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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20221101BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H05K1/18 T
H05K7/06 Z
H05K1/18 S
H05K1/18 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018089094
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019197749
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】笹木 哲
(72)【発明者】
【氏名】小林 知善
(72)【発明者】
【氏名】笠島 正人
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 章裕
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-091247(JP,A)
【文献】特開2013-235968(JP,A)
【文献】特開2013-030577(JP,A)
【文献】特開2008-204985(JP,A)
【文献】特開2011-249713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品と、
前記電子部品が実装された実装部材と、を備え、
前記電子部品の重心が前記実装部材から離れた位置にある電子装置において、
前記実装部材に固定され、前記電子部品の前記重心から前記実装部材へ向かう方向に対して垂直な方向から、前記電子部品を囲む枠状の剛性部材と、
前記電子部品に対して前記実装部材と反対側で、前記複数の電子部品同士を連結するとともに、当該複数の電子部品と前記剛性部材とを連結する連結部材と、をさらに備え
前記連結部材は、複数の前記電子部品のうち両端にある電子部品と前記剛性部材とにまたがって設けられている、ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記電子部品は、本体部と、該本体部から露出して前記実装部材に接続される接続部とを有し、
前記複数の電子部品は、前記本体部同士が近接するように前記実装部材に配列されている、ことを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子装置において、
前記連結部材は複数設けられている、ことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電子装置において、
前記複数の電子部品の形状は同一であり、
前記各電子部品の前記本体部の、前記実装部材の表面と平行な方向の一方の幅は、他方の幅より小さく、
前記複数の電子部品は、前記各本体部が前記一方の幅の方向に隣り合うように配列されている、ことを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子装置において、
前記連結部材は、塗布時に粘性を有し硬化後に弾性を有する接着剤から構成されている、ことを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子装置において、
前記実装部材は、基板から構成され、
前記電子部品は、前記基板に形成された貫通孔に挿入された状態で前記基板に接続されるリード端子を備えた、挿入実装型の電子部品から構成されている、ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に備わる電子部品の防振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品と、該電子部品が実装されたプリント基板とを備えた電子装置は、様々な用途に用いられている。プリント基板に実装される電子部品には、表面実装型の電子部品と、挿入実装型の電子部品とがある。
【0003】
表面実装型の電子部品は、表面実装部品、SMT(Surface Mount Device)、あるいはチップ部品とも呼ばれていて、本体部と、該本体部から露出してプリント基板に接続される端子や電極などの接続部を有している。表面実装型の電子部品では、たとえば、本体部がプリント基板の表面に配置され、その基板表面に設けられたランドなどに、端子や電極がはんだなどにより接続される。
【0004】
挿入実装型の電子部品は、リード部品あるいはスルーホール部品とも呼ばれていて、本体部と、該本体部から突出してプリント基板に接続されるリード端子などの接続部を有している。挿入実装型の電子部品では、たとえば、本体部がプリント基板の表面に配置され、リード端子がプリント基板に形成された貫通孔に挿入された状態で、プリント基板にはんだなどにより接続される。
