(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/02 20060101AFI20221025BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20221025BHJP
H01H 50/12 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H01H50/02 B
H01H50/54 B
H01H50/12 A
(21)【出願番号】P 2018215495
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達郎
(72)【発明者】
【氏名】濱 開
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-002069(JP,U)
【文献】実開昭49-024965(JP,U)
【文献】特開2006-310250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
H01H 51/00 - 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1収納室を含み、前記第1収納室を前記第1収納室外の第2収納室から区画するハウジングと、
前記第1収納室内に配置された固定接点と、
前記第1収納室内に配置され、前記固定接点と接触する閉位置と、前記固定接点から開離した開位置とに移動可能に設けられる可動接点と、
前記第1収納室内に配置され、前記可動接点が接続された可動接触片と、
前記第1収納室から前記第2収納室に向かって延び、前記可動接触片に接続された可動軸と、
前記第2収納室内において前記可動軸に接続され、前記第1収納室から前記第2収納室に向かう方向に移動することで前記可動接点を前記開位置から前記閉位置に移動させ、前記第2収納室から前記第1収納室に向かう方向に移動することで前記可動接点を前記閉位置から前記開位置に移動させる可動鉄心と、
前記可動鉄心を移動させる磁力を発生させるコイルと、
前記可動軸が挿入され、前記第1収納室と前記第2収納室とを連通させる連通路と、
を備え、
前記連通路は、前記第1収納室側に配置された第1通路と、前記第2収納室側に配置された第2通路とを含み、
前記第2通路と前記可動軸との間の第2の間隙は、前記第1通路と前記可動軸との間の第1の間隙よりも大き
く、
前記連通路は、前記可動鉄心と接触することで、前記可動鉄心の前記第1収納室側への移動を規制する規制部をさらに含み、
前記第2通路は、前記規制部よりも前記第1収納室側に位置する、
リレー。
【請求項2】
前記連通路から前記固定接点又は前記可動接点に向かって延びるガイドをさらに備える、
請求項
1に記載のリレー。
【請求項3】
前記ガイドは、前記可動接触片に沿って配置されている、
請求項
2に記載のリレー。
【請求項4】
第1収納室を含み、前記第1収納室を前記第1収納室外の第2収納室から区画するハウジングと、
前記第1収納室内に配置された固定接点と、
前記第1収納室内に配置され、前記固定接点と接触する閉位置と、前記固定接点から開離した開位置とに移動可能に設けられる可動接点と、
前記第1収納室内に配置され、前記可動接点が接続された可動接触片と、
前記第1収納室から前記第2収納室に向かって延び、前記可動接触片に接続された可動軸と、
前記第2収納室内において前記可動軸に接続され、前記第1収納室から前記第2収納室に向かう方向に移動することで前記可動接点を前記開位置から前記閉位置に移動させ、前記第2収納室から前記第1収納室に向かう方向に移動することで前記可動接点を前記閉位置から前記開位置に移動させる可動鉄心と、
前記可動鉄心を移動させる磁力を発生させるコイルと、
前記可動軸が挿入され、前記第1収納室と前記第2収納室とを連通させる連通路と、
を備え、
前記連通路は、前記第1収納室側に配置された第1通路と、前記第2収納室側に配置された第2通路とを含み、
前記第2通路と前記可動軸との間の第2の間隙は、前記第1通路と前記可動軸との間の第1の間隙よりも大きく、
前記連通路から前記固定接点又は前記可動接点に向かって延びるガイドをさらに備え、
前記ガイドは、前記可動接触片に沿って配置され、
前記ガイドは、前記可動接触片に向かって突出し前記固定接点又は前記可動接点に向かって延びる壁を含む、
リレー。
【請求項5】
前記ガイドは、前記可動接触片から離れる方向に向かって凹んでおり前記固定接点又は前記可動接点に向かって延びる溝を含む、
請求項
4に記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーには、可動軸をコイル側に引き込むことで接点を閉じるものがある(例えば、特許文献1参照)。当該リレーは、第1収納室を含むハウジングを備えている。第1収納室には、固定接点と可動接点と可動接触片とが配置される。第1収納室外の第2収納室には、可動鉄心が配置される。可動軸は、第1収納室と第2収納室とに亘って配置されている。第1収納室と第2収納室とは、連通路を介して連通している。可動軸は、連通路に挿入されている。
【0003】
