、部分的に以下の説明において明記され、この説明から学習することができ、または実施形態の実践を通じて学習することができる。
【0005】
[0005] 一態様では、アンテナ・システムを提供する。このアンテナ・システムは、回路ボードと、第1アンテナ構造と、第2アンテナ構造とを含むことができる。第1アンテナ構造は、回路ボードと第2アンテナ構造との間に位置付けられ、第2アンテナ構造に対して接地面を設ける(provide)ことができる。加えて、第1アンテナ構造は、第1導電路を通じて、回路ボードに電気的に結合することができる。第2アンテナ構造は、第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通する第2導電路を通じて、回路ボードに電気的に結合することができる。
【0006】
[0006] 他の態様では、モジュールを提供する。このモジュールは、筐体と、この筐体内部に配置されたアンテナ・システムとを含む。アンテナ・システムは、回路ボードを含む。アンテナ・システムは、更に、第1周波数に同調された第1アンテナ構造と、第1周波数とは異なる第2周波数に同調された第2アンテナ構造とを含む。第1アンテナ構造は、第1アンテナ構造が第2アンテナ構造に接地面を設けるように、回路ボードと第2アンテナ構造との間に位置付けられている。更に、第1アンテナ構造は、第1導電路を通じて、回路ボードに結合されている。第2アンテナ構造は、第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通する第2導電路を通じて、回路ボードに結合されている。
【0007】
[0007] 更に他の態様では、アンテナ・システムを提供する。このアンテナ・システムは、回路ボードを含む。アンテナ・システムは、更に、第1周波数に同調された第1アンテナ構造と、第1周波数とは異なる第2周波数に同調された第2アンテナ構造とを含む。第1アンテナ構造は、回路ボードと第2アンテナ構造との間に位置付けられ、第2アンテナ構造に対して接地面を設ける。更に、第1アンテナ構造および第2アンテナ構造は、各々、同じ導電性アンテナ給電路を通じて、回路ボードに結合されている。
【0008】
[0008] 種々の実施形態のこれらならびにその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付する特許請求の範囲を参照することにより、一層深く理解されよう。添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成するが、本開示の実施形態を例示し、説明と併せて、関連する原理を説明する役割を果たす。
【0009】
[0009] 明細書では、添付図面を参照しながら、当業者に向けた実施形態の詳細な説明について明記する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムを示す。
図2】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの断面図を示す。
図3】本開示の実施形態例による図2のアンテナ・システムの第1アンテナ構造の上面図(top down view)を示す。
図4】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムに伴う反射損失を表すグラフを示す。
図5】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの効率を表すグラフを示す。
図6】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
図7】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
図8】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第2アンテナ構造に伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
図9】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第2アンテナ構造に伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
図10】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの断面図を示す。
図11】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
図12】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
図13】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
図14】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第1アンテナ構造に伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
図15】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第2アンテナ構造に伴う方位角放射パターンを表すグラフを示す。
図16】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの第2アンテナ構造に伴う仰角放射パターンを表すグラフを示す。
図17】本開示の実施形態例によるモジュールのコンポーネントのブロック図を示す。
