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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】画像検査装置及び画像検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221026BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221026BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20221026BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01B11/00 H
G01B11/26 H
G01N21/84 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019047185
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020148664
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-12-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 豊
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-079988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0147947(US,A1)
【文献】特開2012-058091(JP,A)
【文献】実開平06-087856(JP,U)
【文献】特開2005-300529(JP,A)
【文献】特開平10-082613(JP,A)
【文献】特開平11-108844(JP,A)
【文献】特開2020-046310(JP,A)
【文献】特開2015-049133(JP,A)
【文献】特開2001-215108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定する測定部と、
マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、前記複数の照明素子による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御することにより、前記対象物に対して制御された特定方向から光を照射する照明部と、
照明された前記対象物を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された画像に基づいて、前記対象物の状態を検査する検査部と、
を備え
前記複数の照明素子は、バックライトと、前記バックライトを覆うように配置され複数の画素を構成する液晶パネルと、前記液晶パネルを覆うように配置されたマイクロレンズアレイとによって構成され、
前記照明部は、前記液晶パネルの前記複数の画素を制御して前記バックライトからの光を透過又は遮蔽し、前記マイクロレンズアレイによって前記特定方向へ光を出射する 画像検査装置。
【請求項2】
前記照明部は、前記対象物について事前に設計された光の出射方向を、前記配置情報に応じて補正して、前記対象物に対して光を照射する、
請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記対象物までの距離を測定する測距センサを含む、
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記照明部により所定の光が照射された前記対象物を前記撮影部により撮影したテスト画像に基づいて前記対象物の形状特徴を抽出し、前記形状特徴に基づいて前記対象物の前記配置情報を測定する、
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記照明部は、前記撮影部により前記テスト画像を撮影する場合に、前記対象物の輪郭に向けた光、前記対象物を横断するライン状の光及び前記対象物を覆う縞状の光のいずれかを照射する、
請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記測定部は、前記撮影部とは異なる方向から前記対象物を撮影する補助撮影部を含む、
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記照明部は、前記対象物の正常箇所で反射された光が前記撮影部に入射し、前記対象物の異常箇所で反射された光が前記撮影部に入射しないように、前記複数の照明素子による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御して、前記対象物に対して光を照射する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記照明部は、前記対象物の正常箇所で反射された光が前記撮影部に入射せず、前記対象物の異常箇所で反射された光が前記撮影部に入射するように、前記複数の照明素子による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御して、前記対象物に対して光を照射する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定することと、
マトリクス状に配置された複数の照明素子を含む照明部による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御することにより、前記対象物に対して制御された特定方向から光を照射することと、
照明された前記対象物を撮影することと、
撮影された画像に基づいて、前記対象物の状態を検査することと、
を含み、
前記複数の照明素子は、バックライトと、前記バックライトを覆うように配置され複数の画素を構成する液晶パネルと、前記液晶パネルを覆うように配置されたマイクロレンズアレイとによって構成され、
