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特許7164743広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-24
(45)【発行日】2022-11-01
(54)【発明の名称】広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221025BHJP
【FI】
G06Q30/02 438
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022038486
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504133028
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】糸永 洋三
(72)【発明者】
【氏名】大石 崇史
(72)【発明者】
【氏名】島村 徹
(72)【発明者】
【氏名】見並 良治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 太志
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 未桜
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-11767(JP,A)
【文献】特許第7031727(JP,B1)
【文献】特開2020-30671(JP,A)
【文献】特表2009-505246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
広告を出稿する広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリ、並びに、前記広告枠の広告出稿時期、に応じた時期係数を取得するように構成される時期係数取得部と、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
を備え、
前記変動価格は、前記広告主によって変動する価格であり、
前記広告枠の前記変動価格は、当該広告枠の広告出稿時期によって変動し、
前記時期係数は、前記業種又は前記カテゴリごとに算出され、前記広告出稿時期によって前記広告枠の価格を変動させるためのパラメータであり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、前記時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記時期係数取得部は、前記各種データを用いて、前記時期係数を取得するように構成され、
前記価格算出部は、前記各種データおよび前記時期係数を用いて、前記変動価格を算出するように構成されている、
広告枠取引システム。
【請求項2】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
を備え、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記価格算出部は、前記各種データを用いて、前記変動価格を算出するように構成されており、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動し、かつ、前記広告主が過去に支払った出稿金額によって変動する、広告枠取引システム。
【請求項3】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
前記複数の広告枠の前記変動価格と、あらかじめ設定された金額又はユーザによって指定された予算額と、に基づいて、パッケージ商品を決定するように構成されるパッケージ商品決定部と、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
を備え、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記パッケージ商品は、複数の前記広告枠をひとまとめにした商品であり、
前記価格算出部は、前記各種データを用いて、前記変動価格を算出するように構成されており、
前記提示部は、前記各種データに基づき、前記パッケージ商品に係る複数の前記広告枠の情報をユーザに提示する、広告枠取引システム。
【請求項4】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
前記各種データを用いて、前記広告枠に関する情報と、広告を出稿する広告主に関する情報と、を少なくとも説明変数とし、前記変動価格を目的変数として学習された機械学習モデルを取得するように構成されるモデル取得部と、
を備え、
前記変動価格は、前記広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記モデル取得部は、前記各種データを用いて、前記機械学習モデルを取得し、
前記価格算出部は、前記各種データおよび前記機械学習モデルを用いて、前記変動価格を算出するように構成されている、
広告枠取引システム。
【請求項5】
請求項4に記載の広告枠取引システムであって、
前記各種データは、前記広告枠の入稿期限までの時間、購入申込期限までの時間を含み、
前記説明変数には、更に、前記広告枠の入稿期限までの時間及び/又は購入申込期限までの時間が含まれる、広告枠取引システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の広告枠取引システムであって、
前記各種データは、前記広告枠の過去の取引実績であって、取引成立及び取引不成立の両方の実績を含む取引実績を示すデータを含み、
前記説明変数には、更に、前記広告枠の過去の取引実績であって、取引成立及び取引不成立の両方の実績を含む取引実績を示すデータが含まれる、広告枠取引システム。
【請求項7】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
を備え、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記価格算出部は、前記各種データを用いて、前記変動価格を算出するように構成されており、
前記各種データは、さらに、前記広告主に対する前記広告枠の特別な価格設定を含み、
前記提示部は、前記各種データに基づき、前記広告主に対して前記広告枠の特別な価格設定が存在する場合には、前記変動価格に代えて、前記特別な価格設定による前記広告枠の価格をユーザに提示する、広告枠取引システム。
【請求項8】
ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、
複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される価格算出部と、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示するように構成される提示部と、
広告枠取引に関する各種データが記憶されたデータベースと、
を備え、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記価格算出部は、前記各種データを用いて、前記変動価格を算出するように構成されており、
前記各種データは、さらに、前記広告枠を提供する広告枠提供者が要求する最低販売価格を含み、
前記提示部は、前記各種データに基づき、前記価格算出部により算出された前記広告枠の前記変動価格が、前記最低販売価格を下回る場合には、当該広告枠の価格として前記最低販売価格をユーザに提示する、広告枠取引システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の広告枠取引システムであって、
前記変動価格は、前記広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリによって変動する、広告枠取引システム。
【請求項10】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、広告を出稿する広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリ、並びに、前記広告枠の広告出稿時期、に応じた時期係数を取得することと、
前記各種データおよび前記時期係数を用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