上記のリレーでは、コイルによる磁力によって、可動鉄心が第1収納室から第2収納室に向かう方向に移動することで、可動接点が固定接点に接触する。逆に、可動鉄心が第2収納室から第1収納室に向かう方向に移動することで、可動接点が固定接点から開離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したリレーにおいて、可動接点が固定接点から開離するとき、可動接点と固定接点との間にアークが発生する場合がある。その場合、第1収納室内の温度が上昇することで、第1収納室内の圧力が上昇する。それにより、第1収納室の空気が、連通路を通って、第2収納室に流入する。
【0006】
連通路を通って第2収納室に流入した空気が可動鉄心を押すと、可動鉄心は、可動接点が固定接点に向かう方向に動作する。そのため、接点の復帰時に、可動接点が、固定接点側に戻ってしまうバウンスという現象が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、リレーにおいて復帰バウンスの発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係るリレーは、ハウジングと、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、可動軸と、可動鉄心と、コイルと、連通路とを備える。ハウジングは、第1収納室を含み、第1収納室を第1収納室外の第2収納室から区画している。固定接点は、第1収納室内に配置される。可動接点は、第1収納室内に配置される。可動接点は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。閉位置で、可動接点は、固定接点と接触する。開位置で、可動接点は、固定接点から開離する。可動接触片は、第1収納室内に配置される。可動接触片には、可動接点が接続される。可動軸は、第1収納室から第2収納室に向かって延び、可動接触片に接続される。可動鉄心は、第2収納室内において可動軸に接続される。可動鉄心は、第1収納室から第2収納室に向かう方向に移動することで、可動接点を開位置から閉位置に移動させる。可動鉄心は、第2収納室から第1収納室に向かう方向に移動することで、可動接点を閉位置から開位置に移動させる。コイルは、可動鉄心を移動させる磁力を発生させる。連通路には、可動軸が挿入される。連通路は、第1収納室と第2収納室とを連通させる。連通路は、第1収納室側に配置された第1通路と、第2収納室側に配置された第2通路とを含む。第2通路と可動軸との間の第2の間隙は、第1通路と可動軸との間の第1の間隙よりも大きい。
【0009】
本態様に係るリレーでは、第2通路と可動軸との間の第2の間隙は、第1通路と可動軸との間の第1の間隙よりも大きい。そのため、第1収納室での圧力上昇によって第1収納室から第2収納室へ流れる空気は、第1通路から第2通路に流入する際に、減速される。従って、空気が可動鉄片を押す力が弱まることで、可動接点が、固定接点側に戻ってしまうことが抑えられる。その結果、復帰バウンスの発生を抑えることができる。
【0010】
連通路は、規制部をさらに含んでもよい。規制部は、可動鉄心と接触することで、可動鉄心の第1収納室側への移動を規制してもよい。第2通路は、規制部よりも第1収納室側に位置してもよい。この場合、接点の復帰時に、可動鉄心は、規制部に接触することで、第1収納室側への移動が規制される。
【0011】
リレーは、ガイドをさらに備えてもよい。ガイドは、連通路から、固定接点又は可動接点に向かって延びていてもよい。この場合、可動鉄心が第2収納室から第1収納室に向かう方向に移動するときに、第2収納室から連通路を介して第1収納室に流れる空気が、ガイドによって固定接点又は可動接点に向かって案内される。それにより、固定接点又は可動接点を冷却することができる。
【0012】
ガイドは、可動接触片に沿って配置されてもよい。この場合、ガイドと可動接触片とによって、空気を固定接点又は可動接点に向かって案内することができる。それにより、固定接点又は可動接点を、より効果的に冷却することができる。
【0013】
ガイドは、壁を含んでもよい。壁は、可動接触片に向かって突出し、固定接点又は可動接点に向かって延びていてもよい。この場合、壁によって、空気を固定接点又は可動接点に向かって案内することができる。それにより、固定接点又は可動接点を、より効果的に冷却することができる。
【0014】
ガイドは、溝を含んでもよい。溝は、可動接触片から離れる方向に向かって凹んでおり、固定接点又は可動接点に向かって延びていてもよい。この場合、溝によって、空気を固定接点又は可動接点に向かって案内することができる。それにより、固定接点又は可動接点を、より効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リレーにおいて復帰バウンスの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】可動接点が開位置での実施形態に係るリレーの側面断面図である。
【
図2】可動接点が閉位置でのリレーの側面断面図である。
【
図3】可動接点が閉位置での連通路及びその周囲の拡大図である。
【
