(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】充電制御装置及び移動型放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20221025BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20221025BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221025BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61B6/00 310
A61B6/00 300S
A61B6/00 320M
H02J7/02 G
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2019014801
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮 聡
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100377(JP,A)
【文献】特開2001-211558(JP,A)
【文献】特開2013-108898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
H02J 7/02-7/12、7/34ー7/36
H01M 10/42ー10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電する際に用いられる充電制御装置であって、
前記複数の放射線撮影装置が電力供給源から電力の供給を受けることが可能な接続状態となったことをそれぞれ検知することが可能な接続検知手段と、
前記複数の放射線撮影装置がそれぞれ接続状態となったことを前記接続検知手段が検知した場合に、前記電力供給源から前記複数の放射線撮影装置のうちの一部の前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ電力を供給させる制御を行う供給制御手段と、を備え
、
前記供給制御手段は、複数の前記放射線撮影装置のうち、前記接続検知手段が前記接続状態となったことを相対的に後に検知した前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ先に電力を供給させることを特徴する充電制御装置。
【請求項2】
複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電する際に用いられる充電制御装置であって、
前記複数の放射線撮影装置が電力供給源から電力の供給を受けることが可能な接続状態となったことをそれぞれ検知することが可能な接続検知手段と、
前記複数の放射線撮影装置がそれぞれ接続状態となったことを前記接続検知手段が検知した場合に、前記電力供給源から前記複数の放射線撮影装置のうちの一部の前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ電力を供給させる制御を行う供給制御手段と、を備え、
前記供給制御手段は、前記電力供給源から供給可能な電力の上限値である供給可能電力が、前記複数の放射線撮影装置の前記蓄電池の蓄電量をそれぞれ所定量以上とするのに要する電力の合計値である必要電力よりも大きい場合、全ての前記複数の放射線撮影装置の前記蓄電池に同時に電力を供給させることを特徴する充電制御装置。
【請求項3】
前記供給制御手段は、複数の前記放射線撮影装置のうち、前記接続検知手段が前記接続状態となったことを相対的に後に検知した前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ先に電力を供給させることを特徴とする請求項
2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記供給制御手段は、所定時間経過する度に、前記電力の供給先を、それまで供給先であった前記放射線撮影装置の前記蓄電池から供給先でなかった他の放射線撮影装置の前記蓄電池へ切り替えることを特徴とする請求項
2に記載の充電制御装置。
【請求項5】
複数の前記放射線撮影装置の各蓄電池の蓄電量をそれぞれ検知する残量検知手段を備え、
前記供給制御手段は、複数の前記放射線撮影装置のうち、蓄電量が相対的に少ない前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ先に電力を供給させることを特徴とする請求項
2に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記供給制御手段は、先に行わせていた前記蓄電池への電力の供給が完了した後に、他の前記蓄電池へ電力の供給を開始させることを特徴とする請求項
1又は請求項
5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
複数の前記各蓄電池の状態をそれぞれ検知する状態検知手段と、