を含み、
前記変動価格は、前記広告主によって変動する価格であり、
前記広告枠の前記変動価格は、当該広告枠の広告出稿時期によって変動し、
前記時期係数は、前記業種又は前記カテゴリごとに算出され、前記広告出稿時期によって前記広告枠の価格を変動させるためのパラメータであり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含む、
広告枠取引方法。
【請求項11】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
を含み、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動し、かつ、前記広告主が過去に支払った出稿金額によって変動する、
広告枠取引方法。
【請求項12】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、
前記複数の広告枠の前記変動価格と、あらかじめ設定された金額又はユーザによって指定された予算額と、に基づいて、パッケージ商品を決定することと、
前記各種データに基づき、前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報であって、前記パッケージ商品に係る複数の前記広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
を含み、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含み、
前記パッケージ商品は、複数の前記広告枠をひとまとめにした商品である、
広告枠取引方法。
【請求項13】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、前記広告枠に関する情報と、広告を出稿する広告主に関する情報と、を少なくとも説明変数とし、変動価格を目的変数として学習された機械学習モデルを取得することと、
前記各種データおよび前記機械学習モデルを用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて前記変動価格を算出することと、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
を含み、
前記変動価格は、前記広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含む、
広告枠取引方法。
【請求項14】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
前記各種データに基づき、広告を出稿する広告主に対して前記広告枠の特別な価格設定が存在する場合には、前記変動価格に代えて、前記特別な価格設定による前記広告枠の価格をユーザに提示することと、
を含み、
前記変動価格は、前記広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、前記広告主に対する前記広告枠の特別な価格設定と、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含む、
広告枠取引方法。
【請求項15】
コンピュータの動作方法のうちネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法であって、
広告枠取引に関する各種データをデータベースに記憶させることと、
前記各種データを用いて、複数の前記広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、
前記変動価格を含む前記複数の広告枠の情報を、前記ネットワークを介してユーザに提示することと、
前記各種データに基づき、算出された前記広告枠の前記変動価格が、前記広告枠を提供する広告枠提供者が要求する最低販売価格を下回る場合には、当該広告枠の価格として前記最低販売価格をユーザに提示することと、
を含み、
前記変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格であり、
前記各種データは、広告枠提供者が提供する広告枠の広告枠情報を含む広告枠マスタデータと、前記変動価格を算出するために用いられる算出用データと、前記最低販売価格と、を含み、
前記広告枠情報は、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報を含み、
前記算出用データは、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データを含む、
広告枠取引方法。
【請求項16】
請求項1~請求項9までのいずれか一項に記載の広告枠取引システムとしての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システム、広告枠取引方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インターネットを介した広告枠の取引を支援するシステムであって、テレビCMといった予約型広告の広告枠の取引を支援するシステムが開示されている。このシステムでは、広告主や広告会社等の広告枠利用者から広告枠の提供要求があった場合に、媒体社や広告会社等の広告枠提供者は、提供を要求された広告枠を、2種類の提供枠のいずれで提供するかを決定する。
【0003】
2種類の提供枠のうちの一方は、広告枠を利用して放送されるテレビCMの放送日までの日数が設定日数となる時点から提供される第一提供枠である。第一提供枠は、数多くの広告枠利用者に対して提供され、通常の価格で取引される。もう一方は、テレビCMの放送日までの日数が設定日数となる時点の前から提供される第二提供枠である。第二提供枠は、限られた広告枠利用者のみに対して提供される反面、通常の価格よりも高額な価格で取引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6514820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1のシステムでは、広告枠提供者は、提供を要求された広告枠を、価格が異なる2種類の提供枠(第一提供枠及び第二提供枠)のいずれで提供するかを決定できる。提供される広告枠は、時点によって第一提供枠か第二提供枠かが異なり得るが、特定の時点においては、第一提供枠か第二提供枠のいずれかである。このため、提供される広告枠の価格は時点によって異なり得るが、特定の時点においては、当該広告枠が提供される全ての広告主に対して一律の価格で広告枠が提供される。
【0006】
しかしながら、広告枠の需要は広告主ごとに異なり得る。このため、特許文献1のシステムで行われる画一的な価格設定では、特定の広告主の需要に合った価格で広告枠を提供できても、その価格は他の広告主の需要にそぐわないことがある。
【0007】
その場合、広告主やその広告活動を代理する広告会社などのシステムのユーザによる広告枠が購入は促進されず、広告枠提供者やシステム提供者の収益を向上できないという問題がある。
【0008】
本開示の一局面は、ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うためのシステムにおいて、ユーザによる広告枠の購入を促進することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムであって、価格算出部と、提示部と、を備える。価格算出部は、複数の広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される。変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格である。提示部は、変動価格を含む複数の広告枠の情報を、ネットワークを介してユーザに提示するように構成される。
【0010】
このような構成によれば、広告主ごとに適した価格で広告枠を提供できる。したがって、ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システムにおいて、ユーザによる広告枠の購入を促進することができる。その結果、広告枠提供者やシステム提供者の収益を向上できる。なお、ここでいうユーザとしては、広告主や、広告主の広告活動を代理する広告会社、といった広告枠利用者が想定される。
【0011】