図4】可動接点が開位置での連通路及びその周囲の拡大図である。
【
図7】第2変形例に係るリレーのガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施形態に係るリレー1について説明する。
図1は実施形態に係るリレー1を示す側面断面図である。
図1に示すように、リレー1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4とを備える。なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、
図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向を上方と定義する。また、接点装置2から駆動装置4に向かう方向を下方と定義する。
図1において、上下方向に交差する方向を左右方向と定義する。また、上下方向及び左右方向に交差する方向を前後方向と定義する。前後方向は、
図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、リレー1の配置方向を限定するものではない。
【0018】
接点装置2は、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子11には、第1固定接点14が設けられている。第2固定端子12には、第2固定接点15が設けられている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に離れて配置されている。
【0019】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、ハウジング3から外方に突出している。第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、ハウジング3から外方に突出している。
【0020】
なお、
図1では、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、ハウジング3から上方に突出している。しかし、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、上方に限らず、左右方向、或いは前後方向など他の方向にハウジング3から突出してもよい。
【0021】
可動接触片13は、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。本実施形態において、可動接触片13の長手方向は、左右方向に一致する。可動接触片13は、上下方向において、第1固定端子11及び第2固定端子12に対向して配置されている。
【0022】
可動接触片13は、接触方向Z1と開離方向Z2とに移動可能に配置されている。接触方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12に近接する方向(
図1における下方)である。開離方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12から開離する方向(
図1における上方)である。
【0023】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に支持されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に離れて配置されている。第1可動接点16は、上下方向において第1固定接点14に対向している。第1可動接点16は、第1固定接点14の上方に配置されている。第2可動接点17は、上下方向において第2固定接点15に対向している。第2可動接点17は、第2固定接点15の上方に配置されている。
【0024】
接点装置2は、可動軸19と接点バネ27とを含む。可動軸19は、上下方向に延びている。可動軸19は、可動接触片13に接続されている。可動軸19は、可動接触片13から下方に延びている。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を接触方向Z1に付勢する。
【0025】
ハウジング3は、接点装置2を収容している。ハウジング3は、第1収納室S1を含む。固定接点14,15と、可動接触片13と、可動接点16,17とは、第1収納室S1内に配置されている。駆動装置4は、第1収納室S1の外部に配置されている。
【0026】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、接触方向Z1及び開離方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、ハウジング3の下方に配置されている。駆動装置4は、スプール30と、可動鉄心31と、コイル32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0027】