前記状態検知手段が検知した複数の前記各蓄電池の状態を、自身又は他の装置が備える表示部に判別可能に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項8】
放射線を発生させる放射線発生装置と、
受けた放射線に応じた放射線画像を生成する複数の放射線撮影装置と、
複数の前記放射線撮影装置の各蓄電池へ充電のための電力を供給可能な電力供給源と、
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の充電制御装置と、を備えることを特徴とする移動型放射線撮影システム。
【請求項9】
放射線を発生させる放射線発生装置と、
受けた放射線に応じた放射線画像を生成する複数の放射線撮影装置と、
複数の前記放射線撮影装置の各蓄電池へ充電のための電力を供給可能な電力供給源と、
請求項
7に記載の充電制御装置と、
複数の前記放射線撮影装置をそれぞれ制御するコンソールと、を備え、
前記充電制御装置の表示制御手段は、前記状態検知手段が検知した前記各蓄電池の状態を、前記放射線発生装置、前記放射線撮影装置又はコンソールに設けられた表示部に表示させることを特徴とする移動型放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置及び移動型放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動の困難な患者のもとへ出向いて放射線撮影を行うことが可能な回診車(移動型放射線撮影システム)は、搭載された蓄電池で動作するようになっている。例えば、撮影前後の移動中における放射線撮影装置の充電もこの蓄電池を用いて行われる。このため、蓄電池の残量が少なくなると撮影を継続することができなくなってしまう。
そこで、従来、回診先で蓄電池の残量不足に陥らないようにするための各種技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、検査オーダー情報及び放射線検出器のバッテリー残量に基づいて、放射線検出器のバッテリー残量不足が生じない撮影順序を導出し、それをコンソールに表示する移動型放射線撮影装置について記載されている。
また、特許文献2には、撮影画像の取得に必要な電力を供給する電源手段が充電されていないことをX線撮影制御手段から知らされると、そのことを報知する回診用X線撮影装置について記載されている。
【0004】
一方、近年の回診では、一台の回診車に複数枚の放射線撮影装置(例えばそれぞれサイズの異なるもの)を搭載し、複数の放射線撮影装置を同時に用いる、又は検査内容に応じて使い分けるといった運用がなされるようになった。
それに伴い、回診車に搭載された蓄電池で複数の放射線撮影装置の充電を行えるようにするための仕組みが必要となってきた。
【0005】
複数の放射線撮影装置を充電できるようにするには、例えば回診車が搭載する蓄電池を大容量化することが考えられる。しかし、この場合、蓄電池とパネルとを接続する配線や関連する基板の配置等の見直しも必要となるため、ただ単に蓄電池を大容量化しようとすると、回診車全体が大型化してしまう。
病棟の通路やベッド周囲は空間が限られているため、回診車の大型化は効率的な移動の観点から問題がある。
【0006】
そこで、例えば特許文献3に記載されたような、予め入力された優先度に従って複数の二次電池モジュールに対する充電の順序を設定し、複数の二次電池モジュールを設定された順序に従って選択的に充電する充電装置を回診車に組み込むことが考えられる。
このようにすれば、複数の放射線撮影装置を一つずつ順番に充電することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-099783号公報
【文献】特開2011-110199号公報
【文献】特開2004-364388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、充電待ちの時間を無くしワークフローに影響を与えないようにする点においては効果があるものの、レトロフィットにより移動型放射線撮影装置で複数の放射線検出器を充電できるようにした場合に対応できるようなものとはなっていない。
また、特許文献2に記載された技術は、回診車の蓄電池の容量を考慮していないため、放射線検出器に充電されていないことが報知されない(実際に充電している)としても、充電が十分になされず撮影ができなくなってしまう可能性がある。
また、特許文献3に記載された技術は、充電の優先度及びその優先度を入力する手段に関するものであり、充電の優先度をユーザーが判断・入力してはじめて動作するものとなっている。
【0009】
すなわち、従来の移動型放射線撮影システムは、複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電するために複数の放射線撮影装置を回診車に接続しても、そのことに自動的に対応することができなかったため、全ての放射線撮影装置に対する充電を停止させるしかなかった。
【0010】