本開示の一態様では、変動価格は、広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリによって変動してもよい。
【0012】
このような構成によれば、広告主の業種や、広告対象の商品又はサービスのカテゴリに応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0013】
本開示の一態様では、広告枠の変動価格は、当該広告枠の広告出稿時期によって変動してもよい。
【0014】
このような構成によれば、広告出稿時期に応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0015】
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、時期係数取得部を更に備えていてもよい。時期係数取得部は、広告主の業種又は商品若しくはサービスのカテゴリ、並びに、広告枠の広告出稿時期、に応じた時期係数を取得するように構成される。時期係数は、業種又は前記カテゴリごとに算出され、広告枠の広告出稿時期によって広告枠の価格を変動させるためのパラメータである。そして、変動価格は、時期係数に基づいて算出されてもよい。
【0016】
このような構成によれば、広告主の業種や前記カテゴリでの広告出稿時期による価格変動を考慮した適切な価格をユーザに提示できる。
【0017】
本開示の一態様では、変動価格は、広告主が過去に支払った出稿金額によって変動してもよい。
【0018】
このような構成によれば、広告主が過去に支払った出稿金額に応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0019】
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、パッケージ商品決定部を更に備えていてもよい。パッケージ商品決定部は、複数の広告枠の変動価格と、あらかじめ設定された金額又はユーザによって指定された予算額と、に基づいて、パッケージ商品を決定するように構成される。パッケージ商品は、複数の広告枠をひとまとめにした商品である。そして、提示部は、パッケージ商品に係る複数の広告枠の情報をユーザに提示してもよい。
【0020】
このような構成によれば、あらかじめ設定された金額又はユーザによって指定された予算額に基づいたパッケージ商品を、変動価格を用いた適切な価格でユーザに提示できる。
【0021】
本開示の一態様では、広告枠取引システムは、モデル取得部を更に備えていてもよい。モデル取得部は、広告枠に関する情報と、広告主に関する情報と、を少なくとも説明変数とし、広告枠の変動価格を目的変数として学習された機械学習モデルを取得するように構成される。そして、変動価格は、当該機械学習モデルを用いて算出されてもよい。
【0022】
このような構成によれば、ルールベースで変動価格を算出する場合に考慮されない、説明変数と目的変数との間の関係を発見し、その関係に基づいた適切な価格をユーザに提示でき得る。
【0023】
本開示の一態様では、前記説明変数には、更に、広告枠の入稿期限までの時間及び/又は購入申込期限までの時間が含まれていてもよい。
【0024】
このような構成によれば、上記期限までの時間に応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0025】
本開示の一態様では、前記説明変数には、更に、広告枠の過去の取引実績であって、取引成立及び取引不成立の両方の実績を含む取引実績が含まれていてもよい。
【0026】
このような構成によれば、広告枠の過去の取引実績に応じたより適切な変動価格をユーザに提示できる。
【0027】
本開示の一態様では、提示部は、広告主に対して広告枠の特別な価格設定が存在する場合には、変動価格に代えて、特別な価格設定による広告枠の価格をユーザに提示してもよい。
【0028】
このような構成によれば、広告主について特別な価格設定があるにもかかわらず、それを無視した変動価格をユーザに提示してしまうことを抑制できる。
【0029】
本開示の一態様では、提示部は、価格算出部により算出された広告枠の変動価格が、当該広告枠を提供する広告枠提供者が要求する最低販売価格を下回る場合には、当該広告枠の価格として最低販売価格をユーザに提示してもよい。
【0030】
このような構成によれば、最低販売価格を下回る変動価格で取引が成立することを抑制することができる。
【0031】
本開示の別の態様は、ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引方法である。広告枠取引方法は、複数の広告枠のそれぞれについて変動価格を算出することと、変動価格を含む複数の広告枠の情報を、ネットワークを介してユーザに提示することと、を含む。
【0032】
本開示の別の態様は、コンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記価格算出部と、前記提示部と、として機能させる。
【0033】
これらの態様によれば、前述した広告枠取引システムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は広告枠取引システムの全体構成の説明図である。
図2図2は広告枠取引装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はマイページ画面の一例を示す図である。
図4図4は検索提示処理のフローチャートである。
図5図5は検索条件入力画面の一例を示す図である。
図6図6は第1実施形態の変動価格算出処理のフローチャートである。
図7図7は検索結果出力画面のフローチャートである。
図8図8はモデル生成処理のフローチャートである。
図9図9は第2実施形態の変動価格算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0036】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す広告枠取引システム100は、インターネット等のネットワークNを介して広告枠取引を行うためのシステムである。
【0037】
広告枠取引は、広告枠を提供する広告枠提供者と、広告枠を利用する広告枠利用者と、の間で行われる取引である。なお、広告枠提供者と広告枠利用者との間で行われる取引には、広告枠提供者と広告枠利用者との間で直接的に行われる取引のみならず、広告枠提供者と広告枠利用者との間に第三者が介在して間接的に行われる取引も含まれる。
【0038】
ここで、広告枠とは、取引対象物であり、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、アウトドア・メディア、デジタル(換言すれば、インターネット)等の媒体における、広告を入れるスペースを指す。広告枠利用者は、取引にて入手した広告枠に広告を出稿することができる。なお、アウトドア・メディア(以下「ODM」という。)とは、家庭以外の場所で接触する媒体の総称であり、例えば、駅構内、電車、バス車内などで接触する交通広告媒体や、街中、商業施設といった屋外で接触する屋外広告媒体等を含む。
【0039】
本実施形態では、広告枠提供者は、媒体社又は媒体社の広告枠販売活動を代理する広告会社である。また、広告枠利用者は、広告主又は広告主の広告活動を代理する広告会社である。
【0040】
広告枠取引システム100は、広告枠の中でも予約型広告の広告枠の取引を行うためのシステムである。予約型広告とは、特定の広告枠を事前予約して購入し、出稿する形式の広告である。予約型広告は、例えば、出稿金額、出稿場所、出稿期間(例えば、掲載金額、掲載面、掲載期間)等があらかじめ定められている広告であってもよい。
【0041】
予約型広告としては、例えば、テレビCM、ラジオCM、新聞広告及び雑誌広告の4マス広告や、ODMによる広告(以下「ODM広告」という。)、デジタル広告等が挙げられる。なお、ODM広告には、交通広告や屋外広告などが含まれる。
【0042】
広告枠取引システム100では、このように複数の媒体の広告枠の取引が行われる。換言すれば、媒体が異なる複数の広告枠の取引が行われる。
【0043】
広告枠取引システム100は、広告枠取引装置1と、提供者側端末2と、利用者側端末3と、データベース4と、を備える。なお、図示の都合上、図1には、提供者側端末2及び利用者側端末3をそれぞれ1つずつ図示しているが、実際には、提供者側端末2及び利用者側端末3は、それぞれ複数存在する。