【0005】
一般に、挿入実装型の電子部品は、表面実装型の電子部品より大型で、かつ、実装された状態でプリント基板からの本体部の高さが高い。そして、電子部品の重心が、プリント基板から離れた本体部内にあって、本体部をこれより断面積が小さいリード端子で支えている。このため、電子装置に外部から振動や衝撃などの外力が加わることで、挿入実装型の電子部品の本体部が揺動し易く、該電子部品に生じる応力により、リード端子のはんだ付け部分やリード端子が損傷するおそれがある。また、このような問題は、重心がプリント基板から離れた本体部内にある表面実装型の電子部品でも生じ易い。そこで、電子部品の防振構造が種々提案されている。
【0006】
たとえば、特許文献1では、基板の上面に配置されたリード部品(表示板)の直方体状の本体部を、プリント基板の上面に固定された合成樹脂製の取付体により三側方から囲っている。そして、取付体に設けられた弾性舌片をリード部品の本体部に当接させて、弾性舌片と反対側のリード部品の本体部と取付体との間に、緩衝体を挟み込むことにより、本体部を弾性支持して、緩衝体により外部振動を吸収している。
【0007】
また、特許文献2では、リード部品(パワートランジスタ)の本体部を、熱伝導性接着剤、絶縁シート、または放熱板を介して電子装置の金属製ハウジングに連結している。また、リード部品のリード端子を、線材を介してプリント基板に接続している。
【0008】
また、特許文献3では、リード部品(コンデンサ、トランジスタ、または抵抗)の本体部をプリント基板の上面から離間させて、本体部とプリント基板との間に軟質弾性の防振材を介在させたり、本体部全体を防振材で覆ったりしている。
【0009】
また、特許文献4では、基板の上面に載置されたゴム板により、複数の電解コンデンサの下部を弾性支持している。また、支柱を介して基板の上方に配置されたゴム板により、複数の電解コンデンサの上部を弾性支持している。また、支柱とダンパを介して基板の上方に配置されたバスバーに、複数の電解コンデンサの上部に設けられた端子を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実開昭52-20564号公報
【文献】実開昭64-30851号公報
【文献】実開昭63-174492号公報
【文献】特開平6-275471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
たとえば車載用の電子装置には、車体やエンジンから振動や衝撃などの外力が加わる。特に、エンジンの近傍に設置された電子装置には、車両の走行時などにエンジンから大きな振動や衝撃が加わる。このため、従来の電子部品の防振構造では、これらの振動や衝撃に耐えられず、電子部品が揺動して、電子部品の接続部分や電子部品自体が損傷するおそれがある。
【0012】
本発明は、電子部品の耐振動性と耐衝撃性を向上させることができる電子装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、複数の電子部品と、電子部品が実装された実装部材とを備え、電子部品の重心が実装部材から離れた位置にある電子装置において、実装部材に固定され、電子部品の重心から実装部材へ向かう方向に対して垂直な方向から、電子部品を囲む枠状の剛性部材と、電子部品に対して実装部材と反対側で、複数の電子部品同士を連結するとともに、当該複数の電子部品と剛性部材とを連結する連結部材とをさらに備える。連結部材は、複数の電子部品のうち両端にある電子部品と剛性部材とにまたがって設けられる。
【0014】
上記によると、電子部品の一方側が実装部材により拘束され、他方側が連結部材と剛性部材により拘束されるので、外部からの振動や衝撃などの外力により電子部品が揺動するのを抑制することができる。また、外部から大きな振動や衝撃などの外力が電子装置に加わっても、当該外力により電子部品に生じる応力を、連結部材を介して剛性部材により吸収することができる。そのため、実装部材における電子部品の接続部分や電子部品自体が損傷するのを防止し、電子部品の耐振動性と耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0015】
また、本発明では、各電子部品は、本体部と、該本体部から露出して実装部材に接続される接続部とを有し、複数の電子部品は、本体部同士が近接するように実装部材に配列されていてもよい。
【0016】
また、本発明において、連結部材は複数設けられていてもよい。
【0017】
また、本発明において、複数の電子部品の形状は同一であり、各電子部品の本体部の、実装部材の表面と平行な方向の一方の幅は、他方の幅より小さく、複数の電子部品は、各本体部が一方の幅の方向に隣り合うように配列されてもよい。
【0018】
また、本発明において、連結部材は、塗布時に粘性を有し硬化後に弾性を有する接着剤から構成されてもよい。
【0019】