本発明の課題は、複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電するために複数の放射線撮影装置が接続された場合であっても、放射線撮影装置の蓄電池の充電を継続することのできる充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電する際に用いられる充電制御装置であって、
前記複数の放射線撮影装置が電力供給源から電力の供給を受けることが可能な接続状態となったことをそれぞれ検知することが可能な接続検知手段と、
前記複数の放射線撮影装置がそれぞれ接続状態となったことを前記接続検知手段が検知した場合に、前記電力供給源から前記複数の放射線撮影装置のうちの一部の前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ電力を供給させる制御を行う供給制御手段と、を備え、
前記供給制御手段は、複数の前記放射線撮影装置のうち、前記接続検知手段が前記接続状態となったことを相対的に後に検知した前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ先に電力を供給させることを特徴する。
また、本発明は、
複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電する際に用いられる充電制御装置であって、
前記複数の放射線撮影装置が電力供給源から電力の供給を受けることが可能な接続状態となったことをそれぞれ検知することが可能な接続検知手段と、
前記複数の放射線撮影装置がそれぞれ接続状態となったことを前記接続検知手段が検知した場合に、前記電力供給源から前記複数の放射線撮影装置のうちの一部の前記放射線撮影装置の前記蓄電池へ電力を供給させる制御を行う供給制御手段と、を備え、
前記供給制御手段は、前記電力供給源から供給可能な電力の上限値である供給可能電力が、前記複数の放射線撮影装置の前記蓄電池の蓄電量をそれぞれ所定量以上とするのに要する電力の合計値である必要電力よりも大きい場合、全ての前記複数の放射線撮影装置の前記蓄電池に同時に電力を供給させることを特徴する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の放射線撮影装置の各蓄電池を充電するために複数の放射線撮影装置が接続された場合であっても、放射線撮影装置の蓄電池の充電を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る移動型放射線撮影システムを表すブロック図である。
【
図2】
図1の移動型放射線撮影システムが備える放射線撮影装置を表すブロック図である。
【
図3】
図1の移動型放射線撮影システムが備える充電制御装置及び放射線撮影装置を表すブロック図である。
【
図4】
図1の移動型放射線撮影システムを回診で用いる際の、複数の放射線撮影装置の蓄電池の蓄電率の変化を示すグラフの一例である。
【
図5】
図1の移動型放射線撮影システムを回診で用いる際の、複数の放射線撮影装置の蓄電池の蓄電率の変化を示すグラフの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0015】
〔移動型放射線撮影システム〕
まず、本実施形態に係る移動型放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。
図1は、システム100を表すブロック図である。
【0016】
システム100(回診車ともいう)は、
図1に示すように、本体100aと、複数の放射線撮影装置(以下、撮影装置1)と、を備えている。
【0017】
なお、システム100は、静止画撮影のみを行うものであってもよいし、動画撮影に対応したものであってもよい。
また、システム100は、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等の他のシステムと接続可能となっていてもよい。
因みに、本システム100は、撮影装置1を複数備えていないと使用することができないというわけではなく、放射線撮影装置が一つであっても、本発明の特徴的機能が起動しないだけで従来通りの使用は可能である。
【0018】
複数の撮影装置1は、それぞれ受けた放射線に応じた放射線画像を生成するよう構成されている。
各撮影装置1は、それぞれ蓄電池11(バッテリー)を内蔵しており、蓄電池11から電力の供給を受けることで動作するようになっている。
また、蓄電池11は、本体100a又は専用の装置と接続することで、充電することが可能となっている。
なお、各撮影装置1は、同一サイズのものであってもよいし、それぞれサイズが異なるものであってもよい。
この撮影装置1の具体的構成については後述する。
【0019】
本体100aは、放射線発生装置2と、電力供給源3と、充電制御装置4と、を備えている。
また、本実施形態に係る本体100aは、コンソール5と、各装置を格納する図示しない筐体と、図示しない車輪と、を備えている。
【0020】
なお、本体100aは、手押し式のものであってもよいし、モーター等の動力を備えたものであってもよい。
また、本体100aは、車輪以外の移動手段を備えたものであってもよいし、車輪を含む移動手段を備えず、単に持ち運び可能に小型・軽量化されたものであってもよい。
【0021】