<広告枠取引装置>
広告枠取引装置1は、広告枠取引システム100の中心機能を担う機器である。広告枠取引装置1は、コンピュータ、具体的にはサーバコンピュータによって構成されており、図2に示すように、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0044】
通信部11は、通信用インタフェースである。広告枠取引装置1は、図1に示すようにネットワークNに接続されており、ネットワークNを経由して、提供者側端末2や利用者側端末3等との間でデータの送受信を行う。
【0045】
記憶部12は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等のストレージであり、各種データを記憶する。
【0046】
制御部13は、CPU等のプロセッサ13a、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下「メモリ13b」という。)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部13の各種機能は、プロセッサ13aが非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ13bが、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部13を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0047】
本実施形態では、記憶部12には、広告枠取引装置1の機能を発生させるためのプログラム(以下、広告枠取引プログラム)があらかじめインストールされている。この広告枠取引プログラムがプロセッサ13aによって読み取られて実行されることで、広告枠取引装置1によるデータ処理サービス(広告枠の取引に関連するサービス。以下「広告枠取引サービス」という。)が提供される。
【0048】
広告枠取引サービスでは、広告枠取引装置1は、取引される複数の広告枠のそれぞれについて変動価格を算出する。ここでいう変動価格とは、広告を出稿する広告主によって変動する価格である。すなわち、本実施形態では、ダイナミックプライシングを用いて個々の広告枠について広告主ごとに異なる価格が自動で算出される。そして、算出された価格(変動価格)がシステム上で広告枠利用者に提示される。なお、本明細書でいうダイナミックプライシングとは、広告枠の需給に応じて広告主ごとに広告枠の価格を自動で変動させる仕組みを指す。ここでいう広告枠の受給とは、広告主ごとの広告枠の受給、又は、広告主が属する分類(例えば、広告主の業種や商品又はサービスのカテゴリ等)ごとの広告枠の受給、であってもよい。
【0049】
広告枠取引装置1は、後述する図4に示す検索提示処理を実行することで変動価格を算出する。
<提供者側端末>
図1に示す提供者側端末2は、広告枠提供者が保有する端末であり、PC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。広告枠提供者は、提供者側端末2を通じて、提供する広告枠に関する情報(すなわち、広告枠情報)を広告枠取引装置1に向けて送信する。これにより、広告枠提供者は、新たな広告枠を取引対象品として提供した際に、その広告枠情報を、利用者側端末3及び広告枠取引装置1を通じて広告枠利用者等に知らせることが可能である。
<利用者側端末>
利用者側端末3は、広告枠利用者が保有する端末であり、ブラウジング機能を有するPC、タブレット、スマートフォン等の通信機器によって構成されている。利用者側端末3は、ディスプレイと、ディスプレイに表示された情報に対するユーザの入力操作を受け付ける入力デバイスと、を備える。広告枠利用者は、利用者側端末3を通じて、各広告枠提供者が提供した広告枠の情報を受信し、受信した情報をディスプレイに表示させて確認する。また、広告枠利用者は、利用者側端末3を利用して広告枠の選定及び購入の申込みを行う。
<データベース>
データベース4は、広告枠取引サービスに関する各種データが記憶される。本実施形態では、データベース4には、広告枠マスタデータが記憶される。
【0050】
広告枠マスタデータは、各広告枠提供者が提供する各広告枠の広告枠情報を含む。広告枠情報には、媒体ID、ビークルID、ユニットID、広告枠の価格、広告出稿時期、広告枠の各種期限の情報等が含まれる。
【0051】
媒体IDは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、ODM、デジタルなどの広告媒体の種別(分類)を識別するIDである。ビークルIDは、ビークルを識別するIDである。ここで、ビークルとは、広告媒体の銘柄である。例えば、「新聞」という広告媒体に対して「〇〇新聞」という個別銘柄がビークルである。ユニットIDは、ユニットを識別するIDである。ここで、ユニットとは、広告媒体において価格が設定され、広告枠提供者により販売される広告枠の単位である。例えば、「新聞」という広告媒体において「全15段モノクロ」、「2段1/2モノクロ」などの販売単位がユニットである。なお、ユニットは、広告媒体における広告の位置、サイズ及び色の少なくとも1つを特定するものであってもよい。
【0052】
広告枠の価格には、基準価格と最低販売価格とが含まれる。基準価格は、広告枠の基準となる価格である。後述のとおり、本実施形態では、各広告枠の変動価格は、当該広告枠の基準価格を基に算出される。基準価格は、例えば、広告枠提供者によって設定される。一方、最低販売価格は、広告枠提供者が要求する広告枠の最低の販売価格である。後述のとおり、自動算出された変動価格が最低販売価格を下回る場合、変動価格に代えてこの最低販売価格が広告枠利用者に提示される。なお、基準価格及び最低販売価格は、広告主によって変動しない価格であってもよい。
【0053】
広告出稿時期は、広告枠を用いて広告が出稿(掲載、放送、配信等)される時期である。広告出稿時期は、換言すれば、広告の掲載時期、放送時期、配信時期等である。広告枠の各種期限としては、例えば、広告枠の購入申込期限、広告枠に対する広告原稿の入稿期限等が挙げられる。
【0054】
各広告枠提供者が提供者側端末2を介して広告枠に関するデータをアップロードすることで広告枠情報がデータベース4に記憶され、広告枠マスタデータが更新される。
【0055】
また、データベース4には、広告枠マスタデータのほか、変動価格を算出するために用いられる各種データが記憶されている。これらのデータについては後述する。
【0056】
[1-2.機能]
次に、広告枠取引システム100の基本的機能について、図3を用いて説明する。図3は、利用者側端末3のディスプレイに表示される画面の一例である。以下では、利用者側端末3を保有する広告枠利用者として、広告主の広告活動を代理する広告会社を想定して説明する。
【0057】
まず、広告会社の担当者であるユーザは、利用者側端末3を起動して広告枠取引装置1が提供する広告枠取引サービスのウェブサイトにアクセスする。そして、ユーザは、ユーザIDやパスワード等の認証情報を入力し、ログインする。すると、図3に示すマイページ画面A1が利用者側端末3のディスプレイに表示される。
【0058】
マイページ画面A1には、キャンペーン作成ボタンB1、キャンペーン検索ボタンB2、購入申込ボタンB3、検索ボタンB4等の各種操作ボタンが表示される。
【0059】
キャンペーン作成ボタンB1は、広告主の広告キャンペーン(以下単に「キャンペーン」という。)の作成(登録)を行うためのボタンである。ユーザがキャンペーン作成ボタンB1を操作すると、図示省略するキャンペーン作成画面が表示される。キャンペーン作成画面においてユーザがキャンペーンに関する各種情報を設定すると、キャンペーンが新規に登録される。設定される情報としては、例えば、キャンペーン名、広告主名、広告主の業種(例えば、自動車メーカー、飲料メーカー等)、広告対象の商品若しくはサービスのカテゴリ(例えば、自動車、飲料等)、キャンペーンの予算総額や期間等が挙げられる。登録されたキャンペーン情報は、データベース4に記憶されるとともに、マイページ画面A1のキャンペーン表示領域R1にそのキャンペーン名が表示される。本実施形態では、ユーザは、所望の広告枠を検索し、検索した広告枠を、登録されたキャンペーンに追加していく。そして、追加した広告枠について購入申込みを行うことで、その広告枠の購入が行われる。
【0060】