さらに、本発明において、実装部材は、基板から構成され、電子部品は、基板に形成された貫通孔に挿入され状態で基板に接続されるリード端子を備えた、挿入実装型の電子部品から構成されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子部品の耐振動性と耐衝撃性を向上させることができる電子装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態による電子装置の要部の斜視図である。
図2図1から剛性部材と連結部材を除いた状態の斜視図である。
図3図1の電子装置の要部の平面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】リード部品の実装状態を示した側面断面図である。
図6】複数のリード部品の他の連結状態を示した図である。
図7】本発明の第2実施形態による電子装置の要部の平面図である。
図8図7のB-B断面図である。
図9】本発明の他の実施形態を示した断面図である。
図10】本発明の他の実施形態を示した平面図である。
図11】本発明の他の実施形態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態の電子装置100の要部の斜視図である。図2は、図1から剛性部材4と連結部材5を除いた状態の斜視図である。図3は、電子装置100の要部の平面図である。図4は、図3のA-A断面図である。
【0024】
電子装置100は、たとえば車載用のDC-DCコンバータであり、車両のエンジンの近傍に設置される。
【0025】
図1および図2に示すように、電子装置100の筐体1には、基板2が複数のねじ6aにより固定されている。詳しくは、図示を省略しているが、基板2には、各ねじ6aを貫通させる貫通孔が複数形成されていて、筐体1には、各ねじ6aを螺合するねじ孔が複数形成されている。各ねじ6aを基板2の貫通孔を貫通させて、筐体1のねじ孔に螺合することにより、基板2が筐体1に固定されている。筐体1は、本例では金属製であるが、合成樹脂など他の材料で形成されていてもよい。基板2はプリント基板から構成されている。
【0026】
基板2には、複数の電子部品が実装されている。その複数の電子部品には、リード部品3が含まれている。図1では、基板2に実装されたリード部品3以外の電子部品の図示は省略している。リード部品3は、たとえば電解コンデンサから成り、電子装置100に複数(5つ)設けられている。各リード部品3の形状は同一である。基板2は、本発明の「実装部材」の一例である。リード部品3は、本発明の「挿入実装型の電子部品」の一例である。
【0027】
図5は、リード部品3の実装状態を示した側面断面図である。各リード部品3は、本体部3aと、本体部3aから露出した2本のリード端子3bとを有している。本体部3aは、図2図5に示すように直方体状に形成されている。本例では、図5に示すように、リード部品3の本体部3aの一方の横幅W1は、他方の横幅W2より小さくなっている(W1<W2)。なお、リード部品3の形状によっては、一方の横幅W1と他方の横幅W2とが等しい場合もある(W1=W2)。
【0028】
2本のリード端子3bは、本体部3aから下方へ突出している。また、2本のリード端子3bは、本体部3aの幅W2の方向(Y方向)に配列されている(図5(b)、図2)。
【0029】
複数のリード部品3の本体部3aは、基板2の上面に配置されている。また、各本体部3aが幅W1の方向(X方向)に隣り合うように、複数のリード部品3は配列されている(図1図4)。本例では、図4などに示すように、隣り合うリード部品3の本体部3a同士が離間しているが、隣り合う本体部3a同士は当接していてもよい。
【0030】
各リード部品3のリード端子3bは、基板2に形成された貫通孔2hに挿入された状態で、基板2の下面の貫通孔2hの周囲に設けられたランド2rに、はんだにより接続されている(図4図5)。リード端子3bの先端は、基板2の下方へ突出している。リード端子3bは、本発明の「接続部」の一例である。
【0031】
各リード部品3の本体部3aはリード端子3bより大型で、重さが重くなっている。リード部品3が基板2に実装された状態では、図5に示すように、リード部品3の重心Gは、基板2から離れた本体部3aの中心より上方の位置にある。
【0032】
図1および図3に示すように、各リード部品3の本体部3aの周囲には、剛性部材4が設けられている。剛性部材4は、合成樹脂製であり、基板2の板厚方向と平行な上下方向Zから見て、長方形の枠状に形成された側壁4a(1)~4a(4)を有している。側壁4a(1)~4a(4)は、基板2上に位置したリード部品3の本体部3aを、リード部品3の重心G(図5)から基板2に向かう方向(上下方向Z)に対して垂直な側方(基板2の板面と平行な方向)から、全周にわたって囲っている。また、図4に示すように、基板2からの側壁4a(1)~4a(4)の高さは、リード部品3の本体部3aの高さと同等になっている。
【0033】