前記照射することは、前記液晶パネルの前記複数の画素を制御して前記バックライトからの光を透過又は遮蔽し、前記マイクロレンズアレイによって前記特定方向へ光を出射することである 画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置及び画像検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の製造ラインに画像検査装置を導入して、部品や完成品の検査を行うことがある。この場合、部品や完成品等の対象物の状態を適切に撮影できるように、照明の方向を予め調整している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、複数個の照明ブロックの点灯の有無と各照明ブロックの照射光の強度とを組み合わせたパターンの中から選択されたパターンにより照射された対象物を撮影する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-122198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、各対象物を撮影する際に、それぞれの対象物に対して同じパターンで光を照射することになる。
【0006】
しかしながら、対象物は、必ずしも同じ位置及び姿勢で撮影されるとは限らない。例えば、対象物は、搬送される過程で位置や姿勢が変化し、撮影時における位置及び姿勢が一定とならないことがある。そのため、特定の位置及び姿勢に対して最適化された照明方向では、対象物の適切な画像が撮影できないことがある。
【0007】
そこで、本発明は、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査することができる画像検査装置及び画像検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る画像検査装置は、対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定する測定部と、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物に対して光を照射する照明部と、照明された対象物を撮影する撮影部と、撮影部で撮影された画像に基づいて、対象物の状態を検査する検査部と、を備える。
【0009】
この態様によれば、対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定し、配置情報に応じて複数の照明素子による光の出射方向を制御することで、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影することができ、画像検査を行うことができる。
【0010】
上記態様において、照明部は、対象物について事前に設計された光の出射方向を、配置情報に応じて補正して、対象物に対して光を照射してもよい。
【0011】
この態様によれば、事前に設計された光の出射方向を、配置情報に応じて補正することで、事前に設計された光の出射方向を参照しない場合に比べて、少ない演算量で対象物の適切な画像が撮影できるように光の出射方向を制御することができる。
【0012】
上記態様において、測定部は、対象物までの距離を測定する測距センサを含んでもよい。
【0013】
この態様によれば、対象物の配置情報をより正確に測定し、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0014】
上記態様において、測定部は、照明部により所定の光が照射された対象物を撮影部により撮影したテスト画像に基づいて対象物の形状特徴を抽出し、形状特徴に基づいて対象物の配置情報を測定してもよい。
【0015】
この態様によれば、テスト画像に基づいて対象物の配置情報を測定することができ、測定部のハードウェア構成を簡素化することができる。
【0016】
上記態様において、照明部は、撮影部によりテスト画像を撮影する場合に、対象物の輪郭に向けた光、対象物を横断するライン状の光及び対象物を覆う縞状の光のいずれかを照射してもよい。
【0017】
この態様によれば、テスト画像に基づいて、より正確に対象物の形状特徴を抽出することができ、対象物の配置情報をより正確に測定することができる。
【0018】
上記態様において、測定部は、撮影部とは異なる方向から対象物を撮影する補助撮影部を含んでもよい。
【0019】
この態様によれば、対象物の配置情報をより正確に測定し、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0020】
上記態様において、照明部は、対象物の正常箇所で反射された光が撮影部に入射し、対象物の異常箇所で反射された光が撮影部に入射しないように、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物に対して光を照射してもよい。
【0021】
この態様によれば、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の正常部位が明るく写り、対象物の異常部位が暗く写る明視野条件を満たすように、対象物の画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0022】
上記態様において、照明部は、対象物の正常箇所で反射された光が撮影部に入射せず、対象物の異常箇所で反射された光が撮影部に入射するように、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物に対して光を照射してもよい。
【0023】
この態様によれば、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の正常部位が暗く写り、対象物の異常部位が明るく写る暗視野条件を満たすように、対象物の画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0024】
本開示の他の態様に係る画像検査装置は、光の出射方向が制御可能であり、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、複数の照明素子によって、対象物に対して、複数の角度で光を複数回照射する照明部と、光が照射されるごとに、対象物を撮影する撮影部と、撮影された対象物の複数の画像の特徴に基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択する選択部と、少なくとも1の画像に基づいて、対象物の状態を検査する検査部と、を備える。
【0025】
この態様によれば、対象物に対して複数の角度で光を照射して複数の画像を撮影し、少なくとも1の画像を選択することで、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0026】
本開示の他の態様に係る画像検査方法は、対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定することと、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含む照明部による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物に対して光を照射することと、照明された対象物を撮影することと、撮影された画像に基づいて、対象物の状態を検査することと、を含む。