図18】本開示の実施形態例によるアンテナ・システムの断面図を示す。
図19】本開示の実施形態例による第1アンテナ構造の一部の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0029] これより、実施形態について詳しく説明する。実施形態の1つ以上の例を図面に示す。各例は、実施形態の説明として示されるのであって、本開示の限定として示されるではない。実際、本開示の範囲や主旨から逸脱することなく、実施形態に対して種々の変更および変形を行えることは、当業者には明白であろう。実例をあげると、一実施形態の一部として図示または説明する特徴を他の実施形態と共に使用して、更に他の実施形態を生み出すことができる。つまり、本開示の態様は、このような変更および変形にも及ぶことを意図している。
【0012】
[0030] 本開示の態様例は、アンテナ・システムを対象とする。このアンテナ・システムは、第1アンテナ構造と第2アンテナ構造とを含むことができる。第1アンテナ構造は、第1周波数に同調させることができる。第2アンテナ構造は、第2周波数に同調させることができる。ある実施態様では、第2周波数が第1周波数とは異なってよい。実例をあげると、第2周波数を第1周波数よりも高くすることができる。ある実施態様では、第1周波数は、約722MHzから約728MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。あるいはまたは加えて、第1周波数は、約1915MHzから約1920MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。ある実施態様では、第2周波数は、約1995MHzから約2020MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。
【0013】
[0031] 第1アンテナ構造は、第2アンテナ構造とアンテナ・システムの回路ボードとの間に配置することができる。加えて、第1アンテナ構造および第2アンテナ構造は、各々、回路ボードに結合することができる。ある実施態様では、第1アンテナ構造および第2アンテナ構造は、同じ導電性アンテナ給電路を通じて、回路ボードに結合することができる。代替実施態様では、第1アンテナ構造および第2アンテナ構造は、別個の導電性アンテナ給電路を通じて、回路ボードに電気的に結合することができる。実例をあげると、第1アンテナ構造は、第1導電性アンテナ給電路を通じて、回路ボードに電気的に結合することができる。逆に、第2アンテナ構造は、第1導電性アンテナ給電路とは異なる第2導電性アンテナ給電路を通じて、回路ボードに電気的に結合することができる。第2導電性アンテナ給電路は、第1アンテナ構造によって定められた開口を貫通することができる。
【0014】
[0032] ある実施態様では、第1アンテナ構造は、1つ以上の接地または短絡ポスト(shorting post)を通じて、回路ボード(例えば、回路ボード上の導電性接地面)に電気的に接地することができる。加えて、第2アンテナ構造は、1つ以上の短絡ポストを通じて、第1アンテナ構造に電気的に接地することができる。ある実施態様では、アンテナ・システムは、回路ボードと第1アンテナ構造との間に配置された基板を含むことができる。この基板は、アンテナ給電路(1つまたは複数)および短絡ポストを収容するために、複数の開口を定めることができる。このように、導電性アンテナ給電路(1つまたは複数)および短絡ポストは、開口を通って、基板を貫通することができる。
【0015】
[0033] ある実施態様では、第1アンテナ構造の断面積は、第2アンテナ構造の断面積よりも大きくすることができる。このようにして、第1アンテナ構造は、第2アンテナ構造に対して、接地面として作用することができる。ある実施態様では、第1アンテナ構造の形状は、第2アンテナ構造の形状とは別にすることができる。実例をあげると、第1アンテナ構造の形状は矩形にすることができる。逆に、第2アンテナ構造の形状は環状にすることができる。尚、第1アンテナ構造および第2アンテナ構造は、第1アンテナ構造の断面積が第2アンテナ構造の断面積よりも大きい限り、任意の適した形状を有することができることは認められてしかるべきである。
【0016】
[0034] 本開示の態様例によるアンテナ・システムは、多数の技術的効果および利点を提供することができる。実例をあげると、アンテナ・システムの第2アンテナ構造を、アンテナ・システムの第1アンテナ構造の上に位置付けて、アンテナ・システムのフットプリントを縮小することができる。加えて、第1アンテナ構造の断面積を、第2アンテナ構造の断面積よりも大きくすることができる。このようにして、第1アンテナ構造は、第2アンテナ構造に対して接地面を設けることができる。
【0017】
[0035] 本明細書において使用する場合、「約」(about)という用語を数値と併せて使用すると、述べられる量の20%以内を指すことを意図している。加えて、「第1」、「第2」、および「第3」という用語は、コンポーネント間で区別するために相互交換可能に使用してもよく、個々のコンポーネントの位置も重要性も意味することは意図していない。
【0018】
