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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221101BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20221101BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J29/377 101
B41J29/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019008764
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020116802
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森谷 竜弥
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168780(JP,A)
【文献】特開2002-337326(JP,A)
【文献】特開2010-069673(JP,A)
【文献】特開2004-330568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/377
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を用紙に塗布する先塗部と、
前記塗布液が塗布された前記用紙に画像を形成する作像部と、
前記画像が形成された前記用紙を乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部から前記先塗部に熱を伝える伝熱部と、
を備え、
前記乾燥部は、前記伝熱部を介して前記塗布液を加熱する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記伝熱部は、前記乾燥部で加熱された空気を前記乾燥部から前記先塗部に送風する送風ダクトである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
制御部を更に備え、
前記先塗部は、前記塗布液の温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、前記温度検出部が検出した温度に基づいて、前記塗布液の温度を調節する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記乾燥部で加熱された空気を前記画像形成装置の外部に排気する排気ダクトと、
前記乾燥部で加熱された空気を前記排気ダクト又は前記送風ダクトのいずれかに送風する切り替え部と、を備え、
前記制御部は、前記温度検出部が検出した温度に基づいて、前記切り替え部により、前記送風ダクトと前記排気ダクトとを切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記切り替え部は、切り替えバルブである
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記温度検出部は、前記塗布液の温度を測定する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記温度検出部は、前記塗布液が貯蔵されているタンクの温度を測定する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記伝熱部は、ヒートパイプである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、紙に画像を形成するインクジェットプリンタの画像にじみを抑止するために、塗布液をメディア上に塗布することが知られている。
【0003】
従来技術として、インクジェット式印刷機において、プレコート液を貯留するタンクにプレコート液を加熱する加熱ヒータを配置して、プレコート液を加熱制御することが知られている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、プレコート液を加熱するために加熱ヒータを配置していることから、プレコート液を温度調節するために多くのエネルギーが必要であった。
【0005】
本発明は、塗布液を温度調節するためのエネルギーを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、塗布液を用紙に塗布する先塗部と、前記塗布液が塗布された前記用紙に画像を形成する作像部と、前記画像が形成された前記用紙を乾燥させる乾燥部と、前記乾燥部から前記先塗部に熱を伝える伝熱部と、を備え、前記乾燥部は、前記伝熱部を介して前記塗布液を加熱する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、塗布液を温度調節するためのエネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の画像形成装置のシステム構成図の一例を示す図である。
図2】本実施形態の画像形成装置の構造図の一例を示す図である。