図4などでは、側壁4a(1)~4a(4)のうち、剛性部材4の短手方向Yと平行な第1側壁4a(1)および第2側壁4a(2)に対して、両端にあるリード部品3の本体部3aが離間しているが、これら側壁4a(1)、4a(2)と本体部3aとは当接していてもよい。
【0034】
図1図3、および図4に示すように、各側壁4a(1)~4a(4)の下部には、脚部4bが設けられている。各脚部4bは、基板2の板面と平行に側方へ突出している。図4に示すように、剛性部材4の長手方向Xに突出した各脚部4bには、下方へ突出するボス4cが設けられている。基板2には、各ボス4cを挿入する貫通孔2iが形成されている。各ボス4cを基板2の各貫通孔2iに挿入することにより、剛性部材4は基板2上に位置決めされる。
【0035】
そして、剛性部材4は、図3などに示す複数のねじ6bにより基板2と筐体1に対して固定されている。詳しくは、図示を省略しているが、剛性部材4の各脚部4bと基板2には、各ねじ6bを貫通させる貫通孔が複数形成されていて、該貫通孔と連通するように、筐体1にはねじ孔が複数形成されている。各ねじ6bを各脚部4bの貫通孔と基板2の貫通孔とを貫通させて、筐体1のねじ孔に螺合することにより、剛性部材4が基板2と筐体1に固定される。
【0036】
図1および図3に示すように、剛性部材4の長手方向Xと平行な第3側壁4a(3)と第4側壁4a(4)の外面には、複数のリブ4Lが設けられている。各リブ4Lは、第3側壁4a(3)および第4側壁4a(4)の高さ方向Zに延設されていて、下方へ向かうに連れて側方へ突出している。また、各リブ4Lは、側壁4a(3)、4a(4)に設けられた脚部4bと連続している。
【0037】
剛性部材4と各リード部品3の本体部3aの上方には、シリコン系またはゴム系の接着剤からなる連結部材5が設けられている。この接着剤は、塗布時には液状で粘性を有し、硬化後には弾性を有する。
【0038】
各リード部品3を基板2に実装し、かつ各リード部品3を剛性部材4で囲って、剛性部材4を基板2に固定した後、上方より液状の接着剤(連結部材5)を、第1側壁4a(1)、各リード部品3の本体部3a、および第2側壁4a(2)にわたって、剛性部材4の長手方向Xに塗布する。そして、接着剤(連結部材5)を硬化させることで、複数のリード部品3の本体部3a同士を連結部材5により連結し、かつ両端にあるリード部品3の本体部3aと剛性部材4の第1側壁4a(1)および第2側壁4a(2)を連結部材5により連結する。連結部材5は、両端にあるリード部品3と剛性部材4とにまたがって設けられる。その後、図示しないカバーにより基板2とリード部品3を含む電子部品を覆って、該カバーを筐体1に取り付けることで、電子装置100が組み立てられる。
【0039】
前述したように、電子装置100は車両のエンジンの近傍に設置されるので、エンジンからの大きな振動や衝撃などの外力が電子装置100の各部に加わる。図5に示したように、リード部品3の重心Gが基板2から離れた本体部3aの中心より高い位置にあるため、外力が加わることで、図5(a)および図5(b)に矢印で示すように、本体部3aが揺動するおそれがある。
【0040】
特に、図5(a)に示すように、リード部品3の本体部3aの短辺の幅W1の方向(X方向)には、リード端子3bが複数配列されていないので、外力が加わることにより、矢印で示すように本体部3aがX方向に揺動し易い。また、本体部3aが揺動することにより、リード端子3bに曲げ応力がかかって、基板2におけるリード端子3bのはんだ付け部分が損傷(はんだクラックなど)したり、リード端子3b自体が折損したりするおそれがある。
【0041】
図6は、複数のリード部品3の他の連結状態を示した図である。図6では、当該連結状態の断面図を(a)に示し、平面図を(b)に示している。
【0042】
図6において、基板2上に配列した複数のリード部品3の本体部3aの上部は、連結部材5’により連結されている。連結部材5’は、前述した連結部材5と同一の接着剤から成る。この場合、各リード端子3bが基板2にはんだ付けされることで、各リード部品3の下部が拘束され、また、各本体部3aの上部が連結部材5’により連結されることで、各リード部品3の上部も拘束されるので、各リード部品3がX方向に揺動し難くなる。また、外力が加わることにより各リード部品3に生じる応力が、連結部材5’を介して複数のリード部品3に分散されて、各リード部品3にかかる応力が低減される。
【0043】
然るに、エンジンから大きな振動や衝撃などの外力が加わった場合、連結部材5’により連結された複数のリード部品3が一体となって、図6(b)に矢印で示すようにX方向やY方向に揺動するおそれがある。そして、そのように複数のリード部品3が揺動することで、各リード端子3bに曲げ応力がかかって、各リード端子3bのはんだ付け部分が損傷したり各リード端子3b自体が折損したりするおそれがある。特に、複数のリード部品3のうち、両端に配置されたリード部品3にかかる応力が、中央に配置されたリード部品3にかかる応力より大きくなるため、両端のリード部品3のリード端子3bに大きな曲げ応力がかかって、該リード端子3bのはんだ付け部分や該リード端子3b自体が損傷し易くなる。