キャンペーン検索ボタンB2は、登録されたキャンペーンの中から所望のキャンペーンを検索するためのボタンである。
【0061】
購入申込ボタンB3は、キャンペーンに追加した広告枠の購入申込みを行うためのボタンである。ここで、マイページ画面A1の広告枠表示領域R2には、キャンペーンに追加された広告枠の情報(本実施形態では、最も直近でキャンペーンに追加された広告枠の情報)と、購入申込ボタンB3と、が表示される。表示される広告枠の情報としては、例えば、キャンペーン名21、ビークル名22、ユニット名23、空枠状況24、広告枠の具体的なイメージ画像25、価格26、購入申込期限27、入稿期限28の情報等が挙げられる。購入申込ボタンB3を操作することで、広告枠表示領域R2に表示された広告枠の購入申込みが行われる。なお、価格26としては、キャンペーン名21に係る広告主に応じた変動価格が表示される。
【0062】
一方、検索ボタンB4は、広告枠を検索するためのボタンである。検索ボタンB4を操作すると、後述する検索提示処理が実行され、所望の検索条件にマッチした広告枠情報が変動価格と共に表示される。以下では、まず、データベース4に記憶されている、変動価格を算出するために用いられる各種データについて説明する。その後、広告枠取引装置1の制御部13が実行する検索提示処理について説明する。
<データベース>
データベース4には、広告枠の変動価格を算出するために用いられる各種データとして、前述した広告枠マスタデータのほか、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データ等が記憶されている。
【0063】
広告主情報は、広告主に関する情報であり、広告主の名称や、業種、広告対象の商品又はサービスのカテゴリ(以下「商品サービスカテゴリ」という。)、得意先価格情報等が含まれる。得意先価格情報は、その広告主に対する得意先価格の設定の有無と、得意先価格が設定されている場合にはその得意先価格を示す情報と、を含む。得意先価格とは、広告主に対する特別な価格設定による広告枠の価格である。
【0064】
一方、時期係数は、広告出稿時期に応じて広告枠の価格を変動させるためのパラメータである。本実施形態では、時期係数を用いて変動価格を算出することで、広告出稿時期による価格変動をダイナミックプライシングにおいて反映する。
【0065】
具体的には、これまでの出稿実績(広告枠取引サービスを利用せずに行われた広告出稿実績も含む。)を基に、業種又は商品サービスカテゴリごと、そして、広告が出稿される各媒体のビークルごとに、広告枠の月間の平均価格及び年間の平均価格を算出する。そして、下記数1により月ごとの時期係数を算出する。
【数1】
【0066】
このように、本実施形態では、時期係数は、時期と業種又は商品サービスカテゴリとに加え、ビークルの分だけ算出される。そして、広告主の業種又は商品サービスカテゴリ、並びに、広告枠の広告出稿時期、そして、広告枠に係るビークルに応じた時期係数を広告枠の基準価格に乗じることで、変動価格において出稿時期等の価格変動要因が考慮される。
【0067】
一方、企業ランク係数は、広告主(すなわち、企業)の過去の広告出稿実績に応じて広告枠の価格を変動させるためのパラメータであり、企業ごとに算出される。本実施形態では、企業ランク係数を用いて変動価格を算出することで、企業の過去の広告出稿実績よる価格変動をダイナミックプライシングにおいて反映する。
【0068】
本実施形態では、企業ランク係数は、企業が過去に支払った出稿金額の規模に応じて決定される。ここでいう出稿金額には、広告主が過去に行った1以上の広告出稿に対する出稿金額が含まれる。本実施形態では、企業ランク係数は、企業が過去に支払った出稿金額に基づき企業規模を数値化した値であり、下記数2により算出される。
【0069】
【数2】
【0070】
上記数2の右辺におけるカテゴリとは、商品サービスカテゴリを指す。本実施形態では、数2の右辺の分子及び分母の平均年間出稿金額は、媒体ごとに算出される。すなわち、企業Cの企業ランク係数は媒体の数だけ算出される。データベース4には、各企業について、媒体ごとの企業ランク係数が記憶されている。
【0071】
一方、キャンペーン情報は、ユーザが登録したキャンペーンに関する情報である。
【0072】
取引データは、広告枠取引サービスを利用して過去に行われた広告枠の各取引の取引内容を示すデータである。取引データには、取引に係る広告枠に関する情報や、取引を行った広告主の情報、取引日時等が含まれる。取引データは、広告枠の過去の取引実績であって、取引成立及び取引不成立の両方の実績を含む。
<検索提示処理>
次に、広告枠取引装置1の制御部13が実行する検索提示処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、検索提示処理は、図3に示すマイページ画面A1の検索ボタンB4が操作されることで実行される。
【0073】
まず、制御部13は、S101(Sはステップを表す。)で、利用者側端末3から次のように検索条件を取得する。すなわち、制御部13は、図5に示す検索条件入力画面A2を表示するためのデータを利用者側端末3に送信する。すると、当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイに検索条件入力画面A2が表示され、ユーザは入力画面A2で各種検索条件を設定する。
【0074】
各種検索条件には、広告主条件、キャンペーン条件等が含まれる。広告主条件は、対象となる広告主に関する条件であり、本実施形態では、広告主名である。キャンペーン条件は、キャンペーンに関する条件であり、本実施形態では、キャンペーンの予算総額、実施期間(開始日及び終了日)、広告を出す媒体、各媒体に対する予算配分に関する条件等である。予算配分の項目における予算総額の入力欄21には先に入力したキャンペーンの予算総額が自動入力される。ユーザは、各媒体に対する予算配分の合計が予算総額になるように各媒体に対する予算額を設定する。
【0075】
ユーザが検索条件を設定すると、利用者側端末3から広告枠取引装置1に検索条件を示すデータが送信される。当該データを受信することで、広告枠取引装置1の制御部13は検索条件を取得する。なお、以下では、S101で取得された検索条件に含まれる広告主名で特定される広告主を「対象広告主」という。
【0076】
続いて、S102で、制御部13は、データベース4に記憶されている広告主情報に含まれる得意先価格情報を参照し、対象広告主について得意先価格が設定されているか否かを判定する。
【0077】
制御部13は、S102で得意先価格が設定されていると判定した場合(S102:YES)には、S103へ移行する。
【0078】
S103で、制御部13は、S101で取得した検索条件に合致する全ての広告枠についてデータベース4から対象広告主に関する得意先価格を取得する。ここで、検索条件に合致する広告枠としては、例えば、キャンペーン条件で指定されたいずれかの媒体の広告枠であり、当該広告枠の出稿時期がキャンペーンの実施期間に含まれる広告枠であってもよい。S103を実行すると、制御部13は、後述するS105へ移行する。
【0079】
一方、制御部13は、前述したS102で対象広告主について得意先価格が設定されていないと判定した場合(S102:NO)には、S104へ移行し、変動価格算出処理を実行する。変動価格算出処理は、複数の広告枠(本実施形態では、S101で取得された検索条件に合致する全ての広告枠)のそれぞれについて変動価格を算出する処理である。変動価格算出処理が実行されることで、対象広告主に応じた各広告枠の変動価格が算出される。
【0080】
ここで、変動価格算出処理について図6のフローチャートを用いて説明する。制御部13は、S101で取得された検索条件に合致する全ての広告枠のそれぞれを順次、処理対象の広告枠(以下「対象広告枠」という。)に設定し、対象広告枠に対して以下のS201~S203を実行する。
【0081】
まず、S201で、制御部13は、データベース4から時期係数を取得する。具体的には、制御部13は、データベース4の広告主情報を参照し、対象広告主の業種又は商品サービスカテゴリを取得する。そして、制御部13は、取得した業種又は商品サービスカテゴリ、並びに、対象広告枠に係るビークルに関する時期係数であって、対象広告枠の広告出稿時期を含む時期(本実施形態では、広告出稿時期を含む月)の時期係数をデータベース4から取得する。
【0082】