図3】本実施形態の画像形成装置の制御ブロック図の一例を示す図である。
図4】本実施形態の画像形成装置の動作を説明するフローチャートの一例を示す図である。
図5】本実施形態の画像形成装置の温度制御について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100のシステム構成図の一例を示す図である。図1に示す画像形成装置100は、例えば、インクジェット式印刷機である。なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、帯状に連なる用紙Pを用いて画像を形成しているが、用紙についてはそれに限らない。例えば、用紙として枚葉紙を用いてもよい。
【0011】
本実施形態に係る画像形成装置100は、用紙Pを搬送方向Xに搬送しながら、用紙Pに画像を形成する。画像形成装置100は、先塗部110と、作像部120と、乾燥部130と、を備える。
【0012】
先塗部110は、搬送されてきた用紙Pに、塗布液112を塗布する。先塗部110は、塗布液112を貯蔵する塗布液タンク114と、塗布液112の温度を検出する温度検出部116と、を備える。
【0013】
塗布液112は、後述する作像部120のインクジェットヘッド122から吐出されるインクを凝集させるための液体である。作像部120で画像する前に、用紙Pに塗布することにより、画像のにじみを防止することが可能である。
【0014】
温度検出部116は、塗布液112の温度を検出する。温度検出部116は、塗布液タンク114に設置されている。温度検出部116は、塗布液112に直接挿入して塗布液112の温度を直接測定してもよい。また、温度検出部116は、塗布液タンク114の温度を測定し、塗布液タンク114の温度を塗布液112の温度として検出してもよい。
【0015】
なお、塗布液タンク114の材質については特に限定されないが、塗布液112を加熱する場合には、保温するために、断熱性の高い材料、又は、保温材を用いることが望ましい。ただし、塗布液タンク114の温度を測定する際には、測定誤差を低減するために塗布液タンク114の温度検出部116が接する部分には、熱伝導率が高い部材が用いられることが望ましい。
【0016】
作像部120は、用紙Pにインクを吐出することによって、画像を形成する。作像部120は、インクを吐出するための複数のインクジェットヘッド122を備える。
【0017】
乾燥部130は、送風した空気によって用紙Pを加熱することによって、作像部120で用紙Pに吐出されたインクを乾燥させる。乾燥部130は、空気を加熱するためのヒータ131と、加熱した空気を送風するファン(図示せず)とを備える。乾燥部130は、ヒータにより加熱された空気をファンで用紙Pに送風する。乾燥部130で加熱された空気は、後述する乾燥部排気ダクト152、送風ダクト153、先塗部排気ダクト155等を介して、画像形成装置100の外部に排出される。
【0018】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の構造図の一例を示す図である。
【0019】
画像形成装置100は、切り替えバルブ151と、乾燥部排気ダクト152と、送風ダクト153と、排気バルブ154と、先塗部排気ダクト155と、を備える。
【0020】
切り替えバルブ151は、乾燥部130内の空気を取り込み、ヒータ131で加熱された空気を乾燥部排気ダクト152又は送風ダクト153に供給するものである。すなわち切り替えバルブ151は、乾燥部130内の空気を取り入れる吸入孔(図示せず)を有し、この吸入孔から取り込んだ空気を乾燥部排気ダクト152又は送風ダクト153に導く。切り替えバルブ151は、乾燥部130で加熱された空気を乾燥部排気ダクト152又は送風ダクト153のいずれかに送風する切り替え部の一例である。
【0021】
切り替えバルブ151としては、流路を切り替えることができれば、どのようなバルブを用いてもよい。例えば、切替弁や三方弁を用いてもよい。さらに、切り替えるための駆動方法についても、例えば、ソレノイドやモータを用いて駆動してもよいし、エアーを用いて駆動してもよい。
【0022】
乾燥部排気ダクト152は、乾燥部130のヒータで加熱された空気を画像形成装置100の外部に排出するダクトである。乾燥部排気ダクト152は、乾燥部130で加熱された空気を画像形成装置100の外部に排気する排気ダクトの一例である。
【0023】
送風ダクト153は、乾燥部130のヒータで加熱された空気を先塗部110に送風するダクトである。送風ダクト153には、塗布液タンク114が熱接触するように設置されている。それによって、送風ダクト153を流れる空気によって、塗布液タンク114を加熱することできる。そして、塗布液タンク114を加熱することによって、塗布液112を加熱することができる。送風ダクト153が、乾燥部130から先塗部110に熱を伝える伝熱部の一例である。
【0024】
なお、塗布液タンク114の材質については特に限定されないが、塗布液112を加熱する場合には、保温するために、断熱性の高い材料、又は、保温材を用いることが望ましい。ただし、塗布液タンク114の送風ダクト153が接する部分には、エネルギー効率を高めるために、熱伝導率が高い部材が用いられることが望ましい。
【0025】