【0027】
この態様によれば、対象物の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定し、配置情報に応じて複数の照明素子による光の出射方向を制御することで、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0028】
本開示の他の態様に係る画像検査方法は、光の出射方向が制御可能であり、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含む照明部によって、対象物に対して、複数の角度で光を複数回照射することと、光が照射されるごとに、対象物を撮影することと、撮影された対象物の複数の画像の特徴に基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択することと、少なくとも1の画像に基づいて、対象物の状態を検査することと、を含む。
【0029】
この態様によれば、対象物に対して複数の角度で光を照射して複数の画像を撮影し、少なくとも1の画像を選択することで、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、対象物の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査することができる画像検査装置及び画像検査方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像検査装置の概要を示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る画像検査装置に含まれる情報処理装置の物理的構成を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る画像検査装置によって、明視野条件を満たすように対象物を撮影する第1例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る画像検査装置によって、明視野条件を満たすように対象物を撮影する第2例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る画像検査装置によって、暗視野条件を満たすように対象物を撮影する第1例を示す図である。
図6】第1実施形態に係る画像検査装置によって、暗視野条件を満たすように対象物を撮影する第2例を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る画像検査装置の概要を示す模式図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る画像検査装置によって対象物を撮影する一例を示す図である。
図9】第3実施形態に係る画像検査装置によって撮影されたテスト画像の一例を示す図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る画像検査装置の概要を示す模式図である。
図11】第4実施形態に係る画像検査装置に含まれる情報処理装置の物理的構成を示す図である。
図12】第4実施形態に係る画像検査装置によって実行される画像検査処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像検査装置100の概要を示す模式図である。画像検査装置100は、搬送部50によって搬送される対象物1の画像を撮影して、画像検査を行う。本実施形態に係る画像検査装置100は、補助撮影部10、照明部20、撮影部30及び情報処理装置40を備える。
【0034】
補助撮影部10は、対象物1の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定する測定部の一例であり、撮影部30とは異なる方向から対象物1を撮影する。補助撮影部10は、汎用のカメラで構成されてよく、本例の場合、搬送部50の搬送面に沿った方向から、対象物1を撮影する。
【0035】
照明部20は、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物1に対して光を照射する。照明部20は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等で構成されたバックライトと、バックライトを覆うように配置され、複数の画素を構成する液晶パネルと、液晶パネルを覆うように配置されたマイクロレンズアレイとを有してよい。この場合、照明部20は、液晶パネルの複数の画素を制御して、光を透過又は遮蔽し、マイクロレンズアレイによって特定の方向に光を出射してよい。もっとも、照明部20は他の構成であってもよい。照明部20は、例えば、LED等で構成されたバックライトと、バックライトを覆うように配置され、複数の画素を構成する第1液晶パネルと、第1液晶パネルを覆うように配置され、複数の画素を構成する第2液晶パネルとを有してよい。この場合、照明部20は、第1液晶パネル及び第2液晶パネルの複数の画素を制御して、光を透過又は遮蔽し、特定の方向に光を出射してよい。
【0036】
照明部20は、対象物1について事前に設計された光の出射方向を、配置情報に応じて補正して、対象物1に対して光を照射してよい。対象物1について事前に設計された光の出射方向は、対象物1が特定の位置及び姿勢である場合に最適化された照明の方向である。照明部20は、配置情報に基づいて、対象物1の位置及び姿勢が、事前に設計した特定の位置及び姿勢からどの程度ずれているか算出し、ずれに応じて光の出射方向を補正してよい。
【0037】
撮影部30は、照明された対象物1を撮影する。撮影部30は、汎用のカメラで構成されてよく、本例の場合、搬送部50の搬送面に対して垂直な方向から、対象物1を撮影する。
【0038】
情報処理装置40は、撮影部30で撮影された画像に基づいて、対象物1の状態を検査する検査部として機能する。情報処理装置40は、撮影部30で撮影された画像について公知の画像処理を施し、対象物1に異常がないか検査し、検査結果を表示したり、外部機器に送信したりする。
【0039】
このように、本実施形態に係る画像検査装置100によれば、対象物1の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定し、配置情報に応じて複数の照明素子による光の出射方向を制御することで、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物1の適切な画像を撮影し、対象物1の画像検査を行うことができる。