[0036] これより図を参照すると、図1は、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム100が示されている。図示のように、アンテナ・システム100は、横方向L、横断方向T、および垂直方向Vを含む座標系を定めることができる。ある実施態様では、アンテナ・システム100は、アンテナ・システム100の1つ以上のコンポーネントに電力を供給するように構成された電源110(例えば、バッテリ)を含むことができる。図示のように、アンテナ・システム100は、1つ以上の電気コンポーネント(例えば、キャパシタ、抵抗器、インダクタ、導電性接地面、集積回路、プロセッサ等)を有する回路ボード120を含むことができる。ある実施態様では、回路ボード120を電源110に電気的に結合することができる。このように、回路ボード120は電力を電源110から受けることができる。
【0019】
[0037] 図示のように、アンテナ・システム100は、第1アンテナ構造130と第2アンテナ構造140とを含むことができる。ある実施態様では、アンテナ構造130は第1周波数に同調させることができる。逆に、第2アンテナ構造140は、第1周波数とは異なる第2周波数に同調させることができる。実例をあげると、第1周波数は第2周波数よりも低くすることができる。ある実施態様では、第1周波数は約722MHzから約728MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。あるいはまたは加えて、第1周波数は、約1915MHzから約1920MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。ある実施態様では、第2周波数は、約1995MHzから約2020MHzまでに及ぶ周波数範囲を含むことができる。
【0020】
「0038」 ある実施態様では、第1アンテナ構造130はデータを送信および受信するように構成することができる。実例をあげると、第1アンテナ構造130は、約722MHzから約728MHzまでに及ぶ範囲内に第1周波数を有するRF信号によって、データを送信することができる。加えて、第1アンテナ構造130は、約1915MHzから約1920MHzまでに及ぶ範囲内に含まれる周波数を有するRF信号によって、データを受信するように構成することができる。ある実施態様では、第2アンテナ構造140は、第2周波数に同調させたときに、データを受信するように構成することができる。
【0021】
[0039] 尚、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、任意の適した形式のアンテナを含むことができることは認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、各々、1つ以上の短絡ポストを有する上面装荷型モノポールSアンテナ(top loaded monopole S antenna)を含むことができる。
【0022】
[0040] これより図2を参照すると、アンテナ・システム100の断面図が示されている。図示のように、第1アンテナ構造130は、回路ボード120と第2アンテナ構造140との間に配置することができる。更に具体的には、第1アンテナ構造130は、回路ボード120と第2アンテナ構造140との間に、垂直方向Vに沿って配置することができる。加えて、第1アンテナ構造130は、第2アンテナ構造140とは異なる断面積にすることができる。更に具体的には、第1アンテナ構造130の断面積は、第2アンテナ構造140の断面積よりも大きくすることができる。このようにして、第1アンテナ構造130は、第2アンテナ構造140に対して接地面を設けることができる。
【0023】
[0041] ある実施態様では、第1アンテナ構造130は、第2アンテナ構造140とは異なる形状にすることができる。実例をあげると、第1アンテナ構造130の形状は矩形にすることができる。逆に、第2アンテナ構造140の形状は環状(例えば、輪、円、楕円)にすることができる。しかしながら、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、第1アンテナ構造130の断面積が第2アンテナ構造140の断面積よりも大きい限り、任意の適した形状を有することができることは認められてしかるべきである。
【0024】
[0042] ある実施態様では、回路ボード120上の接地面は、第1アンテナ構造130とは異なる断面積にすることができる。実例をあげると、回路ボード120上の接地面の断面積は、第1アンテナ構造130の断面積よりも大きくすることができる。以下で更に詳しく論ずるが、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、各々、回路ボード120に電気的に結合することができる。
【0025】
[0043] ある実施態様では、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、各々、別々の導体(例えば、導電性ポスト)を通じて回路ボード120に電気的に結合することができる。実例をあげると、第1アンテナ構造130は、第1導電性アンテナ給電路150(例えば、同軸アンテナ給電路)を通じて、回路ボード120に電気的に結合することができる。逆に、第2アンテナ構造140は、第2導電性アンテナ給電路152(例えば、同軸アンテナ給電路)を通じて、回路ボード120に電気的に結合することができる。ある実施態様では、第2導電性アンテナ給電路152は、第1アンテナ構造130によって定められた開口132(図3)を貫通することができる。
【0026】