【0044】
これに対して、図1図3、および図4に示した第1実施形態では、構造上安定した枠状の剛性部材4を電子装置100の基板2上に固定し、基板2上に実装された複数のリード部品3の本体部3aを剛性部材4により側方から全周にわたって囲っている。そして、リード部品3の本体部3aに対して基板2と反対側で、本体部3a同士を連結部材5により連結するとともに、両端にあるリード部品3の本体部3aと剛性部材4とを連結部材5により連結している。
【0045】
そのため、各リード部品3の下部が基板2により拘束され、各リード部品3の上部が連結部材5と剛性部材4により拘束されるので、外部からの振動や衝撃などの外力により各リード部品3が揺動するのを抑制することができる。また、外力が加わることにより各リード部品3に生じる応力を、連結部材5を介して他のリード部品3に分散させて、各リード部品3にかかる応力を低減することができる。さらに、剛性部材4が設けられない図6の場合と異なり、複数のリード部品3にかかる応力を、両端のリード部品3の本体部3aから連結部材5を介して剛性部材4に伝達させて、剛性部材4により吸収することができる。その結果、車両のエンジンから大きな振動や衝撃などの外力が電子装置100に加わっても、リード部品3の本体部3aが揺動せず、リード端子3bのはんだ付け部分やリード端子3b自体が損傷するのを防止し、リード部品3の耐振動性と耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0046】
また、上記第1実施形態では、各リード部品3の本体部3aが短辺の幅W1の方向(X方向)に隣り合うように、複数のリード部品3を基板2上に配列している。このため、基板2上における複数のリード部品3の実装スペースを小さくして、基板3の設計自由度を高めることができる。また、複数のリード部品3の本体部3a同士や、両端にある本体部3aと剛性部材4とを、連結部材5によりX方向に連結することで、各リード部品3の本体部3aの揺動を一層抑制することができる。
【0047】
さらに、上記第1実施形態では、塗布時に粘性を有し硬化後に弾性を有するシリコン系やゴム系の接着剤から連結部材5を構成している。このため、複数のリード部品3の本体部3a同士の間隔や、両端にあるリード部品3の本体部3aと剛性部材4の第1側壁4a(1)や第2側壁4a(2)との間隔がばらついていても、上方から接着剤(連結部材5)を第1側壁4a(1)、各リード部品3の本体部3a、および第2側壁4a(2)にわたって容易に塗布することができる。そして、接着剤(連結部材5)を硬化させることで、リード部品3の本体部3a同士、および両端にある本体部3aと剛性部材4の壁4a(1)、4a(2)を、連結部材5により確実に連結することができる。また、エンジンからの大きな振動や衝撃などの外力を連結部材5でも吸収して、リード部品3にかかる応力を低減し、リード部品3の揺動をより抑制して、リード部品3の耐振動性と耐衝撃性を一層向上させることができる。
【0048】
図7は、本発明の第2実施形態による電子装置100の要部の平面図である。 図8は、図7のB-B断面図である。
【0049】
第2実施形態では、各リード部品3を基板2に実装し、かつ各リード部品3の本体部3aを剛性部材4で囲って、剛性部材4を基板2に固定した後、連結部材5を構成する接着剤を異なる箇所に2度塗布することにより、図7に示すように、リード部品3の本体部3a同士、および各本体部3aと剛性部材4の側壁4a(1)~4a(4)とを連結部材5により連結している。
【0050】
詳しくは、上方より液状の接着剤(連結部材5)を、剛性部材4の第1側壁4a(1)、第3側壁4a(3)、各リード部品3の本体部3a、および第2側壁4a(2)にわたって、X方向に塗布する。また、上記接着剤を、剛性部材4の第1側壁4a(1)、第4側壁4a(4)、各リード部品3の本体部3a、および第2側壁4a(2)にわたって、X方向に塗布する。そして、2列に塗布した各接着剤を硬化させることで、図7に示すように、複数のリード部品3の本体部3a同士を連結部材5により2カ所で連結し、かつ、図8にも示すように、各本体部3aと剛性部材4の側壁4a(1)~4a(4)とを連結部材5により2カ所または3カ所で連結する。
【0051】
上記第2実施形態によると、車両のエンジンから大きな振動や衝撃などの外力が加わって、各リード部品3に生じる応力を、各連結部材5を介して剛性部材4に伝達させて、剛性部材4により吸収することができる。また、図8に示すように、各リード部品3の本体部3aにおけるY方向の両端上部と剛性部材4の第3側壁4a(3)や第4側壁4a(4)を、それぞれ連結部材5により連結しているので、図5(b)に矢印で示したように、各本体部3aが外力によりY方向に揺動することも抑制することができる。その結果、各リード部品3の耐振動性と耐衝撃性をより一層向上させることが可能となる。