【0040】
また、補助撮影部10を備えることで、対象物1の配置情報をより正確に測定し、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物1の適切な画像を撮影することができる。
【0041】
さらに、事前に設計された光の出射方向を、配置情報に応じて補正することで、事前に設計された光の出射方向を参照しない場合に比べて、少ない演算量で対象物1の適切な画像が撮影できるように光の出射方向を制御することができる。
【0042】
図2は、第1実施形態に係る画像検査装置100に含まれる情報処理装置40の物理的構成を示す図である。情報処理装置40は、演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では情報処理装置40が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、情報処理装置40は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図10で示す構成は一例であり、情報処理装置40はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0043】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、測定部により測定された対象物1の配置情報に応じた照明で撮影された対象物1の画像に基づいて、対象物の状態を検査するプログラム(画像検査プログラム)を実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
【0044】
CPU10aは、画像検査プログラムを実行することで、検査部41として機能する。検査部41は、撮影部30で撮影された画像に基づいて、対象物1の状態を検査する。
【0045】
また、CPU10aは、画像検査プログラムを実行することで、対象物1について事前に設計された光の出射方向を、配置情報に応じて補正する補正部として機能してよい。
【0046】
RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行する画像検査プログラムや、対象物を撮影した画像といったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0047】
ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば画像検査プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0048】
通信部10dは、情報処理装置40を他の機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
【0049】
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。
【0050】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、例えば対象物1を撮影した画像や、検査部41による検査結果を表示してよい。
【0051】
画像検査プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。情報処理装置40では、CPU10aが画像検査プログラムを実行することにより、検査部41等の動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、情報処理装置40は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0052】
図3は、第1実施形態に係る画像検査装置100によって、明視野条件を満たすように対象物を撮影する第1例を示す図である。ここで、明視野条件とは、対象物1の正常部位が明るく写り、対象物1の異常部位が暗く写るような照明条件である。
【0053】
図3に示すように、対象物1が搬送部50に水平に置かれている場合、事前に設計された方向で出射された光L1は、対象物1の正常部位で反射され、反射光R1が撮影部30に入射する。ここで、仮に対象物1に異常部位がある場合、異常部位で反射された光は、撮影部30に入射しない(又は、入射するとしても正常部位からの反射光R1よりも強度が小さい)。
【0054】
図4は、第1実施形態に係る画像検査装置100によって、明視野条件を満たすように対象物を撮影する第2例を示す図である。第2例では、対象物1が搬送部50に水平に置かれておらず、姿勢が傾いている。
【0055】
照明部20は、対象物1の正常箇所で反射された光R2が撮影部30に入射し、対象物1の異常箇所で反射された光が撮影部30に入射しないように、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物1に対して光L2を照射してよい。ここで、照明部20は、対象物1について事前に設計された光の出射方向(図3に示す光L1)を、対象物1の配置情報に応じて補正して、対象物1に対して光L2を照射してよい。
【0056】
このようにして、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物1の正常部位が明るく写り、対象物1の異常部位が暗く写る明視野条件を満たすように、対象物1の画像を撮影することができる。このため、本実施形態に係る画像検査装置100によれば、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、適切な画像検査を行うことができる。
【0057】
図5は、第1実施形態に係る画像検査装置100によって、暗視野条件を満たすように対象物を撮影する第1例を示す図である。ここで、暗視野条件とは、対象物1の正常部位が暗く写り、対象物1の異常部位が明るく写るような照明条件である。
【0058】
図5に示すように、対象物1が搬送部50に水平に置かれている場合、事前に設計された方向で出射された光L3は、対象物1の正常部位で反射され、反射光R3は撮影部30に入射しない。ここで、仮に対象物1に異常部位がある場合、異常部位で反射された光は、撮影部30に入射する(又は、正常部位からの反射光R3よりも大きい強度の光が入射する)。
【0059】
図6は、第1実施形態に係る画像検査装置100によって、暗視野条件を満たすように対象物を撮影する第2例を示す図である。第2例では、対象物1が搬送部50に水平に置かれておらず、姿勢が傾いている。
【0060】