[0044] ある実施態様では、第1アンテナ構造130は、1つ以上の短絡ポスト160を通じて、回路ボード120(例えば、回路ボード120上の接地面)に電気的に接地することができる。尚、第1アンテナ構造130を回路ボード120に電気的に接地するためには、任意の適した数の短絡ポスト160を使用できることは認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、第1アンテナ構造130は、2つの短絡ポスト160を通じて、回路ボード120に電気的に結合することができる。代替実施態様では、第1アンテナ構造130は、もっと多いまたはもっと少ない短絡ポスト160を通じて、回路ボード120に電気的に接地することができる。
【0027】
[0045] ある実施態様では、第2アンテナ構造140は、複数の短絡ポスト170を通じて、第1アンテナ構造130に電気的に接地することができる。実例をあげると、ある実施態様では、第2アンテナ構造140は、2つの短絡ポスト170を通じて、第1アンテナ構造130に電気的に接地することができる。代替実施態様では、第2アンテナ構造140は、もっと多いまたはもっと少ない短絡ポスト170を通じて、第1アンテナ構造130に電気的に接地することができる。
【0028】
[0046] ある実施態様では、アンテナ・システム100は、回路ボード120と第1アンテナ構造130との間に配置された基板180を含むことができる。基板180は、約3の比誘電率εを有するポリマー材(例えば、ポリカーボネート材料)を含むことができる。しかしながら、基板180は任意の適した材料を含んでもよいことは、認められてしかるべきである。また、基板180は複数の開口182を定めることができることも認められてしかるべきである。このように、第1導体150、第2導体152、および複数の短絡ポスト160は、各々、基板180によって定められた複数の開口の内対応する開口を貫通することができる。
【0029】
[0047] ある実施態様では、アンテナ・システム100はカバー190を含むことができる。図示のように、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、回路ボード120とカバー190との間に、垂直方向Vに沿って位置付けることができる。加えて、カバー190の断面積は、第1アンテナ構造130の断面積および第2アンテナ構造140の断面積よりも大きくすることができる。このように、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140をカバー190によって覆うことができる。尚、カバー190は、任意の適した材料を含んでもよいことは、認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、カバー190はプラスチック(例えば、ポリウレタン)を含むことができる。また、カバー190は任意の適したサイズにできることも認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、カバー190の厚さは、垂直方向Vに沿って測定した場合、約2ミリメートルにすることができる。
【0030】
[0048] これより図4を参照すると、本開示の実施形態例によるアンテナ100(図1)の反射損失を表すグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システムの反射損失(デシベル単位で縦軸に沿って示す)を、周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として示す。更に具体的には、このグラフは、500メガヘルツ(MHz)から3000MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたる、アンテナ・システムの反射損失を示す。図示のように、曲線200は、この周波数範囲において第1アンテナ構造130(図1)に伴う反射損失を表す。加えて、曲線210は、この周波数範囲において第2アンテナ構造140(図1)に伴う反射損失を表す。更に、曲線220は、第1アンテナ構造130と第2アンテナ構造140との間における分離を表す。
【0031】
[0049] これより図5を参照すると、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム100(図1)の効率を表すグラフが示されている。図示のように、このグラフは、アンテナ・システム100の効率(百分率として縦軸に沿って示す)を、周波数(メガヘルツ単位で横軸に沿って示す)の関数として示す。更に具体的には、このグラフは、約700MHzから約2400MHzまでに及ぶ周波数範囲にわたるアンテナ・システムの効率を示す。尚、アンテナの効率は、アンテナに配信される電力の、アンテナによって放射される電力に対する比率を表すことは認められてしかるべきである。図示のように、曲線300は、このアンテナ周波数範囲にわたる第1アンテナ構造130(図1)の効率を表す。加えて、曲線310は、この周波数範囲にわたる第2アンテナ構造140(図1)の効率を表す。図に示すように、第1アンテナ構造130は、800MHzと1000MHzとの間の周波数に同調させたときに、最も効率的となる。逆に、第2アンテナ構造140は、2000MHzと2200MHzとの間の周波数に同調させたときに、最も効率的となる。
【0032】
[0050] これより図6を参照すると、本開示の実施形態例による第1アンテナ構造130(図1)に伴う方位角平面放射パターンを表すグラフが示されている。更に具体的には、このグラフは、第1周波数(例えば、約725MHz)に同調させたときの、第1アンテナ構造130の方位角平面放射パターンを示す。図示のように、第1アンテナ構造130の利得は、方位角平面において全体的に均一である。このように、第1アンテナ構造130に伴う方位角放射パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、無指向性と考えることができる。