排気バルブ154は、送風ダクト153と先塗部排気ダクト155との間で流路の開閉を行うバルブである。先塗部排気ダクト155は、送風ダクト153から送られた空気を画像形成装置100の外部に排出するダクトである。排気バルブ154は、流路を閉にすることによって、先塗部排気ダクト155から外部の空気が送風ダクト153側に逆流することを防止することができる。
【0026】
なお、切り替えバルブ151と、乾燥部排気ダクト152と、送風ダクト153と、排気バルブ154と、先塗部排気ダクト155の材質については特に限定されないが、塗布液112を加熱する場合には、保温するために、断熱性の高い材料、又は、保温材を用いることが望ましい。ただし、送風ダクト153の塗布液タンク114が接する部分には、エネルギー効率を高めるために、保温材を用いず、さらに、熱伝導率が高い部材が用いられることが望ましい。
【0027】
乾燥部130のヒータで加熱された空気を画像形成装置100の外部に排気する排気流路について説明する。
【0028】
最初に、画像形成装置100の排気流路である流路Aについて説明する。
【0029】
切り替えバルブ151によって乾燥部130のヒータで加熱された空気が送風される流路が送風ダクト153に切り替えられ、排気バルブ154によって流路が開になっているとする。この場合、乾燥部130のヒータで加熱された空気は、送風ダクト153を通って先塗部110に送風される。そして、送風ダクト153を通って先塗部110に送風された空気は、排気バルブ154と先塗部排気ダクト155を通って画像形成装置100の外部に排出される。このように、乾燥部130から送風ダクト153を通って画像形成装置100の外部に排出される排気流路を以下流路Aという。
【0030】
次に、画像形成装置100の排気流路である流路Bについて説明する。
【0031】
切り替えバルブ151によって乾燥部130のヒータで加熱された空気が送風される流路が乾燥部排気ダクト152に切り替えられ、排気バルブ154によって流路が閉になっているとする。この場合、乾燥部130のヒータで加熱された空気は、乾燥部排気ダクト152に送風される。そして、乾燥部排気ダクト152に送風された空気は、画像形成装置100の外部に排出される。このように、乾燥部130から乾燥部排気ダクト152を通って画像形成装置100の外部に排出される排気流路を以下流路Bという。
【0032】
本実施形態に係る画像形成装置100の制御ブロックについて説明する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置100の制御ブロック図の一例を示す図である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置100は、制御部140を備える。制御部140は、画像形成装置100の全体について制御を行う。ここでは、画像形成装置100の塗布液112の温度調節の制御ブロックについて説明する。制御部140は、温度調節制御部142と、温度取得部144と、を備える。なお、制御部140は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウエアと、プログラム等のソフトウエアによって実現される。
【0035】
温度調節制御部142は、塗布液112の温度調節を行う。温度取得部144は、温度検出部116から塗布液112の温度を取得し、温度調節制御部142に、塗布液112の温度を送信する。
【0036】
温度調節制御部142は、温度取得部144から送信された温度検出部116の検出結果に基づいて、切り替えバルブ151、排気バルブ154を制御する。温度調節制御部142は、切り替えバルブ151、排気バルブ154を制御することによって、塗布液112の温度調節を行う。
【0037】
以下では、具体的な制御方法について説明する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置100の動作を説明するフローチャートの一例を示す図である。
【0039】
ステップS10:画像形成装置100が起動すると、画像形成装置100の制御部140は初期化処理を行う。初期化処理では、例えば、乾燥部130のヒータを稼働開始することにより、乾燥部130の内部を温め始める。
【0040】
ステップS20:画像形成装置100の温度調節制御部142は、排気流路が流路Aであるかを判断する。温度調節制御部142は、排気流路が流路Aである場合(図4のステップS20の「Yes」)はステップS30に、排気流路が流路Bである場合(図4のステップS20の「No」)の場合はステップS35に、処理を進める。
【0041】
ここで、塗布液112の温度調節を行うための設定温度について説明する。本実施形態の温度調節では、塗布液112の温度が所定の温度範囲内にあるように制御を行う。具体的には、塗布液112の温度が、設定温度Dより高く設定温度Uより低く(ただし、設定温度D<設定温度Uとする。)なるように温度調節を行う。
【0042】
最初に、排気流路が流路Aの場合について説明する。
【0043】