放射線発生装置2は、照射指示スイッチ21と、ジェネレーター22と、放射線源23と、を備え、放射線を発生させることが可能に構成されている。
【0022】
ジェネレーター22は、照射指示スイッチ21が操作されたことに基づいて、予め設定された撮影条件に応じた電圧を生成するよう構成されている。
放射線源23は、ジェネレーター22から電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線(例えばX線等)を発生させるよう構成されている。
【0023】
電力供給源3は、システム100の各部へ電力を供給可能に構成されている。具体的には、放射線発生装置2へ放射線を発生させるための電力を供給したり、複数の撮影装置1の各蓄電池11へ充電のための電力を供給したりすることが可能となっている。
本実施形態に係る電力供給源3は、蓄電池で構成されている。
また、電力供給源3は、システムを使用する建物のコンセントに接続することで、充電することが可能となっている。
なお、コンセントに接続しているときは、コンセントからの電力を直接各部へ供給するようにしてもよい。
【0024】
充電制御装置4は、複数の撮影装置1の各蓄電池11を充電する際に用いられるものである。
この充電制御装置4の詳細については後述する。
【0025】
コンソール5は、複数の撮影装置1をそれぞれ制御する(例えば撮影モードや撮影条件の設定等を行う)よう構成されている。
本実施形態に係るコンソール5は、表示部51と、図示しない操作部と、を備えている。
【0026】
表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成されている。
操作部は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウスや表示部51に設けられたタッチパネル等のポインティングデバイスにより構成されている。
なお、本実施形態においては、表示部51や操作部をコンソール5に備えることとしたが、システム100を構成する他の装置(撮影装置1、放射線発生装置2、充電制御装置4)に備えるようにしてもよい。
【0027】
このように構成されたシステム100は、本体100aの放射線源23と撮影装置1とを間を空けて対向配置し、それらの間に被検体(人、動物、物)を配置し、放射線源23から被検体及び撮影装置1へ放射線を照射することで、撮影装置1が被検体の放射線画像を生成するようになっている。
【0028】
〔放射線撮影装置〕
次に、上記システム100が備える撮影装置1の具体的構成について説明する。
図2は、撮影装置1を表すブロック図である。
【0029】
撮影装置1は、
図2に示すように、蓄電池11の他、制御部12、センサー部13、通信部14、記憶部15、接続部16と、を備えている。
【0030】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部12のCPUは、他の装置からの制御信号受信や放射線発生装置2からの放射線検知に応じて、記憶部15に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理(後述するセンサー部13が出力した信号値に基づく画像データの生成等)を実行し、撮影装置1各部の動作を集中制御するようになっている。
【0031】
センサー部13は、放射線検出素子やスイッチ素子を備えた画素が二次元状(マトリクス状)に配列された基板や、制御部12からの制御信号に基づいて各画素のスイッチ素子のオン/オフを制御する走査回路、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読出し回路等で構成されている。
【0032】
通信部14は、ネットワークインターフェース等により構成され、LAN、WAN、インターネット等の通信ネットワークを介して有線又は無線で接続された他の装置との間で制御信号を送受信したり、制御部12が生成した画像データを他の装置へ送信したりすることが可能となっている。
【0033】
記憶部15は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部12が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。
なお、記憶部15は、制御部12が生成した画像データを記憶できるようになっていてもよい。
【0034】
接続部16は、後述する充電制御装置4と電気的に接続するためのもので、本実施形態においては、撮影装置1の筐体表面(例えばコネクタ等)に設けられた端子となっている。
なお、接続部16を筐体内に内蔵されたコイル等で構成し、無接点充電を行うようにしてもよい。
【0035】
なお、撮影装置1は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線をシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるもの(いわゆる間接型)であってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線から直接電荷を発生させるもの(いわゆる直接型)であってもよい。