【0033】
[0051] 図7は、本開示の実施形態例による第1アンテナ構造130(図1)に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、第1周波数に同調させたときの、第1アンテナ構造の仰角放射パターンを表す。図示のように、この仰角放射パターンは、メイン・ローブと複数のサイド・ローブとを含むことができる。このように、第1アンテナ構造130に伴う仰角放射パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、指向性と考えることができる。
【0034】
[0052] これより図8を参照すると、本開示の実施形態例による第2アンテナ構造140(図1)に伴う方位角放射パターンを表すグラフが示されている。更に具体的には、このグラフは、第2周波数(例えば、約1918MHz)に同調させたときの、第2アンテナ構造140の方位角平面放射パターンを表す。図示のように、第2アンテナ構造140の利得は、方位角平面において全体的に均一である。このように、第2アンテナ構造140に伴う方位角放射パターンは、第2アンテナ構造140を第2周波数に同調させたときには、無指向性と考えることができる。
【0035】
[0053] 図9は、本開示の実施形態例による第2アンテナ構造140に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、第2周波数に同調させたときの、第2アンテナ構造140の仰角放射パターンを表す。図示のように、この仰角放射パターンは、メイン・ローブ、バック・ローブ、およびサイド・ローブを含むことができる。このように、第2アンテナ構造140に伴う仰角放射パターンは、第2アンテナ構造140を第2周波数に同調させたときには、指向性と考えることができる。
【0036】
[0054] これより図10を参照すると、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500の他の実施形態が示されている。図10のアンテナ・システム500は、図1から図4までを参照して先に論じたアンテナ・システム100と同じまたは同様のコンポーネントを含むことができる。実例をあげると、図10のアンテナ・システム500は、第1アンテナ構造130と第2アンテナ構造140とを含むことができる。しかしながら、図1から図4までに示したアンテナ・システム100とは対照的に、図10に示すアンテナ・システム500の第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、別個の導電性アンテナ給電路を通じて回路ボード120に結合されるのではない。代わりに、第1アンテナ構造130および第2アンテナ構造140は、各々、同じ導電性アンテナ給電路510を通じて回路ボード120に結合されている。加えて、図10の第2アンテナ構造140は、1つ以上の短絡ポスト170(図2)を通じて、第1アンテナ構造130に電気的に接地されているのではない。
【0037】
[0055] これより図11を参照すると、本開示の実施形態例による第1アンテナ・システム500(図10)に伴う方位角平面放射パターンを表すグラフが示されている。更に具体的には、このグラフは、第1周波数(例えば、約725MHz)に同調させたときの、第1アンテナ構造130の方位角平面放射パターンを表す。図示のように、放射パターンは、方位角平面において全体的に均一である。このように、第1アンテナ構造130に伴う方位角評者パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、無指向性にすることができる。
【0038】
[0056] 図12は、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500(図10)に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、第1周波数に同調させたときに、第1アンテナ構造130に伴う仰角放射パターンを表す。図示のように、この仰角放射パターンはサイド・ローブを含むことができる。このように、第1アンテナ構造130に伴う仰角放射パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、指向性にすることができる。
【0039】
[0057] これより図13を参照すると、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500(図10)に伴う方位角放射パターンを表すグラフが示されている。更に具体的には、このグラフは、第1周波数(例えば、約1918MHz)に同調させたときに、第1アンテナ構造130に伴う方位角平面放射パターンを表す。図示のように、この放射パターンは方位角平面において全体的に均一である。このように、第1アンテナ構造130に伴う方位角放射パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、無指向性にすることができる。
【0040】
[0058] 図14は、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500(図10)に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、第1周波数(例えば、約1918MHz)に同調させたときの、第1アンテナ構造130の仰角放射パターンを表す。図示のように、この仰角放射パターンはサイド・ローブを含むことができる。このように、第1アンテナ構造130に伴う仰角放射パターンは、第1アンテナ構造130を第1周波数に同調させたときには、指向性にすることができる。