ステップS30:画像形成装置100の温度調節制御部142は、検出した塗布液112の温度が設定温度U以上かどうかを判断する。温度取得部144は、温度検出部116から温度を取得し、温度調節制御部142に、塗布液112の温度を送信する。温度調節制御部142は、温度取得部144から送信された塗布液112の温度から判断を行う。温度調節制御部142は、塗布液112の温度が設定温度U以上場合(図4のステップS30の「Yes」)はステップS40に、塗布液112の温度が設定温度U未満の場合(図4のステップS30の「No」)の場合はステップS50に、処理を進める。
【0044】
ステップS40:画像形成装置100の温度調節制御部142は、排気流路を流路Aから流路Bに切り替える。具体的には、温度調節制御部142は、乾燥部130のヒータで加熱された空気が送風される流路が乾燥部排気ダクト152になるように切り替えバルブ151を制御する。また、温度調節制御部142は、排気バルブ154の流路を閉にするように排気バルブ154を制御する。そして、温度調節制御部142は、ステップS50に処理を進める。
【0045】
ステップS50:画像形成装置100の温度調節制御部142は、制御を終了するかどうかを判断する。温度調節制御部142は、処理を終了する場合(図4のステップS50の「Yes」)はステップS60に処理を進める。温度調節制御部142は、処理を終了しない場合(図4のステップS50の「No」)の場合はステップS20に戻って処理を繰り返す。
【0046】
このように、排気流路が流路Aであって、塗布液112の温度が設定温度Uより低い場合は、ステップS20、S30、S50の順で繰り返し処理が行われ、流路Aが維持される。それによって、塗布液112は加熱される。したがって、塗布液112の温度は上昇する。
【0047】
次に、排気流路が流路Bの場合について説明する。
【0048】
ステップS35:画像形成装置100の温度調節制御部142は、検出した塗布液112の温度が設定温度D以下かどうかを判断する。温度取得部144は、温度検出部116から温度を取得し、温度調節制御部142に、塗布液112の温度を送信する。温度調節制御部142は、温度取得部144から送信された塗布液112の温度から判断を行う。温度調節制御部142は、検出した塗布液112の温度が設定温度Dより以下場合(図4のステップS35の「Yes」)はステップS45に、検出した塗布液112の温度が設定温度Dより高い場合(図4のステップS35の「No」)の場合はステップS50に、処理を進める。
【0049】
ステップS45:画像形成装置100の温度調節制御部142は、排気流路を流路Bから流路Aに切り替える。具体的には、温度調節制御部142は、乾燥部130のヒータで加熱された空気が送風される流路が送風ダクト153になるように切り替えバルブ151を制御する。また、温度調節制御部142は、排気バルブ154の流路を開にするように排気バルブ154を制御する。
【0050】
ステップS50:画像形成装置100の温度調節制御部142は、制御を終了するかどうかを判断する。温度調節制御部142は、処理を終了する場合(図4のステップS50の「Yes」)はステップS60に処理を進める。温度調節制御部142は、処理を終了しない場合(図4のステップS50の「No」)の場合はステップS20に戻って処理を繰り返す。
【0051】
このように、排気流路が流路Bであって、塗布液112の温度が設定温度Dより高い場合は、ステップS20、S35、S50の順で繰り返し処理が行われ、流路Bが維持される。それによって、塗布液112は放熱する。したがって、塗布液112の温度は徐々に低下する。
【0052】
ステップS60:ステップS50において、処理を終了する場合は、画像形成装置100終了処理を行い、処理を終了する。
【0053】
本実施形態に係る画像形成装置100の具体的な動作について説明する。
【0054】
図5は、本実施形態の画像形成装置100の温度制御について説明するとともに、流路の状態について説明する図である。
【0055】
本実施形態に係る画像形成装置100においては、塗布液112を室温より加熱して温調するものとする。
【0056】
図5の縦軸は、塗布液112の温度を表し、横軸は時間を表す。太線が塗布液112の温度を表し、2本の細線がそれぞれ設定温度U、Dを表す。またグラフ下に、何れの流路に切り替えられているかの状態を表す。
【0057】
図5の時刻t0において、塗布液112の温度は、設定温度D以下であるとする。また、画像形成装置100において、排気流路は流路Aになっているとする。
【0058】
時刻t0において、排気流路は流路Aになっており、塗布液112の温度は設定温度Uより低くなっていることから、画像形成装置100の温度調節制御部142は、ステップS20、S30、S50の順で処理が行われて、排気流路は流路Aで維持される。排気流路が流路Aになっていることから、塗布液112は加熱される。
【0059】
時刻t0~t1において、排気流路は流路Aになっており、塗布液112の温度は設定温度Uより低くなっていることから、画像形成装置100の温度調節制御部142は、ステップS20、S30、S50の順で繰り返し処理を行う。それによって、塗布液112は加熱されることから、塗布液112の温度は上昇する。
【0060】
時刻t1において、塗布液112の温度は設定温度Uに到達した。したがって、画像形成装置100の温度調節制御部142は、ステップS20、S30、S40の順で処理を行う。そして、ステップS40において排気流路は流路Bに切り替えられる。