なお、広告出稿時期が複数の月に跨がる場合は、変動価格の算出に用いる時期係数は任意の方法で取得・算出されてもよい。例えば、前記複数の月の時期係数を基に算出された統計量(平均値、中央値、最小値、最大値等)を取得・算出してもよく、前記複数の月に含まれる任意の1月の時期係数を取得してもよい。
【0083】
続いて、S202で、制御部13は、データベース4から企業ランク係数を取得する。具体的には、制御部13は、対象広告主の企業ランク係数のうち、対象広告枠に係る媒体の企業ランク係数をデータベース4から取得する。
【0084】
続いて、S203で、制御部13は、S201で取得した時期係数とS202で取得した企業ランク係数とに基づいて変動価格を算出する。具体的には、制御部13は、データベース4から対象広告枠の基準価格を取得し、取得した基準価格に時期係数と企業ランク係数とを掛け合わせる(乗じる)ことで、変動価格を算出する。
【0085】
制御部13は、前述したS201~S203の処理を、S101で取得した検索条件に合致する全ての広告枠について実行する。これにより、複数の広告枠について変動価格が算出される。制御部13は、変動価格算出処理を実行すると、図4のS105へ移行する。
【0086】
S105で、制御部13は、組合せ決定処理を実行する。組合せ決定処理とは、ユーザに提示する複数の広告枠の組合せを決定する処理である。本実施形態では、制御部13は、組合せ決定処理として、複数の広告枠をひとまとめにした商品であるパッケージ商品を決定(生成)する処理を実行する。
【0087】
具体的には例えば、制御部13は、S101で取得したキャンペーン条件に合致するように複数の広告枠を組み合わせる。具体的には、キャンペーン条件に含まれる各媒体の予算配分の範囲内で各媒体について1又は複数の広告枠を選定し、パッケージ商品に含める。また例えば、制御部13は、広告枠の購入申込期限又は入稿期限といった期限が近い広告枠から優先してパッケージ商品に含めてもよい。また例えば、制御部13は、対象広告主又は対象広告主以外の過去の広告枠の購買実績を参照し、購入頻度が低い(つまり、あまり購入されていない)広告枠から優先してパッケージ商品に含めるようにしもよい。
【0088】
制御部13は、上記のようにして1又は複数のパッケージ商品を決定する。なお、制御部13は、パッケージ商品とは別に、1つの広告枠からなる商品である個別商品もユーザに提示する商品として決定してもよい。
【0089】
続いて、S106で、制御部13は、提示処理を実行する。提示処理とは、ユーザに1又は複数の広告枠の情報を提示する(すなわち、利用者側端末3のディスプレイに表示する)処理である。
【0090】
具体的には、制御部13は、前述した組合せ決定処理で決定した複数の広告枠の情報を一覧表示するためのデータを生成し、利用者側端末3に送信する。当該データを受信した利用者側端末3のディスプレイには図7に示す検索結果出力画面A3が表示される。
【0091】
検索結果出力画面A3には、1又は複数のパッケージ商品に含まれる複数の広告枠31~34の情報が一覧表示される。表示される広告枠の情報には、媒体社名又はビークル名41、ユニット名42、広告枠の具体的なイメージ画像43、変動価格44等が表示される。なお、検索結果出力画面A3には、個別商品の広告枠の情報が表示されてもよい。
【0092】
検索結果出力画面A3において、ユーザは、表示された広告枠の中から所望の広告枠を選択する。すると、対象広告主に関するキャンペーンの一覧が表示され、ユーザは表示された一覧の中から広告枠を追加したいキャンペーンを選択する。すると、選択されたキャンペーンに対して広告枠が追加される。S106を実行すると、制御部13は、図4の検索提示処理を終了する。
【0093】
以上までに広告枠取引システム100が提供する広告枠取引サービスについて詳細に説明したが、広告枠取引システム100を利用したビジネスモデルについても付言しておく。例えば、広告枠取引サービスのシステム提供者は、広告枠利用者が購入した広告枠の購入料金に対して中間マージンを設定したり、広告枠利用者や広告枠提供者のシステム利用者からシステム利用料を徴収したりして収益を得てもよい。
【0094】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0095】
(1a)本実施形態では、広告枠取引装置1の制御部13は、ダイナミックプライシングを用いて、複数の広告枠のそれぞれについて、広告主によって変動する価格(変動価格)を算出する。具体的には、制御部13は、対象となる広告主の情報(例えば、広告主名)を利用者側端末3から取得する。そして、複数の広告枠のそれぞれについて、対象広告主に応じた変動価格を算出する。そして、変動価格を含む複数の広告枠の情報を、ネットワークNを介してユーザに提示する。
【0096】
よって、広告主ごとに適した価格で広告枠を提供できる。したがって、ネットワークNを介して予約型広告の広告枠の取引を行うための広告枠取引システム100において、ユーザによる広告枠の購入を促進することができる。その結果、ユーザによる購入を促進でき、システム提供者や広告枠提供者の収益を向上できる。
【0097】
特に、これまでの広告業界では、各広告枠の価格設定は属人的な業務として行われてきた。このため、前述したネットワーク上で広告枠取引を行うシステムにおいて、広告主ごと又は広告主が属するグループ(業種や商品サービスカテゴリ等)ごとの需要に合った価格設定をこれまですることができなかった。それに対し、本実施形態の広告枠取引システム100では、広告主ごとに広告枠の価格を算出することで、上記の需要に合った価格で広告枠を提供することができる。
【0098】
(1b)変動価格は、広告主の業種又は商品サービスカテゴリごとの時期係数を用いて算出される。すなわち、変動価格は、広告主の業種又は前記カテゴリによって変動する。したがって、広告主の業種や前記カテゴリに応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0099】
(1c)変動価格は、時期係数に基づいて算出される。すなわち、広告枠の変動価格は、当該広告枠の広告出稿時期によって変動する。したがって、広告出稿時期に応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0100】
(1d)変動価格は、広告主の業種又は商品サービスカテゴリ、並びに、広告枠の広告出稿時期、に応じた時期係数に基づいて算出される。したがって、広告主の業種や前記カテゴリでの広告出稿時期による価格変動を考慮した適切な価格をユーザに提示できる。その結果、ユーザによる購入を促進でき、システム提供者等の収益を向上できる。
【0101】
(1e)変動価格は、広告主が過去に支払った出稿金額に基づき算出される企業ランク係数を用いて算出される。つまり、変動価格は、広告主が過去に支払った出稿金額の規模によって変動する。換言すれば、変動価格は、広告主の過去の広告出稿実績によって変動する。したがって、広告主が過去に支払った出稿金額に基づいて適切な価格をユーザに提示できる。
【0102】
(1f)制御部13は、複数の広告枠の変動価格と、ユーザによって指定された予算額と、に基づいてパッケージ商品を決定する。そして、制御部13は、パッケージ商品に係る複数の広告枠の情報をユーザに提示する。
【0103】
したがって、広告主の予算額に基づいたパッケージ商品を、変動価格を用いた適切な価格で提示できる。その結果、ユーザによる購入を促進し、また、商品の売れ残りを減らすことで、システム提供者等の収益を向上できる。
【0104】
(1g)制御部13は、広告主に対して得意先価格が設定されている場合には、変動価格に代えて得意先価格をユーザに提示する。したがって、広告主について得意先価格があるにもかかわらず、それを無視した変動価格をユーザに提示してしまうことを抑制できる。
【0105】
なお、本実施形態では、S105がパッケージ商品決定部としての処理に相当し、S106が提示部としての処理に相当し、S201が時期係数取得部としての処理に相当し、S203が価格算出部としての処理に相当する。
【0106】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0107】
第1実施形態では、広告枠取引装置1の制御部13は、広告枠の基準価格に時期係数と企業ランク係数とを乗じることで変動価格を算出する。換言すれば、変動価格は、ルールベースで算出される。これに対し、第2実施形態では、機械学習を用いて変動価格が算出される点で第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について詳細に説明する。