【0041】
[0059] これより図15を参照すると、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500(図10)に伴う方位角放射パターンを表すグラフが示されている。更に具体的には、このグラフは、第2周波数(例えば、約2008MHz)に同調させたときの、第2アンテナ構造140の方位角平面放射パターンを表す。図示のように、放射パターンは方位角平面において全体的に均一である。このように、第2アンテナ構造140に伴う方位角放射パターンは、第2アンテナ構造140を第2周波数に同調させたときには、無指向性にすることができる。
【0042】
[0060] 図16は、本開示の実施形態例によるアンテナ・システム500(図10)に伴う仰角平面放射パターンを表すグラフを示す。更に具体的には、このグラフは、第2周波数に同調させたときの、第2アンテナ構造140の仰角放射パターンを表す。図示のように、この仰角放射パターンはサイド・ローブを含むことができる。このように、第2アンテナ構造140に伴う仰角放射パターンは、第2アンテナ構造140を第2周波数に同調させたときには、指向性にすることができる。
【0043】
[0061] これより図17を参照すると、本開示の実施形態例によるユニットまたはモジュール600のコンポーネントのブロック図が示されている。図示のように、モジュール600は筐体610を含むことができる。モジュール600は、更に、筐体610内に配置されたアンテナ・システム620を含むことができる。尚、アンテナ・システム620は任意の適したアンテナ・システムを含むことは認められてしかるべきである。ある実施態様では、アンテナ・システム620は図1から図4までを参照して先に論じたアンテナ・システム100に対応することができる。代替実施態様では、アンテナ・システム620は図10を参照して先に論じたアンテナ・システム500に対応することができる。
【0044】
[0062] ある実施態様では、モジュール600は、アンテナ・システム620とモジュール600に付随する接地面640との間に位置付けられたスペーサ630を含むことができる。更に具体的には、スペーサ630は、接地面640とアンテナ・システム620の電源110(図1および図10)との間に位置付けることができる。このように、アンテナ・システム620は、モジュール600の接地面640から分離することができる。
【0045】
[0063] 尚、スペーサ630は、任意の適した材料を含んでもよいことは、認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、スペーサ630は発泡材料を含むことができる。また、モジュール600の接地面640の断面積は、アンテナ・システム620の回路ボード120(図1および図10)の断面積よりも大きくすることができることは認められてしかるべきである。このように、モジュール600の接地面640は、アンテナ・システム620の第1アンテナ構造130(図1および図10)を通して放出されるRF波の逆伝搬を抑制することができる。ある実施態様では、図1および図10のアンテナ・システムは、各々、垂直方向に10mmの高さを有する。
【0046】
[0064] 図18は、本開示の他の実施形態例によるアンテナ・システム700の断面図を示す。アンテナ・システム700は、第1アンテナ構造730、第2アンテナ構造740、および回路ボード720を含むことができる。第1アンテナ構造730は、回路ボード720(例えば、回路ボード上の接地面)と第2アンテナ構造740との間に配置することができる。更に具体的には、第1アンテナ構造730は、回路ボード720と第2アンテナ構造740との間に、垂直方向Vに沿って配置することができる。加えて、第1アンテナ構造730は、第2アンテナ構造740とは異なる断面積にすることができる。更に具体的には、第1アンテナ構造730の断面積は、第2アンテナ構造740の断面積よりも大きくすることができる。このように、第1アンテナ構造130は、第2アンテナ構造740に対して接地面を形成することができる。
【0047】
[0065] ある実施態様では、第1アンテナ構造730は、第2アンテナ構造740とは異なる形状にすることができる。実例をあげると、第1アンテナ構造730の形状は矩形にすることができる。逆に、第2アンテナ構造740の形状は環状(例えば、輪、円、楕円)にすることができる。しかしながら、第1アンテナ構造730および第2アンテナ構造740は、第1アンテナ構造730の断面積が第2アンテナ構造740の断面積よりも大きい限り、任意の適した形状を有することができることは認められてしかるべきである。
【0048】
[0066] ある実施態様では、回路ボード720上の接地面は、第1アンテナ構造730とは異なる断面積にすることができる。実例をあげると、回路ボード720の断面積は、第1アンテナ構造730の断面積よりも大きくすることができる。以下で更に詳しく論ずるが、第1アンテナ構造730および第2アンテナ構造740は、各々、共通のアンテナ・フィード(例えば、導電性アンテナ給電路710)を使用して、回路ボード720に電気的に結合することができる。
【0049】