【0061】
時刻t1~t2において、排気流路は流路Bになっており、塗布液112の温度は設定温度Dより高くなっていることから、画像形成装置100の温度調節制御部142は、ステップS20、S35、S50の順で繰り返し処理を行う。それによって、塗布液112は放熱することから、塗布液112の温度は徐々に低下する。
【0062】
時刻t2において、塗布液112の温度は設定温度Dに到達した。したがって、画像形成装置100の温度調節制御部142は、ステップS20、S35、S45の順で処理を行う。そして、ステップS45において排気流路は流路Aに切り替えられる。
【0063】
時刻t2以降は、上記と同様の処理が繰り返される。このように処理が行われることによって、塗布液112は温度調節される。
【0064】
本実施形態に係る画像形成装置100において、乾燥部130から排出される排熱を廃棄する前に、送風ダクト153を介して排熱を乾燥部130から先塗部110へ送る。そして、その排熱を熱源として、先塗部110の塗布液タンク114と塗布液タンク114内の塗布液112を加熱することができる。このように、画像形成装置100は、送風ダクト153を介して塗布液112を加熱することができる。そして、塗布液112の温調を行うことができる。
【0065】
このように、従来技術において用いられていた塗布液を加熱するためのヒータを削減することができる。当該ヒータを削減することによって、当該ヒータに使用されるエネルギーも削減されることから、塗布液112を温度調節するためのエネルギーを低減することができる。さらに、乾燥部130から排出される排熱を廃棄する前に利用することによって、塗布液112を温度調節するためのエネルギーを低減することができる。
【0066】
また、乾燥部排気ダクト152から外部に排気される空気は高温であるため、この排気を冷ますために乾燥部排気ダクト152内部に外気を流入させてミキシングを行っている。ミキシングするためには乾燥部排気ダクト152内部に外気を流入させる必要があるためファンなどを用いており、このためファン用の電力も必要となっている。本実施形態に係る画像形成装置100において、乾燥部130から排出される排熱を利用することにより、乾燥部排気ダクト152からの排気を減らすことができる。それによって、当該ファン用の電力を削減することができる。
【0067】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置100において、乾燥部130から排出される排熱が塗布液タンク114に吸収されることにより、先塗部排気ダクト155から排気する空気の温度を更に下げることができる。それによって、乾燥部排気ダクト152及び先塗部排気ダクト155の外気を流入されるファン用の電力を更に削減することができる。
【0068】
なお、設定温度U、Dについて、設定温度U、Dは塗布液112の粘度等から適宜定めることができる。例えば、塗布液112の粘度が安定するような温度範囲に設定するようにしてもよい。そのように設定することによって、塗布液112の塗布ムラ等を防止することができる。
【0069】
本実施形態では、乾燥部130から先塗部110に熱を伝える伝熱部として、送風ダクト153を用いているが、伝熱部は送風ダクトに限らない。乾燥部130から先塗部110に熱を伝えることができる熱伝導部材であれば、伝熱部として用いることができる。例えば、伝熱部として、ヒートパイプを用いてもよい。この場合、ヒートパイプはヒータ131と塗布液タンク114とを接続していればよい。また切り替えバルブ151、さらに排気バルブ154に代わり、例えばヒートパイプをメカ的に断続するような機構が設けられる。このとき、ヒートパイプを接続している状態が上述した流路Aに相当する。一方、ヒートパイプを断している状態が上述した流路Bに相当する。
【0070】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置100において、最終的には乾燥部排気ダクト152と先塗部排気ダクト155から加熱した空気を装置外部に排気しているが、排気する空気の一部又はすべてを乾燥部130に戻して空気が循環するようにしてもよい。それによって、乾燥部130において加熱するのに必要なエネルギーをさらに削減することができる。
【0071】
さらにまた、本実施形態に係る画像形成装置100において、塗布液112の温度調節のために、切り替えバルブ151によって、排気流路の切り替えを行っているが、温度調節については排気流路の切り替えに限らない。例えば、送風ダクト153に送風される空気の量を、バルブの開度により調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 画像形成装置
110 先塗部
112 塗布液
114 塗布液タンク
116 温度検出部
120 作像部
130 乾燥部
140 制御部
151 切り替えバルブ
152 乾燥部排気ダクト
153 送風ダクト
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【文献】特開2004-330568号公報
図1
図2
図3
図4
図5