【0108】
第2実施形態の広告枠取引システム100のハードウェア構成は、第1実施形態と同様である。一方、第2実施形態では、データベース4に記憶されているデータと制御部13が実行する処理内容とが、第1実施形態と一部相違する。
<データベース>
第2実施形態のデータベース4は、第1実施形態と同様に、広告枠マスタデータ、広告主情報、時期係数、企業ランク係数、キャンペーン情報、取引データ等を記憶する。このうち取引データの中身が第1実施形態と一部相違する。また、第2実施形態のデータベース4には、機械学習を用いて生成された学習済みモデルが記憶されている。
【0109】
第2実施形態の取引データには、取引に係る広告枠に関する情報、広告主に関する情報、取引日時、取引日時における各種期限(広告枠の入稿期限や購入申込期限等)までの時間(例えば、日数)等が含まれる。なお、取引データには、取引成立時の取引データだけでなく、取引不成立時の取引データも含まれる。
【0110】
第2実施形態の取引データには、取引時(取引成立時又は取引不成立時)の広告枠の変動価格を含む。具体的には、第2実施形態の取引データには、広告枠の変動価格と、当該変動価格が過去にユーザに提示されたときの取引結果を示すデータと、が含まれる。取引結果を示すデータは、例えば、ユーザが広告枠の購入申込みを行ったか否かを示すデータ、換言すれば、取引が成立したか否かを示すデータである。このように、取引データには、取引が成立したとき又は成立しなかったときの変動価格が含まれる。
【0111】
また、データベース4には、取引データに含まれる広告枠の変動価格と取引結果とを用いて算出される量として、各広告枠の平均取引価格及び平均変動価格、並びに、これらの比率が記憶されている。ここで、或る広告枠の平均取引価格は、過去の取引実績を基に、その広告枠の取引成立時の変動価格を平均することで算出される。一方、或る広告枠の平均変動価格は、過去の取引実績を基に、その広告枠の取引成立時及び取引不成立時の両方の変動価格を平均することで算出される。
【0112】
一方、学習済みモデルは、広告枠の変動価格を予測するための機械学習モデルである。学習済みモデルは、データベース4上に蓄積された取引データ等を用いて機械学習を行うことで生成される。
<広告枠取引装置>
制御部13は、後述するモデル生成処理(図8)を実行することで、前記学習済みモデルを生成する。また、制御部13は、第1実施形態と同様に検索提示処理(図4)を実行する。ただし、検索提示処理のS104で実行される変動価格算出処理が第1実施形態と相違する。以下、これらの処理について順に説明する。
【0113】
[2-2.機能]
[2-2-1.モデル生成処理]
次に、広告枠取引装置1の制御部13が実行するモデル生成処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。モデル生成処理は、適宜のタイミングで実行される。
【0114】
まず、制御部13は、S301で、データベース4から学習データを取得する。本実施形態では、学習データとして、データベース4上に蓄積された各広告枠の取引データが用いられる。具体的には、学習データとして、取引に係る広告枠に関する情報、広告主に関する情報、広告枠の広告出稿時期、取引時における各種期限(広告枠の入稿期限及び/又は購入申込み期限)までの時間、広告枠の平均取引価格と平均変動価格との比率、取引時の広告枠の変動価格等が用いられる。
【0115】
ここで、取引に係る広告枠に関する情報には、例えば、媒体ID、ビークルID及びユニットIDの組合せが含まれていてもよい。すなわち、広告枠に関する情報は、当該広告枠を特定可能な情報であってもよい。また、広告主に関する情報には、広告主名や、広告主の業種又は商品サービスカテゴリ、広告主の過去の出稿金額に関する情報等が含まれていてもよい。また、広告主の業種や商品サービスカテゴリ、過去の出稿金額に関する情報として、広告主の業種又は前記カテゴリに関する時期係数や当該広告主の企業ランク係数等が使用されてもよい。なお、広告主の業種や商品サービスカテゴリ、過去の出稿金額に関する情報としては、例えば、広告主の業種や商品サービスカテゴリに対応するカテゴリ変数又は数値変数や、過去の出稿金額のそのもの等が使用されてもよい。このように、広告主に関する情報は、当該広告主を特定可能な情報であってもよい。なお、広告枠又は広告主を特定可能な情報には、広告枠又は広告主を完全に特定可能な情報のみならず、広告枠又は広告主を部分的に特定可能な情報が含まれてもよい。
【0116】
続いて、S302で、制御部13は、S301で取得した学習データを用いて機械学習モデルを学習し、学習済みモデルを生成する。
【0117】
ここで、S301で取得した学習データのうち、例えば、取引に係る広告枠に関する情報、広告主に関する情報(時期係数、企業ランク係数等)、広告枠の広告出稿時期、取引時における各種期限(広告枠の入稿期限及び/又は購入申込み期限)までの時間、広告枠の平均取引価格と平均変動価格との比率等が学習時の説明変数として用いられる。また、取引時の広告枠の変動価格が目的変数として用いられる。
【0118】
機械学習モデルとしては、例えば、重回帰分析を用いたモデル、確率モデル、ニューラルネットワーク等が用いられてもよい。
【0119】
例えば、重回帰分析を用いる場合は、下記数3を用いて学習が行われてもよい。
【0120】
【数3】
【0121】
上記数3において、x,x,x等は前述した各説明変数であり、α,α,α,・・・,βは偏回帰係数及び切片である。
【0122】
また例えば、機械学習モデルとして確率モデルを用いる場合は、各説明変数の値が与えられた場合の広告枠の或る価格でのユーザによる広告枠の購入確率と、その価格における収益と、を用いて算出される収益の期待値(期待収益)を最大にする価格が、当該広告枠の変動価格として算出されてもよい。
【0123】
なお、ここで挙げた機械学習モデルはあくまで一例であり、そのほかの種類の機械学習モデルが使用されてもよい。また、機械学習モデルの学習方法としては、教師あり学習や深層学習のほか、強化学習等の他の学習方法が用いられてもよい。
【0124】
続いて、S303で、制御部13は、S302で生成した学習済みモデルをデータベース4に記憶し、図8のモデル生成処理を終了する。
【0125】
[2-2-2.変動価格算出処理]
次に、広告枠取引装置1の制御部13が、第1実施形態の変動価格算出処理(図6)に代えて実行する変動価格算出処理について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0126】
まず、S401で、制御部13は、データベース4から学習済みモデルを取得する。
【0127】
続いて、制御部13は、以下のS402~S404の処理を、図4のS101で取得した検索条件に合致する全ての広告枠について繰り返す。具体的には、制御部13は、検索条件に合致する全ての広告枠のそれぞれを順次、処理対象の広告枠(対象広告枠)に設定し、以下の処理を実行していく。
【0128】
S402で、制御部13は、データベース4から説明変数を取得する。具体的には、制御部13は、対象広告枠に関する情報(例えば、媒体ID、ビークルID、ユニットID等)、対象広告主に関する情報(例えば、時期係数、企業ランク係数等)、対象広告枠の広告出稿時期、現時点における各種期限(広告枠の入稿期限及び/又は購入申込期限)までの時間、対象広告枠の平均取引価格と平均変動価格との比率等を取得する。
【0129】
続いて、S403で、制御部13は、S401で取得した学習済みモデルに対してS402で取得した各種説明変数を入力して、その出力としてモデル出力価格を取得する。
【0130】
続いて、S404で、制御部13は、対象広告枠の変動価格を算出する。具体的には、制御部13は、データベース4から対象広告枠の最低販売価格を取得する。そして、制御部13は、S403で取得したモデル出力価格と対象広告枠の最低販売価格とを用いて下記数4により対象広告枠の変動価格を算出する。
【0131】
【数4】
【0132】
上記数4におけるMAX関数は複数の引数のうち最大値を返す関数である。すなわち、S403で算出したモデル出力価格が広告枠提供者により要求される最低販売価格以上である場合、モデル出力価格が対象広告枠の変動価格に設定される。一方、モデル出力価格が最低販売価格未満である場合、最低販売価格が対象広告枠の変動価格に設定される。
【0133】