[0067] 第1アンテナ構造730は、1つ以上の短絡ポスト760を通じて、回路ボード720(例えば、回路ボード720上の接地面)に電気的に接地することができる。尚、第1アンテナ構造730を回路ボード720に電気的に接地するためには、任意の適した数の短絡ポスト760を使用できることは、認められてしかるべきである。実例をあげると、図18に示すように、第1アンテナ構造730は、2つの短絡ポスト760を通じて、回路ボード720に電気的に接地することができる。代替実施態様では、もっと多いまたはもっと少ない短絡ポスト760を使用して、第1アンテナ構造730を回路ボード720に電気的に接地することができる。
【0050】
[0068] 図示のように、第2アンテナ構造740は、1つ以上の短絡ポスト762を通じて、第1アンテナ構造730に電気的に接地することができる。実例をあげると、図18に示すように、第2アンテナ構造740は、2つの短絡ポスト762を通じて、第1アンテナ構造730に電気的に接地することができる。代替実施態様では、もっと多いまたはもっと少ない短絡ポスト762を使用して、第2アンテナ構造740を第1アンテナ構造730に電気的に接地することができる。
【0051】
[0069] ある実施態様では、アンテナ・システム700は、回路ボード720と第1アンテナ構造730との間に配置された基板780を含むことができる。基板780は、約3の比誘電率εを有するポリマー材(例えば、ポリカーボネート)を含むことができる。しかしながら、基板780は任意の適した材料を含んでもよいことは、認められてしかるべきである。また、基板780は複数の開口782を定めることができることも認められてしかるべきである。このように、導電性アンテナ給電路710および複数の短絡ポスト760は、各々、基板780によって定められた複数の開口782の内対応する開口を貫通することができる。
【0052】
[0070] ある実施態様では、アンテナ・システム700はカバー790を含むことができる。図示のように、第1アンテナ構造730および第2アンテナ構造740は、回路ボード720とカバー790との間に、垂直方向Vに沿って位置付けることができる。加えて、カバー790の断面積は、第1アンテナ構造730の断面積および第2アンテナ構造730の断面積よりも大きくすることができる。このように、第1アンテナ構造730および第2アンテナ構造740は、カバー790によって覆うことができる。尚、カバー790は任意の適した材料を含んでもよいことは、認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、カバー790はプラスチック(例えば、ポリウレタン)を含むことができる。また、カバー790は任意の適した大きさに形成できることも、認められてしかるべきである。実例をあげると、ある実施態様では、カバー790の厚さは、垂直方向Vに沿って測定した場合、約2ミリメートルにすることができる。アンテナ・システム700は、バッテリのような電源715を含むことができる。
【0053】
[0071] 本開示の態様例によれば、導電性アンテナ給電路710と第1アンテナ構造730との間に、フィルタ750(例えば、LCフィルタ)を置く(例えば、結合する)ことができる。フィルタ750は、1つ以上のインダクタおよび/または1つ以上のキャパシタを含むことができる。フィルタ750は、実例をあげると、表面実装技術(例えば、1つ以上のはんだパッドによって)を使用して、導電性アンテナ給電路710と第1アンテナ構造730との間の経路において、アンテナ・システム700に実装することができる。
【0054】
[0072] 図19は、第1アンテナ構造730の一部の平面図である。図示のように、導電性アンテナ給電路710は第1アンテナ構造730を貫通する。導電性アンテナ給電路710は、フィルタ750を含む経路を通じて、第1アンテナ構造730に結合されている。
【0055】
[0073] ある実施形態では、フィルタ750は、第1アンテナ構造730と関連付けられた周波数を有するRF信号の成分を通過させ、第2アンテナ構造730と関連付けられた周波数を有するRF信号の成分を遮断するように構成する(figured)ことができる。実例をあげると、ある実施形態では、フィルタ750は、約722MHzから約728MHzまでの範囲における周波数を有するRF信号の成分を通過させるように構成することができる。フィルタ750は、約1915MHzから約2020MHzまでの範囲における周波数を有するRF信号の成分を遮断するように構成することができる。これは、更に、互いに独立して低および高帯域領域において機能するアンテナ・システムを改善する(enhance)ことができる。
【0056】
[0074] 図18および図19は、例示の目的で、共通の導電性アンテナ給電路と第1アンテナ構造との間に置かれたフィルタを示す。このフィルタは、本開示の範囲から逸脱することなく、共通の導電性アンテナ給電路と第2アンテナ構造との間に置くこともできる。また、アンテナ・システムは、共通の導電性アンテナ給電路と第1アンテナ構造との間に置かれた第1フィルタと、共通の導電性アンテナ給電路と第2アンテナ構造との間に置かれた第2フィルタとを含むこともできる。
【0057】
[0075] 以上、本発明の主題を、その具体的な実施形態例に関して詳細に説明したが、以上のことの理解が得られれば、当業者はこのような実施形態に対する変更、変形、および等価物は容易に生み出すことができることは、認められよう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく一例であり、当業者には容易に認められるように、本開示は、本発明の主題に対するこのような変更、変形、および/または追加の包含を除外することはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19