【0052】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、複数のリード部品3の本体部3aを剛性部材4により側方から囲った例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば図9に示すように、剛性部材4の内側に底壁4tを設けて、該底壁4tにより複数のリード部品3の本体部3aを基板2側から囲ったり支えたりしてもよい。つまり、剛性部材4を箱状に形成して、内側に複数のリード部品3の本体部3aを収納してもよい。またこの場合、各リード部品3を基板2に実装するために、基板2の複数の貫通孔2hと連通するように、各リード部品3のリード端子3bが挿通する挿通孔4sを底壁4tに複数形成すればよい。
【0053】
また、以上の実施形態では、剛性部材4の側壁4a(1)~4a(4)の基板2からの高さを、基板2に実装されたリード部品3の本体部3aの基板2からの高さと同等にした例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、剛性部材4の側壁の高さは、リード部品3の本体部3aの高さと異なっていてもよい。
【0054】
また、以上の実施形態では、剛性部材4の材質が合成樹脂である例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、たとえば金属などの他の材質により剛性部材4を形成してもよい。または、たとえば、金属片を心材として用い、該金属片を合成樹脂で覆うようにして、剛性部材4を形成してもよい。この場合、剛性部材4の剛性を一層高めることができる。
【0055】
また、以上の実施形態では、シリコン系またはゴム系の接着剤から成る連結部材5を用いた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、その他の材質の接着剤や両面テープなどを、連結部材として用いてもよい。また、たとえば、合成樹脂やゴムなどの成形品と、該成形品をリード部品3の本体部3aや剛性部材4に接着させる接着材などの、複数の部材により連結部材を構成してもよい。
【0056】
また、以上の実施形態では、連結部材5によって剛性部材4の長手方向Xにリード部品3と剛性部材4を連結した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、図10に示すように、剛性部材4とリード部品3の上方に連結部材5を剛性部材4の短手方向Yに設けて、隣り合うリード部品3の本体部3a同士、ならびに、各リード部品3の本体部3aと近傍にある剛性部材4の各側壁4a(1)~4a(4)とを連結部材5により連結してもよい。また、図11に示すように、剛性部材4とリード部品3の上方に連結部材5を剛性部材4の長手方向Xや短手方向Yに対して斜めになるように設けて、リード部品3と剛性部材4とを連結してもよい。つまり、連結部材5によるリード部品3と剛性部材4との連結方向は適宜設定すればよい。さらに、その連結工程(連結部材5を構成する接着剤の塗布工程など)の実施回数も適宜設定すればよい。
【0057】
また、以上の実施形態では、リード部品3が実装される実装部材として、基板2(プリント基板)を例に挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、電気的な接続部分を備えた筐体や、電気配線となるバスバーなどを実装部材として、これらにリード部品を実装し、かつ剛性部材を固定するようにしてもよい。
【0058】
また、以上の実施形態では、電解コンデンサから成るリード部品3を5つ配列して、それらの各本体部3aを剛性部材4で囲み、少なくとも両端に配置された本体部3aと剛性部材4とを連結部材5で連結した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、電解コンデンサ以外の挿入実装型の電子部品または表面実装型の電子部品を、基板2に1つまたは複数実装して、該電子部品の本体部を剛性部材4で囲み、該本体部の全部または一部と剛性部材4とを連結部材5で連結してもよい。また、形状や向きが異なる複数の電子部品を剛性部材で囲んで連結部材で連結してもよい。また、当該電子部品の本体部や端子などの形状は、前述したリード部品3のような形状に限定するものではない。
【0059】
さらに、以上の実施形態では、車両のエンジンの近傍に設置される車載用のDC-DCコンバータから成る電子装置100に本発明を適用した例を挙げたが、その他の車載用の電子装置や、車載用以外の電子装置に対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0060】
2 基板(実装部材)
2h 貫通孔
3 リード部品(挿入実装型の電子部品)
3a 本体部
3b リード端子(接続部)
4 剛性部材
5 連結部材
100 電子装置
G 重心
W1 一方の幅
W2 他方の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11