制御部13は、以上のS402~S404の処理を、検索条件に合致する全ての広告枠について終了するまで繰り返す。そして、全ての広告枠について処理が終了すると図9に示す変動価格算出処理を終了する。
【0134】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1g)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0135】
(2a)本実施形態では、制御部13は、機械学習モデルを用いて広告枠の変動価格を算出する。換言すれば、機械学習モデルを用いた広告枠のダイナミックプライシングが実現される。したがって、ルールベースで変動価格を算出する場合に考慮されない、説明変数と目的変数との間の関係を発見し、その関係に基づいた適切な価格をユーザに提示でき得る。その結果、ユーザにより適切な価格を提示し、ユーザによる購入を促進でき得る。
【0136】
(2b)本実施形態では、学習データに含まれる説明変数には、取引時における広告入稿期限及び購入申込み期限までの時間が含まれる。つまり、変動価格は、上記各期限までの時間によって変化する。その結果、例えば、入稿期限又は購入申込み期限の所定期間(例えば、1週間)前に価格が低下するよう変動価格がされる。したがって、上記期限までの時間に応じた適切な価格をユーザに提示できる。
【0137】
(2c)説明変数には、広告枠の過去の取引実績を示すデータが含まれる。特に、広告枠の過去の取引実績には、取引成立及び取引不成立の両方の実績が含まれる。具体的には、説明変数には、過去にユーザに提示された変動価格及び当該変動価格がユーザに提示されたときの広告枠の取引結果の組合せ、又は、当該組合せに基づき算出される量、が含まれる。ここでいう当該組合せに基づき算出される量とは、例えば、広告枠の平均取引価格と平均変動価格との比率である。したがって、広告枠の過去の取引実績に応じたより適切な変動価格をユーザに提示できる。
【0138】
(2d)制御部13は、機械学習モデルにより算出された広告枠の価格(モデル出力価格。換言すれば、暫定の変動価格。)が、当該広告枠の最低販売価格を下回る場合には、当該最低販売価格を確定の変動価格としてユーザに提示する。したがって、広告枠提供者が要求する最低販売価格を下回る変動価格で取引が成立することを抑制できる。
【0139】
なお、本実施形態では、取引データが取引実績を示すデータに相当し、S401がモデル取得部としての処理に相当し、S403~S404が価格算出部としての処理に相当する。
【0140】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0141】
(3a)上記各実施形態では、時期係数の算出式(数1)の右辺の分子及び分母における平均価格はビークルごとに算出される。しかしながら、時期係数の平均価格の算出方法はこれに限られない。例えば、媒体ごと又はユニットごと(すなわち、広告枠ごと)に平均価格が算出されてもよい。この場合、時期係数は、時期と業種又は商品サービスカテゴリとに加え、媒体又は広告枠の分だけ算出されてもよい。
【0142】
また、上記各実施形態では、企業ランク係数の算出式(数2)の右辺の分子及び分母における平均出稿金額は媒体ごとに算出されるが、平均出稿金額の算出方法はこれに限られない。例えば、ビークルごと又はユニットごとに平均出稿金額が算出されてもよい。
【0143】
(3b)上記各実施形態では、月ごとの時期係数が算出されるが、時期係数はこれに限られない。例えば、時期係数は、下記数5のように曜日ごとに算出されてもよい。
【0144】
【数5】
【0145】
また例えば、時期係数は、特定の日ごとに算出されてもよい。ここでいう特定の日としては、例えば、正月、4月1日や10月1日といった上半期や下半期の初日等が挙げられる。より一般には、下記数6のように、特定の時期(例えば、月、週、曜日、日)の時期係数が算出されてもよい。
【0146】
【数6】
【0147】
ここで、右辺の分母における特定の期間は、分子における特定の時期よりも長い期間であり、例えば、年、月、週、日等である。換言すれば、時期係数は、業種又は商品サービスカテゴリごと、並びに、媒体、ビークル又はユニットごとに算出され、特定の時期における1以上の広告枠の平均価格と、前記特定の時期よりも長い特定の期間における1以上の広告枠の平均価格と、の比率又は当該比率に基づく量であってもよい。なお、当該比率に基づく量としては、当該比率を定数倍したものや当該比率の逆数等が一例として挙げられる。
【0148】
(3c)上記各実施形態では、企業ランク係数は、年間の平均出稿金額を基に算出される。しかしながら、企業ランク係数の算出方法はこれに限られない。例えば、企業ランク係数は、年間(すなわち、1年)以外の所定期間の平均出稿金額を基に算出されてもよい。
【0149】
(3d)上記第1実施形態では、変動価格は、基準価格に時期係数と企業ランク係数とを掛け合わせる(乗じる)ことで算出される。換言すれば、変動価格は、時期係数や企業ランク係数等を用いて基準価格を線形変換することで算出される。しかしながら、変動価格の算出方法はこれに限られない。
【0150】
例えば、変動価格は、時期係数や企業ランク係数を用いて基準価格を非線形変換することで算出されてもよい。つまり、変動価格は、基準価格や時期係数、企業ランク係数等の関数として算出されてもよい。換言すれば、変動価格は、基準価格や時期係数、企業ランク係数等に基づいて算出されてもよい。
【0151】
(3e)上記各実施形態では、パッケージ商品は、ユーザによって指定された予算額に基づいて決定されるが、パッケージ商品を決定する方法はこれに限られない。例えば、広告枠取引システム100側であらかじめ設定された金額(例えば100万円)に基づいてパッケージ商品が決定されてもよい。
【0152】
(3f)パッケージ商品に含まれる個々の広告枠について変動価格が算出されるのではなく、パッケージ商品それ自体について変動価格が算出されてもよい。
【0153】
(3g)上記各実施形態では、広告枠の変動価格として、幅を持たない価格がユーザに提示されるが、変動価格はこれに限られない。例えば、幅を持った価格(すなわち、価格帯)が変動価格としてユーザに提示されてもよい。
【0154】
つまり、本明細書でいう変動価格は広告主によって変動する「価格」であるが、ここでいう「価格」には、幅を持たない価格と幅を持った価格(すなわち、価格帯)との双方の概念が包含されてもよい。
【0155】
なお、価格帯としての変動価格の算出方法は特に限定されるものではないが、一例として当該変動価格は次のように算出されてもよい。すなわち、上記各実施形態で説明した変動価格の算出方法等を用いて、或る広告枠について幅を持たない変動価格(例えば、2,000,000円)を算出する。そして、算出された変動価格の上下所定範囲に対応する価格帯(例えば、上下2割に対応する1,600,000~2,400,000円)が、その広告枠の変動価格としてユーザに提示されてもよい。
【0156】
(3h)上記各実施形態では、利用者側端末3を介して広告枠取引システム100を利用するユーザとして広告会社の担当者を例示したが、ユーザはこれに限られない。ユーザは広告主自身であってもよい。
【0157】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0158】
(3j)前述した広告枠取引装置1の制御部13の他、広告枠取引装置1を構成要素とする広告枠取引システム100、制御部13としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記憶した半導体メモリ等の非遷移的実体的記憶媒体、広告枠取引方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0159】
1…広告枠取引装置、2…提供者側端末、3…利用者側端末、4…データベース、
100…広告枠取引システム。
【要約】
【課題】ネットワークを介して予約型広告の広告枠の取引を行うためのシステムにおいて、ユーザによる広告枠の購入を促進する。
【解決手段】広告枠取引システムは、価格算出部と、提示部と、を備える。価格算出部は、複数の広告枠のそれぞれについて変動価格を算出するように構成される。変動価格は、広告を出稿する広告主によって変動する価格である。提示部は、変動価格を含む複数の広告枠の情報を、ネットワークを介してユーザに提示するように構成される。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9