照明部20は、対象物1の正常箇所で反射された光R4が撮影部30に入射せず、対象物1の異常箇所で反射された光が撮影部30に入射するように、複数の照明素子による光の出射方向を配置情報に応じて制御して、対象物1に対して光L4を照射してよい。ここで、照明部20は、対象物1について事前に設計された光の出射方向(図5に示す光L3)を、対象物1の配置情報に応じて補正して、対象物1に対して光L4を照射してよい。
【0061】
このようにして、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物1の正常部位が暗く写り、対象物1の異常部位が明るく写る暗視野条件を満たすように、対象物1の画像を撮影することができる。このため、本実施形態に係る画像検査装置100によれば、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、適切な画像検査を行うことができる。
【0062】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る画像検査装置101の概要を示す模式図である。第2実施形態に係る画像検査装置101は、対象物1の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定する測定部として測距センサ15a,15b,15cを含む点で第1実施形態に係る画像検査装置100と相違し、その他について第1実施形態に係る画像検査装置100と同様の構成を備える。
【0063】
測距センサ15a,15b,15cは、それぞれ対象物1までの距離を測定する。本例の場合、測距センサ15a,15b,15cは、それぞれ対象物1の異なる点について、搬送部50の搬送面に対して垂直な方向の距離を測定する。測距センサ15a,15b,15cにより測定される距離によって、対象物1が水平な姿勢からどの程度ずれているのかを表す配置情報を測定することができる。
【0064】
このように、測距センサ15a,15b,15cによって、対象物1の配置情報をより正確に測定し、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物1の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0065】
なお、測距センサは、一点の距離を測定するセンサに限られず、多点の距離を測定するセンサであったり、ライン上の距離を測定するセンサであったり、2次元エリア上の距離を測定するセンサであったりしてもよい。
【0066】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る画像検査装置102によって対象物1を撮影する一例を示す図である。本実施形態に係る画像検査装置102は、照明部20により所定の光を照射して対象物1のテスト画像を撮影し、テスト画像に基づいて対象物1の形状特徴を抽出し、形状特徴に基づいて対象物1の配置情報を測定する点で第1実施形態に係る画像検査装置100と相違し、その他について第1実施形態に係る画像検査装置100と同様の構成を備える。
【0067】
本実施形態に係る画像検査装置102は、照明部20によって、所定の光L5を照射して、撮影部30によって、対象物1のテスト画像を撮影する。より具体的には、照明部20は、撮影部30によりテスト画像を撮影する場合に、対象物1の輪郭に向けた光、対象物1を横断するライン状の光及び対象物1を覆う縞状の光のいずれかを照射してよい。
【0068】
照明部20によって対象物1の輪郭に向けた光を照射する場合、画像検査装置102は、テスト画像に基づいて対象物1の輪郭の位置及び歪みを算出し、輪郭の位置に基づいて対象物1の位置を測定し、輪郭の歪みに基づいて対象物1の姿勢を測定してよい。
【0069】
また、照明部20によって対象物1を横断するライン状の光を照射する場合、画像検査装置102は、光切断法によって対象物1の位置及び姿勢を測定してよい。
【0070】
また、照明部20によって対象物1を覆う縞状の光を照射する場合、画像検査装置102は、位相シフト法によって対象物1の位置及び姿勢を測定してよい。
【0071】
本実施形態に係る画像検査装置102によれば、テスト画像に基づいて、より正確に対象物1の形状特徴を抽出することができ、対象物1の配置情報をより正確に測定することができる。
【0072】
図9は、第3実施形態に係る画像検査装置102によって撮影されたテスト画像IMGの一例を示す図である。本実施形態に係る画像検査装置102の測定部は、照明部20により所定の光が照射された対象物1を撮影部30により撮影したテスト画像IMGに基づいて対象物1の形状特徴を抽出し、形状特徴に基づいて対象物1の配置情報を測定する。図9では、照明部20によって対象物1の輪郭に向けた光を照射して撮影されたテスト画像IMGの一例を示している。
【0073】
画像検査装置102は、対象物1の形状特徴として、対象物1の輪郭の形状を抽出してよい。画像検査装置102は、抽出した対象物1の輪郭の形状に基づいて、輪郭の歪みを算出し、輪郭の歪みに基づいて対象物1の姿勢を測定してよい。このように、テスト画像IMGに基づいて対象物1の配置情報を測定することができ、測定部のハードウェア構成を簡素化することができる。
【0074】
なお、画像検査装置102は、対象物1の模様や対象物1の輪郭以外のエッジを抽出し、それらに基づいて対象物1の位置及び姿勢を測定してもよい。
【0075】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る画像検査装置103の概要を示す模式図である。第4実施形態に係る画像検査装置103は、補助撮影部10等の測定部を備えず、照明部20によって複数の角度で対象物1を複数回照明する点と、撮影部30によって対象物1の複数の画像を撮影する点と、情報処理装置40によって複数の画像から少なくとも1の画像を選択する点とについて第1実施形態に係る画像検査装置100と相違し、その他について第1実施形態に係る画像検査装置100と同様の構成を備える。
【0076】
本実施形態に係る画像検査装置103の照明部20は、光の出射方向が制御可能であり、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、複数の照明素子によって、対象物1に対して、複数の角度で光を複数回照射する。そして、撮影部30は、光が照射されるごとに、対象物1を撮影する。例えば、照明部20によって10種類の角度で対象物1に光を照射する場合、撮影部30は、10枚の対象物1の画像を撮影する。
【0077】
照明部20は、事前に設計された光の出射方向を変動させることで、複数の角度で光を複数回照射してよい。この場合、照明部20は、事前に設計された光の出射方向をランダムに変動させたり、所定角度ずつ変動させたりしてよい。
【0078】