また、撮影装置1は、他の装置から受信した信号等に基づいて上記撮影動作を行う連携方式のものであってもよいし、本体100aから放射線を検知したことを契機として自動的に撮影動作を開始する非連携方式のものであってもよい。
【0036】
〔充電制御装置〕
次に、上記システム100が備える充電制御装置4の具体的構成について説明する。
図3は、充電制御装置4を表すブロック図である。
【0037】
充電制御装置4は、
図3に示すように、制御部41と、記憶部42と、を備えている。
【0038】
制御部41は、CPU、RAM等により構成される。制御部41のCPUは、撮影装置1の接続の有無、接続された撮影装置1の数や状態等に応じて、記憶部42に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、充電制御装置4各部の動作を集中制御するようになっている。
【0039】
また、制御部41は、例えば上記特許文献3(特開2004-364388号公報)に記載されたような接続切替回路及びスイッチ駆動回路を備えている。すなわち、制御部41は、複数の撮影装置1と電気的に接続するための複数の接続部41aと、図示しないスイッチと、を備えている。
各スイッチは、CPUからの制御信号に基づいてオン/オフを切り替えるようになっている。
本実施形態における各接続部41aは、本体100aの筐体表面又は本体100aから外へ延びるケーブル先端部のコネクターに設けられた端子となっており、上記スイッチを介して電力供給源3と電気的接続に接続することが可能となっている。
【0040】
記憶部42は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部41が実行する各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター等を記憶している。
【0041】
このように構成された本実施形態に係る充電制御装置4の制御部41は、以下のような機能を有している。
例えば、制御部41は、撮影装置1が電力供給源3から電力の供給を受けることが可能な接続状態となったことを検知する機能を有している。
本実施形態における「接続状態」は、
図3に示したように、制御部41の接続部41aと撮影装置1の接続部16とが接した状態を指す。
すなわち、制御部41は、接続検知手段をなす。
【0042】
また、制御部41は、複数の各蓄電池11の状態をそれぞれ検知する機能を有している。
この「蓄電池11の状態」とは、例えば、充電状況(蓄電池11が充電中であるか否か)、現在の蓄電量(上限値であるか否かを含む)の少なくとも一方を指す。
制御部41は、このような機能を有することにより、状態検知手段(残量検知手段を含む)をなす。
【0043】
また、制御部41は、複数の撮影装置1がそれぞれ接続状態となったことを検知した場合に、電力供給源3から複数の撮影装置1のうちの一部の撮影装置1の蓄電池11へ電力を供給させる(一部の撮影装置1と接続されたスイッチをオンにする)機能を有している。
【0044】
この「一部の撮影装置1」の選択方法としては、例えば下記(1)~(3)のようなものが挙げられる。
なお、選択方法はいずれか一つを用いるようにしてもよいし、複数組み合わせて用いるようにしてもよい。
(1)後から接続された方を優先
(2)蓄電量の少ない方を優先
(3)所定時間経過毎に切り替え
【0045】
(1)後から接続された方を優先
この選択方法は、複数の撮影装置1のうち、接続検知手段が接続状態となったことを相対的に後に検知した撮影装置1の蓄電池11へ先に電力を供給させるというものである。
例えば、本体100aに同時に接続可能な撮影装置1が2枚である場合、1枚の撮影装置1が本体100aと接続状態となっている(充電されている)状態で、更に他の撮影装置1が後から接続状態となった場合には、それまで行っていた充電を停止し、他の撮影装置1の充電を開始する。
【0046】
このように、相対的に後に接続状態となった撮影装置1の充電を優先するのは、後で接続状態になるということは、それだけ収納部に収納されていない期間が長い、すなわち使用頻度が高いと考えられるためである。
なお、複数の撮影装置1が同時に接続状態となることも考えられるため、複数の撮影装置1に予め優先順位を割り振っておき、接続状態となった順番が検知できない場合には、割り振られた優先順位に従って充電を行うようにしてもよい。
また、撮影装置1がn枚(n=3以上)の場合には、最も後に接続状態となった撮影装置1を優先して充電するのが好ましいが、2番目~n-1番目に接続状態となった放射線撮影装置を先に充電するようにしてもよい。
【0047】
(2)蓄電量の少ない方を優先
この選択方法は、複数の撮影装置1のうち、蓄電量が相対的に少ない撮影装置1の蓄電池11へ先に電力を供給させるというものである。
例えば、本体100aに同時に接続可能な撮影装置1が2枚である場合、2枚の撮影装置1が本体100aと接続状態となった場合に、各蓄電池11の蓄電量を検知し、蓄電量が少ない方の撮影装置1の充電を開始する。