スプール30は、上下方向にスプール30を貫通する孔301を含む。孔301は、可動鉄心31が配置される第2収納室S2を構成する。ただし、第2収納室S2は、スプール30以外の部分に設けられてもよい。可動鉄心31は、固定鉄心33と別体である。可動軸19は、第1収納室S1から第2収納室S2に向かって延びている。可動鉄心31は、第2収納室S2内において可動軸19に接続されている。可動鉄心31は、接触方向Z1及び開離方向Z2に移動可能に設けられている。接触方向Z1は、第1収納室S1から第2収納室S2に向かう方向である。開離方向Z2は、第2収納室S2から第1収納室S1に向かう方向である。コイル32は、スプール30に巻回されている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を接触方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。
【0028】
固定鉄心33は、第2収納室S2内に配置されている。固定鉄心33は、可動鉄心31に対向して配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開離方向Z2に付勢している。
【0029】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。また、ヨーク34の一部341は、第2収納室S2に配置されている。ヨーク34の一部341は、可動鉄心31の周囲に配置されている。
【0030】
次に、リレー1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、可動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧されている。そのため、可動接触片13も開離方向Z2に押圧されており、可動接点16,17は、
図1に示す開位置に位置している。可動接点16,17が開位置に位置している状態では、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15から開離している。
【0031】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、接触方向Z1に移動する。それにより、可動軸19と可動接触片13とが共に接触方向Z1に移動して、可動接点16,17は
図2に示す閉位置へ移動する。可動接点16,17が閉位置に位置している状態では、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15にそれぞれ接触している。
【0032】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧される。それにより、可動軸19と可動接触片13とが共に開離方向Z2に移動して、可動接点16,17は
図1に示す開位置へ戻る。
【0033】
上述したハウジング3は、隔壁40を含む。隔壁40は、接点装置2と駆動装置4との間に配置されている。隔壁40は、接点装置2の下方に配置されている。隔壁40は、駆動装置4の上方に配置されている。第1収納室S1と第2収納室S2とは、隔壁40によって区画されている。隔壁40には、連通路41が設けられている。連通路41は、第1収納室S1と第2収納室S2とを連通させる。連通路41には、可動軸19が挿入される。
【0034】
図3は、可動接点16,17が閉位置での連通路41及びその周囲の拡大図である。
図4は、可動接点16,17が開位置での連通路41及びその周囲の拡大図である。
図3及び
図4に示すように、連通路41は、第1収納室S1側に配置された第1通路42と、第2収納室S2側に配置された第2通路43とを含む。第1通路42は、第1収納室S1に向かって開口している。第2通路43は、第2収納室S2に向かって開口している。
【0035】
第2通路43は、可動鉄心31の外形よりも小さい。第2通路43は、第1通路42よりも大きい。すなわち、第2通路43の開口面積は、第1通路42の開口面積よりも大きい。第2通路43の開口面積は、上下方向への第2通路43の投影面積を意味する。第1通路42の開口面積は、上下方向への第1通路42の投影面積を意味する。第2通路43と可動軸19との間の第2の間隙G2は、第1通路42と可動軸19との間の第1の間隙G1よりも大きい。第1通路42と第2通路43との間には、段部44が設けられている。ただし、段部44に代えてテーパ部が設けられてもよい。テーパ部は、第1通路42側から第2通路43側に向かって拡大するように設けられてもよい。
【0036】
連通路41は、規制部45を含む。
図4に示すように、規制部45は、可動鉄心31と接触することで、可動鉄心31の第1収納室S1側への移動を規制する。可動接点16,17が開位置で、可動鉄心31は、規制部45に接触している。第2通路43は、規制部45よりも第1収納室S1側に位置する。第2通路43は、規制部45から第1収納室S1側に凹んだ形状を有している。
【0037】
以上説明した本実施形態に係るリレー1では、第2通路43と可動軸19との間の第2の間隙G2は、第1通路42と可動軸19との間の第1の間隙G1よりも大きい。そのため、第1収納室S1での圧力上昇によって第1収納室S1から第2収納室S2へ流れる空気は、第1通路42から第2通路43に流入する際に、減速される。従って、空気が可動鉄片31を押す力が弱まることで、可動接点16,17が、固定接点14,15側に戻ってしまうことが抑えられる。その結果、復帰バウンスの発生を抑えることができる。