情報処理装置40は、撮影された対象物1の複数の画像の特徴に基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択する選択部及び少なくとも1の画像に基づいて、対象物1の状態を検査する検査部として機能する。選択部は、例えば、複数の画像のコントラストに基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択したり、撮影された対象物1のエッジの鮮明さに基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択したり、撮影された対象物1の所定の形状の鮮明さに基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択したりしてよい。また、撮影部30は、対象物1の複数の画像を、異なる望遠倍率で撮影し、選択部は、対象物1全体が画像に収まっている否かに基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択してよい。
【0079】
例えば、明視野条件を満たす画像を撮影する場合、選択部は、対象物1の複数の画像のうち、最も明るい画像を選択してよい。また、暗視野条件を満たす画像を撮影する場合、選択部は、対象物1の複数の画像のうち、最も暗い画像を選択してよい。
【0080】
本実施形態に係る画像検査装置103によれば、対象物1に対して複数の角度で光を照射して複数の画像を撮影し、少なくとも1の画像を選択することで、対象物1の位置及び姿勢が一定しない場合であっても、対象物の適切な画像を撮影し、画像検査を行うことができる。
【0081】
図11は、本発明の第4実施形態に係る画像検査装置103に含まれる情報処理装置40の物理的構成を示す図である。以下では、第1実施形態に係る画像検査装置100に含まれる情報処理装置40との相違点について説明する。
【0082】
CPU10aは、画像検査プログラムを実行することで、検査部41及び選択部42として機能する。選択部42は、撮影された対象物1の複数の画像の特徴に基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択する。画像の特徴は、画像のコントラスト、画像に写された対象物1のエッジの鮮明さ、画像に写された対象物1の所定形状の鮮明さ等であってよい。
【0083】
画像検査プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。情報処理装置40では、CPU10aが画像検査プログラムを実行することにより、検査部41及び選択部42の動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、情報処理装置40は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSIを備えていてもよい。
【0084】
図12は、第4実施形態に係る画像検査装置103によって実行される画像検査処理のフローチャートである。はじめに、画像検査装置103は、対象物1に対して、複数の角度で光を複数回照射し(S10)、光が照射されるごとに、対象物1を撮影する(S11)。
【0085】
その後、画像検査装置103は、撮影された対象物の複数の画像の特徴に基づいて、複数の画像から少なくとも1の画像を選択する(S12)。最後に、画像検査装置103は、選択された画像に基づいて、画像検査を実施する(S13)。当然ながら、画像検査装置103は、画像検査の結果を表示したり、外部機器に送信したりしてよい。以上により、画像検査処理が終了する。
【0086】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0087】
本実施形態における態様は、以下のような開示を含む。
【0088】
[付記1]
対象物(1)の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定する測定部(10,15a,15b,15c)と、
マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、前記複数の照明素子による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御して、前記対象物(1)に対して光を照射する照明部(20)と、
照明された前記対象物(1)を撮影する撮影部(30)と、
前記撮影部(30)で撮影された画像に基づいて、前記対象物(1)の状態を検査する検査部(41)と、
を備える画像検査装置(100,101,102)。
【0089】
[付記2]
光の出射方向が制御可能であり、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含み、前記複数の照明素子によって、対象物(1)に対して、複数の角度で光を複数回照射する照明部(20)と、
前記光が照射されるごとに、前記対象物(1)を撮影する撮影部(30)と、
撮影された前記対象物(1)の複数の画像の特徴に基づいて、前記複数の画像から少なくとも1の画像を選択する選択部(42)と、
前記少なくとも1の画像に基づいて、前記対象物(1)の状態を検査する検査部(41)と、
を備える画像検査装置(103)。
【0090】
[付記3]
前記対象物(1)の位置及び姿勢の少なくともいずれかを含む配置情報を測定することと、
マトリクス状に配置された複数の照明素子を含む照明部(20)による光の出射方向を前記配置情報に応じて制御して、前記対象物(1)に対して光を照射することと、
照明された前記対象物(1)を撮影することと、
撮影された画像に基づいて、前記対象物(1)の状態を検査することと、
を含む画像検査方法。
【0091】
[付記4]
光の出射方向が制御可能であり、マトリクス状に配置された複数の照明素子を含む照明部(20)によって、前記対象物(1)に対して、複数の角度で光を複数回照射することと、
前記光が照射されるごとに、前記対象物(1)を撮影することと、
撮影された前記対象物(1)の複数の画像の特徴に基づいて、前記複数の画像から少なくとも1の画像を選択することと、
前記少なくとも1の画像に基づいて、前記対象物(1)の状態を検査することと、
を含む画像検査方法。
【符号の説明】
【0092】
1…対象物、10…補助撮影部、15a,15b,15c…測距センサ、20…照明部、30…撮影部、40…情報処理装置、40a…CPU、40b…RAM、40c…ROM、40d…通信部、40e…入力部、40f…表示部、41…検査部、42…選択部、50…搬送部、100,101,102,103…画像検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12