先に接続されていた撮影装置1の蓄電量の方が、後から接続された他の撮影装置1の蓄電量よりも少ない場合には、そのまま充電が継続され、先に接続されていた撮影装置1の蓄電量の方が、後から接続された撮影装置1の蓄電量よりも多い場合には、それまで行っていた充電を停止し、他の撮影装置1の充電を開始する。
【0048】
このように、相対的に蓄電量の少ない撮影装置1の充電を優先するのは、蓄電量が少ないということは、それだけ消費した電力が多い、すなわち使用頻度が高いと考えられるためである。
なお、各撮影装置1の蓄電量が等しいことも考えられるため、複数の撮影装置1に予め優先順位を割り振っておき、蓄電量の差を検知できない場合には、割り振られた優先順位に従って充電を行うようにしてもよい。
また、撮影装置1がn枚(n=3以上)の場合には、蓄電量の最も少ない接続状態となった撮影装置1を優先して充電するのが好ましいが、2番目~n-1番目に蓄電量の少ない撮影装置1を先に充電するようにしてもよい。
【0049】
(3)所定時間経過毎に切り替え
この選択方法は、所定時間経過する度に、電力の供給先を、それまで供給先であった撮影装置1の蓄電池11から供給先でなかった他の撮影装置1の蓄電池11へ切り替えるというものである。
例えば、本体100aに同時に接続可能な撮影装置1が2枚である場合、一方の撮影装置1を所定時間充電する動作と、他方の撮影装置1を所定時間充電する動作を交互に繰り返すことにより、各蓄電池11に電力を一定量ずつ均等に供給する。
また、撮影装置1がn枚(n=3以上)の場合には、各撮影装置1を割り振られた順番で所定時間ずつ充電し、n番目の撮影装置1を所定時間充電した後は、再び1番目の撮影装置1を充電する。
【0050】
なお、所定時間(1回に供給する電力)は、ユーザーによる所定操作に基づいて手動で変更可能としてもよいし、使用環境に応じて自動で変更可能としてもよい。
また、複数の撮影装置1のうち一部の撮影装置1の充電が完了したら、残りの撮影装置1だけで切り替えを行うようにしてもよい。
【0051】
上記(1),(2)の選択方法の場合には、先に行わせていた前記蓄電池11への電力の供給が完了した(蓄電量が上限値に達した)後に、充電していなかった又は充電を中断していた他の蓄電池11へ電力の供給を開始させるようにする。
【0052】
なお、複数の撮影装置1を充電する順番を、例えば撮影装置1に設けられた図示しないスイッチやコンソール5の操作部になされた操作に基づいて手動で変更できるようにしてもよい。
また、撮影装置1がn枚(n=3以上)の場合には、n-1枚以下の範囲で複数枚を同時に充電するようにしてもよい。
制御部41は、以上のような機能を有することにより、供給制御手段をなす。
【0053】
また、制御部41は、検知した複数の撮影装置1の各蓄電池11の状態を、コンソール5に設けられた表示部51に表示させる機能を有している。
なお、上述したように、表示部51は、コンソール5以外の他の装置(撮影装置1、放射線発生装置2、充電制御装置4)に設けられていてもよく、その場合には他の装置において表示することとなる。
制御部41は、このような機能を有することにより、表示制御手段をなす。
【0054】
〔充電〕
次に、上記システム100における撮影装置1の充電について説明する。
図4,5はシステム100を回診で用いる際の、複数の撮影装置1の蓄電池11の蓄電率の変化を示すグラフの一例であって、
図4は上記(1)の選択方法で供給先を選択する場合、
図5は上記(2)の選択方法で供給先を選択する場合である。
なお、ここでは、複数の撮影装置1がA(実線グラフで表示)とB(破線グラフで表示)の2枚である場合について説明するが、3枚以上の撮影装置1を用いた場合も同様の流れとなる。
また、
図4,5では、グラフの縦軸を蓄電率(蓄電容量に対する蓄電量の割合)で示しているが、蓄電量を縦軸としてもグラフの変化は同様のものとなる。
【0055】
(選択方法(1)の場合)
充電制御装置4が、上記(1)の選択方法で供給先を選択するよう設定されている場合、システム100を用いて回診する際、各撮影装置A,Bの蓄電量は、例えば
図4に示すように変化する。
まず、ユーザーが、複数の撮影装置A,Bを、本体100aと同時に接続状態にする(例えば図示しない収納部に収納する)と、本体100aが、撮影装置A,Bの蓄電池11を、所定順序で順番に充電する。ここでは、A,B,C・・の順に充電するように設定しているため、まず、撮影装置Aの充電を開始する(t
0)。
撮影装置Aの充電が完了する(蓄電量が上限値(蓄電率100%)に達する)と、本体100aが、撮影装置Aの充電を停止し、撮影装置Bの充電を開始する(t
1~t
2)。
【0056】
その後、ユーザーが撮影装置Bの接続状態を解除し(例えば図示しない収納部から抜き取り)、撮影装置Bを撮影に用いると、撮影装置Bの蓄電池11の蓄電量が低下していく(t2~t3)。
その後、ユーザーが撮影装置Bを本体100aと再び接続状態にすると、本体100aが撮影装置Bの充電を再び開始する(t3~t4)。
また、このとき、ユーザーが撮影装置Bと入れ替えで撮影装置Aの接続状態を解除し、撮影に用いると、撮影装置Aの蓄電池11の蓄電量が低下していく(t3~t4)。
【0057】