【0038】
また、可動鉄心31の復帰動作時に、第2収納室S2から第1収納室S1に空気が流入するときには、連通路41において空気の流速を増大させることができる。それにより、可動接触片13の復帰動作を早くすることができる。そのため、接点間の絶縁のために必要な接点間隔を迅速に確保することができる。
【0039】
さらに、第2収納室S2から第1収納室S1に流入する空気の流速が増大することで、空気が接点に到達し易くなる。そのため、接点において発生したアークを冷却することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
第1固定端子11、第2固定端子12、可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。スプール30、可動鉄心31、コイル32、固定鉄心33、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1固定接点14、第2固定接点15、第1可動接点16、第1固定接点14の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0042】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0043】
連通路41の形状、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
図5は、リレー1の第1変形例を示す図である。
図5に示すように、リレー1は、ガイド51,52をさらに備えてもよい。ガイド51,52は、可動接触片13に沿って配置されてもよい。ガイド51,52は、可動接触片13の下方において可動接触片13と対向していてもよい。ガイド51,52は、第1ガイド51と第2ガイド52とを含んでもよい。第1ガイド51は、左右方向において連通路41から第1固定接点14又は第1可動接点16に向かって延びていてもよい。第2ガイド52は、左右方向において連通路41から第2固定接点15又は第2可動接点17に向かって延びていてもよい。
【0044】
第1変形例では、可動鉄心31が第2収納室S2から第1収納室S1に向かう方向に移動するときに、第2収納室S2から連通路41を介して第1収納室S1に流れる空気が、ガイド51,52によって固定接点14,15又は可動接点16,17に向かって案内される。それにより、固定接点14,15又は可動接点16,17を、より効果的に冷却することができる。
【0045】
図6及び
図7は、リレー1の第2変形例を示す図である。
図6及び
図7に示すように、ガイド51,52は、壁53,54を含んでもよい。壁53,54は、可動接触片13に向かって、すなわち上方に、突出していてもよい。壁53,54は、左右方向において固定接点14,15又は可動接点16,17に向かって延びていてもよい。壁53,54は、第1壁53と第2壁54とを含んでもよい。第1壁53と第2壁54とは、前後方向に互いに間隔をおいて配置されてもよい。第1壁53と第2壁54とは、それぞれ可動接触片13に沿って、すなわち、左右方向に延びていてもよい。
【0046】
また、ガイド51,52は、溝55,56を含んでもよい。溝55,56は、可動接触片13から離れる方向、すなわち下方に向かって凹んでいてもよい。溝55,56は、第1溝55と第2溝56とを含んでもよい。第1溝55は、左右方向において第1固定接点14又は第1可動接点16に向かって延びていてもよい。第2溝56は、左右方向において第2固定接点15又は第2可動接点17に向かって延びていてもよい。
【0047】
第2変形例では、壁53,54及び溝55,56によって、空気を固定接点14,15又は可動接点16,17に向かって案内することができる。それにより、固定接点14,15又は可動接点16,17を、より効果的に冷却することができる。なお、ガイド51,52は、壁53,54と溝55,56との両方に限らず、一方のみを含んでもよい。すなわち、ガイド51,52は、壁53,54のみを含んでもよい。或いは、ガイド51,52は、溝55,56のみを含んでもよい。
【0048】
図8は、リレー1の第3変形例を示す図である。
図8に示すように、連通路41と可動鉄芯31との間に、緩衝部材46が配置されてもよい。連通路41は、緩衝部材46を介して、可動鉄心31と接触してもよい。緩衝部材46は、例えばゴムなどの弾性部材製であってもよい。また、緩衝部材46と可動鉄芯31との間、及び/又は、緩衝部材46と規制部材46との間に、スペーサが配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、リレーにおいて復帰バウンスの発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0050】
3 ハウジング
13 可動接触片
14,15 固定接点
16,17 可動接点
19 可動軸
31 可動鉄心
32 コイル
41 連通路
42 第1通路
43 第2通路
45 規制部
51,52 ガイド
53,54 壁
55,56 溝
S1 第1収納室
S2 第2収納室