撮影装置Bの充電中に、ユーザーが撮影装置Aを本体100aと接続状態にすると、本体100aが、2枚の撮影装置A,Bが共に接続状態になったことを検知し、撮影装置Aの方が後に接続状態になったと判断する。そして、本体100aが、それまで行っていた撮影装置Bの充電を停止し、撮影装置Aの充電を開始する(t4~t5)。
撮影装置Aの充電が完了すると、本体100aが、撮影装置Aの充電を停止し、撮影装置Bの充電を再開する(t5~)。
【0058】
(選択方法(2)の場合)
一方、充電制御装置4の制御部41が、上記(2)の選択方法で供給先を選択するよう設定されている場合、システム100を用いて回診する際、各撮影装置A,Bの蓄電量は、例えば
図5に示すように変化する。
まず、ユーザーが、複数の撮影装置A,Bを、本体100aと同時に接続状態にすると、本体100aが、両撮影装置A,Bの蓄電量を検知し、蓄電量が少ない方から優先して充電する。ここでは、撮影装置Aの蓄電量の方が撮影装置Bの蓄電量よりも少ないため、まず、撮影装置Aの充電を開始する(t
0)。
撮影装置Aの充電が完了すると、本体100aが、撮影装置Aの充電を停止し、撮影装置Bの充電を開始する(t
6~t
7)。
【0059】
その後、ユーザーが撮影装置Bの接続状態を解除し、撮影装置Bを撮影に用いると、撮影装置Bの蓄電池11の蓄電量が低下していく(t7~t8)。
その後、ユーザーが撮影装置Bを本体100aと再び接続状態にすると、本体100aが撮影装置Bの充電を再び開始する(t8~t9)。
また、このとき、ユーザーが撮影装置Bと入れ替えで撮影装置Aの接続状態を解除し、撮影に用いると、撮影装置Aの蓄電池11の蓄電量が低下していく(t8~t9)。
【0060】
その後、ユーザーが撮影装置Aを本体100aと再び接続状態にすると、本体100aが撮影装置Aの充電を再び開始する(t9~t10)。
また、このとき、ユーザーが撮影装置Aと入れ替えで撮影装置Bの接続状態を解除し、撮影に用いると、撮影装置Bの蓄電池11の蓄電量が低下していく(t9~t10)。
なお、t9のときに、撮影装置Bの接続状態を解除しなかった場合には、本体100aが、両撮影装置A,Bの蓄電量を検知し、撮影装置Aの蓄電量の方が撮影装置Bの蓄電量よりも少ないと判断することになるため、本体100aは、撮影装置Bの充電を停止し、撮影装置Aの充電を開始する。
【0061】
以上説明してきたシステム100によれば、複数の撮影装置1の各蓄電池11を充電するために複数の撮影装置1が接続された場合であっても、充電制御装置4は、上記(1)~(3)の選択方法で一部の撮影装置1を選択し、供給先の撮影装置1の数を絞ることにより、撮影装置1の蓄電池11の充電を継続することができる。
その結果、回診先で使用する撮影装置1の蓄電池11の蓄電量が十分でなく、撮影を行うことができなくなってしまうのを防ぐことができる。
【0062】
〔他の充電制御〕
なお、制御部41に、各蓄電池11の蓄電量をそれぞれ所定量以上とするのに要する電力の合計値である必要電力を検知する機能、電力供給源3から充電のために供給することが可能な電力の上限値である供給可能電力を検知する機能、及び検知した必要電力と供給可能電力とを比較する機能を持たせ、必要電力が供給可能電力よりも大きいと判断した場合に一部の撮影装置1の蓄電池11へ電力を供給させ、供給可能電力が必要電力よりも大きいと判断した場合には、全ての撮影装置1を同時に充電するようにしてもよい。
【0063】
この「所定量」とは、蓄電量の上限値(蓄電容量)であってもよいし、それよりも少ない量であってもよい。
例えば所定量を上限値とする場合には、各放射線撮影装置について、蓄電池11の蓄電容量と現在の蓄電量の差を算出し、更にそれらを合計することにより必要電力が算出される。
また、電力供給源3が蓄電池11である場合には、現在の蓄電量と充電以外の動作(例えば放射線の発生やコンソール5の駆動)に必要な電力との差が供給可能電力となる。
このようにすれば、電力供給源3の蓄電量に余裕がある場合には、複数の撮影装置1を同時に充電することができ、全体の充電時間を短縮することができる。
【0064】
〔他の放射線撮影装置〕
また、撮影装置1に、充電のための電力の供給元が本体100aであるか一般撮影室のコンセントであるかを自身で判別する機能、及び本体100aと接続状態となった場合に、充電電流を変えて充電供給を少なくする機能を持たせるようにしてもよい。
一般に、システム100は、一般撮影室で撮影を行う場合に比べて電力の供給量に制約があるため、このようにすれば、上述した充電制御装置4を用いなくても、複数の撮影装置1を充電し、回診を継続することができる。
【0065】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、具体的に説明してきたが、冒頭で述べた通り、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 移動型放射線撮影システム
100a 本体
1 放射線撮影装置
11 蓄電池
12 制御部
13 センサー部
14 通信部
15 記憶部
16 接続部
2 放射線発生装置
21 照射指示スイッチ
22 ジェネレーター
23 放射線源
3 電力供給源
4 充電制御装置
41 制御部
42 記憶部
41a 接続部
5 コンソール
51 表示部